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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129191
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】漏洩ガス排出システム
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/232 20060101AFI20240919BHJP
   F02C 7/22 20060101ALI20240919BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
F02C7/232 C
F02C7/22 B
F02C7/22 A
F01D25/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038225
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 健文
(72)【発明者】
【氏名】白岩 崇
(72)【発明者】
【氏名】桑鶴 一成
(72)【発明者】
【氏名】池田 怜
(72)【発明者】
【氏名】金箱 篤彦
(57)【要約】
【課題】エンクロージャによって囲まれる漏洩箇所からの漏洩ガスを、簡易な構成で効率的に外部に排出する。
【解決手段】漏洩ガス排出システムは、燃焼機器の燃料供給系統の少なくとも一部を取り囲むエンクロージャを備える。
エンクロージャには、内部のガスを外部に排出するための外部排出部が設けられる。また
エンクロージャによって囲まれた燃料供給系統の漏洩箇所から漏れ出した燃料ガスは、第1配管の一端にある取込口から取り込まれ、他端にある排出口から外部排出部に向けて排出される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを燃焼可能な燃焼機器に前記燃料ガスを供給するための燃料供給系統の少なくとも一部を取り囲むエンクロージャと、
前記エンクロージャの内部のガスを外部に排出するための外部排出部と、
前記エンクロージャによって囲まれた前記燃料供給系統の漏洩箇所から漏れ出した前記燃料ガスを取り込むための取込口を一端とし、前記外部排出部に向けて前記燃料ガスを排出するための排出口を他端とする第1配管と、
を備える、漏洩ガス排出システム。
【請求項2】
前記エンクロージャの内部に外部から空気を取り込むための空気取込口を一端とし、前記空気取込口から取り込んだ空気を前記第1配管の途中で前記燃料ガスと合流させるように前記第1配管に設けられた空気排出口を他端とする第2配管を更に備える、請求項1に記載の漏洩ガス排出システム。
【請求項3】
前記取込口は、前記漏洩箇所に接続、又は、前記漏洩箇所に対向するように設けられる、請求項1又は2に記載の漏洩ガス排出システム。
【請求項4】
前記漏洩箇所の少なくとも一部を取り囲む囲い部を更に備え、
前記取込口は前記囲い部に接続される、請求項3に記載の漏洩ガス排出システム。
【請求項5】
前記囲い部は、前記漏洩箇所の全体を囲む、請求項4に記載の漏洩ガス排出システム。
【請求項6】
前記外部排出部は、前記エンクロージャの上面に設けられる、請求項1又は2に記載の漏洩ガス排出システム。
【請求項7】
前記外部排出部は、前記エンクロージャの内部に負圧を印加可能である、請求項1又は2に記載の漏洩ガス排出システム。
【請求項8】
前記第1配管にファン装置が設けられる、請求項1又は2に記載の漏洩ガス排出システム。
【請求項9】
前記燃料ガスは、第1燃料と、前記第1燃料よりも分子サイズが小さい第2燃料とを含む、請求項1又は2に記載の漏洩ガス排出システム。
【請求項10】
前記第1燃料は液化天然ガスであり、
前記第2燃料は水素ガスである、請求項9に記載の漏洩ガス排出システム。
【請求項11】
前記漏洩箇所は、前記燃料供給系統に設けられた燃料弁である、請求項1又は2に記載の漏洩ガス排出システム。
【請求項12】
前記エンクロージャは、前記漏洩箇所とともに、前記燃焼機器を収容する、請求項1又は2に記載の漏洩ガス排出システム。
【請求項13】
前記燃焼機器はガスタービン又はボイラである、請求項1又は2に記載の漏洩ガス排出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、漏洩ガス排出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばガスタービンやボイラのように、燃料ガスを燃焼させることで動作する燃焼機器では、燃料供給系統によって、可燃性の燃料ガスの供給が行われる。この種の燃焼機器の燃料供給系統は、燃料ガスを取り扱う弁(燃料弁)や配管を含んで構成されており、それらの構成部材間や接続箇所のような隙間から、燃料ガスが漏洩するおそれがある。また燃料供給系統は少なくとも一部がエンクロージャ内に配置されることがあり、その内部は、燃焼機器の動作時には数百度もの高温に達することがある。この場合、エンクロージャ内で漏洩する燃料ガス(漏洩ガス)が着火源となるおそれがある。
【0003】
このようなエンクロージャ内における漏洩ガスの対策として、例えば特許文献1がある。この文献では、ガスタービンが内部に配置されたガスタービン区画(エンクロージャ)内において、換気入口ダクトから外部から換気空気を導入するとともに、ガスタービンから漏れた燃料ガスを当該喚起空気とともに排気空気として、換気排気ダクトから外部に排出可能な構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-172445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
燃焼機器に使用される燃料ガスは多岐にわたるが、環境問題に対する意識の高まりから、この種の燃焼機器においても、燃料として、クリーンなエネルギである天然ガスが利用されることがある。天然ガスは、ガス田等から原料天然ガスとして採掘され、液化・精製されることにより、液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)として用いられる。天然ガスのように比較的分子が大きな燃料ガスを取り扱う燃料供給系統では、比較的漏洩リスクが少ないため、通常リークオフ系統(漏洩箇所からリークする漏洩ガスを安全エリアへ放出する系統)は設置されないこともある。
【0006】
ところで近年、天然ガスのような主燃料ガスに対して、水素ガスのような他の燃料ガスを混合して燃焼する、いわゆる混焼運転可能な燃焼機器の開発が進められている。特に水素ガスは分子が小さいため漏洩リスクが高くなり、より高度な漏洩対策が求められる。このような漏洩対策として、燃料供給系統にリークオフ系統を追設することも考えられるが、漏洩箇所にリークオフ系統を追設するために改造する必要がありコストがかさんでしまう。
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態は上述の事情に鑑みなされたものであり、エンクロージャによって囲まれる漏洩箇所からの漏洩ガスを、簡易な構成で効率的に外部に排出可能な漏洩ガス排出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態に係る漏洩ガス排出システムは、上記課題を解決するために、
燃料ガスを燃焼可能な燃焼機器に前記燃料ガスを供給するための燃料供給系統の少なくとも一部を取り囲むエンクロージャと、
前記エンクロージャの内部のガスを外部に排出するための外部排出部と、
前記エンクロージャによって囲まれた前記燃料供給系統の漏洩箇所から漏れ出した前記燃料ガスを取り込むための取込口を一端とし、前記外部排出部に向けて前記燃料ガスを排出するための排出口を他端とする第1配管と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、エンクロージャによって囲まれる漏洩箇所からの漏洩ガスを、簡易な構成で効率的に外部に排出可能な漏洩ガス排出システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る漏洩ガス排出システムの構成を示す模式図である。
図2図1のエンクロージャ内において漏洩箇所を周辺構成とともに部分的に抽出して示す概略図である。
図3図2の第1変形例である。
図4図2の第2変形例である。
図5図2の第3変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0012】
図1は一実施形態に係る漏洩ガス排出システム1Aの構成を示す模式図である。少なくとも一実施形態に係る漏洩ガス排出システム1Aは、燃料ガスを燃焼可能な燃焼機器を適用対象とし、特に、燃焼機器に燃料ガスを供給するための燃料供給系統からの漏洩ガスを外部に排出するためのシステムである。図1では、燃焼機器の一例として、燃料ガスFを燃焼可能な燃焼器2を備えるガスタービン10が示される。
【0013】
ガスタービン10は、圧縮空気を生成するための圧縮機3、圧縮機3で生成された圧縮空気と燃料ガスFとを混合して燃焼することで燃焼ガスを生成するための燃焼器2、燃焼器2に燃料ガスFを供給するための燃料供給系統8、及び、燃焼ガスによって駆動可能なタービン6を備える。圧縮機3及びタービン6は、一軸に連結されている。このような構成を有するガスタービン10では、燃焼器2には、圧縮機3により圧縮された圧縮空気、及び、燃料供給系統8から供給される燃料ガスFが供給され、これらが混合燃焼されて、燃焼ガスが生成される。この燃焼ガスは、タービン6に流入し、タービン6を駆動するための動力として機能する。
【0014】
燃料供給系統8は、燃焼器2に対して燃料ガスFを供給するための構成である。図1では、燃料供給系統8の一部が簡略的に示されており、燃料ガス配管12、及び、燃料ガス配管12上に設けられた燃料弁14を備える。燃料ガス配管12は、内部に燃料ガスFが通過可能な空間を有する筒状部材であり、不図示の燃料ガスFの供給源から、燃料ガスFの供給先である燃焼器2に延びる。燃料弁14は、燃料ガス配管12を流れる燃料ガスFの流量を調整するための流量調整弁であってもよいし、燃料ガス配管12を流れる燃料ガスFを遮断するための遮断弁であってもよい。
【0015】
このような燃料供給系統8の少なくとも一部は、エンクロージャ16によって取り囲まれる。図1では、一例として、燃料供給系統8を構成する一部の燃料ガス配管12及び燃料弁14が、ガスタービン10とともにエンクロージャ16によって取り囲まれた構成が示されている。
【0016】
また燃料供給系統8では、燃料ガスFとして、一種類の燃料ガスが単体で取り扱われてもよいし、複数種類の燃料ガスが混合して取り扱われてもよい。このような燃料ガスFとして、例えば、液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)や水素ガスを取り扱うことができる。特に、燃料ガスFは第1燃料、及び、第1燃料より分子サイズが小さい第2燃料を含んでいてもよい。この場合、例えば第1燃料は液化天然ガスであり、第2燃料は水素ガスである。
【0017】
上記構成を有するガスタービン10では、燃料供給系統8に燃料ガスFが漏れ出す漏洩箇所17が少なからず存在する。図1では、漏洩箇所17の一例として、燃料弁14のグランド部15の近傍を示しているが、燃料供給系統8を構成する各部材(燃料ガス配管12や燃料弁14等)に存在する任意の隙間が漏洩箇所17になり得る。
尚、以下の説明では、漏洩箇所17から漏れ出る燃料ガスFを、適宜「漏洩ガスLG」と称する。
【0018】
ここで図2図1のエンクロージャ24内において漏洩箇所17を周辺構成とともに部分的に抽出して示す概略図である。この実施形態では、漏洩ガス排出システム1Aは、前述のエンクロージャ16に加えて、外部排出部18と、第1配管20とを有する。
【0019】
外部排出部18は、エンクロージャ16内の漏洩ガスLGを外部に排出するための構成である。外部排出部18の具体的構成は限定されないが、例えば、エンクロージャ16の内外を連通する連通穴のようなシンプルな構成を有してもよい。本実施形態では、外部排出部18は、このような連通穴に配置され、外部から供給される動力(例えば電力)によって駆動可能な負圧ファンを含んで構成される。この場合、負圧ファンが駆動することにより、エンクロージャ16の内部の漏洩ガスLGを連通穴を介して外部に排出することで、エンクロージャ16の内部に対して負圧を印加可能である。
【0020】
尚、前述の外部排出部18は、エンクロージャ16の上面に設けられる。これにより、空気より比重が軽い漏洩ガスLGを効率的に外部に排出できる。
【0021】
第1配管20は、漏洩箇所17から漏れ出た漏洩ガスLGを、外部排出部18に導くための構成である。本実施形態では、第1配管20は、漏洩箇所17から漏れ出した漏洩ガスLGを取り込むための取込口22を一端とし、外部排出部18に向けて漏洩ガスLGを排出するための排出口24を他端とする。
【0022】
エンクロージャ16内において、取込口22の近傍は、漏洩箇所17からの漏洩ガスLGによって、比較的圧力が高くなる。そのため取込口22と排出口24との間に生じる圧力差に基づいて、漏洩箇所17からの漏洩ガスLGは第1配管20を通って、効率的に外部排出部18に導かれる。そして外部排出部18に導かれた漏洩ガスLGは、外部排出部18から外部に排出される。
【0023】
本実施形態では、漏洩箇所17は囲い部26によって囲まれている。囲い部26は、漏洩箇所17の周囲を囲むことで、漏洩箇所17から漏れ出る漏洩ガスLGの周囲への拡散を防止する。この例では、漏洩箇所17に対して、略リング形状を有する囲い部26が設けられている。第1配管20の取込口22は囲い部26に接続されることで、漏洩箇所17から漏れ出る漏洩ガスLGは囲い部26によって周囲に拡散することが防止され、第1配管20の取込口22に好適に取り込むことができる。また囲い部26内は、漏洩箇所17から漏れ出る漏洩ガスLGによって圧力が高められるため、第1配管20の取込口22と排出口24との間の圧力差を好適に形成することができ、第1配管20による漏洩ガスLGの排出を効果的に促進できる。
【0024】
尚、取込口22は、漏洩箇所17に対して対向するように設けられていてもよい。この場合、取込口22は漏洩箇所17に対して接続されていないものの、排出口24との間の圧力差に基づいて、漏洩箇所17から漏れ出る漏洩ガスLGを取込口22から第1配管20に取り込むことができる。
【0025】
ガスタービン10では、燃料ガスFとして様々な種類のガスが取り扱われるが、特に、水素ガスのような分子サイズが小さい成分を含む場合、漏洩箇所30から漏洩ガスLGとして燃料ガスFの一部が漏れ出しやすくなる。上記構成を有する漏洩ガス排出システム1Aによれば、漏洩箇所17を囲むエンクロージャ16内の漏洩ガスLGを、第1配管20を介して外部排出部18に導くことで、効率的に外部に排出することができる。これにより、エンクロージャ16内に漏洩箇所17とともに動作時に高温になる燃焼機器(ガスタービン10)が収容される場合であっても、着火リスクを効果的に低減できる。
【0026】
図3図2の第1変形例である。第1変形例に係る漏洩ガス排出システム1Bは、前述の漏洩ガス排出システム1Aに比べて、第2配管30を更に備える。第2配管30は、エンクロージャ16の外部に位置する空気取込口32を一端とし、他端が第1配管20の途中に設けられた空気排出口34に接続されるように構成される。すなわち、第2配管30は、第1配管20の途中に接続されることにより、空気取込口32から取り込んだ外部からの空気を、第1配管20の途中で、第1配管20を流れる漏洩ガスLGと合流するように構成される。これにより、第1配管20を流れる漏洩ガスLGの外部排出部18に向かう流れを、第2配管30から供給される空気のドラフト効果によって促進できる。その結果、第1配管20による漏洩ガスLGの外部への排出をより効率的に行うことができる。
【0027】
図4図2の第2変形例である。第2変形例に係る漏洩ガス排出システム1Cは、前述の漏洩ガス排出システム1Aに比べて、第1配管20にファン装置36が追設されている。これにより、漏洩箇所17から漏れ出した漏洩ガスLGの第1配管20による外部排出部18に向けた排出を促進できる。特に、第1配管20の排出口24を、外部排出部18に向けることにより、第1配管20によって導かれた漏洩ガスLGを外部排出部18に効率的に導き、エンクロージャ16内の換気を好適に行うことができる。
【0028】
図5図2の第3変形例である。第3変形例に係る漏洩ガス排出システム1Dは、前述の漏洩ガス排出システム1Aに比べて、囲い部26が燃料弁14のグランド部15全体を覆うように設けられる。すなわち、囲い部26は、燃料弁14のグランド部15を周方向だけでなく垂直方向からも囲むように構成される。これにより、燃料弁14のグランド部15から漏れ出る漏洩ガスLGを周囲に拡散することをより確実に防止し、第1配管20を介して、外部排出部18から外部に排出することができる。
【0029】
以上説明したように上記各実施形態によれば、エンクロージャ16によって囲まれる漏洩箇所17からの漏洩ガスLGを、簡易な構成で効率的に外部に排出可能な漏洩ガス排出システムを提供できる。
【0030】
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0031】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0032】
(1)一態様に係る漏洩ガス排出システムは、
燃料ガスを燃焼可能な燃焼機器に前記燃料ガスを供給するための燃料供給系統の少なくとも一部を取り囲むエンクロージャと、
前記エンクロージャの内部のガスを外部に排出するための外部排出部と、
前記エンクロージャによって囲まれた前記燃料供給系統の漏洩箇所から漏れ出した前記燃料ガスを取り込むための取込口を一端とし、前記外部排出部に向けて前記燃料ガスを排出するための排出口を他端とする第1配管と、
を備える。
【0033】
上記(1)の態様によれば、エンクロージャ内において燃料供給系統の漏洩箇所から漏れ出した燃料ガスは、第1配管の一端に設けられた取込口から取り込まれ、第1配管を通って、第1配管の他端に設けられた排出口から、外部排出部に向けて排出される。第1配管の一端は、漏洩箇所から漏れ出した燃料ガスによって、他端に比べて圧力が高くなっている。そのため、第1配管の両端の圧力差に基づいて、漏洩箇所からの漏洩ガスは第1配管を通って、効率的に外部排出部に導かれ、外部に排出される。
【0034】
(2)他の態様では、上記(1)の態様において、
前記エンクロージャの内部に外部から空気を取り込むための空気取込口を一端とし、前記空気取込口から取り込んだ空気を前記第1配管の途中で前記燃料ガスと合流させるように前記第1配管に設けられた空気排出口を他端とする第2配管を更に備える。
【0035】
上記(2)の態様によれば、第2配管の一端に設けられた空気取込口から取り込まれた空気が、第2配管を通って、第2配管の他端から第1配管の途中に設けられた空気排出口に供給される。これにより、第1配管を流れる燃料ガスの外部排出部への流れを、空気排出口に第2配管から供給される空気のドラフト効果によって促進できる。その結果、第1配管による漏洩ガスの外部への排出をより効率的に行うことができる。
【0036】
(3)他の態様では、上記(1)又は(2)の態様において、
前記取込口は、前記漏洩箇所に接続、又は、前記漏洩箇所に対向するように設けられる。
【0037】
上記(3)の態様によれば、エンクロージャ内の漏洩箇所に対して、第1配管の取込口が接続、又は、対向するように配置される。これにより、漏洩箇所から漏れ出る燃料ガスを、第1配管に好適に取り込むことができる。
【0038】
(4)他の態様では、上記(3)の態様において、
前記漏洩箇所の少なくとも一部を取り囲む囲い部を更に備え、
前記取込口は前記囲い部に接続される。
【0039】
上記(4)の態様によれば、エンクロージャ内の漏洩箇所の少なくとも一部を囲む囲い部に対して、第1配管の取込口が接続される。これにより、漏洩箇所から漏れ出る燃料ガスは囲い部によって周囲に拡散することが防止され、第1配管の取込口に好適に取り込むことができる。また囲い部の内部は、漏洩箇所から漏れ出る燃料ガスによって圧力が高められるため、第1配管の取込口と排出口との間の圧力差を好適に形成することができ、第1配管による漏洩ガスの排出を効果的に促進できる。
【0040】
(5)他の態様では、上記(4)の態様において、
前記囲い部は、前記漏洩箇所の全体を囲む。
【0041】
上記(5)の態様によれば、漏洩箇所の全体を囲い部で囲むことによって、漏洩箇所から漏れ出る燃料ガスを、周囲に拡散することなく、より的確に外部に排出できる。
【0042】
(6)他の態様では、上記(1)から(5)のいずれか一態様において、
前記外部排出部は、前記エンクロージャの上面に設けられる。
【0043】
上記(6)の態様によれば、外部排出部がエンクロージャの上面に設けられることにより、空気より比重が軽い燃料ガスを効率的に外部に排出できる。
【0044】
(7)他の態様では、上記(1)から(6)のいずれか一態様において、
前記外部排出部は、前記エンクロージャの内部に負圧を印加可能である。
【0045】
上記(7)の態様によれば、外部排出部は、例えば、エンクロージャ内から外部に向けた気流を発生させることにより、エンクロージャ内に負圧を印加可能な構成として実現される。このような構成としては、例えば負圧ファン等がある。これにより、第1配管によって外部排出部に導かれた漏洩ガスを、エンクロージャ内から外部に向けて効率的に排出できる。
【0046】
(8)他の態様では、上記(1)から(7)のいずれか一態様において、
前記第1配管にファン装置が設けられる。
【0047】
上記(8)の態様によれば、第1配管にファン装置を設けることにより、第1配管による外部排出部に向けた漏洩ガスの排出を、より促進できる。
【0048】
(9)他の態様では、上記(1)から(8)のいずれか一態様において、
前記燃料ガスは、第1燃料と、前記第1燃料よりも分子サイズが小さい第2燃料とを含む。
【0049】
上記(9)の態様によれば、第1燃料に対して、分子サイズがより小さい第2燃料が混ぜられた混合燃料を取り扱う燃料供給系統の漏洩ガスを、エンクロージャから外部に好適に排出できる。
【0050】
(10)他の態様では、上記(9)の態様において、
前記第1燃料は液化天然ガスであり、
前記第2燃料は水素ガスである。
【0051】
上記(10)の態様によれば、天然ガス及び水素ガスを含む混合燃料を取り扱う燃料供給系統の漏洩ガスを、エンクロージャから外部に好適に排出できる。
【0052】
(11)他の態様では、上記(1)から(10)のいずれか一態様において、
前記漏洩箇所は、前記燃料供給系統に設けられた燃料弁である。
【0053】
上記(11)の態様によれば、燃料供給系統が備える燃料弁において、例えばグランド部のような漏洩箇所から漏れ出る燃料ガスを、外部に好適に排出できる。
【0054】
(12)他の態様では、上記(1)から(11)のいずれか一態様において、
前記エンクロージャは、前記漏洩箇所とともに、前記燃焼機器を収容する。
【0055】
上記(12)の態様によれば、燃料供給系統の漏洩箇所とともに燃焼機器がエンクロージャ内に収容される。これにより、燃焼機器の動作時にエンクロージャ内の雰囲気温度が高くなった場合においても、エンクロージャ内の漏洩ガスを外部に好適に排出することで、着火リスクを低く抑えることができる。
【0056】
(13)他の態様では、上記(1)から(12)のいずれか一態様において、
前記燃焼機器はガスタービン又はボイラである。
【0057】
上記(13)の態様によれば、エンクロージャ内において、ガスタービン又はボイラである燃焼機器の燃料供給系統から漏れ出る燃料ガスを、外部に好適に排出できる。
【符号の説明】
【0058】
1A~1D 漏洩ガス排出システム
2 燃焼器
3 圧縮機
6 タービン
8 燃料供給系統
10 ガスタービン
12 燃料ガス配管
14 燃料弁
15 グランド部
16 エンクロージャ
18 外部排出部
20 第1配管
22 取込口
24 排出口
26 囲い部
30 第2配管
32 空気取込口
34 空気排出口
36 ファン装置
図1
図2
図3
図4
図5