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特開2024-129128チャネル緩衝を有するランニングシューズのソール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129128
(43)【公開日】2024-09-26
(54)【発明の名称】チャネル緩衝を有するランニングシューズのソール
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/18 20060101AFI20240918BHJP
   A43B 13/14 20060101ALI20240918BHJP
   A43B 5/06 20220101ALN20240918BHJP
【FI】
A43B13/18
A43B13/14 A
A43B13/14 B
A43B5/06
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024108338
(22)【出願日】2024-07-04
(62)【分割の表示】P 2021529783の分割
【原出願日】2019-10-22
(31)【優先権主張番号】01463/18
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(31)【優先権主張番号】00802/19
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(71)【出願人】
【識別番号】316006152
【氏名又は名称】オン クラウズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト, オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ハイツ, イルマリン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】軟弾性ミッドソール1を有するランニングシューズのソールであって、走行中に少なくとも部分的に地面と接触する下面2を有するソールを開示する。
【解決手段】ミッドソールは、水平面の、ミッドソールの側方領域LBに配置された横方向Qに延びる複数のチャネル3a、3b、3c、3dを備える。チャネルの少なくとも一部3a、3bがミッドソールの前足領域VFBに配置され、チャネルの少なくとも一部がミッドソールの中足領域MFBに配置され、及び/又はチャネルの少なくとも一部がミッドソールの踵領域FBに配置される。チャネルはそれぞれ、前壁31及び後壁32によって長手方向Lに境界が定められ、走行方向に沿った断面において細長い形状を有する。さらに、チャネルは、垂直方向及び/又は長手方向に作用する走行中に生じる力の作用下でそれらのチャネルが閉じるまで、長手方向に垂直及び/又は水平に変形可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行中に地面に少なくとも部分的に接触する下面(2)を有する、軟弾性ミッドソール(1)を有するランニングシューズのソールであって、
前記ミッドソール(1)が、横方向(Q)に延びる複数のチャネル(3a、3b、3c、3d)を備え、前記チャネル(3a、3b、3c、3d)が、前記ミッドソール(1)の側方領域(LB)において水平面に配置されており、前記チャネルの少なくとも一部(3a、3b)が前記ミッドソール(1)の前足領域(VFB)に配置され、及び/又は前記チャネルの一部が前記ミッドソール(1)の中足領域(MFB)に配置され、及び/又は前記チャネルの一部が前記ミッドソール(1)の踵領域(FB)に配置され、前記チャネル(3a、3b、3c、3d)がそれぞれ、前壁(31)及び後壁(32)によって長手方向(L)に境界が定められ、前記チャネル(3a、3b、3c、3d)が、走行方向に沿って断面が細長い形状を有し、前記チャネル(3a、3b、3c、3d)が、走行中に発生する垂直方向及び/又は長手方向に作用する力の作用を受けて閉じるまで、長手方向(L)において垂直方向に変形可能である、ソール。
【請求項2】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d)が、前記ミッドソール(1)の前記側方領域(LB)に側方開口を備え、前記チャネル(3a、3b、3c、3d)が、好ましくは、走行中に発生する垂直方向及び/又は長手方向(L)に作用する力の作用を受けて前記側方開口が閉じるまで、長手方向(L)において垂直方向及び/又は水平方向に変形可能である、請求項1に記載のソール。
【請求項3】
前記チャネルの一部(3d)が前記踵領域に配置され、前記チャネルの少なくとも一部が前記前足領域(VFB)に配置され、及び/又は前記チャネルの一部(3c)が前記中足領域(MFB)に配置されている、請求項1又は2に記載のソール。
【請求項4】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d)が、前記ミッドソール(1)によって完全に境界が定められた前記側方領域(LB)に少なくともある、請求項1~3のいずれか一項に記載のソール。
【請求項5】
前記踵領域(FB)の前記チャネル(3a、3b)が、前記前足領域(VFB)の前記チャネル(3d)よりも大きいチャネル高さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のソール。
【請求項6】
前記踵領域(FB)の前記チャネル(3a、3b、3c、3d)と、任意選択で、前記前足領域(VFB)及び/又は前記中足領域(MFB)の前記チャネルとが、単一の水平面に配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のソール。
【請求項7】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d)が、略六角形及び/又は略五角形の断面を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のソール。
【請求項8】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d)のうちの少なくとも1つの前記前壁(31)及び前記後壁(32)がそれぞれ、前側折曲縁及び後側折曲縁(33)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のソール。
【請求項9】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d)の各々のチャネル幅に対するチャネル高さの比率が、0.15:0.6、好ましくは0.2:0.4の範囲にある、請求項1~8のいずれか一項に記載のソール。
【請求項10】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d)が、1000N~3000N、好ましくは1500N~2000Nの力で始まる走行中に完全に圧縮可能である、請求項1~9のいずれか一項に記載のソール。
【請求項11】
好ましくは前記ミッドソール(1)全体にわたって延びる非圧縮性弾性プレート(5)を備える請求項1~10のいずれか一項に記載のソール。
【請求項12】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d)の少なくとも一部、好ましくは前記前足領域(VFB)の前記チャネル(3d)が、前記ミッドソール(2)の内側領域(MFB)において、前記非圧縮性弾性プレート(5)によって片側にて境界が定められている、請求項9に記載のソール。
【請求項13】
前記ミッドソール(1)が、前記踵領域(FB)から少なくとも前記中足領域(MFB)まで長手方向(L)に延びる溝(6)を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のソール。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のソールを備えるランニングシューズ。
【請求項15】
ランニングシューズの製造のために、請求項1~14のいずれか一項に記載のソールの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にスポーツ用及びレジャー用のシューズのための履物技術の分野に関し、ランニングシューズのソール(靴底)、及びランニングシューズの製造のためのソールの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な緩衝システムを有する数多くのランニングシューズが従来技術において知られている。踏み込み中の垂直方向の緩衝性を確実にするために、踵領域にゲルの芯を有するソールを有するスポーツ用及びレジャー用のシューズが広く使用されている。さらに、アウトソールとインソールとの間の踵領域に個々のばね要素を配置することによって、垂直方向の緩衝特性の向上が達成されてきた。
【0003】
上述のソールは、シューズの垂直方向の緩衝性を向上させる一方で、ソール及びシューズに水平方向に作用する力に対して十分な緩衝性をもたらすことができない。水平成分が大きい力は、特に下り道でより頻繁に発生し、十分な緩衝性がないことにより、頻繁に発生する膝関節痛及び股関節痛の主な原因の1つとなる。
【0004】
本願出願人のソールは、国際公開第2016184920号から、下方に突出し、側方に開口した、分割されてチャネル形要素を有するソールであることが知られている。走行中に発生する力の影響を受けて、チャネル形要素は、それらの側方開口が閉じるまで、垂直方向と水平方向の両方で変形可能である。ソールの分割はまた、緩衝効果も分割して、ソールに緩衝性のない又は緩衝性の低い領域を形成する。
【発明の概要】
【0005】
ランニングなどの多くのスポーツ活動では、シューズが地面に最初に接触するのは踵領域である。その結果、シューズに作用する受動力は、ソールの前足領域又は中足領域におけるよりも著しく大きい。これに関連して、受動力は踏み込み中に作用する力を意味し、能動力は、例えば、蹴り出し中に着用者によって加えられる力を意味する。これを考慮に入れるために、ランニングシューズは、概して、踵領域における特に顕著な緩衝性を特徴として有する。このような設計は、少なくとも十分な垂直方向の緩衝性を提供することができるが、顕著な緩衝性はシューズの全体的な重量に悪影響を及ぼす。その結果、従来技術で知られているランニングシューズは、不十分な緩衝性及び/又は思い重量を有する。
【0006】
周知のランニングシューズソールの他の欠点は、耐久性が低いことである。使用期間が長くなると、緩衝効果が著しく失われることが多い。これは、緩衝材料の疲労によっておこることが多い。
【0007】
したがって、本発明の一般的な目的は、ランニングシューズの分野における従来技術を改善すること、及び、好ましくは、従来技術の1つ以上の欠点を克服することである。有利な実施形態では、向上した緩衝効果を有するソールが提供され、これは好ましくは軽量である。
【0008】
さらなる実施形態では、長期間にわたって向上した耐久性を示す緩衝効果を有するソールが提供される。
【0009】
本発明の一般的な問題点は、独立請求項の目的によって一般的な方法で解決される。
【0010】
さらなる有利な実施形態は、従属請求項の各々において、及び本開示全体において明らかになる。
【0011】
本発明によるランニングシューズ用のソールは、走行中に地面と少なくとも部分的に接触する下面を有する軟弾性ミッドソールを備える。ミッドソールは、ミッドソールの水平面の側方領域に配置された、横方向に延びる複数のチャネルをさらに備える。少なくともいくつかのチャネル(3a、3b)がミッドソールの前足領域(VFB)に配置され、及び/又は少なくともいくつかのチャネルがミッドソールの中足領域(MFB)に配置され、及び/又は少なくともいくつかのチャネルがミッドソールの踵領域(FB)に配置される。チャネルはそれぞれ、前壁及び後壁によって走行方向において境界が定められ、走行方向に沿って断面が細長い形状を有する。走行中に、垂直方向及び/又は長手方向に作用する力の影響下で、チャネルは、閉じるまで長手方向に垂直に変形することができる。長手方向の断面におけるチャネルの細長い形状により、例えば円形又は正方形など、このような細長い形状の断面を有しないチャネルとは対照的に、著しく向上した緩衝効果が得られ、チャネルによって引き起こされる安定性を実質的に損失することに起因する浮遊感を持たない。本発明によるランニングシューズのソールでは、ミッドソールのチャネル緩衝は、軟弾性ミッドソールの材料起因の緩衝性と協働する。チャネルの細長い形状により、緩衝効果は互いに最適に適合する。ゲルパッドなどの他の緩衝システムと比較して、チャネルは、ランニングシューズの重量を大幅に低減することができるという利点をもたらす。
【0012】
本開示で使用される方向指示は、以下のように理解されるべきである。ソールの水平面とは、ソールの下面に対して実質的に平行に、それぞれ地面に対して実質的に平行に向けられた平面をいう。水平面もわずかに湾曲しているよいことも理解されよう。これは、例えば、ランニングシューズにおいて典型的であるように、ソールが前足領域及び/又は踵領域において垂直上方にわずかに湾曲している場合に当てはまる。ソールの長手方向Lは、踵領域から前足領域までの軸線によって表されるので、ソールの長手方向軸線に沿って延びる。ソールの横方向Qは、長手方向軸線に対して横方向に延び、及びソールの下面に略平行に延び、それぞれ地面に略平行に延びる。したがって、横方向は、ミッドソールの横方向軸線に沿って延びる。本発明の関連において、垂直方向Vは、ソールの下面からインソールに向かう方向、又は動作状態において着用者の足に向かう方向を示すので、ミッドソールの垂直軸線に沿って延びる。
【0013】
さらに、ミッドソールの側方領域とは、一対のランニングシューズの片方のランニングシューズのミッドソールの、側方の内側及び側方の外側に沿った領域を意味し、この領域はミッドソールの長手方向軸線の方向に延びる。典型的には、側方領域が水平に延びる長さは、数センチメートル、例えば0.1cm~5cm、好ましくは0.5cm~3cmである。ミッドソールの内側領域は、ミッドソールの中央の長手方向軸線に沿った領域を意味し、これはいずれの場合もミッドソールの横方向に延びる。典型的には、内側領域が水平に延びる長さは、数センチメートル、例えば0.1cm~5cm、好ましくは0.5cm~3cmである。当業者は、側方領域及び内側領域の水平方向に延びる長さがそれぞれのシューズのサイズに応じて変化してもよいことを理解する。
【0014】
本発明の目的のために、チャネルは、典型的には管状の形状であってもよい凹部である。これに関連して、チャネルは、ソールの横方向に延び、すなわち、走行方向に対して本質的に横方向に配置され、走行面に平行に、それぞれ地面に平行に配置される。概して、チャネルは、チャネル壁によって全体的又は部分的に境界が定められている。典型的には、チャネルは中が空である。しかしながら、いくつかの実施形態では、チャネルは、例えば弾性的に変形可能な発泡材料、又はガスで充填されることも可能である。
【0015】
本発明によれば、チャネルはそれぞれ、前壁及び後壁によって境界が定められている。さらに、チャネルは、上壁及び底壁を有してもよい。壁は、平らな表面によって形成されてもよく、又は特に前壁及び後壁は、1つ以上の折曲縁を形成する2つ以上の表面によって形成されてもよい。「折曲縁」という用語はまた、わずかに丸みを帯びているので、完全には角形ではない実施形態を含む。このような折曲縁は、結果として、チャネルに沿って延びるので、ミッドソールの横方向に延び、本質的に走行方向に対して横方向に延びる。
【0016】
チャネル変形可能性には、例えば、チャネル壁同士を垂直方向につけること、及び/又はチャネルの長手方向のせん断可能性が含まれてもよいことは、当業者には明らかである。
【0017】
さらに、「走行時に地面と接触する下面」という語句は、ミッドソールがさらに下層、例えば全面又は部分に分けられたアウトソールでコーティングされている実施形態も含む。このような場合、地面との接触は、このようなアウトソールによって少なくとも部分的に確立される。
【0018】
横方向のチャネルの細長い形状は、例えば、角形の断面又は楕円形の断面を有することができる。
【0019】
好ましくは、ミッドソールは、複数のチャネル、特に少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は少なくとも8つのチャネルを有する。
【0020】
好ましい実施形態では、チャネルは、ミッドソールの側方領域に側方開口を有する。好ましくは、チャネルは、垂直方向及び/又は長手方向に作用する、走行中に生じる力の作用を受けて側方開口が閉じられるまで、長手方向において垂直及び/又は水平に変形可能である。
【0021】
典型的には、上部チャネル壁及び下部チャネル壁は、走行中に生じる力の影響下で互いに接触し得る。
【0022】
さらなる実施形態では、チャネルの少なくとも一部がミッドソールの踵領域に配置され、さらにチャネルの一部がミッドソールの前足領域に配置され、及び/又はチャネルの一部がミッドソールの中足領域に配置される。好ましくは、チャネルの少なくとも一部は前足領域に配置され、チャネルの一部は中足領域に配置され、チャネルの一部はミッドソールの踵領域に配置される。したがって、このような実施形態では、少なくとも1つのチャネルが、踵領域、中足領域、及び前足領域の各々に配置される。チャネルの一部は、ミッドソールの、前足領域、中足領域の一部、及び踵領域の一部に配置されるので、チャネルは、好ましくは、実質的にミッドソール全体にわたって分布する。これにより、凹部によってソールの重量を低減することができる。さらに、チャネルが踵領域及び中足領域だけでなく前足領域にも配置されていると、走行感、特に緩衝効果に有利であることが示されている。
【0023】
いくつかの実施形態では、チャネルは、少なくとも側方領域においてミッドソールによって完全に境界が定められ、境界が定められることにより、ミッドソールの軟弾性材料の緩衝効果及びチャネルの効果からなる全体的な緩衝効果を最適化する。
【0024】
いくつかの実施形態では、チャネルの少なくとも一部は踵領域に配置され、チャネルの少なくとも一部は前足領域に配置される。踵領域のチャネルは、前足領域のチャネルよりも大きいチャネル高さを有する。走行中に発生し、緩衝する必要がある受動力は、通常、走行中に踵部を用いて踏み込んだ際に最大であり、その結果、チャネル高さを増加させることによる緩衝効果を選択的に増加することがこの領域では有利である。チャネル高さは、チャネル内のチャネルの区切り、特にチャネル壁同士の間の最大垂直距離として画定される。
【0025】
さらなる実施形態では、チャネルは、単一の水平面の踵領域及び/又は前足領域及び/又は中足領域に配置される。したがって、このような実施形態では、ソールのすべてのチャネルは、少なくとも側方領域において、単一の水平面にある。
【0026】
いくつかの実施形態では、チャネルは、略六角形及び/又は略五角形の断面を有する。典型的には、五角形又は六角形の少なくとも1つの角部は、この場合、長手方向に、すなわち走行方向に配置、又は走行方向に対して反対に配置される。例えば、五角形又は六角形の1つの角部は、走行方向にソールの先端部に向かって配置され、又は走行方向に対する反対にソールの後端部に向かって配置されてもよい。さらに、五角形又は六角形は非対称性を含むことができ、例えば、走行方向における五角形又は六角形の側面、すなわち、地面に本質的に平行に延びる側面は、五角形又は六角形の他の側面よりも長くすることができる。この非対称性により、特にチャネルの断面が、本発明による細長い形状になる。
【0027】
特に好ましくは、チャネルは、それぞれ下面に対して本質的に平行で、互いに対して本質的に平行で、及び底部に対して本質的に平行な、断面の2つの側面を含む。これらの側面は、チャネルの上壁及び底壁に対応する。断面におけるチャネルの角度形状は、チャネルの変形可能性にプラスの効果をもたらす。したがって、六角形状は、優先的に、チャネルの変形可能性を改善するのに適している。その結果、各チャネルの変形可能性は、チャネルの正しい形状によって、チャネルの位置及びチャネルに作用する特定の力に個別に柔軟に適合させることができる。
【0028】
さらなる実施形態では、少なくとも1つのチャネルの前壁及び後壁はそれぞれ、前側折曲縁及び後側折曲縁を有する。前側折曲縁及び後側折曲縁は、ソールの先端部方向の走行方向と、ソールの踵縁部方向の走行方向に対する反対方向とにそれぞれ配置される。
【0029】
いくつかの実施形態では、各チャネルのミッドソールの側方領域におけるチャネル高さ対チャネル幅の比率は、0.15:0.6、好ましくは0.2:0.4の範囲である。チャネル幅は、チャネル内のチャネルの区切りの最大水平距離によって画定される。
【0030】
好ましくは、各チャネルのミッドソールの側方領域における、チャネル高さ対チャネル幅の比率は、前足領域よりも踵領域において大きい。例えば、踵領域の比率を0.35:0.4とし、前足領域の比率を0.2:0.3とすることができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、踵領域において、側方領域、特に側方開口の領域における各チャネルのチャネル幅は、15mm~20mmであってもよく、側方領域、特に側方開口の領域における各チャネルのチャネル高さは、5mm~10mmであってもよい。
【0032】
さらなる実施形態では、前足領域において、側方領域、特に側方開口の領域の各チャネルのチャネル幅は、9mm~16mm、特に10mm~14mmであってもよく、側方領域、特に側方開口の領域の各チャネルのチャネル高さは、1mm~5mm、特に2mm~4mmであってもよい。当業者は、チャネル高さ及びチャネル幅が靴のサイズに応じて変化してもよいことを理解する。
【0033】
いくつかの実施形態では、チャネルはそれぞれ、ミッドソールの側方領域から、ミッドソールの内側領域まで先細になっている。例えば、内側領域の各チャネルの断面、それぞれ断面積は、側方領域、特に側方開口の領域よりも8%~20%小さくてもよい。したがって、各チャネルは、内側領域においてよりも側方領域において、より大きい幅及び/又は高さを有する。特に、各チャネルのチャネル幅に対するチャネル高さの比率は、それぞれのチャネルの内側領域においてよりも側方領域において大きくすることができる。
【0034】
さらなる実施形態では、チャネルは、1000N~3000N、好ましくは1500N~2000Nの力から開始して走行するときに完全に圧縮可能である。
【0035】
いくつかの実施形態では、ソールは、好ましくはミッドソール全体にわたって延びる非圧縮性弾性プレートを備える。このようなプレートは、踵領域、中足領域、及び前足領域にわたって延びてもよい。典型的には、プレートは連続的なプレートであり、したがって凹部を有しない。プレートは、軟弾性ミッドソールの上方に垂直方向に配置することができ、したがって軟弾性ミッドソールを少なくとも部分的に又は完全に覆うことができる。
【0036】
さらなる実施形態では、ミッドソールの内側領域のチャネルの少なくとも一部、好ましくは前足領域のチャネルは、非圧縮性弾性プレートによって片側にて境界が定められている。必要とされる緩衝効果は、踵領域及び中足領域よりも前足領域において著しく低いので、このような実施形態では、ミッドソール材料を低減することによって、緩衝効果を著しく低下させることなく全体的な重量を低減することができる。概して、非圧縮性弾性プレートは、プレートが走行中に引き伸ばされ、蹴り出しのプロセス中に元の形状に戻るので、走行中の蹴り出しのプロセスを補助するという利点を有する。したがって、ランナーは、非圧縮性弾性プレートがない場合よりも、蹴り出しのプロセスごとに加えなければならない力が少なくて済む。
【0037】
いくつかの実施形態では、ミッドソールは、踵領域から少なくとも中足領域まで長手方向に延びる溝を有する。溝は、1cm~3cm、好ましくは1.8cm~2.5cmの深さを有してもよい。当業者は、溝の深さがそれぞれの靴のサイズに応じて異なってもよいことを理解する。ソールの横方向の断面において、チャネルはV字状であってもよい。好ましくは、断面は段差を有し、走行面と溝との間の角度は、走行面の領域において40°~60°であり、段差において75°~90°である。これにより、チャネル内に石が詰まることを防止することができる。概して、溝は、ミッドソールの材料を実質的に低減させることができるという利点を有し、安定性を実質的に低下させることがない。例えば、溝の幅は、走行領域において2cm~3cmであり、垂直方向に0.5cm~1.5cm、好ましくは0.7cm~0.9cmまで狭くてもよい。当業者は、溝の幅が靴のサイズに応じて変化してもよいことを理解する。
【0038】
非圧縮性弾性プレートを有する実施形態では、溝はプレートによって直接境界が定められていてもよい。したがって、非圧縮性弾性プレートは、少なくとも溝の領域において環境に直接露出している。
【0039】
本発明の別の態様は、本明細書で説明する実施形態のいずれかによるソールを備えるランニングシューズに関する。
【0040】
本発明の別の態様は、ランニングシューズの製造のために、本明細書で説明する実施形態のいずれかによるソールの使用に関する。
【0041】
本発明の態様を、以下の図及び関連する説明に示す特定の実施形態の例に基づいてより詳細に説明する。図面に示す実施形態は、特許請求の範囲で説明する本発明を限定するものとして理解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の一実施形態によるランニングシューズ用のソールの概略側面図である。
図2図1に示すソールの下面の図であり、ソールを反対方向に示している図である。
図3】本発明のさらなる実施形態による(図2のA-A線に沿った)横方向の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1に示される概略側面図は、軟弾性ミッドソール1を有するランニングシューズのソールの一実施形態を示す。軟弾性ミッドソールは、外側から図示されており、走行中に破線で示す地面Bと接触する下面2を備える。さらに、ミッドソール1は、ミッドソールの側方領域において横方向Qに延びる8つのチャネル3a、3b、3c及び3dを備える(より分かりやすくするために、図示する本発明によるソールのすべてのチャネルを示しているわけではない)。図1は、側面図におけるミッドソールの側方領域を示す。図示するように、チャネル3a、3b、3c及び3dは、単一の水平面に配置されている。ソールは、ソール先端部7が垂直方向Vにおいて上方に若干曲がっているので、第1の水平面はわずかな湾曲を有し、この場合、地面から見て凸状の湾曲を有する。座標系に基づくと、水平面は本質的に、すなわちミッドソールのわずかに垂直方向の湾曲を無視して、ミッドソールの、横方向Q及び長手方向Lの平面に存在することが明らかである。図示実施形態では、チャネルは、軟弾性ミッドソールの全長に沿って延びる。したがって、チャネル3a、3bの第1の部分は踵領域に位置し、チャネル3cの第2の部分は中足領域に位置し、チャネル3dの第3の部分は前足領域に位置する。
【0044】
チャネル3a、3b、3c及び3dはそれぞれ、ミッドソール1の側方領域に側方開口を備える。動作状態では、開口は、走行中に生じる力によって閉じる点まで変形することができる。この場合、本質的に垂直方向の変形によって、及び/又は長手方向の水平方向の変形によっても、すなわちチャネルのせん断によって閉じることが起こり得る。さらに、チャネル3a、3b、3c及び3dは、軟弾性ミッドソール1によってミッドソール1の側方領域で完全に境界が定められている。したがって、側方領域のチャネルの壁のすべてが、軟弾性ミッドソールによって形成される。チャネル3a、3b、3c及び3dの各々は、前壁31及び後壁32を有する。さらに、チャネルは、軟弾性ミッドソール1の側方領域において断面が六角形である。これにより、六角形の1つの角部は、走行方向の長手方向を指し、1つの角部は、走行方向に対する反対の長手方向を指す。それぞれの六角形は、長手方向における六角形の側面が六角形の他の側面よりも長く形成されているので、非対称に形成されている。したがって、それぞれのチャネルは、細長い平らな形状を有する。さらに、チャネルの前壁31及び後壁32の両方はそれぞれ、折曲縁33を有する。断面において、これらの折曲縁は、走行方向のソール先端部7に向かって配置された六角形の角部、及び走行方向に対向して踵部縁4に向かって配置された六角形の角部に対応する。
【0045】
図2は、本発明の一実施形態によるミッドソール1の下面2の図を示す。さらに、ミッドソールの、前足領域VFB、中足領域MFB、及び踵領域FBへの分割を示している。この分割は、当業者にとって単なる目安としての役割を果たし、領域の正確な境界を画定することを意図するものではない。図示するミッドソール1は、踵領域から中足領域に延びる溝6を有する。溝は、地面Bに向かって開いており、すなわち図2で図示する図では見る人に向かって開いており、側方側面では軟弾性ミッドソール1によって境界が定められて、基部では非圧縮性弾性プレート5によって境界が定められている。また、溝6が見る人に向かって略V字形に開いているように、側方側面が斜めになっていることも理解することができる。図示実施形態では、溝6はミッドソール1全体、すなわち踵領域FBから中足領域MFBを通って前足領域VFBまで延びる。
【0046】
図3は、軟弾性ミッドソール1を有するランニングシューズ用の、本発明によるソールのさらなる実施形態を示す。図3はまた、ミッドソールの、側方領域LB及び内側領域MBへの概略分割図を示す。これらの領域は、横方向及び長手方向、並びに垂直方向に延びる。しかしながら、図に示す矢印は正確な領域境界を定めていない。図3は、第1の水平面のチャネル3bを通る、ミッドソール1の断面図であり、第1の水平面は、軟弾性ミッドソール1によって側方領域において完全に境界が定められている。内側領域において溝6を区切り、内側領域の環境に露出している非圧縮性弾性プレート5を、ソールは含む。さらに、図3は、チャネルの横方向の断面が漏斗状であり、チャネルが段差を有することを示している。下面2と、下面又は走行面の領域の溝との間の第1の角度αは、約55°である。この段差では、下面2とチャネルの上部の区切りとの間の第2の角度βは、約85°である。
【符号の説明】
【0047】
1 軟弾性ミッドソール
2 下面
3a、3b、3c、3d チャネル
4 踵部縁
5 プレート
6 溝
7 ソール先端部
31 前壁
32 後壁
33 折曲縁
B 地面
FB 踵領域
L 長手方向
LB 側方領域
MB 内側領域
MFB 中足領域
Q 横方向
V 垂直方向
VFB 前足領域
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行中に地面に少なくとも部分的に接触する下面(2)を有する、軟弾性ミッドソール(1)を有するランニングシューズのソールであって、
前記ミッドソール(1)が、横方向(Q)に延びる複数のチャネル(3a、3b、3c、3d)を備え、前記チャネル(3a、3b、3c、3d)が、前記ミッドソール(1)の側方領域(LB)において水平面に配置されており、前記チャネルの少なくとも一部(3a、3b)が前記ミッドソール(1)の前足領域(VFB)に配置され、及び/又は前記チャネルの一部が前記ミッドソール(1)の中足領域(MFB)に配置され、及び/又は前記チャネルの一部が前記ミッドソール(1)の踵領域(FB)に配置され、前記チャネル(3a、3b、3c、3d)がそれぞれ、前壁(31)及び後壁(32)によって長手方向(L)に境界が定められ、前記チャネル(3a、3b、3c、3d)が、走行方向に沿って断面が細長い形状を有し、前記チャネルは上壁及び下壁に対応する2つの平行な側面を有する六角形及び/又は五角形の断面を有し、前記上壁及び下壁は走行中に互いに接触するように構成され、前記チャネル(3a、3b、3c、3d)が、走行中に発生する垂直方向及び/又は長手方向に作用する力の作用を受けて閉じるまで、長手方向(L)において垂直方向及び/又は水平方向に変形可能である、ソール。
【請求項2】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d)が、前記ミッドソール(1)の前記側方領域(LB)に側方開口を備える、請求項1に記載のソール。
【請求項3】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d)が、走行中に発生する垂直方向及び/又は長手方向(L)に作用する力の作用を受けて前記側方開口が閉じるまで、長手方向(L)において垂直方向及び/又は水平方向に変形可能である、請求項2に記載のソール。
【請求項4】
前記チャネルの一部(3d)が前記踵領域に配置され、前記チャネルの少なくとも一部が前記前足領域(VFB)に配置され、及び/又は前記チャネルの一部(3c)が前記中足領域(MFB)に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のソール。
【請求項5】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d)が、前記ミッドソール(1)によって完全に境界が定められた前記側方領域(LB)に少なくともある、請求項1~のいずれか一項に記載のソール。
【請求項6】
前記踵領域(FB)の前記チャネル(3a、3b)が、前記前足領域(VFB)の前記チャネル(3d)よりも大きいチャネル高さを有する、請求項1~のいずれか一項に記載のソール。
【請求項7】
前記踵領域(FB)の前記チャネル(3a、3b、3c、3d)と、任意選択で、前記前足領域(VFB)及び/又は前記中足領域(MFB)の前記チャネルとが、単一の水平面に配置されている、請求項1~のいずれか一項に記載のソール。
【請求項8】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d)のうちの少なくとも1つの前記前壁(31)及び前記後壁(32)がそれぞれ、前側折曲縁及び後側折曲縁(33)を備える、請求項1~のいずれか一項に記載のソール。
【請求項9】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d)の各々のチャネル幅に対するチャネル高さの比率が、0.15~0.6の範囲にある、請求項1~のいずれか一項に記載のソール。
【請求項10】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d)の各々のチャネル幅に対するチャネル高さの比率が、0.2~0.4の範囲にある、請求項9に記載のソール。
【請求項11】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d)が、1000N~3000Nの力で始まる走行中に完全に圧縮可能である、請求項1~10のいずれか一項に記載のソール。
【請求項12】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d)が、1500N~2000Nの力で始まる走行中に完全に圧縮可能である、請求項11に記載のソール。
【請求項13】
圧縮性弾性プレート(5)を備える請求項1~12のいずれか一項に記載のソール。
【請求項14】
前記非圧縮性弾性プレート(5)は、前記ミッドソール(1)全体にわたって延びる請求項13に記載のソール。
【請求項15】
前記チャネル(3a、3b、3c、3d)の少なくとも一部が、前記ミッドソール(1)の内側領域(MFB)において、前記非圧縮性弾性プレート(5)によって片側にて境界が定められている、請求項13または14に記載のソール。
【請求項16】
前記前足領域(VFB)の前記チャネル(3d)が、前記ミッドソール(2)の内側領域(MFB)において、前記非圧縮性弾性プレート(5)によって片側にて境界が定められている、請求項15に記載のソール。
【請求項17】
前記ミッドソール(1)が、前記踵領域(FB)から少なくとも前記中足領域(MFB)まで長手方向(L)に延びる溝(6)を備える、請求項1~16のいずれか一項に記載のソール。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載のソールを備えるランニングシューズ。
【請求項19】
ランニングシューズの製造のために、請求項1~18のいずれか一項に記載のソールの使用。
【外国語明細書】