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特開2024-128956センサダイを有するセンサパッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128956
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】センサダイを有するセンサパッケージ
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/00 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
G01L9/00 303A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024033458
(22)【出願日】2024-03-06
(31)【優先権主張番号】18/181836
(32)【優先日】2023-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110004347
【氏名又は名称】弁理士法人大場国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド エリック ワグナー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセ アルファロ ペレス
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055BB01
2F055BB05
2F055CC02
2F055DD05
2F055EE14
2F055FF43
2F055GG11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】絶対圧および差圧の両方の測定を必要とする場合、必要な構成要素の数と製造コストが増大し、サイズまたは占有面積が増大する。
【解決手段】シリコンウェハ(110)は、第1のキャビティ(130)と位置合わせされている第1の膜(116)、および第2のキャビティ(140)と位置合わせされている第2の膜(118)を有する。シリコンウェハ(110)は、キャリアウェハ(120)とは別個に単一品としてモノリシックに形成され、第1の膜(116)および第2の膜(118)を通して均一なウェハ厚さ(111)を有する。第1の膜(116)は、シリコンウェハ(110)の第1のウェハ面(112)、および第1のウェハ面(112)の反対側にある第2のウェハ面(114)のうちの1つにおける絶対圧に応じて撓み可能である。第2の膜(118)は、第1のウェハ面(112)と第2のウェハ面(114)との間の差圧に応じて撓み可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のキャビティ(130)および第2のキャビティ(140)を有するキャリアウェハ(120)と、
前記キャリアウェハ(120)に配されているシリコンウェハ(110)と
を備えるセンサダイ(100)であって、

前記シリコンウェハ(110)は、前記第1のキャビティ(130)と位置合わせされている第1の膜(116)、および前記第2のキャビティ(140)と位置合わせされている第2の膜(118)を有し、
前記シリコンウェハ(110)は、前記キャリアウェハ(120)とは別個に単一品としてモノリシックに形成され、前記第1の膜(116)および前記第2の膜(118)を通して均一なウェハ厚さ(111)を有し、
前記第1の膜(116)は、前記シリコンウェハ(110)の第1のウェハ面(112)、および前記第1のウェハ面(112)の反対側にある第2のウェハ面(114)のうちの1つにおける絶対圧に応じて撓み可能であり、
前記第2の膜(118)は、前記第1のウェハ面(112)と前記第2のウェハ面(114)との間の差圧に応じて撓み可能である、
センサダイ(100)。
【請求項2】
前記シリコンウェハ(110)と前記キャリアウェハ(120)との間のエッチストップ(150)をさらに備える、
請求項1に記載のセンサダイ(100)。
【請求項3】
前記第1のキャビティ(130)は、第1のキャビティ幅(132)を有し、前記第2のキャビティ(140)は、前記第1のキャビティ幅(132)よりも大きいまたはそれに等しい第2のキャビティ幅(142)を有する、
請求項1に記載のセンサダイ(100)。
【請求項4】
前記第1のキャビティ(130)は、前記第1のキャビティ幅(132)に垂直な深さ方向(D)における第1のキャビティ深さ(134)を有し、前記第2のキャビティ(140)は、前記第2のキャビティ幅(142)に垂直な前記深さ方向(D)における第2のキャビティ深さ(144)を有し、前記第2のキャビティ深さ(144)は、前記第1のキャビティ深さ(134)よりも大きいまたはそれに等しい、
請求項3に記載のセンサダイ(100)。
【請求項5】
前記キャリアウェハ(120)は、第3のキャビティ(146)を有し、前記シリコンウェハ(110)は、前記第3のキャビティ(146)と位置合わせされている第3の膜(117)を有し、前記第3の膜(117)は、前記第1の膜(116)とは異なる範囲の前記絶対圧に応じて撓み可能であり、かつ/または、
前記キャリアウェハ(120)は、第4のキャビティ(148)を有し、前記シリコンウェハ(110)は、前記第4のキャビティ(148)と位置合わせされている第4の膜(119)を有し、前記第4の膜(119)は、前記第2の膜(118)とは異なる範囲の前記差圧に応じて撓み可能である、
請求項1に記載のセンサダイ(100)。
【請求項6】
センサダイ(100)であって、
前記センサダイ(100)は、
● 第1のキャリアウェハ(120)、および前記第1のキャリアウェハ(120)に配されている第1のシリコンウェハ(110)を有する第1のダイ部分(160)であって、
前記第1のキャリアウェハ(120)は、第1のキャビティ(130)を有し、前記第1のシリコンウェハ(110)は、前記第1のダイ部分(160)における第1の圧力(P1)の絶対測定値に応じて前記第1のキャビティ(130)へと撓み可能である、第1のダイ部分(160)と、

● 前記第1のダイ部分(160)の下に配されている第2のダイ部分(170)であって、
前記第2のダイ部分(170)は、第2のキャリアウェハ(120)、および前記第2のキャリアウェハ(120)に配されている第2のシリコンウェハ(110)を有し、前記第2のキャリアウェハ(120)は、第2のキャビティ(140)を有し、前記第2のシリコンウェハ(110)は、前記第2のシリコンウェハ(110)における前記第1の圧力(P1)と前記第2のキャビティ(140)における第2の圧力(P2)との差分測定値に応じて撓み可能である、第2のダイ部分(170)と
を備える、

センサダイ(100)。
【請求項7】
前記第1のダイ部分(160)は、前記第1のキャリアウェハ(120)が配されている第1の制限部(200)を有し、
前記第1の制限部(120)は、前記第1のダイ部分(160)が前記第2のダイ部分(170)に積層されている深さ方向(D)において、前記第1のダイ部分(160)と前記第2のダイ部分(170)との間の間隙(180)を空けて前記第2のシリコンウェハ(110)に取り付けられ、
前記第1のダイ部分(160)は、前記第1のキャリアウェハ(120)および前記第1の制限部(120)を通って延在するシリコン貫通ビア(162)により前記第2のダイ部分(170)に取り付けられている、
請求項6に記載のセンサダイ(100)。
【請求項8】
制限部(200)と、
前記制限部(200)に配されているセンサダイ(100)と
を備えるセンサパッケージ(10)であって、

前記センサダイ(100)は、キャリアウェハ(120)、および前記キャリアウェハ(120)に配されているシリコンウェハ(110)を含み、
前記キャリアウェハ(120)は、第1のキャビティ(130)および第2のキャビティ(140)を有し、
前記シリコンウェハ(110)は、前記第1のキャビティ(130)と位置合わせされている第1の膜(116)、および前記第2のキャビティ(140)と位置合わせされている第2の膜(118)を有し、

前記シリコンウェハ(110)は、前記キャリアウェハ(120)とは別個に単一品としてモノリシックに形成され、前記第1の膜(116)および前記第2の膜(118)を通して均一なウェハ厚さ(111)を有し、
前記第1の膜(116)は、前記シリコンウェハ(110)の第1のウェハ面(122)、および前記第1のウェハ面(122)の反対側にある第2のウェハ面(124)のうちの1つにおける絶対圧に応じて撓み可能であり、
前記第2の膜(118)は、前記第1のウェハ面(122)と前記第2のウェハ面(124)との間の差圧に応じて撓み可能である、
センサパッケージ(10)。
【請求項9】
前記制限部(200)を通って延在し、かつ前記第2のキャビティ(140)と連通する差分制限部ポート(206)を前記制限部(200)が有し、前記第1のキャビティ(130)は、前記制限部(200)により遮蔽され、前記第1のキャビティ(130)は、真空圧を有する、
請求項8に記載のセンサパッケージ(10)。
【請求項10】
前記制限部(200)とは反対側の前記センサダイ(100)の面に配されているキャップ層(400)と、前記センサダイ(100)と前記キャップ層(400)との間に配されている酸化物層(410)とをさらに備え、
前記酸化物層(410)は、前記第1の膜(116)と位置合わせされている第1の酸化物開口部(412)、および前記第2の膜(118)と位置合わせされている第2の酸化物開口部(414)を有する、
請求項8に記載のセンサパッケージ(10)。
【請求項11】
前記キャップ層(400)は、前記第1の酸化物開口部(412)を遮蔽し、
前記キャップ層(400)は、前記第2の酸化物開口部(414)と連通するキャップポート(402)を有し、

前記制限部(200)を通って延在し、かつ前記第1のキャビティ(130)と連通する絶対制限部ポート(208)を前記制限部(200)が有する、
請求項10に記載のセンサパッケージ(10)。
【請求項12】
● 開口部(33)を有するハウジング(30)と、
● 前記開口部(33)に配されているセンサパッケージ(10)と
を備えるセンサアセンブリ(20)であって、

前記センサパッケージ(10)は、キャリアウェハ(120)、および前記キャリアウェハ(120)に配されているシリコンウェハ(110)を有するセンサダイ(100)を含み、

前記キャリアウェハ(120)は、第1のキャビティ(130)および第2のキャビティ(140)を有し、

前記シリコンウェハ(110)は、前記第1のキャビティ(130)と位置合わせされている第1の膜(116)、および前記第2のキャビティ(140)と位置合わせされている第2の膜(118)を有し、

前記シリコンウェハ(110)は、前記キャリアウェハ(120)とは別個に単一品としてモノリシックに形成され、前記第1の膜(116)および前記第2の膜(118)を通して均一なウェハ厚さ(111)を有し、

前記第1の膜(116)は、前記シリコンウェハ(110)の第1のウェハ面(112)、および前記第1のウェハ面(112)の反対側にある第2のウェハ面(114)のうちの1つにおける絶対圧に応じて撓み可能であり、

前記第2の膜(118)は、前記第1のウェハ面(112)と前記第2のウェハ面(114)との間の差圧に応じて撓み可能である、
センサアセンブリ(20)。
【請求項13】
前記開口部(33)に配され、前記センサダイ(100)に電気的に接続されている処理回路(60)をさらに備え、
前記開口部(33)には、オイル(80)が充填されている、
請求項12に記載のセンサアセンブリ(20)。
【請求項14】
前記ハウジング(30)を通って延在し、前記センサダイ(100)および前記処理回路(60)に電気的に接続されているピン(40)をさらに備え、

前記ピン(40)は、前記ハウジング(30)のピン通路(36)を通って延在し、前記ピン通路(36)は、気密シール(42)により前記ピン(40)の周囲で封止されている、
請求項13に記載のセンサアセンブリ(20)。
【請求項15】
前記ハウジング(30)に接続されているダイヤフラム(50)をさらに備え、前記ダイヤフラム(50)は、前記開口部(33)における前記オイル(80)に外圧を伝達する、
請求項13に記載のセンサアセンブリ(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサパッケージに関し、より詳細には、センサパッケージのセンサダイに関する。
【背景技術】
【0002】
圧力センサは通常、センサダイヤフラムと、センサダイヤフラムに配されたピエゾ抵抗器とを含む。印加される力または圧力がセンサダイヤフラムを撓ませ、それにより、ダイヤフラムにおけるピエゾ抵抗器の抵抗が変化し、それに対応して、その力または圧力を反映する圧力センサの測定出力が変化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
マスフローコントローラなどの特定の適用例は、絶対圧および差圧の両方の測定を必要とする。しかしながら、既存の圧力センサは、別個の構成要素を用いてそれぞれ絶対圧および差圧を測定する。例えば、ピエゾ抵抗器を有する1つのセンサダイヤフラムが絶対圧を測定し、異なるピエゾ抵抗器を有するもう1つの別個のセンサダイヤフラムが差圧を測定する。複数のダイヤフラムを用いてこれらの圧力を測定することにより、圧力センサに必要な構成要素の数が増大し、それにより製造コストが増大する。さらに、複数のダイヤフラムを用いることにより、圧力センサのサイズまたは占有面積が増大し、それにより、特定の用途における圧力センサの使用が制限される場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
センサダイは、第1のキャビティおよび第2のキャビティを有するキャリアウェハと、キャリアウェハに配されているシリコンウェハとを含む。シリコンウェハは、第1のキャビティと位置合わせされている第1の膜、および第2のキャビティと位置合わせされている第2の膜を有する。シリコンウェハは、キャリアウェハとは別個に単一品としてモノリシックに形成され、第1の膜および第2の膜を通して均一なウェハ厚さを有する。第1の膜は、シリコンウェハの第1のウェハ面、および第1のウェハ面の反対側にある第2のウェハ面のうちの1つにおける絶対圧に応じて撓み可能である。第2の膜は、第1のウェハ面と第2のウェハ面との間の差圧に応じて撓み可能である。
【0005】
ここで、添付の図面を参照して、本発明を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態に係るセンサパッケージの斜視図である。
図2図1のセンサパッケージの断面斜視図である。
図3】別の実施形態に係るセンサパッケージの断面側面図である。
図4】別の実施形態に係るセンサパッケージの断面側面図である。
図5】別の実施形態に係るセンサパッケージの断面斜視図である。
図6】別の実施形態に係るセンサパッケージの断面斜視図である。
図7】別の実施形態に係るセンサパッケージの断面側面図である。
図8】一実施形態に係るセンサアセンブリの断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
添付の図面を参照して、本開示の例示的実施形態を以下で詳細に説明する。図面において、同様の参照符号は同様の要素を指す。しかしながら、本開示は、多数の異なる形態で実施されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が開示の概念を当業者に伝達するように提供されている。加えて、以下の詳細な説明においては、説明の目的で、多数の具体的な詳細事項が、開示の実施形態の完全な理解をもたらすために記載されている。しかしながら、1つまたは複数の実施形態がこれらの具体的な詳細事項なしで実現されてもよいことは明らかである。
【0008】
図面の全体にわたって、図面を明確にするために、図中で複数の同一の要素のうちの1つのみに符号を付している場合があるが、本明細書における要素の詳細な説明は、その図中で同一のものとして出現する要素の各々に等しく当てはまる。本明細書の全体にわたって、「深さ方向」および「幅方向」などの方向の記述語が用いられる。これらの記述語は、単に説明を明確にするためのものであり、様々な方向を区別するためのものである。これらの方向の記述語は、開示されている要素の任意の特定の向きを含意または要求するものではない。
【0009】
一実施形態に係るセンサパッケージ10を図1および図2に示す。センサパッケージ10は、センサダイ100と、センサダイ100が配された制限部200と、センサダイ100に配された複数のピエゾ抵抗素子300とを含む。
【0010】
図1および図2に示すように、センサダイ100は、シリコンウェハ110およびキャリアウェハ120を含む。シリコンウェハ110は、第1のウェハ面112と、深さ方向Dにおいて第1のウェハ面112の反対側にある第2のウェハ面114とを有する。シリコンウェハ110は、シリコンウェハ110の一部分における第1の膜116、およびシリコンウェハ110の別の部分における第2の膜118を形成する。シリコンウェハ110は、第1の膜116および第2の膜118を通して均一であることを含め、深さ方向Dに垂直な平面において均一なウェハ厚さ111を有する。
【0011】
図1および図2に示すように、キャリアウェハ120は、第1のキャリア面122と、深さ方向Dにおいて第1のキャリア面122の反対側にある第2のキャリア面124とを有する。図示の実施形態において、キャリアウェハ120は、ウェハ厚さ111よりも大きい深さ方向Dにおけるキャリア厚さ126を有する。シリコンウェハ110およびキャリアウェハ120は、各々シリコン材料から形成され、同じシリコン材料から形成されてよい。
【0012】
キャリアウェハ120は、第1のキャビティ130および第2のキャビティ140を有する。第1のキャビティ130は、深さ方向Dに垂直な幅方向Wにおける第1のキャビティ幅132、および深さ方向Dにおける第1のキャビティ深さ134を有する。第2のキャビティ140は、幅方向Wにおける第2のキャビティ幅142、および深さ方向Dにおける第2のキャビティ深さ144を有する。図2に示す実施形態において、第1のキャビティ130および第2のキャビティ140は各々、第2のキャリア面124から第1のキャリア面122まで深さ方向Dにおいて完全にキャリアウェハ120を貫通して延在する。第1のキャビティ深さ134は、第2のキャビティ深さ144に等しい。図2に示す実施形態において、第2のキャビティ幅142は、幅方向Wにおいて第1のキャビティ幅132よりも大きい。
【0013】
センサダイ100を形成するために、シリコンウェハ110は、キャリアウェハ120とは別個に均一なウェハ厚さ111を有する単一品としてモノリシックに形成される。次いで、エッチストップ150が深さ方向Dにおいてシリコンウェハ110とキャリアウェハ120との間にある状態で、シリコンウェハ110の第2のウェハ面114がキャリアウェハ120の第1のキャリア面122に取り付けられる。図1および図2の実施形態において、エッチストップ150は、シリコンウェハ110をキャリアウェハ120に取り付ける酸化物材料層である。「ウェハ」という用語は、シリコンウェハ110およびキャリアウェハ120を指すものとして一貫性のために用いられるが、これらのウェハ110、120は、本明細書において説明し示すように、センサダイ100を形成するためにカットされることになる。
【0014】
様々な実施形態において、シリコンウェハ110は、キャリアウェハ120における第1のキャビティ130および第2のキャビティ140の形成の前または後に、キャリアウェハ120に取り付けられてよい。シリコンウェハ110がキャリアウェハ120に取り付けられるときにキャリアウェハ120がシリコン材料の中実体である実施形態において、第1のキャビティ130および第2のキャビティ140は両方、キャリアウェハ120の第2のキャリア面124から開始する単一のエッチングにより、キャリアウェハ120に形成される。このエッチング、例えば深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)またはウェットエッチングは、第2のキャリア面124から開始して第1のキャビティ130および第2のキャビティ140をキャリアウェハ120に同時にエッチングする。
このエッチングは、エッチストップ150に達するまで継続し、それにより、上述のようにキャビティ幅132、142およびキャビティ深さ134、144を有する第1のキャビティ130および第2のキャビティ140を完全に形成し、エッチングがシリコンウェハ110に達することを防止する。
【0015】
図2に示すように、センサダイ100において、第1のキャビティ130の上に延在し、深さ方向Dにおいて第1のキャビティ130と位置合わせされるシリコンウェハ110の一部分が、シリコンウェハ110の第1の膜116である。第2のキャビティ140の上に延在し、深さ方向Dにおいて第2のキャビティ140と位置合わせされるシリコンウェハ110の一部分が、シリコンウェハ110の第2の膜118である。上述のように、シリコンウェハ110は、第1の膜116および第2の膜118を通して均一なウェハ厚さ111を有し、第1の膜116および第2の膜118を有する単一品としてモノリシックに形成される。
【0016】
図1および図2に示すように、制限部200は、第1の面202と、深さ方向Dにおいて第1の面202の反対側にある第2の面204を有する。制限部200は、第1の面202から第2の面204まで深さ方向Dにおいて制限部200を通って延在する差分制限部ポート206を有する。様々な実施形態において、制限部200は、ガラスまたはシリコン材料から単一品としてモノリシックに形成されてよい。
【0017】
図1および図2に示すセンサパッケージ10において、センサダイ100は、キャリアウェハ120の第2のキャリア面124が制限部200の第1の面202に取り付けられた状態で、制限部200に配される。図示の実施形態において、制限部200は、第1のキャビティ130を遮蔽する。図2に示すように、差分制限部ポート206は、第2のキャビティ140と位置合わせされ、第2のキャビティ140と連通する。
【0018】
図1および図2に示すように、ピエゾ抵抗素子300は、第1の膜116においてシリコンウェハ110に配されたピエゾ抵抗素子300の第1のセット302と、第2の膜118においてシリコンウェハ110に配されたピエゾ抵抗素子300の第2のセット304とを含む。図1および図2に示すように、ピエゾ抵抗素子300の第1のセット302は、第1の膜116の周囲に配置され、深さ方向Dにおいて第1のキャビティ130の周囲と位置合わせされ、ピエゾ抵抗素子300の第2のセット304は、第2の膜118の周囲に配置され、深さ方向Dにおいて第2のキャビティ140の周囲と位置合わせされる。
【0019】
ピエゾ抵抗素子300は、シリコンウェハ110のシリコン材料にパターニングされまたは埋め込まれた元素材料であり、ピエゾ抵抗素子300は、第1のウェハ面112にまたはシリコンウェハ110内に配置されてよい。一実施形態において、元素材料は、p型ホウ素などの正のドーパントであるが、ピエゾ抵抗器をシリコン材料に形成するために用いられる任意のタイプの材料であり得る。
【0020】
図示の実施形態において、ピエゾ抵抗素子300の第1のセット302は、第1の膜116の周囲に分散し、第1のホイートストンブリッジを第1の膜116に形成する4つのピエゾ抵抗素子を含む。ピエゾ抵抗素子300の第2のセット304は、第2の膜118の周囲に分散し、第2のホイートストンブリッジを第2の膜118に形成する4つのピエゾ抵抗素子を含む。他の実施形態においては、ピエゾ抵抗素子300の第1のセット302および第2のセット304は、3つ以下または4つよりも多くのピエゾ抵抗素子300を含んでよい。
【0021】
センサダイ100を有するセンサパッケージ10は、それが配置される環境において、物理的要素からまたは流体から様々な圧力を測定するために用いられる。図2に示す第1の圧力P1は、シリコンウェハ110の第1のウェハ面112に働く。図2における第1の圧力P1の位置は、単に例示的なものであり、第1の圧力P1は、深さ方向Dにおいて第1の膜116および第2の膜118の両方にわたって働く。シリコンウェハ110は、可撓性であり、弾性的に撓み可能である。第1の膜116は、深さ方向Dにおいて第1のキャビティ130に向かって第1の圧力P1の大きさに応じて撓み可能であり、第2の膜118は、第1の膜116とは独立に、深さ方向Dにおいて第2のキャビティ140に向かって第1の圧力P1の大きさに応じて撓み可能である。
【0022】
図2に示すように、第2のキャビティ140は、差分制限部ポート206を通して第2のキャビティ140に入り、第2の膜118においてシリコンウェハ110の第2のウェハ面114に働く第2の圧力P2を有する。第2の圧力P2は、第1の圧力P1とは反対の深さ方向Dにおいて第2の膜118の第2のウェハ面114にわたって働く。第2の圧力P2は、第2の膜118の第1のウェハ面112における第1の圧力P1に逆らって働くので、第2の膜118は、第1の圧力P1と第2の圧力P2との間の差圧に応じて撓み可能である。ピエゾ抵抗素子300の第2のセット304の抵抗は、第2の膜118の撓み量に応じて変化し、ピエゾ抵抗素子300の第2のセット304を介して伝送される出力信号は、第2の膜118の撓み量および第1の圧力P1と第2の圧力P2との間の差圧を表す。
【0023】
第1の膜116は、第1の圧力P1の下で第2の膜118と同時に撓み可能である。制限部200により封止または遮蔽される第1のキャビティ130は、真空圧または既知の圧力P0を有し、真空圧または既知の圧力P0は、第1の膜116の第1のウェハ面112における第1の圧力P1に逆らって第1の膜116の第2のウェハ面114に働く。それにより、第1の膜116は、第1の膜116の第1のウェハ面112における第1の圧力P1の絶対尺度に応じて第1のキャビティ130へと撓み可能である。第2の膜118と一体に形成される第1の膜116は、第2の膜118と同時に、しかし第2の膜118とは異なる圧力の尺度に応じて撓みする。ピエゾ抵抗素子300の第1のセット302の抵抗は、第1の膜116の撓み量に応じて変化し、ピエゾ抵抗素子300の第1のセット302を介して伝送される出力信号は、第1の膜116の撓み量および第1の圧力P1の絶対尺度を表す。
【0024】
別の実施形態に係るセンサパッケージ10を図3に示す。同様の参照番号は同様の要素を指し、主に図1および図2に示すセンサパッケージ10の実施形態との差異を、本明細書において詳細に説明する。ピエゾ抵抗素子300は、図3の模式図では省略されているが、図1および図2のセンサパッケージ10に関して上述したものと同様に、図3のセンサパッケージ10の第1の膜116および第2の膜118に存在する。
【0025】
図3の実施形態に係るセンサパッケージ10において、キャリアウェハ120の第1のキャビティ130および第2のキャビティ140は、異なるサイズを有する。第2のキャビティ幅142は、依然として第1のキャビティ幅132よりも大きく、図示の実施形態において、第2のキャビティ深さ144は、第1のキャビティ深さ134よりも大きい。図3に示す実施形態において、エッチングは、第1のキャビティ幅132よりも大きい第2のキャビティ幅142を有する第2のキャビティ140を、第1のキャビティ130よりも深さ方向Dにおいて高速にエッチングし、第1のキャビティ130がエッチストップ150に達する前に第2のキャビティ140においてエッチストップ150に達する、アスペクト比依存エッチングである。
【0026】
別の実施形態においては、エッチストップ150は、酸化物層に代えて、シリコンウェハ110とキャリアウェハ120との間の接合部であり得る。そのようなエッチストップ150を用いる場合、エッチングは、本明細書に記載の第1のキャビティ130および第2のキャビティ140を形成するための電気化学エッチングであり得る。第1のキャビティ130および第2のキャビティ140は、電気化学エッチングの結果として、傾斜した壁を有してよい。
【0027】
別の実施形態に係るセンサパッケージ10を図4に示す。同様の参照番号は同様の要素を指し、主に図1および図2に示すセンサパッケージ10の実施形態との差異を、本明細書において詳細に説明する。ピエゾ抵抗素子300は、図4の模式図では省略されているが、図1および図2のセンサパッケージ10に関して上述したものと同様に、図4のセンサパッケージ10の第1の膜116および第2の膜118に存在する。
【0028】
図4に示すように、センサパッケージ10は、制限部200とは反対側のセンサダイ100の面に配されたキャップ層400を有する。キャップ層400は、シリコン材料から形成されてよい。センサパッケージ10は、キャップ層400をセンサダイ100に取り付ける、酸化物材料から形成され、深さ方向Dにおいてキャップ層400とセンサダイ100との間に配された酸化物層410を有する。酸化物層410は、深さ方向Dにおいて第1の膜116と位置合わせされる第1の酸化物開口部412を有し、深さ方向Dにおいて第2の膜118と位置合わせされる第2の酸化物開口部414を有する。キャップ層400は、第1の酸化物開口部412を遮蔽し、キャップ層400を通って延在して第2の酸化物開口部414と連通するキャップポート402を有する。
【0029】
図4に示すセンサパッケージ10の実施形態において、第1の膜116および第2の膜118は、依然としてそれぞれ絶対圧および差圧に応じて撓むが、両方が制限部200を通して第2の圧力P2にさらされる。図4の制限部200は、上述の差分制限部ポート206に加えて、絶対制限部ポート208を有する。絶対制限部ポート208は、第1のキャビティ130と連通する。図4に示すように、第1のキャビティ130および第2のキャビティ140は両方、深さ方向Dにおいてエッチストップ150までキャリアウェハ120にエッチングされ、第1のキャビティ幅132は第2のキャビティ幅142に等しい。
【0030】
図4のセンサパッケージ10において、遮蔽された第1の酸化物開口部412は、真空圧または既知の圧力P0を有する。第2の圧力P2は、絶対制限部ポート208および第1のキャビティ130を通して第1の膜116に達し、第1の膜116は、第2の圧力P2の絶対尺度に応じて第1の酸化物開口部412へと撓む。第2の圧力P2はまた、差分制限部ポート206および第2のキャビティ140を通して第2の膜118に達し、第2の膜118の第2のウェハ面114に働く。第1の圧力P1は、キャップ層400のキャップポート402を通して第2の酸化物開口部414に入り、第2の膜118の第1のウェハ面112に働く。第2の膜118は、第1の圧力P1と第2の圧力P2との間の差圧に応じて撓む。
【0031】
別の実施形態に係るセンサパッケージ10を図5に示す。同様の参照番号は同様の要素を指し、主に図1および図2に示すセンサパッケージ10の実施形態との差異を、本明細書において詳細に説明する。ピエゾ抵抗素子300は、図5の模式図では省略されているが、図1および図2のセンサパッケージ10に関して上述したものと同様に、図5のセンサパッケージ10の第1の膜116および第2の膜118に存在する。
【0032】
図5のセンサパッケージ10において、キャリアウェハ120および制限部200は、本実施形態においてベースウェハ120、200と称されるシリコン材料から単一品としてモノリシックに形成される。ベースウェハ120、200は、第1のキャビティ130を形成するように第1のキャリア面122からエッチングされ、上述の第2のキャビティ140および差分制限部ポート206として結合する開口部を形成するように、第1のキャリア面122から第2の面204まで深さ方向Dにおいて貫通してエッチングされる。本実施形態における第1のキャビティ130は、埋込みキャビティと称されてよい。図示の実施形態において、第2のキャビティ140および差分制限部ポート206は、幅方向Wにおいて同じ幅を有する。次いで、シリコンウェハ110がベースウェハ120、200に接合されて、第1の膜116および第2の膜118を形成する。別の実施形態においては、第2のキャビティ140を含む開口部は、シリコンウェハ110がベースウェハ120、200に接合された後にエッチングされてよい。
【0033】
別の実施形態に係るセンサパッケージ10を図6に示す。同様の参照番号は同様の要素を指し、主に図1および図2に示すセンサパッケージ10の実施形態との差異を、本明細書において詳細に説明する。ピエゾ抵抗素子300は、図6の模式図では省略されているが、図1および図2のセンサパッケージ10に関して上述したものと同様に、図6のセンサパッケージ10の第1の膜116および第2の膜118に存在する。
【0034】
図6の実施形態において、均一なウェハ厚さ111を有する単一品としてモノリシックに形成されるシリコンウェハ110は、上述の第1の膜116および第2の膜118に加えてさらなる膜を有し、ベースウェハ120、200は、上述の第1のキャビティ130および第2のキャビティ140に加えてさらなるキャビティを有する。
【0035】
図6に示すように、ベースウェハ120、200は、第3のキャビティ146および第4のキャビティ148を有する。第3のキャビティ146は、第1のキャビティ130と同様に形成され、第1のキャリア面122からエッチングされ、第1のキャビティ130よりも大きい幅方向Wにおける幅を有する。第4のキャビティ148は、第2のキャビティ140と同様に形成され、第1のキャリア面122から第2の面204まで深さ方向Dにおいて貫通してエッチングされ、第2のキャビティ140よりも大きい幅方向Wにおける幅を有する。第3のキャビティ146および第4のキャビティ148は、図6においては一体に形成されたベースウェハ120、200と共に示されているが、代替的に、図1および図2の実施形態に係るキャリアウェハ120において同じ相対的寸法および配置で形成され得る。
【0036】
第3のキャビティ146の上に延在し、深さ方向Dにおいて第3のキャビティ146と位置合わせされるシリコンウェハ110の一部分は、ウェハ110の第3の膜117を形成し、第4のキャビティ148の上に延在し、深さ方向Dにおいて第4のキャビティ148と位置合わせされるシリコンウェハ100の一部分は、ウェハ110の第4の膜119を形成する。
【0037】
第1の膜116および第3の膜117は各々、第1の圧力P1の絶対測定値に応じて撓む。第3の膜117は幅方向Wにおいて第1の膜116よりも大きいので、第3の膜117は、第1の膜116よりも、第1の圧力P1に対してより高感度であり、より低い範囲の絶対圧を測定するために用いられてよい。同様に、第2の膜118および第4の膜119は各々、第1の圧力P1と第2の圧力P2との間の差圧に応じて撓む。第4の膜119は幅方向Wにおいて第2の膜118よりも大きいので、第4の膜119は、第2の膜118よりも、差圧に対してより高感度であり、より低い範囲の差圧を測定するために用いられてよい。一実施形態において、下記で説明する処理回路60などの集積回路が、撓む膜116~119の各々からの信号を収集し、絶対圧および差圧のどの測定範囲が所与の用途に適切であるかを決定するために用いられてよい。
【0038】
図6に示すように、センサパッケージ10は、複数の異なる範囲にわたる絶対圧および差圧を測定するための複数の膜116~119を有してよい。図示の実施形態は単に例示的なものであり、他の実施形態においては、センサパッケージ10は、絶対圧および差圧のさらなる範囲を測定するためのさらなる膜を有し得る。別の実施形態においては、米国特許第10,871,407号に開示されているように、単一の膜116、118が、絶対圧または差圧の複数の範囲を測定するために用いられてよい。
【0039】
別の実施形態に係るセンサパッケージ10を図7に示す。同様の参照番号は同様の要素を指し、主に図1および図2に示すセンサパッケージ10の実施形態との差異を、本明細書において詳細に説明する。ピエゾ抵抗素子300は、図7の模式図では省略されているが、図1および図2のセンサパッケージ10に関して上述したものと同様に、図7のセンサパッケージ10の第1の膜116および第2の膜118に存在する。
【0040】
図7のセンサパッケージ10は、センサダイ100および制限部200を第1のダイ部分160および第2のダイ部分170に分離する。第1のダイ部分160および第2のダイ部分170の各々は、シリコンウェハ110の一部、キャリアウェハ120の一部、および制限部200の一部を有する。図7および対応する説明において、第1のダイ部分160および第2のダイ部分170にあるシリコンウェハ110の一部、キャリアウェハ120の一部、および制限部200の一部は、上記で用いられている参照番号を保持するが、第1のダイ部分160の要素は、下記では「第1の」要素(例えば第1のシリコンウェハ110)と称され、第2のダイ部分170の要素は、「第2の」要素(例えば第2のシリコンウェハ110)と称される。
【0041】
図7に示すように、第1のダイ部分160は、第1のキャリアウェハ120と、第1のキャリアウェハ120に配された第1のシリコンウェハ110とを有する。第1のキャリアウェハ120は、第1のキャビティ130を有し、第1のシリコンウェハ110は、第1の膜116を形成する。第1のキャビティ130は、第1の制限部200により遮蔽されて、第1のキャビティ130において真空圧または既知の圧力P0を有する。
【0042】
図7に示すように、第2のダイ部分170は、第2のキャリアウェハ120と、第2のキャリアウェハ120に配された第2のシリコンウェハ110とを有する。第2のキャリアウェハ120は、第2の制限部200を通って延在する差分制限部ポート206と連通する第2のキャビティ140を有する。第2のシリコンウェハ110は、第2の膜118を形成する。
【0043】
図7のセンサパッケージ10において、第2のダイ部分170は、積層構成で第1のダイ部分160の下に配される。この積層構成により、幅方向Wにおけるセンサパッケージ10の寸法が減少する。第1のダイ部分160の第1の制限部200は、深さ方向Dにおいて第1のダイ部分160と第2のダイ部分170との間の間隙180を空けて、第2のダイ部分170の第2のシリコンウェハ110に取り付けられる。図示の実施形態において、第1のダイ部分160は、第1のキャリアウェハ120および第1の制限部200を通って延在するシリコン貫通ビア162により、第2のダイ部分170に取り付けられる。
【0044】
図7の実施形態において、第1のシリコンウェハ110の第1の膜116は、第1のダイ部分160における第1の圧力P1の絶対測定値に応じて第1のキャビティ130へと撓み可能である。第1の圧力P1はまた、シリコン貫通ビア162の周囲におけるダイ部分160、170の間の間隙180に入り、第2の膜118において第2のシリコンウェハ110の第1のウェハ面112に働く。第2の圧力P2はまた、差分制限部ポート206を通して第2のキャビティ140に入り、第2の膜118の第2のウェハ面114に働く。第2の膜118は、第1の圧力P1および第2の圧力P2の差分測定値に応じて撓む。
【0045】
一実施形態に係るセンサアセンブリ20を図8に示す。センサアセンブリ20は、ハウジング30と、ハウジング30に配された複数のピン40と、ハウジング30に配された一対のダイヤフラム50と、ハウジング30に配されたセンサパッケージ10と、ハウジング30に配された処理回路60とを含む。センサパッケージ10が図1および図2に示すセンサパッケージ10の実施形態に対応する例示的実施形態においてセンサアセンブリ20を説明するが、センサアセンブリ20は、図1図7に関して上記で示し説明した実施形態のいずれかに係るセンサパッケージ10を含み得る。
【0046】
図8に示すように、ハウジング30は、ハウジング30を通って延在し、第1のポート32、および深さ方向Dにおいて第1のポート32の反対側にある第2のポート34に接続される複数のオイル通路31を有する。第1のポート32および第2のポート34は、ハウジング30の端部へと延在する開口部である。ハウジング30は、オイル通路31と第1のポート32との間の第1の開口部33と、オイル通路31と第2のポート34との間の第2の開口部35とを有する。図示の実施形態において、複数のピン通路36が、第1の開口部33からハウジング30を通してハウジング30の外部の領域まで延在する。
【0047】
図8に示すように、複数のピン40は、ピン通路36を通って延在する。ピン40は各々、第1の開口部33に配された第1の端部と、外部への接続のためにハウジング30の外側に配置された、反対側の第2の端部とを有する。ピン40は各々、導電性材料から形成され、各々、ピン通路36のうちの1つにおいて気密シール42などのシール42により封止される。ピン通路36のうちの1つおよびピン40のうちの1つのみが図8の断面図に示されているが、複数のピン40が、幅方向Wおよび深さ方向Dに垂直な方向に沿って分散する複数のピン通路36に配置されてよい。
【0048】
図8に示すように、ダイヤフラム50は、第1のポート32に配された第1のダイヤフラム52と、第2のポート34に配された第2のダイヤフラム54とを含む。第1のダイヤフラム52および第2のダイヤフラム54は、ハウジング30に接続され、ハウジング30のポート32、34を遮蔽する、可撓性金属材料などの弾性的に可撓性の材料である。
【0049】
図8に示すように、センサパッケージ10および処理回路60は、第1の開口部33に配される。処理回路60は、複数のワイヤボンド62によりセンサパッケージ10およびピン40に電気的に接続される。処理回路60、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)は、第1の膜116および第2の膜118の撓み量を示す上述のセンサパッケージ10から出力された信号、およびセンサパッケージ10により感知された対応する絶対圧および差圧を受信する。処理回路60は、センサパッケージ10により受信された信号を処理し、処理された信号をピン40を介して出力する。
【0050】
図8に示す実施形態において、処理回路60は、第1の開口部33において基板70に配置される。他の実施形態においては、処理回路60は、第1の開口部33においてハウジング30に直接配置されてよい。
【0051】
図8に示すように、第1の開口部33および第2の開口部35には、オイル通路31を通してオイル80が充填され、次いで、オイル通路31が封止されてよい。外圧P1、P2がダイヤフラム52、54に働くと、ダイヤフラム52、54は撓み、オイル通路31、第1の開口部33、および第2の開口部35におけるオイル80を押圧する。次いで、オイル80は、上述のように対応する第1の圧力P1および第2の圧力P2でセンサパッケージ10に作用し、センサパッケージ10は、絶対圧および差圧を出力する。
【0052】
同じシリコンウェハ110に均一なウェハ厚さ111で一体に形成される、絶対圧に応じて撓む第1の膜116および差圧に応じて撓む第2の膜118を有するセンサパッケージ10を用いることで、より少数の構成要素の使用によりセンサダイ100の製造性が向上し、一方でセンサパッケージ10の全体的なサイズまたは占有面積が減少する。センサアセンブリ20においては、センサパッケージ10のサイズの減少により、センサパッケージ10および処理回路60の両方をハウジング30の第1の開口部33に配置することが可能となり、それにより、センサアセンブリ20の製造性およびサイズがさらに向上し、一方でセンサパッケージ10と処理回路60との間の接続が簡略になる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項8
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項8】
制限部(200)と、
前記制限部(200)に配されているセンサダイ(100)と
を備えるセンサパッケージ(10)であって、

前記センサダイ(100)は、キャリアウェハ(120)、および前記キャリアウェハ(120)に配されているシリコンウェハ(110)を含み、
前記キャリアウェハ(120)は、第1のキャビティ(130)および第2のキャビティ(140)を有し、
前記シリコンウェハ(110)は、前記第1のキャビティ(130)と位置合わせされている第1の膜(116)、および前記第2のキャビティ(140)と位置合わせされている第2の膜(118)を有し、

前記シリコンウェハ(110)は、前記キャリアウェハ(120)とは別個に単一品としてモノリシックに形成され、前記第1の膜(116)および前記第2の膜(118)を通して均一なウェハ厚さ(111)を有し、
前記第1の膜(116)は、前記シリコンウェハ(110)の第1のウェハ面(112)、および前記第1のウェハ面(112)の反対側にある第2のウェハ面(114)のうちの1つにおける絶対圧に応じて撓み可能であり、
前記第2の膜(118)は、前記第1のウェハ面(112)と前記第2のウェハ面(114)との間の差圧に応じて撓み可能である、
センサパッケージ(10)。
【外国語明細書】