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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012900
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
F24H9/02 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114704
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和政
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉田 康平
【テーマコード(参考)】
3L037
【Fターム(参考)】
3L037AA02
3L037AB01
(57)【要約】
【課題】給湯器を構成する筐体部において部品点数の削減と背板部端部の露出の抑制を両立することができ、且つ、背板部の取り付けを良好に行いやすい技術を提供する。
【解決手段】給湯器1の筐体部2は、前端側に開口部2Wが設けられる箱型の筐体本体2Bと、開口部2Wを閉塞するように筐体本体2Bに固定される前パネル2Aと、を備える。筐体本体2Bの背板部30の周縁部において、第1側部31の上端と上端部33の左右方向一方端との間には、上端部33よりも下位置且つ第1側部31よりも左右方向他方側に配置される第1切欠部110が設けられる。第2側部32の上端と上端部33の左右方向他方端との間には、上端部33よりも下位置且つ第2側部32よりも左右方向一方側に配置される第2切欠部120が設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端側に開口部が設けられる箱型の筐体本体と、
前記開口部を閉塞するように前記筐体本体に固定される前パネルと、
を備え、
前記筐体本体は、前記前パネルの後方側に配置されるとともに前記筐体本体の背面部を構成する背板部と、前記筐体本体の下面部を構成する底板部と、前記筐体本体の上面部を構成する天板部と、前記筐体本体の一対の側面部を構成する一対の側板部と、を具備し、
前記天板部と一対の前記側板部とが一体的に構成され、
一方の前記側板部は、前記天板部の左右方向一端部から折れ曲がり且つ下方側に延び、
他方の前記側板部は、前記天板部の左右方向他端部から折れ曲がり且つ下方側に延び、
一対の前記側板部の各々の前端部側には、各々の前記前端部から内側に折れ曲がる第1折れ曲がり片がそれぞれ設けられ、
一対の前記側板部及び前記天板部の各々の後端部側には、各々の前記後端部から内側に折れ曲がる第2折れ曲がり片がそれぞれ設けられ、
一対の前記側板部の各々の下端部側には、各々の前記下端部から内側に折れ曲がる第3折れ曲がり片がそれぞれ設けられ、
各々の前記第1折れ曲がり片に対して前記前パネルの周縁部が重なる構成で前記前パネルが固定され、
各々の前記第2折れ曲がり片に対して前記背板部の周縁部が前側から重なる構成で前記背板部が固定され、
各々の前記第3折れ曲がり片に対して前記底板部の左右両側の縁部が上側から重なる構成で前記底板部が固定され、
前記背板部における左右方向一方側の第1側部の外縁及び左右方向他方側の第2側部の外縁が上下方向に沿っており、
前記背板部の上端部の外縁が左右方向に沿っており、
前記背板部の周縁部において、前記第1側部の上端と前記上端部の左右方向一方端との間には、前記上端部よりも下位置且つ前記第1側部よりも左右方向他方側に配置される第1切欠部が設けられ、前記第2側部の上端と前記上端部の左右方向他方端との間には、前記上端部よりも下位置且つ前記第2側部よりも左右方向一方側に配置される第2切欠部が設けられる
給湯器。
【請求項2】
前記第1切欠部の外縁は、左右方向に対して傾斜しており、
前記第2切欠部の外縁は、左右方向に対して傾斜している
請求項1に記載の給湯器。
【請求項3】
前記第1切欠部の外縁と左右方向とのなす角度は45°よりも大きく、
前記第2切欠部の外縁と左右方向とのなす角度は45°よりも大きい
請求項2に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給湯器の外装ケースが開示されている。特許文献1に開示される外装ケースは、天面板と右側面板と左側面板とが一体的に構成されており、このような一体の外殻部に対して背面板が固定される構成をなす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-71817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される給湯器の外装ケースは、天面板及び両側面板が一体的に構成された一体物において、両側面板の後端部付近が内側に折り曲げられている。そして、各内側折れ曲がり部分に対して背面板の周縁部付近が前側から重ねられて固定される。このような外装ケースでは、上記一体物において両側面板の前端部や下端部に内側折れ曲がり部が存在しなければ、背面板を上記一体物の前側や下側から入り込ませ、後端部の内側折れ曲がり部に対して前側から重ねることは比較的容易である。しかし、両側面板の前端部や下端部に内側折れ曲がり部が存在すると、背面板を前側又は下側から入り込ませる際に前端部又は下端部の内側折れ曲がり部が干渉するため、干渉を避けるべく両側面板の間を広げるように変形させなければならない。しかし、大きく広げてしまうと塑性変形が生じてしまう。一方、両側面板の後端部の内側折れ曲がり部に対して後方側から重ねるように背面板を取り付ける取付構造も考えられるが、この取付構造では、背面板の端部(外縁)が露出してしまう。
【0005】
本開示は、給湯器を構成する筐体部において部品点数の削減と背板部端部の露出の抑制を両立することができ、且つ、背板部の取り付けを良好に行いやすい技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つである給湯器は、
前端側に開口部が設けられる箱型の筐体本体と、
前記開口部を閉塞するように前記筐体本体に固定される前パネルと、
を備え、
前記筐体本体は、前記前パネルの後方側に配置されるとともに前記筐体本体の背面部を構成する背板部と、前記筐体本体の下面部を構成する底板部と、前記筐体本体の上面部を構成する天板部と、前記筐体本体の一対の側面部を構成する一対の側板部と、を具備し、
前記天板部と一対の前記側板部とが一体的に構成され、
一方の前記側板部は、前記天板部の左右方向一端部から折れ曲がり且つ下方側に延び、
他方の前記側板部は、前記天板部の左右方向他端部から折れ曲がり且つ下方側に延び、
一対の前記側板部の各々の前端部側には、各々の前記前端部から内側に折れ曲がる第1折れ曲がり片がそれぞれ設けられ、
一対の前記側板部及び前記天板部の各々の後端部側には、各々の前記後端部から内側に折れ曲がる第2折れ曲がり片がそれぞれ設けられ、
一対の前記側板部の各々の下端部側には、各々の前記下端部から内側に折れ曲がる第3折れ曲がり片がそれぞれ設けられ、
各々の前記第1折れ曲がり片に対して前記前パネルの周縁部が重なる構成で前記前パネルが固定され、
各々の前記第2折れ曲がり片に対して前記背板部の周縁部が前側から重なる構成で前記背板部が固定され、
各々の前記第3折れ曲がり片に対して前記底板部の左右両側の縁部が上側から重なる構成で前記底板部が固定され、
前記背板部における左右方向一方側の第1側部の外縁及び左右方向他方側の第2側部の外縁が上下方向に沿っており、
前記背板部の上端部の外縁が左右方向に沿っており、
前記背板部の周縁部において、前記第1側部の上端と前記上端部の左右方向一方端との間には、前記上端部よりも下位置且つ前記第1側部よりも左右方向他方側に配置される第1切欠部が設けられ、前記第2側部の上端と前記上端部の左右方向他方端との間には、前記上端部よりも下位置且つ前記第2側部よりも左右方向一方側に配置される第2切欠部が設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る技術は、給湯器を構成する筐体部において部品点数の削減と背板部端部の露出の抑制を両立することができ、且つ、背板部の取り付けを良好に行いやすい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る給湯器において筐体部以外を省略した構成を例示する斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係る給湯器において前パネルを省略した状態を例示する正面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る給湯器における筐体部の分解斜視図である。
図4図4は、第1実施形態に係る給湯器の筐体部を後方側且つ斜め下側から見た斜視図である。
図5図5は、図4の筐体部から底板部を省略した構成を示す斜視図である。
図6図6は、図5の構成から背板部を省略した構成を示す斜視図である。
図7図7は、第1実施形態に係る給湯器の筐体部を後方側且つ斜め上側から見た斜視図である。
図8図8は、図7の構成から背板部及び底板部を省略した構成を示す斜視図である。
図9図9は、図7の筐体部に用いられる背板部を示す斜視図である。
図10図10は、図9の背板部の背面図である。
図11図11は、一体部に背板部を取り付ける工程を説明する説明図である。
図12図12は、第1実施形態に係る給湯器における筐体部の背面図である。
図13図13は、図10の一部を拡大して示す拡大図である。
図14図14は、図12の一部を拡大して示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本開示の実施形態が列記されて例示される。なお、以下で例示される特徴は、矛盾しない組み合わせでどのように組み合わされてもよい。
【0010】
〔1〕前端側に開口部が設けられる箱型の筐体本体と、
前記開口部を閉塞するように前記筐体本体に固定される前パネルと、
を備え、
前記筐体本体は、前記前パネルの後方側に配置されるとともに前記筐体本体の背面部を構成する背板部と、前記筐体本体の下面部を構成する底板部と、前記筐体本体の上面部を構成する天板部と、前記筐体本体の一対の側面部を構成する一対の側板部と、を具備し、
前記天板部と一対の前記側板部とが一体的に構成され、
一方の前記側板部は、前記天板部の左右方向一端部から折れ曲がり且つ下方側に延び、
他方の前記側板部は、前記天板部の左右方向他端部から折れ曲がり且つ下方側に延び、
一対の前記側板部の各々の前端部側には、各々の前記前端部から内側に折れ曲がる第1折れ曲がり片がそれぞれ設けられ、
一対の前記側板部及び前記天板部の各々の後端部側には、各々の前記後端部から内側に折れ曲がる第2折れ曲がり片がそれぞれ設けられ、
一対の前記側板部の各々の下端部側には、各々の前記下端部から内側に折れ曲がる第3折れ曲がり片がそれぞれ設けられ、
各々の前記第1折れ曲がり片に対して前記前パネルの周縁部が重なる構成で前記前パネルが固定され、
各々の前記第2折れ曲がり片に対して前記背板部の周縁部が前側から重なる構成で前記背板部が固定され、
各々の前記第3折れ曲がり片に対して前記底板部の左右両側の縁部が上側から重なる構成で前記底板部が固定され、
前記背板部における左右方向一方側の第1側部の外縁及び左右方向他方側の第2側部の外縁が上下方向に沿っており、
前記背板部の上端部の外縁が左右方向に沿っており、
前記背板部の周縁部において、前記第1側部の上端と前記上端部の左右方向一方端との間には、前記上端部よりも下位置且つ前記第1側部よりも左右方向他方側に配置される第1切欠部が設けられ、前記第2側部の上端と前記上端部の左右方向他方端との間には、前記上端部よりも下位置且つ前記第2側部よりも左右方向一方側に配置される第2切欠部が設けられる
給湯器。
【0011】
上記〔1〕の給湯器は、天板部と一対の側板部とが一体的に構成されるため、部品点数が抑えられ、背板部の外縁が第1折れ曲がり片の付近によって覆われるため、背板部端部の露出を抑制することができる。更に、背板部の周縁部において、第1側部の上端と上端部の左右方向一方端との間に上端部よりも下位置且つ第1側部よりも左右方向他方側に配置される第1切欠部が設けられる。そして、第2側部の上端と上端部の左右方向他方端との間には、上端部よりも下位置且つ第2側部よりも左右方向一方側に配置される第2切欠部が設けられる。このように第1切欠部及び第2切欠部が設けられるため、天板部と一対の側板部とが一体的に構成された一体物に対して、正規位置(第1折れ曲がり片の後方側、第2曲がり片の前方側、第3折れ曲がり片の上方側)に背板部を配置する場合に、一対の側板部をより小さく広げて背板部を配置することができ、背板部の配置を良好に行いやすい。
【0012】
〔2〕前記第1切欠部の外縁は、左右方向に対して傾斜しており、
前記第2切欠部の外縁は、左右方向に対して傾斜している
〔1〕に記載の給湯器。
【0013】
上記〔2〕の給湯器は、第1切欠部及び第2切欠部の外縁が傾斜しているため、一対の側板部を広げて背板部を配置する際に、第1切欠部や第2切欠部の外縁が引っ掛かりにくい。
【0014】
〔3〕前記第1切欠部の外縁と左右方向とのなす角度は45°よりも大きく、
前記第2切欠部の外縁と左右方向とのなす角度は45°よりも大きい
〔2〕に記載の給湯器。
【0015】
上記〔3〕の給湯器は、天板部と一対の側板部とが一体的に構成された一体物に対して、正規位置(第1折れ曲がり片の後方側、第2曲がり片の前方側、第3折れ曲がり片の上方側)に背板部を配置する場合に、一対の側板部をより小さく広げて背板部を配置することができる。よって、上記の給湯器は、一対の側板部を大きく広げすぎることに起因する弊害(例えば、塑性変形など)をより効果的に防ぎやすい。
【0016】
<第1実施形態>
以下の説明は、第1実施形態に係る給湯器1に関する。
1.給湯器1の全体構成
図1は、第1実施形態に係る給湯器1において筐体部2以外を省略した構成を例示する斜視図である。図2は、給湯器1の筐体部2から前パネル2Aを外した構成を簡略的に例示する正面図である。図1図2のように、給湯器1は、筐体部2、燃焼装置3、熱交換器4,排気部5、送風機7などを備える。給湯器1は、例えば、屋内設置型の給湯器である。
【0017】
筐体部2は、大部分又は全部が金属材料によって構成される箱状のケースであり、図2のように前端側に開口部2Wが設けられるとともに前方が開放した箱型の形態をなす筐体本体2Bと、筐体本体2Bに対して着脱される前パネル2Aとを備える。前パネル2Aは、開口部2Wを前側から閉塞するように筐体本体2Bに固定される。
【0018】
図2のように、筐体部2は、燃焼装置3、熱交換器4、排気部5、送風機7などの各部品を収容する。燃焼装置3は、筐体部2の内部において中央付近に配置される。熱交換器4は、筐体部2の内部において燃焼装置3の上方に配置される。排気部5は、筐体部2の内部において熱交換器4の上方に配置される。ガス分配部10は、燃焼装置3と前パネル2Aとの間に配置される。送風機7は、筐体部2の内部において燃焼装置3の下側に配置される。
【0019】
図1図2図3図6図9のように、本実施形態の例では、矩形状に構成される前パネル2Aの長手方向が上下方向となっており、例えば、給湯器1を設置したときの鉛直上下方向が上記上下方向である。そして、前パネル2Aの短手方向が左右方向となっており、上記上下方向及び上記左右方向と直交する方向が前後方向である。また、本実施形態の例では、背板部30の長手方向が上下方向となっており、背板部30の短手方向が左右方向となっている。また、本実施形態の例では、一対の側板部60,70が延びる方向が上下方向であり、天板部50が延びる方向が左右方向であり、底板部40が延びる方向も左右方向である。更に、本実施形態の例では、一対の側板部60,70が向かい合う方向は左右方向であり、一対の側板部60,70における平板部69,79の板厚方向も左右方向である。本実施形態の例では、天板部50と底板部40が向かい合う方向が上下方向であり、天板部50における平板部59の板厚方向も上下方向である。給湯器1を正面視した場合の左側が給湯器1の左側であり、給湯器1を正面視した場合の右側が給湯器1の右側である。
【0020】
図2に示される燃焼装置3は、ガス分配部10を介して供給されるガス(燃料ガス)を上記バーナ群によって燃焼させる装置であり、ケース3Aやバーナ群などを備える。ケース3Aは、筐体部2内に収まる角箱状のケースである。熱交換器4は、燃焼装置3でのガスの燃焼に基づく燃焼排気が供給される装置であり、金属製のケーシング4Aと、ケーシング4Aの内部に少なくとも一部が収容される伝熱管とを備える。熱交換器4は、燃焼装置3から排出される燃焼排気を導入して内部を通過させ、この燃焼排気と伝熱管内を流れる水との間で熱交換を行うことで、伝熱管内の水を加熱する。熱交換器4内を通過した燃焼排気は排気部5に排出される。排気部5は、排気部本体5Aと排気筒5Bとを備え、排気部本体5Aは、熱交換器4から排出された燃焼排気を上方に導く流路であり、排気筒5Bは、排気部本体5A内の燃焼排気を給湯器1の外部へ排出する流路である。送風機7は、燃焼用空気を供給するファンである。送風機7は、例えば、図示されていないモータの駆動軸が回転することにより、この駆動軸と連動する複数の羽根が回転し、上側(燃焼装置3側)に向かって強制的に空気を流す。
【0021】
図2のように、給湯器1において筐体部2の下側には、給湯器1の外部に設けられるガス管からガスが導入される導入口であるガス入口191と、給湯器1の外部に設けられる水道管から水が導入される水入口192と、湯を給湯器1の外部に導出する出湯口である湯出口193とが設けられている。ガス入口191に導入されたガスは、元弁や比例弁等を備えたガス供給部114を介してガス分配部10内に供給される。水入口192に導入された水は、給水管115を介して熱交換器4の伝熱管に供給される。図2には、給水管115の一部が図示される。熱交換器4の伝熱管によって導かれる湯は、伝熱管の下流端に接続された出湯管116を介して湯出口193から排出される。
【0022】
2.筐体部2の詳細構成
図1のように、筐体本体2Bは、前パネル2Aの後方側に配置される。図3のように、筐体本体2Bは、背面部を構成する背板部30と、筐体本体2Bの下面部を構成する底板部40と、筐体本体2Bの上面部を構成する天板部50と、筐体本体2Bの一対の側面部を構成する一対の側板部60,70と、を具備する。筐体部2は、後方側且つ斜め下側から見た外観が図4のようになっている。図4から底板部40を省略した構成が、図5のようになっており、図5の構成から背板部30を省略した構成が図6のようになっている。筐体部2は、後方側且つ斜め上側から見た構成が図7のようになっており、図7から背板部30及び底板部40を省略した構成が図8のようになっている。そして、図7から取り外された背板部30の構成が、図9のようになっている。更に、背板部30を真後ろから見た構成(背面視した構成)が図10のようになっている。
【0023】
図3のように、前パネル2Aは、金属板によって板状に構成された板部90と、板部90の上端から折れ曲がる上側折れ曲がり部16と、板部90の左端から折れ曲がる左側折れ曲がり部14と、板部90の右端から折れ曲がる右側折れ曲がり部15と、板部90の下端から折れ曲がる下側折れ曲がり部18とを備える。図1図3の例では、前パネル2Aの前面部の大部分の領域が板部90によって構成され、中央側の一部領域が板部90以外の部品(パネル92,94)によって構成されている。前パネル2Aにおける板部90、上側折れ曲がり部16、左側折れ曲がり部14、右側折れ曲がり部15、下側折れ曲がり部18は、例えば、金属板材に対して塗装が施された構成をなす。
【0024】
上側折れ曲がり部16は、前パネル2Aの上面部を構成する。上側折れ曲がり部16は、長板部16Cと、長板部16Cの後端から折れ曲がって下方に突出する突出部16A,16Bとを備える。長板部16Cは、左右方向に延びるとともに上下方向を板厚方向とする構成で、細長の板状に構成されている。突出部16Aは、長板部16Cの左端寄りの位置から下方に突出する板片である。突出部16Bは、長板部16Cの右端寄りの位置から下方に突出する板片である。
【0025】
下側折れ曲がり部18は前パネル2Aの下面部を構成する。下側折れ曲がり部18は、長板部18Cと、長板部18Cの後端から更に後方に突出する突出部18A,18Bとを備える。長板部18Cは、左右方向に延びるとともに上下方向を板厚方向とする構成で、細長の板状に構成されている。突出部18Aは、長板部18Cの左端寄りの位置から後方に突出する板片である。突出部18Bは、長板部18Cの右端寄りの位置から後方に突出する板片である。
【0026】
左側折れ曲がり部14は、前パネル2Aの左側の側面部を構成する。図1のような取り付け状態のときには、左側折れ曲がり部14の後端部は、後述される第1折れ曲がり片61の前端部と近接しつつ対向する。右側折れ曲がり部15は、前パネル2Aの右側の側面部を構成する。図1のような取り付け状態のときには、右側折れ曲がり部15の後端部は、後述される第2折れ曲がり片62の前端部と近接しつつ対向する。
【0027】
図1図3のように、筐体本体2Bは、一体部20、背板部30、及び底板部40を備える。図2のように、筐体本体2Bは、前側に開口部2Wが設けられた開閉可能な構造をなし、一体部20、背板部30、底板部40によって各収容部品(燃焼装置3、熱交換器4、排気部5、送風機7等)の上下左右及び後方を覆うように配置される。
【0028】
図3のように、一体部20は、天板部50と一対の側板部60,70とが一体的に構成された部分である。一体部20は、天板部50に対して側板部60及び側板部70が折れ曲がった構成をなす。図3の例では、天板部50、側板部60、70がそれぞれ板状に構成されている。
【0029】
天板部50は、上面及び下面が上下方向と直交する板面である平板部59を備える。図3の例では、天板部50の大部分の領域が平板部59として構成され、平板部59が上記各収容部品を上方側から覆う。天板部50は、左右方向に沿って延びている。具体的には、平板部59の上面及び下面のいずれも、左右方向及び前後方向と平行に配置されている。
【0030】
図3のように、一方の側板部60は、天板部50の左右方向一端部(図3の例では左端部)から折れ曲がり且つ下方側に延びる。側板部60は、筐体部2の左側の側面部を構成する。側板部60は、外側の面及び内側の面が左右方向と直交する板面である平板部69を備える。図3の例では、側板部60の大部分の領域が平板部69として構成され、平板部69が上記各収容部品を左側から覆っている。側板部60は、上下方向に沿って延びており、具体的には、平板部69の外側の面(左面)及び内側の面(右面)のいずれも、上下方向及び前後方向と平行に配置されている。
【0031】
図3のように、他方の側板部70は、天板部50の左右方向他端部(図3の例では右端部)から折れ曲がり且つ下方側に延びる。側板部70は、筐体部2の右側の側面部を構成する。側板部70は、外側の面及び内側の面が左右方向と直交する板面である平板部79を備える。図3の例では、側板部70の大部分の領域が平板部79として構成され、平板部79が上記各収容部品を右側から覆っている。側板部70は、上下方向に沿って延びており、具体的には、平板部79の外側の面(右面)及び内側の面(左面)のいずれも、上下方向及び前後方向と平行に配置されている。
【0032】
図3に示される一体部20は、例えば、金属の板材に対して曲げ加工が施されて構成されている。具体的には、天板部50の平板部59に対して側板部60の平板部69が直角又は略直角に配置されるように天板部50の左右方向一端部において側板部60が下方に曲げられている。同様に、天板部50の平板部59に対して側板部70の平板部79が直角又は略直角に配置されるように天板部50の左右方向他端部において側板部70が下方に曲げられている。一体部20は、例えば、金属板材に対して塗装が施された構成をなす。
【0033】
図3のように、一対の側板部60,70の各々の前端部側には、各々の前端部から内側に折れ曲がる第1折れ曲がり片61,71がそれぞれ設けられる。図4のように、一対の側板部60,70及び天板部50の各々の後端部側には、各々の後端部から内側に折れ曲がる第2折れ曲がり片62,72がそれぞれ設けられる。第2折れ曲がり片62と第2折れ曲がり片72は、互いに左右対称の形状となっている。更に、一対の側板部60,70の各々の下端部側には、各々の下端部から内側に折れ曲がる第3折れ曲がり片63,73がそれぞれ設けられる。第3折れ曲がり片63と第3折れ曲がり片73は、互いに左右対称の形状となっている。
【0034】
図3のように、左右方向一方側の第1折れ曲がり片61は、平板部69によって大部分又は全部が構成される左側面部(側板部60のうちの筐体部2の左側面を構成する部分)に対して一体的に連結され、当該左側面部の前端部から内側(左右方向他方側である右側)に折れ曲がっている。図6のように、左右方向一方側の第2折れ曲がり片62は、平板部69を含む上記左側面部に対して一体的に連結され、上記左側面部の後端部から内側(左右方向他方側である右側)に折れ曲がっている。左右方向一方側の第3折れ曲がり片63は、平板部69を含む上記左側面部に対して一体的に連結され、上記左側面部の下端部から内側(左右方向他方側である右側)に折れ曲がっている。上記左側面部は、全部が平板部69によって構成されていてもよく、平板部69ではない部分(例えば、突起や段差など)が多少存在してもよい。第2折れ曲がり片62は、上下方向に延び且つ板厚方向を前後方向とする板片として構成される。第1折れ曲がり片61の内側(右側)への最大突出量は、第2折れ曲がり片62の内側(右側)への最大突出量よりも小さく、第3折れ曲がり片63の内側(右側)への最大突出量よりも小さい。図3図6の構成では、共通の金属板材(天板部50及び両側板部60,70を構成する元となる共通の金属板材)に対する曲げ加工により、平板部69を有する上記左側面部と第1折れ曲がり片61と第2折れ曲がり片62と第3折れ曲がり片63とが一体的に構成される。
【0035】
図3のように、左右方向他方側の第1折れ曲がり片71は、平板部79によって大部分又は全部が構成される右側面部(側板部70のうちの筐体部2の右側面を構成する部分)に対して一体的に連結され、右側面部の前端部から内側(左右方向一方側である左側)に折れ曲がっている。図6のように、左右方向他方側の第2折れ曲がり片72は、平板部79を含む上記右側面部に対して一体的に連結され、右側面部の後端部から内側(左右方向一方側である左側)に折れ曲がっている。左右方向他方側の第3折れ曲がり片73は、平板部79を含む上記右側面部に対して一体的に連結され、右側面部の下端部から内側(左右方向一方側である左側)に折れ曲がっている。上記右側面部は、全部が平板部79によって構成されていてもよく、平板部79ではない部分(例えば、突起や段差など)が多少存在してもよい。第2折れ曲がり片72は、上下方向に延び且つ板厚方向を前後方向とする板片として構成される。第1折れ曲がり片71の内側(左側)への最大突出量は、第2折れ曲がり片72の内側(左側)への最大突出量よりも小さく、第3折れ曲がり片73の内側(左側)への最大突出量よりも小さい。図3図6の構成では、共通の金属板材(天板部50及び両側板部60,70を構成する元となる共通の金属板材)に対する曲げ加工により、平板部79を有する上記右側面部と第1折れ曲がり片71と第2折れ曲がり片72と第3折れ曲がり片73とが一体的に構成される。
【0036】
図3図6の例では、天板部50にも第1折れ曲がり片51及び第2折れ曲がり片52が設けられる。第1折れ曲がり片51は、単に折れ曲がり片51とも称される。図3のように、上端側の第1折れ曲がり片51は、平板部59によって大部分又は全部が構成される上面部(天板部50のうちの筐体部2の上面を構成する部分)に対して一体的に連結され、上記上面部の前端部から内側(下側)に折れ曲がっている。図6のように、上端側の第2折れ曲がり片52は、平板部59を含む上記上面部に対して一体的に連結され、上面部の後端部から内側(下側)に折れ曲がっている。上記上面部は、全部が平板部59によって構成されていてもよく、平板部59ではない部分(例えば、突起や段差など)が多少存在してもよい。第2折れ曲がり片52は、左右方向に延び且つ板厚方向を前後方向とする板片として構成される。第1折れ曲がり片51の内側(下側)への最大突出量は、第2折れ曲がり片52の内側(下側)への最大突出量よりも小さい。図3図6の構成では、共通の金属板材(天板部50及び両側板部60,70を構成する元となる共通の金属板材)に対する曲げ加工により、平板部59を有する上記上面部と第1折れ曲がり片51と第2折れ曲がり片52とが一体的に構成される。平板部59を含む上記上面部は、左右方向中央側に凹部57が設けられる。凹部57は、上記上面部の前端から後方側に向かって凹むように設けられている。凹部57の内側の領域は、上記上面部の上側と下側を連通させる構成をなす開放した形態の連通部であり、図2の例では、凹部57内を通るように排気部5の一部が配置されている。
【0037】
図3のように、底板部40は、一体部20とは別部材として構成される。底板部40は、板状に構成される部材である。例えば、底板部40は、金属の板材に対して加工が施されて形成されている。底板部40は、上面及び下面が上下方向と直交する板面である平板部49を備える。図3図4の例では、底板部40の大部分の領域が平板部49として構成され、平板部49が上記各収容部品を下方側から覆う。図4のように、底板部40は、左右方向に沿って延びており、具体的には、平板部59の上面及び下面のいずれも、左右方向及び前後方向と平行に配置されている。
【0038】
底板部40の前端部には、折れ曲がり片41が設けられる。底板部40の後端部には、折れ曲がり片42が設けられる。図3のように、折れ曲がり片41は、平板部49によって大部分が構成される下面部(底板部40のうちの筐体部2の下面を構成する部分)に対して一体的に連結され、上記下面部の前端部から内側(上側)に折れ曲がっている。図7のように、折れ曲がり片42は、平板部49を含む上記下面部に対して一体的に連結され、下面部の後端部から内側(上側)に折れ曲がっている。図3図7の構成では、共通の金属板材(天板部50や両側板部60,70を構成する共通の金属板材とは異なる共通の板材)に対する曲げ加工により、平板部49を有する上記下面部と折れ曲がり片41と折れ曲がり片42とが一体的に構成される。
【0039】
図7図9図10のように、背板部30は、板状に構成される部材である。背板部30は、筐体本体2Bの背面部(裏面部)を構成し、給湯器1の背面部(裏面部)を構成する。背板部30は、上述の各収容部品の後方を覆うように配置される。図9図10の例では、背板部30は、全体として矩形状に構成される。図9図10の例では、背板部30が上下方向を長手方向とした形態で縦長に構成される。図7図8のように、背板部30は一体部20に対して着脱され得る部材であり、底板部40に対しても着脱され得る部材である。つまり、筐体部2は、前パネル2A、背板部30、一体部20、底板部40が、それぞれ別々に離脱し得る構成をなしている。図10図14は、給湯器1(図2)や背板部30等を後方側から見た図であるため、図面の右側が給湯器1の左側であり、図面の左側が給湯器1の右側である。
【0040】
背板部30は平板部39と周縁部100とを有する。背板部30の周縁を構成する周縁部100は、上側周縁部103、下側周縁部104、左側周縁部101、右側周縁部102、切欠部110,120を有する。図9図10の例では、左側周縁部101の上端部が切欠部110の下端部を構成する。切欠部110の上端部は、上側周縁部103の左端部を構成する。上側周縁部103の右端部は、切欠部120の上端部を構成する。切欠部120の下端部は、右側周縁部102の上端部を構成する。右側周縁部102の下端部は、下側周縁部104の右端部を構成する。下側周縁部の左端部は、左側周縁部101の下端部を構成する。
【0041】
図10の例では、背板部30において左右方向一方側に配置される第1側部31が左側周縁部101の全体を構成する。第1側部31の縁(外縁)は、上下方向に沿っている。図10の例では、第1側部31の外縁は、左右方向及び前後方向と直交し且つ上下方向と平行に直線状に延びている。なお、図10の構成はあくまで一例であり、図10の例を若干変更し、第1側部31が左側周縁部101の大部分を構成し、一部が第1側部31以外の構成(例えば、凹部や段差等)としてもよい。
【0042】
図10の例では、背板部30において左右方向他方側に配置される第2側部32が右側周縁部102の全体を構成する。第2側部32の縁(外縁)は、上下方向に沿っている。図10の例では、第2側部32の外縁は、左右方向及び前後方向と直交し且つ上下方向と平行に直線状に延びている。なお、図10の構成はあくまで一例であり、図10の例を若干変更し、第2側部32が右側周縁部102の大部分を構成し、一部が第2側部32以外の構成(例えば、凹部や段差等)としてもよい。
【0043】
図10の例では、背板部30において上端側に配置される上端部33が上側周縁部103の大部分を構成し、上端部33以外の部分として残余部103A,103Bが設けられる。図10の例では、残余部103A,103Bは、上端部33よりも下側に凹む凹部として構成されている。上端部33の縁(外縁)は、左右方向に沿っている。具体的には、上端部33の外縁は、上下方向及び前後方向と直交し且つ左右方向と平行に直線状に延びている。
【0044】
図10の例では、背板部30の周縁部100において、第1側部31の上端と上端部33の左右方向一方端(左端)との間に、上端部33よりも下位置且つ第1側部31よりも左右方向他方側(右側)に配置される第1切欠部110が設けられる。第1切欠部110は、単に切欠部110とも称される。第1切欠部110は、外縁が傾斜した傾斜部として構成される。第1切欠部110の縁(外縁)は、左右方向に対して傾斜している。第1切欠部110の外縁と左右方向とのなす角度は45°よりも大きい。具体的には、第1切欠部110の外縁の方向と上端部33の外縁の方向とのなす角度のうちの鋭角となる角度は、45°よりも大きい角度となっている。一方、第1側部31の外縁の方向と第1切欠部110の外縁の方向とのなす角度のうちの鋭角となる角度は、45°よりも小さい角度となっている。第1切欠部110の大きさは、第2折れ曲がり片62に覆われる大きさであり、具体的には、第2折れ曲がり片52及び第2折れ曲がり片62のいずれにも覆われる大きさである。例えば、第1切欠部110は、自身の大部分(過半領域)が第2折れ曲がり片62に覆われる大きさとなっている。第1切欠部110における傾斜した縁の長さは、第2折れ曲がり片62の左右方向の突出量よりも大きく、第2折れ曲がり片52の上下方向の突出量よりも大きい。
【0045】
図10の例では、背板部30の周縁部100において、第2側部32の上端と上端部33の左右方向他方端(右端)との間に、上端部33よりも下位置且つ第2側部32よりも左右方向一方側(左側)に配置される第2切欠部120が設けられる。第2切欠部120は、単に切欠部120とも称される。第2切欠部120は、外縁が傾斜した傾斜部として構成される。第2切欠部120の縁(外縁)は、左右方向に対して傾斜している。第2切欠部120の外縁と左右方向とのなす角度は45°よりも大きい。具体的には、第2切欠部120の外縁の方向と上端部33の外縁の方向とのなす角度のうちの鋭角となる角度は、45°よりも大きい角度となっている。一方、第2側部32の外縁の方向と第2切欠部120の外縁の方向とのなす角度のうちの鋭角となる角度は、45°よりも小さい角度となっている。第2切欠部120の大きさは、第2折れ曲がり片72に覆われる大きさであり、具体的には、第2折れ曲がり片52及び第2折れ曲がり片72のいずれにも覆われる大きさである。例えば、第2切欠部120は、自身の大部分(過半領域)が第2折れ曲がり片72に覆われる大きさとなっている。第2切欠部120における傾斜した縁の長さは、第2折れ曲がり片72の左右方向の突出量よりも大きく、第2折れ曲がり片52の上下方向の突出量よりも大きい。第1切欠部110及び第2切欠部120は、後述される図11のような組み付け工程の際に一体部20に塑性変形が生じない大きさとなっている。本実施形態では、第1切欠部110と第2切欠部120は、互いに左右対称の形状となっている。
【0046】
本実施形態に係る給湯器1では、給湯器1の製造又は組み立てを行う場合、上述の構成をなす一体部20に対して背板部30及び底板部40を組み付けることで筐体本体2Bを構成する。筐体本体2Bを構成する場合、一体部20に対して、図11のように、一体部20内に背板部30を案内することにより、一体部20に対する正規取付位置に背板部30を配置する。正規取付位置は、背板部30が第3折れ曲がり片63,73の上方に配置され、背板部30の上端部33付近が第2折れ曲がり片52の前方に重なりつつ互いに押圧し合い、第1側部31付近が第2折れ曲がり片62の前方に重なりつつ互いに押圧し合い、第2側部32付近が第2折れ曲がり片72の前方に重なりつつ互いに押圧し合う位置である。
【0047】
本実施形態では、背板部30の第1側部31の上端31Aと第2側部32の上端32Aの間の左右方向の間隔W41は、図12のような取付状態(筐体部2を構成する全部品が取り付けられている状態)のときの第2折れ曲がり片62における直線状の内側端部の上端62Aと第2折れ曲がり片72における直線状の内側端部の上端72Aの間の左右方向の間隔W21より大きい。上記間隔W41は、図12のような上記取付状態のときの第2折れ曲がり片62における直線状の内側端部の下端62Bと第2折れ曲がり片72における直線状の内側端部の下端72Bの間の左右方向の間隔W22より大きい。図12の例では、上記間隔W21,W22は、第2折れ曲がり片62,72の間の左右方向の最小間隔であり、第2折れ曲がり片62,72の間は、上記最小間隔となる領域が上下方向所定範囲(具体的には第2折れ曲がり片62,72において上下方向上端寄りの位置(上端62A,72A)から上下方向下端寄りの位置(下端62B,72B)まで)にわたって続いており、少なくともこの上下方向所定範囲において左右方向の間隔が、上記間隔W41よりも小さくなっており、背板部30の最大幅よりも小さくなっている。なお、本実施形態では、間隔W21と間隔W22は同じ大きさ(同じ長さ)である。
【0048】
上記間隔W41は、図12のような上記取付状態のときの第3折れ曲がり片63,73の左右方向の最小間隔W31(図3も参照)より大きい。最小間隔W31は、前後方向と直交し且つ第3折れ曲がり片63,73をいずれも通るように設定される前後方向いずれかの位置の切断面(平面)のうち、第3折れ曲がり片63,73の間隔が最小となる切断面(平面)での第3折れ曲がり片63,73の間隔である。図3の例では、第3折れ曲がり片63,73において前後方向の所定範囲(具体的には、第3折れ曲がり片63,73の前端寄りの位置から後端寄りの位置までの所定範囲)のいずれの位置でも上記切断面(前後方向と直交する平面)で第3折れ曲がり片63,73の左右方向の間隔が最小間隔W31となる。本構成では、上述の前後方向の所定範囲において、第3折れ曲がり片63,73の左右方向の間隔が上記間隔W41よりも小さくなっており、背板部30の最大幅よりも小さくなっている。
【0049】
上記間隔W41は、図12のような上記取付状態のときの第1折れ曲がり片61と第1折れ曲がり片71の間の左右方向の最小間隔W11(図3も参照)より大きい。第1折れ曲がり片61の直線状の内側端部の上端61Aと第1折れ曲がり片71における直線状の内側端部の上端71Aの間の左右方向の間隔は上記最小間隔W11である。第1折れ曲がり片61の直線状の内側端部の下端61Bと第1折れ曲がり片71における直線状の内側端部の下端71Bの間の左右方向の間隔も上記最小間隔W11である。第1折れ曲がり片61,71の間は、上記最小間隔W11となる領域が上下方向所定範囲(具体的には第1折れ曲がり片61,71において上下方向上端寄りの位置(上端61A,71A)から上下方向下端寄りの位置(61B,71B)まで)にわたって続いており、少なくともこの上下方向所定範囲において左右方向の間隔が、上記間隔W41よりも小さくなっており、背板部30の最大幅よりも小さくなっている。
【0050】
背板部30の第1側部31の下端31Bと第2側部32の下端32Bの間の左右方向の間隔W42は、上記間隔W21より大きく、上記間隔W22より大きく、上記最小間隔W31より大きく、上記最小間隔W11よりも大きい。図10の例では、上記間隔W41及び上記間隔W42は、背板部30における左右方向の最大幅であり、図10の例では、このような最大幅の領域が上下方向一端側から他端側に連続的に続いている。具体的には、第1側部31及び第2側部32の上端31A,32Aの位置から下端31B,32Bの位置まで連続的に上記最大幅の領域が続いている。
【0051】
上述のようなサイズとされた一体部20に対して背板部30を正規取付位置に配置する場合、図11の矢印F1,F2に示されるように、一体部20において側板部60,70の両下端部の間を広げるように弾性的に変形させる。このようにすることで、第3折れ曲がり片63,73の間、第2折れ曲がり片62,72の下端部付近の間、第1折れ曲がり片61,71の下端部付近の間を上記間隔W41,W42よりも広くすることができるため、これらのうちのいずれかの間を通して矢印F1のように背板部を側板部60,70の間に入り込ませることができる。本構成では、背板部30の上端部付近において切欠部110,120が設けられているため、上下方向においてこれらが設けられている範囲では、上端側となるにつれて背板部30の左右方向の幅が次第に小さくなっている。従って、図11のように背板部30を一体部20の下側から上記「いずれかの間」(例えば、第3折れ曲がり片63,73の間)に入り込ませる際に、それほど側板部60,70をそれほど広げなくても、背板部30の上端部付近(切欠部110,120の上端部付近)が挿入されやすい。しかも、背板部30の上端部付近が挿入された後に、さらに背板部30を入り込ませる際には、切欠部110,120を利用して側板部60,70を押し広げるように切欠部110、120付近を接触させながら入り込ませることができ、このようにすれば、側板部60,70を最小限で広げつつ、第3折れ曲がり片63,73の上方側に背板部30を配置することができる。
【0052】
背板部30を第3折れ曲がり片63,73の上方側に入り込ませた後には、背板部30を上述の正規取付位置に配置し、背板部30を一体部20に固定する。具体的には、側板部60,70の各々の第2折れ曲がり片62,72及び天板部50の第2折れ曲がり片52に対して背板部30の周縁部が前側から重なる構成で配置されつつ固定される。図12の例では、側板部60における上下方向中央位置よりも上位置において、第2折れ曲がり片62と背板部30の上側位置(背板部30の上下方向中央位置よりも上位置)における第1側部31付近の部分とが前後に重ねられつつネジ等の連結部材161,162によって互いに固定される(図12参照)。更に、側板部60における上下方向中央位置よりも下位置において、第2折れ曲がり片62と背板部30の下側位置(背板部30の上下方向中央位置よりも下位置)における第1側部31付近の部分とが前後に重ねられつつネジ等の連結部材163,164によって互いに固定される(図12参照)。
【0053】
同様に、側板部70における上下方向中央位置よりも上位置において、第2折れ曲がり片72と背板部30の上側位置(背板部30の上下方向中央位置よりも上位置)における第2側部32付近の部分とが前後に重ねられつつネジ等の連結部材171,172によって互いに固定される(図12参照)。更に、側板部70における上下方向中央位置よりも下位置において、第2折れ曲がり片72と背板部30の下側位置(背板部30の上下方向中央位置よりも下位置)における第2側部32付近の部分とが前後に重ねられつつネジ等の連結部材173,174によって互いに固定される(図12参照)。
【0054】
更に、第2折れ曲がり片52と背板部30の上端部33付近の部分とが前後に重ねられつつネジ等の連結部材151によって互いに固定される(図12参照)。なお、一体部20に背板部30が固定された組付体2Zの構造は、図3のような構造であり、図12のような形態から底板部40が省略された構造である。このようにして一体部20に対して背板部30が固定されると、組付体2Zでは、背板部30の上側周縁部103付近、左側周縁部101付近、右側周縁部102付近が後方側から覆われる。
【0055】
一体部20に対して背板部30が固定されると、図13のように構成された背板部30の第2切欠部120付近は、図14のように第2折れ曲がり片52の端部付近及び第2折れ曲がり片72の端部付近に配置される。図14の例では、第2折れ曲がり片52の下端部52Aは左右方向に延びる直線状の縁として構成され、第2折れ曲がり片52の左右方向他方側の端部(右端部)付近は、上下方向及び左右方向に対して傾斜した下側縁部を有する傾斜部52Cが設けられている。傾斜部52Cの下側への突出量は、左右方向他方側となるにつれて小さくなっている。一方、第2折れ曲がり片72の左右方向一方側の端部(左端部)72Aは上下方向に延びる直線状の縁として構成され、第2折れ曲がり片72の上端部付近は、上下方向及び左右方向に対して傾斜した上側縁部を有する傾斜部72Cが設けられている。傾斜部72Cの左右方向一方側(左側)への突出量は、上側となるにつれて小さくなっている。傾斜部52Cと傾斜部72Cの間には、僅かな隙間が設けられている。なお、図13図14は、切欠部120付近の構成が示されるが、切欠部110付近の構成は切欠部120付近の構成とは左右対称である。
【0056】
図3のような組付体2Zに対して底板部40を取り付ける場合、底板部40の左右方向一方側(左側)の端部を構成する重ね部43を第3折れ曲がり片63の上側に重ねて配置し、第3折れ曲がり片63及び重ね部43を図4のようにネジ等の連結部材143によって固定する。同様に、底板部40の左右方向他方側(右側)の端部を構成する重ね部44を第3折れ曲がり片73の上側に重ねて配置し、第3折れ曲がり片73及び重ね部44を図4のようにネジ等の連結部材144によって固定する。更に、背板部30の下端部34を構成する重ね部38の後方側に折れ曲がり片42を重ねて配置し、重ね部38及び折れ曲がり片42を図4のようにネジ等の連結部材141によって固定する。このようにして組付体2Zに対して底板部40が固定され、底板部40の固定によって背板部30の下側周縁部104付近が後方側から覆われる。このように組付体2Zに対して底板部40が固定されることで、筐体本体2Bが構成される。
【0057】
上述の組み付け方法はあくまで一例であり、背板部30を一体部20に組み付ける前に、背板部30に対して底板部40を組み付けてもよい。即ち、背板部30の下端部34と折れ曲がり片42とを重ねて配置しつつネジ等の連結部材141によって固定することにより、背板部30に対して底板部40が取り付けられた一体物を、背板部30を一体部20に組み付ける前に構成してもよい。そして、このように背板部30に対して底板部40が組み付けられた一体物を、上述した「背板部30を一体部20に取り付ける方法」と同様の方法で一体部20に取り付けてもよい。この場合も、一体部20において側板部60,70の両下端部の間を広げるように弾性的に変形させ、第3折れ曲がり片63,73の間、第2折れ曲がり片62,72の下端部付近の間、第1折れ曲がり片61,71の下端部付近の間を上記間隔W41,W42よりも広くし、これらのうちのいずれかの間を通して背板部30を側板部60,70の間に入り込ませる。この場合、特に切欠部110,120が有効に機能し、背板部30よりも嵩張る一体物を取り付ける場面(背板部30を単独で取り付ける場合よりも難易度が高い場面)であっても、側板部60,70の間且つ第3折れ曲がり片63,73の上方側に背板部30を配置しやすい。なお、この例でも、背板部30を第3折れ曲がり片63,73の上方側に入り込ませた後には、背板部30を上述の正規取付位置に配置し、背板部30を一体部20に固定する。
【0058】
筐体本体2Bに対して前パネル2Aを取り付ける場合、図2図3のように構成された各々の第1折れ曲がり片61,71及び折れ曲がり片41,51に対して前パネル2Aの周縁部を重ねる構成で、前パネル2Aを固定する。図1の例では、前パネル2Aにおいて第1折れ曲がり片61,71及び折れ曲がり片41,51の前側を覆うように配置される部分が「前パネル2Aの周縁部」の一部である。
【0059】
図1図3の例では、天板部50の前端部側において左右両側に、左右方向に延びる構成で長孔部55A,55Bが設けられている。図1のように前パネル2Aを筐体本体2Bに取り付ける場合には、図3のように構成された突出部16A,16Bを、長孔部55A,55Bにそれぞれ挿入する。このように突出部16Aが長孔部55Aに挿入され、突出部16Bが長孔部55Bに挿入されると、突出部16A,16Bが長孔部55A,55Bに引っ掛かる構成で係止される。このように引っ掛かった状態で、筐体本体2Bに固定された底板部40の前端側の部分に対して下側から重ねるように下側折れ曲がり部18を配置する。このように、底板部40の前端部付近の下側に下側折れ曲がり部18が重ねられた状態で、下側折れ曲がり部18(具体的には下側折れ曲がり部18に設けられた突出部18A,18B)と底板部40の前端部付近とがネジ等の連結部材141,142によって連結されることで、底板部40と前パネル2Aとが固定される。
【0060】
3.効果の例
給湯器1は、天板部50と一対の側板部60,70とが一体的に構成されるため、部品点数が抑えられ、背板部30の外縁が第1折れ曲がり片61,71の付近によって覆われるため、背板部30の端部の露出を抑制することができる。更に、背板部30の周縁部において、第1側部31の上端と上端部33の左右方向一方端との間に上端部33よりも下位置且つ第1側部31よりも左右方向他方側に配置される第1切欠部110が設けられる。そして、第2側部32の上端と上端部33の左右方向他方端との間には、上端部33よりも下位置且つ第2側部32よりも左右方向一方側に配置される第2切欠部120が設けられる。このように第1切欠部110及び第2切欠部120が設けられるため、天板部50と一対の側板部60,70とが一体的に構成された一体物に対して、正規位置(第1折れ曲がり片61,71の後方側、第2曲がり片の前方側、第3折れ曲がり片63,73の上方側)に背板部30を配置する場合に、一対の側板部60,70をより小さく広げて背板部30を配置することができ、背板部30の配置を良好に行いやすい。
【0061】
給湯器1は、第1切欠部110及び第2切欠部120の外縁が傾斜しているため、一対の側板部60,70を広げて背板部30を配置する際に、第1切欠部110や第2切欠部120の外縁が引っ掛かりにくい。特に、側板部60、70が「表面塗装などの美観面を高める加工が施される外装部品」である場合、引っ掛かりなどによって傷等が生じると、製品としての価値が大きく損なわれる懸念があるため、背板部30を組み付ける場合には引っ掛かり等が生じないように、より慎重に組み付ける必要がある。このような場合、第1切欠部110及び第2切欠部120の存在によって引っ掛かりを生じにくくすることは、より一層有効である。
【0062】
第1切欠部110の外縁と左右方向とのなす角度は45°よりも大きく、第2切欠部120の外縁と左右方向とのなす角度は45°よりも大きいため、天板部50と一対の側板部60,70とが一体的に構成された一体物に対して、正規位置(第1折れ曲がり片61,71の後方側、第2曲がり片の前方側、第3折れ曲がり片63,73の上方側)に背板部30を配置する場合に、一対の側板部60,70を、より小さく広げて背板部30を配置することができる。よって、上記の給湯器1は、一対の側板部60,70を大きく広げすぎることに起因する弊害(例えば、塑性変形など)をより効果的に防ぎやすい。
【0063】
<他の実施形態>
本発明は、上記記述及び図面によって説明された実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。さらに、上述された実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0064】
上記実施形態では、天板部50に第2折れ曲がり片52が設けられるが、第2折れ曲がり片52が無くてもよく、第2折れ曲がり片52の突出量が図4等の構成よりも小さくてもよい。また、上記実施形態では、天板部50に第1折れ曲がり片51が設けられるが、第1折れ曲がり片51が無くてもよい。
【0065】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
1 :給湯器
2 :筐体部
2A :前パネル
2B :筐体本体
2W :開口部
30 :背板部
31 :第1側部
32 :第2側部
40 :底板部
50 :天板部
60 :側板部
61 :第1折れ曲がり片
62 :第2折れ曲がり片
63 :第3折れ曲がり片
70 :側板部
71 :第1折れ曲がり片
72 :第2折れ曲がり片
73 :第3折れ曲がり片
100 :周縁部
110 :第1切欠部
120 :第2切欠部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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