(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129110
(43)【公開日】2024-09-26
(54)【発明の名称】流体経路の接続部
(51)【国際特許分類】
F16J 15/10 20060101AFI20240918BHJP
F16L 17/06 20060101ALI20240918BHJP
F16L 23/02 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
F16J15/10 U
F16L17/06
F16L23/02 D
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024106933
(22)【出願日】2024-07-02
(62)【分割の表示】P 2020041707の分割
【原出願日】2020-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217102
【弁理士】
【氏名又は名称】冨永 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】竹島 聖
(72)【発明者】
【氏名】松下 航也
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ガスケットが、負圧等によって油圧などの流体の経路に向かう方向の力を受けた際にも、装着した位置からずれ難く、ハウジングの溝から外れ難い流体経路の接続部を提供する。
【解決手段】互いに結合される2つの部材11,12を貫通するように形成された流体の流体経路15を有し、2つの流路を流体の流れ方向に接続するハウジング10と、ハウジング10の内側に形成された溝17に装着されて流体をシールするガスケット100と、を備える流体流路の接続部であって、ハウジング10は、ガスケット100が溝17から外れることを防止する内壁を設けない構造であり、ガスケット100が環状のガスケット本体と、ハウジング10の溝17に装着されたとき、溝17の側面に接して径方向内方へ倒れ込み流体をシールする環状のシールビードと、シールビードよりも外側に位置し、ガスケット本体の外周から外方に延びる突起部25とを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに結合される2つの部材を備え、前記2つの部材を貫通するように形成された流体の経路を有し、2つの流路を流体の流れ方向に接続するハウジングと、
前記ハウジングの内側に形成された溝に装着されて前記流体をシールするガスケットと、
を備える流体流路の接続部であって、
前記ハウジングは、前記ガスケットが前記溝から外れることを防止する内壁を設けない構造であり、
前記ガスケットが、
環状のガスケット本体と、
前記ハウジングの前記溝に装着されたとき、前記溝の側面に接して径方向内方へ倒れ込み前記流体をシールする環状のシールビードと、
前記シールビードよりも外側に位置し、前記ガスケット本体の外周から外方に延びる突起部と、を有し、
前記突起部は、前記ハウジング内に圧縮された状態で配置されて前記ハウジングに反力を与え、前記ガスケット本体の移動を制限する、流体流路の接続部。
【請求項2】
前記突起部は、前記ハウジングの前記2つの部材の間の隙間に挟まれるように、前記ガスケット本体の径方向に延びる、請求項1に記載の流体流路の接続部。
【請求項3】
前記突起部は、前記ガスケット本体の軸方向に沿って延び、その延びる方向に圧縮された状態で前記ハウジング内に配置される、請求項1に記載の流体流路の接続部。
【請求項4】
前記ハウジングの前記2つの部材のうちの少なくとも一方に切欠部が形成され、
前記突起部は、当該突起部の延びる方向に圧縮された状態で前記切欠部に挿入される、請求項1に記載の流体流路の接続部。
【請求項5】
前記突起部は、その幅が前記切欠部の幅よりも小さい、請求項4に記載の流体流路の接続部。
【請求項6】
前記突起部は、前記ガスケット本体の外周に沿って周方向に連続して形成される環状のものである、請求項1~5のいずれか一項に記載の流体流路の接続部。
【請求項7】
前記突起部は、前記ハウジング内に圧縮されたときの圧縮率が40%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の流体流路の接続部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体経路の接続部に関する。更に詳しくは、自動車等における油圧などの流体経路の接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等における油路等の流路において、2つの流路を流体(例えば、潤滑油など)の流れ方向に接続するような場合、これらの流路の間をシールする平面シールとしてOリングやガスケット(ガスケット等)が設けられている(例えば、特許文献1~6参照)。
【0003】
具体的には、このようなガスケット等としては、例えば、特許文献4に記載のガスケットのように、油圧経路の接続部に用いられ、油圧経路の圧力を受けて当該接続部における油の漏れを防止するものが知られている。
【0004】
また、特許文献5に記載のガスケットのように、外側突起リップを有し、この外側突起リップによりガスケット及びジョイント溝部分の位置合わせを行うものや、特許文献6に記載の封止構造のように、環状の膨出部を備えこの膨出部を押圧変形させることにより2部材間のシールを行うものなどが知られている。
【0005】
更に、平面シールとしては、特許文献1~6の他に耐プラズマ性シールなどが知られており、特許文献7には、外径方向に開口する凹周溝部を有する金属製ジャケットと、この凹周溝部に嵌合した嵌着部を有する有機材製の弾性部材とを備える耐プラズマ性シールが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-236580号公報
【特許文献2】実開平7-42462号公報
【特許文献3】特表2017-514087号公報
【特許文献4】実開平6-32834号公報
【特許文献5】特表2017-514075号公報
【特許文献6】特開2001-141061号公報
【特許文献7】特開2003-343727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上述のガスケット等は、2つの流路の繋ぎ部分(接続部)のハウジングの溝内に配置されるが、例えば油圧等のON-OFFによって流路内で負圧等が生じて当該ガスケットが上記溝から外れてしまう懸念があった。そのため、溝から外れたりすることを防止するためにハウジング内に内壁を設けることがなされていた。
【0008】
しかし、近年の自動車等の車両の構成部品(一方側部材,他方側部材)の小型化や複雑化等がなされており、構成部品の複数の流路の間のスペースが狭くなってきている。そのため、内壁を設けない構造のハウジングが採用されてきている。
【0009】
このように内壁を設けない構造のハウジングでは、特許文献1~6に記載のガスケット等では、油圧などの流体が負圧になった場合などにおいて、未だに、装着した位置からずれたり、ハウジングから外れたりするという懸念があった。そこで、装着した位置からずれたり、ハウジングから外れたりし難くなるという点において更なる改良の余地があった。
【0010】
このようなことから、油圧などの流体の経路(流体経路)の接続部に設けられるガスケットにおいて、負圧等によって流体経路に向かう方向の力を受けた際にも、装着した位置からずれ難く、ハウジングの溝から外れ難いガスケットの開発が望まれていた。
【0011】
本発明は、このような従来技術に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、負圧等によって油圧などの流体経路に向かう方向の力を受けた際にも、装着した位置からずれ難く、ハウジングの溝からガスケットが外れ難い流体経路の接続部の開発を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、以下に示す、流体経路の接続部が提供される。
【0013】
[1] 互いに結合される2つの部材を備え、前記2つの部材を貫通するように形成された流体の経路を有し、2つの流路を流体の流れ方向に接続するハウジングと、
前記ハウジングの内側に形成された溝に装着されて前記流体をシールするガスケットと、
を備える流体流路の接続部であって、
前記ハウジングは、前記ガスケットが前記溝から外れることを防止する内壁を設けない構造であり、
前記ガスケットが、
環状のガスケット本体と、
前記ハウジングの前記溝に装着されたとき、前記溝の側面に接して径方向内方へ倒れ込み前記流体をシールする環状のシールビードと、
前記シールビードよりも外側に位置し、前記ガスケット本体の外周から外方に延びる突起部と、を有し、
前記突起部は、前記ハウジング内に圧縮された状態で配置されて前記ハウジングに反力を与え、前記ガスケット本体の移動を制限する、流体流路の接続部。
【0014】
[2] 前記突起部は、前記ハウジングの前記2つの部材の間の隙間に挟まれるように、前記ガスケット本体の径方向に延びる、前記[1]に記載の流体流路の接続部。
【0015】
[3] 前記突起部は、前記ガスケット本体の軸方向に沿って延び、その延びる方向に圧縮された状態で前記ハウジング内に配置される、前記[1]に記載の流体流路の接続部。
【0016】
[4] 前記ハウジングの前記2つの部材のうちの少なくとも一方に切欠部が形成され、
前記突起部は、当該突起部の延びる方向に圧縮された状態で前記切欠部に挿入される、前記[1]に記載の流体流路の接続部。
【0017】
[5] 前記突起部は、その幅が前記切欠部の幅よりも小さい、前記[4]に記載の流体流路の接続部。
【0018】
[6] 前記突起部は、前記ガスケット本体の外周に沿って周方向に連続して形成される環状のものである、前記[1]~[5]のいずれかに記載の流体流路の接続部。
【0019】
[7] 前記突起部は、前記ハウジング内に圧縮されたときの圧縮率が40%以下である、前記[1]~[5]のいずれかに記載の流体流路の接続部。
【発明の効果】
【0020】
本発明の流体経路の接続部は、ハウジング内に内壁を設けないとしても、油圧などの流体の経路内が負圧等になることによって当該経路に向かう方向の力を受けた際にも、装着した位置からガスケットがずれ難く、ハウジングの溝から外れ難いという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の流体経路の接続部に用いられるガスケットの一の実施形態を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図1におけるA-A断面を矢印の方向に見た状態を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図1に示すガスケットの使用時における状態を模式的に示す断面図である。
【
図4】本発明の流体経路の接続部に用いられるガスケットの他の実施形態における
図2に対応する断面を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図4に示すガスケットの使用時における状態を模式的に示す断面図である。
【
図6】本発明の流体経路の接続部に用いられるガスケットの他の実施形態における
図2に対応する断面を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図6に示すガスケットの使用時における状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0023】
(1)流体流路の接続部:
互いに結合される2つの部材11,12を備え、この2つの部材11,12を貫通するように形成された流体の経路15を有し、2つの流路11,12を流体の流れ方向に接続するハウジング10と、このハウジング10の内側に形成された溝17に装着されて流体をシールするガスケット100と、を備える流体流路の接続部であって、ハウジング10は、ガスケット100が上記溝17から外れることを防止する内壁を設けない構造である。そして、ガスケット100が、環状のガスケット本体23と、ハウジング10の溝17に装着されたときに溝17の側面に接して径方向内方へ倒れ込み流体をシールする環状のシールビード27と、このシールビード27よりも外側に位置し、ガスケット本体23の外周から外方に延びる突起部25と、を有している。そして、突起部25は、ハウジング10内に圧縮された状態で配置されてハウジング10に反力を与え、ガスケット本体23の移動を制限している。
【0024】
このような流体経路の接続部は、ハウジング10内に内壁を設けないとしても、油圧などの流体の経路15内が負圧等になることによって当該経路15に向かう方向の力を受けた際にも、装着した位置からガスケット100がずれ難く、ハウジング10の溝17から外れ難いものである。
【0025】
(1-1)ガスケット:
本発明の流体経路の接続部で用いられるガスケットの一の実施形態は、
図1,
図2に示すガスケット100である。このガスケット100は、互いに結合される2つの部材11,12(
図3参照)を備え、2つの部材11,12を貫通するように形成された流体の経路(流体経路)15(
図3参照)を有するハウジング10(
図3参照)の内側に形成された溝17(
図3参照)に装着されて流体をシールするガスケットである。そして、このガスケット100は、環状のガスケット本体23と、ハウジング10の溝17に装着されたとき、溝17の側面17aに接して流体をシールする環状のシールビード27と、このシールビード27よりも外側に位置し、ガスケット本体23の外周から外方に延びる突起部25と、を有している。そして、突起部25は、ハウジング10(
図3参照)内に圧縮された状態で配置されてハウジング10に反力を与え、ガスケット本体23(即ち、ガスケット100)の移動を制限するものである。
【0026】
ガスケット100は、自動車等における油圧などの流体経路の接続部を封止するものであり、具体的には、自動車、建設機械、農業機械等の車両におけるオートマチックトランスミッション(AT)内の継ぎ手シールなどとして使用することができる。
【0027】
このような自動車等における油圧などの流体経路の接続部では、油圧などの流体のON-OFFによって流体経路15内が負圧等になることがあり、この負圧等によってガスケット100は、流体経路15に向かう方向の力を受けることがある。そして、このような場合にも、ガスケット100は、突起部25を有することによって、装着した位置からずれ難く、また、ハウジング10の溝17から外れ難いものである。
【0028】
なお、本発明の流体経路の接続部で用いられるガスケットは、ゴム単体からなるものとすることができ、本発明の流体経路の接続部で用いられるガスケットは、ゴム単体であっても上述した本発明の効果が発揮されるが、補強環などの他の部材を適宜採用してもよい。例えば、補強環は、ガスケット本体23内に埋設される金属等の剛性を有するものである。この補強環は、従来公知のものを適宜採用することができる。
【0029】
(1-1-1)ガスケット本体:
ガスケット本体23は、環状のものである。このガスケット本体23は、ハウジング10の溝17に装着され、ハウジング10を構成する2つの部材11,12(
図3参照)の間のシール性を確保している。
【0030】
ガスケット本体23は、ゴム状の弾性体からなるものであり、従来公知の材料を適宜選択して採用することができ、例えば、ニトリル、アクリル、シリコン、フッ素などの樹脂を挙げることができる。
【0031】
ガスケット本体23の外径寸法は、ハウジング10に形成された溝17の底面の径寸法よりも若干小さく設定することができる。このようにすることで、ハウジング10を構成する2つの部材11,12の間のシール性を確保することができる。
【0032】
(1-1-2)シールビード:
シールビード27は、ガスケット100がハウジング10の溝17に装着されたとき、溝17の側面17aに接して流体をシールする環状のものである。より具体的には、このシールビード27は、ガスケット100をハウジング10の溝17に装着すると、この溝17の側面17aに密接し、締め代があることで径方向内方へ倒れ込むように構成されている。
【0033】
シールビード27は、形状、寸法、及び材質等について特に制限はなく、適宜設定して採用することができる。
【0034】
なお、シールビード27は、例えばゴム状の弾性体から構成するものとすることができ、その材質としては、具体的には、ニトリル、アクリル、シリコン、フッ素などの樹脂を挙げることができる。
【0035】
シールビード27は、ガスケット本体23と一体として形成されたものであることがよい。
【0036】
(1-1-3)突起部:
突起部25は、シールビード27よりも外側に位置し、ガスケット本体23の外周から外方に延びるものである。この突起部25は、ハウジング10内に圧縮された状態で配置されてハウジング10に反力を与え、ガスケット本体23の移動を制限する。そして、このような突起部25を有することによって、ガスケット100は、油圧などの流体の経路内が負圧等になることによって流体経路に向かう方向の力を受けた際にも、装着した位置からずれ難く、ハウジング10の溝から外れ難くなる。具体的には、突起部25がハウジング10に反力を与える状態で配置されているため、ガスケット100が流体経路に向かう方向の力を受けたとしても、この突起部25とハウジング10との間で互いに力を及ぼし合っているため、ガスケット100の移動が防止されることになる。
【0037】
突起部25は、ハウジング10内に圧縮された状態で配置されてハウジング10に反力を与えるものである限りその材質については特に制限はないが、例えば、ニトリル、アクリル、シリコン、フッ素などの樹脂などを挙げることができる。
【0038】
突起部25は、ガスケット本体23と一体として形成されたものであってもよいし、別体として形成されガスケット本体23に固定されたものであってもよいが、ガスケット本体23と一体として形成されたものであることがよい。このようにすると、ガスケット100の作製時の工数が少なくなる。
【0039】
突起部25は、その延びる方向については特に制限はないが、例えば、(a)ハウジング10の2つの部材11,12の間の隙間29(
図3参照)に挟まれるように、ガスケット本体23の径方向に延びるようにしてもよいし(第一の態様)、(b)ガスケット本体23の軸方向に沿って延びるようにしてもよい。
【0040】
ここで、更に上記(b)の態様としては、ハウジング10の2つの部材11,12に突起部25と対応する切欠部37などを形成しない態様(第二の態様)、ハウジング10の2つの部材11,12のうちの少なくとも一方に切欠部37を形成し、この切欠部37に突起部25を所定の状態で挿入する態様(第三の態様)などを挙げることができる。
【0041】
図2は、上記第一の態様を示し、ハウジング10の2つの部材11,12の間の隙間29に挟まれるように、ガスケット本体23の径方向に延びている突起部25が形成されたガスケット100を示す例である。このような突起部25を有すると、装着した位置からずれ難く、ハウジング10の溝から外れ難くなる。
【0042】
図4は、上記第二の態様を示し、ガスケット本体23の軸方向に沿って延びる突起部25が形成されたガスケット101を示す例である。このような突起部25を有すると、装着した位置からずれ難く、ハウジング10の溝から外れ難くなる。
【0043】
図6、
図7は、上記第三の態様を示し、ガスケット本体23の軸方向に沿って延びる突起部25が形成されたガスケット102について、その突起部25を切欠部37に所定の状態で挿入した例を示している。このような突起部25を有すると、装着した位置からずれ難く、ハウジング10の溝から外れ難くなる。具体的には、ハウジング10に与えられる反力によること以外に、突起部25が切欠部37に引っ掛かり、ガスケット102の移動が機械的に防止される。
【0044】
上述の第一の態様において、突起部25の形状、形成範囲、突起部25の突出高さ(即ち、ガスケット本体23からの高さ)H1、突起部25の厚さD1などは特に制限はなく適宜設定することができるが、以下に説明する。
【0045】
突起部25の形状は、ガスケット100の軸方向に平行な断面における形状が、長方形などの四角形状(突起部25の幅が突起部25の根元から先端まで一定となる形状)などとすることができる。
【0046】
突起部25の形成範囲は、ガスケット本体23の外周に沿って周方向に連続して形成されるもの(即ち、ガスケット本体23の外周の全体に沿って形成された環状のもの)とすることができる。このようにすると、ガスケット100が、ずれ難く、更にハウジング10の溝から外れ難くなる。
【0047】
突起部25の突出高さ(即ち、ガスケット本体23からの高さ)H1は、特に制限はなく適宜設定することができる。
【0048】
突起部25の厚さD1は、特に制限はなく、例えば、ハウジング10内に圧縮されたときの圧縮率が40%以下となるような厚さとすることができ、5~40%となるような厚さとすることがよく、10~35%となるような厚さとすることがよい。このような範囲とすることによって、ガスケット100が、よりずれ難く、更にハウジング10の溝から外れ難くなるとともに、使用中に突起部25がその根元に亀裂などが生じることを防止することができる。なお、突起部25の厚さD1は、ガスケット100の軸方向に平行な断面において、突起部の突出高さH1に直交する長さである。
【0049】
上述の第二の態様において、突起部25の形状、形成範囲、突起部25の突出高さ(即ち、ガスケット本体23からの高さ)H2、突起部25の厚さD2などは特に制限はなく適宜設定することができるが、以下に説明する。
【0050】
突起部25の形状は、ガスケット101の軸方向に平行な断面における形状が、長方形などの四角形状(突起部25の幅が突起部25の根元から先端まで一定となる形状)などとすることができる。
【0051】
突起部25の形成範囲は、ガスケット本体23の外周に沿って周方向に連続して形成されるもの(即ち、ガスケット本体23の外周の全体に沿って形成された環状のもの)とすることができる。このようにすると、ガスケット100が、ずれ難く、更にハウジング10の溝から外れ難くなる。
【0052】
突起部25の突出高さ(即ち、ガスケット本体23からの高さ)H2は、特に制限はなく適宜設定することができる。
【0053】
突起部25の厚さD2は、特に制限はなく、例えば、ハウジング10内に圧縮されたときの圧縮率が40%以下となるような厚さとすることができ、5~40%となるような厚さとすることがよく、10~35%となるような厚さとすることがよい。このような範囲とすることによって、ガスケット101が、よりずれ難く、更にハウジング10の溝から外れ難くなるとともに、使用中に突起部25がその根元に亀裂などが生じることを防止することができる。なお、突起部25の厚さD2は、ガスケット101の軸方向に平行な断面において、突起部の突出高さH2に直交する最大長さである。
【0054】
上述の第三の態様においても、突起部25の形状、形成範囲、突起部25の突出高さ(即ち、ガスケット本体23からの高さ)H3、突起部25の厚さD3などは特に制限はなく適宜設定することができるが、以下に説明する。
【0055】
突起部25の形状は、ガスケット102の軸方向に平行な断面における形状が、長方形などの四角形状(突起部25の幅が突起部25の根元から先端まで一定となる形状)、半円形状などとすることができる。
【0056】
突起部25の形成範囲は、ガスケット本体23の外周に沿って周方向に連続して形成されるもの(即ち、ガスケット本体23の外周の全体に沿って形成された環状のもの)とすることができる。このようにすると、ガスケット102が、ずれ難く、更にハウジング10の溝から外れ難くなる。
【0057】
突起部25の突出高さ(即ち、ガスケット本体23からの高さ)H3は、特に制限はなく適宜設定することができる。この突出高さH3は、切欠部37の深さよりも大きい。
【0058】
突起部25の厚さD3は、特に制限はなく適宜設定することができる。なお、突起部25の厚さD3は、ガスケット100の軸方向に平行な断面において、凸状部の突出高さH3に直交する最大長さである。
【0059】
なお、上述の第三の形態における突起部25は、上述の通り、その材質について特に制限はないが、切欠部37に接触してガスケット本体23の移動を制限することができるものであることがより好ましい。その材質としては、例えば、ニトリル、アクリル、シリコン、フッ素などの樹脂などを挙げることができる。なお、突起部は、そのゴム硬度についても特に制限はなく適宜設定することができる。
【0060】
(2)流体流路の接続部におけるガスケットの使用方法:
本発明の流体流路の接続部におけるガスケットの使用方法について、以下に説明する。まず、ハウジング10を構成する2つの部材11,12の間にガスケット(例えば、ガスケット100,101)を配置し、ハウジング10の溝17に当該ガスケットを装着する。このとき、突起部25が例えば上記第一の態様である場合、この突起部25を上記2つの部材11,12の間の隙間に挟まれて圧縮された状態で配置する。また、突起部25が例えば上記第二の態様である場合、突起部25が2つの部材11,12のうちの上側の部材11に接し、圧縮された状態で配置される。更に、突起部25が例えば上記第三の態様である場合、突起部25を、2つの部材11,12のうちの少なくとも一方の部材12に形成された切欠部37に挿入して配置する。
【0061】
このように本発明の流体流路の接続部において、所定のガスケットを配置すると、ハウジング10を構成する2つの部材11,12の間のシール性を確保しつつ、突起部25がハウジング10に反力を与えるので、装着した位置からずれ難く、ハウジング10の溝から外れ難くなる。なお、上記2つの部材11,12は、従来公知の手段で互いに結合させることができる。
【実施例0062】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0063】
(実施例1)
図1、
図2に示すようなガスケットを作製した。このガスケットには、ハウジングを構成する2つの部材の間の隙間に挟まれるように、ガスケット本体の径方向に延びる突起部が形成されていた。そして、
図3に示すように、この突起部を、ハウジングを構成する2つの部材(流体経路の接続部)の間の隙間に挟まれるように配置した。このときの突起部の圧縮率は、40%であった。
【0064】
その後、ハウジング内の油圧経路に潤滑油を流した。その際、油圧経路内が負圧になった場合にも、このガスケットは、装着した位置からずれ難く、ハウジングの溝から外れ難いものであることが推測された。
【0065】
(実施例2)
図4に示すようなガスケットを作製した。このガスケットには、ガスケット本体の軸方向に沿って延びる突起部が形成されていた。そして、
図5に示すように、このガスケットを、ハウジングの溝に配置した。このときの突起部の圧縮率は、40%であった。
【0066】
その後、ハウジング内の油圧経路に潤滑油を流した。その際、油圧経路内が負圧になった場合にも、このガスケットは、装着した位置からずれ難く、ハウジングの溝から外れ難いものであることが推測された。
【0067】
(実施例3)
図6に示すようなガスケットを作製した。このガスケットには、ガスケット本体の外周から軸方向に沿って外方に延びる凸状部が形成されていた。そして、
図7に示すように、このガスケットを、ハウジングの溝に配置した。このとき、凸状部を、ハウジングの内側に形成された切欠部に挿入するように配置した。
【0068】
その後、ハウジング内の油圧経路に潤滑油を流した。その際、油圧経路内が負圧になった場合にも、このガスケットは、装着した位置からずれ難く、ハウジングの溝から外れ難いものであることが推測された。
【0069】
(比較例1)
実施例1~3に示すような突起部及び凸状部を有しないガスケット(従来のガスケット)を用意し、このガスケットをハウジングの溝内に配置した。その後、ハウジング内の油圧経路に潤滑油を流して評価を行った。
【0070】
本比較例では、ハウジングからガスケットが外れてしまう懸念があった。
【0071】
実施例1~3及び比較例1の結果から、実施例1~3の流体経路の接続部におけるガスケットは、比較例1のガスケットに比べて、装着した位置からずれ難く、ハウジングの溝から外れ難いものであることが推測される。
10:ハウジング、11,12:2つの部材、15:経路(流体経路)、17:溝、17a:側面、23:ガスケット本体、25:突起部、27:シールビード、29:隙間、37:切欠部、100,101,102:ガスケット。