(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128846
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H10B 41/27 20230101AFI20240913BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
H10B41/27
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038100
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】中西 徹
(72)【発明者】
【氏名】荒井 史隆
(72)【発明者】
【氏名】松尾 浩司
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP02
5F083EP24
5F083EP42
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
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5F083ER19
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5F083GA10
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083MA06
5F083MA16
5F083PR03
5F083PR05
5F083PR21
5F101BA01
5F101BB04
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH02
(57)【要約】
【課題】特性が向上する半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、第1の方向に延びる第1ないし第4のゲート電極層と、第1の方向に交差する第2の方向に延び、第1のゲート電極層と第3のゲート電極層との間、第2のゲート電極層と第4のゲート電極層との間に設けられた第1の半導体層と、第1の方向及び第2の方向に交差する第3の方向に延び、第1のゲート電極層に電気的に接続された第1の配線層と、第2のゲート電極層に電気的に接続された第2の配線層と、第3の方向に延び、第3のゲート電極層に電気的に接続された第3の配線層と、第3の方向に延び、第4のゲート電極層に電気的に接続された第4の配線層と、を備える。そして、第1の配線層は第3の配線層と第4の配線層との間に設けられ、第2の配線層は第1の配線層と第4の配線層との間に設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延びる第1のゲート電極層と、
前記第1の方向に延び、前記第1のゲート電極に対し、前記第1の方向に交差する第2の方向に設けられた第2のゲート電極層と、
前記第1の方向に延び、前記第1のゲート電極に対し前記第1の方向及び前記第2の方向に交差する第3の方向に設けられた第3のゲート電極層と、
前記第1の方向に延び、前記第3のゲート電極層に対し前記第2の方向に設けられ、前記第2のゲート電極層に対し前記第3の方向に設けられた第4のゲート電極層と、
前記第2の方向に延び、前記第1のゲート電極層と前記第3のゲート電極層との間、前記第2のゲート電極層と前記第4のゲート電極層との間に設けられた第1の半導体層と、
前記第1のゲート電極層と前記第1の半導体層との間に設けられた第1の電荷蓄積層と、
前記第2のゲート電極層と前記第1の半導体層との間に設けられた第2の電荷蓄積層と、
前記第3のゲート電極層と前記第1の半導体層との間に設けられた第3の電荷蓄積層と、
前記第4のゲート電極層と前記第1の半導体層との間に設けられた第4の電荷蓄積層と、
前記第3の方向に延び、前記第1のゲート電極層に電気的に接続された第1の配線層と、
前記第3の方向に延び、前記第1の配線層に対し前記第2の方向に設けられ、前記第2のゲート電極層に電気的に接続された第2の配線層と、
前記第3の方向に延び、前記第3のゲート電極層に電気的に接続された第3の配線層と、
前記第3の方向に延び、前記第3の配線層に対し前記第2の方向に設けられ、前記第4のゲート電極層に電気的に接続された第4の配線層と、
を備え、
前記第1の配線層は前記第3の配線層と前記第4の配線層との間に設けられ、
前記第2の配線層は前記第1の配線層と前記第4の配線層との間に設けられた、半導体記憶装置。
【請求項2】
基板を更に備え、
前記第2の方向は前記基板の表面に沿った方向である、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1の方向に垂直な断面において、前記第1のゲート電極層は、長径と、前記長径よりも短い短径とを有する、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1の方向に垂直な断面において、前記第1のゲート電極層は楕円形である、請求項3記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1の方向に垂直な断面において、前記長径の方向と、前記第2の方向との間の角度は、90度未満である、請求項3記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1の方向に垂直な断面において、前記長径の方向と、前記第2の方向との間の角度は、45度以上75度以下である、請求項3記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1のゲート電極層と前記第1の配線層との間に設けられ、前記第1のゲート電極層と前記第1の配線層とを接続する第1の接続部と、
前記第2のゲート電極層と前記第2の配線層との間に設けられ、前記第2のゲート電極層と前記第2の配線層とを接続する第2の接続部と、
前記第3のゲート電極層と前記第3の配線層との間に設けられ、前記第3のゲート電極層と前記第3の配線層とを接続する第3の接続部と、
前記第4のゲート電極層と前記第4の配線層との間に設けられ、前記第4のゲート電極層と前記第4の配線層とを接続する第4の接続部と、を更に備え、
前記第1の接続部と前記第2の接続部とを結ぶ方向は、前記第2の方向と交差し、
前記第3の接続部と前記第4の接続部とを結ぶ方向は、前記第2の方向と交差する、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第1の接続部と前記第2の接続部とを結ぶ前記方向は、前記第3の接続部と前記第4の接続部とを結ぶ前記方向と交差する、請求項7記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第1の半導体層に対し前記第3の方向に設けられ、前記第2の方向に延びる第2の半導体層を、更に備え、
前記第1のゲート電極層及び前記第2のゲート電極層は、前記第1の半導体層と前記第2の半導体層との間に設けられる、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第1の半導体層に対し前記第1の方向に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第1のゲート電極層と前記第3のゲート電極層との間、前記第2のゲート電極層と前記第4のゲート電極層との間に設けられた第3の半導体層を、更に備える、請求項1記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリセルを3次元的に配置した3次元NANDフラッシュメモリは、高い集積度と低いコストを実現する。3次元NANDフラッシュメモリのメモリセルを微細化することで、更に集積度を高くすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、特性が向上する半導体記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、第1の方向に延びる第1のゲート電極層と、前記第1の方向に延び、前記第1のゲート電極に対し、前記第1の方向に交差する第2の方向に設けられた第2のゲート電極層と、前記第1の方向に延び、前記第1のゲート電極に対し前記第1の方向及び前記第2の方向に交差する第3の方向に設けられた第3のゲート電極層と、前記第1の方向に延び、前記第3のゲート電極層に対し前記第2の方向に設けられ、前記第2のゲート電極層に対し前記第3の方向に設けられた第4のゲート電極層と、前記第2の方向に延び、前記第1のゲート電極層と前記第3のゲート電極層との間、前記第2のゲート電極層と前記第4のゲート電極層との間に設けられた第1の半導体層と、前記第1のゲート電極層と前記第1の半導体層との間に設けられた第1の電荷蓄積層と、前記第2のゲート電極層と前記第1の半導体層との間に設けられた第2の電荷蓄積層と、前記第3のゲート電極層と前記第1の半導体層との間に設けられた第3の電荷蓄積層と、前記第4のゲート電極層と前記第1の半導体層との間に設けられた第4の電荷蓄積層と、前記第3の方向に延び、前記第1のゲート電極層に電気的に接続された第1の配線層と、前記第3の方向に延び、前記第1の配線層に対し前記第2の方向に設けられ、前記第2のゲート電極層に電気的に接続された第2の配線層と、前記第3の方向に延び、前記第3のゲート電極層に電気的に接続された第3の配線層と、前記第3の方向に延び、前記第3の配線層に対し前記第2の方向に設けられ、前記第4のゲート電極層に電気的に接続された第4の配線層と、を備える。そして、前記第1の配線層は前記第3の配線層と前記第4の配線層との間に設けられ、前記第2の配線層は前記第1の配線層と前記第4の配線層との間に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態の半導体記憶装置のパターンレイアウト図。
【
図9】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図10】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図11】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図12】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図13】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図14】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図15】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図16】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図17】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図18】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図19】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図20】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図21】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図22】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図23】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図24】比較例の半導体記憶装置のパターンレイアウト図。
【
図27】実施形態の半導体記憶装置の作用及び効果の説明図。
【
図28】実施形態の半導体記憶装置の作用及び効果の説明図。
【
図29】実施形態の変形例の半導体記憶装置のパターンレイアウト図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材などには同一の符号を付し、一度説明した部材などについては適宜その説明を省略する。また、区別化のための英字を末尾に伴った参照符号が付された構成要素については、説明上、当該構成要素の間で相互に区別する必要が無い場合、末尾の英字が省略された参照符号を用いる場合がある。
【0008】
また、本明細書中、便宜上「上」、又は、「下」という用語を用いる場合がある。「上」、又は、「下」とは、例えば、図面内での相対的位置関係を示す用語である。「上」、又は、「下」という用語は、必ずしも、重力に対する位置関係を規定する用語ではない。
【0009】
本明細書中の半導体記憶装置を構成する部材の化学組成の定性分析及び定量分析は、例えば、二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)、エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:EDX)により行うことが可能である。また、半導体記憶装置を構成する部材の厚さ、部材間の距離等の測定には、例えば、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いることが可能である。
【0010】
実施形態の半導体記憶装置は、第1の方向に延びる第1のゲート電極層と、第1の方向に延び、第1のゲート電極に対し、第1の方向に交差する第2の方向に設けられた第2のゲート電極層と、第1の方向に延び、第1のゲート電極に対し第1の方向及び第2の方向に交差する第3の方向に設けられた第3のゲート電極層と、第1の方向に延び、第3のゲート電極層に対し第2の方向に設けられ、第2のゲート電極層に対し第3の方向に設けられた第4のゲート電極層と、第2の方向に延び、第1のゲート電極層と第3のゲート電極層との間、第2のゲート電極層と第4のゲート電極層との間に設けられた第1の半導体層と、第1のゲート電極層と第1の半導体層との間に設けられた第1の電荷蓄積層と、第2のゲート電極層と第1の半導体層との間に設けられた第2の電荷蓄積層と、第3のゲート電極層と第1の半導体層との間に設けられた第3の電荷蓄積層と、第4のゲート電極層と第1の半導体層との間に設けられた第4の電荷蓄積層と、第3の方向に延び、第1のゲート電極層に電気的に接続された第1の配線層と、第3の方向に延び、第1の配線層に対し第2の方向に設けられ、第2のゲート電極層に電気的に接続された第2の配線層と、第3の方向に延び、第3のゲート電極層に電気的に接続された第3の配線層と、第3の方向に延び、第3の配線層に対し第2の方向に設けられ、第4のゲート電極層に電気的に接続された第4の配線層と、を備える。そして、第1の配線層は第3の配線層と第4の配線層との間に設けられ、第2の配線層は第1の配線層と第4の配線層との間に設けられる。
【0011】
実施形態の半導体記憶装置は、3次元NANDフラッシュメモリである。実施形態の半導体記憶装置は、半導体基板の表面に平行な方向に延びる複数の半導体層が、半導体基板の上に積層される。半導体基板の表面に交差する方向に延びるゲート電極層と半導体層との交差部にメモリセルが形成される。実施形態の半導体記憶装置のメモリセルは、いわゆる、フローティングゲート型のメモリセルである。
【0012】
実施形態において、第2の方向は第1の方向と交差する方向である。また、第3の方向は、第1の方向及び第2の方向に交差する方向である。第2の方向は、例えば、第1の方向と直交する方向である。また、第3の方向は、例えば、第1の方向及び第2の方向に直交する方向である。以下、x方向は、第3の方向の一例である。y方向は第2の方向の一例である。z方向は第1の方向の一例である。x方向、y方向、及び、z方向は互いに直交する方向である。
【0013】
図1は、実施形態の半導体記憶装置のパターンレイアウト図である。
図1は、3次元NANDフラッシュメモリのメモリセルアレイの構成要素のパターンレイアウトを示す。
図1は、xy平面に各構成要素のパターンを投影した図である。
【0014】
図2、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、及び
図8は、実施形態の半導体記憶装置の模式断面図である。
図2~
図8は、実施形態の3次元NANDフラッシュメモリのメモリセルアレイの断面図である。
【0015】
図2及び
図3は、メモリセルアレイのxy断面である。
図3は、
図2の一部の拡大図である。
図2及び
図3は、半導体層を含む断面である。
【0016】
【0017】
例えば、
図2及び
図4の破線で囲まれた領域が、1個のメモリセルMCである。
【0018】
実施形態の3次元NANDフラッシュメモリは、例えば、図示しない周辺回路を含む。周辺回路は、例えば、CMOS回路で構成され、メモリセルアレイの動作を制御する機能を備える。
【0019】
実施形態の3次元NANDフラッシュメモリは、複数のゲート電極層10、複数の半導体層12、複数の電荷蓄積層14、複数のゲート配線層16、及び複数のコンタクトプラグ18を備える。また、実施形態の3次元NANDフラッシュメモリは、半導体基板20、基板絶縁層22、第1の層間絶縁層24、第2の層間絶縁層26、及び第3の層間絶縁層28を備える。
【0020】
複数のゲート電極層10は、第1のゲート電極層10a、第2のゲート電極層10b、第3のゲート電極層10c、及び、第4のゲート電極層10dを含む。複数の半導体層12は、第1の半導体層12a、第2の半導体層12b、及び、第3の半導体層12cを含む。複数の電荷蓄積層14は、第1の電荷蓄積層14a、第2の電荷蓄積層14b、第3の電荷蓄積層14c、及び、第4の電荷蓄積層14dを含む。複数のゲート配線層16は、第1のゲート配線層16a、第2のゲート配線層16b、第3のゲート配線層16c、及び、第4のゲート配線層16dを含む。複数のコンタクトプラグ18は、第1のコンタクトプラグ18a、第2のコンタクトプラグ18b、第3のコンタクトプラグ18c、及び、第4のコンタクトプラグ18dを含む。
【0021】
第1のゲート配線層16a、第2のゲート配線層16b、第3のゲート配線層16c、及び、第4のゲート配線層16dは、それぞれ、第1の配線層、第2の配線層、第3の配線層、及び、第4の配線層の一例である。第1のコンタクトプラグ18a、第2のコンタクトプラグ18b、第3のコンタクトプラグ18c、及び、第4のコンタクトプラグ18dは、それぞれ、第1の接続部、第2の接続部、第3の接続部、及び、第4の接続部の一例である。
【0022】
半導体基板20は、基板の一例である。
【0023】
半導体基板20は、例えば、単結晶シリコンである。半導体基板20は、例えば、シリコン基板である。半導体基板20は、x方向及びy方向に平行な表面を有する。半導体基板20の表面に垂直な方向は、z方向である。
【0024】
基板絶縁層22は、半導体基板20の上に設けられる。基板絶縁層22は、例えば、酸化シリコン又は酸化アルミニウムを含む。基板絶縁層22は、例えば、酸化シリコン層又は酸化アルミニウム層である。
【0025】
ゲート電極層10は、半導体基板20の表面に交差するz方向に延びる。ゲート電極層10は、半導体基板20の表面に垂直なz方向に延びる。
【0026】
第2のゲート電極層10bは、第1のゲート電極層10aに対してy方向に設けられる。第3のゲート電極層10cは、第1のゲート電極層に対してx方向に設けられる。第4のゲート電極層10dは、第3のゲート電極層10cに対してy方向に設けられる。第4のゲート電極層10dは、第2のゲート電極層10bに対してx方向に設けられる。
【0027】
ゲート電極層10は、例えば、z方向に垂直な断面において、長径(
図3cのd1)と、長径よりも短い短径(
図3のd2)とを有する。なお、z方向に垂直なゲート電極層10の断面において、ゲート電極層10を2本の平行線で挟んだ時に、平行線の間隔が最も大きい時の間隔を長径、平行線の間隔が最も小さい時の間隔を短径と定義する。
【0028】
z方向に垂直な断面において、ゲート電極層10は、例えば、楕円形である。
【0029】
z方向に垂直な断面において、ゲート電極層10の長径の方向とx方向は交差する。z方向に垂直な断面において、ゲート電極層10の長径の方向と、y方向との間の角度(
図3中のθ)は、90度未満である。z方向に垂直な断面において、ゲート電極層10の長径の方向と、y方向との間の角度(
図3中のθ)は、例えば、45度以上75度以下である。
【0030】
図3に示すように、z方向に垂直な断面において、ゲート電極層10の一部は半導体層12に食い込んでいる。ゲート電極層10の半導体層12へのx方向の食い込み量(
図3中のL1)の大きさによって、ゲート電極層10で制御されるメモリセルMCのメモリセルトランジスタのチャネル長が変化する。食い込み量L1が大きいほど、メモリセルトランジスタのチャネル長が大きくなり、例えば、トランジスタのカットオフ特性が向上する。
【0031】
ゲート電極層10は、メモリセルMCのメモリセルトランジスタのゲート電極として機能する。
【0032】
ゲート電極層10は、柱状の導電体である。ゲート電極層10は、例えば、金属を含む。
【0033】
ゲート電極層10は、例えば、タングステン(W)を含む。ゲート電極層10は、例えば、タングステン層である。
【0034】
半導体層12は、基板絶縁層22の上に設けられる。半導体層12は、半導体基板20の表面に沿った方向に延びる。半導体層12は、半導体基板20の表面に平行なy方向に延びる。
【0035】
半導体層12は、z方向に繰り返し配置される。半導体層12は、x方向に繰り返し配置される。
【0036】
第2の半導体層12bは、第1の半導体層12aに対してx方向に設けられる。第3の半導体層12cは、第1の半導体層12aに対してz方向に設けられる。
【0037】
第1の半導体層12aは、第1のゲート電極層10aと第3のゲート電極層10cとの間に設けられる。第1の半導体層12aは、第2のゲート電極層10bと第4のゲート電極層10dとの間に設けられる。
【0038】
第1のゲート電極層10a及び第2のゲート電極層10bは、第1の半導体層12aと第2の半導体層12bとの間に設けられる。
【0039】
第3の半導体層12cは、第1のゲート電極層10aと第3のゲート電極層10cとの間に設けられる。第3の半導体層12cは、第2のゲート電極層10bと第4のゲート電極層10dとの間に設けられる。
【0040】
半導体層12は、メモリセルMCのメモリセルトランジスタのチャネルとして機能する。
【0041】
半導体層12は、例えば、多結晶の半導体である。半導体層12は、例えば、多結晶シリコンを含む。半導体層12は、例えば、多結晶シリコン層である。半導体層12のz方向の厚さは、例えば、5nm以上30nm以下である。
【0042】
電荷蓄積層14は、ゲート電極層10と半導体層12との間に設けられる。第1の電荷蓄積層14aは、第1のゲート電極層10aと第1の半導体層12aとの間に設けられる。第2の電荷蓄積層14bは、第2のゲート電極層10bと第1の半導体層12aとの間に設けられる。第3の電荷蓄積層14cは、第3のゲート電極層10cと第1の半導体層12aとの間に設けられる。第4の電荷蓄積層14dは、第4のゲート電極層10dと第1の半導体層12aとの間に設けられる。
【0043】
図3に示すように、電荷蓄積層14は、トンネル絶縁膜14x、電荷蓄積領域14y、及び、ブロック絶縁膜14zを含む。
【0044】
トンネル絶縁膜14xは、半導体層12とゲート電極層10との間に設けられる。トンネル絶縁膜14xは、半導体層12と電荷蓄積領域14yとの間に設けられる。トンネル絶縁膜14xは、半導体層12に接する。トンネル絶縁膜14xは、電荷蓄積領域14yに接する。
【0045】
トンネル絶縁膜14xは、ゲート電極層10と半導体層12との間に印加される電圧に応じて電荷を通過させる機能を有する。
【0046】
トンネル絶縁膜14xは、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、又は酸窒化シリコンを含む。トンネル絶縁膜14xは、例えば、酸化シリコン膜である。トンネル絶縁膜14xは、例えば、シリコンの熱酸化膜である。
【0047】
電荷蓄積領域14yは、トンネル絶縁膜14xとゲート電極層10との間に設けられる。電荷蓄積領域14yは、トンネル絶縁膜14xとブロック絶縁膜14zとの間に設けられる。電荷蓄積領域14yは、トンネル絶縁膜14xに接する。電荷蓄積領域14yは、ブロック絶縁膜14zに接する。
【0048】
電荷蓄積領域14yは、電荷を蓄積する機能を有する。電荷は、例えば、電子である。電荷蓄積領域14yに蓄積される電荷の量に応じて、メモリセルトランジスタの閾値電圧が変化する。この閾値電圧の変化を利用することで、1個のメモリセルMCがデータを記憶することが可能となる。電荷蓄積領域14yに蓄積される電荷の量が多くなると、閾値電圧の変化量が大きくなる。
【0049】
例えば、メモリセルトランジスタの閾値電圧が変化することで、メモリセルトランジスタがオンする電圧が変化する。例えば、閾値電圧が高い状態をデータ“0”、閾値電圧が低い状態をデータ“1”と定義すると、メモリセルは“0”と“1”の1ビットデータを記憶することが可能となる。
【0050】
電荷蓄積領域14yは、例えば、導電体である。電荷蓄積領域14yは、例えば、多結晶シリコンを含む。電荷蓄積領域14yは、例えば、多結晶シリコン層である。
【0051】
ブロック絶縁膜14zは、電荷蓄積領域14yとゲート電極層10との間に設けられる。ブロック絶縁膜14zは、電荷蓄積領域14yに接する。ブロック絶縁膜14zは、ゲート電極層10に接する。
【0052】
ブロック絶縁膜14zは、電荷蓄積領域14yとゲート電極層10との間に流れる電流を阻止する機能を有する。
【0053】
ブロック絶縁膜14zは、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。ブロック絶縁膜14zは、例えば、酸化シリコン又は酸化アルミニウムを含む。ブロック絶縁膜14zは、例えば、酸化シリコン膜又は酸化アルミニウム膜である。ブロック絶縁膜14zは、例えば、酸化シリコン膜と酸化アルミニウム膜の積層膜である。
【0054】
ゲート配線層16は、ゲート電極層10の上に設けられる。ゲート配線層16は、半導体基板20の表面に沿った方向に延びる。ゲート配線層16は、半導体基板20の表面に平行なx方向に延びる。
【0055】
ゲート配線層16は、y方向に繰り返し配置される。ゲート配線層16は、ゲート電極層10に電気的に接続される。
【0056】
第1のゲート配線層16aは、第1のゲート電極層10aに電気的に接続される。第2のゲート配線層16bは、第2のゲート電極層10bに電気的に接続される。第3のゲート配線層16cは、第3のゲート電極層10cに電気的に接続される。第4のゲート配線層16dは、第4のゲート電極層10dに電気的に接続される。
【0057】
第3のゲート配線層16c、第1のゲート配線層16a、第2のゲート配線層16b、及び、第4のゲート配線層16dは、y方向に、この順序で配置される。第2のゲート配線層16bは、第1のゲート配線層16aに対しy方向に設けられる。第4のゲート配線層16dは、第1のゲート配線層16a、第2のゲート配線層16b、及び、第3のゲート配線層16cに対しy方向に設けられる。
【0058】
第1のゲート配線層16aは、第3のゲート配線層16cと第4のゲート配線層16dとの間に設けられる。第2のゲート配線層16bは、第1のゲート配線層16aと第4のゲート配線層16dとの間に設けられる。
【0059】
ゲート配線層16は、電気的に接続されたゲート電極層10に電圧を印加する機能を有する。
【0060】
ゲート配線層16は、導電体である。ゲート配線層16は、例えば、金属を含む。
【0061】
ゲート配線層16は、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、又は銅(Cu)を含む。ゲート電極層10は、例えば、タングステン層、アルミニウム層、又は銅層である。
【0062】
コンタクトプラグ18は、ゲート電極層10とゲート配線層16との間に設けられる。コンタクトプラグ18は、例えば、ゲート電極層10とゲート配線層16とを物理的及び電気的に接続する。
【0063】
図1のパターンレイアウト図に示すように、コンタクトプラグ18は、例えば、ゲート電極層10とゲート配線層16との交差部に設けられる。
図1に示すように、コンタクトプラグ18は、例えば、xy平面において、ゲート電極層10の形状の重心からずれた位置に設けられる。
【0064】
第1のコンタクトプラグ18aは、第1のゲート電極層10aと第1のゲート配線層16aとの間に設けられる。第1のコンタクトプラグ18aは、第1のゲート電極層10aと第1のゲート配線層16aとを接続する。
【0065】
第2のコンタクトプラグ18bは、第2のゲート電極層10bと第2のゲート配線層16bとの間に設けられる。第2のコンタクトプラグ18bは、第2のゲート電極層10bと第2のゲート配線層16bとを接続する。
【0066】
第3のコンタクトプラグ18cは、第3のゲート電極層10cと第3のゲート配線層16cとの間に設けられる。第3のコンタクトプラグ18cは、第3のゲート電極層10cと第3のゲート配線層16cとを接続する。
【0067】
第4のコンタクトプラグ18dは、第4のゲート電極層10dと第4のゲート配線層16dとの間に設けられる。第4のコンタクトプラグ18dは、第4のゲート電極層10dと第4のゲート配線層16dとを接続する。
【0068】
第1のコンタクトプラグ18aと第2のコンタクトプラグ18bとを結ぶ方向は、y方向と交差する。また、第3のコンタクトプラグ18cと第4のコンタクトプラグ18dとを結ぶ方向は、y方向と交差する。第1のコンタクトプラグ18aと第2のコンタクトプラグ18bとを結ぶ方向は、例えば、第3のコンタクトプラグ18cと第4のコンタクトプラグ18dとを結ぶ方向と交差する。
【0069】
コンタクトプラグ18は、導電体である。コンタクトプラグ18は、例えば、金属を含む。
【0070】
コンタクトプラグ18は、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、又は銅(Cu)を含む。コンタクトプラグ18は、例えば、タングステン層、アルミニウム層、又は銅層である。
【0071】
第1の層間絶縁層24は、z方向に隣り合う2つの半導体層12の間に設けられる。第1の層間絶縁層24は、z方向に繰り返し配置される。
【0072】
第1の層間絶縁層24は、z方向に隣り合う2つの半導体層12を電気的に分離する機能を有する。
【0073】
第1の層間絶縁層24は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。第1の層間絶縁層24は、例えば、酸化シリコンを含む。第1の層間絶縁層24は、例えば、酸化シリコン層である。第1の層間絶縁層24のz方向の厚さは、例えば、5nm以上50nm以下である。
【0074】
第2の層間絶縁層26は、x方向に隣り合う2つの半導体層12の間に設けられる。第2の層間絶縁層26は、x方向に繰り返し配置される。
【0075】
第2の層間絶縁層26は、x方向に隣り合う2つの半導体層12を電気的に分離する機能を有する。
【0076】
第2の層間絶縁層26は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。第2の層間絶縁層26は、例えば、第1の層間絶縁層24と同一の材料で形成されている。
【0077】
第2の層間絶縁層26は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。第2の層間絶縁層26は、例えば、酸化シリコンを含む。第2の層間絶縁層26は、例えば、酸化シリコン層である。
【0078】
第3の層間絶縁層28は、ゲート電極層10とゲート配線層16との間に設けられる。第3の層間絶縁層28は、ゲート電極層10とゲート配線層16を電気的に分離する機能を有する。
【0079】
第3の層間絶縁層28は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。第3の層間絶縁層28は、例えば、第1の層間絶縁層24又は第2の層間絶縁層26と同一の材料で形成される。
【0080】
第3の層間絶縁層28は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。第3の層間絶縁層28は、例えば、酸化シリコンを含む。第3の層間絶縁層28は、例えば、酸化シリコン層である。
【0081】
コンタクトプラグ18は、第3の層間絶縁層28の中に設けられる。コンタクトプラグ18は、第3の層間絶縁層28を貫通して設けられる。
【0082】
次に、実施形態の半導体記憶装置の製造方法の一例について説明する。
【0083】
【0084】
最初に、シリコン基板50の上に、酸化アルミニウム層51を形成する。酸化アルミニウム層51は、例えば、Chemical Vapor Deposition法(CVD法)により形成する。酸化アルミニウム層51は、最終的に基板絶縁層22となる。
【0085】
次に、酸化アルミニウム層51の上に、複数の酸化シリコン層52と複数の窒化シリコン層53とを交互に積層する(
図9)。
【0086】
酸化シリコン層52及び窒化シリコン層53は、例えば、CVD法により形成する。
【0087】
酸化シリコン層52の一部は、最終的に第1の層間絶縁層24となる。窒化シリコン層53は、最終的にアモルファスシリコンで置換され、半導体層12となる。
【0088】
次に、酸化シリコン層52及び窒化シリコン層53を貫通する第1の開口部54を形成する(
図10)。第1の開口部54は、例えば、リソグラフィ法とReactive Ion Etching法(RIE法)により形成する。第1の開口部54は、y方向に延びる。第1の開口部54は、半導体層12の分離領域となる。
【0089】
次に、第1の開口部54の中を第1の酸化シリコン膜55で埋め込む(
図11)。第1の酸化シリコン膜55は、例えば、CVD法により形成する。第1の酸化シリコン膜55の一部は、最終的に第2の層間絶縁層26となる。
【0090】
次に、酸化シリコン層52、窒化シリコン層53、及び第1の酸化シリコン膜55を貫通する第2の開口部56を形成する(
図12)。第2の開口部56は、例えば、リソグラフィ法とRIE法により形成する。第2の開口部56は、例えば、xy断面で楕円形である。第2の開口部56は、ゲート電極層10が形成される領域となる。
【0091】
次に、第2の開口部56の内壁に、第2の酸化シリコン膜57を形成する(
図13)。第2の酸化シリコン膜57は、例えば、CVD法により形成する。
【0092】
次に、第2の開口部56の中を第1のアモルファスシリコン膜58で埋め込む(
図14)。第1のアモルファスシリコン膜58は、例えば、CVD法により形成する。第1のアモルファスシリコン膜58は、後に、ゲート電極層10を形成するための犠牲膜である。
【0093】
次に、窒化シリコン層53を除去する(
図15)。窒化シリコン層53は、例えば、図示しない開口部を形成した後、ウェットエッチング法により除去する。
【0094】
次に、窒化シリコン層53が除去された領域に、第2のアモルファスシリコン膜59を埋め込む(
図16)。第2のアモルファスシリコン膜59は、例えば、CVD法により形成する。第2のアモルファスシリコン膜59の一部は、最終的に半導体層12となる。
【0095】
次に、第1のアモルファスシリコン膜58を除去して第3の開口部60を形成する(
図17)。第1のアモルファスシリコン膜58は、例えば、ウェットエッチング法を用いて除去する。
【0096】
次に、第3の開口部60の内壁の第2の酸化シリコン膜57を除去する(
図18)。第2の酸化シリコン膜57は、例えば、ウェットエッチング法を用いて除去する。
【0097】
次に、第3の開口部60の内壁側から、第2のアモルファスシリコン膜59を側方に後退させる(
図19)。第2のアモルファスシリコン膜59は、例えば、等方性のドライエッチング法を用いてエッチングする。第3の開口部60の内壁側に第2のアモルファスシリコン膜59のリセス部が形成される。
【0098】
次に、第3の開口部60の内壁に、積層膜61を形成する(
図20)。積層膜61は、例えば、酸化シリコン膜、アモルファスシリコン膜、及び酸化シリコン膜の積層膜である。積層膜61は、例えば、CVD法を用いて形成される。積層膜61の一部は、最終的に電荷蓄積層14となる。
【0099】
次に、積層膜61の一部をエッチングし、第2のアモルファスシリコン膜59のリセス部のみに積層膜61を残存させる(
図21)。積層膜61のエッチングは、例えば、RIE法により行う。
【0100】
第3の開口部60の中をタングステン膜62で埋め込む(
図22)。タングステン膜62は、例えば、CVD法で形成する。タングステン膜62は、最終的にゲート電極層10となる。
【0101】
次に、タングステン膜62の上に、第3の酸化シリコン膜63を形成する(
図23)。第3の酸化シリコン膜63は、例えば、CVD法で形成する。第3の酸化シリコン膜63の一部は、最終的に第3の層間絶縁層28となる。
【0102】
その後、公知のプロセス技術を用いて、コンタクトプラグ18及びゲート配線層16を形成する。
【0103】
以上の製造方法により、実施形態の3次元NANDフラッシュメモリが製造される。
【0104】
次に、実施形態の半導体記憶装置の作用及び効果について説明する。
【0105】
メモリセルを3次元的に配置した3次元NANDフラッシュメモリは、高い集積度と低いコストを実現する。3次元NANDフラッシュメモリのメモリセルを微細化することで、更に集積度を高くすることが可能である。
【0106】
メモリセルを微細化すると、例えば、メモリセルアレイの中に設けられる配線の間隔が狭くなることで、配線容量が大きくなる。配線容量が大きくなると、例えば、3次元NANDフラッシュメモリの動作速度が低下する。
【0107】
図24は、比較例の半導体記憶装置のパターンレイアウト図である。
図24は、実施形態の
図1に対応する図である。
【0108】
比較例の半導体記憶装置は、実施形態と同様、3次元NANDフラッシュメモリである。
【0109】
【0110】
比較例の3次元NANDフラッシュメモリは、
図24及び
図25に示すように、ゲート電極層10がxy平面において、チェッカーボードパターンで配置される点で、実施形態の3次元NANDフラッシュメモリと異なる。また、比較例の3次元NANDフラッシュメモリは、ゲート電極層10の長径の方向とx方向が平行である点で、実施形態の3次元NANDフラッシュメモリと異なる。
【0111】
比較例の3次元NANDフラッシュメモリでは、実施形態と同様、第1のゲート配線層16aは第1のゲート電極層10aに電気的に接続され、第2のゲート配線層16bは第2のゲート電極層10bに電気的に接続され、第3のゲート配線層16cは第3のゲート電極層10cに電気的に接続され、第4のゲート配線層16dは第4のゲート電極層10dに電気的に接続される。
【0112】
比較例の3次元NANDフラッシュメモリでは、実施形態と異なり、
図24に示すように、第1のゲート配線層16a、第3のゲート配線層16c、第2のゲート配線層16b、及び、第4のゲート配線層16dは、y方向に、この順序で配置される。言い換えれば、実施形態の場合と比較して、第1のゲート配線層16aと第3のゲート配線層16cのy方向の位置が入れ替わっている。
【0113】
図27は、実施形態の半導体記憶装置の作用及び効果の説明図である。
図27は、比較例の3次元NANDフラッシュメモリの読み出し動作時にゲート配線層16に印加される電圧の説明図である。
【0114】
例えば、図示された選択セル(Selected cell)に記憶されたデータを読み出す場合を考える。この場合、第1のゲート電極層10a、第2のゲート電極層10b、第3のゲート電極層10c、及び、第4のゲート電極層10dのそれぞれと、第1の半導体層12aで構成される複数のメモリセルMCは、非選択セルとなる。
【0115】
第1の半導体層12aに対し、選択セルのゲート電極層10とx方向において同じ側に設けられる第1のゲート電極層10a及び第2のゲート電極層10bについて見ると、対向する第1の半導体層12aにチャネルを形成して電流を流す必要がある。言い換えれば、第1のゲート電極層10a及び第2のゲート電極層10bで制御されるメモリセルトランジスタをオン動作させる必要がある。したがって、第1のゲート電極層10aに電気的に接続される第1のゲート配線層16a、及び、第2のゲート電極層10bに電気的に接続される第2のゲート配線層16bには、読み出し電圧が印加される。読み出し電圧は、例えば、8Vである。
【0116】
一方、第1の半導体層12aに対し、選択セルのゲート電極層10とx方向において反対側に設けられる第3のゲート電極層10c及び第4のゲート電極層10dについて見ると、誤読み出しを避けるため、対向する第1の半導体層にチャネルを形成せず電流を流さない必要がある。言い換えれば、第3のゲート電極層10c及び第4のゲート電極層10dで制御されるメモリセルトランジスタをオフ動作させる必要がある。したがって、第3のゲート電極層10cに電気的に接続される第3のゲート配線層16c、及び、第4のゲート電極層10dに電気的に接続される第4のゲート配線層16dには、オフ電圧が印加される。オフ電圧は、例えば、-4Vである。
【0117】
選択セルのゲート電極層10に接続されるゲート配線層16には、判定電圧が印加される。判定電圧は、例えば、1Vである。
【0118】
比較例の3次元NANDフラッシュメモリでは、
図27に示すように、メモリセルMCの読み出し動作の際に、1本のゲート配線層16に着目した場合、両側に隣り合うゲート配線層16のいずれにも異なる電圧が印加されることになる。したがって、ゲート配線層16の配線容量が大きくなり、3次元NANDフラッシュメモリの読み出し速度が低下するおそれがある。
【0119】
図28は、実施形態の半導体記憶装置の作用及び効果の説明図である。
図28は、実施形態の3次元NANDフラッシュメモリの読み出し動作時にゲート配線層16に印加される電圧の説明図である。
【0120】
例えば、図示された選択セル(Selected cell)に記憶されたデータを読み出す場合を考える。この場合、第1のゲート電極層10a、第2のゲート電極層10b、第3のゲート電極層10c、第4のゲート電極層10dのそれぞれと、第1の半導体層12aとを含む複数のメモリセルMCは、非選択セルとなる。
【0121】
比較例の場合と同様、第1の半導体層12aに対し、選択セルのゲート電極層10とx方向において同じ側に設けられる第1のゲート電極層10a及び第2のゲート電極層10bについて見ると、対向する第1の半導体層12aにチャネルを形成して電流を流す必要がある。言い換えれば、第1のゲート電極層10a及び第2のゲート電極層10bで制御されるメモリセルトランジスタをオン動作させる必要がある。したがって、第1のゲート電極層10aに電気的に接続される第1のゲート配線層16a、及び、第2のゲート電極層10bに電気的に接続される第2のゲート配線層16bには、読み出し電圧が印加される。読み出し電圧は、例えば、8Vである。
【0122】
一方、比較例の場合と同様、第1の半導体層12aに対し、選択セルのゲート電極層10とx方向において反対側に設けられる第3のゲート電極層10c及び第4のゲート電極層10dについて見ると、誤読み出しを避けるため、対向する第1の半導体層にチャネルを形成せず電流を流さない必要がある。言い換えれば、第3のゲート電極層10c及び第4のゲート電極層10dで制御されるメモリセルトランジスタをオフ動作させる必要がある。したがって、第3のゲート電極層10cに電気的に接続される第3のゲート配線層16c、及び、第4のゲート電極層10dに電気的に接続される第4のゲート配線層16dには、オフ電圧が印加される。オフ電圧は、例えば、-4Vである。
【0123】
選択セルのゲート電極層10に接続されるゲート配線層16には、判定電圧が印加される。判定電圧は、例えば、1Vである。
【0124】
実施形態の3次元NANDフラッシュメモリでは、
図28に示すように、メモリセルMCの読み出し動作の際に、1本のゲート配線層16に着目した場合、両側に隣り合うゲート配線層16のうちの一方には異なる電圧、他方には同一の電圧が印加されることになる。したがって、ゲート配線層16の配線容量は、例えば、比較例の場合と比較して小さくなる。よって、3次元NANDフラッシュメモリの読み出し速度が向上する。
【0125】
実施形態の3次元NANDフラッシュメモリにおいて、ゲート配線層16の配線容量を低減する観点から、読み出し動作時に異なる電圧が印加される2本のゲート配線層16の間の距離は大きい方が好ましい。
【0126】
例えば、第1のゲート配線層16aと第3のゲート配線層16cとの間のy方向の距離(
図28中のdx)は、第1のゲート配線層16aと第3のゲート配線層16cとの間のy方向の距離(
図28中のdx)と第1のゲート配線層16aと第2のゲート配線層16bとの間のy方向の距離(
図28中のdy)の和(dx+dy)の4分の1以上であることが好ましく、3分の1以上であることが更に好ましい。上記関係を充足することにより、ゲート配線層16の配線容量が低減する。
【0127】
例えば、距離dxは、z方向に垂直な断面において、ゲート電極層10の長径の方向と、y方向との間の角度(
図3中のθ)を小さくすることで、大きくすることが可能である。すなわち、角度θを小さくすることで、例えば、第1のコンタクトプラグ18aと第3のコンタクトプラグ18cのy方向の距離を大きくできる。したがって、第1のゲート配線層16aと第3のゲート配線層16cとの間の距離dxを広げることができる。
【0128】
実施形態の3次元NANDフラッシュメモリは、比較例の3次元NANDフラッシュメモリと比較して、x方向に隣り合う2つの半導体層12の間の距離(
図3中のL2)を小さくすることができる。
【0129】
例えば、比較例の3次元NANDフラッシュメモリと、実施形態の3次元NANDフラッシュメモリとで、xy断面におけるゲート電極層10の形状が同じ長径と短径を有する楕円形であると仮定する。xy断面におけるゲート電極層10の形状が同じであるため、ゲート電極層10の断面積は等しくなる。ゲート電極層10の断面積が等しいことで、ゲート電極層10の電気抵抗が一定となる。
【0130】
また、例えば、比較例の3次元NANDフラッシュメモリと、実施形態の3次元NANDフラッシュメモリとで、トランジスタ特性を揃えるため、ゲート電極層10の半導体層12へのx方向の食い込み量(
図3中のL1、
図26中のL1)は等しいと仮定する。
【0131】
上記2つの仮定に基づけば、比較例と同じ楕円形の実施形態のゲート電極層10の長径方向がx方向に対して傾いていることで、必然的に、実施形態のx方向に隣り合う2つの半導体層12の間の距離(
図3中のL2)は、比較例のx方向に隣り合う2つの半導体層12の間の距離(
図26中のL2)よりも小さくなる。
【0132】
x方向に隣り合う2つの半導体層12の間の距離(
図3中のL2)を小さくすることで、実施形態の3次元NANDフラッシュメモリでは、メモリセルのx方向の大きさを小さくすることが可能となる。よって、3次元NANDフラッシュメモリの集積度を高くすることが可能である。
【0133】
図29は、実施形態の変形例の半導体記憶装置のパターンレイアウト図である。
図29は、実施形態の
図1に対応する図である。
【0134】
実施形態の変形例の3次元NANDフラッシュメモリは、z方向に垂直な断面において、ゲート電極層10が角丸長方形(rounded rectangle)である点で、実施形態と異なる。
【0135】
以上、実施形態及び変形例によれば、配線容量が低減し、特性の向上した半導体記憶装置が実現できる。
【0136】
実施形態及び変形例では、z方向に垂直な断面において、ゲート電極層の形状が楕円形又は角丸長方形である場合を例に説明したが、ゲート電極層の形状は、例えば、円形、正方形、角丸正方形、平行四辺形、又は角丸平行四辺形であっても構わない。
【0137】
実施形態では、電荷蓄積領域が導電体であるフローティングゲート型のメモリセルを例に説明したが、別の形態として、電荷蓄積領域が絶縁体であるチャージトラップ型のメモリセルとすることも可能である。
【0138】
実施形態では、基板が半導体基板の場合を例に説明したが、基板は絶縁基板であっても構わない。また、別の形態として、基板を設けない構造とすることも可能である。
【0139】
実施形態では、ゲート電極層の数が9層、z方向に積層される半導体層の数が3層の場合を例示したが、ゲート電極層の数や半導体層の数は、上記の数に限定されるものではない。
【0140】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0141】
10a 第1のゲート電極層
10b 第2のゲート電極層
10c 第3のゲート電極層
10d 第4のゲート電極層
12a 第1の半導体層
12b 第2の半導体層
12c 第3の半導体層
14a 第1の電荷蓄積層
14b 第2の電荷蓄積層
14c 第3の電荷蓄積層
14d 第4の電荷蓄積層
16a 第1のゲート配線層(第1の配線層)
16b 第2のゲート配線層(第2の配線層)
16c 第3のゲート配線層(第3の配線層)
16d 第4のゲート配線層(第4の配線層)
18a 第1のコンタクトプラグ(第1の接続部)
18b 第2のコンタクトプラグ(第2の接続部)
18c 第3のコンタクトプラグ(第3の接続部)
18d 第4のコンタクトプラグ(第4の接続部)
20 半導体基板(基板)
θ 角度