(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129109
(43)【公開日】2024-09-26
(54)【発明の名称】トリグリセリドの固体組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/22 20060101AFI20240918BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240918BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20240918BHJP
A23L 33/115 20160101ALI20240918BHJP
A61K 47/14 20170101ALN20240918BHJP
【FI】
A61K31/22
A61P3/00
A61P39/06
A23L33/115
A61K47/14
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024106876
(22)【出願日】2024-07-02
(62)【分割の表示】P 2022080251の分割
【原出願日】2014-11-14
(31)【優先権主張番号】61/904,369
(32)【優先日】2013-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】516134291
【氏名又は名称】ウルトラジェニクス ファーマシューティカル インク.
【氏名又は名称原語表記】ULTRAGENYX PHARMACEUTICAL INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(72)【発明者】
【氏名】クロップ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】モリス ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】カッキス エミル
(72)【発明者】
【氏名】ジャングルス スティーブン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】下痢等の副作用のない、脂肪酸酸化異常または不全の治療に用いるための、高純度のトリヘプタノインオイル組成物を提供する。
【解決手段】98%w/wより高い純度を有するトリヘプタノインオイルを活性成分として含有する、経口投与用に形成された医薬品組成物であって、前記トリヘプタノインオイルが、0.2%w/w以下の水分を含み、グリセロールが検出不可であり、前記トリヘプタノインオイルが、0.01w/w~1.5%w/wのジヘプタノエート、及び1.0%w/w以下のヘキサノ-ジヘプタノエートを含有し、前記ジヘプタノエートとヘキサノ-ジヘプタノエートとの含有量の合計がトリヘプタノインオイルの2%w/w未満であり、モノヘプタノエートが検出不可であり、かつ前記組成物が、Ph.Eur.2.2.28により測定したトリヘプタノインオイルの分析価が95%~103%の範囲である、医薬品組成物である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
98%w/wより高い純度を有するトリヘプタノインオイルを活性成分として含有する、経口投与用に形成された医薬品組成物であって、
前記トリヘプタノインオイルが、0.2%w/w以下の水分を含み、グリセロールが検出不可であり、
前記トリヘプタノインオイルが、0.01w/w~1.5%w/wのジヘプタノエート、及び1.0%w/w以下のヘキサノ-ジヘプタノエートを含有し、
前記ジヘプタノエートとヘキサノ-ジヘプタノエートとの含有量の合計がトリヘプタノインオイルの2%w/w未満であり、
モノヘプタノエートが検出不可であり、かつ
前記組成物が、Ph.Eur.2.2.28により測定したトリヘプタノインオイルの分析価が95%~103%の範囲である、
医薬品組成物。
【請求項2】
トリヘプタノインオイルが、0.04%w/w未満の水分を含有する、請求項1に記載の医薬品組成物。
【請求項3】
トリヘプタノインオイルが、0.01%w/w未満の灰分を更に含有する、請求項1又は2に記載の医薬品組成物。
【請求項4】
組成物中のジヘプタノエートとヘキサノ-ジヘプタノエートとの合計量が1.3%w/w以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
【請求項5】
トリヘプタノインオイルが、98.5%w/wより高い純度を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
【請求項6】
トリヘプタノインオイルが、0.05%w/w~0.7%w/wのジヘプタノエートを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
【請求項7】
ヒ素、カドミウム、鉛及び水銀が検出不可である、請求項1~6のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
【請求項8】
トリヘプタノインオイルが、0.7%w/w以下のジヘプタノエート及び0.4%w/w以下のヘキサノ-ジヘプタノエートを含有し、かつ
トリヘプタノインオイルが1.3%w/w以下の量の全不純物を含有する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
【請求項9】
98%w/wより高い純度を有するトリヘプタノインオイルを活性成分として含有する、経口投与用に形成された医薬品組成物であって、
前記トリヘプタノインオイルが、0.2%w/w以下の水分を含み、グリセロールが検出不可であり、
前記トリヘプタノインオイルが、0.01w/w~1.5%w/w以下のジヘプタノエート、1.0%w/w以下のヘキサノ-ジヘプタノエートを含有し、
前記ジヘプタノエートとヘキサノ-ジヘプタノエートとの含有量の合計がトリヘプタノインオイルの2%w/w未満であり、かつ
モノヘプタノエートが検出不可である、
医薬品組成物。
【請求項10】
対象の脂肪酸酸化異常または不全の治療に用いるための請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬品組成物であって、
前記医薬品組成物が、治療に有効な量で前記対象に経口投与するためのものである、
医薬品組成物。
【請求項11】
請求項10で用いるための医薬品組成物であって、
脂肪酸酸化異常または不全が、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI、カルニチンアシルカルニチントランスロカーゼ、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼII、極長鎖アシルCoA脱水素酵素、三頭酵素、又は長鎖ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素の欠損である、
医薬品組成物。
【請求項12】
組成物が、食品、飲料、又はその他の食用組成物と同時投与される、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
組成物が、食品、飲料、又はその他の食用組成物と同時投与される、請求項10又は11で用いるための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年11月14日に出願の米国仮特許出願第61/904,369号の利益を主張するものであり、この出願全体は参照により本明細書に包含される。
【0002】
本発明は、トリヘプタノイン及びグリセロールフェニルブチレートなどの、1種または2種以上の脂肪酸とのトリグリセリドの固体組成物、及びその治療目的の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
例えばトリヘプタノインなどのトリグリセリド薬の現在の投薬形態は、オイル粘度の液体である。その物理的特性及び生理的特性のため、液体の投薬形態に関連して複数の問題が存在する。第一に、オイルなどの液体の投薬形態は食品や飲料との混和性が低いため、投与することが困難である。第二に、オイルの製剤は取り扱い、運搬、調合が困難である。更に、投与の際、オイル組成物は胃の中で迅速に加水分解及び放出されて、胃の不調、胃内滞留を生じさせ、またガストリンが関係する胃痙攣及び嘔吐が起こりうる。加えて、オイルの製剤は油滴の再形成による、及び鉱油のような過度の潤滑が生じることによる、下痢が生じる場合もある。オイルを繰り返し投与すると、患者の中には胃へのストレスを感じる者もおり、このストレスは嘔吐及び/または下痢を生じさせる。そのため、オイル形態の認容性は用量制限毒性となるあるいは副作用をもたらす場合があり、そして投与可能な量が減ることで、脂肪酸酸化異常もしくは不全(FAOD)、成人ポリグルコサン小体病、ミトコンドリア脂肪酸酸化異常症、糖原病、ミトコンドリア脳筋症、グルコーストランスポーター1(GLUT1)欠損症、または他の関連する疾患に対する治療効果に悪影響を与えるであろう。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、特に、ポリオールと1種または2種以上の脂肪酸とから誘導される、活性物質としてのエステルと、固体物質とを含有する固体組成物に関する。エステルの例としては、1種または2種以上の脂肪酸とのトリグリセリドが本発明における使用に好適である。
【0005】
1つの態様では、本発明は、1種または2種以上の奇数炭素数脂肪酸との活性成分としてのトリグリセリドと、固体物質とを含有する固体組成物であって、活性成分が98%より高い純度を有しており、1種または2種以上の奇数炭素数脂肪酸が、C5、C7、C9、C11、C13、C15、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、固体組成物が少なくとも約50重量%のトリグリセリドを含有する、固体組成物を提供する。本発明は、複数の固体粒子を含む固体組成物であって、各粒子は固体物質上に吸着された活性物質として、1種または2種以上の奇数炭素数脂肪酸とのトリグリセリドを含有しており、活性成分は98%より高い純度を有しており、1種または2種以上の奇数炭素数脂肪酸が、C5、C7、C9、C11、C13、C15、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、固体組成物が少なくとも約50重量%のトリグリセリドを含有する、固体組成物も提供する。
【0006】
別の態様では、本発明は、1種または2種以上のフェニルアルカン酸及び/またはフェニルアルケン酸との活性成分としてのトリグリセリドと、固体物質とを含有する固体組成物であって、活性成分が95%より高い純度を有しており、固体組成物が少なくとも約50重量%のトリグリセリドを含有する、固体組成物を提供する。本発明は、複数の固体粒子を含む固体組成物であって、各粒子は固体物質上に吸着された活性物質として、1種ま
たは2種以上のフェニルアルカン酸及び/またはフェニルアルケン酸とのトリグリセリドを含有しており、活性成分は95%より高い純度を有しており、固体組成物が少なくとも約50重量%のトリグリセリドを含有する、固体組成物も提供する。
【0007】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、組成物の重量基準で少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、または約90%の活性成分を含有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、固体物質には固体担体が含まれる。固体担体はフュームドシリカであってもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、固体担体はSiO2、TiO2、Al2O3、ゼオライト、Cab-O-Sil、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0009】
固体物質は、1種または2種以上の徐放性ポリマーを更に含有していてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、徐放性ポリマーは、膜形成性の非水溶性ポリマーである。膜形成性の非水溶性ポリマーは、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート(低分子量、中間分子量、または高分子量)、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルローストリアセテート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリ(エチレン)、低密度ポリ(エチレン)、高密度ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリウレタン、またはこれらの混合物からなる群から選択することができる。ある実施形態では、膜形成性の非水溶性ポリマーはセルロースアセテートである。
【0011】
いくつかの実施形態では、徐放性ポリマーには、1種または2種以上のpH依存性ポリマーが含まれる。pH依存性ポリマーは、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(ヒプロメロースアセテートサクシネート)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマー、アルギン酸塩、ステアリン酸、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、固体組成物は組成物の重量基準で約50~約80重量%の活性成分と、約10~約30重量%の固体担体と、約10~約30重量%の徐放性ポリマーとを含有する。いくつかの実施形態では、活性成分と固体担体と徐放性ポリマーは、重量比で約2:1:1である。
【0013】
本発明にかかる固体組成物は、粉末の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、粉末は平均直径約10ミクロン未満の粒子を含む。粒子は約9ミクロン未満、約8ミクロン未満、約7ミクロン未満、約6ミクロン未満、約5ミクロン未満、約4ミクロン未満、約3ミクロン未満、約2ミクロン未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約290nm未満、約280nm未満、約270nm未満、約260nm未満、約250nm未満、約240nm未満、約230nm未満、約220nm
未満、約210nm未満、約200nm未満、約190nm未満、約180nm未満、約170nm未満、約160nm未満、約150nm未満、約140nm未満、約130nm未満、約120nm未満、約110nm未満、約100nm未満、約90nm未満、約80nm未満、約70nm未満、約60nm未満、約50nm未満、約40nm未満、約30nm未満、約20nm未満、約10nm未満、約9nm未満、約8nm未満、約7nm未満、約6nm未満、または約5nm未満の平均直径を有していてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、固体物質は少なくとも20m2/gの表面積を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、固体粒子は、1種または2種以上の奇数炭素数脂肪酸との活性成分としてのトリグリセリドと、固体物質とを含有する噴霧用懸濁液を噴霧乾燥することによって形成される。
【0016】
本発明にかかる固体組成物は、7個の炭素の脂肪酸とのトリグリセリドを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、固体組成物は、C5、C9、C11、C13、C15、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、1種または2種以上の奇数炭素数脂肪酸とのトリグリセリドを更に含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、トリグリセリドは活性成分として約98%より多い純粋グリセロールトリヘプタノエートを含有するトリヘプタノインオイルである。トリヘプタノインオイルは、1%w/w未満の非C7トリグリセリドまたは非C7トリグリセリドの組み合わせを含んでいていてもよい。
【0018】
本発明にかかる固体組成物は、薬学的に許容できる賦形剤を更に含有していてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、密封容器に梱包された際、相対湿度約60%で約25℃に約4週間おかれた後に97%より高い純度を有する活性成分を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、密封容器に梱包された際、相対湿度約60%で約25℃に約4週間おかれた後に1.0重量%以下の含水量を有する。いくつかの実施形態では、固体組成物は、密封容器に梱包された際、相対湿度約60%で約25℃に約4週間おかれた後に98%より高い純度を有する活性成分を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、密封容器に梱包された際、相対湿度約60%で約25℃に約4週間おかれた後に0.5重量%以下の含水量を有する。いくつかの実施形態では、固体組成物は、密封容器に梱包された際、相対湿度約60%で約25℃に約4週間おかれた後に99%より高い純度を有する活性成分を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、密封容器に梱包された際、相対湿度約60%で約25℃に約4週間おかれた後に0.35重量%以下の含水量を有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、密封容器に梱包された際、相対湿度約75%で約40℃に約4週間おかれた後に97%より高い純度を有する活性成分を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、密封容器に梱包された際、相対湿度約75%で40℃に約4週間おかれた後に1.0重量%以下の含水量を有する。いくつかの実施形態では、固体組成物は、密封容器に梱包された際、相対湿度約75%で約40℃に約4週間おかれた後に98%より高い純度を有する活性成分を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、密封容器に梱包された際、相対湿度約75%で40℃に約4週間おかれた後に0.5重量%以下の含水量を有する。いくつかの実施形態では、固体組成物は、密封容器に梱包された際、相対湿度約75%で約40℃に約4週間おかれた後に99%より高い純度を有する活性成分を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、密封容器に梱包された際、相対湿度約75%で40℃に約4週間おかれた後に0.45重量%以下の含水量を有する。
【0021】
本発明は、治療に有効な量の本発明にかかる固体組成物を患者に経口投与することを含む、患者の病気、不調、または疾患の治療方法であって、病気、不調、または疾患が、脂肪酸酸化異常もしくは不全、成人ポリグルコサン小体病、ミトコンドリア脂肪酸酸化異常症(例えばカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼII、カルニチンアシルカルニチントランスロカーゼ、極長鎖アシルCoA脱水素酵素、三頭酵素、長鎖ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素、マルチプルアシルCoA脱水素酵素、短鎖アシルCoA脱水素酵素、アルファグルコシダーゼ、分枝酵素、脱分枝酵素、筋ホスホリラーゼ、及びホスホフルクトキナーゼ関連)、糖原病(例えば糖原病II型)、グルコーストランスポーター1(GLUT1)欠損症、及びミトコンドリア脳筋症のうちの任意の1つ以上から選択されるものである、治療方法を提供する。
【0022】
また、治療に有効な量の本発明にかかる固体組成物を患者に経口投与することを含む、患者の病気、不調、または疾患の治療方法であって、病気、不調、または疾患が、尿素サイクル異常症(UCD)及び肝性脳症(HE)のうちの任意の1つ以上から選択されるものである、治療方法も提供される。
【0023】
いくつかの実施形態では、固体組成物は食品、飲料、または食用組成物と同時投与される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノインオイルを1日目に投与した後のトリヘプタノインとヘプタノエートの代謝物薬物動態(PK)プロファイルである。
【
図2】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノイン粉末-ERを1日目に投与した後のトリヘプタノインとヘプタノエート代謝物PKプロファイルである。
【
図3】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノイン粉末を1日目に投与した後のトリヘプタノインとヘプタノエート代謝物PKプロファイルである。
【
図4】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノインオイル、粉末、及び粉末-ERを1日目に投与した後の、ヘプタノエートの48時間まで(左)または8時間まで(右)の代謝物PKプロファイルである。
【
図5】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノイン粉末-ERを1日目に投与した後のβ-ヒドロキシ酪酸(C4-OH)及びβ-ヒドロキシ吉草酸(C5-OH)の代謝物PKプロファイルである。
【
図6】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノインオイルを1日目に投与した後のβ-ヒドロキシ酪酸(C4-OH)及びβ-ヒドロキシ吉草酸(C5-OH)の代謝物PKプロファイルである。
【
図7】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノイン粉末を1日目に投与した後のβ-ヒドロキシ酪酸(C4-OH)及びβ-ヒドロキシ吉草酸(C5-OH)の代謝物PKプロファイルである。
【
図8】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノインオイル、粉末、及び粉末-ERを1日目に投与した後の、β-ヒドロキシ酪酸(C4-OH)の48時間まで(左)または8時間まで(右)の代謝物PKプロファイルである。
【
図9】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノインオイル、粉末、及び粉末-ERを1日目に投与した後の、β-ヒドロキシ吉草酸(C5-OH)の48時間まで(左)または8時間まで(右)の代謝物PKプロファイルである。
【
図10】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノイン粉末-ERを1日目に投与した後のアスパラギン酸塩の代謝物PKプロファイルである。
【
図11】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノインオイルを1日目に投与した後のアスパラギン酸塩の代謝物PKプロファイルである。
【
図12】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノイン粉末を1日目に投与した後のアスパラギン酸塩の代謝物PKプロファイルである。
【
図13】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノイン粉末-ERを1日目に投与した後のグルタミン酸塩の代謝物PKプロファイルである。
【
図14】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノインオイルを1日目に投与した後のグルタミン酸塩の代謝物PKプロファイルである。
【
図15】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノイン粉末を1日目に投与した後のグルタミン酸塩の代謝物PKプロファイルである。
【
図16】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノイン粉末-ERを1日目に投与した後のピメリン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸塩、及びプロピオニルグリシンの、代謝物PKプロファイルである。
【
図17】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノインオイルを1日目に投与した後のピメリン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸塩、及びプロピオニルグリシンの、代謝物PKプロファイルである。
【
図18】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノイン粉末を1日目に投与した後のピメリン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸塩、及びプロピオニルグリシンの、代謝物PKプロファイルである。
【
図19】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノイン粉末-ERを1日目に投与した後の平均エネルギー代謝物及びその他の代謝物のプロファイルである。
【
図20】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノインオイルを1日目に投与した後の平均エネルギー代謝物及びその他の代謝物のプロファイルである。
【
図21】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノイン粉末を1日目に投与した後の平均エネルギー代謝物及びその他の代謝物のプロファイルである。
【
図22】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノインオイルを1日目及び7日目に投与した後のヘプタン酸の代謝物PKプロファイルである。
【
図23】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノインオイル、粉末、及び粉末-ERを1日目及び7日目に投与した後のC4-ヒドロキシの代謝物PKプロファイルである。
【
図24】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノインオイル、粉末、及び粉末-ERを1日目及び7日目に投与した後のC5-ヒドロキシの代謝物PKプロファイルである。
【
図25】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノインオイル、粉末、及び粉末-ERを1日目及び7日目に投与した後のアスパラギン酸の代謝物PKプロファイルである。
【
図26】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノインオイル、粉末、及び粉末-ERを1日目及び7日目に投与した後のグルタミン酸の代謝物PKプロファイルである。
【
図27】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノインオイル、粉末、及び粉末-ERを1日目及び7日目に投与した後のピメリン酸の代謝物PKプロファイルである。
【
図28】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノインオイル、粉末、及び粉末-ERを1日目及び7日目に投与した後の3-ヒドロキシプロピオン酸塩の代謝物PKプロファイルである。
【
図29】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノインオイル、粉末、及び粉末-ERを1日目及び7日目に投与した後のプロピオニルグリシンの代謝物PKプロファイルである。
【
図30】雌雄混合のミニブタにトリヘプタノインオイル、粉末、及び粉末-ERを1日目及び7日目に投与した後の全ての代謝物合計のPKプロファイルである。
【
図31】雄及び雌のミニブタにトリヘプタノイン粉末及び粉末-ERを1日目及び7日目に投与した後のC4-ヒドロキシの代謝物PKプロファイル(オイル投与に対する比率)である。
【
図32】雄及び雌のミニブタにトリヘプタノイン粉末及び粉末-ERを1日目及び7日目に投与した後のC5-ヒドロキシの代謝物PKプロファイル(オイル投与に対する比率)である。
【
図33】雄及び雌のミニブタにトリヘプタノイン粉末及び粉末-ERを1日目及び7日目に投与した後のヘプタン酸の代謝物PKプロファイル(オイル投与に対する比率)である。
【
図34】雄及び雌のミニブタにトリヘプタノイン粉末及び粉末-ERを1日目及び7日目に投与した後のピメリン酸の代謝物PKプロファイル(オイル投与に対する比率)である。
【
図35】雄及び雌のミニブタにトリヘプタノイン粉末及び粉末-ERを1日目及び7日目に投与した後のグルタル酸の代謝物PKプロファイル(オイル投与に対する比率)である。
【
図36】雄及び雌のミニブタにトリヘプタノイン粉末及び粉末-ERを1日目及び7日目に投与した後のアスパラギン酸の代謝物PKプロファイル(オイル投与に対する比率)である。
【
図37】雄及び雌のミニブタにトリヘプタノイン粉末及び粉末-ERを1日目及び7日目に投与した後のグルタミン酸の代謝物PKプロファイル(オイル投与に対する比率)である。
【
図38】雄及び雌のミニブタにトリヘプタノイン粉末及び粉末-ERを1日目及び7日目に投与した後のアラニンの代謝物PKプロファイル(オイル投与に対する比率)である。
【
図39】雄及び雌のミニブタにトリヘプタノイン粉末及び粉末-ERを1日目及び7日目に投与した後の3-ヒドロキシプロピオン酸塩の代謝物PKプロファイル(オイル投与に対する比率)である。
【
図40】雄及び雌のミニブタにトリヘプタノイン粉末及び粉末-ERを1日目及び7日目に投与した後のプロピオニルグリシンの代謝物PKプロファイル(オイル投与に対する比率)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明にかかる固体組成物は、ポリオールと1種または2種以上の脂肪酸とから誘導される活性成分としてのエステルと、固体物質とを含有する。用語「ポリオール」は、2つ以上のヒドロキシル基を含むアルコールを意味する。ポリオールの例としては、ジオール(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、及びレゾルシノール)、トリオール(例えばグリセロール及びエタン-1,1,2-トリオール)、テトラオール(例えばペンタエリスリトール)、及び糖アルコール(例えばマルチトール、ソルビトール、キシリトール、及びエリスリトール)が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、ポリオールはグリセロールである。
【0026】
ある実施形態では、本発明の固体組成物は、向上した物理的特性と生理学的特性の両方を備えた医薬製剤として特に有用である。ある実施形態では、固体組成物は、食品、飲料、または他の食用組成物と容易に混和されることから、より容易に投与される。ある別の実施形態では、粉末または顆粒の剤形などの固体組成物は、より持ち運び易く、また普段の使用時または旅行中の取り扱い及び投薬がより容易である。ある別の実施形態では、固体組成物は貯蔵中により安定であり、また製造及び商品化時の取り扱い及び輸送がより容易である。ある別の実施形態では、固体組成物は、味がマスキングされている場合があり、また向上した用量認容性を有している場合があり、また副作用が低減されている場合がある。ある別の実施形態では、例えば粉末剤形などの固体組成物は、胃の不調、胃部不快感、または胃痙攣を抑えつつ胃の中で徐々に放出される特性を有する。ある別の実施形態では、固体組成物は、そのゆっくりとした放出及び安定化された物理的存在のため、消化管の過剰な潤滑をもたらすオイルによる下痢を引き起こさず、消化管通過時により良い及びより完全な消化が可能である。ある別の実施形態では、活性成分オイルが固体物質の表面に吸着されている複数の粒子を含む固体組成物は、それによって基材粒子上のオイルの表面積が増大されている。このようなオイル表面積の増加は、各投薬の吸収効率を高め、それによって効能が高められると同時に下痢を抑えることができる。ある実施形態では、固体組成物は胃へのストレス及び他の副作用を抑え、治療効果を高め、また患者コンプラ
イアンスを改善することができる。ある別の実施形態では、固体組成物は胃と下痢の認容性に関する問題を低減することができ、それによってトリヘプタノインの一日当たりの用量を高めることができ、また大きい表面積の消化管中の懸濁安定化された粒子によってより良好かつより完全に消化及び吸収させることができる。
【0027】
トリグリセリド固体組成物
本発明では、「トリグリセリド」とはグリセロールと1種または2種以上の脂肪酸とから誘導されるエステルのことをいう。脂肪酸は、任意選択的に置換されていてもよいアルキル、任意選択的に置換されていてもよいアルケニル、または任意選択的に置換されていてもよいアリールである炭素鎖を有していてもよい。
【0028】
それ自体または別の置換基の一部としての「アルキル」は、元となるアルカンの1つの炭素原子から1つの水素原子を取り除くことによって得られる飽和の分岐、直鎖、または環状の一価炭化水素ラジカルのことをいう。用語「アルキル」には、本明細書の以下で定義するように「シクロアルキル」も含まれる。典型的なアルキル基としては、メチル;エチル;プロパン-1-イルやプロパン-2-イル(イソプロピル)やシクロプロパン-1-イルなどのプロピル;ブタン-1-イルやブタン-2-イル(sec-ブチル)や2-メチル-プロパン-1-イル(イソブチル)や2-メチル-プロパン-2-イル(t-ブチル)やシクロブタン-1-イル等などのブタニル;などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルキル基は1~20個の炭素原子を含む(C1~C20アルキル)。別の実施形態では、アルキル基は1~10個の炭素原子を含む(C1~C10アルキル)。また別の実施形態では、アルキル基は1~6個の炭素原子を含む(C1~C6アルキル)か、1~4個の炭素原子を含む(C1~C4アルキル)。C1~C6アルキルは「低級アルキル」としても知られている。
【0029】
それ自体または別の置換基の一部としての「アルケニル」は、元となるアルケンの1つの炭素原子から1つの水素原子を取り除くことによって得られる、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和の分岐、直鎖、または環状の一価炭化水素ラジカルのことをいう。用語「アルケニル」には、本明細書の以下で定義するように、「シクロアルケニル」も含まれる。置換基は、二重結合についてcisとtransの配座のいずれであってもよい。典型的なアルケニル基としては、エテニル;プロプ-1-エン-1-イルやプロプ-1-エン-2-イルやプロプ-2-エン-1-イル(アリル)やプロプ-2-エン-2-イルやシクロプロプ-1-エン-1-イルやシクロプロプ-2-エン-1-イルなどのプロペニル;ブト-1-エン-1-イルやブト-1-エン-2-イルや2-メチル-プロプ-1-エン-1-イルやブト-2-エン-1-イルやブト-2-エン-1-イルやブト-2-エン-2-イルやブタ-1,3-ジエン-1-イルやブタ-1,3-ジエン-2-イルやシクロブト-1-エン-1-イルやシクロブト-1-エン-3-イルやシクロブタ-1,3-ジエン-1-イル等などのブテニル;などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルケニル基は2~20個の炭素原子を含む(C2~C20アルケニル)。別の実施形態では、アルケニル基は2~10個の炭素原子を含む(C2~C10アルケニル)。また別の実施形態では、アルケニル基は2~6個の炭素原子を含む(C2~C6アルケニル)か、2~4個の炭素原子を含む(C2~C4アルケニル)。C2~C6アルケニルは「低級アルケニル」としても知られている。
【0030】
それ自体または別の置換基の一部としての「アリール」は、本明細書で定義されるように、元となる芳香環系の1つの炭素原子から1つの水素原子を取り除くことによって得られる、一価の芳香族炭化水素基のことをいう。典型的なアリール基としては、アセアントレリン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセ
ン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ-2,4-ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどから誘導される基が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アリール基は6~20個の炭素原子を含む(C6~C20アリール)。別の実施形態では、アリール基は6~15個の炭素原子を含む(C6~C15アリール)。また別の実施形態では、アリール基は6~10個の炭素原子を含む(C6~C10アリール)。ある特定の実施形態では、アリール基はフェニル基を含む。
【0031】
用語「置換された」は、当該技術分野で一般的な1種または2種以上の置換基を特に想定及び考慮している。しかし、通常は、化合物の有用な特性に悪影響を与えないように、あるいはその機能を不利に妨げないように、置換基を選択するべきであることが当業者に理解される。好ましい置換基としては、例えばハロゲン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、オキソ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アルコキシ基、アリールまたはヘテロアリール基、アリールオキシまたはヘテロアリールオキシ基、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル基、アリールアルコキシまたはヘテロアリールアルコキシ基、アミノ基、アルキル-及びジアルキルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シクロアルキル基、シアノ基、C1~C6アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、ケト基、アシル基、ボロネートまたはボロニル基、ホスフェートまたはホスホニル基、スルファミル基、スルホニル基、スルフィニル基、並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。「置換されたアリールアルキル」などの置換された組み合わせの場合、アリール基とアルキル基のうちのいずれが置換されていてもよく、あるいはアリール基とアルキル基の両方が1つ以上の置換基で置換されていてもよい。更に、いくつかの場合では、好ましい置換基が結合して当業者に公知の1つ以上の環を形成していてもよい。
【0032】
用語「任意選択的に置換されていてもよい」は、置換基(類)が存在すること、または存在していないことを表す。すなわち、これは「置換または非置換」を意味する。例えば、任意選択的に置換されていてもよいアルキルには、非置換のアルキルと置換アルキルの両方が含まれる。特定の基を置換するために使用される置換基は、典型的には上述した様々な基から選択される1つ以上の同じまたは異なる基で、更に置換されていてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、トリグリセリドは、グリセロールと、C5、C7、C9、C11、C13、及びC15の奇数炭素数脂肪酸から独立に選択される3つの脂肪酸とから誘導されるエステルである。いくつかの実施形態では、トリグリセリドは、グリセロールと、フェニルアルカン酸及びフェニルアルケン酸から独立に選択される3つの脂肪酸とから誘導されるエステルである。
【0034】
本発明は、一つには、C5、C7、C9、C11、C13、C15、及びこれらの任意の組み合わせなどの1種または2種以上の奇数炭素数脂肪酸との、食品グレードより高い純度のトリグリセリドが、固体物質と配合されて固体組成物を形成できることの発見に基づくものである。ある実施形態では、固体組成物は少なくとも約50重量%のトリグリセリドを含有しており、これは固体物質と配合される前は固体の形態であってもオイルの形態であってもよい。ある実施形態では、トリグリセリドは、固体物質と配合されて固体成物を形成する前はオイルである。
【0035】
ある実施形態では、本発明は、1種または2種以上の奇数炭素数脂肪酸との活性成分と
してのトリグリセリドと、固体物質とを含有する固体組成物であって、活性成分が98%より高い純度を有しており、1種または2種以上の奇数炭素数脂肪酸が、C5、C7、C9、C11、C13、C15、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、固体組成物が少なくとも約50重量%のトリグリセリドを含有する、固体組成物を提供する。ある実施形態では、トリグリセリドは、グリセロールと、C5、C7、C9、C11、C13、及びC15の奇数炭素数脂肪酸から独立に選択される3つの脂肪酸とから誘導されるエステルである。ある具体的な実施形態では、トリグリセリドは、グリセロールと、3つのC7脂肪酸とから誘導されるエステル、すなわちトリヘプタノインである。ある実施形態では、固体組成物は、7個の炭素の脂肪酸とのトリグリセリドを含有する。別の実施形態では、固体組成物は、C5、C9、C11、C13、C15、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種または2種以上の奇数炭素数脂肪酸とのトリグリセリドを更に含有する。別の実施形態では、7個の炭素の脂肪酸とのトリグリセリドは、活性成分として約98%より高い純度のグリセロールトリヘプタノエートを含有するトリヘプタノインオイルである。
【0036】
いくつかの実施形態では、本発明は、1種または2種以上のフェニルアルカン酸及び/またはフェニルアルケン酸との活性成分としてのトリグリセリドと、固体物質とを含有する固体組成物であって、活性成分が95%より高い純度を有しており、固体組成物が少なくとも約50重量%のトリグリセリドを含有する、固体組成物を提供する。ある実施形態では、トリグリセリドは、グリセロールと、フェニルアルカン酸及びフェニルアルケン酸から独立に選択される3つの脂肪酸とから誘導されるエステルである。ある実施形態ではトリグリセリドは式(I)の化合物である:
式中、R
1、R
2、及びR
3は独立にH、
、または
であり、nはゼロまたは2~24の偶数であり、mは2~24の偶数である。ただし、R
1、R
2、及びR
3のうちの少なくとも1つはH以外である。ある実施形態では、n及びmは2~24の偶数である。ある実施形態では、n及びmは0、2、4、または6である。ある具体的な実施形態では、トリグリセリドはグリセロールと3つのフェニルブチレートとから誘導されるエステル、すなわちグリセロールフェニルブチレートである(例えばRAVICTI(登録商標))。1種または2種以上のフェニルアルカン酸及び/またはフェニルアルケン酸とのトリグリセリドの例は、米国特許第5,968,979号に更に記載されており、その内容全体は、あらゆる目的のため参照により本明細書に包含される。
【0037】
ある実施形態では、固体組成物は、少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、または約90%のトリグリセリドを含有する。ある別の実施形態では、固体組成物は、少なくとも約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、または約85%のトリグリセリドを含有する。ある具体的な実施形態では、固体組成物は約60%のトリグリセリドを含有する。ある具体的な実施形態では、固体組成物は約75%、約80%、または約85%のトリグリセリドを含有する。
【0038】
いくつかの実施形態では、固体組成物中の活性成分は、約、または少なくとも約、95、95.5、96、96.5、97、97.5、97.6、97.7、97.8、97.9、98、98.1、98.2、98.3、98.4、98.5、98.6、98.7、98.8、98.9、99.0、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8もしくは99.9%以上、またはこれらの中から導き出せる任意の範囲の純度を有する。
【0039】
ある実施形態では、固体組成物は、複数の粒子を含む粉末の形態であり、各粒子は、固体物質上に吸着された活性成分として、1種または2種以上の奇数炭素数脂肪酸とのトリグリセリドを含む。ある実施形態では、固体物質は少なくとも20m2/gの表面積を有する。
【0040】
ある実施形態では、固体物質は固体担体を含んでいてもよい。用語「固体担体」は、本明細書においては、薬学的に許容できる任意の固体材料のことを意味し、これは大きい表面積を有しており、かつ本発明のトリグリセリドに悪影響を与えない。「大きい表面積」とは、固体担体が少なくとも20m2/g、または少なくとも30m2/g、または少なくとも50m2/g、または少なくとも70m2/g、または少なくとも100m2/g、または少なくとも150m2/g、または少なくとも180m2/gの表面積を有することを意味する。ある実施形態では、固体担体は最大200m2/g、最大400m2/g、または最大600m2/g、またはそれ以上の表面積を有していてもよい。基材の表面積は、当該技術分野でよく知られているBrunauer,Emmett,及びTeller(BET)法に基づく低温窒素吸着などの標準的な手法を用いて測定することができる。
【0041】
ある実施形態では、粒子は約100ミクロン未満の平均直径を有する。ある実施形態では、粒子は約90ミクロン未満、約80ミクロン未満、約70ミクロン未満、約60ミク
ロン未満、約50ミクロン未満、約40ミクロン未満、約30ミクロン未満、約20ミクロン未満、または約10ミクロン未満の平均直径を有する。ある別の実施形態では、粒子は約9ミクロン未満、約8ミクロン未満、約7ミクロン未満、約6ミクロン未満、約5ミクロン未満、約4ミクロン未満、約3ミクロン未満、約2ミクロン未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約290nm未満、約280nm未満、約270nm未満、約260nm未満、約250nm未満、約240nm未満、約230nm未満、約220nm未満、約210nm未満、約200nm未満、約190nm未満、約180nm未満、約170nm未満、約160nm未満、約150nm未満、約140nm未満、約130nm未満、約120nm未満、約110nm未満、約100nm未満、約90nm未満、約80nm未満、約70nm未満、約60nm未満、約50nm未満、約40nm未満、約30nm未満、約20nm未満、約10nm未満、約9nm未満、約8nm未満、約7nm未満、約6nm未満、または約5nm未満の平均直径を有する。粉末は、約5nm~約1ミクロン、または約10nm~約50nm、または約20nm~約100nmの大きさの範囲の小さい粒子の形態で最初に形成されてもよい。これらの粒子は、その次に約10nm~約100ミクロン、または20nm~約100ミクロン、または約50nm~約100ミクロンの大きさの範囲の凝集体を形成してもよい。
【0042】
固体担体の例としては、SiO2、TiO2、ZnO2、ZnO、Al2O3、MgAlシリケート、Caシリケート、Al(OH)2、ゼオライト、及び他の無機モレキュラーシーブなどの、フュームドシリカ及び無機酸化物;架橋セルロースアセテートフタレート、架橋ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、架橋ポリビニルピロリジノン(架橋ポビドンとしても知られる)、微結晶セルロース、ポリエチレン/ポリビニルアルコールコポリマー、ポリエチレンポリビニルピロリドンコポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポリスチレンジビニルベンゼンなどの非水溶性ポリマー;並びに、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、セルロースアセテート、再生セルロース、及びレーヨン等のポリマーの炭化によって作られるものなどの活性炭;が挙げられる。いくつかの具体的な実施形態では、固体担体はCab-O-Sil、ノイシリン、ヒプロメロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、カゼイン、またはこれらの組み合わせであってもよい。ある実施形態では、固体担体はフュームドシリカである。好ましいフュームドシリカは、Evonik(これをAerosilという名称で販売)、Cabot Corporation(Cab-O-Sil)、Wacker Chemie(HDK)、Dow Corning、及びOCI(Konasil)など、任意の主要な製造業者から様々な商標名で入手可能である。
【0043】
ある実施形態では、固体物質は、1種または2種以上の徐放性ポリマーを更に含有する。ある実施形態では、1種または2種以上の徐放性ポリマーは1種または2種以上のpH依存性ポリマーを含む。ある実施形態では、pH依存性ポリマーは、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(ヒプロメロースアセテートサクシネート)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマー、アルギン酸塩、ステアリン酸、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0044】
ある実施形態では、固体組成物は、フィラー、界面活性剤、及び香料などの、1種または2種以上の追加的な薬学的に許容できる添加剤を更に含有していてもよい。これらの添加剤は、粉末の流動性、溶解性、及び味を改良するために添加することができる。
【0045】
「薬学的に許容できる」とは、妥当な利益/リスク比に見合う、過度の毒性、炎症、アレルギー反応などなくヒト及び動物の組織と接触する用途に適しており、また正常な医学的判断の範囲内でのその目的の用途に有効であることをいう。「添加剤」とは、活性物質がこれと共に投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤、または担体を意味する。薬学的に許容できる添加剤の例としては、フィラー(または希釈剤)、バインダー、崩壊剤、潤滑剤、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
フィラーは、コンパクト性及び良好な流動性を付与することが可能な1種または2種以上の化合物であってもよい。フィラーの例としては、微結晶セルロース、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、マルトデキストリン、ソルビトール、デキストロース、ケイ酸、リン酸水素カルシウム、または上述のフィラーの少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。典型的なラクトースの形態としては、ラクトース一水和物、NF(Fast Flo)、噴霧乾燥ラクトース一水和物、及び無水ラクトースが挙げられる。典型的な微結晶セルロース(MCC)としては、例えばペンシルバニア州フィラデルフィアのFMC Biopolymerから市販のAVICEL(登録商標)PH101及びAVICEL(登録商標)PH102が挙げられる。
【0047】
バインダーは、例えば錠剤などの剤形に凝集性を付与するために使用することができ、その結果、圧縮後の錠剤をもとの形のままに保つことができる。バインダーの例としては、デンプン(例えばStarch 1500(登録商標)またはアルファー化デンプン)、アルギン酸塩、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、糖類(例えばスクロース、グルコース、デキストロース、及びマルトデキストリン)、ポリエチレングリコール、ワックス、天然及び合成ゴム、ポリビニルピロリドン、及びセルロース系ポリマー(例えば、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロース)、及び上述のバインダーの1種または2種以上を含む組み合わせが挙げられる。
【0048】
崩壊剤は、投与後の組成物(例えば錠剤)の崩壊または「分解」を促進するために使用される。崩壊剤の例としては、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム(架橋カルボキシメチルセルロース)、架橋ポリビニルピロリドン、(PVP-XL)、無水リン酸水素カルシウム、寒天、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、または上述の崩壊剤の1種または2種以上を含む組み合わせが挙げられる。
【0049】
潤滑剤は、最短の時間で良好な分散を得るために組成物に添加されてもよい。潤滑剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、タルク、ベヘン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、オレイン酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、DL-ロイシン、コロイドシリカ、または上述の潤滑剤の1種または2種以上を含む組み合わせが挙げられる。
【0050】
必要であれば、固体組成物は、湿潤剤、乳化剤、またはpH緩衝剤などの非毒性の補助物質、例えば酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、酢酸ナトリウムトリエタノールアミン、オレイン酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどを任意選択的に少量含有していてもよい。
【0051】
本発明のある別の実施形態では、固体組成物は1種または2種以上の徐放性ポリマーを含有する。ある実施形態では、固体物質は1種または2種以上の徐放性ポリマーを含む。「徐放性ポリマー」とは、望ましい放出プロファイルが得られるように、組成物からの活
性成分の放出をコントロールできる任意のポリマーのことを意味する。ある実施形態では、徐放性ポリマーは親水性ポリマーである。用語「親水性ポリマー」とは、水に対して強い親和性を有し、水に溶解され易い、混合され易い、または濡れ易いポリマーのことをいう。親水性ポリマーの例としては、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ポリアクリル酸、マルトデキストリン、アルファー化デンプン、グァーガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、キトサン、ローカストビーンガム、アミラーゼ、任意の他の水膨潤性ポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ある別の実施形態では、徐放性ポリマーは、膜形成性の非水溶性ポリマーである。膜形成性の非水溶性ポリマーの例としては、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート(低分子量、中間分子量、または高分子量)、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルローストリアセテート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリ(エチレン)、低密度ポリ(エチレン)、高密度ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、またはポリウレタン、または任意の他の非水溶性ポリマー、またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ある別の実施形態では、徐放性ポリマーは、膜形成性の水溶性ポリマーである。膜形成性の水溶性ポリマーの例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、Pluronic F108、Pluronic F127、Pluronic F68、またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、本発明の固体組成物は1種または2種以上の膜形成性の非水溶性ポリマーを含有する。ある具体的な実施形態では、本発明の固体組成物はセルロースアセテートを含有する。
【0052】
ある別の実施形態では、徐放性ポリマーは1種または2種以上のpH依存性ポリマーを含む。「pH依存性ポリマー」とは、強酸性のpHで溶解せず中性から塩基性のpH環境で溶解するポリマーを意味する。pH依存性ポリマーの例としては、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(ヒプロメロースアセテートサクシネート)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマー、アルギン酸塩、ステアリン酸、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。更に、脂肪酸、ワックス、シェラック、プラスチック、及び植物繊維などの材料もpH依存性ポリマーに適している。
【0053】
本明細書で述べる固体組成物は、本明細書で述べるような治療方法などの様々な目的で、単独で使用することができる。この点で固体組成物は薬学的に許容できる。
【0054】
本発明の固体組成物は、噴霧乾燥法によって形成することができる。ある実施形態では、固体粒子は、1種または2種以上の奇数炭素数脂肪酸との活性成分としてのトリグリセリドと、固体物質とを含有する噴霧用懸濁液を噴霧乾燥することによって形成することができる。噴霧用懸濁液は、溶媒中に溶解しているトリグリセリドと、中に懸濁している固体物質とを含む。この噴霧用懸濁液は、溶媒を迅速に除去することによって固体粉末を形
成するために噴霧乾燥される。形成された粉末粒子は、固体物質の表面上に吸着されたトリグリセリドを有していてもよく、あるいは互いに混じり合ってマトリックスを形成しているトリグリセリドと固体物質とを有していてもよい。ある別の実施形態では、固体組成物は徐放性ポリマーを更に含有する。例えば、固体粒子は、固体物質が分散されている溶媒中に溶解しているトリグリセリドと徐放性ポリマーとを含有する噴霧用懸濁液を噴霧乾燥することによって形成されてもよい。噴霧用懸濁液は、溶媒を迅速に除去することによって固体粉末を形成するために噴霧乾燥される。
【0055】
ある実施形態では、複数の粉末配合物(固体担体上に75%、80%、85%、及び90%のトリヘプタノインが担持)が調製された。本明細書で述べられるトリヘプタノインオイルをまずアセトンに溶解し、次いでCab-O-Silなどの固体担体と混合して懸濁液を形成した。例えばEudragitなどの徐放性ポリマーを任意選択的に添加した。得られた懸濁液を噴霧乾燥して粉末を得た。噴霧乾燥した粉末をその後更に乾燥して、望ましいレベルまで溶媒(アセトン)の量を低減させた。
【0056】
トリヘプタノインオイル
ある実施形態では、本発明の固体組成物中のトリグリセリドはトリヘプタノインオイルである。本明細書で述べるトリヘプタノインオイルは、7個の炭素の脂肪酸とのトリグリセリドを含む。グリセロールトリヘプタノエート、グリセロールトリエナンタート、グリセリルトリヘプタノエート、1,3-ジ(ヘプタノイロキシ)プロパン-2-イルヘプタノエート、トリエナンチン、1,2,3-トリエナントイルグリセロール、及びプロパン-1,2,3-トリイルトリヘプタノエートとしても知られるトリヘプタノインは、7個の炭素(C7)の脂肪酸であるヘプタン酸とのトリグリセリド(CAS登録番号620-67-7)であり、次の構造を有している。
【0057】
本明細書で述べるトリヘプタノインオイルは、食品グレードのトリヘプタノインオイルより高い純度またはグレードのものである。いくつかの実施形態では、トリヘプタノインオイルは超高純度の医薬品グレードのトリヘプタノインオイルとされる。
【0058】
ある実施形態では、このトリヘプタノインオイルは、表1に挙げた一般的特性を有している。
【0059】
【0060】
典型的には、トリヘプタノインオイル中の不純物の総濃度は食品グレードのトリヘプタノインオイル中の不純物の総濃度よりも低い。いくつかの実施形態では、食品グレードのトリヘプタノインオイルは、約、または最大約95、95.5、96、96.5、97、もしくは97.5%、またはこれらの中から導き出せる任意の範囲の純度を有していてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、トリヘプタノインオイル中の総不純物は5%w/w未満である。いくつかの実施形態では、トリヘプタノインオイル中の総不純物は5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1、もしくは0.5%w/w未満、またはそれ未満、またはこれらの中から導き出せる任意の範囲である。
【0062】
ある実施形態では、トリヘプタノインオイルは、C7酸以外の酸でエステル化されたトリグリセリド(例えばC2、C3、C4、C5、C6、C8、もしくはC9酸、またはそれ以外、またはこれらの組み合わせ(「非C7トリグリセリド」))を2%w/w未満含有する。いくつかの実施形態では、トリヘプタノインオイルは、2、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、もしくは0.1%w/w未満、またはそれ未満の非C7トリグリセリド、またはこれらの中から導き出せる任意の範囲を含有する。
【0063】
ある実施形態では、トリヘプタノインオイルは97.5%より高い純度のグリセロールトリヘプタノエートを含有する。いくつかの実施形態では、トリヘプタノインオイルは、約または少なくとも約97.5、97.6、97.7、97.8、97.9、98、98.1、98.2、98.3、98.4、98.5、98.6、98.7、98.8、98.9、99.0、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、もしくは99.9%、またはそれ以上、またはこれらの中から導き出せる任意の範囲の純度のグリセロールトリヘプタノエートを含有する。
【0064】
ある実施形態では、トリヘプタノインオイルは0.01%w/w未満の灰分を含有する。いくつかの実施形態では、トリヘプタノインオイルは、約0.01、0.009、0.008、0.007、0.006、0.005、0.004、0.003、0.002、もしくは0.001%w/w未満の灰分、またはそれ未満、またはこれらの中から導き出せる任意の範囲を含有する。
【0065】
ある実施形態では、トリヘプタノインオイルは0.04%w/w未満の水を含有する。いくつかの実施形態では、トリヘプタノインオイルは、約0.04、0.035、0.03、0.025、0.02、0.015、0.01、0.005、もしくは0.001%w/w未満の水、またはそれ未満、またはこれらの中から導き出せる任意の範囲を含有する。
【0066】
ある実施形態では、トリヘプタノインオイルは2.5%w/w未満のグリセロールを含有する。いくつかの実施形態では、トリヘプタノインオイルは、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.3、もしくは1.2%w/w未満のグリセロール、またはそれ未満、またはこれらの中から導き出せる任意の範囲を含有する。
【0067】
ある実施形態では、トリヘプタノインオイルは1.5%w/w未満のモノヘプタノエートを含有する。いくつかの実施形態では、トリヘプタノインオイルは、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6%w/w未満のモノヘプタノエート、またはそれ未満、またはこれらの中から導き出せる任意の範囲を含有する。
【0068】
ある実施形態では、トリヘプタノインオイルは3.0%w/w未満のジヘプタノエートを含有する。いくつかの実施形態では、トリヘプタノインオイルは、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8もしくは1.7%w/w未満のジヘプタノエート、またはそれ未満、またはこれらの中から導き出せる任意の範囲を含有する。
【0069】
ある実施形態では、トリヘプタノインオイルは2.5%w/w未満のヘキサノ-ジヘプタノエートを含有する。いくつかの実施形態では、トリヘプタノインオイルは、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、もしくは1.2%w/w未満のヘキサノ-ジヘプタノエート、またはそれ未満、またはこれらの中から導き出せる任意の範囲を含有する。
【0070】
ある実施形態では、トリヘプタノインオイルは2.5%w/w未満のヘキサン酸を含有する。いくつかの実施形態では、トリヘプタノインオイルは、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.3、もしくは1.2%w/w未満のグリセロール、またはそれ未満、またはこれらの中から導き出せる任意の範囲を含有する。
【0071】
いくつかの実施形態では、本明細書で述べるトリヘプタノインオイルは、低粘度の無色オイルであり、無味無臭である。本明細書で述べるトリヘプタノインオイルは、典型的には室温で貯蔵され、光から保護され、また、その安定性は、このような条件で24か月を超える場合がある。
【0072】
ある実施形態では、本発明は、活性成分としてのトリヘプタノインと、フュームドシリカと、セルロースアセテートとを含有する固体組成物を提供する。更なる実施形態では、固体組成物は複数の固体粒子を含み、各粒子はフュームドシリカ及びセルロースアセテートを含む固体物質上に吸着されたトリヘプタノインを含む。更なる実施形態では、固体組成物は、組成物の重量基準で、約50%~約80%のトリヘプタノインと、約10%~約30%のフュームドシリカと、約10%~約30%のセルロースアセテートとを含有する。別の実施形態では、固体組成物は、組成物の重量基準で、約60%のトリヘプタノインと、約20%のフュームドシリカと、約20%のセルロースアセテートとを含有する。
【0073】
ある具体的な実施形態では、本発明のトリヘプタノインオイルは、表2に列挙された特性を有している。
【0074】
【0075】
ある具体的な実施形態では、本発明のトリヘプタノインオイルは、表3に列挙された特性を有している。
【0076】
【0077】
ある具体的な実施形態では、トリヘプタノインオイルは、表4に列挙された特性を有している。
【0078】
【0079】
トリヘプタノインオイル前駆体及びトリヘプタノインオイルの製造
本明細書では、トリヘプタノインオイルの前駆体も提供される。いくつかの実施形態では、前駆体はn-へプタン酸である。n-へプタン酸は次の構造を有する。
【0080】
本明細書で述べるn-へプタン酸は、食品グレードのn-へプタン酸よりも高い純度またはグレードのものである。いくつかの実施形態では、食品グレードのn-へプタン酸の純度は90%~98%である。いくつかの実施形態では、食品グレードのn-へプタン酸の純度は95%~98%である。いくつかの実施形態では、食品グレードのn-へプタン酸の純度は95%~97.5%である。いくつかの実施形態では、食品グレードのn-へプタン酸の純度は、98、97.9、97.6、97.5、97.4、97.3、97.2、97.1、97.0、96.9、96.8、96.7、96.6、96.5、96.4、96.3%、96.2、96.1、96.0、95.9、95.8、95.7、95.6、95.5、95.4、95.3、95.2、または95.1%の最大純度を有する。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書で述べるn-へプタン酸は、超高純度の医薬品グレードのn-へプタン酸とされる。
【0082】
典型的には、n-へプタン酸中の不純物の総濃度は、食品グレードのn-へプタン酸中の不純物の総濃度よりも低い。いくつかの実施形態では、n-へプタン酸中の総不純物量
は4.0%w/w未満である。いくつかの実施形態では、総不純物量は、約4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、もしくは0.01%w/w未満またはそれ未満、またはこれらの中から導き出せる任意の範囲である。
【0083】
ある実施形態では、n-へプタン酸は、C7酸以外の酸(例えばC2、C3、C4、C5、C6、C8、もしくはC9酸、またはそれ以外、またはこれらの組み合わせでエステル化されたトリグリセリド(「非C7トリグリセリド」))を2%w/w未満含む。いくつかの実施形態では、n-へプタン酸は、2、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、もしくは0.1%w/w未満、またはそれ未満の非C7トリグリセリドを含み、またはこれらから導き出せる任意の範囲で含む。
【0084】
ある実施形態では、n-へプタン酸組成物は、97%の純度より高い総和のC7カルボン酸類を含有する。いくつかの実施形態では、純度は97、97.1、97.2、97.3、97.4、97.5、97.6、97.7、97.8、97.9、98、98.1、98.2、98.3、98.4、98.5、98.6、98.7、98.8、98.9、99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8もしくは99.9%またはそれ以上よりも高く、またはこれらから導き出せる任意の範囲である。n-へプタン酸を含有する医薬品組成物などの組成物も提供される。また、n-へプタン酸を含有するいずれの組成物も、任意選択的に医薬品組成物として更に定義することができる。
【0085】
トリヘプタノインオイルは、本明細書で述べたn-へプタン酸から、またはn-ヘプタン酸を含有する組成物から調製することができる。例えば、塩基性触媒及び熱の存在下などで、n-へプタン酸をグリセロールとエステル化することでトリヘプタノインオイルを生成することができる。
【0086】
ある実施形態では、n-へプタン酸組成物は3.0%w/w未満の2-メチルヘキサン酸を含有する。いくつかの実施形態では、組成物は3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、もしくは0.1%w/w未満の2-メチルヘキサン酸、またはそれ未満、またはこれらの中から導き出せる任意の範囲を含有する。
【0087】
ある実施形態では、n-へプタン酸組成物は0.1%w/w未満の水を含有する。いくつかの実施形態では、組成物は0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、もしくは0.01%w/w未満の水、またはそれ未満、またはこれらの中から導き出せる任意の範囲を含有する。
【0088】
ある実施形態では、n-へプタン酸組成物は0.2%w/w未満のカルボニル含量を有する。カルボニル含量の測定は当該技術分野でよく知られている。いくつかの実施形態では、カルボニル含量は0.15、0.1、0.05、もしくは0.01%w/w未満、またはそれ未満、またはこれらの中から導き出せる任意の範囲である。
【0089】
ある実施形態では、n-へプタン酸組成物は0.5%未満のヨウ素価を有する。ヨウ素価の測定は当該技術分野でよく知られている。いくつかの実施形態では、ヨウ素価は0.
5、0.4、0.3、0.2、もしくは0.1%未満、またはそれ未満、またはこれらの中から導き出せる任意の範囲である。
【0090】
ある実施形態では、n-へプタン酸組成物は0.2mg/kg未満の鉄を含有する。いくつかの実施形態では、組成物は0.2、0.15、0.1、0.05、もしくは0.01mg/kg未満の鉄、またはこれらの中から導き出せる任意の範囲を含有する。
【0091】
ある実施形態では、n-へプタン酸を含有する組成物は0.25未満の白金/コバルト色番号を有する。白金/コバルト色番号の決定は当該技術分野でよく知られている。いくつかの実施形態では、白金/コバルト色番号は0.25、0.2、0.15、0.1もしくは0.05未満、またはそれ未満、またはこれらの中から導き出せる任意の範囲である。
【0092】
治療的処置
本明細書のいくつかの実施形態では、治療のための本発明の固体組成物の使用方法が提供される。固体組成物は、それを必要とする患者に対して、患者の治療に有効な量で投与することができる。
【0093】
例えば、患者は、脂肪酸酸化異常もしくは不全、成人ポリグルコサン小体病、ミトコンドリア脂肪酸酸化異常症(例えばカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼII、カルニチンアシルカルニチントランスロカーゼ、極長鎖アシルCoA脱水素酵素、三頭酵素、長鎖ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素、マルチプルアシルCoA脱水素酵素、短鎖アシルCoA脱水素酵素、アルファグルコシダーゼ、分枝酵素、脱分枝酵素、筋ホスホリラーゼ、またはホスホフルクトキナーゼ関連)、糖原病(例えば糖原病II型)、グルコーストランスポーター1(GLUT1)欠損症、またはミトコンドリア脳筋症のうちの任意の1種または2種以上を罹患していてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で述べたトリヘプタノインオイル、またはトリヘプタノインオイルを含有する医薬品組成物は、米国特許第8,106,093号に記載のいずれの病気の治療にも使用することができる。
【0094】
ある別の実施形態では、患者は尿素サイクル異常症(UCD)(尿素サイクルに含まれる酵素などの、アンモニアから尿素を合成するために必要な酵素またはトランスポーターの複数の遺伝的欠損を含む)、または肝性脳症(HE)(高アンモニア血症により生じると考えられている神経学的兆候及び症状のスペクトラムであり、これは多くの場合肝硬変または特定の他の種類の肝臓疾患を有する患者に生じる)に罹患していてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書のグリセロールフェニルブチレート、またはグリセロールフェニルブチレートを含有する医薬品組成物は、これらの病気を治療するために使用することができる。グリセロールフェニルブチレートを使用する治療方法の詳細は、米国特許第8,404,215号及び米国特許第8,642,012号中に見ることができ、これらの内容全体は、あらゆる目的のため参照により本明細書に包含される。
【0095】
ある実施形態では、固体組成物は、食品、飲料、または他の食用組成物と混ぜることなしに、様々な投薬形態(例えば粉末、顆粒、錠剤、カプセル等)で患者に直接投与することができる。別の実施形態では、粉末または顆粒などの固体組成物は、固体組成物を食品、飲料、または他の食用組成物の中に混ぜることによって、食品、飲料、または食用組成物と共に摂取することができる。食品、飲料、または食用組成物は、液体、固体、半固体、泡状材料、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、及びこれらの組み合わせを含むいずれの形態であってもよい。固体組成物は、胃の不調やガストリンの放出を最小限にしつつ治療効果を与えることができ、また食品、飲料、または他の食用組成物と同時投与することで、このような認容性の利益を増大させることができる。更に、食品、飲料、または
他の食用組成物を固体組成物と同時投与することによって、活性成分を遅延させて及び/または長期にわたり放出させることができ、その結果、より頻度の少ない投薬、長期のエネルギー曝露が可能になり、また消化管からの吸収を高効率にできる可能性がある。固体組成物を遅延させて及び/または長期にわたり放出させる特性は、上述した固体組成物中に1種または2種以上の徐放性ポリマーを添加することによって、単独で得ることもできる。
【0096】
本明細書において、用語「有効」(例えば「有効な量」)は、望ましい、期待する、または意図する結果を得るのに十分なことを意味する。有効な量は、治療に有効な量であってもよい。「治療に有効な量」とは、患者に投与した場合に、特定の病気または疾患を治療するのに十分な活性成分の量のことをいう。「治療に有効な量」は、例えば病気または疾患、病気または疾患の重症度、及び治療を受ける患者の年齢、体重等に応じて変化するであろう。
【0097】
通常、任意の疾患、病気、または不調の「治療すること」または「治療」とは、いくつかの実施形態では、疾患、病気、または不調を改善すること(すなわち、病気またはその臨床症状の少なくとも1つの進行を阻止または遅らせること)をいう。いくつかの実施形態では、「治療すること」または「治療」とは、少なくとも1つの物理的パラメーターが改善することをいい、これは患者が認識できなくてもよい。いくつかの実施形態では、「治療すること」または「治療」とは、疾患、病気、または不調を、身体的に(例えば目に見える症状の安定化)、生理学的に(例えば物理的パラメーターの安定化)、またはその両方のいずれかで抑制することをいう。いくつかの実施形態では、「治療すること」または「治療」とは、疾患、病気、または不調の発現を遅らせることをいう。
【0098】
[実施例]
【実施例0099】
表5は、典型的な高純度のトリヘプタノインオイル試料、及び本発明にかかるトリヘプタノインオイルを含有する固体試料を示している。
【0100】
更に、トリヘプタノインオイルを含有する典型的な固体組成物(表5の固体試料2)の安定性を試験した。測定は、60ccの密閉されたHDPE(高密度ポリエチレン)瓶の中に入れた二重LDPE(低密度ポリエチレン)袋の中で25℃/60%RH(相対湿度)で貯蔵した後に行った。結果は表6に示されている。測定は、60ccの密閉されたHDPE瓶の中に入れた二重LDPE袋の中で40℃/75%RHで貯蔵した後にも行った。結果は表7に示されている。
【0101】
【0102】
【0103】
代謝物がベースラインに戻る時間を決定するために、及びガストリン及びコレシストキニン(CCK)ホルモンの急激な放出によって痙攣性の胃収縮が引き起こされるかどうかを調べるために、投薬後48時間の完全な薬物動態(PK)プロファイルを用いた各治療
群の一回投与の調査を行った(各治療群間で1週間の休薬)。0~90分、プラス胃部不快感が認められた際にはこの時間以外の任意の時間に、各治療群から血液試料を採取した。
より具体的には、投薬前に動物(n=3/雌雄)に絶食させ、投薬4時間後に餌を与えた。投薬前から投薬後48時間までを通じて、トリヘプタノインと代謝物のPK分析用の血液試料を採取した。複数回投薬の調査から分かるように(実施例3)、雄と雌との間で大きな差は見られなかったため、全ての代謝物についてデータを一緒にした。