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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128912
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】ドライヤ
(51)【国際特許分類】
   A45D 20/10 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
A45D20/10 102
A45D20/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108781
(22)【出願日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2023037906
(32)【優先日】2023-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100120846
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 雅也
(72)【発明者】
【氏名】大塚 貴子
(72)【発明者】
【氏名】岡 博之
(72)【発明者】
【氏名】久冨 祐也
【テーマコード(参考)】
3B040
【Fターム(参考)】
3B040CA03
3B040CC02
(57)【要約】
【課題】速乾性を向上させることができるドライヤを提供する。
【解決手段】ドライヤ1は、複数の羽根11を有するインペラ10と、複数の羽根11の内側に配置されたヒータ20とを備えている。
【選択図】図8

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の羽根を有するインペラと、
前記複数の羽根の内側に配置されたヒータと、
を備える、
ドライヤ。
【請求項2】
前記インペラにおいて、流体の吸引方向と、前記流体の吹出し方向とは交差している、
請求項1に記載のドライヤ。
【請求項3】
前記インペラは、軸方向に長く延在している、
請求項2に記載のドライヤ。
【請求項4】
前記複数の羽根の各々は、前記インペラの軸方向に長く延びており、
前記複数の羽根は、前記インペラの軸周りに設けられている、
請求項3に記載のドライヤ。
【請求項5】
前記ヒータの断面の一部は、前記インペラによって生じる流体の流れの方向に延びている、
請求項1から4のいずれか1項に記載のドライヤ。
【請求項6】
前記ヒータは一方向に長く延びた断面を備える、
請求項5に記載のドライヤ。
【請求項7】
前記ヒータの断面は前記インペラの風路に沿って長く延びている、
請求項6に記載のドライヤ。
【請求項8】
前記ヒータの断面は前記インペラの径方向に長く延びている、
請求項7に記載のドライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ドライヤは、例えば髪に用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-75139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばヘアドライヤには、優れた速乾性が求められている。このように、ドライヤには、速乾性を向上させることができる構成が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、速乾性を向上させることができるドライヤを提供することを課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るドライヤは、複数の羽根を有するインペラと、前記複数の羽根の内側に配置されたヒータと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係るドライヤの外観を概略的に示す斜視図である。
図2】ドライヤの正面図である。
図3】ドライヤの背面図である。
図4】ドライヤの右側面図である。
図5】ドライヤの左側面図である。
図6】ドライヤの平面図である。
図7】ドライヤの底面図である。
図8】ドライヤの軸線に直交する断面を示す断面図である。
図9図4の線A-Aに沿うドライヤの断面を示す断面図である。
図10】ドライヤにおけるケーシングの斜視図である。
図11】ケーシングの本体部が外された状態におけるドライヤの斜視図である。
図12】ケーシングの本体部及びインペラが外された状態における一具体例に係るドライヤの斜視図である。
図13図12に示す一具体例に係るドライヤの軸線に直交する断面を示す断面図である。
図14】変形例に係るヒータを有するドライヤの軸線に直交する断面を示す断面図である。
図15図14に示すヒータの一具体例を有するドライヤの軸線に直交する断面を示す断面図である。
図16】ヒータの取付構造の他の実施形態を有するドライヤの図4の線A-Aに沿う断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るドライヤ1の外観を概略的に示す斜視図であり、図2~7は夫々、本発明の実施形態に係るドライヤ1の正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図及び底面図である。また、図8は、ドライヤ1の軸線xに直交する断面を示す断面図である。図9は、図4の線A-Aに沿うドライヤ1の断面を示す断面図である。ドライヤ1は、髪に対して用いられることが意図されたヘアドライヤである。本発明に係るドライヤは、ヘアドライヤに限られず、他の用途に用いられるドライヤも含む。
【0009】
図1~9に示されるように、ドライヤ1は、複数の羽根11を有するインペラ10と、複数の羽根11の内側に配置されたヒータ20とを備えている。以下、ドライヤ1について具体的に説明する。なお、図面において、複数の部材については、その全てに符号は付されておらず、一部の符号は省略されている場合もある。
【0010】
図1~9に示されるように、ドライヤ1は、ケーシング30を有しており、インペラ10及びヒータ20は、ケーシング30内に収容されている。図10は、ケーシング30の斜視図である。図10に示されるように、ケーシング30は、本体部31と、持ち手部32とを有している。本体部31は、インペラ10が収容される空間である収容空間31aを形成する部分である。持ち手部32は、ドライヤ1の持ち手となる部分である。本体部31には、内部の収容空間31aを開放する2つの開口が形成されている。この2つの開口の一つが流入口33であり、他の一つが流出口34である。流入口33は、ケーシング30の外部からインペラ10に空気が吸引されるようにするための開口である。一方、流出口34は、インペラ10からケーシング30の外部に空気が吹き出されるようにするための開口である。
【0011】
図1,8に示されるように、流入口33は、インペラ10の外側の周表面に外側から面するように形成されている。また、流入口33は、一方向に長く延びている。流入口33は、図1に示されるように、例えば、インペラ10の軸線xに沿って長く延びるように、ケーシング30に形成されている。なお、インペラ10の軸線xは、後述するように、インペラ10の回転軸であり、仮想の線である。また、流入口33は、軸線x周りの周方向にも長く延びるように、ケーシング30に形成されている。図10に示されるように、流入口33の面積は、大きく形成されている。流入口33は、インペラ10に多くの空気が吸引されるように形成されている。流入口33は、例えば、インペラ10の表面の半分又は略半分がケーシング30の外の空間に露出するような形状となっている。具体的には例えば、図1,8に示されるように、インペラ10の外側の周表面の軸線x方向の全体又は略全体、及びインペラ10の外側の周表面の周方向の半分又は略半分が、ケーシング30の外の空間に露出するような形状に、流入口33は形成されている。なお、流入口33の大きさや形状は、他の大きさや形状であってもよい。また、流入口33には、収容空間31a内に埃等の異物が進入しないように、フィルタで覆われていてもよい。
【0012】
流出口34は、図1,8,10に示されるように、インペラ10の径方向に交差する方向に面するように形成されている。また、流出口34は、一方向に長く延びており、図1に示されるように、例えば、インペラ10の軸線xに沿って長く延びるように、ケーシング30に形成されている。流出口34は、例えば、インペラ10と同じだけ、又はおおよそ同じだけ、軸線x方向に延びている。なお、流出口34は、インペラ10よりも長く、又はインペラ10よりも短く、軸線x方向に延びていてもよい。図8に示されるように、流出口34は、例えば、インペラ10の径方向においてインペラ10に対して流入口33と反対側の収容空間31aの部分を開放するように形成されている。なお、流出口34の大きさや形状は、他の大きさや形状であってもよい。また、流入口33に対する流出口34の位置は、他の位置であってもよい。
【0013】
ケーシング30には、例えば図1,8,10に示されるように、ノズル35が形成されている。ノズル35は、インペラ10の径方向においてインペラ10に対して流入口33と反対側の収容空間31aの部分に形成されており、インペラ10の回転方向R(図8参照)側から連通する流路を形成する部分となっている。流出口34は、ノズル35の先端に形成されている。また、流出口34は、フィルタや、ハニカム又は複数の格子を有する蓋等で覆われていてもよい。
【0014】
インペラ10は、図8,9,11に示されるように、軸線xを回転軸として回転可能になっている。例えば、インペラ10において、流体の吸引方向と、流体の吹出し方向とが交差している。本実施形態においては、インペラ10において、流体の吸引方向と流体の吹出し方向とは、直交している。また、インペラ10は、回転軸方向(軸線x方向)に長く延在している。また、インペラ10は、回転軸(軸線x)に沿って延びる空間Sを形成するようになっている。なお、図11は、ケーシング30の本体部31が外された状態におけるドライヤ1の斜視図である。
【0015】
例えば図8,11に示されるように、羽根11は、一方向に長く延びており、インペラ10において、複数の羽根11は、例えば、軸線xに沿って長く延びるように配置されている。また、インペラ10において、複数の羽根11は、例えば、軸線x周りに並べられている。このようにして、複数の羽根11の内部に、略円柱状に延びる空間Sが形成されている。図8に示されるように、羽根11の軸線xに直交する断面における形状は、湾曲した形状(例えば弧状)である。複数の羽根11は、例えば、軸線xに平行に又は略平行に配置されており、また、軸線x周りに等角度又は略等角度間隔で配置されている。インペラ10は、例えば、クロスフローファンである。
【0016】
上述のように、ヒータ20は、複数の羽根11の内側に配置されており、具体的には、図8,9に示されるように、インペラ10の内部の空間Sに配置されている。ヒータ20は、空間S内で、軸線xに沿って延びている。また、ヒータ20の断面の少なくとも一部は、インペラによって生じる流体の流れの方向に直交しない形状となっている。ヒータ20は、例えば図8,9に示されるように、柱状(例えば円柱状又は略円柱状)になっており、ヒータ20の外周面の断面形状は、円形又は略円形となっている。
【0017】
図12は、ケーシング30の本体部31及びインペラ10が外された状態のドライヤ1の斜視図であり、ヒータ20の具体的な一例を示す図である。また、図13は、図12に示す具体的な一例としてのヒータ20を有するドライヤ1の軸線xに直交する断面を示す断面図であり、ヒータ20の断面の具体的な一例を示す図である。図12,13に示されるように、ヒータ20は、具体的には、芯部24と、複数の電熱線26とを有している。芯部24は、剛性を有する部材によって形成されており、軸線xに沿って延びている。また、芯部24は、例えば、図12に示されるように、複数の円盤状のプレート(支持片)25aと、複数のプレート25aを軸線x方向に間隔を空けて支持する部分であるロッド(軸部)25bとを有している。プレート25aは、電熱線26を支持する部分であり、耐熱性又は絶縁性を有する材料、例えばマイカ等で形成されている。複数のプレート25aには、例えば、電熱線26を支持するための溝25cが複数形成されている。電熱線26は、例えば、ニクロム線等の導線であり、芯部24に沿って設けられている。例えば、複数の電熱線26が、図12に示されるように、芯部24に螺旋状に巻かれている。電熱線26は、プレート25aに形成された溝25cに係止されて支持されている。ヒータ20の断面形状は、具体的には例えば、芯部24及び電熱線26の軸線x方向の投影の形状である。図13に二点鎖線で示す線は、断面輪郭線Oであり、芯部24及び電熱線26の軸線x方向の投影が描く輪郭である。つまり断面輪郭線Oは、ヒータ20の断面形状を示している。
【0018】
ヒータ20は、図12,13に示されるような形態のものに限られない。例えば、ヒータ20の芯部24は、後述するヒータ20の変形例のように、ヒータ20の断面形状に対応した断面形状を有した、軸線xに沿って延びる柱状の部材であってもよい。電熱線26は、同様に、芯部24に巻かれる。この場合も、ヒータ20の断面形状は、例えば、芯部24及び電熱線26の軸線x方向の投影の形状である。
【0019】
図9に示されるように、インペラ10は、ケーシング30の本体部31の収容空間31a内において、軸線xを回転軸として回転可能に、本体部31に支持されている。また、ヒータ20は、インペラ10の内部の空間S内において、軸線xに沿って延びるように、本体部31に固定されている。例えば、図9に示されるように、ヒータ20のロッド25bが、本体部31に固定されている。また、径方向において、ロッド25bの両方の端部とインペラ10の両方の端部との夫々の間に、軸受40が取り付けられており、軸受40は、ロッド25bに対してインペラ10を回転可能に支持している。また、ケーシング30の持ち手部32内にはモータ2が設けられており、モータ2は、インペラ10を回転可能に、インペラ10に連結されている。これにより、モータ2が回転すると、インペラ10が回転する。また、電熱線26には、電源に電気的に接続された配線で電流が供給可能になっており、配線を介して電流を電熱線26に供給することにより、電熱線26が発熱可能になっている。この配線は、電熱線26を、筒状に形成されたインペラ10の内部を通過して、電源へと電気的に接続することができる。例えば、図9に示されるように、各電熱線26の端部には、ワイヤ28が電気的に接続されている。ワイヤ28は、図示しない外部の装置(電源)に電気的に接続可能になっており、電源から電熱線26に電流を供給可能になっている。
【0020】
図14は、ヒータ20の変形例を示すための図であり、本変形例に係るヒータ21を有するドライヤ1の軸線xに直交する断面を示す断面図である。ヒータ21は、上述のヒータ20と同様に、軸線xに沿って延びている。また、ヒータ21は、図14に示されるように、一方向に長く延びた断面を有している。具体的には例えば、ヒータ21の形状は翼形状であり、ヒータ21の断面形状は、図14に示されるように、2つの湾曲した形状を組み合わせた扁平な略楕円状となっている。ヒータ21は、例えば、鋭角に突出する一対の端部22a,22bを有しており、また、端部22aと端部22bとの間に延びる一対の背向する面である側面23a,23bを有している。なお、端部22a,22bは、鋭角に突出していなくてもよく、例えば、丸みを帯びて滑らかに突出していてもよい。
【0021】
図14に示されるように、ヒータ21の断面は、インペラ10の風路に沿って長く延びている。なお、インペラ10の風路は、インペラ10の回転によって生じる気流の流路である。側面23aは、側面23bとは反対側に突出しており、ヒータ21の断面において湾曲した形状(例えば弧の形状)を描く。ヒータ21の断面において、側面23aは、例えば、大きな曲率半径の円に沿った弧を描く。このように、ヒータ21の側面23aは、インペラ10の風路に沿って長く延びている。側面23bは、側面23aとは反対側に突出しており、ヒータ21の断面において湾曲した形状(例えば弧の形状)を描く。ヒータ21の断面において、側面23bは、例えば、側面23aと同様に、大きな曲率半径の円に沿った弧を描く。このように、ヒータ21の側面23bは、インペラ10の風路に沿って長く延びている。
【0022】
ヒータ21の断面は、インペラ10の径方向に長く延びている。例えば図14に示されるように、ヒータ21の中心軸線は、インペラ10の軸線xに重なっており、又は軸線xの近傍となっている。また、図14に示されるように、ヒータ21の一方の端部22aが、流体の吸引方向に対向し、また、ヒータ21の他方の端部22bが、流体の吹出し方向に向くようになっている。これにより、ヒータ21の側面23a,23bは、インペラ10が生む流体の流れに沿うようになっている。なお、ヒータ21の中心軸線は、インペラ10の軸線xに重なっていなくてもよく、断面において、ヒータ21は、インペラ10の中心(軸線x)から離れた位置に設けられていてもよい。
【0023】
図15は、具体的な一例としてのヒータ21を有するドライヤ1の軸線xに直交する断面を示す断面図であり、ヒータ21の具体的な一例の断面を示す図である。ヒータ21は、具体的には図15に示されるように、芯部27と、電熱線26とを有している。芯部27は、セラミックス等の剛性を有する部材によって形成されており、軸線xに沿って延びている。芯部27は、柱状の部材であり、上述の芯部24とは異なり、プレートを有していない。芯部27の断面形状は、所望とする、図14に示されるヒータ21の断面形状に対応している。例えば、芯部27の断面形状は、所望とするヒータ21の断面形状に相似又は略相似する。芯部27の外周面には、電熱線26が螺旋状に巻かれている。電熱線26は1つでも複数であってもよい。上述のヒータ20の具体例と同様に、ヒータ21の断面形状は、具体的には例えば、芯部27及び電熱線26の軸線x方向の投影の形状である。図15に二点鎖線で示す線は、断面輪郭線Oであり、芯部27及び電熱線26の軸線x方向の投影が描く輪郭である。つまり断面輪郭線Oは、ヒータ21の断面形状を示している。ヒータ21の軸線x方向の投影の輪郭(断面輪郭線O)は、端部22a,22b及び側面23a,23bを有している。なお、ヒータ21は、上述のヒータ20と同様に、芯部24と電熱線26によって形成されていてもよい。この場合、例えば、芯部24のプレート25aの形状が、芯部27の断面形状と同様に、ヒータ21の断面形状に対応した形状となる。
【0024】
ドライヤ1のモータ2が回転すると、インペラ10が軸線xを中心軸として回転する。このインペラ10の回転によって、図8に示されるように、ケーシング30外の空気が流入口33を介してケーシング30の収容空間31a内に吸引される。また、ケーシング30内に吸引された空気は流出口34を介してケーシング30外に吹き出される。このインペラ10の回転によって作られる気流Fの吸引方向F1と吹出し方向F2とは、図8に示されるように、交差している。なお、吸引方向F1は、図8に示されるように、流入口33を介して外部からケーシング30内に入っている空気の流れる方向であり、また、吹出し方向F2は、図8に示されるように、流出口34を介してケーシング30内から外部に吹き出される空気の流れる方向である。
【0025】
インペラ10は、インペラ10の内部の空間Sを通る気流を形成するため、流入口33を介して吸引した空気を更に加速させて流出口34から吹き出すことができる。このため、流出口34から吹き出される空気の流速を大きくできる(流入量≧流出量)。また、上述のように、流入口33は、インペラ10の表面の多くの部分をケーシング30の外側に露出させることができ、これにより、インペラ10が吸引する空気の流量を大きくすることができる。また、ケーシング30には、ノズル35が形成されており、インペラ10から吐き出された空気を加速させることができる。このように、ドライヤ1は、流出口34から吹き出される空気の流量を大きくすることができる。
【0026】
また、図8に示されるように、ヒータ20の断面形状は円形又は略円形であり、ヒータ20は、インペラ10の回転によって生じる気流Fの流れ方向に直交する部分が少ない。このように、ヒータ20は、インペラ10の空間S内の気流に沿う形状となっている。このため、ヒータ20は、インペラ10の内部の空間Sにおいて、インペラ10が作る気流Fを阻害しない、または、インペラ10が作る気流Fの阻害を低減できる。これにより、流出口34から吹き出される空気の流量の低減を抑制することができる。このように、インペラ10の内部の空間Sにヒータ20が設けられていても、ドライヤ1は、流出口34から吹き出される空気の流量を大きく維持できる。
【0027】
また、ドライヤ1がヒータ21を有している場合、図14に示されるように、インペラ10の空間Sにおいて、吸引された空気の流れに対向するヒータ21の端部22aは、鋭角に突出した形状を有しており、また、空気の吹出し方向に向くヒータ21の端部22bは、鋭角に突出した形状を有している。また、ヒータ21の側面23a,23bは、インペラ10の空間S内の気流Fに沿う形状となっている。このため、ヒータ21は、インペラ10の空間Sにおいて、インペラ10がる作る気流Fを阻害しない、または、インペラ10が作る気流Fの阻害を低減できる。これにより、流出口34から吹き出される空気の流量の低減を抑制することができる。このように、インペラ10の内部の空間Sにヒータ20が設けられていても、ドライヤ1は、流出口34から吹き出される空気の流量を大きく維持できる。
【0028】
このように、ドライヤ1よれば、吹き出す流体の流量を大きくすることができるインペラ10の作用を、ヒータ20,21が阻害することを抑制することができる。
【0029】
また、ヒータ20,21は、インペラ10の空間Sにおいて、空気の流れを阻害することなく、広範囲で空気に接することができる。このため、ヒータ20,21による空気の加熱効率は高く、ドライヤ1の加熱効率は高い。また、ドライヤ1の電力効率は優れたものになっている。
【0030】
また、ヒータ20,21は、インペラ10の空間S内に設けられており、ケーシング30は小型化されている。このように、ドライヤ1は、ドライヤの性能を向上させつつ、ドライヤを小型化させることができる。
【0031】
上述のように、本発明の実施形態に係るドライヤ1によれば、吹き出される空気の流量を増大させることができ、このため、ドライヤの速乾性を向上させることができる。また、本発明の実施形態に係るドライヤ1によれば、ヒータ20,21による空気の加熱の効率を高くでき、この点においても、ドライヤの速乾性を向上させることができる。
【0032】
なお、ヒータ20の断面形状は、上述の形状や変形例に係るヒータ21の断面形状に限られない。ヒータ20の断面形状は、インペラ10の空間Sにおいて、空気の流れを阻害しない、または、空気の流れの阻害を低減できる他の形状であってもよい。例えば、ヒータ20の断面形状は、インペラ10に吸引された空気の流れに向かって突出する三角形又は略三角形等である。また、ヒータ20は、インペラ10の軸線xから離れて設けられていてもよい。また、ヒータ20は、インペラ10の軸線xに対して傾斜して設けられていてもよい。また、ヒータ20は、インペラ10の内部空間Sに複数設けられていてもよい。また、ヒータ20は、ノズル35の内部(ノズル35の内面の内側)に設けられていてもよい。
【0033】
次いで、上述の図9に示されるヒータ20の取付構造の他の実施形態について説明する。図16は、ヒータ20の取付構造の他の実施形態を有するドライヤ1の図4の線A-Aに沿う断面を示す断面図である。
【0034】
本実施形態においては、図16に示されるように、ヒータ20は、ロッド25bの一方の端部25dに取り付けられた部材(以下、端部材と呼称する)29を有している。なお、ロッド25bの一方の端部25dは、軸線x方向におけるロッド25bの端部であり、モータ2側とは反対側の端部である。端部材29は、中空の軸を形成する部材であり、中空の筒状の形状を有している。端部材29は、例えば図16に示されるように、軸線xに沿って延びる円筒状又は略円筒状の部分を有している。端部材29は、軸線x方向における他方の端部(モータ2側の端部)において、ロッド25bの端部25dに固定されており、また、端部材29の一方の端部は、本体部31の外側に突出する部分29cを備えている。この本体部31の外側に突出する部分29cは径方向に延在するフランジを備え、フランジは軸線x方向において本体部31の部分(側部31b)と対向している。ロッド25bと端部材29とは、軸線xに沿って延びており、ヒータ20において、軸状の部材(軸部材20a)を形成している。図16に示されるように、端部材29は、軸線x方向における一方の側のヒータ20の端部となっている。また、軸線x方向における他方の側(モータ2側)のロッド25bの端部25eは、軸線x方向における他方の側のヒータ20の端部となっている。
【0035】
端部材29は、本体部31に固定されている。例えば図16に示されるように、端部材29は、本体部31から外側に突出する部分と収容空間31aの部分との間の部分で、本体部31に嵌合して、本体部31に固定されている。なお、端部材29の本体部31との固定の形態はこれに限られない。例えば、端部材29のうち、本体部31から外側に突出する部分が本体部31に固定されていてもよい。このように、軸線x方向における一方の側のヒータ20の端部は、ケーシング30の本体部31に固定されている。一方、ロッド25bの端部25eは、本体部31に固定されていない。このように、軸線x方向における他方の側のヒータ20の端部は、ケーシング30の本体部31に固定されていない。なお、ロッド25bの端部25eは、本体部31に固定されていてもよい。
【0036】
図16に示されるように、インペラ10の軸線x方向における両端には、端部12,13が夫々設けられている。端部12,13夫々には、軸線xに沿って延びる筒状の面である内面12a,13aが形成されている。端部12の内面12a内には、端部材29が通っており、内面12aは、端部材29の外周面29aに環状の隙間を介して対向している。一方、インペラ10の端部13の内面13aの内側には、ロッド25bの端部25eが配置されており、内面13aは、端部25eの外周面25fに環状の隙間を介して対向している。
【0037】
図16に示されるように、ヒータ20の端部材29の外周面29aとインペラ10の端部12の内面12aとの間には、軸受41が設けられており、また、ヒータ20のロッド25bの端部25eの外周面25fとインペラ10の端部13の内面13aとの間には、軸受42が設けられている。このように、ヒータ20の軸部材20a(端部材29及びロッド25b)に対して、インペラ10の端部12,13は夫々、軸受41,42を介して軸線x周りに回転可能に支持されており、インペラ10は、軸線x周りに回転可能になっている。
【0038】
なお、ヒータ20の端部材29の外周面29aに対してインペラ10の端部12が回転可能に支持されていてもよい。この場合、端部材29の外周面29aに対して、インペラの端部12の内面12aが摺動できるようになっている。同様に、ヒータ20のロッド25bの端部25eの外周面25fに対してインペラ10の端部13の内面13aが回転可能に支持されていてもよい。この場合、ロッド25bの端部25eの外周面25fに対して、インペラの端部13の内面13aが摺動できるようになっている。
【0039】
図16に示されるように、モータ2の回転軸2aは、インペラ10の端部13に連結しており、モータ2の回転軸2aが回転すると、インペラ10も回転するようになっている。例えば図16に示されるように、インペラ10の端部13には、ロッド25bの端部25e及び軸受42よりもモータ2側に位置し、軸線xに沿ってモータ2側に突出する部分である突出部13bが設けられており、モータ2の回転軸2aは、この突出部13bに連結している。このモータ2の回転軸2aとインペラ10の端部13との連結により、軸受42を介して、ロッド25bの端部25eの位置は、収容空間31a内において安定している。
【0040】
図16に示されるように、各電熱線26に接続しているワイヤ28は、中空の端部材29の内部の空間29bを通って、ケーシング30の外部と収容空間31aとの間を延びている。ワイヤ28は、上述したように、ケーシング30の外部において、図示しない外部の電源に電気的に接続可能になっている。なお、ワイヤ28は、ロッド25bの端部25e側に設けられていてもよい。この場合、例えば、モータ2の回転軸2aが中空となっており、この回転軸2aの内部の空間を通って、ワイヤ28はケーシング30の外部に延びている。
【0041】
このように、インペラ20に対してケーシング30とともに実質的に静止している(ケーシング30に対して相対回転しない)ヒータ20を、回転するインペラ10の内部の空間Sに設けても、ワイヤ28がインペラ10の回転によって損傷することが抑止され、ヒータ20へ電流を安定して供給できる。また、インペラ10を回転可能に支持するヒータ20の軸部材20aは、ケーシング30において安定しており、インペラ10が安定した回転をすることができる。
【0042】
上述した実施形態では、ロッド25bはドライヤ1の長手方向に延在している。また、ロッド25bは、外部に向けて開口している流出部34の長手方向に延在している。ロッド25bは例えば遠赤外線を放射できる材料で形成されており、たとえば、セラミックス、金属等の材料で形成されている。ロッド25bは電熱線26により熱せられ、遠赤外線を放射する。ロッド25bから放射された遠赤外線は、たとえば流出口34を介して外部に向けて放射される。このような放射された遠赤外線により、ドライヤ1の速乾性を向上することができる。特に、ロッド25bは流出口34の長手方向に延在しており、またロッド25bは流出口34に他の部材(電熱線など)を介して対向しているので、ユーザに向けられるドライヤ1の流出口34を比較的大きく確保できる。このため、遠赤外線をユーザに向けて放射する領域を大きくでき、ドライヤ1の速乾性を向上できる。
【0043】
以上、上記実施形態を通じて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に様々な変更又は改良を加えることができることが当業者には明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0044】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、上述の実施形態は、本発明が利用される利用対象を限定するものではなく、本発明はあらゆるものをその利用対象として含み得る。上記実施形態が備える各構成要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。例えば、本発明は、製造上の公差等の実施において発生する差を含むものである。また、技術的に矛盾しない範囲において、異なる実施形態で示した構成要素同士を部分的に置換し又は組み合わせることができる。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ドライヤ、2 モータ、2a 回転軸、10 インペラ、11 羽根、12,13 端部、12a,13a 内面、13b 突出部、20,21 ヒータ、20a 軸部材、22a,22b 端部、23a,23b 側面、24,27 芯部、25a プレート、25b ロッド、25c 溝、25d,25e 端部、25f 外周面、26 電熱線、28 ワイヤ、29 端部材、29a 外周面、29b 空間、29c 突出する部分、30 ケーシング、31 本体部、31a 収容空間、31b 側部、32 持ち手部、33 流入口、34 流出口、35 ノズル、40,41,42 軸受、F 気流、F1 吸引方向、F2 吹出し方向、O 断面輪郭線、R 回転方向、S 空間、x 軸線

図1
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