IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イヌル ゲーエムベーハーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129040
(43)【公開日】2024-09-26
(54)【発明の名称】電子機器の非破壊での統合
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20240918BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240918BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20240918BHJP
   H10K 50/17 20230101ALI20240918BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20240918BHJP
   H10K 50/11 20230101ALI20240918BHJP
   H10K 77/10 20230101ALI20240918BHJP
   H10K 59/80 20230101ALI20240918BHJP
   H10K 59/95 20230101ALI20240918BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20240918BHJP
   H10K 59/60 20230101ALI20240918BHJP
   H10K 71/00 20230101ALI20240918BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/00 347A
G09F9/30 365
G09F9/30 308Z
H10K50/15
H10K50/17 171
H10K50/16
H10K50/11
H10K77/10
H10K59/80
H10K59/95
H10K59/131
H10K59/60
H10K71/00
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024097278
(22)【出願日】2024-06-17
(62)【分割の表示】P 2022129401の分割
【原出願日】2017-09-27
(31)【優先権主張番号】102016118185.4
(32)【優先日】2016-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】519098682
【氏名又は名称】イヌル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルコウスキー、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ラタジクザック、マレイン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製品への光電子機器の単純かつ費用効果的な統合を可能にする電子コンポーネントを提供する。
【解決手段】本発明は、少なくとも1つの表示装置(1.3)および/またはセンサと、電源(1.5)とで構成され、あるいはそれらの組み合わせで構成される平坦かつ薄型のエネルギ自給式電子コンポーネントに関する。さらに、本発明は、この電気コンポーネントを、既存の製品(1.1)、とくには印刷および紙製品に、対象物を傷めたり、あるいは破壊したりすることなく、統合する方法に関する。
【選択図】図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と、エネルギ源と、導体トラックとを備えるシート状の電子コンポーネントであって、
下層の非導電性基材と、
前記表示装置、前記エネルギ源、および前記導体トラックを備える電子機器の中間層と、
印刷可能な上層のカバー層と
を備えることを特徴とする、シート状の電子コンポーネント。
【請求項2】
表示装置と、エネルギ源と、導体トラックとを備えるシート状の電子コンポーネントであって、
前記表示装置、前記エネルギ源、および前記導体トラックを備える電子機器の層が、非導電性基材である印刷可能な上層のカバー層上に配置されていることを特徴とする、シート状の電子コンポーネント。
【請求項3】
0.3mm未満の厚さを有することを特徴とする請求項1~2のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項4】
前記電子機器は、インクジェット、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷を含む群から選択された印刷プロセスで少なくとも部分的に適用されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項5】
前記表示装置は、有機発光ダイオード(OLED)であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項6】
前記OLEDは、カソード、アノード、および前記カソードと前記アノードとの間の層システムを備え、
前記層システムは、
前記カソードの付近の少なくとも1つの電子注入層と、
少なくとも1つの電子輸送層と、
少なくとも1つの光学活性層と、
少なくとも1つの正孔輸送層と、
前記アノードの付近の少なくとも1つの正孔注入層と
を有し、
前記少なくとも1つの電子注入層および前記少なくとも1つの正孔注入層は、水および/または酸素に関して拡散制限的であり、
前記少なくとも1つの電子輸送層および前記少なくとも1つの正孔輸送層は、水および/または酸素に対する拡散バリアを構成することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項7】
前記エネルギ源は、電池、有機太陽電池、および/またはコンデンサを備えることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項8】
前記導体トラックは、印刷材料としての銀、銅、および/またはカーボンを含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項9】
前記カバー層は、少なくとも部分的に半透明であることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項10】
前記カバー層は、セルロース含有材料を含み、好ましくは紙および/またはボール紙を含み、とくに好ましくは透明紙、ワックス紙、ならびに/あるいは好ましくはポリエチレンナフタレート(PEN)および/またはポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルムを含むことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項11】
前記非導電性基材は、紙および/またはPETを備えることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項12】
さらなる非導電性キャップ層が、前記カバー層と前記電子機器との間に存在し、前記表示装置のための切り欠きを有していることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項13】
前記電子機器は、前記表示装置の作動のためのスイッチを備えることを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項14】
前記カバー層は、前記表示装置を点灯させるべく導電性の物体との接触によって回路を閉じるための導体トラックの上方の切り欠きを有することを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項15】
前記電子機器は、センサを備え、好ましくは光センサを備えることを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項16】
前記電子機器は、1つ以上のトランジスタを有する制御電子機器を備えることを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネントを製造するための方法であって、
・前記非導電性基材を用意するステップと、
・前記表示装置、前記エネルギ源、および前記導体トラックを備える前記電子機器を、前記基材上に適用するステップと、
・前記印刷可能なカバー層を、前記電子機器上に適用するステップと
を含む方法。
【請求項18】
シート状の電子コンポーネントを製造するための方法であって、
・カバー層を用意するステップと、
・前記カバー層の前面および/または後面にキャップ層を適用するステップと、
・前記カバー層の前記後面または前記キャップ層に電子機器を適用するステップと
を含む方法。
【請求項19】
製品およびパッケージ、とくには印刷および紙製品の設計における請求項1~16のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネントの使用であって、
前記シート状の電子コンポーネントは、接着剤の助けを借りて前記製品または前記パッケージの表面に適用される、使用。
【請求項20】
請求項1~16のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネントが前記製品の表面に取り付けられていることを特徴とする製品。
【請求項21】
少なくとも部分的に半透明な材料の表面を備えており、該表面は、一方側にインプリントを有しており、表示装置、エネルギ源、および導体トラックを備える電子機器が、前記表示装置の光信号を前記表面を介して視認することができるように、前記インプリントの反対側に適用されていることを特徴とする、製品。
【請求項22】
前記表面は、ボール紙および/または紙であり、前記表面は、接着剤による接着の助けを借りて段ボールに適用されていることを特徴とする請求項21に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも表示装置および/またはセンサならびにエネルギ源で構成され、あるいはそれらの組み合わせで構成されるシート状の薄い自己給電式の電気コンポーネントに関する。さらに、本発明は、この電気コンポーネントを、既存の生産物、とくには印刷および紙製品に、対象物を損傷させたり、あるいは破壊したりすることなく、統合することに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器を、これまでは電子機器が統合されることがなかった日常生活の製品または物品に統合することは、多数の応用を可能にする。すなわち、例えば広告または包装の一部としての紙への表示装置(LED、LCD)の統合は、注目を引き付ける要素として機能することができる。
【0003】
例えば、グリーティングカードの開閉時に光の効果および画像を生じさせるために、LEDが電源およびスイッチと一緒に統合されたグリーティングカードが、独国特許発明第202007003849U1号明細書に開示されている。
【0004】
さらに、照明手段、とくにはLEDが側面に統合された輸送容器、とくにはショッピングバッグが、欧州特許出願公開第2002745号明細書に開示されている。LEDは、電池によって動作し、広告メッセージを発する。
【0005】
電子機器を製品に統合するための先行技術の既知の方法は、常に破壊的である。ここで、「破壊的」という用語は、製品表面を少なくとも部分的に損傷させ、破壊し、あるいは切り開くことを意味する。すなわち、先行技術においては、表示装置を備える電子機器が、通常は、製品の既存の表面の背後に配置される。このために、製品表面を切り開く必要がある。さらに、表示装置を外部から適切に視認できるように、製品表面に対応する開口部を設けなければならない。開口部のおかげで、ユーザは、製品が例えばLCDなどの表示装置などの電子機器を備えていることを、一目で認識することができる。したがって、この方法では、電子機器を製品の既存の外観全体にシームレスに統合することは不可能である。さらに、表示装置の機能を保証するために、電池やシリコン回路基板などのような追加の電子コンポーネントを、とくには導電ケーブルなどの別個の構造および接続場所を有する製品表面の反対側に設置しなければならない。製品表面の切断および打ち抜き、ならびに電子機器自体の統合の両者が、この方法の別々の工程を構成するため、既知の方法による電子機器の統合のコストは、きわめて高いものになる。一方では、これは、電子機器を事前に組み立て、その後に手作業または適切なマウンタの補助によって、可撓な基材(例えば、紙)に統合しなければならず、あるいは電子機器がはんだ付けまたは他の方法によって製品そのものの表面に設置されるという事実に起因する。したがって、製品表面における従来からの電子機器の統合プロセスは、電子機器の個々のコンポーネントを接続するために、高コストなはんだ付けプロセスを必要とする。さらに、電子機器のコンポーネントを、製品表面の裏側に固定しなければならない。このために、先行技術においては、例えば接着剤や粘着テープなどが使用される。
【0006】
電子機器を製品に統合するための既知の方法のさらなる欠点は、コンポーネントが使い捨ておよび/またはリサイクル可能ではないことである。例えば、これは、紙パッケージにおける使用を困難にする。紙包装への電子機器の統合は、困難を伴わない限りは分離不可能であるため、紙パッケージ全体はリサイクル可能なごみではない。さらに、従来からの電子コンポーネントは、通常は数ミリメートルの範囲の厚さを有し、パッケージ内または紙上で過度に多くの空間を占めることで、その感触を変化させてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許発明第202007003849U1号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2002745号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決を提案する1つの課題は、先行技術の欠点を排除する方法および装置を提供することである。とくに、本発明の1つの課題は、製品への光電子機器の単純かつ費用効果的な統合を可能にする電子コンポーネントを提供することである。別の課題は、製品の全体的な外観に可能な限りシームレスに同化するような光電子機器の統合を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による課題は、電子コンポーネント、電子コンポーネントの製造のための方法、および製品への応用のための電子コンポーネントの使用に関する独立請求項によって解決される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態に関する。
【0010】
本発明は、好ましくは、表示装置と、エネルギ源と、導体トラックとを備えるシート状の電子コンポーネントであって、非導電性基材の最下層と、表示装置、エネルギ源、および導体トラック(conductor track)を備える電子機器の中間層と、印刷可能なカバー層の最上層とを備える、シート状の電子コンポーネントに関する。
【0011】
本発明の意味において、シート状の電子コンポーネントは、好ましくは、コンポーネントの厚さが長さおよび/または幅よりも明らかに小さいその寸法によって区別される電子装置を意味する。例えば、「シート状」という用語は、1mm未満の厚さを指すことができる。このような厚さの電子コンポーネントは、とくに確実に、したがって好都合に、製造することができる。同様に、コンポーネントが0.3mm未満の厚さを有することが好ましい可能性がある一方で、コンポーネントの長さおよび幅は、数センチメートルになる場合があるため、コンポーネントの長さまたは幅に対する厚さの比は、好ましくは1:10よりも大きく、1:50よりも大きく、あるいは1:100よりも大きい。そのようなコンポーネントは、光電子コンポーネントの小型化に貢献する。並外れた薄さゆえ、きわめて美的な効果を得ることができる。さらに、シート状の電子コンポーネントは、表示装置を含むことを特徴とする。表示装置は、好ましくは、可視光を発生するための電子コンポーネントを意味し、とくに好ましくは有機発光ダイオード(OLED)が意図される。OLEDは、きわめて良好な可撓性およびわずかな層の厚さを特徴とし、しがたって、きわめて薄いコンポーネントを製作するために使用することができる。さらに、シート状の電子コンポーネントは、好ましくは、例えば平たい電池であってよいが、表示装置の動作のための電流を供給するエネルギ源を含む。エネルギ源と表示装置との間の電気的接続は、好ましくは、導体トラックの助けによって実施される。本発明の意味において、導体トラックは、好ましくは、導電性材料から作られ、好ましくは幅よりも大きい長さを有しており、電子コンポーネントを接続する役に立つ細長い帯である。好ましくは、導体トラックは、実質的に0.3mm未満のわずかな厚さを有し、例えば印刷プロセスの助けを借りて製造することができる。本発明の意味において、表示装置、エネルギ源、および導体トラックのコンポーネントは、電子コンポーネントとしても知られており、コンポーネントの電子機器を協働して形成する。好ましい実施形態におけるコンポーネントが、スイッチやセンサなどのさらなる電子コンポーネントを含むべきである場合、これらも同様に電子機器に属する。
【0012】
したがって、コンポーネントは、自己給電式であり、すなわち外部電源を必要とせずにOLEDなどの表示装置を動作させて発光させることができる電子機器を含む。
【0013】
本発明によれば、コンポーネントは、層状に構成され、電子機器、シート状コンポーネントも、異なる層の積層体であると考えることができる。コンポーネントは、好ましくは3つの層を含む。下側層は、好ましくは、紙またはボール紙から作られた基材など、非導電性基材を構成する。この下側層は、コンポーネントに安定性を付与し、好ましくは製品の表面へのコンポーネントの接着に適する。コンポーネントは、製品自体であってもよく、すなわち、例えば雑誌のページなどの印刷製品であってもよい。したがって、この場合、基材は、電子機器が配置される雑誌のページなどの製品の表面であってもよい。好ましくは、裏側、すなわち電子機器が配置されない側が、印刷可能である。好ましくは、基材は、基材上に配置された電子コンポーネントが基材自体を介してつながることがなく、例えば導体トラックの助けを借りて特定の様相でのみつながるように、充分に非導電性である。
【0014】
中間層において、コンポーネントは、好ましくは電子機器を含む。上述のように、コンポーネントのための電子機器の最小設計は、好ましくは、表示装置、エネルギ源、および導体トラックを含む。印刷プロセスの助けを借りて電子機器を適用することがとくに好ましい。これらのプロセスは、時間、作業段階、およびコストの節約を意味する。しかしながら、電池などの電子コンポーネントのいくつかは、印刷プロセスの助けを借りて適用するよりもむしろ、配置することが好ましいかもしれず、一方で、とくには導体トラックや、表示装置としてのOLEDなど、他の電子コンポーネントを、印刷プロセスの助けを借りて適用することができる。したがって、高出力のエネルギ源およびエネルギ効率に優れた電子コンポーネントを備えるきわめて柔軟な構造をもたらすことができる。「印刷による電子機器」という用語が、好ましくは、コンポーネントのこの中間層の電子機器を指す一方で、電子コンポーネントは、少なくとも一部、好ましくは全体が、印刷プロセスの助けを借りて基材に適用される。
【0015】
電子機器を含む中間層の上に、好ましくは、印刷可能なカバー層である第3の上側層が配置される。本発明の意味において、印刷可能なカバー層は、好ましくは、さらなる印刷プロセスにおいて後に構成することができる材料から作られたあらゆる層を意味する。印刷可能なカバー層は、セルロース含有材料を含むことが、とくに好ましい。これらの材料は、きわめて費用効果的であり、多様な用途を有する。とくに好ましい印刷可能なカバー層は、紙、透明紙、ワックス紙、および/またはフィルムである。これらの材料は、コンポーネントの製造時に多数の作業段階を省略するとともに、特別な美的効果も有する。印刷可能なカバー層は、一方では、外部からの影響に対して電子機器の効果的な保護を提供し、他方では、コンポーネントを製品の表面に最適かつ実質的に知覚できないように取り入れることができるように、コンポーネントの光学的構成を可能にする。印刷可能なカバー層は、少なくとも部分的に半透明であることが、とくに好ましい。すなわち、カバー層は、たとえカバー層を介していても消費者が表示装置の光信号を知覚できるように、表示装置の光信号を少なくとも部分的に通過させることができるように選択されるべきである。このようにして、所望の照明効果を、きわめて効果的に達成することができる。しかしながら、OLEDの光がカバー層において散乱させられるように、カバー層は、光を透過させるが、透明ではなく、すなわち完全にはシースルーでないことが、とくに好ましい。驚くべきことに、半透明のカバー層、すなわち光を透過させるが、完全にはシースルーでないカバー層は、好ましくはOLEDである表示装置のための投影スクリーンまたは表面として機能し、表示装置の画像の投影を可能にする。このようにして、エンドユーザは、好ましくはOLEDである表示装置によって表示される光、動き、ビデオ、または他のコンテンツが、カバー層、すなわちスクリーンおよび/または紙に、直接表示されているという感覚を得る。このようにして、きわめて美的な効果が達成される。しかしながら、好都合には、カバー層のインプリントのおかげで、目に見えるようには意図されていない電子コンポーネントは、まさに覆い隠される。さらに、カバー層のうちの、照明されると想定される部分、すなわち表示装置の上方の部分に、インプリントを施すことが好ましい場合もある。このようにして、表示装置、好ましくはOLEDは、構造を与えられ、印刷による画像に継ぎ目なく結び付けられる。例えば、完全に白色のOLEDを覆うスポットライトのランプ構造のインプリントが、きわめて現実的な画像を生成することができる。したがって、光学的効果を、最大限の有効性にて達成することができる。照明されるように意図されたカバー層の表面を、好ましくは、印刷による画像において白色のままにしておくことができる。しかしながら、光を透過させるように意図された表面にインプリントを施さず、あるいはグレイジングされたコーティングだけを印刷(パターンにて表面の一部)することが、とくに好ましい場合もある。しかしながら、例えば赤色の画像が黒色の背景上に現れると考えられる場合、好ましくは、黒色の背景は、全面、すなわちカラードットからカラードットまではインプリントが施されず、より良好な光束を保証する特定の構造においてのみインプリントが施される。このために、カラードット(例えば、黒色)、白色、カラードット、白色などのパターンを選択することが好ましい場合がある。これらのパターンを、正方形、線、または他の配置にて実施することができる。好都合には、光透過率の程度を、パターンの選択によって選択することができる。同様に、光効果の効率を、消費されるエネルギに関して最適化することができる。
【0016】
本発明によるシート状の電子コンポーネントの提供は、表示装置を含む電子機器をきわめて容易なやり方で製品に統合することを可能にし、小型化を達成する。この目的のために、自己給電式の電子コンポーネントを、接着剤または他の結合剤の助けを借りて製品の表面に適用することができる。電子コンポーネントが製品の表面全体を覆うことが、好ましい場合がある。この場合、カバー層のインプリントが、製品の光学的構成を達成し、電子機器が製品に適用されていることが消費者にとって明らかでない。このようにして、とくに著しい効果を達成することができる。しかしながら、コンポーネントが製品表面よりも小さい寸法を有することが好ましい場合もあり得る。そのようにすることで、材料、したがってコストを、節約することが可能である。しかしながら、この場合、コンポーネントが、製品の表面に依然としてほぼシームレスに取り入れられるように、充分に薄いことが好ましい。このようにして、特別な美的効果を達成することができる。
【0017】
本発明の意味において、製品とは、好ましくはあらゆる物品を意味し、とくには実用品または装飾品を意味する。この用語は、例えばコンポーネントで装飾することができる販売中の能動的な装置および受動的な物体の両方、ならびにそれらのパッケージを包含する。新聞、紙、カードなども、本発明の意味において製品であると理解される。本発明の好ましい適用の分野は、印刷広告、パッケージ、店頭展示物、紙幣、およびその他多数のデザインを含む。したがって、好ましくは、シート状の電子コンポーネントの使用は、特定の物品の用途に限定されず、むしろ多くの異なる製品に適する。本発明によるシート状の電子コンポーネントの1つの利点は、実際に、複雑かつ破壊的な統合工程を必要とせずに、単純なラベリングまたは接着によって電子機器の統合が達成されることである。このようにして、電子機器を、表面が破壊的な統合工程にきわめて影響されやすい飲料容器などの製品にも統合することができる。
【0018】
驚くべきことに、きわめて薄いシート状の電子コンポーネントを、好ましい実施形態に基づいて、薄層によるコンポーネントの構成によって製造することができる。このようにして、コンポーネントは、きわめて可撓性であり、したがって印刷製品における統合にとくによく適する。さらに、特別な美的効果が達成される。さらに、そのようなコンポーネントは、薄型の設計にもかかわらず、きわめて頑丈であり、信頼でき、メンテナンスフリーである。
【0019】
電子機器をカバー層の裏側に直接適用することも好ましいかもしれず、この場合、非導電性基材は好都合に不要であり、あるいはカバー層が電子機器のための非導電性基材として機能する。
【0020】
したがって、1つの好ましい実施形態において、本発明は、表示装置と、エネルギ源と、導体トラックとを備えるシート状の電子コンポーネントであって、表示装置、エネルギ源、および導体トラックを備える電子機器の層が、非導電性基材である印刷可能カバー層の層上に配置されている、シート状の電子コンポーネントに関する。この場合も、用意されている製品への非破壊的な統合が可能である。この好ましい実施形態は、その特別な単純さを特徴とする。さらに、きわめて薄く、したがって可撓に設計することが可能である。
【0021】
本発明の1つの好ましい実施形態において、シート状の電子コンポーネントは、0.3mm未満の厚さを有することを特徴とする。好都合には、コンポーネントの層状の構造が、0.3mm未満のきわめてわずかでしかない厚さを有することを可能にする。このようにして、コンポーネントを、触感または望ましくない光学的途絶によって知覚されることがほとんどないように、製品に適用することができ、すなわち例えば接着することができる。知覚性は、電子機器が製品に統合されていることを顧客に感じさせる望ましくない外観を意味し、表示装置によってもたらされる所望の光信号を意味しない。このように、特別な美的効果をさらにもたらす高度の小型化が達成される。
【0022】
別の好ましい実施形態において、シート状の電子コンポーネントは、電子機器がインクジェット、スクリーン印刷、フレキソ印刷、および/またはオフセット印刷を含む群から選択された印刷プロセスで少なくとも部分的に適用されていることを特徴とする。これらの方法は、時間、材料、労力、および費用の節約を意味する。それは、好ましい実施形態において少なくとも部分的に、電子機器のコンポーネントの少なくともいくつかが上述の印刷プロセスによって適用されていることを意味する。これは、好ましくは導体トラックに関する。例えば、導体トラックを、上述の印刷プロセスによって基材に適用することができる。この後に、導電トラック上に、OLEDなどの表示装置を印刷し、もしくは取り付けることができ、あるいは電池などのエネルギ源をさらに印刷し、もしくは取り付けることができ、さらにはスイッチまたはセンサなどの他の電子コンポーネントを印刷し、もしくは取り付けることができる。このようにして、きわめてわずかな厚さおよび良好な可撓性を特徴とする少なくとも部分的に印刷による電子機器を、単純な処理工程で得ることができる。従来からの電子機器を製品に統合するために先行技術において通常必要とされるような高コストのはんだ付けプロセスが、好都合に排除される。
【0023】
本発明の別の好ましい実施形態において、シート状の電子コンポーネントは、表示装置が有機発光ダイオード(OLED)であることを特徴とする。OLEDは、通常は、サンドイッチ構造で構成され、有機半導体材料のいくつかの層が、通常は2つの電極の間に位置する。とくに、OLEDは、電子および正孔の再結合によって好ましくは可視範囲の電磁放射線を発生させる1つ以上のエミッタ層(EL)を備える。電子および正孔が、それぞれカソードおよびアノードによってもたらされる一方で、好ましくは、いわゆる注入層が、注入バリアを下げることによってプロセスを促進する。したがって、OLEDは、通常は、電子注入層および正孔注入層を有する。さらに、OLEDは、一般に、エミッタ層に向かう電子および正孔の拡散の方向を支持する正孔輸送層(HTL)または電子輸送層(ETL)を有する。OLEDにおいて、これらの層は有機材料で構成され、ハイブリッド光電子コンポーネントにおいては、層を部分的に有機材料で構成し、部分的に無機材料で構成することができる。
【0024】
従来の無機のLEDと比較して、OLEDおよびハイブリッドLEDは、薄くて柔軟な層状の構造を特徴とする。このため、OLEDおよびハイブリッドLEDは、古典的な無機のLEDよりも明らかに多様な用途を有する。その可撓性のおかげで、OLEDは、例えばモニタースクリーン、電子ペーパー、または室内照明に容易に使用可能である。これらの好都合な性質のおかげで、OLEDは、良好な可撓性を有するわずかな層の厚さおよび光信号の優れた品質を可能にするため、電子コンポーネント用の表示装置としてもきわめて好適である。
【0025】
いくつかの異なるOLEDが、本発明によるコンポーネントに適する。好ましくは、OLEDは、薄層による構造を特徴とする。例えばWO2011/018356またはWO2014/048971から知られているように、とくには水蒸気または酸素からOLEDの電気活性領域を保護するために、OLEDをカプセル化することも可能であり、なぜならば、これらの物質が染み込むとOLEDの寿命が著しく短くなるからである。
【0026】
1つの好ましい実施形態において、シート状の電子コンポーネントは、OLEDが、カソード、アノード、およびカソードとアノードとの間の層システムを備え、層システムは、
・カソードの付近の少なくとも1つの電子注入層と、
・少なくとも1つの電子輸送層と、
・少なくとも1つの光学活性層と、
・少なくとも1つの正孔輸送層と、
・アノードの付近の少なくとも1つの正孔注入層と
を有し、
少なくとも1つの電子注入層および少なくとも1つの正孔注入層は、水および/または酸素に関して拡散制限的であり、少なくとも1つの電子輸送層および少なくとも1つの正孔輸送層は、水および/または酸素に対する拡散バリアを構成することを特徴とする。
【0027】
カソードは、好ましくは、電子供給体として機能する。好ましくは、カソードは、OLEDの表面を横切って可能な限り最も均一な注入または抽出を可能にするために、表面抵抗がわずかである。
【0028】
他方で、電子注入層は、カソードおよび後続の層である電子輸送層の仕事関数を等しくする役割を果たす。仕事関数は、好ましくは、非帯電の固体から電子を引き離すために使用されなければならない最小エネルギに対応する。カソードと電子輸送層との間で仕事関数を等しくすることによって、カソードから電子輸送層へ電子を送り、あるいは注入するために必要な電圧が減少し、したがってOLEDの有効性が向上する。
【0029】
電子輸送層は、カソードと光学活性層、すなわちエミッタ層の好ましい実施形態との間の指向性の電子の輸送に役立つ。このために、電子輸送層は、好ましくは適切な電子移動度(好ましくは、10-6~100cm/(V秒))を示すべきである。この範囲において、電子輸送層は、OLEDのとくに効率的な動作を支持する。さらに、電荷輸送エネルギレベル、すなわち電子輸送層の伝導帯またはLUMO(最低空分子軌道)は、エミッタ材料のエネルギレベルとカソードの仕事関数との間であるべきであり、すなわち仕事関数が成し遂げられた後に、正孔との再結合の前の電子の輸送のために追加のエネルギが必要とされるべきではない。
【0030】
エミッタ層は、好ましくは、電気的に励起されたときに可視範囲、すなわち好ましくは400~700nmの波長範囲の光を発生させる半導体有機ポリマーまたは分子で構成される。このやり方で、特別な美的効果を効率的に生み出すことができる。エミッタ層において、カソードの電子は、好ましくはアノードの正孔と再結合し、励起子を形成する。好ましくは、効果的な光の発生が生じるように、一重項励起子の割合が支配的である。
【0031】
正孔輸送層は、電子輸送層の相手方であり、好ましくはアノードからエミッタ層への正孔の輸送に役立つ。したがって、好ましくは、正孔輸送層は、好ましくは10-6~100cm/(V秒)の適切な正孔移動度を有するべきである。さらに、正孔の輸送のためのエネルギレベル、すなわち正孔輸送層のHOMO(最高被占分子軌道)の伝導帯は、エミッタ材料のエネルギレベルとアノードの仕事関数との間にあるべきである。
【0032】
正孔注入層は、カソード側の相手方(電子注入層)と同様に、好ましくは強誘電性ポリマーからなり、好ましくは絶縁体である。好ましくは、正孔注入層は、正孔の効果的な注入を確実にするために、アノードおよび後続の層である正孔輸送層のエネルギレベルを等しくする役に立つ。
【0033】
アノードは、好ましくは正孔供給体であり、したがって、好ましくはカソードよりも明らかに高い仕事関数を有する。また、アノードは、正孔について高い表面伝導度を有することが好ましい。さらに、アノード材料は、アノードを通して光を出力することを可能にするために、透明であることが好ましい場合がある。
【0034】
この好ましい実施形態に関して、OLEDのより長い寿命のために、とくには光学活性層、すなわち光発生層を、水または水蒸気ならびに酸素の有害な影響から保護しなければならないことが分かっている。OLED全体をカプセル化する代わりに、電気活性層が、水および酸素に対する封鎖機能を提供するために利用される。
【0035】
このために、少なくとも1つの電子注入層および少なくとも1つの正孔注入層が、水および/または酸素に関して拡散制限的であることにより、少なくとも1つの電子輸送層および少なくとも1つの正孔輸送層が、水および/または酸素に対する拡散バリアを形成する。水および酸素に対する透過バリアならびに電荷担体の指向性の流れの支持という電気活性層のこの二重の機能のおかげで、好ましいOLEDは、電子コンポーネントをきわめて平坦な構成にできるように、はるかにコンパクトな設計を有することができる。とくに、先行技術において知られているカプセル化と比較して、OLEDを、コンポーネントの可撓性を制限することなく保護することができる。同時に、カプセル化の破壊的なガス混入および処理欠陥の影響を受けることがなくなる。
【0036】
本発明の意味において、「水および/または酸素に関して拡散制限的」であるという属性は、好ましくは、対応する注入層が水および/または酸素分子の拡散を著しく減少させることを意味すると解釈される。したがって、分子が光学活性層に到達しないように、拡散制限層が層における水および酸素分子の経路長を増加させることが好ましい場合がある。
【0037】
1つの好ましい実施形態において、拡散制限層は、1g/(m2*d)未満の水蒸気透過率(WVTR)および1cm/(m2*d)未満の酸素透過率(OTR)を有する。
【0038】
本発明の意味において、「拡散バリア」の属性は、好ましくは、対応する電子および正孔輸送層が水および/または酸素分子の透過を防止し、あるいは著しく減少させることを意味すると解釈される。1つの好ましい実施形態において、拡散バリアとして作用する電子および正孔輸送層は、0.1g/(m2*d)未満の水蒸気透過率(WVTR)および0.1cm/(m2*d)未満の酸素透過率(OTR)を有する。
【0039】
しかしながら、電気活性層の封鎖属性が、電極と併せて、水または酸素の透過に対する光学活性層の効果的な保護を保証する条件を満たすことがとくに好ましい。したがって、好ましいOLEDにおいて、カソードと、少なくとも1つの電子注入層と、少なくとも1つの電子輸送層とからなる層の組み合わせが、0.01g/(m2*d)未満の水蒸気透過率(WVTR)および0.01cm/(m2*d)未満の酸素透過率(OTR)を有し、さらには/あるいはアノードと、少なくとも1つの正孔注入層と、少なくとも1つの正孔輸送層とからなる層の組み合わせが、0.01g/(m2*d)未満の水蒸気透過率(WVTR)および0.01cm/(m2*d)未満の酸素透過率(OTR)を有することも、好ましい場合がある。
【0040】
好ましくは、定量的な封鎖属性を持たなければならないのは、個々の拡散制限層または拡散バリアではなく、むしろ、とくには、好ましくは電極と光学活性層までの電気活性層とからなる層の組み合わせであることが、明らかになっている。電極と注入層および輸送層との組み合わせが、すでに好ましくは0.01g/(m2*d)未満のWVTRまたは0.01cm/(m2*d)未満のOTRを有することが、好ましい場合がある。しかしながら、コンポーネントがいくつかの好ましくは交互の注入層および輸送層を含み、例えばカソードと全体としての電子注入層および電子輸送層とからなる層の組み合わせが、0.01g/(m2*d)未満のWVTRまたは0.01cm/(m2*d)未満のOTRを有することも、好ましい場合がある。したがって、他の電気活性層についても同じことが当てはまる。すなわち、アノードと全体としての正孔注入層および正孔輸送層とからなる層の組み合わせが、0.01g/(m2*d)未満のWVTRまたは0.01cm/(m2*d)未満のOTRを有することも、好ましい場合がある。
【0041】
驚くべきことに、それぞれ0.01g/(m2*d)未満および0.01cm/(m2*d)未満という層の組み合わせについてのWVTRおよびOTRの上述の値は、光学活性層のきわめて有効な保護をもたらす。したがって、好ましい発光ダイオードの寿命が、好ましい実施形態に関して著しく向上する。
【0042】
上述の値を有するこの実施形態は、個々の層の組み合わせからもたらされ、個々の層のバリア特性の合計よりも強力な効果を有する強力な相乗のバリア特性のおかげで、きわめてメンテナンスフリーなコンポーネントを構成する。
【0043】
さらに、ここに提示された実施形態は、紙の印刷時に欠陥をきわめて生じにくいことが証明されている。
【0044】
光電子コンポーネントが、カソードと、少なくとも1つの電子注入層と、少なくとも1つの電子輸送層とからなる層の組み合わせが、0.1g/(m2*d)未満の水蒸気透過率(WVTR)および0.1cm/(m2*d)未満の酸素透過率(OTR)を有し、さらには/あるいはアノードと、少なくとも1つの正孔注入層と、少なくとも1つの正孔輸送層とからなる層の組み合わせが、0.1g/(m2*d)未満の水蒸気透過率(WVTR)および0.1cm/(m2*d)未満の酸素透過率(OTR)を有することを特徴とすることが、やはり好ましい場合がある。電極と注入層および輸送層との組み合わせが、すでに好ましくは0.1g/(m2*d)未満のWVTRまたは0.1cm/(m2*d)未満のOTRを有することが、好ましい場合がある。しかしながら、コンポーネントがいくつかの好ましくは交互の注入層および輸送層を含み、例えばカソードと全体としての電子注入層および電子輸送層とからなる層の組み合わせが、0.1g/(m2*d)未満のWVTRまたは0.1cm/(m2*d)未満のOTRを有することも、好ましい場合がある。したがって、他の電気活性層についても同じことが当てはまる。すなわち、アノードと全体としての正孔注入層および正孔輸送層とからなる層の組み合わせが、0.1g/(m2*d)未満のWVTRまたは0.1cm/(m2*d)未満のOTRを有することも、好ましい場合がある。
【0045】
特定の実施形態において層の組み合わせについて上述の値を実現することが適切であり得るという発見ゆえに、きわめて薄い層を使用して所望の機能を達成することができる。
【0046】
驚くべきことに、それぞれ0.1g/(m2*d)未満および0.1cm/(m2*d)未満という層の組み合わせについてのWVTRおよびOTRの上述の値は、事前にきわめて確実に決定することができる電気的特性を有するコンポーネントをもたらすと同時に、コンポーネントを酸素および水から適切に保護する。さらに、良好な保護特性を有し、したがってコンポーネントの寿命をより長くするきわめて薄い層を使用することが可能である。したがって、驚くほど寿命の長い可撓なコンポーネントが実現される。
【0047】
同様に、きわめて好都合な美的特性(光の輝き)を有する発光コンポーネントを、このようにして実現することができる。したがって、上述の特性を有する発光コンポーネントを、例えば日刊紙の紙などの極度に薄い紙についてさえも使用して、光学的効果(自動車広告用の点滅光など)を達成することができる。
【0048】
水蒸気透過率(WVTR)とは、好ましくは、個々の層または層の組み合わせを通過する水蒸気または水分子の透過性についての測定値を意味する。WVTR値を決定するために、好ましくは、24時間のうちに層の表面を通って拡散する水分子の質量が測定される。この例において、WVTRは、好ましい単位として、g/(m2*d)で表される。ここで、SI単位は、グラムについてgであり、1日、すなわち24時間についてdであり、層または組み合わせ層の表面の平方メートルについてmである。
【0049】
同様に、酸素透過率(OTR)とは、好ましくは、個々の層または層の組み合わせを通過する酸素分子の透過性についての測定値を意味する。OTR値を決定するために、好ましくは、24時間のうちに層の表面を通って拡散する酸素分子の気体体積が測定される。この例において、OTRは、好ましい単位として、cm/(m2*d)で表される。ここで、SI単位は、立方センチメートルについてcmであり、1日、すなわち24時間についてdであり、層または組み合わせ層の表面の平方メートルについてmである。
【0050】
当業者であれば、薄い層のOTRおよびWVTRを実験的に決定する方法を承知しており、したがって、これらの特性に従って層を日常的に選択することができる。光電子コンポーネントの薄い層のOTRおよびWVTRを決定するための実験的試験は、例えば、米国材料試験協会(ASTM)によって「Standard Test Methods for Water Vapor Transmission of Organic Coating Films」という表題のASTM D1653-13の下で公開されている。これらの試験の説明のための文書を、2016年9月12日にhttps://www.astm.org/Standards/D1653.htmにおいてダウンロードした。
【0051】
とくには、一方では少なくとも1つの電子または正孔輸送層のための上述の電気的特性をもたらし、他方では所望のバリア特性をもたらす適切な材料および層の厚さの選択のおかげで、所望の光電子特性と長い寿命とを同時に有するコンポーネントを実現することができる。さらに、コンポーネントの効率を高めることができる。
【0052】
1つの好ましい実施形態において、好ましいOLEDは、少なくとも1つの電子輸送層が、ドープされた金属酸化物、好ましくはドープされた酸化亜鉛を含むことを特徴とし、ドープは、好ましくはアルミニウム、アルカリ、アルカリ土類、メタロセン、および/または有機nドーパントで行われ、電子輸送層は、とくに好ましくは酸化アルミニウム亜鉛を含む。驚くべきことに、これらの材料から作られた電子輸送層、とりわけドープされた酸化アルミニウム亜鉛から作られた電子輸送層は、水および酸素分子に対するとくに良好な拡散バリアを特徴とし、さらにドープによる最適な電気的性質を有する。電子輸送層が、上述の材料のうちの1つで構成され、3~4eVの間のLUMOおよび10-6cm/(Vs)~100cm/(Vs)の間の電子移動度を有することが、とくに好ましい。当業者であれば、進歩性を必要とせずに、上述のパラメータを有する材料をもたらす方法を承知している。
【0053】
本発明の1つの好ましい実施形態において、好ましいOLEDは、少なくとも1つの正孔輸送層が、ドープされた金属チオシアネート、好ましくはドープされた銅チオシアネート、および/またはドープされた金属酸化物、好ましくはドープされた酸化亜鉛を含むことを特徴とする。これらの材料は、適切なドープによって所望の特性にきわめて好都合に適合させることが可能である。さらに、それらは、酸素および水に対する所望のバリア特性を有する。さらに、これらの材料は、きわめて丈夫であり、したがって信頼性のあるコンポーネントの製造に貢献する。好ましくは、これらの材料は、金属チオシアネートでドープされる。金属チオシアネートは、ドープにきわめて好適である。さらに、それらを、ドープによって調整することができる広い範囲の特性を達成するために使用することができる。金属チオシアネートは、好ましくは、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸銀、チオシアン酸タングステン、チオシアン酸バナジウム、チオシアン酸モリブデン、チオシアン酸銅、および/または他の遷移金属チオシアネートを含む群から選択される。上記の群から選択されるドープは、所望の電気的特性の正確に狙った調整を可能にする。個々の例において、ドープされた基材のすでに良好なバリア特性のさらなる改善によって、相乗効果を達成することさえ可能である。金属酸化物によるドープも、同様に好都合であり得る。金属酸化物は、きわめて複雑でなく、したがって信頼性のある作業性を特徴とする。好ましくは、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化モリブデン、および/または他の遷移金属酸化物を含む群から選択される金属酸化物が、ドープに使用される。これらは、ドープにおける良好な有効性を特徴とする。それらの処理に、少数の作業工程しか必要でない。しかしながら、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素などのハロゲンでドープを行うことも、好ましい場合がある。これらは、顕著な化学反応性を特徴とし、自然に豊富に存在することを特徴とする。
【0054】
したがって、正孔輸送層について、金属チオシアネート、とくに好ましくはチオシアン酸銅、または金属酸化物、とくに好ましくは酸化亜鉛で、ドープを行うことが好ましい。当業者であれば、好ましくは、光電子コンポーネントの文脈におけるドープが外来原子、すなわちドーパントを層に導入することを意味し、導入量が通常は基材の材料と比べて少ないことを承知している。すなわち、ドーパントの質量分率が、層全体の10%未満であり、好ましくは1%未満であることが、好ましい場合がある。しかしながら、ドーパントの質量分率が層全体の最大40%になることも、好ましい場合がある。いわゆるp型ドープにおいて、電子受容体がドープされる一方で、いわゆるn型ドープにおいては、電子供与体がドープされる。正孔輸送層に関しては、強い受容体特性を有し、好ましくは金属チオシアネートまたは金属酸化物、好ましくは銅チオシアネートまたは酸化亜鉛の基材のHOMOの近傍のLUMOを有する材料を選択することが好ましい。有機pドーパントが、例えば、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、またはヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリルであることも好ましい。これらは、とくに有用であることが証明されている。それらは、より高い効率および信頼性、ならびに高い歩留まりなどのさらなる利点をもたらすことができる。
【0055】
正孔輸送層の基材として、チオシアン酸銅または酸化亜鉛を上述の適切なドーパントとともに使用することがとくに好ましい。
【0056】
とりわけチオシアン酸銅または酸化亜鉛を使用するとき、これらの上述の正孔輸送層のための材料は、水または酸素の浸透の防止においてきわめて有効であると同時に、正孔の輸送のための優れた電気的特性の提供においてもきわめて有効である。
【0057】
本発明の1つの好ましい一実施形態において、光電子コンポーネントは、少なくとも1つの電子注入層が誘電性ポリマーを含むことを特徴とする。これらは、特別な丈夫さを特徴とし、したがって長持ちするコンポーネントを生み出すことができる。それらの良好なバリア特性のおかげで、それらの寿命にプラスの影響をさらに有する相乗効果が生み出される。親水性ポリマーおよび/または高分子電解質を使用することが、とくに好ましい。これらは、きわめて容易に処理することができ、したがって時間、材料、および作業段階の節約を意味し、結果的にコストの節約を意味する。ポリオキサゾリン、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリビニルピロリドン、およびこの群のコポリマーを含む群から選択されるポリマーが、とくにきわめて好ましい。これらは、とくに使用に適することが証明されており、優れた電気的特性を特徴とする。とくには、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、またはエトキシル化ポリエチレンイミンの使用が、コンポーネントのさらなる改善およびより良好な性能をもたらすがゆえに好ましい。
【0058】
上述の材料は、電子に関する注入層の電気的機能の保証にとくに適している。したがって、電荷担体としての電子が、量子「トンネル」効果を利用し、カソードから電子輸送層にジャンプすることができる。上述の誘電性ポリマーは、好ましくは、対応する表面双極子を生成し、したがって電子の注入バリアを減少させる。同様に、層中の酸素および水分子の移動度が、驚くほど著しく低下または減少する。したがって、上記の分子は、OTRの1cm/(m2*d)未満およびWVTRの1g/(m2*d)未満という好ましい値のきわめて確実な実現を可能にする。
【0059】
本発明の好ましい一実施形態において、光電子コンポーネントは、少なくとも1つの正孔注入層が誘電性ポリマーを含むことを特徴とする。これらは、優れたバリア特性を有し、したがって信頼性を向上させる。これらは、好ましくは、きわめて丈夫かつメンテナンスフリーである-CN、-SCN、-F、-Cl、-I、および/または-Brを含む群から選択される官能基を有するポリマーである。少なくとも1つの正孔注入層は、とくに好ましくは、コンポーネントの改良およびより良好な性能を達成するポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、および/またはこれらのコポリマーを含む。
【0060】
上述の材料は、正孔に関する注入層の電気的機能の保証にとくに適する。とくに、上述のポリマーは、好ましい注入特性を満たし、すなわち注入層との接触面における電子の仕事関数の増大、したがって有効な正孔注入を満たす。さらに、これらの材料は、水および酸素についての優秀なバリア特性も有する。上述の材料は、すでに部分的に食品用のフィルムとして使用されている。驚くべきことに、これらの材料を使用して正孔用の注入層をもたらして、コンポーネントのきわめてエネルギ効率の良い機能およびきわめて長い寿命の両方を保証することができる。
【0061】
本発明の1つの好ましい実施形態において、光電子コンポーネントは、少なくとも1つの電子輸送層が、きわめて丈夫で信頼性がある10~50nmの総層厚さを有することを特徴とする。25~30nmの総層厚さを有することが好ましい。これは、きわめてメンテナンスフリーかつ製造が容易であり、したがってコストを下げることができることが証明されている。少なくとも1つの正孔輸送層は、やはりきわめて丈夫で信頼性がある10~40nmの総層厚さを有する。10~30nmの総層厚さが好ましい。これも同様に、きわめてメンテナンスフリーかつ製造が容易であり、したがってコストを下げることが証明されている。正孔輸送層の総層厚さは、15~25nmの厚さを有することがとくに好ましい。これは、電気的特性が改善を保証する。総層厚さは、好ましくは、すべての電子または正孔輸送層の厚さを意味する。1つの電子または正孔輸送層がそれぞれ使用される場合、厚さは、電子または正孔輸送層の厚さに相当する。本発明の意味において、厚さは、好ましくは、電極間の層構造の方向および電荷担体の輸送の方向における層の範囲を意味する。上述のパラメータは、好都合には、一方では、とりわけ酸素および水に対する光学活性層の効果的な保護がもたらされ、他方では、光電子コンポーネントのきわめて薄い全体構造が実現されるように最適化される。このようにして、きわめて長持ちするが薄くて柔軟であるコンポーネントを提供することができる。さらに、信頼性が向上し、薄い不可視の層のおかげで特別な美的効果を達成することができる。さらに、これらは、層の光の透過が増加し、散乱が減少するため、発光コンポーネントにおける美的効果に相乗的に貢献する。
【0062】
別の好ましい実施形態において、電子コンポーネントは、少なくとも1つの電子注入層が、0.1nm~10nmの間の総層厚さを有することを特徴とする。そのような層厚さは、きわめて確実に加工することができ、電気的および光学的特性の改善に役立つ。5nm~7nmの間の層厚さが、一方、すなわち所望の光学的および電気的特性と、他方、すなわち製造プロセスのより良好な品質との間の理想的な妥協案であるがゆえに、とくに好ましい。少なくとも1つの正孔注入層については、0.1nm~10nmの間の総層厚さが好ましい。電子注入層に関して上述した利点は、ここでも同様に当てはまる。これは、5nm~7nmの間のとくに好ましい層厚についても同様に当てはまる。総層厚さは、好ましくは、すべてのそれぞれの電子注入層およびすべてのそれぞれの正孔注入層の全体的な範囲を計量する。層の場合、総層厚さは、好ましくはその層の厚さに等しく、あるいは個々の層の厚さの合計に等しい。上述の層厚さが、驚くべきことに、水および酸素に対する優れた封鎖特性および効果的な「トンネリング」の両方を可能にし、したがって電気的機能を満たすことが、本発明の発明者によって発見されている。
【0063】
このとくに好ましいOLEDにおいて、OLEDをカプセル化するためのバリアフィルムの使用を、好都合に省くことができる。このようにして、OLEDを、きわめて薄い層によって、好ましくは300nm未満の厚さで設計することができ、したがって電子コンポーネントをきわめて薄くかつ柔軟に設計することができる。
【0064】
別の好ましい実施形態において、シート状の電子コンポーネントは、エネルギ源が電池、有機太陽電池、および/またはコンデンサを備えることを特徴とする。電池を備えることにより、電気による表示装置の独立した電力供給が可能になる。さらに、電池は、有利な価格で入手可能である。好ましくは、電池は、きわめて平坦な寸法を可能にするがゆえに、リチウムポリマー、亜鉛-マンガン、および/またはアルミニウム-マンガンポリマーから製造することができる。しかしながら、電池の代わりに有機太陽電池を使用することも、好ましい場合がある。このようにして、シート状の電子コンポーネントを周辺光によって動作させることが好都合に可能である。有機太陽電池を、表示装置を直接動作させるように使用することができ、あるいはそのようにして生成されるエネルギを充電式電池またはコンデンサ、好ましくは薄層コンデンサに一時的に蓄えるように使用することができる。これにより、コンポーネントをきわめて長い時間期間にわたって使用することができる。さらに、OLED、コンデンサ、および太陽電池の組み合わせのおかげで、OLEDの明滅または調光を、トランジスタの助けを借りずに達成することができる。この場合、コンデンサは太陽電池によって充電される。容量が増すと、利用可能な電圧も増す。ひとたびコンデンサの電圧V(C)が、V(オンバイアス-OLED)、すなわちOLEDの最小電圧を指すOLEDのオンセット(On-Set)電圧よりも大きくなると、OLEDが点灯する。この後に、OLEDは、コンデンサのエネルギが使い果たされるまで光を放つ。このようにして、調光効果を容易に提供することができる。
【0065】
有機太陽電池は、先行技術においてかなりよく知られている。OLEDについて上述したように、光を発生させるための有機半導体材料の有益な特性は、電流を発生させるためにも同様に適用することができる。したがって、有機太陽電池またはハイブリッド太陽電池は、古典的な無機太陽電池と比較して可能な用途を大幅に増加させる薄い層状構造をやはり特徴とする。有機太陽電池またはハイブリッド太陽電池の構造は、OLEDまたはハイブリッドLEDに類似する。コンポーネントにおける有機太陽電池の使用は、好ましくは電子機器の知覚性を高めることがなく、したがってコンポーネントの特別な美的効果を損なうことがない。
【0066】
しかしながら、エミッタ層の代わりに、1つ以上の吸収層が光活性層として存在する。吸収層において、入射する電磁放射線により、電子/正孔対が自由電荷担体として生成される。さらなる層は、電子および正孔輸送層、ならびに電子抽出および正孔抽出層を含む。これらは有機材料で構成され、あるいはハイブリッドの場合には有機および無機材料で構成され、材料の電気化学ポテンシャルが、ドナーおよびアクセプタ層として、電極に自由電荷単体を運び去る太陽電池における内部の場を生じさせるように動かされる。電磁放射線の入射により、電子がカソードにもたらされ、正孔がアノードにもたらされて、電圧または電流が生み出される。
【0067】
先行技術の有機太陽電池は、すでにコンポーネントの電子機器に容易に統合可能であるが、とくに好ましいOLEDと同様に、電気活性層、すなわち電子および正孔輸送層ならびに電子抽出および正孔抽出層が、水および酸素分子に対する封鎖特性を有する有機太陽電池を使用することも、好ましい場合がある。封鎖特性について好ましく上述されたパラメータが、同様に当てはまる一方で、同様の材料も好ましい場合がある。当業者であれば、有機太陽電池の電気活性層の電気的特性をOLEDと比較してどのように調整するかを承知している。次いで、そのような好ましい有機太陽電池は、きわめて長い寿命を有すると同時に、(カプセル化された太陽電池と比較して)厚さがわずかであることを特徴とする。
【0068】
別の好ましい実施形態において、シート状の電子コンポーネントは、導体トラックが印刷材料として銀、銅、および/またはカーボンを含むことを特徴とする。これらの材料は、充分に小さい寸法のための高い導電性を特徴とし、したがって印刷による電子機器の提供に最適である。
【0069】
1つの好ましい実施形態において、シート状の電子コンポーネントは、カバー層が少なくとも部分的に半透明であることを特徴とする。これにより、表示装置、好ましくはOLEDが、視認可能であることを保証することができる。OLEDの光がカバー層において散乱させられるように、カバー層は、半透明であり、すなわち光を透過させるが、透明ではなく、すなわち好ましくはシースルーでないことが好ましい。このようにして、OLEDの光学像のカバー層への投影を達成することができ、したがって、その内容がきわめて現実的に現れる。さらに、このやり方で、コンポーネントにおける表示装置のきわめて目立たない統合を実施することができる。この実施形態は特別な美的効果をもたらす。
【0070】
別の好ましい実施形態において、シート状の電子コンポーネントは、カバー層がセルロース含有材料を含むことを特徴とする。これらは、好都合なコストで入手可能であり、容易に加工することができる。カバー層は、好ましくは紙および/またはボール紙を含む。これらは安価かつ丈夫である。とくに好ましくは、カバー層は、透明紙、ワックス紙、ならびに/あるいは好ましくはポリエチレンナフタレート(PEN)および/またはポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルムを含む。これらは、カバー材料の光学的性質に関する上述の要件をきわめて良好に満たす。さらに、これらの材料は、電子機器の被覆にきわめて適している。それらは、適切な保護を構成するとともに、きわめて良好に印刷可能であるため、コンポーネントの光学的外観をきわめて良好に設計することができる。
【0071】
とくには、材料のインプリントによって、例えばOLEDを視認可能にしたままで、電池または導体トラックなどの電子コンポーネントを効果的に覆うことが可能である。好ましくは、カバー層のインプリントは、インクジェット、デジタル印刷、および/またはオフセットによって行われる。これらの方法は、きわめて容易かつ費用効果的に実行することができる。適切なグレイジングによって、複数の色を表現することができる。さらに、上述の材料は好都合な半透明性を有するため、表示装置の光信号のカバー層への投影が、表示装置からではなく、カバー層から直接もたらされているように見えるきわめて印象的な像を提供する。
【0072】
別の好ましい実施形態において、シート状の電子コンポーネントは、非導電性基材が紙および/またはPETを備えることを特徴とする。とくに、これらの材料によれば、コンポーネントを製品中にきわめて安定かつ容易に統合することができる。一方では、これらの材料は充分に薄くて柔軟である。他方では、これらの材料は、製品の表面にきわめて迅速かつ容易に接着することができる。しかしながら、非導電性基材は、コーティングによる電子機器からの非導電性の遮蔽を含むアルミニウム箔および/または鋼板を含んでもよい。基材の好ましい厚さは、10~75μmである。
【0073】
別の好ましい実施形態において、シート状の電子コンポーネントは、追加の非導電性キャップ層が、カバー層と電子機器との間に存在し、表示装置のための切り欠きを有していることを特徴とする。これを、例えば、スクリーン印刷の助けを借りて適用することができる。非導電性キャップ層は、とくには、導体トラックまたは電池などの見られることを意図しない電子機器のコンポーネントを覆うために、追加の光学カバーとして機能する。しかしながら、表示装置は、好ましい切り欠きを通して妨げられることなく光を放つことができる。しかしながら、キャップ層がOLEDの一部分を覆うために光学バリアとして機能することも、好ましい場合がある。カバー層と電子機器との間にキャップ層を一体化させる代わりに、キャップ層を、乳白色などの不透明な色によってカバー層上に直接印刷してもよい。これを両面について行うことができる。これが印刷画像が後に適用される面において行われる場合には、最初にカバー層が印刷され、次に印刷画像が印刷される。これは、カバー層の裏側に電子機器を直接適用し、好ましくは印刷することをさらに可能にする。代わりに、キャップ層がカバー層の裏側に印刷によって適用される場合、電子機器を、この後にカバー層に印刷することができる。したがって、この実施形態において、電子機器は、好ましくは、別個の基材にではなく、カバー層に適用され、あるいはカバー層が基材として機能する。このようにして、1~2層を好都合に節約することができる。キャップ層は、好ましくは、電子層のコンポーネントの異なる高さを等しくすることができる均等化層として機能する。このようにして、電子機器のシームレスな触覚的および光学的統合を達成することができる。さらに、キャップ層は、電子機器のための追加の保護として機能し、コンポーネントの堅牢性を高めることができる。
【0074】
別の好ましい実施形態において、シート状の電子コンポーネントは、電子機器が表示装置の作動のためのスイッチを備えることを特徴とする。表示装置をオンにするために、手動操作の接点スイッチを統合することができる。このスイッチは、よく知られている圧力スイッチなどの別個のコンポーネントを統合し、指で触れることによって回路を閉じることで、エネルギ源を表示装置に接続して、後者を点灯させることができる。したがって、表示装置を必要に応じてオンおよびオフにすることができる。これにより、エネルギ効率および寿命が向上する。
【0075】
別の好ましい実施形態において、シート状の電子コンポーネントは、カバー層および/または非導電性キャップ層が導体トラックの上方に切り欠きを有することで、導電性の物体との接触によって回路が閉じられ、表示装置が点灯することを特徴とする。カバー層が切り欠きを有さず、むしろ非導電性キャップ層だけが切り欠きを有することが、とくに好ましい。切り欠きに触れ、したがってその下方の導体トラックに触れることによって、上述の接点スイッチと同様に、簡単なやり方で回路を形成することができる。導体トラックの適切な構成に鑑みて、表示装置を切り欠きに触れたときにだけ点灯させることができる。そのようなスイッチは、コンポーネントの対話的な使用、したがってきわめて魅力的な使用を可能にする。特別な美的効果が達成される。
【0076】
別の好ましい実施形態において、シート状の電子コンポーネントは、電子機器がセンサ、好ましくは光センサを含むことを特徴とする。包装または印刷広告の分野においては、例えばスーパーマーケットにおいて棚の前に立っているときや、ユーザが取り出して統合された印刷広告を有する側面を眺めたときにだけ、コンポーネントが点灯することが望ましい場合がある。これは、感光センサがコンポーネントに統合されることで達成される。カバー層は好ましくは半透明であるため、センサは、所定の光が入射した後でのみ、充分なエネルギを受け取り、回路を形成する。この好ましい実施形態により、エネルギコストを節約することができる。
【0077】
別の好ましい実施形態において、シート状の電子コンポーネントは、電子機器が1つ以上のトランジスタを有する制御電子機器を備えることを特徴とする。このようにして、さらに複雑な制御プロセスが、時間的および/または空間的パターンによって表示装置において可能である。制御電子機器は、外部装置と通信するための通信ユニットをさらに備えることができる。通信を、例えばアンテナ、RFID、NFC、Blue Tooth Low Energy、または光周波数伝送の助けによって行うことができる。このようにして、コンポーネントを外部から作動させ、さらには/あるいは調整することにより、消費者を関与させるためのさらに良好な可能性を得ることができる。例えば、スマートフォンを使用して、Bluetooth(登録商標)によって電子コンポーネントを点灯させることができ、あるいはコンポーネントがスマートフォンからデータを受信し、それに応じてパーソナライズされたコンテンツを提示することができる。
【0078】
別の好ましい実施形態において、本発明は、本発明によるシート状の電子コンポーネントを製造するための方法であって、
・非導電性基材を用意するステップと、
・表示装置、エネルギ源、および導体トラックを備える電子機器を、基材上に配置するステップと、
・印刷可能なカバー層を電子機器上に配置するステップと
を含む方法に関する。このようにして、きわめて丈夫でメンテナンスフリーなコンポーネントを提供することができる。
【0079】
別の好ましい実施形態において、本発明は、本発明によるシート状の電子コンポーネントまたはその好ましい実施形態を製造するための方法であって、
・カバー層を用意するステップと、
・カバー層の前面および/または後面上にキャップ層を配置するステップと、
・カバー層の後面またはキャップ層上に電子機器を配置するステップと
を含む方法に関する。このようなコンポーネントは、きわめて信頼性が高く、きわめて簡単なやり方で製造することができる。
【0080】
したがって、この実施形態において、電子機器は、好ましくは、別個の基材にではなく、カバー層上に適用され、すなわちキャップ層を有するカバー層が基材として機能する。このようにして、層を好都合に節約することができる。
【0081】
当業者であれば、シート状の電子コンポーネントについて開示した好ましい実施形態およびそれらの利点が、本発明による方法にも同様に当てはまることを、理解できるであろう。したがって、例えば、好ましくは銀、銅、および/またはカーボンを使用し、インクジェット、スクリーン印刷、フレキソ印刷、およびオフセット印刷を含む群から選択される印刷プロセスの助けを借りて導体トラックを適用することが、コンポーネントに関して好ましいことが開示されている。したがって、当業者であれば、電子機器の適用が導体トラックを適用するためのそのような印刷プロセスを含む本発明による方法の実施形態も好ましいことを、理解できるであろう。さらに、そのような方法は、きわめて容易に合理化および自動化される。
【0082】
別の好ましい実施形態において、本発明は、製品およびパッケージ、とくには印刷および紙製品の設計における本発明によるシート状の電子コンポーネントの使用であって、シート状の電子コンポーネントが接着剤の助けを借りて製品またはパッケージの表面に配置される使用に関する。そのような使用は、製品との相互作用において特別な美的効果をもたらすことができる。
【0083】
別の好ましい実施形態において、本発明は、本発明またはその好ましい実施形態によるシート状の電子コンポーネントが1つの表面に適用されていることを特徴とする製品に関する。適用は、好ましくは、基材を製品表面に接着することによる。この実施形態は、きわめて堅牢である。
【0084】
別の好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも部分的に半透明な材料の表面を備えており、この表面が、一方側にインプリントを有しており、表示装置、エネルギ源、および導体トラックを備える電子機器が、表示装置の光信号を表面を介して視認することができるように、インプリントの反対側に適用されている製品に関する。このやり方で、特別な光学効果を達成することができる。
【0085】
したがって、製品の表面を、電子機器が適用される非導電性基材または半透明のカバー層として使用することも、好ましい場合がある。このために、製品表面が、対応する半透明性、すなわち少なくとも部分的な光透過率を有することが好ましい。光の出力を、非透過または半透明または不透明な層上に特定の溶媒および/または材料の組み合わせをインプリントすることによって改善することができる。この実施形態の実施はきわめて容易である。
【0086】
別の好ましい実施形態において、本発明は、表面がボール紙および/または紙であり、表面が接着剤による接着の助けを借りて段ボールに適用されている製品に関する。したがって、この製品において、本発明による製品への電子機器の統合は、既知の積層プロセスによって実現される。これらは、とくにはパッケージの製造に使用される。印刷されたカートン(carton)が、段ボールに接着によって適用される。好ましい実施形態において、電子機器は、この同じカートンの印刷されていない面に印刷または適用される。このカートンが充分に半透明である場合、半透明なカバー層を構成するカートンの前面への表示装置の画像の上述の投影を、好都合に達成することができる。そのような製品は、きわめて簡単なやり方で特別な美的効果を達成することができる。
【0087】
発明の詳細な説明
以下で、本発明を、実施例の助けを借りてさらに詳細に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図1a】先行技術における既存の製品への電子機器の統合の概略図である。
図1b】先行技術における既存の製品への電子機器の統合の概略図である。
図2a】本発明によるシート状コンポーネントの好ましい実施形態の概略図および製品へのその統合の説明図である。
図2b】本発明によるシート状コンポーネントの好ましい実施形態の概略図および製品へのその統合の説明図である。
図2c】本発明によるシート状コンポーネントの好ましい実施形態の概略図および製品へのその統合の説明図である。
図3a】好ましいカバー層を説明するための本発明によるシート状コンポーネントの好ましい実施形態の概略図である。
図3b】好ましいカバー層を説明するための本発明によるシート状コンポーネントの好ましい実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
図1aおよび図1bは、先行技術において知られているとおりの既存の製品への電子機器の統合の概略図である。製品は、表面1.1を備え、表面1.1上に電子機器が適用される。図1aは、製品の三次元の図を示し、図1bは、表面1.1を通る断面を示している。この表面1.1は、例えば、包装の紙または厚紙の表面であってよい。表面1.1に、発光ダイオード(LED)などの表示装置1.3を備える電子機器が統合される。この目的のために、先行技術においては、製品の表面1.1を切り開くことが必要である。これが、図1aにおいて、破線(切れ目)によって概略的に示されている。その後に、表示装置1.3、電池1.5、および電池1.5を表示装置1.3に接続するためのケーブル1.4などの電子コンポーネントが、切れ目によって開かれた表面1.1の背後に配置される。製品の包装の典型的な紙および厚紙の表面は、透明ではなく、あるいは表示装置の光信号の視認を可能にできるほど充分には透明でない。このため、表示装置1.3の位置において、表面1.1に切り欠きまたは開口部1.2を設ける必要がある。したがって、開口部1.2は、電子機器が統合されていることを消費者にとって認識可能にする非均質性を構成する。図1bは、表面に導入された電子機器について、図1aに示した破線に沿った断面図を示している。挿入のための打ち抜きおよび切断に加えて、表面1.1の反対側において電池1.5およびケーブル1.4などの電気コンポーネントを接続することが必要である。したがって、先行技術においては、電子機器が高コストなはんだ付けプロセスの助けを借りて事前に組み立てられることが多い。その後に、電子機器は、例えばマウンタを用いて表面1.1の背後に配置され、電子機器を表面1.1の内側に固定するために接着剤1.7および/またははんだ1.6が必要とされる。
【0090】
図2が、本発明によるシート状コンポーネント2.0の好ましい実施形態および製品の表面1.1.におけるその統合を示している。本発明によるシート状コンポーネント2.0によれば、電子機器の統合のために製品の表面1.1を切り開く必要はない。代わりに、電子機器がすでに統合された本発明によるシート状コンポーネント2.0が、製品の表面1.1に単純な接着剤によって適用される(図2a)。縁が見えないように、シート状コンポーネント2.0の寸法を表面1.1のサイズに合わせることがとくに好ましい。このようにして、製品表面1.1におけるシート状コンポーネント2.0の統合は、破壊的な方法の場合と異なり、顧客にとって視認不可能である。シート状コンポーネント2.0は、好ましくは0.3mm未満の厚さであり、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの層からなる積層体と見なすことができる。図2bが、製品表面1.1およびシート状コンポーネント2.0の断面図を示している。図2cが、シート状コンポーネント2.0に統合された電子機器を示している。シート状コンポーネント2.0は、その最下層として、非導電性基材2.7を有する。基材2.7上に、OLEDなどの表示装置2.1および電池などのエネルギ源2.2が配置される。さらに、他の電子コンポーネントを、基材2.7上に配置することができる。好ましくは、これは、少なくとも部分的に印刷プロセスの助けを借りて行われる。図示の好ましい実施形態においては、表示装置2.1を制御電子機器2.4に接続する導体トラック2.6が基材2.7上に存在し、制御電子機器2.4は、例えば外部装置の助けを借りて表示装置2.1を作動させるための受信ユニットを備えることができる(図示せず)。図示の実施形態において、制御電子機器は、センサ2.3および/またはスイッチ2.5に接続されている。センサ2.3は、例えば、電池などのエネルギ源2.2から表示装置2.1に電圧を放出する感光センサであってよい。この目的のために、スイッチ2.5が、例えば押し込み操作によってエネルギ源2.2から表示装置2.1への電流の放出をもたらすことも、好ましい場合がある。スイッチ2.5およびセンサ2.3は、互いに交互または組み合わせのいずれかにて、エネルギ源2.2への表示装置2.1の接続を制御することができる。電子機器を含む中間層を、印刷可能なカバー層3.1によって覆うことが好ましい。印刷可能カバー層3.1の最上層の好ましい実施形態の機能が、図3に示される。
【0091】
図3が、好ましいカバー層の説明として、本発明によるシート状コンポーネントの好ましい実施形態の概略図を示している。基材2.7上に、図2に示したように、電子機器が配置されている。これは、理解をより容易にするために、図3aには示されていない。図示の実施形態においては、最初に、例えばスクリーン印刷によって、非導電性のキャップ層3.3が電子機器上に配置される。これは、とくには、電子機器のコンポーネントを隠すための追加の光学的カバーとして役立つ。非導電性キャップ層3.3上に、好ましい実施形態においては、印刷可能なカバー層3.1が配置される。カバー層3.1を基材上に直接配置することも、好ましい場合がある。カバー層は、好ましくは、表示装置2.1がカバー層3.1を通して輝くことができるように、少なくとも部分的に半透明である。印刷可能なカバー層3.1上に、例えば種々のグレイジング工程の助けを借りて、着色されたインプリント3.2を配置することが好ましい。好ましくは、インプリントの色は、表示装置2.1の所望の光信号が依然として視認可能である一方で、導体トラック2.6などの他の電子コンポーネントが隠されるように選択される。
【0092】
図3bが、図3aのシート状の電子コンポーネントの切り欠きの断面図を示している。表示装置2.1は、導体トラック2.6によってエネルギ源(図示せず)に接続されている。非導電性キャップ層3.3が、印刷プロセス、好ましくはスクリーン印刷の助けを借りて、導体トラック2.6上に配置されているが、表示装置2.1上には配置されておらず、非導電性キャップ層3.3は、光学的に不透明であり、したがって導体トラック2.6を隠している。表示装置2.1の上およびキャップ層3.3の上にも、少なくとも部分的に半透明である印刷可能なカバー層3.1が配置される。カバー層3.1を、製品について所望されるとおりに、インプリント3.2、好ましくは着色層を配置することによって、光学的に構成することができる。好ましくは、カバー層3.1のインプリントのためのプリンタ色は、表示装置2.1の光信号がカバー層3.1およびインプリント3.2を通して輝くことができるように選択される。このようにして、表示装置2.1が製品表面1.1内に光学的に統合され、かつ製品が電子機器を含んでいることを顧客が認識できない均質な設計の表面が得られる。
【0093】
本発明を実施し、本発明による解決策に到達するために、本発明の上述の実施形態の種々の代案を使用できることを、指摘しておく。したがって、本発明によるシート状の電子コンポーネント、ならびに上述の方法でのその製造は、それらの実施形態において、上述した好ましい実施形態に限定されない。代わりに、上述の解決策から相違してもよい多数の変種の実施形態が考えられる。特許請求の範囲の目的は、本発明の保護範囲を定義することである。特許請求の範囲の保護範囲は、本発明による光電子コンポーネントおよびその製造方法、ならびにそれらの等価な実施形態を包含するように意図される。
【符号の説明】
【0094】
1.1 製品の側面
1.2 表示装置用の開口部
1.3 表示装置
1.4 ケーブル
1.5 電池
1.6 はんだ
1.7 接着剤
2.0 シート状の電子コンポーネント
2.1 表示装置
2.2 エネルギ源
2.3 センサ
2.4 制御電子機器
2.5 スイッチ
2.6 導体トラック
2.7 非導電性基材
3.1 印刷可能カバー層
3.2 インプリント
3.3 非導電性キャップ層
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を生成するための表示装置と、エネルギ源と、導体トラックとを備えるシート状の電子コンポーネントであって、
下層の非導電性基材と、
前記表示装置、前記エネルギ源、および前記導体トラックを備える電子機器の中間層であって、ここで、前記表示装置は有機発光ダイオードであり、前記電子機器の中間層は、印刷プロセスにより、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に前記基材に適用される、電子機器の中間層と、
印刷可能な上層のカバー層と
を備え、前記カバー層は、光信号が少なくとも部分的に半透明の当該カバー層で散乱されて前記表示装置のための投影スクリーンとして機能するように、少なくとも部分的に半透明であり
前記シート状の電子コンポーネントは1mm未満の厚みを有する、
ことを特徴とする、シート状の電子コンポーネント。
【請求項2】
光信号を生成するための表示装置と、エネルギ源と、導体トラックとを備えるシート状の電子コンポーネントであって、
光信号が少なくとも部分的に半透明のカバー層で散乱されて前記表示装置のための投影スクリーンとして機能するように、前記カバー層は少なくとも部分的に半透明であり、前記表示装置は有機発光ダイオードであり、電子機器の中間層は、印刷プロセスにより、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に前記基材に適用され、そして非導電性基材である印刷可能な前記カバー層の層上に前記表示装置、前記エネルギ源、および前記導体トラックを備える電子機器の層が配置され、
前記シート状の電子コンポーネントは1mm未満の厚みを有する、
ことを特徴とする、シート状の電子コンポーネント。
【請求項3】
0.3mm未満の厚さを有することを特徴とする請求項1~2のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項4】
前記電子機器は、インクジェット、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷を含む群から選択された印刷プロセスで少なくとも部分的に適用されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項5】
前記OLEDは、カソード、アノード、および前記カソードと前記アノードとの間の層システムを備え、
前記層システムは、
前記カソードの付近の少なくとも1つの電子注入層と、
少なくとも1つの電子輸送層と、
少なくとも1つの光学活性層と、
少なくとも1つの正孔輸送層と、
前記アノードの付近の少なくとも1つの正孔注入層と
を有し、
前記少なくとも1つの電子注入層および前記少なくとも1つの正孔注入層は、水および/または酸素に関して拡散制限的であり、
前記少なくとも1つの電子輸送層および前記少なくとも1つの正孔輸送層は、水および/または酸素に対する拡散バリアを構成することを特徴とする請求項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項6】
前記エネルギ源は、電池、有機太陽電池、および/またはコンデンサを備えることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項7】
前記導体トラックは、印刷材料としての銀、銅、および/またはカーボンを含むことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項8】
前記カバー層は、セルロース含有材料を含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項9】
前記カバー層は、紙およびボール紙の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項10】
前記カバー層は、ワックス紙、ポリエチレンナフタレート(PEN)とポリエチレンテレフタレート(PET)の少なくともいずかのフィルム、の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項11】
さらなる非導電性キャップ層が、前記カバー層と前記電子機器との間に存在し、前記表示装置のための切り欠きを有していることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項12】
前記電子機器は、前記表示装置の作動のためのスイッチを備えることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項13】
前記カバー層は、前記表示装置を点灯させるべく導電性の物体との接触によって回路を閉じるための導体トラックの上方の切り欠きを有することを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項14】
前記電子機器は、センサを備えることを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項15】
前記電子機器は、光センサを備えることを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項16】
前記電子機器は、1つ以上のトランジスタを有する制御電子機器を備えることを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネント。
【請求項17】
請求項に記載のシート状の電子コンポーネントを製造するための方法であって、
・前記非導電性基材を用意するステップと、
・前記表示装置、前記エネルギ源、および前記導体トラックを備える前記電子機器を、前記基材上に適用するステップであって、ここで、前記表示装置は有機発光ダイオードであり、前記電子機器は、印刷プロセスにより、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に前記基材に適用される、ステップと、
少なくとも部分的に半透明である、前記印刷可能なカバー層を、前記電子機器上に適用するステップであって、前記カバー層は、前記光信号が前記半透明のカバー層で散乱されて投影スクリーンとして機能するように、少なくとも部分的に半透明であり、前記電子コンポーネントは1mm未満の厚みを有する、ステップ
を含む方法。
【請求項18】
請求項2に記載のシート状の電子コンポーネントを製造するための方法であって、
少なくとも部分的に半透明でありそして非導電性基材であるカバー層を用意するステップと、
・前記カバー層の前面および/または後面にキャップ層を適用するステップと、
・前記カバー層の前記後面または前記キャップ層に前記表示装置、前記エネルギ源、および前記導体トラックを備える電子機器を適用するステップであって、ここで、前記表示装置は有機発光ダイオードであり、前記電子機器は、印刷プロセスにより、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に前記基材に適用され、前記カバー層は、前記光信号が前記半透明のカバー層で散乱されて投影スクリーンとして機能するように、少なくとも部分的に半透明であり、前記電子コンポーネントは1mm未満の厚みを有する、ステップ
を含む方法。
【請求項19】
請求項1~14のいずれか一項に記載のシート状の電子コンポーネントが前記製品の表面に適用されていることを特徴とする製品。
【請求項20】
少なくとも部分的に半透明な材料の表面を備えており、該表面は、一方側にインプリントを有しており、光信号を生成するための表示装置、エネルギ源、および導体トラックを備える電子機器が、前記インプリントの反対側に適用され、ここで、前記表示装置は有機発光ダイオードであり、前記表面が前記電子機器のための少なくとも部分的に半透明のカバー層を表して、前記表示装置の前記光信号が少なくとも部分的に半透明な表面で散乱されて前記表示装置のための投影スクリーンとして機能して前記表面を介して視認することができるように、前記電子機器は、印刷プロセスにより、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に前記表面に適用されていることを特徴とする、製品。
【請求項21】
前記表面は、ボール紙および/または紙であり、前記表面は、接着剤による接着の助けを借りて段ボールに適用されていることを特徴とする請求項20に記載の製品。