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特開2024-129009血管周囲領域のラジオミクスシグネチャ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129009
(43)【公開日】2024-09-26
(54)【発明の名称】血管周囲領域のラジオミクスシグネチャ
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/50 20240101AFI20240918BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20240918BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240918BHJP
   G06V 10/42 20220101ALI20240918BHJP
   G16H 30/40 20180101ALI20240918BHJP
【FI】
A61B6/50 500B
A61B6/03 560D
A61B6/03 560J
A61B6/03 560T
G06T7/00 612
G06T7/00 350B
G06V10/42
G16H30/40
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024079122
(22)【出願日】2024-05-15
(62)【分割の表示】P 2021513856の分割
【原出願日】2019-09-18
(31)【優先権主張番号】20180100430
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GR
(31)【優先権主張番号】1818049.7
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】516245900
【氏名又は名称】オックスフォード ユニバーシティ イノベーション リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OXFORD UNIVERSITY INNOVATION LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アントニアデス,ハラランボス
(72)【発明者】
【氏名】オイコノム,エバンゲロス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】対象の医用イメージングデータを使用して血管周囲領域を特徴付けるための方法。
【解決手段】この方法は、医用イメージングデータを使用して血管周囲領域のラジオミクスシグネチャの値を計算することを含む。また、心血管リスクを予測するためのラジオミクスシグネチャを導出するための方法も開示される。この方法は、ラジオミクスデータセットを取得することと、ラジオミクスデータセットを使用して血管周囲ラジオミクスシグネチャを構築することと、を含む。また、前述の方法を実行するためのシステムも開示される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の医用イメージングデータを使用して血管周囲領域を特徴付けるための方法であって、前記方法が、前記医用イメージングデータを使用して前記血管周囲領域のラジオミクスシグネチャの値を計算することを含み、
前記ラジオミクスシグネチャが、前記血管周囲領域の少なくとも2つのラジオミクス特徴量の測定された値に基づいて計算され、前記少なくとも2つのラジオミクス特徴量の前記測定された値が、前記医用イメージングデータから計算される、方法。
【請求項2】
前記ラジオミクスシグネチャが、前記血管周囲領域のテクスチャの尺度を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ラジオミクスシグネチャが、心血管リスクの前兆であり、任意で、前記ラジオミクスシグネチャが、前記対象が重大な有害心血管事象を経験する可能性の前兆である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも2つのラジオミクス特徴量のうちの少なくとも1つが、減衰値のウェーブレット変換から計算される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、クラスタ1~9の前記ラジオミクス特徴量から選択され、前記少なくとも2つのラジオミクス特徴量が各々、異なるクラスタから選択され、
クラスタ1が、ショートラン高グレーレベル強調、高グレーレベル強調、高グレーレベルラン強調、自己相関、和アベレージ、ジョイントアベレージ、および高グレーレベルゾーン強調からなり、
クラスタ2が、歪度、歪度LLL、尖度、90パーセンタイル、90パーセンタイルLLL、中央値LLL、尖度LLL、および中央値からなり、
クラスタ3が、ランエントロピー、依存性エントロピーLLL、依存性エントロピー、ゾーンエントロピーLLL、ランエントロピーLLL、および平均値LLLからなり、
クラスタ4が、小面積低グレーレベル強調、低グレーレベルゾーン強調、ショートラン低グレーレベル強調、低グレーレベルラン強調、低グレーレベル強調、小依存性低グレーレベル強調、グレーレベル分散LLL(GLSZM)、グレーレベル分散(GLDM)、分散、グレーレベル分散(GLDM)、差分分散LLL、グレーレベル分散LLL(GLRLM)、分散LLL、グレーレベル分散LLL(GLDM)、二乗和、コントラストLLL、平均絶対偏差、四分位範囲、ロバスト平均絶対偏差、ロングラン低グレーレベル強調、差分分散、グレーレベル分散(GLSZM)、逆差分モーメント正規化、平均絶対偏差LLL、二乗和LLL、およびコントラストからなり、
クラスタ5が、ゾーンエントロピー、グレーレベル不均一性正規化(GLRLM)、グレーレベル不均一性正規化LLL(GLRLM)、和エントロピー、ジョイントエネルギー、エントロピー、グレーレベル不均一性正規化(GLDM)、ジョイントエネルギー、グレーレベル不均一性正規化LLL(GLDM)、均一性LLL、和エントロピーLLL、および均一性からなり、
クラスタ6が、ゾーンエントロピーHHH、サイズゾーン不均一性正規化HHH、および小面積強調HHHからなり、
クラスタ7が、強度、粗さHLL、粗さ、粗さLHL、粗さLLL、粗さLLH、粗さHHH、粗さHLH、粗さHHL、および粗さLHHからなり、
クラスタ8が、クラスタ傾向LLL、クラスタ傾向、二乗和LLL、平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散LLL(GLDM)、分散LLL、グレーレベル分散LLL(GLRLM)、グレーレベル分散(GLRLM)、ロバスト平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散(GLDM)、分散、平均絶対偏差、クラスタプロミネンス、和エントロピーLLL、四分位範囲LLL、グレーレベル分散LLL(GLSZM)、二乗和、ロバスト平均絶対偏差、和エントロピー、四分位範囲、クラスタプロミネンスLLL、エントロピーLLL、10パーセンタイルLLL、10パーセンタイルからなり、
クラスタ9が、サイズゾーン不均一性LLL、依存性不均一性HLL、グレーレベル不均一性HLL(GLSZM)、グレーレベル不均一性(GLSZM)、ランレングス不均一性HHL、ランレングス不均一性LHL、依存性不均一性LHL、依存性不均一性、ランレングス不均一性HLH、ビジーネス、ランレングス不均一性LLH、依存性不均一性LLH、依存性不均一性LLL、サイズゾーン不均一性、エネルギーHLL、ランレングス不均一性LHH、サイズゾーン不均一性HLL、グレーレベル不均一性LLH(GLSZM)、グレーレベル不均一性LHL(GLSZM)、グレーレベル不均一性LLL(GLSZM)、ランレングス不均一性HLL、グレーレベル不均一性HLH(GLSZM)、グレーレベル不均一性HHL(GLSZM)、ランレングス不均一性、およびランレングス不均一性HHHからなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、中央値LLL、平均値LLL、中央値、二乗平均平方根LLL、平均値、尖度、二乗平均平方根、ランエントロピーLLL(GLRLM)、均一性、90パーセンタイル、グレーレベル不均一性正規化(GLRLM)、均一性LLL、歪度、グレーレベル不均一性正規化LLL(GLRLM)、10パーセンタイルLLL、歪度LLL、10パーセンタイル、エントロピー、四分位範囲LLL、ロバスト平均絶対偏差LLL、ランエントロピー(GLRLM)、四分位範囲、和エントロピー(GLCM)、グレーレベル不均一性正規化LLL(GLRLM)、依存性不均一性LHL(GLDM)、尖度LLL、ランレングス不均一性HHL(GLRLM)、エントロピーLLL、ロバスト平均絶対偏差、和エントロピーLLL(GLCM)、90パーセンタイルLLL、ランエントロピーHHL(GLRLM)、エネルギー、エネルギーLLL、強度(NGTDM)、自己相関(GLCM)、平均絶対偏差LLL、高グレーレベル強調(GLDM)、ジョイントアベレージ(GLCM)、和アベレージ(GLCM)、ショートラン高グレーレベル強調(GLRLM)、エネルギーHHH、高グレーレベルラン強調(GLRLM)、ランエントロピーHHH(GLRLM)、エネルギーHHL、および平均絶対偏差から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、クラスタ1~6の前記ラジオミクス特徴量から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、少なくとも6つのラジオミクス特徴量を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ラジオミクスシグネチャの少なくとも前記計算された値に基づいて、前記対象が重大な有害心臓事象を経験する前記リスクを予測することをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも前記ラジオミクスシグネチャの前記計算された値に基づいて、前記対象が血管疾患もしくは冠動脈心臓疾患を有するかどうかを判定することをさらに含むか、または前記ラジオミクスシグネチャの前記計算された値を使用して、不安定な冠動脈病変と安定な冠動脈病変とを見分ける、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
心血管リスクを予測するためのラジオミクスシグネチャを導出するための方法であって、前記方法が、ラジオミクスデータセットを使用して、心血管リスクを予測するための血管周囲ラジオミクスシグネチャを構築することを含み、前記ラジオミクスシグネチャが、血管周囲領域の少なくとも2つのラジオミクス特徴量に基づいて計算され、
前記データセットが、複数の個体の各々の医用イメージングデータから取得された血管周囲領域の複数のラジオミクス特徴量の値を含み、前記複数の個体が、前記医用イメージングデータの収集後の後続の期間内に心血管リスクを示す臨床エンドポイントに到達した第1の個体グループと、前記後続の期間内に心血管リスクを示す臨床エンドポイントに到達していない第2の個体グループと、を含む、方法。
【請求項12】
前記臨床エンドポイントと各々有意に関連付けられた前記複数のラジオミクス特徴量の中から有意なラジオミクス特徴量を識別することをさらに含み、前記少なくとも2つのラジオミクス特徴量が各々、異なる有意なラジオミクス特徴量であるか、または異なる有意なラジオミクス特徴量と共線であるように選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
互いに共線ではない前記有意なラジオミクス特徴量のサブセットを識別することをさらに含み、前記少なくとも2つのラジオミクス特徴量が各々、前記サブセットに属する異なるラジオミクス特徴量であるか、または前記サブセットに属する異なるラジオミクス特徴量と共線であるように選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも2つのラジオミクス特徴量の各々が、前記臨床エンドポイントと有意に関連付けられた対応するパートナーラジオミクス特徴量と共線であるように選択され、前記少なくとも2つのラジオミクス特徴量の前記パートナーラジオミクス特徴量が各々、互いに異なり、任意で、前記パートナーラジオミクス特徴量の各々が、他のパートナーラジオミクス特徴量のいずれとも共線ではないように選択され、さらに任意で、前記少なくとも2つのラジオミクス特徴量のうちの少なくとも1つが、それ自体のパートナーラジオミクス特徴量である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、ラジオミクス特徴量の複数のクラスタを識別することを含み、各クラスタが、前記複数のラジオミクス特徴量のサブセットを含み、各クラスタが、そのクラスタ内の他のラジオミクス特徴量の各々が共線であるように選択されるオリジナルのラジオミクス特徴量を含み、前記少なくとも2つのラジオミクス特徴量が各々、異なるクラスタから選択され、任意で、前記オリジナルのラジオミクス特徴量の各々が、前記他のクラスタのいずれの前記オリジナルのラジオミクス特徴量のいずれとも共線ではないように選択される、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、互いに共線ではないように選択される、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ラジオミクスシグネチャが、前記臨床エンドポイントと相関するように構築され、任意で、前記ラジオミクスシグネチャが、前記臨床エンドポイントと有意に関連付けられるように構築される、請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、安定であるように選択される、請求項11~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ラジオミクスシグネチャを構築するステップが、機械学習アルゴリズムを使用して実行される、請求項11~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ラジオミクスシグネチャが、前記血管周囲領域のテクスチャの尺度を提供するように構築される、請求項11~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
患者についての前記ラジオミクスシグネチャの前記値を計算するためのシステムを構成することをさらに含む、請求項11~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記患者の前記血管周囲領域についての前記ラジオミクスシグネチャの前記値を計算することによって、患者の血管周囲領域を特徴付けることをさらに含む、請求項11~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記血管周囲領域が、血管周囲脂肪組織を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ラジオミクスシグネチャが、前記少なくとも2つのラジオミクス特徴量に加えて、前記血管周囲領域のさらなるラジオミクス特徴量に基づいて計算される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成された、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にラジオミクスシグネチャを使用して血管周囲領域を特徴付ける方法、およびそのためのシステムに関する。本発明はまた、このようなシグネチャを導出する方法、およびそのためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
冠動脈疾患(CAD)は、一次心血管予防および二次心血管予防の両方における著しい進歩にもかかわらず、依然として罹患率および死亡率の重大な主要因である。冠動脈コンピュータ断層撮影血管造影(CCTA)などの典型的または非典型的な症状を呈する患者におけるCADの存在を評価するための非侵襲的診断テストは、特に、CADの低~中程度の事前検査の可能性を有する個人の間で、現代の心血管診断の柱である。このような技術は、伝統的に、閉塞性病変の検出、または心血管リスク層別化のための冠動脈石灰化の存在および程度に依存する。しかしながら、最適な医療療法にもかかわらず、相当な数の患者が、残存する心血管リスクを高めている。特に残存する血管炎症は有害事象の駆動因子であり、アテローム性プラーク形成および不安定化の両方に寄与するが、血管疾患に特異的でない循環炎症バイオマーカーなどの従来の検定を使用して診断することは困難であり得る。
【0003】
臨床イメージングの解釈の研究は、伝統的に、イメージングされた解剖学的構造の主観的、オペレータ依存的、定性的評価に依存してきた。このアプローチは、忙しい臨床環境において有用であるが、すべての臨床スキャンに含まれる大量の情報を無視する。
【0004】
WO 2016/024128 A1およびWO 2018/078395 A1は、特異的なCCTAベースのメトリック、すなわち、冠動脈炎症の感受性および動的バイオマーカーであることが見出され、その後、有害心臓事象の強力かつ独立した予測因子として識別されたヒト冠動脈周辺の血管周囲領域の標準化された加重アベレージ減衰を反映する、脂肪減衰指標(FAI)または血管周囲FAI(FAIPVAT)を定義している。血管炎症の存在下で、疾患を有する血管壁からの炎症促進分子の放出は、血管周囲組織(PVT)内の前脂肪細胞内の分化および脂質蓄積を阻害し、より小さく、分化が少なく、脂質を含まない脂肪細胞をもたらす。このことは、コンピュータ断層撮影(CT)イメージングにおけるPTVの放射線密度の、より負(-190に近い)のハウンズフィールド単位(HU)値からより小さい負(-30に近い)のHU値へのシフト(減衰値として測定される)と関連付けられ、このシフトは、FAIによって捕捉され得る。FAIの生物学的意味および臨床的価値の両方が広範に検証されているが、冠動脈PVTで観察された表現型変動の全範囲を説明するのに十分ではない。
【0005】
最近の研究では、Kolossvary等は、ラジオミクス特徴量が高リスクプラーク特徴ナプキンリングシグネチャを有するプラークを確実に識別できることを示し、その識別は通常、プラークの解剖学的構造の定性的評価とオペレータの高い眼識とに依存する(Kolossvary M,Karady J,Szilveszter B,et al.Radiomic FeaturesAre Superior to Conventional Quantitative Computed Tomographic Metrics to Identify Coronary Plaques With Napkin-Ring Sign.Circ Cardiovasc Imaging 2017;10(12):e006843)。しかしながら、このアプローチは、プラーク自体の表現型に焦点を当て、PVTおよびPVTから獲得できる貴重な情報を無視する。
【0006】
必要とされるものは、現在のCCTAベースのリスク層別化ツールに加えて、CADの存在および程度、高リスクプラーク特徴量の存在、冠動脈カルシウム、および最近記載されたFAIPVATなどの心血管リスクの予後値を提供する方法またはツールである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、対象の医用イメージングデータを使用して血管周囲領域を特徴付ける(例えば、血管周囲領域の表現型、例えば、組成および/またはテクスチャ)ための方法が、提供される。この方法は、医用イメージングデータを使用して血管周囲領域のラジオミクスシグネチャの値を計算することを含み得る。ラジオミクスシグネチャは、血管周囲領域の少なくとも2つのラジオミクス特徴量の測定された値に基づいて計算され得る。少なくとも2つのラジオミクス特徴量の測定された値は、医用イメージングデータから、または医用イメージングデータを使用して、計算され得る。
【0008】
ラジオミクスシグネチャは、血管周囲領域のテクスチャの尺度を提供し得る。
【0009】
少なくとも2つのラジオミクス特徴量のうちの少なくとも1つは、血管周囲領域のテクスチャの尺度を提供し得る。
【0010】
ラジオミクスシグネチャは、心血管リスクの前兆となり得る。
【0011】
ラジオミクスシグネチャは、対象が重大な有害心血管事象を経験する可能性の前兆となり得る。
【0012】
ラジオミクスシグネチャは、対象が心臓特異的な重大な有害心血管事象を経験する可能性の前兆となり得る。
【0013】
ラジオミクスシグネチャは、心血管の健康を示し得る。
【0014】
ラジオミクスシグネチャは、血管疾患を示し得る。例えば、ラジオミクス特徴量は、血管炎症を示し得る。
【0015】
少なくとも2つのラジオミクス特徴量のうちの少なくとも1つは、減衰値のウェーブレット変換から計算され得る。
【0016】
少なくとも2つのラジオミクス特徴量の各々は、体積依存性および/または配向依存性であり得る。
【0017】
少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、クラスタ1~9のラジオミクス特徴量から選択され得、少なくとも2つのラジオミクス特徴量が各々、異なるクラスタから選択され、
クラスタ1が、ショートラン高グレーレベル強調、高グレーレベル強調、高グレーレベルラン強調、自己相関、和アベレージ、ジョイントアベレージ、および高グレーレベルゾーン強調(Short Run High Gray Level Emphasis、High Gray Level Emphasis、High Gray Level Run Emphasis、Autocorrelation、Sum Average、Joint Average、およびHigh Gray Level Zone Emphasis)からなり、
クラスタ2が、歪度、歪度LLL、尖度、90パーセンタイル、90パーセンタイルLLL、中央値LLL、尖度LLL、および中央値(Skewness、Skewness LLL、Kurtosis、90th Percentile、90th Percentile LLL、Median LLL、Kurtosis LLL、およびMedian)からなり、
クラスタ3が、ランエントロピー、依存性エントロピーLLL、依存性エントロピー、ゾーンエントロピーLLL、ランエントロピーLLL、および平均値LLL(Run Entropy、Dependence Entropy LLL、Dependence Entropy、Zone Entropy LLL、Run Entropy LLL、およびMean LLL)からなり、
クラスタ4が、小面積低グレーレベル強調、低グレーレベルゾーン強調、ショートラン低グレーレベル強調、低グレーレベルラン強調、低グレーレベル強調、小依存性低グレーレベル強調、グレーレベル分散LLL(GLSZM)、グレーレベル分散(GLDM)、分散、グレーレベル分散(GLDM)、差分分散LLL、グレーレベル分散LLL(GLRLM)、分散LLL、グレーレベル分散LLL(GLDM)、二乗和、コントラストLLL、平均絶対偏差、四分位範囲、ロバスト平均絶対偏差、ロングラン低グレーレベル強調、差分分散、グレーレベル分散(GLSZM)、逆差分モーメント正規化、平均絶対偏差LLL、二乗和LLL、およびコントラスト(Small Area Low Gray Level Emphasis、Low Gray Level Zone Emphasis、Short Run Low Gray Level Emphasis、Low Gray Level Run Emphasis、Low Gray Level Emphasis、Small Dependence Low Gray Level Emphasis、Gray Level Variance LLL(GLSZM)、Gray Level Variance(GLDM)、Variance、Gray Level Variance(GLDM)、Difference Variance LLL、Gray Level Variance LLL(GLRLM)、Variance LLL、Gray Level Variance LLL(GLDM)、Sum of Squares、Contrast LLL、Mean Absolute Deviation、Interquartile Range、Robust Mean Absolute Deviation、Long Run Low Gray Level Emphasis、Difference Variance、Gray Level Variance(GLSZM)、Inverse Difference Moment Normalized、Mean Absolute Deviation LLL、Sum of Squares LLL、およびContrast)からなり、
クラスタ5が、ゾーンエントロピー、グレーレベル不均一性正規化(GLRLM)、グレーレベル不均一性正規化LLL(GLRLM)、和エントロピー、ジョイントエネルギー、エントロピー、グレーレベル不均一性正規化(GLDM)、ジョイントエネルギー、グレーレベル不均一性正規化LLL(GLDM)、均一性LLL、和エントロピーLLL、および均一性(Zone Entropy、Gray Level Non Uniformity Normalized(GLRLM)、Gray Level Non Uniformity Normalized LLL(GLRLM)、Sum Entropy、Joint Energy、Entropy、Gray Level Non Uniformity Normalized(GLDM)、Joint Energy、Gray Level Non Uniformity Normalized LLL(GLDM)、Uniformity LLL、Sum Entropy LLL、およびUniformity)からなり、
クラスタ6が、ゾーンエントロピーHHH、サイズゾーン不均一性正規化HHH、および小面積強調HHH(Zone Entropy HHH、Size Zone Non Uniformity Normalized HHH、およびSmall Area Emphasis HHH)からなり、
クラスタ7が、強度、粗さHLL、粗さ、粗さLHL、粗さLLL、粗さLLH、粗さHHH、粗さHLH、粗さHHL、および粗さLHH(Strength、Coarseness HLL、Coarseness、Coarseness LHL、Coarseness LLL、Coarseness LLH、Coarseness HHH、Coarseness HLH、Coarseness HHL、およびCoarseness LHH)からなり、
クラスタ8が、クラスタ傾向LLL、クラスタ傾向、二乗和LLL、平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散LLL(GLDM)、分散LLL、グレーレベル分散LLL(GLRLM)、グレーレベル分散(GLRLM)、ロバスト平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散(GLDM)、分散、平均絶対偏差、クラスタプロミネンス、和エントロピーLLL、四分位範囲LLL、グレーレベル分散LLL(GLSZM)、二乗和、ロバスト平均絶対偏差、和エントロピー、四分位範囲、クラスタプロミネンスLLL、エントロピーLLL、10パーセンタイルLLL、10パーセンタイル(Cluster Tendency LLL、Cluster Tendency、Sum of Squares LLL、Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance LLL(GLDM)、Variance LLL、Gray Level Variance LLL(GLRLM)、Gray Level Variance(GLRLM)、Robust Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance(GLDM)、Variance、Mean Absolute Deviation、Cluster Prominence、Sum Entropy LLL、Interquartile Range LLL、Gray Level Variance LLL(GLSZM)、Sum of Squares、Robust Mean Absolute Deviation、Sum Entropy、Interquartile Range、Cluster Prominence LLL、Entropy LLL、10th Percentile LLL、10th Percentile)からなり、
クラスタ9が、サイズゾーン不均一性LLL、依存性不均一性HLL、グレーレベル不均一性HLL(GLSZM)、グレーレベル不均一性(GLSZM)、ランレングス不均一性HHL、ランレングス不均一性LHL、依存性不均一性LHL、依存性不均一性、ランレングス不均一性HLH、ビジーネス、ランレングス不均一性LLH、依存性不均一性LLH、依存性不均一性LLL、サイズゾーン不均一性、エネルギーHLL、ランレングス不均一性LHH、サイズゾーン不均一性HLL、グレーレベル不均一性LLH(GLSZM)、グレーレベル不均一性LHL(GLSZM)、グレーレベル不均一性LLL(GLSZM)、ランレングス不均一性HLL、グレーレベル不均一性HLH(GLSZM)、グレーレベル不均一性HHL(GLSZM)、ランレングス不均一性、およびランレングス不均一性HHH(Size Zone Non Uniformity LLL、Dependence Non Uniformity HLL、Gray Level Non Uniformity HLL(GLSZM)、Gray Level Non Uniformity(GLSZM)、Run Length Non Uniformity HHL、Run Length Non Uniformity LHL、Dependence Non Uniformity LHL、Dependence Non Uniformity、Run Length Non Uniformity HLH、Busyness、Run Length Non Uniformity LLH、Dependence Non Uniformity LLH、Dependence Non Uniformity LLL、Size Zone Non Uniformity、Energy HLL、Run Length Non Uniformity LHH、Size Zone Non Uniformity HLL、Gray Level Non Uniformity LLH(GLSZM)、Gray Level Non Uniformity LHL(GLSZM)、Gray Level Non Uniformity LLL(GLSZM)、Run Length Non Uniformity HLL、Gray Level Non Uniformity HLH(GLSZM)、Gray Level Non Uniformity HHL(GLSZM)、Run Length Non Uniformity、およびRun Length Non Uniformity HHH)からなる。
【0018】
クラスタ1~9は代わりに、以下のように定義されてもよく、
クラスタ1が、ショートラン高グレーレベル強調、高グレーレベル強調、高グレーレベルラン強調、自己相関、和アベレージ、およびジョイントアベレージ(Short Run High Gray Level Emphasis、High Gray Level Emphasis、High Gray Level Run Emphasis、Autocorrelation、Sum Average、およびJoint Average)からなり、
クラスタ2が、歪度、歪度LLL、尖度、90パーセンタイル、90パーセンタイルLLL、中央値LLL、および尖度LLL(Skewness、Skewness LLL、Kurtosis、90th Percentile、90th Percentile LLL、Median LLL 、およびKurtosis LLL)からなり、
クラスタ3が、ランエントロピー、依存性エントロピーLLL、依存性エントロピー、およびゾーンエントロピーLLL(Run Entropy、Dependence Entropy LLL、Dependence Entropy、およびZone Entropy LLL)からなり、
クラスタ4が、小面積低グレーレベル強調、低グレーレベルゾーン強調、ショートラン低グレーレベル強調、低グレーレベルラン強調、低グレーレベル強調、小依存性低グレーレベル強調、グレーレベル分散LLL(GLSZM)、グレーレベル分散(GLDM)、分散、グレーレベル分散(GLDM)、および差分分散LLL(Small Area Low Gray Level Emphasis、Low Gray Level Zone Emphasis、Short Run Low Gray Level Emphasis、Low Gray Level Run Emphasis、Low Gray Level Emphasis、Small Dependence Low Gray Level Emphasis、Gray Level Variance LLL(GLSZM)、Gray Level Variance(GLDM)、Variance、Gray Level Variance(GLDM)、およびDifference Variance LLL)からなり、
クラスタ5が、ゾーンエントロピー、グレーレベル不均一性正規化(GLRLM)、およびグレーレベル不均一性正規化LLL(GLRLM)(Zone Entropy、Gray Level Non Uniformity Normalized(GLRLM)、およびGray Level Non Uniformity Normalized LLL(GLRLM))からなり、
クラスタ6が、ゾーンエントロピーHHH、およびサイズゾーン不均一性正規化HHH(Zone Entropy HHH、およびSize Zone Non Uniformity Normalized HHH)からなり、
クラスタ7が、強度、粗さHLL、粗さ、粗さLHL、粗さLLL、粗さLLH,および粗さHHH(Strength、Coarseness HLL、Coarseness、Coarseness LHL、Coarseness LLL、Coarseness LLH、およびCoarseness HHH)からなり、
クラスタ8が、クラスタ傾向LLL、クラスタ傾向、二乗和LLL、平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散LLL(GLDM)、分散LLL、グレーレベル分散LLL(GLRLM)、グレーレベル分散(GLRLM)、ロバスト平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散(GLDM)、分散、平均絶対偏差、クラスタプロミネンス、和エントロピーLLL、四分位範囲LLL、グレーレベル分散LLL(GLSZM)、二乗和、ロバスト平均絶対偏差、和エントロピー、四分位範囲、クラスタプロミネンスLLL、エントロピーLLL、10パーセンタイルLLL、および10パーセンタイル(Cluster Tendency LLL、Cluster Tendency、Sum of Squares LLL、Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance LLL(GLDM)、Variance LLL、Gray Level Variance LLL(GLRLM)、Gray Level Variance(GLRLM)、Robust Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance(GLDM)、Variance、Mean Absolute Deviation、Cluster Prominence、Sum Entropy LLL、Interquartile Range LLL、Gray Level Variance LLL(GLSZM)、Sum of Squares、Robust Mean Absolute Deviation、Sum Entropy、Interquartile Range、Cluster Prominence LLL、Entropy LLL、10th Percentile LLL、および10th Percentile)からなり、
クラスタ9が、サイズゾーン不均一性LLL、依存性不均一性HLL、グレーレベル不均一性HLL(GLSZM)、グレーレベル不均一性(GLSZM)、ランレングス不均一性HHL、ランレングス不均一性LHL、依存性不均一性LHL、依存性不均一性、ランレングス不均一性HLH、ビジーネス、ランレングス不均一性LLH、依存性不均一性LLH、依存性不均一性LLL、サイズゾーン不均一性、エネルギーHLL、ランレングス不均一性LHH、サイズゾーン不均一性HLL、グレーレベル不均一性LLH(GLSZM)、およびグレーレベル不均一性LHL(GLSZM)(Size Zone Non Uniformity LLL、Dependence Non Uniformity HLL、Gray Level Non Uniformity HLL(GLSZM)、Gray Level Non Uniformity(GLSZM)、Run Length Non Uniformity HHL、Run Length Non Uniformity LHL、Dependence Non Uniformity LHL、Dependence Non Uniformity、Run Length Non Uniformity HLH、Busyness、Run Length Non Uniformity LLH、Dependence Non Uniformity LLH、Dependence Non Uniformity LLL、Size Zone Non Uniformity、Energy HLL、Run Length Non Uniformity LHH、Size Zone Non Uniformity HLL、Gray Level Non Uniformity LLH(GLSZM)、およびGray Level Non Uniformity LHL(GLSZM))からなる。
【0019】
クラスタ1~9は代わりに、以下のように定義されてもよく、
クラスタ1が、ショートラン高グレーレベル強調、高グレーレベル強調、高グレーレベルラン強調、自己相関、和アベレージ、およびジョイントアベレージ(Short Run High Gray Level Emphasis、High Gray Level Emphasis、High Gray Level Run Emphasis、Autocorrelation、Sum Average、およびJoint Average)からなり、
クラスタ2が、歪度、歪度LLL、尖度、および90パーセンタイル(Skewness、Skewness LLL、Kurtosis、および90th Percentile)からなり、
クラスタ3が、ランエントロピー、依存性エントロピーLLL、および依存性エントロピー(Run Entropy、Dependence Entropy LLL、およびDependence Entropy)からなり、
クラスタ4が、小面積低グレーレベル強調、低グレーレベルゾーン強調、ショートラン低グレーレベル強調、低グレーレベルラン強調、低グレーレベル強調、および小依存性低グレーレベル強調(Small Area Low Gray Level Emphasis、Low Gray Level Zone Emphasis、Short Run Low Gray Level Emphasis、Low Gray Level Run Emphasis、Low Gray Level Emphasis、およびSmall Dependence Low Gray Level Emphasis)からなり、
クラスタ5が、ゾーンエントロピー、およびグレーレベル不均一性正規化(GLRLM)(Zone Entropy、およびGray Level Non Uniformity Normalized(GLRLM))からなり、
クラスタ6が、ゾーンエントロピーHHHからなり、
クラスタ7が、強度、粗さHLL、粗さ、粗さLHL、粗さLLL、および粗さLLH(Strength、Coarseness HLL、Coarseness、Coarseness LHL、Coarseness LLL、およびCoarseness LLH)からなり、
クラスタ8が、クラスタ傾向LLL、クラスタ傾向、二乗和LLL、平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散LLL(GLDM)、分散LLL、グレーレベル分散LLL(GLRLM)、グレーレベル分散(GLRLM)、ロバスト平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散(GLDM)、分散、平均絶対偏差、クラスタプロミネンス、和エントロピーLLL、四分位範囲LLL、グレーレベル分散LLL(GLSZM)、二乗和、ロバスト平均絶対偏差、和エントロピー、四分位範囲、クラスタプロミネンスLLL、エントロピーLLL、10パーセンタイルLLL、および10パーセンタイル(Cluster Tendency LLL、Cluster Tendency、Sum of Squares LLL、Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance LLL(GLDM)、Variance LLL、Gray Level Variance LLL(GLRLM)、Gray Level Variance(GLRLM)、Robust Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance(GLDM)、Variance、Mean Absolute Deviation、Cluster Prominence、Sum Entropy LLL、Interquartile Range LLL、Gray Level Variance LLL(GLSZM)、Sum of Squares、Robust Mean Absolute Deviation、Sum Entropy、Interquartile Range、Cluster Prominence LLL、Entropy LLL、10th Percentile LLL、および10th Percentile)からなり、
クラスタ9が、サイズゾーン不均一性LLL、依存性不均一性HLL、グレーレベル不均一性HLL(GLSZM)、グレーレベル不均一性(GLSZM)、ランレングス不均一性HHL、ランレングス不均一性LHL、依存性不均一性LHL、依存性不均一性、ランレングス不均一性HLH、ビジーネス、ランレングス不均一性LLH、依存性不均一性LLH、依存性不均一性LLL、およびサイズゾーン不均一性(Size Zone Non Uniformity LLL、Dependence Non Uniformity HLL、Gray Level Non Uniformity HLL(GLSZM)、Gray Level Non Uniformity(GLSZM)、Run Length Non Uniformity HHL、Run Length Non Uniformity LHL、Dependence Non Uniformity LHL、Dependence Non Uniformity、Run Length Non Uniformity HLH、Busyness、Run Length Non Uniformity LLH、Dependence Non Uniformity LLH、Dependence Non Uniformity LLL、およびSize Zone Non Uniformity)からなる。
【0020】
クラスタ1~9は代わりに、以下のように定義されてもよく、
クラスタ1が、ショートラン高グレーレベル強調、高グレーレベル強調、高グレーレベルラン強調、および自己相関(Short Run High Gray Level Emphasis、High Gray Level Emphasis、High Gray Level Run Emphasis、およびAutocorrelation)からなり、
クラスタ2が、歪度、および歪度LLL(Skewness、およびSkewness LLL)からなり、
クラスタ3が、ランエントロピー、および依存性エントロピーLLL(Run Entropy、and Dependence Entropy LLL)からなり、
クラスタ4が、小面積低グレーレベル強調、および低グレーレベルゾーン強調(Small Area Low Gray Level Emphasis、and Low Gray Level Zone Emphasis)からなり、
クラスタ5が、ゾーンエントロピー(Zone Entropy)からなり、
クラスタ6が、ゾーンエントロピーHHH(Zone Entropy HHH)からなり、
クラスタ7が、強度(Strength)からなり、
クラスタ8が、クラスタ傾向LLL、クラスタ傾向、二乗和LLL、平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散LLL(GLDM)、分散LLL、グレーレベル分散LLL(GLRLM)、グレーレベル分散(GLRLM)、ロバスト平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散(GLDM)、分散、平均絶対偏差、クラスタプロミネンス、和エントロピーLLL、四分位範囲LLL、グレーレベル分散LLL(GLSZM)、二乗和、ロバスト平均絶対偏差、和エントロピー、四分位範囲、クラスタプロミネンスLLL、エントロピーLLL、10パーセンタイルLLL、および10パーセンタイル(Cluster Tendency LLL、Cluster Tendency、Sum of Squares LLL、Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance LLL(GLDM)、Variance LLL、Gray Level Variance LLL(GLRLM)、Gray Level Variance(GLRLM)、Robust Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance(GLDM)、Variance、Mean Absolute Deviation、Cluster Prominence、Sum Entropy LLL、Interquartile Range LLL、Gray Level Variance LLL(GLSZM)、Sum of Squares、Robust Mean Absolute Deviation、Sum Entropy、Interquartile Range、Cluster Prominence LLL、Entropy LLL、10th Percentile LLL、および10th Percentile)からなり、
クラスタ9が、サイズゾーン不均一性LLL、依存性不均一性HLL、グレーレベル不均一性HLL(GLSZM)、グレーレベル不均一性(GLSZM)、ランレングス不均一性HHL、およびランレングス不均一性LHL(Size Zone Non Uniformity LLL、Dependence Non Uniformity HLL、Gray Level Non Uniformity HLL(GLSZM)、Gray Level Non Uniformity(GLSZM)、Run Length Non Uniformity HHL、およびRun Length Non Uniformity LHL)からなる。
【0021】
クラスタ1~9は代わりに、以下のように定義されてもよく、
クラスタ1が、ショートラン高グレーレベル強調、高グレーレベル強調、および高グレーレベルラン強調(Short Run High Gray Level Emphasis、High Gray Level Emphasis、およびHigh Gray Level Run Emphasis)からなり、
クラスタ2が、歪度、および歪度LLL(Skewness、およびSkewness LLL)からなり、
クラスタ3が、ランエントロピー(Run Entropy)からなり、
クラスタ4が、小面積低グレーレベル強調、および低グレーレベルゾーン強調(Small Area Low Gray Level Emphasis、and Low Gray Level Zone Emphasis)からなり、
クラスタ5が、ゾーンエントロピー(Zone Entropy)からなり、
クラスタ6が、ゾーンエントロピーHHH(Zone Entropy HHH)からなり、
クラスタ7が、強度(Strength)からなり、
クラスタ8が、クラスタ傾向LLL、クラスタ傾向、二乗和LLL、平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散LLL(GLDM)、分散LLL、グレーレベル分散LLL(GLRLM)、グレーレベル分散(GLRLM)、ロバスト平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散(GLDM)、分散、平均絶対偏差、クラスタプロミネンス、和エントロピーLLL、四分位範囲LLL、グレーレベル分散LLL(GLSZM)、二乗和、ロバスト平均絶対偏差、および和エントロピー(Cluster Tendency LLL、Cluster Tendency、Sum of Squares LLL、Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance LLL(GLDM)、Variance LLL、Gray Level Variance LLL(GLRLM)、Gray Level Variance(GLRLM)、Robust Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance(GLDM)、Variance、Mean Absolute Deviation、Cluster Prominence、Sum Entropy LLL、Interquartile Range LLL、Gray Level Variance LLL(GLSZM)、Sum of Squares、Robust Mean Absolute Deviation、and Sum Entropy)からなり、
クラスタ9が、サイズゾーン不均一性LLL(Size Zone Uniformity LLL)からなる。
【0022】
クラスタ1~9は代わりに、以下のように定義されてもよく、
クラスタ1が、ショートラン高グレーレベル強調、高グレーレベル強調、および高グレーレベルラン強調(Short Run High Gray Level Emphasis、High Gray Level Emphasis、およびHigh Gray Level Run Emphasis)からなり、
クラスタ2が、歪度、歪度LLL、尖度、90パーセンタイル、中央値LLL、尖度LLL、および中央値(Skewness、Skewness LLL、Kurtosis、90th Percentile、Median LLL、Kurtosis LLL、およびMedian)からなり、
クラスタ3が、ランエントロピー、ランエントロピーLLL、および平均値LLL(Run Entropy、Run Entropy LLL、およびMean LLL)からなり、
クラスタ4が、小面積低グレーレベル強調、低グレーレベルゾーン強調、およびグレーレベル分散(GLSZM)(Small Area Low Gray Level Emphasis、Low Gray Level Zone Emphasis、およびGray Level Variance(GLSZM))からなり、
クラスタ5が、ゾーンエントロピー、グレーレベル不均一性正規化(GLRLM)、および均一性(Zone Entropy、Gray Level Non Uniformity Normalized(GLRLM)、and Uniformity)からなり、
クラスタ6が、ゾーンエントロピーHHH(Zone Entropy HHH)からなり、
クラスタ7が、強度(Strength)からなり、
クラスタ8が、クラスタ傾向LLL、クラスタ傾向、平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散LLL(GLDM)、分散LLL、グレーレベル分散LLL(GLRLM)、ロバスト平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散LLL(GLSZM)、四分位範囲LLL、和エントロピーLLL、グレーレベル分散(GLRLM)、分散、グレーレベル分散(GLDM)、平均絶対偏差、和エントロピー、ロバスト平均絶対偏差、四分位範囲、エントロピーLLL、10パーセンタイルLLL、10パーセンタイル、エントロピー、均一性LLL、グレーレベル不均一性正規化LLL(GLDM)、グレーレベル不均一性正規化LLL(GLRLM)、二乗平均平方根、グレーレベル不均一性正規化(GLDM)、二乗平均平方根LLL、およびロングラン低グレーレベル強度(Cluster Tendency LLL、Cluster Tendency、Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance LLL(GLDM)、Variance LLL、Gray Level Variance LLL(GLRLM)、Robust Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance LLL(GLSZM)、Interquartile Range LLL、Sum Entropy LLL、Gray Level Variance(GLRLM)、Variance、Gray Level Variance(GLDM)、Mean Absolute Deviation、Sum Entropy、Robust Mean Absolute Deviation、Interquartile Range、Entropy LLL、10th Percentile LLL、10th Percentile、Entropy、Uniformity LLL、Gray Level Non Uniformity Normalized LLL(GLDM)、Gray Level Non Uniformity Normalized LLL(GLRLM)、Root Mean Squared、Gray Level Non Uniformity Normalized(GLDM)、Root Mean Squared LLL、およびLong Run Low Gray Level Emphasis)からなり、
クラスタ9が、サイズゾーン不均一性LLL、ビジーネス、およびサイズゾーン不均一性(Size Zone Non Uniformity LLL、Busyness、およびSize Zone Non Uniformity)からなる。
【0023】
少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、中央値LLL、平均値LLL、中央値、二乗平均平方根LLL、平均値、尖度、二乗平均平方根、ランエントロピーLLL(GLRLM)、均一性、90パーセンタイル、グレーレベル不均一性正規化(GLRLM)、均一性LLL、歪度、グレーレベル不均一性正規化LLL(GLRLM)、10パーセンタイルLLL、歪度LLL、10パーセンタイル、エントロピー、四分位範囲LLL、ロバスト平均絶対偏差LLL、ランエントロピー(GLRLM)、四分位範囲、和エントロピー(GLCM)、グレーレベル不均一性正規化LLL(GLRLM)、依存性不均一性LHL(GLDM)、尖度LLL、ランレングス不均一性HHL(GLRLM)、エントロピーLLL、ロバスト平均絶対偏差、和エントロピーLLL(GLCM)、90パーセンタイルLLL、ランエントロピーHHL(GLRLM)、エネルギー、エネルギーLLL、強度(NGTDM)、自己相関(GLCM)、平均絶対偏差LLL、高グレーレベル強調(GLDM)、ジョイントアベレージ(GLCM)、和アベレージ(GLCM)、ショートラン高グレーレベル強調(GLRLM)、エネルギーHHH、高グレーレベルラン強調(GLRLM)、ランエントロピーHHH(GLRLM)、エネルギーHHL、および平均絶対偏差(Median LLL、Mean LLL、Median、Root Mean Squared LLL、Mean、Kurtosis、Root Mean Squared、Run Entropy LLL(GLRLM)、Uniformity、90th Percentile、Gray Level Non-Uniformity Normalized(GLRLM)、Uniformity LLL、Skewness、Gray Level Non-Uniformity Normalized LLL(GLRLM)、10th Percentile LLL、Skewness LLL、10th Percentile、Entropy、Interquartile Range LLL、Robust Mean Absolute Deviation LLL、Run Entropy(GLRLM)、Interquartile Range、Sum Entropy(GLCM)、Gray Level Non-Uniformity Normalized LLL(GLRLM)、Dependence Non-Uniformity LHL(GLDM)、Kurtosis LLL、Run Length Non-Uniformity HHL(GLRLM)、Entropy LLL、Robust Mean Absolute Deviation、Sum Entropy LLL(GLCM)、90th Percentile LLL、Run Entropy HHL(GLRLM)、Energy、Energy LLL、Strength(NGTDM)、Autocorrelation(GLCM)、Mean Absolute Deviation LLL、High Gray Level Emphasis(GLDM)、Joint Average(GLCM)、Sum Average(GLCM)、Short Run High Gray Level Emphasis(GLRLM)、Energy HHH、High Gray Level Run Emphasis(GLRLM)、Run Entropy HHH(GLRLM)、Energy HHL、およびMean Absolute Deviation)から選択され得る。
【0024】
少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、クラスタ1~8のラジオミクス特徴量から選択され得る。少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、クラスタ1~7のラジオミクス特徴量から選択され得る。少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、クラスタ1~6のラジオミクス特徴量から選択され得る。少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、クラスタ1~5のラジオミクス特徴量から選択され得る。少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、クラスタ1~4のラジオミクス特徴量から選択され得る。少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、クラスタ1~3のラジオミクス特徴量から選択され得る。少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、クラスタ1および2のラジオミクス特徴量から選択され得る。
【0025】
少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、少なくとも3つのラジオミクス特徴量を含み得る。少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、少なくとも4つのラジオミクス特徴量を含み得る。少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、少なくとも5つのラジオミクス特徴量を含み得る。少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、少なくとも6つのラジオミクス特徴量を含み得る。少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、少なくとも7つのラジオミクス特徴量を含み得る。少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、少なくとも8つのラジオミクス特徴量を含み得る。少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、少なくとも9つのラジオミクス特徴量を含み得る。
【0026】
少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、6つのラジオミクス特徴量を含み得、6つのラジオミクス特徴量が、ショートラン高グレーレベル強調、歪度、ランエントロピー、小面積低グレーレベル強調、ゾーンエントロピーHHH、およびゾーンエントロピー(Short Run High Gray Level Emphasis、Skewness、Run Entropy、Small Area Low Gray Level Emphasis、Zone Entropy HHH、およびZone Entropy)である。
【0027】
少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、9つのラジオミクス特徴量を含み得、9つのラジオミクス特徴量が、ショートラン高グレーレベル強調、歪度、ランエントロピー、小面積低レーレベル強調、ゾーンエントロピーHHH、ゾーンエントロピー、強度、クラスタ傾向LLL、およびサイズゾーン不均一性(Short Run High Gray Level Emphasis、Skewness、Run Entropy、Small Area Low Gray Level Emphasis、Zone Entropy HHH、Zone Entropy、Strength、Cluster Tendency LLL、およびSize Zone Non Uniformity)である。
【0028】
ラジオミクスシグネチャは、少なくとも2つのラジオミクス特徴量の各々の値の加重和を含み得る。ラジオミクスシグネチャは、少なくとも2つのラジオミクス特徴量の各々の値の加重和に線形に関連し得る。
【0029】
医用イメージングデータは、少なくとも血管周囲領域に対応する複数のボクセルの各々の減衰値を含み得る。複数のボクセルはまた、血管周辺領域が周囲に配設された血管に対応し得る。
【0030】
この方法は、医用イメージングデータを使用して血管周囲領域(または物質、組織、または、血管周囲組織の種類、例えば脂肪組織)を識別することをさらに含み得る。血管周囲領域は、減衰値の所与の範囲内にある、および/または外側血管壁(すなわち、血管周囲組織に隣接する血管)から所与の半径方向距離内に位置する減衰(または放射線密度)値を有する医用イメージングデータのすべてのボクセルとして識別され得る。減衰値の所与の範囲は、例えば、血管周囲領域が血管周囲脂肪組織に対応する場合、約-190~約-30ハウンズフィールド単位であり得る。減衰値の所与の範囲は、例えば、血管周囲領域が水に対応する場合、約-30~約+30ハウンズフィールド単位であり得る。所与の半径方向距離は、隣接する血管の1つ以上のディメンジョンに関連する距離であり得る。所与の半径方向距離は、隣接する血管の直径と等しくてもよい。所与の半径方向距離は、固定値、例えば5mmであってもよい。
【0031】
血管周囲領域は、冠動脈、頸動脈、大動脈、または人体内の任意の他の動脈に隣接し得るか、またはそれを取り囲み得る。例えば、血管周囲領域は、近位および/または中間の右冠動脈に隣接し得るか、またはそれらを取り囲み得る。
【0032】
この方法は、血管周囲領域をセグメント化することをさらに含み得る。この方法は、セグメント化された血管周囲領域からラジオミクス特徴量の値を計算することをさらに含み得る。
【0033】
少なくとも2つのラジオミクス特徴量の各々の値は、原減衰値、ビニングされた減衰値、または減衰値のウェーブレット変換から計算され得る。
【0034】
この方法は、ラジオミクスシグネチャの計算された値に基づいて、対象が重大な有害心臓事象を経験するリスクを予測することをさらに含み得る。この方法は、ラジオミクスシグネチャの計算された値に基づいて、対象が心臓特異的な重大な有害心臓事象を経験するリスクを予測することをさらに含み得る。
【0035】
この方法は、ラジオミクスシグネチャの計算された値に基づいて、対象が血管疾患を有するかどうかを判定することをさらに含み得る。血管疾患は、アテローム性動脈硬化、血管石灰化、内膜過形成、血管動脈瘤、および血管炎症からなる群から選択され得る。
【0036】
この方法は、ラジオミクスシグネチャの計算された値に基づいて、対象が冠動脈心臓疾患を有するかどうかを判定することをさらに含み得る。
【0037】
ラジオミクスシグネチャの計算された値を使用して、不安定な冠動脈病変と安定な冠動脈病変とを見分け得る。血管周囲領域は、病変部近傍領域であり得る。
【0038】
本発明の第2の態様によれば、心血管リスクを予測するためのラジオミクスシグネチャを導出するための方法が提供される。この方法は、データセット、例えばラジオミクスデータセットを使用して、心血管リスクを予測するための血管周囲ラジオミクスシグネチャまたはスコアを構築することを含み得る。ラジオミクスシグネチャは、血管周囲領域の少なくとも2つのラジオミクス特徴量に基づいて計算され得る。データセットは、複数の個体の各々の医用イメージングデータから取得された血管周囲領域の複数のラジオミクス特徴量の測定された値を含み得る。複数の個体は、心血管リスクを示す臨床エンドポイントに到達した第1のグループの個体と、心血管リスクを示す臨床エンドポイントに到達していない第2のグループの個体と、を含み得る。
【0039】
第1のグループの個体は、医用イメージングデータが収集された後の後続の期間内に心血管リスクを示す臨床エンドポイントに到達していることが可能であり、第2のグループの個体は、医用イメージングデータが収集された後の後続の期間内に心血管リスクを示す臨床エンドポイントに到達していないことが可能である。
【0040】
少なくとも2つのラジオミクス特徴量の各々は、例えば、データセットから判定または計算されるように、臨床エンドポイントと有意に(すなわち、統計的に有意な)関連付けられた対応するパートナーラジオミクス特徴量と共線である(または相関する)ように選択され得る。少なくとも2つのラジオミクス特徴量のパートナーラジオミクス特徴量は各々、互いに異なり得る。
【0041】
少なくとも2つのラジオミクス特徴量の各々は、(データセットから判定されるように、すなわち、臨床エンドポイントと有意に関連付けられているとデータセットから識別される)臨床エンドポイントと有意に関連付けられた異なる有意なラジオミクス特徴量であるか、またはこれらの異なる有意なラジオミクス特徴量と共線であるように選択され得る。したがって、この方法は、臨床エンドポイントと各々有意に関連付けられた複数のラジオミクス特徴量の中から有意なラジオミクス特徴量を識別することをさらに含み得、少なくとも2つのラジオミクス特徴量が各々、異なる有意なラジオミクス特徴量であるか、または異なる有意なラジオミクス特徴量と共線であるように選択される。
【0042】
有意なラジオミクス特徴量は、互いに共線ではないように選択され得る。例えば、この方法は、互いに共線ではない複数のラジオミクス特徴量のサブセット(例えば、有意なラジオミクス特徴量のサブセット)を識別することをさらに含み得、少なくとも2つのラジオミクス特徴量は各々、サブセットに属する異なるラジオミクス特徴量であるか、またはサブセットに属する異なるラジオミクス特徴量と共線であるように選択される。
【0043】
パートナーラジオミクス特徴量の各々は、他のパートナーラジオミクス特徴量のいずれとも共線ではないように選択され得る。
【0044】
少なくとも2つのラジオミクス特徴量のうちの少なくとも1つは、それ自体のパートナーラジオミクス特徴量であり得る。
【0045】
少なくとも2つのラジオミクス特徴量の各々は、例えば、データセットから判定または計算されるように、臨床エンドポイントと有意に関連付けられるように選択され得る。
【0046】
この方法は、ラジオミクス特徴量の複数のクラスタを識別することを含み得る。各クラスタは、複数のラジオミクス特徴量のサブセットを含み得る。各クラスタは、例えば、データセットから判定または計算されるように、そのクラスタ内の他のラジオミクス特徴量の各々が共線であるように選択されるオリジナルのラジオミクス特徴量を含み得る。少なくとも2つのラジオミクス特徴量は各々、異なるクラスタから選択され得る。
【0047】
オリジナルのラジオミクス特徴量の各々は、例えば、データセットから判定または計算されるように、他のクラスタのうちのいずれのオリジナルのラジオミクス特徴量のうちのいずれとも共線ではないように選択され得る。
【0048】
各クラスタ内のラジオミクス特徴量の各々は、例えば、データセットから判定または計算されるように、同じクラスタ内の他のラジオミクス特徴量のすべてと共線であるように選択され得る。
【0049】
オリジナルのラジオミクス特徴量の各々は、例えば、データセットから判定または計算されるように、臨床エンドポイントと有意に関連付けられるように選択され得る。
【0050】
オリジナルのラジオミクス特徴量の各々は、例えば、データセットから判定または計算されるように、そのクラスタ内のすべてのラジオミクス特徴量の臨床エンドポイントと最も強く関連付けられるように選択され得る。
【0051】
少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、例えば、データセットから判定または計算されるように、互いに共線ではないように選択され得る。
【0052】
2つのラジオミクス特徴量は、それらのラジオミクス特徴量が相関閾値よりも大きい程度に相関する場合、共線であると識別され得る。
【0053】
ラジオミクス特徴量間の共線は、スピアマンのrho係数を使用して計算され得る。あるいは、ラジオミクス特徴量間の共線は、ピアソンの相関係数(ピアソンのr)などの他のペア相関の尺度を使用して計算されてもよい。
【0054】
相関閾値は、少なくとも約|0.75|、例えば、約|rho|=0.75であり得る。
【0055】
ラジオミクス特徴量は、例えば、データセットから判定または計算されるように、ラジオミクス特徴量が有意性閾値を上回る臨床エンドポイントと関連付けられている場合、臨床エンドポイントと有意に関連付けられていると識別され得る。有意性閾値は、少なくとも約α=0.05、例えば、約α=0.05であり得る。
【0056】
臨床エンドポイントとのラジオミクス特徴量の関連付けは、当業者によって容易に理解されるように、特に曲線下面積(AUC)測定値(すなわち、C統計)を使用して、受信者動作特性(ROC)曲線分析に基づいて計算され得る。
【0057】
有意性閾値にボンフェローニ補正が適用され得る。
【0058】
例えば、データセットを使用して(具体的には、複数の個体のラジオミクス特徴量の値に対して)、複数のラジオミクス特徴量の主成分分析が実行され得る。ボンフェローニ補正は、主成分分析から判定されるように、観察された変動の所与の量を占める主成分の数に基づき得る。観察された変動の所与の量は、少なくとも約99.5%、例えば、約99.5%であり得る。
【0059】
ラジオミクスシグネチャは、臨床エンドポイントと相関するように構築され得る。ラジオミクスシグネチャは、臨床エンドポイントと有意に関連付けられるように構築され得る。
【0060】
ラジオミクスシグネチャは、例えば、データセットから判定または計算されるように、ラジオミクスシグネチャが有意性閾値を上回る臨床エンドポイントと関連付けられている場合、臨床エンドポイントと有意に関連付けられていると識別され得る。有意性閾値は、少なくとも約0.05、例えば、約α=0.05であり得る。
【0061】
データセットは、個体の訓練コホートのデータと個体の検証コホートのデータとに分割され得る。ラジオミクスシグネチャを構築するステップは、少なくとも訓練コホートのデータを使用してシグネチャを導出することを含み得る。ラジオミクスシグネチャを構築するステップは、検証コホートのデータを使用してシグネチャを検証することを含み得る。
【0062】
ラジオミクス特徴量は、ラジオミクス特徴量が両方のコホートにおける臨床エンドポイントと有意に関連している場合にのみ、臨床エンドポイントと有意に関連付けられていると識別され得る。ラジオミクスシグネチャは、ラジオミクスシグネチャが訓練コホートにおける臨床エンドポイントと有意に関連付けられている場合、臨床エンドポイントと有意に関連付けられていると識別され得る。
【0063】
少なくとも2つのラジオミクス特徴量の各々は、体積非依存性であり得る。少なくとも2つのラジオミクス特徴量の各々は、配向非依存性であり得る。複数のラジオミクス特徴量は各々、体積非依存性および/または配向非依存性であり得る。
【0064】
任意の体積非依存性および/または配向非依存性のラジオミクス特徴量が、少なくとも2つのラジオミクス特徴量を選択する前に、複数のラジオミクス特徴量から除去され得る。
【0065】
少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、例えば、データセットから判定または計算されるように、安定であるように選択され得る。例えば、少なくとも2つのラジオミクス特徴量は、例えば、データセットから判定または計算されるように、安定であると識別されるものの中から選択され得る。
【0066】
すべての不安定な特徴量が、複数のラジオミクス特徴量から除去され得る。例えば、すべての不安定な特徴量が、少なくとも2つのラジオミクス特徴量が選択される前に、複数のラジオミクス特徴量から除去され得る。
【0067】
ラジオミクス特徴量が、そのラジオミクス特徴量のクラス内相関係数(ICC)(反復測定またはスキャンのために計算される)が安定性閾値未満である場合、不安定であると識別され得る。安定性閾値は、少なくとも約0.9、例えば0.9であり得る。クラス内相関係数は、ラジオミクス特徴量のZスコア(または標準スコア、すなわち、平均値からの標準偏差の数字で表される)に基づいて計算され得る。
【0068】
ラジオミクスシグネチャを構築するステップは、ラジオミクスシグネチャへの少なくとも2つのラジオミクス特徴量の寄与を精緻化して、臨床エンドポイントとのラジオミクスシグネチャの関連付けまたは相関を増加させることを含み得る。ラジオミクスシグネチャは、臨床エンドポイントと有意に関連付けられるように構築され得る。
【0069】
臨床エンドポイントとのラジオミクスシグネチャの関連付けは、当業者によって容易に理解されるように、特に曲線下面積(AUC)測定値(すなわち、C統計)を使用して、受信者動作特性(ROC)曲線分析に基づいて計算され得る。
【0070】
ラジオミクスシグネチャを構築するステップは、機械学習アルゴリズムを使用して実行され得る。
【0071】
ラジオミクスシグネチャを構築するステップは、p個抜き内部交差検証を使用して実行され得る。
【0072】
ラジオミクスシグネチャを構築するステップは、一個抜き内部交差検証を使用して実行され得る。
【0073】
ラジオミクスシグネチャを構築するステップは、弾性ネットワーク回帰を使用して実行され得る。
【0074】
ラジオミクスシグネチャは、少なくとも2つのラジオミクス特徴量の加重和を含み得る。
【0075】
ラジオミクスシグネチャは、少なくとも2つのラジオミクス特徴量の加重和に線形に関連し得る。
【0076】
ラジオミクスシグネチャを構築するステップは、少なくとも2つのラジオミクス特徴量の各々の相対重みを調整して、臨床エンドポイントとのラジオミクスシグネチャの関連付けまたは相関を増加させることを含み得る。
【0077】
ラジオミクスシグネチャは、血管周囲領域のテクスチャの尺度を提供するように構築され得る。
【0078】
少なくとも2つのラジオミクス特徴量のうちの少なくとも1つは、血管周囲領域のテクスチャの尺度を提供し得る。例えば、少なくとも2つのラジオミクス特徴量の各々は、血管周囲領域のテクスチャの尺度を提供し得る(すなわち、少なくとも2つのラジオミクス特徴量の各々は、テクスチャ統計であり得る)。
【0079】
臨床エンドポイントは、重大な有害心臓事象の複合エンドポイントであり得る。臨床エンドポイントは、心臓特異的な重大な有害心臓事象の複合エンドポイントであり得る。
【0080】
本発明の方法はまた、医用イメージングデータからラジオミクス特徴量を計算するステップを含み得る。
【0081】
本発明のラジオミクスシグネチャはまた、上記で言及した少なくとも2つのラジオミクス特徴量に加えて、さらなるラジオミクス特徴量に基づいて計算され得る。したがって、ラジオミクスシグネチャは、複数のラジオミクス特徴量に基づいて計算されると言え、複数のラジオミクス特徴量は、少なくとも2つのラジオミクス特徴量を含み得る。例えば、心血管リスクを予測するためのラジオミクスシグネチャを導出するための方法は、データセット、特にラジオミクスデータセットを使用して、心血管リスクを予測するための血管周囲ラジオミクスシグネチャまたはスコアを構築することを含み得る。ラジオミクスシグネチャは、(第2の)複数の血管周囲ラジオミクス特徴量(すなわち、血管周囲領域のラジオミクス特徴量)に基づいて計算され得る。データセットは、複数の個体の各々の医用イメージングデータから取得された血管周囲領域の(第1の)複数の血管周囲ラジオミクス特徴量の測定された値を含み得る。複数の個体は、心血管リスクを示す臨床エンドポイントに到達した第1のグループの個体と、心血管リスクを示す臨床エンドポイントに到達していない第2のグループの個体と、を含み得る。第2の複数の血管周囲ラジオミクス特徴量は、特に、例えば機械学習アルゴリズムを使用して、データセットから判定されるか、またはデータセットを使用して判定されるように、心血管リスクを予測するためのラジオミクスシグネチャを提供するために、第1の複数の血管周囲ラジオミクス特徴量の中から選択され得る。したがって、ラジオミクスシグネチャは、少なくとも2つのラジオミクス特徴量に加えて、さらなるラジオミクス特徴量(例えば、(第1の)複数のラジオミクス特徴量から選択される)に基づいて計算され得る。
【0082】
この方法は、患者についてのラジオミクスシグネチャの値を計算するためのシステムを構成することをさらに含み得る。例えば、この方法は、患者または対象についての導出されたラジオミクスシグネチャの値を計算することによって、患者または対象の血管周囲領域を特徴付けるためのシステムを構成することをさらに含み得る。システムは、患者または対象の少なくとも血管周囲領域の医用イメージングデータを使用するか、またはこの医用イメージングデータに基づいて、導出されたラジオミクスシグネチャの値を計算するように構成され得る。システムは、患者または対象の血管周囲領域のラジオミクス特徴量のうちの少なくとも2つ(または第2の複数)の値を使用して、またはこれらの値に少なくとも基づいて、導出されたラジオミクスシグネチャの値を計算するように構成され得る。
【0083】
したがって、この方法は、血管周囲ラジオミクスシグネチャを導出し、かつ導出されたラジオミクスシグネチャを使用して患者の血管周囲領域を特徴付けるためのシステムを構成するためのものであり得る。
【0084】
システムは、少なくとも2つの(または第2の複数の)ラジオミクス特徴量の医用イメージングデータまたは値を入力として受信するように構成され得る。システムは、ラジオミクスシグネチャの計算された値、またはラジオミクスシグネチャの計算された値に基づく値を出力する(例えば、表示する)ように構成され得る。システムは、患者の心血管リスクおよび/または血管の健康の表示を出力するように構成され得る。システムは、患者が有害心血管事象を経験するリスクの表示を出力するように構成され得る。システムは、コンピュータシステムであり得る。
【0085】
この方法は、患者または対象についての導出されたラジオミクスシグネチャの値を計算するためのシステムを構成するための命令を提供することを含み得る。
【0086】
この方法は、患者または対象の血管周囲領域について導出されたラジオミクスシグネチャの値を計算することをさらに含み得る。例えば、この方法は、導出されたラジオミクスシグネチャの値を計算することによって、患者または対象の血管周囲領域を特徴付けることをさらに含み得る。導出されたラジオミクスシグネチャの値は、患者または対象の少なくとも血管周囲領域の医用イメージングデータに基づいて、またはこの医用イメージングデータを使用して計算され得る。導出されたラジオミクスシグネチャの値は、患者または対象の血管周囲領域の少なくとも2つの(または第2の複数の)ラジオミクス特徴量の値を使用して、またはこれらの値に少なくとも基づいて計算され得る。
【0087】
したがって、この方法は、血管周囲ラジオミクスシグネチャを導出し、かつ導出されたラジオミクスシグネチャを使用して血管周囲領域を特徴付けるためのものであり得る。
【0088】
本発明の第3の態様によれば、上述したような方法のうちのいずれかを実行するように構成されたシステムが提供される。システムは、コンピュータシステムであり得る。システムは、この方法のステップを実行するように構成されたプロセッサを含み得る。システムは、この方法のステップを実行するための実行可能命令がロードされたメモリを含み得る。
【0089】
本発明の第4の態様によれば、例えば、血管周囲領域を特徴付けるためか、血管疾患を検出するためか、または心血管リスクを予測するための、上述の目的のうちのいずれかのための血管周囲ラジオミクスシグネチャの使用が提供される。血管周囲ラジオミクスシグネチャは、血管周囲領域の複数の血管周囲ラジオミクス特徴量の測定された値に基づいて計算され得る。
【0090】
医用イメージングデータは、放射線データであり得る。医用イメージングデータは、計算された断層撮影データであり得る。
【0091】
血管周囲領域は、血管周囲組織、例えば、血管周囲脂肪組織であり得るか、またはこれを含み得る。血管周囲領域はまた、水、および/または血管周囲領域内の他の軟組織構造を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0092】
本発明は、以下の添付の図を参照して説明される。
図1】研究の方法論および設計を例示している。図1Aは、血管周囲領域表現型、体積セグメント化、離散化、ウェーブレット変換、およびラジオミクス特徴量計算の方法論を例示している。図1Bおよび図1Cは、それぞれ、研究のアーム1およびアーム2の概要を例示している。AMI:急性心筋梗塞;CAD:冠動脈疾患;CCTA:冠動脈コンピュータ断層撮影血管造影;MACE:重大な有害心血管事象;PVR:血管周囲領域;H/L:高/低ウェーブレット変換;VOI:対象の体積。
図2】高リスクの血管周囲領域ラジオミクスシグネチャの形成を概要している。図2Aは、シグネチャをフロー図として形成するために使用される多段階アプローチを概要している。まず、合計843個の計算されたラジオミクス特徴量のうち、124個は、安定性分析後に除外された(ICC<0.9)。次に、両方のコホートにおいてa=0.05のレベルでMACEと有意に関連付けられた60個のラジオミクス特徴量が選択された。これらのうち、7つの体積依存性および配向依存性特徴量(例えば、エネルギーおよび非HHH/LLL変換)を除外し、その後、|rho|≧0.75のレベルのペア相関を段階的に除去することによって共線が低減された。残りの9つのラジオミクス特徴量を使用して、コホート1において、弾性ネットワーク回帰および一個抜き内部交差検証を使用する機械学習アプローチが適用された。図2Bは、MACEの予測のための最良性能モデルの相対可変重み(加重)を示す。図2Cは、心臓特異的MACE(cMACE)の予測のための最良性能モデルの相対可変重み(加重)を示す。次いで、図2Cのモデルの上位6つの成分を使用して、本発明によるラジオミクスシグネチャである血管周囲テクスチャ指数(PTI)を定義した。AUC:曲線下面積;CI:信頼区間;MACE:重大な有害心血管事象;SALGLE:小面積低グレーレベル強調(small area low gray level emphasis);SRHGLE:ショートラン高グレーレベル強調(short run high gray level emphasis);SZNU:サイズゾーン不均一性(size zone non-uniformity)。
図3】本発明のPTIシグネチャが、現在のCCTAベースのツールを超えて増分予後情報を提供することを示す。両方のアーム1コホートのプール解析では、年齢、性別、典型的なリスク因子と冠動脈周囲FAIPVATを含むコンピュータ断層撮影由来の高リスク特徴量とからなるモデルへの血管周囲テクスチャ指数(PTI)の追加は、両方のMACE(δ[AUC]=0.020、P=0.014、図3A)および心臓特異的MACE(δ[AUC]=0.046、P=0.012、図3B)についてのモデルの予測値を有意に改善した。注目すべきことに、PTIおよびFAIPVATは、独立に両方のエンドポイントのリスクと関連付けられ、有害事象のリスクの見通しが高いほど、結びつけられた両方のバイオマーカーの値が高い。2つのCT由来の血管周囲領域(PVR)特徴量(PTIおよびFAI)の間の相互作用は、2つのバイオマーカーの異なるレベルにわたるMACE(左)および心臓特異的MACE(右)の調整された確率を表記する二元の等高線プロットを使用して、図3Cにグラフ的に提示されている。これらの所見は、FAIPVATとPTIとの両方による冠動脈血管周囲領域の包括的な表現型のための有意な臨床的価値を示唆している。
図4】オリジナルのラジオミクス特徴量の相関プロットを示す。示された107個の冠動脈血管周囲領域ラジオミクス特徴量の相関プロットは、オリジナルのCCTA画像から計算された。このプロットは、個々のラジオミクス特徴量の間の関連付けの方向および強さ(スピアマンのrho係数によって計算される)を表記し、および特徴量の別異するクラスタの存在を明らかにしている。
図5】冠動脈血管周囲領域ラジオミクス特徴量の主要成分分析の様々な態様を例示している。図5Aは、アーム1の3つの重大な主成分の成分プロットを示す。図5Bは、変動の99.5%を占める92個の第1の成分によって説明される変動の割合を表記するスクリープロットを示す。図5Cは、固有値>1を有する42個の成分についての5年MACEの予測のためのマンハッタンプロットを示す。図5Dは、単変量分析において有意であった7つの主要成分についての5年MACEの予測のための調整されたオッズ比(年齢、性別などの共変量について統計的に調整された)を提示するフォレストプロットを示す。図5Eは、選択された成分と人口統計との相関プロットを示す。図5Fは、5年MACEの予測のための血管周囲領域ラジオミクス成分の増分予後値を例示している。AUC:曲線下面積;BMI:体格指数;CCS:冠動脈カルシウムスコア;DM:糖尿病;EAT:心外膜脂肪組織;HCH:高コレステロール血症;HDL:高密度リポタンパク質;LDL:低密度リポタンパク質;PC:主要成分;PVR:血管周囲領域;SBP:収縮期血圧;TG:トリグリセリド。
図6】5年MACEの予測のためのマンハッタンプロットを示す。P値は、オリジナルの画像またはウェーブレット変換された画像に対して計算されたすべてのラジオミクス特徴量について、5年MACEの判別のための受信者動作特性(ROC)曲線分析から導出される。MACE:重大な有害心血管事象;H/L:ウェーブレット変換における高/低信号パス。
図7】すべての血管周囲領域ラジオミクス特徴量のクラス内相関係数(ICC)のプロットを示す。ラジオミクス特徴量は、反復分析におけるクラス内相関係数(ICC)に従ってランク付けされる。合計719個のラジオミクス特徴量が、ICC≧0.9を有することが見出された。
図8】本発明によるラジオミクスシグネチャを使用する血管周囲領域テクスチャ表現型が、不安定な冠動脈病変の検出に使用され得ることを示す。図8A~Gは、PTIに含まれる、およびPTI自体の6つのラジオミクス特徴量のボックスプロットおよびウィスカープロットを示す。アーム2では、PTIの6つの構成成分ラジオミクス特徴量のうちの5つが、安定な冠動脈病変に対して不安定な冠動脈病変の存在下で有意に変化したが、PTIは、不安定な形態安定な冠動脈病変を見分けることにおいて6つの個々のラジオミクス特徴量のすべてを上回った(AUC:0.76;95%CI:0.64-0.88)。これらの所見は、冠動脈病変のリスクプロファイルを監視する非侵襲的な方法として、プラーク破裂と関連付けられた血管炎症と、血管周囲領域テクスチャ変化(本発明のラジオミクスシグネチャ、例えばPTI、によって検出できるようになった)と、の間の密接な結びつきを示唆する。AU:任意単位;SALGLE:小面積低グレーレベル強調;SRHGLE:ショートラン高グレーレベル強調;SZNU:サイズゾーン不均一性。
【発明を実施するための形態】
【0093】
本発明者等は、血管周囲領域(PVR)の2つ以上の放射的特徴量に基づいて計算されたPVRラジオミクスシグネチャ(別名「スコア」または「指標」)が、伝統的なリスク因子を超えて増分値を付加し、将来の有害心血管事象を予測し、かつ心血管の健康およびリスクを評価する際のCCTAリスク分類ツールを確立し、さらに一般の血管炎症、局所プラーク炎症、および不安定な冠動脈病変の存在の検出を補助することを発見した。したがって、本発明のPVRラジオミクスシグネチャは、好ましくは、PVRの2つ以上のラジオミクス特徴量に基づいて計算され、心血管または血管の健康を評価し、患者における将来の有害心血管事象のリスクを予測し、冠動脈疾患または冠動脈心臓疾患を識別または診断し、および例えば局所的なプラークによって引き起こされるような不安定な冠動脈病変または血管炎症を識別する目的で、PVR、例えば血管周囲脂肪組織(PVAT)などの血管周辺組織、を特徴付けるためのツールを提供する。
【0094】
本発明のPVRラジオミクスシグネチャは、PVRを特徴付けるために、または診断もしくは予後情報を提供するために単独で使用され得、またはこのPVRラジオミクスシグネチャは、FAIPVAT、デューク予後CAD指数などの既存のモデル、および/または、冠動脈カルシウム、高リスクプラーク特徴量、および/またはEAT(心外膜脂肪組織)体積の存在などの人口統計およびリスク因子を含む他の従来モデルと組み合わせられ得る。
【0095】
本発明は、冠動脈壁および隣接するPVR、特に脂肪組織などのPVR内の組織が双方向に相互作用するという事実を利用する。したがって、冠動脈PVRにおける血管誘発性表現型変化は、目に見える冠動脈病変が存在しなくても、基礎疾患のセンサとして機能することができる。特に、本発明は、この相互作用がPVRのテクスチャ(例えば、空間的不均一性または可変性)に及ぼす効果を利用し、したがって、本発明のラジオミクスシグネチャは、PVRのテクスチャの尺度を提供するように構築され得る。したがって、本発明のラジオミクスシグネチャは、血管周囲テクスチャ指標(PTI)とも称され得る。ただし、本発明のシグネチャを構築するために使用されるラジオミクスベースのアプローチは、テクスチャを測定するラジオミクスシグネチャを構築することに特異的ではなく、このアプローチは、第一に重要である、結果として生じるシグネチャの予後値である。したがって、効果的な予後ツールまたは診断ツールであるために、ラジオミクスシグネチャがテクスチャを測定することは必要不可欠ではない。
【0096】
PVRは、血管に隣接する領域または体積を指す。PVRは、血管周囲組織(PVT)の領域もしくは体積であり得るか、またはPVTを含み得るか、もしくはPVTからなり得る。血管周囲組織は、血管に隣接して位置する組織である。組織は、複雑な生物学的構造であり、細胞(例えば、脂肪細胞、ニューロンなど)、ならびに細胞間空間を占有し得る細胞外構造および材料(水など)を含み得る。特に、PVTは、血管周囲脂肪組織(PVAT)を含み得るか、またはPVATからなり得、したがって、PVRは、代替的に、PVATの領域または体積と称され得る。
【0097】
本発明は、ラジオミクスアプローチを利用する。ラジオミクスは、データ特性評価アルゴリズムを使用して大量の定量的情報がイメージングデータから抽出されるイメージングの分野である。ラジオミクス特徴量と称される、結果として生じる特徴量は、単純な体積測定統計、形状関連統計、または一次統計(平均値または中央値減衰など)から、セグメント化された体積または領域のテクスチャ、ならびに類似または異なる減衰値を有するボクセルの空間関係を記述する二次およびより高次の統計までに及ぶ。このような特徴量は、肉眼では認識できず、かつ非侵襲性PVR表現型の診断歩留まりを最大化する可能性を有する、有意な臨床価値のイメージングパターンを識別することができる。
【0098】
本発明のシグネチャは、ラジオミクス特徴量、例えば、医用イメージングデータから抽出された特徴量に基づいて導出および計算される。特に、ラジオミクス特徴量が抽出される医用イメージングデータは、血管周囲領域(PVR)、例えば、冠動脈血管周囲脂肪組織(PVAT)などの冠動脈PVRに対応し、任意で、血管自体、および/または、PVRに隣接するか、もしくはPVRを取り囲む他の組織にも対応する。医用イメージングデータは、典型的には、関連する領域の複数のボクセル、この場合はPVRについて、および、任意で、隣接する組織についても、通常ハウンズフィールド単位(HU)で表される放射線密度(または減衰)値を含む。
【0099】
医用イメージングデータは、好ましくは、冠動脈コンピュータ断層撮影血管造影(CCTA)などのコンピュータ断層撮影(CT)データであるが、代わりに、三次元の計算されたラミノグラフィデータなどの、イメージングされる領域のボクセルについて減衰(または放射線密度)データを提供する他の形態の医用イメージングデータ(例えば、ラジオミクス撮像データ)が使用されてもよい。典型的には、本発明で使用される医用イメージングデータは、三次元イメージングデータである。以下を通して、CCTAまたは別の医用イメージング技術に言及する場合、他の好適な医用イメージング技術が代替的に使用され得ることを理解されたい。
【0100】
PVRは、所与のまたは所定の範囲内にあり、かつ/または描かれた領域内、例えば、外側血管壁からの所与のまたは所定の半径方向距離内に位置する放射線密度(または減衰)を有するボクセルのみを含み得る。所与の半径方向距離は、好ましくは、その直径または半径などの、隣接する血管の1つ以上の次元に関連する、またはこれらの次元に依存する距離である。ただし、半径方向距離は、代わりに、約5mmなどの設定値または固定値であってもよい。あるいは、PVRは、人間のオペレータによって、任意でまた、指定された範囲内に放射線密度を有し、かつ描かれた領域内に入るボクセルのみが含まれるように、放射線密度または減衰マスクを適用することと組み合わせて、手動の輪郭形成または描写によって識別されてもよい。例えば、オペレータは、データ、例えばCT画像の検査を通じてPVRを識別し得る。PVRは、約-190HU~約+30HUのハウンズフィールド単位範囲内の放射線密度を有するボクセルのみを含み得る。例えば、PVRは、約-190HU~約-30HUのハウンズフィールド単位範囲の放射線密度を有するボクセルのみを含み得る。この減衰値範囲は、一般に、血管周囲脂肪組織(PVAT)の放射線密度に対応する。ただし、他の範囲、例えば、一般に水の放射線密度に対応する約-30~約+30のハウンズフィールド単位が使用できる。特に、PVRは、約-190HU~約-30HUのハウンズフィールド単位範囲の放射線密度を有し、かつ隣接する血管の直径にほぼ等しい隣接する外側血管壁から半径方向の距離内に位置する、すべてのボクセルとして識別され得る。
【0101】
ラジオミクス特徴量、したがってまたラジオミクスシグネチャは、特定の血管、例えば、冠動脈などの冠動脈血管について計算され得る。近位および中間の右冠動脈(RCA)(例えば、Austen WG、Edwards JE,Frye RL,et al.のA reporting system on patients evaluated for coronary artery disease.Report of the Ad Hoc Committee for Grading of Coronary Artery Disease,Council on Cardiovascular Surgery,American Heart Association.Circulation 1975;51(4 Suppl):5~40で定義される、米国心臓協会の解剖学的分類によるセグメント1および2)は、その直線的なコースおよび大きな分岐の不存在に起因して特に好適である。したがって、PVRは、特定の血管に隣接して位置し得る。
【0102】
PVRは、ラジオミクス特徴量を計算する前にセグメント化され得、ラジオミクス特徴量は、セグメント化されたデータから計算され得る。セグメント化された体積または領域は、PVRに対応し、セグメント化は、PVRの外側にあるボクセルに対応するデータを除去し得る。したがって、セグメント化は、上述したように、PVRを識別し、かつ次いで、PVRの一部ではないと識別されたデータから任意のボクセル、例えば、周囲のまたは隣接する組織ボクセルに対応するボクセルを除去することによって、達成され得る。セグメント化は、血管の直径に、外側血管壁であって、外側血管壁内で血管の中心線に続く連続したスライス上にPVRが識別され得る外側血管壁からの所与の距離の2倍を加えたものに等しい直径を有する三次元球を配置することによって、実行され得る。例えば、PVRが、外側血管壁から、隣接する血管の直径に等しい半径方向の距離内に位置すると識別される場合には、球は、隣接する血管の直径の3倍に等しい直径を有する。セグメント化されたPVRは、ラジオミクス特徴量を計算するために抽出および使用され得る。
【0103】
医用イメージングデータからのラジオミクス特徴量の計算は、コンピュータプログラムまたはソフトウェアを使用して実行され得る。この目的で、3Dスライサなどの、様々な市販ソフトウェアパッケージが存在する。ラジオミクス特徴量は、形状関連の統計、一次統計、またはテクスチャ統計(例えば、二次およびより高次の統計)であり得る。形状関連および一次ラジオミクス特徴量は、PVRボクセルの原放射線密度(HU)値を使用して計算され得る。テクスチャ特徴量(例えば、グレーレベル同時生起行列[GLCM]、グレーレベル依存行列[GLDM]、グレーレベルランレングス行列[GLRLM]、グレーレベルサイズゾーン行列[GLSZM]、および近隣グレートーン差分行列[NGTDM]、図1Aおよび表R1~R7を参照されたい)の計算について、PVRボクセル放射線密度または減衰値は、好ましくは、複数のビン、好ましくは、好ましくは等しい幅(例えば、10HUの幅)の16ビン、に離散化されて、PVR減衰の生物学的に有意な空間変化を検出するのに十分な分解能を可能にしながらノイズを低減する。ラジオミクス分析のための画像の信号対ノイズ比を増加させるための最適なアプローチとして、16ビンへの離散化が推奨される。ただし、16ビンよりも多いまたは少ない離散化も可能である。対称の、回転不変の結果を強制するために、ラジオミクス特徴量、特にテクスチャ統計(GLCMなど)のうちのいくつかまたはすべてが、すべての(直交)方向で計算され、次いでアベレージングされ得る(例えば、4つの方向の各々における特徴量の個々に計算された値の平均値または他のアベレージを使用して)。
【0104】
ラジオミクス特徴量のうちのいくつかまたはすべて、特に一次およびテクスチャベースの統計に関連するものはまた、例えばGuoら(Guo X,Liu X,Wang H,et al.Enhanced CT images by the wavelet transform improving diagnostic accuracy of chest nodules.J Digit Imaging 2011;24(1):44-9)によって記載されたラジオミクス特徴量のいくつかの追加のセットをもたらすオリジナルの画像データの三次元ウェーブレット変換について計算され得る。ウェーブレット変換は、データを高周波数成分および低周波数成分に分解する。高周波数(より短い時間間隔)で、結果として生じるウェーブレットは、オリジナルのデータにおける不連続性、破裂、および特異性を捕捉することができる。低周波数(より長い時間間隔)で、ウェーブレットは、長期傾向を識別するためにデータの粗い構造を特徴付ける。したがって、ウェーブレット解析は、イメージング研究の信号対ノイズ比を改善しながら、オリジナルのデータの隠されたかつ有意な時間的特徴量の抽出を可能にする。データは、データをマルチレベル(例えば、3レベル)フィルタバンクを通過させることによって、離散ウェーブレット変換によって複数の(例えば、8つの)ウェーブレット分解に分解され得る。各レベルで、データは、それぞれ、ハイパスフィルタおよびローパスフィルタによって、高周波数成分および低周波数成分に分解される。したがって、3レベルのフィルタバンクが使用される場合、HHH、HHL、HLH、HLL、LHH、LHL、LLH、およびLLLに対応する8つのウェーブレット分解が結果として生じ、ここで、Hは「ハイパス」を指し、Lは「ローパス」を指す。もちろん、8以上または8以下のレベルを代替的に使用して、データを分解することができる。このような分解は、ピラジオミクスライブラリを組み込んだスライサラジオミクスソフトウェアパッケージなどの広く利用可能なソフトウェアを使用して実行され得る。ラジオミクス特徴量がデータのウェーブレット分解または変換に基づいて計算される場合、このことは、ラジオミクス特徴量がどのウェーブレット分解に基づいて計算されたかを示すサフィックスによって表記される(例えば、ハイパス、ハイパス、ハイパスについてはHHH)。したがって、例えば、「歪度LLL(Skewness LLL)」は、LLLウェーブレット分解に基づいて計算されるラジオミクス特徴量「歪度(Skewness)」を表記する。サフィックスが存在しない場合、ラジオミクス特徴量は、オリジナルの(または原)データに基づいて計算される。
【0105】
ラジオミクスシグネチャの導出
本発明は、PVR(例えば、血管周囲脂肪組織の領域)を特徴付けるための、例えば、心血管リスクを予測するための、ラジオミクスシグネチャを導出するための方法を提供する。ラジオミクスシグネチャは、複数の個体についての医用イメージングデータと、医用イメージングデータが収集された後の後続の期間内の、複数の個体の各々についての臨床エンドポイント事象の発生を含むデータと、を使用して導出される。特に、臨床エンドポイントは、好ましくは、心血管の健康またはリスクを示す。
【0106】
本方法は、典型的には、イメージングデータが収集された後、例えばCCTAまたは他の医用イメージング技術による臨床的に必要な評価によって、所定または後続の期間、好ましくは5年以内に有害(臨床エンドポイント)事象を有する(ヒト)患者対有さない(ヒト)患者の症例対照研究を実行することを伴う。臨床エンドポイントに到達する個体は、症例(第1のグループ)であり、臨床エンドポイントに到達しない個体は、対照(第2のグループ)である。
【0107】
複数の個体(本明細書では患者とも称される)は、医用イメージングを受けている(または受けた)患者の2つの独立したコホート、具体的には訓練コホートおよび検証コホートに分割され得る。症例は、医用イメージングデータの収集に続く指定されたまたは所定の期間、すなわち、後続の期間内の臨床エンドポイント事象の発生に基づいて識別される。後続の期間は、好ましくは、少なくとも約5年、好ましくは、約5年であるが、より長くてもより短くてもよい。臨床エンドポイントは、好ましくは、重大な有害心血管事象(MACE)の主要複合エンドポイントであり、この主要複合エンドポイントは、医用イメージングデータの収集に続く指定期間(好ましくは5年)内の全原因死亡率および非致死性心筋梗塞(MI)の複合、または医用イメージングデータの収集に続く指定期間(好ましくは5年)内の心臓特異的MACE(cMACE、すなわち、心臓死亡率および非致死性MI)の主要複合エンドポイントとして定義され得る。
【0108】
本明細書で使用される場合、心臓および非心臓死亡率は、ACC/AHA(Hicks KA,Tcheng JE,Bozkurt B,et al.2014 ACC/AHA Key Data Elements and Definitions for Cardiovascular Endpoint Events in Clinical Trials:A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Clinical Data Standards (Writing Committee to Develop Cardiovascular Endpoints Data Standards).J Am Coll Cardiol 2015;66(4):403-69)に従って定義され得る。より具体的には、心臓死亡率は、近接する心臓原因(例えば、心筋梗塞、低出力心不全、致命的な不整脈)に起因する任意の死亡として定義され得る。突然の心臓死の基準を満たす死亡も、このグループに含まれ得る。悪性腫瘍、事故、感染症、敗血症、腎不全、自殺、または、脳卒中もしくは肺塞栓症などの他の非心臓血管原因によって引き起こされる死亡などの、以前の定義によってカバーされていない任意の死亡は、非心臓に分類され得る。
【0109】
対照は、好ましくは、同じ指定された期間、例えばCCTA後の少なくとも5年間、内に無事象経過観察の患者として識別される。例えば自動化アルゴリズムを使用して、症例を対照と一致させるために、好ましくは、1:1の症例対照マッチングが実行される。症例および対照を、イメージングデータ取得に関連する臨床人口統計(年齢、性別、肥満状態など)、コホート、および/または技術パラメータ(例えば、使用される管電圧およびCTスキャナ)について一致させ得る。好ましくは、患者をまた、高血圧、脂質異常症、糖尿病、および喫煙を含む他の心血管リスク因子について一致させる。
【0110】
高血圧は、関連する臨床ガイドライン(James PA,Oparil S,Carter BL,et al.2014 evidence-based guideline for the management of high blood pressure in adults: report from the panel members appointed to the Eighth Joint National Committee (JNC 8).JAMA 2014;311(5):507-20)に従って、降圧レジメンによる文書化された診断または治療の存在に基づいて定義され得る。同様の基準が、高コレステロール血症および糖尿病の定義に適用され得る(American Diabetes A.Diagnosis and classification of diabetes mellitus.Diabetes Care 2014; 37 Suppl 1:S81-90; Stone NJ,Robinson JG,Lichtenstein AH,et al.2013 ACC/AHA guideline on the treatment of blood cholesterol to reduce atherosclerotic cardiovascular risk in adults: a report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines.J Am Coll Cardiol 2014;63(25 Pt B):2889-934)。
【0111】
「クラスタリング」(または共線排除)方法
次いで、図2に概略的に例示されるように、段階的アプローチに従って、ラジオミクスシグネチャを生じさせ得る。まず、複数のラジオミクス特徴量が、例えば上述したように、複数の個体の各々の医用イメージングデータから計算される。ラジオミクス特徴量は、表R1~表R7に定義されるようなラジオミクス特徴量の選択またはすべてを含み得、ラジオミクス特徴量の各々は、上述したように、原画像データに基づいて、および/または画像データの1つ以上のウェーブレット変換(またはウェーブレット分解)に基づいて計算され得る。好ましくは、ラジオミクス特徴量の各々は、原画像データについて、および画像データの前述の8つの三次元ウェーブレット分解について、計算される。
【0112】
不安定な特徴量が、複数のラジオミクス特徴量から除去され得る。zスコア変換は、特徴量(すなわち、平均値からの標準偏差の数でラジオミクス特徴量の値を表現する)と、zスコアに基づいて実行される安定性分析と、に適用され得る。不安定なラジオミクス特徴量は、安定性閾値を下回る反復イメージングデータ取得(例えば、イメージングスキャン)におけるクラス内相関係数(ICC)を有するものとして識別される。例えば、ICC<0.9を有するすべてのラジオミクス特徴量が除外されるように、安定性閾値は、少なくとも約0.9、例えば約0.9であり得る(図3)。ただし、代わりに、0.85または0.95などの他の安定性閾値が使用されてもよい。ICCは、複数の反復スキャン、例えば2~10回のスキャン、特に2回または10回のスキャンについて計算され得る。言い換えると、安定性分析は、複数のラジオミクス特徴量から除去されたPVRラジオミクス特徴量および不安定なラジオミクス特徴量に対して実行され得る。安定性分析は、複数の個体のイメージングデータに基づいて実行され得るか、または他のデータ、例えば、RIDERデータセット(治療応答を評価するための参照画像データベース)などの参照データを使用して実行され得る。
【0113】
好ましくは、複数のラジオミクス特徴量が任意の体積依存性および配向依存性のラジオミクス特徴量を含む場合、それらのラジオミクス特徴量は、次いで除外される(すなわち、複数のラジオミクス特徴量から除去される)。あるいは、任意の体積依存性および配向依存性の特徴量が、このようなステップが必要でないように、開始から除外されてもよい。言い換えると、最初の複数のラジオミクス特徴量は各々、体積非依存性および配向非依存性であってもよい。体積依存性の特徴量は、エネルギーおよび総エネルギー(オリジナルの、およびウェーブレット計算された)を含み得、配向依存性の特徴量は、ウェーブレット変換HLL、HLH、LLH、HLL、LHL、LHH(すなわち、LLLまたはHHHを除くすべて、または排他的にハイパスまたはローパスではないそれらのウェーブレット変換)から導出されるものを含み得る。
【0114】
次いで、有意性閾値を上回る臨床エンドポイント、例えば5年MACEまたはcMACEと有意に関連付けられ(例えば、相関し)ていないラジオミクス特徴量が、複数のラジオミクス特徴量から除去され得る。臨床エンドポイントとの各ラジオミクス特徴量の関連付けは、複数の個体についてのデータに基づいて、受信者動作特性曲線(ROC)分析、特に曲線下面積計算に基づいて計算され得る。有意性閾値は、好ましくは、α=0.05以下であり、例えば、αは、0.001~0.05の範囲にあり得る。有意性閾値は、好ましくは、約α=0.05である。ただし、有意性閾値は、約α=0.04であってもよい。あるいは、有意性閾値は、約α=0.03であってもよい。あるいは、有意性閾値は、約α=0.02であってもよい。あるいは、有意性閾値は、約α=0.01であってもよい。あるいは、有意性閾値は、約α=0.005であってもよい。あるいは、有意性閾値は、約α=0.002であってもよい。好ましくは、ラジオミクス特徴量は、保持されるために、訓練コホートおよび検証コホートの両方の臨床エンドポイントと有意に関連付けられていると識別されなければならず、コホート特異的変異に起因する陽性所見を低減するために、一方または両方のコホートの臨床エンドポイントと有意に関連付けられていないことが見出される任意のものが、除去される。ただし、コホートのうちの1つのみにおける臨床エンドポイントと有意に関連付けられていることが見出されるラジオミクス特徴量、例えば、訓練コホートは、代わりに保持されてもよい。あるいは、ラジオミクス特徴量の各々が臨床エンドポイントと有意に関連付けられているかどうかの評価は、両方のコホート、すなわち、複数の個体のすべてについてのプールされたデータに基づいて実行されてもよい。言い換えると、この方法は、臨床エンドポイントを用いてラジオミクス特徴量の有意性を評価することと、複数の特徴から臨床エンドポイントと有意に関連していないことが見出される特徴量を除去することと、を含んでもよい。最終結果は、臨床エンドポイントと有意に関連付けられていない(例えばデータの分析に基づいて、データから判定または計算されるような)任意のラジオミクス特徴量が、複数のラジオミクス特徴量から削除されるはずである。
【0115】
次いで、保持されたラジオミクス特徴量(すなわち、別途有意なラジオミクス特徴量として既知である、臨床エンドポイントと有意に関連付けられたもの)の共線は、ペア相関を除去することによって、すなわち、共線のラジオミクス特徴量の各ペアのうちの少なくとも1つを除去することによって、低減または排除され得る。ラジオミクス特徴量間の相関は、一般に、複数の個体についてのラジオミクス特徴量の測定された値を使用して計算される。ペア相関の除去は、段階的な様態で実行され得る。共線のラジオミクス特徴量は、少なくとも所与の相関閾値に等しい程度に互いに相関するものとして識別され得る。相関閾値は、好ましくは、正の相関および負の相関の両方に適用され、例えば、相関閾値は、絶対値として表され得る。ペア相関は、スピアマンのrho係数を使用して計算され得、|rho|≧0.75のレベルでのすべてのペア相関が排除されるように、相関閾値は、少なくとも約|rho|=0.75、例えば約|rho|=0.75であり得る。本分野で容易に理解されるように、相関または共線は、2つのラジオミクス特徴量が個体から個体へとどの程度密接に一緒に変化するかの尺度であり、複数の個体についての測定されたラジオミクス特徴量値に基づいて計算され得る。
【0116】
例えば、共線のラジオミクス特徴量のペアが識別されると、2つの特徴量のうちの一方は、好ましくは、複数の特徴量から排除される。例えば、2つのうちの臨床エンドポイントとあまり強く関連付けられていないとデータから計算されるラジオミクス特徴量は、排除され得、臨床エンドポイントと最も強く関連付けられたラジオミクス特徴量は、保持され得るが、このことは必要ではなく、いずれか一方を保持または排除することができる。例えば、共線排除ステップは、臨床エンドポイントを考慮せずに監視されない方法で実行され得、アルゴリズムは、研究集団の変動に最も寄与しない最も冗長な特徴量(例えば、複数の個体にわたって測定されるようなより小さい分散を有する特徴量)を排除し得る。一例では、共線の特徴量のペアが識別されると、最大のアベレージ(例えば、平均値)絶対相関(すなわち、他のすべてのラジオミクス特徴量とのアベレージ相関値(または平均絶対値もしくは二乗相関値))を有する特徴量が、除去される。このことは、共線のラジオミクス特徴量が残らないまで段階的に実行され得る。
【0117】
共線排除ステップは、アルゴリズムまたは関数(例えば、関数claret::findCorrelation、Rパッケージ、Kuhn,M.&Johnson,K.Applied Predictive Modelling.(Springer、2013)を参照)を使用して実行され得る。例えば、関数またはアルゴリズムは、ラジオミクス特徴量間のペア相関を含むペア相関行列を構築し得る。次いで、関数は、相関行列を探索し、除去する列に対応する整数のベクトルを返して、ペア相関を低減し得る。次いで、これらの列が対応するラジオミクス特徴量は、複数のラジオミクス特徴量から除去され得る。どの列を除去するかを決定する際、アルゴリズムはまず、ラジオミクス特徴量間のペア相関を識別し得る。2つの共線のラジオミクス特徴量が識別されると、アルゴリズムは、次いで、除去のための最大の平均絶対相関を有する特徴量に対応する列を識別する。
【0118】
共線排除ステップがどのように実行されるかにかかわらず、最終結果は、好ましくは、特徴量の各々が相関閾値未満の程度まで他の残りの特徴量の各々と相関する、低減された複数のラジオミクス特徴量の生成である。言い換えると、本方法は、残りのラジオミクス特徴量のいずれも他の残りのラジオミクス特徴量のいずれとも共線ではないように、ラジオミクス特徴量を除去して、ラジオミクス特徴量間の共線を除去するステップを伴い得る。このことは、ラジオミクス特徴量間のペア相関の計算と、任意の識別された共線の特徴量のペアのうちの少なくとも一方の除去と、を伴い得る。
【0119】
次いで、ラジオミクスシグネチャが、上述したステップのうちのいずれ(例えば、安定性分析、有意性分析、および/または共線排除)が実行されても残存する残りのラジオミクス特徴量のうちの少なくとも2つに基づいて、構築され得る。例えば、次いで、ラジオミクスシグネチャが、共線排除ステップ後に残存する低減された複数の非共線のラジオミクス特徴量のうちの少なくとも2つに基づいて、構築され得る。共線排除ステップ後に残存する低減された複数の特徴量は、別途「オリジナルの特徴量」として既知である。ただし、排除されたラジオミクス特徴量は各々、オリジナルの特徴量のうちの少なくとも1つと強く相関するため、オリジナルの特徴量のうちの1つ以上が、置き換えられたオリジナルの特徴量と共線である特徴量のうちの1つに置き換えられるシグネチャは、一般に、オリジナルの特徴量のみに基づいて計算されたシグネチャと同様に機能する。例えば、オリジナルの特徴量のうちの1つを、そのオリジナルの特徴量と共線であると計算された特徴量のうちの1つと交換することが可能であり、シグネチャは、同様に機能するはずである。実際には、オリジナルの特徴量のうちの1つ以上(またはさらにはすべて)を、置き換えられたオリジナルの特徴量と共線である代替の特徴量に置き換えることにより、予後値が向上したシグネチャがもたらされ得、このことは、実際には、場合によって当てはまることが見出されている(例えば、表8Aおよび表8Bを参照されたい)。これは、オリジナルの特徴量は、一般に、臨床エンドポイントと最も独立して関連付けられているが、それらが必ずしもシグネチャに組み合わされると最良に機能する特徴量ではないためである。
【0120】
したがって、ラジオミクスシグネチャを構築するプロセスは、各クラスタ内のラジオミクス特徴量の各々が、そのクラスタ内の少なくとも「オリジナルの」特徴量(すなわち、共線排除ステップ後に残存したそのクラスタの特徴量、例えば、臨床エンドポイントと最も強く独立して関連付けられたクラスタ内の特徴量)と共線であるラジオミクス特徴量の「クラスタ」(各クラスタは、オリジナルの特徴量のうちの1つを含む)の構築を伴い得る。これらのクラスタの構築は、共線排除ステップの代わりに実行され得る。例えば、共線の特徴量の各ペアの一方を排除する代わりに、共線の特徴量は、同じクラスタに割り当てられてもよい。あるいは、ペア排除ステップは、上述したように実行されてもよく、次いで、オリジナルの特徴量が識別されると、排除された特徴量は、排除された特徴量が最も強く相関しているか、または共線であるオリジナルの特徴量のクラスタに排除された特徴量を割り当てることによって再導入されてもよい。
【0121】
ただし、クラスタがどのように構築されるかにかかわらず、最終結果は、各ラジオミクス特徴量が、各ラジオミクス特徴量が共線であるオリジナルのラジオミクス特徴量(複数可)と同じクラスタに割り当てられるものとなるはずである。ラジオミクス特徴量が2つの「オリジナルの」特徴量と共線である場合、ラジオミクス特徴量が最も共線であるオリジナルの特徴量のクラスタに割り当てられることが好ましいが、ラジオミクス特徴量が共線であるオリジナルの特徴量のすべてのクラスタに割り当てられてもよい。
【0122】
ラジオミクス特徴量自体が独立して臨床エンドポイントと有意に関連付けられているかどうかに関わらず、クラスタはまた、そのクラスタの「オリジナルの」ラジオミクス特徴量と共線であるオリジナルの複数のラジオミクス特徴量のうちのいずれかを含むように拡張され得る。ただし、好ましくは、前述したように、クラスタに含まれる任意のラジオミクス特徴量は、安定である。
【0123】
したがって、各クラスタ内の「オリジナルの」ラジオミクス特徴量は、そのクラスタ内の他のラジオミクス特徴量の各々に対する「パートナー」ラジオミクス特徴量を表し、各クラスタ内のラジオミクス特徴量の各々は、その「パートナー」特徴量と共線である。したがって、オリジナルのラジオミクス特徴量は、それ自体と完全に共線であるため、この意味で自体の「パートナー」ラジオミクス特徴量と見なされ得る。
【0124】
次いで、最初のラジオミクスシグネチャは、低減された複数の特徴量(例えば、「オリジナルの」特徴量)のうちの少なくとも2つ(またはすべて)に基づいて構築され得る。あるいは、クラスタが構築される場合、最初のラジオミクスシグネチャは、各々が異なるクラスタから選択される、少なくとも2つのラジオミクス特徴量から構築され得る。ラジオミクスシグネチャの構築は、特に「訓練」コホートのためのデータを使用して、ラジオミクスシグネチャを精緻化または最適化することを伴う。このことは、データに基づいて、臨床エンドポイントとのシグネチャの相関性または関連付けを改善するために、シグネチャに対する残りのラジオミクス特徴量の各々の各々の寄与を精緻化または最適化することを伴う。例えば、シグネチャは、最初のシグネチャに含まれるラジオミクス特徴量の各々の値の加重和を含み得、ラジオミクス特徴量の各々の加重は、漸進的に最適化または精緻化され得る。ラジオミクス特徴量の各々に乗算される係数は、一般に、ベータ(β)係数と称され、最適化または精緻化され得るのはこれらのベータ係数である。
【0125】
好ましくは、低減された複数の特徴量のすべてが、例えば各クラスタからの1つの特徴ずつ、精緻化される最初のラジオミクスシグネチャに含まれるが、このことは、必須ではない。例えば、各クラスタからの「上位の」または「オリジナルの」特徴量が含まれてもよい(例えば、臨床エンドポイントと最も強く独立して関連付けられた特徴量)。最適化される最初のシグネチャに他のラジオミクス特徴量が含まれてもよく、例えば、クラスタのいずれかまたはすべてからの2つ以上のラジオミクス特徴量が、最初のシグネチャに含まれてもよい。ただし、臨床エンドポイントとより強く関連付けられたシグネチャ、したがって、診断および予後有用性が強化されたシグネチャを提供するために、各々が異なるクラスタからのものである少なくとも2つのラジオミクス特徴量を含むことが好ましい。これは、異なるクラスタからの特徴量がPVRに関連する補完情報を提供するためである。特に、異なるクラスタからのラジオミクス特徴量は、異なる「オリジナルの」または「パートナー」特徴量と共線であるため、PVRの異なる表現型特性に感度を有することとなる。例えば、最初のラジオミクスシグネチャは、各々が異なるクラスタから選択された、少なくとも3つのラジオミクス特徴量を含み得る。あるいは、最初のラジオミクスシグネチャは、各々が異なるクラスタから選択された、少なくとも4つのラジオミクス特徴量を含んでもよい。あるいは、最初のラジオミクスシグネチャは、各々が異なるクラスタから選択された、少なくとも5つのラジオミクス特徴量を含んでもよい。あるいは、最初のラジオミクスシグネチャは、各々が異なるクラスタから選択された、少なくとも6つのラジオミクス特徴量を含んでもよい。あるいは、最初のラジオミクスシグネチャは、各々が異なるクラスタから選択された、少なくとも7つのラジオミクス特徴量を含んでもよい。あるいは、最初のラジオミクスシグネチャは、各々が異なるクラスタから選択された、少なくとも8つのラジオミクス特徴量を含んでもよい。好ましくは、最初のラジオミクスシグネチャは、各クラスタから1つのラジオミクス特徴量を含み得る。
【0126】
最初のラジオミクスシグネチャが精緻化されると、次いで、最終的なラジオミクスシグネチャが、最初のシグネチャに含まれるラジオミクス特徴量のすべてに基づいて、またはそれらの特徴量のサブセットに基づいて、構築され得る。例えば、最適化または精緻化された最初のシグネチャは、最終的なシグネチャとして使用され得る。あるいは、最終的なラジオミクスシグネチャは、最初のシグネチャに含まれるラジオミクス特徴量のサブセットのみを含んでもよい。例えば、特定の閾値を上回る精緻化された最初のシグネチャへの寄与を有するそれらのパラメータのみが、特定の(例えば、所定の)閾値を上回る最適化された加重係数(例えば、ベータパラメータ)を有するものなどの最終的なシグネチャに含まれてもよい。言い換えると、所与の閾値を下回る係数を最適化したそれらのラジオミクス特徴量は、最終的なシグネチャから除去される。例えば、上位の7つの特徴量(すなわち、精緻化されたシグネチャへの最大の寄与を有するもの)は、最終的なシグネチャに含まれ得る。
【0127】
ラジオミクス特徴量のサブセットのみが最終的なシグネチャに含まれる場合、1つの選択肢は、特徴量のサブセットに基づいてシグネチャを再最適化または精緻化することである。例えば、係数またはベータパラメータは、最終的なシグネチャに含まれるラジオミクス特徴量のサブセットに対して再最適化され得る。あるいは、最初のシグネチャに対して実行される最初の最適化から導出される係数またはベータパラメータを、最終的なシグネチャで使用することができる。
【0128】
前述したように、シグネチャは、複数のラジオミクス特徴量の計算された値の加重和を含み得る。シグネチャはまた、定数の加算もしくは減算、または因数による乗算などの他の項を含み得る。ただし、典型的には、シグネチャは、何らかの方法でラジオミクス特徴量値の加重和に線形に関連付けられる。
【0129】
ラジオミクスシグネチャは、項
A±Σbrf
の形態をとり得るか、またはこれらの項を含み得(例えば、シグネチャは、これらの項を含む関数に基づいて計算され得る)、式中、Aは、定数(ゼロまたは非ゼロであり得る)であり、bは、ラジオミクス特徴量iについての加重係数(またはベータパタメータ)であり、rfは、ラジオミクス特徴量iの測定された値である。式中のベータパラメータは、好ましくは、Zスコアベータパラメータにラジオミクス特徴量の標準偏差を乗算した、標準化されていないベータであり、ここで、標準偏差は、好ましくは、訓練コホートまたは導出コホート中のラジオミクス特徴量の標準偏差である。定数Aは必要ではないが、結果として生じるすべての値が正または負のいずれか、好ましくは正であることを保証するために含まれ得る。好ましくは、「±」は、「-」である。
【0130】
最初のおよび/または最終的なラジオミクスシグネチャは、機械学習アルゴリズムを使用して構築され(すなわち、最適化または精緻化され)得る。例えば、機械学習アルゴリズムを使用して、例えば、ベータ係数を最適化することによって、シグネチャへのラジオミクス特徴量の各々の寄与を精緻化または最適化し得る。機械学習アプローチは、弾性ネット/ラッソ回帰を使用し得、および一個抜き内部交差検証を利用し得る。弾性ネット回帰は、ラッソ法およびリッジ法のL1ペナルティとL2ペナルティとを線形結合する正則化回帰法である。L1(最小絶対収縮および選択演算子「ラッソ」ペナルティ)は、係数の絶対値にペナルティを課し、無関係な係数をゼロに収縮させ、特徴量選択に寄与するのに対して、L2(「リッジ」ペナルティ)は、係数の二乗にペナルティを課し、したがって、共線の影響を制限し、オーバーフィッティングを低減する。最適なペナルティ係数(ラムダ、λ)は、交差検証によって選択され得る一方、アルファは、好ましくは、α=1に設定される。
【0131】
好ましくは、シグネチャは、訓練コホートのデータを使用して精緻化され、次いで、訓練コホートのデータを使用して外部で検証される。
【0132】
「非クラスタリング」方法
本発明はまた、ラジオミクスシグネチャを導出するための別の方法を提供する。この方法では、「クラスタリング」方法に関連して上述したように、複数のラジオミクス特徴量が、複数の個体の各々の医用イメージングデータから計算される。
【0133】
次いで、臨床エンドポイント、例えば5年MACEに対するすべてのラジオミクス特徴量(好ましくは、すべての安定なラジオミクス特徴量)の判別値は、例えば受信者動作特性曲線(ROC)分析を使用して、特に曲線下面積計算を使用して評価され得(C統計を計算する)、臨床エンドポイントと有意に関連付けられていないラジオミクス特徴量は、複数の特徴から排除される。上述したクラスタリング方法に関して、特徴量は、特徴量が特定の有意性閾値を上回る臨床エンドポイントと関連付けられている場合、臨床エンドポイントと有意に関連付けられていると識別される。有意性閾値は、好ましくは、α=0.05以下、例えば、α=0.001~0.05である。有意性閾値は、好ましくは、約α=0.05である。ただし、有意性閾値は、約α=0.04であってもよい。あるいは、有意性閾値は、約α=0.03であってもよい。あるいは、有意性閾値は、約α=0.02であってもよい。あるいは、有意性閾値は、約α=0.01であってもよい。あるいは、有意性閾値は、約α=0.005であってもよい。あるいは、有意性閾値は、約α=0.002であってもよい。
【0134】
複数の比較を補正するために、および偽発見率(FDR)を低下させるために、有意性閾値にボンフェローニ補正が適用され得る。ボンフェローニ補正は、主成分分析に基づいて研究試料中の所与の変動量を占める主成分の数に基づいて適用され得る。例えば、所与の量は、約99.5%であり得る。言い換えると、α値を補正するために使用されるm値(αをmで除算することによって、すなわち、α/m)は、所与の変動量を占める主成分の数である。この理由で、ラジオミクス特徴量の主成分分析は、複数の個体(好ましくは、個体が訓練コホートおよび検証コホートに分割される場合、両方のコホートを含む)のデータに対して実行され得る。
【0135】
次いで、ラジオミクスシグネチャが、上述したように、残りのラジオミクス特徴量のうちの少なくとも2つ、すなわち、臨床エンドポイントと有意に関連していると識別されるものに基づいて構築され得る。ラジオミクスシグネチャは、上記のクラスタリング方法について説明したのと同様に構築および最適化され得るが、異なるクラスタからラジオミクス特徴量を選択する必要がないという違いがある。
【0136】
例えば、臨床エンドポイントと有意に関連付けられていると識別されたラジオミクス特徴量のすべてが、最初のまたは最終的なラジオミクスシグネチャに含まれ得る。あるいは、臨床エンドポイントと有意に関連付けられたラジオミクス特徴量のサブセットのみ、例えば、少なくとも2つが、最初のまたは最終的なシグネチャに含まれてもよい。あるいは、臨床エンドポイントと有意に関連付けられたラジオミクス特徴量のうちの少なくとも3つが、最初のまたは最終的なシグネチャに含まれてもよい。あるいは、臨床エンドポイントと有意に関連付けられたラジオミクス特徴量のうちの少なくとも4つが、最初のまたは最終的なシグネチャに含まれ得る。あるいは、臨床エンドポイントと有意に関連付けられたラジオミクス特徴量のうちの少なくとも5つが、最初のまたは最終的なシグネチャに含まれ得る。あるいは、臨床エンドポイントと有意に関連するラジオミクス特徴量のうちの少なくとも6つが、最初のまたは最終的なシグネチャに含まれ得る。あるいは、臨床エンドポイントと有意に関連付けられたラジオミクス特徴量のうちの少なくとも7つが、最初のまたは最終的なシグネチャに含まれ得る。
【0137】
ここでも、好ましくは、シグネチャは、訓練コホートのデータを使用して精緻化され、次いで、訓練コホートのデータを使用して外部で検証される。
【0138】
クラスタリングまたは非クラスタリング方法のいずれかの要素が、組み合わせられ得る。例えば、クラスタリング(または共線排除)方法は、ボンフェローニ補正の適用を伴い得る。
【0139】
例えば、複数のラジオミクス特徴量は、上述した先行ステップのうちのいくつか(またはいずれか)を実行することなく、機械学習アルゴリズムに入力されてもよい。ただし、通常、特徴量が機械学習アルゴリズムに入力される前に、少なくとも、不安定なラジオミクス特徴量を排除するステップが、実行される。
【0140】
一般に、上述の方法(クラスタリングおよび非クラスタリングの両方)において、ラジオミクス特徴量間の二変量関連付けは、非パラメトリックスピアマンのrho(ρ)係数によって評価され得るのに対して、クラス内相関係数(ICC)によって、所与の数のスキャン、例えば少なくとも2回のスキャン、例えば10回のスキャンにおいて、オブザーバ内可変性が評価され得る。
【0141】
ラジオミクスシグネチャ
本発明のPVRラジオミクスシグネチャは、医用イメージングデータから取得されたラジオミクス特徴量の測定された値に基づいて計算される。特に、PVRラジオミクスシグネチャは、好ましくは、少なくとも2つのラジオミクス特徴量に基づいて計算される。
【0142】
シグネチャの予後および診断値を改善するために、シグネチャは、好ましくは、上述したように、共線の特徴量の異なる「クラスタ」から選択される少なくとも2つのラジオミクス特徴量に基づいて計算される。このことは、異なるクラスタからの特徴量がPVRの異なるテクスチャ態様に関連するため、冗長性を低減し、シグネチャの計算に含まれる情報の多様性を改善する。
【0143】
9つのクラスタが、「クラスタリング」方法を使用して識別されており、これは、以下の「実施例」セクションに記載された研究において共線排除プロセス後に残存した、低減された複数のラジオミクス特徴量の9つの「オリジナルの」または「パートナー」特徴量に対応する。9つのクラスタのメンバーが、表1で識別されている。
【0144】
表1はまた、上述した「クラスタリング」方法における共線の特徴量の排除後に残存する各クラスタ内の特徴量である「オリジナルの特徴量」を識別している。オリジナルの特徴量との、各クラスタ内の他の特徴量の共線は、|ρ|係数(ρは非パラメトリックスピアマンのrho(ρ)係数)で表される。
【0145】
表1のクラスタを構築するために、訓練コホートおよび検証コホートの両方において、閾値を上回る臨床エンドポイントと関連付けられた53個の安定な体積非依存性および方向非依存性のラジオミクス特徴量(p<0.05、pは、確率値または無症候性有意性、すなわちα=0.05)が、オリジナルの特徴量との相関の強度に基づいてクラスタリングされた。ラジオミクス特徴量が2つ以上のオリジナルの特徴量と共線であることが見出された場合(|rho|≧0.75)には、このラジオミクス特徴量は、最も強く関連付けられたオリジナルの特徴量のクラスタに割り当てられた。興味深いことに、およびおそらく驚くべきことに、FAIPVATは、|rho|≧0.75のレベルでオリジナルの特徴量のいずれとも関連付けられず、したがって、クラスタのいずれにも含まれていない。このことは、本発明が、FAIPVATを計算することと比較して、別個のかつ別異する予後および診断ツールを提供し、したがって、FAIPVATに相補的であることを実証する。
【表1-1】

【表1-2】

【0146】
前述したように、共線のラジオミクス特徴量自体が独立して臨床エンドポイントと有意に関連付けられているかどうかに関わらず、クラスタは、クラスタの「オリジナルの」ラジオミクス特徴量と共線であるオリジナルの複数のラジオミクス特徴量の安定なメンバーを含むように拡張され得る。
【0147】
9つの「拡張された」クラスタのメンバーが、表2に提示されている。これらの拡張されたクラスタは、表1に提示されるオリジナルのクラスタと等価であるが、各クラスタからのオリジナルの特徴量のうちの1つと共線で(|rho|≧0.75)もある719個の安定なラジオミクス特徴量(ICC>0.9)のうちのいずれかを含むように拡張される。ここでも、ラジオミクス特徴量が2つ以上のオリジナルの特徴量と共線である(|rho|≧0.75)ことが見出された場合には、このラジオミクス特徴量は、このラジオミクス特徴量が最も強く関連付けられることが見出されたオリジナルの特徴量のクラスタに割り当てられた。
【表2-1】

【表2-2】

【表2-3】
【0148】
ラジオミクスシグネチャが、各々異なるクラスタから選択される少なくとも2つのラジオミクス特徴量を含むことを条件として、ラジオミクスシグネチャは、表1または表2に含まれるラジオミクス特徴量(すなわち、標準クラスタまたは拡張されたクラスタ)のうちのいずれかから構築され得る。例えば、ラジオミクスシグネチャは、異なるクラスタからの少なくとも3つのラジオミクス特徴量を含み得る。例えば、ラジオミクスシグネチャは、異なるクラスタからの少なくとも4つのラジオミクス特徴量を含み得る。例えば、ラジオミクスシグネチャは、異なるクラスタからの少なくとも5つのラジオミクス特徴量を含み得る。例えば、ラジオミクスシグネチャは、異なるクラスタからの少なくとも6つのラジオミクス特徴量を含み得る。例えば、ラジオミクスシグネチャは、異なるクラスタからの少なくとも7つのラジオミクス特徴量を含み得る。例えば、ラジオミクスシグネチャは、異なるクラスタからの少なくとも8つのラジオミクス特徴量を含み得る。例えば、ラジオミクスシグネチャは、異なるクラスタからの少なくとも9つのラジオミクス特徴量を含み得る。
【0149】
異なるクラスタから選択される少なくとも2つの(またはより多い)ラジオミクス特徴量の各々は、このラジオミクス特徴量が少なくとも|rho|=0.8の程度に属するクラスタの「オリジナルの」特徴量と相関するように選択され得る。例えば、異なるクラスタからの少なくとも2つのラジオミクス特徴量の各々は、このラジオミクス特徴量が少なくとも|rho|=0.85の程度に属するクラスタの「オリジナルの」特徴量と相関し得る。例えば、異なるクラスタからの少なくとも2つのラジオミクス特徴量の各々は、このラジオミクス特徴量が少なくとも|rho|=0.9の程度に属するクラスタの「オリジナルの」特徴量と相関し得る。例えば、異なるクラスタからの少なくとも2つのラジオミクス特徴量の各々は、このラジオミクス特徴量が少なくとも|rho|=0.95の程度に属するクラスタの「オリジナルの」特徴量と相関し得る。
【0150】
ラジオミクスシグネチャが異なるクラスタからの少なくとも2つのラジオミクス特徴量に基づいて計算されることに加えて、ラジオミクスシグネチャはまた、追加のラジオミクス特徴量に基づいて計算され得る。例えば、ラジオミクスシグネチャは、任意の所与のクラスタからの2つ以上のラジオミクス特徴量を含み得るか、またはクラスタのいずれにも含まれないラジオミクス特徴量を含み得る。
【0151】
あるいは、ラジオミクスシグネチャは、「非クラスタリング」アプローチを使用して、独立して臨床エンドポイントと関連付けられていることが見出されたラジオミクス特徴量のうちの少なくとも2つに基づいて計算されてもよい。したがって、ラジオミクスシグネチャは、代わりに、表3から選択される少なくとも2つのラジオミクス特徴量に基づいて計算されてもよい。
【表3-1】

【表3-2】
【0152】
ラジオミクスシグネチャは、表3からの少なくとも2つのラジオミクス特徴量に基づいて計算され得る。例えば、ラジオミクスシグネチャは、表3からの少なくとも3つのラジオミクス特徴量に基づいて計算され得る。例えば、ラジオミクスシグネチャは、表3からの少なくとも4つのラジオミクス特徴量に基づいて計算され得る。例えば、ラジオミクスシグネチャは、表3からの少なくとも5つのラジオミクス特徴量に基づいて計算され得る。例えば、ラジオミクスシグネチャは、表3からの少なくとも6つのラジオミクス特徴量に基づいて計算され得る。例えば、ラジオミクスシグネチャは、表3からの少なくとも7つのラジオミクス特徴量に基づいて計算され得る。
【0153】
少なくとも2つの(またはより多い)ラジオミクス特徴量が、<0.04のボンフェローニ調整されたP値を有する、表3のそれらのラジオミクス特徴量から選択され得る。例えば、<0.03のボンフェローニ調整されたP値を有するそれらのラジオミクス特徴量。例えば、<0.02のボンフェローニ調整されたP値を有するそれらのラジオミクス特徴量。例えば、<0.01のボンフェローニ調整されたP値を有するそれらのラジオミクス特徴量。例えば、<0.005のボンフェローニ調整されたP値を有するそれらのラジオミクス特徴量。例えば、<0.002のボンフェローニ調整されたP値を有するそれらのラジオミクス特徴量。
【0154】
シグネチャは、表3に列挙されているが平均値(Mean)を除くラジオミクス特徴量から構築され得る。
【0155】
ここでも、ラジオミクスシグネチャが、表3に提示されるものから選択される少なくとも2つのラジオミクス特徴量に基づいて計算されることに加えて、ラジオミクスシグネチャはまた、追加のラジオミクス特徴量に基づいて計算され得る。例えば、ラジオミクスシグネチャは、表3に含まれないラジオミクス特徴量を含み得る。
【0156】
本発明のラジオミクスシグネチャの各々は、医用イメージングデータを使用してPVRを特徴付けるための直截的な手段を提供する。本発明のラジオミクスシグネチャの各々は、測定できる可能なラジオミクス特徴量の総数のうちの比較的少数に基づくため、シグネチャは、計算および理解しやすく、シグネチャの生理学的有意性は、臨床医によってより良く理解され得る。
【0157】
システム
本発明の方法は、コンピュータシステムなどのシステムに対して実行され得る。したがって、本発明はまた、本発明の方法のうちの1つ以上を実行するように構成または配置されたシステムを提供する。例えば、システムは、本発明の方法、または方法のステップのうちの1つ以上を実行するように構成されたコンピュータプロセッサを含み得る。システムはまた、本発明の方法のうちのいずれかのステップを実行するための実行可能命令がロードされたコンピュータ可読メモリを含み得る。
【0158】
特に、ラジオミクスシグネチャを導出する方法は、このようなシステムに対して実行され得、したがって、このようなシステムは、本発明に従って提供される。例えば、システムは、複数の個体の各々の医用イメージングデータから取得されたPVRの複数のラジオミクス特徴量の値と、複数の個体の各々の心血管リスクを示す臨床エンドポイントの医用イメージングデータの収集後の後続の期間中の発生に関する情報と、を含むデータセットを受信し、および任意で記憶するように、構成され得る。システムは、このようなデータセットを使用して、本発明の方法に従ってラジオミクスシグネチャを構築する(例えば、導出および検証する)ように構成され得る。
【0159】
あるいは、システムは、PVRを特徴付ける方法を実行するように構成されてもよい。特に、本発明は、対象の医用イメージングデータを使用してPVRを特徴付けるためのシステムを提供する。システムは、医用イメージングデータを使用してPVRのラジオミクスシグネチャの値を計算するように構成され得る。ラジオミクスシグネチャは、PVRの少なくとも2つのラジオミクス特徴量の測定された値に基づいて計算され得、少なくとも2つのラジオミクス特徴量の測定された値は、医用イメージングデータから計算され得る。
【0160】
システムはまた、より詳細に上述したように、医療用イメージングデータからラジオミクス特徴量を計算するように構成され得る。したがって、システムは、医用イメージングデータを受信し、および任意で記憶し、およびイメージングデータを処理してラジオミクス特徴量を計算するように、構成され得る。
【0161】
ラジオミクス特徴量の定義
本明細書で言及されるラジオミクス特徴量の定義は、一般に、それらのラジオミクス特徴量の名称のみに言及することによって、ラジオミクスの分野内で十分に理解される。ただし、容易さまたは参照のために、本明細書で使用される特徴量の定義が、以下の表R1~表R7に提供される。表R1~表R7のラジオミクス特徴量は、Pyradiomicsパッケージによって使用されるラジオミクス特徴量に従って定義される(http://pyradiomics.readthedocs.io/en/latest/features.html,see van Griethuysen,J.J.M.,Fedorov,A.,Parmar,C.,Hosny,A.,Aucoin,N.,Narayan,V.,Beets-Tan,R.G.H.,Fillon-Robin,J.C.,Pieper,S.,Aerts,H.J.W.L.(2017).Computational Radiomics System to Decode the Radiographic Phenotype.Cancer Research,77(21),e104-e107.https://doi.org/10.1158/0008-5472.CAN-17-0339)。表R1~表R7に定義されるほとんどの特徴量は、Zwanenburgら(2016)(Zwaneburg,A.,Leger,S.,Valliers,M.,and Lock,S.(2016).Image biomarker standardisation initiative-feature definitions.In eprint arXiv:1612.07003[cs.CV])で入手可能である、Imaging Biomarker Standivitionation Initiative(IBSI)によって記載された特徴量定義に準拠している。以下に提供される定義がIBSI定義から正確に準拠しない場合、いずれかの定義が本発明に従って使用され得ることを理解されたい。最終的に、ラジオミクス特徴量の正確な数学的定義は、わずかな修正が特徴量の各々によって測定される画像の一般的な特質に影響を与えないため、重要ではない。したがって、特徴量のわずかな修正(例えば、定数またはスケーリングの加算または減算)および特徴量の代替定義は、本発明によって包含されることが意図される。
【0162】
a.一次統計
これらの統計は、個々のボクセルの空間関係を無視して、所与の関心領域(ROI)における減衰値の中心傾向、可変性、均一性、非対称性、歪度、および大きさを記述する。したがって、それらの統計は、全体のROI(PVR)の定量的および定性的な特徴量を記述する。8つのウェーブレット変換およびオリジナルのCT画像の各々について合計19個の特徴量が、以下のように計算され、
・Xを、関心領域(ROI)に含まれるNボクセルのセットの減衰または放射線密度値(例えば、HUでの)とし、
・P(i)を、Nが、幅を有して0から等間隔にある非ゼロビンの数であるとして、N個の離散強度レベルを有する一次ヒストグラムとし、
・p(i)を、正規化された一次ヒストグラムであって、
【数1】

に等しいとし、
・cは、Xの負の値を防ぐために強度をシフトする値である。これにより、0にもっとも近いグレーレベル強度を有するボクセルの代わりに、最低のグレーレベルを有するボクセルがエネルギー(Energy)に最も寄与しないことが確保される。PVR内の脂肪組織(AT)のHU範囲(-190~-30HU)はゼロを含まないため、cは、c=0に設定され得る。したがって、より高いエネルギーは、より少ない放射線密度のATに対応し、したがって、より高い親油性含有量に対応する。
【化1】

は、任意に小さな正の数(例えば、
【化2】

2.2×10-16)である
【表4-1】

【表4-2】
【0163】
b.形状関連統計
形状関連統計は、所与のROIのボクセルの減衰値を考慮せずに、所与のROIのサイズおよび形状を記述する。形状関連統計は、グレーレベル強度とは独立しているため、形状関連統計は、すべてのウェーブレット変換とオリジナルのCT画像とにわたって一貫しており、したがって1回のみ計算された。これらは以下のように定義され、
Vを、mmでのROIの体積とし、
Aを、mmでのROIの表面積とする
【表5】
【0164】
c.グレーレベル同時生起行列(GLCM)
単純な言葉では、GLCMは、所与の減衰値iのボクセルがjのボクセルの隣に位置する回数を記述する。サイズN×NのGLCMは、マスクによって制約され、かつP(i,j|δ,θ)として定義される画像領域の二次同時確率密度関数を記述する。この行列の(i,j)番目の要素は、角度θに沿ったδ個の画素の距離によって離隔した画像中の2つの画素でレベルiおよびjの組み合わせが発生する回数を表す。中心ボクセルからの距離δは、無限大ノルムに従う距離として定義される。δ=1の場合、これは、3Dにおける13個の角度の各々について2個の近隣をもたらし(26接続性)、δ=2の場合、98接続性をもたらす(49個の固有の角度)。回転的に不変の結果を得るために、統計は、すべての方向で計算され、次いで、アベレージングされ、対称のGLCMを確保する。
【0165】
【化3】

を、任意の小さい正の数(例えば、
【化4】

2.2×10-16)とし、
P(i,j)を、任意のδおよびθについての同時生起行列とし、
p(i,j)を、正規化された同時生起行列であって、
【数2】

に等しいとし、
Ngを、画像中の離散的な強度レベルの数とし、
【数3】

を、周辺行確率とし、
【数4】

を、周辺列確率とし、
μを、pの平均グレーレベル強度であり、
【数5】

として定義し、
μを、pの平均グレーレベル強度であり、
【数6】

として定義し、
σを、pの標準偏差とし、
σを、pの標準偏差とし、
【数7】

式中、i+j=k、およびk=2,3,…,2N
【数8】

式中、|i-j|=k、およびk=0.1,…,N-1
【数9】

を、pのエントロピーとし、
【数10】

を、pのエントロピーとし、
【数11】
【0166】
距離加重の場合、GLCM行列は、加重係数Wによって加重され、次いで合計されて正規化される。加重係数Wは、
【数12】

によって隣接するボクセル間の距離について計算され、式中、dは、関連付けられた角度に対する距離である。
【表6-1】

【表6-2】

【表6-3】
【0167】
d.グレーレベルサイズゾーン行列(GLSZM)
グレーレベルサイズゾーン(GLSZM)は、同じグレーレベル強度を共有する接続されたボクセルの数として定義される、ROIにおけるグレーレベルゾーンを記述する。距離が無限大ノルムに従って1である(3Dにおける26接続領域、2Dにおける8接続領域)場合、ボクセルは、接続されていると見なされる。グレーレベルサイズゾーン行列P(i,j)において、(i,j)番目の要素は、画像中に現れるグレーレベルiおよびサイズjを有するゾーンの数に等しい。GLCMおよびGLRLMとは対照的に、GLSZMは、回転に依存せず、ROIにおけるすべての方向について1つの行列のみが計算される。
【0168】
を、画像中の離散的な強度値の数とし、
を、画像中の離散的なゾーンサイズの数とし、
を、画像中のボクセルの数とし、
を、ROIにおけるゾーンの数とし、これは、
【数13】

に等しく、
1≦N≦N
P(i,j)を、サイズゾーン行列とし、
p(i,j)を、
【数14】

として定義される正規化されたサイズゾーン行列とし、
【化5】

は、任意の小さい正の数(例えば、
【化6】

2.2×10-16)である。
【表7-1】

【表7-2】
【0169】
e.グレーレベルランレングス行列(GLRLM)
グレーレベルランレングス行列(GLRLM)は、同じグレーレベル値を有する連続する画素の画素数の長さとして定義されるグレーレベルランを記述する。グレーレベルランレングス行列P(i,j|θ)において、(i,j)番目の要素は、角度θに沿って画像(ROI)において発生するグレーレベルiおよび長さjを有するランの数を記述する。
【0170】
を、画像中の離散的な強度値の数とし、
を、画像中の離散的なランレングスの数とし、
を、画像中のボクセルの数とし、
(θ)を、角度θに沿った画像中のランの数とし、これは、
【数15】

に等しく、かつ1≦N(θ)≦N
P(i,j|θ)を、任意の方向θのランレングス行列とし、
p(i,j|θ)を、
【数16】

として定義される、正規化されたランレングス行列とし、
【化7】

は、任意の小さい正の数(例えば、
【化8】

2.2×10-16)である。
【0171】
デフォルトでは、特徴量の値は、各角度についてGLRLMに対して個別に計算され、その後にこれらの値の平均が返される。距離加重が有効な場合、GLRLMは、近隣のボクセル間の距離によって加重され、次いで、合計および正規化される。次いで、結果として生じる行列に対して、特徴量が計算される。近隣のボクセル間の距離は、「weightingNorm」で指定されたノルムを使用して各角度について計算される。
【表8-1】

【表8-2】

【表8-3】
【0172】
f.近隣のグレートーン差分行列(NGTDM)特徴量
近隣のグレートーン差分行列は、グレー値と、このグレー値の距離δ内近隣のアベレージグレー値と、の差分を定量化する。グレーレベルiの絶対差分の和が、行列に格納される。Xglを、セグメント化されたボクセルのセットとし、xgl(j,jy,)∈Xglを、位置(j,jy,)におけるボクセルのグレーレベルとすると、近隣のアベレージグレーレベルは、
【数17】
【0173】
ここで、Wは、Xgl中にもある近隣のボクセルの数である。
を、グレーレベルiを有するXgl中のボクセルの数とし、
Nv,pを、Xgl中のボクセルの総数であり、Σn(すなわち、有効な領域を有するボクセルの数、少なくとも1つの近隣)に等しいとし、Nv,p≦N、式中、Nは、ROIにおけるボクセルの総数であるとし、
を、グレーレベル確率であり、n/Nに等しいとし、
【数18】

を、グレーレベルiの絶対差分の和とし、
を、離散的なグレーレベルの数とし、
g,pを、p≠0の場合のグレーレベルの数とする
【表9-1】

【表9-2】
【0174】
g.グレーレベル依存行列(GLDM)
グレーレベル依存行列(GLDM)は、画像中のグレーレベル依存性を定量化する。グレーレベル依存性は、中心ボクセルに依存する距離δ内の接続されたボクセルの数として定義される。グレーレベルjを有する近隣のボクセルは、|i-j|≦αの場合、グレーレベルiを有する中心ボクセルに依存すると見なされる。グレーレベル依存行列P(i,j)では、(i,j)番目の要素は、グレーレベルiを有するボクセルが、このボクセルの近隣にjの依存性ボクセルを伴って画像中に現れる回数を記述する。
を、画像中の離散的な強度値の数とし、
を、画像中の離散的な依存性サイズの数とし、
を、
【数19】

に等しい、画像中の依存性ゾーンの数とし、
P(i,j)を、依存行列とし、
p(i,j)を、
【数20】

として定義される正規化された依存行列とする
【表10-1】

【表10-2】
【実施例0175】
方法
CCTA上の冠動脈PVRラジオミクス表現型の診断および予後値を探索するように設計された2アーム研究を実施した。研究アーム1および2の研究フローチャートおよびベースライン特性は、図1ならびに表4A、表4B、および表5に提示されている。研究プロトコルは、すべての地域の機関審査委員会によって承認された。
【0176】
アーム1
これは、CCTAによる臨床適応評価後5年以内の有害事象の有無を比較した症例対照研究であった。適格な症例は、臨床適応型CCTAを受けている患者の2つの独立したコホートの前向きに収集されたデータから回収された。レビューされた計4239個の個々のスキャンのうち(コホート1では2246個、コホート2では1993個)、3912個は適切な品質であり、さらなる分析に含められた。症例は、CCTA後5年以内の全原因死亡率および非致死性心筋梗塞(MI)の複合として定義される、重大な有害心血管事象(MACE)の主要複合エンドポイントに基づいて特定されたのに対して、対照は、CCTA後少なくとも5年間無事象経過観察の患者として識別された。スキャンの質のレビューおよび関連する人口統計の取得後、年齢、性別、肥満状態、コホート、およびCCTA取得に関連する技術パラメータ(使用される管電圧およびCTスキャナ)についての自動アルゴリズムを使用して、1:1マッチングを実行した。可能な場合、患者をまた、高血圧、脂質異常症、糖尿病、および喫煙を含む他の心血管リスク要因に一致させた。心臓特異的MACE(cMACE;心臓死亡率および非致死性MI)を有する患者のサブグループと、これらの患者の一致させた対照と、をまた、別々に検査して、心臓特異的高リスクPVR特徴量に対する感度を増加させた。
【表11】

【表12】
【0177】
アーム2
これは、入院から96時間以内および6か月後に一連のCCTAスキャンを受けるよう招かれた急性心筋梗塞を呈する22人の患者(n=22の不安定な病変)を募集した前向き研究(Ox-IMPACT研究、オックスフォードC研究倫理委員会のSouth-Centralによって提供された倫理的承認、REC Reference 17/SC/0058)であった。CCTAスキャンの少なくとも3か月前に既知の安定なCAD(n=39の安定な病変)および以前の経皮冠動脈インターベンション(PCI)を有する32人の患者の対照群もこのアームに含められた。冠動脈PVRのラジオミクス学的表現型は、プラーク不安定性および炎症に結びつけられたPVRのラジオミクスシグネチャを識別するために、安定病変および不安定病変の両方の周囲で実行された。
【表13】
【0178】
研究に含まれるラジオミクス特徴量
表6に概要されるように、計843個のPVRラジオミクス特徴量が測定された。
【表14】
【0179】
データ収集、定義、および転帰評価
アーム1では、医療記録の探索、およびその後の画像/データ分析に関与していないローカル/ナショナルデータベースのクエリを通じて、転帰データが集計された。個々のインフォームドコンセントを放棄して、適切な機関審査委員会の承認が取得された。臨床データおよび人口統計が、最初の臨床遭遇時に電子医療記録に前向きに記録され、現在の研究のために手動で抽出された。高血圧は、関連する臨床ガイドライン(James PA,Oparil S,Carter BL,et al.2014 evidence-based guideline for the management of high blood pressure in adults: report from the panel members appointed to the Eighth Joint National Committee (JNC 8).JAMA 2014;311(5):507-20)に従って、降圧レジメンによる文書化された診断または治療の存在に基づいて定義された。同様の基準が、高コレステロール血症および糖尿病の定義に適用された(American Diabetes A.Diagnosis and classification of diabetes mellitus.Diabetes Care 2014; 37 Suppl 1:S81-90; Stone NJ,Robinson JG,Lichtenstein AH,et al.2013 ACC/AHA guideline on the treatment of blood cholesterol to reduce atherosclerotic cardiovascular risk in adults: a report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines.J Am Coll Cardiol 2014;63(25 Pt B):2889-934)。死亡原因の正確な確認は、チャートのレビュー、死亡証明書の検査、および/または家族を交えての電話経過観察および/または検証を通じて、各施設の研究治験責任医師が現地で実施した。心臓および非心臓死亡率は、前述のように、ACC/AHAおよびアカデミック研究コンソーシアムの推奨に従って定義された。より具体的には、心臓死亡率は、近接する心臓原因(例えば、心筋梗塞、低出力心不全、致命的な不整脈)に起因する任意の死亡として定義された。突然の心臓死の基準を満たす死亡も、このグループに含められた。悪性腫瘍、事故、感染症、敗血症、腎不全、自殺、または、脳卒中もしくは肺塞栓症などの他の非心臓血管原因によって引き起こされる死亡などの、以前の定義によってカバーされていない任意の死亡は、非心臓に分類された。死亡原因に関する情報を確実に収集できなかった死亡は、現地施設の治験責任医師の裁量により「原因不明の死亡」に分類された。経過観察中の非致死性心筋梗塞事象(ST部分の上昇または非ST部分の上昇)も、電子健康記録の探索を通じて取り出された。
【0180】
冠動脈CT血管造影(CCTA)取得プロトコル
コホート1:CCTAスキャンの大部分(87.1%)は、256スライスBrilliance iCTスキャナ(Philips Medical Systems、Best、The Netherlands)で実施され、残りは、2×128スライスDefinition Flashスキャナ(Siemens Healthcare、Erlangen、Germany)(10.8%)および2×192スライスSomatom Force CTスキャナ(Siemens Healthcare、Forchheim、Germany)(2.1%)を使用した。心拍数>60拍/分の患者では、CTテーブル上に位置決めされた後に心拍数が60拍/分を超えたままであった場合、静脈内メトプロロール5mg(最大投与量30mgまで5mgずつ増量)または静脈内ジルチアゼム5mg(最大投与量20mgまで5mgずつ増量)。患者はまた、CCTAの直前に舌下に0.3mgのニトログリセリンを投薬され、ヨード造影剤(Omnipaque 350、General Electric、Milwaukee、USA)が、5~6ml/sの流速で投与された。
【0181】
コホート2:CCTAスキャンは、2×64スライススキャナ(Definition Flash、Siemens Healthcare、Forchheim、Germany)(79.2%)で実施され、残りは、64スライス(Siemens Sensation 64、Siemens Healthcare、Forchheim、Germany)(18.1%)または2×128スライススキャナ(2.7%)(Somatom Definition Flash、Siemens Healthcare、Forchheim、Germany)のいずれかを使用した。心拍数>毎分60拍であった場合、CTの1時間前に100mgのアテノロールを用いた経口薬が投与され、患者がCTテーブル上に位置決めされた後に心拍数が毎分60拍を超えたままであった場合、最大用量30mgまで追加の5mgのメトプロロールが静脈内投与された。患者はまた、CCTAの直前に舌下に0.8mgのニトログリセリンを投薬され、ヨード造影剤(Omnipaque 350、Schering AG、Berlin、Germany)が、5~6ml/sの流速で投与された。
【0182】
研究アーム2:研究アーム2の参加者は、64スライススキャナ(General Electric、LightSpeed Ultra、General Electric、Milwaukee、WI、USA)を使用してCCTAを受けた。心拍数が、ベータ遮断薬の静脈内注射を使用して最適化され、舌下グリセリル-トリニトレート(800μg)も投与されて、最大の冠動脈拡張を達成した。95mlのヨウ素系造影剤(Niopam 370、BRACCO UK Ltd)が6mL/秒の流速(120kVpの管エネルギー、0.625mmの軸方向スライス厚さ、0.35秒の回転時間、40mmの検出器カバレッジ)で静脈内注射された後、CCTAが実施された。前向きな画像取得が、心臓サイクルの75%でECGゲーティングによって使用された(必要に応じて右冠動脈の最適なイメージングのために100msecのパディングを伴った)。
【0183】
CCTAスキャンの処理および分析
すべての画像は、最初に局所的に匿名化され、その後、集団の人口統計および転帰を盲検化された治験責任医師によって、専用ワークステーション(Aquarius Workstation(登録商標) V.4.4.13、TeraRecon Inc.、Foster City、CA、USA)で分析するためにコアラボ(Academic Cardiovascular CT Unit、University of Oxford、United Kingdom)に転送された。すべてのスキャンが、スキャンの品質と、信頼できる定性的および定量的評価を妨げるアーチファクトの存在と、に基づいて最初にレビューされた。低品質のスキャンは、その後の分析から除外される前に、少なくとも2つの独立した治験責任医師によってレビューされた。軽度、中等度、および重度の冠動脈狭窄は、管腔狭窄度25~49%、50~69%、および≧70%としてそれぞれ定義された(as previously described in Cury RC,Abbara S,Achenbach S,et al.CAD-RADS(商標) Coronary Artery Disease-Reporting and Data System.An expert consensus document of the Society of Cardiovascular Computed Tomography (SCCT),the American College of Radiology (ACR) and the North American Society for Cardiovascular Imaging (NASCI).Endorsed by the American College of Cardiology.J Cardiovasc Comput Tomogr 2016;10(4):269-81)。閉塞性冠動脈疾患(CAD)は、≧50%の管腔狭窄を引き起こす≧1の冠動脈病変の存在として定義されたが、CADの程度は、Duke Prognostic CAD指数(例えば、Min JK,Shaw LJ,Devereux RB,et al.Prognostic value of multidetector coronary computed tomographic angiography for prediction of all-cause mortality.J Am Coll Cardiol 2007; 50(12):1161-70)によって評価された。高リスクプラーク特徴量は、CCTAでの以下の特徴量、すなわち、a)斑点石灰化、b)低減衰プラーク、c)陽性リモデリング、およびd)ナプキン環徴候のうちの少なくとも1つの存在として定義された。(Puchner SB,Liu T,Mayrhofer T,et al.High-risk plaque detected on coronary CT angiography predicts acute coronary syndromes independent of significant stenosis in acute chest pain: results from the ROMICAT-II trial.J Am Coll Cardiol 2014; 64(7):684-92に以前に記載されたように)。心外膜(内臓)肥満は、肺動脈分岐のレベルから最も尾端の心臓頂点まで心包の輪郭を追跡することによって、半自動化された様態で心外膜脂肪組織(EAT)の総体積を測定することによって評価された。FAIPVATは、Antonopoulos AS,Sanna F,Sabharwal N,ら「Detecting human coronary inflammation by imaging perivascular fat.」Sci Transl Med 2017;9(398)に以前に記載されたように定義された。
【0184】
冠動脈PVRラジオミクス特徴量抽出
冠動脈PVRにおけるラジオミクス特徴量の計算は、3Dスライサ(v.4.9.0-2017-12-18 r26813、http://www.slicer.orgから入手可能)を使用して、選択されたすべてのCCTAスキャンで実行された。異なる冠動脈間の共線の問題を回避するため、アーム1における分析は、近位および中間の右冠動脈(RCA)に制限された(米国心臓協会の解剖学的分類によるセグメント1および2)。冠動脈PVRは、外側血管壁から隣接する血管の直径に等しい半径方向の距離内に位置する-190~-30のハウンズフィールド単位(HU)のハウンズフィールド単位範囲のすべてのボクセルとして定義された。冠動脈PVRのセグメント化は、冠動脈血管の直径の3倍に等しい直径を有する三次元球を血管の中心線に沿って続く連続スライス上に配置することによって実行された。その後、セグメント化PVRを抽出および使用して、Pyradiomicsライブラリを3Dスライサに組み込む3DスライサのSlicerRadiomics extensionを使用してラジオミクス特徴量を計算した。形状関連および一次ラジオミクス特徴量が、セグメント化PVRの原HU値を使用して計算された。テクスチャ特徴量(グレーレベル同時生起行列[GLCM]、グレーレベル依存行列[GLDM]、グレーレベルランレングス行列[GLRLM]、グレーレベルサイズゾーン行列[GLSZM]、および近隣のグレートーン差分行列[NGTDM]、図1A、表R1~表R7)の計算のために、PVRボクセルが、等しい幅(10 HUの幅)の16ビンに離散化されて、ノイズを低減しながら、PVR減衰における生物学的に有意な空間変化を検出するのに十分な分解能を可能にした。対称、回転不変の結果を強制するために、テクスチャ統計(GLCMなど)が、4つの方向すべてで計算され、次いで、アベレージングされた(例えば、Kolossvary M,Kellermayer M,Merkely B,Maurovich-Horvat P.Cardiac Computed Tomography Radiomics:A Comprehensive Review on Radiomic Techniques.Journal of thoracic Imaging 2018;33(1):26-34に以前に記載されたように)。
【0185】
ウェーブレット変換:また、オリジナルの画像の三次元ウェーブレット変換について、一次統計およびテクスチャベースの統計が計算され、ラジオミクス特徴量の8つの追加のセットがもたらされた(図1A)。
【0186】
統計分析
アーム1では、症例対照マッチングは、Stataのccmatchコマンドによって提供される自動アルゴリズムを使用して実行された。最終的な研究集団では、臨床人口統計は、連続変数の平均値±標準偏差、およびカテゴリ変数の割合として提示される。2つのグループ間の連続変数は、Studentのt検定によって比較されたのに対して、カテゴリ変数は、Pearsonのカイ二乗検定を使用して比較された。
【0187】
主成分および教師なしクラスタリング:両方の研究アームでは、計算された843個のPVRラジオミクス特徴量すべてが、研究集団の表現型変動のほとんどを記述する主成分を識別するために、主成分分析に含められた。次いで、アーム1(PC1、PC2、PC3)およびアーム2(PC1’、PC2’、およびPC3’)の3つの第1の成分を使用して、観察結果の階層的クラスタリングを実行した(Ward法およびMinkowski距離を使用して)。別異するクラスタ間のMACE(アーム1)および不安定なプラーク(アーム2)の頻度は、カイ二乗検定によって比較された。
【0188】
特徴量選択および判別の改善:まず、受信者動作特性曲線(ROC)分析で、5年MACEのすべてのラジオミクス特徴量の判別値が、検定された。この分析は、両方のコホートについてプールされたデータに対して実施された。複数の比較を補正するために、以前にラジオミクス画像分析の分野で使用されてきたゲノム全体の関連付け研究(GWAS)に基づくアプローチに従い、当社の研究試料中の可変性の99.5%を占める主要成分の数に対してボンフェローニ補正を適用した(例えば、Kolossvary M,Karady J,Szilveszter B,et al.Radiomic Features Are Superior to Conventional Quantitative Computed Tomographic Metrics to Identify Coronary Plaques With Napkin-Ring Sign.Circ Cardiovasc Imaging 2017; 10(12) and Johnson RC,Nelson GW,Troyer JL,et al.Accounting for multiple comparisons in a genome-wide association study (GWAS).BMC Genomics 2010;11:724を参照)。ラジオミクス特徴量間の二変量関連付けは、非パラメトリックスピアマンのrho(ρ)係数によって評価されたのに対して、オブザーバ内可変性は、クラス内相関係数(ICC)によって10回のスキャンで評価された。
【0189】
高リスクPVRのラジオミクスシグネチャを形成するために、多段階アプローチに従った。すべての特徴量にZスコア変換が適用され、反復分析(<0.9)において低ICCを有する不安定なラジオミクス特徴量が、除外された。コホート特異的変異によって駆動される偽陽性所見を最小限に抑えるために、次いで、両方のコホートにおいて(α=0.05のレベルで)MACEと有意に関連付けられた特徴量を選択した。次に、R上でカレットパッケージの適切な関数を使用してペア比較を段階的に除去することによって、共線が低減された。次いで、弾性ネットワーク回帰および一個抜き内部交差検証を使用して、機械学習アプローチがコホート1で適用された。最適ペナルティ係数(ラムダ、λ)が、交差検証によって選択された一方、アルファは、α=1に設定された。次いで、MACEおよびcMACEの両方の最良性能モデルが、コホート2で外部で検証され、曲線下面積(AUC)を計算することによって識別が評価された。次いで、各変数にモデルのそれぞれの調整されていないベータ係数を乗算し、かつ総和を計算することによって、最良性能モデルの上位変数が、統一されたスコア/シグネチャで組み合わされた。次いで、統一シグネチャは、次の4つのブロック、すなわち、i)年齢、性別、高血圧、脂質異常症、喫煙、および糖尿病(モデル1)、ii)モデル1+CT由来の測定値であって、CT由来の測定値は、Duke Prognostic CAD指数、高リスクプラーク特徴量の存在、冠動脈カルシウムのEAT体積および存在含む(モデル2)、iii)モデル2+FAIPVAT(モデル3)、ならびにiv)モデル3+PVRテクスチャシグネチャ、からなるロジスティック回帰モデルにおいて加えられた。MACEおよびcMACEのネストされたモデルの予後値は、モデルのそれぞれのC統計(曲線下面積、AUC)によって比較された。FAIPVATとPVRテクスチャシグネチャとの間の相互作用は、以前の複数のロジスティック回帰モデルから導出された二元等高線プロットを使用してグラフィック的に提示される。アーム2における不安定なプラークと安定なプラークとの間の選択されたラジオミクス特徴量の比較は、非パラメトリックMann-Whitney検定を使用して実行された。統計解析は、R環境(パッケージ:カレット、hclust)、ならびにStata v14.0(Stata Corp Inc.,College Station,Texas)において実行された。別段明記しない限り、すべての検定は両側であり、αは0.05に設定された。
【0190】
結果
研究集団人口統計
アーム1でレビューされた3912個の個々のスキャンのうち、計386個のスキャンが研究に含められ、これは、5年MACEを有する193人の患者および193個の一致した対照に対応した。心臓特異的MACE(cMACE)およびそれらの一致する対照を有する98人の患者の選択されたサブグループがまた、サブグループ型分析で識別および分析された。研究アーム1の集団の人口統計およびベースライン特性が、表4Aおよび表4Bに概要されている。症例および対照は、ベースライン人口統計の点で有意差はなかったが、予想通り、症例(MACEまたはcMACE)は、対照と比較して冠動脈狭窄の程度およびDuke Prognostic CAD指数によって評価されるように、冠動脈疾患(CAD)を有する可能性がより高かった。研究アーム2は、不安定な病変を有する22人の患者、ならびに計39の安定な病変を有する32の年齢および性別一致対照を含んでいた(表5)。
【0191】
PVRラジオミクス:成分分析、および有害事象との関連付け
18の一次統計、23のGLCM、14のGLDM、16のGLRLM、16のGLSZ、および5のNGTDMの個々の特徴量に加えて、15の形状関連特徴量に対応する、オリジナルの画像から計103のラジオミクス特徴量が、計算された(表6、図4)。形状関連特徴量を除くすべての特徴がまた、セグメント化領域の8つのウェーブレット変換の各々について計算され、計843個のラジオミクス特徴量をもたらした。すべてのラジオミクス特徴量の主成分分析は、アーム1の両方のコホートで観察された変異の61.98%を占める3つの主成分を明らかにした(図5A)一方、92個の成分は、研究集団の変異の99.5%を占めた(図5Bに提示されるスクリープロット)。固有値>1を有する42個の成分のうち、計6個の成分は、MACEの有意な予測因子であった(図5C)一方、4つの成分は、年齢、性別、心血管リスク因子、およびCAD程度のCCTA由来の指標について調整された5つの成分すべてを含む複数の回帰モデルにおいて、独立してMACEと関連付けられたままであった(図5D)。これらの成分は、ベースラインの臨床人口統計および特性と差分的に関連付けられ(図5E)、場合によっては、別異する生物学的表現型を記述したPVRの特徴量を反映している。注目すべきことに、年齢、性別、心血管リスク因子、およびCCTA由来のリスク特徴量を含んでいたモデルに4つのPVR成分を含めると、5年MACEの判別が有意に改善され(図5F)、PVRのラジオミクス表現型が強力かつ増分的な予後値を保持することを示唆する。
【0192】
冠動脈PVR表現型に基づく教師なしクラスタリング
冠動脈PVRラジオミクスの第1の3つの主成分(PC1、PC2、およびPC3)を使用したプールされたアーム1研究集団の教師なし(階層的)クラスタリングは、5年MACEのリスクが有意に異なる3つの別異するクラスタを識別した(46.5%対45.8%対65.8%MACE、P=0.009)。同様に、アーム2において、識別された冠動脈病変の階層的クラスタリングは、不安定なプラークの有意な異なる有病率を有する2つの別異するクラスタを識別した(58.8%対25%、P=0.01)。これらの所見は、心血管疾患の増加、ならびに冠動脈炎症および不安定な病変の局所的存在と結びつけられたPVRにおける別異するラジオミクスシグネチャの存在を示唆する。
【0193】
特異的な高リスクPVRラジオミクス特徴量の識別
主成分分析および教師なしクラスタリングは、PVRのラジオミクス表現型が、冠動脈炎症/疾患の局所的存在および悪化転帰の両方に結びつけられ得るという概念を証明した。しかしながら、それらは、独立したコホートで再現可能に測定できる特異的な高リスクラジオミクス特徴量を識別することができない。主成分は、主成分が導出されるデータセットに特異的であり、独立したデータセットおよびコホートに容易には適用できない。したがって、確立されたFAIPVATマーカーの診断および予後情報を補完することができる特異的な特徴量を識別するためにさらなる作業が行われた。MACEの主エンドポイントの判別についてのROC分析では、両方のコホートについてプールされたデータを使用して、計198個の特徴量が0.05のレベルで有意であることが見出された。複数の比較を補正し、かつ偽発見率(FDR)を低下させるために、主成分分析に基づいてボンフェローニ補正が適用された(新たな有意性カットオフ=0.05/92=0.00054347826)。この補正後、マンハッタンプロット(図6)および表3に概要されるように、46個のラジオミクス特徴量のみがMACEの有意な判別因子として残った。これら46個のラジオミクス特徴量のうち、28個は一次統計、10個はGLRLM、5個はGLCM、1個はGLDM、1個はGLSZ、および1個はNGTDMである一方、半分はオリジナルの画像から導出され、残りの半分はウェーブレット変換から導出された(17個のLLL、2個のHHH、3個のHHL、および1個のLHL)。
【0194】
高リスクPVRラジオミクスシグネチャの形成
FAIPVATなどの個々のラジオミクス特徴量は、心血管リスクの増加と関連付けられるが、異なるラジオミクス特徴量の組み合わせ(「シグネチャ」)が、冠動脈PVRの有害なプロファイルを特徴付けるためのより強力な方法を提供し得るかどうかは、以前は未知であった。この仮説を検討し、予後的および再現可能の両方であるラジオミクスシグネチャを開発するために、厳密な段階的アプローチが適用された(図2)。まず、計算された843個の冠動脈PVRラジオミクス特徴量のうち、安定性分析後に143個が除外された(ICC<0.9、2回の測定)(図7)。次に、コホート特異的変異に起因する、可能性のある偽陽性所見を低減するために、両方のコホートにおいてa=0.05のレベルでMACEと有意に関連付けられた60の体積非依存性および配向非依存性のラジオミクス特徴量が、選択された。その後、|rho|≧0.75(Spearmanのrho)のレベルでペア相関を段階的に排除することによって、共線が低減された。残りの9つのラジオミクス特徴量を使用して、コホート1において、弾性ネット/ラッソ回帰および一個抜き内部交差検証を使用する機械学習アプローチが適用された。MACEの予測のための最良性能モデルは、アベレージ判別を示し(図2B)、心臓特異的MACEの予測のための類似のモデル(図2C)は、コホート1(導出)およびコホート2(検証コホート)の両方において非常に良好な判別値を示した。次いで、表7に示されるように、このモデルの上位6つ成分を使用して、モデル由来の係数を使用して血管周囲テクスチャ指数(PTI)を定義した。したがって、表7は、本発明のラジオミクスシグネチャの特定の例を記載している。
【表15】
【0195】
表7において、zスコアベータは、bに導出コホート(コホート1)中のそれぞれの変数の標準偏差を乗じることによって、標準化されていないベータ(b)に変換された。分析されたすべてのコホートで観察された値の範囲に基づいて正の値を確保にするために、90の定数が、事後に追加された。
【0196】
現在の最先端技術を超えたPVRラジオミクス表現型の増分値
図3Aおよび図3Bに示されるように、CCTAに基づくリスク階層化で使用される現在のリスクバイオマーカーを超えるFAIPVATラジオミクス表現型の増分値を評価するために、入れ子モデルのセットが構築された。モデル1は、人口統計および従来のリスク因子からなり、これは、対照群の選択のためのマッチングプロセスに部分的に起因して、MACEおよびcMACEの両方に対して不十分な判別を示した。CCTA由来のリスク特徴量(Duke Prognostic CAD指数、冠動脈カルシウムの存在、高リスクプラーク特徴量、およびEAT(心外膜脂肪組織)体積を含む)の追加は、MACEおよびcMACEの両方の判別を有意に改善した一方、FAIPVATを含むことは、両方のエンドポイントの判別をさらに増加させた。この顕著な改善にもかかわらず、PTI(表7に定義されるような)の追加は、両方のエンドポイントに対するモデルの判別値のさらなる有意な改善と関連付けられ(図3Aおよび図3B)、リスク予測におけるPVRテクスチャ表現型の独立した値だけでなく、増分値も示唆した。MACE/cMACEの予測のためのFAIPVATとPTIとの間の相互作用は、図3Cにグラフ的に提示され、所与のFAIPVAT値について、より高いレベルのPTIで増加するリスクが存在し、逆もまた同様であることを実証している。
【0197】
本発明の代替のラジオミクスシグネチャ(PTI)の検証
図3Aおよび図3Bに提示されるデータは、表7に定義されるラジオミクスシグネチャ(PTI)が、両方のエンドポイント(MACEおよびcMACE)のモデルの判別値の有意な改善を提供することを実証している。ラジオミクス特徴量の異なる選択を含む本発明の代替のラジオミクスシグネチャの有用性を検証するために、いくつかの異なるラジオミクスシグネチャを含む一連のモデルが、現在の最新モデルに対して検定された。
【0198】
表8では、モデル性能の改善は、196人の患者(98人が心臓MACE、98人が一致した対照)に提示されている。各ステップは、現在の最新モデルの上の1つの選択されたラジオミクス特徴量と、以前のクラスタのラジオミクス特徴量と、を含むことに対応する。現在の最新モデルは、年齢、性別、高血圧、脂質異常症、喫煙および糖尿病、Duke Prognostic Coronary Artery Disease指数、高リスクプラーク特徴量の存在、心外膜脂肪組織体積、ならびに冠動脈カルシウムの存在を含む。
【0199】
実施例1~4の各々において、現在の最新モデルは、異なるクラスタからの漸進的により多くのラジオミクス特徴量を含むラジオミクスシグネチャによって漸進的に補完された。まず、最新モデルは、クラスタ1から選択されるラジオミクス特徴量に基づいて計算されたラジオミクスシグネチャによって補完された(表8Aおよび表8Bの第1行:「+クラスタ1」)。次に、最新モデルは、クラスタ1および2から選択される2つのラジオミクス特徴量に基づいて計算されたラジオミクスシグネチャによって補完された(表8Aおよび表8Bの第1行:「+クラスタ2」)。したがって、表8Aおよび表8Bの各漸進的な行は、現在の最新モデルの上の1つの選択されたラジオミクス特徴量と、以前のクラスタのラジオミクス特徴量と、を含むことに対応する。Nagelkerkeの疑似Rは、cMACEのモデルの判別の尺度を提供する。
【0200】
表8Aおよび表8Bから、識別されたクラスタからのラジオミクス特徴量の異なる選択に基づいて計算された本発明のシグネチャがすべて、心臓特異的MACEの改善された予測を提供することが明らかにわかる。したがって、表8に提示されるデータは、どの特徴量が識別されたクラスタの各々から選択されるか、または正確に何個が選択されるかにかかわらず、本発明のラジオミクスシグネチャ(PTI)が、以前に使用されたモデルよりも心血管リスクの改善された予測を提供することを実証している。
【表16】

【表17】
【0201】
不安定な病変を検出するためのPVRラジオミクス表現型
研究アーム2における事前定義された冠動脈病変の周りで計算された場合、PTIを定義するために使用される識別されたラジオミクス特徴量のうちの1つを除くすべてが、安定な治療された病変と比較して、不安定な責任病変の存在下で(ACS発症の96時間以内にスキャンされた)有意に改変された(PCIの>3ヶ月後にスキャンされた)(図8A~G)。より重要なことに、PTI(表7の式を使用して定義される)は、不安定な形態安定な冠動脈病変を見分けることにおいて6つの個々のラジオミクス特徴量のすべてを上回った(AUC:0.76;95%信頼区間:0.64-0.88)(図8G)。これらの知見は、将来のリスク予測および不安定な冠動脈プラークの検出の両方のためのPTIとFAIPVATとの組み合わせによる血管周囲脂肪表現型の価値を示唆し、血管周囲脂肪表現型と、血管炎症、プラーク不安定性、および有害な臨床転帰との間の密接な結びつきを明らかにする。
【0202】
所見の概要
機械学習アプローチを使用して、発明者等は、伝統的なリスク因子と、将来の有害事象を予測して心血管の健康およびリスクを見積もる際の確立されたCCTAリスク分類ツールと、を超えた増分値を追加し、かつ局所的なプラーク炎症および不安定な冠動脈病変の存在をさらに検出する、冠動脈PVRラジオミクスシグネチャを発見および検証した。本発明者等は、PVRの2つ以上のラジオミクス特徴量に基づくPVRラジオミクスシグネチャが、患者における将来の有害事象を予測するための、冠動脈疾患または冠動脈心臓疾患を診断するための、および不安定な冠動脈病変を識別するためのツールを提供することを実証した。
【0203】
本発明のPVRシグネチャは、PVRシグネチャを将来の事象リスクと結びつける高リスクPVR表現型を記述し、および現在のCCTAベースのツールを超えて増分予後情報を提供する。本発明のシグネチャはまた、葉周脂肪のラジオミクスシグネチャに基づいて、不安定な冠動脈病変を安定な冠動脈病変から判別することができる。まとめると、本明細書に提示される所見は、本発明のラジオミクスシグネチャによるPVRラジオミクス表現型を使用して、高リスク患者(冠動脈血管の周りで標準化された方法で測定される場合)および高リスク病変(特異的な冠動脈セグメントまたは病変の周りに適用される場合)の両方を識別することができ、最新のCCTAに基づくリスク予測にとって重要な意味を有することを実証している。
【0204】
驚くべきことに、ラジオミクスシグネチャは、将来の有害事象と最も強く独立して関連付けられたラジオミクス特徴量から構築される必要がない。代わりに、個々に有害事象と最も関連付けられたラジオミクス特徴量を単に含むのではなく、ラジオミクス特徴量の異なる共線「クラスタ」からのラジオミクス特徴量の選択を含むことが実際に有利である。
【0205】
本発明の特に魅力的な態様は、この態様が、以前に収集された履歴医用イメージングデータに対して実行できることである。本発明のシグネチャは、履歴イメージングデータに基づいて導出および計算されてもよく、したがって、本発明は、さらなるスキャンを実行する必要なしに多数の患者を評価するための便利なツールを提供する。したがって、本発明の方法は、医用イメージングデータを収集するステップを含む必要がなく、既存の医用イメージングデータの事後分析に基づいて実行できる。
【0206】
本発明の選択された態様
以下の番号が付された条項は、本発明の様々な態様を開示する。
条項1.対象の医用イメージングデータを使用して血管周囲領域を特徴付けるための方法であって、医用イメージングデータを使用して血管周囲領域のラジオミクスシグネチャの値を計算することを含み、
ラジオミクスシグネチャが、血管周囲領域の少なくとも2つのラジオミクス特徴量の測定された値に基づいて計算され、少なくとも2つのラジオミクス特徴量の測定された値が、医用イメージングデータから計算される、方法。
【0207】
条項2.少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、クラスタ1~9のラジオミクス特徴量から選択され、少なくとも2つのラジオミクス特徴量が各々、異なるクラスタから選択され、
クラスタ1が、ショートラン高グレーレベル強調、高グレーレベル強調、高グレーレベルラン強調、自己相関、和アベレージ、ジョイントアベレージ、および高グレーレベルゾーン強調(Short Run High Gray Level Emphasis、High Gray Level Emphasis、High Gray Level Run Emphasis、Autocorrelation、Sum Average、Joint Average、およびHigh Gray Level Zone Emphasis)からなり、
クラスタ2が、歪度、歪度LLL、尖度、90パーセンタイル、90パーセンタイルLLL、中央値LLL、尖度LLL、および中央値(Skewness、Skewness LLL、Kurtosis、90th Percentile、90th Percentile LLL、Median LLL、Kurtosis LLL、およびMedian)からなり、
クラスタ3が、ランエントロピー、依存性エントロピーLLL、依存性エントロピー、ゾーンエントロピーLLL、ランエントロピーLLL、および平均値LLL(Run Entropy、Dependence Entropy LLL、Dependence Entropy、Zone Entropy LLL、Run Entropy LLL、およびMean LLL)からなり、
クラスタ4が、小面積低グレーレベル強調、低グレーレベルゾーン強調、ショートラン低グレーレベル強調、低グレーレベルラン強調、低グレーレベル強調、小依存性低グレーレベル強調、グレーレベル分散LLL(GLSZM)、グレーレベル分散(GLDM)、分散、グレーレベル分散(GLDM)、差分分散LLL、グレーレベル分散LLL(GLRLM)、分散LLL、グレーレベル分散LLL(GLDM)、二乗和、コントラストLLL、平均絶対偏差、四分位範囲、ロバスト平均絶対偏差、ロングラン低グレーレベル強調、差分分散、グレーレベル分散(GLSZM)、逆差分モーメント正規化、平均絶対偏差LLL、二乗和LLL、およびコントラスト(Small Area Low Gray Level Emphasis、Low Gray Level Zone Emphasis、Short Run Low Gray Level Emphasis、Low Gray Level Run Emphasis、Low Gray Level Emphasis、Small Dependence Low Gray Level Emphasis、Gray Level Variance LLL(GLSZM)、Gray Level Variance(GLDM)、Variance、Gray Level Variance(GLDM)、Difference Variance LLL、Gray Level Variance LLL(GLRLM)、Variance LLL、Gray Level Variance LLL(GLDM)、Sum of Squares、Contrast LLL、Mean Absolute Deviation、Interquartile Range、Robust Mean Absolute Deviation、Long Run Low Gray Level Emphasis、Difference Variance、Gray Level Variance(GLSZM)、Inverse Difference Moment Normalized、Mean Absolute Deviation LLL、Sum of Squares LLL、およびContrast)からなり、
クラスタ5が、ゾーンエントロピー、グレーレベル不均一性正規化(GLRLM)、グレーレベル不均一性正規化LLL(GLRLM)、和エントロピー、ジョイントエネルギー、エントロピー、グレーレベル不均一性正規化(GLDM)、ジョイントエネルギー、グレーレベル不均一性正規化LLL(GLDM)、均一性LLL、和エントロピーLLL、および均一性(Zone Entropy、Gray Level Non Uniformity Normalized(GLRLM)、Gray Level Non Uniformity Normalized LLL(GLRLM)、Sum Entropy、Joint Energy、Entropy、Gray Level Non Uniformity Normalized(GLDM)、Joint Energy、Gray Level Non Uniformity Normalized LLL(GLDM)、Uniformity LLL、Sum Entropy LLL、およびUniformity)からなり、
クラスタ6が、ゾーンエントロピーHHH、サイズゾーン不均一性正規化HHH、および小面積強調HHH(Zone Entropy HHH、Size Zone Non Uniformity Normalized HHH、およびSmall Area Emphasis HHH)からなり、
クラスタ7が、強度、粗さHLL、粗さ、粗さLHL、粗さLLL、粗さLLH、粗さHHH、粗さHLH、粗さHHL、および粗さLHH(Strength、Coarseness HLL、Coarseness、Coarseness LHL、Coarseness LLL、Coarseness LLH、Coarseness HHH、Coarseness HLH、Coarseness HHL、およびCoarseness LHH)からなり、
クラスタ8が、クラスタ傾向LLL、クラスタ傾向、二乗和LLL、平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散LLL(GLDM)、分散LLL、グレーレベル分散LLL(GLRLM)、グレーレベル分散(GLRLM)、ロバスト平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散(GLDM)、分散、平均絶対偏差、クラスタプロミネンス、和エントロピーLLL、四分位範囲LLL、グレーレベル分散LLL(GLSZM)、二乗和、ロバスト平均絶対偏差、和エントロピー、四分位範囲、クラスタプロミネンスLLL、エントロピーLLL、10パーセンタイルLLL、10パーセンタイル(Cluster Tendency LLL、Cluster Tendency、Sum of Squares LLL、Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance LLL(GLDM)、Variance LLL、Gray Level Variance LLL(GLRLM)、Gray Level Variance(GLRLM)、Robust Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance(GLDM)、Variance、Mean Absolute Deviation、Cluster Prominence、Sum Entropy LLL、Interquartile Range LLL、Gray Level Variance LLL(GLSZM)、Sum of Squares、Robust Mean Absolute Deviation、Sum Entropy、Interquartile Range、Cluster Prominence LLL、Entropy LLL、10th Percentile LLL、10th Percentile)からなり、
クラスタ9が、サイズゾーン不均一性LLL、依存性不均一性HLL、グレーレベル不均一性HLL(GLSZM)、グレーレベル不均一性(GLSZM)、ランレングス不均一性HHL、ランレングス不均一性LHL、依存性不均一性LHL、依存性不均一性、ランレングス不均一性HLH、ビジーネス、ランレングス不均一性LLH、依存性不均一性LLH、依存性不均一性LLL、サイズゾーン不均一性、エネルギーHLL、ランレングス不均一性LHH、サイズゾーン不均一性HLL、グレーレベル不均一性LLH(GLSZM)、グレーレベル不均一性LHL(GLSZM)、グレーレベル不均一性LLL(GLSZM)、ランレングス不均一性HLL、グレーレベル不均一性HLH(GLSZM)、グレーレベル不均一性HHL(GLSZM)、ランレングス不均一性、およびランレングス不均一性HHH(Size Zone Non Uniformity LLL、Dependence Non Uniformity HLL、Gray Level Non Uniformity HLL(GLSZM)、Gray Level Non Uniformity(GLSZM)、Run Length Non Uniformity HHL、Run Length Non Uniformity LHL、Dependence Non Uniformity LHL、Dependence Non Uniformity、Run Length Non Uniformity HLH、Busyness、Run Length Non Uniformity LLH、Dependence Non Uniformity LLH、Dependence Non Uniformity LLL、Size Zone Non Uniformity、Energy HLL、Run Length Non Uniformity LHH、Size Zone Non Uniformity HLL、Gray Level Non Uniformity LLH(GLSZM)、Gray Level Non Uniformity LHL(GLSZM)、Gray Level Non Uniformity LLL(GLSZM)、Run Length Non Uniformity HLL、Gray Level Non Uniformity HLH(GLSZM)、Gray Level Non Uniformity HHL(GLSZM)、Run Length Non Uniformity、およびRun Length Non Uniformity HHH)からなる、条項1に記載の方法。
【0208】
条項3.
クラスタ1が、ショートラン高グレーレベル強調、高グレーレベル強調、高グレーレベルラン強調、自己相関、和アベレージ、およびジョイントアベレージ(Short Run High Gray Level Emphasis、High Gray Level Emphasis、High Gray Level Run Emphasis、Autocorrelation、Sum Average、およびJoint Average)からなり、
クラスタ2が、歪度、歪度LLL、尖度、90パーセンタイル、90パーセンタイルLLL、中央値LLL、および尖度LLL(Skewness、Skewness LLL、Kurtosis、90th Percentile、90th Percentile LLL、Median LLL 、およびKurtosis LLL)からなり、
クラスタ3が、ランエントロピー、依存性エントロピーLLL、依存性エントロピー、およびゾーンエントロピーLLL(Run Entropy、Dependence Entropy LLL、Dependence Entropy、およびZone Entropy LLL)からなり、
クラスタ4が、小面積低グレーレベル強調、低グレーレベルゾーン強調、ショートラン低グレーレベル強調、低グレーレベルラン強調、低グレーレベル強調、小依存性低グレーレベル強調、グレーレベル分散LLL(GLSZM)、グレーレベル分散(GLDM)、分散、グレーレベル分散(GLDM)、および差分分散LLL(Small Area Low Gray Level Emphasis、Low Gray Level Zone Emphasis、Short Run Low Gray Level Emphasis、Low Gray Level Run Emphasis、Low Gray Level Emphasis、Small Dependence Low Gray Level Emphasis、Gray Level Variance LLL(GLSZM)、Gray Level Variance(GLDM)、Variance、Gray Level Variance(GLDM)、およびDifference Variance LLL)からなり、
クラスタ5が、ゾーンエントロピー、グレーレベル不均一性正規化(GLRLM)、およびグレーレベル不均一性正規化LLL(GLRLM)(Zone Entropy、Gray Level Non Uniformity Normalized(GLRLM)、およびGray Level Non Uniformity Normalized LLL(GLRLM))からなり、
クラスタ6が、ゾーンエントロピーHHH、およびサイズゾーン不均一性正規化HHH(Zone Entropy HHH、およびSize Zone Non Uniformity Normalized HHH)からなり、
クラスタ7が、強度、粗さHLL、粗さ、粗さLHL、粗さLLL、粗さLLH,および粗さHHH(Strength、Coarseness HLL、Coarseness、Coarseness LHL、Coarseness LLL、Coarseness LLH、およびCoarseness HHH)からなり、
クラスタ8が、クラスタ傾向LLL、クラスタ傾向、二乗和LLL、平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散LLL(GLDM)、分散LLL、グレーレベル分散LLL(GLRLM)、グレーレベル分散(GLRLM)、ロバスト平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散(GLDM)、分散、平均絶対偏差、クラスタプロミネンス、和エントロピーLLL、四分位範囲LLL、グレーレベル分散LLL(GLSZM)、二乗和、ロバスト平均絶対偏差、和エントロピー、四分位範囲、クラスタプロミネンスLLL、エントロピーLLL、10パーセンタイルLLL、および10パーセンタイル(Cluster Tendency LLL、Cluster Tendency、Sum of Squares LLL、Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance LLL(GLDM)、Variance LLL、Gray Level Variance LLL(GLRLM)、Gray Level Variance(GLRLM)、Robust Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance(GLDM)、Variance、Mean Absolute Deviation、Cluster Prominence、Sum Entropy LLL、Interquartile Range LLL、Gray Level Variance LLL(GLSZM)、Sum of Squares、Robust Mean Absolute Deviation、Sum Entropy、Interquartile Range、Cluster Prominence LLL、Entropy LLL、10th Percentile LLL、および10th Percentile)からなり、
クラスタ9が、サイズゾーン不均一性LLL、依存性不均一性HLL、グレーレベル不均一性HLL(GLSZM)、グレーレベル不均一性(GLSZM)、ランレングス不均一性HHL、ランレングス不均一性LHL、依存性不均一性LHL、依存性不均一性、ランレングス不均一性HLH、ビジーネス、ランレングス不均一性LLH、依存性不均一性LLH、依存性不均一性LLL、サイズゾーン不均一性、エネルギーHLL、ランレングス不均一性LHH、サイズゾーン不均一性HLL、グレーレベル不均一性LLH(GLSZM)、およびグレーレベル不均一性LHL(GLSZM)(Size Zone Non Uniformity LLL、Dependence Non Uniformity HLL、Gray Level Non Uniformity HLL(GLSZM)、Gray Level Non Uniformity(GLSZM)、Run Length Non Uniformity HHL、Run Length Non Uniformity LHL、Dependence Non Uniformity LHL、Dependence Non Uniformity、Run Length Non Uniformity HLH、Busyness、Run Length Non Uniformity LLH、Dependence Non Uniformity LLH、Dependence Non Uniformity LLL、Size Zone Non Uniformity、Energy HLL、Run Length Non Uniformity LHH、Size Zone Non Uniformity HLL、Gray Level Non Uniformity LLH(GLSZM)、およびGray Level Non Uniformity LHL(GLSZM))からなる、条項2に記載の方法。
【0209】
条項4.
クラスタ1が、ショートラン高グレーレベル強調、高グレーレベル強調、高グレーレベルラン強調、自己相関、和アベレージ、およびジョイントアベレージ(Short Run High Gray Level Emphasis、High Gray Level Emphasis、High Gray Level Run Emphasis、Autocorrelation、Sum Average、およびJoint Average)からなり、
クラスタ2が、歪度、歪度LLL、尖度、および90パーセンタイル(Skewness、Skewness LLL、Kurtosis、および90th Percentile)からなり、
クラスタ3が、ランエントロピー、依存性エントロピーLLL、および依存性エントロピー(Run Entropy、Dependence Entropy LLL、およびDependence Entropy)からなり、
クラスタ4が、小面積低グレーレベル強調、低グレーレベルゾーン強調、ショートラン低グレーレベル強調、低グレーレベルラン強調、低グレーレベル強調、および小依存性低グレーレベル強調(Small Area Low Gray Level Emphasis、Low Gray Level Zone Emphasis、Short Run Low Gray Level Emphasis、Low Gray Level Run Emphasis、Low Gray Level Emphasis、およびSmall Dependence Low Gray Level Emphasis)からなり、
クラスタ5が、ゾーンエントロピー、およびグレーレベル不均一性正規化(GLRLM)(Zone Entropy、およびGray Level Non Uniformity Normalized(GLRLM))からなり、
クラスタ6が、ゾーンエントロピーHHH(Zone Entropy HHH)からなり、
クラスタ7が、強度、粗さHLL、粗さ、粗さLHL、粗さLLL、および粗さLLH(Strength、Coarseness HLL、Coarseness、Coarseness LHL、Coarseness LLL、およびCoarseness LLH)からなり、
クラスタ8が、クラスタ傾向LLL、クラスタ傾向、二乗和LLL、平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散LLL(GLDM)、分散LLL、グレーレベル分散LLL(GLRLM)、グレーレベル分散(GLRLM)、ロバスト平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散(GLDM)、分散、平均絶対偏差、クラスタプロミネンス、和エントロピーLLL、四分位範囲LLL、グレーレベル分散LLL(GLSZM)、二乗和、ロバスト平均絶対偏差、和エントロピー、四分位範囲、クラスタプロミネンスLLL、エントロピーLLL、10パーセンタイルLLL、および10パーセンタイル(Cluster Tendency LLL、Cluster Tendency、Sum of Squares LLL、Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance LLL(GLDM)、Variance LLL、Gray Level Variance LLL(GLRLM)、Gray Level Variance(GLRLM)、Robust Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance(GLDM)、Variance、Mean Absolute Deviation、Cluster Prominence、Sum Entropy LLL、Interquartile Range LLL、Gray Level Variance LLL(GLSZM)、Sum of Squares、Robust Mean Absolute Deviation、Sum Entropy、Interquartile Range、Cluster Prominence LLL、Entropy LLL、10th Percentile LLL、および10th Percentile)からなり、
クラスタ9が、サイズゾーン不均一性LLL、依存性不均一性HLL、グレーレベル不均一性HLL(GLSZM)、グレーレベル不均一性(GLSZM)、ランレングス不均一性HHL、ランレングス不均一性LHL、依存性不均一性LHL、依存性不均一性、ランレングス不均一性HLH、ビジーネス、ランレングス不均一性LLH、依存性不均一性LLH、依存性不均一性LLL、およびサイズゾーン不均一性(Size Zone Non Uniformity LLL、Dependence Non Uniformity HLL、Gray Level Non Uniformity HLL(GLSZM)、Gray Level Non Uniformity(GLSZM)、Run Length Non Uniformity HHL、Run Length Non Uniformity LHL、Dependence Non Uniformity LHL、Dependence Non Uniformity、Run Length Non Uniformity HLH、Busyness、Run Length Non Uniformity LLH、Dependence Non Uniformity LLH、Dependence Non Uniformity LLL、およびSize Zone Non Uniformity)からなる、条項2に記載の方法。
【0210】
条項5.
クラスタ1が、ショートラン高グレーレベル強調、高グレーレベル強調、高グレーレベルラン強調、および自己相関(Short Run High Gray Level Emphasis、High Gray Level Emphasis、High Gray Level Run Emphasis、およびAutocorrelation)からなり、
クラスタ2が、歪度、および歪度LLL(Skewness、およびSkewness LLL)からなり、
クラスタ3が、ランエントロピー、および依存性エントロピーLLL(Run Entropy、and Dependence Entropy LLL)からなり、
クラスタ4が、小面積低グレーレベル強調、および低グレーレベルゾーン強調(Small Area Low Gray Level Emphasis、and Low Gray Level Zone Emphasis)からなり、
クラスタ5が、ゾーンエントロピー(Zone Entropy)からなり、
クラスタ6が、ゾーンエントロピーHHH(Zone Entropy HHH)からなり、
クラスタ7が、強度(Strength)からなり、
クラスタ8が、クラスタ傾向LLL、クラスタ傾向、二乗和LLL、平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散LLL(GLDM)、分散LLL、グレーレベル分散LLL(GLRLM)、グレーレベル分散(GLRLM)、ロバスト平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散(GLDM)、分散、平均絶対偏差、クラスタプロミネンス、和エントロピーLLL、四分位範囲LLL、グレーレベル分散LLL(GLSZM)、二乗和、ロバスト平均絶対偏差、和エントロピー、四分位範囲、クラスタプロミネンスLLL、エントロピーLLL、10パーセンタイルLLL、および10パーセンタイル(Cluster Tendency LLL、Cluster Tendency、Sum of Squares LLL、Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance LLL(GLDM)、Variance LLL、Gray Level Variance LLL(GLRLM)、Gray Level Variance(GLRLM)、Robust Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance(GLDM)、Variance、Mean Absolute Deviation、Cluster Prominence、Sum Entropy LLL、Interquartile Range LLL、Gray Level Variance LLL(GLSZM)、Sum of Squares、Robust Mean Absolute Deviation、Sum Entropy、Interquartile Range、Cluster Prominence LLL、Entropy LLL、10th Percentile LLL、および10th Percentile)からなり、
クラスタ9が、サイズゾーン不均一性LLL、依存性不均一性HLL、グレーレベル不均一性HLL(GLSZM)、グレーレベル不均一性(GLSZM)、ランレングス不均一性HHL、およびランレングス不均一性LHL(Size Zone Non Uniformity LLL、Dependence Non Uniformity HLL、Gray Level Non Uniformity HLL(GLSZM)、Gray Level Non Uniformity(GLSZM)、Run Length Non Uniformity HHL、およびRun Length Non Uniformity LHL)からなる、条項2に記載の方法。
【0211】
条項6.
クラスタ1が、ショートラン高グレーレベル強調、高グレーレベル強調、および高グレーレベルラン強調(Short Run High Gray Level Emphasis、High Gray Level Emphasis、およびHigh Gray Level Run Emphasis)からなり、
クラスタ2が、歪度、および歪度LLL(Skewness、およびSkewness LLL)からなり、
クラスタ3が、ランエントロピー(Run Entropy)からなり、
クラスタ4が、小面積低グレーレベル強調、および低グレーレベルゾーン強調(Small Area Low Gray Level Emphasis、and Low Gray Level Zone Emphasis)からなり、
クラスタ5が、ゾーンエントロピー(Zone Entropy)からなり、
クラスタ6が、ゾーンエントロピーHHH(Zone Entropy HHH)からなり、
クラスタ7が、強度(Strength)からなり、
クラスタ8が、クラスタ傾向LLL、クラスタ傾向、二乗和LLL、平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散LLL(GLDM)、分散LLL、グレーレベル分散LLL(GLRLM)、グレーレベル分散(GLRLM)、ロバスト平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散(GLDM)、分散、平均絶対偏差、クラスタプロミネンス、和エントロピーLLL、四分位範囲LLL、グレーレベル分散LLL(GLSZM)、二乗和、ロバスト平均絶対偏差、および和エントロピー(Cluster Tendency LLL、Cluster Tendency、Sum of Squares LLL、Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance LLL(GLDM)、Variance LLL、Gray Level Variance LLL(GLRLM)、Gray Level Variance(GLRLM)、Robust Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance(GLDM)、Variance、Mean Absolute Deviation、Cluster Prominence、Sum Entropy LLL、Interquartile Range LLL、Gray Level Variance LLL(GLSZM)、Sum of Squares、Robust Mean Absolute Deviation、and Sum Entropy)からなり、
クラスタ9が、サイズゾーン不均一性LLL(Size Zone Uniformity LLL)からなる、条項2に記載の方法。
【0212】
条項7.
クラスタ1が、ショートラン高グレーレベル強調、高グレーレベル強調、および高グレーレベルラン強調(Short Run High Gray Level Emphasis、High Gray Level Emphasis、およびHigh Gray Level Run Emphasis)からなり、
クラスタ2が、歪度、歪度LLL、尖度、90パーセンタイル、中央値LLL、尖度LLL、および中央値(Skewness、Skewness LLL、Kurtosis、90th Percentile、Median LLL、Kurtosis LLL、およびMedian)からなり、
クラスタ3が、ランエントロピー、ランエントロピーLLL、および平均値LLL(Run Entropy、Run Entropy LLL、およびMean LLL)からなり、
クラスタ4が、小面積低グレーレベル強調、低グレーレベルゾーン強調、およびグレーレベル分散(GLSZM)(Small Area Low Gray Level Emphasis、Low Gray Level Zone Emphasis、およびGray Level Variance(GLSZM))からなり、
クラスタ5が、ゾーンエントロピー、グレーレベル不均一性正規化(GLRLM)、および均一性(Zone Entropy、Gray Level Non Uniformity Normalized(GLRLM)、and Uniformity)からなり、
クラスタ6が、ゾーンエントロピーHHH(Zone Entropy HHH)からなり、
クラスタ7が、強度(Strength)からなり、
クラスタ8が、クラスタ傾向LLL、クラスタ傾向、平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散LLL(GLDM)、分散LLL、グレーレベル分散LLL(GLRLM)、ロバスト平均絶対偏差LLL、グレーレベル分散LLL(GLSZM)、四分位範囲LLL、和エントロピーLLL、グレーレベル分散(GLRLM)、分散、グレーレベル分散(GLDM)、平均絶対偏差、和エントロピー、ロバスト平均絶対偏差、四分位範囲、エントロピーLLL、10パーセンタイルLLL、10パーセンタイル、エントロピー、均一性LLL、グレーレベル不均一性正規化LLL(GLDM)、グレーレベル不均一性正規化LLL(GLRLM)、二乗平均平方根、グレーレベル不均一性正規化(GLDM)、二乗平均平方根LLL、およびロングラン低グレーレベル強度(Cluster Tendency LLL、Cluster Tendency、Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance LLL(GLDM)、Variance LLL、Gray Level Variance LLL(GLRLM)、Robust Mean Absolute Deviation LLL、Gray Level Variance LLL(GLSZM)、Interquartile Range LLL、Sum Entropy LLL、Gray Level Variance(GLRLM)、Variance、Gray Level Variance(GLDM)、Mean Absolute Deviation、Sum Entropy、Robust Mean Absolute Deviation、Interquartile Range、Entropy LLL、10th Percentile LLL、10th Percentile、Entropy、Uniformity LLL、Gray Level Non Uniformity Normalized LLL(GLDM)、Gray Level Non Uniformity Normalized LLL(GLRLM)、Root Mean Squared、Gray Level Non Uniformity Normalized(GLDM)、Root Mean Squared LLL、およびLong Run Low Gray Level Emphasis)からなり、
クラスタ9が、サイズゾーン不均一性LLL、ビジーネス、およびサイズゾーン不均一性(Size Zone Non Uniformity LLL、Busyness、およびSize Zone Non Uniformity)からなる、条項2に記載の方法。
【0213】
条項8.少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、中央値LLL、平均値LLL、中央値、二乗平均平方根LLL、平均値、尖度、二乗平均平方根、ランエントロピーLLL(GLRLM)、均一性、90パーセンタイル、グレーレベル不均一性正規化(GLRLM)、均一性LLL、歪度、グレーレベル不均一性正規化LLL(GLRLM)、10パーセンタイルLLL、歪度LLL、10パーセンタイル、エントロピー、四分位範囲LLL、ロバスト平均絶対偏差LLL、ランエントロピー(GLRLM)、四分位範囲、和エントロピー(GLCM)、グレーレベル不均一性正規化LLL(GLRLM)、依存性不均一性LHL(GLDM)、尖度LLL、ランレングス不均一性HHL(GLRLM)、エントロピーLLL、ロバスト平均絶対偏差、和エントロピーLLL(GLCM)、90パーセンタイルLLL、ランエントロピーHHL(GLRLM)、エネルギー、エネルギーLLL、強度(NGTDM)、自己相関(GLCM)、平均絶対偏差LLL、高グレーレベル強調(GLDM)、ジョイントアベレージ(GLCM)、和アベレージ(GLCM)、ショートラン高グレーレベル強調(GLRLM)、エネルギーHHH、高グレーレベルラン強調(GLRLM)、ランエントロピーHHH(GLRLM)、エネルギーHHL、および平均絶対偏差(Median LLL、Mean LLL、Median、Root Mean Squared LLL、Mean、Kurtosis、Root Mean Squared、Run Entropy LLL(GLRLM)、Uniformity、90th Percentile、Gray Level Non-Uniformity Normalized(GLRLM)、Uniformity LLL、Skewness、Gray Level Non-Uniformity Normalized LLL(GLRLM)、10th Percentile LLL、Skewness LLL、10th Percentile、Entropy、Interquartile Range LLL、Robust Mean Absolute Deviation LLL、Run Entropy(GLRLM)、Interquartile Range、Sum Entropy(GLCM)、Gray Level Non-Uniformity Normalized LLL(GLRLM)、Dependence Non-Uniformity LHL(GLDM)、Kurtosis LLL、Run Length Non-Uniformity HHL(GLRLM)、Entropy LLL、Robust Mean Absolute Deviation、Sum Entropy LLL(GLCM)、90th Percentile LLL、Run Entropy HHL(GLRLM)、Energy、Energy LLL、Strength(NGTDM)、Autocorrelation(GLCM)、Mean Absolute Deviation LLL、High Gray Level Emphasis(GLDM)、Joint Average(GLCM)、Sum Average(GLCM)、Short Run High Gray Level Emphasis(GLRLM)、Energy HHH、High Gray Level Run Emphasis(GLRLM)、Run Entropy HHH(GLRLM)、Energy HHL、およびMean Absolute Deviation)から選択され得る、条項1に記載の方法。
【0214】
条項9.少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、クラスタ1~8のラジオミクス特徴量から選択される、条項2~7のいずれか一項の方法。
【0215】
条項10.少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、クラスタ1~7のラジオミクス特徴量から選択される、条項2~7のいずれか一項の方法。
【0216】
条項11.少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、クラスタ1~6のラジオミクス特徴量から選択される、条項2~7のいずれか一項の方法。
【0217】
条項12.少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、クラスタ1~5のラジオミクス特徴量から選択される、条項2~7のいずれか一項の方法。
【0218】
条項13.少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、クラスタ1~4のラジオミクス特徴量から選択される、条項2~7のいずれか一項の方法。
【0219】
条項14.少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、クラスタ1~3のラジオミクス特徴量から選択される、条項2~7のいずれか一項の方法。
【0220】
条項15.前記少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、クラスタ1および2の前記ラジオミクス特徴量から選択される、条項2~7のいずれか一項の方法。
【0221】
条項16.少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、少なくとも3つのラジオミクス特徴量を含む、条項1~14のいずれか一項の方法。
【0222】
条項17.少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、少なくとも4つのラジオミクス特徴量を含む、条項1~13のいずれか一項の方法。
【0223】
条項18.少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、少なくとも5つのラジオミクス特徴量を含む、条項1~12のいずれか一項の方法。
【0224】
条項19.少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、少なくとも6つのラジオミクス特徴量を含む、条項1~11のいずれか一項の方法。
【0225】
条項20.少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、少なくとも7つのラジオミクス特徴量を含む、条項1~10のいずれか一項の方法。
【0226】
条項21.少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、少なくとも8つのラジオミクス特徴量を含む、条項1~9のいずれか一項の方法。
【0227】
条項22.少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、少なくとも9つのラジオミクス特徴量を含む、条項1~8のいずれか一項の方法。
【0228】
条項23.少なくとも2つのラジオミクス特徴量が、6つのラジオミクス特徴量を含み、6つのラジオミクス特徴量が、ショートラン高グレーレベル強調、歪度、ランエントロピー、小面積低グレーレベル強調、ゾーンエントロピーHHH、およびゾーンエントロピー(Short Run High Gray Level Emphasis、Skewness、Run Entropy、Small Area Low Gray Level Emphasis、Zone Entropy HHH、およびZone Entropy)である、条項1の方法。
図1A
図1B-1C】
図2A
図2B
図2C
図3A-3B】
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8A-8G】
【手続補正書】
【提出日】2024-06-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の医用イメージングデータを使用して血管周囲組織を含む血管周囲領域を特徴付けるための方法であって、前記方法が、前記医用イメージングデータを使用して前記血管周囲領域のラジオミクスシグネチャの値を計算することを含み、
前記ラジオミクスシグネチャが、前記血管周囲領域の少なくとも2つのラジオミクス特徴量の測定された値に基づいて計算され、前記少なくとも2つのラジオミクス特徴量の前記測定された値が、前記医用イメージングデータから計算され、
前記ラジオミクスシグネチャが、前記血管周囲領域のテクスチャの尺度を提供する、
方法。
【外国語明細書】