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  • 特開-情報取得装置 図1
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  • 特開-情報取得装置 図4
  • 特開-情報取得装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128954
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】情報取得装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 15/10 20060101AFI20240913BHJP
   G01S 13/10 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
G01S15/10
G01S13/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024032933
(22)【出願日】2024-03-05
(31)【優先権主張番号】P 2023038110
(32)【優先日】2023-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】510202167
【氏名又は名称】Next Innovation合同会社
(72)【発明者】
【氏名】道脇 裕
【テーマコード(参考)】
5J070
5J083
【Fターム(参考)】
5J070AB01
5J070AC02
5J070AD02
5J070AE07
5J070AF10
5J083AC40
5J083AD04
5J083AE06
5J083AF00
5J083BA01
5J083BB03
5J083CA03
(57)【要約】
【課題】簡易な構造によって、対象との間に異物が在っても対象までの距離を測定する手段を提供する。
【解決手段】波を発信する発信部と、波が反射した反射波を受信する受信部と、波の発信と反射波の受信とにより距離情報を取得する取得手段と、を具える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波を発信する発信部と、
波が反射した反射波を受信する受信部と、
波の発信と反射波の受信とにより距離情報を取得する取得手段と、を具え、
上記反射波の波形を解析する解析手段と、
波を反射させる対象毎の波形情報を記憶する記憶手段と、
上記解析手段によって解析した波形に基づく波形情報を特定し、対象を同定することを特徴とする情報取得装置。
【請求項2】
締結体に配設されることを特徴とする請求項1記載の情報取得装置。
【請求項3】
前記波は、超音波及び/又は電磁波であることを特徴とする請求項1記載の情報取得装置。
【請求項4】
前記受信部が複数の反射波を受信し、
前記取得手段は、上記反射波毎に距離情報を取得することを特徴とする請求項1記載の情報取得装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報取得装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、TOF(Time Of Flight)方式を利用して対象物までの距離を計測する距離計測装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような距離計測装置は、光源から光を照射すると共に、受光面によって対象物で反射した光を受光することにより、光源からの照射光が対象物で反射して受光面に届くまでの時間と光の速度から対象物までの距離を計測するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4498135号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載された距離計測装置に用いられているTOF方式は、対象との間に雪や枯葉、土砂等の異物が在った場合、対象までの正確な距離が測定できないという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものであり、簡易な構造によって、対象との間に異物が在っても対象までの距離を測定するための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の情報取得装置は、波を発信する発信部と、波が反射した反射波を受信する受信部と、波の発信と反射波の受信とにより距離情報を取得する取得手段と、を具えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の情報取得装置は、前記反射波の波形を解析する解析手段と、波を反射させる対象毎の波形情報を記憶する記憶手段と、上記解析手段によって解析した波形に基づく波形情報を特定し、対象を同定することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の情報取得装置は、締結体に配設されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の情報取得装置は、前記波が超音波及び/又は電磁波であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の情報取得装置は、前記受信部が複数の反射波を受信し、前記取得手段は、上記反射波毎に距離情報を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構造によって、対象との間に異物が在っても対象までの距離を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の情報取得システムを示すブロック図である。
図2】本実施形態の情報取得装置の構成例を示す概略図である。
図3】本実施形態の情報取得装置による測距処理例を示す図である。
図4】締結体を示す外観図である。
図5】締結体が構造体に適用される例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の情報取得装置を用いた情報取得システムの実施形態について図面を参照して説明する。図1は本実施形態の情報取得システムを示すブロック図である。情報取得システム1は、複数の情報取得装置10と監視装置100とを無線又は有線で通信可能に接続することで構成される。
ここで、情報取得装置10は、超音波を対象に向けて発信し、対象で反射させた反射波を受信して対象との距離を測定する測距処理を行い、測定した距離に係る距離情報を監視装置100に送信するものである。
【0013】
監視装置100は、情報取得装置10と通信するための通信機能や情報取得装置10から取得した情報を表示する画面表示機能等を具える。監視装置100は、例えば、スマートフォン、携帯電話(フィーチャーフォン)、PDA(Personal Digital Assistant)、ウェアラブル端末(ヘッドマウントディスプレイ、メガネ型デバイス等)、タブレット端末、ノート型PC、デスクトップ型PC、その他各種のコンピュータや演算回路を有するモニタ等があり得る。
【0014】
図2は本実施形態の情報取得装置10の構成例を示す概略図である。情報取得装置10は、各部を統括的に制御する制御部12を有する。また、制御部12には、波発受信部14、情報取得部16、通信部(送信部)18、記憶部20、電力供給部22等が接続される。
【0015】
波発受信部14は、超音波を発信するための発信回路や発信素子を含んだ発信部14aと、反射した超音波の反射波を受信するための受信回路や受信素子を含んだ受信部14bとを有する。
波発受信部14による超音波の発信は、連続的或いは断続的に行うことが出来る。情報取得部16は、超音波の発信から反射波の受信までの時間を計測して対象までの距離測定や、反射波の波形解析から超音波を反射させた対象を同定する等、各種情報の取得処理を実行する。尚、この際、波発受信部14と対象物との間の媒体及び/又は対象物の温度を測定して音速の温度変化に伴う変速を換算するようにして構成してもよい。即ち、情報取得システム1は、測温手段を含む構成としてもよい。
【0016】
通信部18は、不図示のアンテナを介し監視装置100とデータの送受信を行う。例えば、情報取得部16によって取得された各種情報を送信する他、監視装置100から電文等を受信し得る。記憶部20は、制御部12の制御プログラムや媒質ごとの反射波の波形情報等を格納する他、各部の処理結果等を記憶する。
【0017】
電力供給部22は、各部の動作に必要な電力の供給を行う。尚、電力供給部22には、外部電源や電池(一次電池及び/又は二次電池)が接続され得る。また電力供給部22は、外部からの熱や光、振動、圧力、電波等の種々の形態のエネルギを受けて発電可能な発電素子を具え、各部の動作に必要な電力を得てもよく、或いは電力供給に必要な電力を蓄電してもよい。
【0018】
図3は本実施形態の情報取得装置10による測距処理例を示す図であり、図3(a)に示すように情報取得装置10は、波発受信部14から所定の方向に所定の指向性を以て超音波を発信するように設置され、例えば超音波の発信方向の先に壁面(第一の媒質)が在る場合、波発受信部14で発信された超音波が壁面で反射してその反射波が波発受信部14で受信される。制御部12は、情報取得部16によって情報取得装置10から壁面までの距離を導出する。即ち、波発受信部14による超音波の発信から反射波の受信までの時間と媒質の温度とを測定し、測定された時間と温度に基づく距離を導出する。
尚、情報取得部16は、波発受信部14から壁面、壁面で反射して波発受信部14に戻ってくるまでの間に存在する超音波或いは反射波の波の個数を測ることによって距離を導出することも出来る。
【0019】
また、図3(b)に示すように、例えば情報取得装置10と壁面との間に異物(第二の媒質)が在る場合、超音波の一部が異物で反射した第一の反射波を波発受信部14が受信し、残りが異物内を透過して壁面で反射する。この壁面で反射した第二の反射波を波発受信部14が受信する。制御部12は、受信した二種類の反射波によって壁面との間に在る異物までの距離及び情報取得装置10から壁面までの距離を導出する。
具体的には、制御部12は、情報取得部16によって、超音波の発信から第一の反射波の受信までの時間を測定し、測定時間に基づいて異物までの距離を導出する。また制御部12は、同様にして情報取得部16によって超音波の発信から第二の反射波の受信までの時間を測定し、測定時間に基づいて壁面までの距離を導出する。
【0020】
また、制御部12は、情報取得部によって各反射波の波形解析を行い、解析した波形の媒質を特定することで異物を同定することも出来る。
尚、異物としては液体、固体、気体等の如何なる状態の物質もあり得、例えば液状物、雪、氷、土砂、樹木(木材)、枝葉、樹脂(天然樹脂及び/又は合成樹脂を含む)、鉱物、砕屑物等やこれらを含んで構成される加工物、これらの堆積物等があり得る。勿論、異物はこれらに限定されるものでは無い。
【0021】
情報取得装置10は、取得した距離の情報を通信部18によって監視装置100に送信する。このとき監視装置100に送信する情報に情報取得装置10の固有ID等を付しておき、また監視装置100が予め固有ID毎の情報取得装置10の設置場所等を格納していれば、監視装置100は、情報取得装置10から受信した情報から、壁面の場所、該壁面までの距離、壁面との間に在る異物までの距離、同定された異物の情報等の各種情報を表示画面等で示すことが出来る。
【0022】
以上説明したように、本発明の情報取得装置10は、超音波を用いることによって対象との間に異物が在る場合でも対象までの略正確な距離を測定することが出来る。また超音波が異物でも反射し、波発受信部14が異物で反射した第一の反射波を受信するため、異物までの距離や異物の同定を行うことができるので、情報取得装置10に対する異物の位置やその異物を同定することで特定することもできる。
【0023】
次に情報取得装置10を締結体50に搭載した場合の適用例について説明する。図4は締結体50を示す外観図である。締結体50は、所謂ボルト(雄ねじ体)様の形状を有し、頭部52、軸部54等によって構成される。頭部52は、例えば外径形状が多角形状(六角形状や矩形状等)、円形状等であってもよく、端面に十字穴、すり割り、六角穴等を有するものであってもよい。軸部54は、外周面の少なくとも一部に螺旋溝を設けて成る雄ねじ部を有する。ここでは締結体50への情報取得装置10の搭載は、頭部52頂面に情報取得装置10を配設することで成し得る。
【0024】
締結体50は、例えば、図5に示すように構造体を成す部材の固定や、部材同士の締結等に用いられる。締結体50に搭載された情報取得装置10は、構造体の外側或いは内側に向って超音波を発信することで、締結体50周りの対象(人や物等)の検知、対象との距離、対象の同定等の処理を行うことができる。また、締結体50によって締結された部材が壁、床、天井、柱、梁、基礎等の固定物に対向していることがある。この場合、情報取得装置10から固定物に向けて超音波を発信することで、締結体50によって締結された部材(被締結部材)と固定物との相対位置(又は相対距離)を監視することが出来る。
【0025】
即ち、制御部12は、情報取得部16によって超音波の発信と固定物に反射した反射波の受信とを行い固定物までの距離を導出する。情報取得装置10は、このような処理を継続或いは断続的に連続して行うことで、部材(締結体50)と固定物との相対位置(相対距離)の変化を認識することが出来る。
【0026】
勿論、情報取得装置10は、締結体50に搭載されるものに限定されるものでは無く、固定体及び/又は可動体等の構造体等に直接設置、搭載されるものであってもよい。
【0027】
また、締結体50をボルト様の形状を有するものとして説明したが、情報取得装置10が搭載される締結体はナット(雌ねじ体)、ワッシャ、座金等であってもよい。また情報取得装置10から発信される超音波の向きは、締結体の外向きに限定するものではなく、締結体の内部に向けてもよい。例えば締結体50がボルトである場合に、情報取得装置10をボルトの頭部に搭載して超音波を軸方向に沿って軸部の先端部に向けて発信することもあり得る。
超音波をボルトの頭部から軸部の先端に向けて発信した場合、超音波は軸部の先端で反射した反射波を波発受信部14で受信するため、軸部の先端までの距離を導出してボルトの締付けによるボルトの歪み量等を測定することが出来る。
【0028】
尚、上述した実施形態においては、波発受信部14が超音波を発信するものとして説明したが、電磁波を発信させてもよい。
【0029】
また、情報取得装置10は、波発受信部14以外に外部の物理状態の変化等を検知し得るセンサやカメラ等を更に有することで装置10周りでの異物等の検知以外に地震、津波、暴風、豪雨、豪雪、高潮、噴火、落雷等の自然災害や、火災、落石、地盤沈下等の災害をより精確に検出することが出来る。
尚、センサとしては、例えば光電センサ、温度センサ、湿度センサ、トルクセンサ、速度センサ、加速度センサ、圧力センサ、流量センサ、荷重センサ、歪センサ、軸力センサ、振動センサ、風速・風向センサ、方位センサ、磁気センサ、放射線センサ、漏液センサ、液検知センサ、臭気センサ、気体センサ、粉粒体センサ、音センサ等がある。
【0030】
また、情報取得装置10は、監視装置100と通信可能なものに限定されるものではない。例えば上位システムに取得した情報を送信し得るものであってもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…情報取得システム、10…情報取得装置、12…制御部、14…波発受信部、16…情報取得部、18…通信部、20…記憶部、22…電力供給部、100…監視装置。

図1
図2
図3
図4
図5