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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128871
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】エレベータの作業用かご装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/00 20060101AFI20240913BHJP
   E04G 5/14 20060101ALI20240913BHJP
   E04G 21/32 20060101ALN20240913BHJP
【FI】
B66B7/00 J
E04G5/14 301C
E04G21/32 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038137
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 由真
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 稔
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 聖
(72)【発明者】
【氏名】石飛 善朗
【テーマコード(参考)】
3F305
【Fターム(参考)】
3F305AA21
3F305DA05
(57)【要約】
【課題】作業床への人の出入りや物の搬出入を容易に行うことができるエレベータの作業用かご装置を提供する。
【解決手段】エレベータの作業用かご装置は、かご外枠に設けられる作業床6Lと、作業床6Lを取り囲むように設置される墜落防止設備とを備え、墜落防止設備の一部は、左右方向に間隔を空けて離間する一対の縦材70L,70Lと、一対の縦材70L.70L間に掛け渡される横材71とで構成され、縦材70Lは、横材71の高さ位置を変更可能に構成される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かご外枠に設けられる作業床と、
作業床を取り囲むように設置される墜落防止設備とを備え、
墜落防止設備の一部は、
左右方向に間隔を空けて離間する一対の縦材と、
一対の縦材間に掛け渡される横材とで構成され、
縦材は、横材の高さ位置を変更可能に構成される
エレベータの作業用かご装置。
【請求項2】
横材は、両端部に係合部を備え、
縦材は、横材の係合部を高さ方向に移動可能に保持するとともに、高さ位置が異なる複数箇所に、それぞれが横材の係合部を係脱可能に係止する複数の係止部を備える
請求項1に記載のエレベータの作業用かご装置。
【請求項3】
縦材は、
横材の係合部を挿入可能な幅を有して高さ方向に形成される縦スリット部を備えるとともに、
高さ位置が異なる複数箇所に、それぞれが縦スリット部から分岐して係止部を構成する複数の分岐スリット部を備える
請求項2に記載のエレベータの作業用かご装置。
【請求項4】
縦スリット部は、縦材の上部にて縦材の外部に開放されている
請求項3に記載のエレベータの作業用かご装置。
【請求項5】
縦材は、中間高さ位置に、縦スリット部と縦材の外部とを連通する連通部を備える
請求項3又は請求項4に記載のエレベータの作業用かご装置。
【請求項6】
縦材は、縦スリット部の下端近傍に、幅木となる板状の横材の係合部を係脱可能に係止する係止部を備える
請求項3又は請求項4に記載のエレベータの作業用かご装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降路内を昇降可能なかご外枠に設けられる作業床と、作業床を取り囲むように設置される墜落防止設備とを備え、エレベータの据付工事で使用されるエレベータの作業用かご装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のエレベータの作業用かご装置では、作業者が作業床から落下しないよう、作業床を取り囲むように手すり等の墜落防止設備を設置するのが一般的である(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-255453号公報
【特許文献2】特開2000-86113号公報
【特許文献3】特開2005-138939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、墜落防止設備は、堅牢に組み立てられた構造物であり、作業者が作業床に出入りする際に墜落防止設備を跨ぐのであれば、安全上好ましくない。また、物(特に重量物)を作業床に搬出入する場合も労を要する。
【0005】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、作業床への人の出入りや物の搬出入を容易に行うことができるエレベータの作業用かご装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエレベータの作業用かご装置は、
かご外枠に設けられる作業床と、
作業床を取り囲むように設置される墜落防止設備とを備え、
墜落防止設備の一部は、
左右方向に間隔を空けて離間する一対の縦材と、
一対の縦材間に掛け渡される横材とで構成され、
縦材は、横材の高さ位置を変更可能に構成される
エレベータの作業用かご装置である。
【0007】
ここで、本発明に係るエレベータの作業用かご装置の一態様として、
横材は、両端部に係合部を備え、
縦材は、横材の係合部を高さ方向に移動可能に保持するとともに、高さ位置が異なる複数箇所に、それぞれが横材の係合部を係脱可能に係止する複数の係止部を備える
との構成を採用することができる。
【0008】
また、この場合、
縦材は、
横材の係合部を挿入可能な幅を有して高さ方向に形成される縦スリット部を備えるとともに、
高さ位置が異なる複数箇所に、それぞれが縦スリット部から分岐して係止部を構成する複数の分岐スリット部を備える
との構成を採用することができる。
【0009】
また、この場合、
縦スリット部は、縦材の上部にて縦材の外部に開放されている
との構成を採用することができる。
【0010】
また、本発明に係るエレベータの作業用かご装置の他態様として、
縦材は、中間高さ位置に、縦スリット部と縦材の外部とを連通する連通部を備える
との構成を採用することができる。
【0011】
また、本発明に係るエレベータの作業用かご装置の別の態様として、
縦材は、縦スリット部の下端近傍に、幅木となる板状の横材の係合部を係脱可能に係止する係止部を備える
との構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、墜落防止設備の一部において、横材の高さ位置は変更可能である。このため、本発明によれば、横材の高さ位置を一時的に下げることにより、作業床への人の出入りや物の搬出入を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係るエレベータの作業用かご装置の斜視図である。
図2図2(a)は、作業用かご装置の下部作業場の正面図である。図2(b)は、墜落防止設備から横材を取り外した状態の下部作業場の正面図である。
図3図3は、図2(b)のA矢視図であって、下部作業場の墜落防止設備の縦材の側面図である。
図4図4(a)は、図3のB1部の拡大図である。図4(b)は、図4(a)のB2-B2線における断面図である。
図5図5(a)は、図3のC1部の拡大図である。図5(b)は、図5(a)のC2-C2線における断面図である。
図6図6(a)は、図3のD1部の拡大図である。図6(b)は、図6(a)のD2-D2線における断面図である。
図7図7は、下部作業場の墜落防止設備の構成方法の説明図である。
図8図8(a)は、作業用かご装置の上部作業場の正面図である。図8(b)は、墜落防止設備から横材を取り外した状態の上部作業場の正面図である。
図9図9は、図8(b)のE矢視図であって、上部作業場の墜落防止設備の縦材の側面図である。
図10図10(a)は、図9のF1部の拡大図である。図10(b)は、図10(a)のF2-F2線における断面図である。
図11図11は、上部作業場の墜落防止設備の構成方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態に係るエレベータの作業用かご装置について説明する。なお、エレベータの作業用かご装置(以下、略して「作業用かご装置」という)とは、エレベータの据付工事において、予め他の工法(足場、ゴンドラ等の使用)にてガイドレール工事及び機械室工事を施工し、本設(実際にエレベータの構成として使用される)の装置(かご外枠、主ロープ、巻上機、カウンターウェイト等)を駆動可能な状態にした後、かご外枠に作業場を設け、昇降路内でかご外枠を昇降させて他の工事を施工する工法に用いられる装置のことをいう。
【0015】
図1に示すように、作業用かご装置1は、本設のかご外枠2と、本設のかごシーブケース3と、本設の主ロープ4と、仮設の作業場(下部作業場5L、上部作業場5U)とを備える。
【0016】
かご外枠2は、左右の縦枠2a,2aと、下横枠2bと、上横枠2cとで構成される。各枠2a,2b,2cは、たとえばチャンネル鋼(溝形鋼)を用いて構成される。下横枠2bは、左右の縦枠2a,2aの下端部同士を連結する。上横枠2cは、左右の縦枠2a,2aの上端部同士を連結する。上横枠2cは、所定の間隔を空けて配置した2本の鋼材を用いて構成される。
【0017】
上横枠2cの中央部の下には、かごシーブケース3が取り付けられる。かごシーブケース3内には、かごシーブ(図示しない)が回転可能に収容される。主ロープ4は、上横枠2cの2本の鋼材間の隙間を通ってかごシーブに巻き掛けられる。巻上機(図示しない)の駆動シーブ(図示しない)が回転駆動することにより、主ロープ4が走行し、これに伴い、かごシーブが取り付けられている作業用かご装置1が昇降路内を昇降可能となる。
【0018】
下部作業場5Lは、作業床(下部作業床6L)と、墜落防止設備7Lとを備える。下部作業床6Lは、かご外枠2の下横枠2bの上に設置される本設のかご床を用いて構成される。墜落防止設備7Lは、下部作業床6Lを取り囲むように設置される。下部作業床6Lが平面視にて四角形であり、直交4辺を有することから、墜落防止設備7Lは、下部作業床6Lの各辺部に所定高さ(95cm以上又は90cm以上)を有して設置され、正面部7La、側面部7Lb、背面部7Lcを備える。
【0019】
上部作業場5Uは、作業床(上部作業床6U)と、墜落防止設備7Uと、防護天井8とを備える。上部作業床6Uは、複数本の足場板61,…を用いて構成される。かご外枠2の各縦枠2aには、水平方向に沿ってフレーム2dが固定され、2本のフレーム2d,2dに跨って2本のパイプ60,60が平行に設置され、複数本の足場板61,…は、2本のパイプ60,60の上に横並びに載置され、固定具を用いて2本のパイプ60,60に固定される。墜落防止設備7Uは、上部作業床6Uを取り囲むように設置される。上部作業床6Uが平面視にて四角形であり、直交4辺を有することから、墜落防止設備7Uは、上部作業床6Uの各辺部に所定高さ(95cm以上又は90cm以上)を有して設置され、正面部7Ua、側面部7Ub、背面部7Ucを備える。防護天井8は、かご外枠2の上横枠2cに着脱可能に固定される脚を備えて上部作業床6Uの上方に設置される。
【0020】
下部作業場5Lの墜落防止設備7Lの正面部7Laは、安全柵の形態であり、手すり、中桟、幅木で構成される。側面部7Lb及び背面部7Lcは、防護パネルで構成される。上部作業場5Uの墜落防止設備7Uの正面部7Uaは、安全柵の形態であり、手すり、中桟、幅木で構成される。側面部7Ub及び背面部7Ucは、手すり、幅木で構成される。
【0021】
図2に示すように、墜落防止設備7Lの正面部7Laは、一対の縦材70L,70Lと、2本の横材71,71と、1本の横材72Lとを備える。横材71及び横材72Lは、左右方向に間隔を空けて離間する一対の縦材70L,70L間に掛け渡されるが、取り外すこともできる。
【0022】
縦材70Lは、墜落防止設備7Lの側面部7Lbの側縁部に取り付けられるか、作業床6Lの角部に直接又はブラケット等を介して間接的に取り付けられることにより、作業床6Lの角部から立ち上がるように設けられる(立設される)。縦材70Lの下端と作業床6Lの床面とは高さ位置が同じである。本実施形態においては、縦材70Lは、十分な剛性を有する鉄や鋼やアルミ等の金属製である。
【0023】
上側の横材71は、横桟の一つである手すりとして機能し、下側の横材71は、横桟の一つである中桟として機能する。横材71は、外材71aと、左右の内材71b,71bとを備える。外材71aは、断面形状が円形又は角形のパイプである。内材71bは、外材71aと同じ断面形状であるが、外材71aよりも細いパイプであり、外材71a内に出退自在に挿入される。このように、横材71は、外材71aを外筒、内材71bを内筒とする伸縮式のパイプである。本実施形態においては、横材71は、十分な剛性を有するアルミ等の軽金属製である。
【0024】
横材72Lは、横桟の一つである幅木として機能する。横材72Lは、外材72aと、左右の内材72b,72bとを備える。外材72aは、上下の端縁部がコ字状に屈曲された板材である。内材72bは、外材72aと同じ断面形状であるが、外材72aよりも幅が小さい板材であり、外材72a内に出退自在に挿入される。このように、横材72Lは、外材72aを外筒、内材72bを内筒とする伸縮式の板材である。本実施形態においては、横材72Lは、十分な剛性を有するアルミ等の軽金属製である。
【0025】
図3に示すように、縦材70Lは、複数の係止部70a,70a(図例では2つ)と、縦主面部70bと、縦スリット部70dと、複数の分岐スリット部70e,70e(図例では2つ)と、連通部70fと、係止部70gと、切欠部70hとを備える。係止部70a及び分岐スリット部70eは、縦材70Lの高さ位置が異なる複数箇所(図例では2箇所)、より詳しくは、縦主面部70bの高さ位置が異なる複数箇所に設けられる。連通部70fは、縦材70Lの中間高さ位置に設けられる。係止部70g及び切欠部70hは、縦材70Lの下端部であって、縦スリット部70dの下端近傍に設けられる。
【0026】
図4に示すように、係止部70aは、横材71の係合部71cを係脱可能に係止するためのものである。係止部70aは、分岐スリット70eで構成される。なお、横材71の係合部71cは、横材71の端部に設けられ、抜け止め71dを有する軸体である。
【0027】
縦主面部70bは、他方の縦材70Lと対向する面であり、所定の幅を有する縦長の面である。縦スリット部(縦溝部ともいう)70dは、縦主面部70bに形成され、横材71の係合部71cを挿入可能な幅を有して高さ方向に形成される。縦スリット部70dは、縦材70Lの上端から下端にかけて形成されることにより、縦材70Lの上部にて縦材70Lの外部に開放されるとともに、縦材70Lの下部にて縦材70Lの外部に開放されている。
【0028】
分岐スリット部(分岐溝部ともいう)70eは、縦主面部70bに形成され、縦スリット部70dから分岐し、縦スリット部70dと平行な部分を有し、分岐スリット部70eの端部が係止部70aを構成する。分岐スリット部70eは、縦スリット部70dよりも外側、すなわち、縦スリット部70dに対して作業床6Lと反対側に形成される。
【0029】
縦材70Lは、複数(図例では3つ)のアングル材を組み合わせて構成され、縦主面部70bの内側に縦空間部70cを有する。横材71の係合部71cは、縦スリット部70d又は分岐スリット部70eを通って縦空間部70c内に挿入される。横材71の係合部71cは、抜け止め71dがあるため、縦スリット部70d又は分岐スリット部70eから軸方向に抜けることはない。
【0030】
図5に示すように、連通部70fは、縦材70Lの一部が切り欠かれることにより、縦スリット部70d及び縦空間部70cと(側方における)縦材70Lの外部とを連通する。連通部70fは、横材71の係合部71c(抜け止め71dを含む)が通過できる大きさである。連通部70fは、縦スリット部70dよりも内側、すなわち、縦スリット部70dに対して作業床6L側に形成される。
【0031】
図6に示すように、係止部70gは、横材72Lの係合部72cを係脱可能に係止するためのものである。係止部70gは、切欠部70hで構成される。係止部70gは、縦スリット部70dよりも外側、すなわち、縦スリット部70dに対して作業床6Lと反対側に形成される。なお、横材72Lの係合部72cは、横材72Lの端部に設けられ、帯板を適宜の箇所で曲げ加工することにより形成される。このため、切欠部70hは、奥側がスリット状になっている。
【0032】
以上の構成からなる縦材70Lは、図7に示すように、2本の横材71,71を高さ方向に移動(スライド)可能に保持することにより、2本の横材71,71を高さ位置を変更可能に保持する。すなわち、i)係合部71cが縦スリット部70dの上部開放部から縦スリット部70d内に挿入される1本目の横材71は、下側の係止部70aに係止されて中桟となり、同じく係合部71cが縦スリット部70dの上部開放部から縦スリット部70d内に挿入される2本目の横材71は、上側の係止部70aに係止されて手すりとなるが、ii)これら2本の横材71,71の係止を解除して縦スリット部70dの下端まで下せば(下した結果、下側の横材71は、作業床6Lの床面に接触し、上側の横材71は、下側の横材71の上に乗る形となり、かつ、2本の横材71,71は、横材72Lの内側に配置される形となる。)、墜落防止設備7Lの正面部7Laが開放され、また、iii)上側の横材71はそのままにしておいて、下側の横材71を連通部70fから外せば、上側の横材71と作業床6Lとの間に大きな開放部が形成される。このため、本実施形態に係る作業用かご装置1によれば、横材71の高さ位置を変更することができ、横材71の高さ位置を一時的に変更することにより、作業床6Lへの人の出入りや物の搬出入を容易に行うことができる。
【0033】
もちろん、2本の横材71,71と横材72Lを外せば、墜落防止設備7Lの正面部7Laは完全に開放される。このため、本実施形態に係る作業用かご装置1によれば、エレベータのフロアと作業床6Lの高さ位置を合わせることにより(通常の着床操作)、台車をフロアから作業床6Lに搬出入することができる。
【0034】
また、横材71及び横材72Lは伸縮式である。このため、本実施形態に係る作業用かご装置1によれば、異なる幅サイズの作業床に柔軟に対応することができる。
【0035】
図8図11に示すように、上部作業場5Uの墜落防止設備7Uの正面部7Uaも、一対の縦材70U,70Uと、2本の横材71,71と、1本の横材72Uとを備え、下部作業場5Lの墜落防止設備7Lの正面部7Laと基本的には同じ構造である。そこで、以下においては、墜落防止設備7Lの正面部7Laと異なる点について記載し、同じ点については、墜落防止設備7Lの正面部7Laについての記載と同様であるとして(符号は適宜読み替える)、記載を省略する。
【0036】
縦材70Uは、この下端部が作業床6Uを支持するフレーム2dに取り付けられる。フレーム2dは、作業床6Uの上方に位置するため、縦材70Uは、作業床6Uの角部近傍の上方位置から立ち上がるように設けられる(立設される)。すなわち、縦材70Uの下端と作業床6Uの床面とは高さ位置が異なり、縦材70Uの下端(縦スリット部70dの下端)は、作業床6Uの上方に位置する。このため、2本の横材71,71を縦スリット部70dの下端まで下した結果、下側の横材71は、フレーム2dの上面に接触し、上側の横材71は、下側の横材71の上に乗る形となる。
【0037】
また、幅木として機能する横材72Uは、作業床6Uに固定されるため、縦材70Uには、横材72Uを係止するための係止部70gは設けられていない。
【0038】
また、横材71を係止する係止部70aは、横材71の本数よりも多くの箇所(図例では5箇所)に設けられる。いずれかの係止部70aを選択して横材71を取り付けることで、横材71の高さ位置を変更することができ、横材71を適切な高さ位置に設置することができるとともに、横材71の高さ位置を一時的に変更することにより、作業床6Uへの人の出入りや物の搬出入を容易に行うことができる。もちろん、横材71の本数を増やすこともできる。
【0039】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0040】
上記実施形態においては、墜落防止設備7L,7Uの正面部7La,7Uaに開閉構造(横材71の高さ位置変更構造)が適用される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。開閉構造は、側面部に適用される、又は、背面部に適用されるようにしてもよい。
【0041】
また、上記実施形態においては、係止部70aは、縦スリット部70dから分岐する分岐スリット部70e(の端部)で構成される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。縦スリット部や分岐スリット部がなく、凹状の受け部材を縦材の高さ位置が異なる複数箇所に設け、これを係止部としてもよい。
【0042】
また、上記実施形態においては、手すり用と中桟用に2本の横材71,71が用いられ、幅木用として横材72L,72Uが用いられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。法令、規則、基準等が許すならば、横材71は、1本であってもよいし、横材72L,72Uは無くてもよい。
【0043】
また、物理的に干渉するものでない限り、縦材70Lにおける技術要素や一部の構成を縦材70Uに適用することや、縦材70Uにおける技術要素や一部の構成を縦材70Lに適用すること、たとえば、縦材70Lにおいて係止部70aの数を増やす、縦材70Lにおいて連通部70fを無くす、縦材70Uにおいて連通部70fを設ける、といったことは当然に可能であり、これは、本発明が当然に意図するところである。
【符号の説明】
【0044】
1…作業用かご装置、2…かご外枠、2a…縦枠、2b…下横枠、2c…上横枠、2d…フレーム、3…かごシーブケース、4…主ロープ、5L…下部作業場、5U…上部作業場、6L…下部作業床、6U…上部作業床、60…パイプ、61…足場板、7L…墜落防止設備、7La…正面部、7Lb…側面部、7Lc…背面部、7U…墜落防止設備、7Ua…正面部、7Ub…側面部、7Uc…背面部、70L,70U…縦材、70a…係止部、70b…縦主面部、70c…縦空間部、70d…縦スリット部、70e…分岐スリット部、70f…連通部、70g…係止部、70h…切欠部、71…横材(手すり、中桟)、71a…外材、71b…内材、71c…係合部、71d…抜け止め、72L,72U…横材(幅木)、72a…外材、72b…内材、72c…係合部、8…防護天井
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かご外枠に設けられる作業床と、作業床を取り囲むように設置される墜落防止設備とを備え、墜落防止設備の一部は、左右方向に間隔を空けて離間する一対の縦材と、一対の縦材間に掛け渡される横材とで構成されるエレベータの作業用かご装置であって、
横材は、両端部に係合部を備え、
縦材は、
横材の係合部を挿入可能な幅を有して高さ方向に形成される縦スリット部を備え、横材の係合部を高さ方向に移動可能に保持するとともに、
高さ位置が異なる複数箇所に、それぞれが縦スリット部から分岐して横材の係合部を係脱可能に係止する複数の分岐スリット部を備えることにより、
横材の高さ位置を変更可能に構成される
エレベータの作業用かご装置。
【請求項2】
縦スリット部は、縦材の上部にて縦材の外部に開放されている
請求項に記載のエレベータの作業用かご装置。
【請求項3】
縦材は、中間高さ位置に、縦スリット部と縦材の外部とを連通する連通部を備える
請求項又は請求項に記載のエレベータの作業用かご装置。
【請求項4】
縦材は、縦スリット部の下端近傍に、幅木となる板状の横材の係合部を係脱可能に係止する係止部を備える
請求項又は請求項に記載のエレベータの作業用かご装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明に係るエレベータの作業用かご装置は、
かご外枠に設けられる作業床と、作業床を取り囲むように設置される墜落防止設備とを備え、墜落防止設備の一部は、左右方向に間隔を空けて離間する一対の縦材と、一対の縦材間に掛け渡される横材とで構成されるエレベータの作業用かご装置であって、
横材は、両端部に係合部を備え、
縦材は、
横材の係合部を挿入可能な幅を有して高さ方向に形成される縦スリット部を備え、横材の係合部を高さ方向に移動可能に保持するとともに、
高さ位置が異なる複数箇所に、それぞれが縦スリット部から分岐して横材の係合部を係脱可能に係止する複数の分岐スリット部を備えることにより、
横材の高さ位置を変更可能に構成される
エレベータの作業用かご装置である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
ここで、本発明に係るエレベータの作業用かご装置の一態様として、
縦スリット部は、縦材の上部にて縦材の外部に開放されている
との構成を採用することができる。