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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128920
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/18 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
H01H73/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023164253
(22)【出願日】2023-09-27
(31)【優先権主張番号】202310231403.6
(32)【優先日】2023-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523369422
【氏名又は名称】センサータ テクノロジーズ チャンチョウ カンパニー、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジガン シェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ スン
(72)【発明者】
【氏名】ジム チ
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス チャン
【テーマコード(参考)】
5G030
【Fターム(参考)】
5G030DE02
5G030YY07
(57)【要約】
【課題】強力な消弧能力を備えた回路遮断器を提供すること。
【解決手段】本出願は、動作室及び消弧室を画定する筐体と、動作室内に設けられ、パンチを備える切断機構であり、動作室と消弧室との間で筐体を通じて延在する導体を、パンチを介して切断するように構成された、切断機構と、ワイヤ・メッシュの形態の、消弧室内に充填された消弧媒体と、消弧媒体の周りに配設され、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、切断機構のパンチからの気体を消弧媒体を通るように案内するように構成された気体流案内機構とを備える回路遮断器を開示する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作室及び消弧室を画定する筐体と、
前記動作室内に設けられ、パンチを備える切断機構であり、前記動作室と前記消弧室との間で前記筐体を通じて延在する導体を、前記パンチを介して切断するように構成された、切断機構と
を備えることを特徴とする回路遮断器であって、
前記切断機構の前記パンチは、間に溝を画定するように互いに間隔を空けられた第1のパンチ及び第2のパンチを備え、前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記導体は、単一の切断点において破断され、
邪魔板が、前記消弧室内に設けられており、前記邪魔板は、前記溝と位置合わせされており、前記邪魔板は、前記導体が前記切断点において破断された後に、前記溝に挿入されるように構成されており、
前記回路遮断器は、
ワイヤ・メッシュの形態の、前記消弧室内に充填された消弧媒体と、
前記消弧媒体の周りに配設され、前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記切断機構の前記パンチからの気体を前記消弧媒体を通るように案内するように構成された気体流案内機構と
をさらに備える、
回路遮断器。
【請求項2】
気体流案内経路が、前記切断機構の前記パンチから前記気体流案内機構まで画定され、前記消弧媒体は、前記気体流案内経路の中に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記気体流案内機構は、前記消弧媒体を取り囲む複数の空洞を備え、前記気体は、前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記切断機構の前記パンチから前記消弧媒体を通って前記複数の空洞に流れ込むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の回路遮断器。
【請求項4】
前記空洞は、前記消弧媒体に面する入口を有し、前記気体は、前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記切断機構の前記パンチから前記消弧媒体を通り、前記入口を介して前記空洞に流れ込むことを特徴とする、請求項3に記載の回路遮断器。
【請求項5】
前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記第1のパンチは、前記導体の第1の切断区域を下方に曲げるように前記第1の切断区域に対して作用し、前記第2のパンチは、前記導体の第2の切断区域を下方に曲げるように前記第2の切断区域に対して作用し、前記導体は、前記第1の切断区域と前記第2の切断区域との間の前記単一の切断点において破断されることを特徴とする、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項6】
前記溝は、前記切断点と位置合わせされていることを特徴とする、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項7】
前記導体が前記切断点において破断された後に、前記第1のパンチ及び前記第2のパンチは、前記消弧室内まで延在し、前記消弧室内の前記消弧媒体とそれぞれ接触することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の回路遮断器。
【請求項8】
前記邪魔板は、前記導体が前記切断点において破断されるのを促進するために、前記切断点から一定の距離だけ間隔を空けられることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の回路遮断器。
【請求項9】
沿面経路が、前記第1の切断区域の切断端部から、前記第1のパンチの端部を通り、前記溝の底部及び前記邪魔板の頂部を通り、前記第2のパンチの端部を通って、前記第2の切断区域の切断端部まで画定されることを特徴とする、請求項5に記載の回路遮断器。
【請求項10】
前記消弧室は、前記邪魔板によって、互いに隔てられた第1の消弧室と第2の消弧室とに分割され、前記第1の消弧室及び前記第2の消弧室は、前記消弧媒体が充填されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の回路遮断器。
【請求項11】
前記導体が前記切断点において破断された後に、前記第1のパンチは、前記第1の消弧室内まで延在し、前記第1の消弧室内の前記消弧媒体と接触し、前記第2のパンチは、前記第2の消弧室内まで延在し、前記第2の消弧室内の前記消弧媒体と接触することを特徴とする、請求項10に記載の回路遮断器。
【請求項12】
前記消弧室は、前記導体を支持するための支持部品で覆われており、開口が、前記導体の第1の切断区域及び第2の切断区域に対応する前記支持部品の部分に形成され、前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記第1の切断区域及び前記第2の切断区域は、前記開口を通じて下方に曲げられ、前記第1のパンチ及び前記第2のパンチは、前記開口を通じて前記消弧室内まで延在することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の回路遮断器。
【請求項13】
前記開口は、前記導体の前記第1の切断区域及び前記第2の切断区域が前記支持部品によって支持されないように構成されていることを特徴とする、請求項12に記載の回路遮断器。
【請求項14】
第1の受け部及び第2の受け部が、前記支持部品の前記開口のところに形成され、前記第1の受け部及び前記第2の受け部は、前記導体が前記切断点において破断された後に、下方に曲げられた前記第1の切断区域及び下方に曲げられた前記第2の切断区域をそれぞれ受けるように構成されていることを特徴とする、請求項12に記載の回路遮断器。
【請求項15】
動作室及び消弧室を画定する筐体と、
前記動作室内に設けられ、パンチを備える切断機構であり、前記動作室と前記消弧室との間で前記筐体を通じて延在する導体を、前記パンチを介して切断するように構成された、切断機構と
を備えることを特徴とする回路遮断器であって、
前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構の前記パンチによって切断されるときに、前記導体は、単一の切断点において破断され、
受け部材が、前記消弧室内に設けられ、前記受け部材は、前記パンチと位置合わせされており、前記導体が前記切断点において破断された後に、前記パンチは、前記受け部材によって受容され、
前記回路遮断器は、
ワイヤ・メッシュの形態の、前記消弧室内に充填された消弧媒体と、
前記消弧媒体の周りに配設され、前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記切断機構の前記パンチからの気体を前記消弧媒体を通るように案内するように構成された気体流案内機構と
をさらに備える、
回路遮断器。
【請求項16】
気体流案内経路が、前記切断機構の前記パンチから前記気体流案内機構まで画定され、前記消弧媒体は、前記気体流案内経路の中に配置されることを特徴とする、請求項15に記載の回路遮断器。
【請求項17】
前記気体流案内機構は、前記消弧媒体を取り囲む複数の空洞を備え、前記気体は、前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記切断機構の前記パンチから前記消弧媒体を通って前記複数の空洞に流れ込むことを特徴とする、請求項15に記載の回路遮断器。
【請求項18】
前記空洞は、前記消弧媒体に面する入口を有し、前記気体は、前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記切断機構の前記パンチから前記消弧媒体を通り、前記入口を介して前記空洞に流れ込むことを特徴とする、請求項17に記載の回路遮断器。
【請求項19】
前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記パンチは、前記導体の切断区域を下方に曲げるように前記切断区域に対して作用し、前記導体は、単一の切断点において破断されることを特徴とする、請求項15に記載の回路遮断器。
【請求項20】
前記受け部材は、前記導体の前記切断点又は前記切断区域と位置合わせされていることを特徴とする、請求項15に記載の回路遮断器。
【請求項21】
前記導体が前記切断点において破断された後に、前記パンチは、前記消弧室内まで延在し、前記消弧室内の前記消弧媒体と接触することを特徴とする、請求項15から20までのいずれか一項に記載の回路遮断器。
【請求項22】
前記受け部材は、前記導体が前記切断点において破断されるのを促進するために、前記導体の前記切断点又は前記切断区域から一定の距離だけ間隔を空けられることを特徴とする、請求項15から20までのいずれか一項に記載の回路遮断器。
【請求項23】
前記消弧室は、前記受け部材によって、第1の消弧室と第2の消弧室とに分割され、前記第1の消弧室及び前記第2の消弧室は、前記消弧媒体が充填されていることを特徴とする、請求項15から20までのいずれか一項に記載の回路遮断器。
【請求項24】
前記消弧室は、前記導体を支持するための支持部品で覆われており、開口が、前記導体の前記切断点及び前記切断区域に対応する前記支持部品の部分に形成され、前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記切断区域は、前記開口を通じて下方に曲げられ、前記パンチは、前記開口を通じて前記消弧室内まで延在することを特徴とする、請求項15から20までのいずれか一項に記載の回路遮断器。
【請求項25】
前記開口は、前記導体の前記切断区域が前記支持部品によって支持されないように構成されていることを特徴とする、請求項24に記載の回路遮断器。
【請求項26】
受け部が、前記支持部品の前記開口のところに形成され、前記受け部は、前記導体が前記切断点において破断された後に、下方に曲げられた前記切断区域を受けるように構成されていることを特徴とする、請求項24に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は一般に、回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
回路過電流保護製品は、ヒューズを通って流れる電流によって生成される熱に基づいて溶断するヒューズであり、その主たる問題は、温度ヒューズと負荷整合との関係である。例えば、新エネルギー車両の主回路保護の場合、負荷が低倍率の過負荷又は短絡を有する場合、低電流仕様ヒューズの選択は、短時間の電流オーバーシュートに対応することができず、高電流仕様ヒューズの選択は、迅速な保護の要件を満たすことができない。現在の新エネルギー車両では、エネルギーを提供するのにリチウム電池パックが使用される。短絡が起こった場合、出力電流は、定格電流のおよそ数倍であり、よってヒューズ保護時間は、要件を満たすことができず、結果として、電池パックが過熱して発火を生じることになる。耐電流熱及び遮断電流熱溶解は共にヒューズを流れる電流から発生しているため、電流熱溶断を使用するそのような保護デバイスは、より高い定格電流を有する条件下で、特定の大きさの遮断速度に達することも、より強力な短時間の過負荷/突入電流(電気車両の始動又は登坂中の短時間の高電流など)に耐えることも、特定の大きさの障害電流の十分に速い保護速度の条件下で損傷せずに、より高い定格電流又はより高い過負荷/突入電流に耐えることもできない。
【0003】
目下のところ、高速切断構造が存在しており、これは、電子点火デバイス、導電板及び受け空洞を主に含む。電子点火デバイスは、導電板を破断するようにアクチュエータを駆動するために、高圧気体を生成するのに使用される。導電板の破損後、導電板は、回路の高速断路の目的を達成するために受け空洞に落下する。しかしながら、それでもなおいくつかの欠点及び短所が存在しており、消弧能力が制限され、そのため、大きな障害電流を阻止することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術における欠点の少なくとも1つを克服する回路遮断器を提供することが本出願の目的である。
【0005】
本出願の目的は、強力な消弧能力を備えた回路遮断器を提供することである。
【0006】
本出願の別の目的は、良好な遮断性能と、遮断後に優れた絶縁インピーダンスを獲得する能力とを備えた回路遮断器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願の第1の態様によると、
動作室及び消弧室を画定する筐体と、
動作室内に設けられ、パンチを備える切断機構であり、動作室と消弧室との間で筐体を通じて延在する導体を、パンチを介して切断するように構成された、切断機構と
を備える回路遮断器であって、
切断機構のパンチは、間に溝を画定するように互いに間隔を空けられた第1のパンチ及び第2のパンチを備え、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、導体は、単一の切断点において破断され、
邪魔板が、消弧室内に設けられており、邪魔板は、溝と位置合わせされており、邪魔板は、導体が切断点において破断された後に、溝に挿入されるように構成されており、
回路遮断器は、
ワイヤ・メッシュの形態の、消弧室内に充填された消弧媒体と、
消弧媒体の周りに配設され、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、切断機構のパンチからの気体(燃えているアークによって生成される高温気体)を消弧媒体を通るように案内するように構成された気体流案内機構と
をさらに備える、
回路遮断器が提供される。
【0008】
ワイヤ・メッシュの形態の消弧媒体は、導体が切断されるときに生成されるアークを効果的に消散させることができ、気体流案内機構が、アークを含む気体が、より効果的に消弧媒体と十分に接触することを可能にし、回路遮断器の消弧作用を高めることを可能にする。
【0009】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、気体流案内経路が、切断機構のパンチから気体流案内機構まで画定され、消弧媒体は、気体流案内経路の中に配置される。
【0010】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、気体流案内機構は、消弧媒体を取り囲む複数の空洞を備え、気体は、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、切断機構のパンチから消弧媒体を通って複数の空洞に流れ込む。
【0011】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、空洞は、消弧媒体に面する入口を有し、気体は、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、切断機構のパンチから消弧媒体を通り、入口を介して空洞に流れ込む。さらに、いくつかの実施例において、複数の空洞の各々が、消弧媒体に面する入口を有する。
【0012】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、入口は、細長い隙間の形態である。
【0013】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、複数の空洞は、消弧媒体の周りに均一に分散される。
【0014】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、第1のパンチは、導体の第1の切断区域を下方に曲げるように第1の切断区域に対して作用し、第2のパンチは、導体の第2の切断区域を下方に曲げるように第2の切断区域に対して作用し、導体は、第1の切断区域と第2の切断区域との間の単一の切断点において破断される。
【0015】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、溝は、切断点と位置合わせされている。
【0016】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、導体が切断点において破断された後に、第1のパンチ及び第2のパンチは、消弧室内まで延在し、消弧室内の消弧媒体とそれぞれ接触する。
【0017】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、邪魔板は、導体が切断点において切断されるのを促進するために、切断点から一定の距離だけ間隔を空けられる。
【0018】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、沿面経路が、第1の切断区域の切断端部から、第1のパンチの端部を通り、溝の底部及び邪魔板の頂部を通り、第2のパンチの端部を通って、第2の切断区域の切断端部まで画定される。
【0019】
溝は、邪魔板と合わせて曲がりくねった沿面経路を画定し、第1の切断区域と第2の切断区域との間の伝導の可能性をさらに低減する。溝と邪魔板との組み合わせは、第1の切断区域から第2の切断区域までの沿面距離を増大させ、絶縁抵抗を著しく高める。
【0020】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、消弧室は、邪魔板によって、互いに隔てられた第1の消弧室と第2の消弧室とに分割され、第1の消弧室及び第2の消弧室は、消弧媒体が充填されている。
【0021】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、導体が切断点において破断された後に、第1のパンチは、第1の消弧室内まで延在し、第1の消弧室内の消弧媒体と接触し、第2のパンチは、第2の消弧室内まで延在し、第2の消弧室内の消弧媒体と接触する。
【0022】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、消弧室は、導体を支持するための支持部品で覆われており、開口が、導体の第1の切断区域及び第2の切断区域に対応する支持部品の部分に形成され、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、第1の切断区域及び第2の切断区域は、開口を通じて下方に曲げられ、第1のパンチ及び第2のパンチは、開口を通じて消弧室内まで延在する。
【0023】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、開口は、導体の第1の切断区域及び第2の切断区域が支持部品によって支持されないように構成されている。
【0024】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、第1の受け部及び第2の受け部が、支持部品の開口のところに形成され、第1の受け部及び第2の受け部は、導体が切断点において破断された後に、下方に曲げられた第1の切断区域及び下方に曲げられた第2の切断区域をそれぞれ受けるように構成されている。
【0025】
本出願の別の態様によると、
動作室及び消弧室を画定する筐体と、
動作室内に設けられ、パンチを備える切断機構であり、動作室と消弧室との間で筐体を通じて延在する導体を、パンチを介して切断するように構成された、切断機構と
を備える回路遮断器であって、
筐体を通じて延在する導体が切断機構のパンチによって切断されるときに、導体は、単一の切断点において破断され、
受け部材が、消弧室内に設けられ、受け部材は、パンチと位置合わせされており、導体が切断点において破断された後に、パンチは、受け部材によって受容され、
回路遮断器は、
ワイヤ・メッシュの形態の、消弧室内に充填された消弧媒体と、
消弧媒体の周りに配設され、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、切断機構のパンチからの気体を消弧媒体を通るように案内するように構成された気体流案内機構と
をさらに備える、
回路遮断器が提供される。
【0026】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、気体流案内経路が、切断機構のパンチから気体流案内機構まで画定され、消弧媒体は、気体流案内経路の中に配置される。
【0027】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、気体流案内機構は、消弧媒体を取り囲む複数の空洞を備え、気体は、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、切断機構のパンチから消弧媒体を通って複数の空洞に流れ込む。
【0028】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、空洞は、消弧媒体に面する入口を有し、気体は、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、切断機構のパンチから消弧媒体を通り、入口を介して空洞に流れ込む。
【0029】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、パンチは、導体の切断区域を下方に曲げるように切断区域に対して作用し、導体は、単一の切断点において破断される。
【0030】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、受け部材は、導体の切断点又は切断区域と位置合わせされている。
【0031】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、導体が切断点において破断された後に、パンチは、消弧室内まで延在し、消弧室内の消弧媒体と接触する。
【0032】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、受け部材は、導体が切断点において破断されるのを促進するために、導体の切断点又は切断区域から一定の距離だけ間隔を空けられる。
【0033】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、消弧室は、受け部材によって、第1の消弧室と第2の消弧室とに分割され、第1の消弧室及び第2の消弧室は、消弧媒体が充填されている。
【0034】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、消弧室は、導体を支持するための支持部品で覆われており、開口が、導体の切断点及び切断区域に対応する支持部品の部分に形成され、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、切断区域は、開口を通じて下方に曲げられ、パンチは、開口を通じて消弧室内まで延在する。
【0035】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、開口は、導体の切断区域及び切断点が支持部品によって支持されないように構成されている。
【0036】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、受け部が、支持部品の開口のところに形成され、受け部は、導体が切断点において破断された後に、下方に曲げられた切断区域を受けるように構成されている。
【0037】
本発明のこれらの及び他の態様及び利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な記載を読んだ後によりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本出願のいくつかの実施例による回路遮断器の斜視図である。
図2】本出願のいくつかの実施例による回路遮断器の分解組立図である。
図3】通常動作状態における回路遮断器を示す、本出願のいくつかの実施例による回路遮断器の断面図である。
図4図3の部分Aの拡大図である。
図5】切断動作状態における回路遮断器を示す、本出願のいくつかの実施例による回路遮断器の断面図である。
図6図5の部分Bの拡大図である。
図7】切断完了状態における回路遮断器を示す、本出願のいくつかの実施例による回路遮断器の断面図である。
図8図7の部分Cの拡大図である。
図9】消弧室、消弧媒体及び気体流案内機構を示す、本出願のいくつかの実施例による回路遮断器の斜視図である。
図10】消弧室、消弧媒体及び気体流案内機構を示す、本出願のいくつかの実施例による回路遮断器の上部断面図である。
図11】通常動作状態における回路遮断器を示す、本出願の別の実施例による回路遮断器の断面図である。
図12図11の部分Dの拡大図である。
図13】切断動作状態における回路遮断器を示す、本出願の別の実施例による回路遮断器の断面図である。
図14図13の部分Eの拡大図である。
図15】切断完了状態における回路遮断器を示す、本出願の別の実施例による回路遮断器の断面図である。
図16図15の部分Fの拡大図である。
図17】消弧室、消弧媒体及び気体流案内機構を示す、本出願の別の実施例による回路遮断器の上部断面図である。
図18】通常動作状態における回路遮断器を示す、本出願のさらに別の実施例による回路遮断器の断面図である。
図19図18の部分Gの拡大図である。
図20】切断動作状態における回路遮断器を示す、本出願のさらに別の実施例による回路遮断器の断面図である。
図21図20の部分Hの拡大図である。
図22】切断完了状態における回路遮断器を示す、本出願のさらに別の実施例による回路遮断器の断面図である。
図23図22の部分Iの拡大図である。
図24】消弧室、消弧媒体及び気体流案内機構を示す、本出願のさらに別の実施例による回路遮断器の断面斜視図である。
図25】本出願のいくつかの実施例による回路遮断器についてのテスト結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本開示は、添付の図面を参照して以下に記載され、その中で本開示の特定の実施例が示されている。しかしながら本開示は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に描かれ記載される実施例に限定されるように解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、これらの実施例は、本開示が完璧で完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるために提供されている。本明細書に開示される実施例は、何らかの方法で組み合わせることで、多くの追加の実施例を提供することができることも理解されたい。
【0040】
同様の参照番号は、全体を通じて同様の要素を指すことを理解されたい。図面では、特定の特徴のサイズは、明確にするために誇張される場合がある。
【0041】
本明細書で使用される専門用語は、単に特定の実施例を記載する目的であり、本発明を制限することは意図されていない。そうでないことが規定されなければ、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含め)は、本発明が属する当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。よく知られた機能又は構造は、簡潔さ、及び/又は明確さのために詳細には記載されない場合がある。
【0042】
本明細書で使用される単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈がそうでないことを明白に示していなければ複数形も同様に含むことが意図されている。用語「備える(comprises)」及び/又は「備えている(comprising)」は、本明細書中で使用されるとき、記述される特徴の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴の存在又は追加を除外するものではないことがさらに理解されるであろう。本明細書で使用される用語「及び/又は(and/or)」は、関連付けられ列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意の組み合わせ又は全ての組み合わせを含む。本明細書で使用される「XとYとの間」及び「ほぼXとYとの間」などの語句は、X及びYを含むように解釈されるべきである。本明細書で使用される「ほぼXとYとの間」などの語句は、「ほぼXとほぼYとの間」を意味する。本明細書で使用される「ほぼXからYまで」などの語句は、「ほぼXからほぼYまで」を意味する。
【0043】
1つの要素が別の要素「の上」にある、別の要素に「装着されている」、別の要素に「接続」されている、別の要素と「結合」されている、別の要素に「接触している」などとして言及されるとき、それは、別の要素の上に直接ある、別の要素に装着される、別の要素に接続される、別の要素と結合される、又は別の要素と接触している場合があり、或いは介在する要素が存在する場合もあることが理解されるであろう。対照的に、1つの要素が、例えば、別の要素の「上に直接ある」、別の要素に「直接装着されている」、別の要素に「直接接続」されている、別の要素と「直接結合」されている、又は別の要素と「直接接触している」などとして言及されるとき、介在する要素は存在しない。別の特徴に「隣接して」配設された構造又は特徴に対する言及は、隣接する特徴に重なる、又はその下にある部分を有する場合があることは、当業者によって同様に理解されるであろう。
【0044】
空間関連用語「下」、「~より下に」、「下方」、「上」、「上方」、「側方」、「左」、「右」などは、図中に例示されるような、1つの要素又は特徴の別の要素又は特徴に対する関係性を記載するための記述を容易にするために本明細書で使用されてよい。空間関連用語は、図中に描かれる配向に加えて、使用中又は動作中のデバイスの異なる配向を包含することが意図されていることが理解されるであろう。例えば、図中のデバイスが反転された場合、他の要素又は特徴の「下」又は「真下」として記載される要素はこのとき、他の要素又は特徴の「上」に配向されることになる。デバイスは、違った方法で配向されてもよく(90度回転される、又は他の配向で)、本明細書で使用される相対的な空間関係の記述語はこれに従って解釈される。
【0045】
通常、回路遮断器の役割は、過負荷又は短絡などの異常な状態が起こった場合に、主回路を素早く断路することで、主回路の他の回路部品を保護することである。主回路上の導体が、回路遮断器を通じて延在しており、回路遮断器の切断機構は、導体を切断して、主回路を断路することが可能である。
【0046】
導体が回路遮断器の切断機構によって切断されたときに、導体の切断区域にアークが生成される場合がある。そのようなアークは、回路遮断器の動作にとって不利益であり、回路遮断器が主回路を上手く断路するのを失敗させる場合がある。したがって、導体が回路遮断器の切断機構によって切断されるときに、導体の切断区域に対して消弧動作を行うことによって回路遮断器の切断動作を保証するために、消弧機構が回路遮断器内に通常設けられる。回路遮断器の信頼性を向上させるために、回路遮断器の消弧作用をできるだけ高めることが、この分野において望まれる場合が多い。
【0047】
本出願による回路遮断器は、革新的な消弧構造を通じて、極めて著しい、驚異的ですらある消弧作用を提供する。
【0048】
本出願のいくつかの実施例による回路遮断器が添付の図面を参照して以下に詳細に記載される。
【0049】
図1は、本出願のいくつかの実施例による回路遮断器1の斜視図であり、図2は、本出願のいくつかの実施例による回路遮断器1の分解組立図である。図1図2に示されるように、本出願のいくつかの実施例による回路遮断器1は、導体10と、筐体20とを含む。導体10は、保護されることになる主回路(図示せず)内に接続され、筐体20を通じて延在する。回路遮断器1は、主回路において過負荷又は短絡などの異常な状態が起こったときに導体10を切断して主回路を断路するように構成されている。
【0050】
記載を容易にし、明確にするために、互いに直交する、回路遮断器1の長手方向及び横方向が規定される。長手方向は、例えば、図2が配置されるページの上方向と下方向であり、横方向は、例えば、図2が配置されるページの左方向と右方向である。例えば、導体10は、横方向に延在するように記載されてよい。
【0051】
筐体20は、動作室及び消弧室を画定してよい。導体10は、動作室と消弧室との間に横方向に延在してよい。いくつかの実施例において、示されるように、筐体20は、第1の筐体220及び第2の筐体240を含んでよい。第1の筐体220は、動作室222を画定してよく、第2の筐体240は、消弧室242を画定してよい。第1の筐体220及び第2の筐体240は、例えば、ボルト230によって一緒に結合されてよく、導体10は、横方向に筐体20を通じて延在するように、第1の筐体220と第2の筐体240との間に設けられてよい。
【0052】
筐体20の上記の実例は単なる例示であり限定ではなく、他の好適な筐体構成を容易に予想することができることを理解されたい。例えば、筐体20は、導体10が横方向に筐体20を通じて延在することで、筐体20の内部空間を動作室と消弧室とに分割する、単一の閉鎖筐体であってもよい。
【0053】
いくつかの実施例において、図2に示されるように、筐体20はまた、第2の筐体240が第1の筐体220と外側筐体260との間になるように、長手方向に第2の筐体240より下に配設される外側筐体260を含んでもよい。外側筐体260は、例えば、スナップ嵌合によって第2の筐体240に結合されることで、第2の筐体240の内部空間を閉鎖して消弧室242を形成するのを助けてもよい。
【0054】
いくつかの実施例において、図2に示されるように筐体20はまた、第1の筐体220を覆うように構成され得るキャップ280を任意選択で含んでもよい。
【0055】
図3図8に示されるように、本出願のいくつかの実施例による回路遮断器1は、動作室222内に設けられ、導体10に対して切断動作を行うように構成された切断機構30を含む。切断機構30は、導体10に面するように設けられ、動作室222内で長手方向に摺動することが可能なパンチ320を含む。切断機構30は、導体10に対して作用するように長手方向にパンチ320を摺動させることによって、動作室222と消弧室242との間で筐体20を通じて延在する導体10を切断するように構成されている。
【0056】
いくつかの実施例において、図3図5及び図7に示されるように、切断機構30は、主回路において過負荷又は短絡などの異常な状態が起こったときに、作動信号を受信すると作動されて導体10に向けてパンチ320を移動させる(例えば押す)ことで、パンチ320が導体10に対して作用して導体10を切断することが可能になるアクチュエータ340を含んでよい。アクチュエータ340は、雷管の形態であってよく、例えば、それは、作動信号の受信時に起爆される。爆発によって生成された気体がパンチ320を導体10に向けて推し進める。アクチュエータ340はまた、当分野における任意の他の好適なアクチュエータを利用してもよく、雷管に限定されないことを理解されたい。
【0057】
本出願のいくつかの実施例によると、図2図8に示されるように、切断機構30のパンチ320は、第1のパンチ322と第2のパンチ324との間に溝360を画定するように互いに間隔を空けられた第1のパンチ322及び第2のパンチ324を含んでよい。例示される実施例では、第1のパンチ322及び第2のパンチ324は共に、長手方向に延在する円柱又はロッドであり、それらの間に画定された溝360もまた、長手方向に延在しており、溝360の開放端部は導体10に面している。
【0058】
第1の切断区域120及び第2の切断区域140が、導体10上に形成されてよい。切断点130が、第1の切断区域120と第2の切断区域140との間に形成される、すなわち第1の切断区域120及び第2の切断区域140は、切断点130によって互いに接続されている。第1の切断区域120は、長手方向に第1のパンチ322と位置合わせされており、第2の切断区域140は、長手方向に第2のパンチ324と位置合わせされており、第1の切断区域120と第2の切断区域140との間の切断点130は、長手方向に第1のパンチ322と第2のパンチ324との間の溝360と位置合わせされている。
【0059】
切断点130の厚さは、第1の切断区域120及び第2の切断区域140の厚さより小さくすることができ、第1の切断区域120及び第2の切断区域140が応力を受けたときに、導体10が切断点130において破断されるのを可能にする。第1の切断区域120及び第2の切断区域140の厚さは、応力を受けたときの第1の切断区域120及び第2の切断区域140の変形を可能にするために、導体10の残りの厚さより小さくてよい。
【0060】
よって、主回路において過負荷又は故障などの異常な状態が起こったときに、第1のパンチ322及び第2のパンチ324は、アクチュエータ340によって作動されて、長手方向に導体10に向けて移動することで、第1のパンチ322が、第1の切断区域120に当接し、これに対して作用し、第2のパンチ324が、第2の切断区域140に当接し、これに対して作用することになる。第1のパンチ322及び第2のパンチ324は、長手方向に移動し続けるため、導体10は、第1の切断区域120と第2の切断区域140との間の切断点130において破断され、図5図8に示されるように、第1の切断区域120は、切断点130の反対側の第1の切断区域120の端部の周りで下方に曲がり、第2の切断区域140は、切断点130の反対側の第2の切断区域140の端部の周りで下方に曲がる。本出願による回路遮断器1は、単一点切断方式を採用し、この方式は、回路遮断器1のサイズを横方向に縮小することができ、コンパクトな構造であり、空間の無駄がない。
【0061】
横方向の第1のパンチ322の幅は、横方向の第1の切断区域120の長さと実質的に等しいか、それよりわずかに小さくてもよく、横方向の第2のパンチ324の幅は、横方向の第2の切断区域140の長さと実質的に等しいか、それよりわずかに小さくてもよく、そのため、第1の切断区域120及び第2の切断区域140は、横方向に延在する状態から、実質的に長手方向に延在し第1のパンチ322及び第2のパンチ324の側部にそれぞれ隣接するまで下方に曲げることができる。このように第1の切断区域120及び第2の切断区域140が完全に曲がるようにすることで、横方向の回路遮断器1のサイズの縮小を促進する。
【0062】
導体10が切断されるとき、電気アークが、第1の切断区域120の切断端部(切断前の切断点130における端部)と第2の切断区域140の切断端部(切断前の切断点130における端部)との間に生成されてよい。上記に記載したように、このアークは、回路遮断器の動作にとって不利益であり、回路遮断器が主回路を上手く断路するのを失敗させる場合がある。
【0063】
本出願のいくつかの実施例によると、図2図10に示されるように、回路遮断器1の消弧室242は、消弧媒体40が充填されていてよく、これは導体10が切断されるときに生成されたアークを有利に消散させるためにワイヤ・メッシュの形態であってよい。導体10が切断されるとき、第1の切断区域120の切断端部と第2の切断区域140の切断端部との間に生成された電気アークは、ワイヤ・メッシュによって少なくとも部分的に消散されてよい。消弧室242は、導体10、第2の筐体240及び任意選択で外側筐体260などによって、実質的に囲まれた空間として形成されることで、消弧室242内の消弧媒体40を通るアークの消散を促進する。いくつかの実施例において、導体10が切断点130において破断された後に、第1のパンチ322及び第2のパンチ324は、図5及び図7に示されるように長手方向に移動を続けることによって消弧室242内まで延在してよい。任意選択で、消弧媒体40は、第1のパンチ322及び第2のパンチ324が最終的に消弧媒体40と接触することができるように、消弧室242内に充填されていてよい。
【0064】
本出願のいくつかの実施例によると、図3図10に示されるように、邪魔板420が、回路遮断器1の消弧室242内に設けられてよい。邪魔板420は、絶縁材料で作成されたシートの形態であってよい。邪魔板420は、長手方向に延在することで、消弧室242を第1の消弧室242aと、第2の消弧室242bとに分割する。いくつかの実施例において、第1の消弧室242a及び第2の消弧室242bは、邪魔板420によって互いに隔てられてよい。第1の消弧室242a及び第2の消弧室242bは共に、図9図10に示されるようにワイヤ・メッシュの形態の消弧媒体40が充填されている。いくつかの実施例において、導体10が切断点130において破断された後に、図5図8に示されるように、第1のパンチ322は、長手方向に移動し続けることによって第1の消弧室242a内まで延在してよく、第2のパンチ324は、長手方向に移動し続けることによって第2の消弧室242b内まで延在してよい。任意選択で、消弧媒体40は、第1のパンチ322が最終的に第1の消弧室242a内の消弧媒体40と接触し、第2のパンチ324が最終的に第2の消弧室242b内の消弧媒体40と接触するように、第1の消弧室242a及び第2の消弧室242b内に充填されていてもよい。
【0065】
本出願のいくつかの実施例によると、図3図8に示されるように、邪魔板420は、導体10が切断点130において破断された後に、邪魔板420が溝360に挿入され得るように、長手方向に沿って切断点130及び溝360と位置合わせされているように構成されていてよい。横方向の邪魔板420の厚さは、邪魔板420が溝360へ挿入され溝360を実質的に埋めるのを促進するように、横方向の溝360の幅と実質的に等しいか、又はそれよりわずかに小さくてよい。いくつかの実施例において、邪魔板420は、導体10の切断点130から長手方向に間隔を空けられる、すなわち、切断点130における導体10の破断を促進するための距離だけ、すなわち、邪魔板420が切断点130における導体10の破断と干渉しない、又は破断を阻止しないような距離だけ間隔を空けられる。
【0066】
長手方向の溝360の深さは、長手方向のパンチ320の下方移動が終了したときに、邪魔板420が溝360の中まで十分に延在する、又は十分に挿入されることができるように、長手方向の邪魔板420の寸法に関連して設計されてよい。例えば、邪魔板420の頂部は、溝360の底部に当接してよい、又はその付近であってもよい。邪魔板420の頂部が溝360の底部に当接する場合、邪魔板420はまた、長手方向のパンチ320のさらなる下方移動を止めるための止め具部材として作用してもよい。
【0067】
回路遮断器1の切断が完了すると、すなわち邪魔板420が溝360に十分に挿入されるまでパンチ320が長手方向に下方に移動すると、沿面経路が、導体10の第1の切断区域120の切断端部(切断前の切断点130における端部)と、第2の切断区域140の切断端部(切断前の切断点130における端部)との間に画定され、この沿面経路は、第1の切断区域120の切断端部から、第1のパンチ322の端部を通り、溝360の底部及び邪魔板420の頂部を通り、そして第2のパンチ324の端部を通って第2の切断区域140の切断端部まで延在する。
【0068】
消弧室242が、邪魔板420によって、互いに隔てられた第1の消弧室242aと第2の消弧室242bとに分割されることで、邪魔板420が溝360に挿入されるときに、第1の切断区域120及び第2の切断区域140は、互いに隔てられ、アーク長を延長し、アーク抵抗を増大する。溝360と邪魔板420の組み合わせによって形成された曲がりくねった沿面経路は、第1の切断区域120と第2の切断区域140との間の伝導の可能性をさらに低減させる。溝360及び邪魔板420の協働が、第1の切断区域120から第2の切断区域140までの沿面距離を増大させ、絶縁抵抗を著しく向上させる。
【0069】
第1のパンチ322及び第2のパンチ324が、導体10を切断するように第1の切断区域120及び第2の切断区域140に対して作用した後、図5図6に示されるように邪魔板420は、溝360に挿入され始める。このとき、第1のパンチ322及び第2のパンチ324は、長手方向に移動し続けるため、第1のパンチ322の端部及び周辺部における空気圧並びに第2のパンチ324の端部及び周辺部における空気圧が増大し、これにより、付近の気体流を全方向に押し、流れる気体がアークを消弧媒体40に向けて吹きつけ、アークを消弧媒体40を介して消散させることができる。
【0070】
しかしながら数回のテスト及び研究から、本発明者等は、第1のパンチ322及び第2のパンチ324が長手方向に沿って移動するために、押された気体の大半が長手方向に沿って移動することになり、消弧室242内で乱流を形成し、消弧プロセス中に大きな逆方向の気体圧力を生成することを見出した。このような移動によって、気体は、短期間の中で効率的に消弧室242内の消弧媒体40と十分に接触しない。
【0071】
これに基づいて、本発明者等は、気体が短期間で消弧室242内の消弧媒体40と効率的且つ適切に接触することを可能にする手段を見出そうとした。回路遮断器1の消弧作用をさらに向上させるために、本出願のいくつかの実施例によると、回路遮断器1には、消弧室242内で気体の流れを案内するための気体流案内機構50を備えてもよい。
【0072】
図9図10に示されるように、本出願のいくつかの実施例によると、気体流案内機構50が、消弧室242内の消弧媒体40の周りに設けられてよく、導体10が切断機構30によって切断されるときに、第1のパンチ322及び第2のパンチ324などのパンチ320からの気体を、消弧室242内の消弧媒体40を通るように誘導するように構成されている。気体流案内機構50は、消弧媒体40の周りに設けられるため、気体(燃えているアークによって生成される高温気体)が第1のパンチ322及び第2のパンチ324から気体流案内機構50へと案内されるときに、気体が消弧室242内の消弧媒体40と十分に接触することを可能にする。
【0073】
第1のパンチ322及び第2のパンチ324などの切断機構30のパンチ320から気体流案内機構50までの気体流案内経路が画定され、第1のパンチ322の端部及び周辺部における増大した気体圧力並びに第2のパンチ324の端部及び周辺部における増大した気体圧力のために、気体は気体流案内経路に沿って気体流案内機構50まで流れる。気体流案内機構50が消弧媒体40の周りに完全に配設される場合、消弧媒体40は、気体流案内経路内にあり、よって気体が、短時間で、効率的なやり方で、消弧室242内の消弧媒体40と十分に接触するのを促進する。
【0074】
本出願のいくつかの実施例によると、図9図10に示されるように、気体流案内機構50は、消弧媒体40の周りに設けられた複数の空洞520を含む。導体10が切断機構30によって切断されるとき、第1のパンチ322の周辺部及び端部並びに第2のパンチ324の周辺部及び端部における増大した空気圧によって、第1のパンチ322の周辺部及び端部と、第2のパンチ324の周辺部及び端部と空洞520との間の圧力差が形成され、その結果、気体を第1のパンチ322及び第2のパンチ324から消弧媒体40の周りに配設された複数の空洞420へと誘導することができ、このプロセスの中で、気体を消弧媒体40と十分に接触させて気体中のアークを消散させることになる。
【0075】
例示の実施例では、12個の空洞520が消弧媒体40の周りに設けられる。これは単なる例示であり限定ではないこと、及び空洞520の数は具体的な用途に従って選択することができることを理解されたい。これらの空洞520は、消弧媒体40の周りに均等に分散されることで、気体が消弧媒体40を均一に通過することを促進してよい。これらの空洞520は、同じ形状及び同じ構成を採ることができる、又はそれらは、第2の筐体240の実際の構成に応じて、例えば、消弧媒体40と第2の筐体240の内壁との間の空間及び構造に適合しフィットするように設計することもできる。
【0076】
本出願のいくつかの実施例によると、各空洞520は、気体が消弧媒体40を通過した後、入口540を介して空洞520に進入するように、消弧媒体40に面するように配置された入口540を備えてもよい。いくつかの実施例において、入口540は、長手方向に沿って延在する細長い隙間の形態であってよい。
【0077】
本出願のいくつかの実施例によると、図3図8に示されるように、回路遮断器1はまた、支持部品60を含んでもよく、支持部品60は、導体10と第2の筐体240との間に設けられ、とりわけ導体10と消弧室242との間に設けられる。支持部品60は、消弧室242を覆うことができ、導体10が切断機構30によって切断されるときに、第1の切断区域120及び第2の切断区域140以外の導体10のいかなる部分の変形も阻止するために導体10を支持するために使用される。
【0078】
切断機構30のパンチ320の移動、並びに第1の切断区域120及び第2の切断区域140の下方の屈曲を促進するために、第1の切断区域120及び第2の切断区域140に対応する支持部品60の部分に開口620が形成される場合がある。開口620は、導体10の第1の切断区域120及び第2の切断区域140が支持部品60によって支持されないように構成されていてよい。例えば、開口620は、横方向の第1の切断区域120及び第2の切断区域140の長さの合計よりもわずかに大きくなるようにサイズを決めることができる。
【0079】
導体10が切断機構30のパンチ320によって切断されるとき、図5図8に示されるように導体10の第1の切断区域120及び第2の切断区域140は、開口620を通じて下方に曲げられ、第1のパンチ322及び第2のパンチ324は、開口620を通じて、消弧室242内まで延在する。
【0080】
本出願のいくつかの実施例によると、支持部品60は、図3図8に示されるように、開口620のところに形成された第1の受け部640と第2の受け部642とを備えてよい。例えば、段差部分が、横方向に開口620の向かい合わせの側部に形成されて、第1の受け部640及び第2の受け部642を形成してもよい。導体10が切断機構30によって切断されるときに、導体10は、切断点130において破断され、第1の切断区域120及び第2の切断区域140は下方に曲げられ、その結果、第1の切断区域120は第1の受け部640に受けられるように下方に曲げられ、第2の切断区域140は第2の受け部642に受けられるように下方に曲げられる。十分に曲げられた後、図5図8に示されるように、第1の切断区域120は、第1の受け部640の側部に当接し、第1の受け部640の側部と第1のパンチ322の側部との間に挟まれ、第2の切断区域140は、第2の受け部642の側部に当接し、第2の受け部642の側部と第2のパンチ324の側部との間に挟まれる。第1の受け部640及び第2の受け部642は、第1のパンチ322及び第2のパンチ324と協働して導体10の第1の切断区域120及び第2の切断区域140を閉じ込めるのを助ける。
【0081】
以下は、図3図8を参照した本出願のいくつかの実施例による回路遮断器1の動作の簡単な説明である。図3図4は、通常動作状態の回路遮断器1を例示し、図5図6は、切断動作状態の回路遮断器1を例示し、図7図8は、切断完了状態の回路遮断器1を例示する。
【0082】
図3図4に示されるように、通常動作状況においては、主回路において過負荷、故障又は短絡などの異常な状態は生じておらず、回路遮断器1は、主回路において遮断動作を行わず、切断機構30は、導体10に対して作用することなく、導体10より上にある。
【0083】
図5図6に示されるように、主回路において過負荷又は短絡などの異常な状態が生じている場合、回路遮断器1は、通常動作状態から切断動作状態に切り替えられる。具体的には、作動信号が、アクチュエータ340によって受信され、その後、アクチュエータ340が、長手方向に導体10に向かって第1のパンチ322及び第2のパンチ324を移動させるように作動されることで、第1のパンチ322が第1の切断区域120に当接し、これに対して作用し、第2のパンチ324が第2の切断区域140に当接し、これに対して作用する。第1のパンチ322及び第2のパンチ324が長手方向に移動し続けるため、導体10は、第1の切断区域120と第2の切断区域140との間の切断点130において破断され、第1の切断区域120は、切断点130の反対側の第1の切断区域120の端部の周りで下方に曲がり、第2の切断区域140は、切断点130の反対側の第2の切断区域140の端部の周りで下方に曲がる。任意選択で、第1の切断区域120は、第1の受け区域640に受けられるように下方に曲げられ、第2の切断区域140は、第2の受け区域642に受けられるように下方に曲げられる。十分に曲げられた後、第1の切断区域120は、第1の受け部640の側部に当接し、第1の受け部640の側部と第1のパンチ322の側部との間に挟まれ、第2の切断区域140は、第2の受け部642の側部に当接し、第2の受け部642の側部と第2のパンチ324の側部との間に挟まれる。この時点で、邪魔板420は、溝360に挿入され始める。第1のパンチ322及び第2のパンチ324が長手方向に移動し続けるため、第1のパンチ322の周辺部及び端部における空気圧及び第2のパンチ324の周辺部及び端部における空気圧が増大し、これにより付近の気体が図5の矢印によって示されるように、気体流案内機構50によって、気体流案内経路に沿って消弧媒体40を通り、気体流案内機構50の空洞520に入るように押される。
【0084】
図7図8に示されるように、第1のパンチ322及び第2のパンチ324が長手方向に移動し続けるため、邪魔板420は、最終的に溝360に十分に挿入され、回路遮断器1は、切断動作状態から切断完了状態に切り替わる。この時点で、導体10は、破断され、生成されたアークは消散され、これにより主回路は、完全に断路される。
【0085】
本出願による別の実施例が図11図17を参照して以下に記載される。図11図16は、それぞれ通常動作状態、切断動作状態及び切断完了状態における本出願による回路遮断器1の断面図及び拡大図を示す。図11図16に示される回路遮断器の実施例は、図3図8に示される回路遮断器の実施例と実質的に同じであり、図11図16に示される回路遮断器と図3図8に示される回路遮断器との違いのみを以下に記載する。明らかに矛盾していたり、対立したりしていなければ、図3図8に示される回路遮断器の実施例の個々の特徴は、図11図16に示される回路遮断器の実施例に適用されてよい。
【0086】
図11図16に示されるように、回路遮断器1は、動作室222内に設けられ、導体10に対して切断動作を行うように構成された切断機構30を含む。切断機構30は、導体10に面するように設けられ、動作室222内で長手方向に摺動することが可能なパンチ320を含む。切断機構30は、導体10に対して作用するように長手方向にパンチ320を摺動させることによって、動作室222と消弧室242との間で筐体20を通じて延在する導体10を切断するように構成されている。
【0087】
第1の切断区域120及び第2の切断区域140が、導体10上に形成されてよい。切断点130が、第1の切断区域120と第2の切断区域140との間に形成される、すなわち第1の切断区域120と第2の切断区域140は、切断点130によって互いに接続されている。切断点130の厚さは、第1の切断区域120及び第2の切断区域140の厚さより小さくすることができ、第1の切断区域120及び第2の切断区域140が応力を受けたときに、導体10が切断点130において破断されるのを可能にする。第1の切断区域120及び第2の切断区域140の厚さは、応力を受けたときの第1の切断区域120及び第2の切断区域140の変形を可能にするために、導体10の残りの厚さより小さくてよい。
【0088】
パンチ320の端部は、長手方向に第1の切断区域120、第2の切断区域140及び切断点130と位置合わせされており、パンチ320の端部の中心は、切断点130と位置合わせされている。例示の実施例では、パンチ320の端部の中心部分は、パンチ320の端部のいずれかの側の縁部より長手方向に導体10に近いため、パンチ320が長手方向に導体10に対して切断動作を行うときに、パンチ320の端部の中心部分は、導体10と最初に接触し、具体的には、導体10の切断点130と接触して、切断点130における導体10の破断を促進する。
【0089】
横方向のパンチ320の幅は、横方向の第1の切断区域及び第2の切断区域140の両方の長さと実質的に等しいか、それよりわずかに小さくてもよく、そのため、第1の切断区域120及び第2の切断区域140は、横方向に延在する状態から、実質的に長手方向に延在しパンチ320の向かい合う側部にそれぞれ隣接するまで下方に曲げることができ、同時に、支持部品60の第1の受け部640及び第2の受け部642にそれぞれ受けられ得る。十分に曲げられた後、図13図16に示されるように、第1の切断区域120は、第1の受け部640の側部に当接し、第1の受け部640の側部とパンチ320の一方の側部との間に挟まれ、第2の切断区域140は、第2の受け部642の側部に当接し、第2の受け部642の側部とパンチ320の他方の側部との間に挟まれる。
【0090】
受け部材440が、回路遮断器1の消弧室242内に設けられてもよい。受け部材440は、パンチ320及び切断点130と長手方向に位置合わせされており、導体10がパンチ320によって切断された後に、パンチ320を受けるように構成されている。パンチ320が、受け部材440によって受けられた後、第1の消弧室242a及び第2の消弧室242bは、受け部材440及びパンチ320によって互いに隔てられてよい。
【0091】
受け部材440は、導体10の切断点130から長手方向に間隔を空けられてよい、すなわち切断点130における導体10の破断を促進するための距離だけ、すなわち、受け部材440が切断点130において導体10の破断と干渉しない、又は破断を阻止しないような距離だけ間隔を空けられてよい。
【0092】
受け部材440は、消弧室242内の中心に置かれてよく、導体10がパンチ320によって切断された後にパンチ320が挿入され得る、パンチ320に面する溝を備えてよい。受け部材440は、アーク伝導を隔離する役割を果たすために、絶縁材料で作成することができる。
【0093】
長手方向の受け部材440の溝の深さは、長手方向のパンチ320の下方移動の終了時に、パンチ320が受け部材440の溝の中まで十分に、若しくは
部分的に延在する、又は挿入されることができるように、例えば、パンチ320の端部が受け部材440の溝の底部に当接する、又は溝の底部に近づくことができるように、長手方向のパンチ320のサイズに関連して設計されてよい。パンチ320の端部が受け部材440の溝の底部に当接する場合、受け部材440はまた、長手方向のパンチ320のさらなる下方移動を止めるための止め具として作用してもよい。
【0094】
回路遮断器1の切断が完了すると、すなわちパンチ320が受け部材440の溝に挿入されるまでパンチ320が長手方向に下方に移動すると、導体10の第1の切断区域120の切断端部(切断前の切断点130における端部)と第2の切断区域140の切断端部(切断前の切断点130における端部)との間に沿面経路が画定され、沿面経路は、第1の切断区域120の切断端部からパンチ320の端部を通って第2の切断区域140の切断端部まで延在する。
【0095】
この実施例では、図17に示されるように、第1の消弧室242a及び第2の消弧室242bの周りに均等に分散された8つの空洞520が存在する。8つの空洞520のうちの4つは、入口540を介して消弧室242に接続され、その空洞520のうちの2つは、入口540を介して第1の消弧室242aと連通しており、他の2つの空洞520は、入口540を介して第2の消弧室242bと連通している。8つの空洞520全ては、入口540を介して消弧室242と連通していてもよく、例えば、4つの空洞520は、第1の消弧室242aと連通し、他の4つの空洞520は、第2の消弧室242bと連通していることが当業者によって理解されるべきである。図17に示される実施例での空洞520の配置は、図3図8の実施例にも適用され得ることは当業者によって理解されるであろう。
【0096】
図11図12に示されるように、通常動作状況においては、主回路において過負荷、故障又は短絡などの異常な状態が生じておらず、回路遮断器1は、主回路において遮断動作を行わず、切断機構30は、導体10に対して作用することなく、導体10より上にある。
【0097】
図13図14に示されるように、主回路において過負荷又は短絡などの異常な状態が生じている場合、回路遮断器1は、通常動作状態から切断動作状態に切り替えられる。具体的には、作動信号が、アクチュエータ340によって受信され、その後、アクチュエータ340が、長手方向に導体10に向かってパンチ320を移動させるように作動されることで、パンチ320は最初に切断点130に当接し、これに対して作用し、その後、第1の切断区域120及び第2の切断区域140に当接し、これらに対して作用し、第1の切断区域120と第2の切断区域140との間の切断点130において導体10が破断されるようにする。第1の切断区域120は、切断点130の反対側の第1の切断区域120の端部の周りで下方に曲げられ、第2の切断区域140は、切断点130の反対側の第2の切断区域140の端部の周りで下方に曲げられる。この時点で、パンチ320は、受け部材440に向かって長手方向に移動し続け、消弧室242内の消弧媒体と接触させることができる。この間、パンチ320の周りの気体圧力が増大し、これにより、気体流案内機構50により、付近の気体を気体流案内経路に沿って消弧媒体40を通り気体流案内機構50の空洞520に入るように押す。
【0098】
図15図16に示されるように、パンチ320は長手方向に移動し続けるため、パンチ320は、最終的に受け部材440の溝に十分に挿入され、回路遮断器1は、切断動作状態から切断完了状態に切り替わる。この時点で、導体10は破断され、生成されたアークは消散され、これにより主回路は完全に断路される。
【0099】
本出願によるさらに別の実施例が、図18図24を参照して以下に記載される。図18図24は、通常動作状態、切断動作状態及び切断完了状態それぞれにおける、本出願による回路遮断器1の断面図及び拡大図である。図18図24に示される回路遮断器の実施例は、図3図8及び図11図17に示される回路遮断器の実施例と実質的に同じであり、図18図24に示される回路遮断器と図3図8及び図11図17に示される回路遮断器との違いのみが以下に記載される。明らかに矛盾していたり、対立したりしていなければ、図3図8及び図11図17に示される回路遮断器の実施例の個々の特徴は、図18図24に示される回路遮断器の実施例に適用されてよい。
【0100】
図18図23に示されるように、回路遮断器1は、動作室222内に設けられ、導体10に対して切断動作を行うように構成された切断機構30を含む。切断機構30は、導体10に面するように設けられ、動作室222内で長手方向に摺動することが可能なパンチ320を含む。切断機構30は、導体10に対して作用するように長手方向にパンチ320を摺動させることによって、動作室222と消弧室242との間で筐体20を通じて延在する導体10を切断するように構成されている。
【0101】
導体10は、切断区域110と切断点130が互いに接続された状態で形成される。切断点130の厚さは、切断区域110の厚さより小さくすることができ、切断区域110が応力を受けたときに、導体10が切断点130において破断されるのを可能にする。パンチ320の端部は、長手方向に切断区域110と位置合わせされている。切断区域110の厚さは、応力を受けたときの切断区域110の変形を可能にするために、導体10の残りの厚さより小さくてよい。
【0102】
横方向のパンチ320の幅は、横方向の切断区域110の長さと実質的に等しいか、それよりわずかに小さくてもよく、そのため、切断区域110は、横方向に延在する状態から、実質的に長手方向に延在し、パンチ320の側部に隣接するまで下方に曲げることができる。この実施例では、支持部品60は、図18図23に示されるように受け部644を含んでよく、曲げられた切断部分110は、支持部品60の受け部644に受けられてよい。十分に曲げられた後、図20図23に示されるように切断部分110は、受け部644の側部に当接し、受け部644の側部とパンチ320の側部との間に挟まれる。
【0103】
受け部材440が、回路遮断器1の消弧室242内に設けられてもよい。受け部材440は、パンチ320及び切断区域110と長手方向に位置合わせされており、導体10がパンチ320によって切断された後に、パンチ320を受けるように構成されている。パンチ320が受け部材440によって受けられた後、第1の消弧室242a及び第2の消弧室242bは、受け部材440及びパンチ320によって互いに隔てられてよい。
【0104】
受け部材440は、導体10の切断区域110から長手方向に間隔を空けられてよい、すなわち切断点130における導体10の破断を促進するための距離だけ、すなわち、受け部材440が切断点130において導体10の破断と干渉しない、又は破断を阻止しないような距離だけ間隔を空けられてよい。
【0105】
受け部材440は、図18図23に示されるように、消弧室242内に偏心して配設されてよい。したがってパンチ320は、動作室222内に偏心して配設されてよい。導体10がパンチ320によって切断された後、図22図23に示されるようにパンチ320は、受け部材440に当接してよい。受け部材440は、アーク伝導を隔離する役割を果たすために、絶縁材料で作成することができる。
【0106】
長手方向の受け部材440のサイズは、長手方向のパンチ320の下方移動が終了したときに、パンチ320が受け部材440に当接し得るように、長手方向のパンチ320のサイズに関連して設計されてよい。例えば、パンチ320の端部は、受け部材440の頂部に当接してよい、又は頂部に衝突してもよい。パンチ320の端部が受け部材440に当接する場合、受け部材440はまた、パンチ320の長手方向のさらなる下方移動を止めるための止め具として作用してもよい。
【0107】
回路遮断器1の切断が完了すると、すなわちパンチ320が受け部材440に完全に当接するまでパンチ320が長手方向に下方に移動すると、導体10の切断区域110の切断端部(切断前の切断点130における端部)と切断点130との間に沿面経路が画定される。沿面経路は、断路区域110の切断端部から、パンチ320の端部を通り切断点130まで延在する。
【0108】
この実施例では、図24に示されるように、第1の消弧室242a及び第2の消弧室242bの周りに分散された9つの空洞520が存在する。9つの空洞520は、互いにサイズが均一ではなく、消弧室242の周りに均一にも、対称的にも配置されていない。
【0109】
空洞520及び消弧室242は、複数のやり方で互いに連通することができる。図24に示される実施例では、空洞520のうちの2つは、入口540を通って第1の消弧室242aと連通しており、連通ポート560を通ってその各側にある空洞520と連通しているため、各側の空洞520は、第1の消弧室242aと間接的に連通している。空洞520のうちの3つは、第2の消弧室242bと直接連通していてもよく、3つの空洞520のいずれかの側の2つの空洞520は、入口540を介して第2の消弧室242bと連通している。図24に示される実施例における空洞520の配置は、図3図8並びに図11図16の実施例にも適用することができることが当業者によって理解されるであろう。
【0110】
図18図19に示されるように、通常動作状況においては、主回路において過負荷、故障又は短絡などの異常な状態が生じておらず、回路遮断器1は、主回路において遮断動作を行わず、切断機構30は、導体10に対して作用することなく、導体10より上にある。
【0111】
図20図21に示されるように、主回路において過負荷又は短絡などの異常な状態が生じている場合、回路遮断器1は、通常動作状態から切断動作状態に切り替えられる。具体的には、作動信号が、アクチュエータ340によって受信され、その後、アクチュエータ340が、長手方向に導体10に向かってパンチ320を移動させるように作動されることで、パンチ320は切断区域110に当接し、これに対して作用し、導体10が切断点130において破断され、切断区域110が、切断点130の反対側の切断区域110の端部の周りで下方に曲げられるようにする。この時点で、パンチ320は、受け部材440に向かって長手方向に移動し続け、消弧室242内の消弧媒体と接触させることができる。この間、パンチ320の周りの気体圧力が増大し、これにより、気体流案内機構50により、付近の気体を気体流案内経路に沿って消弧媒体40を通り気体流案内機構50の空洞520に入るように押す。
【0112】
図22図23に示されるように、パンチ320は長手方向に移動し続けるため、パンチ320は、最終的に受け部材440に十分に当接し、回路遮断器1は、切断動作状態から切断完了状態に切り替わる。この時点で、導体10は破断され、生成されたアークは消散され、これにより主回路は、完全に断路される。
【0113】
「実施例1」
本発明者等は、電気車両バッテリ・モジュールが動作中に故障する状況をシミュレートし、本出願による回路遮断器1をテストし、テスト結果は、本出願による回路遮断器1が、主回路を素早く断路することができ、主回路を断路した後の絶縁抵抗性能が良好であることを示した。
【0114】
テスト原則:回路は、バッテリ、抵抗器、スイッチ及び回路遮断器1からなる。スイッチが閉じられたとき、回路は瞬間的に高電流を生成し、回路遮断器1は、回路を断路するためにトリガされて保護効果を達成する。
【0115】
テスト条件:テスト電圧は1000V、テスト電流は13KA、テスト・ループ・インダクタンスは15.4uHである。
【0116】
テスト結果:テスト後の絶縁インピーダンス>10GΩ。
【0117】
図25は、本出願のいくつかの実施例による回路遮断器についてのテスト結果のグラフを例示する。図面から見ることができるように、(1000Vシステム)回路において短絡が起こったとき、電流は瞬時に13KAまで増大する。トリガ信号が受信されたとき、回路遮断器1は、回路を断路し始める。回路遮断器1の優れた消弧作用により、回路の過電圧は瞬時に2000Vまで上がり、電流は急速に0Aまで減衰し、最終的にアークが消滅され、回路電圧は、システム電圧で安定する。
【0118】
市販の回路遮断器で同じテストを行うと、テスト結果は基本的に、絶縁インピーダンスは10MΩを超えることができるが、本出願による回路遮断器1の10GΩを超える絶縁インピーダンスに達するにはほど遠い。理解することができるように、本出願による回路遮断器1で獲得された遮断効果は、一部の既存の回路遮断器と比較して注目すべきものであり、驚くべき技術的効果と言うことができ、既存の製品を数桁も上回っている。
【0119】
本出願の例示の実施例が記載されてきたが、当業者は、本出願の新規の教示及び利点から著しく逸脱することなく、例示の実施例において多くの変形形態及び修正形態が可能であることを容易に理解するべきである。したがって、全てのそのような変形形態及び修正形態は、特許請求の範囲において定義されるような本出願の範囲内に含まれることが意図されている。本出願は、以下の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の均等物が含まれる。
【符号の説明】
【0120】
1 回路遮断器
10 導体
120 第1の切断区域
130 切断点
140 第2の切断区域
110 切断区域
20 筐体
220 第1の筐体
240 第2の筐体
222 動作室
242 消弧室
260 外側筐体
280 キャップ
242a 第1の消弧室
242b 第2の消弧室
230 ボルト
30 切断機構
320 パンチ
340 アクチュエータ
322 第1のパンチ
324 第2のパンチ
360 溝
40 消弧媒体
420 邪魔板
440 受け部材
50 気体流案内機構
520 空洞
540 入口
560 連通ポート
60 支持部品
620 開口
640 第1の受け部
642 第2の受け部
644 受け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【手続補正書】
【提出日】2023-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は一般に、回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
回路過電流保護製品は、ヒューズを通って流れる電流によって生成される熱に基づいて溶断するヒューズであり、その主たる問題は、温度ヒューズと負荷整合との関係である。例えば、電気車両の主回路保護の場合、負荷が低倍率の過負荷又は短絡を有する場合、低電流仕様ヒューズの選択は、短時間の電流オーバーシュートに対応することができず、高電流仕様ヒューズの選択は、迅速な保護の要件を満たすことができない。現在の電気車両では、エネルギーを提供するのにリチウム電池パックが使用される。短絡が起こった場合、出力電流は、定格電流のおよそ数倍であり、よってヒューズ保護時間は、要件を満たすことができず、結果として、電池パックが過熱して発火を生じる可能性がある。耐電流熱及び遮断電流熱溶解はヒューズを流れる電流から発生している電流熱溶断を使用するそのような保護デバイスは、より高い定格電流を有する条件下で、特定の大きさの遮断速度に達することも、より強力な短時間の過負荷/突入電流(電気車両の始動又は登坂中の短時間の高電流など)に耐えることもできない。また、保護デバイスは、特定の大きさの障害電流の十分に速い保護速度の条件下で損傷せずに、より高い定格電流又はより高い過負荷/突入電流に耐えることもできない。
【0003】
目下のところ、高速切断構造が存在しており、これは、電子点火デバイス、導電板及び受け空洞を主に含む。電子点火デバイスは、導電板を破断するようにアクチュエータを駆動するために、高圧気体を生成するのに使用される。導電板の破損後、導電板は、回路の高速断路の目的を達成するために受け空洞に落下する。しかしながら、それでもなおいくつかの欠点及び短所が存在しており、消弧能力が制限され、そのため、大きな障害電流を阻止することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
少なくとも1つのある実施例において、回路遮断器は、強力な消弧能力を備えるものとして記載される少なくとも1つの他の実施例において、回路遮断器は、良好な遮断性能と、遮断後に優れた絶縁インピーダンスを獲得する能力とを備えるものとして記載される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願のある実施例において
回路遮断器は、動作室及び消弧室を画定する筐体を備えるものとして記載される。
回路遮断器はまた、動作室内に設けられ、パンチを備える切断機構を備える。この実施例において、切断機構は、動作室と消弧室との間で筐体を通じて延在する導体を、パンチを介して切断するように構成されている。切断機構のパンチは、間に溝を画定するように互いに間隔を空けられた第1のパンチ及び第2のパンチを備える。筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、導体は、単一の切断点において破断される。邪魔板が、消弧室内に設けられており、溝と位置合わせされている。邪魔板は、導体が切断点において破断された後に、溝に挿入されるように構成されている。回路遮断器は、ワイヤ・メッシュの形態の、消弧室内に充填された消弧媒体を備える。この実施例において、切断機構はまた、消弧媒体の周りに配設され、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、切断機構のパンチからの気体(燃えているアークによって生成される高温気体)を消弧媒体を通るように案内するように構成された気体流案内機構とを備える
【0006】
ワイヤ・メッシュの形態の消弧媒体は、導体が切断されるときに生成されるアークを効果的に消散させることができ、気体流案内機構が、アークを含む気体が、より効果的に消弧媒体と十分に接触することを可能にし、回路遮断器の消弧作用を高めることを可能にする。
【0007】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、気体流案内経路が、切断機構のパンチから気体流案内機構まで画定され、消弧媒体は、気体流案内経路の中に配置される。
【0008】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、気体流案内機構は、消弧媒体を取り囲む複数の空洞を備え、気体は、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、切断機構のパンチから消弧媒体を通って複数の空洞に流れ込む。
【0009】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、空洞は、消弧媒体に面する入口を有し、気体は、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、切断機構のパンチから消弧媒体を通り、入口を介して空洞に流れ込む。さらに、いくつかの実施例において、複数の空洞の各々が、消弧媒体に面する入口を有する。
【0010】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、入口は、細長い隙間の形態である。
【0011】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、複数の空洞は、消弧媒体の周りに均一に分散される。
【0012】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、第1のパンチは、導体の第1の切断区域を下方に曲げるように第1の切断区域に対して作用し、第2のパンチは、導体の第2の切断区域を下方に曲げるように第2の切断区域に対して作用し、導体は、第1の切断区域と第2の切断区域との間の単一の切断点において破断される。
【0013】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、溝は、切断点と位置合わせされている。
【0014】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、導体が切断点において破断された後に、第1のパンチ及び第2のパンチは、消弧室内まで延在し、消弧室内の消弧媒体とそれぞれ接触する。
【0015】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、邪魔板は、導体が切断点において切断されるのを促進するために、切断点から一定の距離だけ間隔を空けられる。
【0016】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、沿面経路が、第1の切断区域の切断端部から、第1のパンチの端部を通り、溝の底部及び邪魔板の頂部を通り、第2のパンチの端部を通って、第2の切断区域の切断端部まで画定される。
【0017】
溝は、邪魔板と合わせて曲がりくねった沿面経路を画定し、第1の切断区域と第2の切断区域との間の伝導の可能性をさらに低減する。溝と邪魔板との組み合わせは、第1の切断区域から第2の切断区域までの沿面距離を増大させ、絶縁抵抗を著しく高める。
【0018】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、消弧室は、邪魔板によって、互いに隔てられた第1の消弧室と第2の消弧室とに分割され、第1の消弧室及び第2の消弧室は、消弧媒体が充填されている。
【0019】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、導体が切断点において破断された後に、第1のパンチは、第1の消弧室内まで延在し、第1の消弧室内の消弧媒体と接触し、第2のパンチは、第2の消弧室内まで延在し、第2の消弧室内の消弧媒体と接触する。
【0020】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、消弧室は、導体を支持するための支持部品で覆われており、開口が、導体の第1の切断区域及び第2の切断区域に対応する支持部品の部分に形成され、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、第1の切断区域及び第2の切断区域は、開口を通じて下方に曲げられ、第1のパンチ及び第2のパンチは、開口を通じて消弧室内まで延在する。
【0021】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、開口は、導体の第1の切断区域及び第2の切断区域が支持部品によって支持されないように構成されている。
【0022】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、第1の受け部及び第2の受け部が、支持部品の開口のところに形成され、第1の受け部及び第2の受け部は、導体が切断点において破断された後に、下方に曲げられた第1の切断区域及び下方に曲げられた第2の切断区域をそれぞれ受けるように構成されている。
【0023】
開示のある実施例において、回路遮断器は、動作室及び消弧室を画定する筐体を備える。回路遮断器はまた、動作室内に設けられ、パンチを備える切断機構を備える。切断機構は、動作室と消弧室との間で筐体を通じて延在する導体を、パンチを介して切断するように構成されている。この実施例において、筐体を通じて延在する導体が切断機構のパンチによって切断されるときに、導体は、単一の切断点において破断される。受け部材が、消弧室内に設けられ、パンチと位置合わせされている。導体が切断点において破断された後に、パンチは、受け部材によって受容される。この実施例において、回路遮断器は、ワイヤ・メッシュの形態の、消弧室内に充填された消弧媒体を備える。回路遮断器はまた、消弧媒体の周りに配設され、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、切断機構のパンチからの気体を消弧媒体を通るように案内するように構成された気体流案内機構を備える
【0024】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、気体流案内経路が、切断機構のパンチから気体流案内機構まで画定され、消弧媒体は、気体流案内経路の中に配置される。
【0025】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、気体流案内機構は、消弧媒体を取り囲む複数の空洞を備え、気体は、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、切断機構のパンチから消弧媒体を通って複数の空洞に流れ込む。
【0026】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、空洞は、消弧媒体に面する入口を有し、気体は、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、切断機構のパンチから消弧媒体を通り、入口を介して空洞に流れ込む。
【0027】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、パンチは、導体の切断区域を下方に曲げるように切断区域に対して作用し、導体は、単一の切断点において破断される。
【0028】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、受け部材は、導体の切断点又は切断区域と位置合わせされている。
【0029】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、導体が切断点において破断された後に、パンチは、消弧室内まで延在し、消弧室内の消弧媒体と接触する。
【0030】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、受け部材は、導体が切断点において破断されるのを促進するために、導体の切断点又は切断区域から一定の距離だけ間隔を空けられる。
【0031】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、消弧室は、受け部材によって、第1の消弧室と第2の消弧室とに分割され、第1の消弧室及び第2の消弧室は、消弧媒体が充填されている。
【0032】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、消弧室は、導体を支持するための支持部品で覆われており、開口が、導体の切断点及び切断区域に対応する支持部品の部分に形成され、筐体を通じて延在する導体が切断機構によって切断されるときに、切断区域は、開口を通じて下方に曲げられ、パンチは、開口を通じて消弧室内まで延在する。
【0033】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、開口は、導体の切断区域及び切断点が支持部品によって支持されないように構成されている。
【0034】
本出願の回路遮断器のいくつかの実施例によると、受け部が、支持部品の開口のところに形成され、受け部は、導体が切断点において破断された後に、下方に曲げられた切断区域を受けるように構成されている。
【0035】
本発明のこれらの及び他の態様及び利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な記載を読んだ後によりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本出願の1つ又は複数の実施例による回路遮断器の斜視図である。
図2】本出願の1つ又は複数の実施例による回路遮断器の分解組立図である。
図3】通常動作状態における回路遮断器を示す、本出願の1つ又は複数の実施例による回路遮断器の断面図である。
図4図3の部分Aの拡大図である。
図5】切断動作状態における回路遮断器を示す、本出願の1つ又は複数の実施例による回路遮断器の断面図である。
図6図5の部分Bの拡大図である。
図7】切断完了状態における回路遮断器を示す、本出願の1つ又は複数の実施例による回路遮断器の断面図である。
図8図7の部分Cの拡大図である。
図9】消弧室、消弧媒体及び気体流案内機構を示す、本出願の1つ又は複数の実施例による回路遮断器の斜視図である。
図10】消弧室、消弧媒体及び気体流案内機構を示す、本出願の1つ又は複数の実施例による回路遮断器の上部断面図である。
図11】通常動作状態における回路遮断器を示す、本出願の別の実施例による回路遮断器の断面図である。
図12図11の部分Dの拡大図である。
図13】切断動作状態における回路遮断器を示す、本出願の別の実施例による回路遮断器の断面図である。
図14図13の部分Eの拡大図である。
図15】切断完了状態における回路遮断器を示す、本出願の別の実施例による回路遮断器の断面図である。
図16図15の部分Fの拡大図である。
図17】消弧室、消弧媒体及び気体流案内機構を示す、本出願の別の実施例による回路遮断器の上部断面図である。
図18】通常動作状態における回路遮断器を示す、本出願のさらに別の実施例による回路遮断器の断面図である。
図19図18の部分Gの拡大図である。
図20】切断動作状態における回路遮断器を示す、本出願のさらに別の実施例による回路遮断器の断面図である。
図21図20の部分Hの拡大図である。
図22】切断完了状態における回路遮断器を示す、本出願のさらに別の実施例による回路遮断器の断面図である。
図23図22の部分Iの拡大図である。
図24】消弧室、消弧媒体及び気体流案内機構を示す、本出願のさらに別の実施例による回路遮断器の断面斜視図である。
図25】本出願のいくつかの実施例による回路遮断器についてのテスト結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示は、添付の図面を参照して以下に記載され、その中で本開示の特定の実施例が示されている。しかしながら本開示は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に描かれ記載される実施例に限定されるように解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、これらの実施例は、本開示が完璧で完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるために提供されている。本明細書に開示される実施例は、何らかの方法で組み合わせることで、多くの追加の実施例を提供することができることも理解されたい。
【0038】
同様の参照番号は、全体を通じて同様の要素を指すことを理解されたい。図面では、特定の特徴のサイズは、明確にするために誇張される場合がある。
【0039】
本明細書で使用される専門用語は、単に特定の実施例を記載する目的であり、本発明を制限することは意図されていない。そうでないことが規定されなければ、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含め)は、本発明が属する当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。よく知られた機能又は構造は、簡潔さ、及び/又は明確さのために詳細には記載されない場合がある。
【0040】
本明細書で使用される単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈がそうでないことを明白に示していなければ複数形も同様に含むことが意図されている。用語「備える(comprises)」及び/又は「備えている(comprising)」は、本明細書中で使用されるとき、記述される特徴の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴の存在又は追加を除外するものではないことがさらに理解されるであろう。本明細書で使用される用語「及び/又は(and/or)」は、関連付けられ列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意の組み合わせ又は全ての組み合わせを含む。本明細書で使用される「XとYとの間」及び「ほぼXとYとの間」などの語句は、X及びYを含むように解釈されるべきである。本明細書で使用される「ほぼXとYとの間」などの語句は、「ほぼXとほぼYとの間」を意味する。本明細書で使用される「ほぼXからYまで」などの語句は、「ほぼXからほぼYまで」を意味する。
【0041】
1つの要素が別の要素「の上」にある、別の要素に「装着されている」、別の要素に「接続」されている、別の要素と「結合」されている、別の要素に「接触している」などとして言及されるとき、それは、別の要素の上に直接ある、別の要素に装着される、別の要素に接続される、別の要素と結合される、又は別の要素と接触している場合があり、或いは介在する要素が存在する場合もあることが理解されるであろう。対照的に、1つの要素が、例えば、別の要素の「上に直接ある」、別の要素に「直接装着されている」、別の要素に「直接接続」されている、別の要素と「直接結合」されている、又は別の要素と「直接接触している」などとして言及されるとき、介在する要素は存在しない。別の特徴に「隣接して」配設された構造又は特徴に対する言及は、隣接する特徴に重なる、又はその下にある部分を有する場合があることは、当業者によって同様に理解されるであろう。
【0042】
空間関連用語「下」、「~より下に」、「下方」、「上」、「上方」、「側方」、「左」、「右」などは、図中に例示されるような、1つの要素又は特徴の別の要素又は特徴に対する関係性を記載するための記述を容易にするために本明細書で使用されてよい。空間関連用語は、図中に描かれる配向に加えて、使用中又は動作中のデバイスの異なる配向を包含することが意図されていることが理解されるであろう。例えば、図中のデバイスが反転された場合、他の要素又は特徴の「下」又は「真下」として記載される要素はこのとき、他の要素又は特徴の「上」に配向されることになる。デバイスは、違った方法で配向されてもよく(90度回転される、又は他の配向で)、本明細書で使用される相対的な空間関係の記述語はこれに従って解釈される。
【0043】
通常、回路遮断器の役割は、過負荷又は短絡などの異常な状態が起こった場合に、主回路を素早く断路することで、主回路の他の回路部品を保護することである。主回路上の導体が、回路遮断器を通じて延在しており、回路遮断器の切断機構は、導体を切断して、主回路を断路することが可能である。
【0044】
導体が回路遮断器の切断機構によって切断されたときに、導体の切断区域にアークが生成される場合がある。そのようなアークは、回路遮断器の動作にとって不利益であり、回路遮断器が主回路を上手く断路するのを失敗させる場合がある。したがって、導体が回路遮断器の切断機構によって切断されるときに、導体の切断区域に対して消弧動作を行うことによって回路遮断器の切断動作を保証するために、消弧機構が回路遮断器内に通常設けられる。回路遮断器の信頼性を向上させるために、回路遮断器の消弧作用をできるだけ高めることが、この分野において望まれる場合が多い。
【0045】
本出願による回路遮断器は、革新的な消弧構造を通じて、極めて著しい、驚異的ですらある消弧作用を提供する。
【0046】
本出願のいくつかの実施例による回路遮断器が添付の図面を参照して以下に詳細に記載される。
【0047】
図1は、本出願のいくつかの実施例による回路遮断器1の斜視図であり、図2は、本出願のいくつかの実施例による回路遮断器1の分解組立図である。図1図2に示されるように、本出願のいくつかの実施例による回路遮断器1は、導体10と、筐体20とを含む。導体10は、保護されることになる主回路(図示せず)内に接続され、筐体20を通じて延在する。回路遮断器1は、主回路において過負荷又は短絡などの異常な状態が起こったときに導体10を切断して主回路を断路するように構成されている。
【0048】
記載を容易にし、明確にするために、互いに直交する、回路遮断器1の長手方向及び横方向が規定される。長手方向は、例えば、図2が配置されるページの上方向と下方向であり、横方向は、例えば、図2が配置されるページの左方向と右方向である。例えば、導体10は、横方向に延在するように記載されてよい。
【0049】
筐体20は、動作室及び消弧室を画定してよい。導体10は、動作室と消弧室との間に横方向に延在してよい。いくつかの実施例において、示されるように、筐体20は、第1の筐体220及び第2の筐体240を含んでよい。第1の筐体220は、動作室222を画定してよく、第2の筐体240は、消弧室242を画定してよい。第1の筐体220及び第2の筐体240は、例えば、ボルト230によって一緒に結合されてよく、導体10は、横方向に筐体20を通じて延在するように、第1の筐体220と第2の筐体240との間に設けられてよい。
【0050】
筐体20の上記の実例は単なる例示であり限定ではなく、他の好適な筐体構成を容易に予想することができることを理解されたい。例えば、筐体20は、導体10が横方向に筐体20を通じて延在することで、筐体20の内部空間を動作室と消弧室とに分割する、単一の閉鎖筐体であってもよい。
【0051】
いくつかの実施例において、図2に示されるように、筐体20はまた、第2の筐体240が第1の筐体220と外側筐体260との間になるように、長手方向に第2の筐体240より下に配設される外側筐体260を含んでもよい。外側筐体260は、例えば、スナップ嵌合によって第2の筐体240に結合されることで、第2の筐体240の内部空間を閉鎖して消弧室242を形成するのを助けてもよい。
【0052】
いくつかの実施例において、図2に示されるように筐体20はまた、第1の筐体220を覆うように構成され得るキャップ280を任意選択で含んでもよい。
【0053】
図3図8に示されるように、本出願のいくつかの実施例による回路遮断器1は、動作室222内に設けられ、導体10に対して切断動作を行うように構成された切断機構30を含む。切断機構30は、導体10に面するように設けられ、動作室222内で長手方向に摺動することが可能なパンチ320を含む。切断機構30は、導体10に対して作用するように長手方向にパンチ320を摺動させることによって、動作室222と消弧室242との間で筐体20を通じて延在する導体10を切断するように構成されている。
【0054】
いくつかの実施例において、図3図5及び図7に示されるように、切断機構30は、主回路において過負荷又は短絡などの異常な状態が起こったときに、作動信号を受信すると作動されて導体10に向けてパンチ320を移動させる(例えば押す)ことで、パンチ320が導体10に対して作用して導体10を切断することが可能になるアクチュエータ340を含んでよい。アクチュエータ340は、雷管の形態であってよく、例えば、それは、作動信号の受信時に起爆される。爆発によって生成された気体がパンチ320を導体10に向けて推し進める。アクチュエータ340はまた、当分野における任意の他の好適なアクチュエータを利用してもよく、雷管に限定されないことを理解されたい。
【0055】
本出願のいくつかの実施例によると、図2図8に示されるように、切断機構30のパンチ320は、第1のパンチ322と第2のパンチ324との間に溝360を画定するように互いに間隔を空けられた第1のパンチ322及び第2のパンチ324を含んでよい。例示される実施例では、第1のパンチ322及び第2のパンチ324は共に、長手方向に延在する円柱又はロッドであり、それらの間に画定された溝360もまた、長手方向に延在しており、溝360の開放端部は導体10に面している。
【0056】
第1の切断区域120及び第2の切断区域140が、導体10上に形成されてよい。切断点130が、第1の切断区域120と第2の切断区域140との間に形成される、すなわち第1の切断区域120及び第2の切断区域140は、切断点130によって互いに接続されている。第1の切断区域120は、長手方向に第1のパンチ322と位置合わせされており、第2の切断区域140は、長手方向に第2のパンチ324と位置合わせされており、第1の切断区域120と第2の切断区域140との間の切断点130は、長手方向に第1のパンチ322と第2のパンチ324との間の溝360と位置合わせされている。
【0057】
切断点130の厚さは、第1の切断区域120及び第2の切断区域140の厚さより小さくすることができ、第1の切断区域120及び第2の切断区域140が応力を受けたときに、導体10が切断点130において破断されるのを可能にする。第1の切断区域120及び第2の切断区域140の厚さは、応力を受けたときの第1の切断区域120及び第2の切断区域140の変形を可能にするために、導体10の残りの厚さより小さくてよい。
【0058】
よって、主回路において過負荷又は故障などの異常な状態が起こったときに、第1のパンチ322及び第2のパンチ324は、アクチュエータ340によって作動されて、長手方向に導体10に向けて移動することで、第1のパンチ322が、第1の切断区域120に当接し、これに対して作用し、第2のパンチ324が、第2の切断区域140に当接し、これに対して作用することになる。第1のパンチ322及び第2のパンチ324は、長手方向に移動し続けるため、導体10は、第1の切断区域120と第2の切断区域140との間の切断点130において破断され、図5図8に示されるように、第1の切断区域120は、切断点130の反対側の第1の切断区域120の端部の周りで下方に曲がり、第2の切断区域140は、切断点130の反対側の第2の切断区域140の端部の周りで下方に曲がる。本出願による回路遮断器1は、単一点切断方式を採用し、この方式は、回路遮断器1のサイズを横方向に縮小することができ、コンパクトな構造であり、空間の無駄がない。
【0059】
横方向の第1のパンチ322の幅は、横方向の第1の切断区域120の長さと実質的に等しいか、それよりわずかに小さくてもよく、横方向の第2のパンチ324の幅は、横方向の第2の切断区域140の長さと実質的に等しいか、それよりわずかに小さくてもよく、そのため、第1の切断区域120及び第2の切断区域140は、横方向に延在する状態から、実質的に長手方向に延在し第1のパンチ322及び第2のパンチ324の側部にそれぞれ隣接するまで下方に曲げることができる。このように第1の切断区域120及び第2の切断区域140が完全に曲がるようにすることで、横方向の回路遮断器1のサイズの縮小を促進する。
【0060】
導体10が切断されるとき、電気アークが、第1の切断区域120の切断端部(切断前の切断点130における端部)と第2の切断区域140の切断端部(切断前の切断点130における端部)との間に生成されてよい。上記に記載したように、このアークは、回路遮断器の動作にとって不利益であり、回路遮断器が主回路を上手く断路するのを失敗させる場合がある。
【0061】
本出願のいくつかの実施例によると、図2図10に示されるように、回路遮断器1の消弧室242は、消弧媒体40が充填されていてよく、これは導体10が切断されるときに生成されたアークを有利に消散させるためにワイヤ・メッシュの形態であってよい。導体10が切断されるとき、第1の切断区域120の切断端部と第2の切断区域140の切断端部との間に生成された電気アークは、ワイヤ・メッシュによって少なくとも部分的に消散されてよい。消弧室242は、導体10、第2の筐体240及び任意選択で外側筐体260などによって、実質的に囲まれた空間として形成されることで、消弧室242内の消弧媒体40を通るアークの消散を促進する。いくつかの実施例において、導体10が切断点130において破断された後に、第1のパンチ322及び第2のパンチ324は、図5及び図7に示されるように長手方向に移動を続けることによって消弧室242内まで延在してよい。任意選択で、消弧媒体40は、第1のパンチ322及び第2のパンチ324が最終的に消弧媒体40と接触することができるように、消弧室242内に充填されていてよい。
【0062】
本出願のいくつかの実施例によると、図3図10に示されるように、邪魔板420が、回路遮断器1の消弧室242内に設けられてよい。邪魔板420は、絶縁材料で作成されたシートの形態であってよい。邪魔板420は、長手方向に延在することで、消弧室242を第1の消弧室242aと、第2の消弧室242bとに分割する。いくつかの実施例において、第1の消弧室242a及び第2の消弧室242bは、邪魔板420によって互いに隔てられてよい。第1の消弧室242a及び第2の消弧室242bは共に、図9図10に示されるようにワイヤ・メッシュの形態の消弧媒体40が充填されている。いくつかの実施例において、導体10が切断点130において破断された後に、図5図8に示されるように、第1のパンチ322は、長手方向に移動し続けることによって第1の消弧室242a内まで延在してよく、第2のパンチ324は、長手方向に移動し続けることによって第2の消弧室242b内まで延在してよい。任意選択で、消弧媒体40は、第1のパンチ322が最終的に第1の消弧室242a内の消弧媒体40と接触し、第2のパンチ324が最終的に第2の消弧室242b内の消弧媒体40と接触するように、第1の消弧室242a及び第2の消弧室242b内に充填されていてもよい。
【0063】
本出願のいくつかの実施例によると、図3図8に示されるように、邪魔板420は、導体10が切断点130において破断された後に、邪魔板420が溝360に挿入され得るように、長手方向に沿って切断点130及び溝360と位置合わせされているように構成されていてよい。横方向の邪魔板420の厚さは、邪魔板420が溝360へ挿入され溝360を実質的に埋めるのを促進するように、横方向の溝360の幅と実質的に等しいか、又はそれよりわずかに小さくてよい。いくつかの実施例において、邪魔板420は、導体10の切断点130から長手方向に間隔を空けられる、すなわち、切断点130における導体10の破断を促進するための距離だけ、すなわち、邪魔板420が切断点130における導体10の破断と干渉しない、又は破断を阻止しないような距離だけ間隔を空けられる。
【0064】
長手方向の溝360の深さは、長手方向のパンチ320の下方移動が終了したときに、邪魔板420が溝360の中まで十分に延在する、又は十分に挿入されることができるように、長手方向の邪魔板420の寸法に関連して設計されてよい。例えば、邪魔板420の頂部は、溝360の底部に当接してよい、又はその付近であってもよい。邪魔板420の頂部が溝360の底部に当接する場合、邪魔板420はまた、長手方向のパンチ320のさらなる下方移動を止めるための止め具部材として作用してもよい。
【0065】
回路遮断器1の切断が完了すると、すなわち邪魔板420が溝360に十分に挿入されるまでパンチ320が長手方向に下方に移動すると、沿面経路が、導体10の第1の切断区域120の切断端部(切断前の切断点130における端部)と、第2の切断区域140の切断端部(切断前の切断点130における端部)との間に画定され、この沿面経路は、第1の切断区域120の切断端部から、第1のパンチ322の端部を通り、溝360の底部及び邪魔板420の頂部を通り、そして第2のパンチ324の端部を通って第2の切断区域140の切断端部まで延在する。
【0066】
消弧室242が、邪魔板420によって、互いに隔てられた第1の消弧室242aと第2の消弧室242bとに分割されることで、邪魔板420が溝360に挿入されるときに、第1の切断区域120及び第2の切断区域140は、互いに隔てられ、アーク長を延長し、アーク抵抗を増大する。溝360と邪魔板420の組み合わせによって形成された曲がりくねった沿面経路は、第1の切断区域120と第2の切断区域140との間の伝導の可能性をさらに低減させる。溝360及び邪魔板420の協働が、第1の切断区域120から第2の切断区域140までの沿面距離を増大させ、絶縁抵抗を著しく向上させる。
【0067】
第1のパンチ322及び第2のパンチ324が、導体10を切断するように第1の切断区域120及び第2の切断区域140に対して作用した後、図5図6に示されるように邪魔板420は、溝360に挿入され始める。このとき、第1のパンチ322及び第2のパンチ324は、長手方向に移動し続けるため、第1のパンチ322の端部及び周辺部における空気圧並びに第2のパンチ324の端部及び周辺部における空気圧が増大し、これにより、付近の気体流を全方向に押し、流れる気体がアークを消弧媒体40に向けて吹きつけ、アークを消弧媒体40を介して消散させることができる。
【0068】
しかしながら数回のテスト及び研究から、本発明者等は、第1のパンチ322及び第2のパンチ324が長手方向に沿って移動するために、押された気体の大半が長手方向に沿って移動することになり、消弧室242内で乱流を形成し、消弧プロセス中に大きな逆方向の気体圧力を生成することを見出した。このような移動、気体は、短期間の中で効率的に消弧室242内の消弧媒体40と十分に接触しないことを意味する
【0069】
これに基づいて、本発明者等は、気体が短期間で消弧室242内の消弧媒体40と効率的且つ適切に接触することを可能にする手段を見出そうとした。回路遮断器1の消弧作用をさらに向上させるために、本出願のいくつかの実施例によると、回路遮断器1には、消弧室242内で気体の流れを案内するための気体流案内機構50を備えてもよい。
【0070】
図9図10に示されるように、本出願のいくつかの実施例によると、気体流案内機構50が、消弧室242内の消弧媒体40の周りに設けられてよく、導体10が切断機構30によって切断されるときに、第1のパンチ322及び第2のパンチ324などのパンチ320からの気体を、消弧室242内の消弧媒体40を通るように誘導するように構成されている。気体流案内機構50は、消弧媒体40の周りに設けられるため、気体(燃えているアークによって生成される高温気体)が第1のパンチ322及び第2のパンチ324から気体流案内機構50へと案内されるときに、気体が消弧室242内の消弧媒体40と十分に接触することを可能にする。
【0071】
第1のパンチ322及び第2のパンチ324などの切断機構30のパンチ320から気体流案内機構50までの気体流案内経路が画定され、第1のパンチ322の端部及び周辺部における増大した気体圧力並びに第2のパンチ324の端部及び周辺部における増大した気体圧力のために、気体は気体流案内経路に沿って気体流案内機構50まで流れる。気体流案内機構50が消弧媒体40の周りに完全に配設される場合、消弧媒体40は、気体流案内経路内にあり、よって気体が、短時間で、効率的なやり方で、消弧室242内の消弧媒体40と十分に接触するのを促進する。
【0072】
本出願のいくつかの実施例によると、図9図10に示されるように、気体流案内機構50は、消弧媒体40の周りに設けられた複数の空洞520を含む。導体10が切断機構30によって切断されるとき、第1のパンチ322の周辺部及び端部並びに第2のパンチ324の周辺部及び端部における増大した空気圧によって、第1のパンチ322の周辺部及び端部と、第2のパンチ324の周辺部及び端部と空洞520との間の圧力差が形成され、その結果、気体を第1のパンチ322及び第2のパンチ324から消弧媒体40の周りに配設された複数の空洞420へと誘導することができ、このプロセスの中で、気体を消弧媒体40と十分に接触させて気体中のアークを消散させることになる。
【0073】
例示の実施例では、12個の空洞520が消弧媒体40の周りに設けられる。これは単なる例示であり限定ではないこと、及び空洞520の数は具体的な用途に従って選択することができることを理解されたい。これらの空洞520は、消弧媒体40の周りに均等に分散されることで、気体が消弧媒体40を均一に通過することを促進してよい。これらの空洞520は、同じ形状及び同じ構成を採ることができる、又はそれらは、第2の筐体240の実際の構成に応じて、例えば、消弧媒体40と第2の筐体240の内壁との間の空間及び構造に適合しフィットするように設計することもできる。
【0074】
本出願のいくつかの実施例によると、各空洞520は、気体が消弧媒体40を通過した後、入口540を介して空洞520に進入するように、消弧媒体40に面するように配置された入口540を備えてもよい。いくつかの実施例において、入口540は、長手方向に沿って延在する細長い隙間の形態であってよい。
【0075】
本出願のいくつかの実施例によると、図3図8に示されるように、回路遮断器1はまた、支持部品60を含んでもよく、支持部品60は、導体10と第2の筐体240との間に設けられ、とりわけ導体10と消弧室242との間に設けられる。支持部品60は、消弧室242を覆うことができ、導体10が切断機構30によって切断されるときに、第1の切断区域120及び第2の切断区域140以外の導体10のいかなる部分の変形も阻止するために導体10を支持するために使用される。
【0076】
切断機構30のパンチ320の移動、並びに第1の切断区域120及び第2の切断区域140の下方の屈曲を促進するために、第1の切断区域120及び第2の切断区域140に対応する支持部品60の部分に開口620が形成される場合がある。開口620は、導体10の第1の切断区域120及び第2の切断区域140が支持部品60によって支持されないように構成されていてよい。例えば、開口620は、横方向の第1の切断区域120及び第2の切断区域140の長さの合計よりもわずかに大きくなるようにサイズを決めることができる。
【0077】
導体10が切断機構30のパンチ320によって切断されるとき、図5図8に示されるように導体10の第1の切断区域120及び第2の切断区域140は、開口620を通じて下方に曲げられ、第1のパンチ322及び第2のパンチ324は、開口620を通じて、消弧室242内まで延在する。
【0078】
本出願のいくつかの実施例によると、支持部品60は、図3図8に示されるように、開口620のところに形成された第1の受け部640と第2の受け部642とを備えてよい。例えば、段差部分が、横方向に開口620の向かい合わせの側部に形成されて、第1の受け部640及び第2の受け部642を形成してもよい。導体10が切断機構30によって切断されるときに、導体10は、切断点130において破断され、第1の切断区域120及び第2の切断区域140は下方に曲げられ、その結果、第1の切断区域120は第1の受け部640に受けられるように下方に曲げられ、第2の切断区域140は第2の受け部642に受けられるように下方に曲げられる。十分に曲げられた後、図5図8に示されるように、第1の切断区域120は、第1の受け部640の側部に当接し、第1の受け部640の側部と第1のパンチ322の側部との間に挟まれ、第2の切断区域140は、第2の受け部642の側部に当接し、第2の受け部642の側部と第2のパンチ324の側部との間に挟まれる。第1の受け部640及び第2の受け部642は、第1のパンチ322及び第2のパンチ324と協働して導体10の第1の切断区域120及び第2の切断区域140を閉じ込めるのを助ける。
【0079】
以下は、図3図8を参照した本出願のいくつかの実施例による回路遮断器1の動作の簡単な説明である。図3図4は、通常動作状態の回路遮断器1を例示し、図5図6は、切断動作状態の回路遮断器1を例示し、図7図8は、切断完了状態の回路遮断器1を例示する。
【0080】
図3図4に示されるように、通常動作状況においては、主回路において過負荷、故障又は短絡などの異常な状態は生じておらず、回路遮断器1は、主回路において遮断動作を行わず、切断機構30は、導体10に対して作用することなく、導体10より上にある。
【0081】
図5図6に示されるように、主回路において過負荷又は短絡などの異常な状態が生じている場合、回路遮断器1は、通常動作状態から切断動作状態に切り替えられる。具体的には、作動信号が、アクチュエータ340によって受信され、その後、アクチュエータ340が、長手方向に導体10に向かって第1のパンチ322及び第2のパンチ324を移動させるように作動されることで、第1のパンチ322が第1の切断区域120に当接し、これに対して作用し、第2のパンチ324が第2の切断区域140に当接し、これに対して作用する。第1のパンチ322及び第2のパンチ324が長手方向に移動し続けるため、導体10は、第1の切断区域120と第2の切断区域140との間の切断点130において破断され、第1の切断区域120は、切断点130の反対側の第1の切断区域120の端部の周りで下方に曲がり、第2の切断区域140は、切断点130の反対側の第2の切断区域140の端部の周りで下方に曲がる。任意選択で、第1の切断区域120は、第1の受け区域640に受けられるように下方に曲げられ、第2の切断区域140は、第2の受け区域642に受けられるように下方に曲げられる。十分に曲げられた後、第1の切断区域120は、第1の受け部640の側部に当接し、第1の受け部640の側部と第1のパンチ322の側部との間に挟まれ、第2の切断区域140は、第2の受け部642の側部に当接し、第2の受け部642の側部と第2のパンチ324の側部との間に挟まれる。この時点で、邪魔板420は、溝360に挿入され始める。第1のパンチ322及び第2のパンチ324が長手方向に移動し続けるため、第1のパンチ322の周辺部及び端部における空気圧及び第2のパンチ324の周辺部及び端部における空気圧が増大し、これにより付近の気体が図5の矢印によって示されるように、気体流案内機構50によって、気体流案内経路に沿って消弧媒体40を通り、気体流案内機構50の空洞520に入るように押される。
【0082】
図7図8に示されるように、第1のパンチ322及び第2のパンチ324が長手方向に移動し続けるため、邪魔板420は、最終的に溝360に十分に挿入され、回路遮断器1は、切断動作状態から切断完了状態に切り替わる。この時点で、導体10は、破断され、生成されたアークは消散され、これにより主回路は、完全に断路される。
【0083】
本出願による別の実施例が図11図17を参照して以下に記載される。図11図16は、それぞれ通常動作状態、切断動作状態及び切断完了状態における本出願による回路遮断器1の断面図及び拡大図を示す。図11図16に示される回路遮断器の実施例は、図3図8に示される回路遮断器の実施例と実質的に同じであり、図11図16に示される回路遮断器と図3図8に示される回路遮断器との違いのみを以下に記載する。明らかに矛盾していたり、対立したりしていなければ、図3図8に示される回路遮断器の実施例の個々の特徴は、図11図16に示される回路遮断器の実施例に適用されてよい。
【0084】
図11図16に示されるように、回路遮断器1は、動作室222内に設けられ、導体10に対して切断動作を行うように構成された切断機構30を含む。切断機構30は、導体10に面するように設けられ、動作室222内で長手方向に摺動することが可能なパンチ320を含む。切断機構30は、導体10に対して作用するように長手方向にパンチ320を摺動させることによって、動作室222と消弧室242との間で筐体20を通じて延在する導体10を切断するように構成されている。
【0085】
第1の切断区域120及び第2の切断区域140が、導体10上に形成されてよい。切断点130が、第1の切断区域120と第2の切断区域140との間に形成される、すなわち第1の切断区域120と第2の切断区域140は、切断点130によって互いに接続されている。切断点130の厚さは、第1の切断区域120及び第2の切断区域140の厚さより小さくすることができ、第1の切断区域120及び第2の切断区域140が応力を受けたときに、導体10が切断点130において破断されるのを可能にする。第1の切断区域120及び第2の切断区域140の厚さは、応力を受けたときの第1の切断区域120及び第2の切断区域140の変形を可能にするために、導体10の残りの厚さより小さくてよい。
【0086】
パンチ320の端部は、長手方向に第1の切断区域120、第2の切断区域140及び切断点130と位置合わせされており、パンチ320の端部の中心は、切断点130と位置合わせされている。例示の実施例では、パンチ320の端部の中心部分は、パンチ320の端部のいずれかの側の縁部より長手方向に導体10に近いため、パンチ320が長手方向に導体10に対して切断動作を行うときに、パンチ320の端部の中心部分は、導体10と最初に接触し、具体的には、導体10の切断点130と接触して、切断点130における導体10の破断を促進する。
【0087】
横方向のパンチ320の幅は、横方向の第1の切断区域及び第2の切断区域140の両方の長さと実質的に等しいか、それよりわずかに小さくてもよく、そのため、第1の切断区域120及び第2の切断区域140は、横方向に延在する状態から、実質的に長手方向に延在しパンチ320の向かい合う側部にそれぞれ隣接するまで下方に曲げることができ、同時に、支持部品60の第1の受け部640及び第2の受け部642にそれぞれ受けられ得る。十分に曲げられた後、図13図16に示されるように、第1の切断区域120は、第1の受け部640の側部に当接し、第1の受け部640の側部とパンチ320の一方の側部との間に挟まれ、第2の切断区域140は、第2の受け部642の側部に当接し、第2の受け部642の側部とパンチ320の他方の側部との間に挟まれる。
【0088】
受け部材440が、回路遮断器1の消弧室242内に設けられてもよい。受け部材440は、パンチ320及び切断点130と長手方向に位置合わせされており、導体10がパンチ320によって切断された後に、パンチ320を受けるように構成されている。パンチ320が、受け部材440によって受けられた後、第1の消弧室242a及び第2の消弧室242bは、受け部材440及びパンチ320によって互いに隔てられてよい。
【0089】
受け部材440は、導体10の切断点130から長手方向に間隔を空けられてよい、すなわち切断点130における導体10の破断を促進するための距離だけ、すなわち、受け部材440が切断点130において導体10の破断と干渉しない、又は破断を阻止しないような距離だけ間隔を空けられてよい。
【0090】
受け部材440は、消弧室242内の中心に置かれてよく、導体10がパンチ320によって切断された後にパンチ320が挿入され得る、パンチ320に面する溝を備えてよい。受け部材440は、アーク伝導を隔離する役割を果たすために、絶縁材料で作成することができる。
【0091】
長手方向の受け部材440の溝の深さは、長手方向のパンチ320の下方移動の終了時に、パンチ320が受け部材440の溝の中まで十分に、若しくは
部分的に延在する、又は挿入されることができるように、例えば、パンチ320の端部が受け部材440の溝の底部に当接する、又は溝の底部に近づくことができるように、長手方向のパンチ320のサイズに関連して設計されてよい。パンチ320の端部が受け部材440の溝の底部に当接する場合、受け部材440はまた、長手方向のパンチ320のさらなる下方移動を止めるための止め具として作用してもよい。
【0092】
回路遮断器1の切断が完了すると、すなわちパンチ320が受け部材440の溝に挿入されるまでパンチ320が長手方向に下方に移動すると、導体10の第1の切断区域120の切断端部(切断前の切断点130における端部)と第2の切断区域140の切断端部(切断前の切断点130における端部)との間に沿面経路が画定され、沿面経路は、第1の切断区域120の切断端部からパンチ320の端部を通って第2の切断区域140の切断端部まで延在する。
【0093】
この実施例では、図17に示されるように、第1の消弧室242a及び第2の消弧室242bの周りに均等に分散された8つの空洞520が存在する。8つの空洞520のうちの4つは、入口540を介して消弧室242に接続され、その空洞520のうちの2つは、入口540を介して第1の消弧室242aと連通しており、他の2つの空洞520は、入口540を介して第2の消弧室242bと連通している。8つの空洞520全ては、入口540を介して消弧室242と連通していてもよく、例えば、4つの空洞520は、第1の消弧室242aと連通し、他の4つの空洞520は、第2の消弧室242bと連通していることが当業者によって理解されるべきである。図17に示される実施例での空洞520の配置は、図3図8の実施例にも適用され得ることは当業者によって理解されるであろう。
【0094】
図11図12に示されるように、通常動作状況においては、主回路において過負荷、故障又は短絡などの異常な状態が生じておらず、回路遮断器1は、主回路において遮断動作を行わず、切断機構30は、導体10に対して作用することなく、導体10より上にある。
【0095】
図13図14に示されるように、主回路において過負荷又は短絡などの異常な状態が生じている場合、回路遮断器1は、通常動作状態から切断動作状態に切り替えられる。具体的には、作動信号が、アクチュエータ340によって受信され、その後、アクチュエータ340が、長手方向に導体10に向かってパンチ320を移動させるように作動されることで、パンチ320は最初に切断点130に当接し、これに対して作用し、その後、第1の切断区域120及び第2の切断区域140に当接し、これらに対して作用し、第1の切断区域120と第2の切断区域140との間の切断点130において導体10が破断されるようにする。第1の切断区域120は、切断点130の反対側の第1の切断区域120の端部の周りで下方に曲げられ、第2の切断区域140は、切断点130の反対側の第2の切断区域140の端部の周りで下方に曲げられる。この時点で、パンチ320は、受け部材440に向かって長手方向に移動し続け、消弧室242内の消弧媒体と接触させることができる。この間、パンチ320の周りの気体圧力が増大し、これにより、気体流案内機構50により、付近の気体を気体流案内経路に沿って消弧媒体40を通り気体流案内機構50の空洞520に入るように押す。
【0096】
図15図16に示されるように、パンチ320は長手方向に移動し続けるため、パンチ320は、最終的に受け部材440の溝に十分に挿入され、回路遮断器1は、切断動作状態から切断完了状態に切り替わる。この時点で、導体10は破断され、生成されたアークは消散され、これにより主回路は完全に断路される。
【0097】
本出願による別の実施例が、図18図24を参照して以下に記載される。図18図24は、通常動作状態、切断動作状態及び切断完了状態それぞれにおける、本出願による回路遮断器1の断面図及び拡大図である。図18図24に示される回路遮断器の実施例は、図3図8及び図11図17に示される回路遮断器の実施例と実質的に同じであり、図18図24に示される回路遮断器と図3図8及び図11図17に示される回路遮断器との違いのみが以下に記載される。明らかに矛盾していたり、対立したりしていなければ、図3図8及び図11図17に示される回路遮断器の実施例の個々の特徴は、図18図24に示される回路遮断器の実施例に適用されてよい。
【0098】
図18図23に示されるように、回路遮断器1は、動作室222内に設けられ、導体10に対して切断動作を行うように構成された切断機構30を含む。切断機構30は、導体10に面するように設けられ、動作室222内で長手方向に摺動することが可能なパンチ320を含む。切断機構30は、導体10に対して作用するように長手方向にパンチ320を摺動させることによって、動作室222と消弧室242との間で筐体20を通じて延在する導体10を切断するように構成されている。
【0099】
導体10は、切断区域110と切断点130が互いに接続された状態で形成される。切断点130の厚さは、切断区域110の厚さより小さくすることができ、切断区域110が応力を受けたときに、導体10が切断点130において破断されるのを可能にする。パンチ320の端部は、長手方向に切断区域110と位置合わせされている。切断区域110の厚さは、応力を受けたときの切断区域110の変形を可能にするために、導体10の残りの厚さより小さくてよい。
【0100】
横方向のパンチ320の幅は、横方向の切断区域110の長さと実質的に等しいか、それよりわずかに小さくてもよく、そのため、切断区域110は、横方向に延在する状態から、実質的に長手方向に延在し、パンチ320の側部に隣接するまで下方に曲げることができる。この実施例では、支持部品60は、図18図23に示されるように受け部644を含んでよく、曲げられた切断部分110は、支持部品60の受け部644に受けられてよい。十分に曲げられた後、図20図23に示されるように切断部分110は、受け部644の側部に当接し、受け部644の側部とパンチ320の側部との間に挟まれる。
【0101】
受け部材440が、回路遮断器1の消弧室242内に設けられてもよい。受け部材440は、パンチ320及び切断区域110と長手方向に位置合わせされており、導体10がパンチ320によって切断された後に、パンチ320を受けるように構成されている。パンチ320が受け部材440によって受けられた後、第1の消弧室242a及び第2の消弧室242bは、受け部材440及びパンチ320によって互いに隔てられてよい。
【0102】
受け部材440は、導体10の切断区域110から長手方向に間隔を空けられてよい、すなわち切断点130における導体10の破断を促進するための距離だけ、すなわち、受け部材440が切断点130において導体10の破断と干渉しない、又は破断を阻止しないような距離だけ間隔を空けられてよい。
【0103】
受け部材440は、図18図23に示されるように、消弧室242内に偏心して配設されてよい。したがってパンチ320は、動作室222内に偏心して配設されてよい。導体10がパンチ320によって切断された後、図22図23に示されるようにパンチ320は、受け部材440に当接してよい。受け部材440は、アーク伝導を隔離する役割を果たすために、絶縁材料で作成することができる。
【0104】
長手方向の受け部材440のサイズは、長手方向のパンチ320の下方移動が終了したときに、パンチ320が受け部材440に当接し得るように、長手方向のパンチ320のサイズに関連して設計されてよい。例えば、パンチ320の端部は、受け部材440の頂部に当接してよい、又は頂部に衝突してもよい。パンチ320の端部が受け部材440に当接する場合、受け部材440はまた、パンチ320の長手方向のさらなる下方移動を止めるための止め具として作用してもよい。
【0105】
回路遮断器1の切断が完了すると、すなわちパンチ320が受け部材440に完全に当接するまでパンチ320が長手方向に下方に移動すると、導体10の切断区域110の切断端部(切断前の切断点130における端部)と切断点130との間に沿面経路が画定される。沿面経路は、断路区域110の切断端部から、パンチ320の端部を通り切断点130まで延在する。
【0106】
この実施例では、図24に示されるように、第1の消弧室242a及び第2の消弧室242bの周りに分散された9つの空洞520が存在する。9つの空洞520は、互いにサイズが均一ではなく、消弧室242の周りに均一にも、対称的にも配置されていない。
【0107】
空洞520及び消弧室242は、複数のやり方で互いに連通することができる。図24に示される実施例では、空洞520のうちの2つは、入口540を通って第1の消弧室242aと連通しており、連通ポート560を通ってその各側にある空洞520と連通しているため、各側の空洞520は、第1の消弧室242aと間接的に連通している。空洞520のうちの3つは、第2の消弧室242bと直接連通していてもよく、3つの空洞520のいずれかの側の2つの空洞520は、入口540を介して第2の消弧室242bと連通している。図24に示される実施例における空洞520の配置は、図3図8並びに図11図16の実施例にも適用することができることが当業者によって理解されるであろう。
【0108】
図18図19に示されるように、通常動作状況においては、主回路において過負荷、故障又は短絡などの異常な状態が生じておらず、回路遮断器1は、主回路において遮断動作を行わず、切断機構30は、導体10に対して作用することなく、導体10より上にある。
【0109】
図20図21に示されるように、主回路において過負荷又は短絡などの異常な状態が生じている場合、回路遮断器1は、通常動作状態から切断動作状態に切り替えられる。具体的には、作動信号が、アクチュエータ340によって受信され、その後、アクチュエータ340が、長手方向に導体10に向かってパンチ320を移動させるように作動されることで、パンチ320は切断区域110に当接し、これに対して作用し、導体10が切断点130において破断され、切断区域110が、切断点130の反対側の切断区域110の端部の周りで下方に曲げられるようにする。この時点で、パンチ320は、受け部材440に向かって長手方向に移動し続け、消弧室242内の消弧媒体と接触させることができる。この間、パンチ320の周りの気体圧力が増大し、これにより、気体流案内機構50により、付近の気体を気体流案内経路に沿って消弧媒体40を通り気体流案内機構50の空洞520に入るように押す。
【0110】
図22図23に示されるように、パンチ320は長手方向に移動し続けるため、パンチ320は、最終的に受け部材440に十分に当接し、回路遮断器1は、切断動作状態から切断完了状態に切り替わる。この時点で、導体10は破断され、生成されたアークは消散され、これにより主回路は、完全に断路される。
【0111】
「実施例1」
本発明者等は、電気車両バッテリ・モジュールが動作中に故障する状況をシミュレートし、本出願による回路遮断器1をテストし、テスト結果は、本出願による回路遮断器1が、主回路を素早く断路することができ、主回路を断路した後の絶縁抵抗性能が良好であることを示した。
【0112】
テスト原則:回路は、バッテリ、抵抗器、スイッチ及び回路遮断器1からなる。スイッチが閉じられたとき、回路は瞬間的に高電流を生成し、回路遮断器1は、回路を断路するためにトリガされて保護効果を達成する。
【0113】
テスト条件:テスト電圧は1000V、テスト電流は13KA、テスト・ループ・インダクタンスは15.4uHである。
【0114】
テスト結果:テスト後の絶縁インピーダンス>10GΩ。
【0115】
図25は、本出願のいくつかの実施例による回路遮断器についてのテスト結果のグラフを例示する。図面から見ることができるように、(1000Vシステム)回路において短絡が起こったとき、電流は瞬時に13KAまで増大する。トリガ信号が受信されたとき、回路遮断器1は、回路を断路し始める。回路遮断器1の優れた消弧作用により、回路の過電圧は瞬時に2000Vまで上がり、電流は急速に0Aまで減衰し、最終的にアークが消滅され、回路電圧は、システム電圧で安定する。
【0116】
市販の回路遮断器で同じテストを行うと、テスト結果は基本的に、絶縁インピーダンスは10MΩを超えることができるが、本出願による回路遮断器1の10GΩを超える絶縁インピーダンスに達するにはほど遠い。理解することができるように、本出願による回路遮断器1で獲得された遮断効果は、一部の既存の回路遮断器と比較して注目すべきものであり、驚くべき技術的効果と言うことができ、既存の製品を数桁も上回っている。
【0117】
本出願の例示の実施例が記載されてきたが、当業者は、本出願の新規の教示及び利点から著しく逸脱することなく、例示の実施例において多くの変形形態及び修正形態が可能であることを容易に理解するべきである。したがって、全てのそのような変形形態及び修正形態は、特許請求の範囲において定義されるような本出願の範囲内に含まれることが意図されている。本出願は、以下の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の均等物が含まれる。
【符号の説明】
【0118】
1 回路遮断器
10 導体
120 第1の切断区域
130 切断点
140 第2の切断区域
110 切断区域
20 筐体
220 第1の筐体
240 第2の筐体
222 動作室
242 消弧室
260 外側筐体
280 キャップ
242a 第1の消弧室
242b 第2の消弧室
230 ボルト
30 切断機構
320 パンチ
340 アクチュエータ
322 第1のパンチ
324 第2のパンチ
360 溝
40 消弧媒体
420 邪魔板
440 受け部材
50 気体流案内機構
520 空洞
540 入口
560 連通ポート
60 支持部品
620 開口
640 第1の受け部
642 第2の受け部
644 受け部
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作室及び消弧室を画定する筐体と、
前記動作室内に設けられ、パンチを備える切断機構であり、前記動作室と前記消弧室との間で前記筐体を通じて延在する導体を、前記パンチを介して切断するように構成された、切断機構と
を備えることを特徴とする回路遮断器であって、
前記切断機構の前記パンチは、間に溝を画定するように互いに間隔を空けられた第1のパンチ及び第2のパンチを備え、前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記導体は、単一の切断点において破断され、
邪魔板が、前記消弧室内に設けられており、前記邪魔板は、前記溝と位置合わせされており、前記邪魔板は、前記導体が前記切断点において破断された後に、前記溝に挿入されるように構成されており、
前記回路遮断器は、
記消弧室内に充填された消弧媒体と、
前記消弧媒体の周りに配設され、前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記切断機構の前記パンチからの気体を前記消弧媒体を通るように案内するように構成された気体流案内機構と
をさらに備える、
回路遮断器。
【請求項2】
気体流案内経路が、前記切断機構の前記パンチから前記気体流案内機構まで画定され、前記消弧媒体は、前記気体流案内経路の中に配置される、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記気体流案内機構は、前記消弧媒体を取り囲む複数の空洞を備え、前記気体は、前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記切断機構の前記パンチから前記消弧媒体を通って前記複数の空洞に流れ込む、請求項に記載の回路遮断器。
【請求項4】
前記複数の空洞のうちの1つの空洞は、前記消弧媒体に面する入口を有し、前記気体は、前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記切断機構の前記パンチから前記消弧媒体を通り、前記入口を介して前記空洞に流れ込む、請求項3に記載の回路遮断器。
【請求項5】
前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記第1のパンチは、前記導体の第1の切断区域を下方に曲げるように前記第1の切断区域に対して作用し、前記第2のパンチは、前記導体の第2の切断区域を下方に曲げるように前記第2の切断区域に対して作用し、前記導体は、前記第1の切断区域と前記第2の切断区域との間の前記単一の切断点において破断される、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項6】
前記溝は、前記切断点と位置合わせされている、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項7】
前記導体が前記切断点において破断された後に、前記第1のパンチ及び前記第2のパンチは、前記消弧室内まで延在し、前記消弧室内の前記消弧媒体とそれぞれ接触する、請求項に記載の回路遮断器。
【請求項8】
前記邪魔板は、前記導体が前記切断点において破断されるのを促進するために、前記切断点から一定の距離だけ間隔を空けられる、請求項に記載の回路遮断器。
【請求項9】
沿面経路が、前記第1の切断区域の切断端部から、前記第1のパンチの端部を通り、前記溝の底部及び前記邪魔板の頂部を通り、前記第2のパンチの端部を通って、前記第2の切断区域の切断端部まで画定される、請求項5に記載の回路遮断器。
【請求項10】
前記消弧室は、前記邪魔板によって、互いに隔てられた第1の消弧室と第2の消弧室とに分割され、前記第1の消弧室及び前記第2の消弧室は、前記消弧媒体が充填されている、請求項に記載の回路遮断器。
【請求項11】
前記導体が前記切断点において破断された後に、前記第1のパンチは、前記第1の消弧室内まで延在し、前記第1の消弧室内の前記消弧媒体と接触し、前記第2のパンチは、前記第2の消弧室内まで延在し、前記第2の消弧室内の前記消弧媒体と接触する、請求項10に記載の回路遮断器。
【請求項12】
前記消弧室は、前記導体を支持するための支持部品で覆われており、開口が、前記導体の第1の切断区域及び第2の切断区域に対応する前記支持部品の部分に形成され、前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記第1の切断区域及び前記第2の切断区域は、前記開口を通じて下方に曲げられ、前記第1のパンチ及び前記第2のパンチは、前記開口を通じて前記消弧室内まで延在する、請求項に記載の回路遮断器。
【請求項13】
前記開口は、前記導体の前記第1の切断区域及び前記第2の切断区域が前記支持部品によって支持されないように構成されている、請求項12に記載の回路遮断器。
【請求項14】
第1の受け部及び第2の受け部が、前記支持部品の前記開口のところに形成され、前記第1の受け部及び前記第2の受け部は、前記導体が前記切断点において破断された後に、下方に曲げられた前記第1の切断区域及び下方に曲げられた前記第2の切断区域をそれぞれ受けるように構成されている、請求項12に記載の回路遮断器。
【請求項15】
動作室及び消弧室を画定する筐体と、
前記動作室内に設けられ、パンチを備える切断機構であり、前記動作室と前記消弧室との間で前記筐体を通じて延在する導体を、前記パンチを介して切断するように構成された、切断機構と
を備えることを特徴とする回路遮断器であって、
前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構の前記パンチによって切断されるときに、前記導体は、単一の切断点において破断され、
受け部材が、前記消弧室内に設けられ、前記受け部材は、前記パンチと位置合わせされており、前記導体が前記切断点において破断された後に、前記パンチは、前記受け部材によって受容され、
前記回路遮断器は、
記消弧室内に充填された消弧媒体と、
前記消弧媒体の周りに配設され、前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記切断機構の前記パンチからの気体を前記消弧媒体を通るように案内するように構成された気体流案内機構と
をさらに備える、
回路遮断器。
【請求項16】
気体流案内経路が、前記切断機構の前記パンチから前記気体流案内機構まで画定され、前記消弧媒体は、前記気体流案内経路の中に配置される、請求項15に記載の回路遮断器。
【請求項17】
前記気体流案内機構は、前記消弧媒体を取り囲む複数の空洞を備え、前記気体は、前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記切断機構の前記パンチから前記消弧媒体を通って前記複数の空洞に流れ込む、請求項15に記載の回路遮断器。
【請求項18】
前記複数の空洞のうちの1つの空洞は、前記消弧媒体に面する入口を有し、前記気体は、前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記切断機構の前記パンチから前記消弧媒体を通り、前記入口を介して前記空洞に流れ込む、請求項17に記載の回路遮断器。
【請求項19】
前記筐体を通じて延在する前記導体が前記切断機構によって切断されるときに、前記パンチは、前記導体の切断区域を下方に曲げるように前記切断区域に対して作用し、前記導体は、単一の切断点において破断される、請求項15に記載の回路遮断器。
【請求項20】
前記受け部材は、前記導体の前記切断点又は前記切断区域と位置合わせされている、請求項15に記載の回路遮断器。
【外国語明細書】