(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128814
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】建物
(51)【国際特許分類】
E04H 1/04 20060101AFI20240913BHJP
F03D 13/20 20160101ALI20240913BHJP
【FI】
E04H1/04 Z
F03D13/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038047
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】瀬口 和彦
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA22
3H178AA43
3H178BB31
3H178BB77
3H178CC22
3H178DD67X
(57)【要約】
【課題】太陽光パネルを設置し難い建物であっても、再生可能エネルギーである風力を利用して発電することができる建物を提供する。
【解決手段】ボイド10及び当該ボイド10に面する複数の住戸30を有するマンション1であって、複数の住戸30は、ボイド10側に排気するように構成された住戸30を含み、マンション1は、ボイド10内に生じる上昇気流を受けて回転可能な風車110を有し、風車110の回転によって発電可能な風力発電機100を具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイド及び当該ボイドに面する複数の住戸を有する建物であって、
前記複数の住戸は、前記ボイド側に排気するように構成された住戸を含み、
前記建物は、
前記ボイド内に生じる上昇気流を受けて回転可能な風車を有し、前記風車の回転によって発電可能な風力発電機を具備する、
建物。
【請求項2】
前記風車は、
前記ボイドの最上部に設けられる、
請求項1に記載の建物。
【請求項3】
編目状に形成され、前記風車の下方において前記ボイドを覆うように設けられた足場を具備する、
請求項2に記載の建物。
【請求項4】
地階の換気を行う換気部を具備し、
前記換気部は、
前記地階の空気を前記ボイドに排気するように構成される、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の建物。
【請求項5】
前記風車は、
平面視において前記住戸の前記ボイド側の窓と対向しない位置に設けられる、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の建物。
【請求項6】
前記住戸と前記ボイドとの間において前記ボイドを取り囲むように設けられた廊下と、
前記廊下の前記ボイドに面する位置に立設された手摺と、
を具備し、
前記手摺は、
前記廊下からの高さが1800mm以上となるように形成されている、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の建物。
【請求項7】
前記住戸と前記ボイドとの間において前記ボイドを取り囲むように設けられた廊下と、
前記廊下の前記ボイドに面する位置に立設された手摺と、
を具備し、
前記建物は複数階を有し、
前記廊下及び前記手摺は各階に設けられ、
前記手摺は、
上層階に向かうほど前記廊下からの高さが高くなるように形成されている、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能エネルギーを利用して発電可能な建物の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、再生可能エネルギーを利用して発電可能な建物の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、住宅の屋根の上に太陽光パネルが設置された電力供給システムが記載されている。当該電力供給システムにおいては、太陽電池で発電された電力や燃料電池で発電された電力を、家庭内負荷に供給することができる。
【0004】
ここで近年、ZEH-M(ゼッチマンション)が増加している。ここで、ZEH(ゼッチ)とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略であり、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅のことである。
【0005】
しかし、太陽光パネルを設置し難い建物においては、再生可能エネルギーを利用して発電することは困難であるという問題があった。例えば、高層になれば住戸数に対する屋根面積が少なくなることに加え、様々な設備機器が設置されることや風圧が強くなるため太陽光パネルを設置し難いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、太陽光パネルを設置し難い建物であっても、再生可能エネルギーを利用して発電することができる建物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、ボイド及び当該ボイドに面する複数の住戸を有する建物であって、前記複数の住戸は、前記ボイド側に排気するように構成された住戸を含み、前記建物は、前記ボイド内に生じる上昇気流を受けて回転可能な風車を有し、前記風車の回転によって発電可能な風力発電機を具備するものである。
【0010】
請求項2においては、前記風車は、前記ボイドの最上部に設けられるものである。
【0011】
請求項3においては、編目状に形成され、前記風車の下方において前記ボイドを覆うように設けられた足場を具備するものである。
【0012】
請求項4においては、地階の換気を行う換気部を具備し、前記換気部は、前記地階の空気を前記ボイドに排気するように構成されるものである。
【0013】
請求項5においては、前記風車は、平面視において前記住戸の前記ボイド側の窓と対向しない位置に設けられるものである。
【0014】
請求項6においては、前記住戸と前記ボイドとの間において前記ボイドを取り囲むように設けられた廊下と、前記廊下の前記ボイドに面する位置に立設された手摺と、を具備し、前記手摺は、前記廊下からの高さが1800mm以上となるように形成されているものである。
【0015】
請求項7においては、前記住戸と前記ボイドとの間において前記ボイドを取り囲むように設けられた廊下と、前記廊下の前記ボイドに面する位置に立設された手摺と、を具備し、前記建物は複数階を有し、前記廊下及び前記手摺は各階に設けられ、前記手摺は、上層階に向かうほど前記廊下からの高さが高くなるように形成されているものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
請求項1においては、太陽光パネルを設置し難い建物であっても、再生可能エネルギー(風力)を利用して発電することができる。
【0018】
請求項2においては、ボイド内に生じる上昇気流は上方に向かうにつれて強くなるので、風力発電機の発電量の増加を図ることができる。
【0019】
請求項3においては、風力発電機のメンテナンスを容易化できるとともに、住戸の採光を確保することができる。
【0020】
請求項4においては、ボイド内に生じる上昇気流を強くすることができるので、風力発電機の発電量の増加を図ることができる。
【0021】
請求項5においては、住戸の採光を確保することができる。
【0022】
請求項6においては、ボイド内に生じる上昇気流を強くすることができるので、風力発電機の発電量の増加を図ることができる。
【0023】
請求項7においては、ボイド内に生じる上昇気流を強くすることができるので、風力発電機の発電量の増加を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るマンションの内部を示す正面図。
【
図3】本発明の第二実施形態に係るマンションの上階部分を示す正面図。
【
図4】本発明の第三実施形態に係るマンションの内部を示す正面図。
【
図5】本発明の第四実施形態に係るマンションの上階部分を示す正面図。
【
図6】本発明の第五実施形態に係るマンションの上階部分を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
【0026】
以下では、
図1及び
図2を用いて、本発明の第一実施形態に係るマンション1について説明する。
【0027】
マンション1は、再生可能エネルギー(具体的には、風力)を利用して発電可能に構成されるものである。本実施形態においては、マンション1は、複数階を有する高層マンションである。マンション1は、主としてボイド10、通気孔11、廊下20、住戸30、屋上40、地階50、風力発電機100及び支持部200を具備する。
【0028】
図1及び
図2に示すボイド10は、意識的に設けられた構造物がない空間(吹抜け)である。ボイド10は、マンション1の平面視略中央を上下に貫くように設けられる。
【0029】
図1に示す通気孔11は、空気の通り道である。通気孔11は、マンション1の外部(屋外)とボイド10の1階部分とを連通するように、マンション1の1階部分の一部を貫通するように形成される。通気孔11は、横方向(
図1では左右方向)に延びるように形成される。
【0030】
図1及び
図2に示す廊下20は、マンション1の複数の居住者が共同で使う共用部分にある通路である。
図2に示すように、廊下20は、平面視においてボイド10を取り囲むように形成される。廊下20には、手摺21が設けられる。
【0031】
手摺21は、廊下20を通行する通行人のボイド10への落下を防いだり、通行の補助に用いられるものである。手摺21は、ガラス等で形成された壁状の部分と、当該壁状の部分の上端に設けられた横木状の部分(手で掴む部分)とによって構成される。手摺21は、廊下20のボイド10に面する位置(ボイド10側の端部)に立設される。
【0032】
図1及び
図2に示す住戸30は、マンション1の居住者の居住スペースである。住戸30は、マンション1の各階に複数設けられる。複数の住戸30は、廊下20の一部(階段やエレバータ等と面しない部分)を取り囲むように設けられる。住戸30の屋外と面する部分には、バルコニー31が設けられる。
【0033】
各住戸30には、バルコニー31側に給気口(不図示)が設けられ、廊下20側に排気口(不図示)が設けられる。これにより、各住戸30は、バルコニー31側から外気を室内に給気し、室内の空気を廊下20側に排気することにより、室内の換気を行うことができる。
【0034】
また、
図1に示すように、マンション1の最上部には屋上40が設けられ、地下には地階50が設けられる。
【0035】
このように構成されたマンション1のボイド10には、通気孔11を介して屋外の空気がボイド10に供給されている。また、ボイド10には、煙突効果により常に上昇気流が発生している。ボイド10内に生じる上昇気流は、ボイド10の上端部から屋外に排気される。また、住戸30の排気口(不図示)から廊下20側に排出された空気は、ボイド10内に生じる上昇気流に乗って外部に排出される。
【0036】
ここで、本実施形態に係るマンション1は高層マンションであるため、住戸30の数に対する屋上40の面積が比較的小さく、屋上40に太陽光パネルを設置するのが難しい。そこで、本実施形態に係るマンション1においては、ボイド10内に生じる上昇気流を利用して風力発電を行うべく、風力発電機100が設けられている。
【0037】
風力発電機100は、風力を利用して発電(風力発電)を行うものである。風力発電機100は、風車110を具備する。
【0038】
風車110は、風力を受けて回転可能に構成される。風車110は、複数の羽根によって構成される。風車110は、回転軸を上下方向に向けて設けられる。風車110は、ボイド10の最上部(屋上40に隣接する部分)に設けられる。
【0039】
風力発電機100は、図示せぬ発電機を備えており、風車110の回転運動が前記発電機に伝達されることにより、発電することができる。風車110は、1つ設けられていてもよく、複数設けられてもよい。本実施形態においては、風車110は2つ設けられる。
【0040】
風車110としては、好ましくは、集風体(ディフューザ)を備え微量の風力でも発電可能な小型の風車が用いられる。これにより、発電効率を向上しつつ、低騒音化を図ることができる。
【0041】
また、風車110は、各住戸30の採光に影響のない位置に配置される。具体的には、
図2に示すように、風車110は、平面視において、廊下20を隔てて、ボイド10側の部屋(寝室など)の窓(サッシ)と対向しない位置、例えば柱32と対向する位置に配置される。なお、風車110は、平面視において、廊下20を隔てて、メータボックスと対向する位置に配置されてもよい。
【0042】
支持部200は、風車110を支持するものである。支持部200は、鉄骨下地材(鉄骨フレーム)により形成される。支持部200は、平面視において、ボイド10の最上部の一辺と当該一辺に対向する他辺とを架け渡すように、格子状又は井桁状に形成される。支持部200は、適宜の方法により風車110と固定され、これにより当該風車110を支持することができる。
【0043】
以下、風車110(風力発電機100)及び支持部200の設置方法の一例について説明する。まず、免震ゴム(免震装置)で構成された基礎を屋上40のコンクリートに設置する。そして、当該基礎に屋上40のパラペットをまたぐ形(門型)で支持部200(井桁状に組んだ鉄骨フレーム)を上方から設置する。このように支持部200は、屋上40のコンクリートに直接固定されるのではなく、免震ゴムで構成された基礎を介して固定される。その後、風車110を支持部200に固定する。このようにして、風車110及び支持部200を設置することができる。なお、風車110の台数は、支持部200の井桁状の鉄骨フレームの長さに応じて増やすことができる。
【0044】
本実施形態におけるマンション1においては、風車110がボイド10内に設けられることにより、風車110がボイド10内に生じる上昇気流を受けることとなる。よって、風車110は、ボイド10内に生じる上昇気流によって回転することができる。したがって、風力発電機100による発電を行うことができる。風力発電機100によって発電された電力は、住戸30やマンション1の共用部分において使用することができる。
【0045】
このように、ボイド10内に生じる上昇気流を利用して風力発電を行うことにより、太陽光パネルの設置が難しい高層マンションであっても、再生可能エネルギー(風力)による発電を行うことができる。したがって、マンション1において、年間の一次エネルギー消費量の低減を図ることができる。
【0046】
また、ボイド10内に生じる上昇気流は、上層階に行くにつれて強く(風速が速く)なる。本実施形態におけるマンション1においては、風車110がボイド10の最上部に設けられているため、風車110はより強い風を受けることができる。したがって、風力発電機100による発電量の増加を図ることができる。
【0047】
また、住戸30は、バルコニー31側で給気し、廊下20側へ排気するように構成されているため、住戸30からの排気がボイド10の上昇気流に取り込まれる。よって、ボイド10内に生じる上昇気流を強くすることができる。このため、風車110はより強い風(上昇気流)を受けることができる。したがって、風力発電機100による発電量の増加を図ることができる。
【0048】
また、ボイド10において上昇気流は常に発生している。このため、風力発電機100は、屋外の風の有無によらず発電することができる。
【0049】
また、風力発電機100は夜間でも発電することができるので、蓄電池がなくても、夜間において再生可能エネルギーによる発電電力を使用することができる。このため、マンション1を災害に強いマンションとすることができる。また、夜間における購入電力の増加を抑制できるため、電力の需要供給のバランスが崩れることを抑制することができる。
【0050】
また、風車110は、平面視において、寝室などの居室の窓(サッシ)と重複しない位置に配置されているので、風車110が住戸30の採光の妨げとなるのを抑制することができる。
【0051】
以上の如く、本実施形態に係るマンション1(建物)は、
ボイド10及び当該ボイド10に面する複数の住戸30を有するマンション1であって、
前記複数の住戸30は、前記ボイド10側に排気するように構成された住戸30を含み、
前記マンション1は、
前記ボイド10内に生じる上昇気流を受けて回転可能な風車110を有し、前記風車110の回転によって発電可能な風力発電機100を具備するものである。
【0052】
このような構成により、太陽光パネルを設置し難い建物であっても、再生可能エネルギー(風力)を利用して発電することができる。
【0053】
また、前記風車110は、
前記ボイド10の最上部に設けられるものである。
【0054】
このような構成により、ボイド10内に生じる上昇気流は上方に向かうにつれて強くなるので、風力発電機100の発電量の増加を図ることができる。
【0055】
また、前記風車110は、
平面視において前記住戸30の前記ボイド10側の窓と対向しない位置に設けられるものである。
【0056】
このような構成により、住戸30の採光を確保することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0058】
例えば、本発明に係る建物はマンション1に限定されるものではなく、アパート等の他の集合住宅であってもよい。また、本発明に係る建物は、集合住宅に限定されるものではなく、デパート、ショッピングモール、学校、ビル等の他の建物であってもよい。この場合、本発明における「住戸」は、必ずしも人が住んでいる必要はなく、例えばテナント、教室、オフィス等であってもよい。
【0059】
また、本実施形態においては、全ての住戸30がバルコニー31側で給気しボイド10側に排気するものとしたが、少なくとも一部の住戸30がバルコニー31側で給気しボイド10側に排気するものであればよい。但し、ボイド10内に生じる上昇気流を強くするという観点において、できるだけ多くの住戸30がバルコニー31側で給気しボイド10側に排気するものであることが好ましい。
【0060】
以下、
図3を用いて、本発明の第二実施形態に係るマンション2について説明する。
【0061】
第二実施形態に係るマンション2が第一実施形態に係るマンション1と異なる点は、さらに足場60を具備する点である。第二実施形態に係るマンション2と第一実施形態に係るマンション1とはこの点を除いて同一であるので、以下では、第一実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
足場60は、風力発電機100のメンテナンス(修理や清掃など)を行う作業者が立てるようにするための構造物である。足場60は、編目状に形成され、例えば金網によって形成される。足場60の編目の間隔は、作業者が落下しない大きさとされる。足場60は、風車110の下方において、ボイド10の最上部(屋上40に隣接する部分)を覆うように設けられる。
【0063】
このように形成された足場60が設けられることにより、作業者は、足場60に立って風力発電機100のメンテナンス作業を行うことができるため、メンテナンス作業をし易くすることができる。
【0064】
また、足場60は編目状に形成されているため、風の通り抜けが可能となる。よって、ボイド10内に生じる上昇気流を屋外に排出することできる。また、住戸30の採光を確保することができる。
【0065】
以上の如く、第二実施形態に係るマンション2(建物)は、
編目状に形成され、前記風車110の下方において前記ボイド10を覆うように設けられた足場60を具備するものである。
【0066】
このような構成により、風力発電機100のメンテナンスを容易化できるとともに、住戸30の採光を確保することができる。
【0067】
以下、
図4を用いて、本発明の第三実施形態に係るマンション3について説明する。
【0068】
第三実施形態に係るマンション3が第一実施形態に係るマンション1と異なる点は、さらに換気塔70を具備する点である。第三実施形態に係るマンション3と第一実施形態に係るマンション1とはこの点を除いて同一であるので、以下では、第一実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0069】
換気塔70は、地階50の換気を行うものである。換気塔70は、ボイド10の最下部に設けられる。換気塔70は、地階50内の空気をボイド10に排気するように形成される。
【0070】
これにより、換気塔70からの排気がボイド10の上昇気流に取り込まれる。よって、ボイド10内に生じる上昇気流を強くすることができる。このため、風車110はより強い風(上昇気流)を受けることができる。したがって、風力発電機100による発電量の増加を図ることができる。
【0071】
以上の如く、第三実施形態に係るマンション3(建物)は、
地階50の換気を行う換気塔70(換気部)を具備し、
前記換気塔70は、
前記地階50内の空気を前記ボイド10に排気するように構成されるものである。
【0072】
このような構成により、ボイド10内に生じる上昇気流を強くすることができるので、風力発電機100の発電量の増加を図ることができる。
【0073】
以下、
図5を用いて、本発明の第四実施形態に係るマンション4について説明する。
【0074】
第四実施形態に係るマンション4が第一実施形態に係るマンション1と異なる点は、手摺21の高さが規定されている点である。第四実施形態に係るマンション4と第一実施形態に係るマンション1とはこの点を除いて同一であるので、以下では、第一実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0075】
廊下20の手摺21は、その高さhが人の身長よりも高くなるように形成され、より詳細には高さhが1800mm以上となるように形成される。ここで、高さhは、廊下20の床面から手摺21の上端までの上下方向の長さを示している。
【0076】
このように手摺21の高さhを比較的高くすることにより、手摺21と手摺21が設けられた階の天井との隙間を小さくすることができる。これにより、ボイド10内に生じる上昇気流が廊下20に逃げるのを抑制することができる。また、ボイド10の通気路の凹凸を少なくすることができる。したがって、ボイド10内に生じる上昇気流を強くすることができ、ひいては、風力発電機100による発電量の増加を図ることができる。また、廊下20の通行人が受ける風の影響を抑制することができる。
【0077】
なお、手摺21の高さhは全て同じ高さである必要はなく、互いに異なる高さであってもよい。
【0078】
以上の如く、第四実施形態に係るマンション4(建物)は、
前記住戸30と前記ボイド10との間において前記ボイド10を取り囲むように設けられた廊下20と、
前記廊下20の前記ボイド10に面する位置に立設された手摺21と、
を具備し、
前記手摺21は、
前記廊下20からの高さhが1800mm以上となるように形成されているものである。
【0079】
このような構成により、ボイド10内に生じる上昇気流を強くすることができるので、風力発電機100の発電量の増加を図ることができる。
【0080】
以下、
図6を用いて、本発明の第五実施形態に係るマンション5について説明する。
【0081】
第五実施形態に係るマンション5が第一実施形態に係るマンション1と異なる点は、手摺21の高さが規定されている点である。第五実施形態に係るマンション5と第一実施形態に係るマンション1とはこの点を除いて同一であるので、以下では、第一実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0082】
図6に示すように、手摺21は、上層階に向かうほど廊下20からの高さhが高くなるように形成されている。これにより、ボイド10内に生じる上昇気流が比較的強い上層階において、ボイド10内に生じる上昇気流が廊下20に逃げるのを抑制することができ、かつ、ボイド10の通気路の凹凸を少なくすることができる。したがって、ボイド10内に生じる上昇気流を強くすることができ、ひいては、風力発電機100による発電量の増加を図ることができる。また、ボイド10内に生じる上昇気流が比較的強い上層階において、廊下20の通行人が受ける風の影響を抑制することができる。また、上層階からの廊下20の通行人の転落を抑制し、安全性の確保を図ることができる。
【0083】
以上の如く、第五実施形態に係るマンション5(建物)は、
前記住戸30と前記ボイド10との間において前記ボイド10を取り囲むように設けられた廊下20と、
前記廊下20の前記ボイド10に面する位置に立設された手摺21と、
を具備し、
前記マンション1は複数階を有し、
前記廊下20及び前記手摺21は各階に設けられ、
前記手摺21は、
上層階に向かうほど前記廊下20からの高さhが高くなるように形成されているものである。
【0084】
このような構成により、ボイド10内に生じる上昇気流を強くすることができるので、風力発電機100の発電量の増加を図ることができる。
【0085】
以上、本発明の第五実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0086】
例えば、第五実施形態においては、手摺21は上層階に行くほど高さhが高くなるように形成されているものであるが、必ずしも全ての手摺21が上階の高さh>下階の高さhである必要はなく、上階の高さh=下階の高さhである部分を含んでいてもよい。例えば1階の手摺21と2階の手摺21が互いに同じ高さであり、3階の手摺21と4階の手摺21が互いに同じ高さであって、かつ、1階及び2階の手摺21よりも高く形成されていてもよい。すなわち、低層階、中層階及び高層階ごとに、手摺21の高さhを異ならせてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1、2、3、4、5 マンション
10 ボイド
20 廊下
21 手摺
30 住戸
50 地階
60 足場
70 換気塔
100 風力発電機
110 風車