(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128915
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
B65H 23/16 20060101AFI20240913BHJP
B41J 15/16 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
B65H23/16
B41J15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126443
(22)【出願日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2023037511
(32)【優先日】2023-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】小池 一輝
(72)【発明者】
【氏名】小柴 翔
(72)【発明者】
【氏名】吉田 剛彦
【テーマコード(参考)】
2C060
3F104
【Fターム(参考)】
2C060CB22
3F104AA02
3F104EA01
3F104EA03
3F104EA10
3F104EA11
3F104JA09
(57)【要約】
【課題】前下がりの方向へのテンションバーの移動を可能とし、下側に向かって移動する印刷後の媒体に斜め後ろ上側からテンションバーを接触させるとともにテンションバーに作用する重力によって媒体に張力を付与する場合であっても、テンションバーの位置が変動したときの、テンションバーによって付与される媒体の張力の変動を抑制することが可能なプリンタを提供する。
【解決手段】このプリンタでは、印刷機構で印刷された媒体は、前側に向かって移動した後に下側に向かって移動する。テンションバー40は、下側に向かって移動する媒体に斜め後ろ上側から接触するとともにテンションバー40に作用する重力によって媒体に張力を付与する。テンション付与機構12は、前下がりの方向に直線的にテンションバー40を案内するガイド部43と、斜め後ろ上側に向かってテンションバー40を付勢するための付勢部材44とを備えている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の媒体に印刷を行う印刷機構と、ロール状に巻回された印刷後の前記媒体である巻取ロールを保持する巻取ロール保持部と、前記印刷機構と前記巻取ロール保持部との間で印刷後の前記媒体に接触して前記媒体に張力を付与するテンションバーを有するテンション付与機構とを備え、
前記媒体の幅方向は、上下方向に直交する左右方向と一致し、
前記印刷機構で印刷が行われるときの前記媒体の厚さ方向は、上下方向と一致し、
前記印刷機構で印刷された前記媒体は、前側に向かって移動した後に下側に向かって移動し、
前記テンションバーは、前記印刷機構よりも下側に配置され、下側に向かって移動する前記媒体に斜め後ろ上側から接触するとともに前記テンションバーに作用する重力によって前記媒体に張力を付与し、
前記テンション付与機構は、前下がりの方向に直線的に前記テンションバーを案内するガイド部と、斜め後ろ上側に向かって前記テンションバーを付勢するための付勢部材とを備えることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記テンション付与機構は、2個の前記ガイド部と、2個の前記付勢部材とを備え、
一方の前記ガイド部は、前記テンションバーの右端側を案内し、
他方の前記ガイド部は、前記テンションバーの左端側を案内し、
一方の前記付勢部材は、前記テンションバーの右端部を付勢し、
他方の前記付勢部材は、前記テンションバーの左端部を付勢することを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記テンション付与機構は、前記テンションバーと別体で形成されるとともに前記テンションバーの移動方向と同方向に直線的に移動可能な2個のスライダと、前記テンションバーの位置を検知するためのリニアスケールおよびセンサとを備え、
前記リニアスケールは、2個の前記スライダのうちの1個の前記スライダに固定され、
一方の前記スライダは、前記テンションバーの右端部に斜め前下側から接触し、
他方の前記スライダは、前記テンションバーの左端部に斜め前下側から接触し、
前記付勢部材は、前記スライダに係合して斜め後ろ上側に向かって前記スライダを付勢することを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項4】
前記テンション付与機構は、前記ガイド部の上側に配置されるとともに前記ガイド部から外れた前記テンションバーを支持するテンションバー支持部を備えることを特徴とする請求項3記載のプリンタ。
【請求項5】
前記ガイド部は、左右方向から見たときに前後方向に対して30°~60°傾いた方向に前記テンションバーを案内することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項6】
印刷後の前記媒体を加熱するためのヒータを備え、
前記ヒータは、前記テンションバーよりも下側かつ後ろ側に配置され、
前記巻取ロールは、前記ヒータよりも上側かつ後ろ側に配置され、
前記テンションバーを通過した前記媒体は、その後、前記ヒータの上側を通過して後ろ側に向かって移動することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項7】
前記印刷機構は、前記媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、印刷時の前記媒体が載置されるプラテンと、前記プラテンに載置される前記媒体を前記プラテンに吸引して保持するための吸引機構とを備え、
前記プラテンは、前記ヒータの上側に配置され、
前記吸引機構は、左右方向に配列される複数の吸気口と、配管を介して複数の前記吸気口が繋がる吸引ファンと、複数の前記吸気口と前記吸引ファンとの間の配管経路の途中に配置され複数の前記吸気口から吸い込まれた空気が通過するフィルタとを備え、
前記フィルタは、水平方向において前記ヒータとずれた位置に配置されていることを特徴とする請求項6記載のプリンタ。
【請求項8】
前記印刷機構は、前記媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、印刷時の前記媒体が載置されるプラテンとを備え、
前記プラテンは、前記媒体が載置される媒体載置面が形成されるプラテン本体と、前記プラテン本体を下側から支持するプラテンフレームとを備え、
前記プラテン本体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成され、
前記プラテン本体の表面の、少なくとも前記媒体載置面は、導電性の被膜で覆われていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項9】
前記被膜は、メッキ被膜であることを特徴とする請求項8記載のプリンタ。
【請求項10】
前記メッキ被膜は、ニッケルメッキ被膜であることを特徴とする請求項9記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の媒体に印刷を行うためのプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺の媒体に印刷を行うためのプリンタ(インクジェットプリンタ)が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のプリンタは、媒体に印刷を行うプリンタ本体と、ロール状に巻回された印刷後の媒体である巻取ロールを保持する巻取ロール保持部と、印刷後の媒体に接触して媒体に張力を付与する円柱状のテンションバーとを備えている。テンションバーは、印刷後の媒体に上側から接触して媒体に張力を付与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、長尺の媒体に印刷を行うためのプリンタを開発している。開発中のプリンタは、長尺の媒体に印刷を行う印刷機構と、ロール状に巻回された印刷後の媒体である巻取ロールを保持する巻取ロール保持部と、印刷機構と巻取ロール保持部との間で印刷後の媒体に接触して媒体に張力を付与するテンションバーとを備えている。このプリンタでは、媒体の幅方向が上下方向に直交する左右方向と一致するとともに、印刷機構で印刷が行われるときの媒体の厚さ方向が上下方向と一致しており、印刷機構では、媒体の上面に印刷が行われる。また、印刷機構で印刷された媒体は、前側に向かって移動する。
【0005】
本願発明者は、開発中のプリンタにおいて、印刷後に前側に移動した媒体をその後、下側に向かって所定距離移動させてから、後ろ側に向かって所定距離移動させた後、巻取ロール保持部で巻き取ることを検討している。このプリンタでは、後ろ側に向かって移動する媒体に下側からテンションバーを接触させて媒体に張力を付与すると、媒体の印刷面にテンションバーが接触することになるため、媒体の印刷品質に影響を及ぼすおそれがある。一方、後ろ側に向かって移動する媒体に上側からテンションバーを接触させて媒体に張力を付与する場合、媒体に接触するテンションバーが下側に移動したときの媒体およびテンションバーの配置スペースを確保する必要があるため、上下方向でプリンタが大型化するおそれがある。
【0006】
そこで、本願発明者は、開発中のプリンタにおいて、下側に向かって移動する媒体の、印刷面と反対側の面にテンションバーを接触させて媒体に張力を付与することを検討している。すなわち、本願発明者は、下側に向かって移動する媒体に後ろ側からテンションバーを接触させて媒体に張力を付与することを検討している。この場合、前後方向にテンションバーを移動させると、媒体に接触するテンションバーが前側に移動したときの媒体およびテンションバーの配置スペースを確保する必要があるため、前後方向でプリンタが大型化するおそれがある。
【0007】
そのため、本願発明者は、開発中のプリンタにおいて、前下がりの方向へのテンションバーの移動を可能とし、下側に向かって移動する印刷後の媒体に斜め後ろ上側からテンションバーを接触させるとともにテンションバーに作用する重力によって媒体に張力を付与することにした。左右方向から見たときに、テンションバーの外周面の、媒体が接触している部分である円弧状の接触部の中心角を媒体接触角とすると、このプリンタの場合、テンションバーの位置によって媒体接触角が変動して、テンションバーによって付与される媒体の張力がテンションバーの位置によって変動する。
【0008】
具体的には、テンションバーが斜め前下側に向かって移動するにしたがって、媒体接触角が大きくなって、テンションバーによって付与される媒体の張力が大きくなり、テンションバーが斜め後ろ上側に向かって移動するにしたがって、媒体接触角が小さくなって、テンションバーによって付与される媒体の張力が小さくなる。また、媒体の移動速度が速くなると、テンションバーの移動量が大きくなるため、開発中のプリンタでは、媒体の移動速度が速くなると、媒体の張力が大きく変動して媒体の挙動が不安定になるおそれがある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、長尺の媒体に印刷を行う印刷機構と、ロール状に巻回された印刷後の媒体である巻取ロールを保持する巻取ロール保持部と、印刷機構と巻取ロール保持部との間で印刷後の媒体に接触して媒体に張力を付与するテンションバーとを備えるプリンタにおいて、前下がりの方向へのテンションバーの移動を可能とし、下側に向かって移動する印刷後の媒体に斜め後ろ上側からテンションバーを接触させるとともにテンションバーに作用する重力によって媒体に張力を付与する場合であっても、テンションバーの位置が変動したときの、テンションバーによって付与される媒体の張力の変動を抑制することが可能なプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明のプリンタは、長尺の媒体に印刷を行う印刷機構と、ロール状に巻回された印刷後の媒体である巻取ロールを保持する巻取ロール保持部と、印刷機構と巻取ロール保持部との間で印刷後の媒体に接触して媒体に張力を付与するテンションバーを有するテンション付与機構とを備え、媒体の幅方向は、上下方向に直交する左右方向と一致し、印刷機構で印刷が行われるときの媒体の厚さ方向は、上下方向と一致し、印刷機構で印刷された媒体は、前側に向かって移動した後に下側に向かって移動し、テンションバーは、印刷機構よりも下側に配置され、下側に向かって移動する媒体に斜め後ろ上側から接触するとともにテンションバーに作用する重力によって媒体に張力を付与し、テンション付与機構は、前下がりの方向に直線的にテンションバーを案内するガイド部と、斜め後ろ上側に向かってテンションバーを付勢するための付勢部材とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明のプリンタでは、テンション付与機構は、斜め後ろ上側に向かってテンションバーを付勢するための付勢部材を備えており、付勢部材の付勢力は、テンションバーが斜め前下側に向かって移動するにしたがって大きくなるとともに、テンションバーが斜め後ろ上側に向かって移動するにしたがって小さくなる。すなわち、本発明では、テンションバーが斜め前下側に向かって移動するにしたがって媒体接触角が大きくなっても、テンションバーが斜め前下側に向かって移動するにしたがって、テンションバーによって付与される媒体の張力が小さくなる方向へのテンションバーに対する付勢部材の付勢力が大きくなる。また、本発明では、テンションバーが斜め後ろ上側に向かって移動するにしたがって媒体接触角が小さくなっても、テンションバーが斜め後ろ上側に向かって移動するにしたがって、テンションバーによって付与される媒体の張力が小さくなる方向へのテンションバーに対する付勢部材の付勢力が小さくなる。
【0012】
したがって、本発明では、前下がりの方向へのテンションバーの移動を可能とし、下側に向かって移動する印刷後の媒体に斜め後ろ上側からテンションバーを接触させるとともにテンションバーに作用する重力によって媒体に張力を付与する場合であっても、テンションバーの位置が変動したときの、テンションバーによって付与される媒体の張力の変動を抑制することが可能になる。
【0013】
本発明において、テンション付与機構は、2個のガイド部と、2個の付勢部材とを備え、一方のガイド部は、テンションバーの右端側を案内し、他方のガイド部は、テンションバーの左端側を案内し、一方の付勢部材は、テンションバーの右端部を付勢し、他方の付勢部材は、テンションバーの左端部を付勢することが好ましい。このように構成すると、2個の付勢部材を用いて、テンションバーをバランス良く付勢することが可能になる。したがって、テンションバーの位置が変動したときの、テンションバーによって付与される媒体の張力の変動を効果的に抑制することが可能になる。
【0014】
本発明において、テンション付与機構は、テンションバーと別体で形成されるとともにテンションバーの移動方向と同方向に直線的に移動可能な2個のスライダと、テンションバーの位置を検知するためのリニアスケールおよびセンサとを備え、リニアスケールは、2個のスライダのうちの1個のスライダに固定され、一方のスライダは、テンションバーの右端部に斜め前下側から接触し、他方のスライダは、テンションバーの左端部に斜め前下側から接触し、付勢部材は、スライダに係合して斜め後ろ上側に向かってスライダを付勢することが好ましい。
【0015】
このように構成すると、テンションバーと別体で形成されるスライダに付勢部材が係合しているため、たとえば、ガイド部から外れた位置にテンションバーを移動させてプリンタに媒体をセットするときに、スライダと付勢部材との係合状態を解除したり、スライダと付勢部材とを再び係合させたりする必要がない。したがって、プリンタに媒体をセットするときの作業を簡素化することが可能になる。また、このように構成すると、テンションバーに接触してテンションバーを付勢するために利用されるスライダにリニアスケールが固定されており、リニアスケールを固定するための部材を別途設ける必要がない。したがって、テンション付与機構の構成を簡素化することが可能になる。
【0016】
本発明において、テンション付与機構は、ガイド部の上側に配置されるとともにガイド部から外れたテンションバーを支持するテンションバー支持部を備えることが好ましい。このように構成すると、プリンタに媒体をセットするときに、ガイド部の上側の、ガイド部から外れた位置にテンションバーを容易に配置することが可能になる。したがって、プリンタへの媒体のセットを容易に行うことが可能になる。
【0017】
本発明において、たとえば、ガイド部は、左右方向から見たときに前後方向に対して30°~60°傾いた方向にテンションバーを案内する。
【0018】
本発明において、プリンタは、たとえば、印刷後の媒体を加熱するためのヒータを備え、ヒータは、テンションバーよりも下側かつ後ろ側に配置され、巻取ロールは、ヒータよりも上側かつ後ろ側に配置され、テンションバーを通過した媒体は、その後、ヒータの上側を通過して後ろ側に向かって移動する。
【0019】
本発明において、たとえば、印刷機構は、媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、印刷時の媒体が載置されるプラテンと、プラテンに載置される媒体をプラテンに吸引して保持するための吸引機構とを備え、プラテンは、ヒータの上側に配置され、吸引機構は、左右方向に配列される複数の吸気口と、配管を介して複数の吸気口が繋がる吸引ファンと、複数の吸気口と吸引ファンとの間の配管経路の途中に配置され複数の吸気口から吸い込まれた空気が通過するフィルタとを備え、フィルタは、水平方向においてヒータとずれた位置に配置されている。
【0020】
この場合には、インクジェットヘッドからのインクの吐出時に発生するインクミストが吸引機構によって吸引されてフィルタに付着する。インクミストは、フィルタで固化して固形物となるおそれがあるが、フィルタが、水平方向においてヒータとずれた位置に配置されているため、ヒータの上側を通過する媒体に固形物が落下することはない。したがって、フィルタで固化した固形物に起因する媒体の印刷品質の低下を防止することが可能になる。また、この場合には、複数の吸気口から吸い込まれたインクミストが共通のフィルタに付着するため、フィルタを交換するときには、共通の1個のフィルタを交換すれば良い。したがって、フィルタの交換作業を容易に行うことが可能になる。
【0021】
本発明において、たとえば、印刷機構は、媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、印刷時の媒体が載置されるプラテンとを備え、プラテンは、媒体が載置される媒体載置面が形成されるプラテン本体と、プラテン本体を下側から支持するプラテンフレームとを備え、プラテン本体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成され、プラテン本体の表面の、少なくとも媒体載置面は、導電性の被膜で覆われている。本発明において、被膜は、たとえば、メッキ被膜である。また、本発明において、メッキ被膜は、たとえば、ニッケルメッキ被膜である。
【0022】
たとえば、プラテン本体の媒体載置面の耐摩耗性を高めるために、プラテン本体の表面にアルマイト処理が施されていて、媒体載置面が絶縁性のアルマイト被膜で覆われていると、長尺の媒体を搬送しながら媒体に印刷を行う場合、媒体の搬送距離が長くなるにしたがって媒体が接触する媒体載置面と媒体との間の電荷の量が増えていき、その結果、静電気に起因する媒体載置面への媒体の電気的な吸引力が大きくなって、媒体を精度良く搬送することができなくなるおそれがある。一方で、媒体載置面が導電性の被膜で覆われていれば、媒体の搬送距離が長くなっても、媒体載置面と媒体との間の帯電を防止することが可能になる。そのため、この場合には、長尺の媒体を搬送しながら媒体に印刷を行う場合であっても、また、媒体の搬送距離が長くなっても、媒体を精度良く搬送することが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明では、長尺の媒体に印刷を行う印刷機構と、ロール状に巻回された印刷後の媒体である巻取ロールを保持する巻取ロール保持部と、印刷機構と巻取ロール保持部との間で印刷後の媒体に接触して媒体に張力を付与するテンションバーとを備えるプリンタにおいて、前下がりの方向へのテンションバーの移動を可能とし、下側に向かって移動する印刷後の媒体に斜め後ろ上側からテンションバーを接触させるとともにテンションバーに作用する重力によって媒体に張力を付与する場合であっても、テンションバーの位置が変動したときの、テンションバーによって付与される媒体の張力の変動を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施の形態にかかるプリンタの構成を説明するための側面図である。
【
図2】
図1に示すプリンタの構成を説明するためのブロック図である。
【
図3】
図1に示す印刷機構が有する吸引機構の構成を説明するための概略図である。
【
図4】
図1に示すテンション付与機構の右側部分の構成を説明するための斜視図である。
【
図5】
図1に示すテンション付与機構の右側部分の構成を説明するための斜視図である。
【
図6】
図1に示すテンション付与機構の左側部分の構成を説明するための斜視図である。
【
図7】
図1に示すテンションバーの位置とテンションバーによって付与される媒体の張力との関係の一例を説明するためのグラフである。
【
図8】(A)~(I)は、
図4に示すリニアスケールが移動したときのリニアスケールに対するセンサの配置位置を説明するための図であり、(H)は、
図4に示すリニアスケールの移動量に対するセンサの検知状態を説明するための表である。
【
図9】
図1に示すプラテンの構成を説明するための側面図である。
【
図10】
図9に示すプラテンの効果を説明するための実験結果の表である。
【
図11】本発明の他の実施の形態にかかるプリンタの構成を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
(プリンタの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるプリンタ1の構成を説明するための側面図である。
図2は、
図1に示すプリンタ1の構成を説明するためのブロック図である。
図3は、
図1に示す印刷機構3が有する吸引機構21の構成を説明するための概略図である。
【0027】
本形態のプリンタ1は、たとえば、業務用のインクジェットプリンタである。プリンタ1は、紙等の長尺の媒体2(シート状の媒体2)に印刷を行う印刷機構3と、媒体2を搬送する媒体搬送機構4と、ロール状に巻回された印刷前の媒体2である繰出ロール5を保持する繰出ロール保持部6と、ロール状に巻回された印刷後の媒体2である巻取ロール7を保持する巻取ロール保持部8と、搬送される媒体2を案内するための複数のガイドローラ9と、印刷後の媒体2を加熱するためのヒータ10とを備えている。本形態の媒体2は、たとえば、転写紙である。媒体2の長さは、たとえば、2000(m)である。
【0028】
また、プリンタ1は、印刷前の媒体2に張力を付与するためのテンション付与機構11と、印刷後の媒体2に張力を付与するためのテンション付与機構12と、プリンタ1を制御する制御部13とを備えている。上下方向(鉛直方向)に直交する
図1のY方向を「左右方向」とすると、媒体2の幅方向は、左右方向と一致している。以下の説明では、上下方向と左右方向とに直交する
図1のX方向を「前後方向」とする。また、前後方向の一方側である
図1のX1方向側を「前」側とし、その反対側である
図1のX2方向側を「後ろ」側とする。
【0029】
印刷機構3は、媒体2にインクを吐出するインクジェットヘッド17(以下、「ヘッド17」とする。)と、ヘッド17が搭載されるキャリッジ18と、媒体2の幅方向である主走査方向(すなわち、左右方向)にキャリッジ18を往復移動させるキャリッジ駆動機構と、左右方向への移動が可能となるようにキャリッジ18を支持する支持フレーム(Yバー)19とを備えている。ヘッド17は、下側に向かってインクを吐出する。ヘッド17の下面には、インクを吐出する複数のノズルが形成されている。ヘッド17は、ノズルからインクを吐出させるための圧電素子(ピエゾ素子)を備えている。キャリッジ駆動機構は、たとえば、キャリッジ18に一部分が固定されるベルトと、ベルトが掛け渡されるプーリと、プーリを回転させるためのモータとを備えている。
【0030】
また、印刷機構3は、印刷時に媒体2が載置されるプラテン20と、プラテン20に載置される媒体2をプラテン20に吸引して保持するための吸引機構21とを備えている。プラテン20は、キャリッジ18の下側に配置されている。プラテン20は、左右方向に細長い長尺状に形成されている。また、プラテン20は、中空状に形成されている。プラテン20の上面部には、プラテン20に載置される媒体2を吸引するための複数の吸引穴が形成されている。この吸引穴は、プラテン20のほぼ全域に亘って多数形成されている。印刷機構3で印刷が行われるときの媒体2の厚さ方向は、上下方向と一致している。プラテン20に載置されたときの媒体2の上面は、印刷機構3によって印刷が行われる印刷面となっている。プラテン20のより具体的な構成については後述する。
【0031】
図3に示すように、吸引機構21は、左右方向に配列される複数の吸気口23と、配管24を介して複数の吸気口23が繋がる吸引ファン25と、複数の吸気口23と吸引ファン25との間の配管経路の途中に配置されるフィルタ26とを備えている。吸気口23は、中空状に形成されるプラテン20の内部に通じている。吸気口23は、左右方向に所定の間隔をあけた状態で多数配置されている。また、吸気口23は、左右方向におけるプラテン20の全域に配置されている。
【0032】
本形態の吸引機構21は、1個の吸引ファン25と1個のフィルタ26とを備えている。吸引ファン25が作動すると、複数の吸気口23の全てからプラテン20の内部の空気が吸い込まれる。すなわち、吸引ファン25が駆動すると、プラテン20の内部の空気が排出される。プラテン20の内部の空気が排出されると、プラテン20の吸引穴に媒体2が吸引されてプラテン20で媒体2が保持される。また、吸引ファン25が作動すると、複数の吸気口23の全てから吸い込まれた空気がフィルタ26を通過する。
【0033】
媒体搬送機構4は、長尺の媒体2を媒体2の長手方向に搬送する。媒体搬送機構4は、媒体2に接触して媒体2を搬送する搬送ローラ27を備えている。搬送ローラ27は、表面がゴムで形成されたゴムローラである。搬送ローラ27は、搬送ローラ27を回転させる駆動機構に連結されている。駆動機構は、駆動源としてのモータと、モータの動力を搬送ローラ27に伝達する動力伝達機構とを備えている。搬送ローラ27は、プラテン20の後ろ側に配置されている。印刷前の媒体2は、後ろ側からプラテン20の上面に搬送される。また、印刷後の媒体2は、プラテン20の上面から前側に向かって搬送された後に下側に向かって搬送される。すなわち、印刷機構3で印刷された媒体2は、前側に向かって移動した後に下側に向かって移動する。本形態では、媒体2の搬送速度が比較的速くなっている。たとえば、媒体2の最高搬送速度は、350(mm/秒)となっている。
【0034】
繰出ロール保持部6は、プラテン20よりも下側に配置されている。また、繰出ロール保持部6は、印刷機構3よりも後ろ側に配置されている。繰出ロール5は、繰出ロール5の軸方向と左右方向とが一致するように配置されている。繰出ロール保持部6は、繰出ロール5の内周側に挿通される回転軸29と、回転軸29を回転させる駆動機構とを備えている。駆動機構は、駆動源としてのモータ30と、モータ30の動力を回転軸29に伝達する動力伝達機構とを備えている。
【0035】
モータ30は、PID制御されている。モータ30には、モータ30の回転量や回転速度を検知するためのロータリーエンコーダが取り付けられている。ロータリーエンコーダは、モータ30の回転軸に固定される円板状のロータリースケール(スリット板)と、ロータリースケールを検知するためのセンサ31とを備えている。センサ31は、発光部と受光部とを有する透過型の光学式センサであり、発光部と受光部との間にロータリースケールの一部分が配置されている。センサ31は、制御部13に電気的に接続されている。
【0036】
巻取ロール保持部8は、繰出ロール保持部6の下側に配置されており、印刷機構3よりも後ろ側に配置されている。巻取ロール7は、巻取ロール7の軸方向と左右方向とが一致するように配置されている。巻取ロール保持部8は、巻取ロール7の内周側に挿通される回転軸32と、回転軸32を回転させる駆動機構とを備えている。駆動機構は、駆動源としてのモータ33と、モータ33の動力を回転軸32に伝達する動力伝達機構とを備えている。
【0037】
モータ33は、PID制御されている。モータ33には、モータ33の回転量や回転速度を検知するためのロータリーエンコーダが取り付けられている。ロータリーエンコーダは、モータ33の回転軸に固定される円板状のロータリースケールと、ロータリースケールを検知するためのセンサ34とを備えている。センサ34は、発光部と受光部とを有する透過型の光学式センサであり、発光部と受光部との間にロータリースケールの一部分が配置されている。センサ34は、制御部13に電気的に接続されている。
【0038】
テンション付与機構11は、印刷機構3と繰出ロール保持部6との間で印刷前の媒体2に接触して媒体2に張力を付与するテンションバー37と、テンションバー37を上下方向に直線的に案内するガイド部とを備えている。テンションバー37は、テンションバー37の軸方向と左右方向とが一致するように配置されている。テンションバー37は、前後方向において印刷機構3と繰出ロール5との間に配置されている。また、テンションバー37は、印刷機構3および繰出ロール5よりも下側に配置されている。テンションバー37は、繰出ロール保持部6から印刷機構3に向かって前側に移動する媒体2に上側から接触する。テンションバー37は、テンションバー37に作用する重力によって媒体2に張力を付与する。媒体2の印刷時には、テンションバー37は、媒体2の動きに応じて上下方向に直線的に移動する。
【0039】
また、テンション付与機構11は、テンションバー37の位置を検知するためのリニアエンコーダを備えている。リニアエンコーダは、テンションバー37と一緒に上下方向に移動するリニアスケールと、リニアスケールを検知するための2個のセンサ38、39とを備えている。センサ38、39は、上下方向に所定の間隔をあけた状態で配置されている。センサ38、39は、発光部と受光部とを有する透過型の光学式センサであり、発光部と受光部との間にリニアスケールの一部分が配置されている。センサ38、39は、制御部13に電気的に接続されている。
【0040】
テンション付与機構12は、印刷機構3と巻取ロール保持部8との間で印刷後の媒体2に接触して媒体2に張力を付与するテンションバー40を備えている。テンションバー40は、テンションバー40の軸方向と左右方向とが一致するように配置されている。テンションバー40は、印刷機構3よりも前側かつ下側に配置されている。テンションバー40は、
図1の矢印で示すように、前下がりの方向に直線的に移動可能となっている。テンションバー40は、プラテン20から前側に向かって移動した後に下側に向かって移動する印刷後の媒体2に斜め後ろ上側から接触する。テンションバー40は、テンションバー40に作用する重力によって媒体2に張力を付与する。テンション付与機構12のより具体的な構成については後述する。
【0041】
ヒータ10は、印刷機構3の下側に配置されており、プラテン20は、ヒータ10の上側に配置されている。ヒータ10は、テンションバー37よりも下側に配置されている。また、ヒータ10は、テンションバー40よりも下側かつ後ろ側に配置されている。また、ヒータ10は、繰出ロール5および巻取ロール7よりも下側かつ前側に配置されている。すなわち、繰出ロール5および巻取ロール7は、ヒータ10よりも上側かつ後ろ側に配置されている。フィルタ26は、水平方向においてヒータ10とずれた位置に配置されている。
【0042】
上述のように、印刷機構3で印刷された媒体2は、前側に向かって移動した後に下側に向かって移動する。下側に向かって移動した媒体2は、その後、後ろ側に向かって移動する。後ろ側に向かって移動する媒体2は、ヒータ10の上側を通過する。また、上述のように、テンションバー40は、プラテン20から前側に向かって移動した後に下側に向かって移動する印刷後の媒体2に斜め後ろ上側から接触する。すなわち、テンションバー40を通過した媒体2は、その後、ヒータ10の上側を通過して後ろ側に向かって移動する。
【0043】
複数のガイドローラ9は、媒体2の移動に伴って回転する従動ローラである。複数のガイドローラ9のうちの2個のガイドローラ9は、前後方向においてテンションバー37の両側に配置されているとともに、テンションバー37よりも上側に配置されている。また、複数のガイドローラ9のうちの1個のガイドローラ9は、プラテン20の前側に配置されており、プラテン20から前側に向かって移動する媒体2の移動方向を下側に向かう方向に変える機能を果たしている。
【0044】
また、複数のガイドローラ9のうちの1個のガイドローラ9は、テンションバー40より下側に配置されるとともに、プリンタ1の前面側に配置されており、下側に向かって移動する媒体2の移動方向を後ろ側に向かう方向に変える機能を果たしている。さらに、複数のガイドローラ9のうちの2個のガイドローラ9は、テンションバー40より下側に配置されるとともに、前後方向においてヒータ10と巻取ロール7との間に配置されている。この2個のガイドローラ9のうちの前側に配置される一方のガイドローラ9は、媒体2の下面に接触し、後ろ側に配置される他方のガイドローラ9は、媒体2の上面に接触している。
【0045】
(テンション付与機構の構成)
図4、
図5は、
図1に示すテンション付与機構12の右側部分の構成を説明するための斜視図である。
図6は、
図1に示すテンション付与機構12の左側部分の構成を説明するための斜視図である。
図7は、
図1に示すテンションバー40の位置とテンションバー40によって付与される媒体2の張力との関係の一例を説明するためのグラフである。
図8(A)~(I)は、
図4に示すリニアスケール49が移動したときのリニアスケール49に対するセンサ50、51の配置位置を説明するための図であり、
図8(H)は、
図4に示すリニアスケール49の移動量に対するセンサ50、51の検知状態を説明するための表である。
【0046】
テンション付与機構12は、前下がりの方向に直線的にテンションバー40を案内するガイド部43と、斜め後ろ上側に向かってテンションバー40を付勢するための付勢部材44とを備えている。本形態の付勢部材44は、引張りコイルバネである。したがって、以下の説明では、付勢部材44を「引張りコイルバネ44」とする。本形態では、テンション付与機構12は、2個のガイド部43と2個の引張りコイルバネ44とを備えている。
【0047】
また、テンション付与機構12は、テンションバー40に取り付けられる2個の軸受45と、テンションバー40と別体で形成されるとともにテンションバー40の移動方向と同方向に直線的に移動可能な2個のスライダ46と、スライダ46を案内するための2枚のガイド板47と、テンションバー40の位置を検知するためのリニアエンコーダ48とを備えている。リニアエンコーダ48は、テンションバー40と一緒に上下方向に移動するリニアスケール49と、リニアスケール49を検知するための2個のセンサ50、51とを備えている。
【0048】
テンションバー40は、細長い円柱状に形成される軸部53と、軸部53が内周側に挿通される円筒状のバー本体54とを備えている。軸部53は、軸部53の軸方向と左右方向とが一致するように配置されている。バー本体54は、左右方向に細長い厚肉の円筒状に形成されている。媒体2には、バー本体54が接触する。軸部53の長さは、バー本体54の長さよりも長くなっており、軸部53の両端は、バー本体54の両端よりも左右方向の外側に配置されている。軸受45は、たとえば、玉軸受である。軸受45は、バー本体54の両端よりも左右方向の外側に突出する軸部53の左右方向の両端側部分に取り付けられている。
【0049】
2個のガイド部43のうちの一方のガイド部43は、テンションバー40の右端側を案内し、他方のガイド部43は、テンションバー40の左端側を案内する。ガイド部43は、軸受45を挟むように配置される2個のガイド部材55によって構成されている。ガイド部材55は、プリンタ1の本体フレームに固定されるフレーム57に固定されている。2個のガイド部材55のうちの一方のガイド部材55には、軸受45に斜め後ろ下側から接触する平面状の接触面が形成され、他方のガイド部材55には、軸受45に斜め前上側から接触する平面状の接触面が形成されている。
【0050】
一方のガイド部材55に形成される軸受45の接触面と他方のガイド部材55に形成される軸受45の接触面とは平行になっている。媒体2の印刷時には、テンションバー40は、媒体2の動きに応じて2個のガイド部材55の間を直線的に移動する(
図4の実線、
図5の実線および
図6の実線および二点鎖線参照)。このときには、軸受45がガイド部材55に対して回転する。
【0051】
左右方向から見たときの前後方向に対するテンションバー40の移動方向の傾きθ(
図1参照)は、30°~60°となっている。すなわち、ガイド部43は、左右方向から見たときに前後方向に対して30°~60°傾いた方向にテンションバー40を案内する。本形態では、傾きθは、45°となっており、ガイド部43は、左右方向から見たときに前後方向に対して45°傾いた方向にテンションバー40を案内する。
【0052】
ガイド部43の上側は、ガイド部43から外れたテンションバー40を支持するテンションバー支持部56となっている。すなわち、テンション付与機構12は、ガイド部43の上側に配置されるとともにガイド部43から外れたテンションバー40を支持するテンションバー支持部56を備えている。テンションバー支持部56は、軸受45よりも左右方向の外側に配置される軸部53の左右方向の両端部を斜め前下側から支持する支持部材を備えている。
【0053】
プリンタ1に媒体2をセットするときには、テンションバー40は、ガイド部43の上側の、ガイド部43から外れた位置に配置されるとともに、テンションバー支持部56に支持されている(
図4~
図6の二点鎖線参照)。テンションバー支持部56にテンションバー40が支持されているときには、テンションバー40は、媒体2に接触しない位置に配置されている。なお、ガイド部43から外れた位置へのテンションバー40の移動およびガイド部43へのテンションバー40の移動は手動で行われる。
【0054】
2個のスライダ46のうちの一方のスライダ46は、テンションバー40の右端部に斜め前下側から接触し、他方のスライダ46は、テンションバー40の左端部に斜め前下側から接触している。スライダ46は、軸受45よりも左右方向の外側に配置される軸部53の左右方向の両端部に接触している。ガイド板47には、スライダ46を案内するスリット状のガイド溝47aが形成されている。ガイド溝47aには、スライダ46の一部分が配置されている。ガイド板47は、フレーム57に固定されている。ガイド板47は、軸受45の斜め前上側に配置されている。なお、テンションバー支持部56にテンションバー40が支持されているときには、スライダ46は、テンションバー40に接触しておらず、テンションバー40から離れている。
【0055】
2個の引張りコイルバネ44のうちの一方の引張りコイルバネ44の一端部は、テンションバー40の右端部に接触するスライダ46に係合し、この引張りコイルバネ44の他端部は、ガイド板47の上端部に固定されるバネ保持部材58に係合している。他方の引張りコイルバネ44の一端部は、テンションバー40の左端部に接触するスライダ46に係合し、この引張りコイルバネ44の他端部は、ガイド板47の上端部に固定されるバネ保持部材58に係合している。
【0056】
引張りコイルバネ44は、スライダ46を斜め後ろ上側に向かって付勢している。すなわち、引張りコイルバネ44は、テンションバー40に斜め前下側から接触するスライダ46を介してテンションバー40を斜め後ろ上側に向かって付勢している。また、2個の引張りコイルバネ44のうちの一方の引張りコイルバネ44は、テンションバー40の右端部を付勢し、他方の引張りコイルバネ44は、テンションバー40の左端部を付勢している。引張りコイルバネ44の付勢力は、テンションバー40が斜め前下側に向かって移動するにしたがって大きくなるとともに、テンションバー40が斜め後ろ上側に向かって移動するにしたがって小さくなる。
【0057】
テンションバー40が斜め前下側に向かって移動するときには、スライダ46は、テンションバー40に押されてテンションバー40と一緒に斜め前下側に向かって移動する。テンションバー40が斜め後ろ上側に向かって移動するときには、スライダ46は、引張りコイルバネ44の付勢力によって斜め後ろ上側に向かって移動する。このときには、スライダ46は、引張りコイルバネ44の付勢力によってテンションバー40に斜め前下側から接触した状態を維持しながら、テンションバー40と一緒に斜め後ろ上側に向かって移動する。
【0058】
上述のように、本形態では、テンションバー40は、下側に向かって移動する印刷後の媒体2に斜め後ろ上側から接触するとともに、テンションバー40に作用する重力によって媒体2に張力を付与する。そのため、左右方向から見たときに、テンションバー40の外周面の、媒体2が接触している部分である円弧状の接触部の中心角を媒体接触角とすると、本形態では、テンションバー40の位置によって媒体接触角が変動する(
図1の実線および二点鎖線参照)。
【0059】
そのため、テンション付与機構12が引張りコイルバネ44を備えていない場合には、テンションバー40によって付与される媒体2の張力は、
図7の直線L1で示すように、テンションバー40の位置によって大きく変動する。具体的には、テンションバー40が斜め前下側に向かって移動するにしたがって媒体接触角が大きくなり、テンションバー40が斜め後ろ上側に向かって移動するにしたがって媒体接触角が小さくなるため、テンションバー40の下限位置からの移動距離が長くなるにしたがって媒体2の張力が小さくなる。すなわち、テンションバー40の下限位置にテンションバー40が近づくにしたがって媒体2の張力が大きくなる。
【0060】
これに対して、本形態では、テンション付与機構12が、斜め後ろ上側に向かってテンションバー40を付勢するための引張りコイルバネ44を備えており、引張りコイルバネ44の付勢力は、テンションバー40の下限位置にテンションバー40が近づくにしたがって大きくなる。すなわち、テンションバー40が斜め前下側に向かって移動するにしたがって媒体接触角が大きくなっても、テンションバー40が斜め前下側に向かって移動するにしたがって、テンションバー40によって付与される媒体2の張力が小さくなる方向へのテンションバー40に対する引張りコイルバネ44の付勢力が大きくなる。また、テンションバー40が斜め後ろ上側に向かって移動するにしたがって媒体接触角が小さくなっても、テンションバー40が斜め後ろ上側に向かって移動するにしたがって、テンションバー40によって付与される媒体2の張力が小さくなる方向へのテンションバー40に対する引張りコイルバネ44の付勢力が小さくなる。
【0061】
また、本形態では、テンションバー40の位置による媒体2の張力の変動が抑制されるように、引張りコイルバネ44のバネ力およびバネ定数が設定されている。そのため、本形態では、
図7の曲線L2で示すように、テンションバー40の下限位置からの移動距離にかかわらず媒体2の張力の変動が抑制されている。なお、テンションバー40の位置にかかわらず、媒体2には、テンションバー40によって必ず張力が付与されている。すなわち、2個の引張りコイルバネ44の付勢力のみによってテンションバー40が斜め後ろ上側に向かって移動することはない。
【0062】
リニアスケール49は、2個のスライダ46のうちの1個のスライダ46に固定されている。本形態では、リニアスケール49は、テンションバー40の右端部に斜め前下側から接触するスライダ46に固定されている。センサ50、51は、発光部と受光部とを有する透過型の光学式センサであり、発光部と受光部とが左右方向において間隔をあけた状態で対向配置されている。センサ50、51は、リニアスケール49の長手方向において所定の間隔をあけた状態で配置されている。また、センサ50、51は、フレーム57に取り付けられている。センサ50、51の発光部と受光部との間にリニアスケール49の一部分が配置されている。センサ50、51は、制御部13に電気的に接続されている。
【0063】
リニアスケール49の長手方向は、テンションバー40およびスライダ46の移動方向と一致している。リニアスケール49には、一定の間隔でリニアスケール49を貫通する貫通穴が形成されている。この貫通穴は、センサ50、51の発光部から受光部に向かう光が通過する光通過部49aとなっている。リニアスケール49の長手方向における貫通穴の間の部分は、センサ50、51の発光部から受光部に向かう光を遮断する遮光部49bとなっている。リニアスケール49の長手方向における光通過部49aの幅と遮光部49bの幅とは等しくなっている。
【0064】
本形態では、リニアスケール49の長手方向におけるセンサ50、51の検知幅は、リニアスケール49の長手方向における光通過部49aの幅の1/4となっている。また、リニアスケール49の長手方向におけるセンサ50とセンサ51とのピッチは、たとえば、14(mm)となっている。本形態では、テンションバー40およびスライダ46と一緒にリニアスケール49が1(mm)移動するごとに、リニアスケール49とセンサ50、51との配置関係が
図8(A)~(I)に示すように順次変わっていく。
【0065】
そのため、テンションバー40およびスライダ46と一緒にリニアスケール49が1(mm)移動するごとに、センサ50、51の検知状態が
図8(J)に示すように変わっていく。本形態では、
図8(J)に示すように、リニアエンコーダ48によって検知されるテンションバー40の移動量の分解能は、2(mm)となっている。なお、
図8(J)の「センサA」はセンサ50であり、「センサB」はセンサ51である。
【0066】
(媒体の繰出制御および媒体の巻取制御)
繰出ロール保持部6では、センサ38、39の検知結果に基づいて媒体2が繰り出される。すなわち、制御部13は、センサ38、39の検知結果に基づいてモータ30を制御する。具体的には、制御部13は、媒体搬送機構4による媒体2の搬送に伴って移動したテンションバー37が元の位置に戻るように、センサ38、39の検知結果に基づいてモータ30を制御する。また、制御部13は、センサ38、39の検知結果とセンサ31の検知結果とに基づいて(具体的には、テンションバー37の移動量とモータ30の回転量とに基づいて)繰出ロール5の外径を算出するとともに、繰出ロール5の外径の算出結果に基づいてモータ30を制御する。具体的には、制御部13は、一定量の媒体2を繰り出すときに、繰出ロール5の外径が小さくなるにしたがってモータ30の回転量を増やす。
【0067】
巻取ロール保持部8では、センサ50、51の検知結果に基づいて媒体2が巻き取られる。すなわち、制御部13は、センサ50、51の検知結果に基づいてモータ33を制御する。具体的には、制御部13は、媒体搬送機構4による媒体2の搬送に伴って移動したテンションバー40が元の位置に戻るように、センサ50、51の検知結果に基づいてモータ33を制御する。また、制御部13は、センサ50、51の検知結果とセンサ34の検知結果とに基づいて(具体的には、テンションバー40の移動量とモータ33の回転量とに基づいて)巻取ロール7の外径を算出するとともに、巻取ロール7の外径の算出結果に基づいてモータ33を制御する。具体的には、制御部13は、一定量の媒体2を巻き取るときに、巻取ロール7の外径が大きくなるにしたがって、モータ33の回転量を減らす。
【0068】
(プラテンの構成)
図9は、
図1に示すプラテン20の構成を説明するための側面図である。
【0069】
プラテン20は、媒体2が載置される媒体載置面61aが形成されるプラテン本体61と、プラテン本体61を下側から支持するプラテンフレーム62とを備えている。プラテンフレーム62は、左右方向に細長い角溝状(四角溝状)に形成されている。プラテンフレーム62は、鋼板等の金属製の薄板を角溝状に折り曲げることで形成されている。プラテンフレーム62の上面は開口している。
【0070】
プラテン本体61は、左右方向に細長い長尺状に形成されている。プラテン本体61は、プラテン20の上端部を構成している。プラテン本体61は、プラテンフレーム62の上面の開口を塞ぐようにプラテンフレーム62に固定されている。プラテン本体61には、プラテン20に載置される媒体2を吸引するための複数の吸引穴が形成されている。この吸引穴は、上下方向でプラテン本体61を貫通している。プラテン本体61の上面が媒体載置面61aとなっている。
【0071】
プラテン本体61は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。また、プラテン本体61は、押し出し加工によって形成されている。プラテン本体61の表面の、少なくとも媒体載置面61aは、導電性の被膜で覆われている。本形態では、プラテン本体61の表面の全体が導電性の被膜で覆われている。本形態の被膜は、メッキ被膜(メッキ層)である。具体的には、メッキ被膜は、ニッケルメッキ被膜(ニッケルメッキ層)であり、無電解メッキによって形成されている。
【0072】
プラテン本体61の表面を覆うメッキ被膜の硬度は、プラテン本体61の、メッキ被膜を除いた部分の硬度よりも高くなっている。たとえば、メッキ被膜のビッカース硬度は、HV550となっており、プラテン本体61の、メッキ被膜を除いた部分の硬度は、HV60となっている。そのため、媒体載置面61aの耐摩耗性は高くなっている。なお、プラテン本体61の左右方向の両端部は、図示を省略する金属製のフレームに固定されている。プラテン本体61は、このフレーム等を介して接地されている。すなわち、媒体載置面61aは接地されている。
【0073】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、テンションバー40が斜め前下側に向かって移動するにしたがって媒体接触角が大きくなっても、テンションバー40が斜め前下側に向かって移動するにしたがって、テンションバー40によって付与される媒体2の張力が小さくなる方向へのテンションバー40に対する引張りコイルバネ44の付勢力が大きくなり、テンションバー40が斜め後ろ上側に向かって移動するにしたがって媒体接触角が小さくなっても、テンションバー40が斜め後ろ上側に向かって移動するにしたがって、テンションバー40によって付与される媒体2の張力が小さくなる方向へのテンションバー40に対する引張りコイルバネ44の付勢力が小さくなる。
【0074】
そのため、本形態では、前下がりの方向へのテンションバー40の移動を可能とし、下側に向かって移動する印刷後の媒体2に斜め後ろ上側からテンションバー40を接触させるとともにテンションバー40に作用する重力によって媒体2に張力を付与する場合であっても、テンションバー40の位置が変動したときの、テンションバー40によって付与される媒体2の張力の変動を抑制することが可能になる。
【0075】
本形態では、2個の引張りコイルバネ44のうちの一方の引張りコイルバネ44がテンションバー40の右端部を付勢し、他方の引張りコイルバネ44がテンションバー40の左端部を付勢している。そのため、本形態では、2個の引張りコイルバネ44を用いて、テンションバー40をバランス良く付勢することが可能になる。したがって、本形態では、テンションバー40の位置が変動したときの、テンションバー40によって付与される媒体2の張力の変動を効果的に抑制することが可能になる。
【0076】
本形態では、テンションバー40と別体で形成されるスライダ46に引張りコイルバネ44が係合している。そのため、本形態では、プリンタ1に媒体2をセットする際に、テンションバー支持部56によってテンションバー40が支持される位置までテンションバー40を移動させても(すなわち、ガイド部43の上側の、ガイド部43から外れた位置までテンションバー40を移動させても)、ガイド溝47aから外れる位置にスライダ46を移動させる必要がない。したがって、本形態では、プリンタ1に媒体2をセットする際に、スライダ46と引張りコイルバネ44との係合状態を解除したり、スライダ46と引張りコイルバネ44とを再び係合させたりする必要がない。その結果、本形態では、プリンタ1に媒体2をセットするときの作業を簡素化することが可能になる。
【0077】
本形態では、テンションバー40に接触してテンションバー40を付勢するために利用されるスライダ46にリニアスケール49が固定されている。そのため、本形態では、リニアスケール49を固定するための部材を別途設ける必要がない。したがって、本形態では、テンション付与機構12の構成を簡素化することが可能になる。また、本形態では、テンションバー40と別体で形成されるスライダ46にリニアスケール49が固定されているため、プリンタ1に媒体2をセットする際に、テンションバー支持部56によってテンションバー40が支持される位置までテンションバー40を移動させても、センサ50、51の発光部と受光部との間からリニアスケール49の一部分が外れる位置までリニアスケール49を移動させる必要がない。したがって、本形態では、プリンタ1に媒体2をセットするときの作業を簡素化することが可能になる。
【0078】
本形態では、ヘッド17からのインクの吐出時に発生するインクミストが吸引機構21によって吸引されてフィルタ26に付着する。また、インクミストは、フィルタ26で固化して固形物となるおそれがあるが、本形態では、フィルタ26は、水平方向においてヒータ10とずれた位置に配置されている。そのため、本形態では、ヒータ10の上側を通過する媒体2に固形物が落下することはない。したがって、本形態では、フィルタ26で固化した固形物に起因する媒体2の印刷品質の低下を防止することが可能になる。また、本形態では、複数の吸気口23から吸い込まれたインクミストが共通のフィルタ26に付着するため、フィルタ26を交換するときには、共通の1個のフィルタ26を交換すれば良い。したがって、本形態では、フィルタ26の交換作業を容易に行うことが可能になる。
【0079】
本形態では、媒体載置面61aは導電性のメッキ被膜で覆われている。また、本形態では、媒体載置面61aは接地されている。そのため、本形態では、媒体載置面61aに沿って搬送される長尺の媒体2の搬送距離(送り量)が増えても、媒体2が接触する媒体載置面61aと媒体2との間の帯電を防止することが可能になる。したがって、本形態では、長尺の媒体2を搬送しながら媒体2に印刷を行う場合であっても、また、媒体2の搬送距離が長くなっても、搬送ローラ27によって媒体2を精度良く搬送することが可能になる。
【0080】
これに対して、たとえば、媒体載置面61aの耐摩耗性を高めるために、媒体載置面61aにアルマイト処理が施されていて、媒体載置面61aが絶縁性のアルマイト被膜で覆われていると、媒体2の搬送距離が長くなるにしたがって媒体載置面61aと媒体2との間の電荷の量が増えていく。そのため、この場合には、媒体2の搬送距離が長くなるにしたがって、静電気に起因する媒体載置面61aへの媒体2の電気的な吸引力が大きくなって、搬送ローラ27によって媒体2を精度良く搬送することができなくなるおそれがある。
【0081】
ここで、静電気に起因する媒体載置面61aへの媒体2の電気的な吸引力が媒体2の搬送距離に応じてどのように変動するのかを調べるために行った実験の結果を
図10の表を参照しながら説明する。この実験では、媒体2として転写紙を使用した。また、この実験では、実施例として、無電解ニッケルメッキ被膜で覆われた媒体載置面61aの上で媒体2を所定距離搬送してから、媒体載置面61aに載置されている媒体2を所定の大きさに切断した後、切断後の媒体2を引っ張ったときの引張り力を測定した。また、この実験では、比較例として、アルマイト処理された媒体載置面61aの上で(すなわち、絶縁性のアルマイト被膜で覆われた媒体載置面61aの上で)媒体2を所定距離搬送してから、媒体載置面61aに載置されている媒体2を所定の大きさに切断した後、切断後の媒体2を引っ張ったときの引張り力を測定した。
【0082】
図10に示すように、比較例においては、媒体2の搬送距離が長くなるにしたがって、静電気に起因する媒体載置面61aへの媒体2の電気的な吸引力が大きくなるため、媒体2の引張り力が大きくなっている。これに対して、実施例においては、媒体2の搬送距離が長くなっても、静電気に起因する媒体載置面61aへの媒体2の電気的な吸引力が生じにくいため、媒体2の引張り力はほとんど変動しない。
【0083】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0084】
上述した形態において、テンションバー40とスライダ46とが一体で形成されていても良い。また、上述した形態において、引張りコイルバネ44の一端部は、テンションバー40に係合していても良い。この場合には、テンションバー40の左端側に配置されるスライダ46が不要になる。また、この場合には、テンション付与機構12は、2個の引張りコイルバネ44に加えて、リニアスケール49が固定されるスライダ46を斜め後ろ上側に向かって付勢する付勢部材を備えている。
【0085】
上述した形態において、テンションバー40の右端部または左端部のみが引張りコイルバネ44によって付勢されていても良い。また、上述した形態において、引張りコイルバネ44以外のバネ部材によってテンションバー40が斜め後ろ上側に向かって付勢されていても良い。たとえば、圧縮コイルバネによってテンションバー40が斜め後ろ上側に向かって付勢されていても良い。また、バネ部材以外の付勢部材によってテンションバー40が斜め後ろ上側に向かって付勢されていても良い。たとえば、テンションバー40を斜め後ろ上側に向かって付勢する付勢部材は、ゴム製の付勢部材であっても良い。また、テンションバー40を斜め後ろ上側に向かって付勢する付勢部材は、エアシリンダ等のシリンダであっても良いし、ガスダンパー等のダンパーであっても良い。また、テンションバー40を斜め後ろ上側に向かって付勢する付勢部材は、駆動源としてのモータを備えていても良い。
【0086】
上述した形態において、プラテン本体61の媒体載置面61aのみが導電性のメッキ被膜で覆われていても良い。この場合であっても、媒体載置面61aは接地されている。たとえば、媒体載置面61aは、媒体載置面61aに接触する導電性の部材を介して接地されている。また、上述した形態において、メッキ被膜は、電解メッキ(電気メッキ)で形成されても良い。さらに、上述した形態において、メッキ被膜は、ニッケルメッキ被膜以外のメッキ被膜であっても良い。また、上述した形態において、プラテン本体61の表面の、少なくとも媒体載置面61aが導電性のアルマイト被膜で覆われていても良い。また、上述した形態において、プリンタ1が、たとえば、媒体載置面61aとの間に電荷が溜まりにくい媒体2に対してのみ印刷を行う場合には、媒体載置面61aが絶縁性のアルマイト被膜で覆われていても良い。この場合、媒体載置面61aのビッカース硬度は、たとえば、HV400以上となっている。
【0087】
上述した形態において、
図11に示すように、テンションバー40より下側に配置されるとともに、前後方向においてヒータ10と巻取ロール7との間に配置されるガイドローラ9の数は1個でも良い。この場合には、このガイドローラ9は、媒体2の上面に接触している。上述した形態では、テンションバー40より下側に配置されるとともに、前後方向においてヒータ10と巻取ロール7との間に配置される2個のガイドローラ9のうちの前側に配置される一方のガイドローラ9は、媒体2の、印刷が行われた面(印刷面)に接触するが、
図11に示す変更例では、ヒータ10と巻取ロール7との間において、ガイドローラ9は、媒体2の印刷面に接触しない。また、上述した形態において、テンションバー40より下側に配置されるとともに、前後方向においてヒータ10と巻取ロール7との間に配置される2個のガイドローラ9が媒体2の上面に接触していても良い。この場合でも、ヒータ10と巻取ロール7との間において、ガイドローラ9は、媒体2の印刷面に接触しない。
【符号の説明】
【0088】
1 プリンタ
2 媒体
3 印刷機構
7 巻取ロール
8 巻取ロール保持部
10 ヒータ
12 テンション付与機構
17 ヘッド(インクジェットヘッド)
20 プラテン
21 吸引機構
23 吸気口
24 配管
25 吸引ファン
26 フィルタ
40 テンションバー
43 ガイド部
44 引張りコイルバネ(付勢部材)
46 スライダ
49 リニアスケール
50、51 センサ
56 テンションバー支持部
61 プラテン本体
61a 媒体載置面
62 プラテンフレーム
X 前後方向
Y 左右方向、媒体の幅方向