(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129190
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 37/12 20060101AFI20240919BHJP
D06F 39/02 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
D06F37/12 C
D06F39/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038220
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】和田 努
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 有輝也
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小松 源
(72)【発明者】
【氏名】神谷 優
【テーマコード(参考)】
3B165
3B166
【Fターム(参考)】
3B165AA11
3B165AA15
3B165AE02
3B165BA23
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3B166GA02
3B166GA04
3B166GA12
3B166JM02
3B166JM03
(57)【要約】
【課題】
本発明の目的は、流体の動きが妨げられることによる流体バランサとしての効果の低下を抑制することができる洗濯機を提供することにある。
【解決手段】
洗濯物を収容する内槽と、内槽を内包する外槽と、環状を成して内槽の上端部に設けられ、中心側に柔軟剤投入部91を有する流体バランサ90(92)と、を備えた洗濯機において、流体バランサ92は、当該流体バランサの内部空間を内周側空間922と外周側空間923とに区画する仕切りリブ921を有し、仕切りリブ921は、外周側空間923が柔軟剤投入部91に対して外周側に位置するように、かつ流体バランサ92の全周において、内周側空間922と外周側空間923との間の水密性が確保されるように設けられ、流体バランサ92の流体は、外周側空間923に封入される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を収容する内槽と、前記内槽を内包する外槽と、環状を成して前記内槽の上端部に設けられ、中心側に柔軟剤投入部を有する流体バランサと、を備えた洗濯機において、
前記流体バランサは、当該流体バランサの内部空間を内周側空間と外周側空間とに区画する仕切りリブを有し、
前記仕切りリブは、前記外周側空間が前記柔軟剤投入部に対して外周側に位置するように、かつ前記流体バランサの全周において、前記内周側空間と前記外周側空間との間の水密性が確保されるように設けられ、
前記流体バランサの流体は、前記外周側空間に封入されることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記内周側空間には、複数の径方向リブが設けられ、
前記径方向リブは、前記流体バランサの内周面を形成する内周壁と、前記仕切りリブとを接続するように形成されることを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項2に記載の洗濯機において、
前記外周側空間には、複数の径方向リブが設けられ、
前記外周側空間に設けられる径方向リブは、前記流体バランサの外周面を形成する外周壁と、前記仕切りリブとを接続するように形成されることを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項3に記載の洗濯機において、
前記外周側空間に設けられる径方向リブの数は、前記内周側空間に設けられる径方向リブの数よりも多いことを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項4に記載の洗濯機において、
前記仕切りリブは、その半径が、前記流体バランサの全周において、同じ大きさに形成されることを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、本体内に配設された外槽と、外槽の内部に配設され、回転可能な内槽と、外槽および内槽を回転駆動するモータと、内槽の上部に設けられ、柔軟剤をすすぎ工程時に外槽内に流出させる柔軟剤自動流出装置を有するバランサと、を備えた洗濯機が記載されている(要約参照)。バランサ(流体バランサ)は、環状に構成され、中心側に柔軟剤自動流出装置が設けられている(段落0027及び
図2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の流体バランサのように、環状を成す流体バランサの中心側に柔軟剤自動流出装置が設けられる構成では、流体バランサの中で流体が移動する空間が柔軟剤自動流出装置により狭められ、流体の動きが妨げられることで、流体バランサとしての効果が低下する虞がある。
【0005】
本発明の目的は、流体の動きが妨げられることによる流体バランサとしての効果の低下を抑制することができる洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の洗濯機は、
洗濯物を収容する内槽と、前記内槽を内包する外槽と、環状を成して前記内槽の上端部に設けられ、中心側に柔軟剤投入部を有する流体バランサと、を備えた洗濯機において、
前記流体バランサは、当該流体バランサの内部空間を内周側空間と外周側空間とに区画する仕切りリブを有し、
前記仕切りリブは、前記外周側空間が前記柔軟剤投入部に対して外周側に位置するように、かつ前記流体バランサの全周において、前記内周側空間と前記外周側空間との間の水密性が確保されるように設けられ、
前記流体バランサの流体は、前記外周側空間に封入される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、体の動きが妨げられることによる流体バランサとしての効果の低下を抑制することができる洗濯機を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例に係る洗濯機を側方から見た断面図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る洗濯機に備えられる洗濯兼脱水槽を斜め上方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る流体バランサを斜め上方から見た斜視図である。
【
図4】
図3の流体バランサを構成する上側部材を下方から見た斜視図である。
【
図5】
図3の流体バランサを構成する下側部材を上方から見た平面図である。
【
図6】
図3の流体バランサのVI-VI断面図である。
【
図7】
図3の流体バランサのVII-VII断面図である。
【
図8】
図3の流体バランサのVIII-VIII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施例を説明する。
【0010】
図1を用いて、本発明に係る洗濯機の一実施例について説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る洗濯機100を側方から見た断面図である。
【0011】
1は外郭を構成する外枠である。2は外枠1の上部に取り付けられたトップカバーである。トップカバー2の中央部には洗濯物投入口2aが設けられている。3は洗濯物投入口2aを覆うようにトップカバー2に取り付けられた蓋である。トップカバー2の前部(洗濯物投入口2aよりも前側)には、表示器や各種操作ボタンスイッチを備えた操作パネル8が設けられている。操作パネル8は外枠1の底部に設けた制御装置14に電気的に接続されている。また、図示していない電源スイッチがトップカバー2の操作パネル8の近傍に配置されている。トップカバー2の後部(洗濯物投入口2aより後側)に、給水電磁弁4や洗剤投入容器28が設けられている。給水電磁弁4から外槽10内に給水される水は、給水口4aを通じて洗濯兼脱水槽9内に注がれる。
【0012】
9は衣類などの洗濯物を収容する洗濯兼脱水槽である。洗濯兼脱水槽9には、外周壁に通水のための多数の小さな貫通孔(小孔)9aが設けられており、底壁にも通水のための多数の小さな貫通孔(小孔)9bが設けられている。洗濯兼脱水槽9の上縁部には流体バランサ90が備えられ、流体バランサ90には柔軟剤投入部91が設けられている。柔軟剤投入部91については、後で詳細に説明する。
【0013】
10は洗濯兼脱水槽9を内包する外槽であり、洗い水やすすぎ水(以下、単に洗濯水という)を受ける水受け槽となる。外槽10は、4本の支持棒によって、外枠1の上端部の四隅から吊り下げられている。4本の支持棒の下端部には緩衝装置5が設けられており、緩衝装置5が外槽10側に設けられた係止部6に係止されている。なお、洗濯兼脱水槽9は外槽10の内側に配置されることから、内槽と呼ぶ場合もある。
【0014】
11は外槽10の内側底部に設けられる回転翼盤11である。回転翼盤11は回転可能に設置されている。
【0015】
外槽10の外側底部には、洗濯兼脱水槽9と回転翼盤11とを回転駆動するための電動機13と、回転翼盤11を単独で回転駆動する回転駆動モードと洗濯兼脱水槽9と回転翼盤11とを一体で回転駆動する回転駆動モードとを切り換える電磁クラッチ機構12とを有する洗濯脱水駆動装置が取り付けられている。洗濯脱水駆動装置には、さらに遊星歯車減速機構などが設けられる。
【0016】
回転翼盤11を単独で回転駆動する回転駆動モードは洗濯時(洗い及びすすぎ)に用いられる。この洗濯時の回転駆動モードでは、洗濯兼脱水槽9を静止させるように固定して回転翼盤11を回転駆動するモードと、洗濯兼脱水槽9を自由に回転できるように解放した状態(固定しない状態)で回転翼盤11を回転駆動するモードとがある。また、洗濯兼脱水槽9と回転翼盤11とを一体で回転駆動する回転駆動モードは脱水時に用いられる。
【0017】
21は水位センサであり、トップカバー2内に設けられている。外槽10の底部にエアトラップ21aが設けられており、エアトラップ21a内の圧力がチューブ21bを介して水位センサ21に伝えられ、水位センサ21で外槽10内の水位を検出する。水位センサ21は制御装置14と電気的に接続されており、水位センサ21で検出した水位は制御装置14に伝えられる。
【0018】
27は振動センサで、外槽10の側面外側に設置してあり、制御装置14に電気的に接続されている。振動センサ27は洗濯時や脱水時の外槽10の振動を検出し、大きな振動が検出された場合は制御装置14が運転を中断したり、振動を解消するために必要な運転を行ったりする。
【0019】
15は排水電磁弁である。排水電磁弁15が開かれると、外槽10内に溜まった洗濯水や脱水で洗濯物から絞り取った水が、外槽10内から外槽10の底部に設けられた排水口10c及び排水電磁弁15に接続された排水ホース24を通じて、排水される。
【0020】
回転翼盤11の周囲の洗濯兼脱水槽9の底部には、回転翼盤11の外周と洗濯兼脱水槽9の内周との間の隙間を狭めるためのリング状の下部円環9dが設けられている。下部円環9dは内周が円筒状になっており、下面は洗濯兼脱水槽9の底面と密着している。そして、回転翼盤11の外周部と下部円環9dとでラビリンスを形成し、回転翼盤11と下部円環9dとの隙間を洗濯水が流れ難くしている。下部円環9dには複数個所の切り欠き部9eが形成されており、この切り欠き部9eに洗濯水の循環水路カバー71,81が設けられる。
【0021】
循環水路カバー71,81は、水平面で切断すると断面形状が略C字形状に形成されている。すなわち、循環水路カバー71,81は、略周方向に沿い、洗濯兼脱水槽9の内周面から突出するように設けられた周方向壁面部と、周方向壁面部の周方向両端部から洗濯兼脱水槽9に向けて曲げられた曲げ部とを有しており、曲げ部が洗濯兼脱水槽9に突き当てられる。これにより、循環水路カバー71,81の裏面と洗濯兼脱水槽9との間に循環水路71a,81aが形成される。
【0022】
循環水路71a,81aの下端には、回転翼盤11の裏側に設けられた裏羽根11mの外周側端部と対向するように、入水口71b,81bが設けられている。また、循環水路71a,81aの上部には吐出口71c,81cが設けられ、吐出口71c,81cは洗濯水をバランサ90近傍から洗濯兼脱水槽9内に吐出するように構成されている。本実施例では、吐出口71c,81cを循環水路カバー71,81の上部に形成している。吐出口71c,81cは高さ位置を変えられるように構成されてもよい。また、吐出口71cには糸屑フィルタ72が着脱可能に取り付けられている。吐出口81cは洗濯兼脱水槽9内に向かい略水平方向に開口したスリット状に形成されている。
【0023】
回転翼盤11が回転すると、裏羽根11mが遠心ポンプとなり、回転翼盤11の底面中央付近の圧力が低下し、外槽10と洗濯兼脱水槽9との隙間9f(特に外槽10の底部)の洗濯水を洗濯兼脱水槽9の底面に設けた貫通孔9bから吸い込む。そして、裏羽根11mの遠心力で径方向外側に押し出された洗濯水は、入水口71b,81bから循環水路71a,81a内を上方に向かって流れる。このように、本実施例では、裏羽根11mを備えた回転翼盤11が遠心ポンプの羽根車となって、洗濯水を循環水路71a,81aの吐出口71c,81cまで揚水する。
【0024】
循環水路71aを上昇した洗濯水は、糸屑が糸屑フィルタ72で取り除かれ、洗濯兼脱水槽9内に入る。一方、循環水路81aを上昇した洗濯水は、スリット状の吐出口81cから洗濯兼脱水槽9の中央付近にシャワー状に散水される。これにより、洗濯水が洗濯物にむらなく散布され、洗浄効率を向上できる。洗濯兼脱水槽9内の洗濯水は、貫通孔9aを通り、外槽10と洗濯兼脱水槽9との隙間9fに流出する。
【0025】
図2乃至
図8を用いて、本発明に係る洗濯機100の一実施例(実施例1)について説明する。
図2は、本発明の一実施例に係る洗濯機100に備えられる洗濯兼脱水槽9を斜め上方から見た斜視図である。なお
図2では、洗濯兼脱水槽9の外周壁に設けられる、通水のための多数の貫通孔(小孔)9aの図示を省略している。
【0026】
洗濯兼脱水槽9の上端部には環状、或いは円環形状(以下、円環形状という)を成す流体バランサ90が設けられている。流体バランサ90は洗濯兼脱水槽9に固定され、洗濯時及び脱水時には、洗濯兼脱水槽9と一体で回転し、洗濯物の偏りによって洗濯兼脱水槽9に生じるアンバランスを低減する。
【0027】
図3は、本発明の一実施例に係る流体バランサ90を斜め上方から見た斜視図である。
流体バランサ90は、上側部材92と下側部材93とが溶着等により接合されて形成される。流体バランサ90には柔軟剤投入部91が設けられている。柔軟剤投入部91は、円環形状に形成された流体バランサ90の中心側に設けられる。流体バランサ90の上側部材92には柔軟剤を受ける凹部911が設けられており、柔軟剤は凹部911を通じて柔軟剤投入部91内に設けられた容器内に入れることができる。
【0028】
図4は、
図3の流体バランサ90を構成する上側部材92を下方から見た斜視図である。
上側部材92は、凹部911の底部(最下部)に開口部912を有する。柔軟剤は凹部911に設けられた開口部912を通じて柔軟剤投入部91内に設けられた容器内に入る。
【0029】
上側部材92は、内周面92aと外周面92bとの間に、仕切りリブ(上側仕切りリブ)921を有する。仕切りリブ921は、内周面92a及び外周面92bに沿って円環形状を成す。仕切りリブ921は、後述する下側部材93に設けられた仕切りリブ931(
図5参照)と共に、流体バランサ90の内部空間を内周側と外周側とに仕切ることにより、流体バランサ90の内部に内周側空間922と外周側空間923とを形成する。
【0030】
仕切りリブ921は、円周方向に沿って形成され、内周側空間922と外周側空間923とを区画する隔壁を構成する。仕切りリブ921は、内周側空間922と外周側空間923との間の水密性(水などの流体が漏れない状態や機能)を確保できるように、流体バランサ90の周方向の全体(全周)に亘って設けられる。
【0031】
内周側空間922には、周方向に離間して配置された複数のリブ924が設けられる。リブ924は、平板形状を成し、径方向に沿って設けられる。以下、リブ924は径方向リブと呼んで説明する。径方向リブ924は、内周面92aを形成する内周壁92a1と仕切りリブ921との間に、内周壁92a1と仕切りリブ921とを接続するように形成される。
【0032】
流体バランサ90は中空の部材であるため、通常、強化(強度向上)のためにFRPP等の繊維強化プラスチックを用いて形成される。径方向リブ924は補強リブとして機能し、流体バランサ90の強化に寄与する。
【0033】
外周側空間923には、流体バランサ90内に封入される流体が入れられる。外周側空間923には、周方向に離間して配置された複数のリブ925が設けられる。リブ925は、平板形状を成し、径方向に沿って設けられる。以下、リブ925は径方向リブと呼んで説明する。径方向リブ925は、外周面92bを形成する外周壁92b1と仕切りリブ921との間に、外周壁92b1と仕切りリブ921とを接続するように形成される。
【0034】
径方向リブ925は、外周側空間923を、周方向に複数の部屋に分割する。径方向リブ925には、流体が複数の部屋の間を移動できるように、流体通路となる開口部(切欠き)925aを有する。開口部925aは、遠心力を受けて外周側に移動した流体が移動できるように、径方向リブ925の外周側部分に設けられる。本実施例では、開口部925aは、径方向リブ925が外周壁92b1に接続される接続部に設けられている。また開口部925aは、上下方向において、径方向リブ925の下端部側の一部に設けられ、径方向リブ925の上端部側が外周壁92b1と仕切りリブ921との間を接続している。径方向リブ925は径方向リブ924と同様に補強リブとしても機能し、径方向リブ925の上端部側が外周壁92b1と仕切りリブ921との間を接続することにより、補強リブとしての機能を向上し、流体バランサ90の強化に寄与する。
【0035】
流体バランサ90における、上側部材92、柔軟剤投入部91、仕切りリブ921、径方向リブ924、及び径方向リブ925は、一体成型される。
【0036】
仕切りリブ921は、流体が封入される外周側空間923の径方向幅(寸法)を周方向において均一化し、流体の移動が円滑に行えるようにすることで、流体バランサ90の性能を向上することができる。
【0037】
図5は、
図3の流体バランサ90を構成する下側部材93を上方から見た平面図である。
【0038】
下側部材93は、内周面93aと外周面93bとの間に、仕切りリブ(上側仕切りリブ)931を有する。仕切りリブ931は、内周面93a及び外周面93bに沿って円環形状を成す。仕切りリブ931は、上述した上側部材92に設けられた仕切りリブ921(
図4参照)と共に、流体バランサ90の内部空間を内周側と外周側とに仕切ることにより、流体バランサ90の内部に内周側空間932と外周側空間933とを形成する。
【0039】
仕切りリブ931は、円周方向に沿って形成され、内周側空間932と外周側空間933とを区画する隔壁を構成する。仕切りリブ931は、内周側空間932と外周側空間933との間の水密性を確保できるように、流体バランサ90の周方向の全体(全周)に亘って設けられる。
【0040】
内周側空間932には、周方向に離間して配置された複数のリブ934が設けられる。リブ934は、平板形状を成し、径方向に沿って設けられる。以下、リブ934は径方向リブと呼んで説明する。径方向リブ934は、内周面93aを形成する内周壁93a1と仕切りリブ931との間に、内周壁93a1と仕切りリブ931とを接続するように形成される。
【0041】
流体バランサ90は中空の部材であるため、通常、強化(強度向上)のためにFRPP等の繊維強化プラスチックを用いて形成される。径方向リブ934は補強リブとして機能し、流体バランサ90の強化に寄与する。
【0042】
外周側空間933には、流体バランサ90内に封入される流体が入れられる。外周側空間933には、周方向に離間して配置された複数のリブ935が設けられる。リブ935は、平板形状を成し、径方向に沿って設けられる。以下、リブ935は径方向リブと呼んで説明する。径方向リブ935は、外周面93bを形成する外周壁93b1と仕切りリブ931との間に、外周壁93b1と仕切りリブ931とを接続するように形成される。
【0043】
径方向リブ935は、外周側空間933を、周方向に複数の部屋に分割する。径方向リブ935には、流体が複数の部屋の間を移動できるように、流体通路となる開口部(切欠き)935aを有する。開口部935aは、外周側空間933の内周側において流体が移動できるように、径方向リブ935の内周側部分に設けられる。本実施例では、開口部935aは、径方向リブ935が仕切りリブ931に接続される接続部に設けられている。また、開口部935aは、上下方向において、径方向リブ935の上端部側の一部に設けられ、径方向リブ935の下端部側が外周壁93b1と仕切りリブ931との間を接続している。径方向リブ935は径方向リブ934と同様に補強リブとしても機能し、径方向リブ935の下端部側が外周壁93b1と仕切りリブ931との間を接続することにより、補強リブとしての機能を向上し、流体バランサ90の強化に寄与する。
【0044】
流体バランサ90における、下側部材93、柔軟剤投入部91、仕切りリブ931、径方向リブ934、及び径方向リブ935は、一体成型される。
【0045】
仕切りリブ931は、流体が封入される外周側空間933の径方向幅(寸法)を周方向において均一化し、流体の移動が円滑に行えるようにすることで、流体バランサ90の性能を向上することができる。
【0046】
図4及び
図5において、仕切りリブ921と仕切りリブ931とは同径に設けられ、接合されることにより、内周側空間922,932は外周側空間923,933に対して水密性が保たれた状態で区画される。上側部材92の外周側空間923の径方向リブ925と、下側部材93の外周側空間933の径方向リブ935とは、周方向において同じ位置に配置されている。また。上側部材92の内周側空間922の径方向リブ924と、下側部材93の内周側空間932の径方向リブ934とは、周方向において同じ位置に配置されている。
【0047】
外周側空間923,933に設けられた径方向リブ925,935は、流体をアンバランス位置に留めることができるように、外周側空間933を周方向に細かく区分する必要がある。このため、径方向リブ925,935は、内周側空間922,932に設けられた径方向リブ924,934よりも多く、設けられている。
【0048】
図6は、
図3の流体バランサ90のVI-VI断面図である。
図7は、
図3の流体バランサ90のVII-VII断面図である。
図8は、
図3の流体バランサ90のVIII-VIII断面図である。
【0049】
図6乃至
図8に示すように、上側部材92と下側部材93とは接合部94で接合される。本実施例では、径方向リブ925の下縁925bは接合部94と同じ高さ位置にあり、径方向リブ935の上縁935bは接合部94よりも低い位置に設けられている。このため、径方向リブ925の下縁925bと径方向リブ935の上縁935bとの間に、流体の移動が可能となる隙間が形成されている。
【0050】
また、
図5に示すように、流体バランサ90の下側部材93は、細かな凹凸を除いて、外周面93bの半径R93bが全周において一定の大きさであり、仕切りリブ931の半径R93bも全周において一定の大きさである。そして、流体バランサ90の上側部材92も下側部材93と同様に構成される。このため、外周側空間923,933の径方向幅W90は全周で同じ大きさ(寸法)に形成されており、
図6乃至
図8に示すW90は同じ大きさ(寸法)である。
【0051】
本実施例の洗濯機100は、下記特徴を有する。
(1)洗濯物を収容する内槽9と、内槽9を内包する外槽10と、環状を成して内槽9の上端部に設けられ、中心側に柔軟剤投入部91を有する流体バランサ90と、を備えた洗濯機100において、
流体バランサ90は、当該流体バランサの内部空間を内周側空間922,932と外周側空間923,933とに区画する仕切りリブ921,931を有し、
仕切りリブ921,931は、外周側空間923,933が柔軟剤投入部91に対して外周側に位置するように、かつ流体バランサ90の全周において、内周側空間922,932と外周側空間923,933との間の水密性が確保されるように設けられ、
流体バランサ90の流体は、外周側空間923,933に封入される。
【0052】
(2)内周側空間922,932には、複数の径方向リブ924,934が設けられ、
径方向リブ924,934は、流体バランサ90の内周面92a,93aを形成する内周壁92a1,93a1と、仕切りリブ921,931とを接続するように形成される。
(3)外周側空間922,932には、複数の径方向リブ925,935が設けられ、
外周側空間922,932に設けられる径方向リブ925,935は、流体バランサ90の外周面92b,93bを形成する外周壁92b1,93b1と、仕切りリブ921,931とを接続するように形成される。
(4)外周側空間922,932に設けられる径方向リブ925,935の数は、内周側空間922,932に設けられる径方向リブ924,934の数よりも多い。
(5)仕切りリブ931は、その半径R931が、流体バランサ90の全周において、同じ大きさに形成される。
【0053】
本実施例の洗濯機100では、下記の効果が得られる。
(1)仕切りリブ921,931を設けたことにより、流体封入部の形状を周方向において一様な形状とすることができ、流体の動きを円滑にすることが出来る。これにより、流体バランサー90の性能を向上することができる。
(2)仕切りリブ921,931及び径方向リブ924,925,934,935により、流体バランサー90全体の強度向上が図れる。これにより、流体バランサー90の材料として繊維強化プラスチックを用いる必要がなくなり、安価な材料を用いて流体バランサー90を製造することが可能になる。その結果、流体バランサー90、さらには洗濯機の製造コストを低コスト化することができる。特に、内周側空間922,932に設けられる径方向リブ924,934は、補強を目的としたものであり、流体バランサー90のアンバランス修正という基本性能には関係しないため、必要な強度が得られる範囲内で数を調整することができる。その結果、本実施例では、内周側空間922,932に設けられる径方向リブ924,934の数は、外周側空間923,933に設けられる径方向リブ925,935の数よりも少なくすることができ、流体バランサー90を軽量化することができる。
【0054】
なお、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0055】
9…内槽、10…外槽、90…流体バランサ、91…柔軟剤投入部、92a1,93a1…流体バランサ90の内周面92a,93aを形成する内周壁、92b1,93b1…流体バランサ90の外周面92b,93bを形成する外周壁、100…洗濯機、921,931…仕切りリブ、922,932…内周側空間、923,933…外周側空間、924,934…内周側空間922,932に設けられる径方向リブ、925,935…外周側空間922,932に設けられる径方向リブ、R931…仕切りリブ931の半径。