(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129147
(43)【公開日】2024-09-26
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置の管理装置
(51)【国際特許分類】
F25B 49/02 20060101AFI20240918BHJP
F24F 11/36 20180101ALI20240918BHJP
F24F 11/38 20180101ALI20240918BHJP
F24F 11/52 20180101ALI20240918BHJP
F24F 11/526 20180101ALI20240918BHJP
F24F 11/56 20180101ALI20240918BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20240918BHJP
【FI】
F25B49/02 570A
F24F11/36
F24F11/38
F24F11/52
F24F11/526
F24F11/56
F24F11/89
F25B49/02 520M
F25B49/02 D
F25B49/02 570Z
F25B49/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024109585
(22)【出願日】2024-07-08
(62)【分割の表示】P 2023171391の分割
【原出願日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】P 2022159135
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】吉見 学
(57)【要約】
【課題】毎日実施義務がある故障検知が実施不能な状態であることをユーザーへ通知することができる。
【解決手段】冷凍サイクル装置の管理装置100では、管理部40を備える。管理部40は、冷凍サイクル装置10への通電状態を監視する。管理部40は、冷凍サイクル装置10への通電が断たれたと判断したときに、ユーザーへの通知を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクル装置(10)への通電状態を監視し、前記冷凍サイクル装置への通電が断たれたと判断したときに、ユーザーへの通知を行う管理部(40)と、
前記冷凍サイクル装置の異常を検知する故障検知部(41)と、
を備え、
前記故障検知部は、前記冷凍サイクル装置が故障検知運転中であるときに、前記管理部に送信して、前記故障検知運転中であることについて前記ユーザーに通知し、
前記冷凍サイクル装置の通常運転時間が短い場合、または、前記冷凍サイクル装置が継続して停止しており冷媒漏洩が判定できない場合、前記故障検知部は、前記冷凍サイクル装置に冷媒漏洩検知運転を指令して冷媒漏洩を判定する、
冷凍サイクル装置の管理装置(100)。
【請求項2】
前記通知は、前記ユーザーの情報機器(50)に送信することで行う、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置の管理装置。
【請求項3】
前記通知は、音、光、または表示によって前記ユーザーに警告を出すことで行う、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置の管理装置。
【請求項4】
独自電源を有する通電検知機器(30)をさらに備え、
前記管理部および前記通電検知機器は、前記冷凍サイクル装置に内蔵または外付けされる、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置の管理装置。
【請求項5】
独自電源を有する通電検知機器をさらに備え、
前記管理部は、前記冷凍サイクル装置外部に設置され、
前記通電検知機器は、前記冷凍サイクル装置に内蔵または外付けされ、前記管理部と通信回線で接続され、前記通電が断たれたことを検知した場合に前記管理部に送信して前記通知を行う、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置の管理装置。
【請求項6】
前記管理部は、前記冷凍サイクル装置と通信回線で接続されて前記冷凍サイクル装置外部に設置され、前記冷凍サイクル装置からの信号を受信しないことに基づいて前記冷凍サイクル装置の前記通電が断たれたことを判断する、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置の管理装置。
【請求項7】
前記冷凍サイクル装置に接続された周辺機器(20)をさらに有し、
前記通電検知機器は、前記周辺機器に内蔵または外付けされる、
請求項5に記載の冷凍サイクル装置の管理装置。
【請求項8】
前記周辺機器は、前記冷凍サイクル装置の運転データを外部の記憶装置に送信するための通信アダプターである、
請求項7に記載の冷凍サイクル装置の管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷凍サイクル装置の管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、常時遠隔監視による冷凍サイクル装置の冷媒漏洩検知システムに関する法的規制が整備されている。規制によっては、冷媒検知頻度や冷媒検知精度に関するシステム要件がある。検知頻度の要件では、例えば、少なくとも1日1回は冷媒漏洩検知を実施し、検知結果を一定期間残すことを義務付けている。検知精度の要件では、例えば、定められた運転条件下で、規定量の冷媒が充填された冷凍サイクル装置から、冷媒量が規定量減少するまでに、冷媒漏洩を検知することが求められている。そこで、これらの法的規制のシステム要件を満たして、実運用を可能にする冷媒漏洩検知システムが提案されている。たとえば、特許文献1(特許6791429号公報)、特許文献2(特開2021-156528号公報)には、遠隔監視装置で取得した冷凍サイクル装置の運転データを機械学習や回帰式による予測モデルに入力し、出力された冷凍サイクル装置が保有する冷媒量予測値から冷媒漏洩を判定するシステムが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1や2に開示されている冷媒漏洩検知システムは、上記法的規制の検知精度の要件は満たすが、検知頻度に関する要件は必ずしも満たすとは限らない。たとえば、冷凍サイクル装置は、春、秋の中間期で空調負荷がない時期や、空きテナントに設置されている場合に、管理者により装置の元電源が遮断されることがある。このような状況下では、たとえ遠隔監視装置に接続されて常時監視状態に置かれていても、法的規制が定める1日に1回以上の漏洩検知は実施不可能になる。また、遠隔監視装置に接続された冷凍サイクル装置が正常に稼働していても、通信の不具合により、運転データ、あるいは、現地で実施した冷媒漏洩検知の結果を遠隔監視装置に送信できないこともある。このように、実運用時には、上記検知頻度に関する要件に対する種々の障害の発生が想定されるが、特許文献1や2は、このような障害については考慮していない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の冷凍サイクル装置の管理装置は、管理部を備える。管理部は、冷凍サイクル装置への通電状態を監視する。管理部は、冷凍サイクル装置への通電が断たれたと判断したときに、ユーザーへの通知を行う。
【0005】
第2観点の冷凍サイクル装置の管理装置は、第1観点の管理装置であって、通知は、ユーザーの情報機器に送信することで行う。
【0006】
第3観点の冷凍サイクル装置の管理装置は、第1観点の管理装置であって、通知は、音、光、または表示によってユーザーに警告を出すことで行う。
【0007】
第4観点の冷凍サイクル装置の管理装置は、第1観点から第3観点のいずれかの管理装置であって、通電検知機器をさらに備える。通電検知機器は、独自電源を有する。管理部および通電検知機器は、冷凍サイクル装置に内蔵または外付けされる。
【0008】
第5観点の冷凍サイクル装置の管理装置は、第1観点から第3観点のいずれかの管理装置であって、通電検知機器をさらに備える。通電検知機器は、独自電源を有する。管理部は、冷凍サイクル装置外部に設置される。通電検知機器は、冷凍サイクル装置に内蔵または外付けされる。通電検知機器は、管理部と通信回線で接続される。通電検知機器は、通電が断たれたことを検知した場合に、管理部に送信して通知を行う。
【0009】
第6観点の冷凍サイクル装置の管理装置は、第1観点から第5観点のいずれかの管理装置であって、管理部は、冷凍サイクル装置と通信回線で接続される。管理部は、冷凍サイクル装置外部に設置される。管理部は、冷凍サイクル装置からの信号を受信しないことに基づいて冷凍サイクル装置の通電が断たれたことを判断する。
【0010】
第7観点の冷凍サイクル装置の管理装置は、第5観点の管理装置であって、冷凍サイクル装置に接続された周辺機器をさらに有する。通電検知機器は、周辺機器に内蔵または外付けされる。
【0011】
第8観点の冷凍サイクル装置の管理装置は、第7観点の管理装置であって、周辺機器は、冷凍サイクル装置の運転データを外部の記憶装置に送信するための通信アダプターである。
【0012】
第9観点の冷凍サイクル装置の管理装置は、第1観点から第8観点のいずれかの管理装置であって、故障検知部をさらに備える。故障検知部は、冷凍サイクル装置が故障検知運転中であるときに、管理部に送信して、故障検知運転中であることをユーザーに通知する。
【0013】
第10観点の冷凍サイクル装置の管理装置は、第1観点から第8観点のいずれかの管理装置であって、故障検知部をさらに備える。故障検知部は、冷凍サイクル装置が予定している故障検知運転が待機中でありかつ未実施であるときに、管理部に送信して、予定している故障検知運転が未実施であることをユーザーに通知する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る冷凍サイクル装置の管理装置の構成を示す図である。
【
図2】変形例に係る冷凍サイクル装置の管理装置の構成を示す図である。
【
図3】変形例に係る冷凍サイクル装置の管理装置の構成を示す図である。
【
図4】変形例に係る冷凍サイクル装置の管理装置の構成を示す図である。
【
図5】変形例に係る冷凍サイクル装置の管理装置の構成を示す図である。
【
図6】変形例に係る冷凍サイクル装置の管理装置の構成を示す図である。
【
図7】変形例に係る冷凍サイクル装置の管理装置の構成を示す図である。
【
図8】変形例に係る冷凍サイクル装置の管理装置の構成を示す図である。
【
図9】変形例に係る冷凍サイクル装置の管理装置の構成を示す図である。
【
図10】変形例に係る冷凍サイクル装置の管理装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る冷凍サイクル装置の管理装置100について説明する。
【0016】
(1)冷凍サイクル装置の管理装置の全体構成
図1に示すように、冷凍サイクル装置の管理装置100は、物件90に設置された冷凍サイクル装置10を管理するための装置である。冷凍サイクル装置の管理装置100は、冷凍サイクル装置10の冷媒漏洩の有無を検知し、ユーザーへの通知を行うためのシステムである。ここで、ユーザーとは、物件90内で実際に冷凍サイクル装置10を使用する者と、物件90内または物件90外で冷凍サイクル装置10の管理を行う機器管理者と、を含む。
【0017】
冷凍サイクル装置の管理装置100は、主として、冷凍サイクル装置10と、周辺機器20と、通電検知機器30と、管理部40と、故障検知部41と、から構成される。
【0018】
冷凍サイクル装置の管理装置100は、冷凍サイクル装置10への通電状態を監視する。冷凍サイクル装置の管理装置100は、冷凍サイクル装置10への通電が断たれたと判断したときに、ユーザーへの通知を行う。
【0019】
冷凍サイクル装置の管理装置100は、冷媒漏洩検知運転状況について、ユーザーへの通知を行う。冷媒漏洩検知運転状況とは例えば、冷媒漏洩検知運転中、及び、冷媒漏洩検知運転予定待機中である。
【0020】
以下、冷凍サイクル装置の管理装置100に含まれる各構成について説明する。
【0021】
(2)冷凍サイクル装置
冷凍サイクル装置10は、1台の室外機(図示せず)と、1台の室内機(図示せず)と、からなる。室内機は、物件90内の空調対象空間に設置される。冷凍サイクル装置10は、複数台の室外機と、複数台の室内機と、からなってもよい。室外機と室内機とは、専用線および冷媒配管により接続される。
【0022】
冷凍サイクル装置10はたとえば、空気調和装置である。冷凍サイクル装置10は圧縮機や熱交換器等(図示せず)から構成される冷媒回路を全体として構成する。
【0023】
冷凍サイクル装置10には、各室内機に対する操作入力を受け付けるリモコン(図示せず)が別途取り付けられる。リモコンは、入力部および表示部を有する。入力部は、各室内機に対する制御指令を受け付ける。表示部は、各室内機の運転状況を表示する。リモコンの表示部に表示される運転状況には、冷房運転中/暖房運転中/冷媒漏洩検知運転待機中/冷媒漏洩検知運転中/冷媒漏洩検知運転実施済みのいずれかの状況である旨の情報や、設定温度、風量、風向き等の情報が含まれる。すなわち、リモコンは、冷凍サイクル装置10についての各種情報を表示する冷凍サイクル装置10の表示部としても機能する。
【0024】
冷凍サイクル装置10は、ひとつの物件90に複数台設置されていてもよい。また、複数台の冷凍サイクル装置10が同じ管理装置100で同時に管理されてもよい。
【0025】
(3)周辺機器
周辺機器20は、1台の冷凍サイクル装置10に接続されている。周辺機器20は、冷凍サイクル装置10に外付けされている。ここで外付けとは、直接有線でつながるもののほか、無線または有線問わない通信回線を介して接続されていることも含む。
【0026】
周辺機器20は、室内機および室外機のどちらかに接続されていてもよいし、両方に接続されていてもよい。室内機に接続されている場合、周辺機器20は、室内機が設置されている空間と同じ空間、または隣接した空間に設置される。
【0027】
周辺機器20は、ルーター(図示せず)と接続されている。周辺機器20とルーターとの接続は、直接有線でつながっている状態のほか、無線および有線を問わない通信回線を介して接続されている状態も含む。無線手段とはたとえばWi-Fi(登録商標)である。周辺機器20は、自身およびルーターを介して、冷凍サイクル装置10と、管理部40と、を接続する。
【0028】
周辺機器20はたとえば、通信アダプターである。通信アダプターは、冷凍サイクル装置10の制御基板に接続し、冷凍サイクル装置10の運転データを直接取得して、外部の記憶装置(図示せず)に送信するための機器である。限定するものではないが、冷凍サイクル装置10の運転データには、たとえば冷媒回路の様々な場所においてセンサー(図示せず)により測定される冷媒の温度/圧力や、室外機の圧縮機のインバーター制御モーター(図示せず)の回転数や、室外機や室内機の膨張弁の開度等を含む。通信アダプターはたとえば、無線LANアダプターである。無線LANアダプターは、ルーターとの間で無線通信を行う。
【0029】
(4)通電検知機器
通電検知機器30は、周辺機器20に内蔵されている。つまり、通電検知機器30は、冷凍サイクル装置10に外付けされている。
【0030】
通電検知機器30は、管理部40とルーターを介して接続されている。ルーターを介した通電検知機器30と管理部40との接続は、直接有線でつながっている状態のほか、無線および有線を問わない通信回線を介して接続されている状態も含む。
【0031】
通電検知機器30は、冷凍サイクル装置10の通電状態を検知する機能を有する。通電検知機器30は、冷凍サイクル装置10への通電が断たれたと判断したときに、管理部40に通電断を知らせる信号を送信する。冷凍サイクル装置10への通電が断たれたと判断する手段は特に限定されないが、たとえば次のとおりである。
【0032】
通電検知機器30は、独自電源を有している。独自電源はたとえば、バッテリーや別電源である。通常、周辺機器20に内蔵される通電検知機器30は、冷凍サイクル装置10と電気的に接続しており、冷凍サイクル装置10から電気を供給されている。一方、ブレーカーが落ちる、冷凍サイクル装置10の電源プラグがコンセントから外されるなどして冷凍サイクル装置10からの電気の供給が停止した場合には、電気の供給の停止に基づいて、通電検知機器30は、独自電源によって、冷凍サイクル装置10への通電が断たれたことを判断する。さらに通電検知機器30は、独自電源によって、ルーターを介して管理部40に通電断を知らせる信号を送信して通報する。
【0033】
(5)管理部
管理部40は、冷凍サイクル装置10の外部に設置される。つまり、管理部40は、冷凍サイクル装置10に外付けされている。「外付けされている」とは、直接有線でつながっている状態のほか、無線および有線を問わない通信回線を介して接続されている状態も含む。
【0034】
本実施形態においては、管理部40は、ルーターおよび周辺機器20を介して冷凍サイクル装置10に接続されている。管理部40は、冷凍サイクル装置10の遠隔に配置されている。管理部40は、物件90の遠隔に位置する遠隔監視センター(図示せず)に設けられるサーバーである。管理部40は、周辺機器20を介して通電検知機器30と接続可能である。
【0035】
管理部40は、冷凍サイクル装置10への通電状態を監視し、冷凍サイクル装置10への通電が断たれたと判断したときに、ユーザーへの通知を行う。
【0036】
冷凍サイクル装置10への通電が断たれたと判断する方法は特に限定されないが、たとえば以下のとおりである。
【0037】
たとえば、通電検知機器30は、冷凍サイクル装置10の通電状態を検知可能なセンサーを搭載しており、上記センサーが冷凍サイクル装置10通電が断たれたことを判断すると、独自電源によって管理部40に通報を行う。管理部40からの通報に基づいて、管理部40は、冷凍サイクル装置10への通電が断たれたと判断する。
【0038】
通知は、たとえば、ユーザーの情報機器50に送信することで行う。情報機器50の種類は特に限定されないが、たとえば、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、パソコン、タブレットなどである。ウェアラブル機器としては、たとえば、リストバンド型、腕時計型などの腕に装着するタイプの機器、ヘッドバンド型またはメガネ型などの頭に装着するタイプの機器、服型などの体に装着するタイプの機器である。
【0039】
(6)故障検知部
故障検知部41は、冷凍サイクル装置10に外付けされている。「外付けされている」とは、直接有線でつながっている状態のほか、無線および有線を問わない通信回線を介して接続されている状態も含む。故障検知部41は、たとえば、管理部40に接続されている。なお、
図2~
図9では、故障検知部41の図示を省略している。
【0040】
故障検知部41は、冷凍サイクル装置10の運転データから、種々の故障を検知する。種々の故障とはたとえば、冷媒漏洩の有無である。なお、故障検知部41の検知内容は、冷媒漏洩だけでもよい。
【0041】
故障検知部41は、冷凍サイクル装置10の通常運転データから冷媒漏洩を判定する。詳細には、冷凍サイクル装置10の通常運転時間が短い場合、または、冷凍サイクル装置10が継続して停止しており冷媒漏洩が判定できない場合、故障検知部41は、冷凍サイクル装置10に冷媒漏洩検知運転を指令して冷媒漏洩を判定する。故障検知部41は、冷媒漏洩の判定結果と冷媒漏洩検知の状況(冷媒漏洩検知運転待機中、冷媒漏洩検知運転中、または、冷媒漏洩検知運転実施済み)について、管理部40を介してユーザーに通知する。
【0042】
通知は、たとえば、ユーザーの情報機器50に送信することで行う。また、通知は、冷凍サイクル装置10に送信し、リモコンの表示部に表示させることで行ってもよい。
【0043】
(7)処理の流れ
次に、冷凍サイクル装置の管理装置100の処理の流れについて説明する。
【0044】
通電検知機器30は、冷凍サイクル装置10に接続されている。通電検知機器30は、冷凍サイクル装置10から電気を供給されている。冷凍サイクル装置10のブレーカーが落ちる、冷凍サイクル装置10の電源プラグがコンセントから抜かれる等すると、電源からの冷凍サイクル装置10への通電が断たれる。これにより冷凍サイクル装置10からの電気の供給が停止すると、通電検知機器30は、冷凍サイクル装置10への通電が断たれたと判断する。この判断を行ったとき、通電検知機器30は、独自電源により、管理部40に冷凍サイクル装置10への通電が断たれたという通報を行う。
【0045】
管理部40は、通電検知機器30からの通報に基づき、冷凍サイクル装置10への通電が断たれたと判断する。この判断を行ったとき、管理部40は、ユーザーの情報機器50へ、冷凍サイクル装置10への通電が断たれたとの通知を行う。
【0046】
通電検知機器30または管理部40からの通知により、ユーザーは、冷凍サイクル装置10への通電が断たれたことを知る。冷凍サイクル装置10への通電が断たれると、前述の法的規制で義務付けられている、1日に1回以上の冷媒漏洩検知が実施できないことになる。また、冷凍サイクル装置が可燃性や毒性のある冷媒を使用している場合は、冷媒漏洩検知が実施できないことにより、危険な冷媒漏洩事故の発生リスクが高くなる。そのため、通電遮断の通知をうけたユーザーが速やかに冷凍サイクル装置10を通電状態に復帰させることを想定している。
【0047】
また、通電中、故障検知部41は、冷媒漏洩検知運転の状況(冷媒漏洩検知運転待機中、冷媒漏洩検知運転中、冷媒漏洩検知運転実施済み)を、管理部40を介してユーザーに通知する。これは、ユーザーが不用意に通電遮断をしないようにするための注意喚起である。
【0048】
(8)特徴
(8-1)
上記実施形態に係る冷凍サイクル装置の管理装置100では、冷凍サイクル装置10への通電状態を監視する。冷凍サイクル装置の管理装置100は、管理部40を備える、管理部40は、冷凍サイクル装置10への通電が断たれたと判断したときに、ユーザーへの通知を行う。
【0049】
冷凍サイクル装置10への通電が断たれると、冷媒漏洩検知が実施できないため、法的規制で義務付けられた漏洩検査の不履行違反が生じる。また、冷凍サイクル装置が可燃性や毒性のある冷媒を使用している場合は、冷媒漏洩検知が実施できないことにより、危険な冷媒漏洩事故の発生リスクが高くなる。上記実施形態に係る冷凍サイクル装置の管理装置100では、冷凍サイクル装置10への通電が断たれたことを判断し、ユーザーへ通知することができる。これにより、ユーザーは、冷媒漏洩検知が実施されていない状況を知ることができる。
【0050】
(8-2)
上記実施形態に係る冷凍サイクル装置の管理装置100では、通知は、ユーザーの情報機器50に送信することで行う。
【0051】
これによりユーザーは、遠隔からであっても、情報機器50により、冷媒漏洩検知が不履行になっている冷凍サイクル装置10を確認することができる。
【0052】
(8-3)
また、上記実施形態に係る冷凍サイクル装置の管理装置100では、通電検知機器30をさらに備える。通電検知機器30は、独自電源を有する。管理部40は、冷凍サイクル装置10外部に設置される。通電検知機器30は、冷凍サイクル装置10に内蔵または外付けされる。通電検知機器30は、管理部40と通信回線で接続される。通電検知機器30は、通電が断たれたことを検知した場合に、管理部40に送信して通知を行う。
【0053】
これにより通電検知機器30で、冷凍サイクル装置10への通電が断たれているか否かを監視することができる。
【0054】
また、通電検知機器30は、冷凍サイクル装置10の通電が断たれた状態であっても、つまり、冷凍サイクル装置10から電気を供給されない状態であっても、独自電源を使って、通知を行うことができる。
【0055】
(8-4)
さらに、上記実施形態に係る冷凍サイクル装置の管理装置100では、冷凍サイクル装置10に接続された周辺機器20をさらに有する。通電検知機器30は、周辺機器20に内蔵される。
【0056】
これにより、通電検知機器30専用の機器を設置する必要がなくなる。
【0057】
(8-5)
また、上記実施形態に係る冷凍サイクル装置の管理装置100では、周辺機器20は、冷凍サイクル装置10の運転データを外部の記憶装置に送信するための通信アダプターである。
【0058】
また、
図9に示すように、通信アダプターに通電検知機器30を内蔵させることで、冷凍サイクル装置10に接続する周辺機器20の種類を増やすことなく、冷媒漏洩検知機能を装備することができる。この場合、例えば冷凍サイクル装置10に接続された通電検知機器30を内蔵した通信アダプターは、さらに無線または有線で室内に設置したルーターに接続し、インターネットを介して、物件90の外部に設置された管理部40に接続される。冷凍サイクル装置10の通電が絶たれた場合、通信アダプターから管理部40に通報される。
【0059】
(8-6)
さらに、冷凍サイクル装置の管理装置100は、故障検知部41を備える。故障検知部41は、冷凍サイクル装置10が故障検知運転中であるときに、管理部40に送信して、故障検知運転中であることをユーザーに通知する。
【0060】
これにより、ユーザーは、故障検知運転中であることを知ることができるため、ユーザーが不用意に通電遮断をしないように注意喚起することができる。
【0061】
(8-7)
さらに、冷凍サイクル装置の管理装置100は、故障検知部41を備える。故障検知部41は、冷凍サイクル装置10が予定している故障検知運転が待機中でありかつ未実施であるときに、管理部40に送信して、予定している故障検知運転が未実施であることをユーザーに通知する。
【0062】
これにより、ユーザーは、故障検知運転中であることを知ることができるため、ユーザーが不用意に通電遮断をしないように注意喚起することができる。
【0063】
(9)変形例
(9-1)変形例A
上記実施形態では、通電検知機器30が冷凍サイクル装置10の通電が断たれたことを判断し、通電検知機器30からの通報に基づき管理部40が通電断を判断したが、特にこれに限定されない。たとえば、管理部40は、通電検知機器30からの通報に基づかず、直接冷凍サイクル装置10の通電が断たれたことを判断してもよい。
【0064】
詳細には、管理部40は、冷凍サイクル装置10と通信回線で接続される。管理部40は、冷凍サイクル装置10外部に設置される。管理部40は、冷凍サイクル装置10からの信号が入信しないこと、あるいは管理部40からの送信した指令に応答がないことに基づいて、通信回線の不調以外に冷凍サイクル装置10の通電が断たれた可能性があることも想定する。この場合、管理部40の管理者は、冷凍サイクル装置10の管理者に電子メールや電話で電源が遮断されていないかを確認する
冷凍サイクル装置10の通電が断たれたことを判断する方法は特に限定されないが、たとえば、管理部40が、物件90で複数の空気調和装置10を管理している場合、正常通り通信が可能な空気調和装置10と通信不可能な空気調和装置10が混在していれば、通信回線は正常で、通信不可能な空気調和装置10の電源が遮断されている可能性が高いと判断できる。
【0065】
(9-2)変形例B
上記実施形態では、通信アダプターを周辺機器20の一例とした。しかしながら、周辺機器20は特にこれに限定されない。たとえば、
図2に示すように、周辺機器20は、集中コントローラー60であってもよい。
【0066】
集中コントローラー60は、複数の冷凍サイクル装置10に接続される。集中コントローラー60は、有線または無線を問わず、通信線を介して冷凍サイクル装置10に接続される。管理部40は、物件90の外部に設置され、通信回線を介して物件90の集中コントローラー60と接続される。
【0067】
集中コントローラー60は、複数の冷凍サイクル装置10の運転スケジュールの管理や省エネ制御を行うことができる。また、集中コントローラー60は、複数の冷凍サイクル装置10に発生した各種の故障情報を表示することができる。故障情報には冷媒漏洩も含まれてもよい。
【0068】
集中コントローラー60は、冷凍サイクル装置10に内蔵、又は、外付けされている通電検知機器30からの情報を集約する。
【0069】
集中コントローラー60に接続されている冷凍サイクル装置10の通電が遮断されると、内蔵、又は、外付けされている通電検知機器30が検知し、集中コントローラー60にその情報を送信する。集中コントローラー60は入手した情報を表示して物件90の管理者に通知するとともに、管理部40に冷凍サイクル装置10への通電が断たれたという通知を行う。管理部40は、集中コントローラー60からの通知に基づき、冷凍サイクル装置10への通電が断たれたと判断する。この判断を行ったとき、管理部40は、ユーザーの情報機器50へ、冷凍サイクル装置10への通電が断たれたとの通知を行う。
【0070】
(9-3)変形例C
上記変形例Bでは、管理部40は、物件90の外部に設置されていたが、特にこれに限定されない。たとえば、
図3に示すように、管理部40は、物件90の内部に設置されていてもよい。この場合、管理部40の役割を集中コントローラー60に担わせてもよい。
【0071】
(9-4)変形例D
上記実施形態では、通電検知機器30は、周辺機器に内蔵されていたが、特にこれに限定されない。たとえば、通電検知機器30は、周辺機器20に外付けされていてもよい。
【0072】
さらには、
図4に示すように、通電検知機器30は、周辺機器とは完全に独立して設置されてもよい。また、通電検知機器30が物件90の外部にある管理部に通電断を通知してもよい。
【0073】
この場合、通電検知機器30は、電流センサー31を有してもよい。電流センサー31は、冷凍サイクル装置10と、冷凍サイクル装置10の電源11と、の間に配置される。冷凍サイクル装置10は、冷凍サイクル装置10の電源11から給電される。電流センサー31により電源11から冷凍サイクル装置10への通電が断たれたことを検知すると、通電検知機器30は、管理部40に通電断を知らせる。管理部40は、通電断の知らせを受けて、ユーザーの情報機器50へ通知を行う。
【0074】
(9-5)変形例E
上記実施形態では、通電検知機器30は、冷凍サイクル装置10に外付けされた周辺機器20に内蔵されていたが、特にこれに限定されない。たとえば、
図5に示すように、通電検知機器30は、冷凍サイクル装置10に内蔵されていてもよい。
【0075】
(9-6)変形例F
上記実施形態では、通電検知機器30が冷凍サイクル装置10の通電が断たれたことを判断し、通電検知機器30からの通報により管理部40が通電断を判断したが、特にこれに限定されない。たとえば、管理部40が直接冷凍サイクル装置10の通電が断たれたことを判断してもよい。
【0076】
この場合、
図6に示すように、管理部40は、冷凍サイクル装置10と通信回線で接続されている。管理部40は、冷凍サイクル装置10の外部に設置されている。管理部40は、冷凍サイクル装置10からの信号を受信しないことに基づいて冷凍サイクル装置10の通電が断たれたことを判断する。
【0077】
詳細には、管理部40は、定期的に冷凍サイクル装置10に信号を送り、その信号に呼応して冷凍サイクル装置10は、管理部40に信号を送り返している。管理部40と通信する冷凍サイクル装置10の装置は特に限定されないが、たとえば、冷凍サイクル装置10に内蔵する通信用基板と制御基板である。
【0078】
冷凍サイクル装置10からの信号を受信していれば、管理部40は、冷凍サイクル装置10への通電があると判断する。
【0079】
一方、冷凍サイクル装置10からの信号を受信しない場合、管理部40は、通信回線の不通以外に、冷凍サイクル装置10への通電が断たれたと可能性もあると判断する。この判断を行ったとき、管理部40は、ユーザーの情報機器50へ、冷凍サイクル装置10への通電が断たれた可能性があるとの通知を行う。
【0080】
(9-7)変形例G
変形例B、Cでは、管理部40は、物件90の外部もしくは内部の集中コントローラー60に設置されたが、特にこれに限定されない。たとえば、管理部40は、冷凍サイクル装置10の内部に設置されてもよい。
【0081】
この場合、管理部40が、冷凍サイクル装置10から給電されると、冷凍サイクル装置10の電源が遮断時に機能停止する。そこで、たとえば
図7に示すように、独自電源を持つ通電検知機器30に管理部40を設置し、通電検知機器30を冷凍サイクル装置10に内蔵させる。通電検知機器30は、冷凍サイクル装置10への通電遮断を検知したときに、自身に内蔵した管理部を介してユーザーの情報機器50に通電断を知らせる。
【0082】
冷凍サイクル装置10への通電が断たれたと判断する手段は特に限定されないが、たとえば次のとおりである。通電検知機器30は、独自電源を有している。通常、通電検知機器30は、冷凍サイクル装置10と電気的に接続しており、冷凍サイクル装置10から電気を供給されている。一方、冷凍サイクル装置10からの電気の供給が停止した場合には、電気の供給の停止に基づいて、通電検知機器30は、独自電源によって、通電が断たれたことを判断し、内蔵した管理部40を介してユーザーへの通知を行う。通知の手段は特に限定されないが、たとえば、通電検知機器30は、ユーザーの情報機器50に通電断を知らせる。
【0083】
または、通知は、音、光、または表示によってユーザーに警告を出すことで行ってもよい。この場合、通電検知機器30と管理部40は、それぞれの警告のために必要な機器を備える。たとえば音により警告を出す場合、管理部40は、スピーカーを備える。光により警告を出す場合、通電検知機器30は、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)を備え、LEDを点滅させることにより警告を出す。また、表示により警告を出す場合、通電検知機器30は、リモコン表示部へ警告を表示させる機能を有する。これによりユーザーは、冷凍サイクル装置10が設置されている現場で、冷媒漏洩検知機能の停止を知ることができる。
【0084】
(9-8)変形例H
変形例Gでは、管理部としての通電検知機器30は、冷凍サイクル装置10に内蔵されていたが、特にこれに限定されない。たとえば、
図8に示すように、管理部としての通電検知機器30は、冷凍サイクル装置10に外付けされていてもよい。また変形例Dでは、外付けされ通電検知機器30は、物件90の外部に設置された管理部40に通電断を通知していたが、内部に設置された情報機器に通知する。
【0085】
通電検知機器30は、物件90の冷凍サイクル装置10が設置されている同じ場所かその近傍に設置される。ただし、別の場所が通電検知に適している場合はそちらに設置してもよい。通電検知機器30には、1台の冷凍サイクル装置10が接続されていてもよいし、複数の冷凍サイクル装置10が接続されていてもよい。通電検知機器30は、電流センサー31を有する。電流センサー31は、冷凍サイクル装置10と、冷凍サイクル装置10の電源11と、の間に配置される。電流センサー31により冷凍サイクル装置10への通電が断たれたことを検知すると、通電検知機器30は、ユーザーへの通知を行う。
【0086】
(9-9)変形例I
上記実施形態では、管理部40に、一つの物件90に設置された一つの通電検知機器30が接続されているが、管理部40に接続される通電検知機器30の数は、これに限られるものではない。すなわち、管理部40は、多数の物件90にそれぞれ設置された多数の通電検知機器30が接続されていてもよい。また、一つの物件90に複数の通電検知機器30が設置されており、管理部40は、一つの物件90に設置された複数の通電検知機器30と接続されていてもよい。
【0087】
(9-10)変形例J
上記実施形態では、管理部40に、1台の冷凍サイクル装置10につき1台の通電検知機器30が接続されているが、1台の通電検知機器30に接続される冷凍サイクル装置10の数は、特にこれに限定されない。たとえば、1台の通電検知機器30に複数の冷凍サイクル装置10が接続されていてもよい。
【0088】
(9-11)変形例K
上記実施形態では、故障検知部41は、冷凍サイクル装置10に外付けされているが、特にこれに限定されない。たとえば、
図10に示すように、故障検知部41は、冷凍サイクル装置10の内部に設置されてもよい。
【0089】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、本開示の実施形態は、冷凍サイクル装置の冷媒漏洩検知を事例に説明したが、冷凍サイクル装置に発生する別の故障の中で、毎日もしくは短い頻度での点検が必要な故障検知に対する実施形態であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
冷凍サイクル装置の管理装置は、1日に1回以上の実施義務のある冷媒漏洩及びその他の故障検知が電源遮断で実施不能の状態にあることをユーザーへ通知することができる。
【符号の説明】
【0091】
10 冷凍サイクル装置
20 周辺機器
30 通電検知機器
40 管理部
41 故障検知部
50 情報機器
100 冷凍サイクル装置の管理装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0092】
【特許文献1】特許6791429号公報
【特許文献2】特開2021-156528号公報