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特開2024-12908自動取引装置、金融機関取引方法、金融機関取引システム、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012908
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】自動取引装置、金融機関取引方法、金融機関取引システム、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07F 19/00 20060101AFI20240124BHJP
   G06Q 20/18 20120101ALI20240124BHJP
   G07D 11/00 20190101ALI20240124BHJP
【FI】
G07F19/00
G06Q20/18
G07D11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114720
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】檜山 有紀
(72)【発明者】
【氏名】須田 広史
【テーマコード(参考)】
3E141
5L055
【Fターム(参考)】
3E141AA03
3E141AA07
3E141BA07
3E141BA18
3E141CB04
5L055AA39
(57)【要約】
【課題】複数の金融機関が共有して自動取引装置を設定することにより、設置費用や、運用費用の削減を図ることができる自動取引装置を提供すること。
【解決手段】ATM2は、金融機関情報読取部41と、接続先決定部42と、を備える。金融機関情報読取部41は、キャッシュカード5から金融機関情報を読み取る。接続先決定部42は、金融機関情報読取部41により読み取られた金融機関情報に基づいて、複数の金融機関ホストサーバ3-1~3~mの中から対応するホストサーバへの接続先を決定する。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体から金融機関情報を読み取る金融機関情報読取部と、
前記金融機関情報読取部により読み取られた前記金融機関情報に基づいて、複数の金融機関ホストサーバの中から対応するホストサーバへの接続先を決定する接続先決定部と、
を備えることを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記金融機関情報読取部は、前記媒体から、前記複数の金融機関を識別する金融機関コードを読み取り、
前記接続先決定部は、前記金融機関情報読取部により読み取られた前記金融機関コードに対応する回線情報と、プロトコル情報に基づいて、前記複数の金融機関ホストサーバの中から対応する金融機関のホストサーバへの接続先を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記回線情報には、接続先の前記ホストサーバのポート番号が少なくとも含まれる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記プロトコル情報には、接続先の前記ホストサーバの接続先プロトコル、NATルータ送信IPアドレス、IPアドレス、ポート番号のうち少なくとも1つ以上が含まれる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動取引装置。
【請求項5】
複数の金融機関のホストサーバと接続された自動取引装置の金融機関取引方法であって、前記自動取引装置が、
媒体から金融機関情報を読み取り、
読み取られた前記金融機関情報に基づいて、複数の金融機関ホストサーバの中から対応するホストサーバへの接続先を決定する
ことを特徴とする金融機関取引方法。
【請求項6】
複数の金融機関のホストサーバと、前記複数の金融機関のホストサーバと接続された自動取引装置と、を備える金融機関取引システムにおいて、
前記自動取引装置は、
媒体から金融機関情報を読み取る金融機関情報読取部と、
前記金融機関情報読取部により読み取られた前記金融機関情報に基づいて、複数の金融機関ホストサーバの中から対応するホストサーバへの接続先を決定する接続先決定部と、
を備えることを特徴とする金融機関取引システム。
【請求項7】
複数の金融機関のホストサーバと接続された自動取引装置のコンピュータに、
媒体から金融機関情報を読み取り、
読み取られた前記金融機関情報に基づいて、複数の金融機関ホストサーバの中から対応するホストサーバへの接続先を決定する
処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置、金融機関取引方法、金融機関取引システム、プログラム
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関などに広く普及して用いられているATM(automatic teller machine)などの自動取引装置は、金融機関ごとに設置されたホストサーバと直接接続されており、各金融機関は自前で必要数分の自動取引装置を設定している。
【0003】
例えば、中継センターを介して各提携金融機関のシステムにATMが接続する形態の共同ATMシステムにおいて、非提携取引用の画面コンテンツを各ATMの管理金融機関等によらずに統一するATMの技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-251806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、金融機関ごとに必要数分のATMを設置する場合、設置費用や運用費用が高騰し、各金融機関の負担が増大するという問題が生じている。
【0006】
また、任意に選択した金融機関の自動取引装置に他の金融機関のキャッシュカードを挿入し取引を行った場合、任意に選択した金融機関のホストサーバ(ホストコンピュータとも呼ぶ)を経由し、他の金融機関のホストサーバに接続して処理を行うこととなる。このため、金融機関間取引手数料が発生し、利用者がその分の手数料を負担しなければならないという問題もある。さらに、任意に選択した金融機関のATMに他の金融機関の通帳は印字できないという問題もある。
【0007】
本願発明は、上記課題に鑑み、複数の金融機関が共有して自動取引装置を設定することにより、設置費用や、運用費用の削減を図ることができる自動取引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の自動取引装置は、媒体から金融機関情報を読み取る金融機関情報読取部と、前記金融機関情報読取部により読み取られた前記金融機関情報に基づいて、複数の金融機関ホストサーバの中から対応するホストサーバへの接続先を決定する接続先決定部と、を備える。
【0009】
また、本発明の金融機関取引方法は、複数の金融機関のホストサーバと接続された自動取引装置の金融機関取引方法であって、前記自動取引装置が、媒体から金融機関情報を読み取り、読み取られた前記金融機関情報に基づいて、複数の金融機関ホストサーバの中から対応するホストサーバへの接続先を決定する。
【0010】
また、本発明の金融機関取引システムは、複数の金融機関のホストサーバと、前記複数の金融機関のホストサーバと接続された自動取引装置と、を備える。前記自動取引装置は、媒体から金融機関情報を読み取る金融機関情報読取部と、前記金融機関情報読取部により読み取られた前記金融機関情報に基づいて、複数の金融機関ホストサーバの中から対応するホストサーバへの接続先を決定する接続先決定部と、を備える。
【0011】
また、本発明のプログラムは、複数の金融機関のホストサーバと接続された自動取引装置のコンピュータに、媒体から金融機関情報を読み取り、読み取られた前記金融機関情報に基づいて、複数の金融機関ホストサーバの中から対応するホストサーバへの接続先を決定する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の金融機関が共有して自動取引装置を設定することにより、設置費用や、運用費用の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態における金融システムの構成の一例を示す図である。
図2】ATMのハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
図3】ホストサーバ3のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
図4】本実施の形態におけるATM2の機能構成の一例を示す図である。
図5】金融機関情報格納部50に格納された回線情報テーブル51の一例を示す図である。
図6】金融機関情報格納部50に格納された接続先決定テーブル52の一例を示す図である。
図7】ATM2がホストサーバへ接続する一例を示す概略図である。
図8】ATM2において実行される金融取引処理の一例を示すフローチャートである。
図9】ATM2において実行される金融取引処理のうち、回線事前確立処理について説明する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面にしたがって本実施の形態にかかる自動取引装置を含む金融システムについて説明する。図1は、本実施の形態における金融システム1の構成の一例を示す図である。
【0015】
金融システム1は、例えば、銀行、クレジットカード会社と提携している流通店舗、デパート又はスーパーマーケットなどで管理される紙幣や硬貨などの現金の入出金を行う自動取引装置に使用される。なお、金融システム1は、ATM等の現金の管理を行う自動取引装置において使用することもできる。以下では、自動取引装置として、ATMの例を説明する。なお、本説明において、現金とは、紙幣、硬貨に限らず、小切手、手形などの有価証券やチケットなどの金銭的価値のある媒体なども含まれる。
【0016】
金融システム1は、ATM2、m(m≧2)台の複数のホストサーバ3-1~3-m、NAT(NAT:Network Address Translation)ルータ4を有する。ATM2と各ホストサーバ3-1~3-mとはネットワークNを介して相互に接続されている。各ホストサーバ3-1~3-mは、ATM2で取引された現金の情報を管理する。各ホストサーバ3-1~3-mを特に区別して説明する必要がない場合には、以下「ホストサーバ3」という。なお、金融システム1は、図1に示していない他の構成を備えていてもよい。ATM2は、図1には1台のみ記載されているがこれに限られるものではなく、複数台備えてもよい。ホストサーバ3は、図1には2台のみ記載されているがこれに限られるものではなく、3台以上複数台備えてもよい。
【0017】
ホストサーバ3-1は、金融機関Aが保有するデータサーバである。したがって、通常は、A金融機関のホストサーバに対しては、利用者はA金融機関のキャッシュカード5-1を用いてATM2へアクセスすることにより、A金融機関のホストサーバ3-1との間で金融取引を行うことができる。
【0018】
同様に、ホストサーバ3-2は、金融機関Bが保有するデータサーバである。したがって、通常は、B金融機関のホストサーバに対しては、利用者はB金融機関のキャッシュカード5-2を用いてATM2へアクセスすることにより、B金融機関のホストサーバ3-2との間で金融取引を行うことができる。
【0019】
NATルータ4は、IPアドレスなどを変換して金融システム1におけるネットワークNと、各ホストサーバ3-1~3-mとを接続するルータ装置である。ネットワークNは、例えばCIDR記法を「192.168.1.0/24」とし、金融システム1内のATM2と、各ホストサーバ3-1~3-mと、NATルータ4とが属するネットワークである。
【0020】
なお、本実施の形態においては、ATM2とホストサーバ3との間で行われる返済取引、入金取引を含めて「預入取引」という。また、本実施の形態においては、ATM2とホストサーバ3との間で行われるキャッシング取引、出金取引を含めて「支払取引」という。
【0021】
ATM2で使用されるキャッシュカード5-1、5-2(以下、特に区別して説明しない場合には「キャッシュカード5」と呼ぶ)は、一例として、ATM2の利用者の銀行口座にかかる情報を磁気ストライプやIC(Integrated Circuit)チップなどに記憶する銀行カードである。銀行カードが記憶する記録データには、銀行コードなどの金融機関情報、店番、科目、口座番号などがある。金融機関情報については後述する。なお、キャッシュカード5の代わりに、通帳を用いてもよい。
【0022】
図2は、ATM2のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、ATM2は、ATM制御部10、記憶部11、通信部12、表示部13、入力部14、印字部15、無線通信部16、読取部17、報知部18および現金格納部19を有する。また、ATM2は、図2に示していない他の回路要素を備えていてもよい。
【0023】
ATM制御部10は、CPU(Central Processing Unit)などであり、ATM2の全体の動作を制御する。具体的には、ATM制御部10は、記憶部11に記憶されたプログラムを順次実行することで、図1のネットワークNを介して接続されるホストサーバ3などの外部機器との通信処理や、預入取引、支払取引、口座の認証、残高照会、決済などの取引処理を行う。
【0024】
記憶部11は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などを有する。記憶部11は、ATM制御部10が実行するプログラムなどの各種情報を記憶する。また、記憶部11は、ATM制御部10がプログラムを実行する際の作業領域を提供する。また、記憶部11は、金融機関情報が含まれる後述の回線情報テーブル、接続先決定テーブルを記憶する。
【0025】
通信部12は、ATM制御部10の制御のもと、金融システム1のネットワークNを介した通信を行う。ATM2は、通信部12による通信を行うことで、金融システム1のホストサーバ3-1~3-mとの間でデータの送受信を行う。
【0026】
表示部13は、ATM2の利用者に取引画面や、メッセージなどを表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの装置である。入力部14は、ATM2の利用者の操作入力を受け付ける装置である。本実施の形態においては、表示部13と入力部14とは、一体に形成されたタッチパネルにより構成されている。なお、表示部13と入力部14は、別体の装置であってもよい。印字部15は、取引処理の利用控えなどの明細をロール紙などの紙媒体に印字する装置である。
【0027】
無線通信部16は、ATM制御部10の制御のもと、NFC(Near Field Communication)などの近接無線通信を行う通信インターフェースである。無線通信部16は、例えば、ATM2筐体の入力部14近傍などに設けられており、ATM2の利用者がスマートフォンなどの携帯端末(図示しない)を近づけることにより、携帯端末との間で近接無線通信を行う。
【0028】
読取部17は、銀行カードやクレジットカードの磁気ストライプやICチップの読み取りを行う。報知部18は、ランプやスピーカなどであり、ATM2又は銀行カードやクレジットカードなどに異常があることを例えばATM2の管理者に報知する。また、報知部18は、通信部12を通じて、他のサーバに対し異常があることを報知してもよい。
【0029】
現金格納部19は、現金の入出力を行う装置である。現金格納部19は、それぞれ異なる金融機関が管理する少なくとも2以上のスタッカを有する。本実施の形態においては、現金格納部19は、2つのスタッカ20,21を有する。現金格納部19は、ATM2内の現金を金融機関毎に対応付けたスタッカ20,21毎に分けて管理する。また、1日単位で各金融機関と現金管理している金融機関とで取引金額を金融機関間の資金決済を行うことで、ひとつの金融機関でATM内現金を管理する方法、つまり、スタッカを金融機関毎に管理しないやり方でもよい。金融機関とは、金融取引に関する業務を営む組織をいい、銀行、信用金庫、クレジットカード会社等が含まれる。
【0030】
図3は、ホストサーバ3のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、ホストサーバ3は、ホストサーバ制御部30、記憶部31、表示部32、入力部33、および通信部34を有する。また、ホストサーバ3は、図3に示していない他の回路要素を備えていてもよい。
【0031】
ホストサーバ制御部30は、CPUなどであり、記憶部31のROMやHDDなどに記憶されたプログラムを記憶部31のRAMに展開して順次実行することで、ホストサーバ3全体の動作を制御する。記憶部31は、RAM、ROM、HDDなどであり、ホストサーバ制御部30が実行するプログラム、各種設定情報などを記憶する。
【0032】
表示部32は、たとえばLCDなどのディスプレイであり、ホストサーバ制御部30の制御のもとで各種情報を画面表示する。入力部33は、たとえばキーボード、マウスなどの入力インターフェースであり、ホストサーバ3の操作者の操作入力を受け付ける。通信部34は、ホストサーバ制御部30の制御のもと、金融システム1のネットワークNを介した通信を行う。ホストサーバ3は、通信部34による通信を行うことで、金融システム1のATM2との間でデータの送受信を行う。
【0033】
図4は、本実施の形態におけるATM2の機能構成の一例を示す図である。図4に示すように、ATM2のATM制御部10は、金融機関情報読取部41と、接続先決定部42と、を備える。また、ATM2のATM制御部10は、図4に示していない他の機能構成を備えていてもよい。記憶部11は、金融機関情報格納部50を備える。金融機関情報格納部50は、回線情報テーブル51と、接続先決定テーブル52と、を備える。また、記憶部11は、図4に示していないデータベース(DB)を備えていてもよい。ATM2は、コンピュータの機能を備えており、金融機関管理プログラムにしたがって後述する現金管理処理を実行する。
【0034】
図5は、金融機関情報格納部50に格納された回線情報テーブル51の一例を示す図である。回線情報テーブル51には、回線情報として、金融機関コード、自IPアドレス、着呼接続時ポート番号、NATルータIPアドレスを含む情報が格納されている。回線情報テーブル51には、図5に示していない他の回線情報を含めてもよい。金融機関コードの項目には、金融機関を識別する情報(金融機関コード)が格納される。自IPアドレスの項目には、各金融機関で共有して使用される自己の自動取引装置を示すIPアドレスが格納される。着呼時接続時ポート番号には、各金融機関のホストサーバ3から着呼する際に接続されるポート番号が格納される。NATルータIPアドレスには、NATルータ4を示すIPアドレスが格納される。
【0035】
ATM制御部10は、回線情報テーブル51に格納された金融機関コード、自IPアドレス、着呼接続時ポート番号、NATルータIPアドレス等の回線情報を参照することにより、各ホストサーバ3-1~3-mとの接続時にNATルータ4を介して直接に接続を行うことができる。したがって、金融機関コードより該金融機関のホストサーバ3へ接続する回線を判別し、ATM2より直接、中継センターなどを介さずに、該金融機関のホストサーバ3へ接続し、金融取引を行うことができる。
【0036】
図6は、金融機関情報格納部50に格納された接続先決定テーブル52の一例を示す図である。接続先決定テーブル52には、接続先情報として、金融機関コード、接続先プロトコル、NATルータ送信IPアドレス、HOST IPアドレス、HOSTポート番号を含む情報が格納されている。金融機関コードの項目には、金融機関を識別する情報(金融機関コード)が格納される。接続先プロトコルの項目には、金融機関コードに対応するホストサーバ3へ接続する際に用いられる接続プロトコルの情報が格納される。例えば、接続プロトコルとして、「NTTDオンラインマネージャ」、「LOOP on TCP/IP」、「SSL/TLS v1.2」などが格納されている。接続プロトコルは、図6に示したものに限られずその他のプロトコルであってもよい。NATルータ送信IPアドレスの項目には、金融機関コードに対応するホストサーバ3へ接続する際にNATルータ4で使用される送信元IPアドレスの情報が格納される。HOST IPアドレスの項目には、金融機関コードに対応するホストサーバ3のIPアドレスの情報が格納される。HOSTポート番号の項目には、金融機関コードに対応するホストサーバ3のポート番号の情報が格納される。
【0037】
ATM制御部10は、回線情報テーブル51に格納された金融機関コード、接続先プロトコル、NATルータ送信IPアドレス、HOST IPアドレス、HOSTポート番号等の接続先情報を参照することにより、各ホストサーバ3-1~3-mとの接続時にNATルータ4を介して直接に接続を行うことができる。したがって、金融機関コードより該金融機関のホストサーバ3へ接続するプロトコルを判別し、ATM2より直接、中継センターなどを介さずに、該金融機関のホストサーバ3へ接続し、金融取引を行うことができる。
【0038】
金融機関情報読取部41は、キャッシュカード5や通帳などの媒体から金融機関情報を読み取る。キャッシュカード5や通帳などのMS又はキャッシュカード5のICチップには、金融機関コード、口座番号を含む情報が格納されている。金融機関情報読取部41は、読取部17を介して、キャッシュカード5や通帳などの媒体から、金融機関コードや口座番号を含む金融機関情報を読み取る。金融機関情報読取部41は、キャッシュカード5や通帳などの媒体から、複数の金融機関を識別する金融機関コードを読み取ることができる。
【0039】
接続先決定部42は、金融機関情報読取部41により読み取られた金融機関情報に基づいて、複数の金融機関のホストサーバ3-1~3-mの中から対応するホストサーバ3への接続先を決定する。接続先決定部42は、金融機関情報読取部41により読み取られた金融機関コードに基づいて、対応する回線情報と、プロトコル情報と、に基づいて、複数の金融機関のホストサーバ3-1~3-mの中から対応する金融機関のホストサーバ3への接続先を決定する。
【0040】
図7を参照して、ATM2がホストサーバ3-1へ接続する場合の処理について説明する。図7は、ATM2がホストサーバへ接続する一例を示す概略図である。金融機関情報読取部41により読み取られた金融コードが「105」だった場合、ATM2は、図5の回線情報テーブル51を参照して、金融機関コード「105」に対応する自IPアドレスとして「150.150.0.101」を取得し、着呼接続時ポート番号として「1000」を取得し、NATルータIPアドレスとして「150.150.0.1」を取得する。ATM2は、取得した自IPアドレスとして「150.150.0.101」、着呼接続時ポート番号「1000」、NATルータIPアドレス「150.150.0.1」を用いてNATルータ4間での接続を行うことができる。
【0041】
さらに、ATM2は、図6の接続先決定テーブル52を参照して、金融機関コード「105」に対応する接続先プロトコルとして「NTTDオンラインマネージャ」を取得し、NATルータ送信IPアドレスとして「50.10.10.10」を取得し、HOST IPアドレスとして「50.0.0.1」を取得し、HOSTポート番号として、「20000」を取得する。ATM2は、取得した接続先プロトコル「NTTDオンラインマネージャ」を用いて、NATルータ送信IP「50.10.10.10」、HOST IPアドレス「50.0.0.1」、HOSTポート番号「20000」を介して、NATルータ4を介して、金融機関コード「105」に対応するホストサーバ3-1を接続先として決定して接続を行うことができる。
【0042】
次に、ATM2において実行される金融取引処理について説明する。図8は、ATM2において実行される金融取引処理の一例を示すフローチャートである。金融取引処理は、ATM2のATM制御部10により実行される。金融取引処理は、ATM2の取引時などに実行される。
【0043】
はじめに、ATM制御部10は、初期処理として回線事前確立処理を実行する(ステップS11)。回線事前確立処理とは、ATM2の初期起動時などにあらかじめ実行される処理である。
【0044】
図9は、ATM2において実行される金融取引処理のうち、回線事前確立処理について説明する。図9は、ATM2において実行される回線事前確立処理の一例を示すフローチャートである。回線事前確立処理は、ATM2のATM制御部10により実行される。回線事前確立処理は、ATM2の起動時など事前にホストサーバ3との間で回線を確立する際に実行される。回線事前確立処理は、回線を確立する事前処理として事前に実行してもよいし、実行しなくてもよい。
【0045】
はじめに、ATM制御部10は、図5で示す回線情報テーブル51を参照して、自IPアドレス、NATルータIPアドレスを取得する(ステップS21)。
【0046】
ATM制御部10は、図5で示す回線情報テーブル51を参照して、任意に選択した金融機関コードに対応する着呼接続時ポート番号を取得する(ステップS22)。
【0047】
ATM制御部10は、図6で示す接続先決定テーブルを参照して、ステップS22で選択した金融機関コードに対応する接続先プロトコル、NATルータ送信IPアドレス、HOST IPアドレス、HOSTポート番号を取得する(ステップS23)。取得した情報によりNATルータ4を介して、プライベートアドレスをグローバルアドレスへ変更することができる。
【0048】
ATM制御部10は、ステップS21~ステップS23で取得した各情報に基づいて該ホストサーバ3への回線確立電文を作成する(ステップS24)。
【0049】
ATM制御部10は、該ホストサーバ3へNATルータ4を経由して回線確立処理を行う(ステップS25)。回線確立処理では、ステップS24で作成した回線確立電文の送受信を行う。
【0050】
ATM制御部10は、図5で示す回線情報テーブルと図6で示す接続先決定テーブルの全ホストサーバへ回線確立処理は終了したか否かを判定する(ステップS26)。回線情報テーブルと接続先決定テーブルの全ホストサーバへ回線確立処理が終了していない場合(ステップS26:NO)には、ATM制御部10は、ステップS22の処理へ戻り、回線情報テーブルと図6で示す接続先決定テーブルの全ホストサーバへの回線確立処理が終了するまでの間、ステップS22~ステップS26の処理を繰り返し実行する。
【0051】
回線情報テーブルと接続先決定テーブルの全ホストサーバへ回線確立処理は終了した場合(ステップS26:YES)には、回線事前確立処理は終了となり、処理は図8のステップS12へ進む。
【0052】
ATM制御部10は、キャッシュカード5又は通帳などの媒体が挿入されたか否かを判定する(ステップS12)。キャッシュカード5又は通帳などの媒体がATM2へ挿入されていない場合(ステップS12:NO)には、キャッシュカード5又は通帳などの媒体が挿入されるまで処理は待機となる。
【0053】
キャッシュカード5又は通帳などの媒体が挿入された場合(ステップS12:YES)には、ATM制御部10は、読取部17を通じてキャッシュカード5や通帳の磁気ストライプ内情報又はIC内情報より、金融機関コードを読み出す(ステップS13)。
【0054】
ATM制御部10は、図5で示す回線情報テーブル51を参照して、ステップS13で読みだした金融機関コードに対応する着呼接続時ポート番号を取得する(ステップS14)。
【0055】
ATM制御部10は、図6で示す接続先決定テーブルを参照して、ステップS13で読みだした金融機関コードに対応する接続先プロトコル、NATルータ送信IPアドレス、HOST IPアドレス、HOSTポート番号を取得する(ステップS15)。取得した情報によりNATルータ4を介して、プライベートアドレスをグローバルアドレスへ変更することができる。
【0056】
ATM制御部10は、ステップS13~ステップS15で取得した各情報に基づいて該ホストサーバ3への取引電文を作成する(ステップS16)。
【0057】
ATM制御部10は、該ホストサーバ3へNATルータ4を経由して取引処理を行う(ステップS17)。取引処理では、ステップS16で作成した取引電文の送受信を行い、ATM2とホストサーバ3間で金融取引を行う。なお、取引処理において、ATM制御部10は、ステップS13で読みだした金融機関のUIに応じた取引画面を表示部13に表示してもよい。
【0058】
ATM制御部10は、本日の営業は終了したか否かを判定する(ステップS18)。営業の終了は、終了時間や日時、曜日などで判定することができる。本日の営業は終了していない場合(ステップS18:NO)には、処理はステップS12へ戻り、本日の営業が終了したと判定されるまでの間、ステップS12~ステップS18の処理が繰り返し実行される。本日の営業は終了した場合(ステップS18:YES)には、ATM制御部10は、終了処理を行い(ステップS19)、金融取引処理は終了となる。
【0059】
以上に説明したように、任意に選択した金融機関の自動取引装置に他の金融機関のキャッシュカードを挿入し取引を行った場合であっても、任意に選択した金融機関のホストサーバを経由せずに、直接に該当する金融機関のホストサーバに接続して処理を行うことができる。このため、金融機関間取引手数料の発生を抑止し、利用者の手数料の負担を軽減することができる。したがって、複数の金融機関が共有して自動取引装置を設定することができ、その結果、設置費用や、運用費用の削減を図ることができる。
【0060】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用ができることはもちろんである。
【符号の説明】
【0061】
1 :金融システム
3、3-1~3~m :ホストサーバ
4 :NATルータ
5、5-1、5-2 :キャッシュカード
10 :ATM制御部
11 :記憶部
12 :通信部
13 :表示部
14 :入力部
15 :印字部
16 :無線通信部
17 :読取部
18 :報知部
19 :現金格納部
20 :スタッカ
21 :スタッカ
30 :ホストサーバ制御部
31 :記憶部
32 :表示部
33 :入力部
34 :通信部
41 :金融機関情報読取部
42 :接続先決定部
50 :金融機関情報格納部
51 :回線情報テーブル
52 :接続先決定テーブル
N :ネットワーク
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