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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128890
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】釣り用ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/16 20060101AFI20240913BHJP
   A01K 85/00 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
A01K85/16
A01K85/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038165
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】517000427
【氏名又は名称】株式会社DRT
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】白川 友也
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA42
2B307BA44
2B307BA46
2B307BA70
(57)【要約】
【課題】ローリング動作のみを行うことが可能であり、しかも、水面下の一定のレンジを維持したまま泳動することが可能な釣り用ルアーを提供する。
【解決手段】ルアー10は、中空状に形成されたボディ11を有する。ボディ11の腹部11Cに抵抗板30が取り付けられている。抵抗板30は、幅方向に延びる板状部材であり、腹部11Cにおいて、中間線Lよりも方向へ所定長さD1を隔てた位置に設けられており、その位置から下方へ垂直に突出している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベイトを模した形状のボディーと、
前記ボディの下部に設けられ、泳動時に水流による抵抗を受ける抵抗部材と、を備え、
前記抵抗部材は、前記下部において前記ボディーの長手方向の中間位置から前記ボディの後端部に至る所定領域に設けられている、釣り用ルアー。
【請求項2】
前記抵抗部材は、ルアー進行方向に略直交する水流受け面を有する、請求項1に記載の釣り用ルアー。
【請求項3】
前記抵抗部材は、前記所定領域から下方へ突出する板状部材である、請求項1又は2に記載の釣り用ルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルアーフィッシングに用いられる釣り用ルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ルアーと称される疑似餌を用いてターゲットとなる対象魚を釣る所謂ルアーフィッシングが広く知られている。釣り人は、ルアーをキャストし、ロッドを操作して、ベイトである小魚や甲殻類、虫などの動きに似るようにアクションを加えながらルアーをリトリーブする。これにより、対象魚のバイトを誘う。
【0003】
市場には、形状やサイズの異なる多種多様なルアーが流通している。例えば、捕食対称である前記ベイトの形態を模したルアーが知られている。この種のルアーとして、水中でのリアルな動作を実現するために、ルアーヘッドの下部あたりに水の抵抗を受けるリップが設けられた所謂リップ付きルアーが公知である(特許文献1参照)。
【0004】
リトリーブ中にリップ付きルアーが起こす基本的なアクションとしては、ローリング動作(ロール動作)や、ウォブリング動作という動作が挙げられる。これらの動作は、リップ付きルアーの特有の動作であり、とりわけ、前者のローリング動作は、ルアーを真正面から見たときにボディが左右に反復して傾倒するため、ルアーの背模様、側面模様、腹部の模様、側面模様、そして背模様を順番に連続して対象魚に見せることができ、色調変化によって対象魚が興味を示し易くなり、効果的に対象魚のバイトを誘うことができる。また、前記ローリングは、水面から入射した光がルアーに照射したときにその反射光の向きを連続的に変化させることができる。この場合、対象魚にとってはルアーが点滅しているように見え、所謂フラッシング効果により小魚などのベイトと誤認して、効果的に対象魚のバイトを誘うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-82907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のリップ付きルアーは、ローリング動作のみならずウォブリング動作も生じる。前記ウォブリング動作が生じた場合、前記ローリング動作が抑えられるため、上述した色調変化による効果や、前記フラッシング効果が軽減することになる。また、ウォブリング動作による水押し効果が対象魚を散らしてしまう釣り環境においては、ウォブリング動作が生じるリップ付きルアーによる釣果は期待できない。
【0007】
また、図6に示すように、従来のリップ付きルアー100は、着水後にリトリーブされると、当初はリップによる潜水力が勝り、着水点から徐々に弧を描くように水中に潜っていく。そして、一定のレンジに到達すると、ラインの引っ張り力が勝り、ルアー100は、再び弧を描くように徐々に引き上げられて、回収される。したがって、従来のリップ付きルアー100では、水面下の一定のレンジを維持したままルアーを泳がすことが困難である。
【0008】
本発明の目的は、ローリング動作のみを行うことが可能であり、しかも、水面下の一定のレンジを維持したまま泳動することが可能な釣り用ルアーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の局面に係る釣り用ルアーは、ベイトを模した形状のボディーと、前記ボディの下部に設けられ、泳動時に水流による抵抗を受ける抵抗部材と、を備え、前記抵抗部材は、前記下部において前記ボディーの長手方向の中間位置から前記ボディの後端部に至る所定領域に設けられている。
【0010】
前記釣り用ルアーにおいて、前記抵抗部材は、ルアー進行方向に略直交する水流受け面を有する。
【0011】
前記釣り用ルアーにおいて、前記抵抗部材は、前記所定領域から下方へ突出する板状部材である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ローリングのみを行うことが可能であり、水面下の一定のレンジを維持したまま泳動することが可能な釣り用ルアーを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施形態に係る釣り用ルアーを示す図であり、(A)は側面図、(B)は底面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る釣り用ルアーを示す斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る釣り用ルアーの内部構造を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る釣り用ルアーを示す図であり、(A)は前方から見た図、(B)は後方から見た図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る釣り用ルアーの泳動動作を説明するための図である。
図6図6は、従来のリップ付きルアーの泳動動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るルアー10(本発明の釣り用ルアーの一例)を示す図、図2は、ルアー10の斜視図、図3は、ルアー10の内部構造を示す図、図4(A)は、ルアー10を前方側から見た図であり、図4(B)は、ルアー10を後方から見た図である。
【0016】
ルアー10は、バスフィッシングやソルトルアーフィッシングなどのルアーフィッシングにおいて、ターゲットとなる対象魚のバイトを誘うための疑似餌(ルアー)である。
【0017】
図1に示すように、ルアー10は、ターゲットとなる対象魚が補食するベイトを模した形状に形成されており、具体的には、補食される魚(ベイトフィッシュ)を模した形状に形成されている。ルアー10の形状は、ベイトフィッシュを模した形状に限られず、ターゲットとなる対象魚が補食するベイト、例えば、イカや、エビ、カニ、ワームなどの形状を模したものであってもよい。
【0018】
ルアー10は、魚の胴体を模した形状に形成されたボディ11(本発明のボディ部の一例)を備える。ボディ11は、ABS樹脂などの硬質樹脂材料、木材などで形成されている。なお、ボディ11は、シリコンやエラストマーなどの軟質樹脂材料で形成されていてもよく、或いは、硬質樹脂材料と軟質樹脂材料とを組み合わせて構成されていてもよい。
【0019】
ボディ11の表面は、頭部から尾鰭の根本までの魚の胴体を模した模様にペイントされている。ボディ11の上面11Aには魚の背模様がペイントされており、ボディ11の側面11Bには魚の鱗模様がペイントされており、ボディ11の側面下部から下面に至る腹部11C(本発明の下部の一例)には魚の腹模様がペイントされている。
【0020】
なお、本実施形態では、頭部から尾鰭の根本までを模したボディ11を例示するが、例えば、ボディ11は、頭部から尾鰭までを模した形状に形成されていてもよい。また、ボディ11は、頭部から尾鰭に至るまでの部分が前後方向に複数に分割された分割構造を有し、各分割体が連結部によって幅方向へ揺動可能に構成されたものであってもよい。
【0021】
ボディ11には、ラインアイ21、フックアイ23、24が設けられている。
【0022】
ラインアイ21は、ルアー10の前方側のヘッド部15の前端部に固定されている。ラインアイ21は、ロッドから引き出されたライン(不図示)が直接或いはスイベルやスナップなどを介して間接的に止着される部分である。
【0023】
フックアイ23は、ボディ11の腹部11Cに固定されている。フックアイ23は、腹部11Cにおいて、ボディ11を前後方向に二等分する中間線Lよりも前方側に設けられている。フックアイ24は、ボディ11の後端部に設けられている。図1(A)に示すように、フックアイ23,24にフック17が連結されている。
【0024】
また、ボディ11の腹部11Cには、リトリーブされたことによりルアーが前方(図1の左側)へ泳動した場合に、水流による抵抗を受ける抵抗板30(本発明の抵抗部材の一例)が設けられている。なお、抵抗板30については後述する。
【0025】
図3に示すように、ボディ11の内部は中空状に形成されている。なお、図3には、内部構造が破線で示されている。
【0026】
ボディ11の内部には、シンカー26,27が設けられている。キャスティングされたルアー10がヘッド部15から着水し易いように、ヘッド部15側にシンカー26が設けられている。また、ボディ11の概ね中央部分にシンカー27が設けられている。シンカー26,27の数や重さは、ルアー10の重さや、ルアー10に作用する浮力などに応じて適宜決定される。本実施形態では、ルアー10がスローフローティングタイプとなるようにシンカー26,27の数や重さが決定されている。なお、ルアー10のタイプは、サスペンドタイプや、シンキングタイプ、スローシンキングタイプのいずれであってもよい。
【0027】
抵抗板30は、ルアー10のボディ11の腹部11Cに取り付けられている。抵抗板30は、板状に形成された部材であり、腹部11Cから下方へ垂直に突出している。抵抗板30の厚みは、例えば、1mm~5mmの範囲内で定められており、好ましくは1mm~3mmの厚みである。
【0028】
抵抗板30の前面31は、リトリーブ時に水流を受ける水流受け面である。前面31は、ルアー10が進行するときの進行方向(前後方向)に対して直交する平坦面である。言い換えると、ルアー10が図1に示す遊泳姿勢にあるときに、抵抗板30は幅方向に延在する板状部材であり、その前面31は鉛直方向に延びる鉛直面である。
【0029】
本実施形態では、抵抗板30は、腹部11Cにおいて、ボディ11の前後方向(長手方向)の中間位置(中間線Lで示される位置)からボディ11の後端部に至る領域A10(本発明の所定領域の一例)に設けられている。より詳細には、抵抗板30は、前記中間位置から後方側へ、所定長さD1だけ隔てられた位置に設けられている。
【0030】
前記所定長さD1は、例えば、ボディ11の全長(前後方向の長さ)の10%から50%の範囲内で定められた長さであり、好ましくは、ボディ11の全長の10%~15%の長さである。
【0031】
図3に示すように、抵抗板30は、腹部11Cに形成された上方へ延びる取付溝に垂直に挿入されて取り付けられている。
【0032】
図4(A)に示すように、抵抗板30は、下方部分に丸みのある扇形に形成されている。抵抗板30は、ボディ11の断面よりも大きい形状に形成されており、下方へ向かうにつれて幅広な形状に形成されている。
【0033】
ボディ11の下面(下端)から下方へ突出する抵抗板30の突出長さH1は、任意に定めることができる。例えば、突出長さH1は、ボディ11の高さ(上下方向の長さ)よりも短く、ボディ11の高さの半分よりも長い。
【0034】
抵抗板30の幅方向の両方の端部30Aは、ボディ11の側面11Bから幅方向の外側へ膨出している。抵抗板30の幅長さD2は、ボディ11の全幅(幅方向の長さ)D11よりも長い。各端部30Aそれぞれの膨出量(膨出長さ)D3は、例えば、ボディ11の全幅D11の10%~50%の範囲内で定められており、好ましくは、ボディ11の全幅D11の10%~15%の長さである。
【0035】
図4(B)に示すように、抵抗板30の後面32には、後面32から後方へ隆起する隆起部33が形成されている。隆起部33は、後面32の概ね中央に位置する下向きに湾曲した湾曲部33Aと、湾曲部33Aから抵抗板30の各端部30Aそれぞれに向けて斜め上方へ延びる2本の傾斜部33Bと、を有する。隆起部33は、湾曲状に盛り上がった形状に形成されており、後面32から隆起部33の頂部までの隆起高さは、抵抗板30の厚みと同程度か、或いは抵抗板30の厚みの半分程度である。
【0036】
このような抵抗板30がボディ11の腹部11Cに設けられているため、着水後にルアー10がリトリーブされると、ルアー10は、前方へ泳動する際に、ウォブリング動作はほとんどせずに、実質的にローリング動作だけを行う。このため、本実施形態のルアー10であれば、例えば、ウォブリング動作による水押し効果が期待できない釣り環境において、ローリング動作だけを際立たせて対象魚にアピールすることができるため、ローリング動作に伴う色調変化による効果や、フラッシング効果によって、対象後のバイトを効果的に誘うことができる。
【0037】
また、本実施形態のルアー10であれば、着水後にリトリーブされた場合でも、抵抗板30はルアーを潜水させるように作用しない。そのため、図5に示すように、ルアー10は、水中において弧を描くように泳動せずに、水面下の所定のレンジに到達した後は、そのレンジを維持したまま直線的に泳動する。つまり、釣り人は、水面下の一定のレンジを維持したままルアー10を泳がすことができる。
【0038】
なお、上述の実施形態では、板状に形成された抵抗板30を例示したが、抵抗板30は、水流受け面として平坦な前面31を有していれば、板状のものに限られない。
【符号の説明】
【0039】
10 :ルアー
11 :ボディ
11C :腹部
15 :ヘッド部
30 :抵抗板
30A :端部
31 :前面
32 :後面
33 :隆起部
33A :湾曲部
33B :傾斜部
図1
図2
図3
図4
図5
図6