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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129157
(43)【公開日】2024-09-26
(54)【発明の名称】大腿骨釘のための止めねじ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/76 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
A61B17/76
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024110290
(22)【出願日】2024-07-09
(62)【分割の表示】P 2022553202の分割
【原出願日】2021-03-03
(31)【優先権主張番号】62/986,138
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/065,208
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519273267
【氏名又は名称】ストライカー・ユーロピアン・オペレーションズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】ハルダー,ラッセ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルケ,アンドレ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】長手方向軸線を有する髄内骨折固定デバイスにおいて使用するための止めねじを提供する。
【解決手段】外部ねじ山を有する本体と、本体から延在する弾性部材と、を含んでもよく、弾性部材は、非圧縮状態と圧縮状態とを有する。ハウジングは、長手方向軸線を部分的に取り囲む側壁であるとともに止めねじを受けるための空洞を画定する側壁を含んでもよく、これにより、止めねじが空洞の内部に少なくとも部分的に配置され、非圧縮状態にあるとき、止めねじは、ハウジングに固定されハウジングに対して長手方向軸線まわりに回転可能である。
【選択図】図9E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
髄内骨折固定デバイスのための、長手方向軸線を有する止めねじアセンブリであって、
外部ねじ山を有する本体と、前記本体から延在する弾性部材と、を含み、前記弾性部材
は、非圧縮状態と圧縮状態とを有する、止めねじと、
前記止めねじを受けるための空洞を画定する側壁を含むハウジングと、
を含み、
前記止めねじが前記空洞の内部に少なくとも部分的に配置されかつ前記弾性部材が前記
非圧縮状態にあるとき、前記止めねじは、前記ハウジングに固定され前記ハウジングに対
して前記長手方向軸線まわりに回転可能である、止めねじアセンブリ。
【請求項2】
前記ハウジングおよび前記止めねじは、挿管前記止めねじアセンブリがガイドワイヤを
受けるように構成された挿管式である、請求項1に記載の止めねじアセンブリ。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記本体の末端に取り付けられた第1端部と、前記本体の前記末端よ
りも上方に配置された第2端部と、を有する片持ちフランジを含み、前記片持ちフランジ
の前記第2端部と前記本体の前記末端との間にギャップが形成されている、請求項1に記
載の止めねじアセンブリ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記長手方向軸線に対して横方向に前記側壁から延在する第1端部
壁および第2端部壁をさらに含み、前記第1端部壁および前記第2端部壁は、互いに距離
を置いて配置されている、請求項1に記載の止めねじアセンブリ。
【請求項5】
前記弾性部材が前記非圧縮状態にあるとき、前記止めねじは、前記長手方向軸線に沿っ
た方向において、前記第1端部壁と前記第2端部壁との間の距離よりも大きな長さを有し
ており、前記弾性部材が前記圧縮状態にあるとき、前記長手方向軸線に沿った方向におけ
る前記止めねじの長さは、前記第1端部壁と前記第2端部壁との間の距離以下である、請
求項4に記載の止めねじアセンブリ。
【請求項6】
前記第1端部壁および前記第2端部壁の少なくとも一方は、リップを含む、請求項4に
記載の止めねじアセンブリ。
【請求項7】
前記止めねじは、前記リップと係合するように構成された段部付き保持面を画定する、
請求項6に記載の止めねじアセンブリ。
【請求項8】
前記止めねじが前記ハウジングに固定されたとき、前記止めねじの前記外部ねじ山の一
部は、前記空洞の外部に延在している、請求項1に記載の止めねじアセンブリ。
【請求項9】
前記ハウジングの前記側壁は、複数の個別の開口を画定しており、前記止めねじが前記
ハウジングに固定されたとき、前記止めねじの前記外部ねじ山の一部は、前記開口のそれ
ぞれを通して延在する、請求項1に記載の止めねじアセンブリ。
【請求項10】
前記ハウジングの下方部分は、少なくとも1つの突起を含む、請求項1に記載の止めね
じアセンブリ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの突起は、第1の長さを有する内側突起と、前記第1の長さよりも
長い第2の長さを有する外側突起と、を含む、請求項10に記載の止めねじアセンブリ。
【請求項12】
前記外側突起は、外側方向から内側方向へと延在する面取りを含む、請求項11に記載
の止めねじアセンブリ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの突起は、内側方向-外側方向から見たときに湾曲した形状をそれ
ぞれが形成している内側突起および外側突起を含む、請求項10に記載の止めねじアセン
ブリ。
【請求項14】
前記湾曲した形状は、実質的に放物線を含む、請求項13に記載の止めねじアセンブリ
【請求項15】
髄内骨折固定デバイスであって、
近位端に隣接した近位部分と、遠位端に隣接した遠位部分と、を有する髄内釘であり、
前記近位部分は、傾斜付き開口と、前記髄内釘の前記近位端を通して前記傾斜付き開口内
へと延在する軸線方向穴と、を画定しており、前記軸線方向穴は、長手方向軸線と、内部
ねじ山と、前記長手方向軸線に対して実質的に平行に延在する少なくとも1つのスロット
と、を有する、髄内釘と、
前記傾斜付き開口を通して延在するように構成された頸部ねじであり、溝を有する外面
を有する頸部ねじと、
前記髄内釘の前記軸線方向穴の内部に配置されるように構成された止めねじアセンブリ
と、
を含み、
前記止めねじアセンブリは、
上方部分と下方部分とを含み、前記上方部分は、集合的に空洞を画定する第1端部壁
、第2端部壁、および側壁を含む、ハウジングと、
前記ハウジングの前記空洞の内部に部分的に配置されるように構成されているととも
に外部ねじ山を有する止めねじと、
を含み、
前記止めねじが前記ハウジングの前記空洞の内部に部分的に配置されかつ前記止めねじ
アセンブリが前記髄内釘の前記軸線方向穴の内部に配置されたとき、前記止めねじの前記
外部ねじ山は、前記軸線方向穴の前記内部ねじ山と係合し、これにより、前記止めねじを
回転させることにより、前記止めねじを前記長手方向軸線まわりに前記ハウジングに対し
て回転させるとともに、前記止めねじアセンブリを前記長手方向軸線に沿って移動させる
、髄内骨折固定デバイス。
【請求項16】
前記ハウジングの前記上方部分の横断面は、前記止めねじを回転させたとき、前記髄内
釘に対する前記ハウジングの回転を阻止するために、前記少なくとも1つのスロットの内
部に位置決めされた少なくとも1つの頂点を有する多角形である、請求項15に記載のデ
バイス。
【請求項17】
前記多角形は、「n」個の頂点を含み、前記少なくとも1つのスロットは、「n」に等
しい数のスロットを含む、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記ハウジングの前記上方部分の横断面は、前記ハウジングの前記下方部分の横断面よ
りも大きく、これにより、前記ハウジングの前記上方部分と前記下方部分の間の接合部に
棚部を形成している、請求項15に記載のデバイス。
【請求項19】
前記髄内釘の前記近位部分は、前記ハウジングの前記棚部に接触することで前記軸線方
向穴の内部での前記ハウジングの遠位移動を制限するための、前記軸線方向穴内へと内向
きに突出する座を含む、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記ハウジングの前記下方部分は、突起をさらに含み、前記ハウジングの前記下方部分
は、前記ハウジングの前記棚部が前記髄内釘の前記座と接触しているとき前記突起だけが
前記傾斜付き開口内へと延在するように、前記長手方向軸線に対して傾斜した遠位端を含
む、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記止めねじは、非圧縮状態と圧縮状態とを有する弾性部材を含む、請求項15に記載
のデバイス。
【請求項22】
前記止めねじは、前記空洞への前記止めねじの挿入により前記弾性部材を前記第1端部
壁または前記第2端部壁の一方に接触させることで前記圧縮状態へと移行させるようなサ
イズとされている、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
髄内骨折固定デバイスであって、
近位端に隣接した近位部分を有する髄内釘であり、前記近位部分は、傾斜付き開口と、
前記髄内釘の前記近位端を通して前記傾斜付き開口内へと延在する軸線方向穴と、を画定
しており、前記軸線方向穴は、長手方向軸線と、内部ねじ山と、を有する、髄内釘と、
前記傾斜付き開口を通して延在するように構成された頸部ねじと、
前記髄内釘の前記近位部分の内部に手術前に組み立てられた止めねじアセンブリであり
、ガイドワイヤを受けるために挿管式とされた止めねじアセンブリと、
を含む、髄内骨折固定デバイス。
【請求項24】
前記止めねじアセンブリを通して前記髄内釘の前記軸線方向穴内へと延在するように構
成されたガイドワイヤをさらに含む、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記止めねじアセンブリは、
外部ねじ山を有する本体を含む止めねじと、
前記長手方向軸線を部分的に取り囲む側壁を含み、前記止めねじを受けるための空洞を
画定するハウジングと、
前記止めねじの前記本体または前記ハウジングの一方に結合され、非圧縮状態と圧縮状
態とを有する弾性部材と、
を含み、
前記止めねじが前記空洞の内部に少なくとも部分的に配置されかつ前記弾性部材が非圧
縮状態にあるとき、前記止めねじは、前記ハウジングに固定され前記ハウジングに対して
前記長手方向軸線まわりに回転可能である、請求項23に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、それぞれの開示が参照により本明細書に組み込まれる、共に「Set Sc
rew for Femoral Nail」という名称の出願である、2020年8月
13日付けで出願された米国仮出願第63/065,208号、および2020年3月6
日付けで出願された米国仮出願第62/986,138号、の出願日の利益を主張するも
のである。
【0002】
本開示は、一般に、骨折した長骨を内部固定するための髄内デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
大腿骨骨折は、多くの場合、大腿骨頸部および転子部において発生する。このタイプの
骨折は、通常、頸部ねじを受けるための傾斜付き開口を有する髄内ロッド(時に、髄内釘
または大腿骨釘と称される)を含む髄内転子間骨折固定デバイスを使用して、処置される
。頸部ねじは、骨折した骨部分どうしを骨形成時に互いに圧縮して安定化させるよう、骨
折線を橋渡ししつつ、大腿骨頭から大腿骨釘の軸体内へと荷重を伝達するように、設計さ
れている。
【0004】
髄内釘は、ガイドワイヤを介して大腿骨の髄腔内へと挿入されることを意図している。
ガイドワイヤは、髄内釘が骨の髄腔内へと挿入される際に、骨折した骨部分どうしの適正
な配置を維持することを補助する。髄内釘が髄腔内の意図した位置へと到達した後には、
ガイドワイヤを取り外してもよく、これにより、頸部ねじを、大腿骨釘の傾斜付き開口を
通して、転子間骨内へと、挿入することができる。次に、止めねじなどの締結部材を、髄
内釘の近位部分に形成された軸線方向穴を通して挿入することにより、頸部ねじを釘に締
結する。
【0005】
骨折した骨片どうしが術後に回転移動した場合には、大腿骨頸部の短縮などの合併症を
引き起こす可能性があり、これにより、身体機能を低下させてしまう可能性がある。した
がって、手術時には、骨折部位を圧縮し、その後、骨部分どうしを安定化させることで、
骨の治癒段階における術後回転移動を最小限に抑えることが望ましい。また、例えば患者
の体重が股関節に加えられたときなどに起こり得る荷重移動を考慮して、髄内釘に対する
頸部ねじの制限的な軸線方向スライドを可能とすることが有利な場合もある。
【0006】
髄内転子間骨折固定デバイスに対して行われてきた改良にもかかわらず、様々な欠点が
残っている。例えば、従来の止めねじは、軸線方向穴を閉塞するものであり、このため、
髄内釘が骨の髄腔内へと埋設されてガイドワイヤの取り外しが完了するまでは、止めねじ
を、髄内釘内へと挿入することができない。このことは、軟組織が軸線方向穴の近位端と
オーバーラップすることが多いため、止めねじを頸部ねじに締結することが、手術中に実
行する場合には、時間のかかるプロセスとなり得ることから、問題である。軸線方向穴内
に配置されたリーマ加工済み骨片は、止めねじのねじ山を大腿骨釘の対応ねじ山と係合さ
せるという既に困難な作業を、さらに悪化させる可能性がある。その上、止めねじが不適
切にねじ込まれると、止めねじのねじ山が、または髄内釘のねじ山が、損傷してしまう可
能性があり、これにより、止めねじが後退しやすくなり、骨折した骨部分どうしの術後回
転をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
本開示の第1態様によれば、髄内転子間骨折固定デバイスにおいて使用するための挿管
式の止めねじアセンブリが提供される。挿管式の止めねじアセンブリは、製造業者または
他のユーザが、止めねじアセンブリを、大腿骨釘内の対応ねじ山に対して、手術前に締結
することを可能とし、これにより、過失を減少させるとともに手術時間を短縮する。
【0008】
止めねじアセンブリは、長手方向軸線を有するとともに、止めねじと、ハウジングと、
を含む。止めねじは、外部ねじ山を有する本体と、本体から延在する弾性部材と、を含ん
でもよく、弾性部材は、非圧縮状態と圧縮状態とを有する。ハウジングは、長手方向軸線
を部分的に取り囲む側壁であるとともに止めねじを受けるための空洞を画定する側壁を含
んでもよく、これにより、止めねじが空洞の内部に少なくとも部分的に配置されたとき、
止めねじは、ハウジングに固定されハウジングに対して回転可能である。
【0009】
本開示の別の態様によれば、髄内転子間骨折固定デバイスは、髄内釘と、頸部ねじと、
止めねじアセンブリと、を含む。髄内釘は、近位端に隣接した近位部分と、遠位端に隣接
した遠位部分と、を含んでもよい。近位部分は、傾斜付き開口と、長手方向軸線を有する
軸線方向穴であるとともに髄内釘の近位端を通して傾斜付き開口内へと延在する軸線方向
穴と、内部ねじ山と、長手方向軸線に対して実質的に平行に延在するスロットと、を画定
してもよい。頸部ねじは、傾斜付き開口を通して延在し得るとともに、溝を有する外面を
有してもよく、止めねじは、髄内釘の軸線方向穴の内部に配置されてもよい。止めねじは
、上方部分と下方部分とを有するハウジングを含んでもよく、上方部分は、集合的に空洞
を画定する第1端部壁、第2端部壁、および側壁を含む。止めねじは、内部ねじ山と係合
する外部ねじ山を含んでもよく、止めねじは、ハウジングの空洞の内部に少なくとも部分
的に配置されてもよく、これにより、止めねじを回転させることで、ハウジングに対して
止めねじが回転されるとともに、止めねじとハウジングとが一緒に長手方向に移動する。
【0010】
本開示のさらに別の態様では、髄内転子間骨折固定デバイスは、髄内釘と、頸部ねじと
、止めねじアセンブリと、を含む。髄内釘は、近位端に隣接した近位部分と、遠位端に隣
接した遠位部分と、を有してもよい。近位部分は、傾斜付き開口と、髄内釘の近位端を通
して傾斜付き開口内へと延在する軸線方向穴と、内部ねじ山と、スロットと、を画定して
もよく、軸線方向穴は、長手方向軸線を有する。頸部ねじは、傾斜付き開口を通して延在
してもよく、止めねじアセンブリは、ガイドワイヤを受けるよう止めねじアセンブリが挿
管式とされていることにより、髄内釘の近位部分の内部に、手術前に組み立てられてもよ
い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】大腿骨の断面図である。
図2】大腿骨頸部が骨折した大腿骨近位部の前後方向正面図である。
図3】本開示の実施形態による、髄内釘と頸部ねじと止めねじアセンブリとを含む髄内転子間骨折固定デバイスの断面図である。
図4図3に示す髄内釘の側方からの斜視図である。
図5A図4に示す髄内釘の線A-Aに沿った断面図である。
図5B図4に示す髄内釘の線B-Bに沿った断面図である。
図6A図3に示す止めねじアセンブリの側面図である。
図6B図3に示す止めねじアセンブリの平面図である。
図7図6Aおよび図6Bに示す止めねじアセンブリの分解図である。
図8図3に示す止めねじアセンブリおよび髄内釘を貫通して延在するガイドワイヤを示す部分断面図である。
図9A】本開示の別の実施形態による止めねじアセンブリの斜視図である。
図9B図9Aの止めねじアセンブリの平面図である。
図9C】本開示の別の実施形態による図9Aおよび図9Bの止めねじアセンブリを受けるように構成された髄内釘の、長手方向軸線に対して直交した断面図である。
図9D図9Aおよび図9Bの止めねじアセンブリの改変実施形態の斜視図である。
図9E図9Aおよび図9Bの止めねじアセンブリの改変実施形態の前後方向側面図である。
図9F図9Dおよび図9Eの止めねじアセンブリの改変実施形態におけるハウジングの底面からの斜視図である。
図9G図9Dおよび図9Eの止めねじアセンブリの改変実施形態におけるハウジングの底面からの斜視図である。
図9H】頸部ねじと、図9Dおよび図9Eの止めねじアセンブリと、の間の係合を示す長手方向軸線に沿った断面図である。
図10図10A図10Fは、本開示の他の実施形態による例示的な止めねじアセンブリの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で使用するとき、大腿骨または髄内釘に言及する場合、「近位」という用語は
、意図された態様で髄内釘が患者の髄腔の内部に埋設されるときに、大腿骨または髄内釘
の、心臓に対してより近い端部を意味する。「遠位」という用語は、意図されたように髄
内釘が患者の髄腔の内部に埋設されるときに、大腿骨または髄内釘の、心臓からより遠い
端部を意味する。「前方」という用語は、身体の正面部分または顔面を向く側を意味し、
「後方」という用語は、身体の背面を向く側を意味する。「内側」という用語は、身体の
正中線を向く側を意味し、「外側」という用語は、身体の正中線から離間する側を意味す
る。頸部ねじに言及する場合、「後方」という用語は、ユーザに対してより近い側を意味
し、「前方」という用語は、ユーザからより遠い側を意味する。また、本明細書で使用す
るとき、「実質的に」、「一般的に」、および「約」という用語は、絶対的なものからの
わずかな逸脱が、そのように改変された用語の範囲内に包含されていることを意味するこ
とが、意図されている。
【0013】
本開示を通して、骨折は、大腿骨頸部の骨折を指すが、以下で説明するデバイスは、骨
折が自然に生じたものであるかまたは外科医が誘発したものであるかに関わらず、大腿骨
骨幹の関連骨折に関して、また、脛骨または上腕骨などの他の長骨における骨折に関して
も、固定するために使用することができる。
【0014】
図1は、大腿骨10と、その6つの解剖学的領域、すなわち、骨幹または中央骨幹12
、近位骨幹端14、遠位骨幹端16、近位骨端または骨頭18、遠位骨端20、および大
腿骨頸部22と、を図示している。大腿骨10は、硬皮質24と、髄腔26と、を含む。
髄腔26は、骨幹12の中心と、近位骨幹端領域30および遠位骨幹端領域32と、近位
骨端領域34および遠位骨端領域36と、を通して延在する髄腔28を含む。
【0015】
図2は、大腿骨頸部22に沿って延在する骨折38を有する大腿骨10の近位部の前後
方向図である。骨折38は、大腿骨近位部を、近位骨幹端14に隣接して位置した第1骨
部分40と、近位骨端または骨頭18に隣接して位置した第2骨部分42と、に分離して
いる。骨折38は、不安定な関節外骨折に関する例示的な図示である、すなわち、この骨
折は、関節の外部に位置している。このタイプの骨折は、処置されなかった場合には、粉
砕(すなわち、骨の微粉化)を含む長期合併症を引き起こし得るものであり、大腿骨頸部
22の短縮および激しい疼痛をもたらしかねない。
【0016】
図3は、本開示の一実施形態による髄内転子間骨折固定デバイス100を示している。
デバイス100は、骨折38の治癒段階で、第1骨部分40および第2骨部分42(図1
および図2に示す)を圧縮するように、さらに、第1骨部分と第2骨部分との間の回転安
定性を維持するように、設計されている。デバイス100は、外側方向から内側方向へと
貫通して延在する傾斜付き開口104(図4に示す)を有する髄内釘102と、骨折した
骨部分どうしを互いに圧縮するために傾斜付き開口を通して挿入可能とされた頸部ねじ1
06と、髄内釘の傾斜付き開口の内部で頸部ねじを回転的に安定化させるための止めねじ
200と、を含む。
【0017】
図4を参照すると、髄内釘102は、近位部分108と、遠位部分110と、近位部分
と遠位部分との間に位置してそれらを連結する中間部分112と、を有するロッド形状の
本体を含む。髄内釘102のロッド形状本体は、髄内釘が大腿骨10の髄腔28(図1
示す)内へと挿入され得るよう、解剖学的な形状とされてもよい。この理由のため、中間
部分112は、近位から遠位方向へと曲げられてテーパー形状であってもよい。
【0018】
髄内釘102のロッド形状本体は、挿管式とされており、大腿骨10の髄腔28(図1
に示す)内の適正位置へと髄内釘を導くための例えばK-ワイヤなどの外科用ワイヤを受
けるように構成されたチャネル114を画定する。髄内釘102は、近位部分108およ
び遠位部分110が実質的に円筒形であるように、その全長にわたって実質的に円形の断
面を有してもよい。髄内釘102の近位部分108は、傾斜付き穴104を収容するのに
充分な直径を有する。髄内釘102の遠位部分110は、近位部分108の直径よりも小
さな直径を有しており、この直径は、髄内釘の遠位部分を大腿骨の髄腔内へと容易に挿入
するために大腿骨10の髄腔28に対して解剖学的な形状とされている。同じ理由のため
に、髄内釘102の遠位部分110は、その遠位端に、円錐形先端116を有する。髄内
釘102の遠位部分110は、また、埋設後に髄内釘を大腿骨10の骨幹12に締結する
ための例えばロックねじなどの骨締結部材を受けるように構成された開口118を画定し
てもよい。
【0019】
図5Aおよび図5Bに示すように、髄内釘102は、髄内釘の近位端と傾斜付き開口1
04との間において、髄内釘の近位部分108の長手方向軸線Lに沿って延在する軸線方
向穴122を有する。軸線方向穴122は、止めねじアセンブリ200(図3に示す)上
に設けられた対応ねじ山と係合するように構成された内部ねじ山126を含む。
【0020】
角度付き開口104は、角度付き開口の穴軸線が近位部分の軸線方向延長線に対して斜
めの延長線を有するように、近位部分108の長手方向軸線Lに対して横方向に角度付け
された穴軸線124を画定する。言い換えれば、傾斜付き開口104の穴軸線124は、
近位部分108の長手方向軸線Lに対して、斜めに配向されている。よって、傾斜付き開
口104の穴軸線124は、近位部分108の長手方向軸線Lに対して、角度αで傾斜し
ている。角度αは、約90°~約140°であってもよく、例えば、約126°であって
もよい。
【0021】
図3に戻ると、頸部ねじ106は、角度付き開口104を通して、外側方向から内側方
向へと延在している。詳細に後述するように、頸部ねじ106は、頸部ねじが傾斜付き開
口104内で回転することを防止した態様で、かつ、荷重移動を考慮して頸部ねじが穴軸
線124(図5Aに示す)に沿って制限的にスライドし得る態様で、止めねじ200を介
して、髄内釘102に結合される。
【0022】
頸部ねじ106は、後端128と、前端130と、を含む。頸部ねじ106の後端12
8は、例えば、スクリュードライバまたはレンチなどの工具の先端を受けるように構成さ
れた六角形の内部駆動特徴物とされた凹所132を含む。頸部ねじ106の前部は、頸部
ねじを転子間骨内にアンカー止めするための、例えば粗いねじ山などのねじ山134を含
む。頸部ねじ106の外周面は、頸部ねじの長手方向軸線に対してほぼ平行な方向に延在
した複数の溝136を画定する。例えば、頸部ねじ106は、頸部ねじの外周面まわりに
90°の間隔で周方向に配置された4つの溝136を含んでもよい。各溝136は、浅い
端部と深い端部とを有する上り勾配を画定する。この上り勾配は、頸部ねじ106の後方
部分から頸部ねじの前方部分に向けて延在している。頸部ねじ106の長手方向軸線が、
傾斜付き開口104の穴軸線124と実質的に同軸であることにより、頸部ねじは、大腿
骨の骨頭上に位置した荷重を髄内釘102に対して伝達するように、同時に、骨折38を
橋渡しするように、さらに、第1骨部分40および第2骨部分42を互いに圧縮するよう
に、構成されている。
【0023】
図6A図8に示すように、止めねじアセンブリ200は、挿管式とされており、よっ
て、従来技術に関して説明した止めねじに伴う欠点を、すなわち、手術中の組立に伴う困
難さを、克服している。止めねじアセンブリ200が、挿管式とされていることにより、
止めねじアセンブリは、手術前に髄内釘102内に組み立て得るとともに、髄内釘内に配
置された状態でガイドワイヤを受けるように構成することができる。すなわち、手術時に
は、外科医は、内部に止めねじアセンブリ200が収容されている髄内釘102を、ガイ
ドワイヤを介して、患者の髄腔内の所定位置へと挿入することができる。本明細書で使用
するとき、「手術前に組み立てる」という用語は、止めねじアセンブリ200が、転子間
骨折固定デバイス100が出荷される前に製造業者によって髄内釘102内に組み立てら
れることを意味する、または代替的には、止めねじアセンブリが、患者の髄腔内へと埋設
される前にユーザによって髄内釘内に組み立てられることを意味する。
【0024】
止めねじアセンブリ200は、ハウジング202と、止めねじ204と、を含む。図6
Bおよび図8に示すように、挿管箇所206が、止めねじアセンブリ200の長手方向軸
線に沿って延在しており、挿管箇所206は、止めねじがハウジング内に配置されかつ止
めねじが髄内釘102内において手術前に組み立てられたとき、止めねじアセンブリがガ
イドワイヤを受けるように構成されるよう、止めねじアセンブリのハウジング202およ
び止めねじ204を完全に貫通して延在している。
【0025】
図7を参照すると、ハウジング202は、上方部分208と、下方部分210と、を含
む。ハウジング202の上方部分208は、第1端部壁212と、この第1端部壁から距
離を置いて位置した第2端部壁214と、第1端部壁と第2端部壁との間に延在している
とともに、上方部分の挿管箇所206を部分的に取り囲んでいる側壁216と、を含む。
別の言い方をすれば、側壁216は、止めねじアセンブリ200の長手方向軸線を、部分
的にしか取り囲んでいない。このようにして、上方部分208の、第1端部壁212と、
第2端部壁214と、側壁216と、の組合せは、止めねじ204を受けるようなサイズ
で構成された空洞218を画定する。好ましい実施形態では、第1端部壁212は、図8
に示すように、空洞218の内部に止めねじ204を保持するためのリップ219を含む
【0026】
ハウジング202の上方部分208は、上方部分と下方部分との接合部のところに棚部
220が形成されるように、ハウジングの下方部分210の横断面よりも大きな横断面を
有する。加えて、ハウジング202の上方部分208の横断面は、形状が多角形であって
もよい。本明細書で使用するとき、「多角形」または「多角形の」という用語は、完全な
円形ではなく、1つまたは複数の頂点222を含む任意の形状として定義される。頂点2
22は、尖った点を形成してもよく、または、丸められていてもよい。例えば、図6B
示すように、ハウジング202の上方部分208の横断面は、実質的に三角形であっても
よく、丸められた頂点を含んでいる。
【0027】
図5Bをさらに参照すると、髄内釘102の近位部分108は、髄内釘の軸線方向穴1
22を画定する壁から内向きに延在した座138を含む。軸線方向穴122を画定する壁
は、また、軸線方向穴の長手方向軸線に対して実質的に平行に延在する長手方向スロット
140を画定する。長手方向スロット140は、ハウジング202の対応する頂点222
を受ける形状およびサイズであり、これにより、止めねじアセンブリが髄内釘102内へ
と導入される際には、止めねじアセンブリ200を安定化させるためのトラックとして機
能してもよい。その上、止めねじアセンブリ200が髄内釘102に固定された後には、
長手方向スロット140の内部に頂点222が配置されていることにより、軸線方向穴1
22内での止めねじアセンブリの望ましくない術後回転が阻止されることとなる。
【0028】
ハウジング202の下方部分210は、形状が実質的に円筒形であり、ハウジングの遠
位端226から延在する1つまたは複数の突起224を含む。突起224は、傾斜付き開
口104内へと延在するような、および頸部ねじ106の1つの溝136内へと延在する
ような、サイズおよび形状とされている。下方部分210の遠位端226は、止めねじア
センブリ200の長手方向軸線に対して、斜めに角度が付けられていてもよい。好ましい
実施形態では、この角度は、ハウジング202の棚部220が座138に接触したときに
、突起224だけが髄内釘102の傾斜付き開口104内に延在するように、α(例えば
、傾斜付き開口104の穴軸線124と、髄内釘102の近位部分108の長手方向軸線
Lと、の間の角度)に対して、ほぼ等しいものとされる。言い換えれば、ハウジング20
2の下方部分210の遠位端226は、髄内釘102の傾斜付き開口104内には延在し
ておらず、頸部ねじ106の外周面に接触することがない。
【0029】
止めねじ204は、本体まわりに配置された外部ねじ山230が設けられた実質的に円
筒形の本体228を有する。止めねじ204は、止めねじのねじ山230が(図6Bに示
すように)空洞から突出し得るようにして、さらに、止めねじアセンブリ200を髄内釘
にねじ係合させるよう、止めねじのねじ山230が(図8に示すように)髄内釘102の
内部ねじ山126に係合し得るようにして、ハウジング202の空洞218内に少なくと
も部分的に受けられるようなサイズとされている。
【0030】
止めねじ204は、拡張状態(例えば、非圧縮)と圧縮状態との間にわたって移行可能
な弾性部材232を含む。圧縮状態では、止めねじ204は、ハウジング202の第1端
部壁212と第2端部壁214との間の距離以下とされた軸線方向長さを有する。よって
、弾性部材232が圧縮状態にあるとき、止めねじ204を、空洞218内へと挿入する
ことができる。他方、弾性部材232が拡張した状態では、止めねじ204の軸線方向長
さは、ハウジング202の第1端部壁212と第2端部壁214との間の距離よりも大き
い。その結果、止めねじ204が空洞218内に配置されかつ弾性部材232が拡張して
ハウジング202の第1端部壁212および第2端部壁214に摩擦嵌め係合したとき、
止めねじは、ハウジングに確実に結合され、ハウジングに対する止めねじの外側への移動
が、阻止される。止めねじ204とハウジング202との間の係合は、また、止めねじが
ハウジング内で意図せずに回転することを阻止するとともに、止めねじを意図的に回転さ
せるために必要なトルクを増大させる。
【0031】
弾性部材232は、弾性部材まわりに保持段部242が形成されるよう、止めねじ20
4の本体228の横断面より小さい横断面を有してもよい。保持段部242は、ハウジン
グのリップ219と係合することにより、ハウジング202に対する止めねじ204の外
側への移動を阻止し得るとともに、空洞218の内部に止めねじを確実に結合することを
補助し得る。
【0032】
図7に示すように、弾性部材232は、止めねじ204の末端に一体形成された、また
は止めねじ204の末端に取り付けられた、フランジである。フランジは、第1端部すな
わち取付端部234と、第2端部すなわち非取付端部236と、を有する。フランジの第
1端部234は、挿管箇所206の第1外側サイド上で止めねじ204の本体228の末
端から延在しており、フランジは、第2端部すなわち非取付端部236が挿管箇所の反対
側の外側サイド上で止めねじの末端を超えて配置されるように、止めねじの挿管箇所の向
こう側へと延在している。フランジの第2端部236は、止めねじ204の本体228に
取り付けられていないことにより、フランジの第2端部(例えば、非取付端部)と、本体
の末端と、の間には、ギャップ238が形成されており、これにより、片持ち梁を形成し
ている。
【0033】
フランジは、金属、金属合金、またはゴム、などの弾性を示す任意の材料から形成され
てもよい。このようにして、空洞218内への止めねじ204の挿入中に、例えばハウジ
ング202の第1端部壁212などによって、フランジの第2端部236に対して、遠位
向きの力が印加されたとき、フランジの第2端部は、止めねじ204の本体228の末端
に向けて圧縮することとなり、これにより、ギャップ238のサイズを減少させるととも
に、止めねじ202の軸線方向長さを減少させる。止めねじ204が、リップ219を超
えて空洞218内へと挿入された後には、弾性材料は、拡張することとなり、これにより
、止めねじを空洞の内部に固定することとなる。
【0034】
上述したフランジは、単に弾性部材232の一例に過ぎず、フランジに代えて、スプリ
ング、ゴム、シリコン、等の、任意の他の弾性部材を代用してもよいことは、理解されよ
う。その上、弾性部材232は、弾性部材の圧縮および拡張がハウジングの空洞218の
内部に止めねじを確実に結合する限りにおいて、および、止めねじに対して回転力が印加
されたときに、止めねじを空洞内で回転可能とする限りにおいて、一体型止めねじ204
の一構成要素として一体的に形成されてもよく、または、止めねじ204もしくはハウジ
ング202の、別部材をなす本体に取り付けられてもよい。
【0035】
図6Bを参照すると、弾性部材232および/または止めねじ204の挿管箇所206
は、例えばスクリュードライバまたは六角キー(図示せず)などの工具の先端を受けるよ
うに構成された、さらに、止めねじを第1の向きに回転させることにより、止めねじアセ
ンブリ200を遠位向きに軸線方向穴122内へとねじ込んで、髄内釘102と結合させ
るように構成された、例えば凹所付き六角小葉型内部駆動特徴物などの、駆動特徴物24
0を画定する。当然のことながら、工具の先端を、また、駆動特徴物240内へと挿入し
て、第1の向きとは逆向きの第2の向きに回転させてもよく、これにより、止めねじ20
4を、軸線方向穴122を通して近位向きに移動させて、止めねじを髄内釘102から螺
着解除してもよい。
【0036】
次に、骨折38を治療するための髄内転子間骨折固定デバイス100の使用について、
説明する。まず、止めねじ204をハウジング202の空洞218内へと挿入することに
より、止めねじアセンブリ200を組み立てる。挿入時には、止めねじ204の弾性部材
232は、弾性部材がハウジング202の第1端部壁212に接触したとき点で、非圧縮
状態から圧縮状態へ移行することとなる。より詳細には、ハウジング202の第1端部壁
212は、フランジ付き弾性部材232の非取付端部236に対して遠位向きの力を印加
し、非取付端部を、止めねじ204の本体228の末端に向けて圧縮することとなる。こ
の圧縮は、ギャップ238のサイズを減少させ、次に、止めねじ204の軸線方向長さ(
例えば、フランジの非取付端部236から、本体228の対向した末端までにわたって、
測定された長さ)を減少させ、これにより、止めねじを空洞218内へと進入させること
ができる。止めねじ204が、ハウジング202の上方部分208のリップ219を通過
した後には、弾性部材232は、弾性的に拡張する。非圧縮状態では、リップ219は、
保持段部242内に着座し、止めねじ204を、空洞218の内部で摩擦で固定する。リ
ップ219と保持段部242との間の係合は、ハウジング202に対する止めねじ204
の外側への移動を阻止するとともに、止めねじに対して回転力が印加されたとき、止めね
じが空洞218内でその長手方向軸線まわりに回転することを可能とする。
【0037】
次に、止めねじアセンブリ200を、髄内釘102の近位部分108の内部に、手術前
に組み立ててもよい。開始に際し、製造業者または別のユーザは、ハウジング202の頂
点222の1つを、髄内釘102の長手方向スロット140内へと、位置決めしてもよい
。位置決めした後には、止めねじアセンブリ200を、止めねじ204の外部ねじ山23
0が髄内釘102の内部ねじ山126と係合するまで、遠位向きにスライドさせてもよい
。説明したように、止めねじアセンブリ200を髄内釘102の軸線方向穴122内へと
スライドさせることは、止めねじアセンブリが長手方向軸線に対して傾斜することを防止
することとなり、これにより、止めねじ204の外部ねじ山230と、髄内釘の内部ねじ
山126と、を適正に位置合わせすることを補助することとなる。これにより、髄内釘1
02に対する止めねじ204の係合時に、いずれかのねじ山が損傷する可能性が低減され
る。
【0038】
次に、駆動工具(図示せず)を、止めねじ204の凹所付き駆動特徴物240内へと挿
入してもよく、第1の向き(例えば、時計回り)に回転させることで、止めねじと髄内釘
102とをねじ係合させて、止めねじアセンブリ200を軸線方向穴122内で遠位向き
に移動させてもよい。止めねじ204の回転時には、止めねじアセンブリ200の構成要
素と、髄内釘102の構成要素とは、1)ハウジング202の頂点222と、髄内釘の長
手方向スロット140と、の間の係合が、軸線方向穴内でのハウジングの回転を防止する
構成、2)拡張された止めねじ204と、ハウジングと、の間の係合(ハウジングのリッ
プ219と、止めねじの保持段部242と、の間の係合を含む)が、ハウジングの空洞2
18に対して、止めねじが軸線方向にまたは外側方向に動くことを防止する構成(他方、
空洞内での止めねじの回転移動は、可能とする)、および、3)止めねじ204の外部ね
じ山230と、髄内釘102の内部ねじ山126と、の間の係合が、止めねじを、ひいて
はハウジング202を、軸線方向穴122内で遠位向きに移動させる構成、という、いく
つかの態様で、相互作用してもよい。止めねじ204の回転は、下方部分210の突起2
24が髄内釘102の傾斜付き開口104内に延在する前に、停止され得る。
【0039】
髄内転子間骨折固定デバイス100が手術のために準備された状態で、外科医は、次に
、ガイドワイヤ244を介して、髄内釘102を、(図8に示すように)挿管式の止めね
じアセンブリ200を通して、患者の髄腔28内の所定位置へと前進させてもよい。髄内
釘102が、大腿骨10の髄腔28内に位置決めされた後に、外科医は、ガイドワイヤ2
44を取り外してもよく、骨折した骨部分どうしを互いに圧縮するために、髄内釘の傾斜
付き開口104を通して頸部ねじ106を挿入してもよい。
【0040】
頸部ねじ106が転子間骨内へと適切に位置決めされたことを外科医が確認した後に、
駆動工具を再び使用することにより、ハウジング202の棚部220が髄内釘102の座
138に係合するまで、止めねじ204を回転させて、止めねじアセンブリ200を遠位
向きに駆動し、これにより、突起224を、髄内釘の傾斜付き開口104内へと、さらに
、頸部ねじ106の溝136の1つ内へと、延在させる。溝136内に位置決めされた後
には、突起224は、頸部ねじ106が穴軸線124まわりに回転することを防止すると
ともに、頸部ねじ106が傾斜付き開口104内で回転することを効果的に防止する。
【0041】
次に、外科医は、任意選択的に、髄内釘102に対する頸部ねじ106の軸線方向移動
を制限することを、選択してもよい。この制限を設定するために、外科医は、所望の制限
に到達するまで、手術中に駆動工具を使用することで、止めねじ204を回転させてもよ
い。外科医が、頸部ねじ106の軸線方向移動を減少させることを所望する場合には、外
科医は、駆動工具を第1の向き(例えば、時計回り)に回転させることにより、上述した
ように、止めねじアセンブリ200を、軸線方向穴122内で遠位向きに移動させてもよ
い。その結果、突起224が、頸部ねじ106の傾斜溝136内へとさらに突出し、これ
により、頸部ねじがスライドし得る距離が、制限されることとなる。突起224が、頸部
ねじ106の、溝136を画定する表面にしっかり係合固定された場合には、頸部ねじの
移動は、完全に防止され得る。
【0042】
他方、外科医が、頸部ねじ106の軸線方向スライドを可能とすることをまたは増大さ
せることを所望する場合には、外科医は、止めねじ204を第2の向き(例えば、反時計
回り)に手術中に回転させることにより、止めねじアセンブリ200を、近位向きに移動
させてもよい。そのような移動は、突起224を、頸部ねじ106から離間させて後退さ
せ、これにより、頸部ねじの傾斜溝136に接触する前に、頸部ねじが、軸線方向におい
て比較的多くスライドすることを可能とする。
【0043】
図9A図9Cは、変形例をなす髄内釘102’と、変形例をなす止めねじアセンブリ
200’と、を示している。髄内釘102’および止めねじアセンブリ200’は、髄内
転子間骨折固定デバイス100の髄内釘102および止めねじアセンブリ200に関して
上述したすべての特徴点を含むとともに、後述するようにさらに改変されている。ハウジ
ング202’の側壁216’は、例えば、止めねじアセンブリ200’が軸線方向穴12
2’内へと配置されるときに、止めねじ204’の外部ねじ山230’が開口を通して髄
内釘102’の内部ねじ山126’と直接的に係合することを可能とする開口225’を
画定する一対の凹状切欠を含む。図9Bを具体的に参照すると、ハウジング202’は、
長手方向軸線に対して直交して見たとき、実質的に三角形状であるとともに、三つ葉クロ
ーバー状の断面形状を有する。
【0044】
ハウジング202’の下方部分は、図6A図8に示すハウジング202に対して、実
質的に同様に形成されてもよい。これに代えて、図9D図9Hに示すように、ハウジン
グ202’の下方部分210’は、形状が円筒形であってもよく、止めねじアセンブリ2
00’を通してのk-ワイヤの挿入を容易とする1つまたは複数の外向きテーパー表面2
23’によって形成された遠位端226’を含んでもよい。ハウジング202’の遠位端
226’は、また、内側突起224a’と、外側突起224b’と、を含む。内側突起2
24a’および外側突起224b’は、湾曲しており、より具体的には、内側-外側とい
う視点から見たとき、形状が放物線状である。湾曲した形状は、突起が頸部ねじ106’
と係合したときの突起224a’、224b’上への応力を低減するように、設計されて
いる。
【0045】
外側突起224b’は、内側突起224a’と比較して、より遠位向きに延在している
。よって、骨折固定デバイスが図9Hに示すように組み立てられ、内側突起224a’お
よび外側突起224b’が頸部ねじ106’の溝136’内に配置されたとき、外側突起
は、溝の底面に係合し、内側突起を、溝の底面よりも上方へと浮かせる。別の言い方をす
れば、内側突起224a’は、頸部ねじ106’が軸線方向穴内で回転することを防止す
るために、溝136’内へと部分的に延在しているものの、溝の底面には係合しておらず
、したがって、頸部ねじが穴軸線に沿って限定的にスライドする際には、溝の底面に対し
て必ずしもスライドするものではない。結果的に、内側突起224a’は、変形を受ける
ことがない。
【0046】
外側突起224b’は、外側方向から内側方向へと延在する面取り246’を含む。外
側突起224b’の面取り246’は、突起が頸部ねじ106’の溝136’の底面に対
して外側へとスライドする際に、外側突起の塑性変形を予期して防止するように、設計さ
れている。
【0047】
図9Cを参照すると、髄内釘102’の軸線方向穴122’が、ハウジング202’の
三つ葉クローバー形状に対応するように(髄内釘102の軸線方向穴122に対して)改
変され得ることは、理解されよう。例えば、軸線方向穴122’は、ハウジング202’
のそれぞれの葉または頂点222’を受けるような形状およびサイズとされた3つの長手
方向スロット140’を含んでもよい。長手方向スロット140と同様に、長手方向スロ
ット140’のそれぞれは、止めねじアセンブリが髄内釘102’内へと導入される際に
は、止めねじアセンブリ200’を安定化させるためのトラックとして機能してもよく、
および、止めねじアセンブリが軸線方向穴122’内で位置決めされた後には、止めねじ
アセンブリの望ましくない術後回転を阻止するためのトラックとして機能してもよい。そ
の上、軸線方向穴122’は、それぞれ隣接した一対の長手方向スロット140’どうし
の間に配置された内部ねじ山126’を含む。このようにして、髄内釘102’に対する
止めねじアセンブリ200’の位置合わせおよび係合が、改良されてもよい。図9A~図
9Hに示す改変された骨折固定デバイスは、髄内転子間骨折固定デバイス100に関して
上述したようにして使用することができ、したがって、ここでは再び詳細には説明しない
【0048】
図10A図10Cは、本開示の他の実施形態による例示的な止めねじアセンブリ20
0A~200Fを示す平面図である。止めねじアセンブリ200A~200Fのそれぞれ
は、止めねじアセンブリ200および/または止めねじアセンブリ200’のすべての特
徴点を含んでおり、唯一の相違点は、ハウジングの形状である。ハウジング202A~2
02Fに関して以下で使用するとき、「形状」という用語は、長手方向軸線に対して直交
して見たときの、ハウジングの断面形状を指す。
【0049】
各止めねじアセンブリ200A~200Fは、好ましくは、それぞれのハウジング20
2A~202Fの形状に対して形状が対応している軸線方向穴を有する異なる髄内釘(図
示せず)と共に使用するように、設計されている。より具体的には、各ハウジング202
A~202Fは、対応する髄内釘の軸線方向穴内における長手方向スロットの数に等しい
数の頂点を有する多角形形状を有する。この点に関して、頂点のそれぞれは、止めねじア
センブリが対応する髄内釘内へと導入されるときに止めねじアセンブリを安定化させるた
めに、および、止めねじアセンブリが髄内釘の軸線方向穴で位置決めされた後に止めねじ
アセンブリの望ましくない術後回転を阻止するために、長手方向スロットのそれぞれ内に
位置決めすることができる。
【0050】
例えば、図10Aは、実質的に卵形の形状とされた、より具体的には、径方向反対側に
位置した2つの頂点222Aを有する楕円形の形状とされた、ハウジング202Aを有す
る止めねじアセンブリ200Aを示している。よって、その対応する髄内釘(図示せず)
の軸線方向穴は、軸線方向穴の互いに反対側に位置した2つの長手方向スロットを有して
形成されてもよい。
【0051】
図10Bに示すように、止めねじアセンブリ200Bのハウジング202Bは、止めね
じアセンブリ200’のハウジング202’と形状が同様である。すなわち、止めねじア
センブリ200Bのハウジング202Bは、実質的に三つ葉クローバーの形状とされてお
り、3つの頂点222Bを含む。しかしながら、止めねじアセンブリ200Bのハウジン
グ202Bは、止めねじアセンブリ200’の側壁216’と比較して、わずかに厚い側
壁216Bを有する。それにもかかわらず、対応する髄内釘は、軸線方向穴まわりに角度
的に間隔を置いて配置された3つの長手方向スロットを有して、図9Cに示すように実質
的に形成されてもよい。
【0052】
図10Cは、実質的に三角形の形状とされ、止めねじアセンブリ200のハウジング2
02と同様のものとされた、第3の例示的ハウジング202Cを示している。主な相違点
は、ハウジング202Cの側壁216Cが、3つの頂点222Cに関して、それぞれどう
しの間に、円弧状の切欠を画定することである。したがって、止めねじアセンブリ200
Cに対応する髄内釘は、軸線方向穴まわりに角度的に間隔を置いて配置された3つの長手
方向スロットが設けられた軸線方向穴を有してもよい。
【0053】
ここで、図10Dを参照すると、ハウジング202Dの形状は、実質的に矩形であり、
より具体的には、正方形である。ハウジング202Dの側壁216Dは、隣接した4つの
頂点222Dの、それぞれの間に、円弧状の切欠を画定してもよい。この点に関し、止め
ねじアセンブリ200Dに対応する髄内釘は、軸線方向穴まわりに互いに90度の間隔を
置いて配置された4つの長手方向スロットを画定することとなる。
【0054】
図10Eに示すように、止めねじアセンブリ200Eのハウジング202Eは、径方向
反対側に位置した2つの頂点222Eを有するほぼ楕円形の形状とされている。ハウジン
グ202Eの側壁216Eは、ハウジングの短軸に沿って配置された2つの円弧状の切欠
を画定してもよい。したがって、対応する髄内釘は、軸線方向穴の互いに反対側に配置さ
れた2つの長手方向スロットを画定してもよい。
【0055】
図10Fを参照すると、止めねじアセンブリ200Fのハウジング202Fは、4つの
頂点222Fと、その幅に沿って厚くなった側壁216Fと、その長さに沿って薄くなっ
た側壁と、を有して実質的に矩形の形状とされている。当然のことながら、側壁216F
の厚さは、ハウジング202Fの幅に沿っておよび/または長さに沿って、変更および/
または変動されてもよい。よって、対応する髄内釘は、好ましくは、軸線方向穴まわりに
互いに90度の間隔を置いて配置された4つの長手方向スロットを有する。
【0056】
図10A図10Fは、特定の形状としてハウジングを図示しているが、ハウジングの
形状を、代替的に任意の多角形形状として形成し得ることは、理解されよう。その上、各
ハウジングの頂点の数は、好ましくは、対応する髄内釘の軸線方向穴内に形成された長手
方向スロットの数に等しいものとされているが、各ハウジングの頂点の数を、特定の髄内
釘の軸線方向穴内に画定された長手方向スロットの数に等しくする必要がないことは、理
解されよう。ハウジングにおける複数の頂点の1つが、髄内釘の単一の長手方向スロット
内に位置決めされる限りにおいて、止めねじアセンブリは、頂点の数が長手方向スロット
の数に等しい場合と比較すればより小さな程度とはなるものの、導入時のある程度の安定
化と、術後回転力に対して耐える能力と、を示すこととなる。
【0057】
本明細書では、本発明について、特定の実施形態を参照して説明したが、これらの実施
形態が、本発明の原理および応用を単に例示するものに過ぎないことは、理解されよう。
したがって、添付の特許請求の範囲によって画定される本開示の精神および範囲から逸脱
することなく、例示的な実施形態に対して多数の改変を行い得るとともに、他の構成を考
案し得ることは、理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-07-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
髄内骨折固定デバイスのための、長手方向軸線を有する止めねじアセンブリであって、
外部ねじ山を有する本体を有する、止めねじと、
側壁と、前記長手方向軸線に対して横方向に前記側壁から延在する第1端部壁および第2端部壁と、を含み、前記側壁が、前記長手方向軸線を部分的に取り囲み、前記第1端部壁、前記第2端部壁および前記側壁の組合せは、前記止めねじを受けるようなサイズに構成された空洞を画定し、完全な円形ではない多角形の形状をした横断面を有する、ハウジングと、
を含み、
前記空洞は、前記止めねじが前記空洞内に挿入されて前記空洞の内部に配置されたときに、前記止めねじが、前記ハウジングに固定され、かつ、前記ハウジングに対して前記長手方向軸線まわりに回転可能となるように、構成され、
前記止めねじが前記ハウジングへ固定されたときに、前記止めねじの前記外部ねじ山の一部が前記空洞の外部に突出している、
止めねじアセンブリ。
【請求項2】
前記ハウジングおよび前記止めねじは、前記止めねじアセンブリがガイドワイヤを受けるように構成された挿管式である、請求項1に記載の止めねじアセンブリ。
【請求項3】
前記ハウジングの前記側壁は、複数の個別の開口を画定しており、前記止めねじが前記ハウジングに固定されたとき、前記止めねじの前記外部ねじ山の一部は、前記開口のそれぞれを通して延在する、請求項1に記載の止めねじアセンブリ。
【請求項4】
前記ハウジングの下方部分は、前記ハウジングの遠位端からさらに遠位方向へ延在する少なくとも1つの突起を含む、請求項1に記載の止めねじアセンブリ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの突起は、第1の長さを有する内側突起と、前記第1の長さよりも長い第2の長さを有する外側突起と、を含む、請求項4に記載の止めねじアセンブリ。
【請求項6】
髄内骨折固定デバイスであって、
近位端に隣接した近位部分と、遠位端に隣接した遠位部分と、を有する髄内釘であり、前記近位部分は、傾斜付き開口と、前記髄内釘の前記近位端を通して前記傾斜付き開口内へと延在する軸線方向穴と、を画定しており、前記軸線方向穴は、長手方向軸線と、内部ねじ山と、前記長手方向軸線に対して実質的に平行に延在する少なくとも1つのスロットと、を有する、髄内釘と、
前記傾斜付き開口を通して延在するように構成された頸部ねじであり、溝を有する外面を有する頸部ねじと、
長手方向軸線を有し、前記髄内釘の前記軸線方向穴の内部に配置されるように構成された止めねじアセンブリと、
を含み、
前記止めねじアセンブリは、
外部ねじ山を有する本体を有する、止めねじと、
上方部分と下方部分とを含み、前記上方部分は、側壁と、前記止めねじアセンブリの前記長手方向軸線に対して横方向に前記側壁から延在する第1端部壁および第2端部壁と、を含み、前記側壁、前記第1端部壁および前記第2端部壁の組合せが、前記止めねじを受けるようなサイズに構成された空洞を画定し、前記側壁は、前記止めねじアセンブリの前記長手方向軸線を部分的に取り囲む、ハウジングと、
を含み、
前記空洞は、前記止めねじが前記空洞内に挿入されて前記空洞の内部に配置されたときに、前記止めねじが、前記ハウジングに固定され、かつ、前記ハウジングに対して前記長手方向軸線まわりに回転可能となるように、構成され、
前記止めねじが前記ハウジングへ固定されたときに、前記止めねじの前記外部ねじ山の一部が前記空洞の外部に突出し、
前記止めねじが前記ハウジングの前記空洞の内部に部分的に配置されかつ前記止めねじアセンブリが前記髄内釘の前記軸線方向穴の内部に配置されたとき、前記止めねじの前記外部ねじ山は、前記軸線方向穴の前記内部ねじ山と係合し、これにより、前記止めねじを回転させることにより、前記止めねじを前記長手方向軸線まわりに前記ハウジングに対して回転させるとともに、前記止めねじアセンブリを前記長手方向軸線に沿って移動させる、髄内骨折固定デバイス。
【請求項7】
前記ハウジングの前記上方部分の横断面は、前記止めねじを回転させたとき、前記髄内釘に対する前記ハウジングの回転を阻止するために、前記少なくとも1つのスロットの内部に位置決めされた少なくとも1つの頂点を有する多角形である、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記多角形は、「n」個の頂点を含み、前記少なくとも1つのスロットは、「n」に等しい数のスロットを含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ハウジングの前記上方部分の横断面は、前記ハウジングの前記下方部分の横断面よりも大きく、これにより、前記ハウジングの前記上方部分と前記下方部分の間の接合部に棚部を形成している、請求項6に記載のデバイス。
【請求項10】
前記髄内釘の前記近位部分は、前記ハウジングの前記棚部に接触することで前記軸線方向穴の内部での前記ハウジングの遠位移動を制限するための、前記軸線方向穴内へと内向きに突出する座を含む、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記ハウジングの前記下方部分は、突起をさらに含み、前記ハウジングの前記下方部分は、前記ハウジングの前記棚部が前記髄内釘の前記座と接触しているとき前記突起だけが前記傾斜付き開口内へと延在するように、前記長手方向軸線に対して傾斜した遠位端を含む、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
髄内骨折固定デバイスであって、
近位端に隣接した近位部分を有する髄内釘であり、前記近位部分は、傾斜付き開口と、前記髄内釘の前記近位端を通して前記傾斜付き開口内へと延在する軸線方向穴と、を画定しており、前記軸線方向穴は、長手方向軸線と、内部ねじ山と、を有する、髄内釘と、
前記傾斜付き開口を通して延在するように構成された頸部ねじと、
前記髄内釘の前記近位部分の内部に手術前に組み立てられた、請求項1に記載の止めねじアセンブリであり、ガイドワイヤを受けるために挿管式とされた止めねじアセンブリと、
を含む、髄内骨折固定デバイス。
【請求項13】
前記止めねじアセンブリを通して前記髄内釘の前記軸線方向穴内へと延在するように構成されたガイドワイヤをさらに含む、請求項12に記載のデバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
本明細書では、本発明について、特定の実施形態を参照して説明したが、これらの実施形態が、本発明の原理および応用を単に例示するものに過ぎないことは、理解されよう。したがって、添付の特許請求の範囲によって画定される本開示の精神および範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に対して多数の改変を行い得るとともに、他の構成を考案し得ることは、理解されよう。
なお、上記の実施形態から把握し得る技術的思想について、その態様を以下に述べる。
[態様1]
髄内骨折固定デバイスのための、長手方向軸線を有する止めねじアセンブリであって、
外部ねじ山を有する本体と、前記本体から延在する弾性部材と、を含み、前記弾性部材は、非圧縮状態と圧縮状態とを有する、止めねじと、
前記止めねじを受けるための空洞を画定する側壁を含むハウジングと、
を含み、
前記止めねじが前記空洞の内部に少なくとも部分的に配置されかつ前記弾性部材が前記非圧縮状態にあるとき、前記止めねじは、前記ハウジングに固定され前記ハウジングに対して前記長手方向軸線まわりに回転可能である、止めねじアセンブリ。
[態様2]
前記ハウジングおよび前記止めねじは、挿管前記止めねじアセンブリがガイドワイヤを受けるように構成された挿管式である、態様1に記載の止めねじアセンブリ。
[態様3]
前記弾性部材は、前記本体の末端に取り付けられた第1端部と、前記本体の前記末端よりも上方に配置された第2端部と、を有する片持ちフランジを含み、前記片持ちフランジの前記第2端部と前記本体の前記末端との間にギャップが形成されている、態様1に記載の止めねじアセンブリ。
[態様4]
前記ハウジングは、前記長手方向軸線に対して横方向に前記側壁から延在する第1端部壁および第2端部壁をさらに含み、前記第1端部壁および前記第2端部壁は、互いに距離を置いて配置されている、態様1に記載の止めねじアセンブリ。
[態様5]
前記弾性部材が前記非圧縮状態にあるとき、前記止めねじは、前記長手方向軸線に沿った方向において、前記第1端部壁と前記第2端部壁との間の距離よりも大きな長さを有しており、前記弾性部材が前記圧縮状態にあるとき、前記長手方向軸線に沿った方向における前記止めねじの長さは、前記第1端部壁と前記第2端部壁との間の距離以下である、態様4に記載の止めねじアセンブリ。
[態様6]
前記第1端部壁および前記第2端部壁の少なくとも一方は、リップを含む、態様4に記載の止めねじアセンブリ。
[態様7]
前記止めねじは、前記リップと係合するように構成された段部付き保持面を画定する、態様6に記載の止めねじアセンブリ。
[態様8]
前記止めねじが前記ハウジングに固定されたとき、前記止めねじの前記外部ねじ山の一部は、前記空洞の外部に延在している、態様1に記載の止めねじアセンブリ。
[態様9]
前記ハウジングの前記側壁は、複数の個別の開口を画定しており、前記止めねじが前記ハウジングに固定されたとき、前記止めねじの前記外部ねじ山の一部は、前記開口のそれぞれを通して延在する、態様1に記載の止めねじアセンブリ。
[態様10]
前記ハウジングの下方部分は、少なくとも1つの突起を含む、態様1に記載の止めねじアセンブリ。
[態様11]
前記少なくとも1つの突起は、第1の長さを有する内側突起と、前記第1の長さよりも長い第2の長さを有する外側突起と、を含む、態様10に記載の止めねじアセンブリ。
[態様12]
前記外側突起は、外側方向から内側方向へと延在する面取りを含む、態様11に記載の止めねじアセンブリ。
[態様13]
前記少なくとも1つの突起は、内側方向-外側方向から見たときに湾曲した形状をそれぞれが形成している内側突起および外側突起を含む、態様10に記載の止めねじアセンブリ。
[態様14]
前記湾曲した形状は、実質的に放物線を含む、態様13に記載の止めねじアセンブリ。
[態様15]
髄内骨折固定デバイスであって、
近位端に隣接した近位部分と、遠位端に隣接した遠位部分と、を有する髄内釘であり、前記近位部分は、傾斜付き開口と、前記髄内釘の前記近位端を通して前記傾斜付き開口内へと延在する軸線方向穴と、を画定しており、前記軸線方向穴は、長手方向軸線と、内部ねじ山と、前記長手方向軸線に対して実質的に平行に延在する少なくとも1つのスロットと、を有する、髄内釘と、
前記傾斜付き開口を通して延在するように構成された頸部ねじであり、溝を有する外面を有する頸部ねじと、
前記髄内釘の前記軸線方向穴の内部に配置されるように構成された止めねじアセンブリと、
を含み、
前記止めねじアセンブリは、
上方部分と下方部分とを含み、前記上方部分は、集合的に空洞を画定する第1端部壁、第2端部壁、および側壁を含む、ハウジングと、
前記ハウジングの前記空洞の内部に部分的に配置されるように構成されているとともに外部ねじ山を有する止めねじと、
を含み、
前記止めねじが前記ハウジングの前記空洞の内部に部分的に配置されかつ前記止めねじアセンブリが前記髄内釘の前記軸線方向穴の内部に配置されたとき、前記止めねじの前記外部ねじ山は、前記軸線方向穴の前記内部ねじ山と係合し、これにより、前記止めねじを回転させることにより、前記止めねじを前記長手方向軸線まわりに前記ハウジングに対して回転させるとともに、前記止めねじアセンブリを前記長手方向軸線に沿って移動させる、髄内骨折固定デバイス。
[態様16]
前記ハウジングの前記上方部分の横断面は、前記止めねじを回転させたとき、前記髄内釘に対する前記ハウジングの回転を阻止するために、前記少なくとも1つのスロットの内部に位置決めされた少なくとも1つの頂点を有する多角形である、態様15に記載のデバイス。
[態様17]
前記多角形は、「n」個の頂点を含み、前記少なくとも1つのスロットは、「n」に等しい数のスロットを含む、態様16に記載のデバイス。
[態様18]
前記ハウジングの前記上方部分の横断面は、前記ハウジングの前記下方部分の横断面よりも大きく、これにより、前記ハウジングの前記上方部分と前記下方部分の間の接合部に棚部を形成している、態様15に記載のデバイス。
[態様19]
前記髄内釘の前記近位部分は、前記ハウジングの前記棚部に接触することで前記軸線方向穴の内部での前記ハウジングの遠位移動を制限するための、前記軸線方向穴内へと内向きに突出する座を含む、態様18に記載のデバイス。
[態様20]
前記ハウジングの前記下方部分は、突起をさらに含み、前記ハウジングの前記下方部分は、前記ハウジングの前記棚部が前記髄内釘の前記座と接触しているとき前記突起だけが前記傾斜付き開口内へと延在するように、前記長手方向軸線に対して傾斜した遠位端を含む、態様19に記載のデバイス。
[態様21]
前記止めねじは、非圧縮状態と圧縮状態とを有する弾性部材を含む、態様15に記載のデバイス。
[態様22]
前記止めねじは、前記空洞への前記止めねじの挿入により前記弾性部材を前記第1端部壁または前記第2端部壁の一方に接触させることで前記圧縮状態へと移行させるようなサイズとされている、態様21に記載のデバイス。
[態様23]
髄内骨折固定デバイスであって、
近位端に隣接した近位部分を有する髄内釘であり、前記近位部分は、傾斜付き開口と、前記髄内釘の前記近位端を通して前記傾斜付き開口内へと延在する軸線方向穴と、を画定しており、前記軸線方向穴は、長手方向軸線と、内部ねじ山と、を有する、髄内釘と、
前記傾斜付き開口を通して延在するように構成された頸部ねじと、
前記髄内釘の前記近位部分の内部に手術前に組み立てられた止めねじアセンブリであり、ガイドワイヤを受けるために挿管式とされた止めねじアセンブリと、
を含む、髄内骨折固定デバイス。
[態様24]
前記止めねじアセンブリを通して前記髄内釘の前記軸線方向穴内へと延在するように構成されたガイドワイヤをさらに含む、態様23に記載のデバイス。
[態様25]
前記止めねじアセンブリは、
外部ねじ山を有する本体を含む止めねじと、
前記長手方向軸線を部分的に取り囲む側壁を含み、前記止めねじを受けるための空洞を画定するハウジングと、
前記止めねじの前記本体または前記ハウジングの一方に結合され、非圧縮状態と圧縮状態とを有する弾性部材と、
を含み、
前記止めねじが前記空洞の内部に少なくとも部分的に配置されかつ前記弾性部材が非圧縮状態にあるとき、前記止めねじは、前記ハウジングに固定され前記ハウジングに対して前記長手方向軸線まわりに回転可能である、態様23に記載のデバイス。
【外国語明細書】