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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128853
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】水準器
(51)【国際特許分類】
   G01C 9/34 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
G01C9/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038109
(22)【出願日】2023-03-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1. https://jpn.tajimatool.co.jp/product/4975364267610 https://jpn.tajimatool.co.jp/product/4975364267627 https://jpn.tajimatool.co.jp/product/4975364267634 https://jpn.tajimatool.co.jp/product/4975364267641 株式会社TJMデザインが上記URLにおいて、2023年1月6日に公開。 2. https://youtu.be/fOIE6x3G_mY https://youtu.be/SD3KI5IvUKY 株式会社TJMデザインがYoutubeにて、2023年1月6日に公開。 3. https://amzn.asia/d/enI81JA https://amzn.asia/d/0PTUbqY 株式会社TJMデザインがAmazonにて、2023年1月5日に公開。 4. 株式会社TJMデザインが刊行物「2023ホットニュース1-3月号〈水平器/セフ電工・設備工レベル〉」で、2022年10月3日に公開。 5. https://www.instagram.com/p/Cn1PinjNwBX/ 株式会社TJMデザインがインスタグラムにて、2023年1月25日に公開。
(71)【出願人】
【識別番号】000156307
【氏名又は名称】株式会社TJMデザイン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】後藤 章夫
(57)【要約】
【課題】携行性と作業性の向上との両立が図られた水準器を提供する。
【解決手段】水準器1Aは、気泡管2と、気泡管2が埋設されたプレート基板3と、プレート基板3に配置されたシャフト4と、を備える。プレート基板3は、シャフト4とともに一体的に機能する、当該プレート基板3の正面に形成された凹部5又は当該プレート基板3を貫通する開口部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気泡管と、
前記気泡管が埋設されたプレート基板と、
前記プレート基板に配置されたシャフトと、を備えており、
前記プレート基板は、前記シャフトとともに一体的に機能する、当該プレート基板の正面に形成された凹部又は当該プレート基板を貫通する開口部を備える、水準器。
【請求項2】
前記シャフトは、前記プレート基板に連なる柱部と、前記柱部の外周面から突出するフランジ部とを備える、請求項1に記載された水準器。
【請求項3】
前記プレート基板は、前記開口部を備えており、
前記シャフトは、2つのフランジ部と、前記2つのフランジ部の間に配置された柱部とを備えており、前記柱部は、前記シャフトが前記開口部の内部で動けるように、当該開口部を貫通している、請求項1に記載された水準器。
【請求項4】
前記プレート基板は、前記プレート基板の正面に形成された段部を備えており、前記段部には、金具取付部が設けられており、前記段部は、前記プレート基板の側面に開放されている、請求項1に記載された水準器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水準器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水準器には、当該水準器の表面に係合部を設け、当該係合部を使用者に装着した携行用ホルダに係合させることによって、当該水準器を持ち運び易くしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、他の従来の水準器には、ツマミを設けることによって、当該水準器を持ち易くしたものが知られている(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7134494号公報
【特許文献2】特開2007-196359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の水準器に係る係合部は、ホルダに対して係合させることによって携行可能であるものの、当該係合部は持ち難い等の理由から、水準器を用いた作業時の作業性の点で改善の余地がある。これに対し、上記特許文献2の水準器は、ツマミによって持ち易くしているものの、携行し易さという点で改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、作業性の向上と携行性との両立が図られた水準器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る水準器は、気泡管と、前記気泡管が埋設されたプレート基板と、前記プレート基板に配置されたシャフトと、を備えており、前記プレート基板は、前記シャフトとともに一体的に機能する、当該プレート基板の正面に形成された凹部又は当該プレート基板を貫通する開口部を備える。
【0007】
(2)上記(1)の水準器において、前記シャフトは、前記凹部又は前記開口部と隣接する位置に配置されているものとすることができる。
【0008】
(3)上記(1)又は(2)の水準器において、前記シャフトは、前記プレート基板に連なる柱部と、前記柱部の外周面から突出するフランジ部とを備えることが好ましい。
【0009】
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つの水準器は、前記プレート基板と前記シャフトとを貫通する連通孔を備えることが好ましい。
【0010】
(5)上記(1)~(4)のいずれか1つの水準器において、前記プレート基板は、前記凹部を備えており、前記凹部は、当該凹部の底部分に貫通孔を備えるものとすることができる。
【0011】
(6)上記(1)~(5)のいずれか1つの水準器において、前記プレート基板は、当該プレート基板の一つの角部の正面に形成された窪み部を備えており、前記窪み部には、金具取付部が設けられており、前記窪み部は、前記プレート基板の側面に開放されているものとすることができる。
【0012】
(7)上記(1)~(6)のいずれか1つの水準器において、前記プレート基板は、前記凹部を備えており、前記気泡管は、前記凹部に配置されているものとすることができる。
【0013】
(8)上記(1)の水準器において、前記プレート基板は、前記開口部を備えており、前記シャフトは、2つのフランジ部と、前記2つのフランジ部の間に配置された柱部とを備えており、前記柱部は、前記シャフトが前記開口部の内部で動けるように、当該開口部を貫通しているものとすることができる。
【0014】
(9)上記(8)の水準器において、前記プレート基板は、前記プレート基板の正面に段部を備えており、前記開口部は、前記段部に配置されているものとすることができる。
【0015】
(10)上記(8)又は(9)の水準器において、前記シャフトは、前記プレート基板の開口縁部分に乗り越え可能に引っかかって前記シャフトを前記プレート基板に対して位置決めする凸部を備えるものとすることができる。
【0016】
(11)上記(8)~(10)のいずれか1つの水準器において、前記プレート基板は、前記プレート基板の正面に形成された段部を備えており、前記段部には、金具取付部が設けられているものとすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、作業性の向上と携行性との両立が図られた水準器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る、水準器を概略的に示す正面図である。
図2図1の水準器の背面図である。
図3図1の水準器を正面側上方から示す斜視図である。
図4図1の水準器を正面側下方から示す斜視図である。
図5図1の水準器の右側面図である。
図6図1の水準器を装着可能な携行用ホルダの一例を概略的に示す斜視図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る、水準器を概略的に示す正面図である。
図8図7の水準器の背面図である。
図9図7の水準器をX-X断面で示す断面図である。
図10図7の水準器のシャフトを概略的に示す斜視図である。
図11図7の水準器の右側面図である。
図12図7の水準器の左側面図である。
図13図7の水準器を正面側上方から示す斜視図である。
図14図7の水準器を正面側下方から示す斜視図である。
図15図7の水準器に適用可能な例示的なシャフトの様々な外観形状を概略的に示す断面図である。
図16図7の水準器に適用可能な例示的なシャフトの他の外観形状を概略的に示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の、例示的な実施形態に係る、水準器について説明をする。
【0020】
図1中、符号1Aは、本発明の第1の実施形態に係る水準器である。図1において、水準器1Aは、当該水準器1Aの正面の側から示されている。ここで、「正面」とは、水準器を使用するときに使用者と向かい合う面をいう。本実施形態において、水準器1Aの正面とは、後述するシャフト4が配置されている側の面である。本実施形態において、水平の測定結果は、水準器1Aの正面から確認することができる。
【0021】
また、図2には、水準器1Aが、当該水準器1Aの背面の側から示されている。ここで、「背面」とは、「正面」と反対側の面である。本実施形態において、水準器1Aの背面とは、シャフト4が配置されている側と反対側の面である。本実施形態において、水平の測定結果は、水準器1Aの背面からも確認することができる。
【0022】
水準器1Aは、矩形の外形形状を有している。図示のように、水準器1Aは、例えば、当該水準器1Aの長尺方向を左右方向とし、当該水準器1Aの短尺方向を上下方向とすることによって使用することができる。
【0023】
図1を参照すれば、水準器1Aは、気泡管2と、気泡管2が埋設されたプレート基板3と、プレート基板3の正面に設けられたシャフト4と、を備えている。プレート基板3は、シャフト4とともに一体的に機能する、当該プレート基板3の正面に形成された凹部5を備えている。ここで、「一体的に機能する」とは、機能が関連しあって同時に使用されることを意味する。本実施形態では、凹部5は、シャフト4とともに使用されるものである。
【0024】
本実施形態において、プレート基板3は、プレート基板本体3aと、フレーム3bと備えている。本実施形態において、フレーム3bは、水準器1Aの外枠を構成している。具体的には、フレーム3bは、2つの長尺部分3b1と2つの短尺部分3b2とによって構成された矩形の外形形状を有している。
【0025】
本実施形態において、プレート基板本体3aは、フレーム3bの内側に取り付けられている。本実施形態において、フレーム3bは、アルミニウム合金等の金属によって形成されている。この場合、水準器1Aの耐衝撃性が向上する。また、本実施形態において、プレート基板本体3aは、透明なプレート基板本体である。これによって、使用者は、水準器1Aの背面側(又は正面側)を、プレート基板本体3aを通して視認することができる。ただし、プレート基板本体3aは、半透明又は不透明なプレート基板本体とすることができる。プレート基板本体3aは、例えば、樹脂、強化ガラス、金属などによって形成することができる。
【0026】
本実施形態において、シャフト4は、プレート基板本体3aに取り付けられている。本実施形態において、シャフト4は、図1に示すように、正面視において、プレート基板3の中心に配置されている。また、本実施形態において、凹部5は、プレート基板本体3aに形成されている。
【0027】
水準器1Aは、2つの凹部5を備えている。本実施形態において、2つの凹部5は、シャフト4を挟んだ左右両側(長尺方向両側)に配置されている。以下、左側に配置された凹部5は、「縦向き凹部5A」ともいい、右側に配置された凹部5は、「横向き凹部5B」ともいう。ここで、「縦向き」とは、短尺方向の向きをいい、「横向き」とは、長尺方向の向きをいう。
【0028】
本実施形態において、縦向き凹部5A及び横向き凹部5Bは、それぞれ、使用者の指を差し込むことができる大きさ及び所定の深さを有している。これによって、縦向き凹部5A及び横向き凹部5Bは、それぞれ、シャフト4とともに、水準器1Aを持つためのツマミとして使用することができる。即ち、縦向き凹部5A及び横向き凹部5Bの側面5aのうちの、シャフト4側の側面5aは、シャフト4の柱部4aの側面と実質的に同一面となっており、水準器1Aを持つときのツマミとして、シャフト4とともに一体的に機能する。
【0029】
水準器1Aにおいて、シャフト4は、凹部5と隣接する位置に配置されている。ここで、「凹部5と隣接する位置」とは、凹部5の側面5aと隣接する位置をいう。
【0030】
例えば、図3に示すように、水準器1Aにおいて、シャフト4は、プレート基板3の正面に連なる柱部4aと、柱部4aの外周面から突出するフランジ部4bとを備えている。本実施形態において、フランジ部4bは、柱部4aの軸方向端部を構成している、図3に示すように、柱部4aは、縦向き凹部5Aの側面5aと隣接する位置に配置されている。また、図4に示すように、柱部4aは、横向き凹部5Bの側面5aと隣接する位置に配置されている。
【0031】
なお、「凹部5の側面5aと隣接する位置」とは、凹部5の側面5aと一致する位置であることが好ましい。ただし、本実施形態において、「凹部5の側面5aと隣接する位置」とは、図1に示すように、正面視において、シャフト4に最も近い凹部5の側面5aがシャフト4のフランジ部4bに隠れる位置であればよい。なお、図3及び4では、凹部5のシャフト4側の側面5aと、シャフト4の柱部4aの側面との間にはわずかに離間させている。これによって、シャフト4の柱部4aの側面は、凹部5のシャフト4側の側面5aとの間にわずかな段差を形成している。この段差は、例えば、凹部5のシャフト4側の側面5aをシャフト4の柱部4aの幅よりも狭くすることによって、指の引っ掛け部分として機能させることができる。
【0032】
また、水準器1Aは、プレート基板3とシャフト4とを貫通する連通孔A1を備えている。連通孔A1は、例えば、建物に敷設された少なくとも1つの配線を通すことができる大きさを有している。
【0033】
また、水準器1Aは、凹部5の底部分5bに貫通孔A2を備えている。貫通孔A2は、例えば、けがき作業のときに使用することができる。貫通孔A2は、例えば、けがき工具(例えば、けがき針)、筆記用具(例えば、鉛筆)等を使用して印付けをすることができる大きさ(開口面積)を有している。具体的には、けがき工具又は筆記用具の先端部が挿入できる大きさ(開口面積)を有している。
【0034】
また、水準器1Aは、当該プレート基板3の一つの角部の正面に形成された窪み部6を備えている。窪み部6には、金具取付部7が設けられている。さらに、窪み部6は、プレート基板3の側面Fに開放されている。
【0035】
本実施形態において、窪み部6は、プレート基板本体3aとフレーム3bとによって形成されている。図2を参照すれば、窪み部6は、フレーム3bの長尺部分3b1及び短尺部分3b2の間に形成された角部3b3によって区画されている。本実施形態において、角部3b3は、図2に示すように、長尺部分3b1及び短尺部分3b2の背面側端部に連なる三角形状のプレート部分である。
【0036】
また、本実施形態において、金具取付部7は、角部3b3に形成された通し孔A3の間に掛け渡されたアーチ形状部である。これによって、金具取付部7を設けつつ、水準器1Aの軽量化を図ることができる。また、図5に示すように、本実施形態において、金具取付部7の前後方向正面側端7aは、フレーム3bの前後方向正面側端と一致している。これによって、金具取付部7は、プレート基板3に埋没することによって、使用者の邪魔とならない。
【0037】
さらに、図5に示すように、本実施形態において、窪み部6は、切り欠き部C1を通してプレート基板3の短尺側側面F2に開放されている。本実施形態において、切り欠き部C1は、プレート基板3のフレーム3bの短尺部分3b2に形成されている。これによって、窪み部6は、プレート基板3の短尺側側面F2に開放されている。ただし、窪み部6は、プレート基板3の長尺側側面F1に開放させることもできる。
【0038】
加えて、図3に示すように、本実施形態において、窪み部6は、縦向き凹部5Aに連なっている。これによって、縦向き凹部5Aと窪み部6とは、1つの凹部(窪み)として構成されている。
【0039】
加えて、例えば、図3に示すように、水準器1Aにおいて、気泡管2は、凹部5に配置されている。具体的には、気泡管2は、プレート基板本体3aに取り付けられている。図2に示すように、本実施形態において、プレート基板本体3aには、窓(開口部)3cが形成されている。これによって、気泡管2は、プレート基板本体3aの背面側(又は正面側)からでも、窓3cを通して視認することができる。
【0040】
水準器1Aは、2つの気泡管2を備えている。水準器1Aは、図3に示すように、プレート基板3の長尺側側面F1を測定部分に接触させる接触面とすることによって使用することができる。この場合、水準器1Aは、図3に示すように、窪み部6が下側に位置するように、プレート基板3の長尺側側面F1を接触面とすることが好ましい。また、水準器1Aは、プレート基板3の短尺側側面F2を接触面とすることによって使用することができる。この場合もまた、水準器1Aは、窪み部6が下側に位置するように、プレート基板3の短尺側側面F2を接触面とすることが好ましい。さらに、水準器1Aは、例えば、図3の向きで、当該水準器1Aの背面を測定部分に付き当てることによって、使用することができる。
【0041】
本実施形態において、縦向き凹部5Aに配置された気泡管2a(以下、「横置き気泡管2a」ともいう。)は、長尺方向に延在するように配置されている。横置き気泡管2aは、例えば、プレート基板3の長尺側側面F1を接触面として、プレート基板3の短尺側側面F2を測定部分に対して起立(又は垂下)させることによって長尺方向の水平を確かめることができる。特に、本実施形態において、縦向き凹部5Aは、切り欠き部C2を通して、2つのプレート基板3の側面のうち、上側に配置されたプレート基板3の側面F1に開放されている。本実施形態において、切り欠き部C2は、プレート基板3のフレーム3bの長尺部分3b1に形成されている。これによって、横置き気泡管2aは、上側に配置されたプレート基板3の側面F1からも視認することができる。
【0042】
また、本実施形態において、横向き凹部5Bに配置された気泡管2b(以下、「縦置き気泡管2b」ともいう。)は、短尺方向に延在するように配置されている。縦置き気泡管2bは、例えば、プレート基板3の長尺側側面F1を接触面として、プレート基板3の長尺側側面F1を測定部分に対して起立(又は垂下)させることによって短尺方向の水平を確かめることができる。特に、図4に示すように、本実施形態において、横向き凹部5Bは、切り欠き部C3を通して、2つのプレート基板3の側面F2のうち、左側に配置されたプレート基板3の側面F2に開放されている。本実施形態において、切り欠き部C3は、プレート基板3のフレーム3bの短尺部分3b2に形成されている。これによって、縦置き気泡管2bは、図4に示すように、左側に配置されたプレート基板3の側面F2からも視認することができる。
【0043】
符号8は、プレート基板3に設けられた磁石である。磁石8によれば、測定部分が金属等の磁性体である場合、水準器1Aを測定部分に対して取外し可能に固定することができる。本実施形態において、磁石8は、水準器1Aの長尺部分に配置されている。具体的には、磁石8は、フレーム3bの外面に露出させる一方で当該フレーム3bの外面からは突出させないように、フレーム3bに埋設されている。これによって、プレート基板3の側面は、凹凸形状を有しない平らな面とすることができる。ただし、磁石8は、プレート基板3の任意の位置に配置することができる。
【0044】
水準器1Aにおいて、磁石8は、プレート基板3の長尺側側面F1に配置されている。この場合、水準器1Aは、プレート基板3の長尺側側面F1を接触面として、測定部分の側面に取外し可能に固定することができる。具体的には、水準器1Aは、図4の状態から図面反時計回りに90度回転させた後、測定部分の側面に取外し可能に固定することができる。この場合、測定部分の水平は、縦置き気泡管2bによって確かめることができる。プレート基板3の長尺側側面F1を測定部分の側面に取外し可能に固定できる場合、後述するように、電気工事の作業において特に便利である。
【0045】
水準器1Aは、上述のとおり、プレート基板3の正面に設けられたシャフト4を備えており、プレート基板3には、シャフト4とともに一体的に機能する凹部5が形成されている。
【0046】
水準器1Aによれば、プレート基板3に設けられたシャフト4を、後述の携行用ホルダに装着するためのブラケットとして使用することができる。これによって、水準器1Aは、現場作業者等の使用者が携行し易いものとなる。加えて、水準器1Aによれば、プレート基板3に設けられた凹部5をシャフト4とともにツマミとして使用することができる。即ち、シャフト4及び凹部5を1つのツマミとして一体的に機能させることができる。この場合、シャフト4のプレート基板3からの突出高さに加えて凹部5の深さ分だけ、指で摘める領域を増やすことができる。これによって、水準器1Aは、シャフト4のみの場合に比べて持ち易くなる。このように水準器1Aが持ち易くなれば、当該水準器1Aを用いることによって、測定部分の水平を確かめる作業などの、当該水準器1Aを用いた作業時の作業性が向上する。
【0047】
したがって、水準器1Aによれば、作業性の向上と携行性との両立を図ることができる。特に、水準器1Aのように、凹部5の深さ分だけ、指で摘める領域が増えることは、作業時に手袋を着用している場合に特に有効である。したがって、水準器1Aは、取り扱い易い水準器となる。なお、水準器1Aは、シャフト4を取り外すことができる。水準器1Aは、シャフト4を取外した場合でも、凹部5のみをツマミとして使用することができる。
【0048】
また、水準器1Aにおいて、シャフト4は、上述のとおり、凹部5と隣接する位置に配置されている。この場合、シャフト4と凹部5との形状的な一体性が向上する。このため、使用者は、シャフト4とともに凹部5の側面5aを容易に摘まむことができる。したがって、水準器1Aは、シャフト4を凹部5と隣接する位置に配置したことによって、より持ち易い水準器となる。
【0049】
また、水準器1Aにおいて、シャフト4は、プレート基板3の正面に連なる柱部4aと、柱部4aの外周面から突出するフランジ部4bとを備えている。この場合、柱部4aよりも径寸法が大きいフランジ部4bを、携行用ホルダに装着するための装着部分として使用することができる。
【0050】
図6には、例示的な携行用ホルダ100が概略的に示されている。携行用ホルダ100は、取付部101を備えている。取付部101は、水準器1Aのシャフト4のフランジ部4bがスライド可能な案内面102と、シャフト4の柱部4aを案内するとともに柱部4aの左右両側部分を案内面103との間で保持する2つの案内フランジ104と、を備えている。案内面102と2つの案内フランジ104との間には、シャフト4を収容可能な収容空間S100が形成されている。そして、2つの案内フランジ104の間には、収容空間S100を外部に通じさせる開口A100が形成されている。さらに、携行用ホルダ100は、ストッパ105を備えている。ストッパ105は、水準器1Aのシャフト4を収容空間S100の内部に係止する。これによって、使用者は、シャフト4を介して取付部101に装着された状態で、水準器1Aを携行することができる。その一方で、ストッパ105は、右斜め下方向にスライドさせることによって、水準器1Aのシャフト4に対する係止を解除することができる。ストッパ105の解除によって、使用者は、水準器1Aを引き上げるだけで、当該水準器1Aを携行用ホルダ100から容易に取り外すことができる。
【0051】
また、シャフト4のフランジ部4bには、当該シャフト4をツマミとして使用する場合、使用者の指を引っ掛けることができる。この場合、使用者は、シャフト4を軽い力であっても保持することができる。したがって、この場合、水準器1Aの持ち易さと、当該水準器1Aの携行し易さとの、両立を図ることができる。
【0052】
また、図3に示すように、水準器1Aは、プレート基板3とシャフト4とを貫通する連通孔A1を備えている。この場合、例えば、水準器1Aを使用する電気工事等の現場において、電気ケーブル等の電気配線がすでに敷設されているとき、連通孔A1には、電気配線を通すことができる。これによって、連通孔A1は、例えば、配線工事中の現場に使用するとき、敷設された電気配線をばらけさせることなく、水準器1Aの背面から当該水準器1Aの正面を経て当該水準器1Aの外にまとめて逃がすことができる。したがって、連通孔A1が形成された水準器1Aは、電気配線が敷設された現場の使用に適した水準器となる。
【0053】
また、水準器1Aにおいて、凹部5は、当該凹部5の底部分5bに貫通孔A2を備えている。例えば、電気配線工事等において、コンセントを設置する場合、建物の壁に対して予め、プラグの位置又はコンセントボックスの位置を位置決めしておく必要がある。こうした位置決め作業では、基準点又は基準線をピンポイントの位置に印しておく必要がある。
【0054】
これに対し、水準器1Aに形成された貫通孔A2には、例えば、けがき工具の先端部又は筆記用具の先端部を通すことができる。この場合、水準器1Aは、けがき定規等のけがき用基準器としても使用することができる。例えば、2つの貫通孔A2の間隔は、コンセントカバーを取り付ける際のねじ穴の間隔とすることができる。この場合、水準器1Aを用いることによって予め、コンセントカバーのねじ穴の位置を、建物の壁に対してピンポイントに印すことができる。また、水準器1Aの外形をコンセントボックスの外形と一致又は一回り小さくさせるようにすれば、水準器1Aの背面を建物の壁に接触させることによって、コンセントボックスの取付位置と、コンセントカバーのねじ穴の位置との、それぞれの位置を、気泡管2を用いて水平を確かめながら、ピンポイントに、一度に、けがくことができる。
【0055】
特に、水準器1Aには、磁石8が設けられている。この場合、水準器1Aは、磁石8によって、金属製のコンセントボックスに固定することによって使用することができる。具体的には、水準器1Aは、図4の状態から図面反時計回りに90度回転させた後、金属製のコンセントボックスの側面に取外し可能に固定することができる。この場合、コンセントボックスの水平は、縦置き気泡管2bによって確かめることができる。このように水準器1Aに磁石8を設けた場合、コンセントボックスを建物の壁に形成された開口に取り付けるときに、或いは、建物の柱に取り付けるときに、コンセントボックスの水平を確かめながら、建物の、壁又は柱に取り付けることができる。
【0056】
また、水準器1Aは、プレート基板3の正面に、金具取付部7が設けられた窪み部6を備えており、当該窪み部6は、プレート基板3の側面F2に開放されている。金具取付部7には、水準器1Aの落下を防止するための落下防止用具(例えば、ロープ、ワイヤー等の線状部材)の金具(以下、「落下防止用具金具」ともいう。)を接続することができる。これによって、水準器1Aの落下を防止することができる。落下防止用具金具としては、例えば、ナス環、カラビナが挙げられる。落下防止用具金具は、金具取付部7に接続されることによって、正面側が開放された窪み部6の内部に配置される。このため、水準器1Aに落下防止用具を接続した状態においても、落下防止用具金具が水準器1Aの背面の側(測定部分の側)に回り込むことがない。加えて、この場合、落下防止用具金具に繋がる落下防止用具もまた、正面側が開放された切り欠きC1を通してプレート基板3の側面F2から水準器1Aの外に逃がすことができる。このため、落下防止用具もまた、水準器1Aの背面の側(測定部分の側)に回り込むことがない。したがって、この場合、使用者は、落下防止用具を水準器1Aに接続したままでも、当該落下防止用具が水準器1Aの周囲を邪魔することなく、作業を進めることができる。
【0057】
また、水準器1Aにおいて、気泡管2は、凹部5に配置されている。この場合、気泡管2は、水準器1Aの周囲を邪魔することなく、当該水準器1Aに取付けられることができる。これによって、水準器1Aの小型化を図ることができる。
【0058】
さらに、水準器1Aは、上述のとおり、けがき用の定規として使用することができる。例えば、図3及び4に示すように、水準器1Aの側面(フレーム3bの側面)Fは、平らな面である。このため、水準器1Aによれば、当該水準器1Aの側面Fを案内面として、けがき線を引くことができる。
【0059】
加えて、水準器1Aは、上述のとおり、連通孔A1を備えている。このため、上述のとおり、当該連通孔A1に電気配線を通せば、電気配線工事途中の現場であっても、けがき作業又は水平の確認作業を容易に行うことができる。
【0060】
さらに、水準器1Aは、落下防止用具金具を、正面側が開放された窪み部6の内部に接続できる。このため、水準器1Aに落下防止用具を接続した状態においても、落下防止用具金具が水準器1Aの背面の側(測定部分の側)に回り込むことがない。このため、水準器1Aによれば、落下防止用具を外すことなく、けがき作業を早く進められる。
【0061】
また、水準器1Aの凹部5は、シャフト4と協働する部分として機能する。この場合、使用者は、シャフト4を摘んだまま、凹部5の底部分5bを押圧することによって、水準器1Aの背面を測定部分に押し当てることができる。ただし、水準器1Aにおいて、シャフト4と協働する部分は、凹部5に代えて、プレート基板3を貫通する開口部とすることができる。
【0062】
水準器1Aを電気工事の配線作業現場で使用する場合、当該水準器1Aの外形寸法は、標準的なコンセントボックスよりも一回り小さいものとすることができる。この場合、コンセントボックスの取付口を、水準器1Aを用いて正確に位置決めした後、水準器1Aの外形を利用してけがき線を引き、けがき線に沿って正確に開口すれば、大きすぎない適切な取付口を開口することができる。外形寸法の具体例としては、長尺寸法93mm、短尺寸法49mmが挙げられる。
【0063】
水準器1Aにおいて、シャフト4は、フランジ部4bは四角い形状である。この場合、水準器1Aは、フランジ部4bの各辺に応じた向きで携行用ホルダ100に装着させることができる。また、柱部4aも角柱形状である。この場合もまた、水準器1Aは、柱部4aの各面に応じた向きで携行用ホルダ100に装着させることができる。
【0064】
水準器1Aにおいて、シャフト4は、プレート基板3から取外して使用することができる。この場合、使用者は、水準器1Aをポケットに入れても、邪魔になり難い。したがって、この場合、使用者は、水準器1Aを容易に持ち歩くことができる。
【0065】
次いで、図7中、符号1Bは、本発明の第2の実施形態に係る水準器である。図7において、水準器1Bは、当該水準器1Bの正面の側から示されている。また、図8には、水準器1Bが、当該水準器1Bの背面の側から示されている。なお、本実施形態において、「正面」及び「背面」という用語は、水準器1Aと同様の意味で用いられている。
【0066】
水準器1Bもまた、矩形の外形形状を有している。図示のように、水準器1Bもまた、例えば、当該水準器1Bの長尺方向を左右方向とし、当該水準器1Bの短尺方向を上下方向とすることによって使用することができる。
【0067】
図7を参照すれば、水準器1Bは、気泡管2と、気泡管2が埋設されたプレート基板13と、プレート基板13に配置されたシャフト14と、を備えている。プレート基板13は、シャフト14とともに一体的に機能する、当該プレート基板13を貫通する開口部15を備えている。ここで、「一体的に機能する」とは、水準器1Aと同様、機能が関連しあって同時に使用されることを意味する。本実施形態では、開口部15は、シャフト14とともに使用されるものである。
【0068】
図9に示すように、シャフト14は、2つのフランジ部14a及び14bと、2つのフランジ部14a及び14bの間に配置された柱部14cとを備えている。柱部14cは、シャフト14がプレート基板3に形成された開口部15の内部で動けるように、当該開口部15を貫通している。本実施形態において、シャフト14は、開口部15の内部で前後及び上下左右の方向に動けるように、当該開口部15を貫通している。
【0069】
水準器1Bにおいて、シャフト14は、プレート基板13の開口縁部分16に乗り越え可能に引っかかってシャフト14をプレート基板13に対して位置決めする凸部14dを備えている。ここで、プレート基板13の開口縁部分16は、プレート基板3に形成された開口部15を縁取る、当該プレート基板13の一部分である。
【0070】
本実施形態において、凸部14dは、シャフト14の柱部14cに配置されている。本実施形態において、凸部14dは、径方向外側に突出している。ここで、径方向とは、シャフト14の中心軸線Оに対して直交する方向をいう。また、径方向のうち、シャフト14の中心軸線Оに近い側を径方向内側といい、シャフト14の中心軸線Оから遠い側を径方向外側という。
【0071】
本実施形態において、シャフト14は、径方向に揺動可能な弾性片14eを備えている。本実施形態において、弾性片14eは、フランジ部14aから下側に向かって延在している。これによって、弾性片14eは、フランジ部14aを基点に径方向に揺動させることができる。本実施形態において、凸部14dは、弾性片14eに設けられている。本実施形態において、凸部14dは、弾性片14eから径方向外側に突出している。本実施形態において、凸部14dは、弾性片14eに設けられていることから、シャフト14がプレート基板3に形成された開口部15の内部を軸線方向に移動するとき、プレート基板13の開口縁部分16を容易に乗り越えることができる。ここで、軸線方向とは、シャフト14の中心軸線Оが延在する方向をいう。
【0072】
本実施形態において、シャフト14は、正面側に配置された正面側パーツ14Aと、背面側に配置された背面側パーツ14Bと、正面側パーツ14Aと背面側パーツ14Bとを連結する連結要素14Cとを備えている。
【0073】
図10に示すように、正面側パーツ14Aは、フランジ部14aを備えている。また、正面側パーツ14Aは、軸線方向に延在する複数の弾性片14eを備えている。複数の弾性片14eは、中心軸線Оの周りを周方向に間隔を空けて配置されている。本実施形態において、弾性片14eは、フランジ部14aから軸線方向に沿ってフランジ部14bに向かって延在する筒部14fに環状の凸部を設け、当該筒部14fに複数のスリット14gを形成することによって得ることができる。複数のスリット14gは、中心軸線Оの周りを周方向に間隔を空けて配置されている。これによって、複数のスリット14gの間には、フランジ部14aに連なる筒部14fを基部として揺動可能な複数の弾性片14eが形成されている。
【0074】
背面側パーツ14Bは、フランジ部14bを備えている。また、背面側パーツ14Bは、軸線方向に延在する複数のガイドフィン14hを備えている。複数のガイドフィン14hは、軸線Оの周りを周方向に間隔を空けて配置されている。ガイドフィン14hは、図10に示すように。正面側パーツ14Aが背面側パーツ14Bに組み付けられた状態で、スリット14gの内部に配置されている。図9に示すように、背面側パーツ14Bは、中心軸線Оを取り囲む筒状部14kを備えている。本実施形態において、ガイドフィン14hは、筒状部14kから径方向外側に突出しているとともにフランジ部14bから軸線方向に沿ってフランジ部14aに向かって延在している。
【0075】
正面側パーツ14Aと背面側パーツ14Bとは、図9に示すように、連結要素14Cによって連結されている。連結要素14Cは、例えば、ねじとすることができる。本実施形態において、正面側パーツ14Aは、ボスねじ部14mを備えている。また、背面側パーツ14Bは、ボス孔部14nを備えている。本実施形態において、正面側パーツ14Aと背面側パーツ14Bとは、連結要素14Cによって接続されている。具体的には、ボスねじ部14mとボス孔部14nとを、ボスねじ部14mの下端とボス孔部14nの上端とを接触させた状態で、互いに連結要素14Cによって連結している。これによって、シャフト14は、連結要素14Cによって、分解可能に組み立てられる。
【0076】
図9に示すように、本実施形態において、シャフト14に設けられた凸部14dは、フランジ部14bとともにプレート基板13の開口縁部分16を挟持する。これによって、凸部14dは、フランジ部14bとともに、シャフト14をプレート基板13に対して軸線方向に位置決めする。このとき、シャフト14のフランジ部14bは、図9に示すように、当該プレート基板13の背面よりも内側に収容されている。これによって、プレート基板3の背面は、凹凸形状を有しない平らな面とすることができる。
【0077】
その一方で、シャフト14をプレート基板13の背面側に押し込めば、凸部14dが径方向内側に変形することによって、プレート基板13の開口縁部分16を乗り越えることができる。図11を参照すれば、プレート基板13の開口縁部分16がシャフト14に設けられた凸部14dとフランジ部14bとの間で挟持されているとき、シャフト14のフランジ部14bは、図11の実線で示すように、プレート基板13の背面よりも正面側の段部17に収容されている。これによって、水準器1Bの使用時において、シャフト14が邪魔になることがない。その一方で、シャフト14に設けられた凸部14dとフランジ部14bとの間での、プレート基板13の開口縁部分16の挟持は、シャフト14をプレート基板13の背面側に押し込むことによって解除することができる。これによって、シャフト14は、図11の破線で示すように、そのフランジ部14b及び柱部14cを水準器1Bの背面から突出させることができる。この場合、使用者は、例えば、水準器1Bの背面から突出させたシャフト14を携行用ホルダに装着することによって、当該水準器1Bを携行することができる。加えて、水準器1Bによれば、プレート基板13の背面から突出させたシャフト14を摘んで持つことができる。
【0078】
また、水準器1Bにおいて、プレート基板13は、当該プレート基板13の正面に段部17を備えており、開口部15は、段部17の底部分17bに配置されている。これによって、図11の実線で示すように、シャフト14のフランジ部14aは、当該シャフト14を正面側に引き出しても、プレート基板13の正面から突出することがない。本実施形態において、シャフト14のフランジ部14aは、当該シャフト14を正面側に引き出したとき、プレート基板13の正面と同一の平面を構成するようになっている。
【0079】
本実施形態において、段部17は、プレート基板13の側面Fに開放されている。本実施形態において、段部17は、プレート基板13の2つの短尺側側面F2のうちの一方に開放されている。
【0080】
また、図12に示すように、水準器1Bにおいて、プレート基板13は、当該プレート基板13の側面Fに形成された段部18を備えている。段部18には、金具取付部19が設けられている。本実施形態において、段部18は、プレート基板13の短尺側側面F2のうちの他方に開放されている。
【0081】
また、本実施形態において、金具取付部19は、段部18の底部18bに形成された通し孔A3の間に掛け渡されたアーチ形状部である。これによって、水準器1Aと同様、水準器1Bの軽量化を図ることができる。
【0082】
また、本実施形態において、プレート基板13の2つの長尺側側面F1のうちの、上側の長尺側側面F1は、例えば、図12に示すように背面側から正面側に向かうにしたがって下側に向かって傾斜している。また、プレート基板13の2つの長尺側側面F1のうちの、下側の長尺側側面F1には、左右方向に延在する溝13aが形成されている。
【0083】
また、図8を示すように、本実施形態において、プレート基板13の背面の輪郭線のうち、上下2つの長尺側背面輪郭線L1は、直線で構成されている。このため、上下2つの長尺側背面輪郭線L1はそれぞれ、けがき線を引くための、けがき定規として使用することができる。本実施形態において、プレート基板13は、気泡管2が配置されている領域の外側に、段部17及び18が配置されている。この場合、長尺側背面輪郭線L1は、段部17及び18を有しない水準器に比べて、より長く確保される。したがって、水準器1Bの長尺側背面輪郭線L1をけがき定規として用いれば、段部17及び18を有しない水準器に比べて、けがき線をより長く引くことができる。また、図7に示すように、本実施形態において、プレート基板13の2つの長尺側側面F1のうちの、上側の長尺側側面F1には、目盛表示21が設けられている。この場合、けがき線の長さを測りながら、当該けがき線を引くことができる。
【0084】
さらに、図13及び図14を示すように、プレート基板13の2つの短尺側側面F2は、背面側から正面側に向かうにしたがって互いに接近するように傾斜している。このため、2つの短尺側側面F2の間には、長尺側背面輪郭線L1よりも短い長尺側正面輪郭線L2が形成されている。本実施形態において、長尺側正面輪郭線L2もまた、直線で構成されている。また、プレート基板13の2つの短尺側側面F2を傾斜させたことによって、使用者は、短尺側側面F2に指を入れやすい。
【0085】
水準器1Bは、3つの気泡管2を備えている。水準器1Bは、横置き気泡管2a及び縦置き気泡管2bに加えて、斜め置き気泡管2cを備えている。本実施形態において、段部17及び18は、3つの気泡管2を左右方向で挟み込むような位置に配置されている。
【0086】
上述のとおり、水準器1Bは、シャフト14が開口部15の内部で前後及び上下左右の方向に動けるように、当該開口部15を貫通している。
【0087】
水準器1Bによれば、シャフト14を、開口部15を通してプレート基板13の背面側に押し出せば、当該シャフト14のフランジ部14bを携行用ホルダに装着するための装着部分として使用することができる。即ち、開口部15から出し入れ可能なシャフト14を、携行用ホルダ100に装着するための装着部分として、開口部15とともに一体的に機能させることができる。これによって、水準器1Bは、携行し易いものとなる。加えて、水準器1Bによれば、シャフト14を開口部15から出し入れ可能なツマミとして使用することができる。このように水準器1Bが持ち易くなれば、当該水準器1Bを用いることによって、測定部分の水平を確かめる作業などの、当該水準器1Bを用いた作業時の作業性が向上する。
【0088】
特に、水準器1Bは、プレート基板13の厚さの方向(前後方向)に動かすことができる。この場合、シャフト14を正面側に引き出せば、水準器1Bの使用時にシャフト14が邪魔にならないように、シャフト14をプレート基板13の背面よりも正面側の段部17に収容することができる。この場合、シャフト14が邪魔にならないことで、水準器1Bを用いた作業の作業性がさらに向上する。さらに、水準器1Bの場合、シャフト14が開口部15の内部で前後及び上下左右の方向に動けることから、使用者が水準器1Bを携行しながら動作するときの、当該シャフト14の動きに自由度を持たせることができる。即ち、使用者が水準器1Bを携行しながら動作するときに、当該水準器1Bが使用者の動作の邪魔になり難い。したがって、この場合、水準器1Bを携行しながらの作業性に優れる。さらに、シャフト14の動きに自由度を持たせたことから、当該シャフト14は耐衝撃性に優れる。
【0089】
また、水準器1Bにおいて、開口部15は、プレート基板13の正面に設けた段部17の底部分17bに配置されている。これによって、プレート基板13の厚さ(前後方向の厚さ)を抑えながら、プレート基板13からのシャフト14の引出し及び押し込みが可能となる。
【0090】
また、水準器1Bにおいて、シャフト14は、プレート基板13の開口縁部分16に乗り越え可能に引っかかってシャフト14をプレート基板13に対して位置決めする凸部14dを備えている。この場合、シャフト14をプレート基板13に対して所望の位置に位置決めすることができる。例えば、シャフト14は、上述のとおり、測定部分と接触するプレート基板13の背面側に突出しないように位置決めすることができる。この場合、水準器1Bの使用を開始するときに予めシャフト14が邪魔にならず、水準器1Bを使用したのちに携行用ホルダに装着するときだけ、シャフト14をプレート基板13の背面側から突出させて使用することができる。
【0091】
また、水準器1Bは、プレート基板13の正面に形成された段部18に、金具取付部19を設け、当該段部18をプレート基板13の側面に開放させている。金具取付部19には、水準器1Aと同様、落下防止用具金具を接続することができる。これによって、水準器1Bの落下を防止することができる。加えて、この場合、落下防止用具は、プレート基板13の正面に形成された段部18に配置されるため、水準器1Bに接続された状態のままでも、作業の邪魔になり難い。加えて、この場合、落下防止用具金具に繋がる落下防止用具もまた、プレート基板13の正面に形成された段部18の開放部分を通して水準器1Bの外に逃がすことができる。したがって、この場合、落下防止用具を接続したままでも、当該落下防止用具が水準器1Bの周囲を邪魔することなく、作業を進めることができる。
【0092】
水準器1Bは、図13及び14に示すように、プレート基板3の長尺側側面F1を測定部分に接触させる接触面とすることによって使用することができる。水準器1Bは、図13に示すように、目盛表示21が上側に位置するように、プレート基板3の長尺側側面F1を接触面とすることが好ましい。
【0093】
水準器1Bもまた、水準器1Aと同様に、例えば、エアコンの取付作業等の電気工事において使用することができる。水準器1Bは、例えば、建物の壁に取り付けられる取付板の水平を確かめることができる。具体例としては、水準器1Bは、エアコンの取付板に設けられた迫出し部分を設置部分として、当該迫出し部分にプレート基板3の長尺側側面F1を載せ置くことができる。これによって、水準器1Bは、エアコンの取付板の水平を確かめることができる。特に、水準器1Bは、プレート基板3の長尺側側面F1に磁石8が設けられている。この場合、水準器1Bは、磁石8によって、金属製のエアコンの取付板に設けられた迫出し部分に取外し可能に固定することができる。したがって、この場合、水準器1Bを用いた作業時の作業性がさらに向上する。
【0094】
また、水準器1Bは、当該水準器1Bの背面を接触面とすることもできる。具体例としては、水準器1Bは、当該水準器1Bの背面をエアコンの取付板の表面に接触させることができる。この場合、水準器1Bを用いた作業時の作業性がさらに向上する。特に、水準器1Bは、当該水準器1Bの背面にも磁石8が設けられている。この場合、水準器1Bは、当該水準器1Bの背面を、磁石8によって、エアコンの取付板の表面に取外し可能に固定することができる。したがって、この場合、水準器1Bを用いた作業時の作業性がより一層向上する。
【0095】
図15は、水準器1Bに適用可能な例示的なシャフト14の様々な外観形状を概略的に示す断面図である。
【0096】
図面左端は、矩形断面の柱部14cに弾性突起14pを形成したものである。次いで、右隣りは、楕円断面の柱部14cに弾性突起14pを形成したものである。次いで、右隣りは、ひし形断面の柱部14cに弾性突起14pを形成したものである。次いで、右隣りは、柱部14cを星形断面とし、その各先端部分14rを弾性突起としたものである。図面右端は、柱部14cを三角形断面とし、その各先端部分14rを弾性突起とするとともに各辺に弾性突起14pを形成したものである。
【0097】
シャフト14は、中心軸線Оに沿ってストレートな外観形状を有するものに限定されない。シャフト14は、軸線方向の中心部分(ウェスト部分)が径方向内側に狭まった外観形状(例えば、和太鼓の外観形状)を有するものとすることができる。また、シャフト14は、ウェスト部分が径方向外側に広がった外観形状(例えば、小鼓の外観形状)を有するものとすることができる。
【0098】
また、シャフト14は、一体成型品とすることができる。この場合、シャフト14の柱部14cは、エラストマー樹脂、ゴム等の、弾性材料で形成することができる。
【0099】
開口部15の形状もまた、丸孔(真円形)以外にも、楕円、扇形、多角形、その他の異形とすることができる。
【0100】
図16には、水準器1Bに適用可能な例示的なシャフト14の他の外観形状が概略的に示されている。図16において、シャフト14の柱部14cは、当該シャフト14の中心軸線Оに沿って伸縮する蛇腹によって構成されている。この場合、柱部14cは、開口部15を貫通させるのに代えて、水準器1Bの背面(プレート基板13の背面)の任意の位置に固定されている。この場合、シャフト14は、柱部14cの蛇腹運動によってシャフト14の中心軸線Оに沿って伸縮させることができる。こうした蛇腹形状のシャフト14は、水準器1Aのシャフト4として使用することができる。
【0101】
上述したところは、本発明の例示的な実施形態を説明したものであり、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。例えば、水準器1Aにおいて、シャフト4は、例えば、ねじ、ビス、嵌合、磁石、粘着剤等によって着脱させることができる。その一方で、シャフト4は、プレート基板3に固定することもできる。例えば、シャフト4は、プレート基板3と一体成形することができる。また、水準器1Aにおいて、シャフト4のフランジ部4bは、例えば、図3に示すように、多角柱形状であるが、円柱形状、楕円柱形状等とすることもできる。さらに、各実施形態に採用された構成、部材は、互いに適宜、採用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1A:水準器(第1の実施形態), 1B:水準器(第2の実施形態), 2:気泡管, 3:プレート基板(第1の実施形態), 3a:プレート基板本体, 3b:フレーム, 3b1:フレームの長尺部分, 3b2:フレームの短尺部分,3c:窓, 4:シャフト(第1の実施形態), 4a:柱部, 4b:フランジ部, 5:凹部, 5A:縦向
き凹部, 5B:横向き凹部, 5a:凹部の側面, 5b:凹部の底部分, 6:窪み凹部, 7:金具取付部, 8;磁石, 13:プレート基板(第2の実施形態), 13a:溝, 14:シャフト(第2の実施形態), 14A:正面側パーツ, 14B:背面側パーツ, 14C:連結要素, 14a:フランジ部, 14b:フランジ部, 14c:柱部, 14d:凸部, 14e:弾性片, 14f:筒部, 14g:スリット, 14h:ガイドフィン, 14k:筒状部, 14m:ボスねじ部, 14n:ボス孔部, 15:開口部, 16:プレート基板の開口縁部分, 17:段部, 17b:段部の底部, 18:段部,18b:段部の底部, 19:金具取付部, 100:携行用ホルダ
A1:連通孔, A2:貫通孔, A3:通し孔, F:プレート基板の側面, F1:プレート基板の長尺側側面, F2:プレート基板の短尺側側面, L1:長尺側背面輪郭線, L2:長尺側正面輪郭線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16