(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129213
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】障害物検知装置、障害物検知方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 15/86 20200101AFI20240919BHJP
G01S 15/87 20060101ALI20240919BHJP
G01S 15/931 20200101ALI20240919BHJP
【FI】
G01S15/86
G01S15/87
G01S15/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038265
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高畑 敦志
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA02
5J083AB13
5J083AD04
5J083AE01
5J083AE08
5J083AF06
5J083AG05
5J083CA01
5J083CA02
(57)【要約】
【課題】障害物検知装置および方法において、障害物の検知精度の向上を図る。
【解決手段】超音波を送信し、超音波の反射波を受信し、超音波の送受信方向に交差する方向に間隔を空けて車両に配置される複数の測距センサと、車両に配置されて複数の測距センサによる検知領域に対応する画像を取得可能なカメラと、複数の測距センサが受信した反射波とカメラが取得した画像に基づいて前記車両の周囲の障害物を検知する制御回路と、を備え、制御回路は、複数の測距センサのうちの一つの測距センサが超音波を送信してから反射波を受信するまでの所定期間に、その他の測距センサによる検知領域に対して、カメラが取得した画像に基づいて障害物を検知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送信し、超音波の反射波を受信し、前記超音波の送受信方向に交差する方向に間隔を空けて車両に配置される複数の測距センサと、
前記車両に配置されて前記複数の測距センサによる検知領域に対応する画像を取得可能なカメラと、
前記複数の測距センサが受信した反射波と前記カメラが取得した画像に基づいて前記車両の周囲の障害物を検知する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記複数の測距センサのうちの一つの測距センサが超音波を送信してから反射波を受信するまでの所定期間に、その他の測距センサによる検知領域に対して、前記カメラが取得した画像に基づいて障害物を検知する、
障害物検知装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記カメラが取得した画像を認識した後にその他の測距センサによる検知領域に対して障害物を検知する、
請求項1に記載の障害物検知装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記カメラが取得した画像に基づいて障害物を検知した場合、前記測距センサによる障害物検知の感度を大きくする、
請求項1または請求項2に記載の障害物検知装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記カメラが取得した画像のうち、前記車両の周囲で前記複数の測距センサの検知死角となる死角領域の画像に基づいて障害物を検知する、
請求項1に記載の障害物検知装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記複数の測距センサのうち、反射波を受信しなかった測距センサによる検知領域に対して、前記カメラが取得した画像に基づいて障害物を検知する、
請求項1に記載の障害物検知装置。
【請求項6】
前記複数の測距センサと前記カメラとが前記車両の後部に設置され、
前記制御回路が、前記車両の後部に他の車両が接続されていると判断した場合、前記カメラが取得した画像のうち、前記車両の周囲で前記複数の測距センサの検知死角となる死角領域の画像に基づいた障害物の検知を停止する、
請求項1に記載の障害物検知装置。
【請求項7】
超音波を送信し、超音波の反射波を受信し、前記超音波の送受信方向に交差する方向に間隔を空けて車両に配置される複数の測距センサと、
前記車両に配置されて前記複数の測距センサによる検知領域に対応する画像を取得可能なカメラと、
を備える障害物検知装置による障害物検知方法において、
前記複数の測距センサのうちの一つの測距センサが超音波を送信し、
前記一つの測距センサが反射波を受信し、
前記一つの測距センサが超音波を送信してから反射波を受信するまでの所定期間に、その他の測距センサによる検知領域に対して、前記カメラが取得した画像に基づいて障害物を検知する、
を有する障害物検知方法。
【請求項8】
超音波を送信し、超音波の反射波を受信し、前記超音波の送受信方向に交差する方向に間隔を空けて車両に配置される複数の測距センサと、
前記車両に配置されて前記複数の測距センサによる検知領域に対応する画像を取得可能なカメラと、
を備える障害物検知装置に、
前記複数の測距センサのうちの一つの測距センサが超音波を送信し、
前記一つの測距センサが反射波を受信し、
前記複数の測距センサのうちの一つの測距センサが超音波を送信するステップと、
前記一つの測距センサが反射波を受信するステップと、
前記一つの測距センサが超音波を送信してから反射波を受信するまでの所定期間に、その他の測距センサによる検知領域に対して、前記カメラが取得した画像に基づいて障害物を検知するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、障害物検知装置、障害物検知方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
障害物検知装置は、車両に搭載される。障害物検知装置は、先行車両、障害物、または歩行者などの物体を検知する。障害物検知装置は、測距センサを有する。障害物検知装置は、測距センサによる物体検知結果に基づいて、車両の走行安全性を向上させるための各種制御、例えば、自動ブレーキの作動や、運転者への報知等を行う技術が知られている。
【0003】
既存の技術による障害物検知装置として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載された技術は、車両から送信した探査波の反射波を受信して物体までの距離を計測する超音波センサと、車両の周囲を撮像する車載カメラとを備え、物体に対して車両が近づいている状況下にあるとき、物体に対する車両の位置に応じて、超音波センサ検知感度を異ならせるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存の技術による障害物検知装置は、超音波センサと車載カメラとを備える。しかし、例えば、超音波センサは、探査波を送信した後、送信した探査波の反射波を受信するまでの間、物体を検知する方法は開示されていない。
【0006】
本開示の非限定的な実施例は、障害物の検知精度の向上を図る障害物検知装置、障害物検知方法およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の障害物検知装置は、超音波を送信し、超音波の反射波を受信し、前記超音波の送受信方向に交差する方向に間隔を空けて車両に配置される複数の測距センサと、前記車両に配置されて前記複数の測距センサによる検知領域に対応する画像を取得可能なカメラと、前記複数の測距センサが受信した反射波と前記カメラが取得した画像に基づいて前記車両の周囲の障害物を検知する制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記複数の測距センサのうちの一つの測距センサが超音波を送信してから反射波を受信するまでの所定期間に、その他の測距センサによる検知領域に対して、前記カメラが取得した画像に基づいて障害物を検知する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の障害物検知装置、障害物検知方法およびプログラムによれば、障害物の検知精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態の障害物検知装置が搭載された車両を表す平面図である。
【
図2】
図2は、障害物検知装置によるカメラとソナーによる検知処理の流れを表すタイムチャートである。
【
図3】
図3は、障害物検知方法を表すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第2実施形態の障害物検知装置が搭載された車両を表す平面図である。
【
図5】
図5は、障害物検知装置によるカメラとソナーの作動を表すタイムチャートである。
【
図6】
図6は、障害物検知装置の制御系統を表すブロック構成図である。
【
図7】
図7は、障害物検知装置の制御系統の変形例を表すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0011】
[第1実施形態]
<障害物検知装置>
図1に示すように、障害物検知装置10は、車両100に搭載される。障害物検知装置10は、複数のソナー(測距センサ)11,12,13,14と、カメラ15と、制御回路16とを有する。
【0012】
ソナー11,12,13,14は、車両100の後端部101に車幅方向に間隔を空けて配置される。但し、ソナー11,12,13,14は、車両100の後端部101以外にも、前端部102や左右の側部103,104に設けられていてもよい。また、第1実施形態では、4個のソナー11,12,13,14を設けたが、4個に限定されるものではなく、2個以上設けられていればよい。
【0013】
ソナー11,12,13,14は、送信部と受信部を有する。なお、送信部と受信部は、1つのマイクで構成してもよいし、2つ以上のマイクで送信部と受信部とを分離して構成してもよい。送信部は、超音波を送信する。受信部は、送信部が送信した超音波の反射波を受信する。ソナー11,12,13,14は、車両100の後端部101から後方に向けて超音波を送信し、超音波が物体に衝突して反射した反射波を受信する。ここで、物体や障害物は、他の車両、障害物、歩行者などであり、車両100が走行するのに障害とならないもの、例えば、路面の凹凸などは障害物に含まれない。
【0014】
ソナー11,12,13,14は、それぞれ検知領域A1,A2,A3,A4が設定される。検知領域A1,A2,A3,A4は、送信部による超音波の送信領域であり、受信部の受信領域でもある。検知領域A1,A2,A3,A4は、楕円形状をなし、一部の領域が重複する。例えば、ソナー11,12,13,14は、検知領域A1,A2,A3,A4における一部の領域が重複するように、超音波の送受信方向に交差する方向、例えば、車幅方向に間隔を空けて車両100の後端部101に配置される。
【0015】
カメラ15は、車両100の後端部101における車幅方向に中央部に配置される。但し、カメラ15は、車両100の後端部101以外にも、前端部102や左右の側部103,104に設けられていてもよい。また、カメラ15は、車両100の後端部101に車幅方向に間隔を空けて複数設けられていてもよい。
【0016】
カメラ15は、撮像装置であり、車両100の後方の画像を取得する。カメラ15は、撮像領域A5が設定される。撮像領域A5は、半円形状をなす。カメラ15は、複数のソナー11,12,13,14による検知領域A1,A2,A3,A4に対応する撮像領域A5の画像を取得する。この場合、ソナー11,12,13,14による検知領域A1,A2,A3,A4と、カメラ15による撮像領域A5とは、ほぼ重複するが、一部が重複しない。カメラ15による撮像領域A5は、車両100の後端部101に近い領域であり、ソナー11,12,13,14による検知領域A1,A2,A3,A4は、車両100の後端部101から若干遠い領域である。
【0017】
制御回路16は、車両100に配置される。制御回路16は、ソナー制御回路21と、カメラ制御回路22と、メイン制御回路23とを有する。第1実施形態では、制御回路16として、ソナー制御回路21とカメラ制御回路22とメイン制御回路23を設けたが、これは、それぞれの機能をわかりやすく説明するためのものであり、ソナー制御回路21とカメラ制御回路22を1つの制御回路としてもよく、ソナー制御回路21とカメラ制御回路22とメイン制御回路23を1つの制御回路としてもよい。
【0018】
制御回路16は、ソナー11,12,13,14の検知結果と、カメラ15が取得した画像に基づいて車両の後方の障害物を検知する。この場合、車両100の後端部101以外にも、車両100の前端部102や左右の側部103,104にソナーとカメラが配置されていれば、制御回路16は、ソナーの検知結果とカメラが取得した画像に基づいて車両100の全周囲の障害物を検知することができる。
【0019】
ソナー制御回路21は、ソナー11,12,13,14が接続される。ソナー11,12,13,14は、送信部が超音波を送信し、車両100の周囲の物体から反射した反射波を受信する。ソナー11,12,13,14は、ソナー制御回路21は、ソナー11,12,13,14の送信部に対して超音波を送信するタイミングを出力する。ソナー制御回路21は、ソナー11,12,13,14が車両100の周囲の物体から反射した反射波を受信した信号が入力される。ソナー制御回路21は、超音波を送信してから反射波を受信するまでの時間を計測することで、車両100の周囲の物体を検知すると共に、検知した物体までの距離を算出する。
【0020】
カメラ制御回路22は、カメラ15が接続される。カメラ15は、車両100の後方の画像を取得する。カメラ制御回路22は、カメラ15が取得した画像データが入力される。カメラ15からカメラ制御回路22に入力する画像データは、動画または静止画である。カメラ制御回路22は、カメラ15から入力した画像データを画像処理することで、物体を認識する。カメラ制御回路22は、ISP(イメージシグナルプロセッサ)機能を有する。
【0021】
メイン制御回路23は、ソナー制御回路21とカメラ制御回路22に接続される。メイン制御回路23は、ソナー制御回路21からソナー11,12,13,14の検知領域A1,A2,A3,A4における物体の検知結果が入力される。メイン制御回路23は、カメラ制御回路22からカメラ15の撮像領域A5における画像処理後の画像データが入力される。メイン制御回路23は、検知領域A1,A2,A3,A4における物体の検知結果と、撮像領域A5における画像データに基づいて車両100の後方の障害物を検知する。
【0022】
また、メイン制御回路23は、ソナー11,12,13,14のうちの一つのソナーの送信部が超音波を送信してから受信部が反射波を受信するまでの所定期間に、その他のソナーによる検知領域に対して、カメラ15が取得した画像に基づいて障害物を検知する。この場合、メイン制御回路23は、カメラ15が取得した画像を認識した後に、一つのソナーによる検知領域に対して障害物を検知する。また、メイン制御回路23は、カメラ15が取得した画像に基づいて障害物を検知すると、ソナー制御回路21に対してソナー11,12,13,14による障害物検知の感度を大きくする。
【0023】
<カメラとソナーによる検知処理方法>
図1および
図2に示すように、ソナー11,12,13,14は、検知領域A1,A2,A3,A4が一部重複することから、ソナー12、ソナー11、ソナー14、ソナー13の順に超音波の送受信を行う。一方、カメラ15は、常時作動し、撮像領域A5の画像を取得する。
【0024】
ソナー11,12,13,14とカメラ15を用いた障害物検知の検知時間は、4個のソナー11,12,13,14に対応した第1検知時間、第2検知時間、第3検知時間、第4検知時間に分割される。ソナー12は、第1検知時間に超音波を送信し、ソナー11は、第2検知時間に超音波を送信し、ソナー14は、第3検知時間に超音波を送信し、ソナー13は、第4検知時間に超音波を送信する。また、カメラ15は、第1検知時間、第2検知時間、第3検知時間、第4検知時間の全てで、画像を取得する。
【0025】
まず、第1検知時間にて、ソナー12が超音波を送信し、ソナー11,12が反射波を受信し、ソナー制御回路21に出力する。また、第1検知時間にて、ソナー12が超音波を送信する時期にカメラ15が第1画像を取得し、ソナー11,12が反射波を受信する時期にカメラ15が第2画像を取得し、カメラ制御回路22に出力する。次に、第2検知時間にて、ソナー11が超音波を送信し、ソナー11,12が反射波を受信し、ソナー制御回路21に出力する。また、第2検知時間にて、ソナー11が超音波を送信する時期にカメラ15が第3画像を取得し、ソナー11,12が反射波を受信する時期にカメラ15が第4画像を取得し、カメラ制御回路22に出力する。
【0026】
カメラ制御回路22は、第1検知時間の後半にて、第1画像を画像処理して物体を画像認識し、第2検知時間の前半にて、第2画像を画像処理して物体を画像認識する。また、カメラ制御回路22は、第2検知時間の後半にて、第3画像を画像処理して物体を画像認識し、第3検知時間の前半にて、第4画像を画像処理して物体を画像認識する。
【0027】
同様に、第3検知時間にて、ソナー14が超音波を送信し、ソナー13,14が反射波を受信し、ソナー制御回路21に出力する。また、第3検知時間にて、ソナー14が超音波を送信する時期にカメラ15が第5画像を取得し、ソナー11,12が反射波を受信する時期にカメラ15が第6画像を取得し、カメラ制御回路22に出力する。そして、第4検知時間にて、ソナー13が超音波を送信し、ソナー13,14が反射波を受信し、ソナー制御回路21に出力する。また、第4検知時間にて、ソナー13が超音波を送信する時期にカメラ15が第7画像を取得し、ソナー13,14が反射波を受信する時期にカメラ15が第8画像を取得し、カメラ制御回路22に出力する。
【0028】
カメラ制御回路22は、第3検知時間の後半にて、第5画像を画像処理して物体を画像認識し、第4検知時間の前半にて、第6画像を画像処理して物体を画像認識する。また、カメラ制御回路22は、第4検知時間の後半にて、第7画像を画像処理して物体を画像認識し、次の第1検知時間の前半にて、第8画像を画像処理して物体を画像認識する。
【0029】
メイン制御回路23は、第1検知時間と第2検知時間と第3検知時間と第4検知時間から構成される検知時間にて、ソナー制御回路21から入力される検知領域A1,A2,A3,A4における物体の検知結果と、カメラ制御回路22から入力される撮像領域A5における画像データに基づいて車両100の後方の障害物を検知する。
【0030】
このとき、ソナー12の送信部が超音波を送信してから受信部が反射波を受信するまでの第1検知時間と、ソナー11の送信部が超音波を送信してから受信部が反射波を受信するまでの第2検知時間では、検知領域A1,A2における物体の検知を行うことができる。しかし、第1検知時間と第2検知時間では、ソナー13,14が作動していないことから、検知領域A3,A4における物体の検知を行うことが困難である。
【0031】
そこで、ソナー13,14が作動していない第1検知時間と第2検知時間では、カメラ15が取得した画像に基づいて検知領域A3,A4における物体の検知を行う。例えば、第1検知時間と第2検知時間では、カメラ15が取得してカメラ制御回路22が画像認識した第1画像と第2画像と第3画像に基づいて検知領域A3,A4における物体の検知を行う。
【0032】
同様に、ソナー11,12が作動していない第3検知時間と第4検知時間では、カメラ15が取得した画像に基づいて検知領域A1,A2における物体の検知を行う。例えば、第3検知時間と第4検知時間では、カメラ15が取得してカメラ制御回路22が画像認識した第4画像と第5画像と第6画像と第7画像に基づいて検知領域A1,A2における物体の検知を行う。
【0033】
また、メイン制御回路23は、第1検知時間と第2検知時間にて、カメラ15が取得した第1画像と第2画像と第3画像に基づいて検知領域A3,A4で障害物を検知すると、ソナー制御回路21に対して第3検知時間と第4検知時間で作動させるソナー13,14による障害物検知の感度を大きくする。
【0034】
なお、上述の説明では、ソナー11,12,13,14のうちのいずれかが作動していない検知時間にて、カメラ15が取得してカメラ制御回路22が画像認識した時間遅れの画像を用いて物体の検知を行ったが、画像の時間遅れ周期は、カメラ15やカメラ制御回路22の性能に応じて適宜設定すればよい。また、ソナー11,12,13,14が作動していない検知時間で、カメラ15が取得した画像に基づいて物体の検知を行うとき、カメラ制御回路22は、歪み補正処理を行わずに処理時間を短縮させることが好ましい。
【0035】
<障害物検知方法>
図1および
図3に示すように、ソナー11,12,13,14の作動およびソナー制御回路21の処理にて、ステップS11にて、ソナー12が送信し、ステップS12にて、ソナー11,12が受信する。ステップS13にて、ソナー11が送信し、ステップS14にて、ソナー11,12が受信する。ステップS15にて、ソナー13,14の感度を調整する。続いて、ステップS16にて、ソナー14が送信し、ステップS17にて、ソナー13,14が受信する。ステップS18にて、ソナー13が送信し、ステップS19にて、ソナー13,14が受信する。ステップS20にて、ソナー11,12の感度を調整する。
【0036】
カメラ15の作動およびカメラ制御回路22の処理にて、ステップS31にて、第1画像を取得した後に第1画像の認識処理をする。ステップS32にて、第2画像を取得した後に第2画像の認識処理をする。ステップS33にて、第3画像を取得した後に第3画像の認識処理をする。ステップS34にて、第4画像を取得した後に第4画像の認識処理をする。ステップS35にて、第5画像を取得した後に第5画像の認識処理をする。ステップS36にて、第6画像を取得した後に第6画像の認識処理をする。ステップS37にて、第7画像を取得した後に第7画像の認識処理をする。ステップS38にて、第8画像を取得した後に第8画像の認識処理をする。
【0037】
ステップS41にて、メイン制御回路23は、ソナー制御回路21から入力される検知領域A1,A2,A3,A4における物体の検知結果と、カメラ制御回路22から入力される撮像領域A5における画像データに基づいて車両100の後方の障害物を検知する。このとき、メイン制御回路23は、ソナー11,12,13,14のうちの一つのソナーの送信部が超音波を送信してから受信部が反射波を受信するまでの所定期間に、その他のソナーによる検知領域に対して、カメラ15が取得した画像に基づいて障害物を検知する。
【0038】
また、メイン制御回路23は、カメラ15が取得した第1画像と第2画像と第3画像に基づいて検知領域A3,A4で障害物を検知すると、ソナー制御回路21に対して第3検知時間と第4検知時間で作動させるソナー13,14による障害物検知の感度を大きくする。
【0039】
[第2実施形態]
図4に示すように、障害物検知装置10Aは、車両100に搭載される。障害物検知装置10は、複数のソナー11,12,13,14と、カメラ15と、制御回路16Aとを有する。制御回路16Aは、ソナー制御回路21と、カメラ制御回路22と、メイン制御回路23Aとを有する。
【0040】
メイン制御回路23は、カメラ15が取得した画像のうち、車両100の周囲で複数のソナー11,12,13,14の検知死角となる死角領域A6の画像に基づいて障害物を検知する。なお、死角領域A6とは、ソナー11,12,13,14の検知領域A1,A2,A3,A4の外側の領域をであってもよいし、検知領域A1,A2,A3,A4の内側の領域で、車両に取り付け部品(例えば、トレーラーヒッチ)がある場合に、ソナー11,12,13,14の検知対象外とした領域であってもよい。また、検知領域A1,A2,A3,A4の内側の領域で、車両に取り付け部品(例えば、車両の後部に設置されたトレーラーヒッチ)がある場合に、制御回路16Aは、ある一定期間は、ソナー検知は行わないとしても良い。例えば、制御回路16Aは、トレーラーヒッチにトレーラを接続されていると、車両の他の制御回路より入力があった場合、制御回路16Aは、ソナー検知を行わない制御を行ってもよい。
【0041】
ソナー11,12,13,14は、検知領域A1,A2,A3,A4が設定され、検知領域A1,A2,A3,A4における一部の領域が重複する。カメラ15は、撮像領域A5が設定される。ソナー11,12,13,14による検知領域A1,A2,A3,A4と、カメラ15による撮像領域A5とは、ほぼ重複するが、一部が重複しない。カメラ15による撮像領域A5は、車両100の後端部101に近い領域であり、ソナー11,12,13,14による検知領域A1,A2,A3,A4は、車両100の後端部101から若干遠い領域である。そのため、複数のソナー11,12,13,14は、車両100の後端部101に近い領域に死角領域A6が発生する。
【0042】
そのため、車両100の後端部101の近傍で、複数のソナー11,12,13,14が検知することが困難である死角領域A6に対して、メイン制御回路23は、カメラ15が取得してカメラ制御回路22が画像認識した画像に基づいて障害物を検知する。
【0043】
なお、複数のソナー11,12,13,14は、車両100の後端部101に露出して配置されることから、表面に異物が付着して超音波の送信や反射波の受信が困難になるおそれがある。そのため、ソナー制御回路21は、ソナー11,12,13,14から反射波を受信した信号が入力しないとき、反射波を受信しなかった複数のソナー11,12,13,14の検知領域A1,A2,A3,A4に対して、カメラ15が取得してカメラ制御回路22が画像認識した画像に基づいて障害物を検知する。
【0044】
図5に示すように、メイン制御回路23は、第1検知時間に対して、カメラ制御回路22が画像認識した第1画像に基づいて障害物を検知する。メイン制御回路23は、第2検知時間に対して、カメラ制御回路22が画像認識した第2画像に基づいて障害物を検知する。同様に、メイン制御回路23は、第3検知時間に対して、カメラ制御回路22が画像認識した第4画像、第5画像に基づいて障害物を検知する。メイン制御回路23は、第4検知時間に対して、カメラ制御回路22が画像認識した第6画像、第7画像に基づいて障害物を検知する。
【0045】
[制御系統]
図6に示すように、制御回路16は、ソナー制御回路21と、カメラ制御回路22と、メイン制御回路23とを有する。ソナー制御回路21は、電源部21aと、インチ―フェース(IF)21bとを有する。ソナー制御回路21は、インチ―フェース21bにソナー11,12,13,14と、ソナー11A,12A,13A,14Aと、ソナー11B,12B,13B,14Bとが接続される。ソナー11,12,13,14は、前方ソナーであり、ソナー11A,12A,13A,14Aは、後方ソナーであり、ソナー11B,12B,13B,14Bは、側方ソナーである。
【0046】
カメラ制御回路22は、電源部22aと、画像処理部22bと、メモリ22cと、インチ―フェース(IF)22dとを有する。画像処理部22bは、ISP(イメージシグナルプロセッサ)を含む。カメラ制御回路22は、インチ―フェース22dにカメラ15,15A,15B,15Cが接続される。カメラ15は、後方カメラ、カメラ15Aは、前方カメラ、カメラ15B,15Cは、左右の側方カメラである。
【0047】
メイン制御回路23は、電源部23aと、制御回路23bと、外部インチ―フェース(IF)23cとを有する。制御回路23bは、MPU(Micro Processing Unit)を有するSOC(System on Chip)により構成される。但し、ソナー制御回路21とカメラ制御回路22の一部の機能を統合し、画像処理部22bをSOCとし、制御回路23bは、MPUとしてもよい。
【0048】
[制御系統の変形例]
図7に示すように、制御回路16は、ソナー制御回路21と、カメラ制御回路22とを有し、ソナー制御回路21は、ソナー11,12,13,14が接続され、カメラ制御回路22は、カメラ15が接続される。また、ソナー制御回路21は、カメラ15が接続される。ここで、制御回路23bは、SOCにより構成され、カメラ制御回路22は、MCU(Micro Controller Unit)により構成され、ソナー制御回路21は、MCUにより構成される。但し、ソナー制御回路21は、簡易画像処理用のMCUを有する。そのため、ソナー制御回路21は、例えば、ソナー11,12,13,14の一部が故障したとき、カメラ15が取得した画像に基づいて故障したソナーの検知領域の物体を検知する。
【0049】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る障害物検知装置は、超音波を送信し、超音波の反射波を受信し、超音波の送受信方向に交差する方向に間隔を空けて車両100に配置される複数のソナー(測距センサ)11,12,13,14と、車両100に配置されて複数のソナー11.12,13,14による検知領域A1,A2,A3,A4に対応する画像を取得可能なカメラ15と、複数の測距センサが受信した反射波とカメラ15が取得した画像に基づいて車両100の周囲の障害物を検知する制御回路16,16Aとを備え、制御回路16,16Aは、複数のソナー11.12,13,14のうちの一つのソナーが超音波を送信してから反射波を受信するまでの所定期間に、その他のソナーによる検知領域に対して、カメラ15が取得した画像に基づいて障害物を検知する。
【0050】
第1の態様に係る障害物検知装置によれば、例えば、ソナー11.12が超音波を送信してから反射波を受信するまでの所定期間は、ソナー13,14が超音波を送信していないことから、この所定期間に、ソナー13,14の検知領域A3,A4に対して、カメラ15が取得した画像に基づいて障害物を検知する。そのため、常時、複数のソナー11.12,13,14による検知領域A1,A2,A3,A4に対して障害物を検知することができ、障害物の検知精度の向上を図ることができる。
【0051】
第2の態様に係る障害物検知装置は、カメラ15が取得した画像を認識した後にその他のソナー11,12,13,14による検知領域に対して障害物を検知する。そのため、カメラ15が取得した画像による障害物の検知精度の向上を図ることができる。
【0052】
第3の態様に係る障害物検知装置は、カメラ15が取得した画像に基づいて障害物を検知した場合、ソナー11,12,13,14による障害物検知の感度を大きくする。そのため、ソナー11,12,13,14による障害物検知の精度を向上することができる。
【0053】
第4の態様に係る障害物検知装置は、カメラ15が取得した画像のうち、車両100の周囲で複数のソナー11,12,13,14の検知死角となる死角領域A6の画像に基づいて障害物を検知する。そのため、ソナー11,12,13,14の死角領域A6に対してカメラ15が取得した画像に基づいて障害物を検知するため、車両100の近傍における障害物を適切に検知することができる。
【0054】
第5の態様に係る障害物検知装置は、複数のソナー11,12,13,14のうち、反射波を受信しなかったソナー11,12,13,14による検知領域に対して、カメラ15が取得した画像に基づいて障害物を検知する。そのため、ソナー11,12,13,14のうちの一部に故障などが発生した場合であっても、検知領域A1,A2,A3,A4に対して障害物を適切に検知することができる。
【0055】
第6の態様に係る障害物検知装置は、複数のソナー11,12,13,14とカメラ15とが車両100の後部に設置され、制御回路16,16Aが、車両100の後部に他の車両が接続されていると判断した場合、カメラ15が取得した画像のうち、車両100の周囲で複数のソナー11,12,13,14の検知死角となる死角領域の画像に基づいた障害物の検知を停止する。そのため、ソナー11,12,13,14による障害物検知の精度を向上することができる。
【0056】
なお、上述した実施形態では、4個のソナー11,12,13,14に対して、ソナー11,12とソナー13,14とをそれぞれユニットとして、ソナー11,12とソナー13,14の一方のユニットが作動していないときは、他方のユニットの検知領域A1,A2,A3,A4に対してカメラ15が取得した画像を用いて障害物を検知するように構成した。但し、この構成に限定されるものではない。例えば、4個のソナー11,12,13,14のうちの一つのソナー11が作動しているとき、残り3つのソナー12,13,14の検知領域A2,A3,A4に対してカメラ15が取得した画像を用いて障害物を検知するように構成してもよい。
【0057】
また、上述した実施の形態における「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・アッセンブリ」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0058】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0059】
以上、本開示の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0060】
10,10A 障害物検知装置
11,12,13,14 ソナー
15 カメラ
16,16A 制御回路
21 ソナー制御回路
22 カメラ制御回路
23,23A メイン制御回路
100 車両
A1,A2,A3,A4 検知領域
A5 撮像領域
A6 死角領域