(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128854
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】流路切換弁
(51)【国際特許分類】
F16K 11/08 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
F16K11/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038112
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北林 勇人
(72)【発明者】
【氏名】原 聖一
(72)【発明者】
【氏名】望月 健一
【テーマコード(参考)】
3H067
【Fターム(参考)】
3H067AA24
3H067AA32
3H067BB08
3H067CC32
3H067DD03
3H067DD12
3H067DD32
3H067EA02
3H067EA05
3H067FF11
3H067GG13
(57)【要約】
【課題】様々な仕様の流路切換弁を容易に実現できるようにする。
【解決手段】流路切換弁10は、弁室12を形成する壁面に第一入出口31及び第二入出口32が形成され、弁室12の底面に第三入出口33が形成された弁本体14と、弁室12内に回転自在に配置された弁体16と、第一入出口31と連通する第一流路21と、弁本体14を挟んで第一流路21に並設され第二入出口32と連通する第二流路22と、第三入出口33と連通し第三入出口33と反対側が開口した第三流路23と、を備えた弁ユニット20と、弁体16を回転させる回転駆動部18と、を有し、一の弁ユニット20の回転駆動部18と反対側に、他の弁ユニット20を重ねて連結され、一方の弁ユニット20の弁体16の第一入出口31及び第二入出口32に対応する開口の範囲が、他方の弁ユニット20の弁体16の第一入出口31及び第二入出口32に対応する開口の範囲と異なる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に弁室が形成されると共に、前記弁室を形成する壁面に流体が出入りする第一入出口及び第二入出口が形成され、前記弁室の底面に第三入出口が形成された弁本体と、前記弁室内に回転自在に配置され、かつ流路が形成された弁体と、前記第一入出口と連通する第一流路と、前記弁本体を挟んで前記第一流路に並設され、前記第二入出口と連通する第二流路と、前記第三入出口と連通し、前記第三入出口と反対側が開口した第三流路と、を備えた弁ユニットと、
前記弁ユニットに連結され、前記第一入出口、前記第二入出口及び前記第三入出口の連通状態が前記弁体の前記流路を通じて選択的に切り換わるように前記弁体を回転させる回転駆動部と、
を有し、
一の前記弁ユニットの前記回転駆動部と反対側に他の前記弁ユニットが重ねて連結され、2つの前記弁ユニットにおける2つの前記弁体が1つの前記回転駆動部により回転駆動され、
一方の前記弁ユニットの前記弁体の前記第一入出口及び前記第二入出口に対応する開口の範囲が、他方の前記弁ユニットの前記弁体の前記第一入出口及び前記第二入出口に対応する開口の範囲と異なる、流路切換弁。
【請求項2】
前記回転駆動部により2つの前記弁体を回転駆動することにより、
一方の前記弁ユニットにおいて前記弁体の前記開口が前記第一入出口と連通している間に、他方の前記弁ユニットにおいて前記弁体の前記開口が前記第一入出口に連通する状態と前記第二入出口に連通する状態とを切り換え可能であり、
一方の前記弁ユニットにおいて前記弁体の前記開口が前記第二入出口と連通している間に、他方の前記弁ユニットにおいて前記弁体の前記開口が前記第一入出口に連通する状態と前記第二入出口に連通する状態とを切り換え可能である、請求項1に記載の流路切換弁。
【請求項3】
前記弁ユニットには、前記弁体の回転範囲の上限及び下限の少なくとも一方において前記弁体のそれ以上の回転を制限するストッパが設けられている、請求項1又は請求項2に記載の流路切換弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路切換弁に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の冷却水の循環回路に設けられる弁(流路切換弁)が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来例では、仕様に応じて接続ポートの数や流路の組合せが固定されているため自由度がなく、仕様が変われば設計からやり直す必要が生じると考えられる。
【0005】
本発明は、流路切換のバリエーションを増加させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る流路切換弁は、内部に弁室が形成されると共に、前記弁室を形成する壁面に流体が出入りする第一入出口及び第二入出口が形成され、前記弁室の底面に第三入出口が形成された弁本体と、前記弁室内に回転自在に配置され、かつ流路が形成された弁体と、前記第一入出口と連通する第一流路と、前記弁本体を挟んで前記第一流路に並設され、前記第二入出口と連通する第二流路と、前記第三入出口と連通し、前記第三入出口と反対側が開口した第三流路と、を備えた弁ユニットと、前記弁ユニットに連結され、前記第一入出口、前記第二入出口及び前記第三入出口の連通状態が前記弁体の前記流路を通じて選択的に切り換わるように前記弁体を回転させる回転駆動部と、を有し、一の前記弁ユニットの前記回転駆動部と反対側に他の前記弁ユニットが重ねて連結され、2つの前記弁ユニットにおける2つの前記弁体が1つの前記回転駆動部により回転駆動され、一方の前記弁ユニットの前記弁体の前記第一入出口及び前記第二入出口に対応する開口の範囲が、他方の前記弁ユニットの前記弁体の前記第一入出口及び前記第二入出口に対応する開口の範囲と異なる。
【0007】
この流路切換弁では、一の弁ユニットの回転駆動部と反対側に、他の弁ユニットを重ねて連結することで、弁ユニットの組合せの自由度を高めることができる。また、重ねられた2つの弁ユニットにおける2つの弁体を1つの回転駆動部により回転駆動するので、2つの弁ユニットにそれぞれ回転駆動部を設ける場合と比較して、部品点数の削減とコストの低減を図ることができる。更に、一方の弁ユニットの弁体の第一入出口及び第二入出口に対応する開口の範囲が、他方の弁ユニットの弁体の第一入出口及び第二入出口に対応する開口の範囲と異なる。一方の弁ユニットにおける流路の連通状態を、他方の弁ユニットにおける流路の連通状態と同じにしたり、異ならせたりすることができる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様に係る流路切換弁において、前記回転駆動部により2つの前記弁体を回転駆動することにより、一方の前記弁ユニットにおいて前記弁体の前記開口が前記第一入出口と連通している間に、他方の前記弁ユニットにおいて前記弁体の前記開口が前記第一入出口に連通する状態と前記第二入出口に連通する状態とを切り換え可能であり、一方の前記弁ユニットにおいて前記弁体の前記開口が前記第二入出口と連通している間に、他方の前記弁ユニットにおいて前記弁体の前記開口が前記第一入出口に連通する状態と前記第二入出口に連通する状態とを切り換え可能である。
【0009】
この流路切換弁では、一方の弁ユニットにおいて弁体の開口が第一入出口と連通した状態で、他方の弁ユニットの流路(弁体の開口が第一入出口に連通する状態と第二入出口に連通する状態)を切り換えることができる。また、一方の弁ユニットにおいて弁体の開口が第二入出口と連通した状態で、他方の弁ユニットの流路を切り換えることができる。
【0010】
第3の態様は、第1の態様又は第2の態様に係る流路切換弁において、前記弁ユニットには、前記弁体の回転範囲の上限及び下限の少なくとも一方において前記弁体のそれ以上の回転を制限するストッパが設けられている。
【0011】
この流路切換弁では、弁本体に設けられたストッパにより、弁体回転範囲の上限及び下限の少なくとも一方において、弁体のそれ以上の回転を制限することができる。回転駆動部は、弁体の角度位置を検出可能であるため、ストッパにより弁体の回転が止められた位置を、弁体回転範囲の上限又は下限として検出し、弁体回転範囲のキャリブレーションを行うことができる。上限と下限の角度差がわかっている場合には、検出した上限から下限を求めることができ、同様に下限から上限を求めることができる。このため、キャリブレーションに絶対角センサを用いる場合と比較して、コスト増を抑制しつつ、回転駆動部における弁体回転範囲のキャリブレーションを行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、流路切換のバリエーションを増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る流路切換弁の全体構成を示す斜視図である。
【
図3】2つの弁ユニットが重ねられ、2つの弁体を1つの回転駆動部により回転させる流路切換弁を示す部分破断斜視図である。
【
図6】弁ユニットを第一流路の雄継手側から見た状態を示す正面図である。
【
図7】弁ユニットを第三流路の開口側から見ると共に、第二流路を径方向に切断した状態を示す部分断面図である。
【
図12】第一流路の途中に設けられた開口部が蓋部材で閉塞された状態を示す拡大断面図である。
【
図13】2つの弁ユニットが重ねられた流路切換弁において、一の弁ユニットのうち別の弁ユニットと重ねられる部位が、他の弁ユニットの弁室を閉塞する蓋とされている構成を示す断面図である。
【
図14】(A)は、流路切換弁における第1モードでの流体の流れを示す断面図である。(B)は、第1モードでの上側の弁体の角度位置を示す断面図である。(C)は、第1モードでの下側の弁体の角度位置を示す断面図である。
【
図15】(A)は、流路切換弁における第2モードでの流体の流れを示す断面図である。(B)は、第2モードでの上側の弁体の角度位置を示す断面図である。(C)は、第2モードでの下側の弁体の角度位置を示す断面図である。
【
図16】(A)は、流路切換弁における第3モードでの流体の流れを示す断面図である。(B)は、第3モードでの上側の弁体の角度位置を示す断面図である。(C)は、第3モードでの下側の弁体の角度位置を示す断面図である。
【
図17】(A)は、流路切換弁における第4モードでの流体の流れを示す断面図である。(B)は、第4モードでの上側の弁体の角度位置を示す断面図である。(C)は、第4モードでの下側の弁体の角度位置を示す断面図である。
【
図18】(A)から(E)は、
図15から
図17に示される角度位置以外における、ステム、上側の弁体及び下側の弁体の角度位置の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。また、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0015】
また、本明細書において、上下、左右、前後等の位置、方向を表わす記述は、
図1の方向矢印表示を基準としており、実際の使用状態での位置、方向を指すものではない。
図1において、「U」は上方向(上側)、「D」は下方向(下側)、「LH」は左方向(左側)、「RH」は右方向(右側)、「F」は前方向(前側)、「R」は後方向(後側)を示している。「上下方向」とは、矢印U方向及び矢印D方向を意味する。「左右方向」とは、矢印LH方向及び矢印RH方向を意味する。そして、「前後方向」とは、矢印F方向及び矢印R方向を意味する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る流路切換弁10の全体構成を示す斜視図である。この流路切換弁10では、左右方向に3つの弁ユニット20が連結され、各々の弁ユニット20の下側に他の弁ユニット20がそれぞれ重ねられている。つまり6つの弁ユニット20が組み合わされている。
図3は、2つの弁ユニット20が重ねられ、2つの弁体を1つの回転駆動部により回転させる流路切換弁を示す部分破断斜視図である。この
図3は、
図1から上下2つの弁ユニット20を抜き出したものに相当する。
図4、
図5は、1つの弁ユニット20を示す部分破断斜視図である。
【0017】
流路切換弁10は、例えば自動車のエンジンルーム内等を流れる流体の流路を切り換えるロータリー形の三方弁(
図4)として使用されるものである。
図3から
図7に示されるように、流路切換弁10は、弁ユニット20と、回転駆動部18とを有している。
【0018】
[弁ユニット]
弁ユニット20は、弁本体14と、弁体16と、第一流路21と、第二流路22と、第三流路23とを備えている。
図4に示される例では、弁ユニット20は、例えば、第一流路21と第三流路23が連通する状態と、第二流路22と第三流路23が連通する状態と、第一流路21と第二流路22と第三流路23とが互いに非連通の状態とを切り換える三方弁である。
【0019】
(弁本体)
図5において、弁本体14は、例えば合成樹脂製とされ、内部に弁室12が形成されている。弁室12の上方向は開口しており、上方向から後述する弁体16及び封止部38が挿入されている。弁室12を形成する壁面には、例えば互いに対向し流体が出入りする第一入出口31及び第二入出口32が形成されている。この壁面は、弁室12を形成する壁のうち、後述する弁体16が回転したときに該弁体16の横穴36Aと対向し得る位置にある部位である。一例として、第一入出口31は弁室12の後方向の壁面に形成され、第二入出口32は弁室12の前方向の壁面に形成されている。つまり、第一入出口31と第二入出口32は、弁室12の前後方向に対向している。また、弁室12の底面には、第三入出口33が形成されている。この底面は、弁室12を形成する壁のうち、後述する弁体16の下穴36Cと対向する位置にある部位である。
【0020】
(弁体)
図3、
図4、
図8から
図12において、弁体の一例としての上側の弁体16は、例えば合成樹脂から作製されたボール状の部材であり、一方(例えば
図3の上側)の弁ユニット20の弁室12内に回転自在に配置されている。弁体16の上部には、回転駆動部18における弁軸28が差し込まれる差込み穴16Aが形成されている。弁軸28と差込み穴16Aとは、弁軸28の軸方向回りに互いに係合しており、弁軸28の回転が弁体16に伝達されるようになっている。差込み穴16Aは、例えば弁体16の流路36まで貫通している。
【0021】
弁本体14の第一入出口31、第二入出口32及び第三入出口33を選択的に連通させるべく、言い換えれば、第一入出口31、第二入出口32及び第三入出口33の連通状態を選択的に切り換えるべく、弁体16の内部には流路(内部流路)36が設けられている。詳細には、
図8に示されるように、弁体16には、その外周(側部)から流路36に通じる横穴36Aが形成されている。また、弁体16には、その外周(下部)から流路36に通じる下穴36Cが形成されている。流路36は、横穴36Aから下穴36Cまで連通している。弁体16の状態に応じて、横穴36Aは、第一入出口31又は第二入出口32と対向可能となっている。何れの入出口も、横穴36Aが対向していない状態では、弁体16が後述するシート部材40に密着して閉じられた状態となる。
【0022】
図2に示されるように、弁体16の流路36には、第三入出口33に向かう方向(上下方向)に延びるリブ16Bが形成されていてもよい。このリブ16Bは、例えば薄板状の突起であり、例えば弁体16の流路36における横穴36Aの奥側の内壁に形成されている。
【0023】
図3、
図4において、弁体16と第一入出口31,第二入出口32との間には、各々の間を封止する封止部38がそれぞれ設けられている。封止部38は、例えばシート部材40とOリング42とを有している。シート部材40は、例えば合成樹脂から作製され、第一入出口31、第二入出口32に対応する開口を持つ円環状に形成されている。このシート部材40は、弁本体14の内壁面(弁室12の前後の壁面)における第一入出口31,第二入出口32周りにそれぞれ配置されている。弁体16は、2つのシート部材40に挟まれており、各々のシート部材40に接触しながら回転摺動自在に配置されている。
【0024】
シート部材40と弁本体14との間は、それぞれOリング42により例えば気密的、水密的にシールされている。Oリング42は、例えばシート部材40に形成されたOリング溝(図示せず)に取り付けられている。
【0025】
一例として、弁本体14、及び弁体16にPPS(ポリフェニレンサルファイド)を使用し、シート部材40にPTFE(フッ素樹脂)を使用し、Oリング42に合成ゴムを使用することができる。
【0026】
(回転駆動部)
図3において、回転駆動部18は、弁ユニット20に連結され、第一入出口31、第二入出口32及び第三入出口33の連通状態が弁体16の流路を通じて選択的に切り換わるように弁体16を回転させる装置である。回転駆動部18は、上側の弁ユニット20における弁本体14の上方に配置されている。具体的には、上側の弁本体14の上には、例えばブラケット24が固定され、該ブラケット24の上に回転駆動部18が例えばねじ26(
図1)を用いて固定されている。上側の弁本体14の弁室12における上方向の開口(
図4)は、例えばブラケット24により閉塞されている(
図13)。換言すれば、ブラケット24が、弁室12の開口を塞ぐ形状を有している。ブラケット24は、弁室12の開口の内側にインロー嵌合した状態で溶着される。ブラケット24には、凸部30が設けられている。この凸部30は、弁本体14における弁室12の周囲の縁に対向又は当接する。凸部30は、溶融代であってもよい。また凸部30は、ブラケット24ではなく弁本体14に設けられていてもよい。
【0027】
回転駆動部18は、例えばギヤードモータである。この回転駆動部18には、例えば制御部との通信及び電力供給のための配線が接続されるコネクタ50が設けられている。回転駆動部18には、出力軸としての弁軸28が結合されている。弁軸28は、ブラケット24に形成された貫通孔24Aに挿通されている。弁軸28には、Oリング29が取り付けられている。このOリング29により、弁軸28と貫通孔24Aとの間の水密性が確保されている。また、弁軸28の下端は、弁体16の差込み穴16A(
図4)に差し込まれている。
【0028】
(第一流路、第二流路、第三流路)
【0029】
図3から
図5において、第一流路21、第二流路22、第三流路23は、例えば弁本体14と一体的に構成された管部である。第一流路21を第一ポート、第二流路22を第二ポート、第三流路23を第三ポートと言い換えることもできる。
【0030】
第一流路21は、例えば両端が開口し、弁室12の第一入出口31と連通している。この第一流路21は、例えば左右方向に直線的に延びている。第一入出口31は、第一流路21の途中に接続されている。これにより、第一流路21と第一入出口31は、平面視で略T字形に形成されている(
図2参照)。
【0031】
第二流路22は、弁本体14を挟んで第一流路21に並設され、例えば両端が開口し、第二入出口32と連通している。第二流路22は、例えば左右方向に直線的に延びている。第二入出口32は、第二流路22の途中に接続されている。これにより、第二流路22と第二入出口32は、平面視で略T字形に形成されている(
図2参照)。
【0032】
図1に示されるように、第一流路21及び第二流路22の一端には、雌継手51,52がそれぞれ設けられている。
図2、
図4、
図5に示されるように、第一流路21及び第二流路22の他端には、雄継手61,62がそれぞれ設けられている。雄継手61,62は、雌継手51,52と接続可能な構造とされている。雄継手61,62の外周には、環状の溝61A,62Aが形成されている。また、雌継手51,52には、例えば一対の弧状のスリット51A,52Aが形成されている。
図2に示されるように、雄継手61,62は、雌継手51,52にそれぞれ嵌入され、クリップ34をスリット51A,52Aを通じて溝61A,62Aに嵌めることで、抜け止めがなされる構造となっている。各継手の接続部分の止水は、例えばOリング66により行われる。このような継手構造を有することにより、一の弁ユニット20の第一流路21及び第二流路22に、別の弁ユニット20の第一流路21及び第二流路22をそれぞれ接続して連結可能とされている。なお、この継手構造は一例であり、他の任意の継手構造を用いることが可能である。
【0033】
図5から
図7に示されるように、第一流路21における第一入出口31との接続部に、第一入出口31側から第一流路21の内部に向かって突出する第一突起部71が設けられていてもよい。この第一突起部71は、例えば第一流路21に対する第一入出口31の開口に沿って形成された弧状の突条である。第一突起部71の範囲は、例えば第一流路21の内周面における第一入出口31側の半周未満とされている。左右方向における第一突起部71の片面は、第一流路21の内壁の一部を延長した凹面とされている。図示の例では、第一突起部71は第一入出口31の左側に設けられている。なお、第一突起部71が第一入出口31の右側に設けられていてもよく、第一突起部71の左右両側に設けられていてもよい。
【0034】
また、第二流路22における第二入出口32との接続部に、第二入出口32側から第二流路22の内部に向かって突出する第二突起部72が設けられていてもよい。この第二突起部72は、例えば第二流路22に対する第二入出口32の開口に沿って形成された弧状の突条である。第二突起部72の範囲は、例えば第二流路22の内周面における第二入出口32側の半周未満とされている。左右方向における第二突起部72の片面は、第二流路22の内壁の一部を延長した凹面とされている。図示の例では、第二突起部72は第二入出口32の左側に設けられている。なお、第二突起部72が第二入出口32の右側に設けられていてもよく、第二突起部72の左右両側に設けられていてもよい。
【0035】
図1、
図3に示されるように、第一流路21における例えば第一入出口31と対向する位置には、蓋体44で閉塞された副流路46が設けられていてもよい。蓋体44と副流路46の端部との間は、溶着により封止され、またはOリング48等のシール部材により止水されている。蓋体44を取り外すことで、副流路46を利用することも可能である。副流路46には、例えば貯留タンク54を接続することが可能である。弁ユニット20を上下に重ねた場合には、副流路46が上下に2つ存在する。この2つの副流路46を、2つの接続口が設けられた貯留タンクに接続することも可能である(図示せず)。この場合、貯留タンクは、各々の接続口に対応し、互いに仕切られた2つの貯留室を有していてもよい。これにより、同じ流体でも温度の異なる流体を別々に貯留できる。
【0036】
また、流路切換弁10における末端の第一流路21の雌継手51又は雄継手61と、末端の第二流路22の雌継手52又は雌継手62には、それぞれポンプ(図示せず)を取り付けることができる。第一流路21に取り付けられたポンプは、他の機器からの流体を第一流路21に供給したり、第一流路21の流体を他の機器に供給したりすることができる。また、第二流路22に取り付けられたポンプは、他の機器からの流体を第二流路22に供給したり、第二流路22の流体を他の機器に供給したりすることができる。
【0037】
図3、
図4、
図6において、第三流路23は、第三入出口33と連通し、第三入出口33と反対側が開口している。具体的には、第三流路23は屈曲部23Aを有している。第三入出口33は、屈曲部23Aの上方に位置する。第三流路23の開口側の末端は、例えば屈曲部23Aの前方に位置し、例えば第二流路22より前方に突出している。第三流路23の開口側の末端には、他の機器への配管に接続可能な例えば雄継手64が設けられている。
【0038】
図3、
図4に示されるように、第三流路23の屈曲部23Aにおける第三入出口33と対向する部位、つまり第三入出口33の下方には、例えば球面状の凹部23Bが設けられている。凹部23Bは、略半球面状に形成されている。凹部23Bは、屈曲部23Aより前方側の横流路の底23Cよりも下方に窪んでいる。これにより、第三入出口33から第三流路23に入った流体の一部は、一度凹部23Bまで落ち込んでから第三流路23の横流路に入るようになっている。
【0039】
図4に示される例では、凹部23Bの底に貫通孔23Dが形成されている。貫通孔23Dには弁軸58を通すことが可能となっている(
図3)。弁軸58と貫通孔23Dとの間は、Oリング60により止水されている。下方に他の弁ユニットが重ねられない場合、
図3の下側の弁ユニット20のように、例えば凹部23Bの底に貫通孔23Dのない構造とされる。なお、貫通孔23Dを設けられていても、これを別部材(例えば閉塞部86とする)で閉塞する構成であってもよい。例えば、閉塞部86は、温度センサ84を備えていてもよい。温度センサ84は、例えば閉塞部86に支持されており、先端が第三流路23内に位置するように配置される。閉塞部86には例えばOリング88が取り付けられている。このOリング88により、閉塞部86と貫通孔23Dとの間の水密性が確保されている。温度センサ84を用いることにより、第三流路23内の温度を正確に測定できる。
【0040】
[弁ユニットの重ね合せ]
図1、
図3において、本実施形態では、一の弁ユニット20の回転駆動部18と反対側に、他の弁ユニット20を重ねて連結可能とされている。上側の弁ユニット20のうち下側の弁ユニット20と重ねられる部位は、下側の弁ユニット20の弁室12を閉塞する蓋68とされている。この閉塞構造は、
図12におけるブラケット24による弁室12の閉塞構造と概ね同様であり、上側の弁本体14の底部が、下側の弁本体14における弁室12の開口の内側にインロー嵌合した状態で溶着される。
【0041】
また、
図3に示されるように、一の弁ユニット20に他の弁ユニット20を重ねて連結し、2つの弁ユニット20における2つの弁体16を1つの回転駆動部18により回転させる構造であってもよい。この例では、上側の弁ユニット20の弁軸28と、下側の弁ユニット20の弁軸58とが、連結軸56により連結されている。連結軸56は、上側の弁体16の内部と第三流路23の縦流路を通って、上下の弁軸28,58を連結している。回転駆動部18で上側の弁軸28を回転駆動すると、その回転が連結軸56を介して下側の弁軸58に伝達され、上下の弁体16が同期して回転するようになっている。
【0042】
なお、上下の弁ユニット20に回転駆動部18をそれぞれ設け、弁体16の回転制御を別々に行うようにしてもよい。
【0043】
図1において、一の弁ユニット20における第一流路21の端部と第二流路22の端部の中心間距離Wが、一の弁ユニット20に他の弁ユニット20を重ねて連結した状態における重なり方向での第一流路21の端部同士の中心間距離Hと等しくてもよい。つまり、W=Hであってもよい。
【0044】
(上側の弁ユニットと下側の弁ユニットでの弁体の違い)
図3、
図14から
図18において、一方(例えば上側)の弁ユニット20の弁体16の第一入出口31及び第二入出口32に対応する開口(横穴36A)の範囲は、他方(例えば下側)の弁ユニット20の弁体16の第一入出口31及び第二入出口32に対応する開口(横穴36A,36D)の範囲と異なっている。
【0045】
図8、
図9に示される弁体16は、上側の弁ユニット20に使用される。この弁体16には、1つの横穴36Aが形成されている。この横穴36Aは、例えば角丸の四角形とされている。
図10、
図11に示される弁体16は、下側の弁ユニット20に使用される。この弁体16には、2つの横穴36A,36Dが形成されている(
図11)。各々の横穴36A,36Dは、例えば差込み穴16Aの軸方向に長い長円形とされている。
図11において、中心O1を基準とした横穴36A,36Dの中心線同士がなす角度θは、例えば145°である。
【0046】
上側の弁体16における開口(横穴36A)と、下側の弁体16における開口(横穴36A,36D)の配置は、一方(上側)の弁ユニット20において弁体16の開口が第一入出口31と連通している間に、他方(下側)の弁ユニット20において弁体16の開口が第一入出口31に連通する状態と第二入出口32に連通する状態とを切り換え可能となるように設定されている。
【0047】
また、これらの開口(横穴36A,36D)の配置は、一方(上側)の弁ユニット20において弁体16の開口が第二入出口32と連通している間に、他方(下側)の弁ユニット20において弁体16の開口が第一入出口31に連通する状態と第二入出口32に連通する状態とを切り換え可能となるように設定されている。
【0048】
一例として、
図14、
図15に示されるように、上側の弁体16の横穴36Aが第一入出口31に通じる角度範囲内で、下側の弁体16の横穴36Dが第二入出口32に通じた状態と、下側の弁体16の横穴36Aが第一入出口31に通じた状態が切り換わるように、各弁体16の開口の範囲が設定されている。この開口の範囲には、開口(横穴36A,36D)の範囲と、上側の弁体16と下側の弁体16との間での開口の位相(開口の位置の違い)が含まれる。第一入出口31と第二入出口32は相対しているので、
図16、
図17に示されるように、上側の弁体16の横穴36Aが第二入出口32に通じる角度範囲内では、下側の弁体16の横穴36Dが第一入出口31に通じた状態と、下側の弁体16の横穴36Aが第二入出口32に通じた状態とが切り換わるようになる。
【0049】
(ストッパ)
図18に示されるように、弁ユニット20には、弁体16の回転範囲の上限及び下限の少なくとも一方において弁体16のそれ以上の回転を制限するストッパ70が設けられている。ストッパ70は、例えば弁本体14に設けられている。一例として弁軸28と共に回転するステム28Aには、ストッパ70と当接する突出部28Bが設けられている。ストッパ70と突出部28Bは、弁体16が例えば約330°回転できるように設定されている。この角度は、
図18(C)の角度位置を基準とすると、±約165°である。
【0050】
弁体16の回転範囲のうち、通常時の使用範囲は
図18(B)~(D)の範囲である。この範囲には、
図14から
図17に示される角度位置も含まれる。角度位置を順に並べるとすると、
図14及び
図15の角度位置は
図18(B)と
図18(C)の間に位置し、
図16及び
図17の角度位置は
図18(C)と
図18(D)の間に位置する。このため、
図18において、(B)と(C)の間と、(C)と(D)の間は、それぞれ比較的距離を空けて描いてある。
【0051】
図18(A)の角度位置と、
図18(E)の角度位置では、それぞれ弁体回転範囲の上限と下限を定めるキャリブレーションを行うことができる。なお、キャリブレーションは、
図18(A)の角度位置又は
図18(E)の角度位置の何れかで行ってもよく、また他のキャリブレーション手段を用いることができる場合やキャリブレーションが不要の場合には、ストッパ70と突出部28Bを設けなくてもよい。
【0052】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。
図3において、本実施形態に係る流路切換弁10では、回転駆動部18により弁体16を回転させることで、弁室12の第一入出口31、第二入出口32及び第三入出口33の連通状態を、弁体16の流路36を通じて選択的に切り換えることができる。第一入出口31と第二入出口32が弁室12を挟んで対向している。上側の弁ユニット20においては、弁体16に横穴36Aが1つ形成されているので(
図9)、流路の切り換えは、弁体16を180°回転させることで行うことができる。具体的には、第一入出口31と第三入出口33とが連通する状態と、第二入出口32と第三入出口33とが連通する状態とを切り換えることができる。
【0053】
下側の弁ユニット20においては、弁体16に2つの横穴36A,36Dが形成されているので(
図11)、流路の切り換えは、弁体16を回転させることで行うことができる。具体的には、横穴36A,36Dの何れかが第一入出口31に通じて第一入出口31と第三入出口33とが連通する状態と、横穴36A,36Dの何れかが第二流路22に通じて第二入出口32と第三入出口33とが連通する状態とを切り換えることができる。
【0054】
上側の弁ユニット20及び下側の弁ユニット20の何れにおいても、弁体16の角度位置に応じて、第一入出口31及び第三入出口33を閉塞することができる。
【0055】
ここで、流路切換えの一例について詳細に説明する。上側の弁体16と下側の弁体16は、1つの回転駆動部18により回転駆動され、互いに同じ角度ずつ回転する。
図14に示される角度位置では、上側の弁体16の横穴36Aが第一入出口31に通じるため、第三流路23は第一流路21と連通する。また、下側の弁体16の横穴36Dが第二入出口32に通じるため、第三流路23は第二流路22と連通する。つまり、上側の弁ユニット20では第一流路21が第三流路23と連通し、下側の弁ユニット20では第二流路22が第三流路23と連通する。
【0056】
この状態から
図15に示される角度位置まで弁体16が平面視で右回りに回転したとき、上側の弁体16の横穴36Aはまだ第一入出口31に通じており、第三流路23と第一流路21との連通状態は維持されている。一方、下側の弁体16の横穴36Dは第二入出口32から外れ、横穴36Aが第一入出口31に通じるため、第三流路23は第一流路21と連通する。つまり、上側の弁ユニット20及び下側の弁ユニット20の何れにおいても、第一流路21が第三流路23と連通する。第一流路21に温水が流れ、第二流路22に冷水が流れているとすると、
図14、
図15に示されるように流路を切り換えることで、上側の弁ユニット20の第三流路23に温水を流しつつ、下側の弁ユニット20の第三流路23に温水を流したり、冷水を流したりすることができる。
【0057】
図16に示される角度位置では、上側の弁体16の横穴36Aが第二入出口32に通じるため、第三流路23は第二流路22と連通する。また、下側の弁体16の横穴36Dが第一入出口31に通じるため、第三流路23は第一流路21と連通する。つまり、上側の弁ユニット20では第二流路22が第三流路23と連通し、下側の弁ユニット20では第一流路2が第三流路23と連通する。
【0058】
この状態から
図17に示される角度位置まで弁体16が平面視で時計回りに回転したとき、上側の弁体16の横穴36Dはまだ第二入出口32に通じており、第三流路23と第二流路22との連通状態は維持されている。一方、下側の弁体16の横穴36Dは第一入出口31から外れ、横穴36Aが第二入出口32に通じるため、第三流路23は第二流路22と連通する。つまり、上側の弁ユニット20及び下側の弁ユニット20の何れにおいても、第二流路22が第三流路23と連通する。
図16、
図17に示されるように流路を切り換えることで、上側の弁ユニット20の第三流路23に冷水を流しつつ、下側の弁ユニット20の第三流路23に温水を流したり、冷水を流したりすることができる。
【0059】
このように、本実施形態によれば、上側の弁ユニット20における流路の連通状態を、他方の弁ユニット20における流路の連通状態と同じにしたり、異ならせたりすることができる。
【0060】
また、上側の弁ユニット20において弁体16の開口が第一入出口31と連通した状態で、下側の弁ユニット20の流路を切り換えることができる。また、上側の弁ユニット20において弁体16の開口が第二入出口32と連通した状態で、下側の弁ユニット20の流路を切り換えることができる。具体的には、下側の弁ユニット20において、弁体16の開口が第一入出口31に連通する状態と第二入出口32に連通する状態とを切り換えることができる。
【0061】
なお、これは流路切換の一例であり、弁ユニット20における弁体16、第一入出口31及び第二入出口32の位置関係を調整することで、他のパターンの流路切換を行うことも可能である。
【0062】
図18(A),(E)において、弁本体14に設けられたストッパ70により、弁体回転範囲の上限及び下限の少なくとも一方において、弁体16のそれ以上の回転を制限することができる。
図18(A)に示される角度位置は弁体回転範囲の下限を示し、
図18(E)に示される角度位置は弁体回転範囲の上限を示している。
図18(A),(E)の何れの角度位置でも、弁軸28と共に回転する突出部28Bがストッパ70に当接している
【0063】
図18(B)に示される角度位置は、
図18(A)の角度位置から弁体16がわずかに平面視で右回りに回転し、突出部28Bがストッパ70から離れた状態を示している。また、
図18(D)に示される角度位置は、
図18(E)の角度位置から弁体16がわずかに平面視で左回りに回転し、突出部28Bがストッパ70から離れた状態を示している。
【0064】
図18(C)に示される角度位置は、弁体回転範囲の中央である。なお、
図18に示される角度位置では、上側の弁ユニット20及び下側の弁ユニット20の何れにおいても、第一入出口31及び第二入出口32は閉塞される。
【0065】
回転駆動部18は、弁体16の角度位置を検出可能であるため、ストッパ70により弁体16の回転が止められた位置を、弁体回転範囲の上限又は下限として検出し、弁体回転範囲のキャリブレーションを行うことができる。上限と下限の角度差がわかっている場合には、検出した上限から下限を求めることができ、同様に下限から上限を求めることができる。このため、キャリブレーションに絶対角センサを用いる場合と比較して、コスト増を抑制しつつ、回転駆動部18における弁体回転範囲のキャリブレーションを行うことができる。
【0066】
一の弁ユニット20の第一流路21及び第二流路22には、他の弁ユニット20の第一流路21及び第二流路22をそれぞれ接続して連結可能とされているので、弁ユニット20の組合せにより様々な仕様の流路切換弁を容易に実現できる。具体的には、第一流路21及び第二流路22の一端に雌継手51,52がそれぞれ設けられ、第一流路21及び第二流路22の他端に雄継手61,62がそれぞれ設けられている。雄継手61,62は、雌継手51,52とそれぞれ接続可能である。したがって、例えば一の弁ユニット20と他の弁ユニット20の第一流路21同士、第二流路22同士を容易に接続することができる。
【0067】
図1において、例えばW=Hであると、重ねられた2つの弁ユニット20の第一流路21及び第二流路22の方向に、他の重ねられた2つの弁ユニット20を接続して連結する場合に、第一流路21同士、第二流路22同士を接続するだけでなく、第一流路21と第二流路22を接続することも可能となる。つまり、2つの弁ユニット20を互いに90°回転させて接続することができる。このため、弁ユニット20の組合せの自由度を更に高めることができる。なお、本実施形態では、2つの弁ユニット20を互いに90°回転させて接続する構成としたが例えば180°回転させて接続する構成でもよい。
【0068】
また、弁室12から第三入出口33を通じて第三流路23に流入した流体は、屈曲部23Aを通過する。第三流路23の屈曲部23Aにおける第三入出口33と対向する部位に球面状の凹部23Bが設けられている場合、当該部位に凹部23Bがなく単に屈曲している構成と比較して、流体の抵抗が低減する。このため、第三流路23における圧力損失を抑制できる。
【0069】
更に、
図2に示されるように、弁体16の流路36に、第三入出口33に向かう方向に延びるリブ16Bが形成されている場合、弁体16内を流れる流体を整流することができる。弁室12内への弁体16の組付け時には、リブ16Bに力を作用させることで、弁体16の向きを容易に調整することができる。
【0070】
また、
図5から
図7に示されるように、第一流路21における弁室12の第一入出口31との接続部に第一突起部71が設けられている場合、第一突起部71で第一流路21での流体の流れが乱される。これにより、第一流路21を流れる流体を第一入出口31へ導くことができる。また、第二流路22における弁室12の第二入出口32との接続部に第二突起部72が設けられている場合、第二突起部72で第二流路22での流体の流れを乱すことで、第二流路22を流れる流体を第二入出口32へ導くことができる。このようにして、第一流路21及び第二流路22から弁室12への流体の流入を促進できる。
【0071】
更に、
図1、
図3に示されるように、一の弁ユニット20の回転駆動部18と反対側に、他の弁ユニット20を重ねて連結可能とすることで、弁ユニット20の組合せの自由度を高めることができる。
【0072】
一の弁ユニット20のうち別の弁ユニット20と重ねられる部位が、他の弁ユニット20の弁室12を閉塞する蓋68とされている場合、一の弁ユニット20と別の弁ユニット20を重ねる際に、他の弁ユニット20の弁室12を閉塞するための別部品が不要となる。このため、部品点数の増加を抑制すると共に、弁ユニット20を重ねて連結する際の作業性を高めることができる。
【0073】
重ねられた2つの弁ユニット20における2つの弁体16を1つの回転駆動部18により回転させる場合、2つの弁ユニット20にそれぞれ回転駆動部18を設ける場合と比較して、部品点数の削減とコストの低減を図ることができる。
【0074】
このように、本実施形態によれば、様々な仕様の流路切換弁を容易に実現できる。
【0075】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0076】
第一流路21及び第二流路22の一端に雌継手51,52がそれぞれ設けられ、第一流路21及び第二流路22の他端に、雌継手51,52と接続可能な構造の雄継手61,62がそれぞれ設けられるものとしたが、このような継手構造を有しない構成であってもよい。
【0077】
第三流路23の屈曲部23Aに凹部23Bが設けられるものとしたが、このような凹部23Bを設けない構成であってもよい。弁体16の流路36にリブ16Bが形成されるものとしたが、このようなリブ16Bのない構成であってもよい。
【0078】
第一流路21における第一入出口31との接続部に第一突起部71が設けられ、第二流路22における第二入出口32との接続部に第二突起部72が設けられるものとしたが、第一突起部71又は第二突起部72の何れかが設けられていてもよく、第一突起部71及び第二突起部72が設けられていなくてもよい。
【0079】
一の弁ユニット20の回転駆動部18と反対側に、他の弁ユニット20を重ねて連結可能であるものとしたが、2つの弁ユニット20の間に他の部材が介在していてもよい。また、このような連結が可能でなくてもよい。
【0080】
一の弁ユニット20における第一流路21の端部と第二流路22の端部の中心間距離Wが、一の弁ユニット20に他の弁ユニット20を重ねて連結した状態における重なり方向での第一流路21の端部同士の中心間距離Hと等しいものとした(W=H)が、中心間距離Wが中心間距離Hと異なっていてもよい。また、上記の流路切換弁では弁ユニット20を2段に重ねた構成としたが、3段以上重ねてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10 流路切換弁
12 弁室
14 弁本体
16 弁体
18 回転駆動部
20 弁ユニット
21 第一流路
22 第二流路
23 第三流路
31 第一入出口
32 第二入出口
33 第三入出口
36 流路
70 ストッパ