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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012912
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】エスカレータの人流抑制装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 29/08 20060101AFI20240124BHJP
   B66B 31/00 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B66B29/08 Z
B66B31/00 C
B66B31/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114726
(22)【出願日】2022-07-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100211502
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 祥弘
(72)【発明者】
【氏名】小堀 智久
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA11
3F321EA02
3F321EB07
3F321EC07
3F321FA01
3F321FB08
3F321GA35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エスカレータの踊り場において人の滞留防止のために誘導柵を設けることがあるが、むき出しの状態で保持されることが多い。そこで、意匠性を損ねることなく簡単な構成で乗降口に設置でき、通常時と誘導柵動作中それぞれに適した表示を行うことを可能とした人流抑制装置の提供。
【解決手段】利用者の乗降を検知する第一センサ71と、乗降口に固設された基部70Aと、基部から利用者の乗降方向と同一の方向に可動し基部に係止可能な可動部70Bと、を有する筐体と、基部と可動部との間に跨設する、伸縮可能な誘導柵と、アクチュエータと、複数のキャスターと、第一センサの検知状況に基づき利用情報を取得する情報取得部と、第一の閾値を超えた場合に誘導柵の伸縮動作必要有りと判定する判定部と、通常時はエスカレータの乗車率と運行状況の少なくとも一つを表示し、誘導柵の伸縮動作中は利用者に注意喚起を促す表示を行う表示装置72と、を具備する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降口に設けられ、利用者の乗降を検知する第一センサと、
前記乗降口に固設された基部と、前記基部から前記利用者の乗降方向と同一の方向に可動し、前記基部に係止可能な可動部と、を有する筐体と、
一方が前記基部に係合され他方が前記可動部に係合されることで前記基部と前記可動部との間に跨設し、前記可動部が前記基部に係止された状態と、前記可動部が前記基部から離間した状態とに遷移する、伸縮可能な誘導柵と、
前記誘導柵の伸縮状態を調整するアクチュエータと、
前記誘導柵の下方に設けられ、前記誘導柵の水平移動を円滑にする複数のキャスターと、
前記第一センサの検知状況に基づき利用情報を取得する情報取得部と、
前記利用情報に基づき、前記誘導柵を伸縮動作するか否か判定し、第一の閾値を超えた場合に前記誘導柵の伸縮動作必要有りと判定し、前記アクチュエータに指示を出力する判定部と、
前記筐体の外周面に設けられ、前記利用情報に基づき、通常時はエスカレータの乗車率と運行状況の少なくとも一つを表示し、前記誘導柵の伸縮動作中は利用者に注意喚起を促す表示を行う表示装置と、
を具備するエスカレータの人流抑制装置。
【請求項2】
前記情報取得部は乗車率に加え、前記乗車率の一定時間における変化率を算出し、
前記判定部は、前記乗車率が前記第一の閾値を超えた場合もしくは前記変化率が第二の閾値を超えた場合のいずれかであったときに、伸縮動作必要有りと判定することを特徴とする請求項1に記載のエスカレータの人流抑制装置。
【請求項3】
前記エスカレータを備える建屋側の混雑状況を取得して
前記情報取得部は、前記混雑度検知手段の情報に基づき、混雑度の変化予測を行い、
前記表示装置は、前記情報取得部からの情報に適した表示を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエスカレータの人流抑制装置。
【請求項4】
さらに前記基部と前記可動部の間の人や物を検知する第二センサを備え、
前記判定部は、前記第二センサの検知が生じた場合には前記誘導柵への接近もしくは伸縮動作を遮る場合に、伸縮動作中であれば動作を一時中断する指示を前記アクチュエータに出力することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエスカレータの人流抑制装置。
【請求項5】
さらに音声出力装置を備え、
前記誘導柵の動作中は、前記表示装置の表示とともに前記音声出力装置からアナウンスを出力することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエスカレータの人流抑制装置。
【請求項6】
前記誘導柵は蛇腹形状であり、折り畳むことで前記筐体に格納可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエスカレータの人流抑制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エスカレータの人流抑制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエスカレータについて、特に混雑時等、エスカレータの踊り場における人の滞留を防止するために誘導柵を設けることがある。エスカレータの降り場付近の混雑状況を検知し、モータ及びギアによって段階的に延伸させる機能を有する誘導柵についての提案が存在する。
【0003】
他にも、エスカレータにおいて隣接する号機の欄干と欄干の間に伸縮可能な誘導柵を設け、誘導柵の占めるスペースを調整可能とした提案が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-006502号公報
【特許文献2】特開2022-059826号公報
【特許文献3】特開平9-077448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、混雑していないときであっても乗客の視界に入る位置に誘導柵がむき出しの状態で保持され、乗場近傍の意匠性が損なわれる懸念がある。これを解決するために、混雑していないときには、乗降口近傍の床面に設けた収納空間に誘導柵を収納しておき、混雑時には、誘導柵をせり出すことで誘導柵を出現させる提案が存在するが、当該提案は所定の空間を形成する必要があり建屋側の措置を要する。
【0006】
また、利用者の安全のためには、混雑度や人流等に基づいた誘導柵の延伸動作中、あるいは収納動作中に注意喚起するとともに、誘導柵を収納した状態、あるいは延伸した状態では、エスカレータの運行に関する情報を利用者に報知することが望ましい。
【0007】
そこで、本実施形態では、延伸長の段階的な調整機能を有する誘導柵であって、意匠性を損ねることなく比較的簡単な構成で乗降口に設置でき、誘導柵の延伸動作中あるいは縮小動作中には注意喚起する情報を表示するとともに、誘導柵を収納した状態あるいは延伸した状態では運行に関する情報を表示する表示部を備える人流抑制装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、実施形態のエスカレータの人流抑制装置は、乗降口に設けられ、利用者の乗降を検知する第一センサと、前記乗降口に固設された基部と、前記基部から前記利用者の乗降方向と同一の方向に可動し、前記基部に係止可能な可動部と、を有する筐体と、一方が前記基部に係合され他方が前記可動部に係合されることで前記基部と前記可動部との間に跨設し、前記可動部が前記基部に係止された状態と、前記可動部が前記基部から離間した状態とに遷移する、伸縮可能な誘導柵と、前記誘導柵の伸縮状態を調整するアクチュエータと、前記誘導柵の下方に設けられ、前記誘導柵の水平移動を円滑にする複数のキャスターと、前記第一センサの検知状況に基づき利用情報を取得する情報取得部と、前記利用情報に基づき、前記誘導柵を伸縮動作するか否か判定し、第一の閾値を超えた場合に前記誘導柵の伸縮動作必要有りと判定し、前記アクチュエータに指示を出力する判定部と、前記筐体の外周面に設けられ、前記利用情報に基づき、通常時はエスカレータの乗車率と運行状況の少なくとも一つを表示し、前記誘導柵の伸縮動作中は利用者に注意喚起を促す表示を行う表示装置と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一般的なエスカレータの全体図である。
図2】本実施形態に係るエスカレータの全体斜視図である。
図3】人流抑制装置と制御装置の関係性を示したブロック図である。
図4】センサの配置を説明する図である。
図5】ポールの表示部を説明する図である。
図6】人流抑制装置と制御装置の関係性を示したブロック図の他の例(1)である。
図7】人流抑制装置の位置と延伸状態を示した側面図である。
図8】人流抑制装置の位置と格納状態を示した平面図である。
図9】ポール内部に格納する誘導柵の他の形状(1)を説明する図である。
図10】ポール内部に格納する誘導柵の他の形状(2)を説明する図である。
図11】人流抑制装置と制御装置の関係性を示したブロック図の他の例(2)である。
図12】人流抑制装置と制御装置の関係性を示したブロック図の他の例(3)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本実施形態のエスカレータの構成及び動作を説明する。なお、以下の説明において、略または実質的に同一の機能及び構成要素については、同一符号を付し、必要に応じて説明を行う。
【0011】
エスカレータの構造について、図1を参照して説明する。図1は一般的なエスカレータの側面図であり、図中の10はエスカレータ全体を示す。エスカレータ10は、例えば建物の上階と下階との間に傾斜して設置される。エスカレータ10の枠組みであるトラス12が、建屋1の上階と下階に跨がって支持アングル2,3を用いて支持されている。
【0012】
図1に示すように、トラス12の上端部にある上階側の機械室14内部には、踏段30を走行させる駆動装置18、左右一対の駆動スプロケット(駆動輪)24,24、左右一対のベルトスプロケット27,27が設けられている。駆動装置18は、モータ20と、減速機と、この減速機の出力軸に取り付けられた出力スプロケットと、この出力スプロケットにより駆動する駆動チェーン22と、モータ20の回転を停止させ、かつ、停止状態を保持するディスクブレーキとを有している。この駆動チェーン22により駆動スプロケット24が回転する。左右一対の駆動スプロケット24,24と左右一対のベルトスプロケット27,27とは、不図示の連結ベルトにより連結されて同期して回転する。また、上階側の機械室14内部には、モータ20やディスクブレーキなどを制御する制御装置50が設けられている。
【0013】
トラス12の下端部にある下階側の機械室16内部には、従動スプロケット(従動輪)26が設けられている。上階側の駆動スプロケット24と下階側の従動スプロケット26との間には、左右一対の無端状の踏段チェーン28,28が掛け渡されている。左右一対の踏段チェーン28,28には、図1に示すように、複数の踏段30の前輪301が等間隔で取り付けられている。踏段30の前輪301は、トラス12に固定された不図示の前案内レールに沿って走行すると共に、駆動スプロケット24の外周部にある凹部と従動スプロケット26の外周部にある凹部に係合して上下に反転する。後輪302は、図1に示すようにトラス12に固定された後案内レール25を走行する。
【0014】
トラス12の左右両側には、左右一対のスカートガード44,44と左右一対の欄干36,36が立設されている。欄干36の上部に手摺りレール39が設けられ、この手摺りレール39に沿って手摺りベルト38が移動する。欄干36の上階側の正面下部には上階側の正面スカートガード40が設けられ、下階側の正面下部には下階側の正面スカートガード42が設けられ、正面スカートガード40,42から手摺りベルト38の出入口であるインレット部46,48がそれぞれ突出している。スカートガード44は、欄干36の側面下部に設けられ、左右一対のスカートガード44,44の間を踏段30が走行する。上下階のスカートガード44の内側面には、操作盤52,56、スピーカ54,58がそれぞれ設けられている。
【0015】
手摺りベルト38は、上階側のインレット部46から正面スカートガード40内に進入し、案内ローラ群64を介してベルトスプロケット27に掛け渡され、その後、案内ローラ群66を介してスカートガード44内を移動し、下階側のインレット部48から正面スカートガード42外に表れる。そして、手摺りベルト38は、ベルトスプロケット27が駆動スプロケット24と共に回転することにより踏段30と同期して移動する。手摺りベルト38は、各踏段30と同期して乗降口間を循環移動し、乗口側のインレットから外に繰り出され、降口側のインレットから入り込む。また、回転するベルトスプロケット27に走行する手摺りベルト38を押圧するための押圧部材68が設けられている。
【0016】
上階側の機械室14の天井面にある乗降口には、上階側の乗降板32が水平に設けられ、下階側の機械室16の天井面にある乗降口には、下階側の乗降板34が水平に設けられている。乗降板32の先端には踏段30と同じ幅を有する櫛歯状のコム60が設けられ、このコム60から踏段30が進出または進入する。また、乗降板34にも櫛歯状のコム62が設けられている。このようにして、エスカレータは移動階段式の昇降動作を可能としている。
【0017】
次に、本実施形態の人流抑制装置の仕組みについて説明する。
【0018】
なお、以下の実施形態のエスカレータにおいては、踏段30の長手方向をx軸方向、踏段30のコム60・62への進出入方向をy軸方向、建屋1の上下階方向をz軸方向とし、x軸・y軸・z軸は相互に直交する。このように図面右下に設けた座標系に基づき、さらに向きについては+(プラス)と-(マイナス)を用いて説明する。
【0019】
図2は、実施形態に係る人流抑制装置を備えたエスカレータの構成を部分的に示す斜視図である。図2において人流抑制装置は、誘導柵を格納した状態を示して説明する。
【0020】
無端状の踏段チェーンには複数の踏段30が等間隔で取り付けられ、架け渡された踏段30の一部が視認可能となっており、スカートガード44、欄干36、手摺りレール38がトラス12に立設されている。乗降板34は上階側と下階側の各乗降口に被覆されて敷設され、建屋の床面に略水平に設けられている。乗降口近傍、例えばスカートガード44には、利用者の乗り込みを検知する利用者検知センサ71が左右一対に設けられる。また、乗降口近傍の手摺りレール38及びインレット48の前にポール型の人流抑制装置70が少なくとも一つ設けられる。例えば、複数号機が連続して配設しているエスカレータにおいて、切り替えている部分すなわち号機と号機の間に設置する。人流抑制装置70の配置については後述する。
【0021】
人流抑制装置70は、複数号機のエスカレータが配設されている、乗り継ぎを必要とした乗降口、例えば単列乗継ぎ形配列や複列乗継ぎ形配列等のエスカレータに設置する。また、人流抑制装置70は、エスカレータ10の運行状況や混雑度等を視認可能に表示する表示部72を備えており、格納可能にアクチュエータと誘導柵(伸縮機構)とを設けている。図2においてはアクチュエータと誘導柵は格納しているため視認不可としているが、これらの構造については後述する。
【0022】
人流抑制装置70は、床面に対して略平行(-y側)に係脱可能に蓋の付いたポール状の筐体から構成され、内部には空間(空洞・空隙)を含む。その筐体の中にアクチュエータを設け、縮んだ状態の誘導柵を格納可能としている。
【0023】
誘導柵の延伸長は段階的に調整が可能であり、伸縮状態のうち、誘導柵としての役割を果たすよう格納時よりも延ばした状態を延伸状態とし、延伸状態の誘導柵の長さを折り畳む等して筐体に格納可能な長さに短縮することを縮小状態と呼称する。なお、格納状態とは、縮小状態とした誘導柵を筐体に格納した状態を示す。誘導柵は、伸縮方向であるy軸方向の一方が乗降口近傍に固設され、-y側に延伸、+y側に縮小可能としている。
【0024】
筐体は、アクチュエータ等を格納可能な空間を有する本体側(基部70A)と、蓋側(可動部70B)とに係止及び分離が可能となるよう複数パーツで形成される。本体側が床面に固設され、蓋側は本体側から係脱可能としている。蓋側は、利用者の乗降方向、すなわちy軸方向に可動する。なお、誘導柵74は本体側と蓋側に跨設するように介設しており、蓋側が係脱した場合には、本体側と蓋側の双方に懸架する状態となる。
【0025】
なお、筐体は、ポール状(円筒状)のほか、ポスト式の光電センサのように直方体に近い箱状であっても構わない。折り畳んだ誘導柵や人流抑制装置に係る部品を中に格納可能とするよう、中には空洞を有する。
【0026】
人流抑制装置30の構成の詳細については図3を用いて説明する。
【0027】
図3は人流抑制装置70の構造を示すブロック図であり、制御装置50との関係性を示している。
【0028】
人流抑制装置70は、上述した表示部72に加え、動力源であり誘導柵の伸縮状態を調整するアクチュエータ73、通過を阻止し利用者に歩行方向を示す役割を持つ誘導柵(伸縮機構)74、誘導柵74の下方に設けられ、誘導柵74を所定の方向へ移動可能とした複数のキャスター(移動機構)75、筐体の基部70Aと可動部70B間の人や物を検知して挟まれ等を防止する物体検知センサ76とを有している。なお、詳細については後述する。
【0029】
乗降口近傍に設けた利用者検知センサ71は、人や物が前を通過すると検知し、エスカレータの踏段に乗り込もうとする利用者を判断して、通過人数を計測する。例えば、投光部と受光部を有する光電管センサを用い、投光部から投光された光が遮られる等の事象が発生したときに、受光部に到達するまでに光量が変化することで、人や物が通過したと検知する。利用者検知センサ71の取付位置は、乗降口近傍であって利用者の乗降を検知可能であればエスカレータ本体に限定せず、一方は人流抑制装置70の筐体の側面等でも構わない。検知の手法としては、通過人数を計測する方式のほか、センサの反応時間を測定する方法を用いる。
【0030】
制御装置50内に設けた情報取得手段501は、利用者検知センサ71の検知状況を取得し、利用情報を取得する。利用情報は例えばエスカレータの乗車率である。乗車率とは、基準値に対する単位時間あたりの通過人数として説明する。ある一定時間における乗車率の平均を定期的に算出することで、エスカレータの利用に関する状況や人流情報を推定する。
【0031】
ここで、算出する乗車率について説明する。通常、理論的に輸送が可能な最大の輸送人数として、踏段の幅と奥行(傾斜)、エスカレータの速度を変数として一義的に決まる値が存在し、理論上の輸送能力(人/時間)のうち、ある一定値を超えると混雑しているとみなされる。
【0032】
なお、本実施形態の基準値は、理論上の最大輸送能力ではなく、任意に設定した値を100%として乗車率を算出する。例えば、一分間に50人通過したときに乗車率を100%とする場合、30人の通過で乗車率60%となるように単位時間あたりに測定した人数によって乗車率が決定する。
【0033】
ほかにも、踏段に一段おきに利用者が乗り込むことを想定して、踏段の数を踏段が一周動作するのにかかる時間で除したものを単位時間当たりの人数の最大値としても構わない。この場合は、例えば20段の踏段を有するエスカレータにおいて30秒で一周する場合、一分間に40人通過したときに乗車率100%と判断する。
【0034】
このようにして、エスカレータの通過人数の基準値を任意に設定し、そこから乗車率を算出する。以下、理論上の最大輸送能力ではなく、本実施形態固有の値を100%の基準として算出した乗り込みの割合を乗車率とする。乗車率の算出に伴う利用者通過の情報は、利用者検知センサ71のほか、乗降口近傍に設けた荷重検知装置や撮像装置等の別の手段を用いて取得した情報をもとに算出しても良い。
【0035】
乗車率を算出する範囲について、一定時間とは、数十秒から数分と任意に設定する。また曜日や時間帯等、混雑時には乗車率の算出の頻度を高くするとしても良い。
【0036】
情報取得手段501は、判定手段502及び表示部72に推定した利用情報を送信する。
【0037】
情報取得手段501により算出した乗車率に基づき、判定手段502は、誘導柵の伸縮動作の要否と、延伸する場合はその延伸長を判定する。伸縮動作の要否については、例えば、任意に設定した第一の閾値(例えば50%)以上の場合には、延伸要とする。延伸長は、例えば、乗車率が第一の閾値(例えば50%)を超えた場合は、誘導柵の延伸長を最大長の1/3とし、第二の閾値(例えば70%)を超えた場合は2/3とする等、乗車率の割合に合わせて延伸長の割合を調整する。エスカレータの乗車率に対する延伸長は別途方程式を任意に設定しても良い。
【0038】
また、利用者検知センサ71の検知の手法として、センサの反応時間を測定することで利用状況を判定する場合、一定時間連続してセンサの通過感度が悪いときは、遮られる時間が長く人の動きが遅いことが考えられる。この場合、通過人数を測定するよりも乗り込み率は高いと想定できるため、延伸長の割合を最大長にする等、延伸長を任意に設定するとしても良い。
【0039】
このようにして誘導柵74の伸縮要否を判定した判定手段502は、伸縮要の場合に判定された延伸長まで動作するようにアクチュエータ73に指示を出力するとともに、表示部72にも指示を出力する。指示を受けたアクチュエータ73は、モータが動作開始し、筐体に格納された状態の誘導柵を外へ押し出す力が加わる。モータの回転方向により伸びるだけでなく縮むことも可能としており、さらに適宜延伸長を調整するため多点での停止が可能である。判定手段502からの指示を受けた表示部72は、伸縮動作中の表示に切り替える。
【0040】
アクチュエータ73を介して格納状態から押し出す力が加わった誘導柵74は、誘導柵74の下部に移動機構として設けられ、床面と接するキャスター75によって、力の加わる方向へ動作する。キャスター75によって利用者を誘導する所定方向への移動を円滑にサポートすることが可能となる。
【0041】
物体検知センサ76は、特に人流抑制装置70の動作中に誘導柵74への接触や挟まれ等の危険性を抑制するため、図4に示すように、誘導柵74の伸縮方向であるy軸方向に対となって設けられる。誘導柵74が延伸状態にあるとき、筐体の本体側(基部70A)と蓋側(可動部70B)の間の誘導柵74の近傍について物体検知の有無を判定することを可能とし、挟まれ防止に役立つ。対となった物体検知センサ76の一方は筐体の本体側に、他方は筐体の蓋側に設けられることが望ましい。例えば、物体検知センサ76は、本体側に設けられた投光部と蓋側に設けられた受光部とから構成される。物体検知センサ76によって、検知が有った場合には、誘導柵への接近もしくは伸縮動作を遮る等の危険性があるため、延伸もしくは縮小動作を一時停止し、一定時間経過後に安全確認を行った上で動作継続か否か状況に応じた判断を行うことで、誘導柵74の延伸中に人や物が入り込んだ場合の安全確保が可能となる。誘導柵74の動作については判定手段502が判定し、一時中断等の動作変更があった場合にはアクチュエータ73にその旨の指示を出力する。また、物体検知が有った場合には、危険を報知するアナウンスや表示を行うことが望ましい。動作を一時中断したとき、挟まれ等を検知せず一定時間経過した場合は、さらなる伸縮動作が必要な場合は誘導柵74の延伸または縮小の動作を再開する。
【0042】
誘導柵74の延伸後は、設定した時間を経過するまでは乗車率に限らず延伸状態を保持しておき、それ以降は第三の閾値(例えば10%)未満が一定時間以上続いた場合、混雑は解消されたとみなして誘導柵74の延伸長を調整し格納状態に戻す。
【0043】
利用者が視認可能となるように人流抑制装置70の筐体の外周面に設けた表示部72は、基本として通常時は利用者に対しエスカレータ10の運行状況や混雑度を表示し、誘導柵74の動作中には利用者に注意喚起を呼びかける表示を行う。表示内容の具体例は図5に示す。表示部72は、筐体の外側に表示面が視認可能となるように設けており、蓋側の全体を表示部とする形であっても、穴あけ加工や切り欠き加工を施した部材を可動部70Bに用いて、長方形の角穴や切り欠き部に、一回り大きい表示部を内側から嵌め込む形であっても構わない。誘導柵の延伸方向の向きの特に先端側に設けることが望ましい。表示部72は、情報取得手段501から情報を常時取得し、伸縮動作の前後にも注意喚起する表示を行うことを可能とする。なお、上述したように情報取得手段501から定期的に送信される情報を表示部72が取得することに限らず、表示部72が定期的に情報取得手段501の状況を読み取りにいくとしても構わない。例えば、誘導柵74の伸縮動作中は利用者に注意を促す表示を行い、それ以外ではエスカレータの乗車率と運行状況の少なくとも一つを表示する。
【0044】
ここで、図5を用いて表示内容を説明する。図5は、ポールの表示部を説明する図であり、実施形態では筐体の蓋側に設けるとしている。(a)は混雑度の割合を表示しており、ここで混雑度とはエスカレータの乗車率として説明する。また、(b)は運行方向を表示する例であり、(c)は誘導柵74が延伸動作を行っている旨の表示の例である。
【0045】
表示部72は、通常時は図5(a)や(b)に示すように、エスカレータの運行状態や運行方向、混雑度割合等を常時表示する。誘導柵74の動作中には、図5(c)に示すように、「誘導柵延伸中」等の状況を説明する表示を行う。また、乗車率が高い場合や急激に上昇した場合は図5(a)に示す「混雑度〇%」の他、「混雑度UP」等の状況を説明する表示を行っても構わない。表示形態は、文字やピクトグラム、イラスト等によって行う。誘導柵74の動作中及び動作前後には判定手段502から出力された指示に基づき「延伸注意」等の注意を促す表示を行うとしても構わない。なお、エスカレータの運行状況に関わる情報を表示することができれば、図示したものには限定しない。それぞれの表示については、情報取得手段501と判定手段502から出力された情報に基づく。
【0046】
また、表示部72は、利用者への報知手段として設けてあるため、表示部72に加えてさらに音声出力装置を設けておくとなお良い。音声出力装置を設ける場合、誘導柵74の動作中・動作前後には特に、視認可能な表示とともにアナウンスを出力する。アナウンスは、誘導柵動作状況、動作予告のほか、混雑度のエスカレータの運行に関わる注意喚起の内容とする。また報知の方法としては、表示部72に加えて、光の点滅や注意喚起音の出力等を行うとしてもよい。このようにして、誘導柵の動作中・動作前後の安全性を確保するとともに、エスカレータの運行状態の変化等を常時確認可能となる。
【0047】
ここまで、判定手段502及び表示部72の処理では、情報取得手段501の算出した一定時間における乗車率を元に行っていたが、それまでほぼ横ばいだったものが、急激に変化すると直ぐに混雑する可能性があるため、乗車率に加えて変化率を加味することも望ましい。例えば、変化率がある閾値を超えた場合には、たとえ混雑度の閾値を超えていない場合であっても迅速な誘導柵の延伸を可能とする。求めた変化率は混雑度の情報とともに判定手段502及び表示部72に送信する。
【0048】
また、判定手段502及び表示部72の処理に必要な情報を整理する情報取得手段501について、利用者検知センサ71から乗り込み利用者を判断して乗車率を算出していたが、それに限らず、図6に示すように、建屋側の混雑度検知手段80を介して、エスカレータ10を有する建屋1の混雑度を検知するとしても構わない。エスカレータ10を有する建屋1において、施設内の混雑度が上昇したという情報を取得した場合、エスカレータ10も混雑度が上昇することが考えられるため、あらかじめ延伸しておくことを可能とする。これにより、混雑度が高いときに発生し得る乗降口近傍での利用者滞留に起因する乗車待ちを有効に抑制することができる。
【0049】
次に、図7図8を用いて、人流抑制装置70の位置及び延伸状態について説明する。
【0050】
図7は、図2に示したエスカレータ10の反対側に連続した別号機のエスカレータ10を具備する横から見た平面図であり、誘導柵は延伸状態を示す。図8図7の構成を上から見た平面図であり、誘導柵は筐体に格納された状態を示す。
【0051】
図7図8に示すように、実施形態においてはエスカレータ10A・10Bを備えており、人流抑制装置70は、上昇運転におけるエスカレータ10Aの降り口かつエスカレータ10Bの乗り口となる乗降口に設ける。ここでは単列乗継ぎ形配列であるとし、誘導柵(伸縮機構)74がエスカレータ10の運行と同等の水平方向(+y側)、すなわち利用者の歩行可能な方向に延伸可能となるように人流抑制装置70の筐体を設置する。ここではエスカレータの切り返しの部分に一つ設置しているが、号機ごと等同じ空間に複数設けても構わない。
【0052】
誘導柵74は、横引きシャッターのようなアルミや鉄等の金属の他、円筒状のブイのように空気を取り込んだ状態で保持することのできる形状のもの、また、図9に示すように蛇腹形状で面を折り畳んで収納可能としたものであっても構わない。他にも、蛇腹ではなく、図10に示すようにロボットのアームの形状で蓋側の押し出しを可能とし、一方の端部に可動部を取り付けることで、基部と可動部間をつなぐ一本のパイプフェンスのようなものであっても構わない。
【0053】
キャスター75は、所定の方向へ移動可能とした車輪等向きの制限を有する回転体であることが望ましいが、誘導柵の移動を補助することができる機構であれば球体のボールローラや輪状の回転体等形状は限定しない。
【0054】
物体検知センサ76は、誘導柵74の延伸中に、延伸方向を遮る方向に物体を検知した場合に、挟まれ防止のため伸縮いずれの動作であってもその場で一時停止とすることで安全を確保できる。その後挟まれ等を検知せず一定時間経過した場合は、さらなる伸縮が必要な場合は誘導柵74の延伸または縮小の動作を再開する。
【0055】
上述した実施形態では単列乗継ぎ形配列であるとして説明したが、実際の人流抑制装置70の配置についてはそれに限らず乗降口近傍での滞留を抑制することを目的とした他の配列であっても構わない。
【0056】
また、混雑度や人流の情報の取得については、エスカレータを設置する建屋側のビルシステムの情報を活用するとしても構わない。上記のように人流抑制装置70は自動で延伸コントロールを行う他、商業施設の管理人側が混雑状況を把握した場合に、ボタンの押下等により人為的な誘導柵の延伸コントロールを可能とする。例えば、人流抑制装置70の備えられたエスカレータを所有する商業施設内における混雑度が上がってきたときに、エスカレータの利用者が増加することを加味してあらかじめ管理人が延伸させる指示を出力しておく。この場合は遠隔で指示出力可能とすることで、施設内の混雑状況に基づき、エスカレータに関する混雑度の変化を予測できる場合において事前に対応できるため、円滑にエスカレータ利用者の滞留を抑制し、安全な利用を促進することが可能となる。
【0057】
さらに、利用者検知センサに代わる機器を利用する他の例について図11図12を用いて説明する。図11は撮像装置90を用いる場合の人流抑制装置70と制御装置50との関係性を示すブロック図であり、図12は運行状況の情報に基づいて人流抑制装置70と制御装置50との関係性を示すブロック図である。
【0058】
撮像装置90を利用する場合、人流抑制装置70について、利用者検知センサ71を設けず、エスカレータ10本体に設けた荷重検知装置や撮像装置90から取得した情報を情報取得手段501へ送信する。撮像装置を利用する場合、利用者検知センサと物体検知センサの設置を要しない。利用者検知センサと物体検知センサの代わりに撮像装置90を介して取得した情報を用いて、乗車率と誘導柵74の伸縮要否に加えて、安全機能として伸縮中の誘導柵への接近等を検知する。このように撮像装置90から取得した映像・画像を活用することで、より安全性に配慮した設計とすることができる。
【0059】
運行状況から伸縮可否を判定する場合、制御装置50内に設けられた運行状況判定部503により、通常運転、低速待機運転、運転停止等の運行状況を判定し、その情報に基づいて、一定時間その状態が続いた場合に伸縮可否を判定する。例えば、誘導柵74が延伸状態を一定時間保持している場合であってその後低速待機運転となった場合には、運行状況が変わらなければ延伸状態を維持する必要は無いと考えられるため縮小可とする。また、曜日や時間帯等、混雑予測が立てられる場合においては、利用者のいないと判定された低速待機や運転停止状態のときにアクチュエータ73に伸縮可能である旨の指示を出力し、あらかじめ誘導柵74を伸縮動作しておくことも可能とする。
【0060】
以上に述べたように、実施形態によれば、利用者の乗降を検知するセンサ71と、伸縮可能な誘導柵74と、誘導柵を動かす動力であるアクチュエータ73と、誘導柵の移動を円滑にするキャスター75と、人流情報を取得する情報取得手段501と、伸縮動作の要否とその延伸長を判定する判定手段502と、利用者に状況を報知する表示部72と、を備え、利用者の混雑状況に基づいた制御及び注意喚起の表示がなされることで、誘導柵74が不要なときには意匠性を損ねることなく、混雑時には乗降口近傍に滞留することによる安全性の低下を有効に抑制することができる。
【0061】
また、表示部72を用いて、常時動作状況を利用者に報知することを可能としたことで、システムが問題なく作動していることやエスカレータの混雑度を利用者に認識させることが可能となる。センサの検知状況に基づいて安全性を保持しつつ、利用者の増減・混雑度等の状況に合わせて、降り口から乗り口への動線距離を調整することができ、さらに筐体に誘導柵を格納して一体型とすることで、混雑時には誘導柵の機能を確保しつつ、不要なときには格納可能であり、必要なタイミングで使い分けができる。特に商業施設等、複数のエスカレータが配設され、全体の混雑度が分かる場合には更に効果的に安全性を確保する人流抑制装置として利用することができる。
【0062】
さらに動作予測を表示した場合はこれから混雑すると予想でき、エスカレータの混雑時には階段やエレベータ等の他のツールを活用して目的階に行ける選択肢を増やすことが可能となる。
【0063】
また、エスカレータの機器と連動して設けることで、建屋側で管理が不要となり利便性が向上する。
【0064】
その他変化例として、混雑度や人流の情報の取得についてエスカレータを設置する建屋側のビルシステムの情報を活用することにより、利用性の向上を図ることが可能となる。
【0065】
本発明の実施形態及びいくつかの変形例を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、そのほかの様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1…建屋、2…支持アングル、3…支持アングル、10(10A・10B)…エスカレータ、12…トラス、14…上階側の機械室、16…下階側の機械室、18…駆動装置、20…モータ、22…駆動チェーン、24…駆動スプロケット(駆動輪)、25…案内レール、26…従動スプロケット(従動輪)、27…ベルトスプロケット、28…踏段チェーン、30…踏段、32…乗降板、34…乗降板、36…欄干、38…手摺りベルト、39…手摺りレール、40…正面スカートガード、42…正面スカートガード、44…スカートガード、46…インレット部、48…インレット部、50…制御装置、501…情報取得手段(情報取得部)、502…判定手段(判定部)、503…運行状況判定部、52…、操作盤、54…スピーカ、56…操作盤、58…スピーカ、60…コム、62…コム、64…案内ローラ群、66…案内ローラ群、68…押圧部材、71…利用者検知センサ(第一センサ)、
70…人流抑制装置、70A…基部、70B…可動部、72…表示部(表示装置)、73…アクチュエータ、74…誘導柵(伸縮機構)、75…キャスター(移動機構)、76…物体検知センサ(第二センサ)、80…混雑度検知手段、90…撮像装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降口に設けられ、利用者の乗降を検知する第一センサと、
前記乗降口に固設された基部と、前記基部から前記利用者の乗降方向と同一の方向に可
動し、前記基部に係止可能な可動部と、を有する筐体と、
一方が前記基部に係合され他方が前記可動部に係合されることで前記基部と前記可動部
との間に跨設し、前記可動部が前記基部に係止された状態と、前記可動部が前記基部から
離間した状態とに遷移する、伸縮可能な誘導柵と、
前記誘導柵の伸縮状態を調整するアクチュエータと、
前記誘導柵の下方に設けられ、前記誘導柵の水平移動を円滑にする複数のキャスターと

前記第一センサの検知状況に基づき、乗車率と、該乗車率の一定時間における変化率を
算出し、利用情報を取得する情報取得部と、
前記利用情報に基づき、前記誘導柵を伸縮動作するか否か判定し、前記乗車率が第一の
閾値を超えた場合もしくは前記変化率が第二の閾値を超えた場合のいずれかであったとき
に、前記誘導柵の伸縮動作必要有りと判定し、前記アクチュエータに指示を出力する判定
部と、
前記筐体の外周面に設けられ、前記利用情報に基づき、通常時はエスカレータの乗車率
と運行状況の少なくとも一つを表示し、前記誘導柵の伸縮動作中は利用者に注意喚起を促
す表示を行う表示装置と、
を具備するエスカレータの人流抑制装置。
【請求項2】
前記エスカレータを備える建屋側の混雑状況を取得する混雑度検知手段を備え
前記情報取得部は、前記混雑度検知手段の情報に基づき、混雑度の変化予測を行い、
前記表示装置は、前記情報取得部からの情報に適した表示を行うことを特徴とする請求
に記載のエスカレータの人流抑制装置。
【請求項3】
さらに前記基部と前記可動部の間の人や物を検知する第二センサを備え、
前記判定部は、前記第二センサの検知が生じた場合には前記誘導柵への接近もしくは伸
縮動作を遮る場合に、伸縮動作中であれば動作を一時中断する指示を前記アクチュエータ
に出力することを特徴とする請求項に記載のエスカレータの人流抑制装置。
【請求項4】
さらに音声出力装置を備え、
前記誘導柵の動作中は、前記表示装置の表示とともに前記音声出力装置からアナウンス
を出力することを特徴とする請求項に記載のエスカレータの人流抑制装置。
【請求項5】
前記誘導柵は蛇腹形状であり、折り畳むことで前記筐体に格納可能であることを特徴と
する請求項に記載のエスカレータの人流抑制装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記課題を解決するため、実施形態のエスカレータの人流抑制装置は、乗降口に設けら
れ、利用者の乗降を検知する第一センサと、前記乗降口に固設された基部と、前記基部か
ら前記利用者の乗降方向と同一の方向に可動し、前記基部に係止可能な可動部と、を有す
る筐体と、一方が前記基部に係合され他方が前記可動部に係合されることで前記基部と前
記可動部との間に跨設し、前記可動部が前記基部に係止された状態と、前記可動部が前記
基部から離間した状態とに遷移する、伸縮可能な誘導柵と、前記誘導柵の伸縮状態を調整
するアクチュエータと、前記誘導柵の下方に設けられ、前記誘導柵の水平移動を円滑にす
る複数のキャスターと、前記第一センサの検知状況に基づき、乗車率と、該乗車率の一定
時間における変化率を算出し、利用情報を取得する情報取得部と、前記利用情報に基づき
、前記誘導柵を伸縮動作するか否か判定し、前記乗車率が第一の閾値を超えた場合もしく
は前記変化率が第二の閾値を超えた場合のいずれかであったときに、前記誘導柵の伸縮動
作必要有りと判定し、前記アクチュエータに指示を出力する判定部と、前記筐体の外周面
に設けられ、前記利用情報に基づき、通常時はエスカレータの乗車率と運行状況の少なく
とも一つを表示し、前記誘導柵の伸縮動作中は利用者に注意喚起を促す表示を行う表示装
置と、を具備する。