(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128891
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】決定方法、演算装置、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240913BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038166
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003926
【氏名又は名称】弁理士法人イノベンティア
(72)【発明者】
【氏名】塚本 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】藤林 慎治
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】コストが削減される物品の保管場所を決定することのできる演算装置を提供する。
【解決手段】演算装置100aは、物品の一例である部品の保管場所を物品の使用場所の一例である店舗とするか蔵置場所の一例であるエリア倉庫とするかを決定することを含む処理を実行する演算装置であって、使用場所における物品の使用確率を用いて、使用場所において機会が発生せずに物品が使用場所に保管されるための第1のコストを算出し、使用確率を用いて、使用場所において機会が発生せずに物品が蔵置場所に保管されるための第2のコストを算出し、使用確率を用いて、使用場所において機会が発生し、蔵置場所に保管されている物品を使用場所まで移送するための第3のコストを算出し、第2のコストと第3のコストとの合計が第1のコストを下回る場合に、物品の保管場所を蔵置場所とすると決定する、ように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに実装された、物品の保管場所を前記物品の使用場所とするか蔵置場所とするかの決定方法であって、
前記使用場所における前記物品の使用確率を用いて、前記使用場所において使用の機会が発生せずに前記物品が前記使用場所に保管されるための第1のコストを算出し、
前記使用確率を用いて、前記使用場所において前記機会が発生せずに前記物品が前記蔵置場所に保管されるための第2のコストを算出し、
前記使用確率を用いて、前記使用場所において前記機会が発生し、前記蔵置場所に保管されている前記物品を前記使用場所まで移送するための第3のコストを算出し、
前記第2のコストと前記第3のコストとの合計が前記第1のコストを下回る場合に、前記物品の保管場所を前記蔵置場所とすると決定する、ことを備える
決定方法。
【請求項2】
前記第1のコストを算出することは、前記物品の前記使用場所での保管単価に前記使用場所において前記機会が発生しない確率を乗じることを含み、
前記第2のコストを算出することは、前記物品の前記蔵置場所での保管単価に前記使用場所において前記機会が発生しない確率を乗じることを含み、
前記第3のコストを算出することは、前記物品の移送単価に、前記使用場所での前記物品の使用回数予測値を乗じることを含み、
前記使用場所において前記機会が発生しない確率は、1から前記使用確率を減じて得られ、
前記物品の使用回数予測値は前記使用確率から得られる
請求項1に記載の決定方法。
【請求項3】
前記使用場所は複数の場所を含み、
前記複数の場所のうちの、前記物品を当該場所に保管する第1群と、前記物品を前記蔵置場所に保管する第2群と、について、
前記第2のコストは、前記物品の前記蔵置場所での保管単価に、前記第2群の前記場所それぞれにおいて前記機会が発生しない確率を乗じて得られ、
前記第3のコストは、前記物品の移送単価に、前記第2群の前記場所それぞれにおける前記使用回数予測値の総和を乗じて得られ、
前記第1群の前記場所それぞれについての前記第1のコストの総和、前記第2のコスト、及び前記第3のコストの総和が最小となる前記第1群と前記第2群とを決定する、ことをさらに備える
請求項2に記載の決定方法。
【請求項4】
前記第1群と前記第2群とを決定することは、前記複数の場所の前記第1群と前記第2群との組み合わせを変化させて、前記第2群の前記場所それぞれについての前記第1のコストの総和である第1の値と、前記第2のコスト及び前記第3のコストの和である第2の値との差が最小となる前記第1群及び前記第2群とする場所の組み合わせを決定することを含む
請求項3に記載の決定方法。
【請求項5】
前記物品は製品のメンテナンスに用いる部品であり、
前記製品の要メンテナンス確率M、及び、前記使用場所に対応付けられた前記製品の数Nを用いて下の式で前記使用確率Uを得る、ことをさらに備える
請求項1に記載の決定方法。
U=1-(1-M)^N
【請求項6】
前記物品は製品のメンテナンスに用いる部品であり、
前記保管単価は、前記部品の単価を含み、
前記製品の要メンテナンス確率M、及び、前記使用場所に対応付けられた前記製品の数Nを用いて下の式で前記使用確率Uを得る、ことをさらに備える
さらに備える
請求項2に記載の決定方法。
U=1-(1-M)^N
【請求項7】
物品の保管場所を前記物品の使用場所とするか蔵置場所とするかを決定することを含む処理を実行する演算装置であって、
前記使用場所における前記物品の使用確率を用いて、前記使用場所において前記機会が発生せずに前記物品が前記使用場所に保管されるための第1のコストを算出し、
前記使用確率を用いて、前記使用場所において前記機会が発生せずに前記物品が前記蔵置場所に保管されるための第2のコストを算出し、
前記使用確率を用いて、前記使用場所において前記機会が発生し、前記蔵置場所に保管されている前記物品を前記使用場所まで移送するための第3のコストを算出し、
前記第2のコストと前記第3のコストとの合計が前記第1のコストを下回る場合に、前記物品の保管場所を前記蔵置場所とすると決定する、ように構成されている
演算装置。
【請求項8】
物品の保管場所を前記物品の使用場所とするか蔵置場所とするかを決定することを含む処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
前記使用場所における前記物品の使用確率を用いて、前記使用場所において前記機会が発生せずに前記物品が前記使用場所に保管されるための第1のコストを算出し、
前記使用確率を用いて、前記使用場所において前記機会が発生せずに前記物品が前記蔵置場所に保管されるための第2のコストを算出し、
前記使用確率を用いて、前記使用場所において前記機会が発生し、前記蔵置場所に保管されている前記物品を前記使用場所まで移送するための第3のコストを算出し、
前記第2のコストと前記第3のコストとの合計が前記第1のコストを下回る場合に、前記物品の保管場所を前記蔵置場所とすると決定する、ことを実行させる
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、決定方法、演算装置、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
管理のためのコストやスペースを考慮すると、店舗で使用の機会が発生する部品などの物品を店舗においてすべて保管することはできないため、その機会が生じる店舗以外の保管場所(以下、蔵置場所)で保管したいという要望もある。一方で、使用の機会に備えて店舗に保管しておきたいという要望がある。
【0003】
例えば、特開2008-105147号公報(以下、特許文献1)は、物品の保管場所であるヤードの現在の配置状況と、原材料の入出荷情報とに基づいて、ヤードの制約条件を満足する配置計画の解を計算する在庫配置計画システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
保管対象の物品には、原材料の入出荷情報に基づいて使用の機会が発生するのではなく、外部からの要求や突発事項などの計画的ではない条件に応じて使用の機会が発生する場合がある。そのような場合、特許文献1のシステムでは在庫配置計画が立てられない。
【0006】
例えば、物品が修繕業務などのメンテナンスを行う店舗でメンテナンスに用いられる部品である場合、使用の機会は、メンテナンス対象の製品の種類や、その製品の用いられる環境や、メンテナンス対象の製品の個数や、故障などの発生の度合い、などの影響を受ける。そのような場合であっても、物品の保管のコストを精度よく削減できることが望まれる。そこで、本開示は、コストが削減される物品の保管場所を決定することのできる決定方法、演算装置、及びコンピュータプログラムを提供することを目的の1つとする。
【0007】
ある実施の形態に従うと、決定方法は、コンピュータに実装された、物品の保管場所を物品の使用場所とするか蔵置場所とするかの決定方法であって、使用場所における物品の使用確率を用いて、使用場所において使用の機会が発生せずに物品が使用場所に保管されるための第1のコストを算出し、使用確率を用いて、使用場所において機会が発生せずに物品が蔵置場所に保管されるための第2のコストを算出し、使用確率を用いて、使用場所において機会が発生し、蔵置場所に保管されている物品を使用場所まで移送するための第3のコストを算出し、第2のコストと第3のコストとの合計が第1のコストを下回る場合に、物品の保管場所を蔵置場所とすると決定する、ことを備える。
【0008】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る決定方法を説明するための図である。
【
図2】
図2は、管理装置を含む在庫管理システムの構成、及び、管理装置の構成の概略図である。
【
図3】
図3は、製品情報の一例を表した概略図である。
【
図4】
図4は、演算装置に実装された決定方法の流れを表したフローチャートである。
【
図5】
図5は、発明者によるシミュレーションに用いた部品情報を表した図である。
【
図6】
図6は、シミュレーションに用いた部品情報を表した図である。
【
図7】
図7は、シミュレーションに用いた部品情報を表した図である。
【
図8】
図8は、シミュレーションに用いた部品情報を表した図である。
【
図9】
図9は、シミュレーションで得られた管理情報の一例を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[在庫管理の概要]
図1は、本実施の形態に係る決定方法を説明するための図である。実施の形態に係る決定方法は、物品の保管場所を物品の使用場所とするか蔵置場所とするかの決定方法である。物品は、一例として、メンテナンスの一例である修繕に用いられる部品である。物品の使用場所は、一例として、修繕対象となる機器(製品)を販売する店舗であって、その店舗において、販売した製品の修繕を手配する。物品の使用は、この例の場合、当該店舗で販売した製品の修繕を行うこと、又は、部品を調達して修繕の手配を行うこと、を指す。
【0011】
店舗は、部品を店舗自身で保管可能であるとともに、蔵置場所にも保管可能である。蔵置場所は、店舗以外の保管場所を指し、例えば倉庫(以下、エリア倉庫)などである。エリア倉庫は複数の店舗によって共有されていてもよい。
図1は、施設例を表している。
図1の例では店舗1A~1Dの4つの店舗があり、これらがエリア倉庫2を共有している。店舗1A~1Dを代表させて店舗1とも称する。各店舗1は、自店舗1で使用の機会のある部品を自店舗1かエリア倉庫2かで保管する。店舗1A~1Dは近隣エリアに位置し、その中間付近にエリア倉庫2が配置されることが想定される。
【0012】
本実施の形態に係る管理装置100は、各店舗1で使用する機会のある部品の在庫管理を行う。在庫管理は、部品の保管場所を当該店舗1とするかエリア倉庫2とするかを決定することを含む。
【0013】
店舗1で部品を保管する場合、店舗1においていわゆる死蔵在庫となるリスクがある。店舗1における死蔵在庫は、所定期間内に店舗1において部品が用いられないことを含む。ここでの所定期間は、その部品の需要が見込まれる期間を指し、所定期間内に店舗1において部品が用いられないことは、店舗1においてその部品の需要が見込まれないことに相当する。又は、店舗1における死蔵在庫は、一定期間、店舗1において部品が用いられないことであってもよい。ここでの一定期間は、次の需要が発生するまでに在庫しておくことを許容する期間を指し、一定期間、店舗1において部品が用いられないことは、店舗1におけるその部品の需要の頻度が低いために、次の需要が生じるまでの在庫期間が長すぎることに相当する。そのため、店舗1で部品を保管する場合、店舗1での死蔵在庫のコスト(店舗死蔵在庫コスト:第1のコスト)が発生する。
【0014】
部品をエリア倉庫2で保管する場合、エリア倉庫2においていわゆる死蔵在庫となるリスクがある。そのため、エリア倉庫2で部品を保管する場合、エリア倉庫2での死蔵在庫のコスト(地区死蔵在庫コスト:第2のコスト)が発生する。地区死蔵在庫コストは、各店舗においてその部品が所定期間内に用いられない、又は、一定期間、用いられない状態においてエリア倉庫2で部品を保管するコストを指す。さらに、部品をエリア倉庫2で保管する場合、店舗1で使用する機会が発生すると部品をエリア倉庫2から店舗1まで移送する必要がある。そのため、移送コスト(第3のコスト)が発生する。
【0015】
管理装置100において部品の保管場所を当該店舗1とするかエリア倉庫2とするかを決定する際、店舗1A~1Dそれぞれにおいて管理する製品に関する情報(製品情報)3A~3Dが、管理装置100に入力される(ステップS1)。製品情報3A~3Dを代表させて製品情報3とも称する。管理装置100は製品情報3を用いて部品それぞれについて上記第1~第3のコストを算出し、第1~第3のコストを用いて、その部品の使用の機会が発生する店舗で保管するかエリア倉庫2で保管するかを決定する決定処理を実行する(ステップS2)。
【0016】
管理装置100は、決定した結果を管理情報5として出力する(ステップS3)。管理情報5は、一例として、画面表示であってもよいし、各店舗1の有する端末装置4A~4D(
図3)に対する制御信号であってもよい。
【0017】
管理情報5は、部品ごとの、自店舗1で保管する1又は複数の店舗、及びエリア倉庫2に保管する1又は複数の店舗の組み合わせを含む。すなわち、自店舗で保管する1又は複数の店舗のグループを第1群、エリア倉庫2に保管する1又は複数の店舗のグループを第2群とすると、ステップS2で管理装置100は、部品ごとに、第1群及び第2群とする店舗の組み合わせを決定する。
【0018】
図1の例では、部品1の使用の機会がある店舗は店舗1A,1B,1Dであって、第1群が店舗1A,1D、及び第2群が店舗1Bである店舗の組み合わせが決定されている。管理情報5は、部品ごとの第1群及び第2群とする店舗の組み合わせを含む。
【0019】
[システム構成]
図2は、管理装置100を含む在庫管理システム200の構成、及び、管理装置100の構成の概略図である。在庫管理システム200は、管理装置100を備える。管理装置100は、演算装置100aを有する。演算装置100aは、部品の保管場所を店舗1とするかエリア倉庫2とするかを決定することを含む処理を実行する。
【0020】
在庫管理システム200は、演算装置100aに対する入力装置の一例としての端末装置4A~4Dを備える。端末装置4A~4Dは、それぞれ、店舗1A~1Dに設置される装置であることが想定されている。端末装置4A~4Dを代表させて端末装置4とも称する。端末装置4は、パーソナルコンピュータ、タブレット、又はスマートフォン等の、インターネット7などの通信網に接続可能であって、ユーザ操作を受け付けてデータ送信が可能な端末であれば、任意の端末を利用できる。
【0021】
管理装置100は通信装置13を有する。演算装置100aは、通信装置13に接続されている。通信装置13は通信モジュールなどである。演算装置100aと端末装置4とは、インターネット7などの通信網を介して相互に通信可能である。他の例として、管理装置100と端末装置4とは一体の装置で構成されていてもよい。すなわち、管理装置100は、端末装置4に変えて入力部を有してもよい。
【0022】
[演算装置の説明]
演算装置100aは、一例として、プロセッサ11とメモリ12とを有するコンピュータ、又は、一つのコンピュータ及びその周辺装置で構成されている。演算装置100aは、複数のコンピュータが協働して実現されてもよい。
【0023】
プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。メモリ12は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含む。メモリ12は、プロセッサ11で実行されるプログラム121を記憶している。プロセッサ11はプログラム121を実行することによって、後述する各処理を実行する。
【0024】
プロセッサ11は、プログラム121を実行することによって決定処理111を実行する。決定処理111は、本実施の形態に係る決定方法に従う処理であって、対象の部品について、使用の機会が発生する店舗1で保管するかエリア倉庫2で保管するかを決定する処理を含む。
【0025】
好ましくは、プロセッサ11は、プログラム121を実行することによって出力処理112を実行する。出力処理112は、決定処理111での決定を含む管理情報5を生成し、出力させる処理を含む。出力処理112は、一例として、管理情報5を通信装置13に渡し、規定の出力先に送信させることを含む。規定の送信先は、例えば、端末装置4である。これにより、各店舗1において部品を店舗1かエリア倉庫2かいずれで保管するかを知ることができる。他の例として、出力処理112は、図示しないディスプレイに表示させる処理であってもよい。これにより、管理装置100を用いている管理者が、部品を店舗1かエリア倉庫2かいずれで保管するかを知ることができる。
【0026】
[決定方法の説明]
決定処理111において、プロセッサ11は、各店舗1における製品情報3を用いる。製品情報3は、一例として、各店舗1の端末装置4において生成され、端末装置4から管理装置100に送信される。他の例として、各店舗1の端末装置4から情報の入力を受けて演算装置100aで生成されてもよい。
【0027】
図3は、製品情報3の一例を表した概略図である。製品情報3は、店舗1で管理する製品1台ごとの情報を含む。製品情報3は、一例として、製品の種別を表す情報である機器種別コード31と、顧客が購入した日を表す情報である購入日32と、修繕の実施日を表す情報である修繕日33と、修繕に使用した部品を表す情報である修繕使用部品34と、を含む。製品情報3は、さらに、製品を購入した顧客を識別する情報や、製品の製造日を表す情報などを含んでもよい。
【0028】
図3の製品情報3は、ナンバー1,2,3の3つの製品についての情報を含んでいる。ナンバー1の製品は、機器種別コード31が「XXXXX1」であり、購入日32が「D1/M1/Y1」であり、修繕日33が「DD1/MM1/YY1」,「DD2/MM2/YY2」,「DD3/MM3/YY3」を含み、それぞれの修繕日33における修繕使用部品34が「部品1」であることを示している。ナンバー2の製品は、機器種別コード31が「XXXXX2」であり、購入日32が「D2/M2/Y2」であり、修繕日33が「DD3/MM3/YY3」,「DD5/MM5/YY5」を含み、それぞれの修繕日33における修繕使用部品34が「部品2」であることを示している。ナンバー3の製品は、機器種別コード31が「XXXXX1」であり、購入日32が「D3/M3/Y3」であり、修繕日33が「DD6/MM6/YY6」,「DD7/MM7/YY7」,「DD8/MM8/YY8」を含み、それぞれの修繕日33における修繕使用部品34が「部品1」であることを示している。
【0029】
決定処理111は、対象の部品について、上記の店舗死蔵在庫コスト(第1のコスト)を算出すること、上記の地区死蔵在庫コスト(第2のコスト)を算出すること、及び上記の移送コスト(第3のコスト)を算出することを含む。そして、決定処理111は、対象の部品について、自店舗で保管する各店舗の第1のコストの総和と、エリア倉庫2で保管する際の第2のコスト及び第3のコストとの和が最小となるように、対象の部品を自店舗に保管する店舗のグループ(第1群)と、エリア倉庫2に保管する店舗のグループ(第2群)とを決定する、ことを含む。
【0030】
ある部品1についての店舗1Aにおける店舗死蔵在庫コストC1A1は、部品1の店舗1Aでの保管単価に、店舗1Aにおいて使用の機会が発生しない確率を乗じて得られる。保管単価は、一例として、当該部品の単価(部品単価)PA1とする。保管単価は、他の例として、又は、部品単価に加えて、保管に要する賃料や人件費や光熱費やこれらの組み合わせであってもよい。保管単価は、後述の地区死蔵在庫コストC2の算出でも同様とする。
【0031】
部品1の店舗1Aにおける使用の機会が発生しない確率は、部品1の店舗Aにおける使用確率(店舗使用確率)UA1を1から減じて得られる(1-UA1)。したがって、プロセッサ11は決定処理111において、下の式(1)によって店舗死蔵在庫コストC1A1を算出する。
C1A1=PA1×(1-UA1) …式(1)
【0032】
店舗1Aが管理している製品情報3が
図3のものである場合、部品1は、機器種別コード「XXXX1」の製品の修繕に用いられるものである。当該製品1つあたりの修繕が必要となる確率(例えば故障率)M1に、店舗1Aで管理しているこの製品の台数N1を乗じる、下の式(2)によって、部品1の使用回数の予測値(使用回数予測値)PrA1が得られる。なお、故障率M1は、一例として、製品情報3に記録されている当該製品の修繕記録から算出され得る。また、部品1の店舗1Aにおける使用確率(店舗使用確率)UA1は、下の式(3)から得られる。なお、式(3)の「^」は累乗を表す。
PrA1=M1×N1 …式(2)
UA1=1-(1-M1)^N1 …式(3)
【0033】
ある部品1についての地区死蔵在庫コストC2は、部品1のエリア倉庫2での保管単価に、部品1をエリア倉庫2で保管する各店舗での部品1の使用の機会が発生しない確率を乗じて得られる。例えば、店舗1A,1B,…がそれぞれ部品1をエリア倉庫2で保管する場合、プロセッサ11は、下の式(4)によって部品1の地区死蔵在庫コストC2を得る。式(4)は、部品単価PA1に、店舗1Aにおける使用の機会が発生しない確率(1-UA1),店舗1Bにおける使用の機会が発生しない確率(1-UB1),…を乗じる演算式である。
C2=PA1×(1-UA1)×(1-UB1)×… …式(4)
【0034】
ある部品1についての移送コストC3は、部品1の移送コスト単価T1に、部品1をエリア倉庫2で保管する各店舗での部品1の使用回数予測値の合計を乗じて得られる。例えば、店舗1A,1B,…がそれぞれ部品1をエリア倉庫2で保管する場合、プロセッサ11は、下の式(5)によって移送コストC3を得る。式(5)は、移送コスト単価T1に、店舗1Aにおける部品1の使用回数予測値PrA1と店舗1Bにおける部品1の使用回数予測値PrB1と…の総和を乗じる演算式である。
C3=T1×(PrA1+PrB1+…) …式(5)
【0035】
決定処理111においてプロセッサ11は、第1のコストC1~第3のコストC3を用いて、対象の部品1の使用の機会がある複数の店舗について、第1群と第2群の組み合わせを決定する。なお、組み合わせを決定することは、第1群に属する店舗群、及び、第2群に属する店舗群の少なくとも一方を決定することを指す。
【0036】
詳しくは、プロセッサ11は、対象の部品1について、第2群の店舗群それぞれについて得られた第1のコストの総和を算出する(第1の値)。また、プロセッサ11は、第2群の店舗群について第2のコスト及び第3のコストを算出し、これらの和(第2の値)を得る。プロセッサ11は、対象の部品1の使用の機会がある複数の店舗について第1群と第2群との組み合わせを変化させることで、第1の値と第2の値との差が最大となる第1群及び第2群とする店舗の組み合わせを決定する。
【0037】
[決定方法の流れ]
図4は、演算装置100aに実装された決定方法の流れを表したフローチャートであって、演算装置100aでの処理の流れを表している。
図4の処理は、演算装置100aのメモリ12に記憶されたプログラム121をプロセッサ11が実行することによって演算装置100aにて実行される。
図4の処理は、対象の部品ごとに行われる。
【0038】
演算装置100aは、エリア倉庫2を共有するすべての店舗(店舗1A~1D)それぞれの製品情報3の入力を受け付ける(ステップS101)。演算装置100aは、対象の部品1の使用の機会のある店舗、すなわち、製品情報3の修繕使用部品34に部品1が含まれている店舗それぞれについて、当該店舗での部品1の使用確率を算出する(ステップS103)。
【0039】
演算装置100aは、ステップS105~S113,S119~S121で、対象の部品1の使用の機会のある店舗の、部品1を自店舗に保管する店舗のグループ(第1群)と、部品1をエリア倉庫2に保管する店舗のグループ(第2群)との組み合わせを様々に変化させて、第2群の各店舗についての第1のコストの総和(第1の値)と、第2群の店舗群について第2のコスト及び第3のコストの和(第2の値)との差が最大となる第1群及び第2群とする店舗の組み合わせを決定する。
【0040】
詳しくは、演算装置100aは、始めに、予め設定している初期値を用いて、第1群及び第2群とする店舗の組み合わせを初期組み合わせとし(ステップS105)、その組み合わせにおいて、第2群の各店舗についての第1のコストC1を算出する(ステップS107)。また、演算装置100aは、第2群の店舗群について第2のコスト及び第3のコストを算出する(ステップS109,S111)。
【0041】
演算装置100aは、第2群の各店舗についての第1のコストC1の総和(第1の値:ΣC1)と、第2のコスト及び第3のコストの和(第2の値)と、を比較する。演算装置100aは、第1群及び第2群とするすべての組み合わせについて第1の値と第2の値との差を算出し、差が最大となる組み合わせを決定する(ステップS115)。第1の値と第2の値との差は、第2群の(候補となる)店舗群がすべて自店舗で保管した場合のコストとエリア倉庫2で保管した場合のコストとの差、つまり、エリア倉庫2に保管したことで削減されるコストを表している。そのため、ステップS115で差が最大となる組み合わせを決定することによって、削減されるコストが最大となる。
【0042】
好ましくは、演算装置100aは、第1の値と第2の値とを比較して、第1の値が第2の値より大きい場合に(ステップS113でYES)、ステップS115で差が最大となる組み合わせを決定する。第1の値が第2の値より大きい場合は、そのときの店舗の組み合わせでは部品1について自店舗で保管する方がエリア倉庫2に保管するよりコストが高い、つまり、エリア倉庫2に保管してコスト削減を図る余地がある組み合わせであることを意味している。
【0043】
一方、第1の値が第2の値以下であった場合(ステップS113でNO)、第2群の候補の店舗群がすべて自店舗で保管した方がコストが低い、つまり、コスト削減のためにエリア倉庫2に保管する必要がないことを意味している。この場合、演算装置100aはステップS115ですべての組み合わせについて差を算出することなく、第2群の店舗はなし、つまり、すべての店舗が自店舗にて保管する、という組み合わせを決定する。この場合、演算装置100aの処理としては、
図4のようにステップS115をスキップするものでもよいし、ステップS115を行って第1群にすべての店舗が属し、第2群に属する店舗がない、という組み合わせを決定してもよい。
【0044】
演算装置100aは、部品1について以上の処理で得られた結果を含む管理情報5を出力する(ステップS117)。部品が複数あるときは、演算装置100aは以上の処理を部品ごとに実行し、各部品の結果を含む管理情報5を出力する。
【0045】
[シミュレーション]
発明者は、
図1の施設例を用いて本実施の形態に係る決定方法のシミュレーションを行い、コスト比較を行った。
図5~
図8はシミュレーションに用いた部品情報であって、それぞれ、店舗1A~店舗1Dの製品情報3から得られた、各店舗での部品情報3A~3Dの具体例を表している。
【0046】
部品情報3A~3Dは、それぞれ、当該店舗で使用の機会がある部品名35、その部品を修繕に用いる製品の故障確率36、及び、当該店舗が管理している、その部品を修繕に用いる製品の台数である機器台数37を含む。部品名35は、各店舗の製品情報3の修繕使用部品34に含まれる部品名から得られる。故障確率36は、各店舗の製品情報3の、機器種別コード31で表される機種ごとの修繕日33から、部品ごとに算出される値である。機器台数37は、機器種別コード31で表される機種ごとの数を、部品ごとにカウントして得られる値である。
【0047】
店舗1Aの部品情報3A(
図5)より、店舗1Aは、部品1,2,3,4,5,6,7の使用の機会を有し、それぞれ、故障確率が3,2,2,1.5,1,0.5,0.5%であり、機器台数が10,10,10,15,15,10,20である。店舗1Bの部品情報3B(
図6)より、店舗1Bは、部品1,2,5,7,8,9,10の使用の機会を有し、それぞれ、故障確率が2.5,2.5,2,1.5,1,5,1%であり、機器台数が30,25,10,115,25,50,25である。店舗1Cの部品情報3C(
図7)より、店舗1Cは、部品4,5,8,12,13,14,15の使用の機会を有し、それぞれ、故障確率が3,2.5,2,1,0.5,0.5,0.5%であり、機器台数が50,25,40,30,35,25,30である。店舗1Dの部品情報3D(
図8)より、店舗1Dは、部品1,3,9,11,14,16,17の使用の機会を有し、それぞれ、故障確率が0.5,2.5,4,1.5,1,1,1%であり、機器台数が5,10,20,5,10,15,5である。
【0048】
この場合、演算装置100aでは、部品1~17それぞれについて
図4の処理を実行する。例えば、部品1については、店舗1A,1B,1Dで第1群と第2群との組み合わせを決定する。部品2については、店舗1A,1Bで第1群と第2群との組み合わせを決定する。
【0049】
図9は、シミュレーションで得られた管理情報5の一例を表した図である。このシミュレーションでは、部品1~17すべてについて製品情報3A~3Dに基づいて処理を行った結果、部品ごとに第1群と第2群とが下のような組み合わせで決定された。これにより、各店舗1A~1D及びエリア倉庫2で保管する部品が
図9のように得られる。
部品1:第1群(なし)、第2群(店舗1A,1B,1D)
部品2:第1群(なし)、第2群(店舗1A,1B)
部品3:第1群(なし)、第2群(店舗1A,1D)
部品4:第1群(店舗1A,1C)、第2群(なし)
部品5:第1群(なし)、第2群(店舗1A,1B,1D)
部品6:第1群(店舗1A)、第2群(なし)
部品7:第1群(なし)、第2群(店舗1A,1B)
部品8:第1群(なし)、第2群(店舗1B,1C)
部品9:第1群(店舗1B,1D)、第2群(なし)
部品10:第1群(店舗1B)、第2群(なし)
部品11:第1群(なし)、第2群(店舗1D)
部品12:第1群(店舗1C)、第2群(なし)
部品13:第1群(店舗1C)、第2群(なし)
部品14:第1群(なし)、第2群(店舗1C,1D)
部品15:第1群(店舗1C)、第2群(なし)
部品16:第1群(店舗1D)、第2群(なし)
部品17:第1群(店舗1D)、第2群(なし)
【0050】
シミュレーションでは、部品1~17の部品単価を一律に10000円、移送コスト単価を一律に5000円とした。この条件を用いて、シミュレーションでは、店舗1A~1Dがすべて自店舗にて部品を保管する場合のコストが205700円と算出され、
図9の組み合わせで部品1~17を保管した場合のコストが137200円と算出された。これにより、本実施の形態に係る決定方法を採用することで33%のコスト削減が実現されることが検証された。すなわち、本実施の形態に係る決定方法によって全体のコストが削減されるという効果が示された。
【0051】
[他の例1]
なお、以上の説明では、本実施の形態に係る決定方法で、ある部品1について複数の店舗において使用の機会があるとき、それら複数の店舗において第1群及び第2群の組み合わせを決定するものであった。この決定方法は、複数の店舗の場合に限定されるものではない。ある部品の使用の機会がある店舗が1つであっても、本実施の形態に係る決定方法によってその店舗で保管するか蔵置場所(エリア倉庫2)で保管するか、を決定することができる。
【0052】
この場合、決定方法では、部品をエリア倉庫2で保管する場合の第2のコストと第3のコストとの合計(第2の値)が、部品を自店舗で保管する場合の第1のコストを下回る場合に、エリア倉庫2で保管すると決定する。これは、上記シミュレーションの部品6,10,12,13,15,16,17が該当する。特に、上記シミュレーションでは計算の便宜上、自店舗での保管単価とエリア倉庫2での保管単価とを同一の部品単価としていたが、保管単価として例えば保管場所の賃料や人件費などを用いる場合には、自店舗とエリア倉庫2とで保管単価が異なる場合もある。その場合には、ある部品の使用の機会がある店舗が1つであっても本実施の形態に係る決定方法によってコストが削減されるという効果が得られる場合もある。
【0053】
[他の例2]
このように、本実施の形態に係る決定方法では、機器の修繕などのメンテナンスに必要な部品などの物品の保管場所を、機器の故障確率などである部品の使用確率を用いて決定されている。これにより、すべての使用場所で保管するよりもコストが削減されるものである。使用確率は故障確率に限定されず、他の要因によるものでもよい。例えば、物品が天候などの特定のイベントの際に用いるものである場合、そのイベントの発生確率を使用確率として用いてもよい。これにより、本実施の形態に係る決定方法を様々なシチュエーションで用いることができる。
【0054】
[他の例3]
上のシミュレーションでは、部品1~17の部品単価を一律に10000円、移送コスト単価を一律に5000円としたが、実装では、部品単価は部品ごとに異なる値を用いることもできる。また、実装では、移送コスト単価も部品ごとに異なる値を用いることもできるし、店舗ごとに異なる値を用いることもできる。例えば、物品のサイズなどの条件によって移送の方法が異なる場合があるためである。また例えば、エリア倉庫2から店舗までの距離や道程によって移送のコストが異なる場合があるためである。これにより、より詳細な条件で決定を行うことができ、精度よくコスト削減を図ることができる。
【0055】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。また、実施の形態に係る決定方法、演算装置、及びコンピュータプログラムは、次のように表すこともできる。
【0056】
(1)実施の形態に係る決定方法は、コンピュータに実装された、物品の保管場所を物品の使用場所とするか蔵置場所とするかの決定方法であって、使用場所における物品の使用確率を用いて、使用場所において使用の機会が発生せずに物品が使用場所に保管されるための第1のコストを算出し、使用確率を用いて、使用場所において機会が発生せずに物品が蔵置場所に保管されるための第2のコストを算出し、使用確率を用いて、使用場所において機会が発生し、蔵置場所に保管されている物品を使用場所まで移送するための第3のコストを算出し、第2のコストと第3のコストとの合計が第1のコストを下回る場合に、物品の保管場所を蔵置場所とすると決定する、ことを備える。この決定方法では、物品の保管場所が部品の使用確率を用いて決定されるため、物品の保管場所を効率的に決定することができる。この決定方法によって保管場所が決定されることで、物品をすべて使用場所で保管する場合に比べてコストの削減が図られることが発明者によるシミュレーションによって実証された。
【0057】
(2)(1)に記載の決定方法であって、好ましくは、第1のコストを算出することは、物品の使用場所での保管単価に使用場所において機会が発生しない確率を乗じることを含み、第2のコストを算出することは、物品の蔵置場所での保管単価に使用場所において機会が発生しない確率を乗じることを含み、第3のコストを算出することは、物品の移送単価に、使用場所での物品の使用回数予測値を乗じることを含み、使用場所において機会が発生しない確率は、1から使用確率を減じて得られ、物品の使用回数予測値は使用確率から得られる。この計算によって、コストが削減される保管場所が決定される。
【0058】
(3)(2)に記載の決定方法であって、好ましくは、使用場所は複数の場所を含み、複数の場所のうちの、物品を当該場所に保管する第1群と、物品を蔵置場所に保管する第2群と、について、第2のコストは、物品の蔵置場所での保管単価に、第2群の場所それぞれにおいて機会が発生しない確率を乗じて得られ、第3のコストは、物品の移送単価に、第2群の場所それぞれにおける使用回数予測値の総和を乗じて得られ、第1群の場所それぞれについての第1のコストの総和、第2のコスト、及び第3のコストの総和が最小となる第1群と第2群とを決定する、ことをさらに備える。これにより、複数の場所について、自身で保管する場所と蔵置場所で保管する場所との組み合わせが決定され、全体としてコストが削減される。
【0059】
(4)(3)に記載の決定方法であって、好ましくは、第1群と第2群とを決定することは、複数の場所の第1群と第2群との組み合わせを変化させて、第2群の場所それぞれについての第1のコストの総和である第1の値と、第2のコスト及び第3のコストの和である第2の値との差が最小となる第1群及び第2群とする場所の組み合わせを決定することを含む。これにより、複数の場所について、自身で保管する場所と蔵置場所で保管する場所との組み合わせが決定され、全体としてコストが削減される。
【0060】
(5)(1)~(4)のいずれか1つに記載の決定方法であって、好ましくは、物品は製品のメンテナンスに用いる部品であり、製品の要メンテナンス確率M、及び、使用場所に対応付けられた製品の数Nを用いて下の式で使用確率Uを得る、ことをさらに備える。
U=1-(1-M)^N
これにより、物品の使用確率が得られ、保管場所の決定に用いることができる。
【0061】
(6)(2)~(4)のいずれか1つに記載の決定方法であって、好ましくは、物品は製品のメンテナンスに用いる部品であり、保管単価は、部品の単価を含み、製品の要メンテナンス確率M、及び、使用場所に対応付けられた製品の数Nを用いて下の式で使用確率Uを得る、ことをさらに備える。
U=1-(1-M)^N
これにより、物品の使用確率が得られ、保管場所の決定に用いることができる。
【0062】
(7)実施の形態に係る演算装置は物品の保管場所を物品の使用場所とするか蔵置場所とするかを決定することを含む処理を実行する演算装置であって、使用場所における物品の使用確率を用いて、使用場所において機会が発生せずに物品が使用場所に保管されるための第1のコストを算出し、使用確率を用いて、使用場所において機会が発生せずに物品が蔵置場所に保管されるための第2のコストを算出し、使用確率を用いて、使用場所において機会が発生し、蔵置場所に保管されている物品を使用場所まで移送するための第3のコストを算出し、第2のコストと第3のコストとの合計が第1のコストを下回る場合に、物品の保管場所を蔵置場所とすると決定する、ように構成されている。演算装置がこのように構成されていることによって、演算装置では、物品をすべて使用場所で保管する場合に比べてコストが削減される保管場所が決定される。
【0063】
(8)実施の形態に係るコンピュータプログラムは、物品の保管場所を物品の使用場所とするか蔵置場所とするかを決定することを含む処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、使用場所における物品の使用確率を用いて、使用場所において機会が発生せずに物品が使用場所に保管されるための第1のコストを算出し、使用確率を用いて、使用場所において機会が発生せずに物品が蔵置場所に保管されるための第2のコストを算出し、使用確率を用いて、使用場所において機会が発生し、蔵置場所に保管されている物品を使用場所まで移送するための第3のコストを算出し、第2のコストと第3のコストとの合計が第1のコストを下回る場合に、物品の保管場所を蔵置場所とすると決定する、ことを実行させる。このプログラムによってコンピュータを演算装置として機能させ、物品をすべて使用場所で保管する場合に比べてコストが削減される保管場所が決定される。
【符号の説明】
【0064】
1,1A,1B,1C,1D:店舗(物品の使用場所)、2:エリア倉庫(蔵置場所)、100a:演算装置、121:プログラム、C1:店舗死蔵在庫コスト(第1のコスト)、C2:地区死蔵在庫コスト(第2のコスト)、C3:移送コスト(第3のコスト)