(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128967
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】太陽電池パネルのリサイクル方法及びリサイクルシステム
(51)【国際特許分類】
B09B 3/30 20220101AFI20240913BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20240913BHJP
B09B 101/16 20220101ALN20240913BHJP
【FI】
B09B3/30 ZAB
B09B5/00 Z
B09B101:16
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024035457
(22)【出願日】2024-03-08
(31)【優先権主張番号】112108834
(32)【優先日】2023-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】524090024
【氏名又は名称】鴻▲とぅん▼股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】傅 耀賢
(72)【発明者】
【氏名】洪 嘉聰
【テーマコード(参考)】
4D004
【Fターム(参考)】
4D004AA23
4D004CA02
4D004DA01
4D004DA20
(57)【要約】
【課題】異なる種類の太陽電池パネルに対応して回収プロセスを行なうことができる太陽電池パネルのリサイクル方法及びリサイクルシステムを提供する。
【解決手段】カバー板と基板を備える太陽電池パネルを回収するためのリサイクル方法であって、作業面からカバー板の上面までの第1高さと、作業面から基板の下面までの第2高さと、を測定するステップと、第1処理手順を実施するステップ、を含み、第1処理手順は、第1高さと第2高さに基づいて、基板に関連する第1除去パラメータと、カバー板に関連する第2除去パラメータと、を取得することと、第1除去パラメータに基づいて、太陽電池パネルにおける作業面に対して第2高さよりも高い一部を物理的に除去して第1残部を得ることと、第2除去パラメータに基づいて、第1残部における作業面に対して第1高さよりも高い一部を物理的に除去することと、を実施する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー板と基板とを備えている太陽電池パネルを回収するためのリサイクルシステムにより実施される太陽電池パネルのリサイクル方法であって、
前記リサイクルシステムは、測定装置と、除去装置と、制御装置と、を備えており、
当該太陽電池パネルのリサイクル方法は、
前記太陽電池パネルを、前記カバー板が作業台の作業面に面して前記基板が前記カバー板の上方にあるように、前記作業面上に水平に載置するステップ(A)と、
前記測定装置により、前記作業面から前記太陽電池パネルの前記カバー板の上面までの第1高さと、前記作業面から前記太陽電池パネルの前記基板の下面までの第2高さと、を測定するステップ(B)と、
前記制御装置により、第1処理手順を実施するステップ(C)であって、
前記第1処理手順は、
前記第1高さ及び前記第2高さに基づいて、前記基板に関連する第1除去パラメータと、前記カバー板に関連する第2除去パラメータと、を取得することと、
前記第1除去パラメータに基づいて、前記除去装置が、前記太陽電池パネルにおける前記作業面に対して前記第2高さよりも高い一部を物理的に除去するように制御して、第1残部を得ることと、
前記第2除去パラメータに基づいて、前記除去装置が、前記第1残部における前記作業面に対して前記第1高さよりも高い一部を物理的に除去するように制御して、少なくとも前記カバー板を有する第2残部を得ることと、を実施する手順であるステップ(C)と、を含む、ことを特徴とする、
太陽電池パネルのリサイクル方法。
【請求項2】
前記リサイクルシステムは、キャプチャ装置を更に備えており、
前記太陽電池パネルには、製品ラベルが付いており、
当該太陽電池パネルのリサイクル方法は、
前記ステップ(C)の前に、前記キャプチャ装置により、前記太陽電池パネルの前記製品ラベルからラベルデータを取得し、前記制御装置により、前記キャプチャ装置が取得した前記ラベルデータに基づいて前記太陽電池パネルに関連する製品情報を取得し、かつ前記制御装置により、前記製品情報に対応する履歴データのエントリが存在しているか否かの判定結果を取得するステップ(D)を更に含み、
前記ステップ(D)において、前記制御装置は前記製品情報に対応する前記履歴データのエントリが存在していないとする判定結果を取得した場合、前記ステップ(C)を実施し、
前記制御装置は前記製品情報に対応する前記履歴データのエントリが存在しているとする判定結果を取得した場合、前記制御装置により第2処理手順を実施するステップ(E)が更に含まれ、
前記第2処理手順は、
前記第1高さ及び前記第2高さに基づいて、前記基板に関連する前記第1除去パラメータと、前記カバー板に関連する前記第2除去パラメータと、を取得することと、
前記第1除去パラメータと前記履歴データによる第1履歴パラメータとの差、及び前記第2除去パラメータと前記履歴データによる第2履歴パラメータとの差を分析することと、
前記制御装置が前記第1除去パラメータと前記第1履歴パラメータとの差が第1閾値よりも大きいと判定した場合、前記第1除去パラメータを選択する一方、前記制御装置が前記第1除去パラメータと前記第1履歴パラメータとの差が前記第1閾値よりも小さいと判定した場合、前記第1履歴パラメータを選択することと、
前記制御装置が前記第2除去パラメータと前記第2履歴パラメータとの差が第2閾値よりも大きいと判定した場合、前記第2除去パラメータを選択する一方、前記制御装置が前記第2除去パラメータと前記第2履歴パラメータとの差が前記第2閾値よりも小さいと判定した場合、前記第2履歴パラメータを選択することと、
前記第1除去パラメータと前記第1履歴パラメータとの選択された一者に基づいて、前記除去装置が、前記太陽電池パネルにおける前記作業面に対して前記第2高さよりも高い一部を物理的に除去するように制御して、前記第1残部を得ることと、
前記第2除去パラメータと前記第2履歴パラメータとの選択された一者に基づいて、前記除去装置が、前記第1残部における前記作業面に対して前記第1高さよりも高い一部を物理的に除去するように制御して、前記第2残部を得ることと、を含む、ことを特徴とする、
請求項1に記載の太陽電池パネルのリサイクル方法。
【請求項3】
前記リサイクルシステムの前記除去装置は、前記太陽電池パネルの上方に配置され、物理的な除去を行なうための切除具を有しており、
前記ステップ(C)における前記第1処理手順は、前記制御装置により、
前記作業面を基準面として前記第1除去パラメータ及び前記第2除去パラメータを取得することと、
前記第1除去パラメータに基づいて、前記切除具が、前記太陽電池パネルの上方から前記作業面の方へ第1レベルまで下降して前記太陽電池パネルの一部を物理的に除去するように制御することと、
前記第2除去パラメータに基づいて、前記切除具が、前記第1レベルから前記作業面の方へ第2レベルまで下降して前記第1残部の一部を物理的に除去するように制御することと、を実施する手順であり、
前記ステップ(E)における前記第2処理手順は、前記制御装置により、
前記作業面を基準面として前記第1除去パラメータ及び前記第2除去パラメータを取得することと、
前記第1除去パラメータと前記第1履歴パラメータとの選択された一者に基づいて、前記切除具が、前記太陽電池パネルの上方から前記作業面の方へ第3レベルまで下降して前記太陽電池パネルの一部を物理的に除去するように制御することと、
前記第2除去パラメータと前記第2履歴パラメータとの選択された一者に基づいて、前記切除具が、前記作業面の方へ第4レベルまで下降して前記第1残部の一部を物理的に除去するように制御することと、を更に実施する手順である、ことを特徴とする、
請求項2に記載の太陽電池パネルのリサイクル方法。
【請求項4】
前記リサイクルシステムの前記除去装置は、前記太陽電池パネルの上方に配置され、物理的な除去を行なうための切除具を有しており、
前記ステップ(C)の前に、前記除去装置により、前記作業面から前記太陽電池パネルの前記基板の上面までの第3高さをさらに測定し、
前記ステップ(C)における前記第1処理手順は、前記制御装置により、
前記基板の上面を基準面として、前記第1高さと前記第2高さと前記第3高さに基づいて、前記第1除去パラメータ及び前記第2除去パラメータを取得することと、
前記第1除去パラメータに基づいて、前記切除具が、前記基板の上面から前記作業面の方へ第1距離分下降して前記太陽電池パネルの一部を物理的に除去するように制御することと、
前記第2除去パラメータに基づいて、前記切除具が、前記作業面の方へ第2距離分下降して前記第1残部の一部を物理的に除去するように制御することと、を実施する手順であり、
前記ステップ(E)における前記第2処理手順は、前記制御装置により、
前記基板の上面を基準面として、前記第1高さと前記第2高さと前記第3高さに基づいて、前記第1除去パラメータ及び前記第2除去パラメータを取得することと、
前記第1除去パラメータと前記第1履歴パラメータとの選択された一者に基づいて、前記切除具が、前記基板の上面から前記作業面の方へ第3距離分下降して前記太陽電池パネルの一部を物理的に除去するように制御することと、
前記第2除去パラメータと前記第2履歴パラメータとの選択された一者に基づいて、前記切除具が、前記作業面の方へ第4距離分下降して前記第1残部の一部を物理的に除去するように制御することと、を更に実施する手順である、ことを特徴とする、
請求項2に記載の太陽電池パネルのリサイクル方法。
【請求項5】
前記ステップ(C)における前記第1処理手順と前記ステップ(E)における前記第2処理手順とは、いずれも前記制御装置により、
前記キャプチャ装置が、前記第1残部の上表面をキャプチャして、前記基板が除去された状態を示す第1画像を取得するように制御することと、
前記第1画像を分析して、前記太陽電池パネルの一部に対する物理的な除去に関連する結果を取得すること、を更に実施する手順である、ことを特徴とする、
請求項2に記載の太陽電池パネルのリサイクル方法。
【請求項6】
前記ステップ(C)における前記第1処理手順と前記ステップ(E)における前記第2処理手順とは、いずれも前記制御装置により、
前記キャプチャ装置が、前記第2残部の上表面をキャプチャして、前記カバー板が残る状態を示す第2画像を取得するように制御することと、
前記第2画像を分析して、前記第1残部の一部に対する物理的な除去に関連する結果を取得すること、を更に実施する手順である、ことを特徴とする、
請求項2に記載の太陽電池パネルのリサイクル方法。
【請求項7】
前記太陽電池パネルは、複数の太陽電池をさらに備えており、
前記複数の太陽電池は、前記カバー板と前記基板との間にあって互いに間隔をあけるようにそれぞれ配置されており、
前記ステップ(B)において、
前記測定装置は前記太陽電池パネルの下方にあって前記太陽電池パネルに対して水平に移動しながら、第1出力の赤外光を前記太陽電池パネルへ発射し、前記赤外光がいずれか互いに隣り合っている2つの前記太陽電池の間の間隔を通して前記基板の方へ進行して前記基板により反射されたり、いずれかの前記太陽電池により吸収されたり、することができ、
前記測定装置により、前記基板により反射された前記赤外光を感知して分析することによって、前記基板に関連する第1測定結果を取得して、前記第1測定結果に基づいて前記第2高さを取得する、ことを特徴とする、
請求項2に記載の太陽電池パネルのリサイクル方法。
【請求項8】
前記ステップ(B)において、
前記測定装置は、第2出力の紫外光を前記太陽電池パネルへ更に発射し、前記紫外光が前記太陽電池パネルの前記カバー板により一部吸収されるとともに一部反射され、
前記測定装置により、前記カバー板により反射された前記紫外光を感知して分析することによって、前記カバー板に関連する第2測定結果を取得して、前記第2測定結果に基づいて前記第1高さを取得する、ことを特徴とする、
請求項7に記載の太陽電池パネルのリサイクル方法。
【請求項9】
前記リサイクルシステムは、キャプチャ装置を更に備えており、
当該太陽電池パネルのリサイクル方法は、
前記ステップ(C)の前に、
前記キャプチャ装置により、前記作業台の前記作業面上に置かれている前記太陽電池パネルの上方から前記太陽電池パネルをキャプチャして、前記太陽電池パネルの画像を取得するステップ(F)と、
前記制御装置により、前記太陽電池パネルの画像を分析して、前記太陽電池パネルにかかる処理領域を決定するステップ(G)と、を更に含み、
前記ステップ(C)における前記第1処理手順は、前記制御装置により、
前記除去装置が、前記太陽電池パネルに対して処理領域内に移動して、物理的な除去を行なうように制御すること、を更に実施する、ことを特徴とする、
請求項1に記載の太陽電池パネルのリサイクル方法。
【請求項10】
前記製品ラベルは、前記ラベルデータを含んでいる無線タグであり、
前記ステップ(D)において、
前記キャプチャ装置により、無線通信技術を介して前記無線タグを読み取って、前記ラベルデータを取得する、ことを特徴とする、
請求項2に記載の太陽電池パネルのリサイクル方法。
【請求項11】
前記製品ラベルには、前記ラベルデータが含まれており、
前記ステップ(D)において、
前記キャプチャ装置により、前記製品ラベルをキャプチャして、前記製品ラベルの画像を取得して、前記製品ラベルの画像を前記ラベルデータとし、前記制御装置により、前記製品ラベルの画像に対して画像分析及び文字認識を行って、前記製品情報を取得する、ことを特徴とする、
請求項2に記載の太陽電池パネルのリサイクル方法。
【請求項12】
前記リサイクルシステムは、キャプチャ装置を更に備えており、
前記ステップ(C)における前記第1処理手順は、前記制御装置により、
前記キャプチャ装置が、前記第1残部の上表面をキャプチャして、前記基板が除去された状態を示す第1画像を取得することと、
前記第1画像を分析して、前記太陽電池パネルの一部に対する物理的な除去に関連する結果を取得することと、を更に実施する手順である、ことを特徴とする、
請求項1に記載の太陽電池パネルのリサイクル方法。
【請求項13】
前記リサイクルシステムは、キャプチャ装置を更に備えており、
前記ステップ(C)における前記第1処理手順は、前記制御装置により、
前記キャプチャ装置が、前記第2残部の上表面をキャプチャして、前記カバー板が残る状態を示す第2画像を取得することと、
前記第2画像を分析して、前記第1残部の一部に対する物理的な除去に関連する結果を取得することと、を更に実施する手順である、ことを特徴とする、
請求項1に記載の太陽電池パネルのリサイクル方法。
【請求項14】
前記ステップ(B)において、
前記測定装置は前記太陽電池パネルの下側にあって前記太陽電池パネルに対して水平に移動しながら、光学的計測技術を介して前記第1高さ及び前記第2高さを測定して取得する、ことを特徴とする、
請求項1に記載の太陽電池パネルのリサイクル方法。
【請求項15】
前記太陽電池パネルは、複数の太陽電池をさらに備えており、
前記複数の太陽電池は、前記カバー板と前記基板との間にあって互いに間隔をあけるようにそれぞれ配置されており、
前記ステップ(B)において、
前記測定装置は前記太陽電池パネルの下側にあって前記太陽電池パネルに対して水平に移動しながら、第1出力の赤外光を前記太陽電池パネルへ発射し、前記赤外光がいずれか互いに隣り合っている2つの前記太陽電池の間の間隔を通して前記基板の方へ進行して前記基板により反射されたり、いずれかの前記太陽電池により吸収されたり、することができ、
前記測定装置により、前記太陽電池パネルにより反射された前記赤外光を感知することによって、前記基板に関連する第1測定結果を取得して、前記第1測定結果に基づいて前記第2高さを取得する、ことを特徴とする、
請求項14に記載の太陽電池パネルのリサイクル方法。
【請求項16】
前記ステップ(B)において、
前記測定装置は、第2出力の紫外光を前記太陽電池パネルへ更に発射し、前記紫外光が前記太陽電池パネルの前記カバー板により一部吸収されるとともに一部反射され、
前記測定装置により、前記カバー板により反射された前記紫外光を感知して分析することによって、前記カバー板に関連する第2測定結果を取得して、前記第2測定結果に基づいて前記第1高さを取得する、ことを特徴とする、
請求項15に記載の太陽電池パネルのリサイクル方法。
【請求項17】
請求項1~請求項16のいずれか1項に記載の太陽電池パネルのリサイクル方法を行なうことができるように構成されている、ことを特徴とする、太陽電池パネルのリサイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクル方法及びリサイクルシステムに関し、具体的には、太陽電池パネルのリサイクル方法及びそれに用いられるリサイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換するための太陽電池パネルは、再生エネルギー発電設備として、重要性がますます高まっている。しかしながら、太陽電池パネルは、長期使用を経て光電変換効率が一定程度に低下すると廃棄されるが、資源回収や省エネルギーや温室効果ガス排出量の削減などの環境政策に応じて、廃棄された太陽電池パネルが地球環境に対する汚染物質とならないように、太陽電池パネルの回収または再利用を図る必要性がある。
【0003】
特許文献1には、従来の太陽電池モジュールのリサイクル方法が開示されている。太陽電池モジュールは、ガラス板と、バックシートと、封止材と、複数の太陽電池素子と、を備えている。複数の太陽電池素子は、ガラス板とバックシートとの間に挟まれて封止材で封止されている。
【0004】
従来の太陽電池モジュールのリサイクル方法としては、耐用年数が経過した太陽電池モジュールに対して、ガラス板の厚さを計測してガラス板を破砕して、破砕されたガラス片と異物を選別して回収する。
【0005】
なお、太陽電池モジュールのガラス板は、一般的に強化ガラスであり、これは再利用価値の高いものである。このため、現在では、太陽電池モジュールのリサイクル方法において、ガラス板を損傷しないように、バックシート及び太陽電池素子を熱的または化学的手法で分解してガラス板を再利用する手法もある。それだけではなく、他の手法として、バックシート及び太陽電池素子に対してフライス加工や研削加工のような物理的な除去を行なってガラス板を再利用することも注目されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開第2018-086651号公報“Electrical Parameters of Precision, Coaxial,Air-Dielectric Transmission Line,”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、現在、太陽電池モジュールの仕様(例えば、サイズや厚さや太陽電池素子の材料など)には、約17000種類以上あるので、従来の太陽電池モジュールのリサイクル方法によれば、様々な種類や規格の太陽電池モジュールに応じて、太陽電池モジュールを効果的に且つ自動的に回収することは不可能である。このため、このような従来技術は、改善する余地がある。
【0008】
よって、本発明は上記問題点に鑑みて、上記した欠点を少なくとも1つ解決することができる太陽電池パネルのリサイクル方法及びリサイクルシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための手段として、本発明は、カバー板と基板とを備えている太陽電池パネルを回収するためのリサイクルシステムにより実施される太陽電池パネルのリサイクル方法であって、
リサイクルシステムは、測定装置と、除去装置と、制御装置と、を備えており、
太陽電池パネルのリサイクル方法は、
太陽電池パネルを、カバー板が作業台の作業面に面して基板がカバー板の上方にあるように、作業面上に水平に載置するステップ(A)と、
測定装置により、作業面から太陽電池パネルのカバー板の上面までの第1高さと、作業面から太陽電池パネルの基板の下面までの第2高さと、を測定するステップ(B)と、
制御装置により、第1処理手順を実施するステップ(C)であって、
第1処理手順は、
第1高さ及び第2高さに基づいて、基板に関連する第1除去パラメータと、カバー板に関連する第2除去パラメータと、を取得することと、
第1除去パラメータに基づいて、除去装置が、太陽電池パネルにおける作業面に対して第2高さよりも高い一部を物理的に除去するように制御して、第1残部を得ることと、
第2除去パラメータに基づいて、除去装置が、第1残部における作業面に対して第1高さよりも高い一部を物理的に除去するように制御して、少なくともカバー板を有する第2残部を得ることと、を実施する手順であるステップ(C)と、を含む、ことを特徴とする太陽電池パネルのリサイクル方法を提供する。
【0010】
また、上記した太陽電池パネルのリサイクル方法を行なうことができるように構成されている、ことを特徴とする太陽電池パネルのリサイクルシステムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る太陽電池パネルのリサイクル方法及びリサイクルシステムによれば、適切な除去パラメータを用いて異なる種類や規格の太陽電池パネルに自動的に対応することによって、リサイクルプロセスの効率やリサイクル材料の純度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る太陽電池パネルのリサイクルシステムの構成が示されるブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る太陽電池パネルの構成、及び太陽電池パネルのリサイクル方法における除去装置の配置状態が示される模式的側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るキャプチャ装置が太陽電池パネルに対して画像をキャプチャしている状態が示される模式的斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る測定装置が太陽電池パネルに対して寸法測定を行なっている状態が示される模式的側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る除去装置の配置状態が示される模式的側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る太陽電池パネルのリサイクル方法が示されるフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態に係る太陽電池パネルのリサイクル方法における太陽電池パネルに対して除去プロセスを行なっている状態が示される模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る太陽電池パネルのリサイクル方法及びそれに用いられるリサイクルシステムについて図面を参照して説明する。
【0014】
図1~
図5を参照して本発明に係る太陽電池パネルのリサイクルシステム200の構成を説明する。ここで、
図1は本発明の一実施形態に係る太陽電池パネルのリサイクルシステム200の構成が示されるブロック図であり、
図2は本発明の一実施形態に係る太陽電池パネ3の構成、及び太陽電池パネルのリサイクル方法における除去装置6の配置状態が示される模式的側面図であり、
図3は本発明の一実施形態に係るキャプチャ装置4が太陽電池パネル3に対して画像の取り込みを行なっている状態が示される模式的斜視図である。
【0015】
また、
図4は本発明の一実施形態に係る測定装置5が太陽電池パネル3に対して寸法測定を行なっている状態が示される模式的側面図であり、
図5は本発明の一実施形態に係る除去装置6の配置状態が示される模式的側面図である。
【0016】
本発明の一実施形態に係る太陽電池パネルのリサイクルシステム200は、
図1及び
図2に示されるように、作業台の作業面900上に水平に置かれている太陽電池パネル3に対して回収処理を行なうように構成されており、且つバックエンドサーバ800と通信してデータ交換を行なうことができる。
【0017】
該実施形態において、太陽電池パネル3は、
図2に示されるように、カバー板31と、カバー板31の上面に積み重ねられている太陽電池ユニット32と、太陽電池ユニット32の上面に積み重ねられている基板33と、を備えている。
【0018】
図2に示されるように、該実施形態において太陽電池パネル3は、カバー板31と太陽電池ユニット32と基板33とが下側(即ち、作業台の方)から上側へ順に配列されるように作業台の作業面900上に水平に置かれる。
【0019】
太陽電池ユニット32は、
図2に示されるように、カバー板31と基板33との間にあって互いに間隔をあけるようにアレイ状にそれぞれ配置されている複数の太陽電池321と、カバー板31と基板33と複数の太陽電池321とを接着するための接着層322と、を備えている。
【0020】
接着層322は、
図2に示されるように、カバー板31と接着されている底部3221と、基板33と接着されている上部3222と、底部3221及び上部3222と連接されて太陽電池321同士の間の間隔を充填している複数の中間部3223と、を有している。
【0021】
カバー板31と接着層322とは、いずれも透明材料により作成されたものであり、かつ基板33は、不透明材料により作成されたものである。本実施形態では、カバー板31はガラスであり、接着層322はエチレン酢酸ビニル(ethylene vinyl acetate、略称:EVA)層であるが、ここでそれに限定されない。
【0022】
該実施形態のリサイクルシステム200は、
図1に示されるように、キャプチャ装置4と、測定装置5と、除去装置6と、キャプチャ装置4と測定装置5と除去装置6と電気的に接続されているとともに、バックエンドサーバ800と通信してデータ交換を行なうことができる制御装置7と、を備えている。
【0023】
本実施形態では、制御装置7は、パソコン、ノートパソコン、タブレット、またはスマートフォンなどの計算装置であり、例えば、シングルコアプロセッサ(single core processor)、マルチコアプロセッサ(multi-core processor)、デュアルコアモバイルプロセッサ(dual-core mobile processor)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、マイクロコントローラ(microcontroller)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、略称:DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、略称:FPGA)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、略称:ASIC)、無線周波数の集積回路(radio-frequency integrated circuit、略称:RFIC)などを有することができるが、それらに限定されない。
【0024】
本実施形態では、
図3に示されるように、太陽電池パネル3には、製品ラベル34が付いている。製品ラベル34は、太陽電池パネル3にかかる製品情報を記録し、基板33の上面に配置されている。
【0025】
キャプチャ装置4は、例えばカメラであり、且つ
図3に示されるように、作業台の上方に配置されているとともに、制御装置7により制御されて、下方(即ち、太陽電池パネル3の方)へ向かって太陽電池パネル3全体の画像を撮影することができるように構成されている。なお、本実施形態では、該キャプチャ装置4は、製品ラベル34の画像をラベルデータとしてキャプチャすることができる。
【0026】
測定装置5は、
図1及び
図4に示されるように、作業台の下方(即ち、太陽電池パネル3の下方)に配置されており、太陽電池パネル3に対して水平に移動しながら、光学的計測技術を介して後述する高さD1及び高さD3を測定して取得するように構成されており、且つ第1計器51と、第2計器52と、を備えている。
【0027】
第1計器51は、制御装置7により制御されて、第1出力の第1赤外光を太陽電池パネル3に向かって上方に発射するように構成されている。なお、本実施形態では、第1赤外光は、それらの太陽電池321により反射されず、太陽電池321により完全に吸収され、或いはいずれか互いに隣り合っている2つの太陽電池321の間の接着層322を通して基板33の方へ進行して基板33の下面により反射され得る。
【0028】
そして、第1計器51は、基板33の下面により反射された第1赤外光を感知して分析して、作業面900から太陽電池パネル3の基板33の下面までの高さD3(
図2を参照)を測定することができる。
【0029】
第2計器52は、制御装置7により制御されて、第2出力の紫外光を太陽電池パネル3に向かって上方に発射するように構成されている。なお、本実施形態では、紫外光は、太陽電池パネル3により反射され得る。
【0030】
そして、第2計器52は、太陽電池パネル3により反射された紫外光を感知して分析して、作業面900から太陽電池パネル3のカバー板31の上面までの高さD1(
図2を参照)を測定することができる。なお、ここで、高さD1を測定する手法は、上記のように限定されず、他の実施形態において、第2計器52は、例えば音波や渦電流などを用いて高さD1を測定することもできる。
【0031】
除去装置6は、
図1と
図2と
図5に示されるように、太陽電池パネル3の上方に配置され、制御装置7により制御されて、下降して基板33及び太陽電池ユニット32に対して物理的な除去を行なうように構成されている。且つ、該除去装置6は、
図2及び
図5に示されるように、物理的な除去を行なうための切除具61を有している。
【0032】
また、該除去装置6は、作業面900から太陽電池パネル3の基板33の上面までの高さD4(
図2を参照)と、基板33の上面から切除具61までの高さZ0(
図2を参照)と、を測定することができるように更に構成されている。
【0033】
本実施形態では、切除具61は、フライス加工により物理的な除去を行うように構成されているが、ここでそれに限定されず、他の実施形態において、切除具61は、例えば研削加工により物理的な除去を行うこともできる。
【0034】
また、該除去装置6は、光学的計測技術を介して上記した高さD4及び高さZ0を測定することができる。その光学的計測技術は、例えば、赤外光やレーザ光などを用いて、基板33の上面及び作業面900に対してスキャンを行なうことである。なお、除去装置6による物理的な除去の手法や高さD4及び高さZ0の測定方式は、上記のように限定されない。
【0035】
以下、本発明に係る太陽電池パネル3のリサイクル方法について図面を参照して説明する。
【0036】
図6及び
図7を参照して本発明に係る太陽電池パネルのリサイクル方法を説明する。
図6は本発明の一実施形態に係る太陽電池パネルのリサイクル方法が示されるフローチャートであり、また、
図7は本発明の一実施形態に係る太陽電池パネルのリサイクル方法における太陽電池パネル3に対して除去プロセスを行なっている状態が示される模式的側面図である。
【0037】
本発明に係る一実施形態の太陽電池パネルのリサイクル方法は、上記した太陽電池パネル3に対して回収処理を行なうためのリサイクルシステム200により実施され、且つ
図6に示されるように、以下のステップS11~ステップS16を含んでいる。
【0038】
ステップS11において、
図2及び
図6に示されるように、太陽電池パネル3を、カバー板31が作業面900に面して基板33がカバー板31の上方にあるように、作業台の作業面900上に水平に載置する。
【0039】
ステップS12において、
図3及び
図6に示されるように、制御装置7は、キャプチャ装置4が、下方(即ち、太陽電池パネル3の方)へ向かって、作業台の作業面900上に置かれている太陽電池パネル3の上方から太陽電池パネル3をキャプチャして、太陽電池パネル3の画像を取得するように制御するとともに、キャプチャ装置4が、基板33の上面に付けられている製品ラベル34の画像をキャプチャしてその製品ラベル34からラベルデータを取得するように制御する。
【0040】
本実施形態では、その製品ラベル34の画像がラベルデータとされるものであり、即ち、上記したラベルデータは、画像の形式となったものである。そして、制御装置7は、製品ラベル34の画像に対して画像分析や文字認識を行って、太陽電池パネル3に関連する製品情報を取得する。
【0041】
ここで、その製品情報は、製品ラベル34に印刷されているものであり、処理しようとする太陽電池パネル3にかかるブランド名や型番号や電力規格を含んでいるが、それらに限定されない。
【0042】
本実施形態では、制御装置7は、太陽電池パネル3の画像を分析して太陽電池パネル3の寸法を取得し、そしてその太陽電池パネル3の寸法に基づいて太陽電池パネル3にかかる処理領域を決定する。
【0043】
いくつかの実施形態において、太陽電池パネル3の基板33の上面には、1つ又はそれ以上の接続箱(図示せず)が配置されている。この場合、制御装置7は、太陽電池パネル3の画像を分析して接続箱に関連するデータを取得し、そして該実施形態のリサイクルシステム200が基板33の物理的な除去を行なう前に、その接続箱に関連するデータを、接続箱に対して取り外しを行なうための装置に提供することができる。該接続箱に関連するデータは、各接続箱のサイズや位置にかかる情報、又は接続箱の数量にかかる情報などを含んでいる。ここで、上記した処理領域は、1つ又はそれ以上の接続箱が配置される領域を含んでいる。
【0044】
ステップS13において、
図4及び
図6に示されるように、制御装置7は、測定装置5が、太陽電池パネル3の下方にあって太陽電池パネル3に対して水平に移動しながら、測定装置5の第1計器51が、第1赤外光を太陽電池パネル3に向かって上方へ発射して、基板33に関連する第1測定結果を取得して、その第1測定結果に基づいて高さD3を取得するように制御するとともに、測定装置5の第2計器52が、紫外光を太陽電池パネル3のカバー板31に向かって上方へ発射して、カバー板31に関連する第2測定結果を取得して、その第2測定結果に基づいて高さD1を取得するように制御する。また、該制御装置7は、除去装置6が高さD4及び高さZ0を測定するように制御する。
【0045】
より詳しく言うと、第1計器51が太陽電池パネル3に向かって第1赤外光を発射すると、第1赤外光がカバー板31を通して太陽電池ユニット32に到達するように上方へ進行し、第1赤外光がいずれかの太陽電池321に当たる場合、その第1赤外光は当該太陽電池321により反射されず、該太陽電池321により完全に吸収される。第1赤外光がいずれか互いに隣り合っている2つの太陽電池321の間の間隔を通して進行する場合、その第1赤外光は基板33の方へ進行して該基板33に当たって該基板33の下面により反射されて、第1計器51により感知される。
【0046】
つまり、測定装置5は、基板33の下面により反射された赤外光を感知して分析することによって、上記した第1測定結果を取得して、その第1測定結果に基づいて高さD3(
図2を参照)を取得する。
【0047】
また、第2計器52が太陽電池パネル3に向かって紫外光を発射して、その紫外光が、太陽電池パネル3のカバー板31に当たると、太陽電池パネル3のカバー板31により一部吸収されるとともに一部反射され、且つ太陽電池ユニット32の接着層322により完全に吸収される。そして、カバー板31により一部反射された紫外光は、第2計器52により感知される。
【0048】
つまり、測定装置5は、太陽電池パネル3により反射された紫外光を感知して分析することによって、上記した第2測定結果を取得して、その第2測定結果に基づいて高さD1(
図2を参照)を取得する。
【0049】
本実施形態では、制御装置7は、いずれか1つの太陽電池321における互いに対向する2つの角部を通るよう延伸する対角線に沿って水平に移動するように測定装置5を制御する。ここで、測定装置5は、少なくとも2つの太陽電池321を通るように制御される。これによって、赤外光は、いずれか1つの太陽電池321同士の間隔を通すことができる。
【0050】
そして、第1計器51は、第1赤外光に関連する反射データ(即ち、上記した第1測定結果)を収集して、該反射データに基づいて高さD3を取得するとともに、第2計器52は、紫外光に関連する反射データ(即ち、上記した第2測定結果)を収集して、該反射データに基づいて高さD1、即ち、カバー板31の厚さを取得する。
【0051】
第1赤外光に関連する反射データは、第1計器51が第1赤外光を発射する時点から第1計器51が基板33の下面により反射された第1赤外光を感知する時点までの期間にかかる情報を少なくとも有している。
【0052】
一方、紫外光に関連する反射データは、第2計器52が紫外光を発射する時点から第2計器52がカバー板31の上面により反射された紫外光を感知する時点までの期間(以下、第1期間とも呼ばれる)にかかる情報、及び第2計器52が紫外光を発射する時点から第2計器52がカバー板31の下面により反射された紫外光を感知する時点までの期間(以下、第2期間とも呼ばれる)にかかる情報を少なくとも有している。
【0053】
ここで、第2計器52は、上記した第1期間及び第2期間の差を計算することによってカバー板31の厚さを取得し、或いは第1期間に基づいて高さD1を取得するように構成されている。
【0054】
本実施形態では、測定装置5は作業面900から非常に近く、測定装置5と作業面900との距離はほとんどない。しかし、それに限定されず、他の実施形態においては、測定装置5が作業面900よりやや下方位置にあり、即ち、測定装置5と作業面900との間に隙間がある。この場合、測定装置5により得られた複数の高さは、制御装置7により校正され得る。これによって、それらの高さが、測定装置5を基準とする高さではなく、作業面900を基準面とする高さであることが、確保され得る。
【0055】
また、作業面900と太陽電池パネル3との間に隙間がある場合、太陽電池パネル3の寸法(即ち、
図2に示されるような高さD1、高さD3、及び後述する高さD2)を測定する前に、測定装置5は、作業面900とカバー板31の下面との高低差分が校正される。このため、作業面900とカバー板31の下面との間に隙間があっても、太陽電池パネル3の上記した高さD1~D3を取得することができる。
【0056】
ステップS14において、
図6に示されるように、制御装置7は、太陽電池パネル3に関連する製品情報に対応する履歴データのエントリが存在しているか否かの判定結果を取得する。
【0057】
太陽電池パネル3に関連する製品情報に対応する履歴データは、太陽電池パネル3に対して物理的な除去を行なうように用いられる複数の履歴パラメータを含んでいる。本実施形態では、バックエンドサーバ800には、複数種類の太陽電池パネル3にそれぞれに対応する複数の履歴データのエントリを有しているデータベースが含まれている。
【0058】
ここで、制御装置7は、ステップS12において取得した製品情報をバックエンドサーバ800へ送信し、バックエンドサーバ800は、その製品情報を受信して、該製品情報に対応する履歴データのエントリを有しているデータベースを検索する。
【0059】
そして、バックエンドサーバ800は、該製品情報に対応する履歴データのエントリがデータベースに存在しているか否かを判定してから、その判定結果を制御装置7へ送信する。
【0060】
なお、いくつかの実施形態においては、制御装置7に上記のようなデータベースが含まれている。該制御装置7は、ステップS12において取得した製品情報に基づいてそれに対応するデータベースを直接に検索し、そして該製品情報に対応する履歴データのエントリがデータベースに存在しているか否かの判定を行なうことができる。この場合、バックエンドサーバ800は省略され得る。
【0061】
制御装置7は、太陽電池パネル3に関連する製品情報に対応する履歴データのエントリが存在していないとする判定結果を取得した場合、フローはステップS15へ進み、即ち、制御装置7は、後述する第1処理手順を実施する。
【0062】
これに対し、制御装置7は、太陽電池パネル3に関連する製品情報に対応する履歴データのエントリが存在しているとする判定結果を取得した場合、フローはステップS16へ進み、即ち、制御装置7は、後述する第2処理手順を実施する。
【0063】
ステップS15において、
図6に示されるように、第1処理手順を実施する。ここで、該第1処理手順は、以下のようなことを実施する。即ち、制御装置7は、基板33の上面を基準面(即ち、基板33の上面の高さはゼロとされる)として、上記した高さD1と高さD3(
図2を参照)に基づいて、基板33に関連する第1除去パラメータと、カバー板31に関連する第2除去パラメータと、を取得する。
【0064】
次に、制御装置7は、第1除去パラメータ及び第2除去パラメータに基づいて、切除具61が、上記した高さZ0(
図2を参照)に従って基準面とされた基板33の上面まで下降して、ステップS12において決定した処理領域において移動して太陽電池パネル3における基板33そして太陽電池ユニット32に対して物理的な除去を行なうように制御する。
【0065】
より詳しく言うと、
図2及び
図7に示されるように、制御装置7は、第1除去パラメータに基づいて、切除具61が、太陽電池パネル3における作業面900に対して高さD3よりも高い一部を物理的に除去し、即ち、基板33を物理的に除去するように制御して、第1残部301を得る。第1残部301は、カバー板31及び太陽電池ユニット32を有しているものである。
【0066】
そして、制御装置7は、第2除去パラメータに基づいて、除去装置6が、第1残部301における作業面900に対して高さD1よりも高い一部を物理的に除去し、即ち、太陽電池ユニット32を物理的に除去するように制御して、少なくともカバー板31を有する第2残部302を得る。実際には、第2残部302には、
図7に示されるように、カバー板31だけではなく、カバー板31に接着されている接着層322における底部3221の残りの部分もある。
【0067】
本実施形態では、第1除去パラメータは、切削工具61が基板33の上面に対して下降する第1距離を示す。該第1距離は、
図2に示されるように、高さD4及び高さD3の差である。
【0068】
言い換えれば、第1除去パラメータは、高さD4及び高さD3に基づいて取得され、基準面である基板33の上面から下方への第1距離を示す負の値である。これで、
図7に示されるように、制御装置7は、切削工具61が、基板33の上面から第1除去パラメータの絶対値に等しい第1距離分下降して太陽電池パネル3の一部、即ち、カバー板31を物理的に除去するように制御する。
【0069】
一方、第2除去パラメータは、切削工具61が基板33の上面に対して下降する第2距離を示す。該第2距離は、
図2に示されるように、高さD4及び高さD1の差である。
【0070】
言い換えれば、第2除去パラメータは、高さD4及び高さD1に基づいて取得され、基準面である基板33の上面から下方への第2距離を示す負の値である。これで、
図7に示されるように、制御装置7は、切除具61が、基板33の上面または上記した第1距離分にかかるレベルから第2除去パラメータの絶対値に等しい第2距離分下降して第1残部301の一部、即ち、太陽電池ユニット32を物理的に除去するように制御する。
【0071】
本実施形態では、第2残部302は、カバー板31を少なくとも含んでいる上、接着層322の一部も含んでいる。第2残部302において接着層322の一部が残される1つの理由としては、切除具61がカバー板31と直接に接触すると、カバー板31が容易に破損されて回収されることができないようになるからである。
【0072】
このような問題を避けるために、第2除去パラメータは、一般的に切除具61がカバー板31と接触することなく、太陽電池ユニット32の大部分を除去することができるように設定される。したがって、接着層322の一部がカバー板31の上面に残る。
【0073】
第2残部302において接着層322の一部が残される他の理由としては、上記した除去プロセスにより得られたカバー板31を搬送する際に、該カバー板31の損傷が発生する可能性があるので、このような状況を防止するために、処理したカバー板31の上面に残された接着層322の一部が保護部品として用いられるからである。
【0074】
第1処理手順において、制御装置7は、キャプチャ装置4が、第1残部301の上表面をキャプチャして、基板33が除去された状態を示す第1画像を取得するとともに、第2残部302の上表面をキャプチャして、カバー板31が残る状態を示す第2画像を取得するように更に制御する。
【0075】
そして、制御装置7は、上記した第1画像と太陽電池パネル3の画像との差異を分析して、太陽電池パネル3の一部に対する物理的な除去に関連する結果を取得するとともに、上記した第2画像と第1画像との差異を分析して、第1残部301の一部に対する物理的な除去に関連する結果を取得する。
【0076】
ここで、太陽電池パネル3の一部に対する物理的な除去が行われた後、即ち、太陽電池パネル3が第1残部301となるようにした後、基板33が太陽電池パネル3から完全に除去されると、第1残部301の上表面が濃灰色を呈する。
【0077】
これに対し、基板33が太陽電池パネル3から完全に除去されなかった場合、第1残部301の上表面の一部分が白色を呈する。この場合、制御装置7は、基板33が除去された状態を示す第1画像における白色を呈している部分に対して分析を行なって、太陽電池パネル3の一部に対する物理的な除去に関連する結果を取得する。
【0078】
同様に、第1残部301の一部に対する物理的な除去が行われた後、即ち、第1残部301が第2残部302となるようにした後、太陽電池321が太陽電池パネル3から完全に除去されると、第2残部302の上表面が灰色を呈する。
【0079】
これに対し、太陽電池321が太陽電池パネル3から完全に除去されなかった場合、第2残部302の上表面の一部分が黒色を呈する。この場合、制御装置7は、カバー板31が残る状態を示す第2画像における黒色を呈している部分に対して分析を行なって、第1残部301の一部に対する物理的な除去に関連する結果を取得する。
【0080】
そして、制御装置7は、除去に関連するプロセスデータ(以下、第1プロセスデータとも呼ばれる)を作成し、その第1プロセスデータは、太陽光パネル3に対応するとともに、第1除去パラメータ及び第2除去パラメータを少なくとも含んでいる。
【0081】
いくつかの実施形態において、将来的に用いられ得る第1除去パラメータ及び第2除去パラメータを校正及び最適化するために、第1処理手順において作成した第1プロセスデータは、上記した第1画像及び第2画像、太陽電池パネル3の一部に対する物理的な除去に関連する結果、及び第1残部301の一部に対する物理的な除去に関連する結果、を更に含んでいる。
【0082】
また、該制御装置7は、太陽光パネル3に対応する第1プロセスデータを太陽電池パネル3にかかる製品情報と関連付けるとともに、その製品情報及び該製品情報と関連付けられた第1プロセスデータをバックエンドサーバ800へ送信する。
【0083】
そして、バックエンドサーバ800は、該製品情報と関連付けられた第1プロセスデータを、太陽電池パネル3にかかる製品情報に対応する履歴データのエントリとして記憶することができる。
【0084】
なお、上記データベースが制御装置7に含まれるいくつかの実施形態において、該制御装置7は、太陽電池パネル3にかかる製品情報、及び該製品情報と関連付けられた第1プロセスデータを、太陽電池パネル3にかかる製品情報に対応する履歴データのエントリとして直接に記憶することができる。
【0085】
このように記憶した履歴データのエントリにおける履歴パラメータは、太陽電池パネル3に対応する第1プロセスデータからの第1除去パラメータである第1履歴パラメータと、太陽電池パネル3に対応する第1プロセスデータからの第2除去パラメータである第2履歴パラメータと、を含んでいる。
【0086】
上記のように、上記した判定結果が、太陽電池パネル3に関連する製品情報に対応する履歴データのエントリ(以下、参考データとも呼ばれる)が存在しているとする場合、制御装置7は、第2処理手順を実施し、即ち、フローはステップS16へ進む。
【0087】
この場合はつまり、処理しようとする太陽光パネル3と同じ仕様の太陽光パネルがすでに該実施形態のリサイクルシステム200により処理されたことがあり、且つ、それに関連するプロセスデータが、バックエンドサーバ800または制御装置7におけるデータベースにすでに記憶されていることを指す。
【0088】
ステップS16において、
図6に示されるように、第2処理手順を実施する。ここで、該第2処理手順は、以下のようなことを実施する。即ち、制御装置7は、基板33の上面を基準面として、上記した高さD1と高さD3(
図2を参照)に基づいて、基板33に関連する第1除去パラメータと、カバー板31に関連する第2除去パラメータと、を取得する。
【0089】
ここで、該第1除去パラメータ及び該第2除去パラメータを取得する手段について、ステップS15における第1処理手順と同様であるので、簡潔を期すため重複する説明を省略する。
【0090】
制御装置7は、第1除去パラメータと参考データによる第1履歴パラメータとの差、及び第2除去パラメータと参考データによる第2履歴パラメータとの差を分析する。
【0091】
なお、第1履歴パラメータ及び第2履歴パラメータは、参照データに記憶されており、この前に処理した太陽光パネル3と同じ仕様の太陽光パネルを処理するために用いられたパラメータである。
【0092】
制御装置7は、第1除去パラメータと第1履歴パラメータとの差が第1閾値よりも大きいと判定した場合、第1除去パラメータを選択する一方、第1除去パラメータと第1履歴パラメータとの差が第1閾値よりも小さいと判定した場合、第1履歴パラメータを選択する。
【0093】
同様に、制御装置7は、第2除去パラメータと第2履歴パラメータとの差が第2閾値よりも大きいと判定した場合、第2除去パラメータを選択する一方、第2除去パラメータと第2履歴パラメータとの差が第2閾値よりも小さいと判定した場合、第2履歴パラメータを選択する。なお、第1閾値と第2閾値とは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0094】
第2処理手順において、制御装置7は、切除具61が、
図2に示されるような高さZ0に従って、基準面とされた基板33の上面まで下降して、ステップS12において決定した処理領域において移動して、選択した第1除去パラメータまたは第1履歴パラメータに従って基板33に対して物理的な除去を行なうとともに、選択した第2除去パラメータまたは第2履歴パラメータに従って太陽電池ユニット32に対して物理的な除去を行なう。
【0095】
より具体的に言うと、制御装置7は、選択した第1除去パラメータまたは第1履歴パラメータに基づいて、切削具61が、基板33の上面から選択した第1除去パラメータまたは第1履歴パラメータの絶対値に等しい距離分(第3距離分)下降して太陽電池パネル3の一部(即ち、太陽電池パネル3における作業面900に対して高さD3よりも高い一部)を物理的に除去するように制御する。
【0096】
制御装置7は、選択した第2除去パラメータまたは第2履歴パラメータに基づいて、切削具61が、基板33の上面から選択した第2除去パラメータまたは第2履歴パラメータの絶対値に等しい距離分(第4距離分)下降して第1残部301の一部(即ち、第1残部301における作業面900に対して高さD1よりも高い一部)を物理的に除去するように更に制御する。
【0097】
第2処理手順において、制御装置7は、キャプチャ装置4が、第1残部301の上表面をキャプチャして、基板33が除去された状態を示す第1画像を取得するとともに、第2残部302の上表面をキャプチャして、カバー板31が残る状態を示す第2画像を取得するように更に制御する。
【0098】
そして、制御装置7は、上記した第1画像と太陽電池パネル3の画像との差異を分析して、太陽電池パネル3の一部に対する物理的な除去に関連する結果を取得するとともに、上記した第2画像と第1画像との差異を分析して、第1残部301の一部に対する物理的な除去に関連する結果を取得する。
【0099】
更に、制御装置7は、除去に関連するプロセスデータ(以下、第2プロセスデータとも呼ばれる)を作成し、その第2プロセスデータは、太陽光パネル3に対応するとともに、選択した第1除去パラメータまたは第1履歴パラメータ、及び選択した第2除去パラメータまたは第2履歴パラメータを少なくとも含んでいる。
【0100】
いくつかの実施形態において、第2処理手順において作成した第2プロセスデータは、上記した第1画像及び第2画像、太陽電池パネル3の一部に対する物理的な除去に関連する結果、及び第1残部301の一部に対する物理的な除去に関連する結果、を更に含んでいる。
【0101】
また、該制御装置7は、太陽光パネル3に対応する第2プロセスデータを太陽電池パネル3にかかる製品情報と関連付けるとともに、その製品情報及び該製品情報と関連付けられた第2プロセスデータをバックエンドサーバ800へ送信する。
【0102】
そして、バックエンドサーバ800は、該製品情報と関連付けられた第2プロセスデータに基づいて、バックエンドサーバ800のデータベースに記憶されている履歴データのエントリを更新する。即ち、履歴データのエントリに加えられた第2プロセスデータは、現時点で、履歴データのエントリに最も直近に記憶されており、且つ第2処理手順において用いられ得るデータである。
【0103】
なお、上記データベースが制御装置7に含まれるいくつかの実施形態において、該制御装置7は、該製品情報と関連付けられた第2プロセスデータに基づいて、制御装置7のデータベースに記憶されている履歴データのエントリを直接に更新することができる。
【0104】
上記のように、本実施形態では、制御装置7は、基板33の上面を基準面とするように回収プロセスを行なう。なお、いくつかの実施形態において、制御装置7は、作業面900を基準面とし、即ち、作業面900の高さがゼロとされる。この場合、ステップS15及びステップS16は、以下のように実施される。
【0105】
ステップS15の第1処理手順において、制御装置7は、作業面900を基準面として、高さD1と高さD3(
図2を参照)に基づいて、第1除去パラメータと、第2除去パラメータと、を取得する。
【0106】
次に、制御装置7は、第1除去パラメータ及び第2除去パラメータに基づいて、切除具61が、ステップS12において決定した処理領域において移動して太陽電池パネル3における基板33そして太陽電池ユニット32に対して物理的な除去を行なうように制御する。
【0107】
ここで、第1除去パラメータは、太陽電池パネル3の一部(即ち、基板33)に対して除去プロセスを行なっている際に切削具61があるべきである作業面900から起算した第1高さ(即ち、高さD3に等しい高さ)を示している。言い換えれば、その第1除去パラメータは、基準面から上方への第1高さを示す正の値である。
【0108】
一方、第2除去パラメータは、第1残部301の一部(即ち、太陽電池ユニット32)に対して除去プロセスを行なっている際に切削具61があるべきである作業面900から起算した第2高さ(即ち、高さD1に等しい高さ)を示している。言い換えれば、その第2除去パラメータは、基準面から上方への第2高さを示す正の値である。
【0109】
制御装置7は、第1除去パラメータに基づいて、切除具61が、太陽電池パネル3の上方から作業面900の方へ作業面900から起算した第1高さとする第1レベルまで下降して太陽電池パネル3の一部を物理的に除去するように制御する。
【0110】
そして、制御装置7は、第2除去パラメータに基づいて、切除具61が、第1レベルから作業面900の方へ作業面900から起算した第2高さとする第2レベルまで下降して第1残部301の一部を物理的に除去するように制御する。
【0111】
ステップS16の第2処理手順において、制御装置7は、高さD1と高さD3に基づいて、作業面900を基準面として第1除去パラメータ及び第2除去パラメータを取得する。
【0112】
制御装置7は、第1除去パラメータと履歴データによる第1履歴パラメータとの差、及び第2除去パラメータと履歴データによる第2履歴パラメータとの差を分析する。
【0113】
次に、制御装置7は、第1除去パラメータと履歴データによる第1履歴パラメータとの差及び第1閾値に基づいて、第1除去パラメータまたは第1履歴パラメータを選択するとともに、第2除去パラメータと履歴データによる第2履歴パラメータとの差及び第2閾値に基づいて、第2除去パラメータまたは第2履歴パラメータを選択する。
【0114】
そして、制御装置7は、選択した第1除去パラメータまたは第1履歴パラメータに基づいて、切除具61が、太陽電池パネル3の上方から作業面900の方へ作業面900から起算した第1高さ(即ち、
図2に示されるような高さD3に等しい高さ)とする第3レベルまで下降して太陽電池パネル3の一部(即ち、基板33)を物理的に除去するように制御する。
【0115】
制御装置7は、選択した第2除去パラメータまたは第2履歴パラメータに基づいて、切除具61が、第3レベルから作業面900の方へ作業面900から起算した第2高さ(即ち、
図2に示されるような高さD1に等しい高さ)とする第4レベルまで下降して第1残部301の一部(即ち、太陽電池ユニット32)を物理的に除去するように制御する。
【0116】
いくつかの実施形態において、測定装置5の第1計器51は、制御装置7により制御されて、第3出力の第2赤外光を太陽電池パネル3に向かって上方へ発射して、作業面900から太陽電池パネル3におけるいずれか1つの太陽電池321の下面までの高さD2(
図2を参照)を測定する。
【0117】
ここで、第3出力は、第2赤外光が太陽電池321により完全に吸収されないよう、即ち、第2赤外光が太陽電池321により一部吸収されるとともに一部反射されるように設定される。
【0118】
第2赤外光は、いずれか1つの太陽電池321同士の間隔を通して基板33に向かって進行して、基板33の下面により反射され得るが、基板33の下面により反射された第2赤外光の光束は、第1計器51の測定可能範囲外のものである。留意されたいのは、第2赤外光の第3出力は、第1赤外光の第1出力よりも大きい。
【0119】
この場合、ステップS13において、制御装置7は、第1計器51が、水平に移動しながら第2赤外光を太陽電池パネル3に向かって上方に発射して、太陽電池321に関連する測定結果を取得するように更に制御する。そして、測定装置5は、その太陽電池321に関連する測定結果に基づいて、上記した高さD2を取得する。
【0120】
また、該太陽電池321に関連する測定結果は、第1計器51が第2赤外光を発射する時点から第1計器51が太陽電池321の下面により反射された第2赤外光を感知する時点までの期間にかかる情報を少なくとも有している。
【0121】
より詳しく言うと、第1計器51が太陽電池パネル3に向かって第2赤外光を発射すると、第2赤外光がカバー板31を通して太陽電池ユニット32に到達するように上方へ進行する。
【0122】
ここで、第2赤外光の第3出力が第1赤外光の第1出力よりも高く、第2赤外光が太陽電池321により完全には吸収されないので、第2赤外光がいずれかの太陽電池321に当たると、その第2赤外光がその太陽電池321により一部吸収されるとともに一部反射される。そして、太陽電池321により一部反射された第2赤外光が、第1計器51により感知される。
【0123】
かつ、第2赤外光が、いずれか1つの太陽電池321同士の間隔を通して基板33に向かって進行すると、その第2赤外光が、基板33の下面に当たって該基板33の下面により反射される。
【0124】
本実施形態では、基板33の下面により反射された第2赤外光は、第1計器51の測定可能範囲外のものであり、第1計器51によりノイズと見なされるものである。つまり、第1計器51は、太陽電池321により反射された第2赤外光の一部のみ感知することができる。
【0125】
本実施形態では、制御装置7は、高さD1及び高さD3に基づいて基板33に関連する第1除去パラメータと、高さD1と高さD3と高さD4に基づいてカバー板31に関連する第2除去パラメータと、を取得する。
【0126】
いくつかの実施形態において、制御装置7は、高さD2に更に基づいて第2除去パラメータを取得して、第2除去パラメータを最適化することによって、接着層322の一部を緩衝層としてカバー板31の上表面に残す。
【0127】
より詳しく言うと、第2除去パラメータは、太陽電池ユニット32における高さD1と高さD2との間にある中間高さよりも高い一部に対する物理的な除去を実行するためのパラメータである。
【0128】
本実施形態では、製品ラベル34は、太陽電池パネル3にかかる製品情報が付けられているシールである。キャプチャ装置4(例としてカメラ)は、画像取込技術を用いて製品ラベル34の画像をキャプチャし、そして制御装置7は、製品ラベル34の画像に対して分析して、太陽電池パネル3に関連する製品情報を取得する。
【0129】
いくつかの実施形態において、製品ラベル34は、ラベルデータを含んでいる無線タグである。キャプチャ装置4は、無線通信技術を介して無線タグを読み取って、ラベルデータを取得する。
【0130】
ここで、無線タグは、無線周波数識別タグ(radio frequency identification tag、略称:RFID tag)、近距離無線通信タグ(near field communication tag、略称:NFC tag)、又は二次元バーコードなどであり得る。
【0131】
キャプチャ装置4は、無線通信技術を介して前記無線タグを読み取るためのリーダ(例えば、無線周波数識別リーダ、近距離無線通信リーダ、又はバーコードリーダなど)を有しているので、無線タグに符号化されたラベルデータを取得することができる。このように取得したラベルデータは、太陽電池パネル3にかかる固有の識別子を含んでおり、かつ太陽電池パネル3にかかる製品情報を更に含んでいる。
【0132】
バックエンドサーバ800又は制御装置7は、それぞれ異なる固有の識別子に対応している複数の製品情報を記憶することができる。かつ、それらの異なる固有の識別子とは、太陽電池パネル3の異なるタイプや種類や規格を表すものである。
【0133】
ラベルデータは、処理しようとする太陽電池パネル3にかかる固有の識別子のみ含んでいる場合、制御装置7は、キャプチャ装置4からその固有の識別子を取得する。そして、バックエンドサーバ800又は制御装置7は、このように取得した固有の識別子に従って、太陽電池パネル3にかかる製品情報を取得することができる。なお、ここでそれに限定されず、いくつかの実施形態において、ラベルデータは、太陽電池パネル3にかかる固有の識別子及び製品情報を含んでおり、制御装置7は、そのラベルデータを直接に読み込んで、太陽電池パネル3にかかる製品情報を取得することもできる。
【0134】
このため、いくつかの実施形態において、ステップS12において、制御装置7は、太陽電池パネル3の画像を取得するだけではなく、該制御装置7は、キャプチャ装置4が、無線通信技術を介して製品ラベル34を読み取って、該製品ラベル34に符号化されたラベルデータを取得するように制御し、バックエンドサーバ800又は制御装置7は、そのラベルデータに従って太陽電池パネル3に関連する製品情報を取得することもできる。
【0135】
総括すると、本発明に係る太陽電池パネルのリサイクル方法及びリサイクルシステム200によれば、リサイクルシステム200により回収された太陽電池パネル3に対応する履歴データのエントリがバックエンドサーバ800又は制御装置7に存在しているか否かを自動的に判定することができる。
【0136】
太陽電池パネル3に対応する履歴データのエントリが存在していない場合、リサイクルシステム200は、自動的に第1除去パラメータに基づいて基板33に対して除去や回収を実行し、第2除去パラメータに基づいて太陽電池ユニット32に対して除去や回収を実行し、全体のカバー板31を回収し、そして除去に関連するプロセスデータのエントリを太陽電池パネル3にかかる製品情報と関連付けて、該除去プロセスのエントリを、該太陽電池パネル3に対応する履歴データのエントリとしてバックエンドサーバ800又は制御装置7に記憶する。
【0137】
太陽電池パネル3に対応する履歴データのエントリが存在している場合、リサイクルシステム200は、第1除去パラメータまたは第1履歴パラメータを選択すること、及び第2除去パラメータまたは第2履歴パラメータを選択することを判定し、そして自動的に選択した第1除去パラメータまたは第1履歴パラメータに基づいて基板33に対して除去や回収を実行し、選択した第2除去パラメータまたは第2履歴パラメータに基づいて太陽電池ユニット32に対して除去や回収を実行し、全体のカバー板31を回収し、そして除去に関連するプロセスデータのエントリを太陽電池パネル3にかかる製品情報と関連付けて、該除去に関連するプロセスデータに基づいて、バックエンドサーバ800または制御装置7において将来的に用いられ得る太陽電池パネル3に対応する履歴データのエントリを更新する。
【0138】
つまり、本発明に係る太陽電池パネルのリサイクル方法及びリサイクルシステム200は、自動的に太陽電池パネル3の異なるタイプや種類や規格にそれぞれ対応している複数の履歴データのエントリの作成や更新を行なうことができる。そして、それらの履歴データのエントリは、参考データとして同一種類の太陽電池パネル3に対して回収プロセスを行なうように用いられ得る。
【0139】
よって、本発明に係る太陽電池パネルのリサイクル方法及びリサイクルシステム200は、適切な除去パラメータを用いて異なるタイプや種類や規格の太陽電池パネルに自動的に対応することによって、リサイクルプロセスの効率やリサイクル材料の純度を向上させることができる。
【0140】
上記においては、本発明の全体的な理解を促すべく、多くの具体的な詳細が示された。しかしながら、当業者であれば、一またはそれ以上の他の実施形態が具体的な詳細を示さなくとも実施され得ることが明らかである。
【0141】
以上、本発明の好ましい実施形態及び変化例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明に係る太陽電池パネルのリサイクル方法及びリサイクルシステムによれば、適切な除去パラメータを用いて異なるタイプや種類や規格の太陽電池パネルに自動的に対応することによって、リサイクルプロセスの効率やリサイクル材料の純度を向上させることができる。そのため、産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0143】
200 太陽電池パネルのリサイクルシステム
800 バックエンドサーバ
900 作業面
3 太陽電池パネル
301 第1残部
302 第2残部
31 カバー板
32 太陽電池ユニット
321 太陽電池
322 接着層
3221 底部
3222 上部
3223 中間部
33 基板
34 製品ラベル
4 キャプチャ装置
5 測定装置
51 第1計器
52 第2計器
6 除去装置
61 切除具
7 制御装置
D1~D4 高さ
Z0 高さ
S11~S16 ステップ