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特開2024-129171カーボンニュートラル碁石、碁盤及び製造方法
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  • 特開-カーボンニュートラル碁石、碁盤及び製造方法 図1
  • 特開-カーボンニュートラル碁石、碁盤及び製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129171
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】カーボンニュートラル碁石、碁盤及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 3/02 20060101AFI20240919BHJP
   A63F 3/00 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
A63F3/02 512A
A63F3/02 512E
A63F3/02 511D
A63F3/02 511N
A63F3/00 513L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038194
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】522045028
【氏名又は名称】加島 主税
(74)【代理人】
【識別番号】100205523
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 浩也
(72)【発明者】
【氏名】加島 主税
(57)【要約】
【課題】昨今重視されるSDGsで定められた目標、環境等に配慮された玩具は少なく、碁石に関する発明や考案も、環境には一切配慮されていない上、携帯性もあまり考慮されていない。
【解決手段】米を原料としたバイオマスプラスチックと、磁粉と、を含有し、バイオ接着剤を用いて前記バイオマスプラスチックと前記磁粉を接着させることを特徴としたカーボンニュートラル碁石によって、環境等には配慮しながら、SDGsで定められた目標とも一致する碁石の提供が可能となる。また、磁粉を混合させた碁石と、鉄板の碁盤をセットで用いることによって、碁石が碁盤に吸着するため、碁盤気軽に携帯も可能な囲碁セットの生産も可能となり、さらに囲碁の普及に大いに貢献できることとなる。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米を原料としたバイオマスプラスチックと、
磁粉と、
を含有し、
バイオ接着剤を用いて前記バイオマスプラスチックと前記磁粉を接着させる、
ことを特徴とするカーボンニュートラル碁石
【請求項2】
米を原料としたバイオマスプラスチックと、
合成樹脂と、
大理石粉と、
を含有し、
バイオ接着剤を用いて前記バイオマスプラスチック、前記合成樹脂及び前記大理石粉を接着させる、
ことを特徴とするカーボンニュートラル碁石
【請求項3】
米を原料としたバイオマスプラスチックと、
ガラス質物質と、
を含有し、
バイオ接着剤を用いて前記バイオマスプラスチックと前記ガラス質物質を接着させる、
ことを特徴とするカーボンニュートラル碁石
【請求項4】
前記ガラス質物質は石英粉である、
ことを特徴とする請求項3のカーボンニュートラル碁石
【請求項5】
鉄板に米を原料としたバイオマスプラスチック貼付する、
ことを特徴とするカーボンニュートラル碁盤
【請求項6】
米を原料としたバイオマスプラスチックと、バイオ接着剤を混合して攪拌後、
磁粉、合成樹脂、大理石粉、又はガラス製物質のいずれかを混合して攪拌した材料を碁石に成型する金型へ注入して固形化する、
ことを特徴とするカーボンニュートラル碁石製造方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境に配慮した材料を用いた碁石及び碁盤並びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
碁石とは、囲碁、連珠に使用する用具であり、黒・白2色の円盤形状のものである。黒白2色で一揃いとなり、碁笥又は碁器と呼ばれる容器に入れる。囲碁を行う上では単に「石」と呼ばれることもある。また碁盤は、囲碁の用具の一つで碁石を打つ板のことであり、盤の上面には縦横に直線が描かれ、縦横に直線は直角に交わる。
【0003】
黒の碁石は、黒色の石を用い、那智黒石が名品とされている。白の碁石は、ハマグリの貝殻を型抜きして磨いたものが一般的であるが、ハマグリの碁石は、非常に高価であり、明治期には陶器や竹製の碁石が存在していた。大正時代にガラスの碁石が試作されたが、当時は硬化ガラスではなく普通のガラスだったので、脆く割れやすかった。その後、プラスチックや硬質ガラス製の製品が出回り、安価な用具のも現れている。一方、碁盤は、主に樹齢数百年の大木の木材を用いることが多く、カヤ、桂、イチョウ、ヒノキ、ヒバ、アガチス、スプルース材などが使用される。
【0004】
近年では、持ち運び用の軽量の碁石、碁盤や、マグネット製の囲碁セットも登場し、移動先で気軽な囲碁対戦が可能となり、囲碁の普及に大いに貢献している。
【0005】
碁石だけでなく、軽量で丈夫なうえ、安価な素材としてプラスチックを用いる玩具が大勢を占めているが、石油由来製品を多用することによって環境汚染が進んでいることも問題視されている。
【0006】
そのような状況下、2015年に開催された国連サミットでは、加盟国の全会一致で「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標「SDGs」が採択された。
【0007】
「SDGs」は、17のゴール・169のターゲットから構成され、貧困や飢餓から環境問題、経済成長やジェンダーに至る広範な課題を網羅しており、豊かさを追求しながら地球環境を守り、そして「誰一人取り残さない」ことを強調し、人々が人間らしく暮らしていくための社会的基盤を2030年までに達成することが目標として定められており、我が国としても積極的な取り組みが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2016-67863号公報
【特許文献2】実用新案登録第3202785号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の通り、昨今重視されるSDGsで定められた目標、環境等に配慮された玩具は少なく、碁石に関する発明や考案も、特許文献1や特許文献2に記載の通り、スチールシートを付着させたり、原料に鉄粉を混入する碁石など、環境には一切配慮されていない上、携帯性もあまり考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、碁石であって、米を原料としたバイオマスプラスチックと、磁粉と、を含有し、バイオ接着剤を用いて前記バイオマスプラスチックと前記磁粉を接着させる、ことを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明は、碁石であって、米を原料としたバイオマスプラスチックと、合成樹脂と、大理石粉と、を含有し、バイオ接着剤を用いて前記バイオマスプラスチック、前記合成樹脂及び前記大理石粉を接着させる、ことを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明は、碁石であって、米を原料としたバイオマスプラスチックと、ガラス質物質と、を含有し、バイオ接着剤を用いて前記バイオマスプラスチックと前記ガラス質物質を接着させる、ことを特徴としている。
【0013】
請求項5の発明は、碁盤であって、鉄板に米を原料としたバイオマスプラスチック貼付する、ことを特徴としている。
【0014】
請求項6の発明は、カーボンニュートラル碁石の製造方法であって、米を原料としたバイオマスプラスチックと、バイオ接着剤を混合して攪拌後、磁粉、合成樹脂、大理石粉、又はガラス製物質のいずれかを混合して攪拌した材料を碁石に成型する金型へ注入して固形化する、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、再生可能な有機資源である米を原料としたバイオマスプラスチックを用いることによって、環境等には配慮しながら、SDGsで定められた目標とも一致する碁石の提供が可能となる。また、磁粉を混合させた碁石と、鉄板の碁盤をセットで用いることによって、碁石が碁盤に吸着するため、気軽に携帯も可能な囲碁セットの生産も可能となり、さらに囲碁の普及に大いに貢献できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るカーボンニュートラル碁石のイメージ図である。
図2】本発明の実施形態に係るカーボンニュートラル碁石の製造行程のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な変形が可能である。さらに、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
<実施形態1>
最初に、カーボンニュートラル碁石1を構成する材料について説明する。カーボンニュートラル碁石1は、ベースとして米を原料としたバイオマスプラスチック11(以下、「米プラスチック11」という)が主成分となる。米プラスチック11を代表するものとしては「ライスレジン(登録商標)」があげられるが、米を原料としていれば、特に製品は指定しない。米プラスチックの比重は規格によって異なり、例えば1.08~1.25である。
【0019】
実施形態1の発明では、米プラスチック11に、磁性を持つ磁粉12を加える。磁粉は磁性を有していれば、種類は特に指定しない。米プラスチック11と磁粉12の構成比も特に指定しない。
【0020】
米プラスチック11と磁粉12はバイオ接着剤9を用いて接着させる。バイオ接着剤9とは、糖類などの生体モノマーから合成的に形成された接着剤であり、合成接着剤とは異なり、環境に優しく、再生可能な資源から製造されるため、医療用品から包装用品に至るまで幅広い産業で使用されている。バイオ接着剤の比重は、0.9~1.20である。
【0021】
<実施形態2>
次に、2つ目の実施形態であるカーボンニュートラル碁石2を構成する材料について説明する。カーボンニュートラル碁石2もカーボンニュートラル碁石1同様、ベースとして米プラスチック11が主成分となる。
【0022】
実施形態2の発明では、米プラスチック11に、合成樹脂粉22を加える。合成樹脂粉22とは合成樹脂の粉で、合成樹脂はプラスチックと呼ばれることが多く、一般的には石油を原料とするモノマーを重合してできたポリマーに添加剤を加えた物質である。合成樹脂粉22の比重は、0.9~1.20である。
【0023】
実施形態2の発明では、合成樹脂粉22の比重が軽いため、大理石粉23を加えてもよい。大理石粉23とは、石灰岩が変成作用を受けてできた粗粒の方解石、又はドロマイトなどの岩石を、粉末状にしたものである。大理石粉23の比重は、約2.2である。
【0024】
米プラスチック11、合成樹脂粉22及び大理石粉23はバイオ接着剤9を用いて接着させる。バイオ接着剤9の比重は、実施形態2と同じく0.9~1.20である。
【0025】
<実施形態3>
次に、3つ目の実施形態であるカーボンニュートラル碁石3を構成する材料について説明する。カーボンニュートラル碁石3もカーボンニュートラル碁石1、2同様、ベースとして米プラスチック11が主成分となる。
【0026】
実施形態3の発明では、米プラスチック11に、ガラス性物質32を加える。ガラス性物質32は、例えば石英粉である。石英粉はガラスの原料であり、二酸化ケイ素 (SiO2) が結晶してできた鉱物を粉末状にしたものである。石英粉の比重は、2.5~2.7である。
【0027】
<実施形態4>
次に、4つ目の実施形態であるカーボンニュートラル碁盤4を構成する材料について説明する。カーボンニュートラル碁盤4は鉄板41から成り、表面に米プラスチック11貼付する。鉄板は携帯性を状慮すると薄いほうがよく、0.5mm~2mm程度が好ましい。鉄板41にはヒンジ411を使って2枚の鉄板41を繋ぎ、折りたためる形態としても良い。
【0028】
米プラスチック11へ貼付はバイオ接着剤9を用いて行う。貼付後、縦横に直線が描かれ、縦横に直線は直角に交わるように描く。
【0029】
<製造方法>
次に、碁石の製造方法について例を示す。図1は、本発明の実施形態に係る碁石1のイメージ図、及び図2は、本発明の実施形態に係るカーボンニュートラル碁石1、2及び3の製造行程のフローチャート図である。
【0030】
(ステップS1)
米プラスチック11と、バイオ接着剤9を混合して攪拌を行う。
【0031】
(ステップS2)
次にカーボンニュートラル碁石1を製造する際は磁粉12、カーボンニュートラル碁石2を製造する際は合成樹脂粉22及び大理石粉23、カーボンニュートラル碁石3はガラス性物質32のいずれかを混合して攪拌する。それぞれの混合比は定めないが、ガラス性物質32を混合する際は、ガラス成分に近くなる石英粉の量を混合することが好ましい。
【0032】
(ステップS3)
ステップS2で拡販した材料を碁石に成型する金型5へ注入して固形化する、
【符号の説明】
【0033】
1 カーボンニュートラル碁石(磁粉入り)
2 カーボンニュートラル碁石(合成樹脂粉・大理石粉入り)
3 カーボンニュートラル碁石(ガラス製物質)
4 カーボンニュートラル碁盤
9 バイオ接着剤
11 米を原料としたバイオマスプラスチック
12 磁粉
22 合成樹脂粉
23 大理石粉
32 ガラス性物質
図1
図2