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特開2024-128813吊りボルト取付金物及び吊りボルト取付構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128813
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】吊りボルト取付金物及び吊りボルト取付構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
E04B9/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038046
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】397028360
【氏名又は名称】関包スチール株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591020685
【氏名又は名称】株式会社能重製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】武佐 サライデン
(72)【発明者】
【氏名】中川 学
(72)【発明者】
【氏名】森 貴久
(72)【発明者】
【氏名】細川 俊治
(72)【発明者】
【氏名】有馬 冬樹
(72)【発明者】
【氏名】古川 征志
(72)【発明者】
【氏名】北村 幸則
(72)【発明者】
【氏名】本田 洋介
(72)【発明者】
【氏名】楠本 裕
(57)【要約】
【課題】作業性の向上を図ることができる吊りボルト取付金物及び吊りボルト取付構造を提供する。
【解決手段】開口部116を一側方へ向けた第一のC形鋼を含む吊受材(100、100a)に、吊りボルト10を取り付けるための取付金物(200~200g)であって、開口部116を構成する下側リップ115に係止可能な係止部220と、吊りボルト10が取り付けられる吊りボルト取付部240と、吊受材(100、100a)に対する仮止めを行う仮止め部(250~250d、230、250f、250g、)と、仮止め部による仮止めを行った状態で吊受材(100、100a)と固定可能な固定部(210、230)と、を具備する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を一側方へ向けた第一のC形鋼を含む吊受材に、吊りボルトを取り付けるための吊りボルト取付金物であって、
前記開口部を構成するリップに係止可能な係止部と、
前記吊りボルトが取り付けられる吊りボルト取付部と、
前記吊受材に対する仮止めを行う仮止め部と、
前記仮止め部による仮止めを行った状態で前記吊受材と固定可能な固定部と、
を具備する、
吊りボルト取付金物。
【請求項2】
前記仮止め部は、
弾性変形可能に構成される仮止め本体部を有し、
前記仮止め本体部の弾性力により前記第一のC形鋼のウェブを押圧することにより仮止めを行う、
請求項1に記載の吊りボルト取付金物。
【請求項3】
前記仮止め本体部は、
当該仮止め本体部から前記一側方へ向けて突出する仮止め突起部を有し、
前記仮止め突起部を介して前記ウェブを押圧する、
請求項2に記載の吊りボルト取付金物。
【請求項4】
前記仮止め突起部は、
弾性変形可能に構成される、
請求項3に記載の吊りボルト取付金物。
【請求項5】
前記吊受材は、
開口部を前記他側方へ向けると共に、ウェブを前記第一のC形鋼のウェブとを背中合わせとした第二のC形鋼を含み、
前記仮止め部は、
弾性変形可能、かつ、前記第一のC形鋼及び前記第二のC形鋼の互いの前記ウェブの間に挿入可能に構成される仮止め本体部を有し、
前記仮止め本体部の弾性力により前記第一のC形鋼及び/又は前記第二のC形鋼の前記ウェブを押圧することにより仮止めを行う、
請求項1に記載の吊りボルト取付金物。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の前記吊りボルト取付金物と、
前記吊りボルト取付金物の前記固定部に固定された前記吊受材と、
前記吊りボルト取付金物の前記吊りボルト取付部に取り付けられた前記吊りボルトと、
を備える、
吊りボルト取付構造。
【請求項7】
前記吊りボルト取付部は、
底面視において前記第一のC形鋼の前記開口部の近傍に位置する、
請求項6に記載の吊りボルト取付構造。
【請求項8】
前記吊りボルト取付部は、
前記吊りボルトが挿通される貫通孔を有し、当該貫通孔が前記係止部と低面視において少なくとも一部が重複するように配置されることにより、前記第一のC形鋼の前記開口部の近傍に位置する、
請求項7に記載の吊りボルト取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊りボルトを吊受材に取り付ける吊りボルト取付金物及び吊りボルト取付構造の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吊りボルトを吊受材に取り付ける吊りボルト取付金物及び吊りボルト取付構造の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、建物の躯体の一部を構成するC形鋼(吊受材)に、天井面材等を吊り下げるための吊りボルトが吊り下げられた天井構造(吊りボルト取付構造)が記載されている。この天井構造においては、C形鋼に吊りボルト取付金物が固定され、吊りボルト取付金物に吊りボルトが固定されることで、吊りボルトがC形鋼に吊り下げられている。
【0004】
ここで、前記吊りボルト取付金物をC形鋼に固定する場合、作業者は、一方の手で吊りボルト取付金物がC形鋼に対して適切な位置及び姿勢となるように当該吊りボルト取付金物を支えたまま、もう片方の手で所定の工具を用いてビス打ちを行う必要がある。このように、前記吊りボルト取付金物においては、作業者の作業が煩雑になるため、作業性の観点から改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6426988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、作業性の向上を図ることができる吊りボルト取付金物及び吊りボルト取付構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、開口部を一側方へ向けた第一のC形鋼を含む吊受材に、吊りボルトを取り付けるための吊りボルト取付金物であって、前記開口部を構成するリップに係止可能な係止部と、前記吊りボルトが取り付けられる吊りボルト取付部と、前記吊受材に対する仮止めを行う仮止め部と、前記仮止め部による仮止めを行った状態で前記吊受材と固定可能な固定部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記仮止め部は、弾性変形可能に構成される仮止め本体部を有し、前記仮止め本体部の弾性力により前記第一のC形鋼のウェブを押圧することにより仮止めを行うものである。
【0010】
請求項3においては、前記仮止め本体部は、当該仮止め本体部から前記一側方へ向けて突出する仮止め突起部を有し、前記仮止め突起部を介して前記ウェブを押圧するものである。
【0011】
請求項4においては、前記仮止め突起部は、弾性変形可能に構成されるものである。
【0012】
請求項5においては、前記吊受材は、開口部を前記他側方へ向けると共に、ウェブを前記第一のC形鋼のウェブとを背中合わせとした第二のC形鋼を含み、前記仮止め部は、弾性変形可能、かつ、前記第一のC形鋼及び前記第二のC形鋼の互いの前記ウェブの間に挿入可能に構成される仮止め本体部を有し、前記仮止め本体部の弾性力により前記第一のC形鋼及び/又は前記第二のC形鋼の前記ウェブを押圧することにより仮止めを行うものである。
【0013】
請求項6においては、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の前記吊りボルト取付金物と、前記吊りボルト取付金物の前記固定部に固定された前記吊受材と、前記吊りボルト取付金物の前記吊りボルト取付部に取り付けられた前記吊りボルトと、を備えるものである。
【0014】
請求項7においては、前記吊りボルト取付部は、底面視において前記第一のC形鋼の前記開口部の近傍に位置するものである。
【0015】
請求項8においては、前記吊りボルト取付部は、前記吊りボルトが挿通される貫通孔を有し、当該貫通孔が前記係止部と低面視において少なくとも一部が重複するように配置されることにより、前記第一のC形鋼の前記開口部の近傍に位置するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
本発明においては、作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第一実施形態に係る取付金物を有する天井構造を示した概略斜視図。
図2図1のX部を示した拡大右側面図。
図3】吊受材に取付金物が固定された状態を示した正面図。
図4】(a)取付金物を示した左側面図。(b)取付金物を示した底面図。(c)取付金物を示した右側面図。(d)図3のY部を示した拡大正面断面図。(e)図3のY部の別例を示した拡大正面断面図。
図5】(a)吊受材の取付作業を示した正面模式図。(b)図5(a)の続きを示した図。(c)図5(b)の続きを示した図。(d)図5(c)の続きを示した図。
図6】(a)第二実施形態に係る取付金物を示した左側面図。(b)同じく、第二実施形態に係る取付金物の場合において図3のY部を示した拡大正面断面図。(c)第三実施形態に係る取付金物を示した左側面図。(d)同じく、第三実施形態に係る取付金物の場合において図3のY部を示した拡大正面断面図。
図7】(a)第二実施形態に係る取付金物の別例を示した左側面図。(b)第三実施形態に係る取付金物の別例を示した左側面図。
図8】(a)第四実施形態に係る取付金物を示した左側面図。(b)同じく、第四実施形態に係る取付金物の場合において図3のY部を示した拡大正面断面図。(c)第五実施形態に係る取付金物を示した左側面図。(d)同じく、第五実施形態に係る取付金物の場合において図3のY部を示した拡大正面断面図。
図9】(a)第四実施形態に係る取付金物の別例を示した左側面図。(b)第五実施形態に係る取付金物の別例を示した左側面図。
図10】第六実施形態に係る取付金物が吊受材に固定された状態を示した正面図。
図11】(a)第七実施形態に係る取付金物が吊受材に固定された状態を示した正面図。(b)第八実施形態に係る取付金物が吊受材に固定された状態を示した正面図。
図12】別例に係る天井構造において、吊受材に取付金物が固定された状態を示した正面図。
図13】(a)第九実施形態に係る取付金物を示した左側面図。(b)同じく、第九実施形態に係る取付金物の場合において図12のZ部を示した拡大正面断面図。(c)第十実施形態に係る取付金物を示した左側面図。(d)同じく、第十実施形態に係る取付金物の場合において図12のZ部を示した拡大正面断面図。
図14】(a)第九実施形態に係る取付金物の別例を示した左側面図。(b)第十実施形態に係る取付金物の別例を示した左側面図。
【0019】
以下の説明においては、図中に示した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
【0020】
以下では、図1及び図2を用いて、本発明の第一実施形態に係る取付金物200を有する天井構造1について説明する。
【0021】
図1に示す天井構造1は、鉄骨造の建物における天井の構造である。なお、図1においては、便宜上、建物における天井の構造全体のうち一部が示されている。以下では、図1に示された天井構造1(天井の構造全体のうち一部)について説明するものとする。天井構造1は、吊りボルト10、ハンガー20、野縁受け30、野縁40、天井面材50、ブレース60、第一補強金具70、第二補強金具80、吊受材100及び取付金物200を具備する。
【0022】
吊りボルト10は、建物の躯体から吊り下げられるものである。より詳細には、吊りボルト10は、躯体の一部を構成する吊受材100に取り付けられている。吊受材100及び当該吊受材100に対する吊りボルト10の取付構造の詳細については後述する。吊りボルト10は、複数設けられる。図1においては、3本の吊りボルト10が示されている。
【0023】
ハンガー20は、後述する野縁受け30を支持するものである。ハンガー20は、各吊りボルト10の下端部に取り付けられる。
【0024】
野縁受け30は、後述する野縁40を支持するものである。野縁受け30は、長尺状に形成され、長手方向を左右方向に向けて配置される。野縁受け30は、ハンガー20に支持される。こうして、野縁受け30は、ハンガー20及び吊りボルト10を介して吊受材100から吊設される。野縁受け30は、複数設けられる。図1においては、3本の野縁受け30が示されている。
【0025】
野縁40は、後述する天井面材50を支持するものである。野縁40は、長尺状に形成され、長手方向を前後方向に向けて配置される。野縁40は、クリップ部材41を用いて野縁受け30に支持される。野縁40は、複数設けられる。図1においては、3本の野縁40が示されている。
【0026】
天井面材50は、天井面を構成するものである。天井面材50は、例えば板状の石膏ボードにより形成される。天井面材50は、板面を上下方向に向けて配置される。天井面材50は、野縁40の下側面にビス等を用いて固定される。
【0027】
ブレース60は、建物の躯体と野縁受け30との間に架設されるものである。より詳細には、ブレース60は、建物の躯体と、前後方向に延びて3本の野縁受け30の上面に固定されるブレース補強材62との間に架設される。ブレース60は、長尺状に形成され、長手方向を鉛直方向に対して傾斜した姿勢で配置される。ブレース60の上端部には金具が固定され、ナットNによって吊りボルト10に固定されたブレース取付具61に当該金具が固定されることにより、ブレース60の上端部が吊りボルト10に固定される(図2参照)。ブレース60の下端部は、ビス等によりブレース補強材62に固定される。ブレース60は、長手方向断面視で略C字状に形成される。本実施形態において、ブレース60は、右側が開放し、左側が閉鎖面となるように配置される。図1においては、前後に並設される一対のブレース60が示されている。
【0028】
一対のブレース60は、前後方向に対称形状に形成される。より詳細には、一対のブレース60のうち、前側に配置されるブレース60(以下では「前側ブレース60F」と称する場合がある)は、上側が前方に位置し、下側が後方に位置するように配置される。また、一対のブレース60のうち、後側に配置されるブレース60(以下では「後側ブレース60B」と称する場合がある)は、上側が後方に位置し、下側が前方に位置するように配置される。前側ブレース60F及び後側ブレース60Bは、側面視で吊りボルト10を中心として前後に対称な形状に形成される。前側ブレース60F及び後側ブレース60Bは、それぞれ下端部側へ行くに従って互いに近接するように配置される。
【0029】
第一補強金具70は、前側ブレース60F及び後側ブレース60Bそれぞれに固定されるものである。第一補強金具70は、板面を左右方向に、長手方向を前後方向に向けた側面視矩形板状に形成される。
【0030】
第二補強金具80は、野縁40と天井面材50とにそれぞれ固定されるものである。第二補強金具80は、正面視略L字状に形成される。第二補強金具80の側面は、第一補強金具70に固定されるとともに、ビス等によりブレース補強材62に固定される。また、第二補強金具80の底面は、ビス等により天井面材50に固定される。
【0031】
以下では、図1及び図3を用いて、吊受材100の構成について詳細に説明する。
【0032】
吊受材100は、建物の躯体の一部を構成する。吊受材100には、後述する取付金物200が固定される。吊受材100は、本実施形態において、長尺状に形成された(1本の)C形鋼により構成される。吊受材100は、左右方向に並ぶように複数設けられ、図1においては、1本の吊受材100のみを示している。図1及び図3に示す吊受材100は、開放側(後述する開口部116)を右方へ向けると共に、長手方向を前後方向に向けて配置される。図3に示すように、吊受材100は、上側フランジ111、下側フランジ112、ウェブ113、上側リップ114、下側リップ115及び開口部116を具備する。
【0033】
図3に示す上側フランジ111は、吊受材100の上端部を構成する。下側フランジ112は、吊受材100の下端部を構成する。ウェブ113は、吊受材100の左端部を構成する。ウェブ113は、正面視で上下方向に延びるように形成され、上側フランジ111の左端部と下側フランジ112の左端部とを接続するように構成される。
【0034】
上側リップ114は、吊受材100の右上部を構成する。上側リップ114は、上側フランジ111の右端部から下方に延びるように形成される。下側リップ115は、吊受材100の右下部を構成する。下側リップ115は、下側フランジ112の右端部から上方に延びるように形成される。開口部116は、吊受材100の右端部の上下中央部に形成される。具体的には、開口部116は、上側リップ114及び下側リップ115により構成される。
【0035】
以下では、図3及び図4を用いて、第一実施形態に係る取付金物200の構成について詳細に説明する。なお図4(a)に示す左側面図においては、説明の便宜上、係止部220の図示を省略している。
【0036】
取付金物200は、吊りボルト10を吊受材100に取り付けるためのものである。取付金物200は、一枚の板材が適宜折り曲げられることにより形成される。取付金物200は、第一固定部210、係止部220、第二固定部230、吊りボルト取付部240及び仮止め部250を具備する。
【0037】
第一固定部210は、吊受材100の下側リップ115に固定される部分である。第一固定部210は、上下方向に延びた板状に形成される。第一固定部210は、吊受材100の下側リップ115の右方に配置される。第一固定部210は、下側リップ115と左右方向に対向し、互いに当接するように設けられる。第一固定部210には、第一ビス孔211が形成される。第一ビス孔211は、第一固定部210を左右方向に貫通する。図4(c)に示すように、本実施形態において、第一ビス孔211は、2つ設けられる。第一ビス孔211にビスBが挿通されることにより、第一固定部210が吊受材100の下側リップ115に固定される。
【0038】
係止部220は、吊受材100の下側リップ115に係止される部分である。係止部220は、第一固定部210の上端部から左方へ正面視で略円弧状に延びると共に、その左端部から下方へ向けて延びるように形成される。こうして、係止部220は、フック状に形成され、第一固定部210との間に前方、後方及び下方が開放された所定の隙間(空間)を形成する。前記空間には、吊受材100の下側リップ115が下方から挿入される。こうして、係止部220に下側リップ115が挿入されることにより、係止部220が下側リップ115に係止される。
【0039】
第二固定部230は、吊受材100の下側フランジ112の左部に固定される部分である。第二固定部230は、左右方向に延びた板状に形成される。第二固定部230は、下側フランジ112の左部の下方に配置される。第二固定部230は、下側フランジ112と上下方向に対向し、互いに当接するように設けられる。第二固定部230には、第二ビス孔231が形成される。第二ビス孔231は、第二固定部230を上下方向に貫通する。図4(b)に示すように、本実施形態において、第二ビス孔231は、2つ設けられる。第二ビス孔231にビスBが挿通されることにより、第二固定部230が吊受材100の下側フランジ112に固定される。
【0040】
吊りボルト取付部240は、吊りボルト10が取り付けられる部分である。吊りボルト取付部240は、正面視で上方が開放された略コの字状に形成される。吊りボルト取付部240の右上端部は、第一固定部210の下端部と接続される。吊りボルト取付部240の左上端部は、第二固定部230の右端部と接続される。こうして、吊りボルト取付部240は、第一固定部210と第二固定部230との間に、前方及び後方が開放された所定の空間を形成する。
【0041】
吊りボルト取付部240の底部(左右方向中央部)には、貫通孔241が形成される。貫通孔241は、吊りボルト取付部240の底部を上下方向に貫通する。また吊りボルト取付部240の底部において貫通孔241の上方には、当該貫通孔241と連続して立ち上がり部242が形成される。立ち上がり部242は、上下方向へ向けた略円筒状に形成される。貫通孔241及び立ち上がり部242は、例えばバーリング加工により形成される。貫通孔241及び立ち上がり部242の内周面には雌ネジが形成される。
【0042】
貫通孔241及び立ち上がり部242には、吊りボルト10の上端部がねじ込まれる。こうして、貫通孔241及び立ち上がり部242に吊りボルト10がねじ込まれることにより、当該吊りボルト10が吊りボルト取付部240に取り付けられる。
【0043】
このように、吊りボルト10が取り付けられる吊りボルト取付部240は、底面視において、吊受材100の右端部(開口部116)近傍に形成される。具体的には、吊りボルト取付部240は、第二固定部230よりも吊受材100の右端部側に形成される。また吊りボルト取付部240のうち、貫通孔241及び立ち上がり部242は、吊受材100の下側フランジ112の左右中央部よりも右側に形成される。また貫通孔241及び立ち上がり部242は、係止部220と左右方向において(底面視において)少なくとも一部が重複するように形成される。こうして、吊りボルト10が取り付けられる吊りボルト取付部240が、下側リップ115の近傍に設けられるため、一般的なリップに引っ掛ける金物と通りを合わせ易くできる。
【0044】
仮止め部250は、後述する取付金物200を吊受材100に取り付ける取付作業において、当該取付金物200の吊受材100に対する仮止めを行う部分である。仮止め部250は、取付金物200の左端部に形成される。仮止め部250は、本体部251及び突起部252を具備する。
【0045】
本体部251は、上下方向に延びた板状に形成される。本体部251の下端部は、第二固定部230の左端部と接続される。本体部251は、第二固定部230との接続部分を含む当該本体部251自身が、左右方向に弾性変形可能に構成される。本体部251は、吊受材100のウェブ113の下部の左方に配置される。本体部251は、ウェブ113と左右方向に対向し、互いに隣接するように設けられる。
【0046】
突起部252は、本体部251から右方へ突出した部分である。突起部252の右端部は、左右方向において仮止め部250のうち最も右側に位置する。突起部252の表面は、側面断面視において右方へ凸となる緩やかな湾曲形状に形成される。より詳細には、図4(d)に示すように、突起部252の表面は、側面断面視において、上下方向両端部に比べて上下方向中途部の曲率が小さくなるように形成される。突起部252は、例えば本体部251に対するエンボス加工により形成される。突起部252は、本体部251の上部に形成される。図4(a)に示すように、本実施形態において、突起部252は、2つ設けられ、前後方向に並ぶように形成される。
【0047】
このように、仮止め部250は、突起部252により吊受材100に当接される。また仮止め部250は、本体部251と吊受材100のウェブ113との間に突起部252が介在されるため、当該本体部251の上端部が吊受材100により左方へ押圧された状態(弾性変形した状態)となっている。
【0048】
こうして、仮止め部250は、本体部251の弾性変形により、吊受材100に対して右方へ弾性力を付与するように構成される。また本実施形態では、突起部252は本体部251の上部(すなわち、本体部251の下端部から離れた位置)に形成されるため、吊受材100に対して弾性力を付与し易く構成される。これによれば、例えば吊受材100の左右方向の幅が大きい場合であっても嵌め易く、また小さい場合であっても保持力を発揮し易くでき、ひいては仮止め部250が吊受材100に対して弾性力を付与するように構成される。
【0049】
なお仮止め部250の突起部252の構成は、上述の如きものに限定されない。例えば図4(e)には、突起部252の別例(以下では「突起部1252」と称する)が示されている。突起部1252の表面は、右方へ凸となる球面状に形成される。より詳細には、突起部1252の表面は、側面断面視において上端部から下端部に亘って曲率が一定となるように形成される。
【0050】
以下では、図5を用いて、吊りボルト10を吊受材100に取り付ける取付作業について説明する。
【0051】
吊りボルト10を吊受材100に取り付ける取付作業は、例えば天井構造1を施工する現場において作業者により行われる。まず作業者は、吊受材100に取付金物200を取り付ける取付作業を行う。具体的には、図5(a)に示すように、作業者は、取付金物200を左下がりに傾斜させた状態で、当該取付金物200の係止部220を、吊受材100の開口部116を介して当該吊受材100の内側に位置させる。
【0052】
次に、図5(b)に示すように、作業者は、取付金物200を押し下げながら、係止部220近傍を中心として当該取付金物200を正面視で時計回りに回転させる。こうして、係止部220の空間内に下側リップ115が挿入され、取付金物200の右端部(係止部220)が吊受材100に係止される。
【0053】
またこの際、取付金物200の仮止め部250(本体部251)が、吊受材100のウェブ113により左方へ押し広げられながら、当該ウェブ113の下部と対向する位置に配置される。この場合、突起部252の滑らかな面(略半球状に形成された表面)をウェブ113に滑らせることができるため、取付金物200の吊受材100に対する位置決めを容易に行うことができる。こうして、取付金物200が吊受材100に嵌め込まれると、仮止め部250の本体部251は、吊受材100に対して右方へ弾性力を付与する。
【0054】
このように、取付金物200は、図5(b)に示す状態になると、ある程度の力を加えなければ(少なくとも取付金物200の自重だけでは吊受材100に対して上下、左右、前後方向に移動しないように)吊受材100に対する移動が規制される。すなわち、図5(b)に示す状態は、取付金物200の吊受材100に対する仮止めが行われた状態となる。
【0055】
次に、図5(c)に示すように、作業者は、図5(b)に示した状態(仮止めが行われた状態)からビス打ちを行う。具体的には、作業者は、第一固定部210の第一ビス孔211及び第二固定部230の第二ビス孔231に、ビスBを挿通する。こうして、第一固定部210の第一ビス孔211及び第二固定部230の第二ビス孔231にビスBが挿通されることにより、取付金物200が吊受材100に固定される。これにより、取付金物200を吊受材100に取り付ける取付作業が完了する。
【0056】
次に、図5(d)に示すように、吊りボルト10が吊りボルト取付部240の底部(貫通孔241及び立ち上がり部242)に下方からねじ込まれる。これにより、吊りボルト10を吊受材100に取り付ける取付作業が完了する。
【0057】
ここで、仮に取付金物200に仮止め部250が設けられていなければ(すなわち、取付金物200の吊受材100に対する仮止めが行われなければ)、作業者は、一方の手で取付金物200を吊受材100に対して適切な姿勢となるように支えたまま、もう片方の手で所定の工具を用いてビス打ちを行う必要がある。このように、取付金物200の吊受材100に対する仮止めが行われなければ、作業者の作業が煩雑になる可能性がある。
【0058】
これに対して、本実施形態に係る取付金物200においては、取付金物200に仮止め部250が設けられているため(すなわち、取付金物200の吊受材100に対する仮止めが行われるため)、作業者は、一方の手で取付金物200を支えることなく、両方の手を用いてビス打ちを行うことができる。すなわち、取付金物200によれば、作業性の向上を図ることができる。
【0059】
以下では、図6(a)及び(b)を用いて、第二実施形態に係る取付金物200aの構成について詳細に説明する。
【0060】
なお第二実施形態に係る取付金物200aは、仮止め部250aの構成が、第一実施形態に係る取付金物200と異なる。そこで以下では、仮止め部250aの構成について説明する。仮止め部250aは、本体部251a及び突起部252aを具備する。
【0061】
本体部251aは、切欠部253を有する点で、第一実施形態に係る本体部251と異なる。切欠部253は、本体部251aを上方から当該本体部251aの下端部近傍までに亘るように、下方へと切り欠いたものである。切欠部253は、本体部251aの前後方向中央部に形成される。こうして、切欠部253によって、本体部251aは、可撓性を確保することができ、例えば前側部分と後側部分とがそれぞれ独立して弾性変形可能に構成される。
【0062】
突起部252aは、本体部251aの前側部分及び後側部分から、右方へ突出した部分である。突起部252aは、側面視において、右端部を頂角とした略二等辺三角形状に形成される。これにより、突起部252aは、正面視において角状の部分(頂角)により吊受材100のウェブ113と当接できる。
【0063】
こうして、仮止め部250aは、本体部251a(前側部分及び後側部分それぞれ)の弾性変形により、突起部252aを介して吊受材100に右方へ弾性力を付与する。すなわち、第二実施形態に係る取付金物200aにおいては、上述の如く構成された仮止め部250aにより、吊受材100に対する仮止めを行うことができる。なお第二実施形態に係る取付金物200aの構成は、上述の如き構成に限定されず、例えば図7(a)に示すように切欠部253を有さずに(すなわち、略矩形状に形成された本体部251aに)前後方向に亘るような1つの突起部252aが設けられてもよい。
【0064】
以下では、図6(c)及び(d)を用いて、第三実施形態に係る取付金物200bの構成について詳細に説明する。
【0065】
なお第三実施形態に係る取付金物200bは、仮止め部250bの構成が、第一実施形態に係る取付金物200と異なる。そこで以下では、仮止め部250bの構成について説明する。仮止め部250bは、本体部251b及び突起部252bを具備する。
【0066】
本体部251bは、第二実施形態と同様に、切欠部253を有する。突起部252bは、本体部251bの前側部分及び後側部分から、右方へ突出した部分である。突起部252bは、側面視において、右端部を上底とした略台形状に形成される。これにより、突起部252bは、正面視において直線状の部分(上底)により吊受材100のウェブ113と当接できる。
【0067】
こうして、仮止め部250bは、本体部251b(前側部分及び後側部分それぞれ)の弾性変形により、突起部252bを介して吊受材100に右方へ弾性力を付与する。すなわち、第三実施形態に係る取付金物200bにおいては、上述の如く構成された仮止め部250bにより、吊受材100に対する仮止めを行うことができる。また正面視において直線状の部分(上底)により吊受材100のウェブ113と当接できるため、取付金物200bを吊受材100に仮止めした後、当該吊受材100に対する取付金物200bの姿勢(取り付け角度)を維持し易くできる。なお第三実施形態に係る取付金物200bの構成は、上述の如き構成に限定されず、例えば図7(b)に示すように切欠部253を有さずに(すなわち、略矩形状に形成された本体部251bに)前後方向に亘るような1つの突起部252bが設けられてもよい。
【0068】
以下では、図8(a)及び(b)を用いて、第四実施形態に係る取付金物200cの構成について詳細に説明する。
【0069】
なお第四実施形態に係る取付金物200cは、仮止め部250cの構成が、第一実施形態に係る取付金物200と異なる。そこで以下では、仮止め部250cの構成について説明する。仮止め部250cは、本体部251c及び突起部252cを具備する。
【0070】
本体部251cは、第一実施形態と同様に構成される。突起部252cは、本体部251cから右方へ突出した部分である。突起部252cは、2つ設けられ、前後方向に並ぶように形成される。突起部252cは、本体部251cを左側面視において略コの字状に切り欠いて、先端側(下端側)を右方へ向けて折り曲げて形成される。こうして、突起部252cは、本体部251cに対して弾性変形可能に構成される。また、突起部252cは、正面視において先端側の角部により吊受材100のウェブ113と当接できる。
【0071】
こうして、仮止め部250cは、本体部251cの弾性変形に加え、突起部252cの弾性変形により、吊受材100に右方へ弾性力を付与する。すなわち、第四実施形態に係る取付金物200cにおいては、上述の如く構成された仮止め部250cにより、吊受材100に対する仮止めを行うことができる。なお第四実施形態に係る取付金物200cの構成は、上述の如き構成に限定されず、例えば図9(a)に示すように前後方向に長い1つの突起部252cが設けられてもよい。
【0072】
以下では、図8(c)及び(d)を用いて、第五実施形態に係る取付金物200dの構成について詳細に説明する。
【0073】
なお第五実施形態に係る取付金物200dは、仮止め部250dの構成が、第一実施形態に係る取付金物200と異なる。そこで以下では、仮止め部250dの構成について説明する。仮止め部250dは、本体部251d及び突起部252dを具備する。
【0074】
本体部251dは、第一実施形態と同様に構成される。突起部252dは、第四実施形態に係る突起部252cの先端側(下端側)を、さらに略下方へ向けて折り曲げて形成される。こうして、突起部252dは、本体部251dに対して弾性変形可能に構成される。また、突起部252dは、正面視において先端側近傍の直線部分により吊受材100のウェブ113と当接できる。
【0075】
こうして、仮止め部250dは、本体部251dの弾性変形に加え、突起部252dの弾性変形により、吊受材100に右方へ弾性力を付与する。すなわち、第五実施形態に係る取付金物200dにおいては、上述の如く構成された仮止め部250dにより、吊受材100に対する仮止めを行うことができる。また正面視において直線状の部分により吊受材100のウェブ113と当接できるため、取付金物200dを吊受材100に仮止めした後、当該吊受材100に対する取付金物200dの姿勢(取り付け角度)を維持し易くできる。なお第五実施形態に係る取付金物200d構成は、上述の如き構成に限定されず、例えば図9(b)に示すように前後方向に長い1つの突起部252dが設けられてもよい。
【0076】
以下では、図10を用いて、第六実施形態に係る取付金物200eの構成について詳細に説明する。
【0077】
なお第六実施形態に係る取付金物200eは、仮止め部250を有しない点で、第一実施形態に係る取付金物200と異なる。
【0078】
取付金物200eにおいては、本体部251を有しないため、第二固定部230が仮止め部の役割を兼用し、吊受材100に対する仮止めを行うように構成される。具体的には、吊受材100に取付金物200eを取り付ける取付作業を行う場合、作業者は、図10に示した状態において、ビスBを第二ビス孔231に挿通する。この際、作業者は、例えばビスBを意図的に緩くねじ込むことにより仮止めを行う。こうして、ビスBを用いた仮止めにより取付金物200eを吊受材100に対して適切な姿勢となるように支えると、次に作業者は所定の工具を用いて本締めを行う。
【0079】
このように、第六実施形態に係る取付金物200eにおいては、第二固定部230を用いて吊受材100に対する仮止めを行うことができる。
【0080】
以下では、図11(a)を用いて、第七実施形態に係る取付金物200hの構成について詳細に説明する。
【0081】
なお第七実施形態に係る取付金物200hは、仮止め部250が突起部を有する代わりに、マグネットシート255を有する点で、第一実施形態に係る取付金物200と異なる。マグネットシート255は、シート状のマグネットである。マグネットシート255は、仮止め部250の本体部251の右側面に貼付される。このような構成によれば、取付金物200hは、図11(a)に示す状態になると、マグネットシート255を介して本体部251が吊受材100に吸着されるため、当該吊受材100に対する仮止めが行われた状態となる。
【0082】
以下では、図11(b)を用いて、第八実施形態に係る取付金物200iの構成について詳細に説明する。
【0083】
なお第八実施形態に係る取付金物200iは、仮止め部250が設けられず、かつ、第二固定部230にマグネットシート255を有する点で、第一実施形態に係る取付金物200と異なる。マグネットシート255は、第二固定部230の上面に貼付される。このような構成によれば、取付金物200iは、図11(b)に示す状態になると、マグネットシート255を介して第二固定部230が吊受材100に吸着されるため、当該吊受材100に対する仮止めが行われた状態となる。
【0084】
なお第一実施形態から第八実施形態に係る各取付金物は、1本のC形鋼により構成される吊受材100だけでなく、例えば図12に示すように、2本のC形鋼により構成される吊受材100aにも採用することができる。
【0085】
図12に示す吊受材100aは、2本の(右側と左側の)C形鋼が互いのウェブ113を背中合わせとなるように配置される。吊受材100aは、綴材130及び締結部材140を具備する。綴材130は、2本のC形鋼のウェブ113の間に設けられる。締結部材140は、ボルト及びナット等から構成される。締結部材140は、2本のC形鋼のウェブ113及び綴材130を左右方向に貫通すると共に、これらの部材を互いに締結する。このような吊受材100aを用いることにより、1本のC形鋼により構成される吊受材100の場合と比べて、天井構造1をより強固なものとすることができる。
【0086】
例えば図12に示すように、第一実施形態に係る取付金物200が上述の如き吊受材100aに適用された場合、仮止め部250は、2本のC形鋼のウェブ113と綴材130とにより区画された空間Sに、下方から挿入される。そして、仮止め部250は、空間S内において、吊受材100のうち右側のC形鋼に対して右方へ弾性力を付与する。このように、取付金物200は、2本のC形鋼により構成される吊受材100aであっても、1本のC形鋼により構成される吊受材100の場合と同様に、仮止めを行うことができる。このように、取付金物200は、1本のC形鋼(吊受材100)だけでなく、2本のC形鋼(吊受材100a)に対しても取り付けることができるため、汎用性が広がり、作業性の向上を図ることができる。
【0087】
なお、吊受材が2本のC形鋼により構成される場合(吊受材100aである場合)、取付金物の仮止め部の構成は適宜変更できる。
【0088】
以下では、図13(a)及び(b)を用いて、第九実施形態に係る取付金物200fの構成について説明する。
【0089】
なお第九実施形態に係る取付金物200fは、仮止め部250fの構成が、第一実施形態に係る取付金物200と異なる。そこで以下では、仮止め部250fの構成について説明する。仮止め部250fは、本体部251f及び突起部252fを具備する。
【0090】
本体部251fは、第二実施形態と同様に、切欠部253を有する。突起部252fは、本体部251fの前側部分及び後側部分から左方へ突出した部分である。すなわち、突起部252fは、第二実施形態に係る突起部252aが左右反転した形状に形成される(図6(a)参照)。こうして、吊受材100aに取付金物200fを取り付ける取付作業が行われる場合、取付金物200fの仮止め部250f(本体部251f)は、吊受材100aのうち左側のC形鋼のウェブ113により右方へ押し狭められながら、当該ウェブ113の下部と対向する位置に配置される。これにより、突起部252fは、正面視において角状の部分(頂角)により、左側のC形鋼とウェブ113と当接できる。
【0091】
こうして、仮止め部250fは、本体部251f(前側部分及び後側部分それぞれ)の弾性変形により、突起部252fを介して吊受材100に左方へ弾性力を付与する。すなわち、第九実施形態に係る取付金物200fにおいては、上述の如く構成された仮止め部250fにより、当該取付金物200fが固定される側(右側)のC形鋼とは、異なる側(左側)のC形鋼を用いて仮止めを行うことができる。なお第九実施形態に係る取付金物200fの構成は、上述の如き構成に限定されず、例えば図14(a)に示すように切欠部253を有さずに(すなわち、略矩形状に形成された本体部251fに)前後方向に亘るような1つの突起部252fが設けられてもよい。
【0092】
以下では、図13(c)及び(d)を用いて、第十実施形態に係る取付金物200gの構成について説明する。
【0093】
なお第十実施形態に係る取付金物200gは、仮止め部250gの構成が、第一実施形態に係る取付金物200と異なる。そこで以下では、仮止め部250gの構成について説明する。仮止め部250gは、本体部251g、第一突起部252g及び第二突起部254gを具備する。
【0094】
本体部251gは、第二実施形態と同様に、切欠部253を有する。第一突起部252gは、本体部251gの後側部分に形成される。第一突起部252gは、第九実施形態における後側部分の突起部252fと同様に構成される(図13(b)参照)。また第二突起部254gは、本体部251gの前側部分に形成される。第二突起部254gは、第二実施形態における前側部分の突起部252aと同様に構成される(図6(b)参照)。こうして、第一突起部252g及び第二突起部254gは、左右方向において互いに反対方向へ向けて突出するように形成される。これにより、第一突起部252gは、吊受材100aのうち、左側のC形鋼のウェブ113と当接でき、一方、第二突起部254gは、右側のC形鋼のウェブ113と当接できる。
【0095】
こうして、仮止め部250gは、本体部251g(前側部分及び後側部分それぞれ)の弾性変形により、第一突起部252gを介して吊受材100aに左方へ弾性力を付与すると共に、第二突起部254gを介して吊受材100aに右方へ弾性力を付与する。すなわち、第十実施形態に係る取付金物200gにおいては、上述の如く構成された仮止め部250gにより、吊受材100aを構成する2本のC形鋼の両方を用いて仮止めを行うことができる。なお第十実施形態に係る取付金物200gの構成は、上述の如き構成に限定されず、例えば図14(b)に示すように切欠部253を有さずに(すなわち、略矩形状に形成された本体部251gに)第一突起部252g及び第二突起部254gが設けられてもよい。
【0096】
以上の如く、本実施形態に係る取付金物(200~200g)においては、
開口部116を一側方へ向けた第一のC形鋼を含む吊受材(100、100a)に、吊りボルト10を取り付けるための取付金物であって、
前記開口部116を構成する下側リップ115に係止可能な係止部220と、
前記吊りボルト10が取り付けられる吊りボルト取付部240と、
前記吊受材(100、100a)に対する仮止めを行う仮止め部(250~250d、230、250f、250g、)と、
前記仮止め部による仮止めを行った状態で前記吊受材(100、100a)と固定可能な固定部(210、230)と、
を具備するものである。
【0097】
このような構成により、作業性の向上を図ることができる。
【0098】
また取付金物(200~200f)においては、
前記仮止め部(250~250d、250f、250g、)は、
弾性変形可能に構成される仮止め本体部(251~251d、251f、251g)を有し、
前記仮止め本体部の弾性力により前記第一の(右側の)C形鋼のウェブ113を押圧することにより仮止めを行うものである。
【0099】
このような構成により、作業者は簡単な作業により仮止めを行うことができるため、作業性の向上をより一層図ることができる。また弾性力を用いて仮止めを行うため、吊受材100(C形鋼)の断面幅による交差に対応することができる。
【0100】
また取付金物(200~200f)においては、
前記仮止め本体部は、
当該仮止め本体部から前記一側方へ向けて突出する仮止め突起部(252~252d、252f、252g及び254g)を有し、
前記仮止め突起部を介して前記ウェブを押圧する、
【0101】
このような構成により、吊受材100のウェブ113に弾性力を付与し易くできる。すなわち、作業者は簡単な作業により取付金物の仮止めを行うことができるため、作業性の向上をより一層図ることができる。
【0102】
また取付金物(200c、200d)においては、
前記仮止め突起部(252c、252d)は、
弾性変形可能に構成されるものである。
【0103】
このような構成により、仮止め本体部の弾性変形に加え、仮止め突起部の弾性変形により、吊受材100に弾性力を付与できる。すなわち、作業者は簡単な作業により取付金物の仮止めを行うことができるため、作業性の向上をより一層図ることができる。
【0104】
また、取付金物(200d)において、
前記吊受材100aは、
開口部116を前記他側方へ(左側へ)向けると共に、ウェブ113を前記第一の(右側の)C形鋼のウェブ113とを背中合わせとした第二の(左側の)C形鋼を含み、
前記仮止め部250dは、
弾性変形可能、かつ、前記第一のC形鋼及び前記第二のC形鋼の互いの前記ウェブ113の間(空間S)に挿入可能に構成される仮止め本体部(251)を有し、
前記仮止め本体部(251)の弾性力により前記第一の(右側の)C形鋼及び/又は前記第二の(左側の)C形鋼の前記ウェブ113を押圧することにより仮止めを行うものである。
【0105】
このような構成により、例えば吊受材100aを構成する2本のC形鋼の両方を用いて仮止めを行うことができ、作業性の向上を図ることができる。
【0106】
また、本実施形態に係る吊りボルト取付構造においては、
本実施形態に係る取付金物(200~200g)と、
前記吊りボルト取付金物の前記固定部(210、230)に固定された前記吊受材(100、100a)と、
前記吊りボルト取付金物の前記吊りボルト取付部240に取り付けられた前記吊りボルト10と、
を備えるものである。
【0107】
このような構成により、作業性の向上を図ることができる。また前記仮止め部(250~250d、250f、250g、)においては、吊受材(100・100a)に対して弾性力を付与した状態であるため、天井構造1を強固なものとすることができる。
【0108】
また、本実施形態に係る吊りボルト取付構造においては、
前記吊りボルト取付部240は、
底面視において前記第一の(右側の)C形鋼の前記開口部116の近傍に位置する。
【0109】
このような構成により、一般部位と同様に、吊りボルト10を、吊受材100(C形鋼)の下側リップ115の近傍へと位置させることができる。これによれば、野縁受け30等の天井の下地材を通りよく設置できる。
【0110】
また、本実施形態に係る吊りボルト取付構造においては、
前記吊りボルト取付部240は、
前記吊りボルト10が挿通される貫通孔241を有し、当該貫通孔241が前記係止部220と低面視において少なくとも一部が重複するように配置されることにより、前記第一の(右側の)C形鋼の前記開口部116の近傍に位置するものである。
【0111】
このような構成により、吊りボルト10を、効果的に吊受材100(C形鋼)の下側リップ115の近傍へと位置させることができる。
【0112】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0113】
例えば本実施形態において、2本のC形鋼により構成される吊受材100aは、当該2本のC形鋼が、ボルト及びナット等から構成される締結部材140により締結(固定)されるものとしたが、これに限定されない。すなわち、2本のC形鋼は、当該2本のC形鋼のウェブ113の間に設けられた板状の接合部材を用いて、溶接により互いに固定することもできる。
【0114】
また各実施形態(第一から第十実施形態)や別例に係る構成は、互いに組み合わせた構成とすることができる。
【符号の説明】
【0115】
10 吊りボルト
100 吊受材
113 ウェブ
115 下側リップ
116 開口部
200 取付金物
210 第一固定部
220 係止部
230 第二固定部
240 吊りボルト取付部
250 仮止め部
図1
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