(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128918
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240913BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20240913BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/17 103
B41J2/165 101
B41J2/165 207
B41J2/01 301
B41J2/165 211
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023151446
(22)【出願日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2023037511
(32)【優先日】2023-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】川井 智也
(72)【発明者】
【氏名】小池 一輝
(72)【発明者】
【氏名】小柴 翔
(72)【発明者】
【氏名】吉田 剛彦
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EC12
2C056EC54
2C056EC57
2C056FA10
2C056FB03
2C056HA29
2C056HA37
2C056JA13
2C056JC17
(57)【要約】
【課題】プラテンに媒体を吸引する際に中空状のプラテンの内部に入り込んだ空気と一緒に、インクミストが固化した固形物がインクジェットプリンタの外部に向かって排出されても、固形物に起因する媒体の汚れを防止することが可能なインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】このインクジェットプリンタでは、プラテン15に媒体を吸引するための吸引機構16は、プラテン15の内部空間の空気をインクジェットプリンタの外部に排出するための排気ファン34と、プラテン15の内部空間から排出された空気の流路が形成される流路形成部36とを備えており、流路形成部36に、排気ファン34によってインクジェットプリンタの外部に向かって空気が排出される排気穴37aが形成されている。媒体の幅方向において最大幅の媒体が配置される範囲を媒体配置範囲とすると、排気穴37aは、媒体の幅方向において媒体配置範囲から外れた位置に配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の媒体に印刷を行うためのインクジェットプリンタにおいて、
前記媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドの下側に配置されるとともに印刷時の前記媒体が載置されるプラテンと、前記プラテンに載置される前記媒体を前記プラテンに吸引して保持するための吸引機構とを備え、
前記プラテンの上面部には、前記プラテンに載置される前記媒体を吸引するための多数の吸引穴が形成され、
多数の前記吸引穴は、中空状に形成される前記プラテンの内部空間に通じており、
前記吸引機構は、前記プラテンの内部空間の空気を前記インクジェットプリンタの外部に排出するための排気ファンと、前記プラテンの内部空間から排出された空気が通過する空気の流路が形成される流路形成部とを備え、
前記インクジェットプリンタで印刷が行われる前記媒体の中で幅が最も広い前記媒体を最大幅媒体とし、前記媒体の厚さ方向と前記媒体の長手方向とに直交する前記媒体の幅方向において前記最大幅媒体が配置される範囲を媒体配置範囲とすると、
前記排気ファンは、前記流路形成部に取り付けられ、
前記流路形成部には、前記排気ファンによって前記インクジェットプリンタの外部に向かって空気が排出される排気穴が形成され、
前記排気穴は、前記媒体の幅方向において前記媒体配置範囲から外れた位置に配置されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記排気ファンは、前記媒体の幅方向において前記排気穴と同じ位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、前記媒体の幅方向である主走査方向に前記キャリッジを往復移動させるキャリッジ駆動機構と、前記インクジェットヘッドのノズルの目詰まりを防止するためのメンテナンスユニットとを備え、
前記メンテナンスユニットは、主走査方向において前記媒体配置範囲から外れた領域であるメンテナンス領域に配置され、
主走査方向において前記媒体配置範囲に対して前記メンテナンス領域が配置される側をメンテナンス領域側とすると、
前記排気穴は、前記媒体配置範囲よりも前記メンテナンス領域側に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記吸引機構は、前記プラテンに載置される前記媒体を吸引するための吸引ファンを備え、
前記吸引ファンは、前記プラテンの底面に取り付けられ、
前記流路形成部は、前記媒体の幅方向に細長い長尺状に形成されるとともに内部に空気の流路が形成される中空状の流路形成フレームと、前記吸引ファンと前記流路形成フレームとを繋ぐ筒状の接続部材とを備え、
前記排気ファンは、前記媒体の幅方向における前記流路形成フレームの一端部に取り付けられ、
前記排気穴は、前記媒体の幅方向における前記流路形成フレームの一端部に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記接続部材は、薄膜状のフィルムによって筒状に形成されていることを特徴とする請求項4記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記吸引機構は、前記プラテンの内部空間から排出された空気が通過するフィルタを備え、
前記フィルタは、前記媒体の幅方向において前記媒体配置範囲から外れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記プラテンの下面部には、前記媒体の幅方向に配列される複数の吸気穴が形成され、
複数の前記吸気穴は、前記プラテンの内部空間に通じるとともに、前記流路形成部に形成される空気の流路に通じており、
前記排気ファンは、前記プラテンに載置される前記媒体を吸引する機能も果たしていることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェットプリンタ。
【請求項8】
前記媒体の長手方向に前記媒体を搬送する媒体搬送機構と、ロール状に巻回された印刷後の前記媒体である巻取ロールを保持する巻取ロール保持部と、前記媒体の移動経路において前記インクジェットヘッドと前記巻取ロール保持部との間で印刷後の前記媒体に接触して前記媒体に張力を付与するテンションバーを有するテンション付与機構と、印刷後の前記媒体を加熱するためのヒータとを備え、
前記媒体の幅方向と上下方向とに直交する方向を前後方向とすると、
前記インクジェットヘッドで印刷が行われるときの前記媒体の厚さ方向は、上下方向と一致し、
前記インクジェットヘッドで印刷された前記媒体は、前側に向かって移動した後に下側に向かって移動し、
前記テンションバーは、前記プラテンよりも下側に配置され、下側に向かって移動する前記媒体に斜め後ろ上側から接触するとともに前記テンションバーに作用する重力によって前記媒体に張力を付与し、
前記ヒータは、前記テンションバーよりも下側かつ後ろ側に配置され、
前記巻取ロールは、前記ヒータよりも上側かつ後ろ側に配置され、
前記テンションバーを通過した前記媒体は、その後、前記ヒータの上側を通過して後ろ側に向かって移動し、
前記プラテンは、前記ヒータの上側に配置され、
前記吸引機構は、複数の前記吸気穴を介して前記プラテンの内部空間から排出された空気が通過するフィルタを備え、
前記フィルタは、前記媒体の幅方向において前記媒体配置範囲から外れた位置に配置されるとともに、前記媒体の幅方向において前記ヒータとずれた位置に配置されていることを特徴とする請求項7記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の媒体に印刷を行うためのインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺の媒体に印刷を行うためのインクジェットプリンタが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のインクジェットプリンタは、媒体に向けてインクを吐出するインクジェットヘッド(記録ヘッド)と、インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、インクジェットヘッドの下側に配置されるとともに印刷時の媒体が載置されるプリントプラテンと、プリントプラテンに載置される媒体をプリントプラテンに吸引して保持するためのファンとを備えている。プリントプラテンの上面は、媒体を支持するための支持面になっている。プリントプラテンには、媒体を吸引するための複数の吸引穴(貫通穴)が形成されている。
【0003】
特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、プリントプラテンの下側に、プリントプラテン、2枚の壁部材および底部材等によって画定される空間が形成されている。ファンは、底部材に取り付けられており、プリントプラテンの下側の空間から空気を吸引する。すなわち、ファンが作動すると、プリントプラテンの下側の空間の内部から空気が排出される。プリントプラテンの下側の空間の内部から空気が排出されると、プリントプラテンの支持面に媒体が吸引されてプリントプラテンで媒体が保持される。ファンは、媒体の印刷時に作動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドからのインクの吐出時に発生するインクミストが、ファンによって吸引されて吸引穴を介してプリントプラテンの下側の空間に入り込む。特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、プリントプラテンの下側の空間に入り込んだインクミストがプリントプラテンの下側の空間やこの空間からの空気の排出経路で固化して固形物となるおそれがあること、また、固形物が、プリントプラテンの下側の空間から排出される空気と一緒にインクジェットプリンタの外部に排出されるおそれがあることが本願発明者の検討によって明らかになった。また、プリントプラテンの下側の空間から排出される空気と一緒に固形物がインクジェットプリンタの外部に排出されると、固形物が媒体に付着して媒体が汚れるおそれがあることが本願発明者の検討によって明らかになった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、長尺の媒体に印刷を行うためのインクジェットプリンタにおいて、プラテンに媒体を吸引する際に中空状のプラテンの内部に入り込んだ空気と一緒に、インクミストが固化した固形物がインクジェットプリンタの外部に向かって排出されても、固形物に起因する媒体の汚れを防止することが可能なインクジェットプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のインクジェットプリンタは、長尺の媒体に印刷を行うためのインクジェットプリンタにおいて、媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドの下側に配置されるとともに印刷時の媒体が載置されるプラテンと、プラテンに載置される媒体をプラテンに吸引して保持するための吸引機構とを備え、プラテンの上面部には、プラテンに載置される媒体を吸引するための多数の吸引穴が形成され、多数の吸引穴は、中空状に形成されるプラテンの内部空間に通じており、吸引機構は、プラテンの内部空間の空気をインクジェットプリンタの外部に排出するための排気ファンと、プラテンの内部空間から排出された空気が通過する空気の流路が形成される流路形成部とを備え、インクジェットプリンタで印刷が行われる媒体の中で幅が最も広い媒体を最大幅媒体とし、媒体の厚さ方向と媒体の長手方向とに直交する媒体の幅方向において最大幅媒体が配置される範囲を媒体配置範囲とすると、排気ファンは、流路形成部に取り付けられ、流路形成部には、排気ファンによってインクジェットプリンタの外部に向かって空気が排出される排気穴が形成され、排気穴は、媒体の幅方向において媒体配置範囲から外れた位置に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明のインクジェットプリンタでは、プラテンに載置される媒体をプラテンに吸引して保持するための吸引機構は、プラテンの内部空間の空気をインクジェットプリンタの外部に排出するための排気ファンと、プラテンの内部空間から排出された空気が通過する空気の流路が形成される流路形成部とを備えており、流路形成部に、排気ファンによってインクジェットプリンタの外部に向かって空気が排出される排気穴が形成されている。また、本発明では、インクジェットプリンタで印刷が行われる媒体の中で幅が最も広い媒体を最大幅媒体とし、媒体の幅方向において最大幅媒体が配置される範囲を媒体配置範囲とすると、排気穴は、媒体の幅方向において媒体配置範囲から外れた位置に配置されている。
【0009】
そのため、本発明では、プラテンに媒体を吸引する際に中空状のプラテンの内部に入り込んだ空気がインクジェットプリンタの外部に向かって排出されるときに、インクミストが固化した固形物が空気と一緒に排気穴から排出されても、固形物が媒体に付着するのを防止することが可能になる。したがって、本発明では、プラテンに媒体を吸引する際に中空状のプラテンの内部に入り込んだ空気と一緒に、インクミストが固化した固形物がインクジェットプリンタの外部に向かって排出されても、固形物に起因する媒体の汚れを防止することが可能になる。
【0010】
本発明において、排気ファンは、媒体の幅方向において排気穴と同じ位置に配置されていることが好ましい。このように構成すると、排気穴からインクジェットプリンタの外部に向かって排気ファンによって効率的に空気を排出することが可能になる。
【0011】
本発明において、インクジェットプリンタは、たとえば、インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、媒体の幅方向である主走査方向にキャリッジを往復移動させるキャリッジ駆動機構と、インクジェットヘッドのノズルの目詰まりを防止するためのメンテナンスユニットとを備え、メンテナンスユニットは、主走査方向において媒体配置範囲から外れた領域であるメンテナンス領域に配置され、主走査方向において媒体配置範囲に対してメンテナンス領域が配置される側をメンテナンス領域側とすると、排気穴は、媒体配置範囲よりもメンテナンス領域側に配置されている。
【0012】
本発明において、吸引機構は、プラテンに載置される媒体を吸引するための吸引ファンを備え、吸引ファンは、プラテンの底面に取り付けられ、流路形成部は、媒体の幅方向に細長い長尺状に形成されるとともに内部に空気の流路が形成される中空状の流路形成フレームと、吸引ファンと流路形成フレームとを繋ぐ筒状の接続部材とを備え、排気ファンは、媒体の幅方向における流路形成フレームの一端部に取り付けられ、排気穴は、媒体の幅方向における流路形成フレームの一端部に形成されていることが好ましい。
【0013】
このように構成すると、吸引機構が、排気ファンに加えて吸引ファンを備えているため、プラテンに載置される媒体を吸引ファンによってプラテンに確実に吸引することが可能になる。また、このように構成すると、媒体の幅方向に細長い長尺状に形成される流路形成フレームの、媒体の幅方向における一端部に排気穴が形成されているため、媒体の幅方向において排気穴を媒体から遠ざけることが可能になる。したがって、インクミストが固化した固形物が空気と一緒に排気穴から排出されても、固形物に起因する媒体の汚れを効果的に防止することが可能になる。
【0014】
本発明において、接続部材は、薄膜状のフィルムによって筒状に形成されていることが好ましい。このように構成すると、接続部材の一端側が繋がる流路形成フレームの開口部と接続部材の他端側が繋がる吸引ファンとの相対位置精度が高くなくても、柔軟性を有する接続部材によって流路形成フレームの開口部と吸引ファンとを容易に繋ぐことが可能になる。
【0015】
本発明において、たとえば、吸引機構は、プラテンの内部空間から排出された空気が通過するフィルタを備え、フィルタは、媒体の幅方向において媒体配置範囲から外れた位置に配置されている。
【0016】
本発明において、プラテンの下面部には、媒体の幅方向に配列される複数の吸気穴が形成され、複数の吸気穴は、プラテンの内部空間に通じるとともに、流路形成部に形成される空気の流路に通じており、排気ファンは、プラテンに載置される媒体を吸引する機能も果たしていることが好ましい。このように構成すると、プラテンに載置される媒体を吸引するためのファンを別途設ける必要がなくなる。したがって、吸引機構の構成を簡素化することが可能になる。
【0017】
本発明において、インクジェットプリンタは、たとえば、媒体の長手方向に媒体を搬送する媒体搬送機構と、ロール状に巻回された印刷後の媒体である巻取ロールを保持する巻取ロール保持部と、媒体の移動経路においてインクジェットヘッドと巻取ロール保持部との間で印刷後の媒体に接触して媒体に張力を付与するテンションバーを有するテンション付与機構と、印刷後の媒体を加熱するためのヒータとを備え、媒体の幅方向と上下方向とに直交する方向を前後方向とすると、インクジェットヘッドで印刷が行われるときの媒体の厚さ方向は、上下方向と一致し、インクジェットヘッドで印刷された媒体は、前側に向かって移動した後に下側に向かって移動し、テンションバーは、プラテンよりも下側に配置され、下側に向かって移動する媒体に斜め後ろ上側から接触するとともにテンションバーに作用する重力によって媒体に張力を付与し、ヒータは、テンションバーよりも下側かつ後ろ側に配置され、巻取ロールは、ヒータよりも上側かつ後ろ側に配置され、テンションバーを通過した媒体は、その後、ヒータの上側を通過して後ろ側に向かって移動し、プラテンは、ヒータの上側に配置され、吸引機構は、複数の吸気穴を介してプラテンの内部空間から排出された空気が通過するフィルタを備え、フィルタは、媒体の幅方向において媒体配置範囲から外れた位置に配置されるとともに、媒体の幅方向においてヒータとずれた位置に配置されている。
【0018】
この場合には、フィルタが、媒体の幅方向において媒体配置範囲から外れた位置に配置されるとともに、媒体の幅方向においてヒータとずれた位置に配置されているため、フィルタに付着したインクミストが固化して固形物になり、この固形物が落下したとしても、ヒータの上側を通過する媒体に固形物が付着するのを防止することが可能になる。また、この場合には、複数の吸気穴を介してプラテンの内部空間から排出されるインクミストが共通のフィルタに付着するため、フィルタを交換するときには、共通の1個のフィルタを交換すれば良い。したがって、フィルタの交換作業を容易に行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明では、長尺の媒体に印刷を行うためのインクジェットプリンタにおいて、プラテンに媒体を吸引する際に中空状のプラテンの内部に入り込んだ空気と一緒に、インクミストが固化した固形物がインクジェットプリンタの外部に向かって排出されても、固形物に起因する媒体の汚れを防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態にかかるインクジェットプリンタの構成を説明するための側面図である。
【
図2】
図1に示す印刷機構の構成を説明するための概略図である。
【
図3】
図1に示す吸引機構等を斜め後ろ下側から示す斜視図である。
【
図4】(A)は、
図1に示すプラテンおよび吸引機構の平面図であり、(B)は、
図1に示すプラテンおよび吸引機構の正面図である。
【
図5】
図1に示すプラテンおよび吸引機構の構成を説明するための断面図である。
【
図6】本発明の他の実施の形態にかかるインクジェットプリンタの構成を説明するための側面図である。
【
図7】
図6に示す印刷機構が有する吸引機構の構成を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
(インクジェットプリンタの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるインクジェットプリンタ1の構成を説明するための側面図である。
図2は、
図1に示す印刷機構3の構成を説明するための概略図である。
【0023】
本形態のインクジェットプリンタ1(以下、「プリンタ1」とする。)は、たとえば、業務用のインクジェットプリンタであり、紙、布帛または樹脂シート等の長尺の媒体2(シート状の媒体2)に印刷を行う。プリンタ1では、たとえば、異なる幅の媒体2に対して印刷が行われる。プリンタ1は、媒体2に印刷を行う印刷機構3と、媒体2を搬送する媒体搬送機構4と、ロール状に巻回された印刷前の媒体2である繰出ロール5を保持する繰出ロール保持部6と、ロール状に巻回された印刷後の媒体2である巻取ロール7を保持する巻取ロール保持部8とを備えている。
【0024】
上下方向(鉛直方向)に直交する
図1等のY方向を「左右方向」とすると、媒体2の厚さ方向と媒体2の長手方向とに直交する媒体2の幅方向は、左右方向と一致している。すなわち、左右方向(Y方向)は、媒体2の幅方向である。以下の説明では、上下方向と左右方向とに直交する
図1等のX方向を「前後方向」とする。また、前後方向の一方側である
図1等のX1方向側を「前」側とし、その反対側である
図1等のX2方向側を「後ろ」側とし、左右方向の一方側である
図2等のY1方向側を「右」側とし、その反対側である
図2等のY2方向側を「左」側とする。本形態の左右方向(すなわち、媒体2の幅方向)は主走査方向である。
【0025】
印刷機構3は、媒体2にインクを吐出するインクジェットヘッド11(以下、「ヘッド11」とする。)と、ヘッド11が搭載されるキャリッジ12と、主走査方向(左右方向)にキャリッジ12を往復移動させるキャリッジ駆動機構13と、左右方向への移動が可能となるようにキャリッジ12を支持する支持フレーム(Yバー)14とを備えている。ヘッド11は、下側に向かってインクを吐出する。ヘッド11の下面には、インクを吐出する複数のノズルが形成されている。ヘッド11は、ノズルからインクを吐出させるための圧電素子(ピエゾ素子)を備えている。キャリッジ駆動機構13は、たとえば、キャリッジ12に一部分が固定されるベルトと、ベルトが掛け渡されるプーリと、プーリを回転させるためのモータとを備えている。
【0026】
また、印刷機構3は、印刷時の媒体2が載置されるプラテン15と、プラテン15に載置される媒体2をプラテン15に吸引して保持するための吸引機構16とを備えている。プラテン15は、ヘッド11およびキャリッジ12の下側に配置されている。ヘッド11によって印刷が行われるときの媒体2の厚さ方向は、上下方向と一致している。プラテン15および吸引機構16の具体的な構成については後述する。
【0027】
また、印刷機構3は、ヘッド11のノズルの目詰まりを防止するためのメンテナンスユニット18を備えている。メンテナンスユニット18では、ヘッド11の複数のノズルの目詰まりが発生しないように、ヘッド11のクリーニングが行われる。具体的には、メンテナンスユニット18では、圧電素子を駆動してノズルからインクを強制的に吐出させるフラッシングや、ノズルが形成されるヘッド11の下面をキャップで覆ってノズルの中のインクを強制的に吸引するインク吸引等が行われる。
【0028】
上述のように、プリンタ1では、たとえば、異なる幅の媒体2に対して印刷が行われる。プリンタ1で印刷が行われる媒体2の中で幅が最も広い媒体2を最大幅媒体2Aとし、媒体2の幅方向(すなわち、左右方向)において最大幅媒体2Aが配置される範囲を媒体配置範囲MRとすると(
図2参照)、メンテナンスユニット18は、主走査方向である左右方向において媒体配置範囲MRから外れた領域であるメンテナンス領域MAに配置されている。本形態では、メンテナンスユニット18は、媒体配置範囲MRよりも左側に配置されている。本形態の左側(Y2方向側)は、媒体配置範囲MRに対してメンテナンス領域MAが配置される側であるメンテナンス領域側となっている。
【0029】
媒体搬送機構4は、長尺の媒体2を媒体2の長手方向に搬送する。媒体搬送機構4は、搬送ローラ19と、搬送ローラ19に対向配置されるとともに搬送ローラ19に向かって付勢されるパッドローラ20とを備えている。搬送ローラ19およびパッドローラ20は、プラテン15の後ろ側に配置されている。搬送ローラ19は、搬送ローラ19を回転させる駆動機構に連結されている。駆動機構は、駆動源としてのモータを備えている。媒体2は、搬送ローラ19とパッドローラ20との間に挟まれた状態で搬送される。印刷前の媒体2は、後ろ側からプラテン15の上面に搬送される。印刷後の媒体2は、プラテン15の上面から前側に搬送された後に下側に向かって搬送される。すなわち、ヘッド11で印刷された媒体2は、前側に向かって移動した後に下側に向かって移動する。
【0030】
繰出ロール保持部6は、印刷機構3の下側に配置されている。繰出ロール保持部6は、繰出ロール5の内周側に挿通される回転軸23を備えている。巻取ロール保持部8は、印刷機構3の下側に配置されている。巻取ロール保持部8は、巻取ロール7の内周側に挿通される回転軸24と、回転軸24を回転させる駆動機構とを備えている。
【0031】
(プラテンおよび吸引機構の構成)
図3は、
図1に示す吸引機構16等を斜め後ろ下側から示す斜視図である。
図4(A)は、
図1に示すプラテン15および吸引機構16の平面図であり、
図4(B)は、
図1に示すプラテン15および吸引機構16の正面図である。
図5は、
図1に示すプラテン15および吸引機構16の構成を説明するための断面図である。
【0032】
プラテン15は、左右方向に細長い長尺状に形成されている。プラテン15は、上面に媒体2が載置されるプラテン本体27と、プラテン本体27を下側から支持するプラテンフレーム28とを備えている。プラテンフレーム28は、左右方向に細長い角溝状(四角溝状)に形成されている。プラテンフレーム28は、鋼板等の金属製の薄板を角溝状に折り曲げることで形成されている。プラテンフレーム28の上面は開口している。プラテン本体27は、左右方向に細長い長尺状に形成されている。プラテン本体27は、プラテン15の上面部を構成している。プラテン本体27は、プラテンフレーム28の上面の開口を塞ぐようにプラテンフレーム28の上端に固定されている。
【0033】
プラテン本体27およびプラテンフレーム28の左右方向の両側には、プラテンフレーム28を支持するための側板29が配置されている。側板29の一部は、プラテン15の一部を構成しており、プラテン本体27およびプラテンフレーム28の左右方向の両端に形成される開口を塞いでいる。プラテン15の内側には、プラテン本体27とプラテンフレーム28と2枚の側板29の一部とによって画定される空間が形成されている。すなわち、プラテン15は、中空状に形成されている。側板29には、プラテン15の前側に配置されるカバー30と、プラテン15の後ろ側に配置されるカバー31とが固定されている。
【0034】
プラテン本体27には、プラテン15に載置される媒体2を吸引するための多数の吸引穴27aが形成されている(
図5参照)。すなわち、プラテン15の上面部には、多数の吸引穴27aが形成されている。吸引穴27aは、プラテン15のほぼ全域に亘って多数形成されている。吸引穴27aは、上下方向でプラテン本体27を貫通している。多数の吸引穴27aは、中空状に形成されるプラテン15の内部空間に通じている。
【0035】
プラテンフレーム28の底面部には、左右方向に配列される複数の吸気穴28aが形成されている(
図5参照)。すなわち、プラテン15の下面部には、複数の吸気穴28aが形成されている。本形態では、左右方向に等間隔で配列される4個の吸気穴28aが形成されている。吸気穴28aは、プラテンフレーム28の底面部を上下方向で貫通している。4個の吸気穴28aは、中空状に形成されるプラテン15の内部空間に通じている。
【0036】
吸引機構16は、プラテン15の内部空間の空気をプリンタ1の外部に排出するための排気ファン34と、プラテン15に載置される媒体2を吸引するための吸引ファン35とを備えている。本形態の吸引機構16は、1個の排気ファン34と4個の吸引ファン35とを備えている。また、吸引機構16は、プラテン15の内部空間から排出された空気が通過する空気の流路が形成される流路形成部36を備えている。吸引ファン35は、シロッコファンである。吸引ファン35は、プラテンフレーム28の底面(すなわち、プラテン15の底面)に取り付けられている。4個の吸引ファン35のそれぞれは、プラテンフレーム28の底面の、吸気穴28aが形成された部分に取り付けられている。
【0037】
流路形成部36は、左右方向に細長い長尺状に形成されるとともに内部に空気の流路が形成される中空状の流路形成フレーム37を備えている。流路形成フレーム37は、吸引ファン35よりも下側に配置されている。また、流路形成部36は、吸引ファン35と流路形成フレーム37とを繋ぐ筒状の接続部材38を備えている。具体的には、流路形成部36は、4個の吸引ファン35のそれぞれと流路形成フレーム37とを繋ぐ4個の接続部材38を備えている。本形態では、1個の流路形成フレーム37と4個の接続部材38とによって流路形成部36が構成されている。筒状に形成される接続部材38の内周側は、空気の流路となっている。吸気穴28aは、流路形成部36に形成される空気の流路に通じている。具体的には、吸気穴28aは、吸引ファン35を介して流路形成部36に形成される空気の流路に通じている。
【0038】
流路形成フレーム37は、上下方向の厚さが薄い扁平な略直方体の箱状に形成されている。また、流路形成フレーム37は、流路形成フレーム37の上面を構成する薄板状の上面部と、流路形成フレーム37の下面を構成する薄板状の下面部と、流路形成フレーム37の前後方向の側面を構成する薄板状の側面部と、流路形成フレーム37の左右方向の側面を構成する薄板状の側面部とによって構成されており、上述のように、中空状に形成されている。
【0039】
流路形成フレーム37の左右方向の長さは、プラテン15の左右方向の長さよりも長くなっている。流路形成フレーム37の右端は、プラテン15の右端よりも右側に配置され、流路形成フレーム37の左端は、プラテン15の左端よりも左側に配置されている。流路形成フレーム37の上面には、2枚の側板29が固定されている。流路形成フレーム37は、側板29を介してプラテン15を支持する機能も果たしている。
【0040】
接続部材38は、薄膜状のフィルムによって筒状に形成されている。本形態の接続部材38は、四角筒状に形成されている。接続部材38の上端部は、吸引ファン35に繋がっている。接続部材38の下端は、流路形成フレーム37の上面部に繋がっている。具体的には、流路形成フレーム37の上面部には、上下方向に貫通する開口部(貫通穴)が形成されており、接続部材38の下端は、流路形成フレーム37の上面部の、開口部が形成された部分に繋がっている。接続部材38の内周側は、流路形成フレーム37の内部空間に通じている。接続部材38は、前側から見たときに下側に向かうにしたがって左側に向かうように傾斜した状態で設置されている(
図4(B)参照)。
【0041】
流路形成フレーム37の下面部には、排気ファン34によって流路形成フレーム37の内部からプリンタ1の外部に向かって空気が排出される排気穴37aが形成されている(
図3参照)。すなわち、流路形成部36には、排気ファン34によってプリンタ1の外部に向かって空気が排出される排気穴37aが形成されている。排気穴37aは、流路形成フレーム37の左端部に形成されている。排気穴37aは、流路形成フレーム37の下面部を上下方向で貫通しており、流路形成フレーム37の内部空間に通じている。排気穴37aは、1箇所のみに形成されている。排気ファン34が排出する空気は、排気穴37aを通過する。
【0042】
排気ファン34は、軸流ファンである。排気ファン34は、排気ファン34の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。排気ファン34は、流路形成フレーム37の左端部に取り付けられている。すなわち、排気ファン34は、流路形成部36に取り付けられている。また、排気ファン34は、流路形成フレーム37の下面部に取り付けられている。具体的には、排気ファン34は、排気穴37aを塞ぐように流路形成フレーム37の下面部の上面に取り付けられている。排気ファン34は、流路形成フレーム37の内部に配置されている。排気ファン34は、前後方向および左右方向において排気穴37aと同じ位置に配置されており、上下方向から見ると、排気ファン34と排気穴37aとが重なっている。排気ファン34は、下側に向かって空気を排出する。
【0043】
排気ファン34の上面側には、フィルタ40が取り付けられている。プラテン15の内部空間から排出された空気は、排気ファン34によってプリンタ1の外部に排出される前にフィルタ40を通過する。すなわち、吸引機構16は、4個の吸気口28aを介してプラテン15の内部空間から排出された空気が通過するフィルタ40を備えている。フィルタ40は、前後方向および左右方向において排気ファン34と同じ位置に配置されている。すなわち、フィルタ40は、前後方向および左右方向において排気穴37aと同じ位置に配置されている。
【0044】
排気穴37aは、左右方向において媒体配置範囲MRから外れた位置に配置されている。具体的には、排気穴37aは、上述のように、流路形成フレーム37の左端部に形成されており、媒体配置範囲MRよりも左側に配置されている。また、排気穴37aは、プラテン15よりも左側に配置されるとともに、メンテナンス領域MAに配置されている。左右方向において排気穴37aと同じ位置に配置される排気ファン34およびフィルタ40も、左右方向において媒体配置範囲MRから外れた位置に配置されている。すなわち、排気ファン34およびフィルタ40も、媒体配置範囲MRよりも左側に配置されている。また、排気ファン34およびフィルタ40も、プラテン15よりも左側に配置されるとともに、メンテナンス領域MAに配置されている。
【0045】
プリンタ1では、吸引ファン35が作動すると、プラテン15の内部空間の空気が排出される。プラテン15の内部空間の空気が排出されると、プラテン15の上面に媒体2が吸引されてプラテン15で媒体2が保持される。また、排気ファン34が作動すると、接続部材38の内周側および流路形成フレーム37の内部空間の空気が吸引されて排気穴37aからプリンタ1の外部に排出される。すなわち、排気ファン34が作動すると、流路形成部36の流路内の空気が吸引されて排気穴37aからプリンタ1の外部に排出される。排気ファン34および吸引ファン35は、媒体2の印刷時に作動する。
【0046】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、プラテン15の内部空間から排出された空気の流路が形成される流路形成部36に、排気ファン34によってプリンタ1の外部に向かって空気が排出される排気穴37aが形成されている。また、本形態では、排気穴37aは、左右方向において媒体配置範囲MRから外れた位置に配置されている。そのため、本形態では、プラテン15に媒体2を吸引するためにプラテン15の内部に入り込んだ空気がプリンタ1の外部に向かって排出されるときに、インクミストが固化した固形物が空気と一緒に排気穴37aから排出されても、固形物が媒体2に付着するのを防止することが可能になる。
【0047】
したがって、本形態では、プラテン15に媒体2を吸引する際に中空状のプラテン15の内部に入り込んだ空気と一緒に、インクミストが固化した固形物がプリンタ1の外部に向かって排出されても、固形物に起因する媒体2の汚れを防止することが可能になる。特に本形態では、左右方向に細長い長尺状に形成される流路形成フレーム37の左端部に排気穴37aが形成されているため、左右方向において排気穴37aを媒体2から遠ざけることが可能になる。したがって、本形態では、インクミストが固化した固形物が空気と一緒に排気穴37aから排出されても、固形物に起因する媒体2の汚れを効果的に防止することが可能になる。
【0048】
本形態では、排気ファン34は、前後方向および左右方向において排気穴37aと同じ位置に配置されている。そのため、本形態では、排気穴37aからプリンタ1の外部に向かって排気ファン34によって効率的に空気を排出することが可能になる。また、本形態では、吸引機構16が、排気ファン34に加えて吸引ファン35を備えているため、プラテン15に載置される媒体2を吸引ファン35によってプラテン15に確実に吸引することが可能になる。
【0049】
本形態では、接続部材38は、薄膜状のフィルムによって筒状に形成されている。そのため、本形態では、接続部材38の下端が繋がる流路形成フレーム37の上面部の、開口部が形成された部分と、接続部材38の上端部が繋がる吸引ファン35との相対位置精度が高くなくても、柔軟性を有する接続部材38によって流路形成フレーム37の開口部と吸引ファン35とを容易に繋ぐことが可能になる。
【0050】
本形態では、4個の通気穴28aを介してプラテン15の内部空間から排出される空気は、1個のフィルタ40を通過してプリンタ1の外部に排出される。そのため、本形態では、フィルタ40を交換するときには、共通の1個のフィルタ40を交換すれば良い。したがって、本形態では、フィルタ40の交換作業を容易に行うことが可能になる。
【0051】
(インクジェットプリンタの変更例)
図6は、本発明の他の実施の形態にかかるプリンタ1の構成を説明するための側面図である。
図7は、
図6に示す印刷機構3が有する吸引機構16の構成を説明するための概略図である。なお、
図6、
図7では、上述した形態と同様の構成には同一の符号を付している。
【0052】
上述した形態において、プリンタ1は、
図6に示すように、印刷後の媒体2を加熱するためのヒータ45と、印刷前の媒体2に張力を付与するためのテンション付与機構46と、印刷後の媒体2に張力を付与するためのテンション付与機構47と、搬送される媒体2を案内するための複数のガイドローラ48とを備えていても良い。以下、
図6、
図7に示すプリンタ1の変更例を説明する。
【0053】
この変更例では、媒体搬送機構4は、パッドローラ20を備えていない。搬送ローラ19は、表面がゴムで形成されたゴムローラである。繰出ロール保持部6は、プラテン15よりも下側に配置されている。また、繰出ロール保持部6は、印刷機構3よりも後ろ側に配置されている。巻取ロール保持部8は、たとえば、繰出ロール保持部6の下側に配置されており、印刷機構3よりも後ろ側に配置されている。
【0054】
テンション付与機構46は、媒体2の移動経路においてヘッド11と繰出ロール保持部6との間で印刷前の媒体2に接触して媒体2に張力を付与するテンションバー50と、テンションバー50を上下方向に直線的に案内するガイド部とを備えている。テンションバー50は、繰出ロール保持部6から印刷機構3に向かって前側に移動する媒体2に上側から接触する。テンションバー50は、テンションバー50に作用する重力によって媒体2に張力を付与する。媒体2の印刷時には、テンションバー50は、媒体2の動きに応じて上下方向に直線的に移動する。
【0055】
テンション付与機構47は、媒体2の移動経路においてヘッド11と巻取ロール保持部8との間で印刷後の媒体2に接触して媒体2に張力を付与するテンションバー51を備えている。テンションバー51は、プラテン15よりも前側かつ下側に配置されている。テンションバー51は、
図1の矢印で示すように、前下がりの方向に直線的に移動可能となっている。また、テンション付与機構47は、前下がりの方向に直線的にテンションバー51を案内するガイド部と、斜め後ろ上側に向かってテンションバー51を付勢するための引張りコイルバネとを備えている。
【0056】
テンションバー51は、プラテン15から前側に向かって移動した後に下側に向かって移動する印刷後の媒体2に斜め後ろ上側から接触する。テンションバー51は、テンションバー51に作用する重力によって媒体2に張力を付与する。媒体2の印刷時には、テンションバー51は、媒体2の動きに応じて前下がりの方向に直線的に移動する。左右方向から見たときの前後方向に対するテンションバー51の移動方向の傾きθ(
図6参照)は、30°~60°となっている。
【0057】
ヒータ45は、プラテン15の下側に配置されている。すなわち、プラテン15は、ヒータ45の上側に配置されている。ヒータ45は、テンションバー50よりも下側に配置されている。また、ヒータ45は、テンションバー51よりも下側かつ後ろ側に配置されている。また、ヒータ45は、繰出ロール5および巻取ロール7よりも下側かつ前側に配置されている。すなわち、繰出ロール5および巻取ロール7は、ヒータ45よりも上側かつ後ろ側に配置されている。上述のように、印刷機構3で印刷された媒体2は、前側に向かって移動した後に下側に向かって移動する。下側に向かって移動した媒体2は、テンションバー51を通過した後、後ろ側に向かって移動する。後ろ側に向かって移動する媒体2は、ヒータ45の上側を通過する。
【0058】
複数のガイドローラ48は、媒体2の移動に伴って回転する従動ローラである。複数のガイドローラ48のうちの2個のガイドローラ48は、前後方向においてテンションバー50の両側に配置されているとともに、テンションバー50よりも上側に配置されている。また、複数のガイドローラ48のうちの1個のガイドローラ48は、プラテン15の前側に配置されており、プラテン15から前側に向かって移動する媒体2の移動方向を下側に向かう方向に変える機能を果たしている。また、複数のガイドローラ48のうちの1個のガイドローラ48は、テンションバー51より下側に配置されるとともに、プリンタ1の前面側に配置されており、下側に向かって移動する媒体2の移動方向を後ろ側に向かう方向に変える機能を果たしている。
【0059】
この変更例では、吸引機構16は、吸引ファン35を備えていない。接続部材38の上端部は、たとえば、プラテンフレーム28の底面の、吸気穴28aが形成された部分に繋がっている。すなわち、この変更例では、流路形成部36に形成される空気の流路36aの一端部は、4個の吸気穴28aに繋がり、流路36aの他端部は、フィルタ40を介して排気ファン34に繋がっている。すなわち、排気ファン34は、流路36aを介して4個の吸気穴28aに繋がっている。
【0060】
排気ファン34は、プラテン15に載置される媒体2を吸引する機能も果たしている。排気ファン34が作動すると、4個の吸気穴28aの全てからプラテン15の内部空間の空気が排出されるとともに、流路36aの中の空気が吸引されて排気穴37aからプリンタ1の外部に排出される。排気ファン34は、媒体2の印刷時に作動する。上述した形態と同様に、排気穴37a、排気ファン34およびフィルタ40は、左右方向において媒体配置範囲MRから外れた位置に配置されている。また、排気穴37a、排気ファン34およびフィルタ40は、左右方向においてヒータ45とずれた位置に配置されている。具体的には、排気穴37a、排気ファン34およびフィルタ40は、ヒータ45よりも左側に配置されている。
【0061】
この変更例では、排気ファン34は、プラテン15に載置される媒体2を吸引する機能も果たしている。そのため、吸引ファン35が設けられている場合と比較して、吸引機構16の構成を簡素化することが可能になる。また、この変更例では、フィルタ40が、左右方向において媒体配置範囲MRから外れた位置に配置されるとともに、左右方向においてヒータ45とずれた位置に配置されているため、フィルタ40に付着したインクミストが固化して固形物になり、この固形物が落下したとしても、ヒータ45の上側を通過する媒体2に固形物が付着するのを防止することが可能になる。
【0062】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0063】
上述した形態において、排気穴37aは、メンテナンス領域MAから外れた位置に配置されていても良い。また、上述した形態において、排気穴37aは、流路形成フレーム37の右端部に形成されていても良い。この場合であっても、排気穴37aは、媒体配置範囲MRよりも右側に配置されており、左右方向において媒体配置範囲MRから外れた位置に配置されている。また、上述した形態において、排気穴37aは、流路形成フレーム37に複数箇所、形成されていても良い。この場合であっても、複数の排気穴37aの全てが左右方向において媒体配置範囲MRから外れた位置に配置されている。
【0064】
上述した形態において、排気ファン34は、前後方向および左右方向の少なくともいずれか一方において排気穴37aと異なる位置に配置されていても良い。この場合には、排気ファン34およびフィルタ40は、左右方向において媒体配置範囲MRに配置されていても良い。また、上述した形態において、接続部材38は、たとえば、硬質の樹脂材料で形成されていても良い。さらに、上述した形態において、流路形成部36は、1個の部材によって構成されていても良い。また、上述した形態において、フィルタ40は、排気ファン34に取り付けられていなくても良い。また、上述した形態において、排気ファン34は軸流ファン以外のファンであっても良いし、吸引ファン35はシロッコファン以外のファンであっても良い。
【符号の説明】
【0065】
1 プリンタ(インクジェットプリンタ)
2 媒体
2A 最大幅媒体
4 媒体搬送機構
7 巻取ロール
8 巻取ロール保持部
11 ヘッド(インクジェットヘッド)
12 キャリッジ
13 キャリッジ駆動機構
15 プラテン
16 吸引機構
18 メンテナンスユニット
27a 吸引穴
28a 吸気穴
34 排気ファン
35 吸引ファン
36 流路形成部
36a 流路
37 流路形成フレーム
37a 排気穴
38 接続部材
40 フィルタ
45 ヒータ
47 テンション付与機構
51 テンションバー
MA メンテナンス領域
MR 媒体配置範囲
X 前後方向
Y 媒体の幅方向、主走査方向
Y2 メンテナンス領域側