IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-空気吹出構造 図1
  • 特開-空気吹出構造 図2
  • 特開-空気吹出構造 図3
  • 特開-空気吹出構造 図4
  • 特開-空気吹出構造 図5
  • 特開-空気吹出構造 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128946
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】空気吹出構造
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20240913BHJP
   F24F 13/15 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
B60H1/34 611B
F24F13/15 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024023796
(22)【出願日】2024-02-20
(31)【優先権主張番号】202310226888.X
(32)【優先日】2023-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】中島 悠
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大祐
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081AB02
3L081FA04
3L211BA34
3L211DA14
3L211DA15
(57)【要約】
【課題】簡素な構成により送風方向を複数方向に調節可能であり、且つ送風される空気の圧力損失を抑制可能な空気吹出構造を提供する。
【解決手段】車両100は、空気吹出構造1を備える。空気吹出構造1は、送風方向を車両100の車幅方向に調節可能な第1フィン41と、送風方向を車高方向に調節可能な第2フィン42と、ユーザの操作により車幅方向及び車高方向に動作可能な操作部5と、第1フィン41と操作部5とを繋いで設けられ、操作部5の車幅方向の動作に基づいて、第1フィン41を動作させる第1リンク機構6と、第2フィン42と操作部5とを繋いで設けられ、操作部5の車高方向の動作に基づいて、第2フィン42を動作させる第2リンク機構7と、を備える。操作部5は、吹出口3aの車幅方向の外方に設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室内に空気を供給するダクトに固定されたケースと、
前記ケースに設けられ、前記空気が通過する通風路と、
前記ケースに設けられ、前記空気を前記通風路から前記車室内に吹き出す吹出口と、
を備え、
前記空気が前記吹出口から送風される方向である送風方向を調節可能な空気吹出構造であって、
前記空気が前記通風路内を流下する方向である流下方向と交差する一方向を第1方向とし、前記流下方向及び前記第1方向と交差する一方向を第2方向とし、
前記ケース内に設けられ、前記送風方向を前記第1方向に調節可能な第1フィンと、
前記ケース内に設けられ、前記送風方向を前記第2方向に調節可能な第2フィンと、
前記流下方向に延びて形成され、ユーザの操作により前記第1方向及び前記第2方向に動作可能な操作部と、
前記第1フィンと前記操作部とを繋いで設けられ、前記操作部の前記第2方向の動作に基づいて、前記第1フィンを動作させる第1リンク機構と、
前記第2フィンと前記操作部とを繋いで設けられ、前記操作部の前記第1方向の動作に基づいて、前記第2フィンを動作させる第2リンク機構と、を備え、
前記操作部は、前記吹出口の前記第1方向の外方に設けられ、
前記第1リンク機構は、前記流下方向に延び、前記操作部と接続される第1接続部材と、前記第1方向に延び、前記前記第1接続部材と前記第2フィンとを繋ぐ第2接続部材と、を有し、
前記第2リンク機構は、前記流下方向に延び、前記操作部と前記第1フィンとを繋ぐ第3接続部材を有する、空気吹出構造。
【請求項2】
前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構のうち少なくとも一方は、前記ケースに支持されている、請求項1に記載の空気吹出構造。
【請求項3】
前記第1接続部材は、前記第2方向に延びる第1軸線を中心軸線とする第1軸部を有し、
前記第1軸部の第1端は、前記第1接続部材が前記第1軸線を中心として回動可能に、前記ケースに接続され、
前記第3接続部材は、前記第1軸部の第2端を挿入可能な挿入部を有し、
前記挿入部は、前記流下方向に延びる溝状に形成されている、請求項1又は2に記載の空気吹出構造。
【請求項4】
前記第1接続部材は、前記第1軸部を有し、前記第1軸部を介して前記ケースに接続されており、
前記第3接続部材は、前記第1方向に延びる第2軸線を中心軸線とする第2軸部を有し、前記第2軸部を介して、前記第2軸線を中心として回動可能に、前記第1接続部材に接続されている、請求項3に記載の空気吹出構造。
【請求項5】
前記操作部は、前記流下方向に延びる第3軸線を中心に回動可能であり、
前記ケース内において、前記第1方向に延びる第4軸線を中心に回動可能に設けられ、前記吹出口から送風される前記空気の量を調節可能な調節バルブと、
前記調節バルブと前記操作部とを繋いで設けられ、前記操作部の前記第3軸線を中心とする回動動作に基づいて、前記調節バルブを動作させる第3リンク機構と、
を備え、
前記第3リンク機構は、前記流下方向に延びる長尺状をなし、前記第3軸線を中心に回動可能であり、第1端が前記操作部と接続される棒部材を有し、
前記棒部材は、前記第1端に、当該棒部材の長手方向と直交する方向に延びる第3軸部を有し、
前記操作部は、前記第3軸部を嵌合する嵌合部を有する、請求項4に記載の空気吹出構造。
【請求項6】
前記第1軸線と、前記第2軸線と、前記第3軸線と、は、一点で交差する、請求項5に記載の空気吹出構造。
【請求項7】
前記第3リンク機構は、前記棒部材の第2端に設けられ、前記第3軸線を中心に前記棒部材とともに回動する第1かさ歯車と、前記調節バルブに設けられ、前記第4軸線を中心に前記調節バルブとともに回動し、前記第1かさ歯車と噛み合う第2かさ歯車と、を有する、請求項5に記載の空気吹出口構造。
【請求項8】
前記第3接続部材は、前記操作部と接続される第1部材と、前記第2フィンと接続される第2部材と、を有し、
前記第1部材は、前記第2部材に対向する面である第1面を有し、
前記第2部材は、前記第1面に対向する面である第2面を有し、
前記第1面のうち前記第2方向側の領域と、前記第2面のうち前記第2方向側の領域と、は、前記第2面のうち前記第2方向側の領域と、前記第1面のうち前記第2方向側の領域と、が、互いに係合可能な形状として、それぞれ形成され、
前記第1面のうち前記第1方向側の領域と、前記第2面のうち前記第1方向側の領域と、は、前記第1面のうち前記第1方向側の領域と、前記第2面のうち前記第1方向側の領域と、が、前記第1軸線を中心とする回動方向に互いに摺動可能な曲面として、それぞれ形成されている、請求項5に記載の空気吹出口構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気吹出構造に関する。
【背景技術】
【0002】
空気が吹出口から送風される方向(以下、「送風方向」という)を上下左右に調整可能な空気吹出構造が存在する。
【0003】
例えば、特許文献1の空気吹出構造(レジスタ)は、横長長方形状の空気吹出口と、空気吹出口の短手方向(上下方向)と平行に配設された後フィンと、空気吹出口の長手方向(左右方向)と平行に配設された前フィンとを備える。前フィンには、ノブを有する摺動部材が嵌合されている。このため、ノブを上下に動作させることで、前フィンを動作させることができる。また、摺動部材は、前フィンの長手方向と平行に摺動可能となっている。後フィンと摺動部材とは、摺動部材の動作を後フィンに伝達可能に接続されている。このため、ノブ(摺動部材)を左右に動作させることで、後フィンを動作させることができる。このように、送風方向の上下方向及び左右方向への調整を、1のノブにより実行可能とすることで、構成の簡素化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-159876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前フィンは、ノブ及び摺動部材を有していることで、比較的分厚いものとなっている。このため、吹出口から送風される空気の圧力損失が懸念される。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡素な構成により送風方向を複数方向に調節可能であり、且つ送風される空気の圧力損失を抑制可能な空気吹出構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、車両の車室内に空気を供給するダクトに固定されたケースと、前記ケースに設けられ、前記空気が通過する通風路と、前記ケースに設けられ、前記空気を前記通風路から前記車室内に吹き出す吹出口と、を備え、前記空気が前記吹出口から送風される方向である送風方向を調節可能な空気吹出構造であって、前記空気が前記通風路内を流下する方向である流下方向と交差する一方向を第1方向とし、前記流下方向及び前記第1方向と交差する一方向を第2方向とし、前記ケース内に設けられ、前記送風方向を前記第1方向に調節可能な第1フィンと、前記ケース内に設けられ、前記送風方向を前記第2方向に調節可能な第2フィンと、前記流下方向に延びて形成され、ユーザの操作により前記第1方向及び前記第2方向に動作可能な操作部と、前記第1フィンと前記操作部とを繋いで設けられ、前記操作部の前記第2方向の動作に基づいて、前記第1フィンを動作させる第1リンク機構と、前記第2フィンと前記操作部とを繋いで設けられ、前記操作部の前記第1方向の動作に基づいて、前記第2フィンを動作させる第2リンク機構と、を備え、前記操作部は、前記吹出口の前記第1方向の外方に設けられ、前記第1リンク機構は、前記流下方向に延び、前記操作部と接続される第1接続部材と、前記第1方向に延び、前記前記第1接続部材と前記第2フィンとを繋ぐ第2接続部材と、を有し、前記第2リンク機構は、前記流下方向に延び、前記操作部と前記第1フィンとを繋ぐ第3接続部材を有する、空気吹出構造に関する。
【0008】
上記(1)によれば、操作部は、吹出口の第1方向の外方に配置されている。これにより、吹出口から送風される空気の圧力損失を抑制することができる。また、第1リンク機構は、流下方向に延びる第1接続部材と、第1方向に延びる第2接続部材とを有している。第2リンク機構は、流下方向に延びる第3接続部材を有している。この場合、操作部を吹出口の第1方向の外方に配置した場合であっても、操作部と第1フィンとを第1リンク機構により連結するとともに、操作部と第2フィンとを第2リンク機構により連結することができる。
【0009】
また、操作部の動作は、第1リンク機構又は第2リンク機構を介して第1フィン又は第2フィンに伝達される。例えば、ユーザは、操作部を第1方向へ動作させることで第1フィンを動作させることができ、操作部を第2方向へ動作させることで第2フィンを第2方向へ動作させることができる。このように、第1方向についての送風方向の調節と第2方向についての送風方向の調節とを、1の操作部によって実現することができるため、簡素な構成により送風方向を複数方向に調節可能とすることができる。
【0010】
したがって、送風される空気の圧力損失を抑制しつつ、簡素な構成により送風方向を複数方向に調節可能な空気吹出構造を提供することができる。
【0011】
(2)上記(1)に記載の空気吹出構造において、前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構のうち少なくとも一方は、前記ケースに支持されているようにしてもよい。
【0012】
上記(2)によれば、操作部は、第1リンク機構及び第2リンク機構に接続されている。前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構のうち少なくとも一方は、前記ケースに支持されている。これにより、操作部の動作に伴うがたつきの発生を抑制することができる。
【0013】
(3)上記(1)又は(2)に記載の空気吹出構造において、前記第1接続部材は、前記第2方向に延びる第1軸線を中心軸線とする第1軸部を有し、前記第1軸部の第1端は、前記第1接続部材が前記第1軸線を中心として回動可能に、前記ケースに接続され、前記第3接続部材は、前記第1軸部の第2端を挿入可能な挿入部を有し、前記挿入部は、前記流下方向に延びる溝状に形成されていてもよい。
【0014】
上記(3)によれば、第1リンク機構(第1接続部材)は、第1軸部を介してケースに接続されている。第1リンク機構と前記第2リンク機構とは、第1軸部を介して互いに支持し合っている。これにより、操作部の動作に伴うがたつきの発生を抑制することができる。
【0015】
(4)上記(3)に記載の空気吹出構造において、前記第1接続部材は、前記第1軸部を有し、前記第1軸部を介して前記ケースに接続されており、前記第3接続部材は、前記第1方向に延びる第2軸線を中心軸線とする第2軸部を有し、前記第3接続部材は、前記第2軸部を介して、前記第2軸線を中心として回動可能に、前記第1接続部材に接続されていてもよい。
【0016】
上記(4)によれば、第1接続部材(第1リンク機構)は、第2方向に延びる軸線を中心に回動することができる。第3接続部材(第2リンク機構)は、第1方向に延びる軸線を中心に回動することができる。第1接続部材とケースとを接続する第1軸部と、第2接続部材と第3接続部材とを接続する第2軸部と、は、各々が延びる方向が直交している。これにより、第3接続部材の回動が、第1接続部材により制限されるのを抑制することができる。
【0017】
(5)上記(1)~(4)のいずれかに記載の空気吹出構造において、前記操作部は、前記流下方向に延びる第3軸線を中心に回動可能であり、前記ケース内において、前記第1方向に延びる第4軸線を中心に回動可能に設けられ、前記吹出口から送風される前記空気の量を調節可能な調節バルブと、前記調節バルブと前記操作部とを繋いで設けられ、前記操作部の前記第3軸線を中心とする回動動作に基づいて、前記調節バルブを動作させる第3リンク機構と、を備え、前記第3リンク機構は、前記流下方向に延びる長尺状をなし、前記第3軸線を中心に回動可能であり、第1端が前記操作部と接続される棒部材を有し、前記棒部材は、前記第1端に、当該棒部材の長手方向と直交する方向に延びる第3軸部を有し、前記操作部は、前記第3軸部を嵌合する嵌合部を有していてもよい。
【0018】
上記(5)によれば、操作部を、第3軸部を中心に回動させることで、調節バルブを動作させることができる。これにより、1の操作部により、2つの方向についての風向の調節に加え、風量の調節についても実行可能とすることができるため、構成の更なる簡素化を図ることができる。
【0019】
また、嵌合部に第3軸部を嵌合することで、操作部の回動を棒部材に好適に伝達可能とすることができる。
【0020】
(6)上記(5)に記載の空気吹出構造において、前記第1軸線と、前記第2軸線と、前記第3軸線と、は、一点で交差していてもよい。
【0021】
上記(6)によれば、操作部を、第2接続部材の第1軸線を中心とする回動や、第3接続部材の第2軸線を中心とする回動とは独立して、第3軸線を中心として回動させることができる。
【0022】
(7)上記(5)又は(6)に記載の空気吹出構造において、前記第3リンク機構は、前記棒部材の第2端に設けられ、前記第3軸線を中心に前記棒部材とともに回動する第1かさ歯車と、前記調節バルブに設けられ、前記第4軸線を中心に前記調節バルブとともに回動し、前記第1かさ歯車と噛み合う第2かさ歯車と、を有していてもよい。
【0023】
上記(7)によれば、操作部及び棒部材が第3軸線を軸として回動する動作を、回動方向を変換しつつ調節バルブに伝達することができる。これにより、操作部を、第3軸線を中心に回動させることで、調節バルブを好適に操作可能とすることができる。
【0024】
(8)上記(5)~(7)のいずれかに記載の空気吹出構造において、前記第3接続部材は、前記操作部と接続される第1部材と、前記第2フィンと接続される第2部材と、を有し、前記第1部材は、前記第2部材に対向する面である第1面を有し、前記第2部材は、前記第1面に対向する面である第2面を有し、前記第1面のうち前記第2方向側の領域と、前記第2面のうち前記第2方向側の領域と、は、前記第2面のうち前記第2方向側の領域と、前記第1面のうち前記第2方向側の領域と、が、互いに係合可能な形状として、それぞれ形成され、前記第1面のうち前記第1方向側の領域と、前記第2面のうち前記第1方向側の領域と、は、前記第1面のうち前記第1方向側の領域と、前記第2面のうち前記第1方向側の領域と、が、前記第1軸線を中心とする回動方向に互いに摺動可能な曲面として、それぞれ形成されていてもよい。
【0025】
上記(8)によれば、操作部を第2方向に動作させることで、第1部材と第2部材とを、ともに第2方向に動作させることができる。操作部を第1方向に動作させることで、第1部材を、第2部材とは独立して第1方向に動作させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、簡素な構成により送風方向を複数方向に調節可能であり、且つ送風される空気の圧力損失を抑制可能な空気吹出構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係る空気吹出構造を車室内から見た図である。
図2】本発明の実施形態に係る空気吹出構造を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る空気吹出構造を分解された状態で示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る空気吹出構造を分解された状態で示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る空気吹出構造の一部を分解された状態で示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る空気吹出構造の一部を分解された状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係る空気吹出構造1について図1図6を参照しつつ説明する。空気吹出構造1は、車両100に設けられ、車室101内に空気を供給するものである。図1は、空気吹出構造1を車室101内から見た図である。図2は、空気吹出構造1を示す斜視図である。図3及び図4は、空気吹出構造1を分解された状態で示す斜視図である。図5は、空気吹出構造1の一部を分解された状態で示す図である。なお、図2図4においては、便宜上、ダクト103の周壁部の図示を省略している。また、図1図4には、空気吹出構造150についても図示されている。空気吹出構造1と空気吹出構造150とは、概ね同様の構成を有する。このため、以下においては、原則、空気吹出構造1を例として説明する。
【0029】
なお、以下の説明においてX方向は、車両100の車長方向であり、Y方向は、車両100の車幅方向でありZ方向は、車両100の車高方向である。また、車両100の運転者から見た後方向をX1方向とし、運転者から見た前方向をX2方向とする。運転者から見た左方向をY1方向とし、運転者から見た右方向をY2方向とする。運転者から見た上方向をZ1方向とし、運転者から見た下方向をZ2方向とする。
【0030】
また、空気吹出構造1は、その通風路3(詳しくは後述)内を、空気がX方向に流下する向きで設けられる。このため、X方向は、特許請求の範囲でいう流下方向に相当する。Y方向は、第1方向に相当し、Z方向は、第2方向に相当する。
【0031】
図1に示すように、車両100は、車室101と、空調装置(図示略)と車室101とを繋ぐダクト103と、各空気吹出構造1,150と、を備える。空調装置は、空調空気を生成する。
【0032】
車室101には、インストルメントパネル102が設けられている。ダクト103の車室101側の開口端は、インストルメントパネル102において開口している。空調装置により生成された空調空気は、ダクト103を通じて車室101へと供給される。なお、空調空気は、特許請求の範囲でいう空気に相当する。
【0033】
ダクト103は、ダクト103の車室101側の開口端を覆うダクト蓋部104を有する。ダクト蓋部104は、長方形状をなしている。ダクト蓋部104は、2つの蓋開口部105と、2つの孔部106と、ダクト蓋部104からダクト103の内部空間側に突出する4つの突出部107と、を有する。各蓋開口部105と、各孔部106とは、いずれもダクト蓋部104を厚さ方向に貫通している。
【0034】
各蓋開口部105は、それぞれ長方形状の開口として形成されており、詳しくは、Y方向に長い長方形状の開口として形成されている。各蓋開口部105はY方向に並んで配置されている。各蓋開口部105のうち、Y2方向側のものを蓋開口部105AとしY1方向側のものを蓋開口部105Bとする。
【0035】
各孔部106は、各蓋開口部105を、各蓋開口部105の長手方向に挟んでそれぞれ設けられており、詳しくは、Y方向に並んで設けられている。各孔部106のうち、Y2方向側のものを孔部106Aとし、Y1方向側のものを孔部106Bとする。孔部106Aは、蓋開口部105AのY2方向側に位置している。孔部106Bは、蓋開口部105BのY1方向側に位置している。
【0036】
空気吹出構造1は、蓋開口部105Aに設けられている。空気吹出構造150は、蓋開口部105Bに設けられている。
【0037】
各突出部107は、略三角形の板状をなし、板厚方向に貫通する孔部をそれぞれ有する。各突出部107は、一対の突出部107Aと、一対の突出部107Bと、からなる。各突出部107Aは、互いの板面が平行となる向きで、孔部106Aを蓋開口部105Aの短手方向に挟んで配置されている。各突出部107A同士の離間寸法は、蓋開口部105Aの短手方向寸法よりも若干大きくなっている。また、各突出部107Bについても、各突出部107Aと同様に、孔部106Bを挟んで配置されている。
【0038】
空気吹出構造1は、ケース2と、空調空気がその内部を通過する通風路3と、空調空気を通風路3から車室101内に吹き出す吹出口3aと、を備える。なお、以下において、空調空気が吹出口3aから送風される方向である送風方向は、単に「送風方向」ということがある。
【0039】
ケース2は、箱状をなし、詳しくは、直方体状の箱状をなしている。通風路3は、ケース2を貫通して設けられている。通風路3の開口形状は、蓋開口部105の開口形状と略同一に形成され、詳しくは、略長方形状に形成されている。ケース2は、蓋開口部105をダクト103の内部空間側から覆うようにダクト103に固定されており、詳しくは、ダクト蓋部104に固定されている。
【0040】
ケース2は、第1ケース本体部21と、第2ケース本体部22と、第3ケース本体部23と、を含む。第1ケース本体部21と、第2ケース本体部22と、第3ケース本体部23と、は、それぞれ筒状に形成され、詳しくは、略四角筒状に形成されている。第1ケース本体部21は、ダクト蓋部104に固定されている。第1ケース本体部21と、第2ケース本体部22と、第3ケース本体部23と、は、より車室101に近い側から順にこの順で設けられるとともに、隣接するもの同士で連結されている。なお、以下の説明において、第1ケース本体部21と、第2ケース本体部22と、第3ケース本体部23とは、あわせて「各ケース本体部21,22,23」ということがある。
【0041】
吹出口3aは、第1ケース本体部21に形成されている。ダクト103内の空調空気は、通風路3内を流下して吹出口3a(蓋開口部105)から車室101内に吹き出され、詳しくは、X方向に通風路3内を流下して吹出口3aから吹き出される。空調空気は、車両100の運転者や同乗者(以下、単に「運転者等」という)に吹き付けられる。
【0042】
第1ケース本体部21は、それぞれ矩形板状に形成され、第1ケース本体部21の外周を形成する一対の外壁部211及び一対の外壁部215を含む。第1ケース本体部21を吹出口3a側から見て、各外壁部211は、吹出口3aの短手方向に対向しており、各外壁部215は、吹出口3aの長手方向に対向している。また、各外壁部215のうち一方を外壁部215Aとする。
【0043】
各外壁部211は、各外壁部211を板厚方向に貫通する複数の孔部212をそれぞれ有する。各孔部212は、各外壁部211の第2ケース本体部22と対向する側の辺部に沿ってそれぞれ設けられている。各外壁部211のうち一方に形成された孔部212と、他方に形成された孔部212と、は、各外壁部211が対向する対向方向において、対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0044】
各外壁部215には、傾斜部213がそれぞれ設けられている。各傾斜部213は、吹出口3aの各長辺部に沿ってそれぞれ延びている。各傾斜部213は、第2ケース本体部22側からダクト蓋部104側に向かうにしたがって、他方の傾斜部213と近接する方向に傾斜している。
【0045】
第2ケース本体部22は、それぞれ矩形板状に形成され、第3ケース本体部23の外周を形成する一対の外壁部221及び一対の外壁部225を有する。
【0046】
各外壁部221は、第1ケース本体部21の各外壁部211と対向している。各外壁部221は、複数の孔部222をそれぞれ有する。各孔部222は、第1ケース本体部21の孔部212と対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0047】
各外壁部225は、それぞれ孔部226を有する。各孔部226は、各外壁部225を厚さ方向にそれぞれ貫通している。なお、各外壁部225のうち、第1ケース本体部21の外壁部215Aと対向するものを「外壁部225A」とする。
【0048】
第3ケース本体部23は、それぞれ矩形板状に形成され、第3ケース本体部23の外周を形成する一対の外壁部231及び一対の外壁部235を有する。
【0049】
各外壁部231は、第2ケース本体部22の各外壁部221とそれぞれ対向している。各外壁部235は、第2ケース本体部22の各外壁部225とそれぞれ対向している。
【0050】
各外壁部235は、それぞれ孔部236を有する、各孔部236は、各外壁部235を厚さ方向にそれぞれ貫通している。なお、各外壁部235のうち、第2ケース本体部22の外壁部225Aと対向するものを「外壁部235A」とする。
【0051】
また、第1ケース本体部21は、各外壁部211同士がZ方向に対向し、且つ各外壁部215同士がY方向に対向する向きで、ダクト103に対して固定されている。詳しくは、第1ケース本体部21は、外壁部215AがY2方向側を向くように、ダクト103に対して固定されている。
【0052】
空気吹出構造1は、ケース2内に設けられ、送風方向をY方向に調節可能な複数の第1フィン41と、ケース2内に設けられ、送風方向をZ方向に調節可能な第2フィン42と、吹出口3aから送風される空調空気の量(以下、単に「送風量」という)を調節可能な調節バルブ43と、を備える。
【0053】
各第1フィン41は、矩形板状の第1羽板部411と、略円柱状の回動軸部412と、略円柱状の突出部413と、をそれぞれ有する。
【0054】
各回動軸部412は、各第1羽板部411の短手方向の中央部において、各第1羽板部411の長手方向と平行となる向きで、各第1羽板部411を貫通して設けられている。
【0055】
各突出部413は、各第1羽板部411の短手方向の一端部において、各第1羽板部411の長手方向と平行となる向きで、各第1羽板部411の一短辺部から突出して設けられている。
【0056】
各第1フィン41は、各回動軸部412の中心軸線がZ方向と平行となる向きで配置されており、詳しくは、各突出部413が各第1羽板部411からY1方向に突出し、各突出部413が各第1フィン41のZ1方向側の端部に位置する向きで配置されている。各回動軸部412の長手方向の各端部は、第1ケース本体部21の各孔部212及び第2ケース本体部22の各孔部222にそれぞれ挿入されている。この場合、各第1フィン41は、ケース2に支持されている。各第1フィン41は、各回動軸部412の中心軸線を中心として回動可能となっている。各第1フィン41は、各回動軸部412を中心として回動することにより、送風方向をY方向に調節することができる。
【0057】
第2フィン42は、それぞれ矩形板状に形成された複数の第2羽板部421と、一対の端板部422と、2つの仕切板部423と、回動軸部424と、を有する。
【0058】
各第2羽板部421は、板面同士が互いに平行且つ長辺部同士が互いに平行となっている。各第2羽板部421は、それらの板厚方向に並んでいる。
【0059】
各端板部422は、各第2羽板部421を、各第2羽板部421の長手方向に挟んで設けられている。
【0060】
各仕切板部423は、それらの板面が各端板部422の板面と平行となっている。各仕切板部423は、各第2羽板部421の長手方向の中央部に配置されている。各仕切板部423は、隣接する第2羽板部421同士を繋いでいる。隣接する第2羽板部421間の各空間は、各仕切板部423により、第2羽板部421の長手方向に仕切られている。
【0061】
回動軸部424は、各端板部422のうち一方の端板部422の外面に設けられている。端板部422の板面と回動軸部424の中心軸線とは、互いに垂直となっている。
【0062】
第2フィン42は、第1フィン41のX2方向側に配置されている。第2フィン42は、回動軸部424の中心軸線が、Y方向と平行となる向きで配置されている。回動軸部424は、第2ケース本体部22の孔部226に挿入されている。第2フィン42は、ケース2に支持されている。第2フィン42は、回動軸部424の中心軸線を中心として回動可能となっている。第2フィン42は、回動軸部424を中心として回動することにより、送風方向をZ方向に調節することができる。
【0063】
調節バルブ43は、矩形板状の板部材431と、略円柱状の回動軸部432と、を有する。回動軸部432は、板部材431の長手方向に沿って延び、板部材431の短手方向の中央部において、板部材431を、板部材431の長手方向に貫通している。
【0064】
調節バルブ43は、第2フィン42のX2方向側に配置されている。調節バルブ43は、回動軸部432の中心軸線がY方向と平行となる向きで配置されている。回動軸部432の長手方向の各端部は、第3ケース本体部23の各孔部236にそれぞれ挿入されている。調節バルブ43は、ケース2に支持されている。調節バルブ43は、回動軸部432の中心軸線を中心として回動可能となっている。
【0065】
調節バルブ43は、板部材431の板面がX方向と直交している場合には、通風路3における空調空気の流れを遮断可能となっている。調節バルブ43は、回動軸部432の中心軸線を中心として回動することにより、送風量を調節することができる。なお、調節バルブ43の回動軸部432の中心軸線を、「第4軸線L4」とする。第4軸線L4は、Y方向と平行に延びている。
【0066】
ここで、空気吹出構造1は、運転者等により操作される操作部5と、操作部5と第1フィン41とを繋ぐ第1リンク機構6と、操作部5と第2フィン42とを繋ぐ第2リンク機構7と、操作部5と調節バルブ43とを繋ぐ第3リンク機構9と、を備える。
【0067】
まず、操作部5の構成について説明する。
【0068】
操作部5は、ノブ51と、ピン部52と、を有する。ノブ51は、略円筒状をなし、その第1端側を運転者等がつまんで操作可能なものである。ピン部52は、棒状に形成されている。ピン部52の長手方向の第1端は、ノブ51の第2端と接続されている。ノブ51とピン部52とは、一体として動作する。ピン部52は、その第2端に頭部53を有する。頭部53は、略半球状をなしており、略半球の切断面がピン部52の第2端となっている。頭部53の略半球の切断面の直径は、ピン部52の第1端の太さよりも大きくなっている。
【0069】
ピン部52は、その長手方向の第2端に嵌合部55を有する。嵌合部55は、頭部53の略半球の切断面において、当該切断面の径方向に延びている。嵌合部55は、ピン部52の長手方向と直交する方向に延びるスリットであるスリット部56と、スリット部56の長手方向の中央部に形成され、略半球状に凹む球状凹部57を有する。嵌合部55には、後述する棒部材91の第3軸部93及び球状部92を嵌合可能となっている。スリット部56には、第3軸部93が嵌合可能であり、球状凹部57には、球状部92を嵌合可能となっている。
【0070】
操作部5は、ピン部52の長手方向を、各ケース本体部21,22,23が並ぶ並び方向に向けて配置されている。操作部5は、吹出口3aの外壁部215A側の外方に設けられている。これにより、吹出口3aから送風される空気の圧力損失を抑制することができる。
【0071】
続いて、操作部5の配置について説明する。
【0072】
操作部5は、ノブ51の長手方向とピン部52の長手方向とがX方向となる向きで配置されている。ノブ51は、第1端がX1方向を向き、第2端がX2方向を向いている。ピン部52は、第1端がX1方向を向き、第2端がX2方向を向いている。
【0073】
操作部5は、吹出口3aのX2方向側の外方に配置されている。
【0074】
操作部5は、ダクト蓋部104の孔部106Aを挿通している。ノブ51の第1端側は、車室101内に露出している。このため、運転者等は、ノブ51を操作することができる。
【0075】
詳しくは後述するが、運転者等は、ノブ51の第1端側を、Y方向に動かしたり、Z方向に動かしたりすることが可能である。また、運転者等は、ノブ51を、ノブ51の長手方向と平行となる中心軸線を中心に回動させることも可能である。なお、ノブ51の中心軸線を、「第3軸線L3」とする。第3軸線L3は、X方向と平行に延びている。
【0076】
続いて、第1リンク機構6の構成について説明する。
【0077】
第1リンク機構6は、第1接続部材61と、第2接続部材67と、を有する。
【0078】
第1接続部材61は、本体部62と、2つの第1軸部63と、2つの第2軸部64と、突出部65と、を有する。
【0079】
本体部62は、短尺の略円筒状に形成されている。
【0080】
各第1軸部63は、本体部62の外周面から突出してそれぞれ設けられている。各第1軸部63は、本体部62を挟んで設けられており、各第1軸部63の各中心軸線は、同一直線状に位置している。なお、各第1軸部63の各中心軸線を含む軸線を、第1軸線L1とする。
【0081】
各第2軸部64は、本体部62の外周面から突出してそれぞれ設けられている。各第2軸部64は、本体部62を挟んで設けられており、各第2軸部64の各中心軸線は、同一直線状に位置している。なお、各第2軸部64の各中心軸線を含む軸線を、第2軸線L2とする。第1軸線L1と第2軸線L2とは、一点で交わっており、詳しくは、互いに直交している。
【0082】
突出部65は、本体部62の外周面から突出している。突出部65は、略円柱状をなし、その中心軸線は、第1軸線L1と平行に並んで延びている。突出部65は、各第1軸部63のうち一方と、本体部62の略円筒の中心軸方向に並んで設けられている。
【0083】
第2接続部材67は、長尺板状に形成されている。第2接続部材67は、長孔部68と、複数の孔部69と、を有する。長孔部68及び各孔部69は、いずれも第2接続部材67を板厚方向に貫通している。
長孔部68は、第2接続部材67の長手方向の第1端に設けられている。長孔部68は、第2接続部材67の短手方向に延びる長孔状に形成されている。
【0084】
各孔部69は、第2接続部材67のうち、長孔部68よりも第2接続部材67の長手方向の第2端側の領域に設けられている。各孔部69は、第2接続部材67の長手方向に沿って並んでいる。
【0085】
第2接続部材67の長孔部68には、第1接続部材61の突出部65が挿入されている。これにより、第1接続部材61と第2接続部材67とが接続されている。突出部65は、長孔部68内において、突出部65の中心軸線を中心に回動可能となっている。突出部65は、長孔部68内において、長孔部68が延びる方向に摺動可能となっている。
【0086】
続いて、第1リンク機構6の配置について説明する。
【0087】
第1接続部材61は、第1軸線L1がZ方向と平行に延び、第2軸線L2がY方向に延び、突出部65がZ1方向に突出し、突出部65が第1軸部63よりもX2方向側に位置する向きで配置されている。
【0088】
各第1軸部63は、ダクト蓋部104の各突出部107Aの孔部にそれぞれ挿入されている。これにより、第1リンク機構6(第1接続部材61)は、ダクト103に支持されている。これにより、第1接続部材61は、各第1軸部63(第1軸線L1)を中心に回動可能となっている。また、操作部5の動作に伴うがたつきの発生を抑制することができる。
【0089】
なお、各第1軸部63は、ダクト103に接続されている必要はなく、ケース2に接続されていてもよい。その場合においても、操作部5の動作に伴うがたつきの発生を抑制することができる。
【0090】
第2接続部材67は、その長手方向がY方向と平行となる向きで配置されている。第2接続部材67は、その第1端がY2方向側を向き、第2端がY1方向側となる向きで配置されている。長孔部68は、X2方向に延びている。第2接続部材67の各孔部69には、各第1フィン41の突出部413がそれぞれ挿入されている。これにより、第2接続部材67(第1リンク機構6)は、各第1フィン41に接続されている。
【0091】
続いて、第2リンク機構7の構成について説明する。
【0092】
第2リンク機構7は、第3接続部材71と、第4接続部材81と、を有する。
【0093】
第3接続部材71は、第1部材72と、第2部材77と、を有する。
【0094】
第1部材72は、略半球状をなす本体部73と、それぞれ平板状に形成された4つの板部材74と、を有する。
【0095】
本体部73は、略半球の球面の中心から略半球の切断面の円中心に向けて貫通する貫通孔部731と、本体部73の略半球の球面に形成された2つの溝部732と、を有する。
【0096】
各板部材74は、本体部73の切断面側にそれぞれ立設されている。4つの板部材74は、一対の板部材74Aと、一対の板部材74Bと、からなる。各板部材74Aは、互いの板面が平行となっている。各板部材74Bは、互いの板面が平行となっている。各板部材74Aの板面と各板部材74Bの板面とは、互いに垂直となっている。各板部材74は、板厚方向に貫通する孔部75をそれぞれ有する。各板部材74Aの孔部75は、孔部75Aといい、各板部材74Bの孔部75は孔部75Bという。なお、各板部材74Aは、本体部73の略半球の切断面の外周縁部から若干離間して配置されている。各板部材74Bは、本体部73の略半球の切断面の外周縁部に沿って配置されている。
【0097】
各溝部732は、本体部73の略半球の切断面側の端部から本体部73の略半球の球面の中心方向に所定の長さでそれぞれ延びている。各溝部732は、本体部73の略半球の切断面の径方向に対向するとともに、各板部材74A同士が並ぶ並び方向に対向している。本体部73の略半球の切断面側から見て、各溝部732同士を結ぶ直線と、各板部材74Aの各孔部75A同士を結ぶ直線とは、同一直線上に位置している。
【0098】
第2部材77は、短尺の略円筒状をなすヘッド部78と、長尺状をなすアーム部79と、を有する。
【0099】
ヘッド部78は、ヘッド部78の外面からそれぞれ突出する2つの軸部781を有する。各軸部781は、それぞれ短尺の円筒状をなしている。各軸部781は、ヘッド部78をヘッド部78の略円筒の径方向に挟んで配置されている。各軸部781の中心軸線は、同一直線状に位置している。
【0100】
アーム部79は、ヘッド部78の略円筒の中心軸方向に延びている。アーム部79は、その長手方向の第1端が、ヘッド部78の略円筒の周壁部と繋がっている。アーム部79は、ヘッド部78の略円筒の中心軸方向に見て、各軸部781からヘッド部78の略円筒の周方向に90°ずれた位置に設けられている。
【0101】
アーム部79の長手方向の第2端には、アーム部79の長手方向に延びる溝部791が設けられている。溝部791は、アーム部79を、ヘッド部78の各軸部781の中心軸線と直交する方向に貫通している。
【0102】
また、ヘッド部78の略円筒の外径寸法は、アーム部79から離間するにつれて、なだらかに小さくなっている。このため、ヘッド部78の外周面のうち、各軸部781が設けられていない領域は、球面状の曲面となっている。
【0103】
第4接続部材81は、略円筒状をなす筒部82と、それぞれ矩形板状をなす2つの板部材83と、を有する。
【0104】
各板部材83は、筒部82の外周面にそれぞれ立設されている。各板部材83は、筒部82の略円筒の中心軸方向に並んでいる。各板部材83の板面同士は、互いに平行となっている。
【0105】
第1部材72と第2部材77とは、対向している。第1部材72は、その本体部73の略半球の切断面側に、第2部材77と対向する面である第1面72aを有する。なお、各板部材74Aの他方の板部材74Aと対向する側の板面と、各板部材74Bの他方の板部材74Bと対向する側の板面と、は、第1面72aの一部を形成している。第2部材77は、ヘッド部78の球面側に、第1面72aと対向する面である第2面77aを有する。なお、各軸部781の外周面は、第2面77aの一部を形成している。
【0106】
第2部材77の各軸部781は、第1部材72の各孔部75Aにそれぞれ挿入されている。換言すると、第1面72aの一部と第2面の一部とは、それぞれ、互いに係合可能な形状となっている。これにより、第2部材77は、第1部材72に接続されている。第1部材72は、各軸部781の中心軸線を中心に回動可能となっている。
【0107】
また、第2面77aのうち、各板部材74Aの板面を除いた領域は、第1面72aと離間している。これにより、第1部材72が、第2部材77の各軸部781を中心とした回動を制限してしまうのを抑制することができる。
【0108】
なお、第1面72aと第2面77aとは、互いに当接していてもよい。その場合、第1面72a及び第2面77aは、第1面72aと第2面77aとが、各軸部781の中心軸線を中心とする回動方向に、互いに摺動可能な曲面として形成される。
【0109】
アーム部79の長手方向の第2端は、第4接続部材81の各板部材83の間に挟まれている。なお、図示していないが、各板部材83の間にピンを設け、当該ピンがアーム部79の長孔部68を挿通している状態とすることで、アーム部79と第4接続部材81とを接続することができる。
【0110】
続いて、第2リンク機構7の配置について説明する。
【0111】
第1部材72は、その略半球の切断面が第1接続部材61と対向し、各板部材74A同士がZ方向に対向し、各板部材74B同士がY方向に対向する向きで、第1接続部材61のX1方向側に配置されている。第1部材72の各溝部732が延びる方向は、X方向となっている。
【0112】
第1部材72のX1方向側には、ノブ51が配置されている。第1部材72の貫通孔部731には、ピン部52が挿通されている。ピン部52の長手方向の第1端側は、ノブ51と接続されている。ピン部52の長手方向の第2端(頭部53)は、第1部材72のX2方向に位置している。すなわち、第1部材72は、ノブ51と頭部53とで挟まれている。これにより、操作部5は、第2リンク機構7に接続されている。
【0113】
第1部材72の各孔部75Bには、第1接続部材61の各第2軸部64がそれぞれ挿入されている。これにより、第1部材72は、第1接続部材61に接続されている。したがって、第2リンク機構7は、第1リンク機構6と接続されている。第2リンク機構7は、第1リンク機構6を介してケース2に支持されている。第1部材72は、第2軸部64の中心軸線(第2軸線L2)を中心として回動可能となっている。
【0114】
また、操作部5は、第1部材72(第2リンク機構7)を介して第1リンク機構6と接続されている。
【0115】
第1部材72の各板部材74Aは、第1接続部材61の本体部62の略円筒の内部に配置されている。第1部材72の各溝部732のX2方向側には、第1接続部材61の各第1軸部63が隣接している。
【0116】
第2部材77は、アーム部79の長手方向がX方向となり、各軸部781の中心軸線がZ方向と平行となる向きで配置されている。第2部材77は、第1接続部材61の本体部62の略円筒内を挿通している。ヘッド部78は、第1接続部材61の本体部62の略円筒内に位置している。第2部材77の各軸部781の中心軸線は、第1軸線L1上に位置している。なお、ピン部52の第2端側(頭部53)は、第1部材72及びヘッド部78の内部に位置している。
【0117】
第4接続部材81は、その筒部82の略円筒の中心軸線がY方向と平行となる向きで配置されており、詳しくは、第4軸線L4上に位置するように配置されている。筒部82には、第2フィン42の回動軸部424が挿入されている。これにより、第2リンク機構7と第2フィン42とが接続されている。筒部82と第2フィン42とは、第4軸線L4を中心に、一体として回動可能となっている。
【0118】
続いて、第3リンク機構9の構成について説明する。
【0119】
第3リンク機構9は、長尺円柱状の棒部材91と、第1かさ歯車95と、第2かさ歯車99と、を有する。
【0120】
棒部材91は、球状をなす球状部92と、棒部材91の長手方向と直交する方向に延びる棒状の第3軸部93と、を有する。球状部92は、棒部材91の長手方向の第1端に設けられている。第3軸部93は、棒部材91の長手方向の第1端に設けられており、詳しくは、球状部92を貫通して設けられている。
【0121】
第1かさ歯車95は、かさ歯車である歯車部96と、回動軸部97と、を有する。回動軸部97は、歯車部96の中心軸線に沿って延び、歯車部96を貫通している。棒部材91の長手方向の第2端は、回動軸部97に接続されている。回動軸部97の中心軸線と棒部材91の中心軸線とは、一直線上に位置している。棒部材91と第1かさ歯車95(回動軸部97)とは、それらの中心軸線を中心に、一体として回動可能となっている。
【0122】
第2かさ歯車99は、第1かさ歯車95(歯車部96)と噛み合っている。第1かさ歯車95の回動方向と第2かさ歯車99の回動方向とは、互いに90°異なっている。
【0123】
続いて、第3リンク機構9の配置について説明する。
【0124】
棒部材91は、その長手方向がX方向と平行となる向きで配置されている。棒部材91は、第1端がX1方向を向き、第2端がX2方向を向いている。
【0125】
棒部材91の第1端は、操作部5の第2端に接続されている。第3軸部93と球状部92とは、ピン部52の嵌合部55に嵌合している。第3軸部93は、スリット部56に嵌合し、球状部92は、球状凹部57に嵌合している。これにより、第3リンク機構9と操作部5とが接続されている。なお、操作部5の中心軸線(第3軸線L3)と、棒部材91の中心軸線とは、同一直線状に位置している。
【0126】
スリット部56のスリットの深さは、第3軸部93の太さに対して大きく設定されている。この場合、スリット部56と第3軸部93との間にはX2方向に遊びが設けられている。
【0127】
球状部92及び第3軸部93は、第1接続部材61の本体部62及び第2部材77のヘッド部78の内部に位置している。第1軸線L1と、第2軸線L2と、棒部材91の中心軸線(第3軸線L3)とは、一点で交わっている。なお、第1軸線L1と第2軸線L2と第3軸線L3が交わる点と、球状部92の球の中心とは、一致している。
【0128】
また、第2ケース本体部22の外壁部225Aは、その外面に軸受部227を有する。軸受部227は、第2ケース本体部22のY2方向側の外面に設けられている。軸受部227は、その中心軸線が第3軸線L3上に位置している。
【0129】
棒部材91は、軸受部227を挿通している。棒部材91は、第3軸線L3を中心として回動可能に軸受部227により支持されている。
【0130】
第1かさ歯車95は、その回動軸部97の中心軸線が、X方向と平行となる向きで配置されている。回動軸部97の中心軸線は、第3軸線L3上に位置している。
【0131】
また、第3ケース本体部23の外壁部235Aは、その外面に2つの軸受部237を有する。各軸受部237は、第3ケース本体部23のY2方向側の外面にそれぞれ設けられている。各軸受部237は、それらの中心軸線が第3軸線L3上に位置している。
【0132】
第1かさ歯車95の回動軸部97の長手方向の各端部は、各軸受部237をそれぞれ挿通している。第1かさ歯車95は、第3軸線L3を中心として回動可能に各軸受部237に支持されている。
【0133】
第2かさ歯車99は、その中心軸線が、Y方向と平行となる向きで配置されている。第2かさ歯車99の中心軸線は、第4軸線L4上に位置している。第1かさ歯車95と第2かさ歯車99とは、噛み合っている。
【0134】
第2かさ歯車99は、調節バルブ43の回動軸部432と接続されており、詳しくは、回動軸部432のY2方向側の端部に接続されている。第2かさ歯車99は、第4軸線L4を中心に、調節バルブ43と一体として回動可能となっている。これにより、第3リンク機構9と調節バルブ43とは、接続されている。
【0135】
ここで、操作部5と第1リンク機構6と第1フィン41とにおける動作の連動について説明する。
【0136】
操作部5は、運転者等がノブ51の第1端側をY方向に動かすと、第1軸線L1を中心として回動する。操作部5の第1端側は、操作部5の第2端側を中心として弧を描くようにY方向に動作する。詳しくは、操作部5は、棒部材91の中心軸線と第1軸線L1と第2軸線L2とが交わる点を中心としてY2方向に回動する。この際、操作部5と第2リンク機構7の第1部材72とは、第1軸線L1を中心に一体となって回動する。
【0137】
第2リンク機構7の第2部材77は、第2フィン42及び第4接続部材81により、第1軸線L1を中心とする回動が制限されている。しかし、第1部材72の第1面72aと第2部材77の第2面77aとが、互いに離間しているため、第1部材72は、第2部材77とは独立して、第1軸線L1を中心として回動することができる。
【0138】
第3接続部材71の第1部材72と、第1接続部材61の本体部62とは、第1軸線L1を中心に一体となって回動する。第1接続部材61の突出部65は、第1軸線L1を中心に弧を描くようにY方向に動作する。
【0139】
突出部65のY方向の動作に連動して、第2接続部材67がY方向に動作する。この際。突出部65はX2方向にも若干動作する。しかし、第2接続部材67の長孔部68がX方向に延びる長孔状に形成されており、突出部65が長孔部68内を摺動可能となっていることで、第2接続部材67はY方向に円滑に動作することができる。
【0140】
次いで、第2接続部材67のY方向の動作に連動して、各第1フィン41の各突出部413がY方向に動作する。
【0141】
次いで、各第1フィン41は、各突出部413のY方向の動作に連動して、各々の回動軸部412を中心に回動する。
【0142】
以上のように、操作部5(ノブ51)の第1端をY方向に動作させることにより、第1フィン41を動作させることができる。これにより、送風方向をY方向に調整することができる。
【0143】
続いて、操作部5と第2リンク機構7と第2フィン42とにおける動作の連動について説明する。
【0144】
操作部5は、運転者等がノブ51の第1端側をZ方向に動かすと、第2軸線L2を中心として回動する。操作部5の第1端側は、操作部5の第2端側を中心として弧を描くようにZ方向に動作する。
【0145】
操作部5と第1部材72とは、第2軸線L2を中心に一体となって回動する。第1部材72と第2部材77とは、第2軸線L2を中心に一体として回動する。
【0146】
この際、第3接続部材71の第1部材72と、第1接続部材61の本体部62とは、各第2軸部64を介して接続されている。このため、第1部材72は、本体部62とは独立して、第2軸部64(第2軸線L2)を中心に回動することができる。
【0147】
また、本体部62の各第1軸部63は、本体部62の第2軸線L2を中心とする回動に伴って、第1部材72の各溝部732内に進入し、各溝部732内をX方向に摺動する。これにより、本体部62の第2軸線L2を中心とする回動が、第1部材72により制限されてしまうのを抑制することができる。なお、各溝部732は、特許請求の範囲でいう挿入部にそれぞれ相当する。
【0148】
また、第1部材72(第1面72a)と第2部材77(第2面77a)とがZ方向に対向する領域においては、各軸部781が各孔部75Aにそれぞれ係合している。これにより、第1面72aと第2面77aとが、互いにZ方向に摺動してしまうのを抑制することができるため、第1部材72と第2部材77とは、第2軸線L2を中心に一体として回動することができる。
【0149】
第2部材77が第2軸線L2を中心に回動すると、第2部材77のアーム部79のX2方向の端部はZ2方向に動作する。アーム部79のX2方向の端部がZ方向に動作すると、第4接続部材81のX1方向の端部はZ2方向に動作する。この際、アーム部79のX2方向の端部はX2方向にも若干動作する。しかし、アーム部79と第4接続部材81との接続部分(例えば、ピン)が長孔部68内を摺動可能となっていることで、第4接続部材81は、アーム部79の動作に連動して円滑に動作することができる。
【0150】
次いで、第4接続部材81のアーム部79側の端部がX方向に動作すると、第4接続部材81の筒部82が、第4軸線L4を中心に回動する。すると、第2フィン42が、筒部82と一体として、第4軸線L4を中心に回動する。
【0151】
以上のように、操作部5(ノブ51)の第1端をZ方向に動作させることにより、各第2フィン42を動作させることができる。これにより、送風方向をZ方向に調整することができる。このように、1の操作部5により、2つの方向について送風方向を調節可能となっている。
【0152】
なお、ノブ51のX1方向の端部をZ1方向に動作させた場合には、アーム部79のX2方向の端部は、Z2方向に動作する。第4接続部材81は、そのX1方向の端部がZ2方向に動作するとともに第4軸線L4を中心に回動する。第2フィン42は、そのX1方向の端部がZ2方向に動作する方向に第4軸線L4を中心に回動する。この場合、第2フィン42は、空調空気の方向をZ2方向に調整する。そして、空調空気は、吹出口3aにおいて、各傾斜部213のうちY2方向側の傾斜部213に当たりZ1方向に方向を変更される。このため、ノブ51のX1方向の端部をZ1方向に動作させることで、空調空気の送風方向をZ1方向に調整することができる。
【0153】
また、ノブ51のX1方向の端部をZ2方向に動作させることで、空調空気の送風方向をZ2方向に調整することができる。このように、送風方向をZ方向に調節するにあたり、ノブ51の動作方向と送風方向とを一致させることができるため、送風方向を調節し易くすることができる。
【0154】
また、操作部5のスリット部56と棒部材91の第3軸部93との間には、X2方向に遊びが設けられている。操作部5を第3軸部93が延びる方向に動作させると、第3軸部93は、スリット部56内を摺動する。このため、操作部5は、棒部材91とは独立して、第3軸部93が延びる方向に動作することができる。また、操作部5は、第3軸部93の中心軸線を中心として回動することができる。このため、操作部5は、棒部材91とは独立して、第3軸部93が延びる方向と直交する方向に動作することができる。このように、操作部5は、棒部材91とは独立して、Y方向やZ方向に動作することができる。
【0155】
続いて、操作部5と第3リンク機構9と調節バルブ43とにおける動作の連動について説明する。
【0156】
運転者が、ノブ51を、第3軸線L3を中心に回動させると、操作部5と、棒部材91とは、第3軸線L3を中心に一体として回動する。この際、棒部材91が棒部材91の長手方向に直交する方向に延びる第3軸部93を有しており、第3軸部93が操作部5の嵌合部55(スリット部56)に嵌合していることで、操作部5の回動は、棒部材91に好適に伝達される。
【0157】
また、第1軸線L1と、第2軸線L2と、棒部材91の中心軸線(第3軸線L3)とは、一点で交わっている。これにより、操作部5を、第2接続部材67の第1軸線L1を中心とする回動や、第3接続部材71の第2軸線L2を中心とする回動とは独立して、第3軸線L3を中心として回動させることができる。
【0158】
棒部材91が第3軸線L3を中心に回動すると、第1かさ歯車95が第3軸線L3を中心に回動する。第1かさ歯車95の回動は、第2かさ歯車99に伝達される。第2かさ歯車99は、第4軸線L4を中心に回動する。第2かさ歯車99が回動すると、調節バルブ43は、第4軸線L4を中心に回動する。このように、第1かさ歯車95及び第2かさ歯車99により、操作部5(棒部材91)の第3軸線L3を中心とする回動を、回動方向を変換しつつ調節バルブ43に伝達することができる。
【0159】
以上のように、操作部5(ノブ51)を、第3軸線L3を中心として回動させることにより、調節バルブ43を動作させることができる。これにより、送風量を調整することができる。このように、1の操作部5により、2つの方向についての送風方向の調節に加え、送風量の調節についても実行可能となっている。
【0160】
なお、空気吹出構造150は、各種構成の位置関係が、空気吹出構造1とはY方向に見て逆となっている。空気吹出構造150は、吹出口151と、操作部152と、を含む。操作部152は、吹出口151のY1方向の外方に位置している。このように、操作部は、吹出口のY1方向の外方に位置していてもよいし、吹出口のY2方向の外方に位置していてもよい。
【0161】
本実施形態に係る空気吹出構造1によれば、以下の効果を奏する。
【0162】
(1)本実施形態によれば、操作部5は、吹出口3aのY方向(車両100の車幅方向)の外方に配置されている。これにより、吹出口3aから送風される空気の圧力損失を抑制することができる。また、第1リンク機構6は、X方向(流下方向に相当する方向。車両100の車長方向)に延びる第1接続部材61と、Y方向(車両100の車幅方向)に延びる第2接続部材67とを有している。第2リンク機構7は、X方向に延びる第3接続部材71を有している。この場合、操作部5を吹出口3aのY方向の外方に配置した場合であっても、操作部5と第1フィン41とを第1リンク機構6により連結するとともに、操作部5と第2フィン42とを第2リンク機構7により連結することができる。
【0163】
また、本実施形態によれば、第1フィン41と操作部5とを繋いで設けられ、操作部5の第2方向の動作に基づいて、第1フィン41を動作させる第1リンク機構6と、第2フィン42と操作部5とを繋いで設けられ、操作部5のY方向の動作に基づいて、第2フィン42を動作させる第2リンク機構7と、を備える。これにより、操作部5の動作は、第1リンク機構6又は第2リンク機構7を介して第1フィン41又は第2フィン42に伝達される。例えば、ユーザは、操作部5をY方向へ動作させることで第1フィン41を動作させることができ、操作部5をZ方向へ動作させることで第2フィン42をZ方向へ動作させることができる。このように、Y方向についての送風方向の調節とZ方向についての送風方向の調節とを、1の操作部5によって実現することができるため、簡素な構成により送風方向を複数方向に調節可能とすることができる。
【0164】
したがって、本実施形態によれば、送風される空気の圧力損失を抑制しつつ、簡素な構成により送風方向を複数方向に調節可能な空気吹出構造を提供することができる。
【0165】
(2)本実施形態によれば、操作部5は、第1リンク機構6及び第2リンク機構7に接続されている。第1リンク機構6及び第2リンク機構7のうち少なくとも一方は、ケースに支持されている。これにより、操作部5の動作に伴うがたつきの発生を抑制することができる。
【0166】
(3)本実施形態によれば、第1リンク機構6(第1接続部材61)は、第1軸部63を介してケースに接続されている。第1リンク機構6と第2リンク機構7とは、第1軸部を介して互いに支持し合っている。これにより、操作部5の動作に伴うがたつきの発生を抑制することができる。
【0167】
(4)本実施形態によれば、第1接続部材61は、第1軸部63を介してケース2に接続されている。第3接続部材71は、第2軸部64を介して、第2軸線L2を中心として回動可能に、第1接続部材61に接続されている。これにより、第1接続部材61(第1リンク機構6)は、Z方向に延びる軸線を中心に回動することができる。第3接続部材71(第2リンク機構7)は、Y方向に延びる軸線を中心に回動することができる。第2接続部材67とケースとを接続する第1軸部63と、第2接続部材67と第3接続部材71とを接続する第2軸部64と、は、各々が延びる方向が直交している。このため、第3接続部材71の回動が、第2接続部材67により制限されるのを抑制することができる。
【0168】
(5)本実施形態によれば、操作部5は、X方向に延びる第3軸線L3を中心に回動可能となっている。空気吹出構造1は、ケース2内において、Y方向に延びる第4軸線L4を中心に回動可能に設けられ、吹出口3aから送風される空気の量を調節可能な調節バルブ43を備える。空気吹出構造1は、調節バルブ43と操作部5とを繋いで設けられ、操作部5の第3軸線L3を中心とする回動動作に基づいて、調節バルブ43を動作させる第3リンク機構9を備える。第3リンク機構9は、X方向に延びる長尺状をなし、第3軸線を中心に回動可能であり、第1端が操作部5と接続される棒部材91を有する。棒部材91は、その第1端に、当該棒部材91の長手方向と直交する方向に延びる第3軸部93を有する。操作部5は、第3軸部93を嵌合する嵌合部を有する。これにより、操作部5を、第3軸部93を中心に回動させることで、調節バルブを動作させることができる。このため、1の操作部5により、2つの方向についての風向の調節に加え、風量の調節についても実行可能とすることができるため、構成の更なる簡素化を図ることができる。
【0169】
また、本実施形態によれば、嵌合部に、棒部材91の長手方向と直交する方向に延びる第3軸部93が嵌合されている。これにより、操作部5の回動を棒部材91に好適に伝達可能とすることができる。
【0170】
(6)本実施形態によれば、第1軸線L1と、第2軸線L2と、第3軸線L3と、は、一点で交差している。これにより、操作部5を、第2接続部材67の第1軸線L1を中心とする回動や、第3接続部材71の第2軸線L2を中心とする回動とは独立して、第3軸線L3を中心として回動させることができる。
【0171】
(7)本実施形態によれば、第3リンク機構9は、棒部材91の第2端に設けられ、第3軸線を中心に棒部材91とともに回動する第1かさ歯車95を有する。第3リンク機構9は、調節バルブ43に設けられ、第4軸線L4を中心に調節バルブ43とともに回動し、第1かさ歯車95と噛み合う第2かさ歯車99を有する。これにより、操作部5及び棒部材91が第3軸線L3を軸として回動する動作を、回動方向を変換しつつ調節バルブに伝達することができる。このため、操作部5を、第3軸線L3を中心に回動させることで、調節バルブを好適に操作可能とすることができる。
【0172】
(8)本実施形態によれば、第3接続部材71は、操作部5と接続される第1部材72と、第2フィン42と接続される第2部材77と、を有する。第1部材72は、第2部材77に対向する面である第1面72aを有する。第2部材77は、第1面72aに対向する面である第2面77aを有する。第1面72aのうちZ方向側の領域と、第2面77aのうちZ方向側の領域と、は、第2面77aのうちZ方向側の領域と、第1面72aのうちZ方向側の領域と、が、互いに係合可能な形状として、それぞれ形成されている。第1面72aのうちY方向側の領域と、第2面77aのうちY方向側の領域と、は、第1面72aのうちY方向側の領域と、第2面77aのうちY方向側の領域と、が、第1軸線L1を中心とする回動方向に互いに摺動可能な曲面として、それぞれ形成されている。これにより、操作部5をZ方向に動作させることで、第1部材72と第2部材77とを、ともにZ方向に動作させることができる。操作部5をY方向に動作させることで、第1部材72を、第2部材77とは独立してY方向に動作させることができる。
【0173】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0174】
上記実施形態では、流下方向は、X方向となっていたが、これに限定されるものではない。例えば、流下方向は、Y方向やZ方向であってもよい。それらの場合、空気吹出構造は、運転者や同乗者に側方や上方から好適に空気を吹き付けることができる。
【0175】
上記実施形態では、空気吹出構造1は、第1フィン41がZ方向に送風方向を調整し、第2フィン42がY方向に送風方向を調整する向きで配置されていたが、空気吹出構造を配置する向きは、これに限定されるものではない。空気吹出構造は、例えば、第1フィンがY方向に送風方向を調整し、第2フィンがZ方向に送風方向を調整する向きで配置されていてもよい。その場合Z方向が第1方向に相当しY方向が第2方向に相当する。また、第1フィン及び第2フィンが送風方向を調整する方向はY方向やZ方向と平行な方向である必要はない。空気吹出構造は、第1フィン及び第2フィンが送風方向を調整する方向が水平面に対して斜めとなる向きで配置されていてもよい。
【0176】
上記実施形態では、空気吹出構造1は、空調装置により生成された空調空気を車室101内に供給していたが、これに限定されるものではない。空気吹出構造は、例えば、車両の外気や内気をそのまま車室内に供給するものであってもよい。すなわち、空気吹出構造が車室内に供給する空気は、空調空気に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0177】
1,150 空気吹出構造
3 通風路
3a,151 吹出口
5,152 操作部
6 第1リンク機構
7 第2リンク機構
9 第3リンク機構
41 第1フィン
42 第2フィン
43 調節バルブ
55 嵌合部
61 第1接続部材
63 第1軸部
64 第2軸部
67 第2接続部材
71 第3接続部材
72 第1部材
72a 第1面
77 第2部材
77a 第2面
91 棒部材
93 第3軸部
95 第1かさ歯車
99 第2かさ歯車
100 車両
101 車室
103 ダクト
732 溝部(挿入部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6