(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012896
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】多層フィルムの製造方法および多層フィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 37/12 20060101AFI20240124BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240124BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20240124BHJP
B05D 1/28 20060101ALI20240124BHJP
B05D 1/36 20060101ALI20240124BHJP
B05D 7/14 20060101ALI20240124BHJP
B29C 65/48 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B32B37/12
B32B27/00 D
B05D7/24 301P
B05D1/28
B05D1/36 Z
B05D7/14 101
B29C65/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114691
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】後藤 修
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 真由美
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
4F211
【Fターム(参考)】
4D075AC28
4D075AC72
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4F211TN09
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4F211TW06
(57)【要約】
【課題】 アルミ箔を中間層として含む3層以上の多層フィルムを、無溶剤型接着剤を用いてラミネートすることができる多層フィルムの製造方法および多層フィルムの提供。
【解決手段】 3枚以上のフィルムを貼り合わせた多層フィルムの製造方法であって、第1のフィルムに無溶剤型接着剤を塗工し、第2のフィルムを重ね合わせながらラミネートして第1の中間体を得る第1ラミネート工程と、第1の中間体に無溶剤型接着剤を塗工し、第3のフィルムを重ね合わせながらラミネートする第2ラミネート工程とを含み、第1のフィルムおよび第2のフィルムのうち、第3のフィルムに第2の接着剤塗布層を介して重ね合わせられるフィルムが、アルミ箔からなる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3枚以上のフィルムを、接着剤層を介して貼り合わせた多層フィルムの製造方法であって、
互いに対向する一対の塗布ロールを備える第1の塗工装置において、前記塗布ロール間を通過する第1のフィルムに接着剤を塗工し、第2のフィルムを前記接着剤よりなる第1の接着剤塗布層を介して重ね合わせながらラミネートして第1の中間体を得る第1ラミネート工程と、互いに対向する一対の塗布ロールを備える第2の塗工装置において、前記第1の中間体に接着剤を塗工し、第3のフィルムを前記接着剤よりなる第2の接着剤塗布層を介して重ね合わせながらラミネートする第2ラミネート工程とを行った後、前記第1の接着剤塗布層および前記第2の接着剤塗布層を固形化してそれぞれ接着剤層を得るエージング工程を行い、
前記第1の接着剤塗布層は無溶剤型接着剤により形成され、前記第2のラミネート工程に供されるときに前記第1の中間体の前記第1の接着剤塗布層を構成する無溶剤型接着剤は流動性を有し、
前記第1のフィルムおよび前記第2のフィルムのうち、前記第3のフィルムに前記第2の接着剤塗布層を介して重ね合わせられるフィルムが、アルミ箔からなることを特徴とする多層フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記第1のフィルムが樹脂製の外層フィルム、前記第2のフィルムがアルミ箔、前記第3のフィルムが樹脂製の内層フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の多層フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記外層フィルムがポリアミド系樹脂またはポリエステル系樹脂よりなることを特徴とする請求項2に記載の多層フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記内層フィルムがポリオレフィン系樹脂よりなることを特徴とする請求項2に記載の多層フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記第2の接着剤塗布層が無溶剤型接着剤により形成されることを特徴とする請求項1に記載の多層フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記無溶剤型接着剤は、ポリエステル系樹脂よりなる主剤と、脂肪族イソシアネートよりなる硬化剤とを含有してなり、当該無溶剤型接着剤の粘度が、50℃において700~2000mPa・sPa・sであることを特徴とする請求項1に記載の多層フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記第1の接着剤塗布層において、前記接着剤の塗布量が0.5~3.0g/m2 であることを特徴とする請求項1に記載の多層フィルムの製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の製造方法によって製造されることを特徴とする多層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無溶剤型接着剤を用いて原料フィルムを貼り合わせて3層以上の多層フィルムを得る多層フィルムの製造方法およびこれにより得られた多層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品包装、医療品包装または化粧品包装などに用いられるパウチ包装容器や、カップ蓋に使用される軟包装用容器は、従来、樹脂フィルムや金属箔などの複数枚の原料フィルムがラミネートされた多層フィルムにより構成されている。
このような包装容器において、例えばナイロンフィルムとポリエチレンフィルムとの組み合わせのように、特性の異なる種類の樹脂フィルムがラミネートされる場合には、両者の密着性が乏しいため、一般にラミネート用の接着剤によって貼り付けられる。
【0003】
このような接着剤としては、地球環境負荷の低減化の観点から、有機溶剤を含有せず、接着剤を加温して粘度を下げることにより塗工可能な無溶剤型接着剤を使用することが望まれている。例えば、従来の無溶剤型接着剤を使用した多層フィルムとしては、ポリエステルポリオールよりなる主剤と、脂肪族ジイソシアネート化合物および脂環族ジイソシアネートよりなる硬化剤とにより構成され、70℃における粘度が300~900mPa・sである無溶剤型接着剤よりなる接着剤層を有する多層フィルムが知られている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、ラミネート用の接着剤を使用して3枚以上の原料フィルムを貼り合わせるには、通常、互いに対向する一対の塗布ロールを備える塗工装置を用いてこの塗布ロール間を通過する第1のフィルムに接着剤を塗工し、第2のフィルムをこの接着剤よりなる接着剤塗布層を介して重ね合わせながらラミネートして中間体を得、巻き取りロールによってこの中間体を一旦巻き取り、再度、同様にして、固形化された接着剤層を有する中間体に対して第3のフィルムを重ね合わせながらラミネートする。
【0006】
しかしながら、接着剤として無溶剤型接着剤を用いた場合に、上記製造方法によっては3層目の原料フィルムをラミネートすることができないことがあることが判明した。
具体的には、第1のフィルムまたは第2のフィルムがアルミ箔である場合においては、巻き取りロールによって巻き取られた中間体の接着剤を固形化させた後、再びウェブ状に巻き出すことができないことがあり、無理矢理引っ張って巻き出したとしても樹脂フィルムやアルミ箔に凹凸や破れが生じてしまう結果となる。
このような現象が生じる理由は、アルミ箔はピンホールと呼ばれる微小な孔を不可避的に有するところ、無溶剤型接着剤は一般的なドライラミネートに用いる有機溶剤を含有するラミネート接着剤を用いた場合と異なりその粘度が低い状態のまま巻き取りロールに巻き取られるために、アルミ箔の表面側に所定のフィルムが貼り合わされると同時に、アルミ箔のピンホールを通過して反対側に滲出した無溶剤型接着剤によって、巻き取りによりアルミ箔の裏面側に対向接触することとなったフィルムの表面に対しても接着が生じる結果、ブロッキングが発生してしまうためと推測される。一般的なドライラミネートを行う場合においては、貼り合わせ後に巻き取られる前に乾燥工程を経ているため、有機溶剤が揮発されて接着剤の粘度はある程度高くなっており、第1のフィルムまたは第2のフィルムにアルミ箔を用いたとしても反対側に滲出する問題は生じない。
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、アルミ箔を含む3層以上の多層フィルムを、無溶剤型接着剤を用いてラミネートすることができる多層フィルムの製造方法および多層フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の多層フィルムの製造方法は、3枚以上のフィルムを、接着剤層を介して貼り合わせた多層フィルムの製造方法であって、
互いに対向する一対の塗布ロールを備える第1の塗工装置において、前記塗布ロール間を通過する第1のフィルムに接着剤を塗工し、第2のフィルムを前記接着剤よりなる第1の接着剤塗布層を介して重ね合わせながらラミネートして第1の中間体を得る第1ラミネート工程と、互いに対向する一対の塗布ロールを備える第2の塗工装置において、前記第1の中間体に接着剤を塗工し、第3のフィルムを前記接着剤よりなる第2の接着剤塗布層を介して重ね合わせながらラミネートする第2ラミネート工程を行った後、前記第1の接着剤塗布層および前記第2の接着剤塗布層を固形化してそれぞれ接着剤層を得るエージング工程を行い、
前記第1の接着剤塗布層は無溶剤型接着剤により形成され、前記第2のラミネート工程に供されるときに前記第1の中間体の前記第1の接着剤塗布層を構成する無溶剤型接着剤は流動性を有し、
前記第1のフィルムおよび前記第2のフィルムのうち、前記第3のフィルムに前記第2の接着剤塗布層を介して重ね合わせられるフィルムが、アルミ箔からなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の多層フィルムは、上記の製造方法によって製造されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の多層フィルムの製造方法によれば、第1のフィルムおよび第2のフィルムのうち、第3のフィルムに第2の接着剤塗布層を介して重ね合わせられるフィルムがアルミ箔からなり、かつ、これらを貼り合わせるべき第1の接着剤塗布層が無溶剤型接着剤よりなるものである場合であっても、第1の接着剤塗布層を固形化して接着剤層を得るエージング工程が第2のラミネート工程の後に行われる、すなわち、第1の中間体は第1の接着剤塗布層が固形化されることなく第2のラミネート工程に供される。従って、第2のラミネート工程に供されるときに第1の接着剤塗布層を構成する無溶剤型接着剤が流動性を有したままであっても、アルミ箔の裏面側に何も接触対向されることなく当該アルミ箔の裏面上に第2の接着剤塗布層が形成されてさらに第3のフィルムが重ね合わされるので、ピンホールを通過した無溶剤型接着剤による望まない他のフィルムとの貼り付き(ブロッキング)が生じることがなく、結局、アルミ箔を含む3層以上の多層フィルムを、無溶剤型接着剤を用いたラミネートにより製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の多層フィルムの一例における構成を示す説明用断面図である。
【
図2】本発明の多層フィルムを製造するためのラミネータの一例における構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔多層フィルム〕
本発明の多層フィルムの製造方法は、3枚以上の原料フィルムを貼り合わせて3層以上の多層フィルムを製造する方法である。多層フィルム40は、例えば、
図1に示されるように、樹脂製の外層フィルム42、樹脂製の内層フィルム43、および内層フィルム43と外層フィルム42との間に設けられたアルミ箔よりなる中間層フィルム41の3枚のフィルムからなる。外層フィルム42と中間層フィルム41とは、後記に詳述するラミネータ1の第1の塗工装置10によって塗工された無溶剤型接着剤により形成された第1の接着剤層46によって貼り合わせられ、内層フィルム43と中間層フィルム41とは、ラミネータ1の第2の塗工装置20によって塗工された無溶剤型接着剤により形成された第2の接着剤層47によって貼り合わせられている。この多層フィルム40は、外層フィルム42および内層フィルム43上に無溶剤型接着剤の痕(ピンホール痕)を有さないものである。
【0013】
外層フィルム42を構成する材料としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。
ポリアミド系樹脂としては、例えばナイロン6、ナイロン8、ナイロン6,6、ナイロン6/6,6共重合体、ナイロン6,10、メタキシリレンアジパミド(MXD6)、ナイロン11、ナイロン12などを用いることができる。
ポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いることができる。また、これらの樹脂の性質を損なわない範囲で、他のポリエステル単位を含むコポリエステルを用いることもできる。このようなコポリエステルを形成するための共重合成分のうち、ジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、p-β-オキシエトキシ安息香酸、ナフタレン2,6-ジカルボン酸、ジフエノキシエタン-4,4′-ジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸またはこれらのアルキルエステル誘導体などを用いることができる。また、グリコール成分としては、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフエノールAのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどを用いることができる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて共重合成分として用いることができる。
【0014】
外層フィルム42の厚みは、当該外層フィルム42を構成する樹脂の種類や多層フィルムの用途等により適宜選択されるものであるが、例えばナイロンによって外層フィルム42を構成する場合には、10~30μmであることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)によって外層フィルム42を構成する場合には、6~28μmであることが好ましい。
【0015】
また、外層フィルム42における隣接する層と接する面には、当該隣接する層との密着性を向上するため、コロナ処理などの表面改質処理が施されていることが好ましい。
【0016】
内層フィルム43を構成する材料としては、パウチ包装袋やヒートシール蓋を形成するために、ヒートシール性に優れた樹脂を用いることが好ましい。このような樹脂としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
【0017】
内層フィルム43の厚みは、特に制限はないが、例えばポリエチレンによって内層フィルム43を構成する場合には、50~200μmであることが好ましく、ポリプロピレンによって内層フィルム43を構成する場合には、30~150μmであることが好ましい。
また、内層フィルム43としては、CPPなどの無延伸フィルムを用いることが好ましい。
【0018】
中間層フィルム41は、アルミ箔よりなり、その厚みは、特に制限はないが、5~100μmであることが好ましい。
中間層フィルム41には、微小な孔(ピンホール)が存在していてもよい。ピンホールは、例えば直径0.5mm以下の大きさであることが好ましい。
【0019】
接着剤層46,47は、下記に詳述する特定の無溶剤型接着剤により形成されている。この無溶剤型接着剤は、主剤および硬化剤からなる二液型の反応硬化型接着剤である。
接着剤層46,47の厚みは、0.5~3μmであることが好ましい。
【0020】
〔多層フィルムの製造方法〕
本発明の一実施形態に係る多層フィルムの製造方法は、
図2に示されるように、ラミネータ1を用いて3枚の長尺なフィルムW1,W2,W3を高速搬送しながらそれぞれ無溶剤型接着剤で貼り合わせることによって多層フィルムを製造する方法であって、第1のフィルムW1に第1の塗工装置10によって2つの液状成分(主剤および硬化剤)が事前に混合された無溶剤型接着剤を塗工した後、第2のフィルムW2を無溶剤型接着剤よりなる第1の接着剤塗布層を介して重ね合わせながらラミネートして第1の中間体Wm1を得る第1ラミネート工程と、第1ラミネート工程によって得られた第1の中間体Wm1を巻き取りロールによって巻き取ることなく第2の塗工装置20に搬送し、第2の塗工装置20によって2つの液状成分(主剤および硬化剤)が事前に混合された無溶剤型接着剤を塗工し、第3のフィルムW3を無溶剤型接着剤よりなる第2の接着剤塗布層を介して重ね合わせながらラミネートする第2ラミネート工程とをこの順に行った後、第1の接着剤塗布層および第2の接着剤塗布層を硬化してそれぞれ接着剤層を得るエージング工程を行う。
図1に示される多層フィルム40を形成する場合、第1のフィルムW1として外層フィルム42となる例えばPETなどの樹脂フィルム、第2のフィルムW2として中間層フィルム41となるアルミ箔、第3のフィルムW3として内層フィルム43となるCPPなどの樹脂フィルムを用いる。
【0021】
ラミネータ1は、いわゆるタンデムラミネート機であって、第1のフィルムW1に無溶剤型接着剤を塗布する第1の塗工装置10と、第1の塗工装置10に対して、無溶剤型接着剤を塗布予定の第1のフィルムW1を供給する巻き出しロール31と、一対の加圧ロール32a,32bを有し、第1の塗工装置10から送出された接着剤塗布層が形成された第1のフィルムW1に第2のフィルムW2をラミネートするラミネート部32と、第2のフィルムW2を供給する巻き出しロール33と、第1のフィルムW1および第2のフィルムW2の接合体である第1の中間体Wm1に無溶剤型接着剤を塗布する第2の塗工装置20と、一対の加圧ロール34a,34bを有し、第2の塗工装置20から送出された第2の接着剤塗布層が形成された第1のフィルムW1上に第3のフィルムW3をラミネートするラミネート部34と、第3のフィルムW3を供給する巻き出しロール35と、第1のフィルムW1、第2のフィルムW2および第3のフィルムW3の接合体である第2の中間体Wm2を巻き取る巻き取りロール36を備える。
第1の塗工装置10は、搬送されてくる第1のフィルムW1の一面に、混合された無溶剤型接着剤を複数のロールで順次に転写し、薄く延ばしながら塗布するコーティングユニット11と、コーティングユニット11に無溶剤型接着剤を供給する供給ユニット15とを備える。第2の塗工装置20は、第1の中間体Wm1を構成する第2のフィルムW2の他面(第1のフィルムW1と反対側の面)に、混合された無溶剤型接着剤を複数のロールで順次に転写し、薄く延ばしながら塗布するコーティングユニット11と、コーティングユニット11に無溶剤型接着剤を供給する供給ユニット15とを備える。第1の塗工装置10と第2の塗工装置20は、基本的に同様の構成を有するので、以下においては、第1の塗工装置10についてのみ説明する。
図2において、第2の塗工装置20における第1の塗工装置10と同じ構成のものは同じ符号で示す。
【0022】
コーティングユニット11は、回転可能に支持されて互いに軸並行に直列的に設けられた複数(図示の例では5つ)のロール11a~11eを有する。具体的には、コーティングユニット11は、互いに対向する一対の塗布ロール11a,11bと、この一対の塗布ロール11a,11bの一方(塗布ロール11b)に無溶剤型接着剤を順次に転写しながら供給する転写ロール11c,11d,11eとを有し、転写ロールのうち無溶剤型接着剤の供給開始側端に位置する2つの転写ロール11d,11eが水平方向に沿って隣接して対向配置されており、この転写ロール11d,11e間の上側の部分に、主剤および硬化剤を混合して無溶剤型接着剤を調製するとともにこれを一時的に貯留させる貯留部11fが形成されている。貯留部11fは、転写ロール11d,11e間の断面略V状の空間が転写ロール11d,11eの長手方向に離間して設けられた一対の堰板(図示せず)によって区画されることにより、形成されている。
【0023】
供給ユニット15は、主剤が収容された主剤タンクと、硬化剤が収容された硬化剤タンクと、主剤および硬化剤を供給する接着剤供給部とを有し、さらに、貯留部11fに貯留された無溶剤型接着剤を撹拌するミキサーを有していてもよい。
【0024】
このラミネータ1においては、第1のフィルムW1が巻き出しロール31から所定の速度で第1の塗工装置10の一対の塗布ロール11a,11b間に搬送される。一方、供給ユニット15においては、主剤タンクおよび硬化剤タンクにおいて、主剤および硬化剤が所定の温度に加熱されて溶融される。加熱溶融された主剤および硬化剤は、接着剤供給部から貯留部11fに所定の量、供給される。無溶剤型接着剤は、貯留部11fの液位が一定に保たれるように、供給ユニット15から貯留部11fに連続的に供給される。そして、コーティングユニット11において転写ロール11d,11cを介して塗布ロール11bに順に無溶剤型接着剤が転写されて、塗布ロール11bから一対の塗布ロール11a,11b間を通過する第1のフィルムW1の表面に塗布されることにより、第1の接着剤塗布層が形成される。
次いで、第1の接着剤塗布層が形成された第1のフィルムW1はラミネート部32に送られる。一方、巻き出しロール33から、第2のフィルムW2がラミネート部32に供給され、このラミネート部32において、第1のフィルムW1と第2のフィルムW2とが、第1のフィルムW1の表面上の第1の接着剤塗布層に第2のフィルムW2が接するように重ね合わせられながら一対の加圧ロール32a,32bによって圧着されて貼り合わせられ、これにより、一対のフィルムW1,W2が接合された第1の中間体Wm1が得られる(第1ラミネート工程)。
第1の中間体Wm1は、巻き取られることなく、第1の中間体Wm1の第1の接着剤塗布層を構成する無溶剤型接着剤が流動性を有したままで第2のラミネート工程に供される。
【0025】
第2ラミネート工程においては、第1の中間体Wm1が所定の速度で第2の塗工装置20の一対の塗布ロール11a,11b間に搬送される。一方、第2の塗工装置20においては、第1ラミネート工程に係る第1の塗工装置10と同様にして、第2の塗工装置20の一対の塗布ロール11a,11b間を通過する第1の中間体Wm1における第2のフィルムW2の表面に塗布されることにより、第2の接着剤塗布層が形成される。次いで、第2の接着剤塗布層が形成された第1の中間体Wm1はラミネート部34に送られる。一方、巻き出しロール35から、第3のフィルムW3がラミネート部34に供給され、このラミネート部34において、第1の中間体Wm1と第3のフィルムW3とが、第1の中間体Wm1の第2のフィルムW2の表面上の第2の接着剤塗布層に第3のフィルムW3が接するように重ね合わせられながら一対の加圧ロール34a,34bによって圧着されて貼り合わせられ、これにより、第1のフィルムW1,第2のフィルムW2および第3のフィルムW3がこの順に積層されて接合された第2の中間体Wm2が得られる(第2ラミネート工程)。この第2の中間体Wm2は、巻き取りロール36に巻き取られ、そのまま、常温または加温下において静置されるエージング処理を行うことによって第1の接着剤塗布層および第2の接着剤塗布層が硬化されてそれぞれ接着剤層が形成される。これにより、樹脂製の外層フィルム42(第1のフィルムW1)と樹脂製の内層フィルム43(第3のフィルムW3)との間にアルミ箔よりなる中間層フィルム41(第2のフィルムW2)がそれぞれ無溶剤型接着剤よりなる第1の接着剤層46および第2の接着剤層47を介して貼り合わせられた多層フィルム40が得られる。巻き取りロール36に巻き取られた時点で、第2の中間体Wm2の第1の接着剤塗布層および第2の接着剤塗布層を構成する無溶剤型接着剤は流動性を有したままであるが、第1のフィルムW1(樹脂製の外層フィルム42)および第3のフィルムW3(樹脂製の内層フィルム43)は流動性を有する無溶剤型接着剤が通過する微小孔を有さないので、第2の中間体Wm2を捲回した状態でエージング処理を行ってもブロッキングは発生しない。
【0026】
以上において、主剤および硬化剤の加熱温度、並びに、第1のフィルムW1および第1の中間体Wm1に対する無溶剤型接着剤の塗工温度は、例えばいずれも40~80℃の範囲である。
また、ラミネート部32における加圧ロール32a,32bの温度、および、ラミネート部34における加圧ロール34a,34bの温度は、例えば30~80℃である。
また、各フィルムW1,W2,W3の供給速度、すなわち無溶剤型接着剤の塗布速度は、100~200m/minであることが好ましい。
無溶剤型接着剤の塗布量は、0.5~3.0g/m2 であることが好ましく、より好ましくは1.2~2.1g/m2 である。無溶剤型接着剤の塗布量が過少である場合には接着性が十分に得られず、一方、無溶剤型接着剤の塗布量が過多である場合は多層フィルムの巻き取り時にテレスコープが発生しトンネリング等、品質不良を生じるおそれがある。
巻き取りロール36によって巻き取られた第2の中間体Wm2のエージング処理の温度は、例えば30~70℃であり、処理時間は、例えば48~96時間である。
ラミネータ1において、第1の塗工装置10において主剤および硬化剤の混合が開始されてから第1のフィルムW1に塗工されるまでの時間は、例えば、0.5~20分間である。
ラミネータ1において、その他の塗工条件は適宜に設定することができる。
【0027】
〔無溶剤型接着剤〕
本発明の多層フィルムの製造方法に用いられる無溶剤型接着剤は、ポリエステル系樹脂よりなる主剤と、脂肪族イソシアネートよりなる硬化剤とを含有してなる。この無溶剤型接着剤を構成する主剤としては、外層フィルム42、中間層フィルム41および内層フィルム43との密着性が良好で、且つラミネート強度および耐衝撃性に優れたポリエステル系樹脂を用いることが好ましく、特にポリエステルポリオール樹脂が好ましい。
【0028】
ポリエステルポリオール樹脂は、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、3,3-ビス(ヒドロキシメチル)ヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとのエステル化反応によって製造されるものであればよい。
【0029】
ポリエステルポリオール樹脂の具体例としては、(1)ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ジエチレンアジペート)、ポリ(プロピレンアジペート)、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチレンアジペート)等のアジペート系ポリエステルグリコール、(2)ポリ‐ε‐カプロラクトン等のポリカプロラクトン系ポリエステルグリコール、(3)ポリ(ヘキサメチレンセバケート)、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)等のその他のポリエステルポリオール樹脂などが挙げられる。
【0030】
また、主剤としては、ポリエステル系樹脂の他に例えばポリウレタン系化合物が含有されていてもよい。このような主剤を用いることにより、例えば外層フィルム42の内面(中間層フィルム41側の表面)にインキを含むインキ層が形成されている場合に、インキには通常ウレタン成分が含まれているため、インキ層に対する密着性を確保することができる。
【0031】
主剤を構成する樹脂の数平均分子量は、400~1500であることが好ましく、より好ましくは500~1000である。主剤を構成する樹脂の数平均分子量が400未満である場合には、無溶剤型接着剤の粘度が低下するため、多層フィルムを製造する際に連続ラミネート適性が悪くなることがある。また、末端反応基数が増加するため、硬化剤の量を多くすることが必要であり、その結果、得られる接着剤層46,47においては、架橋量が多くて硬度が上昇し、接着剤層46,47の耐衝撃性が低下することがある、という問題がある。一方、主剤を構成する樹脂の数平均分子量が1500を超える場合には、得られる接着剤層46,47の耐衝撃性は向上するが、無溶剤型接着剤の粘度が上昇するため、無溶剤型接着剤の塗工時に濡れ不良が生じ、得られる多層フィルム40の外観不良やラミネート強度の低下が起こることがある。
【0032】
主剤の粘度は、50℃において600~1800mPa・sであることが好ましく、より好ましくは1000~1400mPa・sである。主剤の粘度が600mPa・s未満である場合には、ロールの転移ムラが発生し接着剤層46,47の膜形成が不安定となり、得られる多層フィルム40の外観不良やラミネート強度の極度な低下が起こることがある。一方、主剤の粘度が1800mPa・sを超える場合には、無溶剤型接着剤の塗工時に濡れ不良が発生しやすく、得られる多層フィルム40の外観不良やラミネート強度の低下が起こることがある。
【0033】
無溶剤型接着剤を構成する硬化剤としては、イソシアネート化合物、特に、脂肪族イソシアネートおよび芳香脂肪族ジイソシアネートの混合物を用いることが好ましい。
硬化剤を構成する脂肪族イソシアネートとしては、ブタン-1,4-ジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が好ましい。
硬化剤を構成する芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、1,3-キシリレンジイソシアネートまたは1,4-キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(XDI)、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネートまたは1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TMXDI)、ω,ω′-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼンなどが挙げられる。
【0034】
硬化剤を構成する樹脂の数平均分子量は、400~1500であることが好ましく、より好ましくは500~1000である。硬化剤を構成する樹脂の数平均分子量が400未満である場合には、無溶剤型接着剤の粘度が低下するため、積層フィルムを製造する際に連続ラミネート適性が悪くなることがある。また、末端反応基数が増加するため、主剤の量を多くすることが必要であり、その結果、得られる接着剤層46,47においては、架橋量が多くて硬度が上昇し、接着剤層46,47の耐衝撃性が低下することがある、という問題がある。一方、硬化剤を構成する樹脂の数平均分子量が1500を超える場合には、得られる接着剤層46,47の耐衝撃性は向上するが、無溶剤型接着剤の粘度が上昇するため、無溶剤型接着剤の塗工時に濡れ不良が生じ、得られる積層フィルム30の外観不良やラミネート強度の低下が起こることがある。
【0035】
無溶剤型接着剤を構成する硬化剤の粘度は、50℃において150~1300mPa・sであることが好ましく、より好ましくは450~850mPa・sである。硬化剤の粘度が150mPa・s未満である場合には、硬化剤の粘度が小さいため、得られる接着剤層46,47が軟質となる結果、ラミネート強度が低くなることがある。一方、硬化剤の粘度が1300mPa・sを超える場合には、硬化剤の粘度が大きいため、得られる接着剤層46,47が硬質となる結果、耐衝撃性が悪くなることがある。
【0036】
無溶剤型接着剤においては、主剤100質量部に対して、硬化剤が30~200質量部、特に30~70質量部の範囲で含有されていることが好ましい。硬化剤の割合が過小である場合には、得られる接着剤層46,47は架橋不足となるため、得られる多層フィルム40のラミネート強度が低下するおそれがある。一方、硬化剤の割合が過大である場合には、主剤と硬化剤とが十分に混合されず、得られる接着剤層46,47には架橋不足部分や架橋過多部分が混在するため、得られる多層フィルム40のラミネート強度や耐衝撃性が低下するおそれがある。
【0037】
本発明において、無溶剤型接着剤の粘度は、50℃において700~2000mPa・sPa・sであり、より好ましくは1000~1600mPa・sである。無溶剤型接着剤の粘度が700mPa・s未満である場合には、無溶剤型接着剤の塗工時にロール間の転移が不良となり「転移ムラ」が発生することがある。また、無溶剤型接着剤が均一に塗工されず部分的に少なくなることから、ラミネート強度や耐衝撃性の低下が起こることがある。一方、無溶剤型接着剤の粘度が2000mPa・sを超える場合には、無溶剤型接着剤の塗工時に「濡れ不良」が発生し、得られる接着剤層46,47が部分的に薄くなることがある。接着剤層46,47に薄い部分が存在すると、ラミネート強度および耐衝撃性の低下が起こることがある。
【0038】
無溶剤型接着剤には、上記の主剤および硬化剤以外にも、ポリウレタン系化合物が含有されていてもよい。ポリウレタン系化合物が含有されることにより、外層フィルム42の内面にインキを含むインキ層が形成されている場合に、インキ層に対する密着性を確保することができる。
また、無溶剤型接着剤には、種々の添加剤、例えば充填剤、軟化剤、酸化防止剤、安定剤、接着促進剤、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、無機フィラー、粘着付与性樹脂、繊維類、顔料等の着色剤、可使時間延長剤等が含有されていてもよい。
【0039】
更に、無溶剤型接着剤には、接着促進剤が含有されていてもよい。接着促進剤としてはシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系等のカップリング剤、エポキシ樹脂などを用いることができる。
【0040】
シランカップリング剤の具体例としては、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン;β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン;ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン;ヘキサメチルジシラザン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0041】
チタネート系カップリング剤の具体例としては、テトライソプロポキシチタン、テトラ-n-ブトキシチタン、ブチルチタネートダイマー、テトラステアリルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンラクテート、テトラオクチレングリコールチタネート、チタンラクテート、テトラステアロキシチタン等が挙げられる。
【0042】
アルミニウム系カップリング剤の具体例としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
【0043】
エポキシ樹脂の具体例としては、一般的に市販されているエピービス型、ノボラック型、βーメチルエピクロ型、環状オキシラン型、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、ポリグリコールエーテル型、グリコールエーテル型、エポキシ化脂肪酸エステル型、多価カルボン酸エステル型、アミノグリシジル型、レゾルシン型等の各種エポキシ樹脂が挙げられる。
【0044】
上記の多層フィルム40によって構成された包装容器は、食品(カレー、調味ソース等)、あるいは飲料などの液体、洗剤、柔軟剤、漂白剤、シャンプー、コンディショナーなどを内容物としたレトルトパウチ、詰め替えパウチ等の包装容器として好適である。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されず、種々の変更を加えることが可能である。
例えば多層フィルムの層構成は、
図1に示す構成に限定されず、4枚以上のフィルムをラミネートしてなるものであってもよく、例えば複数の中間層フィルムを有する構成であってもよい。この場合、中間層フィルムの少なくとも1枚がアルミ箔である。また、多層フィルムは、外層フィルムにおける内面(中間層フィルム側の表面)や内層フィルムにおける内面(中間層フィルム側の表面)等にインキ層や蒸着層等が形成されていてもよい。
また例えば、本発明の多層フィルムの製造方法は、中間層フィルムがアルミ箔よりなる場合に限定されず、第1ラミネート工程の無溶剤型接着剤の塗布時の粘度においてこの無溶剤型接着剤が通過可能な大きさの貫通孔を有する原料フィルムを中間層フィルムとして用いる場合にも、有用である。
さらに例えば、本発明の多層フィルムの製造方法は、樹脂フィルムが、第1の塗工装置によって無溶剤型接着剤が塗布される第1のフィルムであることには限定されず、第1のフィルムがアルミ箔であるとともに第2のフィルムが樹脂フィルムであり、第1の中間体において第1のフィルム(アルミ箔)上に第2の塗工装置によって第2の接着剤塗布層が形成されてこれを介して第3のフィルムである樹脂フィルムが重ね合わされる構成とされていてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 ラミネータ
10 第1の塗工装置
11 コーティングユニット
11a,11b 塗布ロール
11c,11d,11e 転写ロール
11f 貯留部
15 供給ユニット
20 第2の塗工装置
31 巻き出しロール
32 ラミネート部
32a,32b 加圧ロール
33 巻き出しロール
34 ラミネート部
34a,34b 加圧ロール
35 巻き出しロール
36 巻き取りロール
40 多層フィルム
41 中間層フィルム
42 外層フィルム
43 内層フィルム
46 第1の接着剤層
47 第2の接着剤層
W1 第1のフィルム
W2 第2のフィルム
W3 第3のフィルム
Wm1 第1の中間体
Wm2 第2の中間体