(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128850
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】移動体会議システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20240913BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038104
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 敬史
(72)【発明者】
【氏名】田中 亮介
(72)【発明者】
【氏名】菊池 慎一
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA12
5L049AA12
(57)【要約】
【課題】移動体内においてオンライン会議を行う際に、移動体内における会議参加への一体感を高めつつ、各乗員が会議参加に係る個人設定を自由に変更できるようにする。
【解決手段】移動体会議システムは、移動体の室内において乗員が通信ネットワークを介したオンライン会議に参加するためのシステムであって、移動体の室内からオンライン会議に参加する室内参加者のそれぞれについての、オンライン会議の通信情報である会議情報を管理する管理部を備え、管理部は、複数の室内参加者が参加する共通のオンライン会議について、会議情報のうち上記共通のオンライン会議の参加者の全員に配信される共有情報を、移動体の室内において共有される共有表示装置に表示し、室内参加者が着座位置から個別に操作することのできる個別タッチパネルに、上記共通のオンライン会議の参加者が個別に操作を行うための個別操作画面を表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の室内において乗員が通信ネットワークを介したオンライン会議に参加するための移動体会議システムであって、
前記移動体の室内からオンライン会議に参加する室内参加者のそれぞれについての、前記オンライン会議の通信情報である会議情報を管理する管理部を備え、
前記管理部は、複数の前記室内参加者が参加する共通のオンライン会議について、
前記会議情報のうち、前記共通のオンライン会議の参加者の全員に配信される共有情報を、前記移動体の室内において共有される共有表示装置に表示し、
前記室内参加者が着座位置から個別に操作することのできる個別タッチパネルに、前記共通のオンライン会議の参加者が個別に操作を行うための個別操作画面を表示する、
移動体会議システム。
【請求項2】
前記室内参加者のそれぞれが着座した座席位置を判別する座席判別部を備え、
前記管理部は、前記室内参加者のそれぞれの座席位置に基づいて、前記室内参加者のそれぞれのための前記個別操作画面を、対応する前記室内参加者の座席位置から個別に操作することのできる前記個別タッチパネルに表示する、
請求項1に記載の移動体会議システム。
【請求項3】
前記座席判別部は、前記個別タッチパネルを介して、前記室内参加者の座席位置を示す入力を取得する、
請求項2に記載の移動体会議システム。
【請求項4】
前記管理部は、前記室内参加者を個別に撮影する撮像装置、前記室内参加者が個別に用いる音声入力装置及び音声出力装置、及び又は前記個別タッチパネルの表示画面の、設定に関する指示を前記個別操作画面を介して取得して、前記取得した指示に基づき、前記撮像装置、前記音声入力装置、音声出力装置、及び又は前記表示画面の設定を行う、
請求項1に記載の移動体会議システム。
【請求項5】
前記個別タッチパネルは、前記移動体の各座席の前方に配されている、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の移動体会議システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体会議システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて配車サービス、ライドシェア、及びシェアリングに関する研究開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。
【0003】
複数人が同一の車両に搭乗するライドシェアでは、車両内においてオンライン会議を行うことが想定される。
特許文献1には、車両に搭載された、電子会議システムを構成する車載端末装置が開示されている。この車載端末装置では、車両の状態に応じて、車両内のスピーカからの相手側音声の出力又は非出力を切り替えたり、相手側端末装置への車両側音声信号の伝達又は非伝達を切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、配車サービス、ライドシェア、及びシェアリングでは、車両内における複数の乗員が共通のオンライン会議に参加する場合に、車両内での情報共有による会議参加の一体感と、会議参加者である乗員が個々に行う会議音声の調整や映像提供の可否などの個人設定の自由度と、を同時に確保することが課題である。
【0006】
本願は、上記課題の解決のため、車両等の移動体内においてオンライン会議を行う際に、移動体内における会議参加への一体感を高めつつ、各乗員が会議音声の調整や映像提供の可否などの会議参加に係る個人設定を自由に変更できるようにすることを目的としたものである。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様は、移動体の室内において乗員が通信ネットワークを介したオンライン会議に参加するための移動体会議システムであって、前記移動体の室内からオンライン会議に参加する室内参加者のそれぞれについての、前記オンライン会議の通信情報である会議情報を管理する管理部を備え、前記管理部は、複数の前記室内参加者が参加する共通のオンライン会議について、前記会議情報のうち、前記共通のオンライン会議の参加者の全員に配信される共有情報を、前記移動体の室内において共有される共有表示装置に表示し、前記室内参加者が着座位置から個別に操作することのできる個別タッチパネルに、前記共通のオンライン会議の参加者が個別に操作を行うための個別操作画面を表示する、移動体会議システムである。
本発明の他の態様によると、前記室内参加者のそれぞれが着座した座席位置を判別する座席判別部を備え、前記管理部は、前記室内参加者のそれぞれの座席位置に基づいて、前記室内参加者のそれぞれのための前記個別操作画面を、対応する前記室内参加者の座席位置から個別に操作することのできる前記個別タッチパネルに表示する。
本発明の他の態様によると、前記座席判別部は、前記個別タッチパネルを介して、前記室内参加者の座席位置を示す入力を取得する。
本発明の他の態様によると、前記管理部は、前記室内参加者を個別に撮影する撮像装置、前記室内参加者が個別に用いる音声入力装置及び音声出力装置、及び又は前記個別タッチパネルの表示画面の、設定に関する指示を前記個別操作画面を介して取得して、前記取得した指示に基づき、前記撮像装置、前記音声入力装置、音声出力装置、及び又は前記表示画面の設定を行う。
本発明の他の態様によると、前記個別タッチパネルは、前記移動体の各座席の前方に配されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、移動体内においてオンライン会議を行う際に、移動体内における会議参加への一体感を高めつつ、各乗員が会議参加に係る個人設定を自由に変更できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る移動体会議システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、移動体会議システム1を構成する各装置の、移動体における配置の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、移動体の室内前方における配置の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、移動体の後部座席から室内前方を視た配置の一例を示している。
【
図5】
図5は、個別タッチパネルに表示する座席入力画面の例である。
【
図6】
図6は、共有表示装置における共有情報の表示画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、個別タッチパネルに表示される個別操作画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、移動体会議システムにおける動作の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る移動体会議システム1の構成を示す図である。移動体会議システム1は、移動体2に搭載され、移動体2の室内においてその移動体2の乗員が、移動体2の外部の外部通信ネットワークを介してオンライン会議に参加するのに用いられる。
【0011】
移動体2は、本実施形態では、例えば、車両である。ただし、移動体2は、車両に限らず、乗員が登場するキャビン(乗員室)を備えて複数人が搭乗することのできる任意の移動体であり得る。そのような移動体は、乗用車、バス、タクシー等の陸上移動体のほか、船舶、潜水艇等の海洋移動体、eVTOL(Electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)を含む航空機、飛行船等の空中移動体、あるいは、宇宙船、人工衛星などの宇宙移動体であってもよい。
【0012】
移動体会議システム1は、会議管理装置3と、移動体2の室内において共有される共有表示装置4と、運転席端末装置5aと、助手席端末装置5bと、後部左席端末装置5cと、後部右席端末装置5dと、を含む。共有表示装置4は、移動体2の室内に着座する乗員全員から見やすい位置に配される。共有表示装置4は、例えば、タッチパネルである。移動体会議システム1は、さらに、移動体2の室内に配された室内スピーカ10と、室内マイク11と、移動体2の操舵に用いられるステアリングホイール12(後述)に設けられたステアリングスイッチ13を含んでもよい。
【0013】
運転席端末装置5aは、同一の筐体内に、個別タッチパネル6aと、カメラ7aと、音声出力装置8aと、音声入力装置9aと、を備える。同様に、助手席端末装置5bは、個別タッチパネル6bと、カメラ7bと、音声出力装置8bと、音声入力装置9bと、を備える。また、後部左席端末装置5c及び後部右席端末装置5dは、それぞれ、個別タッチパネル6c、6dと、カメラ7c、7dと、音声出力装置8c、8dと、音声入力装置9c、9dと、を含む。
【0014】
以下、運転席端末装置5a、助手席端末装置5b、後部左席端末装置5c、及び後部右席端末装置5dを総称して、端末装置5ともいうものとする。また、個別タッチパネル6a、6b、6c、6dを総称して個別タッチパネル6ともいうものとする。端末装置5は、後述する会議管理装置3が備えるプロセッサ20の管理部25からの指示に基づいて、個別操作画面(後述)を個別タッチパネル6に表示し、及び個別タッチパネル6を介して入力される指示に基づき、アプリケーションプログラムが提供する画面を個別タッチパネル6に表示する。
【0015】
また、以下では、カメラ7a、7b、7c、7dを総称してカメラ7ともいうものとする。また、音声出力装置8a、8b、8c、8dを総称して音声出力装置8ともいい、音声入力装置9a、9b、9c、9dを総称して音声入力装置9ともいうものとする。
【0016】
図2は、移動体2における移動体会議システム1を構成する各装置の配置の一例を示す図である。また、
図3は、移動体2の室内前方における配置を示し、
図4は、移動体2の後部座席から室内前方を視た配置の一例を示している。
【0017】
図2、
図3、及び
図4に示すように、共有表示装置4は、移動体2の室内に着座する乗員全員から見やすい位置として、例えば、インストルメントパネル15の車幅方向中央に配されている。共有表示装置4は、例えば、タッチパネルである。
【0018】
なお、共有表示装置4は、移動体2の室内に着座する乗員全員から見やすい位置に画面が設けられている限り、任意の表示装置であり得る。例えば、共有表示装置4は、移動体2の室内に着座する乗員全員から見やすい位置としての移動体2室内の天井面に画像を投影するプロジェクタであってもよい。移動体2には、また、移動体2の室内に分散して、例えば4つの室内スピーカ10が配されている。本実施形態では、室内スピーカ10は、前方左右のドアの内面と、後方左右のドアの内面に、それぞれ配されている(
図2)。また、移動体2の室内の前方には、ルームミラー17の上方の天井部に、室内マイク11が配されている(
図3)。
【0019】
図2、
図3及び
図4に示すように、端末装置5は、それぞれ、対応する乗員の座席位置から個別に操作することのできる位置に配されている。ここで、以下において、端末装置5についての、対応する乗員の座席とは、運転席端末装置5aにあっては運転席14a、助手席端末装置5bにあっては助手席14bをいう。また、後部左席端末装置5c及び後部右席端末装置5dについての、対応する乗員の座席とは、それぞれ、後部左席14c及び後部右席14dをいう。以下、運転席14a、助手席14b、後部左席14c、及び後部右席14dを総称して座席14ともいうものとする。
【0020】
端末装置5は、それぞれ、対応する乗員の座席位置から個別に操作することのできる位置として、上記対応する乗員の座席の前方に配されている。具体的には、
図2及び
図3に示すように、運転席端末装置5aは、運転席14aの前方のインストルメントパネル15の、メータパネル16の右方に配されている。また、助手席端末装置5bは、インストルメントパネル15上の、助手席14bの前方の位置に配されている。また、
図2及び
図4に示すように、後部左席端末装置5c及び後部右席端末装置5dは、それぞれ、後部左席14c及び後部右席14dの前方の、助手席14b及び運転席14aの背もたれ(バックレスト)の背面(すなわち、後部左席14c及び後部右席14dに向いた面)に配されている。
【0021】
なお、本実施形態では、端末装置5の筐体内に個別タッチパネル6が備えられているものとしたが、個別タッチパネル6は、端末装置5とは別の筐体に備えられていてもよい。この場合には、少なくとも個別タッチパネル6が、対応する乗員の座席位置から個別に操作することのできる位置に配されていればよい。
【0022】
端末装置5が備えるカメラ7は、それぞれ、対応する座席に着座した乗員の画像(例えば、顔画像)を取得する。また、音声出力装置8及び音声入力装置9は、例えば、対応する座席に着座した乗員が使用するマイク付きイヤホンあるいはヘッドセット(共に不図示)を介して音声の入出力を行う。
【0023】
図1を参照し、会議管理装置3は、プロセッサ20と、メモリ21と、通信装置22と、を有する。メモリ21は、例えば、揮発性及び又は不揮発性の半導体メモリ、及び又はハードディスク装置等により構成される。通信装置22は、会議管理装置3が外部通信ネットワークを介して外部装置と無線通信するための送受信器である。外部装置には、例えば、従来技術に従いオンライン会議の開催をサポートする会議サーバが含まれ得る。
【0024】
プロセッサ20は、例えば、CPU等を備えるコンピュータである。プロセッサ20は、プログラムが書き込まれたROM、データの一時記憶のためのRAM等を有する構成であってもよい。そして、プロセッサ20は、機能要素又は機能ユニットとしてログイン部23と、座席判別部24と、管理部25と、を備える。
【0025】
プロセッサ20が備えるこれらの機能要素は、例えば、コンピュータであるプロセッサ20が、メモリ21に保存されたプログラムを実行することにより実現される。なお、プログラムは、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。これに代えて、プロセッサ20が備える上記機能要素の全部又は一部を、それぞれ一つ以上の電子回路部品を含むハードウェアにより構成することもできる。
【0026】
ログイン部23は、外部装置から外部通信ネットワークを介して移動体2に対して送信されたオンライン会議の会議開催通知を、通信装置22を介して受信する。移動体2宛に送信される会議開催通知には、例えば、そのオンライン会議の開催日時と、移動体2においてそのオンライン会議に参加することが予定されている参加者のリストが含まれ得る。
【0027】
ログイン部23は、上記受信した会議開催通知により指定された日時が到来する少し前に(例えば、15分前に)、オンライン会議へのログインのためのログイン画面を、共有表示装置4及び端末装置5のうちの、予め定めた装置に表示する。例えば、ログイン画面は、その移動体2においてオンライン会議への参加をホストする人物(運転者を含むいずれかの乗員)が着座する予定の座席から操作しやすい個別タッチパネル6又は共有表示装置4に表示されるものとすることができる。
【0028】
上記表示されたログイン画面に対し移動体2の乗員がログイン操作を行うと、ログイン部23は、従来技術に従い、会議サーバ等と通信して、オンライン会議にログインする。
以下、移動体2の室内からオンライン会議に参加する移動体2の乗員を室内参加者という。
【0029】
座席判別部24は、室内参加者のそれぞれについて、移動体2において当該室内参加者が着座した座席14の座席位置を判別する。例えば、座席判別部24は、個別タッチパネル6を介して、室内参加者の座席位置を示す入力を取得する。
【0030】
具体的には、座席判別部24は、ログイン部23がオンライン会議にログインすると、端末装置5のそれぞれの個別タッチパネル6に座席入力画面を表示する。移動体2からオンライン会議に参加する各参加者は、オンライン会議の開始前までに移動体2に搭乗して座席14のいずれかに着座し、個別タッチパネル6に表示された上記座席入力画面により、その参加者の着座位置を入力する。
【0031】
図5は、座席判別部24が個別タッチパネル6に表示する座席入力画面の例である。
図5の例では、端末装置5の個別タッチパネル6に、オンライン会議の予定参加者リスト30が表示されている。予定参加者リスト30に表示された各参加者の名前の右側には、その参加者が着座した座席14を選択するための選択オブジェクト31と、選択オブジェクト31において選択した座席14を入力するための確定ボタン32が表示されている。選択オブジェクト31は、例えば、これにタッチすることによりドロップダウンリスト又はチェックボタンリストが表示されるオブジェクトであり得る。
【0032】
室内参加者が、個別タッチパネル6において自身の名前の隣に表示されている選択オブジェクト31により現在着座している座席14を選択して、その隣に表示されている確定ボタン32を押すと、座席判別部24は、その室内参加者の座席位置の入力を取得する。
図5の例では、Aさんは運転席、Bさんは助手先、Cさんは後部左席に着座しているものと判別され、後部右席14dは空席又は室内参加者でない乗員が着座したものと判断される。
【0033】
管理部25は、移動体2の室内からオンライン会議に参加する室内参加者のそれぞれについての、そのオンライン会議について通信される情報である会議情報を管理する。会議情報とは、オンライン会議の開催をサポートする外部装置である会議サーバとの間で、外部通信ネットワークを介して通信される情報をいう。会議情報には、例えば、そのオンライン会議についての映像情報、音声情報、そのオンライン会議について提供される機能(例えば、資料共有機能やチャット機能)を動作させるための動作情報等が含まれ得る。
【0034】
そして、管理部25は、移動体2の乗員である複数の室内参加者が参加する共通のオンライン会議(以下、共通オンライン会議という)について、上記会議情報のうち、共通オンライン会議の参加者の全員に配信される共有情報を、移動体2の室内において乗員が共通に見ることのできる共有表示装置4に表示する。共有情報には、例えば、オンライン会議のいずれかの参加者(移動体2の外部から参加する参加者も含む)が提供する資料画像や、発言者の顔画像もしくはアイコン、参加者のリスト等が含まれ得る。
【0035】
図6は、管理部25が共有表示装置4に表示する共有情報の表示画面の一例を示す図である。図示の例では、共有表示装置4には、共有情報として、参加者の一人が共有した資料画像33、そのオンライン会議の参加者の参加者リスト34、及び資料画像33を用いて発言する現在の発言者を示す発言者アイコン35が表示されている。
【0036】
一方、共通オンライン会議の参加者が個別に操作を行うための個別操作画面については、管理部25は、それらの操作画面及び会議情報を、各室内参加者が着座位置から個別に操作することのできるそれぞれの個別タッチパネル6に表示する。個別操作画面には、例えば、会議サーバが提供する資料共有機能やチャット機能等を含む種々の機能を用いるための画面が含まれる。
【0037】
具体的には、管理部25は、座席判別部24が判別した室内参加者のそれぞれの座席位置に基づいて、室内参加者のそれぞれの個別操作画面を、対応する室内参加者の座席位置から個別に操作することのできる個別タッチパネル6に表示する。
これにより、移動体会議システム1では、移動体2内においてオンライン会議を行う際に移動体2の乗員間における会議参加への一体感を高めつつ、各乗員が会議参加に係る個人設定を自由に変更できるようにすることができる。
【0038】
なお、管理部25は、個別タッチパネル6には上記共有情報を表示しないものとすることができる。ただし、管理部25は、室内参加者が、対応する個別タッチパネル6を介して共有情報の表示指示を入力したときに、その個別タッチパネル6に共有情報を表示するものとしてもよい。
【0039】
管理部25は、また、室内参加者を個別に撮影する撮像装置であるカメラ7、室内参加者が個別に用いる音声出力装置8及び音声入力装置9、及び又は個別タッチパネル6の表示画面の設定に関する指示を、個別タッチパネル6に表示された上記個別操作画面を介して取得する。そして、管理部25は、上記取得した指示に基づき、カメラ7、音声出力装置8、音声入力装置9、及び又は個別タッチパネル6の表示画面の設定を行う。上記設定は、例えば、カメラ7のオン/オフ、音声出力装置8からイヤホン等に出力される音量の調整、音声入力装置9を介したマイクからの音声取得のオン/オフ、個別タッチパネル6に表示されたウィンドウサイズの調整等であり得る。
【0040】
図7は、管理部25が個別タッチパネル6に表示する個別操作画面の一例を示す図である。図示の例では、個別タッチパネル6の図示左側に、アプリケーションウィンドウ50が表示され、個別タッチパネル6の図示右側の部分に、個別操作画面36が表示されている。アプリケーションウィンドウ50は、室内参加者が図示左下のメニューボタン51及び当該メニューボタン51の押下により表示される種々の起動ボタン(不図示)を操作することにより起動したアプリケーションの画面を表示する。例えば、アプリケーションウィンドウ50は、文書閲覧のアプリケーションの画面を表示するのに用いられる。アプリケーションウィンドウ50に表示された画面は、例えば、後述する共有ボタン38により、共有資料の画面としてオンライン会議上で共有される。
【0041】
個別操作画面36には、会議サーバがそのオンライン会議について提供する機能を利用するためのボタンとして、退出ボタン37と、共有ボタン38と、チャットボタン39と、他機能ボタン40が表示されている。退出ボタン37は、そのオンライン会議から退出するためのボタンである。
【0042】
また、共有ボタン38は、オンライン会議の資料共有機能を開始するためのボタンであり、他の会議参加者と共有すべき資料の画像をこの端末装置5から配信するためのボタンである。チャットボタン39は、他の会議参加者とのチャットを行うためのチャットボックス41を表示するためのボタンである。また、他機能ボタン40は、会議サーバが提供するその他の機能(例えば、録音機能、録画機能、あるいは、共有資料についての制御要求の機能など)を利用するためのメニュー画面を表示させるためのボタンである。
【0043】
図7に示す個別操作画面36には、更に、この端末装置5が備えるカメラ7による画像取得をオン/オフするためのカメラボタン42が表示されている。また、この個別操作画面36には、この端末装置5が備える音声出力装置8の音量を調整するのに用いられる音量ボタン43と、音声入力装置9による音声入力のオン/オフ(すなわち、マイクのオン/オフ)を行うためのマイクボタン44が表示されている。
【0044】
管理部25は、室内参加者がカメラボタン42、音量ボタン43、及びマイクボタン44を用いて行った入力を取得して、それぞれ、カメラ7、音声出力装置8、及び音声入力装置9の設定を行う。また、管理部25は、例えば、室内参加者が個別操作画面36の外枠ラインをドラッグしたときに、そのドラッグ操作に応じて個別操作画面36のサイズを変更する等の表示画面の操作を行う。
【0045】
管理部25は、会議サーバが提供する機能を利用するためのボタンや、カメラ7等の設定を行うボタンのほか、オンライン会議参加に伴って必要となる種々のユーティリティ機能のボタンを、個別操作画面に表示してもよい。例えば、
図7に示す個別操作画面36では、室内参加者が座席を変更する際に、変更先の座席を会議管理装置3へ通知するのに用いる座席変更ボタン45が表示されている。
【0046】
座席変更ボタン45が押下されると、例えば、
図5に示した選択オブジェクト31及び確定ボタン32と同様なボタンが表示されて、変更先の座席の選択と確定入力が行われるものとすることができる。座席判別部24は、この座席指定の入力を取得し、管理部25は、その座席指定の入力に基づいて、その室内参加者のための個別操作画面を、変更先の座席において操作することのできる端末装置5の個別タッチパネル6に表示することができる。
【0047】
次に、移動体会議システム1の動作について説明する。
図8は、移動体会議システム1における動作の手順を示すフロー図である。
図8の処理は繰り返し実行される。
処理を開始すると、会議管理装置3のログイン部23は、外部通信ネットワークを介して、オンライン会議の開催通知を受信したか否かを判断する(S100)。開催通知は、例えば、そのオンライン会議を主催する参加者の端末装置又は会議サーバから送信され得る。
【0048】
ログイン部23は、開催通知を受信したときは(S100、YES)、受信した開催通知をメモリ21に保存する(S102)。次に、ログイン部23は、メモリ21に保存した開催通知に基づき、いずれかの共通オンライン会議(すなわち、移動体2から複数の人物が参加を予定しているオンライン会議)の開始時刻が近いか否かを判断する(S104)。例えば、ログイン部23は、現在時刻が開始時刻から所定時間前(例えば、15分前)以内となったときに、開始時刻に近いと判断することができる。
【0049】
一方、ステップS100において開催通知を受信しないときは(S100、NO)、ログイン部23は、ステップS104に処理を移す。
ステップS104において、共通オンライン会議の開始時刻が近くないときは(S100、NO)、ログイン部23は、ステップS100に戻って処理を繰り返す。
【0050】
一方、ステップS104においてオンライン会議の開始時刻が近いときは(S104、YES)、ログイン部23は、ログイン画面を共有表示装置4又はいずれかの端末装置5の個別タッチパネル6に表示する(S106)。上記表示されたログイン画面に対し移動体2の乗員がログイン操作を行うと、ログイン部23は、従来技術に従い、そのオンライン会議にログインする。
【0051】
続いて、座席判別部24は、それぞれの個別タッチパネル6に座席入力画面を表示し(S108)、個別タッチパネル6を介して、室内参加者が行う座席位置を示す入力を取得する(S110)。
【0052】
続いて、管理部25は、共通オンライン会議の開始時刻が到来したか否かを判断する(S112)。そして、開始時刻が到来していないときは(S112、NO)、管理部25は、ステップS112に戻って処理を繰り返し、開始時刻が到来するのを待機する。
【0053】
一方、開始時刻が到来したときは(S112、YES)、管理部25は、共有表示装置4への、上記共通オンライン会議の共有情報の表示を開始する(S114)。また、管理部25は、室内参加者のそれぞれの端末装置5が備える個別タッチパネル6への、その室内参加者のための個別操作画面の表示を開始する(S116)。そして、上記共有情報と個別操作画面とにより、上記共通オンライン会議の進行を支援する(S118)。
【0054】
続いて、管理部25は、共通オンライン会議が終了したか否かを判断する(S120)。例えば、管理部25は、その共通オンライン会議に参加していた全ての室内参加者が、それぞれの個別操作画面での操作(例えば、退出ボタン37の操作)により、その共通オンライン会議から退出したときに、その共通オンライン会議が終了したものと判断し得る。
【0055】
そして、共通オンライン会議が終了していないときは(S120、NO)、管理部25は、ステップS118に戻って処理を繰り返す。一方、共通オンライン会議が終了したときは(S120、YES)、管理部25は、本処理を終了する。
【0056】
[他の実施形態]
管理部25は、共有情報を共有表示装置4に表示することに加えて、室内スピーカ10を用いて共通オンライン会議の音声を出力し、及び室内マイク11を用いて取得される移動体2の室内の音声を、移動体2の外部から共通オンライン会議に参加する他の参加者の端末装置及び又は会議サーバへ配信してもよい。
【0057】
座席判別部24は、端末装置5が備えるカメラ7により、座席14に着座した乗員の顔画像を取得して、顔認証により、室内参加者を識別すると共に、各室内参加者の着座位置を判別してもよい。顔認証に必要な参照用の顔画像は、予めメモリ21に保存されるか、又は外部装置としての他のサーバから取得されるものとすることができる。
【0058】
なお、本発明は上記の実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0059】
[上記実施形態によりサポートされる構成]
上述した実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0060】
(構成1)移動体の室内において乗員が通信ネットワークを介したオンライン会議に参加するための移動体会議システムであって、前記移動体の室内からオンライン会議に参加する室内参加者のそれぞれについての、前記オンライン会議の通信情報である会議情報を管理する管理部を備え、前記管理部は、複数の前記室内参加者が参加する共通のオンライン会議について、前記会議情報のうち、前記共通のオンライン会議の参加者の全員に配信される共有情報を、前記移動体の室内において共有される共有表示装置に表示し、前記室内参加者が着座位置から個別に操作することのできる個別タッチパネルに、前記共通のオンライン会議の参加者が個別に操作を行うための個別操作画面を表示する、移動体会議システム。
構成1の移動体会議システムによれば、移動体内においてオンライン会議を行う際に移動体内における会議参加への一体感を高めつつ、各乗員が会議参加に係る個人設定を自由に変更できるようにすることができる。
【0061】
(構成2)前記室内参加者のそれぞれが着座した座席位置を判別する座席判別部を備え、前記管理部は、前記室内参加者のそれぞれの座席位置に基づいて、前記室内参加者のそれぞれのための前記個別操作画面を、対応する前記室内参加者の座席位置から個別に操作することのできる前記個別タッチパネルに表示する、構成1に記載の移動体会議システム。
構成2の移動体会議システムによれば、座席判別部により室内参加者のそれぞれの着座位置を判別して、管理部が各室内参加者について個別操作画面を表示すべき個別タッチパネルを特定することができる。
【0062】
(構成3)前記座席判別部は、前記個別タッチパネルを介して、前記室内参加者の座席位置を示す入力を取得する、構成2に記載の移動体会議システム。
構成3の移動体会議システムによれば、室内参加者のそれぞれの着座位置を容易に判別することができる。
【0063】
(構成4)前記管理部は、前記室内参加者を個別に撮影する撮像装置、前記室内参加者が個別に用いる音声入力装置及び音声出力装置、及び又は前記個別タッチパネルの表示画面の、設定に関する指示を前記個別操作画面を介して取得して、前記取得した指示に基づき、前記撮像装置、前記音声入力装置、音声出力装置、及び又は前記表示画面の設定を行う、構成1ないし3のいずれかに記載の移動体会議システム。
構成4の移動体会議システムによれば、各室内参加者は、それぞれ自分が使用する個別タッチパネルに表示される個別操作画面により、会議参加に係る画像送信、画像表示、及び又は音響についての種々の調整を行うことができるので、室内参加者の利便性が向上する。
【0064】
(構成5)前記個別タッチパネルは、前記移動体の各座席の前方に配されている、構成1ないし4のいずれかに記載の移動体会議システム。
構成5の移動体会議システムによれば、各室内参加者は、個別操作画面を容易に操作することができる。
【符号の説明】
【0065】
1…移動体会議システム、2…移動体、3…会議管理装置、4…共有表示装置、5…端末装置、5a…運転席端末装置、5b…助手席端末装置、5c…後部左席端末装置、5d…後部右席端末装置、6、6a、6b、6c、6d…個別タッチパネル、7、7a、7b、7c、7d…カメラ、8、8a、8b、8c、8d…音声出力装置、9、9a、9b、9c、9d…音声入力装置、10…室内スピーカ、11…室内マイク、12…ステアリングホイール、13…ステアリングスイッチ、14…座席、14a…運転席、14b…助手席、14c…後部左席、14d…後部右席、15…インストルメントパネル、16…メータパネル、17…ルームミラー、20…プロセッサ、21…メモリ、22…通信装置、23…ログイン部、24…座席判別部、25…管理部、30…予定参加者リスト、31…選択オブジェクト、32…確定ボタン、33…資料画像、34…参加者リスト、35…発言者アイコン、36…個別操作画面、37…退出ボタン、38…共有ボタン、39…チャットボタン、40…他機能ボタン、41…チャットボックス、42…カメラボタン、43…音量ボタン、44…マイクボタン、45…座席変更ボタン、50…アプリケーションウィンドウ、51…メニューボタン。