(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129037
(43)【公開日】2024-09-26
(54)【発明の名称】表面処理用組成物及び表面処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
H01L21/304 647A
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024096271
(22)【出願日】2024-06-13
(62)【分割の表示】P 2021505745の分割
【原出願日】2019-07-29
(31)【優先権主張番号】62/712,006
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/756,644
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/820,905
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514251329
【氏名又は名称】フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ヴォイツチャック、ウィリアム エー.
(72)【発明者】
【氏名】高橋和孝
(72)【発明者】
【氏名】水谷篤史
(72)【発明者】
【氏名】パク、キヨン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ウエハの表面上に配したパターン形成されたウエハを処理する方法及び組成物を提供する。
【解決手段】ウエハの表面上にパターンが配された半導体基板を処理する方法であって、前記表面を表面処理組成物に接触させて表面処理層の水接触角が約50度以上になるように表面処理層を形成することを含む。ここで、表面処理組成物は、少なくとも1つのシロキサン化合物並びにトリアルキルシリルアルキルスルホネート、トリアルキルシリルアリールスルホネート及びトリアルキルシリルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物からなり、ウエハ表面上のパターンが約20nm以下の寸法のフィーチャを含んでいる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハの表面上にパターンが配された半導体基板を処理する方法であって、
前記表面を表面処理組成物に接触させて表面処理層の水接触角が約50度以上になるように表面処理層を形成すること、ここで、前記表面処理組成物は、少なくとも1つのシロキサン化合物、並びにトリアルキルシリルアルキルスルホネート、トリアルキルシリルアリールスルホネート、及びトリアルキルシリルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物からなる、
を含み、
前記パターンが約20nm以下の寸法のフィーチャを含んでいる、
前記方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのトリアルキルシリル化合物がSiR3基を含み、各Rは、独立に、C1~C16のアルキル又はC1~C16のハロアルキルである、請求項1の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのトリアルキルシリル化合物が、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、又はトリブチルシリル基を含む、請求項1の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのトリアルキルシリル化合物が、トリアルキルシリルメタンスルホネート、トリアルキルシリルトリフルオロメタンスルホネート、トリアルキルシリルパーフルオロブタンスルホネート、トリアルキルシリルp-トルエンスルホネート、トリアルキルシリルベンゼンスルホネート、トリアルキルシリルトリフルオロアセテート、トリアルキルシリルトリクロロアセテート、又はトリアルキルシリルトリブロモアセテートを含む、請求項1の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのトリアルキルシリル化合物が、前記表面処理組成物の約0.1重量%~約15重量%である、請求項1の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのシロキサン化合物が、ジシロキサン、オリゴシロキサン、シクロシロキサン、又はポリシロキサンを含む、請求項1の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのシロキサン化合物が、ヘキサメチルジシロキサン、1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,1,1-トリエチル-3,3-ジメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラ-n-オクチルジメチルジシロキサン、ビス(ノナフルオロヘキシル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(トリフルオロプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ジ-n-ブチルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジ-n-オクチルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジエチルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジフェニルテトラメチルジシロキサン、ヘキサ-n-ブチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサビニルジシロキサン、1,1,1,3,3-ペンタメチル-3-アセトキシジシロキサン、1-アリル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラフェニルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジアリルテトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,3-ジアリルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジフェニルテトラキス(ジメチルシロキシ)ジシロキサン、(3-クロロプロピル)ペンタメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサン、1,1,3,3-テトラビニルジメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラシクロペンチルジクロロジシロキサン、ビニルペンタメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-クロロイソブチル)テトラメチルジシロキサン、ヘキサフェニルジシロキサン、1,3-ビス[(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エニル)エチル]テトラメチルジシロキサン、1,1,1-トリエチル-3,3,3-トリメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-メタクリロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(クロロメチル)テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジエトキシジシロキサン、1,1,3,3-テトラフェニルジメチルジシロキサン、メタクリロキシペンタメチルジシロキサン、ペンタメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-クロロプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(4-ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(トリエトキシシリルエチル)テトラメチルジシロキサン、3-アミノプロピルペンタメチルジシロキサン、1,3-ビス(2-アミノエチルアミノメチル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ジクロロ-1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、1,3-ジエチニルテトラメチルジシロキサン、n-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジクロロテトラフェニルジシロキサン、1,3-ジクロロテトラメチルジシロキサン、1,3-ジ-t-ブチルジシロキサン、1,3-ジメチルテトラメトキシジシロキサン、1,3-ジビニルテトラエトキシジシロキサン、1,1,3,3-テトラエトキシ-1,3-ジメチルジシロキサン、ビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、白金-[1,3-ビス(シクロヘキシル)イミダゾール-2-イリデン ヘキサクロロジシロキサン、1,1,3,3-テトライソプロピル-1-クロロジシロキサン、1,1,1-トリメチル-3,3,3-トリフェニルジシロキサン、1,3-ビス(トリメチルシロキシ)-1,3-ジメチルジシロキサン、3,3-ジフェニルテトラメチルトリシロキサン、3-フェニルヘプタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、n-プロピルヘプタメチルトリシロキサン、1,5-ジエトキシヘキサメチルトリシロキサン、3-エチルヘプタメチルトリシロキサン、3-(テトラヒドロフルフリルオキシプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン、3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,3,5,5-ペンタフェニル-1,3,5-トリメチルトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、1,1,5,5-テトラフェニル-1,3,3,5-テトラメチルトリシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、1,1,1,5,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン、オクタクロロトリシロキサン、3-フェニル-1,1,3,5,5-ペンタメチルトリシロキサン、(3,3,3-トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン、1,3,5-トリビニル-1,1,3,5,5-ペンタメチルトリシロキサン、1,3,5-トリビニル-1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン、3-(3-アセトキシプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン、3-(m-ペンタデシルフェノキシプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン、リモネニルトリシロキサン、3-ドデシルヘプタメチルトリシロキサン、3-オクチルヘプタメチルトリシロキサン、1,3,5-トリフェニルトリメチルシクロトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,1,5,5,5-ヘキサエチル-3-メチルトリシロキサン、1,5-ジクロロヘキサメチルトリシロキサン、3-トリアコンチルヘプタメチルトリシロキサン、3-(3-ヒドロキシプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロメチルホスホノキシトリシロキサン、3-オクタデシルヘプタメチルトリシロキサン、フルフリルオキシトリシロキサン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン、ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサン共重合体、1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3-ビス(トリメチルシロキシ)-1,3-ジメチルジシロキサン、ジメチルシロキサン-[65~70%(60%プロピレンオキサイド/40%エチレンオキサイド)]ブロック共重合体、ビス(ヒドロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、テトラ-n-プロピルテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタエチルシクロテトラシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリオクタデシルメチルシロキサン、ヘキサコシル末端ポリジメチルシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリ(3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキサン)、トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7,9,9-デカメチルペンタシロキサン、又はトリエチルシロキシ末端ポリジエチルシロキサンを含む、請求項1の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのシロキサン化合物が、前記表面処理組成物の約85重量%~約99.9重量%である、請求項1の方法。
【請求項9】
前記表面処理組成物が、約10℃以上の引火点を有する、請求項1の方法。
【請求項10】
前記表面を前記表面処理組成物に接触させる前に、前記表面を少なくとも1つの水性洗浄液に接触させることをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの水性洗浄液が、水、アルコール、水酸化アンモニウム水溶液、塩酸水溶液、過酸化水素水、有機溶媒、又はこれらの組み合わせを含む、請求項10の方法。
【請求項12】
前記表面を前記少なくとも1つの水性洗浄液に接触させた後であって、かつ前記表面を前記表面処理組成物に接触させる前に、前記表面を第一のリンス液に接触させることをさらに含む、請求項10の方法。
【請求項13】
前記表面を前記表面処理組成物に接触させた後に、前記表面を第二のリンス液に接触させることをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項14】
前記表面を乾燥させることをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項15】
前記表面処理層を除去することをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項16】
前記表面が、SiO2、SiN、TiN,SiOC、SiON、Si、SiGe、Ge,又はWを含む、請求項1の方法。
【請求項17】
表面処理組成物の約0.1重量%~約15重量%の量の少なくとも1つのトリアルキルシリル化合物であって、トリアルキルシリルアルキルスルホネート、トリアルキルシリルアリールスルホネート、及びトリアルキルシリルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物、及び
表面処理組成物の約85重量%~約99.9重量%の量の少なくとも1つのシロキサン化合物
からなる表面処理組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1つのトリアルキルシリル化合物がSiR3基を含み、各Rは、独立に、C1~C16のアルキル又はC1~C16のハロアルキルである、請求項17の組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1つのトリアルキルシリル化合物が、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、又はトリブチルシリル基を含む、請求項17の組成物。
【請求項20】
前記少なくとも1つのトリアルキルシリル化合物が、トリアルキルシリルメタンスルホネート、トリアルキルシリルトリフルオロメタンスルホネート、トリアルキルシリルパーフルオロブタンスルホネート、トリアルキルシリルp-トルエンスルホネート、トリアルキルシリルベンゼンスルホネート、トリアルキルシリルトリフルオロアセテート、トリアルキルシリルトリクロロアセテート、又はトリアルキルシリルトリブロモアセテートを含む、請求項17の組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1つのトリアルキルシリル化合物が、前記表面処理組成物の約1重量%~約10重量%である、請求項17の組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1つのシロキサン化合物が、ジシロキサン、オリゴシロキサン、シクロシロキサン、又はポリシロキサンを含む、請求項17の組成物。
【請求項23】
前記少なくとも1つのシロキサン化合物が、ヘキサメチルジシロキサン、1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,1,1-トリエチル-3,3-ジメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラ-n-オクチルジメチルジシロキサン、ビス(ノナフルオロヘキシル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(トリフルオロプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ジ-n-ブチルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジ-n-オクチルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジエチルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジフェニルテトラメチルジシロキサン、ヘキサ-n-ブチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサビニルジシロキサン、1,1,1,3,3-ペンタメチル-3-アセトキシジシロキサン、1-アリル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラフェニルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジアリルテトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,3-ジアリルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジフェニルテトラキス(ジメチルシロキシ)ジシロキサン、(3-クロロプロピル)ペンタメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサン、1,1,3,3-テトラビニルジメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラシクロペンチルジクロロジシロキサン、ビニルペンタメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-クロロイソブチル)テトラメチルジシロキサン、ヘキサフェニルジシロキサン、1,3-ビス[(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エニル)エチル]テトラメチルジシロキサン、1,1,1-トリエチル-3,3,3-トリメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-メタクリロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(クロロメチル)テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジエトキシジシロキサン、1,1,3,3-テトラフェニルジメチルジシロキサン、メタクリロキシペンタメチルジシロキサン、ペンタメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-クロロプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(4-ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(トリエトキシシリルエチル)テトラメチルジシロキサン、3-アミノプロピルペンタメチルジシロキサン、1,3-ビス(2-アミノエチルアミノメチル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ジクロロ-1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、1,3-ジエチニルテトラメチルジシロキサン、n-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジクロロテトラフェニルジシロキサン、1,3-ジクロロテトラメチルジシロキサン、1,3-ジ-t-ブチルジシロキサン、1,3-ジメチルテトラメトキシジシロキサン、1,3-ジビニルテトラエトキシジシロキサン、1,1,3,3-テトラエトキシ-1,3-ジメチルジシロキサン、ビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、白金-[1,3-ビス(シクロヘキシル)イミダゾール-2-イリデン ヘキサクロロジシロキサン、1,1,3,3-テトライソプロピル-1-クロロジシロキサン、1,1,1-トリメチル-3,3,3-トリフェニルジシロキサン、1,3-ビス(トリメチルシロキシ)-1,3-ジメチルジシロキサン、3,3-ジフェニルテトラメチルトリシロキサン、3-フェニルヘプタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、n-プロピルヘプタメチルトリシロキサン、1,5-ジエトキシヘキサメチルトリシロキサン、3-エチルヘプタメチルトリシロキサン、3-(テトラヒドロフルフリルオキシプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン、3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,3,5,5-ペンタフェニル-1,3,5-トリメチルトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、1,1,5,5-テトラフェニル-1,3,3,5-テトラメチルトリシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、1,1,1,5,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン、オクタクロロトリシロキサン、3-フェニル-1,1,3,5,5-ペンタメチルトリシロキサン、(3,3,3-トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン、1,3,5-トリビニル-1,1,3,5,5-ペンタメチルトリシロキサン、1,3,5-トリビニル-1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン、3-(3-アセトキシプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン、3-(m-ペンタデシルフェノキシプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン、リモネニルトリシロキサン、3-ドデシルヘプタメチルトリシロキサン、3-オクチルヘプタメチルトリシロキサン、1,3,5-トリフェニルトリメチルシクロトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,1,5,5,5-ヘキサエチル-3-メチルトリシロキサン、1,5-ジクロロヘキサメチルトリシロキサン、3-トリアコンチルヘプタメチルトリシロキサン、3-(3-ヒドロキシプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロメチルホスホノキシトリシロキサン、3-オクタデシルヘプタメチルトリシロキサン、フルフリルオキシトリシロキサン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン、ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサン共重合体、1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3-ビス(トリメチルシロキシ)-1,3-ジメチルジシロキサン、ジメチルシロキサン-[65-70%(60%プロピレンオキサイド/40%エチレンオキサイド)]ブロック共重合体、ビス(ヒドロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、テトラ-n-プロピルテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタエチルシクロテトラシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリオクタデシルメチルシロキサン、ヘキサコシル末端ポリジメチルシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリ(3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキサン)、トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7,9,9-デカメチルペンタシロキサン、又はトリエチルシロキシ末端ポリジエチルシロキサンを含む、請求項17の組成物。
【請求項24】
前記少なくとも1つのシロキサン化合物が、前記表面処理組成物の約90重量%~約99重量%である、請求項17の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に表面処理に関わるものであり、より具体的には、疎水性層の形成が望ましい半導体表面の液体処理に関わるものである。
【背景技術】
【0002】
半導体生産プロセスにおいて、サブ20nmといった臨界的な寸法においては、湿式クリーニング及び乾燥の際に、FinFETのパターン崩れ及び誘電体スタックが生じることが一つの大きな問題となっている。従来のパターン崩れについての理論では、洗浄及び乾燥時の高い毛細管力が、崩れの現象に主に寄与しているとされている。
【0003】
しかしながら、他の化学物質及び基板の特性、例えば液体の表面張力及び粘度、基板の機械的強度、パターンの密度及びアスペクト比、さらに洗浄剤化学物質による基板表面のダメージ、といったものも、重要な役割を担っているかもしれない。
【発明の概要】
【0004】
半導体基板(例えばシリコン又は銅のウエハ)の表面に疎水性の層(例えば疎水性モノレイヤー)を与える低表面張力改変流体が、乾燥過程におけるパターン崩れを引き起こす毛細管力を最小化できることが見出された。理論に束縛されることを意図するものではないが、接触角、すなわち液体(例えば水)が基板表面に接している際に形成する角度、が90度又はそれに近い値である場合に、ラプラス圧力は最小になると考えられる。このことは、低表面張力流体が存在することとの組み合わせで、パターン崩れを起こす力を大幅に抑制することができる。
【0005】
一般的に、本開示は、表面に疎水性層が形成され、それによって、表面が半導体生産プロセスにおける典型的な洗浄及び乾燥工程を受ける際のパターン崩れを最小化あるいは抑止する、半導体基板のパターン形成された表面(例えばパターン形成されたウエハ)を処理する際の方法及び組成物を提供する。本明細書に開示される方法は、処理後の表面の水接触角が約50度以上となるように疎水性層を表面に形成する組成物を用いる。
【0006】
一つの態様では、本開示は、ウエハの表面上にパターンを配した半導体基板の処理方法を示す。該方法は、表面処理組成物に表面を接触させて、表面処理層の水接触角が約50度以上となるように表面処理層を形成することを含むことができる。前記の表面処理組成物は、少なくとも一つの溶媒(例えば少なくとも一つの有機溶媒)、並びにトリアルキルシリルアルキルスルホネート、トリアルキルシリルアリールスルホネート、及びトリアルキルシリルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物を含む(例えば、含む、からなる、又は、から本質的になる)ことができる。前記表面処理組成物は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートを実質的に含まず、また、前記少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物以外の追加的Si含有化合物(例えばジシロキサンなどのシロキサン、シラン、シラザン)を実質的に含まないものであってもよい。前記パターンは、約20nm以下の寸法のフィーチャを有することができる。
【0007】
また別の態様では、本開示は、(1)表面処理組成物の約0.1重量%から約15重量%の少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物であって、トリアルキルシリルアルキルスルホネート、トリアルキルシリルアリールスルホネート、及びトリアルキルシリルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物、並びに(2)表面処理組成物の約1重量%から約99重量%の少なくとも一つの溶媒(例えば少なくとも一つの有機溶媒)を含む(例えば、含む、からなる、又は、から本質的になる)表面処理組成物を示す。前記表面処理組成物は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートを実質的に含まず、また、前記少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物以外の追加的Si含有化合物(例えばジシロキサンなどのシロキサン、シラン、シラザン)を実質的に含まないものであってもよい。
【0008】
また別の態様では、本開示は、ウエハの表面上にパターンを配した半導体基板の処理方法を示す。該処理方法は、表面処理組成物に表面を接触させて、表面処理層の水接触角が約50度以上となるように表面処理層を形成すること、を含むことができる。前記の表面処理組成物は、少なくとも一つのシロキサン化合物並びに、トリアルキルシリルアルキルスルホネート、トリアルキルシリルアリールスルホネート、及びトリアルキルシリルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物を含む(例えば、含む、からなる、又は、から本質的になる)ことができる。前記パターンは、約20nm以下の寸法のフィーチャを有することができる。
【0009】
また別の態様では、本開示は、(1)表面処理組成物の約0.1重量%から約15重量%の少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物であって、トリアルキルシリルアルキルスルホネート、トリアルキルシリルアリールスルホネート、及びトリアルキルシリルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物、並びに(2)表面処理組成物の約85重量%から約99.9重量%の少なくとも一つのシロキサン化合物を含む(例えば、含む、からなる、又は、から本質的になる)表面処理組成物を示す。
【0010】
また別の態様では、本開示は、ウエハの表面上にパターンを配した半導体基板の処理方法を示す。該処理方法は、表面処理組成物に表面を接触させて、表面処理層の水接触角が約50度以上となるように表面処理層を形成することを含むことができる。前記の表面処理組成物は、少なくとも一つの溶媒、少なくとも一つのスルホン酸又はその塩、並びに、トリアルキルシリルアルキルスルホネート、トリアルキルシリルアリールスルホネート、及びトリアルキルシリルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物を含む(例えば、含む、からなる、又は、から本質的になる)ことができる。前記表面処理組成物は、前記少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物以外の追加的Si含有化合物を実質的に含まなくてもよい。前記パターンは、約20nm以下の寸法のフィーチャであってもよい。
【0011】
また別の態様では、本開示は、(1)表面処理組成物の約0.01重量%から約10重量%の量の少なくとも一つのスルホン酸又はその塩、(2)表面処理組成物の約0.1重量%から約15重量%の量の少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物であって、トリアルキルシリルアルキルスルホネート、トリアルキルシリルアリールスルホネート、及びトリアルキルシリルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物、並びに(3)表面処理組成物の約1重量%から約99重量%の量の少なくとも一つの溶媒を含む(例えば、含む、からなる、又は、から本質的になる)表面処理組成物を示す。前記表面処理組成物は、前記少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物以外の追加的Si含有化合物を実質的に含まなくてもよい。
【0012】
また別の態様では、本開示は、半導体基板、及び前記半導体基板に支持される本開示に記載の表面処理組成物を含む物品(articles)を示す。
【0013】
本発明の他の特徴、対象物、及び利点は、明細書及び請求項から明らかなものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
いくつかの実施形態において、本開示は表面処理方法に関わるものである。そのような方法は、例えば、基板(例えばシリコンウエハ又は銅ウエハといった半導体基板)の表面(例えばパターン形成された表面)を、少なくとも1つ(例えば、2つ、3つ又は4つ)の溶媒と、トリアルキルシリルアルキルスルホネート、トリアルキルシリルアリールスルホネート、及びトリアルキルシリルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも1つ(例えば、2つ、3つ又は4つ)のトリアルキルシリル化合物とを含む表面処理組成物に接触させることにより行われる。前記パターンは、約20nm以下の寸法のフィーチャを有することができる。一般的に、前記表面処理組成物は、前記表面の水接触角が約50度以上となるように、前記表面に表面処理層(例えば疎水性モノレイヤー)を形成する。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記表面処理組成物は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートを実質的に含まず、及び/又は、前記少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物以外の追加的Si含有化合物を実質的に含まないものであってもよい。本開示で用いられる「実質的に含まない」という用語は、その成分の重量パーセントの値が約0.1%以下(例えば、0.05%以下、0.01%以下、0.005%以下、0.001%以下、又は約0%)であることを示す。
【0016】
いくつかの実施形態において、本開示に記載の表面処理組成物で処理されうる半導体基板は、シリコン、シリコンゲルマニウム、窒化シリコン、銅、GaAsなどのIII-V族化合物、又はそれらの任意の組み合わせで構成されている。いくつかの実施形態において、前記半導体基板は、シリコンウエハ、銅ウエハ、二酸化シリコンウエハ、窒化シリコンウエハ、酸窒化シリコンウエハ、炭素ドープ酸化シリコンウエハ、SiGeウエハ、又はGaAsウエハであってもよい。前記半導体基板は、その表面上に、相互接続フィーチャ(例えば金属ラインと誘電体材料)などの集積回路構造を露出した状態で付加的に有していてもよい。前記相互接続フィーチャに用いられる金属及び合金としては、アルミニウム、銅と合金化されたアルミニウム、銅、チタン、タンタル、コバルト、ニッケル、シリコン、ポリシリコン、窒化チタン、窒化タンタル、錫、タングステン、SnAg、SnAg/Ni、CuNiSn、CuCoCu、及び/又はCoSnが挙げられるが、これらに限定されない。前記半導体基板はまた、誘電体中間層、酸化シリコン、窒化シリコン、窒化チタン、シリコンカーバイド、酸化シリコンカーバイド、酸窒化シリコン、酸化チタン、及び/又は炭素ドープ酸化シリコンの層を含んでいてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、本開示に記載の表面処理組成物で処理される半導体基板表面は、SiO2、SiN、TiN、SiOC、SiON、Si、SiGe、Ge,及び/又はWを含むフィーチャを含む。いくつかの実施形態において、前記半導体基板表面は、SiO2及び/又はSiNを含むフィーチャを含んでいる。
【0018】
一般的に、本開示に記載の表面処理組成物で処理される半導体基板表面は、先行して行われる半導体生産プロセス(例えば、フォトレジスト層を付与すること、該フォトレジスト層を化学線に露光すること、フォトレジスト層を現像すること、フォトレジスト層の下に位置する半導体表面をエッチングすること、及び/又はフォトレジスト層を除去すること、を含むリソグラフィックプロセス)によって形成されるパターンを含んでいる。いくつかの実施形態において、前記パターンは、少なくとも一つ(例えば、二つ又は三つ)の寸法(例えば、長さ、幅、及び/又は深さ)が約20nm以下(例えば約15nm以下、約10nm以下、又は約5nm以下)及び/又は約1nm以上(例えば約2nm以上又は約5nm以上)のフィーチャを含むことができる。
【0019】
一般的に、本開示に記載の表面処理組成物は、少なくとも1つ(2つ、3つ又は4つ)のトリアルキルシリル化合物と、少なくとも1つ(2つ、3つ又は4つ)の溶媒とを含むことができる。いくつかの実施形態において、前記トリアルキルシリル化合物は、SiR3基を含んでもよく、ここでRはそれぞれ独立に、C1~C16のアルキル基又はC1~C16のハロアルキル基であってもよい。例えば、前記トリアルキルシリル化合物は、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、又はトリブチルシリル基を含んでいてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態において、前記トリアルキルシリル化合物は、トリアルキルシリルアルキルスルホネート、トリアルキルシリルアリールスルホネート、及びトリアルキルシリルアセテートからなる群から選ばれることができる。本開示に記載の表面処理組成物に使われうるトリアルキルシリル化合物の好適な例は、トリアルキルシリルメタンスルホネート、トリアルキルシリルトリフルオロメタンスルホネート(例えばトリアルキルシリルトリフレート)、トリアルキルシリルパーフルオロブタンスルホネート、トリアルキルシリルp-トルエンスルホネート、トリアルキルシリルベンゼンスルホネート、及びトリアルキルシリルトリフルオロアセテート、トリアルキルシリルトリクロロアセテート、及びトリアルキルシリルトリブロモアセテートを含む。好適なトリアルキルシリル化合物の具体的な例は、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートである。
【0021】
いくつかの実施形態において、前記少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物は、本開示に記載の表面処理組成物に対して、約0.1重量%以上(例えば、約0.2重量%以上、約0.3重量%以上、約0.4重量%以上、約0.5重量%以上、約0.6重量%以上、約0.7重量%以上、約0.8重量%以上、約0.9重量%以上、約1重量%以上、約2重量%以上、約3重量%以上、約4重量%以上、約5重量%以上、約6重量%以上、約7重量%以上、約8重量%以上、約9重量%以上)から、約15重量%以下(例えば、約14重量%以下、約13重量%以下、約12重量%以下、約11重量%以下、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.9重量%以下、約0.8重量%以下、約0.7重量%以下、約0.6重量%以下、約0.5重量%以下)であってもよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、本開示に記載の表面処理組成物は、少なくとも一つの溶媒(例えば少なくとも一つの有機溶媒)、例えば、酸無水物、ニトリル、グリコールエーテル、グリコールエーテルアセテート、アルカン、芳香族炭化水素、スルホン、スルホキシド、ケトン、アルデヒド、エステル、ラクタム、ラクトン、アセタール、ヘミアセタール、アルコール、カルボン酸(例えばpKaの値が0以上であるもの)、スルホン酸、及びエーテル、を含むことができる。好適な溶媒の例は、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸、アセトニトリル、C6~C16のアルカン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、n-ジブチルエーテル、アニソール、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、プロピレンカーボネート、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、酢酸n-ブチル、酢酸ヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸アミル、プロピオン酸エチル、ブタン酸エチル、プロピオン酸プロピル、ブタン酸メチル、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、イソブチルメチルケトン、N-メチル-ピロリドン(NMP)、ハイドロフルオロエーテル(例えば、メチルノナフルオロブチルエーテル及びメチルノナフルオロイソブチルエーテル)、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、本開示に記載の表面処理組成物は、水を含んでもよく、また実質的に水を含まなくてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記少なくとも一つの溶媒は、本開示に記載の表面処理組成物に対して、約1重量%以上(例えば、約5重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以上、約30重量%以上、約40重量%以上、約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約75重量%以上、約80重量%以上、約85重量%以上、約90重量%以上、又は約95重量%以上)から、約99.9重量%以下(例えば、約99重量%以下、約95重量%以下、約90重量%以下、約85重量%以下、約75重量%以下、約65重量%以下、約55重量%以下、約45重量%以下、約35重量%以下、又は約25重量%以下)であってもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、本開示に記載の表面処理組成物は、さらに少なくとも一つ(例えば、2つ、3つ又は4つ)のスルホン酸又はその塩を含むことができる。前記少なくとも一つのスルホン酸は、式(I):R-SO3Hで表されるスルホン酸を含むことができ、Rは、1つ以上(例えば、2つ、3つ又は4つ)のハロ(例えばF,Cl、Br、又はI)で置換されていてもよいC1~C16のアルキル基(例えばメチル又はオクチル)、又は、1つ以上(例えば、2つ、3つ又は4つ)のC1~C16のアルキル基(例えばC12アルキル基)で置換されていてもよいフェニル基を表す。好適なスルホン酸の例は、p-キシレン-2-スルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、及び1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクタンスルホン酸を含む。好適なスルホン酸塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩を含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、前記少なくとも一つのスルホン酸又はその塩は、本開示に記載の表面処理組成物に対して、約0.01重量%以上(例えば、約0.02重量%以上、約0.04重量%以上、約0.05重量%以上、約0.06重量%以上、約0.08重量%以上、約0.1重量%以上、約0.2重量%以上、約0.3重量%以上、約0.4重量%以上、又は約0.5重量%以上)から、約10重量%以下(例えば、約8重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.9重量%以下、約0.8重量%以下、約0.7重量%以下、約0.6重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、約0.1重量%以下、又は約0.05重量%以下)であってもよい。
【0026】
驚くべきことに、本開示に記載の表面処理組成物で半導体基板表面が処理された後は、半導体生産プロセスにおいて典型的に用いられる乾燥工程において、前記スルホン酸又はその塩が、半導体基板表面上の(例えば約20nm以下の寸法を有する)崩れたパターンフィーチャの数を顕著に減少させることができることがわかった。
【0027】
いくつかの実施形態において、本開示に記載の表面処理組成物が、少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物に加えて、Si含有化合物を含んでいる場合、前記少なくとも一つの溶媒は少なくとも一つ(例えば、2つ、3つ又は4つ)のシロキサン化合物を含むことができる。シロキサン化合物は、ジシロキサン、オリゴシロキサン、シクロシロキサン、又はポリシロキサンでもよい。本開示中で用いられる「オリゴシロキサン」という用語は、3~6個のシロキサン単位を有する化合物を表し、「ポリシロキサン」という用語は、6個より多くのシロキサン単位を有する化合物を表す。
【0028】
本開示に記載の表面処理組成物に用いることができるシロキサン化合物の好適な例は、ヘキサメチルジシロキサン、1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,1,1-トリメチル-3,3-ジメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラ-n-オクチルジメチルジシロキサン、ビス(ノナフルオロヘキシル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(トリフルオロプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ジ-n-ブチルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジ-n-オクチルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジエチルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジフェニルテトラメチルジシロキサン、ヘキサ-n-ブチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサビニルジシロキサン、1,1,1,3,3-ペンタメチル-3-アセトキシジシロキサン、1-アリル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル)-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラフェニルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジアリルテトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,3-ジアリルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジフェニルテトラキス(ジメチルシロキシ)ジシロキサン、(3-クロロプロピル)ペンタメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサン、1,1,3,3-テトラビニルジメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラシクロペンチルジクロロジシロキサン、ビニルペンタメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-クロロイソブチル)テトラメチルジシロキサン、ヘキサフェニルジシロキサン、1,3-ビス[(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エニル)エチル]テトラメチルジシロキサン、1,1,1-トリエチル-3,3,3-トリメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-メタクリロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(クロロメチル)テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジエトキシジシロキサン、1,1,3,3-テトラフェニルジメチルジシロキサン、メタクリロキシペンタメチルジシロキサン、ペンタメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-クロロプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(4-ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(トリエトキシシリルエチル)テトラメチルジシロキサン、3-アミノプロピルペンタメチルジシロキサン、1,3-ビス(2-アミノエチルアミノメチル)-テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ジクロロ-1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、1,3-ジエチニルテトラメチルジシロキサン、n-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジクロロテトラフェニルジシロキサン、1,3-ジクロロテトラメチルジシロキサン、1,3-ジ-t-ブチルジシロキサン、1,3-ジメチルテトラメトキシジシロキサン、1,3-ジビニルテトラエトキシジシロキサン、1,1,3,3-テトラエトキシ-1,3-ジメチルジシロキサン、ビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、プラチナ-[1,3-ビス(シクロヘキシル)イミダゾール-2-イリデンヘキサクロロジシロキサン、1,1,3,3-テトライソプロピル-1-クロロジシロキサン、1,1,1-トリメチル-3,3,3-トリフェニルジシロキサン、1,3-ビス(トリメチルシロキシ)-1,3-ジメチルジシロキサン、3,3-ジフェニル-テトラメチルトリシロキサン、3-フェニルヘプタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、n-プロピルヘプタメチルトリシロキサン、1,5-ジエトキシヘキサメチルトリシロキサン、3-エチルヘプタメチルトリシロキサン、3-(テトラヒドロフルフリルオキシプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン、3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,3,5,5-ペンタフェニル-1,3,5-トリメチルトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、1,1,5,5-テトラフェニル-1,3,3,5-テトラメチルトリシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、1,1,1,5,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン、オクタクロロトリシロキサン、3-フェニル-1,1,3,5,5-ペンタメチルトリシロキサン、(3,3,3-トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン、1,3,5-トリビニル-1,1,3,5,5-ペンタメチルトリシロキサン、1,3,5-トリビニル-1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン、3-(3-アセトキシプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン、3-(m-ペンタデシルフェノキシプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン、リモネニルトリシロキサン、3-ドデシルヘプタメチルトリシロキサン、3-オクチルヘプタメチルトリシロキサン、1,3,5-トリフェニルトリメチルシクロトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,1,5,5,5-ヘキサエチル-3-メチルトリシロキサン、1,5-ジクロロヘキサメチルトリシロキサン、3-トリアコンチルヘプタメチルトリシロキサン、3-(3-ヒドロキシプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロメチルホスホノキシトリシロキサン、3-オクタデシルヘプタメチルトリシロキサン、フルフリルオキシトリシロキサン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン、ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサン共重合体、1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3-ビス(トリメチルシロキシ)-1,3-ジメチルジシロキサン、ジメチルシロキサン-[65-70%(60%プロピレンオキサイド/40%エチレンオキサイド)]ブロック共重合体、ビス(ヒドロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、テトラ-n-プロピルテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタエチルシクロテトラシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリオクタデシルメチルシロキサン、ヘキサコシル末端ポリジメチルシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリ(3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキサン)、トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7,9,9-デカメチルペンタシロキサン、及びトリエチルシロキシ末端ポリジエチルシロキサンを含む。
【0029】
いくつかの実施形態において、上記少なくとも一つのシロキサン化合物は、本開示に記載の表面処理組成物に対して、約0.1重量%以上(例えば、約1重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以上、約30重量%以上、約40重量%以上、約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約80重量%以上、約90重量%以上、約91重量%以上、約93重量%以上、約95重量%以上、約97重量%以上、又は約99重量%以上)から、約99.9重量%以下(例えば、約99重量%以下、約98重量%以下、約96重量%以下、約94重量%以下、約92重量%以下、約90重量%以下、約85重量%以下、約80重量%以下、約75重量%以下、約70重量%以下、約65重量%以下、約60重量%以下、約55重量%以下、又は約50重量%以下)であってよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、本開示に記載の表面処理組成物は、例えば(1)少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物、及び(2)少なくとも一つの溶媒(例えば、シロキサン化合物)、という2つのタイプの成分のみを含んでもよい。いくつかの実施形態において、本開示に記載の表面処理組成物は、例えば(1)少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物、(2)少なくとも一つのスルホン酸、及び(3)少なくとも一つの溶媒、という3つのタイプの化合物のみを含んでもよい。
【0031】
理論に束縛されることを意図するものではないが、半導体基板のパターン形成された表面の水接触角が、約50度以上(例えば、55度以上、60度以上、65度以上、70度以上、75度以上、80度以上、85度以上、89度以上、90度以上、95度以上、又は100度以上)、及び/又は175度以下となるように、本開示に記載の表面処理組成物は、半導体基板のパターンが形成された表面上に表面処理層(例えば疎水性モノレイヤーなどの疎水性層)を形成することができる、と考えられる。理論に束縛されることを意図するものではないが、そのような表面処理層は、半導体基板表面が本開示に記載の表面処理組成物で処理された後の、半導体生産プロセスにおいて一般的に用いられる乾燥工程における半導体基板表面上の(例えば、約20nm以下の寸法のフィーチャを有する)パターンフィーチャの崩れを防止又は最小化することができると考えられる。
【0032】
いくつかの実施形態において、本開示に記載の表面処理組成物は、一つ、あるいは複数の添加剤(複数の場合はいかなる組み合わせであっても)を排除してもよく、又は実質的に含まなくてもよい。そのような化合物は、非芳香族炭化水素、プロトン性溶媒(例えば、アルコール又はアミド)、ラクトン(例えば、5又は6員環)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート,Si含有化合物(例えば、ジシロキサンなどのシロキサン;シラン:ジシラザン、環状シラザン、あるいは複素環式シラザンなどのシラザン;及びSi-H基又はアミノシリル基を有するもの)、ポリマー、脱酸素剤、4級水酸化アンモニウムを含む4級アンモニウム塩、アミン、塩基(例えば、アルカリ塩基(例えば、NaOH、KOH、LiOH、Mg(OH)2、及びCa(OH)2))、界面活性剤、消泡剤、フッ素含有化合物(例えば、HF、H2SiF6、H2PF6、HBF4、NH4F、及びテトラアルキルアンモニウムフルオライド)、酸化剤(例えば、過酸化物、過酸化水素、硝酸第二鉄、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、硝酸、亜塩素酸アンモニウム、塩素酸アンモニウム、ヨウ素酸アンモニウム、過ホウ酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、過ヨウ素酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、亜塩素酸テトラメチルアンモニウム、塩素酸テトラメチルアンモニウム、ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、過ホウ酸テトラメチルアンモニウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、過ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、過硫酸テトラメチルアンモニウム、過酸化水素尿素、及び過酢酸)、研磨剤、ケイ酸塩、ヒドロキシカルボン酸、アミノ基の無いカルボン酸及びポリカルボン酸、シラン(例えばアルコキシシラン)、本開示に記載のシクロシロキサン以外の環状化合物(例えば、無置換又は置換されたナフタレン、あるいは無置換又は置換されたビフェニルエーテルなどの、少なくとも2つの環を含む環状化合物)、キレート剤(例えば、アゾール、ジアゾール、トリアゾール、又はテトラアゾール)、腐食抑制剤(例えば、アゾール又は非アゾール腐食抑制剤)、バッファ剤、グアニジン、グアニジン塩、ピロリドン、ポリビニルピロリドン、金属ハロゲン化物、及び金属含有触媒、からなる群から選ばれる。
【0033】
いくつかの実施形態において、本開示に記載の表面処理方法は、半導体基板の表面を表面処理組成物に接触させる前に、該表面を少なくとも一つの水性洗浄液(aqueous cleaning solution)に接触させることを、さらに含んでもよい。そのような実施形態においては、前記少なくとも一つの水性洗浄液は、水、アルコール、水酸化アンモニウム水溶液、塩酸水溶液、過酸化水素水、有機溶媒、又はこれらの組み合わせを含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、本開示に記載の表面処理方法は、基板の表面を前記少なくとも一つの水性洗浄液に接触させた後、なおかつ該表面を表面処理組成物に接触させる前に、該表面を第一のリンス液(例えば、水、イソプロパノールなどの有機溶媒、又はそれらの組み合わせ)に接触させることを、さらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、本開示に記載の表面処理方法は、前記表面を表面処理組成物に接触させた後に、前記表面を第二のリンス液(例えば、水、イソプロパノールなどの有機溶媒、又はそれらの組み合わせ)に接触させることを、さらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、本開示に記載の表面処理方法は、前記表面を乾燥させること(例えば、前記第一のリンス液に前記表面を接触させる工程、前記表面処理組成物に前記表面を接触させる工程、又は前記第二のリンス液に表面を接触させる工程のいずれかの後に)をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、本開示に記載の表面処理方法は、前記表面から表面処理層を除去することを、さらに含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、本開示は、基板表面にパターンを配した半導体基板(例えばウエハー)のクリーニングの方法を提供する。該方法は、例えば以下のように行われる:
a)任意に、前記表面を水性の洗浄液に接触させる;
b)任意に、前記表面を第一のリンス液に接触させる;
c)前記表面を、少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物及び少なくとも一つの溶媒を含む表面処理組成物に接触させて、前記表面の水接触角が約50度以上になるとなるように前記表面処理組成物が前記表面上に表面処理層を形成する;
d)任意に、前記表面を第二のリンス液に接触させる;
e)前記表面を乾燥させる;及び
f)任意に、前記表面処理層を除去し、パターン形成された清浄な表面を形成する。
このような実施形態において、前記パターンは、約20nm以下の寸法のフィーチャを含んでよい。
【0036】
上記方法の工程a)において、パターン形成された表面を備えた前記基板(例えばウエハ)は、任意に、一つ以上の水性洗浄液で処理されてもよい。前記パターン形成された表面が2つ以上の水性洗浄液で処理される場合、それらの洗浄液は順次に適用されてもよい。前記水性洗浄液は、水単独、有機溶媒単独でもよく、または、水、溶質、及び任意に有機溶媒を含む溶液でもよい。いくつかの実施形態において、前記水性洗浄液は、水、アルコール(例えばイソプロパノールなどの水溶性アルコール)、水酸化アンモニウム水溶液、塩酸水溶液、過酸化水素水、有機溶媒(例えば、水溶性有機溶媒)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0037】
工程b)において、工程a)からの洗浄液は、任意に、第一のリンス液を使って洗い流してもよい。第一のリンス液は、水を含んでも、有機溶媒(例えばイソプロパノール)を含んでも、又は有機溶媒を含む水溶液を含んでもよい。いくつかの実施形態において、第一のリンス液は、少なくとも部分的に、工程a)で用いられる洗浄液との混和性がある。いくつかの実施形態において、工程a)で用いられる洗浄液が感湿性でない、又は相当量(appreciable amount)の水を含んでいない場合には、工程b)は省略できる。
【0038】
工程c)において、基板表面は上記に開示の表面処理組成物で処理されることができ、表面処理層(例えば疎水性層)を有する改質表面が形成される。こうして形成された改質表面は、疎水性であり、約50度以上の水接触角を持つ。いくつかの実施形態において、前記接触角は、約55度以上(例えば、約60度以上、約65度以上、約70度以上、約75度以上、約80度以上、約85度以上、約90度以上、約95度以上、又は約100度以上)及び/又は 大きくとも約175度である。いくつかの実施形態において、この工程は、約20~35℃の温度で、約10秒から約300秒の範囲のプロセス時間、行ってもよい。
【0039】
工程d)では、基板表面が表面処理組成物で処理された後、前記表面は第二のリンス液ですすがれてもよい。第二のリンス液は、水を含んでも、有機溶媒(例えばイソプロパノール)を含んでも、又は有機溶媒を含む水溶液を含んでもよい。いくつかの実施形態において、この工程は、20~70℃の温度で行ってもよい。
【0040】
工程e)では、基板表面は(例えば、加圧されたガスを用いて)乾燥させられてもよい。理論に束縛されることを意図するものではないが、本開示に記載の表面処理組成物で基板表面が処理された後は、この乾燥工程での表面パターン崩れは最少化されると考えられる。
【0041】
工程f)では、乾燥工程の後、任意に、表面処理層(例えば疎水性層)を除去してもよい。一般的に、前記表面処理層は、改質表面の化学的性質に依存して様々な方法で除去することができる。表面処理層を除去する好適な方法としては、プラズマスパッタリング;プラズマアッシング;大気圧での又は大気未満の圧力での熱処理;酸、塩基、酸化剤又は凝縮された流体を含む溶媒(例えば超臨界CO2などの超臨界流体)による処理;気体又は液体処理;UV照射;あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
上記の方法で得られる清浄でパターン形成された表面を有する半導体基板は、例えばアセンブリング(例えばダイシング及びボンディング)及びパッケージング(例えばチップシーリング)によって、前記基板上に一つ又はそれ以上の回路を形成するようさらに処理されていてもよく、又は半導体素子(例えば半導体チップなどの集積回路)となるよう処理されてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、本開示は、半導体基板、及び該半導体基板上に支持された本開示に記載の表面処理組成物を含む物品(articles)(例えば、半導体素子の製造中に形成される中間体的半導体物品)を示す。前記表面処理組成物は、上記のように、少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物及び少なくとも一つの溶媒を含んでもよい。
【0044】
いくつかの実施形態において、本開示は、上記少なくとも一つのトリアルキルシリル化合物を含む第一の容器、及び上記少なくとも一つの溶媒を含む第二の容器、を含むキットについて取り上げている。所望により、第一又は第二の容器はさらに、少なくとも一つの有機溶媒を含んでそれぞれの容器において前記成分を含んだ溶液を形成していてもよい。いくつかの実施形態において、表面処理組成物を半導体基板の表面に適用する間際に、第一の容器及び第二の容器中の成分を混合して、使用するポイントにおいて表面処理組成物を形成してもよい。理論に束縛されることを意図するものではないが、このような方法は、貯蔵寿命が比較的短い前記表面処理組成物に特に適していると考えられる。前記表面処理組成物の貯蔵寿命が比較的長い実施形態においては、第一及び第二の容器中の成分は混合して一つの溶液を形成していてもよく、該溶液は使用する前に比較的長期間保管することが可能である。
【0045】
本開示は、以下に示す実施例によってより詳細に例示されるが、実施例は例示目的のものであり、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【実施例0046】
実施例1
室温で成分を混合することにより、表面処理溶液(例えば、配合物1~16)を調製した。配合物1~16の組成は、以下の表1にまとめている。表1に記載のすべてのパーセンテージは、特に断りが無い限り重量パーセントである。
【0047】
SiO2膜を含む半導体基板を、配合物1~16で処理して、以下のようにして処理後の表面の接触角を測定した。Si基板上にSiO2膜を有するクーポンを1インチ角の正方形にカットして、室温でイソプロパノールで30秒間洗浄した。前記クーポンを、(50RPMで)攪拌されている100mLの表面処理溶液に垂直に浸し、室温で30秒間保持した。次に、前記クーポンを50℃のイソプロパノールで60秒間すすぎ、加圧窒素ガスを用いて乾燥させた。
【0048】
前記クーポンをAST VCA 3000 Contact Angle Toolに置き、以下の手順で接触角を測定した:
1.SiO2クーポンをステージに戴置する。
2.試料が針の直下に来るまで、バーチカルノブを時計回りに回してステージを上方に上昇させる。
3.脱イオン水を1滴分出して、試料表面に軽く接触させ、そして滴が針の先から離れるまで試料を加工させる。
4.ステージ調整の水平ノブを使って、滴が視野内で中心となるようにする。
5.ステージをガイドレールに沿って動かして、視野内の滴に焦点を合わせてシャープな像を得る。
6.「AutoFAST」ボタンをクリックして像を静止画にして、計算する。2つの数字が表示される;これらは左及び右の接触角である。
7.マニュアルで計算するために、マウスを使って滴の周囲に5つのマーカーを配する。
8.Main Menuから滴のアイコンを選択し、接触角を計算する。
9.これにより、像へのカーブフィット及び接線が作成される。画面の左側の角に2つの数字が表示される;これらが、左及び右の接触角である。
10.上記の手順を3つの基板部位について行い、得られた接触角を平均し、その平均結果を表1に示す。
【0049】
【0050】
表1に示されるように、配合物1~8、10、11、及び13~18(これらはトリメチルシリル化合物及び少なくとも一つの好適な溶媒を含んでいる)が、SiO2表面において比較的大きな接触角の値を示した。
【0051】
実施例2
室温で成分を混合することにより、表面処理溶液(例えば、配合物19~44)を調製した。配合物19~44の組成は、以下の表2~5にまとめている。表2~5のすべてのパーセンテージは、特に断りが無い限り重量パーセントである。
【0052】
SiO2膜を含む半導体基板を、配合物19~44で処理した。処理後の表面の接触角を、実施例1に記載されたように測定した。崩れていないフィーチャの数は、処理後の基板のSEM写真から求めた。
【0053】
【0054】
表2に示されるように、(それぞれスルホン酸を含んでいる)配合物19~22は、驚くべき事に、崩れていないフィーチャのパーセンテージが、(スルホン酸を含まない)配合物17と比べて、驚くほど高い値を示す。
【0055】
【0056】
剛性は、パターン形成されたウエハ上のSiピラーの曲げに対する性質で、mN/mの単位の力として表される。表3は、配合物23~37の性質をSiピラーの剛性の関数として表している。表3に示されるように、剛性の低いSiピラーは、剛性の高いものと比較して、乾燥時の応力を受けた際に、より崩れやすい傾向がある。
【0057】
【0058】
表4は、配合物38~41の性能をトリメチルシリルトリフラートの濃度の関数として表している。表4に示されるように、トリメチルシリルトリフラートの濃度が高いほど、一般的に、崩れていないフィーチャのパーセンテージが高いという結果になっている。
【0059】
【0060】
表5は、異なったリンス液を用いた配合物42~44の性能を表している。表5に示されるように、試した3つのリンス液のいずれによっても、崩れていないフィーチャが比較的高いパーセンテージで実現できた。
【0061】
他の実施形態は、以下の請求項の範囲の中にある。
【0062】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年3月20日に出願された米国特許仮出願番号62/820,905、2018年11月7日に出願された米国特許仮出願番号62/756,644、及び2018年7月30日に出願された米国特許仮出願番号62/712,006からの優先権を主張するものであり、それらの開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。