(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128841
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】通信システム、端末装置及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 72/02 20090101AFI20240913BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20240913BHJP
H04W 28/16 20090101ALI20240913BHJP
【FI】
H04W72/02
H04W92/18
H04W28/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038092
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土生 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】後藤 淳悟
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD17
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE25
(57)【要約】
【課題】端末装置が求めるリソース制御を行うことができる仕組みを提供する。
【解決手段】本開示の通信システムは、第1の端末装置と、第2の端末装置と、通信制御装置と、を備える。第1の端末装置、第2の端末装置、及び、通信制御装置の間でブロックチェーンネットワークが形成される。第1の端末装置は、ブロックチェーンネットワークに対して、第1の端末装置から第2の端末装置への通信リソースの譲渡を要求する。要求が承認された場合、通信制御装置によって、第1の端末装置に割り当てられていた通信リソースが前記第2の端末装置へ譲渡される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端末装置と、
第2の端末装置と、
通信制御装置と、
を備え、
前記第1の端末装置、前記第2の端末装置、及び、前記通信制御装置の間でブロックチェーンネットワークが形成され、
前記第1の端末装置は、前記ブロックチェーンネットワークに対して、前記第1の端末装置から前記第2の端末装置への通信リソースの譲渡を要求し、
前記要求が承認された場合、前記通信制御装置によって、前記第1の端末装置に割り当てられていた前記通信リソsースが前記第2の端末装置へ譲渡される、
通信システム。
【請求項2】
前記通信制御装置は、
AF(Application Function)の機能を有し、
NEF(Network Exposure Function)を介してPCF(Policy Control Function)に、前記通信リソースの前記譲渡の指示を行い、
前記指示が行われることで、前記通信リソースの前記譲渡が行われる、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記通信制御装置は、
PCFの機能を有し、
所定のコアネットワークノードに対して、前記通信リソースの前記譲渡を制御する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
端末装置が前記ブロックチェーンネットワークに接続すると、前記通信制御装置は、当該端末装置に前記通信リソースを譲渡する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記通信リソースの前記譲渡が承認された場合、前記通信制御装置は、当該譲渡に関する譲渡情報をブロックチェーンに追加する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項6】
前記譲渡情報は、前記ブロックチェーンネットワークに接続する端末装置を識別する情報、及び、当該端末装置に割り当てられた前記通信リソースに関する情報を含む、
請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記通信リソースの前記譲渡は、QoS情報の変更によって行われる、請求項1に記載の通信システム。
【請求項8】
前記第1の端末装置が譲渡する前記通信リソースは、当該第1の端末装置に割り当てられた前記通信リソースに制限される、請求項1に記載の通信システム。
【請求項9】
割り当てられた通信リソースで通信を行う通信部と、
他の端末装置への前記通信リソースの譲渡を、自装置、前記他の端末装置、及び、通信制御装置の間で形成されるブロックチェーンネットワークに対して要求する制御部と、
を備え、
前記要求が承認された場合、前記通信制御装置によって、前記自装置に割り当てられていた前記通信リソースが前記他の端末装置へ譲渡される、
端末装置。
【請求項10】
譲渡された通信リソースで通信を行う通信部と、
前記通信部の前記通信を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
自装置、他の端末装置、及び、通信制御装置の間で形成されるブロックチェーンネットワークに対して当該他の端末装置が行った前記通信リソースの譲渡要求が承認されることで、前記通信制御装置によって、前記他の端末装置に割り当てられていた前記通信リソースが前記自装置に譲渡されることで、当該通信リソースで前記通信を行う、
端末装置。
【請求項11】
第1の端末装置と、第2の端末装置と、通信制御装置と、を備える通信システムの通信方法であって、
前記第1の端末装置、前記第2の端末装置、及び、前記通信制御装置の間でブロックチェーンネットワークが形成され、
前記第1の端末装置が、前記ブロックチェーンネットワークに対して、前記第1の端末装置から前記第2の端末装置への通信リソースの譲渡を要求することと、
前記要求が承認された場合、前記通信制御装置によって、前記第1の端末装置に割り当てられていた前記通信リソースが前記第2の端末装置へ譲渡されることと、
を含む通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信システム、端末装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
5G/6G等のセルラー方式の無線通信の開発が活発になされている。例えば、通信コンテンツに応じたネットワークの構築、及び、AI(Artificial Intelligence)を活用したリソース制御等、よりユーザ通信を主体とした通信サービスの提供が構想されている。
【0003】
例えば、リソース制御を行う技術では、基地局が、アップリンクリソースを解放するようUE(User Equipment)に指示することで、UEは、アップリンクリソースを解放する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、リソース制御を行うことで、UE(端末装置)は、自装置に搭載される通信アプリを介してより最適な通信を享受することができる。
【0006】
だたし、従来のリソース制御は、基地局等、ネットワーク事業者側が主体となって実施される。そのため、UEが求めるリソース制御が行われるとは限らなかった。
【0007】
例えば、ネットワーク資源として非効率なリソース制御、例えば、無線環境のよいUEから無線環境の悪いUEにリソースを渡すような制御は、一般的に難しい。そのため、UEが非効率なリソース制御を望んでもそれを実現することは難しい。
【0008】
そこで、本開示では、端末装置が求めるリソース制御を行うことができる仕組みを提供する。
【0009】
なお、上記課題又は目的は、本明細書に開示される複数の実施形態が解決し得、又は達成し得る複数の課題又は目的の1つに過ぎない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の通信システムは、第1の端末装置と、第2の端末装置と、通信制御装置と、を備える。前記第1の端末装置、前記第2の端末装置、及び、前記通信制御装置の間でブロックチェーンネットワークが形成される。前記第1の端末装置は、前記ブロックチェーンネットワークに対して、前記第1の端末装置から前記第2の端末装置への通信リソースの譲渡を要求する。前記要求が承認された場合、前記通信制御装置によって、前記第1の端末装置に割り当てられていた前記通信リソースが前記第2の端末装置へ譲渡される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る通信システムの概略構成を示す図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る台帳更新処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図3】本開示の実施形態に係るリソース更新処理の一例を示す図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係る通信システムの全体構成例を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る基地局の構成例を示す図である。
【
図7】本開示の実施形態に係る端末装置の構成例を示すブロック図である。
【
図8】本開示の第1実施形態に係る台帳の一例を示す図である。
【
図9】本開示の第1実施形態に係るKey及びValueデータの他の例を示す図である。
【
図10】本開示の第1実施形態に係るKey及びValueデータの他の例を示す図である。
【
図11】本開示の第1実施形態に係るP2Pネットワーク確立処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図12】本開示の第1実施形態に係るネットワーク接続処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図13】本開示の第1実施形態に係る台帳の一例を示す図である。
【
図14】本開示の第1実施形態に係る台帳の一例を示す図である。
【
図15】本開示の第1実施形態に係る台帳の一例を示す図である。
【
図16】本開示の第1実施形態に係るリソース制御処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図17】本開示の第1実施形態に係る台帳の一例を示す図である。
【
図18】本開示の第1実施形態に係る台帳の一例を示す図である。
【
図19】本開示の第2実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
【
図20】本開示の第3実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
【
図21】本開示の第3実施形態に係るアプリケーションサーバの構成例を示すブロック図である。
【
図22】本開示の第3実施形態に係るネットワーク接続処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図23】本開示の第3実施形態に係る台帳の一例を示す図である。
【
図24】本開示の第3実施形態に係る台帳の一例を示す図である。
【
図25】本開示の第3実施形態に係るリソース制御処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
また、本明細書及び図面において、実施形態の類似する構成要素については、同一の符号の後に異なるアルファベット及び/又は数字を付して区別する場合がある。ただし、類似する構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
【0014】
また、本明細書及び図面において、具体的な数値を挙げて説明する場合があるが、当該数値は例示であり、異なる数値が適用され得る。
【0015】
以下に説明される1又は複数の実施形態(実施例、変形例、適用例を含む)は、各々が独立に実施されることが可能である。一方で、以下に説明される複数の実施形態は少なくとも一部が他の実施形態の少なくとも一部と適宜組み合わせて実施されてもよい。これら複数の実施形態は、互いに異なる新規な特徴を含み得る。したがって、これら複数の実施形態は、互いに異なる目的又は課題を解決することに寄与し得、互いに異なる効果を奏し得る。
【0016】
<<1.第1実施形態>>
<1.1.通信システムの概要>
Beyond 5G/6Gでは、ユーザの通信コンテンツに応じたネットワーク構築、及び、AIを活用したリソース制御等、よりユーザ通信を主体とした通信サービスの提供が構想される。
【0017】
このように、エンドユーザを主体として通信サービスが提供されることで、エンドユーザは、自身の通信アプリに最適な通信をより享受できるようになる。
【0018】
例えば、ネットワーク側は、ユーザの通信サービスを、AI技術を用いて高精度に推測し、推測した通信サービスに応じたリソース制御を行う。例えば、ネットワーク側は、超低遅延が求められるゲーム通信には、低遅延であるQoS設定及びルーティング等を適用する。例えば、ネットワーク側は、大容量アップリンク通信が求められる放送用通信には、アップリンクリソースを多く割り当てる。
【0019】
このように、例えば、AI技術を適用することで、ネットワーク側が、サービスに応じたリソース制御を行うことができ、エンドユーザはアプリケーションにより適した通信サービスを受けることができる。
【0020】
しかしながら、上述したリソース制御は、ネットワーク側が主体となって行われる。そのため、ネットワーク側は、ネットワーク資源の最適化を考慮してリソース制御を行う。また、ネットワーク側は、あくまでユーザの通信(の種別)を推測して、ネットワーク設定を適用しているに過ぎない。
【0021】
そのため、従来の技術では、ユーザが全体のネットワーク資源としては非効率な使用方法で通信をしたい場合、または、AIによる推測が外れてしまった場合等に、ユーザの期待と乖離したリソース制御が行われる可能性がある。
【0022】
例えば、従来の技術では、無線品質のよいUEから無線品質の悪いUEに多くのリソースを渡すことは一般的に難しい。これは、無線品質の悪いUEへのリソース割り当てが、ネットワーク資源の非効率な使用方法になるためである。
【0023】
また、従来の技術では、特定の期間、一時的に通信を優先して行いたいUEに通信リソースを分配すること等も難しい。例えば、ネットワーク側が、AI技術を用いて過去のビッグデータをもとに最適な通信設定を適用するとする。この場合、ネットワーク側が、ゲームイベント等突発的に発生する通信リソースの需要に合わせて設定変更することは難しい。このような場合、ユーザ側が直接的に通信リソースの需要に合わせて設定変更することが望ましい。
【0024】
そこで、本実施形態では、ユーザ自身が、UEの通信品質、及び、通信品質に関連する情報(例えばネットワークリソース)を、ブロックチェーンを用いて制御可能な非中央集権ネットワークを提案する。
【0025】
[通信システムS1の概略構成]
図1は、本開示の第1実施形態に係る通信システムS1の概略構成を示す図である。通信システムS1は、コアネットワーク(CoreNW(NetWork))10と、基地局(RAN)20と、複数の端末装置(UE)40と、を備える。
【0026】
本実施形態に係る通信システムS1では、コアネットワーク10と複数のUE40との間でブロックチェーンネットワークBNが形成される。
【0027】
(ブロックチェーン技術の概要)
ここで、ブロックチェーン技術は、複数の独立したノードでトランザクションを記録し、同期する分散型台帳技術である。複数の独立したノードは、主にP2P(Peer to Peer)ネットワークを構成する。台帳の信頼性の担保方法は様々である。ブロックチェーン技術は、台帳の内容及び更新等に合わせて行われる動作に応じて、いろいろなサービスに応用されている。
【0028】
ブロックチェーンネットワークは、大きくパブリック型(非認可型)及びプライベート型(認可型)の2つの構成に分類される。パブリック型は、誰でも参加できる一方、合意形成及びパフォーマンス等に課題がある。プライベート型は、特定のメンバが参加できる一方、合意形成及びパフォーマンス等がパブリック型と比較して優位であるという特徴を有する。本実施形態に係るブロックチェーンネットワークBNは、プライベート型である。
【0029】
上述した「合意形成」(コンセンサスアルゴリズム)は、管理者なしで台帳更新のリクエストを承認する方法である。コンセンサスアルゴリズムとして、例えば、Proof of Work(PoW)、Proof of Stake(PoS)、Proof of Importance(PoI)、Proof of Consensus(PoC)等が挙げられる。
【0030】
また、「トランザクション」は、ノード間の情報のやり取り、もしくは、その依頼を指す。「台帳」(ブロックチェーン)は、トランザクションの履歴等を記録する。
【0031】
また、ブロックチェーン技術では「スマートコントラクト」が行われる。スマートコントラクトは、台帳更新(トランザクション)による動作である。
【0032】
プライベート型のブロックチェーンの各ノードは、以下の役割を有する。
【0033】
CA(Certificate Authority)は、各ノードの信頼性を担保するため、証明書を発行する。Clientは、トランザクションの内容を決め、提案及びリクエストを行う。Endorser(PPeer)は、台帳及びスマートコントラクトの機能を具備し、トランザクションの検証や台帳の検証を行う。Ordererは、各トランザクションの順番(履歴)を保証する。
【0034】
次に、プライベート・コンソーシアム(認可型)のブロックチェーンネットワークで行われるコンセンサスアルゴリズムの流れの一例を説明する。
【0035】
1)Clientがトランザクションの提案を行う(proposal)。
2)Endorserがトランザクションを実行する。
3)EndorserがClientにトランザクションを実行した結果を通知する(endorsement)。
4)Clientがトランザクションを要求する(request)。
5)Ordererがトランザクションの順序付けを行い、順序付けの結果をEndorserに配信する。
6)Endorserが結果トランザクションを検証し、ブロックチェーンを更新する(validation)。Endorserが更新結果をClientに通知する。
【0036】
なお、ノード間で構成されるP2Pネットワークは、例えば、Gossipアルゴリズム等を用いて構築される。
【0037】
(通信システムS1への適用)
上述したように、本実施形態では、通信システムS1にブロックチェーン技術が適用される。すなわち、通信システムS1に各構成要素をノードとするブロックチェーンネットワークBNが構築される。
【0038】
図1に示すように、本実施形態に係る通信システムS1では、コアネットワーク10と複数のUE40との間でブロックチェーンネットワークBNが形成される。例えば、ブロックチェーンネットワークBNは、コアネットワーク10及び複数のUE40のアプリレイヤで構築される。
【0039】
なお、
図1では、3つのUE40がブロックチェーンネットワークBNに含まれるとしたが、ブロックチェーンネットワークBNに含まれるUE40の数は3つに限定されない。ブロックチェーンネットワークBNに含まれるUE40の数は、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
【0040】
表1に、本開示の第1実施形態に係るノードとコンポーネント(構成要素)との対応表の一例を示す。
【0041】
【0042】
図1及び表1に示すように、コアネットワーク10は、CA、Client、Endorser、及び、Ordererの役割を有する。UE40、より具体的には、UE40上のアプリケーションは、Client及びEndorserの役割を有する。Client、Endorser、及び、Ordererは、CAによって証明書が発行されている。換言すると、証明書がない構成要素(例えば、UE40)は、ブロックチェーンネットワークBNに参加(join)できない。また、コアネットワーク10がブロックチェーンのエンドポイントとなる。
【0043】
コアネットワーク10及び各UE40は、基地局20を介して通信を行う。なお、各UE40は、サイドリンク通信により直接通信を行ってもよい。
【0044】
UE40は、ブロックチェーンネットワークBNを用いて通信リソースの分散制御を行う。
【0045】
[リソース制御処理の概要]
図2及び
図3を用いてリソース制御処理の概要について説明する。リソース制御処理は、台帳更新処理及びリソース更新処理を含む。
図2は、本開示の実施形態に係る台帳更新処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図3は、本開示の実施形態に係るリソース更新処理の一例を示す図である。
図2及び
図3に示すリソース制御処理では、例えば、UE40_1からUE40_3に通信リソースの譲渡が行われる。
【0046】
図2に示すように、リソース譲渡元のUE40_1のClientが、コアネットワーク10及びUE40_1~40_3のEndorserにトランザクションの提案を行う(ステップS1)。ここで、UE40_1のClientが提案するトランザクションは、UE40_1からUE40_3への通信リソースの譲渡である。
【0047】
コアネットワーク10及びUE40_1~40_3のEndorserは、トランザクションを実行し(ステップS2)、結果をUE40_1のClientに通知する(ステップS3)。
【0048】
通知をうけたUE40_1は、コアネットワーク10のOrdererにトランザクションを要求する(ステップS4)。
【0049】
コアネットワーク10のOrdererは、トランザクションの順序付けを行い(ステップS5)、結果をUE40_1~40_3及びコアネットワーク10のEndorserに通知する(ステップS6)。
【0050】
UE40_1~40_3及びコアネットワーク10のEndorserは、トランザクションの更新(検証)を行い(ステップS7)、ブロックチェーン(台帳)を更新し(ステップS8)、更新の結果をUE40_1のClientに通知する(ステップS9)。
【0051】
図3に示すように、コアネットワーク10は、台帳更新に基づき、通信リソースを制御する。例えば、コアネットワーク10は、通信リソース情報に相当するQoS情報を更新する(ステップS11)。
【0052】
コアネットワーク10は、更新したQoS情報を基地局20に対して要求する(ステップS12)。この要求は、例えば、コアネットワーク10のNEFによって行われる。
【0053】
基地局20は、要求されたQoS情報に従って、UE40_3の通信リソースをスケジューリングする(ステップS13)。これにより、UE40_1に割り当てられていた通信リソースがUE40_3に譲渡される。
【0054】
このように、本実施形態に係る通信システムS1では、複数のUE40(第1、第2の端末装置の一例)及びコアネットワーク10(通信制御装置の一例)の間でブロックチェーンネットワークBNが形成される。UE40_1(第1の端末装置の一例)は、ブロックチェーンネットワークBNに対してUE40_1からUE40_3(第2の端末装置の一例)への通信リソースの譲渡を要求する。要求が承認された場合、コアネットワーク10によって、UE40_1に割り当てられていた通信リソースがUE40_3へ譲渡される。
【0055】
具体的に、譲渡要求(トランザクション)が承認された場合、承認されたトランザクションは、ブロックチェーンネットワークBNで共有される。実際の譲渡(通信リソースの割り当て)は、コアネットワーク10によって行われる。すなわち、コアネットワーク10は、通信リソースの割り当ての役割を担う。
【0056】
なお、通信リソースの割り当てのプロトコルは、標準仕様に準拠してもよい。
【0057】
このように、本実施形態に係る通信システムS1では、エンドユーザであるUE40_1が主導して、特定のUE40_3の通信品質を向上させることができる。このように、本実施形態に係る通信システムS1では、ネットワークリソースなど、通信品質に関する情報を変更する権利をユーザであるUE40が持つことになる。
【0058】
<1.2.通信システムの構成例>
<1.2.1.通信システムの全体構成例>
図4は、本開示の第1実施形態に係る通信システムS1の全体構成例を示す図である。
図4に示す通信システムS1は、5Gシステム(5GS)である。
【0059】
図4に示すように、通信システムS1は、UE40と、基地局20と、コアネットワーク10とを備える。なお、コアネットワーク10は、NGC(NG Core)、又は5GC(5G Core)とも称される。また、RAN/ANとの表記は、RAN(Radio Access Network)及びAN(Access Network)を含む基地局20を表したものである。
【0060】
アプリケーションを処理するアプリケーションサーバ(AS:Application Server)50がインターネットを介して5GSと接続されることによって、UE40は5Gサービスを介するアプリケーションの利用が可能になる。なお、本実施形態においてアプリケーションサーバ50は、省略可能である。
【0061】
5GSのコントロールプレーンの機能群は、AMF(Access and Mobility Management Function)101と、NEF(Network Exposure Function)102と、NRF(Network Repository Function)103と、を含む。また、コントロールプレーンの機能群は、NSSF(Network Slice Selection Function)104と、PCF(Policy Control Function)105と、SMF(Session Management Function)106と、UDM(Unified Data Management)107と、を含む。コントロールプレーンの機能群は、AF(Application Function)108と、AUSF(Authentication Server Function)109と、NWDAF113と、を含む。このように、コントロールプレーンの機能群は、複数のNF(Network Function)によって構成される。
【0062】
UDM107は、契約者情報を保持及び管理するUDR(Unified Data Repository)と、契約者情報を処理するFE(Front End)部とを含む。AMF101は、モビリティ管理を行う。SMF106は、セッション管理を行う。
【0063】
NSSF104は、ネットワークスライスの選択にかかる機能を有する。NEF102は、サードパーティー、AF108やエッジコンピューティング機能に対してネットワーク機能のケイパビリティやイベントを提供する機能を有する。PCF105は、ポリシー制御の機能を有する。AF208は、コアネットワークと相互に作用してサービスを提供する機能を有する。NWDAF113は、モバイルネットワークのネットワークデータ解析機能を有する。
【0064】
Namfは、AMF101が提供するサービスベースドインタフェース(Service-based interface)である。Nsmfは、SMF106が提供するサービスベースドインタフェースである。Nnefは、NEF102が提供するサービスベースドインタフェースである。
【0065】
Npcfは、PCF105が提供するサービスベースドインタフェースである。Nudmは、UDM107が提供するサービスベースドインタフェースである。Nafは、AF108が提供するサービスベースドインタフェースである。Nnrfは、NRF103が提供するサービスベースドインタフェースである。
【0066】
Nnssfは、NSSF104が提供するサービスベースドインタフェースである。Nausfは、AUSF109が提供するサービスベースドインタフェースである。Nnwdafは、NWDAF113が提供するサービスベースドインタフェースである。
【0067】
各NFは、他のネットワーク機能が提供するサービスに対してリクエスト、又はサブスクライブすることで、そのサービスからの応答、又通知を受けることができる。つまり、各NFは、それぞれのサービスベースドインタフェースを介したリクエスト/応答、又は、サブスクライブ/通知の手段で、他のNFとの間で情報を交換する。
【0068】
UPF(User Plane Function)130は、ユーザープレーン処理の機能を有する。DN(Data Network)140は、MNO(Mobile Network Operator)独自のサービス、インターネット、及びサードパーティーのサービスへの接続を可能にする機能を有する。UPF130は、アプリケーションサーバ50で処理されたユーザープレーンのデータの転送処理部として機能する。UPF130は、RAN/AN20と接続されるゲートウェイとしても機能する。
【0069】
ここで、5GSは、5GC10の各NFを仮想化(Virtualization)やコンテナ(Container)で構成し、クラウドサーバに実装することができる。さらに、5GSは、SDN(Software Defined Network)を使って、動的、かつ、リコンフィギャラブル(re-configurable)に各NFを設定することができる。
【0070】
RAN/AN20は、RANとの接続、及び、RAN以外のANとの接続を可能にする機能を有する。RAN/AN20は、gNB、又はng-eNBと呼ばれる基地局を含む。RANは、NG(Next Generation)-RANと呼ばれる場合もある。
【0071】
UE40とAMF101との間では、リファレンスポイントN1を介して相互に情報の交換が行われる。RAN/AN20とAMF101との間では、リファレンスポイントN2を介して相互に情報の交換が行われる。SMF106とUPF130との間では、リファレンスポイントN4を介して相互に情報の交換が行われる。
【0072】
<1.2.2.情報処理装置の構成例>
図5は、本開示の実施形態に係る情報処理装置100の構成例を示すブロック図である。情報処理装置100は、例えば、通信ネットワークを管理する装置である。例えば、情報処理装置100は、基地局20の通信を管理する管理装置である。
【0073】
情報処理装置100は、コアネットワーク10の各機能を実現する装置である。コアネットワーク10は、複数のネットワーク機能から構成される(
図5参照)。各ネットワーク機能は、1つの物理的な装置に集約されてもよいし、複数の物理的な装置に分散されてもよい。つまり、情報処理装置100は、複数の装置に分散配置され得る。さらに、この分散配置は動的に実行されるように制御されてもよい。
【0074】
基地局20、及び情報処理装置100は、1つネットワークを構成し、UE40に無線通信サービスを提供する。情報処理装置100はインターネットと接続される。UE40は、基地局20を介して、インターネットを介して提供される各種サービスを利用することができる。情報処理装置100は、クラウドサーバ、エッジサーバと総称される装置であってもよい。
【0075】
図5の情報処理装置100は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。なお、
図5に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、情報処理装置100の機能は、複数の物理的に分離された構成に静的、或いは、動的に分散して実装されてもよい。例えば、情報処理装置100は、複数のサーバ装置により構成されていてもよい。
【0076】
通信部11は、他の装置と通信するための通信インタフェースである。通信部11は、ネットワークインタフェースであってもよいし、機器接続インタフェースであってもよい。例えば、通信部11は、NIC(Network Interface Card)等のLAN(Local Area Network)インタフェースであってもよいし、USBホストコントローラ、USBポート等により構成されるUSBインタフェースであってもよい。また、通信部11は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。通信部11は、情報処理装置100の通信手段として機能する。通信部11は、制御部13の制御に従って基地局20等と通信する。
【0077】
記憶部12は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部12は、情報処理装置100の記憶手段として機能する。
【0078】
制御部13は、情報処理装置100の各部を制御するコントローラである。制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部13は、情報処理装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部13は、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、GPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0079】
<1.2.3.基地局の構成例>
次に、基地局20について説明する。基地局20は、セルを運用し、セルのカバレッジの内部に位置する1つ以上の端末装置40へ無線通信サービスを提供する通信装置である。セルは、例えばLTE又はNR等の任意の無線通信方式に従って運用される。基地局20は、コアネットワーク10に接続される。コアネットワーク10は、ゲートウェイ装置を介してパケットデータネットワークに接続される。また、基地局20は、SSB(Synchronization Signal/PBCH Block)で識別可能なビームを運用し、1つ以上のビームを介して1つ以上の端末装置40との間でデータを送受信する。
【0080】
なお、基地局20は、複数の物理的又は論理的装置の集合で構成されていてもよい。例えば、本開示の実施形態において基地局20は、BBU(Baseband Unit)及びRU(Radio Unit)の複数の装置に区別され、これら複数の装置の集合体として解釈されてもよい。さらに又はこれに代えて、本開示の実施形態において基地局20は、BBU及びRUのうちいずれか又は両方であってもよい。BBUとRUとは所定のインタフェース(例えば、eCPRI)で接続されていてもよい。さらに又はこれに代えて、RUはRemote Radio Unit(RRU)又はRadio DoT(RD)と称されていてもよい。さらに又はこれに代えて、RUは後述するgNB-DUに対応していてもよい。さらに又はこれに代えてBBUは、後述するgNB-CUに対応していてもよい。これに代えて、RUは後述するgNB-DUに接続していてもよい。さらに、BBUは、後述するgNB-CU及びgNB-DUの組合せに対応していてもよい。 さらに又はこれに代えて、RUはアンテナと一体的に形成された装置であってもよい。基地局20が有するアンテナ(例えば、RUと一体的に形成されたアンテナ)はAdvanced Antenna Systemを採用し、MIMO(例えば、FD-MIMO)やビームフォーミングをサポートしていてもよい。Advanced Antenna Systemは、基地局20が有するアンテナ(例えば、RUと一体的に形成されたアンテナ)は、例えば、64個の送信用アンテナポート及び64個の受信用アンテナポートを備えていてもよい。
【0081】
また、基地局20は、複数が互いに接続されていてもよい。1つ又は複数の基地局20は無線アクセスネットワーク(Radio Access Network:RAN)に含まれていてもよい。すなわち、基地局20は単にRAN、RANノード、AN(Access Network)、ANノードと称されてもよい。LTEにおけるRANはEUTRAN(Enhanced Universal Terrestrial RAN)と呼ばれる。NRにおけるRANはNGRANと呼ばれる。W-CDMA(UMTS)におけるRANはUTRANと呼ばれる。LTEの基地局20は、eNodeB(Evolved Node B)又はeNBと称される。すなわち、EUTRANは1又は複数のeNodeB(eNB)を含む。また、NRの基地局20は、gNodeB又はgNBと称される。すなわち、NGRANは1又は複数のgNBを含む。さらに、EUTRANは、LTEの通信システム(EPS)におけるコアネットワーク(EPC)に接続されたgNB(en-gNB)を含んでいてもよい。同様にNGRANは5G通信システム(5GS)におけるコアネットワーク5GCに接続されたng-eNBを含んでいてもよい。さらに又はこれに代えて、基地局20がeNB、gNB等である場合、3GPP Accessと称されてもよい。さらに又はこれに代えて、基地局20が無線アクセスポイント(Access Point)(e.g., WiFi(登録商標)のアクセスポイント)である場合、Non-3GPP Accessと称されてもよい。さらに又はこれに代えて、基地局20は、RRH(Remote Radio Head)と呼ばれる光張り出し装置であってもよい。さらに又はこれに代えて、基地局20がgNBである場合、基地局20は前述したgNB CU(Central Unit)とgNB DU(Distributed Unit)の組み合わせ又はこれらのうちいずれかと称されてもよい。gNB CU(Central Unit)は、UEとの通信のために、Access Stratumのうち、複数の上位レイヤ(例えば、RRC、SDAP、PDCP)をホストする。一方、gNB-DUは、Access Stratumのうち、複数の下位レイヤ(例えば、RLC、MAC、PHY)をホストする。すなわち、後述されるメッセージ・情報のうち、RRC signalling(例えば、MIB、SIB1を含む各種SIB、RRCSetup message、RRCReconfiguration message)はgNB CUで生成され、一方で後述されるDCIや各種Physical Channel(例えば、PDCCH、PBCH)はgNB-DUは生成されてもよい。又はこれに代えて、RRC signallingのうち、例えばIE:cellGroupConfig等一部のconfiguration(設定情報)についてはgNB-DUで生成され、残りのconfigurationはgNB-CUで生成されてもよい。これらのconfiguration(設定情報)は、後述されるF1インタフェースで送受信されてもよい。基地局20は、他の基地局20と通信可能に構成されていてもよい。例えば、複数の基地局20がeNB同士又はeNBとen-gNBの組み合わせである場合、当該基地局20間はX2インタフェースで接続されてもよい。さらに又はこれに代えて、複数の基地局20がgNB同士又はgn-eNBとgNBの組み合わせである場合、当該装置間はXnインタフェースで接続されてもよい。さらに又はこれに代えて、複数の基地局20がgNB CU(Central Unit)とgNB DU(Distributed Unit)の組み合わせである場合、当該装置間は前述したF1インタフェースで接続されてもよい。後述されるメッセージ・情報(RRC signalling又はDCIの情報、Physical Channel)は複数の基地局20間で(例えばX2、Xn、F1インタフェースを介して)通信されてもよい。
【0082】
さらに、前述の通り、基地局20は、複数のセルを管理するように構成されていてもよい。基地局20により提供されるセルはServing cellと呼ばれる。Serving cellはPCell(Primary Cell)及びSCell(Secondary Cell)を含む。Dual Connectivity (例えば、EUTRA-EUTRA Dual Connectivity、EUTRA-NR Dual Connectivity(ENDC)、EUTRA-NR Dual Connectivity with 5GC、NR-EUTRA Dual Connectivity(NEDC)、NR-NR Dual Connectivity)がUE(例えば、端末装置40)に提供される場合、MN(Master Node)によって提供されるPCell及びゼロ又は1以上のSCell(s)はMaster Cell Groupと呼ばれる。さらに、Serving cellはPSCell(Primary Secondary Cell又はPrimary SCG Cell)を含んでもよい。すなわち、Dual ConnectivityがUEに提供される場合、SN(Secondary Node)によって提供されるPSCell及びゼロ又は1以上のSCell(s)はSecondary Cell Group(SCG)と呼ばれる。特別な設定(例えば、PUCCH on SCell)がされていない限り、物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)はPCell及びPSCellで送信されるが、SCellでは送信されない。また、Radio Link FailureもPCell及びPSCellでは検出されるが、SCellでは検出されない(検出しなくてよい)。このようにPCell及びPSCellは、Serving Cell(s)の中で特別な役割を持つため、Special Cell(SpCell)とも呼ばれる。1つのセルには、1つのDownlink Component Carrierと1つのUplink Component Carrierが対応付けられてもよい。また、1つのセルに対応するシステム帯域幅は、複数の帯域幅部分(Bandwidth Part)に分割されてもよい。この場合、1又は複数のBandwidth Part(BWP)がUEに設定され、1つのBandwidth PartがActive BWPとして、UEに使用されてもよい。また、セル毎、コンポーネントキャリア毎又はBWPごとに、端末装置40が使用できる無線資源(例えば、周波数帯域、ヌメロロジー(サブキャリアスペーシング)、スロットフォーマット(Slot configuration))が異なっていてもよい。
【0083】
図6は、本開示の実施形態に係る基地局20の構成例を示す図である。基地局20は、端末装置40と無線通信する通信装置(無線システム)である。基地局20は、情報処理装置の一種である。
【0084】
基地局20は、信号処理部21と、記憶部22と、ネットワーク通信部23と、制御部24と、を備える。なお、
図6に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、基地局20の機能は、複数の物理的に分離された装置に分散して実装されてもよい。例えば、前述のように、基地局20の機能は、CU及びDU、又は、CU、DU及びRUに分散される。
【0085】
信号処理部21は、他の通信装置(例えば、端末装置40及び他の基地局20)と無線通信する無線通信インタフェース(通信部)である。信号処理部21は、制御部24の制御にしたがって動作する無線トランシーバである。信号処理部21は複数の無線アクセス方式に対応してもよい。例えば、信号処理部21は、NR及びLTEの双方に対応してもよい。信号処理部21は、W-CDMAやcdma2000等の他のセルラー通信方式に対応してもよい。また、信号処理部21は、セルラー通信方式に加えて、無線LAN通信方式に対応してもよい。勿論、信号処理部21は、1つの無線アクセス方式に対応するだけであってもよい。
【0086】
信号処理部21は、受信処理部211と、送信処理部212と、アンテナ213と、を備える。信号処理部21は、受信処理部211、送信処理部212、及びアンテナ213をそれぞれ複数備えていてもよい。なお、信号処理部21が複数の無線アクセス方式に対応する場合、信号処理部21の各部は、無線アクセス方式毎に個別に構成され得る。例えば、基地局20がNRとLTEとに対応しているのであれば、受信処理部211及び送信処理部212は、NRとLTEとで個別に構成されてもよい。
【0087】
受信処理部211は、アンテナ213を介して受信された上りリンク信号の処理を行う。受信処理部211は、無線受信部211aと、多重分離部211bと、復調部211cと、復号部211dと、を備える。
【0088】
無線受信部211aは、上りリンク信号に対して、ダウンコンバート、不要な周波数成分の除去、増幅レベルの制御、直交復調、デジタル信号への変換、ガードインターバルの除去、高速フーリエ変換による周波数領域信号の抽出等を行う。例えば、基地局20の無線アクセス方式が、LTE等のセルラー通信方式であるとする。このとき、多重分離部211bは、無線受信部211aから出力された信号から、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)等の上りリンクチャネル及び上りリンク参照信号を分離する。復調部211cは、上りリンクチャネルの変調シンボルに対して、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)等の変調方式を使って受信信号の復調を行う。復調部211cが使用する変調方式は、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM、又は256QAM等の多値QAMであってもよい。復号部211dは、復調された上りリンクチャネルの符号化ビットに対して、復号処理を行う。復号された上りリンクデータ及び上りリンク制御情報は制御部24へ出力される。
【0089】
送信処理部212は、下りリンク制御情報及び下りリンクデータの送信処理を行う。送信処理部212は、符号化部212aと、変調部212bと、多重部212cと、無線送信部212dと、を備える。
【0090】
符号化部212aは、制御部24から入力された下りリンク制御情報及び下りリンクデータを、ブロック符号化、畳み込み符号化、ターボ符号化等の符号化方式を用いて符号化を行う。ここで、符号化は、ポーラ符号(Polar code)による符号化、LDPC符号(Low Density Parity Check Code)による符号化を行ってもよい。変調部212bは、符号化部212aから出力された符号化ビットをBPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAM等の所定の変調方式で変調する。多重部212cは、各チャネルの変調シンボルと下りリンク参照信号とを多重化し、所定のリソースエレメントに配置する。無線送信部212dは、多重部212cからの信号に対して、各種信号処理を行う。例えば、無線送信部212dは、高速フーリエ変換による時間領域への変換、ガードインターバルの付加、ベースバンドのデジタル信号の生成、アナログ信号への変換、直交変調、アップコンバート、余分な周波数成分の除去、電力の増幅等の処理を行う。送信処理部212で生成された信号は、アンテナ213から送信される。
【0091】
記憶部22は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部22は、基地局20の記憶手段として機能する。
【0092】
ネットワーク通信部23は、他の装置(例えば、他の基地局20)と通信するための通信インタフェースである。例えば、ネットワーク通信部23は、NIC等のLANインタフェースである。ネットワーク通信部23は、USBホストコントローラ、USBポート等により構成されるUSBインタフェースであってもよい。また、ネットワーク通信部23は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。ネットワーク通信部23は、基地局20のネットワーク通信手段として機能する。ネットワーク通信部23は、制御部24の制御にしたがって、他の装置と通信する。
【0093】
制御部24は、基地局20の各部を制御するコントローラ(Controller)である。制御部24は、例えば、CPU、MPU、GPU等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部24は、基地局20内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部24は、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、GPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0094】
<1.2.4.端末装置の構成例>
図7を用いて、本開示の実施形態に係る端末装置40の構成例について説明する。
図7は、本開示の実施形態に係る端末装置40の構成例を示すブロック図である。
【0095】
端末装置40は、基地局20と例えば無線通信する無線通信装置である。端末装置40は、例えば、携帯電話、スマートデバイス(スマートフォン、又はタブレット)、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、カメラ等である。端末装置40は、無線を介してデータを送受信する機能を有するヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display)やVRゴーグル等であってもよい。
【0096】
また、端末装置40は、他の端末装置40とサイドリンク通信が可能であってもよい。端末装置40は、サイドリンク通信を行う際、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)等の自動再送技術を使用可能であってもよい。端末装置40は、基地局20とNOMA(Non Orthogonal Multiple Access)通信が可能であってもよい。なお、端末装置40は、他の端末装置40との通信(サイドリンク)においてもNOMA通信が可能であってもよい。また、端末装置40は、他の通信装置(例えば、基地局20、及び他の端末装置40)とLPWA(Low Power Wide Area)通信が可能であってもよい。その他、端末装置40が使用する無線通信は、ミリ波を使った無線通信であってもよい。なお、端末装置40が使用する無線通信(サイドリンク通信を含む)は、電波を使った無線通信であってもよいし、赤外線や可視光を使った無線通信(光無線)であってもよい。
【0097】
端末装置40は、同時に複数の基地局20又は複数のセルと接続して通信を実施してもよい。例えば、1つの基地局20が複数のセルを提供できる場合、端末装置40は、あるセルをpCellとして使用し、他のセルをsCellとして使用することでキャリアアグリゲーションを実行することができる。また、複数の基地局20がそれぞれ1又は複数のセルを提供できる場合、端末装置40は、一方の基地局20(MN(例えば、MeNB又はMgNB))が管理する1又は複数のセルをpCell、又はpCellとsCell(s)として使用し、他方の基地局20(SN(例えば、SeNB又はSgNB))が管理する1又は複数のセルをpCell(PSCell)、又はpCell(PSCell)とsCell(s)として使用することでDC(Dual Connectivity)を実現することができる。DCはMC(Multi Connectivity)と称されてもよい。
【0098】
なお、異なる基地局20のセル(異なるセル識別子又は同一セル識別子を持つ複数セル)を介して通信エリアをサポートしている場合に、キャリアアグリゲーション(CA:Carrier Aggregation)技術やデュアルコネクティビティ(DC:Dual Connectivity)技術、マルチコネクティビティ(MC:Multi-Connectivity)技術によって、それら複数のセルを束ねて基地局20と端末装置40とで通信することが可能である。或いは、異なる基地局20のセルを介して、協調送受信(CoMP:Coordinated Multi-Point Transmission and Reception)技術によって、端末装置40とそれら複数の基地局20が通信することも可能である。
【0099】
端末装置40は、信号処理部41と、記憶部42と、ネットワーク通信部43と、制御部44とを備える。なお、
図7に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、端末装置40の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。
【0100】
信号処理部41は、他の無線通信装置(例えば、基地局20及び他の端末装置40)と無線通信するための通信部である。信号処理部41は、制御部44の制御に従って動作する。信号処理部41は1又は複数の無線アクセス方式に対応する無線トランシーバであってもよい。例えば、信号処理部41は、NR及びLTEの双方に対応する。信号処理部41は、NRやLTEに加えて、W-CDMAやcdma2000に対応していてもよい。また、信号処理部41は、NOMAを使った通信に対応していてもよい。
【0101】
信号処理部41は、受信処理部411と、送信処理部412と、アンテナ413と、を備える。信号処理部41は、受信処理部411、送信処理部412、及びアンテナ413をそれぞれ複数備えていてもよい。信号処理部41、受信処理部411、送信処理部412、及びアンテナ413の構成は、基地局20の信号処理部21、受信処理部211、送信処理部212、及びアンテナ214と同様である。
【0102】
記憶部42は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部42は、端末装置40の記憶手段として機能する。
【0103】
ネットワーク通信部43は、ネットワークを介して接続する他の装置と通信するための通信インタフェースである。例えば、ネットワーク通信部43は、NIC等のLANインタフェースである。ネットワーク通信部43は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。ネットワーク通信部43は、端末装置40のネットワーク通信手段として機能する。ネットワーク通信部43は、制御部44の制御に従って、他の装置と通信する。
【0104】
制御部44は、端末装置40の各部を制御するコントローラである。制御部44は、例えば、CPU、MPU、GPU等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部44は、端末装置40内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部44は、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、GPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0105】
<1.3.台帳の更新例>
ここで、ブロックチェーンネットワークBNで行われる台帳更新の一例について説明する。まず、本実施形態で用いられる台帳の一例について説明する。
【0106】
図8は、本開示の第1実施形態に係る台帳の一例を示す図である。
図8に示すように、台帳は、複数のブロックを含む。ブロックは、トランザクション情報と、直前のブロックの圧縮データと、Key及びValueデータと、を含む。
【0107】
トランザクション情報は、ブロックチェーンネットワークBNで行われるトランザクションに関する情報である。例えば、トランザクションとして、UE40から他のUE40への通信リソースの譲渡等が挙げられる。
【0108】
Key及びValueデータは、例えば、通信システムS1での通信に使用される通信リソースに関するリソース情報と、通信リソースが割り当てられる構成要素(コンポーネント)に関するコンポーネント情報と、を含む。
【0109】
コンポーネント情報は、例えば、Keyデータとして台帳に記録される。本実施形態に係るコンポーネント情報は、コアネットワーク10及びUE40を識別する識別情報である。UE40を識別する情報として、例えば、電話番号及びIMSI(International Mobile Subscriber Identity)等が挙げられる。
【0110】
リソース情報は、例えば、Valueデータとして台帳に記録される。本実施形態に係るリソース情報は、各コンポーネントに割り当てられた通信リソース(例えば、リソースブロック(FDDの場合は周波数帯域、TDDの場合は時間)、及び、QoS設定)に相当する値である。以下では、通信リソースがQoS設定であるものとして説明する。また、以下の説明で挙げるValueデータは、あくまでも例示である。
【0111】
図8は、本開示の第1実施形態に係るKey及びValueデータの一例を示す図である。
図8では、ブロックチェーンネットワークBNにコアネットワーク10及びUE40_1が含まれる場合のKey及びValueデータの一例が示される。
【0112】
後述するように、UE40_1がブロックチェーンネットワークBNに参加すると、コアネットワーク10からUE40_1へ通信リソースを譲渡するトランザクションが承認される。このトランザクションによって、例えば、
図8に示すKey及びValueデータが台帳に記録される。
【0113】
図8に示すように、Keyデータ及びValueデータは対応付けられて台帳に記録される。
図8の例では、Keyデータとして、コアネットワーク10及びUE40_1の識別情報が記録されている。また、コアネットワーク10に対応するValueデータとして、「95」が、UE40_1に対応するValueデータとして「5」が記録されている。また、
図8では、Valueデータに対応するQoS設定の一例が「QoS」として示される。この「QoS」は、実際の台帳に記録されてもよく、実際の台帳では省略されてもよい。
【0114】
ここで、Valueデータとして記録される数値は、QoS設定(QoS情報)に相当する値である。例えば、
図8のValueデータ「5」は、5QIの値が「9」であり、デフォルトとして使用リソースタイプが、non-GBR(Guarantee Bit Rate)であるというQoS設定に相当する。
【0115】
なお、コアネットワーク10にはQoSが設定されないため、コアネットワーク10の「QoS」は「N/A」(not applicable)として扱われる。
【0116】
図9は、本開示の第1実施形態に係るKey及びValueデータの他の例を示す図である。
図9では、ブロックチェーンネットワークBNにコアネットワーク10及びUE40_1~40_3が含まれる場合のKey及びValueデータの一例が示される。
【0117】
ここでは、コアネットワーク10からUE40_1~40_3へ、通信リソースを各UE40に均等に譲渡するトランザクションが承認された場合のKey及びValueデータが示される。
【0118】
図9の例では、コアネットワーク10に対応するValueデータとして、「0」が、UE40_1~40_3に対応するValueデータとして「33」が記録されている。例えば、
図9のValueデータ「33」は、5QIの値が「4」であり、GBRが50MbpsであるというQoS設定に相当する。
【0119】
図10は、本開示の第1実施形態に係るKey及びValueデータの他の例を示す図である。
図10では、ブロックチェーンネットワークBNにコアネットワーク10及びUE40_1~40_3が含まれる場合のKey及びValueデータの一例が示される。
【0120】
ここでは、UE40_1からUE40_3へ通信リソースを「20」譲渡するトランザクションが行われた場合のKey及びValueデータが示される。
【0121】
図10の例では、UE40_1に対応するValueデータとして「13」が、UE40_3に対応するValueデータとして「53」が記録されている。例えば、
図10のValueデータ「13」は、5QIの値が「7」であり、使用リソースタイプが、non-GBR(Guarantee Bit Rate)であるというQoS設定に相当する。また、Valueデータ「53」は、5QIの値が「4」であり、GBRが75MbpsであるというQoS設定に相当する。
【0122】
このように、UE40_1からUE40_3へ通信リソースを譲渡するトランザクションが承認されることで、UE40_3の優先度が高くなり、UE40_1の優先度が低くなるようにQoS設定が変更される。これにより、UE40_3により多くの通信リソースが割り当てられることになる。
【0123】
トランザクションが承認されると、スマートコントラクトによって通信リソースの配分及び設定が行われる。この通信リソースの配分及び設定は、コアネットワーク10によって各UE40に対して行われる。この通信リソースの配分及び設定は、3GPP(登録商標)によって標準化された仕様に基づいて行われ得る。
【0124】
なお、本実施形態において、トランザクションに制約が設けられてもよい。例えば、UE40に対して、自身に割り当てられた通信リソース以外のリソースの譲渡を提案・要求できないとする制約(制限)が設けられ得る。
【0125】
一方、コアネットワーク10のClientは、全ての通信リソースを譲渡する権限を有する。コアネットワーク10のClientは、UE40がブロックチェーンネットワークBNに接続する場合に、UE40が通信を開始するため、及び、ブロックチェーンネットワークBNに参加させるために、この権限を使用する。例えば、UE40がブロックチェーンネットワークBNに接続する場合、コアネットワーク10のClientは、自身には割り当てられていない通信リソースを、UE40に譲渡するトランザクションの提案・要求を行う。
【0126】
<1.4.処理例>
次に、通信システムS1で実行される各処理の一例について説明する。
【0127】
<1.4.1.P2Pネットワーク確立処理>
図11は、本開示の第1実施形態に係るP2Pネットワーク確立処理の流れの一例を示すシーケンス図である。P2Pネットワーク確立処理は、通信システムS1の各ノード(UE40及びコアネットワーク10)がブロックチェーンネットワークBNに参画する場合に実行される。なお、P2Pネットワーク確立処理はL4以上で行われる。
【0128】
図11の例では、コアネットワーク(CoreNW)10及びUE40_2、40_3で形成されるブロックチェーンネットワークBNにUE40_1が参画する。また、コアネットワーク10がエンドポイント、UE40_1が第1ノード、UE40_2が第2ノード、UE40_3が第3ノードである。
【0129】
図11に示すように、UE40_1は、ブロックチェーンネットワーク(NW)BNへの参加表明をコアネットワーク10に通知する(ステップS101)。この通知は、例えば、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)のREST API等を用いて行われる。
【0130】
コアネットワーク10は、参加表明に含まれる証明書の確認を行うことで、UE40_1の認証を行う(ステップS102)。この証明書は、CAが発行した証明書である。
【0131】
コアネットワーク10は、ブロックチェーンネットワークBNへの参加承認をUE40_1に通知する(ステップS103)。この通知は、例えば、HTTPのREST API等を用いて行われる。
【0132】
コアネットワーク10は、UE40_1にノード情報の台帳を配布する(ステップS104)。また、コアネットワーク10は、UE40_2、40_3にノード情報の台帳を配布する(ステップS105)。この配布は、例えば、HTTPのREST API及びSDP(Session Description Protocol)等を用いて行われる。ノード情報には、例えばIPアドレス及びポート番号等が含まれる。
【0133】
このノード情報を用いてUE40_1及びUE40_2の間でP2P接続が確立される(ステップS106)。UE40_1及びUE40_2は、ノード情報を用いてP2P接続及びセッション確立を行う。P2P接続及びセッションの確立は、例えば、HTTP及びgRPC等を用いて行われる。
【0134】
また、同様に、ノード情報を用いてUE40_1及びUE40_3の間でP2P接続が確立され(ステップS107)、UE40_2及びUE40_3の間でP2P接続が確立される(ステップS108)。
【0135】
なお、ここでは、コアネットワーク10がエンドポイントとして機能する場合について示したが、コアネットワーク10は、ノードとしてUE40との間でP2P接続を確立し得る。
【0136】
<1.4.2.ネットワーク接続処理>
図12は、本開示の第1実施形態に係るネットワーク接続処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図12のネットワーク接続処理は、例えば、UE40が、モバイルネットワークに初めて接続する場合に実行される。ここで、モバイルネットワークは、コアネットワーク10及び基地局20によってUE40に提供されるネットワーク(セルラーネットワーク)である。
【0137】
図12に示すように、コアネットワーク(CoreNW)10は、ブロックチェーンネットワーク(NW)BNに参画し、P2Pネットワークを確立する(ステップS201)。ここで、コアネットワーク10は、例えば、
図11に示すP2Pネットワーク確立処理を実行することで、P2Pネットワークを確立する。
【0138】
その後、UE40が、モバイルネットワークに接続する場合、UE40、基地局20及び、コアネットワーク10の間でコアネットワーク10へのレジストレーション処理が実行される(ステップS202)。レジストレーション処理は、例えば、3GPP(登録商標)の標準規格で定義された手順に従って行われる。
【0139】
コアネットワーク10は、UE40への台帳更新処理を開始する(ステップS203)。台帳更新処理は、例えば以下の手順に従って実行される。
【0140】
A1)コアネットワーク10のClientがトランザクションを提案する(proposal)。ここでは、例えば、UE40へのリソースを譲渡するトランザクションが提案される。
【0141】
A2)Endorserによってトランザクションが実行される。またUE40がブロックチェーンネットワークBNに参画していない場合、コアネットワーク10のEndorserによってトランザクションが実行される。
【0142】
A3)Endorserからコアネットワーク10のClientに結果が通知される(endorsement)。
【0143】
A4)コアネットワーク10のClientから、コアネットワーク10のOrdererへトランザクションの要求が行われる(request)。
【0144】
A5)コアネットワーク10のOrdererは、トランザクションの順序付けを行い、結果をEndorserに配信する。
【0145】
A6)Endorserが結果トランザクションを検証し、ブロックチェーン(台帳)を更新する。Endorserは、結果をClientに通知する。
【0146】
A7)コアネットワーク10は、更新されたブロックチェーンに応じて、UE40のQoSに相当する通信リソースを確定する。
【0147】
その後、UE40、基地局20及びコアネットワーク10の間でPDU確立処理が行われる(ステップS204)。例えば、UE40がPDUの確立を要求することでPDUが確立される。また、このPDU確立には、リソース譲渡処理によって確定した通信リソース(例えばQoS情報)が含まれる。PDU確立処理は、例えば、3GPP(登録商標)の標準規格で定義された手順に従って行われる。
【0148】
次に、UE40は、ブロックチェーンネットワークBNに参画し、P2Pネットワークを確立する(ステップS205)。
【0149】
ここで、
図13、
図14及び
図15を用いて、UE40が初めてブロックチェーンネットワークBNに参加した場合の台帳更新の一例について説明する。
図13、
図14及び
図15は、本開示の第1実施形態に係る台帳の一例を示す図である。ここでは、UE40_1が初めてブロックチェーンネットワークBNに接続する場合について説明する。
【0150】
図13は、ブロックチェーンネットワークBNにUE40が参加していない、すなわち、初期状態(UE未接続)のブロックチェーンの一例を示す図である。この場合、トランザクションは提案されておらず、直前のブロックのデータはない状態(直前の状態が「なし」)である。
【0151】
図12のネットワーク接続処理においてステップS202が実行され、UE40のレジストレーションが完了すると、
図14に示すように、ブロックチェーンのKeyデータとしてUE40_1が追加される。この場合、まだトランザクションが提案されていないため、UE40_1のValueデータは「0」、すなわち、UE40_1にリソースが割り当てられていない状態である。
【0152】
次に、
図12のネットワーク接続処理においてステップS203が実行されると(具体的には、Validation後)、コアネットワーク10からUE40_1へリソースの譲渡が行われる。ここでは、コアネットワーク10のClientからUE40_1のClientに通信リソースが「5」譲渡されたとする。
【0153】
この場合、ブロックチェーンは、
図15に示すように更新される。具体的には、ブロックチェーンには、「CoreNWがUE40_1に5」譲渡するトランザクション、直前のブロックの圧縮データ及びKey及びValueデータを含むブロック(譲渡情報の一例)が追加される。ここで、追加されたブロックのKey及びValueデータには、コアネットワーク10の通信リソースが「95」であり、UE40_1の通信リソースが「5」であることを示す情報が含まれる。
【0154】
このように、UE40_1がモバイルネットワークに接続すると、コアネットワーク10から通信リソースの譲渡が行われる。UE40_1は、譲渡された通信リソースを用いてブロックチェーンネットワークBNに参加し、P2P接続を行う。
【0155】
ここでは、UE40_1がモバイルネットワークに接続し、ブロックチェーンネットワークBNに参加する場合について説明したが、他のUE40_2、40_3も同様にしてモバイルネットワークに接続し、ブロックチェーンネットワークBNに参加する。
【0156】
<1.4.3.リソース制御処理>
図16は、本開示の第1実施形態に係るリソース制御処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図16に示すリソース制御処理は、例えば、複数のUE40がブロックチェーンネットワークBNに参加している状態で、通信リソースの譲渡が行われる場合に実行される。
【0157】
ここでは、UE40_1~40_3がブロックチェーンネットワークBNに参加している状態で、UE40_1からUE40_3へ通信リソースの譲渡が行われるものとする。
【0158】
まず、UE40_1~40_3及びコアネットワーク10は、台帳更新処理を実行する(ステップS301)。この台帳更新処理は基地局20を介して実行される。また、台帳更新処理は、例えば以下の手順に従って実行される。
【0159】
B1)UE40_1のClientは、UE40_3へ通信リソースを譲渡するトランザクションを提案する(proposal)。
【0160】
B2)Endorser(Peer)は、トランザクションを実行する。例えば、UE40_1~40_3及びコアネットワーク10のEndorserは、トランザクションを実行する。
【0161】
B3)Endorser(Peer)からUE40_1のClientに結果が通知される(endorsement)。
【0162】
B4)UE40_1のClientから、コアネットワーク10のOrdererへトランザクションの要求が行われる(request)。
【0163】
B5)コアネットワーク10のOrdererは、トランザクションの順序付けを行い、結果をEndorserに配信する。
【0164】
B6)Endorserが結果トランザクションを検証し、ブロックチェーン(台帳)を更新する。Endorserは、結果をClientに通知する。
【0165】
次に、コアネットワーク10は、QoS情報を更新する(ステップS302)。例えば、コアネットワーク10は、更新された台帳に基づき、各UE40の通信リソース情報に相当するQoS情報を更新する。例えば、コアネットワーク10のPCF105は、所定のコアネットワーク10のノード(SMF106、UPF130等)に対して、QoS情報の更新を制御する。例えば、コアネットワーク10は、3GPP TS29.122のAfSessioWIthQoSのフローに従ってQoS情報を更新する。
【0166】
コアネットワーク10は、更新したQoS情報を基地局20に対して要求する(ステップS303)。例えば、コアネットワーク10のNEF102は、3GPP(登録商標)のNG Interface(例えば、TS38.300 N2 Message)を用いて基地局20に対して要求する。
【0167】
基地局20は、要求に従って、各UE40の通信リソースをスケジューリングする(ステップS304)。基地局20は、通信リソースのスケジューリングの結果を、例えば、RRC Re-Configurationによって各UE40に通知する(ステップS305)。
【0168】
ここで、
図17及び
図18を用いて、UE40間で通信リソースの譲渡が行われた場合の台帳更新の一例について説明する。
図17及び
図18は、本開示の第1実施形態に係る台帳の一例を示す図である。ここでは、UE40_1~40_3がブロックチェーンネットワークBNに参加している状態で、UE40_1からUE40_3へ通信リソースの譲渡が行われるものとする。
【0169】
図17は、通信リソースの譲渡が行われる前のブロックチェーンの一例を示す図である。ここでは、譲渡が行われる直前にブロックチェーンに追加されたブロックが図示されている。
【0170】
図17に示すように、ブロックには、トランザクション情報、直前のブロックの圧縮データ、及び、Key及びValueデータが含まれる。Key及びValueデータは、コアネットワーク10の通信リソースが「0」であり、UE40の通信リソースが「33」であることを示している。
【0171】
図16のリソース制御処理においてステップS301の台帳更新処理が実行されると、
図18に示すように、新たなブロック(譲渡情報の一例)が追加される。新たなブロックには、「UE40_1からUE40_3に20」譲渡するトランザクション、直前のブロックの圧縮データ、及び、Key及びValueデータが含まれる。
【0172】
新たなブロックのKey及びValueデータには、コアネットワーク10の通信リソースが「0」、UE40_1の通信リソースが「15」、UE40_2の通信リソースが「33」、UE40_3の通信リソースが「53」であることを示す情報が含まれる。
【0173】
コアネットワーク10が更新後の台帳を用いてQoS情報を更新することで、UE40_1は、自身に割り当てられた通信リソースを自発的にUE40_3に譲渡することができる。
【0174】
<<2.第2実施形態>>
第1実施形態では、コアネットワーク10が複数のUE40と1つのブロックチェーンネットワークBNを形成するとしたが、コアネットワーク10が複数のUE40と複数のブロックチェーンネットワークBNを形成するようにしてもよい。そこで、第2実施形態では、コアネットワーク10が2つのブロックチェーンネットワークBN_A、BN_Bを形成する例について説明する。
【0175】
図19は、本開示の第2実施形態に係る通信システムS2の構成例を示す図である。
図19に示す通信システムS2では、コアネットワーク10及びUE40A_1~UE40A_3の間でブロックチェーンネットワークBN_Aが形成される。また、コアネットワーク10及びUE40B_1、UE40B_2の間でブロックチェーンネットワークBN_Bが形成される。
【0176】
なお、ここでは、ブロックチェーンネットワークBN_Aに3つのUE40Aが含まれ、ブロックチェーンネットワークBN_Bに2つのUE40Bが含まれるとするが、各ブロックチェーンネットワークBNに含まれるUE40の数はこれに限定されない。例えば、ブロックチェーンネットワークBN_Aに2つのUE40Aが含まれていてもよく、4つ以上のUE40Aが含まれていてもよい。また、ブロックチェーンネットワークBN_Bに3つ以上のUE40Bが含まれていてもよい。
【0177】
(ブロックチェーンネットワークBN_A)
コアネットワーク10は、ブロックチェーンネットワークBN_AのCA A、Orderer A、Endorser(Endorsement) A、及び、Client(Client App) Aとして機能する。
【0178】
また、コアネットワーク10のEndorser Bは、後述するようにブロックチェーンネットワークBN_BのEndorserとして機能するとともに、ブロックチェーンネットワークBN_AのEndorserとしても機能する。
【0179】
UE40Aは、ブロックチェーンネットワークBN_AのClient(Client App) A及びEndorse(Endosement) Aとして機能する。
【0180】
(ブロックチェーンネットワークBN_B)
コアネットワーク10は、ブロックチェーンネットワークBN_BのCA B、Orderer B、Endorser(Endorsement) B、及び、Client(Client App) Bとして機能する。
【0181】
また、コアネットワーク10のEndorser Aは、上述したようにブロックチェーンネットワークBN_AのEndorserとして機能するとともに、ブロックチェーンネットワークBN_BのEndorserとしても機能する。
【0182】
UE40Bは、ブロックチェーンネットワークBN_BのClient(Client App) B及びEndorse(Endosement) Bとして機能する。
【0183】
なお、各ブロックチェーンネットワークBNで実行される処理は、第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0184】
ブロックチェーンネットワークBN_A、BN_Bは、それぞれ同じサービス事業者によって利用されてもよく、異なるサービス事業者によって利用されてもよい。
【0185】
このように、1つのコアネットワーク10は、複数のブロックチェーンネットワークBNを形成することができる。
【0186】
なお、ここでは、ブロックチェーンネットワークBN間でコアネットワーク10のEndorser A、Bを共有するとしたが、Endorser A、Bが共有されなくてもよい。すなわち、コアネットワーク10のEndorser Aは、ブロックチェーンネットワークBN_AのEndorserとしてのみ機能するようにしてもよい。同様に、コアネットワーク10のEndorser Bは、ブロックチェーンネットワークBN_BのEndorserとしてのみ機能するようにしてもよい。
【0187】
また、ここでは、コアネットワーク10が2つのブロックチェーンネットワークBN_A、BN_Bに含まれるとしたが、コアネットワーク10が含まれるブロックチェーンネットワークBNの数は2つに限定されない。コアネットワーク10が3つ以上のブロックチェーンネットワークBNに含まれてもよい。
【0188】
<<3.第3実施形態>>
第1、第2実施形態では、コアネットワーク10がブロックチェーンネットワークBNのコンポーネントとして動作する。そのため、コアネットワーク10によって直接、台帳更新による通信リソースの制御が行える。一方、コアネットワーク10がブロックチェーンネットワークBNのコンポーネントとして動作するために、コアネットワーク10の変更が必要になる。
【0189】
そこで、コアネットワーク10の代わりに、セルラーネットワーク外のアプリケーションファンクション(例えば、
図4のアプリケーションサーバ50に相当)がブロックチェーンネットワークBNのコンポーネントとして動作させる。この場合を、第3実施形態として説明する。
【0190】
<3.1.通信システムの構成例>
<3.1.1.通信システムの全体構成例>
図20は、本開示の第3実施形態に係る通信システムS3の構成例を示す図である。
図20に示す通信システムS3は、コアネットワーク10、基地局20、UE40及びアプリケーションサーバ50を備える。
【0191】
アプリケーションサーバ50は、アプリケーションファンクション(AF)として動作する。以下、アプリケーションサーバ50をAF50とも記載する。
【0192】
図20に示すように、本実施形態に係る通信システムS3では、AF50と複数のUE40との間でブロックチェーンネットワークBNが形成される。例えば、ブロックチェーンネットワークBNは、AF50及び複数のUE40のアプリレイヤで構築される。
【0193】
表2に、本開示の第3実施形態に係るノードとコンポーネント(構成要素)との対応表の一例を示す。
【0194】
【0195】
図20及び表2に示すように、AF50、CA、Client、Endorser、及び、Ordererの役割を有する。UE40、より具体的には、UE40条のアプリケーションは、Client及びEndorserの役割を有する。Client、Endorser、及び、Ordererは、CAによって証明書が発行されている。換言すると、証明書がない構成要素(例えば、UE40)は、ブロックチェーンネットワークBNに参加(join)できない。また、AF50がブロックチェーンのエンドポイントとなる。
【0196】
なお、
図20では図示を省略しているが、コアネットワーク10、基地局20、及び、UE40は、セルラーネットワークを介して接続される。また、AF50は、インターネットを介してセルラーネットワークに接続する。AF50及び各UE40は、コアネットワーク10及び基地局20を介して通信を行う。なお、各UE40は、サイドリンク通信により直接通信を行ってもよい。
【0197】
<3.1.2.アプリケーションサーバの構成例>
図21は、本開示の第3実施形態に係るアプリケーションサーバ50の構成例を示すブロック図である。
図21のアプリケーションサーバ50は、通信部51と、記憶部52と、制御部53と、を備える。
【0198】
なお、
図21に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、アプリケーションサーバ50の機能は、複数の物理的に分離された構成に静的、或いは、動的に分散して実装されてもよい。例えば、アプリケーションサーバ50は、複数のサーバ装置により構成されていてもよい。
【0199】
通信部51は、他の装置と通信するための通信インタフェースである。通信部51は、ネットワークインタフェースであってもよいし、機器接続インタフェースであってもよい。例えば、通信部51は、NIC(Network Interface Card)等のLAN(Local Area Network)インタフェースであってもよいし、USBホストコントローラ、USBポート等により構成されるUSBインタフェースであってもよい。また、通信部51は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。通信部51は、アプリケーションサーバ50の通信手段として機能する。通信部51は、制御部53の制御に従ってコアネットワーク10及びUE40等と通信する。
【0200】
記憶部52は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部52は、アプリケーションサーバ50の記憶手段として機能する。
【0201】
制御部53は、アプリケーションサーバ50の各部を制御するコントローラである。制御部53は、例えば、CPU、MPU、GPU等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部53は、アプリケーションサーバ50内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部53は、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、GPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0202】
<3.2.処理例>
<3.2.1.ネットワーク接続処理>
図22は、本開示の第3実施形態に係るネットワーク接続処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図22のネットワーク接続処理は、例えば、UE40が、モバイルネットワーク(セルラーネットワーク)に初めて接続する場合に実行される。
【0203】
図22に示すように、AF50は、ブロックチェーンネットワーク(NW)BNに参画し、P2Pネットワークを確立する(ステップS401)。ここで、AF50は、例えば、
図22に示すP2Pネットワーク確立処理を実行することで、P2Pネットワークを確立する。
【0204】
その後、UE40がモバイルネットワークに接続する場合、UE40、基地局20及び、コアネットワーク10の間でコアネットワーク10へのレジストレーション処理が実行される(ステップS402)。レジストレーション処理は、例えば、3GPP(登録商標)の標準規格で定義された手順に従って行われる。
【0205】
次に、UE40、基地局20及びコアネットワーク10の間でPDU確立処理が行われる(ステップS403)。例えば、UE40がPDUの確立を要求することでPDUが確立される。このとき、UE40には、コアネットワーク10デフォルトの通信リソース(例えば、5QI等のQoS情報)が割り当てられる。
【0206】
UE40は、PDU確立後、ブロックチェーンネットワークBNに参画し、P2Pネットワークを確立する(ステップS404)。
【0207】
また、コアネットワーク10は、UE40の接続状態をAF50に通知する(ステップS405)。
【0208】
AF50は、UE40がモバイルネットワークに接続した状態であるとの通知を受けると、台帳更新処理を開始する(ステップS406)。台帳更新処理は、例えば以下の手順に従って実行される。
【0209】
C1)AF50のClientがトランザクションを提案する(proposal)。ここでは、例えば、UE40へのリソースを譲渡するトランザクションが提案される。
【0210】
C2)Endorserによってトランザクションが実行される。またUE40がブロックチェーンネットワークBNに参画していない場合、AF50のEndorserによってトランザクションが実行される。
【0211】
C3)EndorserからAF50のClientに結果が通知される(endorsement)。
【0212】
C4)AF50のClientから、AF50のOrdererへトランザクションの要求が行われる(request)。
【0213】
C5)AF50のOrdererは、トランザクションの順序付けを行い、結果をEndorserに配信する。
【0214】
C6)Endorserが結果トランザクションを検証し、ブロックチェーン(台帳)を更新する。Endorserは、結果をClientに通知する。
【0215】
AF50は、更新されたブロックチェーンに基づき、コアネットワーク10にQoS制御を要求する(ステップS407)。AF50は、NEF102に対して、NEF API(例えば、TS29.122 AfSessioWIthQoS)を用いてQoS制御を要求する。
【0216】
コアネットワーク10は、AF50からの要求に応じて、QoS情報を更新する(ステップS408)。例えば、コアネットワーク10のPCF105は、所定のコアネットワーク10のノード(SMF106、UPF130等)に対して、QoS情報の更新を制御する。このように、AF50は、NEF102を介してPCF105に通信リソースの譲渡(QoS情報の更新)を要求する。
【0217】
以降の処理は、
図16のリソース制御処理と同じ処理であるため、同一符号を付し説明を省略する。
【0218】
ここで、
図23及び
図24を用いて、UE40が初めてブロックチェーンネットワークBNに参加した場合の台帳更新の一例について説明する。
図23及び
図24は、本開示の第3実施形態に係る台帳の一例を示す図である。ここでは、UE40_1が初めてブロックチェーンネットワークBNに接続する場合について説明する。
【0219】
図23は、ブロックチェーンネットワークBNにUE40が参加していない、すなわち、初期状態(UE未接続)のブロックチェーンの一例を示す図である。この場合、トランザクションは提案されておらず、直前のブロックのデータはない状態(直前の状態が「なし」)である。
【0220】
図22のネットワーク接続処理においてステップS403が実行され、UE40がモバイルネットワークに接続しても、コアネットワーク10からの通知を受けるまで台帳は更新されず、
図23に示すままである。
【0221】
コアネットワーク10からUE40_1が接続したとの通知を受けたAF50は、台帳更新処理を実行する(
図22のステップS406)。ここでは、AF50のClientからUE40_1のClientに通信リソースが「5」譲渡されたとする。
【0222】
この場合、ブロックチェーンは、
図24に示すように更新される。具体的には、ブロックチェーンには、「AFがUE40_1に5」譲渡するトランザクション、直前のブロックの圧縮データ及びKey及びValueデータを含むブロックが追加される。ここで、追加されたブロックのKey及びValueデータには、AF50の通信リソースが「95」であり、UE40_1の通信リソースが「5」であることを示す情報が含まれる。
【0223】
このように、UE40_1がモバイルネットワークに接続したことがAF50に通知されると、AF50から通信リソースの譲渡が行われる。これにより、デフォルトのQoS情報に基づいて通信を行っていたUE40_1は、AF50から譲渡された通信リソース(例えば、QoS情報)に基づいて通信を行うこととなる。
【0224】
<3.2.2.リソース制御処理>
図25は、本開示の第3実施形態に係るリソース制御処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図25に示すリソース制御処理は、例えば、複数のUE40がブロックチェーンネットワークBNに参加している状態で、通信リソースの譲渡が行われる場合に実行される。
【0225】
ここでは、UE40_1~40_3がブロックチェーンネットワークBNに参加している状態で、UE40_1からUE40_3へ通信リソースの譲渡が行われるものとする。
【0226】
まず、UE40_1~40_3及びAF50は、台帳更新処理を実行する(ステップS501)。この台帳更新処理はコアネットワーク10及び基地局20を介して実行される。また、台帳更新処理は、例えば以下の手順に従って実行される。
【0227】
D1)UE40_1のClientは、UE40_3へ通信リソースを譲渡するトランザクションを提案する(proposal)。
【0228】
D2)Endorser(Peer)は、トランザクションを実行する。例えば、UE40_1~40_3及びAF50のEndorserは、トランザクションを実行する。
【0229】
D3)Endorser(Peer)からUE40_1のClientに結果が通知される(endorsement)。
【0230】
D4)UE40_1のClientから、AF50のOrdererへトランザクションの要求が行われる(request)。
【0231】
D5)AF50のOrdererは、トランザクションの順序付けを行い、結果をEndorserに配信する。
【0232】
D6)Endorserが結果トランザクションを検証し、ブロックチェーン(台帳)を更新する。Endorserは、結果をClientに通知する。
【0233】
AF50は、更新されたブロックチェーンに基づき、コアネットワーク10にQoS制御を要求する(ステップS502)。
【0234】
以降の処理は、
図22に示すネットワーク接続処理と同じであるため説明を省略する。
【0235】
以上のように、第3実施形態では、AF50がブロックチェーンネットワークBNに含まれる。AF50を含むブロックチェーンネットワークBNで通信リソースの譲渡が行われることで、コアネットワーク10を変更することなく、UE40主導で通信リソースの制御を行うことができる。そのため、本実施形態に係る通信システムS3は、ブロックチェーンネットワークBNによる通信リソースの制御をより容易に実現することができる。
【0236】
なお、ここでは、コアネットワーク10外のAF50がブロックチェーンネットワークBNを構成するとしたが、コアネットワーク10内のAF308(
図4参照)がブロックチェーンネットワークBNを構成するようにしてもよい。
【0237】
<<4.その他の実施形態>>
上述の各実施形態は一例を示したものであり、種々の変更及び応用が可能である。
【0238】
例えば、上述した第1、第2実施形態では、ブロックチェーンネットワークBNにコアネットワーク10が含まれるとした。また、上述した第3実施形態では、ブロックチェーンネットワークBNにAF50が含まれるとした。しかしながら、ブロックチェーンネットワークBNを構成する装置は、コアネットワーク10及びAF50に限定されない。例えば、基地局20がブロックチェーンネットワークBNに含まれていてもよい。
【0239】
この場合、基地局20は、コアネットワーク10又はAF50の代わりにブロックチェーンネットワークBNのコンポーネントとして動作する。すなわち、基地局20は、CA、Client、Endorser、及び、Ordererの全ての役割を担い得る。
【0240】
あるいは、基地局20が、コアネットワーク10又はAF50に加えて、ブロックチェーンネットワークBNのコンポーネントとして動作してもよい。例えば、基地局20は、Client、及び、Endorserの役割を担い得る。又は、基地局20が、コアネットワーク10又はAF50の代わりにCA、及び、Ordererの少なくとも一方の役割を担い得る。
【0241】
また、上述した各実施形態では、通信リソースがQoS設定である場合を例に説明を行った。例えば、帯域保証(Guaranteed)されたQoS設定であれば、UE40は、このQoS設定を、例えば一時的に放棄したり譲渡したりすることができる。
【0242】
なお、通信リソースは、このQoS設定に限定されない。例えば、通信リソースはリソースブロックで合ってもよい。一般的に、リソースブロックは、各UE40に必要な分割り当てられる。そのため、UE40は、リソースブロックを返却することで、通信リソース(リソースブロック)を譲渡する。
【0243】
また、上述した各実施形態では、1つのキャリア内でブロックチェーンネットワークBNによるリソース制御サービスが提供されるが、ブロックチェーンネットワークBNによるリソース制御サービスが別のソリューションとして提供されてもよい。例えば、ブロックチェーンネットワークBNによるリソース制御サービスが、FWA(Fixed Wireless Access)のラストワンマイルを無線化するソリューションとして提供されてもよい。
【0244】
また、上述した各実施形態では、UE40が、コアネットワーク10(又はAF50)又は他のUEから通信リソースを譲り受けるとしたが、通信リソースを譲り受けるノードはUE40に限定されない。例えば、コアネットワーク10(又はAF50)等、事業者(ネットワーク)側のノードが、UE40から通信リソースを譲り受けてもよい。
【0245】
この場合、通信リソースを譲渡するUE40は、コアネットワーク10(又はAF50)へ通信リソースを譲渡するトランザクションを提案する。なお、台帳更新処理は譲渡先がコアネットワーク10(又はAF50)である点を除き、上述した各実施形態と同様の処理手順で行われ得る。
【0246】
このように、UE40がネットワーク側に通信リソースを譲渡することができるようにすることで、例えば、ネットワークリソースが逼迫する場所及び時間帯等に、UE40を使用するユーザが自主的に(明示的に)ネットワーク側に返却することができる。これにより、通信システムSは、通信リソースの利用効率をより向上させることができる。
【0247】
また、通信システムSを運用する事業者は、ネットワークリソースが逼迫する状況で通信リソースを譲渡したユーザに対して、携帯料金の割引や事業者ポイントの付与等、インセンティブを与えるようにしてもよい。これにより、事業者はユーザに対して通信リソースの譲渡を促すことができ、通信システムSは通信リソースの利用効率をより向上させることができる。
【0248】
上述した各実施形態の情報処理装置100、基地局20、端末装置(UE)40、又は、アプリケーションサーバ50を制御する制御装置は、専用のコンピュータシステムにより実現してもよいし、汎用のコンピュータシステムによって実現してもよい。
【0249】
例えば、上述の動作を実行するための通信プログラムを、光ディスク、半導体メモリ、磁気テープ、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布する。そして、例えば、該プログラムをコンピュータにインストールし、上述の処理を実行することによって制御装置を構成する。このとき、制御装置は、情報処理装置100、基地局20、端末装置40、又は、アプリケーションサーバ50の外部の装置(例えば、パーソナルコンピュータ)であってもよい。また、制御装置は、情報処理装置100、基地局20、端末装置40、又は、アプリケーションサーバ50の内部の装置(例えば、制御部13、制御部24、制御部44、又は、制御部53)であってもよい。
【0250】
また、通信プログラムをインターネット等のネットワーク上のサーバ装置が備えるディスク装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションソフトとの協働により実現してもよい。この場合には、OS以外の部分を媒体に格納して配布してもよいし、OS以外の部分をサーバ装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。
【0251】
また、上述した各実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0252】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。なお、この分散・統合による構成は動的に行われてもよい。
【0253】
また、上述した各実施形態は、処理内容を矛盾させない領域で適宜組み合わせることが可能である。また、上述した各実施形態のシーケンス図に示された各ステップは、適宜順序を変更することが可能である。
【0254】
また、例えば、各実施形態は、装置またはシステムを構成するあらゆる構成、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
【0255】
なお、各実施形態において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。従って、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0256】
また、例えば、各実施形態は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0257】
<<5.むすび>>
以上、本開示の各実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は、上述の各実施形態そのままに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、異なる実施形態及び変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0258】
また、本明細書に記載された各実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【0259】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
第1の端末装置と、
第2の端末装置と、
通信制御装置と、
を備え、
前記第1の端末装置、前記第2の端末装置、及び、前記通信制御装置の間でブロックチェーンネットワークが形成され、
前記第1の端末装置は、前記ブロックチェーンネットワークに対して、前記第1の端末装置から前記第2の端末装置への通信リソースの譲渡を要求し、
前記要求が承認された場合、前記通信制御装置によって、前記第1の端末装置に割り当てられていた前記通信リソースが前記第2の端末装置へ譲渡される、
通信システム。
(2)
前記通信制御装置は、
AF(Application Function)の機能を有し、
NEF(Network Exposure Function)を介してPCF(Policy Control Function)に、前記通信リソースの前記譲渡の指示を行い、
前記指示が行われることで、前記通信リソースの前記譲渡が行われる、
(1)に記載の通信システム。
(3)
前記通信制御装置は、
PCFの機能を有し、
所定のコアネットワークノードに対して、前記通信リソースの前記譲渡を制御する、
(1)に記載の通信システム。
(4)
端末装置が前記ブロックチェーンネットワークに接続すると、前記通信制御装置は、当該端末装置に前記通信リソースを譲渡する、(1)~(3)のいずれか1つに記載の通信システム。
(5)
前記通信リソースの前記譲渡が承認された場合、前記通信制御装置は、当該譲渡に関する譲渡情報をブロックチェーンに追加する、(1)~(4)のいずれか1つに記載の通信システム。
(6)
前記譲渡情報は、前記ブロックチェーンネットワークに接続する端末装置を識別する情報、及び、当該端末装置に割り当てられた前記通信リソースに関する情報を含む、
(5)に記載の通信システム。
(7)
前記通信リソースの前記譲渡は、QoS情報の変更によって行われる、(1)~(6)のいずれか1つに記載の通信システム。
(8)
前記第1の端末装置が譲渡する前記通信リソースは、当該第1の端末装置に割り当てられた前記通信リソースに制限される、(1)~(7)のいずれか1つに記載の通信システム。
(9)
割り当てられた通信リソースで通信を行う通信部と、
他の端末装置への前記通信リソースの譲渡を、自装置、前記他の端末装置、及び、通信制御装置の間で形成されるブロックチェーンネットワークに対して要求する制御部と、
を備え、
前記要求が承認された場合、前記通信制御装置によって、前記自装置に割り当てられていた前記通信リソースが前記他の端末装置へ譲渡される、
端末装置。
(10)
譲渡された通信リソースで通信を行う通信部と、
前記通信部の前記通信を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
自装置、他の端末装置、及び、通信制御装置の間で形成されるブロックチェーンネットワークに対して当該他の端末装置が行った前記通信リソースの譲渡要求が承認されることで、前記通信制御装置によって、前記他の端末装置に割り当てられていた前記通信リソースが前記自装置に譲渡されることで、当該通信リソースで前記通信を行う、
端末装置。
(11)
第1の端末装置と、第2の端末装置と、通信制御装置と、を備える通信システムの通信方法であって、
前記第1の端末装置、前記第2の端末装置、及び、前記通信制御装置の間でブロックチェーンネットワークが形成され、
前記第1の端末装置が、前記ブロックチェーンネットワークに対して、前記第1の端末装置から前記第2の端末装置への通信リソースの譲渡を要求することと、
前記要求が承認された場合、前記通信制御装置によって、前記第1の端末装置に割り当てられていた前記通信リソースが前記第2の端末装置へ譲渡されることと、
を含む通信方法。
(12)
第1の端末装置が割り当てられた通信リソースで通信を行うことと、
第2の端末装置への前記通信リソースの譲渡を、前記第1の端末装置、前記第2の端末装置、及び、通信制御装置の間で形成されるブロックチェーンネットワークに対して要求することと、
前記要求が承認された場合、前記通信制御装置によって、前記第1の端末装置に割り当てられていた前記通信リソースが前記第2の端末装置へ譲渡されることと、
を含む通信方法。
(13)
第1の端末装置が譲渡された通信リソースで通信を行うことと、
前記第1の端末装置、第2の端末装置、及び、通信制御装置の間で形成されるブロックチェーンネットワークに対して当該第2の端末装置が行った前記通信リソースの譲渡要求が承認されることで、前記通信制御装置によって、前記第2の端末装置に割り当てられていた前記通信リソースが前記第1の端末装置に譲渡されることと、
を含む通信方法。
【符号の説明】
【0260】
10 コアネットワーク
11,51 通信部
12,22,42,52 記憶部
13,24,44,53 制御部
20 基地局
21,41 信号処理部
23,43 ネットワーク通信部
40 端末装置
50 アプリケーションサーバ
S1,S2,S3 通信システム