(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128838
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】端子部材、端子装置、及び電力供給装置
(51)【国際特許分類】
H01R 4/38 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
H01R4/38 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038088
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000109819
【氏名又は名称】デンヨー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】尾鷲 真一
【テーマコード(参考)】
5E012
【Fターム(参考)】
5E012BA12
5E012BA22
(57)【要約】
【課題】端子部材及び端子装置の回転を抑制する。
【解決手段】端子装置は、電力供給装置に用いられる端子装置である。端子装置は、第1螺子を有する先端部と、前記先端部から突出した主軸部と、を有する端子部材と、前記第1螺子と噛み合う第2螺子を有し、前記第1螺子及び前記第2螺子の噛み合いによって前記先端部に固定される固定具と、を有する。前記第1螺子の軸線は、前記主軸部の軸線に対して傾斜している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給装置に用いられる端子装置であって、
第1螺子を有する先端部と、前記先端部から突出した主軸部と、を有する端子部材と、
前記第1螺子と噛み合う第2螺子を有し、前記第1螺子及び前記第2螺子の噛み合いによって前記先端部に固定される固定具と、を備え、
前記第1螺子の軸線は、前記主軸部の軸線に対して傾斜している、端子装置。
【請求項2】
前記第1螺子は雌螺子を有する、請求項1に記載の端子装置。
【請求項3】
前記先端部は、前記雌螺子を内部に形成された螺子穴と、前記螺子穴と接続した端子穴と、を有する、請求項2に記載の端子装置。
【請求項4】
前記先端部及び前記主軸部は、一体成形されている、請求項3に記載の端子装置。
【請求項5】
前記先端部は、前記主軸部の前記軸線に傾斜した傾斜面を有し、
前記第1螺子は、前記傾斜面に開口する螺子穴の雌螺子又は前記傾斜面から突出した螺子軸の雄螺子を有する、請求項1に記載の端子装置。
【請求項6】
前記先端部は、前記主軸部の前記軸線に傾斜した複数の傾斜面を有し、
前記第1螺子は、各傾斜面に開口する螺子穴の雌螺子又は各傾斜面から突出した螺子軸の雄螺子を有する、請求項1に記載の端子装置。
【請求項7】
前記複数の傾斜面は、前記主軸部の軸線を中心として回転対称な位置に、配置されている、請求項6に記載の端子装置。
【請求項8】
前記端子部材は、前記先端部から突出したピン部を有する、請求項1に記載の端子装置。
【請求項9】
前記第1螺子の軸線は、前記主軸部の軸線と、前記先端部内において交わる、請求項1に記載の端子装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の前記端子装置と、を備え、
前記主軸部が通過する貫通穴を有するケースと、
前記ケース内に配置され、前記主軸部と電気的に接続した電力源と、を備え、
前記端子部材は、前記先端部が前記ケースの外部に位置するように、前記ケースに取り付けられている、電力供給装置。
【請求項11】
前記端子部材は、前記先端部から突出したピン部を有し、
前記ケースは、前記ピン部を受ける受け部を有する、請求項10に記載の電力供給装置。
【請求項12】
前記ケースは、複数の前記受け部を有する、請求項11に記載の電力供給装置。
【請求項13】
前記複数の受け部は、前記ケースに取り付けられた前記端子部材の前記主軸部の前記軸線を中心として回転対象な位置に、配置されている、請求項12に記載の電力供給装置。
【請求項14】
電力供給装置の端子を構成する端子装置に用いられる端子部材であって、
第1螺子を有する先端部と、
前記先端部から突出した主軸部と、を備え、
前記第1螺子の軸線は、前記主軸部の軸線に対して傾斜している、端子部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子部材、端子装置、及び電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電力供給装置に用いられる端子部材を開示している。端子部材は、先端部(回転止め部材)及び第1螺子軸を有する。端子板を貫通した第1螺子軸にナットが螺子留めされる。ナット及び端子板の間には、圧着端子が挟まれる。圧着端子は、電力源と電気的に接続した配線を保持している。このようにして、端子板に端子部材が固定されている。
【0003】
端子部材の先端部から、第2螺子軸が延び出している。第2螺子軸は、第1螺子軸と一直線上に揃えられている。第2螺子軸は、第1螺子軸とは逆側に先端部から延び出している。第2螺子軸にも外部ナットが螺子留めされる。端子部材と外部ナットとの間に外部配線が挟まれる。このようにして、端子部材を介して、外部配線を電力源と電気的に接続できる。端子部材及び外部ナットは、電力供給装置の入出力端子として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、外部ナット等の固定具を第2螺子軸に螺子留めする際、端子部材に大きなトルクが生じ得る。したがって、端子部材は、外部ナットとともに、端子板に対して回転しようとする。端子部材が回転すると、圧着端子も回転し得る。このとき、圧着端子が、他の部材と接触して短絡等が生じ得る。この不具合に対処するため、特許文献1では、先端部(回転止め部材)にピンを設けている。ピンは端子板の係合孔に挿入される。ピン及び端子板の接触により、端子部材の回転を規制する。
【0006】
しかしながら、特許文献1の端子部材では、端子装置に加えられるトルクによってピンが破損することも想定される。ピンが破損すると、端子部材の回転を規制できない。本発明は、以上の点を考慮してなされており、端子部材及び端子装置の回転を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<1>
電力供給装置に用いられる端子装置であって、
第1螺子を有する先端部と、前記先端部から突出した主軸部と、を有する端子部材と、
前記第1螺子と噛み合う第2螺子を有し、前記第1螺子及び前記第2螺子の噛み合いによって前記先端部に固定される固定具と、を備え、
前記第1螺子の軸線は、前記主軸部の軸線に対して傾斜している、端子装置。
【0008】
<2>
前記第1螺子は雌螺子を有する、<1>に記載の端子装置。
【0009】
<3>
前記先端部は、前記雌螺子を内部に形成された螺子穴と、前記螺子穴と接続した端子穴と、を有する、<2>に記載の端子装置。
【0010】
<4>
前記先端部及び前記主軸部は、一体成形されている、<1>~<3>のいずれか一項に記載の端子装置。
【0011】
<5>
前記先端部は、前記主軸部の前記軸線に傾斜した傾斜面を有し、
前記第1螺子は、前記傾斜面に開口する螺子穴の雌螺子又は前記傾斜面から突出した螺子軸の雄螺子を有する、<1>~<4>のいずれか一項に記載の端子装置。
【0012】
<6>
前記先端部は、前記主軸部の前記軸線に傾斜した複数の傾斜面を有し、
前記第1螺子は、各傾斜面に開口する螺子穴の雌螺子又は各傾斜面から突出した螺子軸の雄螺子を有する、<1>~<5>のいずれか一項に記載の端子装置。
【0013】
<7>
前記複数の傾斜面は、前記主軸部の軸線を中心として回転対称な位置に、配置されている、<6>に記載の端子装置。
【0014】
<8>
前記端子部材は、前記先端部から突出したピン部を有する、<1>~<7>のいずれか一項に記載の端子装置。
【0015】
<9>
前記第1螺子の軸線は、前記主軸部の軸線と、前記先端部内において交わる、<1>~<8>のいずれか一項に記載の端子装置。
【0016】
<10>
<1>~<9>のいずれか一項に記載の前記端子装置と、を備え、
前記主軸部が通過する貫通穴を有するケースと、
前記ケース内に配置され、前記主軸部と電気的に接続した電力源と、を備え、
前記端子部材は、前記先端部が前記ケースの外部に位置するように、前記ケースに取り付けられている、電力供給装置。
【0017】
<11>
前記端子部材は、前記先端部から突出したピン部を有し、
前記ケースは、前記ピン部を受ける受け部を有する、<10>に記載の電力供給装置。
【0018】
<12>
前記ケースは、複数の前記受け部を有する、<11>に記載の電力供給装置。
【0019】
<13>
前記複数の受け部は、前記ケースに取り付けられた前記端子部材の前記主軸部の前記軸線を中心として回転対象な位置に、配置されている、<12>に記載の電力供給装置。
【0020】
<14>
電力供給装置の端子を構成する端子装置に用いられる端子部材であって、
第1螺子を有する先端部と、
前記先端部から突出した主軸部と、を備え、
前記第1螺子の軸線は、前記主軸部の軸線に対して傾斜している、端子部材。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、端子部材に固定具を螺子留めする際、端子部材の回転を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、一実施の形態を説明するための図であって、電力供給装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された電力供給装置の一部分を示す部分斜視図であって、電力供給装置に含まれ得るケース及び端子装置を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2に示された電力供給装置の一部分をケースの内側から示す部分斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2に示されたケースの一部及び端子装置を分解して示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示された端子装置の端子部材を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5に示された端子部材を反対側から示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図2に示された電力供給装置の一部分を示す部分斜視図であって、端子装置の作用を説明するための図である。
【
図8】
図8は、端子部材の一変形例を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、端子部材の他の変形例を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、端子部材の更に他の変形例を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、端子部材の更に他の変形例を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、端子部材の更に他の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、実物の縮尺及び縦横の寸法比等から変更し誇張して図示してある。一部の図において示された構成等が、他の図において省略されていることもある。図面間で、縮尺及び縦横の寸法比等が異なることもある。
【0024】
本明細書において、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や、長さや角度の値等については、厳密な意味に限定されることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈する。
【0025】
方向の関係を図面間で明確にするため、いくつかの図面には、共通する符号を付した矢印により共通する方向を示している。矢印の先端側が、各方向の第1側となる。矢印の基端側が、各方向の第2側となる。
【0026】
図1~
図12は一実施の形態(本実施の形態)を説明する図である。
図1~
図12は、本実施の形態における電力供給装置10、端子装置30及び端子部材40の一例及びその変形例を示す。
図1~
図4に示すように、電力供給装置10は、電力源15、ケース20、及び端子装置30を有する。ここで、
図1は、電力供給装置10を示す斜視図である。
図2~
図4は、
図1に示された電力供給装置10の一部分を示す斜視図である。
図2は、ケース20を外側から示している。
図3は、
図2と同一部分を、ケース20の内側から示している。
図4は、
図2の一部分を分解して示す分解斜視図である。
【0027】
電力源15は、外部に電力を供給する。電力源15は、特に限定されない。電力源15は、発電機、燃料電池、又は二次電池でもよい。発電機は、ガソリンエンジン発電機、ディーゼルエンジン発電機、又はガスエンジン発電機でもよい。
図3及び
図4に示すように、電力源15は、端子装置30との電気的接続のための内部配線16及び内部圧着端子17を有している。
【0028】
図1に示すように、ケース20は、電力源15を収容する。電力源15は、ケース20内に配置されている。ケース20は、電力源15が露出しないように、電力源15を覆ってもよい。ケース20は、電力源15の一部分のみを覆ってもよい。ケース20は、ケース壁部21を有する。
図2~
図4に示すように、端子装置30は、ケース壁部21を貫通するようにして、ケース20に保持されている。なお、電力供給装置10は、複数の端子装置30を有してもよい。図示された例において、電力供給装置10は、三相交流の各相に対応した3つの端子装置30と、接地配線に対応した1つの端子装置30と、を有する。
【0029】
図2~
図4に示された例において、ケース壁部21は、絶縁性プレート22を含んでいる。絶縁性プレート22は、端子板とも呼ばれる。端子装置30は、絶縁性プレート22に固定されている。
図1に示すように、ケース20は、蓋部材29を有してもよい。蓋部材29は、開閉可能となっている。蓋部材29が開くと、絶縁性プレート22及び端子装置30が露出してもよい。蓋部材29は、閉まることによって、絶縁性プレート22及び端子装置30を隠蔽してもよい。
図2において、蓋部材29の図示は省略されている。
【0030】
ケース20は、金属又は樹脂によって形成されてもよい。絶縁性プレート22は、樹脂又はセラミックによって形成されてもよい。
【0031】
図示された例において、絶縁性プレート22において、端子装置30はケース壁部21を貫通している。
図4に示すように、絶縁性プレート22によって構成されたケース壁部21には、端子装置30が通過する貫通穴26が設けられている。ケース壁部21には、受け部27が設けられている。受け部27は、貫通穴26の近傍に位置している。受け部27は、後述する端子装置30のピン部70を受け入れる。
【0032】
受け部27の形状等の構成は、特に限定されない。受け部27の形状等の構成は、ピン部70の構成に対応して適宜選択され得る。
図4に示された例において、受け部27は、ケース壁部21を貫通する孔27aとなっている。図示された受け部27(孔27a)の大きさは、貫通穴26の大きさよりも小さい。
【0033】
受け部27の数量は、特に限定されない。受け部27の数量は、複数でもよい。受け部27の数量は、ピン部70の数量と同一でもよい。受け部27の数量は、ピン部70の数量より多くてもよい。
図4に示すように、複数の受け部27は、ケース壁部21の貫通穴26の中心軸線を中心として回転対称な位置に配置されてもよい。
図4に示された例において、2個の貫通穴26が設けられている。この2個の貫通穴26は、貫通穴26の中心軸線を中心として2回対称な位置に配置されている。
【0034】
端子装置30は、電力供給装置10から何らかの出力、例えば電力を出力するための端子、すなわち出力端子を構成してもよい。端子装置30は、電力供給装置10に何らかの入力、例えば電力を入力するための端子、すなわち入力端子を構成してもよい。
図4~
図6に示すように、端子装置30は、端子部材40及び固定具80を有する。固定具80は、端子部材40に固定可能である。端子部材40は第1螺子41を有する。固定具80は第2螺子81を有する。第2螺子81は、第1螺子41に噛み合う。第1螺子41及び固定ボルト82が噛み合うことにより、固定具80が端子部材40に固定される。
【0035】
なお、第1螺子41、第2螺子81、後述の軸部螺子61については、螺子の具体的な形状の図示、例えば螺子山及び螺子溝についての図示を、省略している。
【0036】
端子部材40は、先端部50及び主軸部60を有する。先端部50には、第1螺子41が設けられている。主軸部60は、先端部50から延び出している。先端部50は、直線状に延びている。主軸軸線AX2は、主軸部60の中心軸線である。
【0037】
先端部50及び主軸部60は、一体成形されてもよい。一体成形とは、接合等のつなぎ目が無いことを意味する。一例として、鋳造、鍛造、切削、及び射出成型等の一以上により、先端部50及び主軸部60は、一体成形できる。
【0038】
先端部50及び主軸部60は、導電性を有した金属によって形成され得る。先端部50及び主軸部60は、一例として、真鍮によって形成されてもよい。先端部50及び主軸部60は、他の例として、真鍮によって形成された本体部と、ニッケルめっきによって形成された表面層と、を有してもよい。
【0039】
なお、図示された例において、主軸軸線AX2は、第2方向D2に沿って延びている。主軸部60及び貫通穴26は、第2方向D2に延びている。端子部材40が貫通するケース壁部21及び絶縁性プレート22は、第1方向D1及び第3方向D3に広がっている。第1方向D1及び第2方向D2は、ケース接地面と平行であり、互いに直交している。第3方向D3は、ケース接地面と垂直であり、第1方向D1及び第2方向D2の両方と直交している。
【0040】
主軸軸線AX2に直交する方向への寸法において、先端部50は、主軸部60より大きい。
図4に示すように、主軸部60は、ケース壁部21の貫通穴26に挿入可能な寸法を有する。先端部50は、ケース壁部21の貫通穴26に挿入不可能となっている。そして、
図2に示すように、端子部材40は、先端部50がケース20の外部に位置するように、ケース20に取り付けられ得る。
【0041】
図示するように、ケース壁部21を通過した主軸部60に内部固定具18が固定されている。内部固定具18は、貫通穴26を通過できない寸法を有する。内部固定具18を主軸部60に固定することによって、端子部材40がケース壁部21に固定される。この例において、先端部50及び内部固定具18の間にケース壁部21が位置し、ケース壁部21は先端部50及び内部固定具18によって狭持されている。
【0042】
図4から理解されるように、主軸部60は軸部螺子61を有してもよい。軸部螺子61は、雄螺子として、円柱状の主軸部60の外周面に形成されてもよい。この例において、内部固定具18はナット19aでもよい。
【0043】
図示された例において、内部固定具18は、第1内部固定具18A及び第2内部固定具18Bを有する。第1内部固定具18A及び第2内部固定具18Bは、先端部50からこの順で、主軸部60に固定される。先端部50及び第1内部固定具18Aの間に、ケース壁部21が位置する。ケース壁部21が先端部50及び第1内部固定具18Aの間に狭持されることによって、端子部材40がケース壁部21に取り付けられる。
図3及び
図4に示された例において、第1内部固定具18Aを構成するナット19aとケース壁部21との間に、一以上のワッシャ19bが設けられている。
【0044】
第1内部固定具18A及び第2内部固定具18Bの間には、内部圧着端子17が位置している。内部圧着端子17は、第1内部固定具18A及び第2内部固定具18Bに狭持されている。内部圧着端子17は、第1内部固定具18A及び第2内部固定具18Bを介して又は主軸部60に直接接触して、主軸部60と電気的に接続する。内部圧着端子17は、内部配線16に圧着して電気的に接続している。内部配線16は、電力源15から延び出ている。
図3及び
図4に示された例において、第1内部固定具18Aを構成するナット19aと内部圧着端子17との間に、一以上のワッシャ19bが設けられてもよい。図示された例において、2枚のワッシャ19bが、第1内部固定具18Aと内部圧着端子17との間に位置している。
【0045】
図示された例と異なり、内部圧着端子17は省略できる。内部圧着端子17が省略される場合、内部配線16が、直接、第1内部固定具18A及び第2内部固定具18Bの間に狭持されてもよい。この例において、内部配線16が、第1内部固定具18A、第2内部固定具18B及び主軸部60の一以上に接触して、内部配線16が主軸部60と電気的に接続されてもよい。また、図示された例と異なり、第2内部固定具18Bが省略され、内部圧着端子17又は内部配線16が、ケース壁部21と第1内部固定具18Aとの間に狭持されてもよい。
【0046】
上述したように、先端部50の第1螺子41及び固定具80の第2螺子81が噛み合うことにより、固定具80が端子部材40に固定される。固定具80と先端部50との間に、外部装置からの外部配線又は外部配線に圧着した圧着端子が挟まれる。外部装置は、電力供給装置10から電力の供給を予定された装置や機器等である。外部配線又は外部配線に圧着した圧着端子は、固定具80と先端部50との間で狭持される。外部配線又は外部配線に圧着した圧着端子は、固定具80を介して又は直接、先端部50に接触することにより、端子部材40と電気的に接続する。
【0047】
図7に示すように、第1螺子41の螺子軸線AX1は、主軸部60の主軸軸線AX2に対して傾斜している。第1螺子41の螺子軸線AX1は、第1螺子41及び第2螺子81を噛み合わせる際における先端部50及び固定具80の相対回転軸線に一致する。螺子軸線AX1及び主軸軸線AX2の間の傾斜角度θxは0°より大きい。この傾斜角度θxは、30°より大きくてもよく、45°以上でもよく、45°より大きくてもよく、60°以上でもよく、60°より大きくてもよい。
【0048】
図4~
図6に示すように、第1螺子41は雌螺子でもよい。雌螺子としての第1螺子41は、先端部50に形成された螺子穴52内に設けられてもよい。主軸軸線AX2は、螺子穴52の中心軸線と一致してもよい。この例において、固定具80は固定ボルト82でもよい。第2螺子81は雄螺子でもよい。
【0049】
図4~
図6に示された例において、先端部50は、主軸部60の主軸軸線AX2に対して傾斜した傾斜面51を有する。すなわち、傾斜面51は、主軸軸線AX2と平行でなく、主軸軸線AX2に直交もしていない。螺子穴52は、傾斜面51に開口してもよい。傾斜面51は、第1螺子41の螺子軸線AX1に直交してもよい。この例によれば、固定具80と傾斜面51との間に、外部装置からの外部配線又は外部配線に圧着した外部圧着端子を、安定して狭持できる。この傾斜面51により、外部装置と端子装置30との間の電気的接続を安定して確保できる。
【0050】
端子装置30を繰り返し使用すると、雄螺子である第2螺子81が変形する可能性がある。この場合、安価な固定具80のみを交換して、端子部材40を継続して使用できる。なお、第1螺子41と噛み合う端子部材40の第2螺子81が変形することも想定され得る。しかし、第2螺子81は、第1螺子41と比較して簡易に修復できる。このように、より複雑で高価となる端子部材40を継続して使用できるので、コストを低減できる。
【0051】
ただし、先端部50の構成は、第1螺子41が雌螺子を有しかつ第2螺子81が雄螺子を有する例に限られない。
図8に示すように、傾斜面51から螺子軸53が延び出し、第1螺子41を構成する雄螺子が螺子軸53に構成されてもよい。
図8に示された端子部材40との組み合わせにおいて、固定具80は、第2螺子81を構成する雌螺子を有するナットでもよい。この例によっても、固定具80と傾斜面51との間に、外部装置からの外部配線又は外部圧着端子を、安定して狭持できる。この傾斜面51と螺子軸53により、外部装置と端子装置30との間の電気的接続を安定して確保できる。
【0052】
図4~
図6に示された例において、第1螺子41の螺子軸線AX1は、主軸部60の主軸軸線AX2と、先端部50内において交わっている。
【0053】
また、
図4~
図6に示された例において、雌螺子を内部に形成された螺子穴52とは別個に、端子穴54が先端部50に設けられている。
図6に示すように、端子穴54は螺子穴52と先端部50の内部において接続してもよい。外部装置からの外部配線に外部圧着端子が圧着していない場合、外部配線を端子穴54に挿入できる。この場合、固定具80を螺子穴52にねじ込むことにより、固定具80と先端部50との間で、端子穴54内の外部配線を安定して保持できる。
【0054】
図6によく示されているように、端子部材40は、先端部50から突出したピン部70を有してもよい。ピン部70は、先端部50から主軸部60と同じ方向及び同じ向きに突出している。上述したように、ケース壁部21(絶縁性プレート22)には、ピン部70を受ける受け部27が設けられている。受け部27がピン部70を収容することにより、端子部材40が、主軸軸線AX2を中心としてケース壁部21(絶縁性プレート22)に対して回転することを抑制できる。
【0055】
図6に示すように、ピン部70は、先端部50と一体成形されてもよい。ピン部70は、先端部50及び主軸部60と一体成形されてもよい。
図6に示された例において、ピン部70は、導電性を有した金属によって形成され得る。ピン部70は、一例として、真鍮によって形成されてもよい。ピン部70は、他の例として、真鍮によって形成された本体部と、ニッケルめっきによって形成された表面層と、を有してもよい。
【0056】
ピン部70の構成は特に限定されない。
図6に示された例において、ピン部70は、細長い棒状部である。このピン部70に対応して、
図4に示すように、受け部27は、ケース壁部21を貫通する孔27aでもよい。
【0057】
ピン部70の数量は、特に限定されない。ピン部70の数量は、複数でもよい。ピン部70の数量は、受け部27の数量と同一でもよい。ピン部70の数量は、受け部27の数量より少なくてもよい。この例によれば、ケース20に対して端子部材40を位置決めする向きを調節できる。複数のピン部70が、主軸軸線AX2を中心として回転対称な位置に配置されてもよい。この例によっても、ケース20に対して端子部材40を位置決めする向きを調節できる。
図6に示された例において、2個のピン部70が設けられている。この2個のピン部70は、主軸部60の主軸軸線AX2を中心として2回対称な位置に配置されている。
【0058】
次に、以上の構成からなる電力供給装置10の使用時の作用について説明する。
【0059】
まず、電力源15を収容したケース20に、端子部材40を固定する。
図4に示すように、ケース壁部21の貫通穴26に端子部材40の主軸部60を挿入する。このとき、先端部50のピン部70を、ケース壁部21の受け部27に収容することにより、主軸部60の主軸軸線AX2を中心とした回転方向において、端子部材40をケース壁部21に対して位置決めできる。このピン部70と受け部27により、次に説明する端子部材40の固定作業を容易かつ安定して実施できる。
【0060】
次に、ケース壁部21を通過した主軸部60に、内部固定具18を固定する。例えば、主軸部60の軸部螺子61に、内部固定具18を構成するナット19aを螺子留めする。主軸部60には、ワッシャ19bを配置してもよい。図示された例において、貫通穴26及び1枚のワッシャ19bを通過した主軸部60に、第1内部固定具18Aを構成するナット19aを螺子留めする。このナット19aにより、端子部材40をケース壁部21に取り付け及び固定できる。
【0061】
さらに、第2内部固定具18Bにより、電力源15の内部配線16を主軸部60に固定する。第1内部固定具18A及び第2内部固定具18Bの間に、内部配線16を固定してもよい。
図4に示された例において、第1内部固定具18Aを螺子留めされた主軸部60に、2枚のワッシャ19bと、内部配線16に圧着した内部圧着端子17と、を通す。その後、2枚のワッシャ19b及び内部圧着端子17を通過した主軸部60に、第2内部固定具18Bを構成するナット19aを螺子留めする。このナット19aにより、内部圧着端子17が、第1内部固定具18A及び第2内部固定具18Bの間において、主軸部60に固定される。内部圧着端子17は、ナット19a又はワッシャ19bを介して又は主軸部60に直接接触して電気的に接続される。
【0062】
次に、ケース20の外部に位置する端子部材40の先端部50に、固定具80を取り付ける。先端部50の第1螺子41及び固定具80の第2螺子81を噛み合わせることによって、固定具80を先端部50に固定できる。
【0063】
以上により、電力供給装置10が製造される。次に、電力供給装置10を、電力供給の用途に使用する。電力供給装置10を用いて、外部装置に電力を供給する場合、外部装置の外部配線を電力供給装置10の端子装置30に電気的に接続する。この接続作業において、まず、第1螺子41の螺子軸線AX1を中心として固定具80を回転させ、固定具80を先端部50から緩める。次に、外部装置の外部配線又は外部配線に圧着した外部圧着端子を、固定具80と先端部50との間に配置する。このとき、外部配線又は外部配線に圧着した外部圧着端子を、固定具80と先端部50の傾斜面51との間に配置してもよい。或いは、外部配線を端子穴54に挿入してもよい。その後、固定具80を先端部50に螺子留めする。この螺子留めにより、外部配線又は外部圧着端子を、先端部50と固定具80との間に狭持できる。以上により、外部装置は、端子装置30と電気的に接続し、電力源15から電力の供給を受けることができる。
【0064】
なお、電力供給装置10から電力を供給される適用対象が変化する度に、固定具80を先端部50から緩めて、それまで電力供給を受けていた外部装置の外部配線を端子装置30から外す。さらに、固定具80を先端部50に螺子留めして、次に電力供給を受ける外部装置の外部配線を端子装置30と電気的に接続する。すなわち、電力供給装置10から電力を供給される適用対象が変化する度に、固定具80を端子部材40に対して回転させるトルクT80を加えることになる。
【0065】
ところが、固定具80を端子部材40に対して回転させるトルクT80は、端子部材40をケース20に対して回転させるトルクT40として端子部材40に作用する。端子部材40が螺子軸線AX1を中心としてケース20に対して回転すると、端子部材40に固定された内部圧着端子17及び内部配線16も螺子軸線AX1を中心として回転し得る。このような動作にともない、内部圧着端子17及び内部配線16が損傷することや、更には短絡等の電気的な不具合も想定され得る。
【0066】
このような不具合に対処するため、本実施の形態では、第1螺子41の螺子軸線AX1が固定具80の主軸軸線AX2に対して傾斜している。螺子軸線AX1が主軸軸線AX2に対して傾斜することによって、固定具80を端子部材40に対して回転させるトルクT80は、そのまま、端子部材40をケース壁部21に対して回転させるトルクT40とならない。端子部材40をケース壁部21に対して回転させるトルクT40は、固定具80を端子部材40に対して回転させるトルクT80より小さくなる。したがって、本実施の形態によれば、固定具80の回転にともなって端子部材40がケース20に対して回転することを抑制できる。この傾斜により、端子部材40のケース20への固定が緩くなることや、端子部材40に固定された配線がケース20等に接触すること等を、抑制することもできる。
【0067】
ここで、トルクT80に対するトルクT40の割合(T40/T80)は、第1螺子41の螺子軸線AX1及び端子部材40の主軸軸線AX2の間の傾斜角度θxの大きさに応じて変化する。傾斜角度θxが大きくなるほど、トルクT80に対するトルクT40の割合(T40/T80)は小さくなる。この観点から、上述したように、螺子軸線AX1及び主軸軸線AX2の間の傾斜角度θxは、0°より大きく、30°以上でもよく、30°より大きくてもよく、45°以上でもよく、45°より大きくてもよい。
【0068】
なお、第1螺子41の螺子軸線AX1が主軸部60の軸線に対して傾斜していると、固定具80を端子部材40に対して回転させるトルクT80は、そのまま、端子部材40をケース20のケース壁部21に対して回転させるトルクT40とならない。その一方で、固定具80を端子部材40に対して回転させるトルクT80によって、端子部材40と先端部50との間にせん断力等の外力が生じ得る。この点、上述した具体例において、端子部材40の先端部50及び主軸部60は、一体成形されている。したがって、端子部材40が高剛性を有し、端子部材40の破損を抑制できる。また、端子部材40に対して固定具80を回転させる際に、端子部材40の曲げ等の変形も抑制されるので、固定具80を先端部50に対して容易かつ安定して回転させることができる。
【0069】
また、上述した具体例において、第1螺子41の螺子軸線AX1は、主軸部60の主軸軸線AX2と、先端部50内において交わっている。この構成によれば、固定具80を端子部材40に対して回転させるトルクT80によって、端子部材40と先端部50との間のせん断力及び曲げモーメントが生じても、これらのせん断力及び曲げモーメントを小さくできる。
【0070】
さらに、上述した具体例において、先端部50は、主軸部60の主軸軸線AX2に対して傾斜した傾斜面51を有する。すなわち、傾斜面51は、主軸軸線AX2と平行でなく、主軸軸線AX2に直交もしていない。そして、第1螺子41は、傾斜面51に開口する螺子穴52の雌螺子又は傾斜面51から突出した螺子軸53の雄螺子を有する。この構成によれば、第1螺子41の螺子軸線AX1が主軸部60の主軸軸線AX2に対して傾斜していても、傾斜面51によって、先端部50への固定具80の取り付け方法を視覚的に誘導できる。また、傾斜面51と固定具80との間に、外装装置からの外部配線又は外部圧着端子を安定して保持できる。この傾斜面51により、外部装置及び端子装置30の電気的接続を安定して維持できる。
【0071】
なお、電力供給装置10及びケース20の配置環境、作業方法等に依存して、螺子軸線AX1及び傾斜面51が所定の向きであることが好ましいことも想定され得る。
【0072】
図7に示された例において、第1螺子41の螺子軸線AX1は、主軸部60の主軸軸線AX2に対して水平方向における左側に傾斜している。傾斜面51は、水平方向における左側に向いている。
図7に示された例では、スパナ等の工具90を用いて固定具80を回転させる際、工具90がケース壁部21と接触する。そのため、工具90を固定具80の
図7における左側に配置できない。したがって、
図7に示すように、工具90を固定具80の右側に配置して作業することになる。固定具80を反時計回りに回転させて固定具80を緩める際、工具90を引き上げることになり、工具90に体重をかけることができない。一方、より慎重に作業するべきである固定具80の固定時には、工具90に体重をかけて時計回りに固定具80を回転させることができる。また正転逆転を切り替えられる電動ドライバーを用いる場合は、同一方向から作業する際にスパナを用いたときのような不都合はない。そのため
図7のように固定具80が左側に傾斜面51を有している場合、左利きの作業者が作業しやすくなる。したがって、
図7のように、螺子軸線AX1及び傾斜面51を主軸軸線AX2に対して傾けることによって、先端部50と固定具80との間に、外部配線又は外部圧着端子を安定して保持できる。そして、外部装置及び端子装置30の電気的接続を安定して維持できる。
【0073】
ただし、螺子軸線AX1及び傾斜面51の向きは、
図7に示された例に限られない。
図9に示すように、螺子軸線AX1を主軸軸線AX2bに対して水平方向における右側に傾斜させてもよい。
図9に示すように、傾斜面51を水平方向における右側に向けてもよい。これらの構成によれば、電力供給装置10及びケース20に右側からしかアクセスできない場合、固定具80に対する作業を容易に行うことができる。
【0074】
図10に示すように、螺子軸線AX1を主軸軸線AX2bに対して鉛直方向における上側に傾斜させてもよい。
図10に示すように、傾斜面51を鉛直方向における上側に向けてもよい。これらの構成によれば、電力供給装置10及びケース20に上側からしかアクセスできない場合、例えば電力供給装置10が鉛直方向における低い位置に配置されている場合、固定具80に対する作業を容易に行うことができる。
【0075】
図11に示すように、螺子軸線AX1を主軸軸線AX2bに対して鉛直方向における下側に傾斜させてもよい。
図11に示すように、傾斜面51を鉛直方向における下側に向けてもよい。これらの構成によれば、電力供給装置10及びケース20に下側からしかアクセスできない場合、例えば電力供給装置10が鉛直方向における高い位置に配置されている場合、固定具80に対する作業を容易に行うことができる。
【0076】
さらに、上述した具体例において、端子部材40は、主軸部60と同じ方向に先端部50からと突出したピン部70を有する。ケース20は、ピン部70を受ける受け部27を有する。この構成によれば、受け部27がピン部70を受けるように、ケース20に対して端子部材40の向きを位置決めできる。また、ピン部70及びケース20との接触により、主軸部60の主軸軸線AX2を中心とした端子部材40のケース20に対する回転を規制できる。
【0077】
なお、本実施の形態では、第1螺子41の螺子軸線AX1は主軸部60の主軸軸線AX2に対して傾斜している。したがって、固定具80を先端部50に対して回転させるトルクT80は、そのままの大きさで、端子部材40をケース20に対して回転させるトルクT40とはならない。トルクT40はトルクT80よりも小さくなる。したがって、ピン部70がケース20に接触して大きなせん断力がピン部70に生じることを抑制できる。この傾斜により、ピン部70の曲がり又は折れ等の破損を抑制できる。
【0078】
さらに、上述した具体例において、ケース20は複数の受け部27を有する。この具体例によれば、ケース20の貫通穴26内に主軸部60が挿入された端子部材40を、主軸部60の主軸軸線AX2を中心として回転させることにより、ピン部70を受ける受け部27を選択できる。すなわち、複数の受け部27が設けられることによって、ピン部70と受け部27との組み合わせに応じて、主軸軸線AX2を中心とした異なる複数の回転位置に端子部材40を配置できる。このような構成によれば、ピン部70とピン部70を受ける受け部27との組み合わせに応じて、第1螺子41の螺子軸線AX1及び傾斜面51の向きを調節できる。したがって、電力供給装置10及びケース20の配置環境に応じて、複数の受け部27からピン部70を受ける受け部27を適切に選択することも可能となる。例えば、固定具80に対する作業を容易に行うことができるように、端子部材40をケース20に対して位置決めできる。
【0079】
上述した具体例において、複数の受け部27は、ケース20に取り付けられた端子部材40の螺子軸線AX1を中心として回転対象な位置に、配置されている。この具体例によれば、ピン部70を受ける受け部27を変更することによって、第1螺子41の螺子軸線AX1の向きを大きく変更できる。したがって、複数の受け部27からピン部70を受ける受け部27を適切に選択することによって、例えば、固定具80に対する作業を容易に行うことができる。
【0080】
以上において説明してきた本実施の形態において、端子装置30は、電力供給装置10の端子を構成する装置である。この端子装置30は、端子部材40及び固定具80を有する。端子部材40は、第1螺子41を有する先端部50と、先端部50から突出した主軸部60と、を有する。固定具80は、第1螺子41と噛み合う第2螺子81を有し、第1螺子41及び第2螺子81の噛み合いによって先端部50に固定される。第1螺子41の螺子軸線AX1は、主軸部60の主軸軸線AX2に対して傾斜している。本実施の形態において、電力供給装置10は、端子装置30と、主軸部60が通過する貫通穴26を有するケース20と、ケース20内に配置され主軸部60と電気的に接続した電力源15と、を有する。端子部材40は、先端部50がケース20の外部に位置するように、ケース20に取り付けられている。そして、本実施の形態によれば、第1螺子41の螺子軸線AX1は、主軸部60の主軸軸線AX2に対して傾斜している。
【0081】
このような本実施の形態によれば、固定具80を端子部材40に対して回転させるトルクT80は、そのまま、端子部材40をケース20のケース壁部21に対して回転させるトルクT40とならない。端子部材40をケース20のケース壁部21に対して回転させるトルクT40は、固定具80を端子部材40に対して回転させるトルクT80より小さくなる。この傾斜により、固定具80を端子部材40に螺子留めする際に、固定具80の回転にともなって端子部材40がケース20に対して回転することを抑制できる。これにより、端子部材40のケース20への固定が緩くなることや、端子部材40に固定された配線がケース20等に短絡すること等を、抑制することもできる。
【0082】
具体例を参照しながら一実施の形態を説明してきたが、上述の具体例が一実施の形態を限定しない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施でき、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等ができる。
【0083】
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明及び以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用い、重複する説明を省略する。
【0084】
上述の一具体例において、端子部材40の第1螺子41は、1つの雌螺子又は1つの雌螺子を有していた。端子部材40は、1つの傾斜面51を有していた。しかしながら、本実施の形態は、これらの例に限られない。
【0085】
図12に示すように、先端部50は、主軸部60の主軸軸線AX2に対して傾斜した複数の傾斜面51を有してもよい。第1螺子41は、各傾斜面51に開口する螺子穴52の雌螺子又は各傾斜面51から突出した螺子軸53の雄螺子を有してもよい。このような例によれば、電力供給装置10及びケース20の配置環境に応じて、複数の第1螺子41から最も適切な1つを選択して、当該1つの第1螺子41に固定具80の第2螺子81を噛み合わせてもよい。例えば、固定具80の先端部50への固定作業を容易に実施できる1つの第1螺子41を選択してもよい。
【0086】
さらに、先端部50に含まれる複数の傾斜面51は、主軸部60の主軸軸線AX2を中心として回転対称な位置に配置されてもよい。この例によれば、複数の傾斜面51の間で、各傾斜面51に形成された第1螺子41の螺子軸線AX1の向きが大きく変化する。したがって、固定具80が固定される最も適切な1つの傾斜面51を選択することによって、例えば、固定具80の先端部50への固定作業を大幅に容易化できる。
【0087】
なお、
図12に示された例において、先端部50は2つの第1螺子41を有する。
図12に示された例に限られず、先端部50は、3つの第1螺子41を有してもよく、4つの第1螺子41を有してもよく、5つの第1螺子41を有してもよく、6つの第1螺子41を有してもよく、7つ以上の第1螺子41を有してもよい。先端部50は2つの傾斜面51を有する。
図12に示された例に限られず、先端部50は、3つの傾斜面51を有してもよく、4つの傾斜面51を有してもよく、5つの傾斜面51を有してもよく、6つの傾斜面51を有してもよく、7つ以上の傾斜面51を有してもよい。
【符号の説明】
【0088】
D1:第1方向、D2:第2方向、D3:第3方向、AX1:螺子軸線、AX2:主軸軸線、10:電力供給装置、15:電力源、16:内部配線、17:内部圧着端子、18:内部固定具、18A:第1内部固定具、18B:第2内部固定具、19a:ナット、19b:ワッシャ、20:ケース、21:ケース壁部、22:絶縁性プレート、26:貫通穴、27:受け部、27a:孔、29:蓋部材、30:端子装置、40:端子部材、41:第1螺子、50:先端部、51:傾斜面、52:螺子穴、53:螺子軸、54:端子穴、60:主軸部、61:軸部螺子、70:ピン部、80:固定具、81:第2螺子、82:固定ボルト、90:工具