(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129184
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】乗客コンベアシステムエレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 25/00 20060101AFI20240919BHJP
B66B 29/00 20060101ALI20240919BHJP
B66B 31/00 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
B66B25/00 Z
B66B29/00 Z
B66B31/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038211
(22)【出願日】2023-03-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100228407
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 佑輔
(74)【代理人】
【識別番号】100207826
【弁理士】
【氏名又は名称】尾畑 誠治
(72)【発明者】
【氏名】近久 順平
(72)【発明者】
【氏名】大野 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】端 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 功一
(72)【発明者】
【氏名】井上 元太
(72)【発明者】
【氏名】音羽 駿
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA04
3F321BA14
3F321DA07
3F321EA02
3F321EB08
3F321GA00
(57)【要約】
【課題】 移動体の円滑な乗車又は降車を支援する乗客コンベアシステムを提供する。
【解決手段】 乗客コンベアシステムは、移動体と、移動体の移動を制御する移動制御部と、移動体と通信可能に接続された乗客コンベアと、を備え、乗客コンベアは、移動体に乗車タイミング情報又は降車タイミング情報を送信し、移動制御部は、乗車タイミング情報又は降車タイミング情報に基づいて、前記移動体の移動を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体と、
前記移動体の移動を制御する移動制御部と、
前記移動体と通信可能に接続された乗客コンベアと、
前記乗客コンベアの乗車口においてステップが送り出されるタイミングを判定することで、前記移動体が乗車可能なタイミングを判定する乗車タイミング判定部と、を備え、
前記乗客コンベアは、前記乗車タイミング判定部の判定に基づいて、前記移動体に乗車タイミング情報を送信し、
前記移動制御部は、前記乗車タイミング情報に基づいて、前記移動体の移動を制御する、
乗客コンベアシステム。
【請求項2】
移動体と、
前記移動体の移動を制御する移動制御部と、
前記移動体と通信可能に接続された乗客コンベアと、
前記乗客コンベアの降車口において、前記移動体が乗車するステップが入り込むタイミングを判定することで、前記移動体が降車可能なタイミングを判定する降車タイミング判定部と、を備え、
前記乗客コンベアは、前記降車タイミング判定部の判定に基づいて、前記移動体に降車タイミング情報を送信し、
前記移動制御部は、前記降車タイミング情報に基づいて、前記移動体の移動を制御する、
乗客コンベアシステム。
【請求項3】
前記乗客コンベアは、前記ステップが移動する速度を示すステップ速度情報を移動体に送信し、
前記移動制御部は、前記乗車タイミング情報と前記ステップ速度情報に基づいて、前記移動体の移動を制御する、
請求項1又は2に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項4】
前記移動体は、前記乗客コンベアに乗車したときに前記移動体が占める寸法を示す乗車寸法情報を、乗客コンベアに送信し、
前記乗客コンベアは、前記乗車寸法情報に基づいて、前記移動体の乗車の可否を判定する乗車可否判定部を備える、
請求項1に記載の乗客コンベアシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体が乗降可能な乗客コンベアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、乗客コンベアは、移動体が乗降する場合に、乗客コンベアを乗降可能な速度に変更する(例えば、特許文献1)。ところで、移動体が乗客コンベアに円滑に乗車するには、順次送り出される複数のステップのうちの一のステップの上にタイミングよく乗り込む必要がある。また、移動体が乗客コンベアから円滑に降車する場合も、移動するステップから降り口にタイミングよく降りる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、移動体の円滑な乗車又は降車を支援する乗客コンベアシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
乗客コンベアシステムは、移動体と、前記移動体の移動を制御する移動制御部と、前記移動体と通信可能に接続された乗客コンベアと、前記乗客コンベアの乗車口においてステップが送り出されるタイミングを判定することで、前記移動体が乗車可能なタイミングを判定する乗車タイミング判定部と、を備え、前記乗客コンベアは、前記乗車タイミング判定部の判定に基づいて、前記移動体に乗車タイミング情報を送信し、前記移動制御部は、前記乗車タイミング情報に基づいて、前記移動体の移動を制御する。
【0006】
また、乗客コンベアシステムは、移動体と、前記移動体の移動を制御する移動制御部と、前記移動体と通信可能に接続された乗客コンベアと、前記乗客コンベアの降車口において、前記移動体が乗車するステップが入り込むタイミングを判定することで、前記移動体が降車可能なタイミングを判定する降車タイミング判定部と、を備え、前記乗客コンベアは、前記降車タイミング判定部の判定に基づいて、前記移動体に降車タイミング情報を送信し、前記移動制御部は、前記降車タイミング情報に基づいて、前記移動体の移動を制御する。
【0007】
また、乗客コンベアシステムは、前記乗客コンベアは、前記ステップが移動する速度を示すステップ速度情報を移動体に送信し、前記移動制御部は、前記乗車タイミング情報と前記ステップ速度情報に基づいて、前記移動体の移動を制御する、という構成でもよい。
【0008】
また、乗客コンベアシステムは、前記移動体は、前記乗客コンベアに乗車したときに前記移動体が占める寸法を示す乗車寸法情報を、乗客コンベアに送信し、前記乗客コンベアは、前記乗車寸法情報に基づいて、前記移動体の乗車の可否を判定する乗車可否判定部を備える、という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態である乗客コンベアシステムのブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態である乗客コンベアの乗車口を示す側面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態である乗客コンベアの乗車口を示す平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態である乗客コンベアシステムの制御を示すフロー図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1変形例である乗客コンベアシステムのブロック図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1変形例である乗客コンベアの降車口を示す側面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1変形例である乗客コンベアシステムの制御を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態である乗客コンベアシステムについて、図面を参照しながら説明する。
【0011】
1.構成
図1は、本発明の一実施形態である乗客コンベアシステムのブロック図である。
【0012】
図1に示すように、乗客コンベアシステム100は、乗客コンベア1と、移動体2と、を備える。乗客コンベア1は、移動体2が乗車可能なタイミングを判定し、乗車タイミング情報を移動体2に送信する。移動体2は、乗客コンベア1から受信した乗車タイミング情報に基づいて、移動体2の移動を制御する。
【0013】
乗客コンベア1は、利用者や移動体2が乗車する複数のステップ14と、ステップ14の両側に設置されるハンドレール16と、利用者や移動体2がステップ14に乗り込む乗車口15と、利用者や移動体2がステップ14から降りる降車口17と、を備えるエスカレータである。なお、乗客コンベア1は、このような構成に限られず、移動歩道(動く歩道)であってもよい。また、乗客コンベア1は、移動体2と通信可能に接続されている。
【0014】
移動体2は、自律して移動するロボットである。なお、移動体2は、このような構成に限られず、人が乗車して操作するパーソナルモビリティであってもよい。また、移動体2は、人の身体に装着され、アクチュエータの動作により当該人の身体を動かすことで移動するパワーアシストスーツであってもよい。また、移動体2は、乗客コンベア1と通信可能に接続されている。
【0015】
乗客コンベア1は、通信部11と、CPUなどの制御部12と、メモリ、HDDなどの記憶部13と、を備える。記憶部13は、乗客コンベア1において用いられる各種情報を記憶する。記憶部13には、例えば、乗客コンベア1の運転を行うための各種制御プログラムが格納されている。
【0016】
通信部11は、乗客コンベア1が移動体2と無線通信を行うための通信モジュールである。具体的には、通信部11は、後述する通信部21と無線通信を行う。
【0017】
制御部12は、乗客コンベア1の各処理を実行する。制御部12は、運転制御部121と、乗車可否判定部122と、乗車タイミング判定部123と、乗車判定部124と、を備える。
【0018】
運転制御部121は、記憶部13に格納されている、乗客コンベア1の運転を行うための各種制御プログラムを読み出して実行することにより、乗客コンベア1の円滑な運転を実現する。
【0019】
本実施形態においては、乗車可否判定部122は、移動体2から送信される乗車寸法情報に基づいて、移動体2の乗車の可否を判定する。乗車可否判定部122の判定と乗車寸法情報について、
図2及び
図3を用いて、具体的に説明する。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態である乗客コンベアの乗車口を示す側面図である。また、
図3は、本発明の一実施形態である乗客コンベアの乗車口を示す平面図である。以下、ステップ14の運転方向D1を奥行方向、運転方向D1と直行する水平方向を幅方向とする。
【0021】
移動体2は、乗客コンベア1に乗車したときに移動体2が占める寸法を示す乗車寸法情報を、後述する通信部21を介して、乗客コンベア1に送信する。乗車寸法情報は、具体的には、
図2に示す移動体2の奥行方向の寸法である移動体奥行寸法Lb1と、
図3に示す移動体2の幅方向の寸法である移動体幅寸法Lb2と、を示す情報である。
【0022】
なお、移動体奥行寸法Lb1と移動体幅寸法Lb2は、移動体2がステップ14に乗車するときの向きによって、乗客コンベア1へ乗車するたびに算出される、という構成でもよい。
【0023】
乗客コンベア1は、通信部11を介して乗車寸法情報を受信すると、乗車可否判定部122は、乗車寸法情報に基づいて、移動体2の乗車の可否を判定する。具体的には、
図2に示す、隣接するステップ14の後端部14b間の奥行寸法La1と、
図3に示すステップ14の幅寸法La2を用いて、La1>Lb1かつLa2>Lb2であるか否かを判定し、La1>Lb1かつLa2>Lb2である場合は乗車可能と判定する。なお、隣接するステップ14の後端部14b間の奥行寸法La1は、移動体2が乗車口15から降車口17まで移動する間に最も狭くなる時の、後端部14b間の奥行寸法La1として定めるものとする。
【0024】
La1≦Lb1の場合、移動体2がステップ14に乗って移動している間に、移動体2が乗車するステップ14の前方のステップ14と、移動体2とが接触し、移動体2が後方に押され、移動体2がステップ14からはみ出す可能性がある。よって、La1≦Lb1の場合、乗車可否判定部122は、乗車不可と判定する。
【0025】
La2≦Lb2の場合、移動体2が乗車口15から乗車するときに、ステップ14の両側に設置されるハンドレール16や欄干(不図示)と接触する可能性がある。よって、La2≦Lb2の場合、乗車可否判定部122は、乗車不可と判定する。
【0026】
乗客コンベア1は、乗車可否判定部122の判定に基づいて、通信部11を介して乗車可能を示す情報又は乗車不可を示す情報を移動体2に送信する。
【0027】
これにより、移動体2の寸法に基づいて乗客コンベア1に乗車可能か否かを判定することができるため、移動体2が乗車できない寸法であるにもかかわらずステップ14上をはみ出すような事態を抑制することができる。
【0028】
乗車タイミング判定部123は、乗車可否判定部122が乗車可能と判定した場合に、乗客コンベア1の乗車口15においてステップ14が送り出されるタイミングを判定することで、移動体2が乗車可能なタイミングを判定する。
【0029】
移動体2が乗車可能なタイミングについて、
図2を用いて、具体的に説明する。
【0030】
乗車タイミング判定部123は、運転方向D1の向きに移動するステップ14の先端部14aが、乗車口15の端部である乗車口端部15aを通過するタイミングを判定する。
【0031】
図2に示すように、移動体2が乗車口端部15a付近で待機している場合、先端部14aが乗車口端部15aを通過するタイミングで移動体2が運転方向D1に移動を開始することで、移動体2は乗車することができる。
【0032】
なお、乗車タイミング判定部123は、このような構成に限られず、乗車タイミング判定部123は、運転方向D1の向きに移動するステップ14の後端部14bが、乗車口15の端部である乗車口端部15aを通過するタイミングを判定する、という構成であってもよい。
【0033】
ステップ14の先端部14aが乗車口15の端部である乗車口端部15aを通過するタイミングである、と乗車タイミング判定部123が判定した場合、乗客コンベア1は、通信部11を介して乗車タイミング情報を移動体2に送信する。
【0034】
乗車タイミング判定部123の判定について、より具体的には、乗客コンベア1は、ステップ14を駆動するモータ(不図示)を備え、モータの回転量を検出するエンコーダを備える。複数のステップ14のうちの一のステップ14の先端部14aが乗車口端部15aを通過してから、次のステップ14の先端部14aが乗車口端部15aを通過するまでのモータの回転量は一定量であることから、エンコーダにより検出されるモータが当該一定量だけ回転するたびに、先端部14aが乗車口端部15aを通過するタイミングである、と判定することができる。
【0035】
なお、このような構成に限られず、乗車口端部15aに光電センサを備え、光電センサが、隣接するステップ14の間を検出することで、先端部14aが乗車口端部15aを通過するタイミングである、と判定してもよい。
【0036】
また、乗客コンベア1は複数のステップ14を備えることから、複数のステップ14の各先端部14aが乗車口端部15aを通過するたびに、周期的に乗車タイミング情報を移動体2に送信することとなる。
【0037】
乗客コンベア1は、乗車タイミング情報を移動体2に送信するときに、乗車口15付近におけるステップ14の運転方向D1の速度を示すステップ速度情報を、通信部11を介して移動体2に送信する。なお、ステップ速度情報は、記憶部13に格納されている。
【0038】
乗車判定部124は、移動体2が乗車を完了したか否かを判定する。具体的には、後述するように移動体2が乗客コンベア1に乗車を完了した場合、移動体2は乗車が完了したことを示す乗車完了情報を、通信部21を介して乗客コンベア1に送信する。乗車判定部124は、乗車完了情報を受信したか否かを判定し、受信した場合は移動体2の乗車が完了したと判定し、乗車タイミング情報の送信を停止する。
【0039】
移動体2は、通信部21と、移動制御部22と、を備える。
【0040】
通信部21は、移動体2が乗客コンベア1と無線通信を行うための通信モジュールである。具体的には、通信部21は、通信部11と無線通信を行う。
【0041】
移動体2は、乗客コンベア1の乗車口15付近に到着したときに、移動体2が乗客コンベア1に乗車する要求を示す乗車要求情報と、乗車寸法情報とを、通信部21を介して乗客コンベア1に送信する。また、移動体2は、乗客コンベア1のステップ14に乗車を完了したときに、通信部21を介して乗客コンベア1に乗車完了情報を送信する。
【0042】
移動制御部22はCPUであり、移動体2の円滑な移動を制御する。
【0043】
移動制御部22は、乗車タイミング情報に基づいて、移動体2の移動を制御する。具体的には、通信部21を介して乗車タイミング情報を受信したタイミングで、移動制御部22は、移動体2の運転方向D1への移動を開始するように制御する。
【0044】
これにより、移動体2は乗車タイミング情報に基づいて乗客コンベア1に乗車移動することができるため、移動体2がタイミングを誤って乗車することを抑制し、移動体2の円滑な乗車を支援することができる。
【0045】
なお、このような構成に限られず、乗車タイミング情報を受信したタイミングから所定時間が経過した後に、移動体2の運転方向D1への移動を開始するように制御してもよい。当該所定時間は、移動体2の移動速度と、移動体2から乗車口端部15aまでの距離に基づいて算出することができる。
【0046】
また、本実施形態においては、移動制御部22は、乗車タイミング情報とステップ速度情報に基づいて、移動体2の移動を制御する。具体的には、移動制御部22は、通信部21を介して受信したステップ速度情報から取得したステップ14の運転方向D1の速度と略同一の速度で、移動体2を運転方向D1へ移動させるように制御する。
【0047】
これにより、移動体2はさらにステップ14の速度に基づいて乗車移動することができるため、移動体2がステップ14の速度に合わずに乗車することを抑制し、移動体2の円滑な乗車をさらに支援することができる。
【0048】
移動制御部22は、ステップ14への乗車に必要な距離だけ移動体2を運転方向D1へ移動させる制御をすると、移動体2をステップ14上で停止させる。その後、移動体2は、ステップ14に乗車を完了したとして、通信部21を介して乗客コンベア1に乗車完了情報を送信する。
【0049】
また、本実施形態においては、移動制御部22は、乗車可能を示す情報又は乗車不可を示す情報に基づいて、移動体2の移動を制御する。具体的には、移動制御部22は、通信部21を介して受信した乗車可能を示す情報又は乗車不可を示す情報に基づいて、移動体2の移動を制御する。
【0050】
乗車可能を示す情報を受信した場合、移動制御部22は、移動体2を乗降口端部15a付近まで移動させるように制御する。乗車不可を示す情報を受信した場合、移動制御部22は、移動体2を乗降口15から離れるように移動させる制御をする。
【0051】
2.動作
図4は、本発明の一実施形態である乗客コンベアシステムの制御を示すフロー図である。以下、乗客コンベアシステム100における制御について、
図4を参照しながら説明する。
【0052】
図4に示すフローは、本実施形態においては、移動体2が乗車要求情報を送信し、乗客コンベア1が当該乗車要求情報を受信したことを検出すると開始し(ステップS11)、ステップS12へ進む。
【0053】
乗車可否判定部122は、乗車要求情報とともに移動体2から送信される乗車寸法情報に基づいて、移動体2の乗車の可否を判定する(ステップS12)。
【0054】
乗車可否判定部122が乗車不可と判定した場合(ステップS12でNO)、乗客コンベア1は乗車不可を示す情報を移動体2に送信し(ステップS17)、移動制御部22は、移動体2を乗降口15から離れるように移動させる制御をし、フローを終了する。
【0055】
他方、乗車可否判定部122が乗車可能と判定した場合(ステップS12でYES)、乗客コンベア1は乗車可能を示す情報を移動体2に送信し、移動制御部22は、移動体2を乗降口端部15a付近まで移動させるように制御し、ステップS13へ進む。
【0056】
乗車タイミング判定部123は、乗客コンベア1の乗車口15においてステップ14が送り出されるタイミングを判定することで、移動体2が乗車可能なタイミングを判定する(ステップS13)。乗車タイミング判定部123が、移動体2が乗車可能なタイミングである、と判定した場合(ステップS13でYES)、乗客コンベア1は、乗車タイミング情報を移動体2に送信し(ステップS14)、ステップS15へ進む。
【0057】
他方、乗車タイミング判定部123が、移動体2が乗車可能なタイミングではない、と判定した場合(ステップS13でNO)、ステップS13を繰り返す。
【0058】
移動制御部22は、乗車タイミング情報を乗客コンベア1から受信したタイミングで、移動体2の運転方向D1への移動を開始するように制御する(ステップS15)。その後、移動体2は、乗客コンベア1のステップ14への乗車が完了したときに、乗客コンベア1に乗車完了情報を送信する。
【0059】
乗車判定部124は、乗車完了情報を受信したか否かを判定することにより、移動体2が乗車を完了したか否かを判定する(ステップS16)。乗車判定部124が、移動体2が乗車を完了していないと判定した場合(ステップS16でNO)、ステップS13に戻る。
【0060】
他方、乗車判定部124が、移動体2が乗車を完了したと判定した場合(ステップS16でYES)、フローを終了する。
【0061】
3.本実施形態のまとめ
以上により、本実施形態に係る乗客コンベアシステム100は、移動体2と、移動体2の移動を制御する移動制御部22と、移動体2と通信可能に接続された乗客コンベア1と、乗客コンベア1の乗車口15においてステップ14が送り出されるタイミングを判定することで、移動体2が乗車可能なタイミングを判定する乗車タイミング判定部123と、を備え、乗客コンベア1は、乗車タイミング判定部123の判定に基づいて、移動体2に乗車タイミング情報を送信し、移動制御部22は、乗車タイミング情報に基づいて、移動体2の移動を制御する。
【0062】
本実施形態の構成によれば、移動体2は乗車タイミング情報に基づいて乗客コンベア1に乗車移動することができるため、移動体2がタイミングを誤って乗車することを抑制し、移動体2の円滑な乗車を支援することができる。
【0063】
また、本実施形態に係る乗客コンベアシステム100は、乗客コンベア1は、ステップ14が移動する速度を示すステップ速度情報を移動体2に送信し、移動制御部22は、乗車タイミング情報とステップ速度情報に基づいて、移動体2の移動を制御する、という構成である。
【0064】
本実施形態の構成によれば、移動体2はさらにステップ14の速度に基づいて乗車移動することができるため、移動体2がステップ14の速度に合わずに乗車することを抑制し、移動体2の円滑な乗車をさらに支援することができる。
【0065】
また、本実施形態に係る乗客コンベアシステム100は、移動体2は、乗客コンベア1に乗車したときに移動体2が占める寸法を示す乗車寸法情報を、乗客コンベア1に送信し、乗客コンベア1は、乗車寸法情報に基づいて、移動体2の乗車の可否を判定する乗車可否判定部122を備える、という構成である。
【0066】
本実施形態の構成によれば、移動体2の寸法に基づいて乗客コンベア1に乗車可能か否かを判定することができるため、移動体2が乗車できない寸法であるにもかかわらずステップ14上をはみ出すような事態を抑制することができる。
【0067】
なお、乗客コンベアシステム100は、上記の実施形態の構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、修正、又は変形が可能である。例えば、下記の変形例の構成を選択し、上記の実施形態の構成に採用することも可能である。
【0068】
4.変形例
(1)上記の実施例に係る乗客コンベアシステム100においては、乗客コンベア1の乗車口15においてステップ14が送り出されるタイミングを判定することで、移動体2が乗車可能なタイミングを判定する乗車タイミング判定部123を備え、乗客コンベア1は、乗車タイミング判定部123の判定に基づいて、移動体2に乗車タイミング情報を送信し、移動制御部22は、乗車タイミング情報に基づいて、移動体2の移動を制御する、という構成である。しかしながら、乗客コンベアシステム100は、このような構成に限られない。
【0069】
例えば、第1変形例に係る乗客コンベアシステム100aは、乗客コンベア1aの降車口17において、移動体2aが乗車するステップ14が入り込むタイミングを判定することで、移動体2aが降車可能なタイミングを判定する降車タイミング判定部126を備え、乗客コンベア1aは、降車タイミング判定部126の判定に基づいて、移動体2aに降車タイミング情報を送信し、移動制御部22aは、降車タイミング情報に基づいて、移動体2aの移動を制御する、という構成でもよい。
【0070】
図5は、本発明の第1変形例である乗客コンベアシステムのブロック図である。
【0071】
図5に示すように、第1変形例に係る乗客コンベアシステム100aは、移動体位置算出部125と、降車タイミング判定部126と、を備える点において、乗客コンベアシステム100と異なる。
【0072】
移動体位置算出部125は、移動体2aが乗車するステップ14の位置を算出する。具体的には、乗客コンベア1aが乗車完了情報を受信したタイミングから、ステップ14を駆動するモータ(不図示)の回転量をエンコーダで検出し、当該回転量に基づいて、移動体2aが乗車するステップ14の位置を算出する。
【0073】
降車タイミング判定部126は、乗客コンベア1aの降車口17においてステップ14が入り込むタイミングを判定することで、移動体2aが降車可能なタイミングを判定する。
【0074】
移動体2aが降車可能なタイミングについて、
図6を用いて、具体的に説明する。
【0075】
図6は、本発明の第1変形例である乗客コンベアの降車口を示す側面図である。
【0076】
降車タイミング判定部126は、運転方向D1の向きに移動する、移動体2aが乗車するステップ14の先端部14aが、降車口17の端部である降車口端部17aを通過するタイミングを判定する。
【0077】
より具体的には、移動体位置算出部125が算出した、移動体2aが乗車するステップ14の位置に基づいて、移動体2aが乗車するステップ14の先端部14aが、降車口17の端部である降車口端部17aを通過するタイミングを判定する。
【0078】
図6に示すように、移動体2aがステップ14上で待機している場合、移動体2が乗車するステップ14の先端部14aが降車口端部17aを通過するタイミングで移動体2aが運転方向D1に移動を開始することで、移動体2aは降車することができる。
【0079】
移動体2aが乗車するステップ14の先端部14aが降車口17の端部である降車口端部17aを通過するタイミングである、と降車タイミング判定部126が判定した場合、乗客コンベア1aは、通信部11を介して降車タイミング情報を移動体2aに送信する。
【0080】
移動体2aは移動制御部22aを備え、移動制御部22aは、降車タイミング情報に基づいて、移動体2aの移動を制御する。具体的には、通信部21を介して降車タイミング情報を受信したタイミングで、移動制御部22aは、移動体2aの運転方向D1への移動を開始するように制御する。
【0081】
図7は、本発明の第1変形例である乗客コンベアシステムの制御を示すフロー図である。以下、乗客コンベアシステム100aにおける制御について、
図7を参照しながら説明する。
【0082】
図7に示すフローは、第1変形例においては、例えば、乗客コンベア1aが、移動体2aから乗車完了情報を受信すると開始し、移動体位置算出部125は、移動体2aが乗車するステップ14の位置を算出する(ステップS21)。具体的には、乗客コンベア1aが乗車完了情報を受信したタイミングから、ステップ14を駆動するモータ(不図示)の回転量をエンコーダで検出し、当該回転量に基づいて、移動体2aが乗車するステップ14の位置を算出する。
【0083】
降車タイミング判定部126は、乗客コンベア1aの降車口17において、移動体2aが乗車するステップ14が入り込むタイミングを判定することで、移動体2aが降車可能なタイミングを判定する(ステップS22)。降車タイミング判定部126が、移動体2aが降車可能なタイミングである、と判定した場合(ステップS22でYES)、乗客コンベア1aは、降車タイミング情報を移動体2aに送信し(ステップS23)、ステップS24へ進む。
【0084】
他方、降車タイミング判定部126が、移動体2aが降車可能なタイミングではない、と判定した場合(ステップS22でNO)、ステップS21を繰り返す。
【0085】
移動制御部22aは、降車タイミング情報を受信したタイミングで、移動体2aの運転方向D1への移動を開始するように制御し(ステップS24)、フローを終了する。
【0086】
第1変形例の構成によれば、移動体2aは降車タイミング情報に基づいて乗客コンベア1aから降車移動することができるため、移動体2aがタイミングを誤って降車することを抑制し、移動体2aの円滑な降車を支援することができる。
【0087】
(2)上記の実施例に係る乗客コンベアシステム100においては、乗客コンベア1は、ステップ14が移動する速度を示すステップ速度情報を移動体2に送信し、移動制御部22は、乗車タイミング情報とステップ速度情報に基づいて、移動体2の移動を制御する、という構成である。しかしながら、乗客コンベアシステム100は、このような構成に限られない。
【0088】
例えば、第2変形例に係る乗客コンベアシステム100は、乗客コンベア1のステップ速度情報は移動体2の記憶部に予め格納されており、移動制御部22は、乗車タイミング情報とステップ速度情報に基づいて、移動体2の移動を制御する、という構成でもよい。
【0089】
また、移動体2は、周期的に受信する乗車タイミング情報に基づいて、ステップ速度情報を算出し、移動制御部22は、乗車タイミング情報とステップ速度情報に基づいて、移動体2の移動を制御する、という構成でもよい。この場合、ステップ14の踏面の運転方向D1の寸法が、移動体2の記憶部に予め格納されている、という構成であり、当該寸法と、乗車タイミング情報を受信する時間間隔とに基づいて、ステップ14の運転方向D1の速度を算出することができる。
【0090】
第2変形例においても、移動体2はさらにステップ14の速度に基づいて乗車移動することができるため、移動体2がステップ14の速度に合わずに乗車することを抑制し、移動体2の円滑な乗車をさらに支援することができる。
【0091】
(3)上記の実施例に係る乗客コンベアシステム100においては、移動体2は、乗客コンベア1に乗車したときに移動体2が占める寸法を示す乗車寸法情報を、乗客コンベア1に送信し、乗客コンベア1は、乗車寸法情報に基づいて、移動体2の乗車の可否を判定する乗車可否判定部122を備える、という構成である。しかしながら、乗客コンベアシステム100は、このような構成に限られない。
【0092】
例えば、第3変形例に係る乗客コンベアシステム100は、移動体2の乗車可能な乗客コンベア1を示す情報が、移動体2の記憶部に予め格納されており、移動体2は、乗車可能な乗客コンベア1にのみ、乗車要求情報を送信する、という構成でもよい。
【0093】
また、乗客コンベア1に乗車可能な移動体2を示すID情報が記憶部13に予め格納されており、乗客コンベア1は、当該ID情報と一致する移動体2からの乗車要求情報のみ受け付ける、という構成でもよい。
【0094】
(4)上記の実施例に係る乗客コンベアシステム100においては、乗客コンベア1は、CPUなどの制御部12と、メモリ、HDDなどの記憶部13と、を備える、という構成である。また、移動体2は、移動制御部と、を備える、という構成である。しかしながら、乗客コンベアシステム100は、このような構成に限られない。
【0095】
例えば、制御部12が備える各部の一部又は全部は、外部サーバやクラウドサーバに備えられる、という構成でもよい。
【0096】
例えば、記憶部13は、外部サーバやクラウドサーバに備えられる、という構成でもよい。
【0097】
例えば、移動制御部22は、外部サーバやクラウドサーバに備えられる、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0098】
1、1a 乗客コンベア
11 通信部
12、12a 制御部
121 運転制御部
122 乗車可否判定部
123 乗車タイミング判定部
124 乗車判定部
125 移動体位置算出部
126 降車タイミング判定部
13 記憶部
14 ステップ
14a 先端部
14b 後端部
15 乗車口
15a 乗車口端部
16 ハンドレール
17 降車口
17a 降車口端部
2、2a 移動体
21 通信部
22、22a 移動制御部
100、100a 乗客コンベアシステム
D1 運転方向
奥行寸法 La1
幅寸法 La2
移動体奥行寸法 Lb1
移動体幅寸法 Lb2
【手続補正書】
【提出日】2023-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体と、
前記移動体の移動を制御する移動制御部と、
前記移動体と通信可能に接続された乗客コンベアと、
前記乗客コンベアの乗車口においてステップが送り出されるタイミングを判定することで、前記移動体が乗車可能なタイミングを判定する乗車タイミング判定部と、を備え、
前記乗客コンベアは、前記乗車タイミング判定部の判定に基づいて、前記移動体に乗車タイミング情報を送信し、
前記移動制御部は、前記乗車タイミング情報に基づいて、前記移動体の移動を制御する、
乗客コンベアシステム。
【請求項2】
移動体と、
前記移動体の移動を制御する移動制御部と、
前記移動体と通信可能に接続された乗客コンベアと、
前記乗客コンベアの降車口において、前記移動体が乗車するステップが入り込むタイミングを判定することで、前記移動体が降車可能なタイミングを判定する降車タイミング判定部と、を備え、
前記乗客コンベアは、前記降車タイミング判定部の判定に基づいて、前記移動体に降車タイミング情報を送信し、
前記移動制御部は、前記降車タイミング情報に基づいて、前記移動体の移動を制御する、
乗客コンベアシステム。
【請求項3】
前記乗客コンベアは、前記ステップが移動する速度を示すステップ速度情報を移動体に送信し、
前記移動制御部は、前記乗車タイミング情報と前記ステップ速度情報に基づいて、前記移動体の移動を制御する、
請求項1に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項4】
前記移動体は、前記乗客コンベアに乗車したときに前記移動体が占める寸法を示す乗車寸法情報を、乗客コンベアに送信し、
前記乗客コンベアは、前記乗車寸法情報に基づいて、前記移動体の乗車の可否を判定する乗車可否判定部を備える、
請求項1又は3に記載の乗客コンベアシステム。