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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129202
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/64 20060101AFI20240919BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20240919BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
H04N5/64 521F
B60K35/00 A
G02B27/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038238
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 勇気
(72)【発明者】
【氏名】勝亦 康裕
(72)【発明者】
【氏名】山中 晶
(72)【発明者】
【氏名】佐野 裕史
(72)【発明者】
【氏名】高田 良秀
(72)【発明者】
【氏名】大澤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕
(72)【発明者】
【氏名】藤井 真
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 弘一
(72)【発明者】
【氏名】山口 修平
(72)【発明者】
【氏名】大久保 直
(72)【発明者】
【氏名】土手 良介
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
3D344AA12
3D344AB01
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】筐体を車両に取り付ける際の作業性を向上できる車両用表示装置を提供する。
【解決手段】車両用表示装置1は、開口部および第一壁部20を有し、開口部が車両上下方向Zの上側Z1を向き、かつ第一壁部が車両前後方向の後側を向く姿勢で車両に取り付けられる筐体2と、筐体に収容された画像表示装置11と、開口部を閉塞し、かつ画像表示装置の表示光を筐体の内部から外部へと透過させる透明なカバーと、を備え、第一壁部は、作業者の片方の手によって挟持される挟持部6を有し、挟持部は、第一壁部に沿う一つの方向に間隔をあけて配置された第一凹部61および第二凹部62を有し、第一凹部は、一つの方向に沿って第二凹部に向けて凹んでおり、第二凹部は、一つの方向に沿って第一凹部に向けて凹んでいる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部および第一壁部を有し、前記開口部が車両上下方向の上側を向き、かつ前記第一壁部が車両前後方向の後側を向く姿勢で車両に取り付けられる筐体と、
前記筐体に収容された画像表示装置と、
前記開口部を閉塞し、かつ前記画像表示装置の表示光を前記筐体の内部から外部へと透過させる透明なカバーと、
を備え、
前記第一壁部は、作業者の片方の手によって挟持される挟持部を有し、
前記挟持部は、前記第一壁部に沿う一つの方向に間隔をあけて配置された第一凹部および第二凹部を有し、
前記第一凹部は、前記一つの方向に沿って前記第二凹部に向けて凹んでおり、
前記第二凹部は、前記一つの方向に沿って前記第一凹部に向けて凹んでいる
ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記第一凹部および前記第二凹部の少なくとも一つは、円弧状に凹んでいる
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記第一凹部における車両前後方向の後側の縁に沿って延在し、前記第一凹部に対して前記第二凹部の側とは反対側に向けて突出した線状の第一リブと、
前記第二凹部における車両前後方向の後側の縁に沿って延在し、前記第二凹部に対して前記第一凹部の側とは反対側に向けて突出した線状の第二リブと、
を備える
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記一つの方向は、車幅方向に対して傾斜しており、
前記第一凹部の位置は、前記第二凹部の位置よりも前記筐体における車幅方向の中心側の位置であり、かつ前記第二凹部の位置よりも車両上下方向の下側の位置である
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記第一凹部の位置は、前記第二凹部の位置よりも前記筐体における車幅方向の中心側の位置であり、
前記筐体は、コネクタが嵌合する嵌合部を有し、
前記嵌合部は、前記第一凹部に対して前記第二凹部の側とは反対側に配置されている
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記車両に取り付けられた前記筐体は、インストルメントパネルによって車両上下方向の上側から覆われ、
前記筐体は、前記インストルメントパネルを下方から支持することが可能な平坦状の支持面を有する
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記筐体に収容される基板を有し、
前記筐体は、前記基板に接続される電線を支持するフック部を有する
請求項1に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用表示装置がある。特許文献1には、ハウジングと、ハウジング内部に設けられ、画像を含む光としての画像光を出射する画像光出射部と、ハウジング内部に設けられ、画像光を反射することで画像光をハウジング外部におけるユーザの前方視野内に虚像として表示させる鏡とを備えるヘッドアップディスプレイ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-174416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両用表示装置の筐体を車両に取り付ける際の作業性を向上できることが望ましい。例えば、作業者が片方の手で筐体を安定して把持することができれば、取り付け作業の作業性が向上する。
【0005】
本発明の目的は、筐体を車両に取り付ける際の作業性を向上できる車両用表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用表示装置は、開口部および第一壁部を有し、前記開口部が車両上下方向の上側を向き、かつ前記第一壁部が車両前後方向の後側を向く姿勢で前記車両に取り付けられる筐体と、前記筐体に収容された画像表示装置と、前記開口部を閉塞し、かつ前記画像表示装置の表示光を前記筐体の内部から外部へと透過させる透明なカバーと、を備え、前記第一壁部は、作業者の片方の手によって挟持される挟持部を有し、前記挟持部は、前記第一壁部に沿う一つの方向に間隔をあけて配置された第一凹部および第二凹部を有し、前記第一凹部は、前記一つの方向に沿って前記第二凹部に向けて凹んでおり、前記第二凹部は、前記一つの方向に沿って前記第一凹部に向けて凹んでいることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両用表示装置は、第一壁部が車両前後方向の後側を向く姿勢で車両に取り付けられる筐体を備える。第一壁部は、作業者の片方の手によって挟持される挟持部を有し、挟持部は、第一壁部に沿う一つの方向に間隔をあけて配置された第一凹部および第二凹部を有する。第一凹部は、上記一つの方向に沿って第二凹部に向けて凹んでおり、第二凹部は、上記一つの方向に沿って第一凹部に向けて凹んでいる。本発明に係る車両用表示装置によれば、筐体を車両に取り付ける際の作業性を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る車両用表示装置の斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る車両用表示装置の正面図である。
図3図3は、実施形態に係る車両用表示装置の斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る車両用表示装置の側面図である。
図5図5は、実施形態に係る車両用表示装置の断面図である。
図6図6は、実施形態に係る車両用表示装置の断面図である。
図7図7は、作業者によって挟持される挟持部の断面図である。
図8図8は、実施形態に係る車両用表示装置およびインストルメントパネルの断面図である。
図9図9は、実施形態に係るフック部の斜視図である。
図10図10は、フック部に仮置きされたワイヤハーネスを示す図である。
図11図11は、第一凹部および第一リブの変形例を示す図である。
図12図12は、第一凹部および第一リブの変形例を示す図である。
図13図13は、変形例に係る支持部を示す図である。
図14図14は、変形例に係る支持部を示す図である。
図15図15は、変形例に係る支持部を示す図である。
図16図16は、変形例に係るフック部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る車両用表示装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から図10を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、車両用表示装置に関する。図1は、実施形態に係る車両用表示装置の斜視図、図2は、実施形態に係る車両用表示装置の正面図、図3は、実施形態に係る車両用表示装置の斜視図、図4は、実施形態に係る車両用表示装置の側面図、図5および図6は、実施形態に係る車両用表示装置の断面図、図7は、作業者によって挟持される挟持部の断面図、図8は、実施形態に係る車両用表示装置およびインストルメントパネルの断面図、図9は、実施形態に係るフック部の斜視図、図10は、フック部に仮置きされたワイヤハーネスを示す図である。図6には、図5のVI-VI断面が示されている。
【0011】
図1から図4に示すように、本実施形態の車両用表示装置1は、筐体2と、画像表示装置11と、透明なカバー12と、基板13と、バックライトユニット14と、を有する。車両用表示装置1は、自動車等の車両100に搭載される。車両用表示装置1は、所謂ヘッドアップディスプレイ装置であり、ウインドシールド110等の反射部に対して表示光Ltを投影する。表示光Ltは、ウインドシールド110等の反射部によって車両100のドライバに向けて反射される。ドライバは、ウインドシールド110等によって反射された表示光により虚像を視認する。
【0012】
筐体2は、アッパケース3、ロアケース4、およびロアカバー5を有する。アッパケース3、ロアケース4、およびロアカバー5は、例えば、絶縁性の合成樹脂で成型される。アッパケース3およびロアケース4は、画像表示装置11やミラー等の構成部品を収容するケース本体を構成する。ロアケース4は、有底の角筒状の部材であり、アッパケース3と係合する開口部を有する。ロアケース4は、車両100の車体に対して固定される固定部45を有している。ロアケース4は、開口部を車両上下方向Zの上側Z1に向けて車両100に固定される。
【0013】
図2に示すように、ロアケース4は、画像表示装置11を保持して収容する。画像表示装置11は、例えば、TFT-LCD(Thin Film Transistor-Liquid Crystal Display)等の液晶表示装置である。画像表示装置11の背面側には、バックライトユニット14が配置される。ロアケース4には、バックライトユニット14を覆うヒートシンク15が取り付けられる。
【0014】
アッパケース3は、ロアケース4と係合してロアケース4の開口部を覆う。アッパケース3の形状は、車両上下方向Zに沿った角筒形状である。アッパケース3は、画像の表示光Ltを通過させる開口部31を有する。図3に示すように、筐体2は、開口部31を車両上下方向Zの上側Z1に向けて車両100に取り付けられる。開口部31は、車両100の斜め前方を向くように傾斜している。
【0015】
ロアカバー5は、基板13を保持してロアケース4に取り付けられる。図3に示すように、ロアカバー5は、基板13を下方から覆う保持部51を有する。保持部51は、基板13と画像表示装置11とを接続する電線を下方から覆い、電線を保護する。保持部51には、コネクタが嵌合される嵌合部52が設けられている。図1に示すように、嵌合部52は、コネクタが挿入可能な角筒形状を有している。
【0016】
カバー12は、画像の表示光Ltを透過させる透明な部材である。カバー12は、例えば、ポリカーボネート等の透明な樹脂で成型される。図3に示すように、カバー12は、アッパケース3の開口部31を覆って開口部31を閉塞するようにアッパケース3に固定される。画像表示装置11およびバックライトユニット14によって生成される表示光Ltは、ミラーによって開口部31に向けて反射される。表示光Ltは、カバー12を透過してウインドシールド110等に投影される。
【0017】
図1および図2に示すように、筐体2は、作業者によって挟持される挟持部6を有する。より詳しくは、挟持部6は、筐体2が車両100の車体に固定されるときに、作業者によって挟持され、把持される。挟持部6は、作業者の片方の手によって挟持されるように構成されている。挟持部6は、筐体2の第一壁部20に設けられている。
【0018】
第一壁部20は、筐体2が有する角筒状の側壁の一つである。筐体2は、第一壁部20が車両前後方向Xの後側を向く姿勢で車両100に取り付けられる。車両前後方向Xの後側から見た場合の第一壁部20の形状は、略矩形である。筐体2が車両100に取り付けられた状態で、第一壁部20の長手方向は車幅方向Yである。また、第一壁部20の短手方向は車両上下方向Zである。第一壁部20の一部は、アッパケース3が有する壁部30であり、他の一部は、ロアケース4が有する壁部40である。
【0019】
挟持部6は、第一凹部61、第二凹部62、第一リブ63、および第二リブ64を有する。第一凹部61および第一リブ63は、ロアケース4の壁部40に配置されている。第二凹部62および第二リブ64は、アッパケース3の壁部30に配置されている。
【0020】
図2に示すように、第一凹部61および第二凹部62は、仮想線L1の方向に間隔をあけて配置される。仮想線L1は、第一壁部20に沿った直線である。仮想線L1は、車両前後方向Xと交差しており、例えば、車両前後方向Xと直交する。例示された仮想線L1は、車幅方向Yおよび車両上下方向Zの両方に対して傾斜している。第一凹部61の位置は、第二凹部62の位置よりも筐体2における車幅方向Yの中心側の位置である。つまり、第二凹部62は、第一凹部61に対して相対的に車幅方向Yの端部側に位置している。また、第一凹部61の位置は、第二凹部62の位置よりも車両上下方向Zの下側Z2の位置である。
【0021】
図5は、車両前後方向Xと直交する断面における筐体2の断面図である。図1および図5に示すように、第一凹部61は、仮想線L1に沿って第二凹部62に向けて凹んでいる。図5に示す断面における第一凹部61の断面形状は、第二凹部62に向けて凸の屈曲形状である。第一凹部61は、交差する二つの辺によって構成されている。二つの辺が交差する屈曲部の内角は、鈍角である。
【0022】
図3および図5に示すように、第二凹部62は、仮想線L1に沿って第一凹部61に向けて凹んでいる。図5に示すように、第二凹部62は、湾曲部62aを有する。湾曲部62aは、第二凹部62の中央部に配置されている。湾曲部62aの形状は、第一凹部61に向けて凸の湾曲形状である。湾曲部62aの形状は、円弧形状であってもよい。第二凹部62の両端部は、湾曲部62aの両端から接線方向に沿って直線状に延在している。
【0023】
図1に示すように、第一リブ63は、第一凹部61に隣接して設けられた線状のリブである。図6に示すように、第一リブ63は、第一凹部61に対して車両前後方向Xの後側X2に配置されている。つまり、車両前後方向Xの後側X2から見た場合、第一リブ63は、第一凹部61の手前に配置されている。第一リブ63は、第一凹部61における後側X2の縁に沿って延在している。第一リブ63は、第一凹部61に対して第二凹部62の側とは反対側に向けて突出している。第一リブ63は、作業者の指が第一凹部61を把持する場合に滑り止めとして機能する。
【0024】
図3に示すように、第二リブ64は、第二凹部62に隣接して設けられた線状のリブである。図6に示すように、第二リブ64は、第二凹部62に対して車両前後方向Xの後側X2に配置されている。つまり、車両前後方向Xの後側X2から見た場合、第二リブ64は、第二凹部62の手前に配置されている。第二リブ64は、第二凹部62における後側X2の縁に沿って延在している。第二リブ64は、第二凹部62に対して第一凹部61の側とは反対側に向けて突出している。第二リブ64は、作業者の指が第二凹部62を把持する場合に滑り止めとして機能する。
【0025】
作業者は、車両100に対して筐体2を取り付ける場合に、後側X2から筐体2の挟持部6を挟持する。本実施形態の筐体2は、例えば、作業者の右手によって持たれる。この場合、作業者は、図7に示すように、右手の指210を第一凹部61に押し当て、右手の他の指220を第二凹部62に押し当てる。指210は、親指であってもよい。他の指220は、人差し指または中指であってもよく、人差し指および中指の両方であってもよく、その他の指であってもよい。
【0026】
指210は、第一凹部61に対して第二凹部62へ向かう力F1を加える。指220は、第二凹部62に対して第一凹部61へ向かう力F2を加える。作業者は、挟持部6を挟持する力F1,F2によって筐体2を安定して保持することができる。第一凹部61は、指210の位置が安定しやすいように凹んでおり、第二凹部62は、指220の位置が安定しやすいように凹んでいる。作業者が挟持部6を挟持するときに、第一リブ63は、指210の滑り止めとして機能し、第二リブ64は、指220の滑り止めとして機能する。
【0027】
本実施形態では、第一凹部61および第二凹部62が車幅方向Yに対して傾斜した方向に並んでいる。また、第一凹部61が第二凹部62よりも下側Z2に配置されている。このような配置により、作業者が筐体2を水平な姿勢で保持しやすい。作業者は、片方の手で筐体2を安定的に保持しながら、他の片方の手で各種の作業を行なうことができる。よって、本実施形態の車両用表示装置1は、筐体2を車両100に対して組み付ける作業の作業性を向上させることができる。
【0028】
また、本実施形態の筐体2は、車両100のインストルメントパネル120を一時的に支持することが可能な支持部32を有する。支持部32は、図3に示すように、車両上下方向Zの上側Z1を向く支持面32aを有する。支持面32aは、平坦状の面である。本実施形態の支持部32は、アッパケース3の一部であって、ロアケース4に対して上側Z1に隆起している。支持部32は、支持部32の周辺部に対して上側Z1に隆起している。支持部32は、例えば、開口部31に隣接して配置される。
【0029】
例示された支持面32aには、パッド33が配置されている。パッド33は、シート状の弾性部材である。パッド33は、ゴムで形成されてもよい。図8に示すように、筐体2は、インストルメントパネル120によって上側Z1から覆われる。車両100に対するインストルメントパネル120の取り付けは、筐体2が車両100に対して固定された後に実行される。インストルメントパネル120は、筐体2を覆うようにして、筐体2の上側に仮置きされる。仮置きされたインストルメントパネル120は、矢印AR1で示すように下側Z2に向けて撓み変形することがある。
【0030】
支持部32の支持面32aは、下側Z2に向けて撓んだインストルメントパネル120を支持できるように配置されている。パッド33は、インストルメントパネル120が支持部32に接触するときに支持面32aを保護することができる。また、パッド33は、インストルメントパネル120の滑り止めとして機能する。支持部32は、インストルメントパネル120が支持部32とは異なる箇所に接触してしまうことによる車両用表示装置1の破損を未然に抑制することができる。
【0031】
また、本実施形態の筐体2は、電線を一時的に保持するフック部41を有する。図1に示すように、フック部41は、ロアケース4の壁部42に配置されている。壁部42は、車幅方向Yにおいて第一壁部20と隣接している。より詳しくは、壁部42は、第一壁部20に対して第二凹部62の側とは反対側に配置されている。壁部42は、車幅方向Yに対して傾斜している。壁部42の傾斜方向は、車幅方向Yに沿って挟持部6から遠ざかるに従って車両前後方向Xの前側X1へ向かう方向である。つまり、車両前後方向Xの後側X2から筐体2を見た場合に、壁部42は第一壁部20よりも奥側に位置している。壁部42が傾斜していることにより、筐体2には、前側X1に向けてV字形状に凹んだ凹部47が形成されている。フック部41は、この凹部47に配置される。これにより、フック部41と周辺の部材との干渉が発生しにくい。
【0032】
図9に示すように、フック部41は、基部43および先端部44を有する。基部43は、筐体2の壁部42から突出している。基部43の突出方向は、壁部42と直交する方向である。先端部44は、基部43の先端から上側Z1に向けて突出している。先端部44は、筐体2の壁部42と対向する。先端部44と壁部42との間には、電線を通す通路46が形成される。先端部44は、基部43に載置された電線を側方から支持する。例示された先端部44は、車幅方向Yに延在しており、テーパ状の通路46を形成する。例示された通路46は、車両前後方向Xの後側X2へ向かうに従って通路幅が狭くなっている。このような通路46を有するフック部41は、通路46における後側X2の端部によってコネクタを係止することができる。
【0033】
図10には、フック部41によって支持されたワイヤハーネス70が示されている。ワイヤハーネス70は、第一コネクタ71と、第二コネクタ72と、電線73と、を有する。電線73は、車両用表示装置1と外部機器とを接続する電線であり、例えば、信号線である。第一コネクタ71は、電線73の一端に接続されており、第二コネクタ72は、電線73の他端に接続されている。第一コネクタ71は、ロアカバー5の嵌合部52に嵌合され、基板13に接続される。
【0034】
図1に示すように、嵌合部52は、筐体2における第一の側Y1に配置されており、挟持部6は第二の側Y2に配置されている。第一の側Y1および第二の側Y2は、車両前後方向Xの後側X2から見た場合の左側および右側である。このような配置により、作業者は、右手で挟持部6を挟持しながら左手で第一コネクタ71を嵌合部52に挿入することができる。本実施形態の嵌合部52は、第一の側Y1に向けて開口している。よって、作業者は、第一コネクタ71を嵌合部52に容易に嵌合させることができる。
【0035】
第二コネクタ72は、外部機器に接続される。外部機器は、インストルメントパネル120に収容される機器であり、例えば、メータ装置である。第二コネクタ72は、筐体2が車両100に取り付けられた後に外部機器に接続される。図10に示すように、電線73は、フック部41によって支持される。電線73は、フック部41に巻き付けられてもよい。電線73における第二コネクタ72の側の端部がフック部41に引っ掛けられてもよく、第二コネクタ72がフック部41に載置されてもよい。フック部41は、電線73や第二コネクタ72を筐体2に沿わせた状態でワイヤハーネス70を保持する。よって、車両100に対する筐体2の取り付け作業の作業性が向上する。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の車両用表示装置1は、筐体2と、画像表示装置11と、透明なカバー12と、を有する。筐体2は、開口部31および第一壁部20を有する。筐体2は、開口部31が車両上下方向Zの上側Z1を向き、かつ第一壁部20が車両前後方向Xの後側X2を向く姿勢で車両100に取り付けられる。画像表示装置11は、筐体2に収容される。カバー12は、開口部31を閉塞し、かつ画像表示装置11の表示光Ltを筐体2の内部から外部へと透過させる。
【0037】
第一壁部20は、作業者の片方の手によって挟持される挟持部6を有する。挟持部6は、第一壁部20に沿う一つの方向に間隔をあけて配置された第一凹部61および第二凹部62を有する。第一凹部61は、この一つの方向に沿って第二凹部62に向けて凹んでいる。第二凹部62は、この一つの方向に沿って第一凹部61に向けて凹んでいる。本実施形態の車両用表示装置1において、筐体2は、片方の手によって挟持される挟持部6を有する。筐体2が片方の手によって容易に把持可能であることから、筐体2を車両100に取り付ける際の作業性が向上する。
【0038】
第一凹部61および第二凹部62の少なくとも一つの凹部は、円弧状に凹んでいてもよい。例えば、本実施形態の第二凹部62は、円弧状に凹んでいる。よって、作業者の指220が第二凹部62を押圧するときに指220の位置が安定する。
【0039】
本実施形態の筐体2は、第一リブ63および第二リブ64を有する。第一リブ63は、第一凹部61における車両前後方向Xの後側X2の縁に沿って延在し、第一凹部61に対して第二凹部62の側とは反対側に向けて突出した線状のリブである。第二リブ64は、第二凹部62における車両前後方向Xの後側X2の縁に沿って延在し、第二凹部62に対して第一凹部61の側とは反対側に向けて突出した線状のリブである。第一リブ63および第二リブ64は、作業者の指に対する滑り止めとして機能する。第一リブ63および第二リブ64には、作業者の指の腹や指の関節が押し当てられる。
【0040】
本実施形態の上記一つの方向は、仮想線L1の方向であって、車幅方向Yに対して傾斜している。第一凹部61の位置は、第二凹部62の位置よりも筐体2における車幅方向Yの中心側の位置であり、かつ第二凹部62の位置よりも車両上下方向Zの下側Z2の位置である。このような配置により、作業者の親指が第一凹部61に当てられ、他の指が第二凹部62に当てられる場合に作業者が筐体2を保持しやすくする。
【0041】
本実施形態の車両用表示装置1において、第一凹部61の位置は、第二凹部62の位置よりも筐体2における車幅方向Yの中心側の位置である。筐体2は、コネクタが嵌合する嵌合部52を有する。嵌合部52は、第一凹部61に対して第二凹部62の側とは反対側に配置されている。このような配置により、作業者が片方の手で挟持部6を挟持しながら他方の手でコネクタを嵌合部52に嵌合させる作業が容易となる。
【0042】
図4等に示すように、車両100に取り付けられた筐体2は、インストルメントパネル120によって車両上下方向Zの上側Z1から覆われる。筐体2は、インストルメントパネル120を下方から支持することが可能な平坦上の支持面32aを有する。支持面32aは、インストルメントパネル120が仮置きされる場合にインストルメントパネル120を支持できる。よって、支持面32aは、インストルメントパネル120が支持面32aとは異なる箇所と干渉してしまうことを抑制できる。支持面32aが設けられることにより、インストルメントパネル120に対して筐体2を保護するためのカバー部材等が不要となる。よって、車両用表示装置1の小型化、車両100への搭載スペースの縮小、および部品点数の削減が可能となる。
【0043】
本実施形態の車両用表示装置1は、筐体2に収容される基板13を有する。筐体2は、基板13に接続される電線73を支持するフック部41を有する。電線73がフック部41によって支持されることで、筐体2を車両100に対して取り付ける際の作業性が向上する。
【0044】
挟持部6における二つの凹部61,62の並び方向は、本実施形態で例示された仮想線L1の方向には限定されない。例えば、二つの凹部61,62は、車幅方向Yに並べて配置されてもよい。
【0045】
なお、筐体2における挟持部6の配置は、本実施形態の配置には限定されない。例えば、車両前後方向Xの後側X2から見た場合に、挟持部6が筐体2における中央部は左側の部分に配置されてもよい。この場合に、図2に例示された挟持部6がそのまま筐体2の中央部や左側部分に配置されてもよい。あるいは、図2に例示された挟持部6が左右反転されてもよい。
【0046】
[実施形態の変形例]
図11から図16を参照して、実施形態の変形例について説明する。図11および図12は、第一凹部および第一リブの変形例を示す図、図13から図15は、変形例に係る支持部を示す図、図16は、変形例に係るフック部を示す図である。
【0047】
挟持部6の形状および配置は、実施形態で例示された形状および配置には限定されない。例えば、第一凹部61および第一リブ63の形状は、湾曲形状であってもよい。図11には、車両前後方向Xの後側X2から見た第一凹部61および第一リブ63が示されている。図12は、車両上下方向Zの下側Z2から見た第一凹部61および第一リブ63の斜視図である。図11および図12に示すように、第一凹部61は、湾曲形状を有する湾曲面である。
【0048】
第一リブ63は、第一凹部61に対して後側X2に配置されており、かつ第一凹部61に隣接している。第一リブ63の先端面は、第一凹部61に対応した湾曲形状を有している。第一凹部61および第一リブ63の湾曲形状は、円弧形状であってもよい。湾曲形状を有する第一凹部61および第一リブ63は、大きな接触面積で指210と接触し、作業者が筐体2を保持しやすくすることができる。
【0049】
図13に示す筐体2は、複数の支持部32を有する。複数の支持部32は、第一支持部321および第二支持部322を含む。第一支持部321および第二支持部322は、何れも透明なカバー12に対して車両前後方向Xの後側X2に配置されている。第一支持部321および第二支持部322は、車幅方向Yに間隔をあけて配置されている。第一支持部321および第二支持部322は、二つの支持部32の間の部分34に対して車両上下方向Zの上側Z1に隆起している。このように隆起した支持部32は、支持部32とは異なる部分へのインストルメントパネル120の接触を抑制することができる。また、支持部32は、インストルメントパネル120の撓み変形を最小限に抑制し、車両100に対するインストルメントパネル120の取り付け作業の作業性を向上させる。
【0050】
図14に示すように、第一支持部321の支持面32aには、パッド33が配置されてもよい。図15に示すように、第二支持部322の支持面32aには、パッド33が配置されてもよい。
【0051】
図16に示すフック部41は、上記実施形態のフック部41と同様に、ロアケース4の壁部42から突出しており、基部43および先端部44を有する。図16に示す基部43は、上記実施形態の基部43と同様に、壁部42から突出している。変形例の先端部44は、壁部42と平行である。つまり、先端部44と壁部42との間の通路幅は、一定である。先端部44の形状は、ワイヤハーネス70がフック部41に仮置きされる場合の態様に応じて適宜設定される。
【0052】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0053】
1:車両用表示装置
2:筐体、 3:アッパケース、 4:ロアケース、 5:ロアカバー
6:挟持部
11:画像表示装置、 12:カバー、 13:基板、 14:バックライトユニット
15:ヒートシンク
20:第一壁部
30:壁部(第一壁部)、 31:開口部、 32:支持部、 32a:支持面
33:パッド、 34:間の部分
40:壁部(第一壁部)、 41:フック部、 42:壁部
43:基部、 44:先端部、 45:固定部、 46:通路
51:保持部、 52:嵌合部
61:第一凹部、 62:第二凹部、 63:第一リブ、 64:第二リブ
100:車両、 110:ウインドシールド、 120:インストルメントパネル
210,220:作業者の指
F1,F2:力
L1:仮想線、 Lt:表示光
X:車両前後方向、 X1:前側、 X2:後側
Y:車幅方向、 Z:車両上下方向、 Z1:上側、 Z2:下側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16