(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128998
(43)【公開日】2024-09-26
(54)【発明の名称】液化ガス用の貯蔵設備
(51)【国際特許分類】
F17C 3/04 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
F17C3/04 A
F17C3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024027889
(22)【出願日】2024-02-27
(31)【優先権主張番号】2301863
(32)【優先日】2023-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、ランドリュー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】サンプ構造体の取付けを簡単にする一方で、サンプ構造体の熱収縮/膨張を許容できる貯蔵設備を提供する。
【解決手段】支持構造体(2)と、封止された断熱タンクとを含む、液化ガス用の貯蔵設備(1)であって、タンクは、少なくとも1つの底壁を含み、底壁は、サンプ構造体(9)を含み、サンプ構造体(9)は、側壁を有する容器(11)を含み、容器(11)は、底壁の厚さを貫通して配置されており、かつ少なくとも部分的に、支持構造体(2)内に形成された凹部内に配置されており、サンプ構造体(9)は、側壁の全周にわたり取り付けられた金属支持リング(18)を有しており、貯蔵設備(1)は、支持構造体(2)に取り付けられかつ凹部の周囲に配置された少なくとも1つの支持ビーム(19)を有しており、支持ビーム(19)は、少なくとも1つのマスチック層を有している、貯蔵設備(1)に関する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体(2)と、封止された断熱タンクとを含む液化ガス用の貯蔵設備(1)であって、前記タンクは、前記支持構造体(2)に取り付けられた少なくとも1つの底壁(3)を含み、該底壁(3)は、厚さ方向に、少なくとも1つの封止メンブレン(5,7)と、該封止メンブレン(5,7)と前記支持構造体(2)との間に配置された少なくとも1つの断熱バリア(4,6)とを含む多層構造を有しており、
前記底壁(3)は、該底壁(3)の前記封止メンブレン(5,7)を局所的に中断するサンプ構造体(9)を含み、該サンプ構造体(9)は、側壁(15)を有する容器(11)を含み、該容器(11)は、前記底壁(3)の厚さを貫通して配置されておりかつ少なくとも部分的に、前記支持構造体(2)内に形成された凹部(8)内に配置されており、該凹部(8)は、凹部軸線(39)に沿って前記タンク(71)の外側に向かって延在しており、前記サンプ構造体(9)は、前記容器(11)から半径方向に、該容器(11)の外側に向かって突出するように前記側壁(15)の全周にわたり取り付けられた金属支持リング(18)を有しており、
前記貯蔵設備(1)は、前記支持構造体(2)に取り付けられかつ前記凹部(8)の周囲に配置された少なくとも1つの支持ビーム(19)を有しており、該支持ビーム(19)は、前記支持構造体(2)に対して平行に延在する少なくとも1つのマスチック層(20)を有しており、前記サンプ構造体(9)の前記金属支持リング(18)は、前記支持ビーム(19)に載置されるように構成されている、
貯蔵設備(1)。
【請求項2】
前記支持ビーム(19)は、前記凹部軸線(39)に対して平行な方向に、前記マスチック層(20)と、合板層(21)と、金属層(22)とを有しており、前記サンプ構造体(9)の前記金属支持リング(18)は、前記支持ビーム(19)の前記金属層(22)に載置されるように構成されている、請求項1記載の貯蔵設備(1)。
【請求項3】
前記支持構造体(2)は、前記凹部(8)の入口を形成する開口が穿孔された平らな支持壁を含み、前記少なくとも1つの支持ビーム(19)は、前記開口の周りの前記平らな支持壁に取り付けられている、請求項1または2記載の貯蔵設備(1)。
【請求項4】
前記容器(11)と前記凹部(8)とは、円形の横断面を有する円筒形状を有しており、前記貯蔵設備(1)は、少なくとも2つの支持ビーム(19)を含み、各ビームは、環状セクターの形状を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の貯蔵設備(1)。
【請求項5】
前記少なくとも2つの支持ビーム(19)は、該支持ビーム(19)の前記環状セクターの和が少なくとも180°の環状セクターを形成するように、寸法設定されている、請求項4記載の貯蔵設備(1)。
【請求項6】
前記貯蔵設備(1)は、前記支持構造体(2)に取り付けられかつ前記凹部の周りの周方向において前記2つの支持ビーム(19)の間に配置された少なくとも1つの止め具(33)を含み、前記金属支持リング(18)は、前記止め具(33)が収容されるノッチ(32)を含み、該ノッチ(32)は、前記止め具(33)と協働して、前記周方向での前記サンプ構造体(9)の動きを制限すると共に、前記半径方向での前記サンプ構造体(9)の動きを阻止するように構成された形状を有している、請求項4または5記載の貯蔵設備(1)。
【請求項7】
前記貯蔵設備(1)は、前記凹部(8)の周囲に均等に配分された4つの支持ビーム(19)と、前記凹部の周囲に均等に配分された4つの止め具(33)とを含み、前記封止メンブレン(5,7)は、第1の方向に延在する平行波形部の第1列と、第2の方向に延在する平行波形部の第2列とを有しており、前記4つの止め具(33)のうちの2つは、前記第1の方向において前記容器(11)の中心と整合しており、前記4つの止め具(33)のうちの別の2つは、前記第2の方向において前記容器(11)の中心と整合している、請求項6記載の貯蔵設備(1)。
【請求項8】
前記貯蔵設備(1)は、前記凹部軸線(39)に対して平行な方向において前記マスチック層(20)と前記支持構造体(2)との間に配置されたフィルム(24)を含み、該フィルム(24)は、前記マスチック層(20)が前記支持構造体(2)に付着することを防止するように構成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の貯蔵設備(1)。
【請求項9】
前記貯蔵設備(1)は、前記支持ビーム(19)に取り付けられた少なくとも1つの持上り防止板を含み、前記支持ビーム(19)と、前記少なくとも1つの持上り防止板(35)との間には、前記金属支持リング(18)が挟み込まれている、請求項1から8までのいずれか1項記載の貯蔵設備(1)。
【請求項10】
前記凹部軸線(39)は、前記凹部の回転軸線(39)であり、前記サンプ構造体は、該サンプ構造体の回転軸線(40)を有しており、前記凹部の前記回転軸線(39)と前記サンプ構造体の前記回転軸線(40)とは平行であり、互いに0~30mmの範囲の距離だけ離間されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の貯蔵設備(1)。
【請求項11】
低温液体製品を輸送するための船(70)であって、前記船は、二重船体(72)と、該二重船体内に配置された、請求項1から10までのいずれか1項記載の貯蔵設備(1)とを有している、船(70)。
【請求項12】
低温液体製品用の移送システムであって、該システムは、請求項11記載の船(70)と、該船の船体内に設置されたタンク(71)を浮体式のまたは陸上(77)の貯蔵設備(1)に接続するように配置された絶縁パイプライン(73,79,76,81)と、低温液体製品の流れを、前記浮体式のまたは陸上の貯蔵設備(1)から前記絶縁パイプラインを通して前記船の前記タンクへ運ぶか、または前記船の前記タンクから前記絶縁パイプラインを通して前記浮体式のまたは陸上の貯蔵設備(1)へ運ぶためのポンプとを含む、移送システム。
【請求項13】
支持構造体(2)と、封止された断熱タンク(71)とを含む液化ガス用の貯蔵設備(1)のサンプ構造体(9)を取り付ける方法であって、
- 凹部軸線(39)に沿って前記タンクの外側に向かって延在する凹部(8)を含む前記支持構造体(2)を準備するステップと、
- 側壁(15)を有する容器(11)と、前記側壁(15)の全周にわたり固定され、これにより、前記容器(11)から半径方向に、該容器(11)の外側に向かって突出した金属支持リング(18)とを含む前記サンプ構造体(9)を準備するステップと、
- 支持脚部(25)と、少なくとも1つの支持ビーム(19)とを前記支持構造体(2)に取り付け、これにより、前記支持脚部(25)と前記支持ビーム(19)とを前記凹部(8)の周囲に配置するステップであって、前記支持ビーム(19)は、前記支持構造体(2)に対して平行に延在する少なくとも1つのマスチック層(20)を含む、配置するステップと、
- 前記金属支持リング(18)が、前記少なくとも1つの支持ビーム(19)上に配置され、かつ前記容器(11)が少なくとも部分的に前記凹部(8)内に位置するように、前記サンプ構造体(9)を降ろすステップと、
- 前記支持脚部(25)により、前記サンプ構造体(9)のセンタリングおよび傾きを調整するステップと、
- 前記マスチック層(20)の重合を待機するステップと、
- 前記支持脚部(25)を取り外すステップと
を含む、方法。
【請求項14】
支持構造体(2)と、封止された断熱タンク(71)とを含む液化ガス用の貯蔵設備(1)のサンプ構造体(9)を取り付ける方法であって、
- 凹部軸線(39)に沿って前記タンクの外側に向かって延在する凹部(8)を含む前記支持構造体(2)を準備するステップと、
- 側壁(15)を有する容器(11)と、前記側壁(15)の全周にわたり固定され、これにより、前記容器(11)から半径方向に、該容器(11)の外側に向かって突出した金属支持リング(18)とを含む前記サンプ構造体(9)を準備するステップと、
- 少なくとも1つの支持ビーム(19)の一部を、前記金属支持リング(18)に予め取り付けるステップと、
- 支持脚部(25)を前記支持構造体(2)に取り付け、これにより、前記支持脚部(25)を前記凹部(8)の周囲に配置するステップと、
- 前記少なくとも1つの支持ビーム(19)に含まれるマスチック層(20)を、前記凹部の周囲に配置するステップと、
- 前記少なくとも1つの支持ビーム(19)の一部が、前記マスチック層(20)上に配置され、かつ前記容器(11)が少なくとも部分的に前記凹部(8)内に位置するように、前記サンプ構造体(9)を降ろすステップと、
- 前記支持脚部(25)により、前記サンプ構造体(9)のセンタリングおよび傾きを調整するステップと、
- 前記マスチック層(20)の重合を待機するステップと、
- 前記支持脚部(25)を取り外すステップと
を含む、方法。
【請求項15】
船(70)への積込みまたは船(70)からの積卸しのための方法であって、低温液体製品を、浮体式のまたは陸上(77)の貯蔵設備(1)から絶縁パイプライン(73,79,76,81)を通して請求項11記載の船(70)のタンク(71)へ運ぶか、または請求項11記載の船(70)のタンクから絶縁パイプライン(73,79,76,81)を通して浮体式のまたは陸上(77)の貯蔵設備(1)へ運ぶ、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンブレンを備える封止された断熱タンクの分野に関する。特に本発明は、低温液化ガスを貯蔵しかつ/または輸送するための封止された断熱タンク、例えば-50℃~0℃の温度範囲を有する(LPGとしても知られる)液化石油ガスを輸送するためのタンク、または大気圧でおよそ-162℃にて液化天然ガス(LNG)を輸送するためのタンク等に関する。これらのタンクは、陸地または浮体構造物に設置され得る。浮体構造物の場合、タンクは、液化ガスの輸送用、または浮体構造物の推進用燃料として用いられる液化ガスの収容用を意図したものであってよい。
【背景技術】
【0002】
技術的な背景
液化ガス用の貯蔵設備は、例えば国際公開第2020016509号の刊行物において公知である。この種の貯蔵設備は、支持構造体と、支持構造体内に配置されかつ支持構造体に取り付けられた、封止された断熱タンクとを有している。封止された断熱タンクは、多層構造を有しており、多層構造は、厚さ方向に、封止メンブレンと、この封止メンブレンと支持構造体との間に配置された断熱バリアとを含む。
【0003】
この種の貯蔵設備は、封止メンブレンを局所的に中断する、タンクの底壁に設けられたサンプ構造体を含み、前記サンプ構造体は、タンクの底壁に突入している容器を有している。サンプ構造体は、容器内の液体がタンクの最低液位にあるように、支持構造体に形成された凹部に配置されている。よって、この種の容器の内部にポンプを配置することにより、タンク内に積み込みかつタンクから降ろすことができる有効貨物体積を最適化することが可能である。
【0004】
LNG等の液化ガスをタンクに積み込む間、サンプ構造体等の、流体に直接接触するタンクの構成要素は、大きな温度変化にさらされ、その結果、熱収縮が生じる。このため、国際公開第2020016509号では、サンプ構造体を支持構造体に、サンプ構造体の容器の収縮と膨張とを許容する固定装置を介して取り付け、これにより、固定装置内の応力を制限する、という手段が講じられた。
【0005】
この種のシステムは、サンプ構造体の熱収縮に関連する機械的応力を制限するために適している一方で、複雑で、サンプ構造体を支持構造体に取り付ける際にかなりの取付け時間を要するという欠点を有している。
【0006】
実際、取付け中には、サンプ構造体の傾きとセンタリングとを制御する一方で、構造体の周りの支持が十分であるということを保証する必要がある。さらに、これらの点検では、支持構造体における表面の凹凸も考慮しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の概要
本発明は、貯蔵設備におけるサンプ構造体の取付けを簡単にする一方で、サンプ構造体の熱収縮/膨張を許容する、という思想に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施形態では、本発明は、支持構造体と、封止された断熱タンクとを含む液化ガス用の貯蔵設備であって、タンクは、支持構造体に取り付けられた少なくとも1つの底壁を含み、底壁は、厚さ方向に、少なくとも1つの封止メンブレンと、封止メンブレンと支持構造体との間に配置された少なくとも1つの断熱バリアとを含む多層構造を有しており、底壁は、底壁の封止メンブレンを局所的に中断するサンプ構造体を含み、サンプ構造体は、側壁を有する容器を含み、容器は、底壁の厚さを貫通して配置されておりかつ少なくとも部分的に、支持構造体内に形成された凹部内に配置されており、前記凹部は、凹部軸線に沿ってタンクの外側に向かって延在しており、サンプ構造体は、容器から半径方向に、前記容器の外側に向かって突出するように側壁の全周にわたり取り付けられた金属支持リングを有しており、貯蔵設備は、支持構造体に取り付けられかつ凹部の周囲に配置された少なくとも1つの支持ビームを有しており、支持ビームは、支持構造体に対して平行に延在する少なくとも1つのマスチック層を有しており、サンプ構造体の金属支持リングは、支持ビームに載置されるように構成されている、貯蔵設備を提供する。
【0009】
これらの特徴に基づき、支持ビームは、サンプ構造の取付けを簡単にすることを可能にする。実際には、支持ビームのマスチック層が、サンプ構造体の取付け中に、サンプ構造体の傾きのより簡単な調整を可能にし、マスチック層は、異なる領域において多かれ少なかれ圧縮され、これにより、支持構造体の欠点を補償することができる。
【0010】
好適には、支持ビームは、細長い形状を有する構造要素である。支持ビームは、それぞれ異なる形状を有していてよい。本発明の好適な実施形態では、支持ビームは湾曲した形状を有している。
【0011】
いくつかの実施形態では、この種の設備は、以下の特徴のうちの1つ以上を有している場合がある。
【0012】
1つの実施形態では、支持ビームは、凹部軸線に対して平行な方向に、マスチック層と、合板層と、金属層とを有しており、サンプ構造体の金属支持リングは、支持ビームの金属層に載置されるように構成されている。
【0013】
よって、支持ビームの金属層は、金属支持リングと協働して、サンプ構造体と支持構造体との間で保証されるべき若干の滑動を、金属対金属の接触により可能にする。最終的に、合板層が、サンプ構造体と支持構造体との間の熱伝達を制限することを可能にする。
【0014】
合板層は、断熱特性を有する任意の構成要素に置き換えられてもよく、したがって、例えば無垢材または複合材で実現され得る。
【0015】
1つの実施形態では、封止メンブレンは、前記容器の全周にわたり、容器に密着されている。
【0016】
1つの実施形態では、支持構造体は、凹部の全周にわたり配置されかつ凹部軸線に対して平行に延在する固定スタッドを有しており、支持ビームは、前記固定スタッドにより支持構造体に取り付けられている。
【0017】
1つの実施形態では、支持構造体は、凹部の入口を形成する開口が穿孔された平らな支持壁を含み、少なくとも1つの支持ビームが、開口の周りの平らな支持壁に取り付けられている。
【0018】
1つの実施形態では、容器と凹部とは、円形の横断面を有する円筒形状を有している。
【0019】
1つの実施形態では、貯蔵設備は、少なくとも2つの支持ビームを含み、各ビームは、環状セクターの形状を有している。
【0020】
1つの実施形態では、少なくとも2つの支持ビームが、支持ビームの環状セクターの和が少なくとも180°の環状セクターを形成するように、寸法設定されている。
【0021】
1つの実施形態では、貯蔵設備は、凹部の周りに配置された単独の環状形状の支持ビームを含む。
【0022】
1つの実施形態では、貯蔵設備は、支持構造体に取り付けられかつ凹部の周りの周方向において2つの支持ビームの間に配置された少なくとも1つの止め具を含み、金属支持リングは、止め具が収容されるノッチを含み、ノッチは、止め具と協働して、周方向でのサンプ構造体の動きを制限すると共に、半径方向でのサンプ構造体の動きを阻止するように構成された形状を有している。
【0023】
したがって、止め具は、サンプ構造体の動きを制限することを可能にする一方で、熱収縮/膨張に必要な自由度を保つ。
【0024】
1つの実施形態では、貯蔵設備は、支持ビームの環状セクターの形状を越えて配置されるように半径方向にオフセットされた少なくとも1つの止め具を含み、金属支持リングは、止め具が収容されるノッチを含み、ノッチは、止め具と協働して、周方向でのサンプ構造体の動きを制限すると共に、半径方向でのサンプ構造体の動きを阻止するように構成された形状を有している。この種の構成では、支持ビームの一部が、止め具とサンプ構造体との間に挟まれていてよい。
【0025】
1つの実施形態では、止め具が円区分を備えた円筒形状を有しているのに対して、ノッチは細長い形状を有している。
【0026】
1つの実施形態では、金属支持リングは、主環状体と、少なくとも1つのオフセット部分とを有しており、オフセット部分は主環状体から、凹部軸線に対して平行な方向に、支持構造体の方に向かって変位させられており、ノッチはオフセット部分に形成されている。
【0027】
したがって、止め具とノッチとの間の相互作用が、支持構造体の可能な限り近くで達成されることになる。
【0028】
1つの実施形態では、貯蔵設備は、凹部の周囲に均等に配分された4つの支持ビームと、凹部の周囲に均等に配分された4つの止め具とを含み、封止メンブレンは、第1の方向に延在する平行波形部の第1列と、第2の方向に延在する平行波形部の第2列とを有しており、4つの止め具のうちの2つは、第1の方向において容器の中心と整合しており、4つの止め具のうちの別の2つは、第2の方向において容器の中心と整合している。
【0029】
よって、より多くの数の支持ビームにより、支持ビームと金属支持リングとの間の平面同士の接触がより簡単に達成され得ることで、サンプ構造体の取付けを、より簡単に行うことが可能になる。さらに、4という数を選択することにより、止め具をタンクの各主軸線に沿って位置決めすることが可能になる。
【0030】
1つの実施形態では、貯蔵設備は、凹部軸線に対して平行な方向においてマスチック層と支持構造体との間に配置されたフィルムを含み、フィルムは、マスチック層が支持構造体に付着することを防止するように構成されている。
【0031】
したがって、フィルムは、支持構造体の変形中にマスチック層がさらされる応力を制限することを可能にする。
【0032】
1つの実施形態では、フィルムは、紙、例えばクラフト紙のシートから製造されているか、またはポリエチレンフィルムである。
【0033】
1つの実施形態では、マスチック層は、互いに離間された複数のマスチック区分を有しており、各マスチック区分の間には、発泡ブロックが配置されている。
【0034】
このようにして、発泡ブロックにより、サンプ構造体の取付け段階中またはマスチック層の重合前の、マスチック層の過度に急速なクリープを回避することが可能になる。
【0035】
1つの実施形態では、貯蔵設備は、支持ビームに取り付けられた少なくとも1つの持上り防止板を含み、支持ビームと、少なくとも1つの持上り防止板との間には、金属支持リングが挟み込まれている。
【0036】
これにより、持上り防止板は、特にタンクの内部と断熱バリアとの間の圧力に差がある場合に、凹部軸線に対して平行な方向にサンプ構造体が持ち上がる如何なる可能性も制限することを補助する。
【0037】
1つの実施形態では、金属支持リングおよび支持ビームの金属層は、ステンレス鋼から製造されている。
【0038】
1つの実施形態では、金属層の上面および金属支持リングの下面は、0.2~3.2μm、好適には0.2~1.6μmの範囲の算術平均粗さ(Ra)を有している。
【0039】
1つの実施形態では、支持ビームの金属層は、0.2未満、好適には0.05~0.2の摩擦係数を有する材料から製造されたコーティングを有している。滑動を容易にするために、金属層にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または高密度ポリエチレン(HDPE)の種類のコーティングを添加するか、または金属層に潤滑剤を供給することが可能である。
【0040】
1つの実施形態では、凹部軸線は、凹部の回転軸線であり、サンプ構造体は、サンプ構造体の回転軸線を有しており、凹部の回転軸線とサンプ構造体の回転軸線とは平行であり、互いに0~30mmの範囲の距離だけ離間されている。
【0041】
この種の設備は、例えばLNGを貯蔵するための陸上貯蔵設備であってよいか、または特に液化天然ガス運搬船、浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)、洋上浮体式生産貯蔵設備(FPSO)等のための浮体式、沿岸式、または外洋式の貯蔵設備であってもよい。この種の設備は、任意の種類の船に設けられた燃料タンクとして働いてもよい。
【0042】
1つの実施形態では、本発明は、支持構造体と、支持構造体により支持される、封止された断熱タンクとを含む液化ガス用の貯蔵設備のサンプ構造体を取り付ける方法であって、
- 凹部軸線に沿ってタンクから外側に向かって延在する凹部を含む支持構造体を準備するステップと、
- 側壁を有する容器と、側壁の全周にわたり固定され、これにより、容器から半径方向に、容器の外側に向かって突出した金属支持リングとを含むサンプ構造体を準備するステップと、
- 支持脚部と、少なくとも1つの支持ビームとを支持構造体に取り付け、これにより、支持脚部と支持ビームとを凹部の周囲に配置するステップであって、支持ビームは、支持構造体に対して平行に延在する少なくとも1つのマスチック層を含む、配置するステップと、
- 金属支持リングが、少なくとも1つの支持ビーム上に配置され、かつ容器が少なくとも部分的に凹部内に位置するように、サンプ構造体を降ろすステップと、
- 支持脚部により、サンプ構造体のセンタリングおよび傾きを調整するステップと、
- マスチック層の重合を待機するステップと、
- 支持脚部を取り外すステップと
を含む、方法も提供する。
【0043】
1つの実施形態では、本発明は、支持構造体と、支持構造体により支持される、封止された断熱タンクとを含む液化ガス用の貯蔵設備のサンプ構造体を取り付ける方法であって、
- 凹部軸線に沿ってタンクの外側に向かって延在する凹部を含む支持構造体を準備するステップと、
- 側壁を有する容器と、側壁の全周にわたり固定され、これにより、容器から半径方向に、容器の外側に向かって突出した金属支持リングとを含むサンプ構造体を準備するステップと、
- 少なくとも1つの支持ビームの一部を、金属支持リングに予め取り付けるステップと、
- 支持脚部を支持構造体に取り付け、これにより、支持脚部を凹部の周囲に配置するステップと、
- 少なくとも1つの支持ビームに含まれるマスチック層を、凹部の周囲に配置するステップと、
- 少なくとも1つの支持ビームの一部が、マスチック層上に配置され、かつ容器が部分的に凹部内に位置するように、サンプ構造体を降ろすステップと、
- 支持脚部により、サンプ構造体のセンタリングおよび傾きを調整するステップと、
- マスチック層の重合を待機するステップと、
- 支持脚部を取り外すステップと
を含む、方法も提供する。
【0044】
1つの実施形態では、少なくとも1つの支持ビームの部分は、合板層と金属層とを含む。
【0045】
1つの実施形態では、支持脚部は、第1の調整装置と第2の調整装置とを有しており、第1の調整装置は、サンプ構造体のセンタリングを調整することを可能にし、第2の調整装置は、サンプ構造体の傾きを調整することを可能にする。
【0046】
1つの実施形態では、第1の調整装置は、サンプ構造体に対して半径方向に延在する調整ねじを含む。
【0047】
1つの実施形態では、第2の調整装置は、凹部軸線に対して平行な方向に延在する調整ねじを含む。
【0048】
1つの実施形態では、本発明は同様に、低温液体製品を輸送するための船であって、前記船は、二重船体と、二重船体内に配置された、上述のような貯蔵設備とを有している、船に関する。
【0049】
1つの実施形態では、本発明は、低温液体製品用の移送システムも提供し、前記システムは、上述の船と、船の船体内に設置されたタンクを浮体式のまたは陸上の貯蔵設備に接続するように配置された絶縁パイプラインと、低温液体製品の流れを、浮体式のまたは陸上の貯蔵設備から絶縁パイプラインを通して船のタンクへ運ぶか、または船のタンクから絶縁パイプラインを通して浮体式のまたは陸上の貯蔵設備へ運ぶためのポンプとを含む。
【0050】
1つの実施形態では、本発明は、船への積込みまたは船からの積卸しのための方法であって、低温液体製品を、浮体式のまたは陸上の貯蔵設備から絶縁パイプラインを通して上述の船のタンクへ運ぶか、または上述の船のタンクから絶縁パイプラインを通して浮体式のまたは陸上の貯蔵設備へ運ぶ方法も提供する。
【0051】
本発明は、添付の図面を参照して、如何なる制限力もなしに単に図示することにより提供されるだけに過ぎない本発明のいくつかの特定の実施形態の以下の説明からより良く理解されると共に、本発明のその他の目的、詳細、特徴および利点も、より一層明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】第1の取付け態様による、マスチック層の配置に続いて支持構造体に形成された凹部を示す、支持構造体の斜視図である。
【
図2】第1の取付け態様において予め組み立てられた支持ビームの部分に取り付けられたサンプ構造体、特にサンプ構造体の金属支持リングを示す部分斜視図である。
【
図3】第2の取付け態様による、凹部の周りの支持構造体に取り付けられた支持ビームを示す斜視図である。
【
図4】サンプ構造体の配置後の、1つの実施形態による支持構造体の凹部内に配置されたサンプ構造体を示す斜視図である。
【
図5】1つの実施形態による、支持構造体の止め具と金属支持リングのノッチとの間の結合部においてサンプ構造体を示す部分斜視図である。
【
図6】1つの実施形態による、金属支持リングと支持ビームとの間の結合部においてサンプ構造体を示す部分斜視図である。
【
図7】1つの実施形態による、支持構造体の凹部内に配置されたサンプ構造体を示す断面図である。
【
図8】貯蔵設備を備えたLNG運搬船と、この貯蔵設備用の積込み/積卸しターミナルとを示す概略分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
実施形態の説明
以下の説明では、支持構造体2と封止された断熱タンク71とを含む、液化ガスの貯蔵および/または輸送用の貯蔵設備1を説明する。封止された断熱タンクは特に、地球の重力場に関してタンクの底部に配置された、好適には通常平らな底壁3を有している。タンクの一般的な幾何学形状は、様々な種類が存在していてもよい。多面体の幾何学形状が最も一般的である。円筒形の幾何学形状も可能である。
【0054】
底壁3は、支持構造体2に取り付けられており、例えば二重船体船70の内側船体等の厚い鋼板から製造されている。底壁3は、連続して、支持構造体2に固定された二次断熱バリア4と、二次断熱バリア4に支持された二次封止メンブレン5と、二次封止メンブレン5に配置された一次断熱バリア6と、タンク71内に含まれる液化ガスと接触することを意図した、一次断熱バリア6に支持された一次封止メンブレン7とを含む多層構造を有している。この多層構造は、特に
図7に概略的に示されている。一次封止メンブレン7は、液化ガスを収容することを意図した内部空間を画定する。例として、この種のメンブレンタンクは特に、国際公開第2019239048号、国際公開第14057221号、仏国特許出願公開第2691520号明細書および仏国特許出願公開第2877638号明細書の各特許出願に記載されている。
【0055】
タンク71内に貯蔵されることを意図した液化ガスは、特に液化天然ガス(LNG)、換言すると、主としてメタンおよび1つ以上のその他の炭化水素から主に成るガス混合物であってよい。液化ガスは、エタンまたは液化石油ガス(LPG)、換言すると、実質的にプロパンおよびブタンから成る石油精製物から得られた炭化水素の混合物であってもよい。
【0056】
図1には、タンク71の底壁3が固定されることになる、支持構造体2の実質的に平らな支持壁が示されている。支持壁には、凹部8の入口を形成する開口が穿孔されている。凹部8は、凹部軸線39に沿ってタンク71の外側に向かって延びている。
【0057】
凹部8は、以下に説明するサンプ構造体9を収容することを意図したものである。
【0058】
図7に見られるように、サンプ構造体9は、タンクの内部に連通する第1の容器10と、第1の容器10の下部を取り囲む第2の容器11とを有している。第1の容器10は、一次封止メンブレン7に封止式に連続的に結合されている。同様に、第2の容器11は、二次封止メンブレン5に封止式に連続的に結合されており、これにより、封止が完了している。
【0059】
より具体的には、第1の容器10は、円筒形の側壁12を有しており、側壁12の軸線は、支持壁に対して垂直であり、側壁12は、円筒形の側壁12の上部に配置された第1の取付けフランジ13を有しており、前記取付けフランジは、実質的に一次封止メンブレン7に整合している。円筒形の側壁12の下部は、支持構造体2の凹部8内に係合している。支持構造体2に対して平行な下壁14が、円筒形の側壁14を、その下部において閉鎖している。第1の取付けフランジ13は、円筒形の側壁12の上部の縁部に固定されており、その半径方向外側に、第1の容器10の全周にわたり突出している。よって、第1の容器10内に含まれる流体は、タンク71の最下点に位置している。
【0060】
同様に、第2の容器11は、円筒形の側壁15を有しており、側壁15の軸線は、支持壁に対して垂直であり、側壁15は、実質的に二次封止メンブレン5に整合する第2の取付けフランジ16と、第1の容器10の下壁14の下の凹部8内に係合する下部とを有している。支持壁に対して平行な下壁17が、第2の容器11の円筒形の側壁15を、その下部において閉鎖している。第2の容器11の円筒形の側壁15は、第1の容器10の円筒形の側壁12を、側壁12から間隔をあけて包囲している。第2の取付けフランジ16は、円筒形の側壁15の上部の縁部に固定されており、その半径方向外側に、第2の容器11の全周にわたり突出している。
【0061】
図7に見られる断熱コンポーネント37は、第1の容器10および第2の容器11の全周にわたり配置されている。
【0062】
使用中、第1の容器10は、その一次封止メンブレン7の下の位置に基づき、タンク内に存在する如何なる液体残渣も液だめ(サンプ)式に受け入れる。第1の容器10は、ポンプの吸込みヘッドを液体中に沈めたままにするために十分な容量を提供しており、これにより、タンクの作業効率を最大化する。
【0063】
良好な構造安定性のために、第1の容器10および第2の容器11は、封止メンブレンよりも剛性の材料から、例えば約6~20mmの厚さの金属板で製造されている。
【0064】
図2および
図7に示すように、サンプ構造体9は、第2の容器11の円筒形の側壁15の全周にわたり溶接された金属支持リング18を有している。金属支持リング18により、サンプ構造体9を支持構造体2に載置することが可能になる。
【0065】
本実施形態に記載のサンプ構造体9は、タンク71が本例では二重メンブレンタンクであるために互いに内外に配置された2つの容器10,11を有している。ただし、本発明は単独メンブレンタンクにも等しく適用可能である。このような場合には、単独容器の円筒形の側壁が、サンプ構造体を支持構造体に載置することを可能にする金属支持リングを有している。
【0066】
サンプ構造体9の別の実施形態は、例えば国際公開第2016/001142号に記載されている。
【0067】
貯蔵設備は、複数の、
図4に示す例では4つの支持ビーム19を有しており、これらの支持ビーム19は、凹部8の縁部の周りに均等に配分されて、支持構造体2に取り付けられている。別の実施形態(図示せず)では支持ビーム19の数は異なっていてよく、例えば単独の支持ビーム19であるか、または2つの支持ビーム19であってもよい。
【0068】
各支持ビームは、凹部軸線39に対して平行な方向において、マスチック層20と、マスチック20の上の合板層21と、合板層21に例えばねじまたはリベットにより取り付けられた金属層22とを有している。
図3に見られるように、これらの支持ビーム19は環状セクターの形状を有している。
【0069】
したがって、サンプ構造体9の金属支持リング18は、凹部8の全周にわたり、支持ビーム19の金属層22に載置されることになる。
【0070】
サンプ構造体9と、サンプ構造体9の、支持構造体2における支持とについて、本発明を、サンプ構造体9の異なる取付け段階において示す
図1~
図7を用いて、より詳細に説明する。
【0071】
図1には、第1の取付け態様による、支持構造体2上でのサンプ構造体9の取付けの第1段階が示されている。
【0072】
まず、特に二次断熱バリア4の二次断熱パネルおよびサンプ構造体9を含む、タンク71を構成する様々な構成要素の位置が、支持構造体2の支持壁にマーキングされる。このマーキングに続いて複数のアンカースタッド23が、様々な構成要素の所望の取付け点において、支持構造体2に溶接される。
【0073】
凹部8の全周にわたり、例えばクラフト紙から製造されたフィルム24が、将来的な支持ビーム19の位置に配置され、これにより、支持ビーム19のマスチック層20が支持構造体20に付着することを防ぐ。
【0074】
凹部8の周りの支持構造体2には、支持脚部25も取り付けられており、これにより、サンプ構造体9の正確な位置決めを容易にする。
【0075】
この第1の態様では、マスチック層20は、互いに離間された複数のマスチック区分26の形態で、クラフト紙24に直接被着されている。有利には、それぞれ異なるマスチック区分の間に発泡ブロック(図示せず)が挟まれており、これにより、マスチック層20の過度に急速なクリープが回避される。
【0076】
支持ビーム19の合板層21および金属層22に関して、これらは互いに予め取り付けられている。すなわち、
図2に見られるように、この場合、合板層21と金属層22とにより形成された支持ビーム19の部分は、例えば木ねじ27により、サンプ構造体9の金属支持リング18に一時的に取り付けられる。サンプ構造体9を凹部8内に位置決めするときに初めて、マスチック層20と、金属支持リングに取り付けられる支持ビームの部分とが組み立てられて、支持ビーム19を形成する。サンプ構造体9を位置決めした後に、支持ビーム19はアンカースタッド23により支持構造体2に取り付けられ、これにより、アンカースタッド23の部分が支持ビーム19から突出することになる。
【0077】
図3には、第2の取付け態様による、支持構造体2上でのサンプ構造体9の取付けの第1段階が示されている。
【0078】
この態様では、各支持ビーム19が、支持構造体2に配置される前に、予め組み立てられている。したがって、金属層22は、合板層21上にねじ締結またはリベット留めされており、マスチック層20は、合板層21のすぐ下で、互いに離間された、有利には発泡ブロック(図示せず)により離隔された、それぞれ異なるマスチック区分に配置されている。
【0079】
予め組み立てられた後に、次いで各支持ビーム19は、凹部8の全周に配置されたアンカースタッド23により、支持構造体に取り付けられ、これにより、マスチック層21は、支持構造体2に配置されたクラフト紙24のシート上に載置される。したがって、アンカースタッド23の部分が、支持ビーム19から突出することになる。
【0080】
図4には、支持構造体2上でのサンプ構造体9の取付けの第2段階が示されている。この段階では、サンプ構造体9が例えばウィンチにより持ち上げられ、凹部8と整合するように位置決めされる。次いで、サンプ構造体が凹部内に降ろされ、これにより、
- 第1の取付け態様では、マスチック層20に付着する金属支持リング18に、合板層21が一時的に取り付けられ、これにより、支持ビーム19を形成し、
- 第2の取付け態様では、金属支持リング18が、支持ビーム19の金属層22に接触するように配置される。
【0081】
さらに、降ろされた後に、サンプ構造体9の第2の取付けフランジ16が、支持脚部25の一方の端部に接触させられる。図示の例では、支持脚部25は前記端部に、凹部軸線39に対して平行な方向に延在する高さ調整ねじ28と、サンプ構造体9に対して半径方向に延在するセンタリングねじ29とを有している。
【0082】
凹部8の全周にわたり配置された、それぞれ異なる支持脚部25の高さ調整ねじ28を作動させることにより、サンプ構造体9の傾きを調整することが可能である。同様に、凹部8の全周にわたり配置された、それぞれ異なる支持脚部25のセンタリングねじ29を作動させることにより、凹部8に対するサンプ構造体9のセンタリングを調整することが可能である。
【0083】
サンプ構造体9を配置し、次いで傾きおよびセンタリングを調整する間、支持ビーム19のマスチック層20は、サンプ構造体9自体の重量により、異なる領域において多かれ少なかれ圧縮され、これにより、支持構造体2の平面性において如何なる凹凸も補償することができる。
【0084】
サンプ構造体9のセンタリング中、断熱パネルおよび/または波形加工された封止メンブレンの波形部の将来的な位置を示す、支持構造体2に設けられたマーキングを用いて、サンプ構造体9をセンタリングすることが可能である。このマーキングを用いたセンタリングの結果、
図7に見られるように、凹部8の回転軸線39と、サンプ構造体9の回転軸線40との間に不整合38が生じる場合がある。生じ得る如何なる不整合にもかかわらず、支持構造体2におけるサンプ構造体9の支持は、支持ビーム19により依然として保証されている。
【0085】
サンプ構造体9が所定の位置に保持されると、マスチック層が重合するまで、次いで取付けプロセスにより、例えば24時間の間、待機期間が提供される。別の実施形態(図示せず)では、第2の取付け態様に関して、マスチック層20の圧縮段階が、サンプ構造体9を凹部8内に配置する前に、例えば全ての支持ビーム19を圧縮するために適した寸法を有するより軽量の構造体を用いて実施され得る。
【0086】
マスチック層20が重合すると、支持脚部25は支持構造体2から取り外される。
【0087】
図5には、支持構造体2上でのサンプ構造体9の取付けの第3段階が示されている。
【0088】
この図に見られるように、金属支持リング18は、主環状体30と、サンプ構造体9の周囲に均等に配分された複数のオフセット部分31とを含む。各オフセット部分31は、主環状体30から、凹部軸線39に対して平行な方向に、支持構造体2の方に向かって変位させられている。各オフセット部分31は、主環状体31から、容器11の半径方向において容器11の外側に向かって突出している。各オフセット部分31は、細長い形状のノッチ32を有している。
【0089】
この段階で、円区分を有する円筒形の止め具33が、金属支持リング18に設けられた各ノッチ32内に配置され、支持構造体2に溶接される。止め具33はノッチ32と協働して、周方向でのサンプ構造体9の動きおよび半径方向でのサンプ構造体9の動きもが制限されることを可能にし、これにより、一次封止メンブレン7または二次封止メンブレン5に対する如何なる損傷も防止すると共に、一次断熱バリア6または二次断熱バリア4に対する如何なる損傷も防止する。
【0090】
サンプ構造体9の位置決め後に支持構造体2に止め具33を溶接することにより、製造誤差および取付け誤差を克服し、ひいてはサンプ構造体の取付けを容易にすることが可能である。
【0091】
支持構造体2への止め具33の部分的な溶接に続き、サンプ構造体9を一時的に持ち上げて止め具33の溶接を完了させ、これにより、溶接作業を容易にすることが有利な場合がある。この場合、第1の取付け態様に関して、サンプ構造体9を持ち上げる前に、木ねじ27が除去される。
【0092】
一次封止メンブレン7、または第1の方向に延在する平行波形部の第1列と、第2の方向に延在する平行波形部の第2列とを含む波形加工された二次封止メンブレン5の場合、設置部は、有利には4つの止め具33を有していてよく、4つの止め具33のうちの2つは、サンプ構造体の両側に配置されていて、第1の方向において第2の容器11の中心と整合しており、4つの止め具33のうちの別の2つは、サンプ構造体9の両側に配置されていて、第2の方向において第2の容器11の中心と整合している。図示の実施形態では、止め具33は、凹部8の周方向において隣り合う2つの支持ビーム19の間に配置されている。別の実施形態(図示せず)では、止め具33は、支持ビーム19の環状区分形状を越えて配置されているように、半径方向にオフセットされている。
【0093】
さらに、船70に設置される貯蔵設備1の場合、第1の方向は、有利には船70の長手方向であってよいのに対し、第2の方向は、船70の横方向であってよい。
【0094】
図5にも見られるように、金属支持リング18は、支持ビーム19から突出しているアンカースタッド23の部分と整合する複数の切欠き34も有している。これらの切欠き34は、金属支持リング18が、アンカースタッド23から間隔をあけて位置決めされることを可能にし、ひいてはサンプ構造体9の熱収縮/膨張変形を可能にする。これらの切欠き34は、主環状体30の自由端部に形成されている。
【0095】
第1の取付け態様の場合には、例えばこの取付け段階の終了時に、合板層21を金属支持リング18に一時的に取り付ける木ねじ27が除去される。
【0096】
図6には、支持構造体2上でのサンプ構造体9の取付けの第4段階が示されている。
【0097】
この段階では、支持ビーム19から突出しているアンカースタッド23に持上り防止板35が取り付けられ、これにより、金属支持リング18は、持上り防止板35と支持ビーム19との間に挟み込まれることになる。したがって、サンプ構造体9の凹部軸線39に対して平行な方向での並進運動が制限されている。持上り防止板35は、金属支持リング38に緊締されてはいないかまたは比較的緩く緊締されているため、サンプ構造体9は、熱収縮/膨張を妨げられていない。
【0098】
これらの持上り防止板35の取付けは、
図6に示すようなワッシャ/ナットアセンブリ36により達成され得る。持上り防止板35は、例えば切欠き34の直径よりも大きな直径を備えたディスク形状を有している。
【0099】
この段階に続き、サンプ構造体9の全周にわたり断熱コンポーネントが配置され、次いで二次断熱バリア4が、サンプ構造体9の周りに取り付けられる。次いで、二次封止メンブレン5と、一次断熱バリア6と、一次封止メンブレン7とが連続的に取り付けられる。
【0100】
図8を参照すると、船70の分解図が、船70の二重船体72内に取り付けられた、通常は角柱形状を有する封止された断熱タンク71を示している。タンクの壁は、タンク内に含まれるLNGと接触することを意図した一次封止メンブレン7と、一次封止メンブレン7と船70の二重船体72との間に配置された二次封止メンブレン5と、一次封止メンブレン7と二次封止メンブレン5との間および二次封止メンブレン5と二重船体72との間にそれぞれ配置された2つの断熱バリアとを含む。
【0101】
当該技術分野では周知のように、LNGの貨物をタンク71からまたはタンク71へ移すためには、船の上甲板に配置された積込み/積卸しパイプライン73が、適切なコネクタにより海洋または港湾ターミナルに接続され得る。
【0102】
図8には、積込みおよび積卸しステーション75と、海底導管76と、陸上設備77とを含む海洋ターミナルの一例が示されている。積込みおよび積卸しステーション75は、可動アーム74と、可動アーム74を支持するタワー78とを含む、固定された沖合設備である。可動アーム74は、積込み/積卸しパイプライン73に接続され得る絶縁されたフレキシブルパイプ79の束を支持している。方向付け可能な可動アーム74は、あらゆるLNG運搬船のサイズに適合し得る。連結導管(図示せず)が、タワー78の内部に延びている。積込みおよび積卸しステーション75は、メタン運搬船70の、陸上設備77へのまたは陸上設備77からの積込みおよび積卸しを可能にする。陸上設備77は、液化ガス貯蔵タンク80と、海底導管76により積込みまたは積卸しステーション75に接続された連結導管81とを含む。海底導管76は、液化ガスを、積込みおよび積卸しステーション75と陸上設備77との間で長距離にわたり、例えば5kmにわたり移送することができるようにし、これにより、積込みおよび積卸し作業中に、メタン運搬船70が沿岸から遠くに留まることが可能になる。
【0103】
液化ガスを移送するために必要とされる圧力を発生させるためには、船70に搭載されたポンプおよび/または陸上設備77に備え付けられたポンプおよび/または積込みおよび積卸しステーション75に備え付けられたポンプが使用される。
【0104】
本発明をいくつかの特定の実施形態に関連して説明してきたが、本発明が、これらに限定されることはないと共に、記載した手段の全ての技術的等価物ならびに本発明の範囲内にある場合にはこれらの組合せを包含するということは、極めて明白である。
【0105】
動詞「含む(include)」、「有する(comprise)」または「含む(contain)」およびその活用形の使用は、特許請求の範囲に記載したもの以外の構成要素または段階の存在を排除するものではない。
【0106】
特許請求の範囲では、括弧内に示したいずれの参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【外国語明細書】