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特開2024-128925新たに脱色された毛髪を処理する方法、組成物およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128925
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】新たに脱色された毛髪を処理する方法、組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20240913BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20240913BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240913BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20240913BHJP
   A61K 8/22 20060101ALI20240913BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/24
A61K8/34
A61Q5/10
A61K8/22
A61K8/41
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023192771
(22)【出願日】2023-11-13
(31)【優先権主張番号】23161116
(32)【優先日】2023-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】523044356
【氏名又は名称】ウェラ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, マンフレッド
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, ペトラ
(72)【発明者】
【氏名】ノブロック, レベッカ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB242
4C083AB281
4C083AB352
4C083AB372
4C083AB412
4C083AB432
4C083AC012
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC552
4C083AC782
4C083AC842
4C083AC892
4C083AC902
4C083AD092
4C083AD352
4C083AD642
4C083BB04
4C083BB23
4C083BB44
4C083BB45
4C083BB53
4C083CC36
4C083DD06
4C083DD23
4C083EE26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】根元から毛先まで均等で、所望の色合いおよび所望の色強度を呈する毛髪処理用組成物、及び毛髪処理方法を提供すること。
【解決手段】毛髪を脱色する工程であって、毛髪は毛髪着色用組成物を塗布する前48時間以内に脱色される工程と、毛髪着色用組成物を毛髪に塗布する工程であって、毛髪着色用組成物は7.0~8.0のpH、好ましくは7.2を超えて8.0まで、より好ましくは7.3~8.0のpHを有し、緩衝系を含む工程と、毛髪着色用組成物を10分以下毛髪上に放置する工程であって、組成物は毛髪上で発色時間中に少なくとも0.20単位低下して6.8~7.2の範囲になるpHを有する、工程と、毛髪着色用組成物を濯ぎ落す工程とを含む方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪を処理する方法であって、
- 毛髪を脱色する工程であって、毛髪は毛髪着色用組成物を塗布する前48時間以内に脱色される、工程と、
- 毛髪着色用組成物を毛髪に塗布する工程であって、毛髪着色用組成物は7.0~8.0のpH、好ましくは7.2を超えて8.0まで、より好ましくは7.3~8.0のpHを有し、緩衝系を含む、工程と、
- 毛髪着色用組成物を10分以下毛髪上に放置する工程であって、組成物は毛髪上で発色時間中に少なくとも0.20単位低下して6.8~7.2の範囲になるpHを有する、工程と、
- 毛髪着色用組成物を濯ぎ落す工程と
を含む、方法。
【請求項2】
毛髪着色用組成物が毛髪上に2~8分、好ましくは3~7分、より好ましくは4~6分、最も好ましくは約5分間放置される、請求項1に記載の毛髪を処理する方法。
【請求項3】
毛髪が毛髪着色用組成物を塗布する前24時間以内、好ましくは3時間以内に速やかに脱色される、請求項1または2に記載の毛髪を処理する方法。
【請求項4】
毛髪着色用組成物が少なくとも1種のアルカリ化剤、少なくとも1種の酸化剤、少なくとも1種のキレート剤、少なくとも第1の緩衝酸性化合物、少なくとも第2の緩衝酸性化合物、少なくとも1種の緩衝アルカリ化合物、ゲルネットワーク増粘剤系、少なくとも1種の酸化毛髪染料前駆体および少なくとも1種のカプラー、ならびに少なくとも1種の溶媒を含み、
ゲルネットワーク増粘剤系が少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、少なくとも1種の脂肪アルコールおよび少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の毛髪を処理する方法。
【請求項5】
毛髪着色用組成物を毛髪に塗布する前に染料成分と酸化成分とを混合することにより毛髪着色用組成物を調製する工程を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の毛髪を処理する方法であって、
染料成分が8.5~10、好ましくは9~10のpHを有し、
酸化成分が1.8~3.5、好ましくは2~3のpHを有する、毛髪を処理する方法。
【請求項6】
染料成分および酸化成分が3:1~1:3、好ましくは2:1~1:2、より好ましくは約1:1の重量比で混合される、請求項5に記載の毛髪を処理する方法。
【請求項7】
染料成分が少なくとも1種のアルカリ化剤、少なくとも1種のキレート剤、少なくとも1種の第1の緩衝酸性化合物、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、少なくとも1種の脂肪アルコール、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、少なくとも1種の酸化毛髪染料前駆体および少なくとも1種のカプラー、ならびに少なくとも1種の溶媒を含む、請求項5または6に記載の毛髪を処理する方法。
【請求項8】
酸化成分が少なくとも1種の酸化剤、少なくとも1種の第2の緩衝酸性化合物、少なくとも1種の緩衝アルカリ化合物、および少なくとも1種の溶媒を含む、請求項5から7のいずれか一項に記載の毛髪を処理する方法。
【請求項9】
第1の緩衝酸性化合物がクエン酸であり、第2の緩衝酸性化合物がリン酸であり、緩衝アルカリ化合物がリン酸二ナトリウムである、請求項5から8のいずれか一項に記載の毛髪を処理する方法。
【請求項10】
毛髪着色用組成物を濯ぎ落した後、毛髪を乾燥するか、毛髪を櫛で梳かすかもしくはブラシをかけるか、および/または毛髪にコンディショニング組成物を塗布する工程をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の毛髪を処理する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新たに脱色された毛髪を処理する方法、組成物およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪染料の塗布によるケラチン繊維、特にヒトの毛髪の色の永久的な変化はよく知られている。消費者に毛髪の色を提供するために複雑な化学プロセスが利用されることがある。永久的な毛染め製剤は典型的に酸化毛髪染料前駆体を含み、これは毛小皮を通って毛髪中および皮質中に拡散することができ、そこで互いに、そして適切な酸化剤と反応して目的の染料分子を形成することができる。これらの得られる分子はより大きいためその後の水および/または洗剤を用いた洗髪中毛髪から容易に拡散することができないので、消費者に望まれる色の不変性を供給する。
【0003】
現在、所望の色合いおよび所望の色強度を提供する多種多様な毛髪の酸化着色組成物、例えば6~12、好ましくは7~11.5のpHを有する毛髪着色用組成物が利用可能である。しかしながら、ユーザーはこれらの組成物の根元から毛先までの性能に失望することが多い。実際、殊に以前に染められた毛髪で、着色の均等性(均一性)のかなりの欠如が根元と毛先との間で目立つことがある。特に、毛先が毛髪の根元より濃いことがある。加えて、これらの組成物は毛髪に対して攻撃的で損傷を引き起こす可能性がある。組成物を毛髪および頭皮に対してより穏やかにするためには、そのpHをわずかにアルカリ性または酸性の範囲に低下させ得る。しかし、均一性の問題はさらに一層顕著になり、バージン毛髪では実質的に色の取り込みがなく、以前に損傷を受けた毛髪では過度の色の取り込みがあり、例えばほとんど着色していない根元の毛髪および過飽和の毛先として現れることがある。現在入手できるより穏やかな組成物の別の一般的な問題は損傷レベルの違いによってユーザー毎に起こる色の高いばらつきであり、このため最終の結果が予測できなくなり、スタイリストおよび最終消費者の両者の不満を招く。
【0004】
8.5~10のpHを有する染料成分および1.8~3.5のpHを有する酸化成分を3:1~1:3の重量比で混合して得られるpH6.8~8の毛髪着色用組成物も公知である。この毛髪着色用組成物はややアルカリ性のpHを有し、その毛髪への適用後発色時間中にわずかに酸性のpHに低下する。この毛髪着色用組成物は根元から毛先までの均等性を損なうことなく所望の色合いおよび強度を提供するであろう。例えば2022年6月2日に公開されたPCT出願WO2022/112473A1参照。
【0005】
9未満のpHを有し、pHを6~8に維持する緩衝系(buffering system)を含む毛髪の着色または脱色用組成物も公知である。この毛髪着色用組成物は特に灰色を提供し、この色は灰色の色空間内で薄れ、色が薄れた後真ちゅう色のオフトーン(off-tone)がほとんどまたはまったく出現しない。例えば2020年9月24日に公開されたPCT出願WO2020/188001A1参照。
【0006】
毛髪に対する満足のいく根元から毛先までの均等性、所望の色合いおよび所望の色強度を提供すると共に自然のストランド間の変動を保存することに加えて、毛髪の処理を必要とする人および美容師を含めてユーザーの認識を改善することに対して絶え間ないニーズがある。毛髪の処理を合理化するというニーズもある。また、毛髪の満足のいく根元から毛先までの均等性、所望の色合い、所望の色強度および最低の損傷可能性を有する着色した毛髪を得るのを容易にするニーズもある。
【発明の概要】
【0007】
1つの態様において、本発明は、毛髪を処理する方法であって、
- 毛髪を脱色する工程と、
- 毛髪着色用組成物を毛髪に塗布する工程であって、毛髪着色用組成物は7.0~8.0のpH、好ましくは7.2を超えて8.0まで、より好ましくは7.3~8.0のpHを有し、緩衝系を含む、工程と、
- 毛髪着色用組成物を10分以下毛髪上に放置する工程であって、組成物は毛髪上で発色時間中に少なくとも0.20単位低下して6.8~7.2の範囲になるpHを有する、工程と、
- 毛髪着色用組成物を濯ぎ落す工程と、
を含む、方法に関する。
【0008】
一部の実施形態において、毛髪着色用組成物は毛髪上に2~8分、好ましくは3~7分、より好ましくは4~6分、最も好ましくは約5分間放置される。
【0009】
一部の実施形態において、毛髪は毛髪着色用組成物を塗布する前、好ましくは48h以内、好ましくは24h以内、より好ましくは3h以内に速やかに脱色される。
【0010】
一部の実施形態において、毛髪着色用組成物は少なくとも1種のアルカリ化剤、少なくとも1種の酸化剤、少なくとも1種のキレート剤、少なくとも第1の緩衝酸性化合物(buffering acidic compound)、少なくとも第2の緩衝酸性化合物、少なくとも1種の緩衝アルカリ化合物、ゲルネットワーク増粘剤系、少なくとも1種の酸化毛髪染料前駆体および少なくとも1種のカプラー、ならびに少なくとも1種の溶媒を含み;ここでゲルネットワーク増粘剤系は少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、少なくとも1種の脂肪アルコールおよび少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。
【0011】
一部の実施形態において、毛髪着色用組成物を毛髪に塗布する前に、方法は染料成分および酸化成分を混合することにより毛髪着色用組成物を調製する工程を含み;ここで染料成分は8.5~10、好ましくは9~10のpHを有し;酸化成分は1.8~3.5、好ましくは2~3のpHを有する。
【0012】
一部の実施形態において、染料成分および酸化成分は3:1~1:3、好ましくは2:1~1:2、より好ましくは約1:1の重量比で混合される。
【0013】
一部の実施形態において、染料成分は少なくとも1種のアルカリ化剤、少なくとも1種のキレート剤、少なくとも1種の第1の緩衝酸性化合物、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、少なくとも1種の脂肪アルコール、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、少なくとも1種の酸化毛髪染料前駆体および少なくとも1種のカプラー、ならびに少なくとも1種の溶媒を含む。
【0014】
一部の実施形態において、酸化成分は少なくとも1種の酸化剤、少なくとも1種の第2の緩衝酸性化合物、少なくとも1種の緩衝アルカリ化合物、および少なくとも1種の溶媒を含む。
【0015】
一部の実施形態において、第1の緩衝酸性化合物はクエン酸であり、第2の緩衝酸性化合物はリン酸であり、緩衝アルカリ化合物はリン酸二ナトリウムである。
【0016】
一部の実施形態において、毛髪着色用組成物を濯ぎ落した後、方法はさらに、毛髪を乾燥するか、毛髪を櫛で梳かすかもしくはブラシをかけるか、および/または毛髪にコンディショニング組成物を塗布する工程を含む。
【0017】
別の態様において、本発明は脱色された毛髪を処理するための組成物であって、組成物は毛髪上で発色時間中に少なくとも0.20単位低下して6.8~7.2の範囲になるpHを有し;毛髪着色用組成物は少なくとも1種のアルカリ化剤、少なくとも1種の酸化剤、少なくとも1種のキレート剤、少なくとも第1の緩衝酸性化合物、少なくとも第2の緩衝酸性化合物、少なくとも1種の緩衝アルカリ化合物、ゲルネットワーク増粘剤系、少なくとも1種の酸化毛髪染料前駆体および少なくとも1種のカプラー、ならびに少なくとも1種の溶媒を含み;ゲルネットワーク増粘剤系は少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、少なくとも1種の脂肪アルコールおよび少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含み;毛髪上の毛髪着色用組成物は染料成分および酸化成分を混合することにより調製され;染料成分は8.5~10、好ましくは9~10のpHを有し;酸化成分は1.8~3.5、好ましくは2~3のpHを有する、組成物に関する。
【0018】
もう1つ別の態様において、本発明は本明細書に記載される組成物の、脱色された毛髪を処理するための使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
本明細書で使用されるとき処理されるべき「毛髪」という用語は「生きている」すなわち生体上にあるか、または「生きていない」すなわちかつら、ヘアーピースまたはその他生きていないケラチン繊維の集合体であり得る。哺乳類、好ましくはヒトの毛髪が好ましい。
【0020】
「毛髪着色用組成物」とは、毛髪の色を変えるのに適した組成物を意味する。毛髪着色用組成物は以後本明細書中で他に規定されない限り「組成物」といわれる。毛髪着色用組成物は酸化染料前駆体および/または直接染料を含み得る。
【0021】
「毛髪脱色用組成物」とは、例えば毛髪を少なくとも4レベルのリフト(lift)だけ明るくするのに適した組成物を意味し、アンモニア、アルカノールアミン、水酸化ナトリウムおよび/または過硫酸塩、過炭酸塩および過ホウ酸塩を含み得る。
【0022】
「水溶性(water-soluble)」とは標準条件で少なくとも0.1g、1g、または10gの酸化剤が1リットルの脱イオン水に溶解し得ることを意味する。
【0023】
「実質的に含まない」とはある組成物またはある成分がその組成物またはその成分の総重量当たり重量で0.1%以下、好ましくは0.01%以下、より好ましくは約0%のある化合物を含むことを意味する。
【0024】
すべてのパーセントは他に規定されない限り組成物、例えば毛髪着色用組成物、染料成分または酸化成分の総重量に対する重量(wt/wt)である。すべての比またはパーセントは特に他に断らない限り重量比または重量パーセントである。
【0025】
用語「約」が重量比または重量パーセントに関連して使用されるとき、具体的な値は±10%の範囲を意味すると理解されるべきであることを意味する。例えば、約1%の化合物の重量割合は0.9~1.1%の範囲の重量割合を意味する。例えば、約2.5%の化合物の重量割合は2.25~2.75%の範囲の重量割合を意味する。
【0026】
新たに脱色された毛髪を処理する方法
第1の態様において、本発明は新たに脱色された毛髪を処理する方法に関する。
【0027】
本発明者は驚くべきことに本発明による方法が新たに脱色された毛髪を処理するのに有用であることを示した。本方法は新たに脱色された毛髪を短い発色時間で、所望の色合い、所望の強度、および根元から毛先までの均等性を損なうことなく、最低の損傷可能性で処理することを可能にする。実際、本発明者は予想外なことに、毛髪着色用組成物が10分以内、好ましくは2~8分、より好ましくは3~7分、さらにより好ましくは4~6分、最も好ましくは約5分間という短い時間毛髪上に放置されるだけであっても満足のいく結果が得られることを示した。
【0028】
本発明による方法は次の工程:
- 毛髪を脱色する工程と、
- 毛髪着色用組成物を毛髪に塗布する工程であって、毛髪着色用組成物は7.0~8.0のpH、好ましくは7.2を超えて8.0まで、より好ましくは7.3~8.0のpHを有し、緩衝系を含む、工程と、
- 毛髪着色用組成物を10分以下毛髪上に放置する工程であって、組成物は脱色された少なくとも0.20単位低下して6.8~7.2の範囲になるpHを有する、工程と、
- 毛髪着色用組成物を濯ぎ落す工程と
を含む。
【0029】
脱色工程
方法は毛髪を脱色する工程を含む。この工程は新たに脱色された毛髪を得ることを可能にする。「新たに脱色された毛髪」とは、毛髪着色用組成物を塗布する前48h以内に得られ、かつ脱色処理を行なった直後の洗浄、シャンプーまたは処理の他にさらに洗浄したり、シャンプーしたり、または処理したりしていない脱色された毛髪を意味する。実際、脱色処理は通常、特に毛髪から毛髪脱色用組成物を除くために洗浄、シャンプーおよび/またはコンディショニングする少なくとも1つの最終工程を含む。したがって新たに脱色された毛髪は毛髪着色用組成物を塗布する直前に得られる。
【0030】
毛髪は毛髪着色用組成物を塗布する前48h以内、好ましくは24h以内、より好ましくは3h以内に脱色され得、したがって新たに脱色された毛髪は前記時間内に得られ得る。
【0031】
毛髪は以下に記載されるようにいずれかの適切な毛髪脱色用組成物を用いて脱色され得る。
【0032】
脱色工程を実施した後、毛髪着色用組成物を塗布する前に、方法は新たに脱色された毛髪を濯ぐ工程を含む。この工程により、濯いだ脱色された毛髪を得ることが可能になる。
【0033】
毛髪は任意の適切な濯ぎ組成物、例えば水またはシャンプー組成物を用いて濯ぎ得る。
【0034】
脱色された毛髪を濯いだ後、毛髪着色用組成物を塗布する前に、方法は新たに脱色された毛髪をコンディショニングする工程を含み得る。
【0035】
脱色された毛髪を濯いだ後、毛髪着色用組成物を塗布する前、毛髪は乾燥しても濡れたまま放置してもよい。
【0036】
毛髪着色用組成物塗布工程
方法は毛髪着色用組成物を新たに脱色された毛髪に塗布する工程を含み、ここで毛髪着色用組成物は7.0~8.0のpH、好ましくは7.2を超えて8.0まで、より好ましくは7.3~8.0のpHを有し、緩衝系を含む。毛髪への塗布の際、緩衝系はわずかにアルカリ性からわずかに酸性のpHへのpH低下、すなわち少なくとも0.20単位、好ましくは0.2~1単位、より好ましくは0.2~0.5単位のpH低下を可能にし、6.8~7.2の範囲になる。
【0037】
毛髪着色用組成物は毛髪を脱色した後48h以内、好ましくは24h以内、より好ましくは3h以内で塗布され得、したがって着色した毛髪がその時間内に得られ得る。
【0038】
適切な毛髪着色用組成物は以下に記載される。
【0039】
毛髪の量に応じて充分な量、例えば3~250グラム、好ましくは40~150グラム、より好ましくは50~120グラムの毛髪着色用組成物(すなわち、混合物)を毛髪に塗布し得る。
【0040】
毛髪着色用組成物はアプリケーターボトルもしくはブラシまたは任意の代わりの適切な装置によって毛髪に塗布され得る。
【0041】
発色工程
方法は毛髪着色用組成物を10分以下放置する工程を含み、ここで組成物は脱色された毛髪上で発色時間中に少なくとも0.20単位低下して6.80~7.20の範囲になるpHを有する。この工程により着色した毛髪を得ることが可能になる。
【0042】
毛髪着色用組成物は2~8分、好ましくは3~7分、より好ましくは4~6分、さらにより好ましくは約5分間毛髪上に放置され得る。
【0043】
濯ぎ工程
方法は毛髪着色用組成物を濯ぎ落す工程を含む。この工程により濯いだ着色した毛髪を得ることが可能になる。
【0044】
毛髪は任意の適切な濯ぎ組成物、例えば水またはシャンプー組成物を用いて濯ぎ得る。
【0045】
毛髪準備工程
毛髪脱色用組成物は任意の適切な毛髪に塗布され得る。
【0046】
毛髪はバージン(未処理の)毛髪、以前に着色された毛髪、以前に脱色された毛髪を含めて任意の適切な毛髪、好ましくはヒトの毛髪であり得る。
【0047】
毛髪脱色用組成物調製工程
毛髪に塗布する前、毛髪脱色用組成物は少なくとも第1の成分(アルカリ化剤)および第2の成分(酸化剤)を塗布指示に従って適切な重量比で混合することにより調製され得る。
【0048】
第1の成分および第2の成分は毛髪脱色用組成物を得るために1:1~1:3、好ましくは約1:2の重量比で混合され得る。
【0049】
適切な第1の成分および適切な第2の成分を以下に記載する。
【0050】
小売り市場で、毛髪脱色用組成物は通常毛髪脱色用キットとして販売される。毛髪脱色用キットは典型的に少なくとも2つの別個の容器に少なくとも2つの個別に包装された成分を含む。第1の成分はアルカリ化剤のもと、好ましくはアンモニウムイオン源(例えば、アンモニア、またはモノエタノールアミン)を含む。第2の成分は酸化剤、好ましくは過酸化水素を含む。消費者は2つの成分を使用の直前に一緒に混合し、得られた混合物を毛髪に塗布する。
【0051】
毛髪脱色用組成物は毛髪に塗布する直前、好ましくは30分以内、より好ましくは10分以内、最も好ましくは5分以内に調製され得る。
【0052】
毛髪着色用組成物調製工程
毛髪に塗布する前に、毛髪着色用組成物は染料成分および酸化成分を混合することにより調製され得る。
【0053】
染料成分および酸化成分は3:1~1:3、好ましくは2:1~1:2、より好ましくは約1:1の重量比で混合され得る。
【0054】
適切な染料成分および適切な酸化成分を以下に記載する。
【0055】
小売り市場で、毛髪着色用組成物は通常毛髪着色用キットとして販売される。毛髪着色用キットは少なくとも、別個の容器のような個別に包装された構成要素内に、染料成分(エマルションの場合「染料クリーム)」または溶液の場合「染料液」ともよばれる)および酸化成分(エマルションの場合「過酸化水素クリーム」または溶液の場合「過酸化水素液」ともよばれる)を含む。消費者は使用直前に染料成分および酸化成分を一緒に混合し、得られた混合物を毛髪に塗布する。
【0056】
プロのヘアーサロン市場において、染料成分および酸化成分は通常独立に供給され、プロは好ましい組合せを選択することが可能になる。
【0057】
染料および酸化成分は多種多様な包装装置および/または分配装置で提供され得る。これらの分配装置は、独立してまたは互いに組み合わせて使用し得る別々の装置の形態であることができる。典型的に、染料および酸化成分は使用前互いに別々に保存することができるように別個の単一または多区画容器内に収容される。次いで成分は混合手段により一緒に混合され、得られた混合物は次に装置から分配され、塗布手段により消費者の毛髪に塗布される。
【0058】
使用され得る最も一般的な包装装置は、ボトル、チューブ、噴霧器(aerosol)、または小袋(sachet)のような容器に酸化成分を保存し、別途、酸化成分を保持する同じ容器内の追加の区画に、または好ましくは例えば二元の小袋もしくは噴霧器系のように同じであっても、またはボトルおよびチューブ系のように異なってもよい別個の容器に染料成分を保存することを含む。いかなる組合せを使用してもよく、典型的に保存される成分の種類次第、すなわち濃厚な種類であるか希薄な種類であるかによる。
【0059】
染料成分および酸化成分の混合物は均一な毛髪着色用組成物が得られるまで働かせ(work)得る。ユーザーは任意の手段により染料成分および酸化成分を混合し得る。これは単に、成分が分配された後、好ましくはある用具(tool)のような混合手段を用いて混合される混合ボウルの使用を含み得る。あるいは、成分の1つを他の成分の容器に加えることを含み得(典型的に染料成分が酸化成分に加えられる)、続いて手動で振盪するかまたはある用具で混合する。別の系は単一の容器または小袋内の染料および酸化成分の別個の区画の間に位置するシールの穿孔または除去に続くその容器内または別個および/または追加の容器での手動の混合を含む。
【0060】
本明細書中上に記載した装置はまた、製品の毛髪への塗布を補助するため製品供給および/または塗布用具と組み合わせて使用され得る。ここでもこれらの装置は、容器の1つに取り付けられたノズルのような非常に単純な種類のものでも、または櫛もしくはブラシのような別のアプリケーター装置であってもよい。かかる櫛およびブラシは、迅速および均一な被覆もしくは毛根/生え際タッチアップ、またはハイライトもしくは縞であろうとなかろうと特定の作用を達成するために適応させることができる。あるいは、容器または複数の容器の1つが分配ノズルに添えてまたはそれに代えて取り付けられた櫛を備えてもよく、それにより製品は櫛の歯に位置する中空の歯および分配開口を通って分配される。櫛の歯は歯に沿って単一または多数の開口を備えていて、製品の塗布および殊に根元から毛先までの均一性を改善し得る。製品分配は容器例えばデラミボトル(delaminating bottle)に加えられる機械的な圧力または上記した機構のいずれかにより達成することができる。櫛は容易な塗布を促進するように容器に備えてもよく、垂直に(いわゆるバーティコーム(verticomb))またはある角度で配置して消費者がすべての領域にアクセスできるようにしてもよい。すべての装置は互換性を有するように設計されているので、毛髪塗布のためのある範囲のいろいろな用具を消費者に提供することができる。
【0061】
毛髪着色用組成物は毛髪に塗布する前、好ましくは30分以内、より好ましくは10分以内、最も好ましくは5分以内に速やかに調製され得る。
【0062】
乾燥工程
毛髪着色用組成物を濯ぎ落した後、方法は、毛髪を乾燥する工程を含み得る。任意の適切な乾燥方法を使用できる。例えば、毛髪はタオル、ヘアドライヤーまたは任意の代わりの適切な装置を用いて乾燥され得る。
【0063】
櫛で梳かす/ブラシをかける工程
毛髪着色用組成物を濯ぎ落した後、方法は、毛髪にブラシをかけるかまたは櫛で梳かす工程を含み得る。
【0064】
コンディショニング工程
毛髪着色用組成物を濯ぎ落した後、方法は、毛髪にコンディショニング組成物を塗布する工程を含み得る。
【0065】
任意の適切な毛髪コンディショニング組成物(染料成分および酸化成分とは異なる)を塗布し得る。毛髪コンディショニング組成物は以下に記載されるコンディショニング剤を含み得る。
【0066】
毛髪脱色用組成物
毛髪脱色用組成物はいかなる慣用の毛髪脱色用組成物でもよい。
【0067】
毛髪脱色用組成物はすぐに使える組成物、すなわち毛髪に塗布する準備ができている組成物に相当する。毛髪着色用組成物は第1の成分(アルカリ化剤)、および第2の成分(酸化剤)を混合すると得られ得る。消費者は2つの成分を使用の直前に混合し、得られた混合物を毛髪に塗布する。
【0068】
第1の成分はアルカリ化剤のもと、好ましくはアンモニウムイオン源を含む。アルカリ化剤はアルカリ塩および無機過酸塩;好ましくは過硫酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩、およびこれらの混合物;より好ましくは過硫酸塩;最も好ましくは過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、およびこれらの混合物であり得る。アルカリ化剤は第1の成分の総重量当たり15~100重量%の量で存在し得る。第1の成分は粉末または懸濁液であり得る。
【0069】
第2の成分は酸化剤、好ましくは過酸化水素を含む。第2の成分は水性担体、好ましくは水中に第2の成分の総重量当たり2~12重量%の過酸化水素を含み得る。
【0070】
任意の適切な毛髪脱色用組成物(およびその成分)、例えばBlondor MultiBlondを始めとする市販の製品が使用され得る。
【0071】
毛髪着色用組成物
毛髪着色用組成物はすぐに使える組成物、すなわち毛髪に塗布する準備ができている組成物に相当する。毛髪着色用組成物は染料成分および酸化成分を混合すると得られ得る。染料成分および酸化成分は毛髪着色用組成物を毛髪に塗布する直前に混合され得る。
【0072】
毛髪着色用組成物は7.0~8のpH、好ましくは7.2を超えて8.0まで、より好ましくは7.3~8.0のpHを有する。毛髪着色用組成物はまた緩衝系も含む。毛髪に塗布後、そのpHは毛髪上で短い発色時間、すなわち、10分以内、好ましくは2~8分、より好ましくは3~7分、さらにより好ましくは4~6分、最も好ましくは約5分間に少なくとも0.2単位だけ6.8~7.2の範囲に低下する。組成物のpHは標準の実験室用pH電極を備えたMettler Toledo MP220、MP225またはMettler Toledo Five Go(FG2)pH装置を用いることにより決定することができる。機器は各々の使用前に標準的な較正バッファーを用い、標準的な較正手法を用いて較正される。
【0073】
毛髪着色用組成物は少なくとも1種のアルカリ化剤、少なくとも1種の酸化剤、少なくとも1種のキレート剤、少なくとも第1の緩衝酸性化合物、少なくとも第2の緩衝酸性化合物、少なくとも1種の緩衝アルカリ化合物、ゲルネットワーク増粘剤系(ここでゲルネットワーク増粘剤系は少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、少なくとも1種の脂肪アルコールおよび少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む)、少なくとも1種の酸化毛髪染料前駆体および少なくとも1種のカプラー、ならびに少なくとも1種の溶媒を含み得る。毛髪着色用組成物はまた場合により少なくとも1種のラジカルスカベンジャー、場合により少なくとも1種のコンディショニング剤、場合により少なくとも1種の直接染料、場合により少なくとも1種の増粘剤、場合により少なくとも1種の抗酸化剤、場合により少なくとも1種の非増粘性の粘度調整剤、場合により少なくとも1種の過酸化物安定化剤、および/または場合により少なくとも1種の追加の界面活性剤(ゲルネットワーク増粘系中に存在する少なくとも1種のアニオン性界面活性剤以外)も含み得る。
【0074】
染料成分
染料成分は8.5~10、好ましくは9~10のpHを有する。
【0075】
染料成分は少なくとも1種のアルカリ化剤、少なくとも1種のキレート剤、少なくとも1種の第1の緩衝酸性化合物、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、少なくとも1種の脂肪アルコール、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、少なくとも1種の酸化毛髪染料前駆体および少なくとも1種のカプラー、少なくとも1種の溶媒を含み得る。染料成分はまた場合により少なくとも1種のラジカルスカベンジャー、場合により少なくとも1種のコンディショニング剤、場合により少なくとも1種の直接染料、場合により少なくとも1種の増粘剤、場合により少なくとも1種の抗酸化剤、および/または場合により少なくとも1種の非増粘性粘度調整剤も含み得る。
【0076】
酸化成分
酸化成分は1.8~3.5、好ましくは2~3のpHを有する。
【0077】
酸化成分は少なくとも1種の酸化剤、少なくとも1種の第2の緩衝酸性化合物、少なくとも1種の緩衝アルカリ化合物、少なくとも1種の溶媒を含み得る。酸化成分はまた場合により少なくとも1種のキレート剤、場合により少なくとも1種のコンディショニング剤、場合により少なくとも1種の直接染料、場合により少なくとも1種の増粘剤、場合により少なくとも1種の過酸化物安定化剤、および/または場合により少なくとも1種の追加の界面活性剤も含み得る。
【0078】
アルカリ化剤
染料成分、およびそれから得られる毛髪着色用組成物は少なくとも1種のアルカリ化剤を含み得る。
【0079】
混合する前、少なくとも1種のアルカリ化剤は染料成分の総重量当たり重量で0.2~4%、好ましくは0.2~2%、より好ましくは0.2~1%、さらにより好ましくは0.6~0.9%の量で染料成分中に存在し得る。
【0080】
少なくとも1種のアルカリ化剤は毛髪着色用組成物の総重量当たり重量で0.1~2%、好ましくは0.1~1%、より好ましくは0.1~0.5%、さらに好ましくは0.3~0.45%の量で毛髪着色用組成物中に存在し得る。
【0081】
少なくとも1種のアルカリ化剤はアンモニア、アルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン 2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-1-プロパノール、3-アミノ-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、および2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール)、ジメチルグルカミン、グアニジウム塩、アルカリ金属およびアンモニウム水酸化物(例えば水酸化ナトリウム)、アルカリ金属およびアンモニウム炭酸塩、およびこれらの混合物から;好ましくはアンモニア、モノエタノールアミン、水酸化ナトリウム、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくはアルカリ化剤はモノエタノールアミンおよび水酸化ナトリウムの混合物である。
【0082】
本発明において、少なくとも1種のアルカリ化剤(例えばアンモニア、モノエタノールアミンおよびそれらの誘導体)は単に「アルカリ化剤」と分類される。
【0083】
酸化剤
酸化成分、およびそれから得られる毛髪着色用組成物は少なくとも1種の酸化剤を含み得る。
【0084】
混合する前、少なくとも1種の酸化剤は酸化成分の総重量当たり重量で1~3%、好ましくは1.2~2.4%、より好ましくは1.5~2%の量で酸化成分中に存在し得る。
【0085】
少なくとも1種の酸化剤は酸化成分の総重量当たり重量で0.5~1.5%、好ましくは0.6~1.2%、好ましくは約0.75~1%の量で毛髪着色用組成物中に存在し得る。
【0086】
少なくとも1種の酸化剤は、水性溶液中で過酸化水素を生じることができる水溶性の無機過酸素物質であり得;好ましくは酸化剤は、過酸化水素、無機のアルカリ金属過酸化物(例えば過ヨウ素酸ナトリウムおよび過酸化ナトリウム)、有機の過酸化物(例えば過酸化尿素、メラミン過酸化物)、無機過水和物塩脱色化合物(例えば過ホウ酸、過炭酸、過リン酸、過ケイ酸、過硫酸のアルカリ金属塩)、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくは過酸化水素、過硫酸塩、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくは酸化剤は過酸化水素である。
【0087】
少なくとも1種の酸化剤は水溶液で、または使用前に溶解される粉末として提供され得る。
【0088】
キレート剤
染料成分および場合により酸化成分、ならびにそれらから得られる毛髪着色用組成物は少なくとも1種のキレート剤を含み得る。キレート剤が染料成分および酸化成分の両方に存在するとき、染料成分中に存在する少なくとも1種のキレート剤は「少なくとも1種の第1のキレート剤」といわれることがあり、酸化成分中に存在する少なくとも1種のキレート剤は「少なくとも1種の第2のキレート剤」といわれることがある。それぞれ染料成分および酸化成分中に存在する第1および第2のキレート剤は同じ化合物であってもよいし、または異なる化合物であってもよい。
【0089】
混合する前、少なくとも1種の(第1の)キレート剤は染料成分の総重量当たり重量で1.2~1.8%、好ましくは1.2~1.6%の量で染料成分中に存在し得る。
【0090】
混合する前、存在する場合、少なくとも1種の(第2の)キレート剤は酸化成分の総重量当たり重量で0.1%以下、好ましくは0.001~0.05%の量で酸化成分中に存在し得る。
【0091】
少なくとも1種のキレート剤は毛髪着色用組成物の総重量当たり重量で0.6~0.9%、好ましくは0.6~0.8%の量で毛髪着色用組成物中に存在し得る。
【0092】
少なくとも1種のキレート剤は、カルボン酸(例えばアミノカルボン酸)、ホスホン酸(例えばアミノホスホン酸)、ポリリン酸(例えば直鎖状のポリリン酸)、それらの塩、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくはアミノカルボン酸、アミノホスホン酸、直鎖状ポリリン酸、それらの塩、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくはアミノカルボン酸から選ばれ得る。
【0093】
アミノカルボン酸キレート剤は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、エチレンジアミン二グルタル酸(EDGA)、2-ヒドロキシプロピレンジアミン二コハク酸(HPDS)、グリシンアミド-N,N’-二コハク酸(GADS)、エチレンジアミン-N-N’-二グルタル酸(EDDG)、2-ヒドロキシプロピレンジアミン-N-N’-二コハク酸(HPDDS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレン二システイン酸(EDC)、エチレンジアミン-N-N’-ビス(オルト-ヒドロキシフェニル酢酸)(EDDHA)、ジアミノアルキルジ(スルホコハク酸)(DDS)、N,N’-ビス(2-ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N,N’-二酢酸(HBED)、それらの塩、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくはEDDS、EDTA、それらの塩、およびこれらの混合物からなる群から選ばれ得る。
【0094】
アミノホスホン酸は、アミノトリ-(メチレンホスホン酸)、アミノトリ-(1-エチルホスホン酸)、アミノトリ-(イソプロピルホスホン酸)、エチレン-ジアミンテトラ-(1-エチルホスホン酸)、アミノトリ-(1-プロピルホスホン酸)、エチレン-ジアミン-テトラ-(メチレンホスホン酸)(EDTMP)、ジエチレン-トリアミン-ペンタ-(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、それらの塩、およびこれらの混合物から選ばれ得る。
【0095】
染料成分中に存在する少なくとも1種の(第1の)キレート剤はカルボン酸、ホスホン酸、ポリリン酸、それらの塩、およびこれらの混合物から;好ましくはアミノカルボン酸から;好ましくはDTPA、EDDS、EDGA、HPDS、GADS、EDDG、HPDDS、EDTA、EDC、EDDHA、DDS、HBED、それらの塩、およびこれらの混合物から;好ましくはEDDS、EDTA、それらの塩、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくは少なくとも1種の(第1の)キレート剤はEDDSおよびEDTAの混合物である。
【0096】
存在する場合、酸化成分中に存在する少なくとも1種の(第2の)キレート剤はエチドロン酸であり得る。
【0097】
緩衝系
組成物は、わずかにアルカリ性からわずかに酸性のpHへのpH低下を可能にする緩衝系を含む。緩衝系は少なくとも1種の緩衝酸性化合物と少なくとも1種の緩衝アルカリ化合物を合わせたときに得られる。
【0098】
染料成分、およびそれから得られる毛髪着色用組成物は少なくとも1種の第1の緩衝酸性化合物を含み得る。
【0099】
混合する前、少なくとも1種の第1の緩衝酸性化合物は染料成分の総重量当たり重量で0.01~0.6%、好ましくは0.05~0.45%、より好ましくは0.15~0.45%の量で染料成分中に存在し得る。
【0100】
少なくとも1種の第1の緩衝酸性化合物は毛髪着色用組成物の総重量当たり重量で0.05~0.3%、好ましくは0.025~0.225%、好ましくは0.075~0.225%の量で毛髪着色用組成物中に存在し得る。
【0101】
酸化成分、およびそれから得られる毛髪着色用組成物は少なくとも1種の第2の緩衝酸性化合物を含み得る。
【0102】
混合する前、少なくとも1種の第2の緩衝酸性化合物は酸化成分の総重量当たり重量で0.15~0.5%、好ましくは0.17~0.4%、より好ましくは0.17~0.3%の量で酸化成分中に存在し得る。
【0103】
少なくとも1種の第2の緩衝酸性化合物は毛髪着色用組成物の総重量当たり重量で0.075~0.25%、好ましくは0.085~0.2%、好ましくは0.085~0.15%の量で毛髪着色用組成物中に存在し得る。
【0104】
緩衝酸性化合物は有機および無機酸から;好ましくは亜硫酸、硫酸、塩酸、次亜硝酸、亜硝酸、硝酸、リン酸、亜リン酸、クエン酸、リンゴ酸、およびこれらの混合物から;好ましくはリン酸、亜リン酸、クエン酸、リンゴ酸、塩酸、次亜硝酸、およびこれらの混合物から;好ましくはリン酸、クエン酸、およびこれらの混合物から選ばれ得る。
【0105】
酸化成分、およびそれから得られる毛髪着色用組成物は少なくとも1種のアルカリ緩衝成分を含み得る。
【0106】
混合する前、少なくとも1種のアルカリ緩衝成分は酸化成分の総重量当たり重量で0.2~0.6%、好ましくは0.2~0.5%、より好ましくは0.2~0.35%の量で酸化成分中に存在し得る。
【0107】
少なくとも1種のアルカリ緩衝化合物はアルカリ緩衝化合物の総重量当たり重量で0.1~0.3%、好ましくは0.1~0.25%、好ましくは0.1~0.175%の量で毛髪着色用組成物中に存在し得る。
【0108】
緩衝アルカリ化合物は、アルカリ金属塩、アミノ酸、それらの塩、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくはグリシン、アルカリ金属塩、アミノ酸、塩化物、硝酸塩、それらの塩、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくはアルカリ金属の塩化物、硝酸塩および/またはリン酸、グリシン、それらの塩、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくはリン酸のアルカリ金属、それらの塩、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくは緩衝アルカリ化合物はリン酸二ナトリウムである。本発明において、アルカリ化剤(例えばアンモニア、モノエタノールアミン、水酸化ナトリウム、およびそれらの誘導体)は「緩衝アルカリ化合物」として分類されない。したがって「緩衝アルカリ化合物」という表現は現在例えばアンモニア、モノエタノールアミン、水酸化ナトリウムおよびそれらの誘導体を排除する。
【0109】
1つの実施形態において、第1の緩衝酸性化合物はクエン酸であり、第2の緩衝酸性化合物はリン酸であり、緩衝アルカリ化合物はリン酸二ナトリウムである。この実施形態において、毛髪着色用組成物はリン酸(緩衝酸性化合物)、クエン酸(緩衝酸性化合物)、およびリン酸二ナトリウム(緩衝アルカリ化合物)を含む緩衝系を含む。
【0110】
ゲルネットワーク増粘剤
毛髪着色用組成物は三成分系を含む増粘系と定義されるゲルネットワーク増粘剤系を含み得る。この系は少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、少なくとも1種の脂肪アルコールおよび少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。
【0111】
ゲルネットワーク増粘剤系は毛髪着色用組成物の総重量当たり重量で1.2~4.5%、好ましくは2~4%の量で毛髪着色用組成物中に存在し得る。
【0112】
染料成分、およびそれから得られる毛髪着色用組成物は少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む。
【0113】
混合する前、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は染料成分の総重量当たり重量で0.2~1%、好ましくは0.5~0.8%、より好ましくは0.5~0.65%の量で染料成分中に存在し得る。
【0114】
少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は染料成分の総重量当たり重量で0.1~0.5%、好ましくは0.25~0.4%、より好ましくは0.25~0.325%の量で染料成分中に存在し得る。
【0115】
少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、C14~C30アルキルホスフェート、C14~C30アルキルエーテルホスフェート、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくはC14~C18アルキルホスフェート、C14~C18アルキルエーテルホスフェート、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくはアニオン性界面活性剤はリン酸ジセチルおよびセテス-10ホスフェートの混合物である。好ましくはアルキルエーテルホスフェートは平均して1~20、好ましくは1~10のエチレンオキシド単位を有する。
【0116】
染料成分および/または酸化成分、およびそれから得られる毛髪着色用組成物は少なくとも1種の脂肪アルコールを含む。1つの実施形態において、脂肪アルコールは染料成分中に存在するのみである。代わりの実施形態において、脂肪アルコールは染料成分中および酸化成分中に存在する。
【0117】
混合する前、少なくとも1種の脂肪アルコールは染料成分の総重量当たり重量で1.6~2.5%、好ましくは1.6~2.3%、より好ましくは1.65~2.1%の量で染料成分中に存在し得る。
【0118】
混合する前、存在する場合、少なくとも1種の脂肪アルコールは酸化成分の総重量当たり重量で1.6~3.4%、好ましくは1.8~3.2%、好ましくは2~3%の脂肪アルコールの量で酸化成分中に存在し得る。
【0119】
少なくとも1種の脂肪アルコールは毛髪着色用組成物の総重量当たり重量で0.8~1.25%、好ましくは0.8~1.15%、より好ましくは0.825~1.05%の量で毛髪着色用組成物中に存在し得る。あるいは、少なくとも1種の脂肪アルコールは毛髪着色用組成物の総重量当たり重量で1.6~2.95%、好ましくは1.7~2.75%、より好ましくは1.825~2.55%の量で毛髪着色用(hair colouring)に存在し得る。
【0120】
脂肪アルコールは、直鎖状または分枝状のC14~C30脂肪アルコール、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくはセチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコール、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくはセテアリルアルコールから選ばれ得る。
【0121】
染料成分、およびその毛髪着色用組成物は少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含み得る。
【0122】
混合する前、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤は染料成分の総重量当たり重量で0.1~0.5%、好ましくは0.2~0.3%の量で染料成分中に存在し得る。
【0123】
少なくとも1種の非イオン性界面活性剤は組成物の総重量当たり重量で0.05~0.25%、好ましくは0.1~0.15%の量で毛髪着色成分中に存在し得る。
【0124】
非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンC14~C30アルキルエーテルから選ばれ得;好ましくは少なくとも50、または50~200、または100~200のエチレンオキシド単位を有する1以上のポリエチレンオキシド鎖を含むポリオキシエチレンC14~C30アルキルエーテルから選ばれ得;好ましくはステアレス-20、ステアレス-100、ステアレス-150、ステアレス-200、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくはステアレス-200から選ばれ得る。
【0125】
毛髪染料
染料成分、およびその毛髪着色用組成物は少なくとも1種の酸化毛髪染料前駆体(「一次中間体」、「一次染料」または「染料中間体」ともいわれる)および少なくとも1種のカプラー(「色調整剤」または「二次中間体」ともいわれる)を含み得る。前駆体およびカプラーの選択は、望まれる着色の色、色合いおよび強度により決定される。毛髪染料前駆体およびカプラーは、単独で、または組み合わせて本発明に使用されて灰色がかったブロンド色から黒までの範囲の多様な色合いを有する染料を提供することができる。
【0126】
混合する前、少なくとも1種の酸化毛髪染料前駆体および少なくとも1種のカプラーは合わせて染料成分の総重量当たり重量で20%以下、好ましくは0.002~20%、より好ましくは0.002~10%、さらにより好ましくは0.2~4%、さらにより好ましくは0.4~2%の量で染料成分中に存在し得る。
【0127】
少なくとも1種の酸化毛髪染料前駆体および少なくとも1種のカプラーは合わせて毛髪着色用組成物の総重量当たり重量で10%以下、好ましくは0.001~10%、より好ましくは0.001~5%、さらにより好ましくは0.1~2%、さらにより好ましくは0.2~1%の量で毛髪着色用組成物中に存在し得る。
【0128】
一次中間体は、トルエン-2,5-ジアミン、p-フェニレンジアミン、N-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン、ヒドロキシプロピル-ビス-(N-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン)、2-メトキシメチル-p-フェニレンジアミン、2-(1,2-ジヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、2,2’-(2-(4-アミノフェニルアミノ)エチルアザンジイル)ジエタノール、2-(2,5-ジアミノ-4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオール、2-(7-アミノ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4(3H)-イル)エタノール、2-クロロ-p-フェニレンジアミン、p-アミノフェノール、p-(メチルアミノ)フェノール、4-アミノ-m-クレゾール、6-アミノ-m-クレゾール、5-エチル-o-アミノフェノール、2-メトキシ-p-フェニレンジアミン、2,2’-メチレンビス-4-アミノフェノール、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノ-4-ピリミジノール、1-ヒドロキシエチル-4,5-ジアミノピラゾールスルフェート、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ブチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ペンチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ベンジルピラゾール、2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロキシピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1(5H)-オンジメトスルホネート、4,5-ジアミノ-1-ヘキシルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヘプチルピラゾール、メトキシメチル-1,4-ジアミノベンゼンベンゼン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-(4-アミノフェニル)-1,2-ジアミノタン、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル)オキシ]エタノールヒドロクロリド、それらの塩、およびこれらの混合物から選ばれ得る。
【0129】
カプラーは、レゾルシノール、4-クロロレゾルシノール、2-クロロレゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、4,6-ジクロロベンゼン-1,3-ジオール、2,4-ジメチルベンゼン-1,3-ジオール、m-アミノフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、3-アミノ-2,6-ジメチルフェノール、3-アミノ-2,4-ジクロロフェノール、5-アミノ-6-クロロ-o-クレゾール、5-アミノ-4-クロロ-o-クレゾール、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、2-アミノ-5-エチルフェノール、2-アミノ-5-フェニルフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、2-アミノ-5-エトキシフェノール、5-メチル-2-(メチルアミノ)フェノール、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、1,3-ビス-(2,4-ジアミノフェノキシ)-プロパン、2,2’-(2-メチル-1,3-フェニレン)ビス(アザンジイル)ジエタノール、ベンゼン-1,3-ジアミン、2,2’-(4,6-ジアミノ-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジエタノール、3-(ピロリジン-1-イル)アニリン、1-(3-(ジメチルアミノ)フェニル)尿素、1-(3-アミノフェニル)尿素、1-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、1,5-ナフタレンジオール、2,7-ナフタレンジオールまたは1-アセトキシ-2-メチルナフタレン、4-クロロ-2-メチルナフタレン-1-オール、4-メトキシ-2-メチルナフタレン-1-オール、2,6-ジヒドロキシ-3,4-ジメチルピリジン、2,6-ジメトキシ-3,5-ピリジンジアミン、3-アミノ-2-メチルアミノ-6-メトキシピリジン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、2,6-ジアミノピリジン、ピリジン-2,6-ジオール、5,6-ジヒドロキシインドール、6-ヒドロキシインドール、5,6-ジヒドロキシインドリン、3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、2-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソル-5-イルアミノ)エタノール(ヒドロキシエチル-3,4-メチレンジオキシアニリンともいわれる)、およびこれらの混合物から選ばれ得る。
【0130】
酸化毛髪染料前駆体は、p-アミノフェノール、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、3-メチル-p-アミノフェノール、メトキシメチル-1,4-ジアミノベンゼン、2,5-トルエンジアミンスルフェート、およびこれらの混合物から選ばれ得;カプラーはレゾルシノール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、2-メチルレゾルシノール、ヒドロキシエチル-3,4-メチレンジオキシアニリン、およびこれらの混合物から選ばれ得る。
【0131】
溶媒
染料成分、酸化成分、およびそれから得られる毛髪着色用組成物は少なくとも1種の溶媒を含み得る。
【0132】
混合する前、少なくとも1種の溶媒は染料成分の総重量当たり重量で少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%の量で染料成分中に存在し得る。
【0133】
混合する前、少なくとも1種の溶媒は酸化成分の総重量当たり重量で少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%の量で酸化成分中に存在し得る。
【0134】
少なくとも1種の溶媒は毛髪着色用組成物の総重量当たり重量で少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%の量で毛髪着色用組成物中に存在し得る。
【0135】
溶媒は、水、または水と、典型的に水に充分に可溶性でないであろう化合物を溶解させるための少なくとも1種の有機溶媒との混合物から選択され得る。有機溶媒はC1~C4低級アルカノール(例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール)、芳香族アルコール(例えばベンジルアルコールおよびフェノキシエタノール)、ポリオールおよびポリオールエーテル(例えばカルビトール、2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、モノメチルエーテル、ヘキシレングリコール、グリセロール、エトキシグリコール、ブトキシジグリコール、エトキシジグリセロール、ジプロピレングリコール、ポリグリセロール)、プロピレンカーボネート、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくはエタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセロール、1,2-プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、エトキシジグリコール、およびこれらの混合物からなる群から選ばれ得;好ましくは有機溶媒はプロピレングリコールである。
【0136】
1つの実施形態において、染料成分は水およびプロピレングリコールを含む溶媒を含む。
【0137】
1つの実施形態において、酸化成分は水である溶媒を含む。
【0138】
ラジカルスカベンジャー
染料成分、およびそれから得られる毛髪着色用組成物は少なくとも1種のラジカルスカベンジャーを含み得る。
【0139】
少なくとも1種のスカベンジャーは毛髪着色用組成物の総重量当たり重量で0.01~0.5%、好ましくは0.01~0.2%、好ましくは約0.15%の量で毛髪着色用組成物中に存在し得る。
【0140】
混合する前、少なくとも1種のスカベンジャーは染料成分の総重量当たり重量で1%以下、好ましくは0.02~1%、好ましくは0.02~0.4%、好ましくは約0.3%の量で染料成分中に存在し得る。
【0141】
ラジカルスカベンジャーは、酸化プロセス中毛髪に対する損傷を低減する役に立つ。
【0142】
ラジカルスカベンジャーは、アルカノールアミン、アミノ糖、アミノ酸、アミノ酸のエステル、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくは3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、5-アミノ-1-ペンタノール、1-アミノ-2-プロパノール、1-アミノ-2-ブタノール、1-アミノ-2-ペンタノール、1-アミノ-3-ペンタノール、1-アミノ-4-ペンタノール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、グルコサミン、N-アセチルグルコサミン、グリシン、アルギニン、リジン、プロリン、グルタミン、ヒスチジン、サルコシン、セリン、グルタミン酸、トリプトファン、それらの塩、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくはグリシン、サルコシン、リジン、セリン、2-メトキシエチルアミン、グルコサミン、グルタミン酸、モルホリン、ピペリジン、エチルアミン、3-アミノ-1-プロパノール、およびこれらの混合物から選ばれ得る。本明細書で使用されるとき、ラジカルスカベンジャーに関連して用語「それらの塩」とは特にカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、およびこれらの混合物を意味する。
【0143】
コンディショニング剤
染料成分および/または酸化成分および/または第3の成分、ならびにそれから得られる毛髪着色用組成物は少なくとも1種のコンディショニング剤を含み得る。毛髪コンディショニング組成物は、塗布される場合、少なくとも1種のコンディショニング剤も含み得る。
【0144】
混合する前、コンディショニング剤は染料成分、酸化成分または第3の成分、好ましくは酸化成分中に存在し得る。
【0145】
混合する前、コンディショニング剤は酸化成分の総重量当たり重量で0.1~40%、好ましくは0.2~30%、より好ましくは0.4~20%、さらにより好ましくは0.4%~10%、さらにより好ましくは約3.3%の量で酸化成分中に存在し得る。
【0146】
少なくとも1種のコンディショニング剤は毛髪着色用組成物の総重量当たり重量で0.05~20%、好ましくは0.1~15%、より好ましくは0.2~10%、さらにより好ましくは0.2%~5%の量で毛髪着色用組成物中に存在し得る。
【0147】
コンディショニング剤は、多価アルコール、シリコーン材料、アミノシリコーン、脂肪アルコール、ポリマー樹脂、ポリオールカルボン酸エステル、カチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤、不溶性の油、油由来材料、鉱油、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくはコンディショニング剤は鉱油である。
【0148】
直接染料
染料成分および/または酸化成分、およびそれから得られる毛髪着色用組成物は少なくとも1種の直接染料を含み得る。
【0149】
少なくとも1種の直接染料は組成物の総重量当たり重量で0.05%~4%の量で毛髪着色用組成物中に存在し得る。
【0150】
混合する前、酸化成分が少なくとも1種の直接染料を含まない場合、少なくとも1種の直接染料は染料成分の総重量の0.05~4重量%の量で染料成分中に存在し得る。
【0151】
混合する前、染料成分が少なくとも1種の直接染料を実質的に含まない場合、少なくとも1種の直接染料は酸化成分の総重量の0.05~4重量%の量で酸化成分中に存在し得る。
【0152】
あるいは、混合する前、少なくとも1種の直接染料は、酸化成分の総重量の0.05~4重量%の量で酸化成分中に存在し得、また染料成分の総重量の0.05~4重量%の量で染料成分中に存在し得る。
【0153】
増粘剤
染料成分および/または酸化成分、およびそれから得られる毛髪着色用組成物は少なくとも1種の増粘剤を含み得る。
【0154】
少なくとも1種の増粘剤は毛髪着色用組成物の総重量当たり重量で0.05%~1.0%の量で毛髪着色用組成物中に存在し得る。
【0155】
混合する前、少なくとも1種の増粘剤は染料成分の総重量当たり重量で0.1%~2.0%、好ましくは約0.15%の量で染料成分中に存在し得る。
【0156】
混合する前、増粘剤は酸化成分の総重量に対して0.001%~0.1重量%の量で酸化成分中に存在し得る。
【0157】
増粘剤は会合性ポリマー、多糖、非会合性ポリカルボン酸ポリマー、およびこれらの混合物から選ばれ得る。
【0158】
1つの実施形態において、染料成分は少なくとも1種の多糖を含む。
【0159】
1つの実施形態において、酸化成分は少なくとも1種の会合性ポリマーを含む。
【0160】
本明細書で使用されるとき、「会合性ポリマー」という表現は親水性単位および疎水性単位、例えば、少なくとも1種のC8~C30脂肪鎖および少なくとも1種の親水性単位の両方を含む両親媒性ポリマーを意味する。会合性ポリマーは互いにまたは他の分子と可逆的に結合することができる。適切な会合性の増粘剤には、限定されることはないが、少なくとも1種の親水性単位および少なくとも1種の脂肪鎖単位を含む非イオン性の両親媒性ポリマー;少なくとも1種の親水性単位および少なくとも1種の脂肪鎖単位を含むアニオン性の両親媒性ポリマー;少なくとも1種の親水性単位および少なくとも1種の脂肪鎖単位を含むカチオン性の両親媒性ポリマー;ならびに少なくとも1種の親水性単位および少なくとも1種の脂肪鎖単位を含む両性の両親媒性ポリマー、ならびにこれらの混合物がある。
【0161】
少なくとも1種の脂肪鎖および少なくとも1種の親水性単位を含む適切な非イオン性の両親媒性ポリマーには、限定されることはないが、少なくとも1種の脂肪鎖を含む基で変性されたセルロース(例えばアルキル、アルケニルおよびアルキルアリール基から選ばれる少なくとも1種の脂肪鎖を含む基で変性されたヒドロキシエチルセルロース);少なくとも1種の脂肪鎖を含む基で変性されたヒドロキシプロピルグアー;少なくとも1種の脂肪鎖(例えばC8-C30アルキルまたはアルケニル基)を含むポリエーテルウレタン;ビニルピロリドンおよび脂肪鎖疎水性モノマーのコポリマー;C1-C6アルキルアクリレートまたはメタクリレートおよび少なくとも1種の脂肪鎖を含む両親媒性モノマーのコポリマー;親水性のアクリレートまたはメタクリレートおよび少なくとも1種の脂肪鎖を含む疎水性モノマーのコポリマー、ならびにこれらの混合物がある。
【0162】
少なくとも1種の親水性単位および少なくとも1種の脂肪鎖単位を含む適切な非イオン性の両親媒性ポリマーには、限定されることはないが、少なくとも1種の脂肪鎖アリルエーテル単位およびエチレン性不飽和のアニオン性モノマー単位(例えばビニルカルボン酸単位、特にアクリル酸、メタクリル酸、およびこれらの混合物に由来する単位から選ばれる単位)を含む少なくとも1種の親水性単位を含むポリマーがあり、ここで脂肪鎖アリルエーテル単位は、下記式(I)
CH2=C(R1)CH2OBnR (I)
[式中、R1はHおよびCH3から選ばれ、Bはエチレンオキシ基であり、nはゼロおよび1~100の範囲の整数から選ばれ、Rは8~30個の炭素原子、さらには例えば10~24個の炭素原子、なおさらには例えば12~18個の炭素原子を含むアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アリール、アルキルアリールおよびシクロアルキル基から選ばれる炭化水素をベースとする基から選ばれる]
のモノマーに対応する。
【0163】
適切なアニオン性の両親媒性ポリマーには、限定されることはないが、不飽和オレフィン性カルボン酸型の少なくとも1種の親水性単位、および不飽和カルボン酸の(C8~C30)アルキルエステルまたは(C8~C30)オキシエチレン化アルキルエステルのような型の少なくとも1種の疎水性単位を含むポリマーがあり、ここで不飽和オレフィン性カルボン酸型の親水性単位は、例えば、下記式(II)
CH2=C(R2)COOH (II)
[式中、R2はH、CH3、C2H5およびCH2COOH(すなわちアクリル酸、メタクリル、エタクリルおよびイタコン酸単位)から選ばれる]
のモノマーに対応し、
不飽和カルボン酸の(C8~C30)アルキルエステルまたは(C8~C30)オキシエチレン化アルキルエステルのような型の疎水性単位は、例えば、下記式(III)
CH2=C(R3)COOBnR4 (III)
[式中、R3はH、CH3、C2H5およびCH2COOH(すなわちアクリレート、メタクリレート、エタクリレートおよびイタコネート単位)から選ばれ、Bはエチレンオキシ基であり、nはゼロおよび1~100の範囲の整数から選ばれ、R4はC8-C30アルキル基、例えば、C12-C22アルキル基から選ばれる]
のモノマーに対応する。
【0164】
アニオン性の両親媒性ポリマーはさらに架橋されていてもよい。架橋剤は下記基(IV)
CH2=C< (IV)
を、その不飽和結合が互いに共役していない少なくとも1種の他の重合可能な基と共に含む、モノマーであることができる。例えば、ポリアリルスクロースおよびポリアリルペンタエリスリトールのようなポリアリルエーテルが挙げられる。
【0165】
適切なカチオン性の両親媒性ポリマーには、限定されることはないが、四級化セルロース誘導体およびアミノ側基を含むポリアクリレートがある。四級化されたセルロース誘導体は、例えば、少なくとも8個の炭素原子を含むアルキル、アリールアルキルおよびアルキルアリール基、およびこれらの混合物のような少なくとも1種の脂肪鎖を含む基で変性された四級化セルロース、少なくとも8個の炭素原子を含むアルキル、アリールアルキルおよびアルキルアリール基、およびこれらの混合物のような少なくとも1種の脂肪鎖を含む基で変性された四級化ヒドロキシエチルセルロースから選ばれる。例えば、上記四級化されたセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースが有するアルキル基は8~30個の炭素原子を含有する。アリール基は、例えば、フェニル、ベンジル、ナフチルおよびアントリル基から選ばれる。
【0166】
少なくとも1種の親水性単位および少なくとも1種の脂肪鎖単位を含む適切な両性の両親媒性ポリマーは、例えば、塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム/アクリル酸/C8~C30アルキルメタクリレートコポリマーであり得、ここでアルキル基は例えばステアリル基である。
【0167】
好ましい会合性ポリマーは、不飽和カルボン酸またはその誘導体である少なくとも1種の親水性単位、および不飽和カルボン酸のC8~C30アルキルエステルまたはオキシエチレン化されたC8~C30アルキルエステルである少なくとも1種の疎水性単位を含む。不飽和カルボン酸は好ましくはアクリル酸、メタクリル酸またはイタコン酸である。市販されている材料にはRohm & HaasによりAculy-22として;NoveonによりPermulen TR1、Carbopol 2020、Carbopol Ultrez-21として、National StarchによりStructure 2001/3001として販売されているものがある。他の好ましい会合性ポリマーとして、Rohm and HaasによりAculyn-44/-46として市販されているポリエーテルポリウレタンがある。さらに好ましい会合性ポリマーとして、Aqualonにより商品名Natrosol Plus Grade 330 CSで市販されている少なくとも1種のC8~C30脂肪鎖を含む基で変性されたセルロースがある。
【0168】
適切な非会合性の架橋されたポリカルボン酸ポリマーには、限定されることはないが、架橋されたアクリル酸ホモポリマー、アクリル酸または(メタ)アクリル酸およびC1~C6アルキルアクリレート(メタ)アクリレートのコポリマー、およびこれらの混合物がある。市販されている材料には、NoveonによりCarbopol 980/981/954/2984/5984として、3V SigmaによりSynthalen M/Synthalen L/Synthalen Kとして、Rohm and HaasによりAculyn-33として販売されているものがある。
【0169】
多糖は、グルカン、加工および未加工デンプン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストラン、セルロースおよびそれらの誘導体、マンナン、キシラン、リグニン、アラバン、ガラクタン、ガラクツロナン、キチン、キトサン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、キシログルカン、グルコマンナン、ペクチン酸およびペクチン、アルギン酸およびアルギン酸塩、アラビノガラクタン、カラギーナン、寒天、グリコサミノグルカン、アラビアゴム、トラガカントガム、ガッチガム、カラヤゴム、カロブガム、ガラクトマンナン、キサンタンガム、ジェランガム、ウェランガム、スクレログルカン、サクシノグリカン、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくはキサンタンガム、ジェランガム、ウェランガム、スクレログルカンまたはサクシノグリカン、およびこれらの混合物からなる群から選ばれ得;好ましくはキサンタンガム、サクシノグリカン、およびこれらの混合物からなる群から選ばれ得;好ましくは多糖はキサンタンガムである。
【0170】
抗酸化剤
染料成分、およびそれから得られる毛髪着色用組成物は少なくとも1種の抗酸化剤を含み得る。
【0171】
少なくとも1種の抗酸化剤は毛髪着色用組成物の総重量当たり重量で0.0.5~1%、好ましくは0.25~0.75%の量で毛髪着色用組成物中に存在し得る。
【0172】
混合する前、少なくとも1種の抗酸化剤は染料成分の総重量当たり重量で0.1~2%、好ましくは0.5~1.5%の量で染料成分中に存在し得る。
【0173】
抗酸化剤はアスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物から選ばれ得;好ましくは抗酸化剤はアスコルビン酸および亜硫酸ナトリウムの混合物である。
【0174】
非増粘性の粘度調整剤
染料成分、およびそれから得られる毛髪着色用組成物は少なくとも1種の非増粘性の粘度調整剤を含み得る。
【0175】
少なくとも1種の非増粘性の粘度調整剤は毛髪着色用組成物の総重量当たり重量で0.25~0.75%、好ましくは0.35~0.65%の量で毛髪着色用組成物中に存在し得る。
【0176】
混合する前、少なくとも1種の非増粘性の粘度調整剤は染料成分の総重量当たり重量で0.5~1.5%、好ましくは0.7~1.3%の量で染料成分中に存在し得る。
【0177】
非増粘性の粘度調整剤は硫酸ナトリウムであり得る。
【0178】
過酸化物安定剤
酸化成分、およびそれから得られる毛髪着色用組成物は少なくとも1種の過酸化物安定化剤を含み得る。
【0179】
少なくとも1種の過酸化物安定化剤は毛髪着色用組成物の総重量当たり重量で0.005~0.25%、好ましくは0.025~0.1%の過酸化物安定化剤の量で毛髪着色用組成物中に存在し得る。
【0180】
少なくとも1種の過酸化物安定化剤は酸化成分の総重量当たり重量で0.01~0.5%、好ましくは0.05~0.2%の量で酸化成分中に存在し得る。
【0181】
少なくとも1種の過酸化物安定化剤はサリチル酸であり得る。
【0182】
追加の脂肪アルコール
酸化成分、および毛髪着色用組成物は追加の脂肪アルコールを含み得る。
【0183】
追加の界面活性剤
酸化成分、および毛髪着色用組成物は少なくとも1種の追加の界面活性剤(ゲルネットワーク系のアニオン性界面活性剤部分以外)を含み得る。追加の界面活性剤はゲルネットワークの一部ではない。
【0184】
少なくとも1種の追加の界面活性剤は毛髪着色用組成物の総重量の重量で0.35~0.85%、好ましくは0.45~0.75%の量で毛髪着色用組成物中に存在し得る。
【0185】
混合する前、少なくとも1種の追加の界面活性剤は酸化成分の総重量当たり重量で0.7~1.7%、好ましくは0.9~1.5%の量で酸化成分中に存在し得る。
【0186】
少なくとも1種の追加の界面活性剤は少なくとも1種の追加のアニオン性界面活性剤(ゲルネットワーク系のアニオン性界面活性剤部分以外)、少なくとも(at lest)1種のカチオン性界面活性剤、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、少なくとも1種の両性界面活性剤、少なくとも1種の双性イオン性界面活性剤、およびこれらの混合物から選ばれ得る。
【0187】
追加の界面活性剤は、硫酸アルキル、ポリオキシエチレンエーテル、好ましくはセテアリル硫酸ナトリウムから選ばれ得る。
【0188】
その他の成分
毛髪着色用組成物は、上に示した成分に加えて、組成物の特性をさらに高めるために、特許請求の範囲で除外されない限り他の成分を含み得る。上に記載した以外の他の成分は毛髪着色用組成物の総重量当たり重量で0.01~7%の量で組成物中に存在し得る。
【0189】
混合する前、他の成分は染料成分中および/または酸化成分中に存在し得る。
【0190】
他の成分は、香料、酵素、分散剤、天然成分、セラミド、保存剤、乳白剤および真珠光沢剤、およびこれらの混合物から選ばれ得る。上記適切なさらなる成分は、以下の記載に特定されることはないが、International Cosmetics Ingredient Dictionary and Handbook,(8th ed.;The Cosmetics,Toiletry,and Fragrance Association)に揚げられている。特に、第2巻、第3(Chemical Classes)および4欄(Functions)は特定の目的または多目的を達成するために特定のアジュバントを同定する際に有用である。これらの成分のいくつかについては以下に述べるが、その開示は当然ながら完全に網羅するものではない。
【実施例0191】
以下の実施例は本開示に従う新たに脱色された毛髪を処理する方法を例示する。本明細書に記載されている実施例および実施形態は説明の目的のみのものであり、それを考慮して本開示の範囲から逸脱することなく様々な修正または変化が当業者に示唆されると理解される。
【0192】
1.方法
1.1.毛髪を処理する方法
すべての実施例において、第1の成分A1と第2の成分A2を1:2の重量比で一緒に混合して毛髪脱色用組成物Aを得る。
【0193】
毛髪脱色用組成物Aを毛髪に塗布し、毛髪上に30分間放置する。
【0194】
新たに脱色された毛髪を、慣用のシャンプー組成物を用いて2回濯ぐ。
【0195】
染料成分B1と酸化成分B2を1:1の重量比で一緒に混合して毛髪着色用組成物Bを得る。
【0196】
毛髪着色用組成物Bを毛髪に塗布する。
【0197】
毛髪着色用組成物Bを決定された時間、例えば約5分間放置する。
【0198】
毛髪着色用組成物Bを、慣用のシャンプー組成物を用いて濯いだ。
【0199】
1.2.pH測定
ボウル内pH:毛髪着色用組成物を毛髪に塗布する前にボウル内で直接pHを測定する。
【0200】
5分後の毛髪上pH:毛髪着色用組成物の毛髪への塗布および5分の発色時間の後、手持ち式のMettler Toledo Five Go(FG2)pH装置pH Electrode Mettler Toledo LE427でpH値を直接頭上で測定した。
【0201】
2.材料
2.1.毛髪試料
未脱色のヒト毛髪(対照):天然の毛髪見本(未処理、損傷なし)。
【0202】
脱色されたヒトの毛髪:1部のBlondor Multiblondと2部の過酸化水素顕色剤9%を混合することにより毛髪脱色用組成物を調製する。約5グラムの混合物を約0.6グラムの天然の毛髪見本(未処理)に塗布する。毛髪脱色用組成物を毛髪上に約30分間放置した後2分間水で(37℃)濯ぎ、次いで30秒間シャンプーし、その後再び30秒間濯ぎ、次に再び30秒間シャンプーし、その後再び30秒間濯いだ後乾燥する。水の流速を調節する(4L/min)。新たに脱色された毛髪が得られる。
【0203】
2.2.製剤
それぞれ下記表1および2に示される第1の成分A1および第2の成分A2を1:2の重量比で混合することにより得られる毛髪脱色用組成物Aが提供される。
【0204】
それぞれ下記表3および4に示される染料成分B1a~dおよび酸化成分B2を1:1の重量比で混合することにより得られる毛髪着色用組成物Ba~dが提供される。
【0205】
表1~4中の割合は各々の成分の総重量当たりの重量による。
【0206】
毛髪上の毛髪着色用組成物のpH調節
pHの変動を研究する。3つのアッセイを実行した。平均の結果を下記表5に示す。
【0207】
表5に示したデータは、毛髪着色用組成物Ba~dで処理した新たに脱色された毛髪が短い発色時間(約5分)の後に(ほぼ)中性、すなわち6.8~7.2の範囲内のpHを有することを示す。
【0208】
脱色された毛髪上対未脱色の毛髪上の毛髪着色用組成物のpH調節
毛髪着色用組成物Bdを用いて脱色された毛髪(本発明)と未脱色の毛髪(比較)でpHの変動を比較研究する。3つのアッセイを実行した(実施例Bd)。平均の結果を下記表6に示す。
【0209】
表6に示したデータは、5分後の毛髪上のpHが、未脱色の毛髪(比較)と脱色された毛髪(本発明)で、いずれの場合もpHが最小0.20単位低下して6.8~7.2の範囲になることを考えて、大きく異ならないことを示す。新たに脱色されると未脱色の毛髪よりより高いアルカリ性のpHを有し、したがって処理後そのpHは未脱色の毛髪より高いと期待されていたので、これは予想外の結果である。
【0210】
項目
項目1:毛髪を処理する方法であって、
- 毛髪を脱色する工程と、
- 毛髪着色用組成物を毛髪に塗布する工程であって、毛髪着色用組成物は7.0~8.0のpH、好ましくは7.2を超えて8.0まで、より好ましくは7.3~8.0のpHを有し、緩衝系を含む、工程と、
- 毛髪着色用組成物を10分以下毛髪上に放置する工程であって、組成物は毛髪上で発色時間中に少なくとも0.20単位低下して6.8~7.2の範囲になるpHを有する、工程と、
- 毛髪着色用組成物を濯ぎ落す工程と
を含む、方法。
【0211】
項目2:毛髪着色用組成物が毛髪上に2~8分、好ましくは3~7分、より好ましくは4~6分、最も好ましくは約5分間放置される、項目1による毛髪を処理する方法。
【0212】
項目3:毛髪が毛髪着色用組成物を塗布する前、好ましくは48h以内、好ましくは24h以内、より好ましくは3h以内に速やかに脱色される、項目1または2による毛髪を処理する方法。
【0213】
項目4:毛髪着色用組成物が少なくとも1種のアルカリ化剤、少なくとも1種の酸化剤、少なくとも1種のキレート剤、少なくとも第1の緩衝酸性化合物、少なくとも第2の緩衝酸性化合物、少なくとも1種の緩衝アルカリ化合物、ゲルネットワーク増粘剤系、少なくとも1種の酸化毛髪染料前駆体および少なくとも1種のカプラー、ならびに少なくとも1種の溶媒を含み、
ゲルネットワーク増粘剤系が少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、少なくとも1種の脂肪アルコールおよび少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む、項目1から3のいずれかによる毛髪を処理する方法。
【0214】
項目5:毛髪着色用組成物を毛髪に塗布する前に染料成分と酸化成分とを混合することにより毛髪着色用組成物を調製する工程を含む、項目1から4のいずれかによる毛髪を処理する方法であって、
染料成分が8.5~10、好ましくは9~10のpHを有し、
酸化成分が1.8~3.5、好ましくは2~3のpHを有する、毛髪を処理する方法。
【0215】
項目6:染料成分および酸化成分が3:1~1:3、好ましくは2:1~1:2、より好ましくは約1:1の重量比で混合される、項目5による毛髪を処理する方法。
【0216】
項目7:染料成分が少なくとも1種のアルカリ化剤、少なくとも1種のキレート剤、少なくとも1種の第1の緩衝酸性化合物、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、少なくとも1種の脂肪アルコール、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、少なくとも1種の酸化毛髪染料前駆体および少なくとも1種のカプラー、ならびに少なくとも1種の溶媒を含む、項目5または6による毛髪を処理する方法。
【0217】
項目8:酸化成分が少なくとも1種の酸化剤、少なくとも1種の第2の緩衝酸性化合物、少なくとも1種の緩衝アルカリ化合物、および少なくとも1種の溶媒を含む、項目5から7のいずれかによる毛髪を処理する方法。
【0218】
項目9:第1の緩衝酸性化合物がクエン酸であり、第2の緩衝酸性化合物がリン酸であり、緩衝アルカリ化合物がリン酸二ナトリウムである、項目5から8のいずれかによる毛髪を処理する方法。
【0219】
項目10:毛髪着色用組成物を濯ぎ落した後、毛髪を乾燥するか、毛髪を櫛で梳かすかもしくはブラシをかけるか、および/または毛髪にコンディショニング組成物を塗布する工程をさらに含む、項目1から9のいずれかによる毛髪を処理する方法。
【0220】
項目11:脱色された毛髪を処理するための組成物であって、
組成物は毛髪上で発色時間中に少なくとも0.20単位低下して6.8~7.2の範囲になるpHを有し、
毛髪着色用組成物は少なくとも1種のアルカリ化剤、少なくとも1種の酸化剤、少なくとも1種のキレート剤、少なくとも第1の緩衝酸性化合物、少なくとも第2の緩衝酸性化合物、少なくとも1種の緩衝アルカリ化合物、ゲルネットワーク増粘剤系、少なくとも1種の酸化毛髪染料前駆体および少なくとも1種のカプラー、少なくとも1種の溶媒を含み、
ゲルネットワーク増粘剤系は少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、少なくとも1種の脂肪アルコールおよび少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含み、
毛髪上の毛髪着色用組成物は染料成分および酸化成分を混合することにより調製され、
染料成分は8.5~10、好ましくは9~10のpHを有し、
酸化成分は1.8~3.5、好ましくは2~3のpHを有する、組成物。
【0221】
項目12:項目11による組成物の、脱色された毛髪を処理するための使用。
【外国語明細書】