IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 王子ホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-吸収性物品 図1
  • 特開-吸収性物品 図2
  • 特開-吸収性物品 図3
  • 特開-吸収性物品 図4
  • 特開-吸収性物品 図5
  • 特開-吸収性物品 図6
  • 特開-吸収性物品 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128832
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/56 20060101AFI20240913BHJP
   A61F 13/62 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
A61F13/56 210
A61F13/56 213
A61F13/56 211
A61F13/62 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038078
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金田 悠太郎
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200CA02
3B200CA07
3B200DE01
3B200DE06
3B200DE07
3B200DE11
3B200DE14
3B200DE16
3B200EA09
(57)【要約】
【課題】適切な装着が可能な吸収性物品を提供する。
【解決手段】長手方向に沿った長さと、長手方向に直交する幅方向に沿った長さと、着用者の腹部に対向する前身頃領域と、着用者の背部に対向する後身頃領域と、前身頃領域及び後身頃領域の間に位置し、吸収体が配置される股下領域と、後身頃領域の幅方向端部から突出し、その肌面側に面ファスナのフックテープが接合されたフックキャリアと、前身頃領域の非肌面側に接合された、フックテープを繰り返し係合可能な凹部材またはループ部材を備えるフロントパッチと、フックキャリアの肌面側に接合され、幅方向の外側に配置された、中心部よりもフロントパッチとの係合力が弱い弱係合領域と、弱係合領域の幅方向の外側に配置された、フックキャリアと接合されていない非接合領域と、を、有する、フックテープと、を、備える、吸収性物品。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿った長さと、前記長手方向に直交する幅方向に沿った長さと、着用者の腹部に対向する前身頃領域と、前記着用者の背部に対向する後身頃領域と、前記前身頃領域及び前記後身頃領域の間に位置し、吸収体が配置される股下領域と、
前記後身頃領域の幅方向端部から突出し、その肌面側に面ファスナのフックテープが接合されたフックキャリアと、
前記前身頃領域の非肌面側に接合された、前記フックテープを繰り返し係合可能な凹部材またはループ部材を備えるフロントパッチと、
前記フックキャリアの肌面側に接合され、前記幅方向の外側に配置された、中心部よりも前記フロントパッチとの係合力が弱い弱係合領域と、
前記弱係合領域の前記幅方向の外側に配置された、前記フックキャリアと接合されていない非接合領域と、を、有する、前記フックテープと、
を、備える、
吸収性物品。
【請求項2】
前記非接合領域の肌面側は、前記弱係合領域よりも、前記フロントパッチとの係合力が強い、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記非接合領域は、前記フックテープの幅方向外側に配置されている、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記非接合領域は、前記フックテープの幅方向内側に配置されている、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記非接合領域は、前記フックテープの幅方向両側に配置され、
前記非接合領域は、自然状態において前記フックテープの中央部よりも肌面側に位置する、
請求項1~4のうちいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記弱係合領域には、前記フロントパッチと係合しにくい領域の中に、前記フロントパッチとの係合力を有する係合スポットが離間して複数配置されている、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記係合スポットの直径は、15mm以上であり、互いに隣接する前記係合スポット同士の間の距離は、2mm以上である、
請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記弱係合領域は、前記面ファスナの係合部が潰れることで形成されている、
請求項6または7に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記フックキャリアと前記フックテープは、接着剤により接合して接合部を形成し、
前記接合部の非肌面側には、防滑加工がなされている、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記防滑加工は、接合部に塗布され、前記フックキャリアを透過した前記接着剤によりなされている、
請求項9に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記フロントパッチの前記幅方向の外側には、前記長手方向に延在する屈曲部が付加されている、
請求項1に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品の一例として、テープ型のおむつが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-068464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テープ型のおむつは、後身頃領域に配置されたファスニングテープを前身頃領域に配置されたフロントパッチに係合させることで着用を行う。ファスニングテープは、着用者または介助者が企図した場合には、フロントパッチから容易に剥離可能であることが望ましいが、着用中に想定外の外力が加わってもフロントパッチから完全に剥離しない必要もある。
【0005】
本発明は、適切な装着が可能な吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る吸収性物品は、長手方向に沿った長さと、前記長手方向に直交する幅方向に沿った長さと、着用者の腹部に対向する前身頃領域と、前記着用者の背部に対向する後身頃領域と、前記前身頃領域及び前記後身頃領域の間に位置し、吸収体が配置される股下領域と、前記後身頃領域の幅方向端部から突出し、その肌面側に面ファスナのフックテープが接合されたフックキャリアと、前記前身頃領域の非肌面側に接合された、前記フックテープを繰り返し係合可能な凹部材またはループ部材を備えるフロントパッチと、前記フックキャリアの肌面側に接合され、前記幅方向の外側に配置された、中心部よりも前記フロントパッチとの係合力が弱い弱係合領域と、前記弱係合領域の前記幅方向の外側に配置された、前記フックキャリアと接合されていない非接合領域と、を、有する、前記フックテープと、を、備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、適切な装着が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るおむつの斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るおむつの分解斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る非着用状態のおむつを、長手方向の中心を幅方向に沿って切断した場合の断面図である。
図4図4は、実施形態に係る伸長した状態のおむつを肌面側から見た平面図である。
図5図5は、フックキャリアの拡大図である。
図6図6は、フックキャリアを非肌面側から見た図である。
図7図7は、屈曲部を設けたフロントパッチを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施形態の構成に限定されるものではない。
【0010】
<実施形態>
本実施形態では、テープ型使い捨ておむつ(本願でいう「吸収性物品」の一例であり、以下、単に「おむつ」という)について、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃(長手方向の一側)と後身頃(長手方向の他側)との間(長手方向の中央)には、着用者の股下に配置(股間に対向して配置)される股下部が位置する。また、おむつが着用者に着用された状態(以下、「着用状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(着用状態で内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(着用状態で外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。そのほか、厚み方向から視ることを平面視とする。おむつは、着用者の前後方向に対応する長手方向に沿った長さと、長手方向に直交する幅方向に沿った長さとを有し、着用者の股下に着用される。また、本願で用いる方向に関する用語は、おむつの着用状態において着用者の前後左右に一致する方向を意味するものとする。例えば、本願で左右方向という場合、おむつ着用状態において着用者の左右に一致する方向を意味する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るおむつの斜視図である。本実施形態に係るおむつ1は、成人用(介護用)である。おむつ1は、着用状態において着用者の陰部を覆う股下に対応する部位である股下領域1Bと、股下領域1Bの前側に位置し、着用者の腹部の腰回りに対応する部位である前身頃領域1Fと、股下領域1Bの後側に位置し、着用者の背部の腰回りに対応する部位である後身頃領域1Rとを有する。後身頃領域1Rの左右両側の縁には、着用者の肌面側に密集した小型のフック部を有し、前身頃領域1Fに設けられるフロントパッチ2Fの非肌面側に密集するように配置されたループ部材にフック部を係合させることで繰り返し貼着可能なフックテープを有する面ファスナである、フックキャリア2L1,2L2,2R1,2R2が設けられている。前身頃領域1Fが着用者の腹側に配置され、後身頃領域1Rが着用者の背側に配置された状態でフックキャリア2L1,2L2,2R1,2R2に設けられたフックテープがフロントパッチ2Fに貼着されると、おむつ1は、着用者の腹囲と大腿部を取り巻く状態で着用者の身体に固定される。おむつ1がこのような形態で着用者の身体に固定されるので、着用者はおむつ1を着用した状態で体位を自由に変えることができる。また、フックキャリア2L1,2L2,2R1,2R2の非肌面側は、フックテープと係合可能であってよい。
【0012】
フックキャリア2L1,2L2,2R1,2R2は、未使用状態において幅方向内側に折り畳まれていてよい。フックキャリア2L1,2L2,2R1,2R2が折り畳まれてることで、フックテープ部分はおむつ1の外部に露出しない。フックテープ部分には樹脂で形成された微小な鍵状構造が設けられているが、未使用状態においてフックキャリア2L1,2L2,2R1,2R2を折り畳むことで、当該鍵状構造が想定外の損傷を受けてフロントパッチ2Fと係合しにくくなるのを防ぐことができる。
【0013】
おむつ1には、液体を吸収して保持することができる吸収体6が主に股下領域1B付近を中心に配置されている。また、おむつ1には、おむつ1と着用者の肌との間に液体の流出経路となる隙間が形成されるのを抑制するべく、着用者の脚周り部(大腿部)に沿う部位にレグギャザー3AL,3ARが設けられ、レグギャザー3AL,3ARよりもおむつ1の幅方向内側に立体ギャザー3BL,3BRが設けられ、着用者の腹囲に沿う部位にウェストギャザー3Rが設けられている。レグギャザー3AL,3AR、立体ギャザー3BL,3BR及びウェストギャザー3Rは、弾性部材の弾性力で着用者の肌に密着する。よ
って、非着用者から排出される排出液は、おむつ1から漏出することなく吸収体6に吸収される。なお、弾性部材としては糸状や帯状のゴム等を適宜選択できる。
【0014】
図2は、おむつ1の分解斜視図である。また、図3は、おむつ1を、長手方向の中心を幅方向に沿って切断した場合の断面図である。図4は、伸長した状態のおむつ1を肌面側から見た平面図である。おむつ1は、着用状態において外表面を形成するカバーシート4を有する。カバーシート4は、長辺に相当する部位に括れ4KL,4KRを設けた略長方形の外観を有するシート状の部材であり、おむつ1の外装面を形成する。括れ4KL,4KRは、着用者の大腿部が位置する部位(図4に示す脚周り部10L,10R)に設けられる。カバーシート4は、後述するバックシート5の補強や手触りの向上のために設けられ、例えば、排出物の漏れを抑制するために、液不透過性の熱可塑性樹脂からなる不織布をその材料として用いることができる。液不透過性の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等が例示できる。カバーシート4は、単層構造に限らず、インナーカバーシートおよびアウターカバーシートを有する多層構造であってもよい。
【0015】
そして、おむつ1は、カバーシート4の肌面側において順に積層されるバックシート5(非肌面側シート)、吸収体6、トップシート7(「肌面部」)を有する。バックシート5は、カバーシート4と同様の平面形状を有する。バックシート5は、長辺に相当する部位に括れ5KL,5KRを設けた略長方形の外観を有するシート状の部材であり、カバーシート4の肌面側に配置される。括れ5KL,5KRは、着用者の大腿部が位置する部位(図4に示す脚周り部10L,10R)に設けられる。トップシート7は、略長方形の外観を有するシート状の部材であり、吸収体6は略砂時計形状の外観を有するマット状の部材である。バックシート5、吸収体6、トップシート7は、長手方向がカバーシート4の長手方向と一致する状態でカバーシート4に順に積層されている。バックシート5は、カバーシート4と同様に、排出液の漏れを抑制するために液不透過性の熱可塑性樹脂を材料として形成されたシートである。バックシート5は、着用状態での蒸れを抑えるため、透湿性を併せもつ材料で構成されることが好ましい。また、トップシート7は、吸収体6の吸水面を被覆するように着用者の肌面側に配置される、シート状の部材である。このトップシート7は、その一部又は全部において透水性を有する。そのため、おむつ1の着用状態において、着用者が排出した排出液は、着用者の肌に接触し得るトップシート7を通って吸収体6に進入し、そこで吸収される。例えば、織布、不織布、多孔質フィルムがトップシート7の材料として用いられる。なお、トップシート7は親水性を有していてもよい。なお、シート等の接合には、ホットメルト接着剤による接着、超音波融着などが含まれる。
【0016】
バックシート5、吸収体6、トップシート7は、何れも前身頃領域1Fから後身頃領域1Rにまで延在する。よって、バックシート5と吸収体6とトップシート7が積層されているカバーシート4で着用者の陰部を覆うと、バックシート5と吸収体6とトップシート7の各長手方向の両端部は、着用者の腹側と背側に位置する状態となる。すなわち、着用者の陰部は、着用者の腹側から背側まで吸収体6に覆われる状態となる。したがって、着用者が仰臥位を取っている場合でも、伏臥位を取っている場合でも、排出液はトップシート7を介して吸収体6に接触することになる。
【0017】
また、おむつ1は、上述したレグギャザー3AL,3ARを形成するための弾性部材4SL,4SRがカバーシート4とバックシート5の間におむつ1の長手方向に伸縮するように設けられる。弾性部材4SL,4SRは、おむつ1において設計上要求される弾性力(収縮力)などに応じて決定された適宜の本数(本実施形態では、3本)で設けられる。なお、図4に示されるように、レグギャザー3AL,3ARは、股下領域1Bの幅方向の両端部の各々において、おむつ1において着用者の脚周に沿う部位である脚周り部10L
,10Rを含んで配置されている。脚周り部10L,10Rは、股下領域1Bにおいて幅方向の両端部の各々に配置され、弾性部材4SL,4SRは、長手方向に延在するように伸長状態で脚周り部10L,10Rに接着されて、脚周り部10L,10Rを長手方向に伸縮させる。この弾性部材4SL,4SRの伸縮領域が、レグギャザー3AL,3ARとなる。
【0018】
また、おむつ1は、細長い帯状のサイドシート8L,8Rを有する。サイドシート8L,8Rは、トップシート7の長辺の部分に設けられる液不透過性のシートである。サイドシート8L,8Rは、おむつ1の幅方向の中心よりも幅方向の外側に配置されている。サイドシート8L,8Rには、カバーシート4と同様、着用者の大腿部が位置する部位(図4に示す脚周り部10L,10R)に括れ8KL,8KRが設けられる。そして、サイドシート8L,8Rには立体ギャザー3BL,3BRを形成するための弾性部材8EL,8ERが長手方向に沿って、伸長状態で配置されている。おむつ1の着用状態において、サイドシート8L,8Rは、弾性部材8EL,8ERの収縮力で長手方向に引き寄せられて肌面側にトップシート7から立ち上がり、排出液の幅方向外側への漏洩を防ぐ防漏壁である立体ギャザー3BL,3BRとなる。
【0019】
なお、カバーシート4には、おむつ1と着用者の腹囲との間に隙間が形成されるのを防ぐ弾性部材4Cが弾性部材4SL,4SRよりもおむつ1の幅方向内側に設けられている。弾性部材4Cは、長手方向の両端部側で幅方向の外側に延在する曲線状に配置されている。弾性部材4Cは、おむつ1において設計上要求される弾性力(収縮力)などに応じて設けられる。
【0020】
また、上述したウェストギャザー3Rを形成するための弾性部材9ERは、吸収体6の端部よりも更に背側の位置において、バックシート5とトップシート7との間に設けられる。弾性部材9ERは、伸縮方向となる長手方向がおむつ1の左右方向となる向きでバックシート5とトップシート7の間に設けられる。よって、弾性部材9ERの左右両側に設けられるテープであるフックキャリア2L1,2L2,2R1,2R2に設けられたフックテープが、着用者の腹側においてフロントパッチ2Fに貼着されると、弾性部材9ERは、収縮力を発揮しておむつ1を着用者に密着させ、おむつ1と着用者の腹囲との間に隙間が形成されるのを防ぐ。
【0021】
吸収体6は、吸収コア6Cと、吸収コア6Cを包むコアラップシート6Wとを有している。本実施形態では、吸収コア6Cは、吸収マットを複数積層して構成されている。本実施形態では、吸収コア6Cは、肌面側に配置された上層吸収マット6Aと、非肌面側に配置された下層吸収マット6Bを有している。上層吸収マット6Aは、着用状態で着用者の肌面側に位置する吸収マットであり、平面視すると股下領域1Bに括れを有する砂時計型である。上層吸収マット6Aは、長手方向端部付近では、吸収体6の幅方向端部付近にまで延在している。これに対して、下層吸収マット6Bは、着用状態で着用者の非肌面側に位置する吸収マットであり、平面視すると矩形である。下層吸収マット6Bは、吸収体6の幅方向の中央部を中心に配置されており、その全幅は上層吸収マット6Aの括れ部分以下である。すなわち、下層吸収マット6Bは、肌面側から平面視した場合に上層吸収マット6Aにその全てが隠れるように上層吸収マット6Aと積層されている。
【0022】
股下領域1Bは、着用者の両足に挟まれる状態になるので、幅方向内側に向けて圧縮圧力がかかる。一方で、前身頃領域1Fや後身頃領域1Rにおいては、着用者の体重がかかることで、吸収コア6Cの厚み方向への圧力がかかる。これらの圧力に対応するため、吸収コア6Cの股下領域1Bには括れが設けられている。更に、上層吸収マット6Aと下層吸収マット6Bを積層して股下領域1Bの吸収コア6Cを高目付けとする。これにより、股下領域1Bにおいて吸収コア6Cの幅方向内側への型崩れを防止する。また、前身頃領
域1Fや後身頃領域1Rにおいては、吸収コア6Cの幅を広げることで体重がかかる面積を増やして厚み方向への型崩れを防止する。このため、吸収コア6Cを略砂時計型とすることが好適である。
【0023】
吸収コア6Cは、一例としては、パルプ繊維、レーヨン繊維、またはコットン繊維のようなセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレート等の合成繊維に親水化処理を施した短繊維の隙間に、水を吸収し保持することのできる架橋構造を持つ親水性ポリマーであるSAP(高吸収性重合体:Super
Absorbent Polymer)等の粒状の吸収性樹脂を保持させた構造を有する。よって、吸収コア6Cでは、液体を吸収する前後の吸収性樹脂の体積変動は、基本的には吸収性樹脂を隙間に保持する短繊維内で行われることになる。したがって、吸収コア6C全体を俯瞰してみると、液体を吸収した吸収コア6Cの厚みの膨張率は、吸収性樹脂自体の膨張率ほど大きくはないと言える。
【0024】
本実施形態のSAP粒子とは、SAPを含む樹脂組成物を粒状としたものを指す。ここで言う「SAPを含む樹脂組成物」とは、SAPのみからなる組成物、SAPを主成分とし、これに吸水性に悪影響を及ぼさない程度に他の物質が含まれた組成物、の双方を包含する概念である。「他の物質」としては、添加剤(粒子表面を疎水化する目的で添加される表面改質剤等)、SAPの合成時に残存した未反応のモノマー等を挙げることができる。
【0025】
コアラップシート6Wは、薄い液透過性のシートであり、吸収コア6Cをコアラップシート6Wで包むことにより、上述の吸収コア6CのSAPが他の構造に混入しにくくなる。また、吸収コア6Cの型崩れが抑制される。コアラップシート6Wは、パルプ繊維で形成することができ、一例としてはティッシュペーパーを用いることができる。なお、吸収体6はバックシート5とトップシート7に包まれており、これらのシートによっても型崩れを抑制できるため、コアラップシート6Wを設けない形態としてもよい。
【0026】
また、サイドシート8L,8Rと弾性部材8EL,8ERとで形成される立体ギャザー3BL,3BRは、トップシート7の幅方向の両端に沿って配置され、おむつ1の長手方向に延在する。立体ギャザー3BL,3BRは、トップシート7の肌面側に接合された接合部30L,30Rと、接合部30L,30Rから肌面側に起立する起立部31L,31Rと、を、有する。接合部30L,30Rは、サイドシート8L,8Rのうちトップシート7とトップシート7の外側でバックシート5やカバーシート4に接合された部位である。これらの接合にはホットメルト接着剤が用いられる。起立部31L,31Rは、接合部30L,30Rよりもおむつ1の幅方向内側に位置し、おむつ1の着用状態において、弾性部材8EL,8ERの収縮力によって肌面側に起立する部位である。接合部30L,30Rと起立部31L,31Rの境界が、トップシート7と接続し、起立部31L,31Rの起立起点となる起立線32L,32Rとなる。起立部31L,31Rは、接合部30L,30Rと起立部31L,31Rの境界である起立線32L,32Rを境に肌面側に起立可能である。換言すると、起立線32L,32Rを境に幅方向外側には接合部30L,30Rが設けられてトップシート7と接合されており、幅方向内側は非接着のためトップシート7から起立し、起立部31L,31Rを形成する。
【0027】
起立線32L,32Rと、当該起立線と対向する弾性部材8EL,8ERが付された立体ギャザーの自由端との距離は、立体ギャザー3BL,3BRが形成されている全域において略同一である。よって、おむつ1の着用時、立体ギャザー3BL,3BRは、前身頃領域1F、股下領域1B、後身頃領域1Rにおいて同じ高さで起立して着用者の肌面に沿う。
【0028】
サイドシート8L,8Rの起立部31L,31Rの長手方向両端部の略全域は、ホットメルト接着剤によりトップシート7と接着され、固定部33L,33Rを形成している。接合部30L,30Rは、サイドシート8L,8Rの長手方向両端部にまで延在しているため、サイドシート8L,8Rは、長手方向両端部の略全域に渡ってトップシートと接合されることになる。固定部33L,33Rは、前身頃領域1F,後身頃領域1Rに存在するが、その少なくとも一方は吸収体6とは重畳しない位置に設けられる。図4に示す形態では、固定部33L,33Rは、前身頃領域1F,後身頃領域1Rの両方において吸収体6と重畳しない。吸収体6は複数の吸収マットが積層して構成されているため厚みがあり、吸収体6と重畳している箇所に固定部33L,33Rを設けると、固定部33L,33Rに弾性部材8EL,8ERの付勢力が伝わりにくくなる。吸収体6が延在していない箇所に固定部33L,33Rを設ければ、固定部33L,33Rは、弾性部材8EL,8ERの付勢力に追従しやすくなる。
【0029】
なお、弾性部材8EL,8ERの配置領域よりも長手方向外側の自由端部分は、固定部33L,33Rにおいてもトップシート7と接着しないことができる。自由端部分がトップシート7と接着されていないことで、弾性部材8EL,8ERの付勢力は固定部33L,33Rの全域に渡って緩やかに伝わり、固定部33L,33Rの長手方向内側への弾性部材8EL,8ERの付勢力集中を防ぐことができる。
【0030】
図5は、フックキャリアの拡大図である。図5(A)は、フックキャリア2L1,2L2,2R1,2R2のうちいずれか一つの肌面側拡大図である。以下、これらを代表してフックキャリア2L1について述べるが、フックキャリア2L1,2L2,2R1,2R2は、いずれも同一の形状を有しており、その機能効果も同一である。
【0031】
フックキャリア2L1の肌面側には、ホットメルト接着剤等の接着剤が塗布されることにより、フックテープ20が接合されている。フックテープ20の肌面側には、樹脂製の微小な鍵状構造であるフック部が高密度に配置されている。おむつ1の着用時、当該フック部をフロントパッチ2Fの非肌面側に設けられたループ部材又は凹状の凹部材と係合させることにより、おむつ1を着用者の胴部に固定することができる。すなわち、フックテープ20はその肌面側が面ファスナとして機能するファスニングテープである。
【0032】
フックテープ20の中心部である幅方向中央部は、接着剤によってフックキャリア2L1の肌面側と接合している。また、フックテープ20の肌面側にはフック部が密集しており、フロントパッチ2Fと強く係合する。一方、フックテープ20の幅方向端部は、フックキャリア2L1とは接合しておらず、非接合領域23となっている。非接合領域23でも、フックテープ20の肌面側の機能は維持されており、
本図では、非接合領域23は、フックテープ20の幅方向両端部に設けられている。
【0033】
非接合領域23のフックテープ20における幅方向内側には、弱係合部21が設けられている。弱係合部21は、フックテープ20の他の部分よりもフック部の係合力が弱い弱係合領域であり、一例としては4mmの幅で長手方向に延在している。弱係合部21では、フロントパッチ2Fとの係合力は限定されている。弱係合部21のフックテープ20における幅方向内側では、フックテープ20に配置されたフック部は、フロントパッチ2Fとよく係合する。また、非接合領域23に設けられているフック部も加工を施されていないため、フロントパッチ2Fとよく係合する。
【0034】
弱係合部21には、肌面側に凸状になった係合スポット22が、離間して複数配置されている。弱係合部21では、フック部の係合力は弱くなっているが、係合スポット22では、フック部の係合力は維持されている。
【0035】
弱係合部21において、係合スポット22をまんべんなく設けることで、弱係合部21をフロントパッチ2Fに一定程度の係合力で係合させることができる。非接合領域23は係合力を有しているためフロントパッチ2Fと係合するもののその面積は狭く、強い力を受けると剥離してしまう。係合スポット22を設けることで、弱係合部21においても一定程度の係合状態を維持し、意図しない剥離がフックテープ20全体に急激に広がるのを抑制することができる。一方、着用者や介助者などがおむつ1を交換するためフックキャリア2L1を腹部から取り外す際には、弱係合部21が主に間欠的に設けられた係合スポット22のみでフロントパッチ2Fと係合していることにより、非接合領域23の係合を解除すれば弱係合部21の係合も容易に解除することができ、フックテープ20に勢いをつけて強い剥離力を与えることができるため、大きな力を用いずにフックキャリア2L1を引き離すことができる。
【0036】
本図に示す形態では係合スポット22は略円形であるが、一定の面積を有するものであればその形状は問わず、円形、多角形等その他の任意の形状としてよい。係合スポット22の直径は15mm以上であって、隣接する係合スポット22とは、2mm以上の距離で間隔を空けて配置されている。係合スポット22の大きさと配置をこのようにすることで、弱係合部21はその機能を好適に発揮する。なお、係合スポット22の大きさや係合スポット22間の距離を、弱係合部21に求められる係合度合いに応じて変化させてもよい。
【0037】
弱係合部21は、一例としては、フックテープ20の肌面側の一部を、弱係合部21と同じ幅で、係合スポット22に対応する凹エンボスが付加されたローラで加圧することで実現可能である。この場合、弱係合部21に存在するフック部はローラの圧力によって潰れ、フロントパッチ2Fとの係合力が低下する。また、弱係合部21に熱を加え、弱係合部21に存在するフック部を熱変形させることでも実現可能である。弱係合部21では、フック部の係合力を低下させることで、フックテープ20の他の部分よりも係合力を弱くしている。
【0038】
このように、フック部が均一に設けられている状態のフックテープ20に加工を行って弱係合部21を形成することで、予めフックテープ20に設けるフック部の数やフック部の形状を調整することなく、弱係合部21を容易に形成することができる。また、おむつ1の設計に基づいて、非接合領域23を弱係合とすることも容易に可能である。非接合領域23を弱係合とすると、フックキャリア2L1の剥離は非常に容易となる。このようなおむつ1は、活動量が低い着用者に使用する場合に好適である。
【0039】
おむつ1を交換する必要がある場合等、着用者または介助者がフックキャリア2L1をフロントパッチ2Fから意図的に外そうとした場合、フックテープ20がフロントパッチ2Fとあまりにも強固に係合していると、剥離に大きな力が必要になる場合がある。本実施形態に係るおむつ1では、フックテープ20の幅方向外側に弱係合部21が配置されており、当該弱係合部21におけるフロントパッチ2Fとの係合力は弱くなっている。着用者または介助者が、フックキャリア2L1が肌面側から離れるように力を加えた場合、フックテープ20の幅方向外側に配置されている弱係合部21がフロントパッチ2Fから容易に剥離することで取り外しを容易にする。
【0040】
なお、非接合領域23をおむつ1における幅方向外側のみに配置することもできる。非接合領域23をおむつ1における幅方向外側のみに配置すれば、フックキャリア2L1の幅方向外側方向に意図しない強い力が加わった場合、一例としては、フックキャリア2L1に加わる外力に対して、フックテープ20がフロントパッチ2Fから剥離するのを抑制可能である。また非接合領域23を、おむつ1における幅方向内側のみに配置することもできる。非接合領域23をおむつ1における幅方向内側のみに配置すれば、フックキャリ
ア2L1の幅方向内側方向に意図しない強い力が加わる場合、一例としては、着用者の体位の変更、また呼吸に伴う胴回り周長の変化に対して、フックテープ20がフロントパッチ2Fから剥離するのを抑制可能である。このように、非接合領域23の配置は、おむつ1の用途に応じて任意に変更されてよい。本実施形態では、非接合領域23はおむつ1における幅方向両側に配置されているため、非接合領域23をおむつ1における幅方向外側のみに配置する場合と、また非接合領域23を、おむつ1における幅方向内側のみに配置する場合の両方の効果を奏するようになっている。
【0041】
図5(B)は、フックキャリア2L1の断面図である。フックキャリア2L1に接合されているフックテープ20の幅方向両端部には、フックキャリア2L1と接合していない非接合領域23が存在している。非接合領域23の幅方向内側は、ホットメルト接着剤等の接着剤により、フックキャリア2L1と接合している。非接合領域23において、フックテープ20の幅方向端部はフックキャリア2L1から肌面側に浮き上がる。本図に示すように、フックテープ20の幅方向両端部に非接合領域23が設けられている場合には、フックテープ20の幅方向両端部がフックキャリア2L1から浮き上がる。このため、本図に示す形態では、フックテープ20は幅方向に断面視した場合、自然状態において端部が肌面側に屈曲した浅い皿状の形態を示す。
【0042】
フックテープ20の非接合領域23において、フック部は係合機能を維持している。おむつ1の着用時、フックキャリア2L1は前身頃領域に配置され、フックキャリア2L1と接合されたフックテープ20がフロントパッチ2Fと係合することにより、おむつ1の胴回りを固定する。しかし、フックキャリア2L1に予期せぬ外圧がかかることにより係合が外れ、フックテープ20がフロントパッチ2Fから剥離する虞がある。本実施形態では、フックテープ20の幅方向端部には、非接合領域23が、フック部の係合能力が維持された状態で形成されており、当該非接合領域23は肌面側に浮き上がっている。フックキャリア2L1に一時的な外圧がかかることにより、フックキャリア2L1と接合したフックテープ20がフロントパッチ2Fの表面から剥離しようとする場合、フックキャリア2L1と接合していない非接合領域23は、フックキャリア2L1に働く力の影響を直接受けずにフロントパッチ2Fと係合を続けることが可能である。また、非接合領域23は肌面側に屈曲しているため、フックテープ20の他の部分よりもフロントパッチ2Fと強固に係合する。このように、フックテープ20の幅方向端部がフックキャリア2L1の動きから直接の影響を受けず、更にフロントパッチ2Fと強固に係合するため、フックテープ20は予期せぬ外圧によってフロントパッチ2Fから容易に剥離することはない。
【0043】
また、仮に外圧によってフックテープ20の大半がフロントパッチ2Fから剥離してしまった場合でも、非接合領域23部分で係合が継続していれば、フックテープ20はその全体が下衣肌着や衣類から生じる圧力によってフロントパッチ2Fと再係合可能である。また、フックテープ20が完全に剥離してしまった場合にも、非接合領域23は肌面側に屈曲していることによりフロントパッチ2Fと係合しやすくなっており、フックテープ20は、係合した非接合領域23を起点としてフロントパッチ2Fと再係合可能である。このように、本実施形態に係るフックキャリア2L1は、予期せぬ外圧によってはフロントパッチ2Fから剥離しにくくなっている。また仮に剥離を起こした場合にも、大きな位置ずれを起こすことなくフロントパッチ2Fと再係合しやすくなっている。
【0044】
一方、着用者または介助者がフックキャリア2L1をフロントパッチ2Fから意図的に剥離させようとする場合、フックテープ20の幅方向外側は弱係合部21なのであって、フックテープ20の幅方向外側端部に配置されている非接合領域23とフロントパッチ2Fの係合を解除するだけで、フックテープ20の一定部分をさほど強い力を要さずにフロントパッチ2Fから剥離させることができる。フックテープ20の幅方向外側が剥離すれば、フックテープ20全体をフロントパッチ2Fから剥離させてフックキャリア2L1を
腹部から取り外すのは容易である。
【0045】
図6は、フックキャリアを非肌面側から見た図である。フックキャリア2L1は、肌面側でフックテープ20と接合している部分に対応する部分の非肌面側に配置された防滑部24を有している。防滑部24には、人の手に馴染みやすい防滑加工が施されているため、着用者や介助者は、フックキャリア2L1の非肌面側を把持し、フロントパッチ2Fとの着脱操作を容易に行うことができる。
【0046】
防滑加工は、フックキャリア2L1の非肌面側にホットメルト接着剤等の接着剤を薄く塗布することにより実現可能である。また、フックキャリア2L1の肌面側においてフックテープ20との間に塗布されたホットメルト接着剤等の接着剤を、フックキャリア2L1の非肌面側に浸透させることで実現してもよい。接着剤を非肌面側まで浸透させる場合、浸透しやすい接着剤を使用することで実現することもできるし、接着剤を多く塗布することで実現することもできる。
【0047】
図7は、屈曲部を設けたフロントパッチを示す図である。図7は、おむつ1の前身頃領域1F側を非肌面側から見た図である。おむつ1の前身頃領域1F側の非肌面側では、カバーシート4の非肌面側とフロントパッチ2Fが、ホットメルト接着剤等の接着剤が塗布されることにより接合している。フロントパッチ2Fの幅方向外側には、長手方向に延在する屈曲部2F1が形成されている。当該屈曲部2F1は、おむつ1が使用前に折り畳まれていることにより形成される折り畳み線に起因する。このような折り畳み線は、おむつ1が展開される際に目立たなくなるが、屈曲部2F1は、その一部が弾性部材4Cの延在領域と重畳している。折り畳み線は、重畳部分において弾性部材4Cの付勢力による弾性部材4Cの延在方向への付勢を受けるため、おむつ1が展開された状態においても屈曲が維持され、屈曲部2F1となる。
【0048】
屈曲部2F1において、フロントパッチ2FはZ字状に屈曲しており、屈曲部2F1の幅方向外側は、屈曲部2F1の幅方向内側よりも非肌面側に位置する。すなわち、本実施形態におけるフロントパッチ2Fは、屈曲部2F1の幅方向外側の両端部において、非肌面側に突出した段差を有している。当該段差部分でもフロントパッチ2Fの非肌面側のループ構造は維持されているため、フックテープ20を貼付できる。しかし、おむつ1は着用者の体格に応じ複数種用意されており、フロントパッチ2Fもフックテープ20を貼付可能な十分な面積を有しているため、通常使用状態において、フックテープ20はフロントパッチ2Fの幅方向内側に貼付される。このため、通常使用状態では、フックテープ20は屈曲部2F1の幅方向外側には貼付されない。
【0049】
しかし、着用時にフロントパッチ2Fに貼付されて固定されているフックテープ20は、着用中に外力を受けることにより貼付部位から剥離することがある。フックテープ20がフロントパッチ2Fから剥離すると、おむつ1は着用者の胴回りに固定されなくなり、ずれ落ちや排出液の漏れなどを生じることがある。本実施形態に係るおむつ1では、フロントパッチ2Fの幅方向両端部に屈曲部2F1が設けられており、当該屈曲部2F1の幅方向外側において、フロントパッチ2Fには非肌面側に突出した段差が形成されている。そして、当該段差部分はフックテープ20のフック部と係合可能である。このため、仮にフックテープ20がフロントパッチ2Fの通常使用状態における貼付位置から剥離した場合にも、剥離したフックテープ20は幅方向外側に移動する際に、屈曲部2F1の幅方向外側に形成されている段差部分と係合して停止する。
【0050】
特に、本実施形態に係るおむつ1では、フックテープ20の幅方向端部には、肌面側に屈曲した非接合領域23が配置されており、当該非接合領域23は段差部分と非常に係合しやすくなっている。このように、本実施形態に係るおむつ1では、幅方向端部に剥離し
たフックテープ20が再度係合可能な段差を設けることで、仮にフックテープ20が通常使用状態におけるフロントパッチ2F上の貼付位置から剥離した場合にも、フックテープ20を有するフックキャリア2L1が前身頃領域1Fから完全に離れておむつが胴回りに固定されなくなるのを抑制可能である。
【0051】
以上、本実施形態について説明したが、本発明の内容は上記実施の形態に限られるものではない。本実施形態では、大人用のテープ型おむつについて説明したが、本発明は、子供用のテープ型おむつにも適用可能である。
【0052】
以上で開示した実施形態やその応用例は、それぞれ組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0053】
1・・おむつ
1B・・股下領域
1F・・前身頃領域
1R・・後身頃領域
2F・・フロントパッチ
2F1・・屈曲部
2L1,2L2,2R1,2R2・・フックキャリア
20・・フックテープ
21・・弱係合部
22・・係合スポット
23・・非接合領域
24・・防滑部
3AL,3AR・・レグギャザー
3BL,3BR・・立体ギャザー
3R・・ウェストギャザー
30L,30R・・接合部
31L,30R・・起立部
32L,32R・・起立線
33L,33R・・固定部
4・・カバーシート
4KL,4KR・・括れ
4C,4SL,4SR,8EL,8ER,9ER,22,24・・弾性部材
5・・バックシート
6・・吸収体
6C・・吸収コア
6a・・上層吸収マット
6b・・下層吸収マット
6W・・コアラップシート
7・・トップシート
8・・サイドシート
10L,10R・・脚周り部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7