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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129214
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】光ファイバ接続構造
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/32 20060101AFI20240919BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
G02B6/32
G02B6/02 461
G02B6/02 421
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038268
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】漆畑 卓朗
(72)【発明者】
【氏名】相葉 孝充
(72)【発明者】
【氏名】若林 知敬
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲也
【テーマコード(参考)】
2H137
2H250
【Fターム(参考)】
2H137AB01
2H137BA08
2H137BA12
2H137BA13
2H137BA18
2H137BA19
2H137BA21
2H137BA22
2H137BC08
2H137BC12
2H137BC71
2H137CA15A
2H137CA77
2H137CA78
2H137CC11
2H137EA02
2H137HA01
2H250AB02
2H250AC02
2H250AC04
2H250AC05
2H250AC06
2H250AC19
2H250AC24
2H250AC25
2H250AC64
2H250AC83
2H250AC94
2H250AC95
(57)【要約】
【課題】フレネル反射を低減させつつ、コアごとに結合損失のバラツキが生じてしまうことを抑制することが可能な光ファイバ接続構造を提供する。
【解決手段】光ファイバユニット2,3の端面213,223,313,323は、中心軸A1,A2が底点2131,2231,3131,3231または頂点2133,2233,3133,3233となる形状をしている。この端面213,223,313,323は、中心軸A1,A2に関して複数回の回転対称性を有している。また、端面213,223,313,323に存在する複数の光通過領域2132,2232,3132,3232は、中心軸A1,A2に直交する平面P1,P2と端面2a,3aとの交線L1,L2上に位置している。そして、第1の光ファイバユニット2と第2の光ファイバユニット3とがレンズ4を介して光結合されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1コアが配置された第1の光ファイバユニットと、
複数の第2コアが前記複数の第1コアのそれぞれに対応するように配置された第2の光ファイバユニットと、
を備え、
前記第1の光ファイバユニットの第1端面は、前記第1の光ファイバユニットの第1中心軸が第1底点となる凹状または前記第1中心軸が第1頂点となる凸状に形成されており、
前記第1端面は、前記第1コアの本数がn本の場合に、前記第1中心軸に関してn回の回転対称性を有する形状をしており、
前記第1端面には、複数の第1光通過領域となる部位が前記複数の第1コアのそれぞれに対応するように存在しており、
前記複数の第1光通過領域は、前記第1底点または前記第1頂点から前記第1中心軸方向に所定距離だけ離れた位置において前記第1中心軸に直交する第1平面と前記第1端面との第1交線上に位置しており、
前記第2の光ファイバユニットの第2端面は、前記第2の光ファイバユニットの第2中心軸が第2底点となる凹状または前記第2中心軸が第2頂点となる凸状に形成されており、
前記第2端面は、前記第2コアの本数がn本の場合に、前記第2中心軸に関してn回の回転対称性を有する形状をしており、
前記第2端面には、複数の第2光通過領域となる部位が前記複数の第2コアのそれぞれに対応するように存在しており、
前記複数の第2光通過領域は、前記第2底点または前記第2頂点から前記第2中心軸方向に所定距離だけ離れた位置において前記第2中心軸に直交する第2平面と前記第2端面との第2交線上に位置しており、
前記第1の光ファイバユニットと前記第2の光ファイバユニットとがレンズを介して光結合されている、
光ファイバ接続構造。
【請求項2】
前記複数の第1コアが、前記第1中心軸を中心とする1つの第1円周上に等間隔で配置されており、
前記複数の第2コアが、前記第2中心軸を中心とする1つの第2円周上に等間隔で配置されている、
請求項1に記載の光ファイバ接続構造。
【請求項3】
前記第1の光ファイバユニット及び前記第2の光ファイバユニットのうち少なくともいずれか一方の光ファイバユニットは、前記第1コア及び前記第2コアのうちの対応するコアが配置された本体部と、一端が前記本体部の端面に融着され、他端が前記第1端面及び前記第2端面のうちの対応する端面となるコアレスファイバ部と、を備えている、
請求項1または請求項2に記載の光ファイバ接続構造。
【請求項4】
前記第2端面の形状が、前記第1端面の形状に対応した形状をしている、
請求項1または請求項2に記載の光ファイバ接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の光ファイバ接続構造としては、特許文献1に開示されたものが提案されている。この特許文献1では、光ファイバ接続構造は、マルチコアファイバと、複数のシングルモードファイバを束ねることで形成されるファイババンドルと、を備えており、このマルチコアファイバとファイババンドルとを光学的に結合させている。
【0003】
この特許文献1では、2枚のレンズを用いて、マルチコアファイバとファイババンドルとを光学的に結合させている。さらに、特許文献1では、マルチコアファイバ及びファイババンドルのそれぞれの端面での反射を抑制するために、マルチコアファイバ及びファイババンドルの端面を中心軸と直交する面に対して傾斜させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-109887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術のように、マルチコアファイバの端面を中心軸と直交する面に対して傾斜させると、マルチコアファイバの複数のコアは、レンズまでの距離がそれぞれ異なってしまうおそれがある。同様に、ファイババンドルの端面を中心軸と直交する面に対して傾斜させると、ファイババンドルの複数のコアもレンズまでの距離がそれぞれ異なってしまうおそれがある。
【0006】
このように、上記従来の技術で示したマルチコアファイバ及びファイババンドルでは、コアごとにフォーカスずれ量にバラツキが発生してしまい、コアごとに結合損失のバラツキが生じてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、フレネル反射を低減させつつ、コアごとに結合損失のバラツキが生じてしまうことを抑制することが可能な光ファイバ接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様に係る光ファイバ接続構造は、複数の第1コアが配置された第1の光ファイバユニットと、複数の第2コアが前記複数の第1コアのそれぞれに対応するように配置された第2の光ファイバユニットと、を備え、前記第1の光ファイバユニットの第1端面は、前記第1の光ファイバユニットの第1中心軸が第1底点となる凹状または前記第1中心軸が第1頂点となる凸状に形成されており、前記第1端面は、前記第1コアの本数がn本の場合に、前記第1中心軸に関してn回の回転対称性を有する形状をしており、前記第1端面には、複数の第1光通過領域となる部位が前記複数の第1コアのそれぞれに対応するように存在しており、前記複数の第1光通過領域は、前記第1底点または前記第1頂点から前記第1中心軸方向に所定距離だけ離れた位置において前記第1中心軸に直交する第1平面と前記第1端面との第1交線上に位置しており、前記第2の光ファイバユニットの第2端面は、前記第2の光ファイバユニットの第2中心軸が第2底点となる凹状または前記第2中心軸が第2頂点となる凸状に形成されており、前記第2端面は、前記第2コアの本数がn本の場合に、前記第2中心軸に関してn回の回転対称性を有する形状をしており、前記第2端面には、複数の第2光通過領域となる部位が前記複数の第2コアのそれぞれに対応するように存在しており、前記複数の第2光通過領域は、前記第2底点または前記第2頂点から前記第2中心軸方向に所定距離だけ離れた位置において前記第2中心軸に直交する第2平面と前記第2端面との第2交線上に位置しており、前記第1の光ファイバユニットと前記第2の光ファイバユニットとがレンズを介して光結合されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フレネル反射を低減させつつ、コアごとに結合損失のバラツキが生じてしまうことを抑制することが可能な光ファイバ接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】光ファイバ接続構造の一例を模式的に示す側面図である。
図2】一例として示した光ファイバ接続構造が備える第1の光ファイバユニットの端面と第2の光ファイバユニットの端面とを模式的に示す図である。
図3】一例として示した光ファイバ接続構造が備える第1の光ファイバユニット及び第2の光ファイバユニットの端部を模式的に示す斜視図である。
図4】一例として示した光ファイバ接続構造が備える第1の光ファイバユニット及び第2の光ファイバユニットの端部を模式的に示す側面図である。
図5】一例として示した光ファイバ接続構造が備える第1の光ファイバユニット及び第2の光ファイバユニットの端面に存在する光通過領域の位置を説明する図である。
図6】一例として示した光ファイバ接続構造が備える第1レンズ及び第2レンズの平坦面に形成される光の通過領域の位置を説明する図である。
図7】光ファイバ接続構造の他の例を模式的に示す側面図である。
図8】他の例として示した光ファイバ接続構造が備える第1の光ファイバユニット及び第2の光ファイバユニットの端部を模式的に示す斜視図である。
図9】他の例として示した光ファイバ接続構造が備える第1の光ファイバユニット及び第2の光ファイバユニットの端部を模式的に示す斜視図である。
図10】第1の光ファイバユニット及び第2の光ファイバユニットの端面の第1変形例を模式的に示す側面図である。
図11】第1変形例として示した第1の光ファイバユニット及び第2の光ファイバユニットの端面に存在する光通過領域の位置を説明する図である。
図12】第1の光ファイバユニット及び第2の光ファイバユニットの端面の第2変形例を模式的に示す側面図である。
図13】第1の光ファイバユニット及び第2の光ファイバユニットの端面の第3変形例を模式的に示す側面図である。
図14】第1の光ファイバユニット及び第2の光ファイバユニットの端面の第4変形例を模式的に示す側面図である。
図15】第1の光ファイバユニット及び第2の光ファイバユニットの端面の第5変形例を模式的に示す側面図である。
図16】第1の光ファイバユニット及び第2の光ファイバユニットの端面の第6変形例を模式的に示す側面図である。
図17】第1変形例として示した第1の光ファイバユニット及び第2の光ファイバユニットの端面の形成方法の一例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本実施形態に係る光ファイバ接続構造について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0012】
また、以下の実施形態及びその変形例には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0013】
本実施形態に係る光ファイバ接続構造1は、図1に示すように、複数の第1コア212が配置された第1の光ファイバユニット2と、複数の第2コア312が配置された第2の光ファイバユニット3と、を備えている。
【0014】
本実施形態では、第1の光ファイバユニット2として、4つの第1コア212が互いに離間配置された状態で、1つの第1クラッド211により被覆されたマルチコアファイバを例示している。このように、マルチコアファイバを用いて光ファイバ接続構造1を形成すれば、通信伝送容量をより増加させることができる。その結果、インターネットを介したIoTや動画配信などの急速な普及による通信伝送容量の増加に対応することが可能な光ファイバ接続構造1を得ることができる。なお、マルチコアファイバは、次世代基幹系やデータセンター内の伝送路としての活用が期待されている光ファイバである。
【0015】
また、本実施形態では、第1の光ファイバユニット2は、複数の第1コア212が配置された第1本体部21を備えている。具体的には、第1の光ファイバユニット2は、4つの第1コア212が互いに離間配置された状態で、1つの第1クラッド211により被覆されることで形成される第1本体部21を備えている。そして、本実施形態では、第1の光ファイバユニット2は、1本の第1本体部21で構成されている。したがって、本実施形態に係る第1の光ファイバユニット2では、4つの第1コア212のそれぞれの端面が第1の光ファイバユニット2の第1端面213から露出している。
【0016】
第1クラッド211は、例えば、ガラス等の材料を用いて可撓性を有するように形成することができ、一方向(前後方向)に細長いコード状をしている。
【0017】
一方、第1コア212は、例えば、ガラス等の材料を用いて可撓性を有するように形成することができ、一方向(前後方向)に細長くなるようにした状態で第1クラッド211の内部に配置されている。
【0018】
さらに、本実施形態では、第1クラッド211及び4つの第1コア212は、第1中心軸A1に直交する平面で切断した断面形状が円形となるように形成されている。
【0019】
そして、4つの第1コア212は、第1の光ファイバユニット2の第1中心軸A1を中心とする円周上に等間隔で配置されている(図2参照)。すなわち、4つの第1コア212は、第1中心軸A1を中心とする1つの第1円周C1上に等間隔で配置されている。このように、4つの第1コア212は、第1中心軸A1からの距離が同じ距離となるようにした状態で第1クラッド211内に配置されている。なお、図2には、4つの第1コア212のそれぞれを、中心が1つの第1円周C1上に位置するようにしたものを例示したが、4つの第1コア212は、円形の領域の一部が第1円周C1上に位置していればよい。こうすることでも、4つの第1コア212の第1中心軸A1からの距離をほぼ同じ距離となるようにすることができる。
【0020】
また、第2の光ファイバユニット3として、1つの第2コア312が1つの第2クラッド311により被覆されたシングルモードファイバを4本束ねたものを例示している。
【0021】
本実施形態では、第2の光ファイバユニット3は、複数の第2コア312が配置された第2本体部31を備えている。具体的には、第2の光ファイバユニット3は、4つの第2コア312が互いに離間配置された状態で、1つの第2クラッド311により被覆されることで形成される第2本体部31を備えている。そして、本実施形態では、第2の光ファイバユニット3は、1つの第2本体部31で構成されている。したがって、本実施形態に係る第2の光ファイバユニット3では、4つの第2コア312のそれぞれの端面が第2の光ファイバユニット3の第2端面313から露出している。
【0022】
第2クラッド311は、例えば、ガラス等の材料を用いて可撓性を有するように形成することができ、一方向(前後方向)に細長いコード状をしている。
【0023】
一方、第2コア312は、例えば、ガラス等の材料を用いて可撓性を有するように形成することができ、一方向(前後方向)に細長くなるようにした状態で第2クラッド311の内部に配置されている。
【0024】
さらに、本実施形態では、4つの第2クラッド311及び4つの第2コア312は、第2中心軸A2に直交する平面で切断した断面形状が円形となるように形成されている。
【0025】
そして、4つの第2コア312は、第2の光ファイバユニット3の第2中心軸A2を中心とする円周上に等間隔で配置されている(図2参照)。すなわち、4つの第2コア312は、第2中心軸A2を中心とする1つの第2円周C2上に等間隔で配置されている。このように、4つの第2コア312は、第2中心軸A2からの距離が同じ距離となるようにした状態で配置されている。なお、図2には、4つの第2コア312のそれぞれを、中心が1つの第2円周C2上に位置するようにしたものを例示したが、4つの第2コア312は、円形の領域の一部が第2円周C2上に位置していればよい。こうすることでも、4つの第2コア312の第2中心軸A2からの距離をほぼ同じ距離となるようにすることができる。
【0026】
また、4本のシングルモードファイバは、4つの第2コア312が4つの第1コア212のそれぞれに1対1で対応するようにした状態で束ねられている。そして、4本のシングルモードファイバを束ねた状態で接着剤等により固定することで、4つの第2コア312を有する第2の光ファイバユニット3を形成している。
【0027】
そして、このような構成をした第1の光ファイバユニット2と第2の光ファイバユニット3とを光学的に結合させることで、光ファイバ接続構造1を形成している。
【0028】
なお、マルチコアファイバを用いた光通信システムの実現には、マルチコアファイバの各コアと既存のシングルモードファイバのコアとを接続するためにファンインファンアウト(Fan-in/Fan-out:FIFO)デバイスが必要となる。そして、本実施形態では、光ファイバ接続構造1として、ファンインファンアウト(Fan-in/Fan-out:FIFO)デバイスを製造する際に形成される接続構造を例示している。
【0029】
ところで、第1の光ファイバユニット2と第2の光ファイバユニット3とを光学的に結合させる接続方式の一つに、レンズ4を用いた空間結合型の接続方式がある。また、レンズ4を用いた空間結合型の接続方式の1手段として2枚の単レンズを用いてマルチコアファイバの伝搬コアと複数のシングルモードファイバを束ねたものを光学結合する構造がある。
【0030】
本実施形態では、光ファイバ接続構造1として、2枚の単レンズを用いてマルチコアファイバの伝搬コアと複数のシングルモードファイバを束ねたものを光学結合する構造を採用している。こうすることで、光ファイバの端面同士を突き合せて密着させる必要がある構成とした場合よりも、第1コア20及び第2コア30における上下、左右方向の結合トレランスが緩くなり、結合損失が安定するようにしている。
【0031】
すなわち、本実施形態では、光ファイバ接続構造1は、第1の光ファイバユニット2の端面213と光学的に結合される第1レンズ41と、第2の光ファイバユニット3の端面313と光学的に結合される第2レンズ42と、を備えている。なお、本実施形態では、第1レンズ41及び第2レンズ42として非球面の平凸レンズ(コリメートレンズ)が用いられている。
【0032】
そして、第1レンズ41と第2レンズ42とが互いに光学的に結合されるようにしている。
【0033】
本実施形態では、このようなレンズ4を用いて光ファイバ接続構造1を形成している。具体的には、第1の光ファイバユニット2の端面213と第1レンズ41の平坦面411とを対向させた状態で、第1の光ファイバユニット2と第1レンズ41とを光学的に結合させている。同様に、第2の光ファイバユニット3の端面313と第2レンズ42の平坦面421とを対向させた状態で、第2の光ファイバユニット3と第2レンズ42とを光学的に結合させている。そして、第1レンズ41と第2レンズ42とを光学的に結合することで、第1の光ファイバユニット2と第2の光ファイバユニット3とが光学的に結合されるようにしている。このとき、第1の光ファイバユニット2の第1中心軸A1と、第1レンズ41の中心軸A3と、第2レンズ42の中心軸A4と、第2の光ファイバユニット3の第2中心軸A2とを一致させている(図1参照)。
【0034】
このように、本実施形態では、中心軸を合わせた平凸レンズ等を用いて簡易に平行光化を行えるようにしている。なお、図1は、平凸レンズ等を用いた平行光化を模式的に示した図であって、第1の光ファイバユニット2の端面213と第2の光ファイバユニット3の端面313との間の光路を正確に示した図ではない。実際には、第1の光ファイバユニット2の端面213と第2の光ファイバユニット3の端面313との間を移動する光は、各レンズの端面を通過する際にも屈折することになる。すなわち、第1の光ファイバユニット2の端面213と第2の光ファイバユニット3の端面313との間の光路は、第1レンズ41の平坦面411、第1レンズ41の凸面、第2レンズ42の平坦面421、第2レンズ42の凸面を通過する際にも変化することになる。そして、第1レンズ41の凸面と第2レンズ42の凸面との間で平行な光となるようにしている。
【0035】
ここで、本実施形態では、第1の光ファイバユニット2の長手方向(前後方向)の一方側の第1端面213が、第1の光ファイバユニット2の第1中心軸A1と直交する面に対して傾斜するようにしている。こうすることで、第1の光ファイバユニット2の第1端面213のガラス(第1コア212)と空気との屈折率差により発生するフレネル反射をより確実に低減させることができるようにしている。
【0036】
具体的には、第1の光ファイバユニット2の第1端面213の形状を、第1の光ファイバユニット2の第1中心軸A1が第1底点2131となる凹状となるようにしている(図3及び図4参照)。さらに、本実施形態では、第1端面213が、第1コア212の本数がn本の場合に、第1中心軸A1に関してn回の回転対称性を有する形状となるようにしている。ここで、n回の回転対称性を有する形状とは、第1端面213を、第1中心軸A1を中心として360°/nの整数倍の角度で回転させた場合に、回転前と同一になる形状のことを意味している。本実施形態では、第1コア212の本数が4本であるため、第1端面213の形状を、第1中心軸A1に関して4回の回転対称性を有する形状となるようにしている。すなわち、90°の整数倍の角度で第1端面213を、第1中心軸A1を中心として回転させた際に元の形状と同じ形状となるようにしている。
【0037】
本実施形態では、第1の光ファイバユニット2の第1端面213の形状を、第1の光ファイバユニット2の第1中心軸A1が第1底点2131となる凹状の円錐となるようにしている。
【0038】
こうすることで、第1端面213が、第1中心軸A1に直交する平面に対して傾斜した面となるようにし、各第1コア212の端面でのフレネル反射(反射戻り光の発生)を低減させることができるようにしている。
【0039】
また、本実施形態では、第1端面213には、複数の第1光通過領域2132となる部位が複数の第1コア212のそれぞれに対応するように存在している。上述したように、本実施形態では、4つの第1コア212のそれぞれの端面が第1の光ファイバユニット2の第1端面213から露出しているため、4つの第1コア212のそれぞれの端面が複数の第1光通過領域2132となっている。
【0040】
さらに、本実施形態では、図5に示すように、複数の第1光通過領域(4つの第1コア212のそれぞれの端面)2132が、第1中心軸A1に直交する第1平面P1と第1端面213との第1交線L1上に位置するようにしている。ここで、第1平面P1は、第1底点2131から第1中心軸A1方向に所定距離d1だけ離れた位置において第1中心軸A1に直交する平面のことである。なお、所定距離d1は、第1端面213の第1の光ファイバユニット2の第1中心軸A1と直交する面に対する傾斜角度、第1円周C1の径に基づき決定される距離である。
【0041】
このように、複数の第1光通過領域2132を第1平面P1と第1端面213との第1交線L1上に位置させるようにすれば、各第1コア212の第1光通過領域2132から第1レンズ41の平坦面411までの距離が同じ距離となるようにすることができる。なお、図5には、4つの第1光通過領域2132のそれぞれを、中心が第1交線L1上に位置するようにしたものを例示したが、4つの第1光通過領域2132は、円形の領域の一部が第1交線L1上に位置していればよい。こうすることでも、各第1コア212の第1光通過領域2132から第1レンズ41の平坦面411までの距離がほぼ同じ距離となるようにすることができる。
【0042】
このように、本実施形態では、各第1コア212と第1レンズ41との位置関係が一定となるようにすることで、第1コア212ごとの結合特性をより均一化させることができるようにし、光結合バラツキの低減を図ることができるようにしている。
【0043】
また、第1端面213の形状を第1中心軸A1が第1底点2131となる凹状となるようにすると、第1コア212により伝搬される光は、第1光通過領域2132を通過する際に径外方向に屈折することになる。すなわち、4つの第1光通過領域2132を通過する光によって、第1中心軸A1に沿って見たときに放射状に拡がる第1光路領域R1が形成されることになる。
【0044】
例えば、第1コア212の屈折率が1.467、第1端面213の第1中心軸A1と直交する面に対する傾斜角度θ1が8°の場合には、第1中心軸A1に対して約3.78°傾斜した方向に延びる第1光路領域R1が形成されることになる。すなわち、各第1コア212から第1レンズ41に向かう光の屈折角度θ2が約3.78°となる。なお、APC(Angled PC)研磨により第1端面213させると、一般的な研磨条件では傾斜角度θ1が8°となる。
【0045】
また、本実施形態では、上述したように、4つの第1コア212が第1中心軸A1を中心とする1つの第1円周C1上に等間隔で配置されている。
【0046】
そのため、第1端面213が第1中心軸A1に関して4回の回転対称性を有するようにすれば、4つの第1光通過領域2132も第1中心軸A1に関して4回の回転対称性を有することになる。その結果、4つの第1光路領域R1も、4回の回転対称性を有することになる。
【0047】
このように、4つの第1光路領域R1に4回の回転対称性を持たせるようにすれば、複数の第1光路領域R1が第1レンズ41の平坦面411と交わる領域である光の通過領域4111が、第1レンズ41の中心軸A3からほぼ同距離に形成されることになる。すなわち、光の通過領域4111が、第1レンズ41の中心軸A3を中心とする1つの円周C3上に形成されることになる(図6参照)。
【0048】
こうすることで、第1レンズ41の中央側を通る第1光路領域R1と外側を通る第1光路領域R1とが形成されてしまうことが抑制され、第1光路領域R1ごとに収差の影響に違いが出てしまうことを抑制できるようにしている。そして、第1コア212ごとに結合損失のバラツキが生じてしまうことを、より確実に抑制できるようにしている。
【0049】
このように、本実施形態では、レンズ4の主軸(第1レンズ41の中心軸A3)に対して対称に各第1光路領域R1を伝搬させるようにすることで、第1コア212ごとの結合特性をより一層均一化させることができるようにしている。そして、第1コア212ごとの光結合バラツキのより一層の低減を図ることができるようにしている。
【0050】
また、第2の光ファイバユニット3の長手方向(前後方向)の一方側の第2端面313も、第2の光ファイバユニット3の第2中心軸A2と直交する面に対して傾斜するようにしている。こうすることで、第2の光ファイバユニット3の第2端面313のガラス(第2コア312)と空気との屈折率差により発生するフレネル反射をより確実に低減させることができるようにしている。
【0051】
具体的には、第2の光ファイバユニット3の第2端面313の形状を、第2の光ファイバユニット3の第2中心軸A2が第2底点3131となる凹状となるようにしている(図3及び図4参照)。さらに、第2端面313の形状を、第2中心軸A2に関して4回の回転対称性を有する形状となるようにしている。具体的には、第2の光ファイバユニット3の第2端面313の形状を、第2の光ファイバユニット3の第2中心軸A2が第2底点3131となる凹状の円錐となるようにしている。このように、本実施形態では、第2端面313の形状が、第1端面213の形状に対応した形状をしている。
【0052】
こうすることで、第2端面313が、第2中心軸A2に直交する平面に対して傾斜した面となるようにし、各第2コア312の端面でのフレネル反射(反射戻り光の発生)を低減させることができるようにしている。
【0053】
また、第2端面313にも、複数の第2光通過領域3132となる部位が複数の第2コア312のそれぞれに対応するように存在している。上述したように、本実施形態では、4つの第2コア312のそれぞれの端面が第2の光ファイバユニット3の第2端面313から露出しているため、4つの第2コア312のそれぞれの端面が複数の第2光通過領域3132となっている。
【0054】
さらに、本実施形態では、図5に示すように、複数の第2光通過領域(4つの第2コア312のそれぞれの端面)3132が、第2中心軸A2に直交する第2平面P2と第2端面313との第2交線L2上に位置するようにしている。ここで、第2平面P2は、第2底点3131から第2中心軸A2方向に所定距離d2だけ離れた位置において第2中心軸A2に直交する平面のことである。なお、所定距離d2は、第2端面313の第2の光ファイバユニット3の第2中心軸A2と直交する面に対する傾斜角度、第2円周C2の径に基づき決定される距離である。
【0055】
このように、複数の第2光通過領域3132を第2平面P2と第2端面313との第2交線L2上に位置させるようにすれば、各第2コア312の第2光通過領域3132から第2レンズ42の平坦面421までの距離が同じ距離となるようにすることができる。なお、図5には、4つの第2光通過領域3132のそれぞれを、中心が第2交線L2上に位置するようにしたものを例示したが、4つの第2光通過領域3132は、円形の領域の一部が第2交線L2上に位置していればよい。こうすることでも、各第2コア312の第2光通過領域3132から第2レンズ42の平坦面421までの距離がほぼ同じ距離となるようにすることができる。
【0056】
このように、本実施形態では、各第2コア312と第2レンズ42との位置関係が一定となるようにすることで、第2コア312ごとの結合特性をより均一化させることができるようにし、光結合バラツキの低減を図ることができるようにしている。
【0057】
また、第2端面313の形状を第2中心軸A2が第2底点3131となる凹状となるようにすると、4つの第2光通過領域3132を通過する光によって、第2中心軸A2に沿って見たときに放射状に拡がる第2光路領域R2が形成されることになる。
【0058】
また、本実施形態では、上述したように、4つの第2コア312が第2中心軸A2を中心とする1つの第2円周C2上に等間隔で配置されている。
【0059】
そのため、第2端面313が第2中心軸A2に関して4回の回転対称性を有するようにすれば、4つの第2光通過領域3132も第2中心軸A2に関して4回の回転対称性を有することになる。その結果、4つの第2光路領域R2も、4回の回転対称性を有することになる。
【0060】
このように、4つの第2光路領域R2に4回の回転対称性を持たせるようにすれば、複数の第2光路領域R2が第2レンズ42の平坦面421と交わる領域である光の通過領域4211が、第2レンズ42の中心軸A4からほぼ同距離に形成されることになる。すなわち、光の通過領域4211が、第2レンズ42の中心軸A4を中心とする1つの円周C4上に形成されることになる(図6参照)。
【0061】
こうすることで、第2レンズ42の中央側を通る第2光路領域R2と外側を通る第2光路領域R2とが形成されてしまうことが抑制され、第2光路領域R2ごとに収差の影響に違いが出てしまうことを抑制できるようにしている。そして、第2コア312ごとに結合損失のバラツキが生じてしまうことを、より確実に抑制できるようにしている。
【0062】
このように、本実施形態では、レンズ4の主軸(第2レンズ42の中心軸A4)に対して対称に各第2光路領域R2を伝搬させるようにすることで、第2コア312ごとの結合特性をより一層均一化させることができるようにしている。そして、第2コア312ごとの光結合バラツキのより一層の低減を図ることができるようにしている。
【0063】
このような第1,第2端面213,313は、例えば、第1,第2の光ファイバユニット2,3の端部を研磨することで形成することができる。このとき、第1,第2の光ファイバユニット2,3が撓んでしまうと均一に研磨することができないため、第1,第2の光ファイバユニット2,3の端部を研磨する際には、一般的に、セラミックや金属で形成したフェルール23,33が用いられる(図17参照)。
【0064】
具体的には、フェルール23,33に形成された貫通孔に第1,第2の光ファイバユニット2,3の端部を挿通した状態で接着固定する。そして、フェルール23,33の端面231,331とともに第1,第2の光ファイバユニット2,3の第1,第2端面213A,313Aを研磨することで、上述した形状の第1,第2端面213,313となるようにしている。このとき、図17に示すようなマーキングM1,M2を、フェルール23,33や第1,第2の光ファイバユニット2,3にそれぞれ設け、研磨治具50との位置合わせを容易に行えるようにするのが好ましい。
【0065】
本実施形態のように、凹状の第1,第2端面213,313を形成する場合には、研磨治具50として精密なボールエンドミルやドリルが用いられる。具体的には、ボールエンドミルやドリルと第1,第2中心軸A1,A2との精密な位置合わせを行った状態で、第1,第2端面213,313に垂直方向から切削研磨することで、凹状の第1,第2端面213,313が形成されることになる。
【0066】
なお、光ファイバ接続構造1は、上記実施形態で示した構成に限られるものではなく、例えば、図7に示す構成とすることも可能である。
【0067】
図7に示す光ファイバ接続構造1は、基本的には上記実施形態で示した光ファイバ接続構造1と同様の構成をしている。
【0068】
具体的には、図7に示す光ファイバ接続構造1も、複数の第1コア212が配置された第1の光ファイバユニット2と、複数の第2コア312が配置された第2の光ファイバユニット3と、を備えている。
【0069】
ここで、図7に示す光ファイバ接続構造1では、第1の光ファイバユニット2及び第2の光ファイバユニット3のうち少なくともいずれか一方の光ファイバユニットが、本体部と、一端が本体部の端面に融着されるコアレスファイバ部と、を備えるようにしている。
【0070】
すなわち、少なくともいずれか一方の光ファイバユニットが、第1コア212及び第2コア312のうちの対応するコアが配置された本体部(第1本体部21や第2本体部31)を備えるようにしている。さらに、少なくともいずれか一方の光ファイバユニットが、一端221,321が本体部の端面213A,313Aに融着されるコアレスファイバ部(第1コアレスファイバ部22や第2コアレスファイバ部32)を備えるようにしている。そして、コアレスファイバ部(第1コアレスファイバ部22や第2コアレスファイバ部32)の他端222,322が、第1端面223及び第2端面323のうちの対応する端面となるようにしている。
【0071】
図7には、第1の光ファイバユニット2及び第2の光ファイバユニット3の両方が、本体部と、一端が本体部の端面に融着されるコアレスファイバ部と、を備えるようにしている。すなわち、第1の光ファイバユニット2が、複数の第1コア212が配置された第1本体部21と、一端221が第1本体部21の端面213Aに融着された第1コアレスファイバ部22と、を備えるようにしている。そして、第1コアレスファイバ部22の他端222が第1端面223となるようにしている(図8参照)。
【0072】
したがって、図7に示す第1の光ファイバユニット2では、4つの第1コア212のそれぞれの端面が、第1の光ファイバユニット2の第1端面223から露出しないようになっている。
【0073】
このように、図7に示す光ファイバ接続構造1では、第1の光ファイバユニット2が、第1の光ファイバユニット2及び第2の光ファイバユニット3のうちの一方の光ファイバユニットに相当している。また、第1コア212が、一方の光ファイバユニットに対応するコア(第1コア212及び第2コア312のうち一方の光ファイバユニットに対応するコア)に相当している。そして、第1端面223が、一方の光ファイバユニットに対応する端面(第1端面223及び第2端面323のうち一方の光ファイバユニットに対応する端面)に相当している。
【0074】
同様に、第2の光ファイバユニット3が、複数の第2コア312が配置された第2本体部31と、一端321が第2本体部31の端面313Aに融着された第2コアレスファイバ部32と、を備えるようにしている。そして、第2コアレスファイバ部32の他端222が第2端面323となるようにしている(図8参照)。
【0075】
したがって、図7に示す第2の光ファイバユニット3においても、4つの第2コア312のそれぞれの端面が、第2の光ファイバユニット3の第2端面323から露出しないようになっている。
【0076】
このように、図7に示す光ファイバ接続構造1では、第2の光ファイバユニット3が、第1の光ファイバユニット2及び第2の光ファイバユニット3のうちの他方の光ファイバユニットに相当している。また、第2コア312が、他方の光ファイバユニットに対応するコア(第1コア212及び第2コア312のうち他方の光ファイバユニットに対応するコア)に相当している。そして、第2端面323が、他方の光ファイバユニットに対応する端面(第1端面223及び第2端面323のうち他方の光ファイバユニットに対応する端面)に相当している。
【0077】
そして、この図7においても、第1の光ファイバユニット2と第2の光ファイバユニット3とを光学的に結合させることで、光ファイバ接続構造1を形成している。
【0078】
具体的には、光ファイバ接続構造1として、2枚の単レンズを用いてマルチコアファイバの伝搬コアと複数のシングルモードファイバを束ねたものを光学結合する構造を採用している。すなわち、光ファイバ接続構造1が、第1の光ファイバユニット2の端面213と光学的に結合される第1レンズ41と、第2の光ファイバユニット3の端面313と光学的に結合される第2レンズ42と、を備えるようにしている。なお、図7においても、第1レンズ41及び第2レンズ42として非球面の平凸レンズが用いられている。この図7も、図1と同様に、平凸レンズ等を用いた平行光化を模式的に示した図である。すなわち、図7も、第1の光ファイバユニット2の端面213と第2の光ファイバユニット3の端面313との間の光路を正確に示した図ではなく、実際には、各レンズの端面を通過する際にも光路が変化している。
【0079】
さらに、図7に示す光ファイバ接続構造1では、第1の光ファイバユニット2の第1端面223の形状を、第1の光ファイバユニット2の第1中心軸A1が第1底点2131となる凹状となるようにしている(図8及び図9参照)。さらに、第1端面223が、第1中心軸A1に関して4回の回転対称性を有するようにしている。このように、図7においても、第1の光ファイバユニット2の第1端面223の形状を、第1の光ファイバユニット2の第1中心軸A1が第1底点2131となる凹状の円錐となるようにしている。
【0080】
また、図7では、第1端面223には、複数の第1光通過領域2232となる部位が複数の第1コア212のそれぞれに対応するように存在している。上述したように、図7では、4つの第1コア212のそれぞれの端面は、第1の光ファイバユニット2の第1端面223からは露出していない。そのため、図7では、4つの第1コア212のそれぞれの端面から第1コアレスファイバ部22に伝搬された光が第1端面223を通過する領域が、複数の第1光通過領域2232となっている。なお、第1コア212のそれぞれの端面から第1コアレスファイバ部22に伝搬される光は、径外方向に拡がるようにして第1端面223を通過することになる(図9参照)。したがって、第1光通過領域2232の領域は、第1光通過領域2132よりも広い領域となっている。
【0081】
このとき、複数の第1光通過領域2232が第1端面223で重ならないようにするためには、第1コアレスファイバ部22の第1中心軸A1方向の長さD1を所定の長さとする必要がある。例えば、第1コアの径を10μm、第1コアの間隔を30μm、拡がり角度θ3を約7.2°、第1コアレスファイバ部の径を125μmとし、第1光通過領域の径が40μm程度となるようにする場合、長さD1を110μm程度とする必要がある。
【0082】
そして、図7においても、複数の第1光通過領域2232が、第1中心軸A1に直交する第1平面P1と第1端面223との第1交線L1上に位置するようにしている。また、4つの第1コア212が第1中心軸A1を中心とする1つの第1円周C1上に等間隔で配置されるようにしている。
【0083】
また、第2の光ファイバユニット3の第2端面323の形状も、第2の光ファイバユニット3の第2中心軸A2が第2底点3131となる凹状となるようにしている(図8及び図9参照)。さらに、第2端面323が、第2中心軸A2に関して4回の回転対称性を有するようにしている。このように、図7においても、第2の光ファイバユニット3の第2端面323の形状を、第2の光ファイバユニット3の第2中心軸A2が第2底点3131となる凹状の円錐となるようにしている。すなわち、第2端面323の形状が、第1端面223の形状に対応した形状をしている。
【0084】
また、図7では、第2端面323には、複数の第2光通過領域3232となる部位が複数の第2コア312のそれぞれに対応するように存在している。上述したように、図7では、4つの第2コア312のそれぞれの端面は、第2の光ファイバユニット3の第2端面323からは露出していない。そのため、図7では、4つの第2コア312のそれぞれの端面から第2コアレスファイバ部32に伝搬された光が第2端面323を通過する領域が、複数の第2光通過領域3232となっている。なお、第2コア312のそれぞれの端面から第2コアレスファイバ部32に伝搬される光は、径外方向に拡がるようにして第2端面323を通過することになる(図9参照)。したがって、第2光通過領域3232の領域は、第2光通過領域3132よりも広い領域となっている。
【0085】
このとき、複数の第2光通過領域3232が第2端面323で重ならないようにするためには、第2コアレスファイバ部32の第2中心軸A2方向の長さD2を所定の長さとする必要がある。この長さD2も長さD1と同様の方法で決めることができる。
【0086】
そして、図7においても、複数の第2光通過領域3232が、第2中心軸A2に直交する第2平面P2と第2端面323との第2交線L2上に位置するようにしている。また、4つの第2コア312が第2中心軸A2を中心とする1つの第2円周C2上に等間隔で配置されるようにしている。
【0087】
このような構成とすることでも、上記実施形態で示した光ファイバ接続構造1とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0088】
また、図7に示す光ファイバ接続構造1とすれば、第1,第2の光ファイバユニット2,3の端部に第1,第2コア212,312が存在しないため、第1,第2端面213,313をより容易に研磨することができるようになる。
【0089】
また、第1,第2の光ファイバユニット2,3は、図10に示す構成とすることも可能である。
【0090】
図10においては、第1,第2の光ファイバユニット2,3は、1本の第1,第2本体部21,31で構成されている。そして、第1,第2の光ファイバユニット2,3の第1,第2端面213,313が、第1,第2の光ファイバユニット2,3の第1,第2中心軸A1,A2が第1,第2底点2131,3131となる凹状となるように形成されている。
【0091】
ここで、図10では、第1,第2の光ファイバユニット2,3の第1,第2端面213,313は、正四角錐となるように形成されている。
【0092】
そのため、図10では、第1,第2交線L1,L2は、第1,第2円周C1,C2が内接円となる正方形になっている(図11参照)。
【0093】
そして、第1,第2交線L1,L2と第1,第2円周C1,C2とが接する部位(第1,第2交線L1,L2の各辺の中央部)に、第1光通過領域2132がそれぞれ形成されている。
【0094】
このような構成とすることでも、上記実施形態で示した光ファイバ接続構造1や図7~9で示した光ファイバ接続構造1とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0095】
また、第1,第2の光ファイバユニット2,3は、図12に示す構成とすることも可能である。
【0096】
図12においては、第1,第2の光ファイバユニット2,3は、第1,第2本体部21,31と、第1,第2コアレスファイバ部22,32とで構成されている。そして、第1,第2の光ファイバユニット2,3の第1,第2端面223,323が、第1,第2の光ファイバユニット2,3の第1,第2中心軸A1,A2が第1,第2底点2131,3131となる凹状となるように形成されている。
【0097】
ここで、図12においても、第1,第2の光ファイバユニット2,3の第1,第2端面223,323は、正四角錐となるように形成されている。
【0098】
このような構成とすることでも、上記実施形態で示した光ファイバ接続構造1、図7~11で示した光ファイバ接続構造1とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0099】
また、第1,第2の光ファイバユニット2,3は、図13に示す構成とすることも可能である。
【0100】
図13においては、第1,第2の光ファイバユニット2,3は、1本の第1,第2本体部21,31で構成されている。そして、第1,第2の光ファイバユニット2,3の第1,第2端面213,313が、第1,第2の光ファイバユニット2,3の第1,第2中心軸A1,A2が第1,第2底点2131,3131となる凹状となるように形成されている。
【0101】
ここで、図13では、第1,第2の光ファイバユニット2,3の第1,第2端面213,313は、球状となるように形成されている。このように、第1,第2端面213,313を球状の凹部とした場合、通過する光は凹レンズの原理で屈折することになる。
【0102】
このような構成とすることでも、上記実施形態で示した光ファイバ接続構造1や図7~12で示した光ファイバ接続構造1とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0103】
また、第1,第2の光ファイバユニット2,3は、図14に示す構成とすることも可能である。
【0104】
図14においては、第1,第2の光ファイバユニット2,3は、第1,第2本体部21,31と、第1,第2コアレスファイバ部22,32とで構成されている。そして、第1,第2の光ファイバユニット2,3の第1,第2端面223,323が、第1,第2の光ファイバユニット2,3の第1,第2中心軸A1,A2が第1,第2底点2131,3131となる凹状となるように形成されている。
【0105】
ここで、図14においても、第1,第2の光ファイバユニット2,3の第1,第2端面223,323は、球状となるように形成されている。
【0106】
このような構成とすることでも、上記実施形態で示した光ファイバ接続構造1や図7~13で示した光ファイバ接続構造1とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0107】
また、第1,第2の光ファイバユニット2,3は、図15に示す構成とすることも可能である。
【0108】
図15においては、第1,第2の光ファイバユニット2,3は、1本の第1,第2本体部21,31で構成されている。そして、第1,第2の光ファイバユニット2,3の第1,第2端面213,313が、第1,第2の光ファイバユニット2,3の第1,第2中心軸A1,A2が第1,第2頂点2133,3133となる凸状となるように形成されている。
【0109】
このように、第1,第2端面213,313を凸状に形成すると、第1,第2コア212,312により伝搬される光は、第1,第2光通過領域2132、3132を通過する際に径内方向に屈折することになる。すなわち、第1,第2中心軸A1,A2に沿って見たときに中心に向けて収束する第1,第2光路領域R1,R2が形成されることになる。
【0110】
第1,第2端面213,313の凸形状は、円錐、四角錐、球等様々な形状とすることが可能である。
【0111】
このような構成とすることでも、上記実施形態で示した光ファイバ接続構造1や図7~14で示した光ファイバ接続構造1とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0112】
また、第1,第2の光ファイバユニット2,3は、図16に示す構成とすることも可能である。
【0113】
図16においては、第1,第2の光ファイバユニット2,3は、第1,第2本体部21,31と、第1,第2コアレスファイバ部22,32とで構成されている。そして、第1,第2の光ファイバユニット2,3の第1,第2端面223,323が、第1,第2の光ファイバユニット2,3の第1,第2中心軸A1,A2が第1,第2頂点2133,3133となる凸状となるように形成されている。
【0114】
第1,第2端面223,323の凸形状も、円錐、四角錐、球等様々な形状とすることが可能である。
【0115】
このような構成とすることでも、上記実施形態で示した光ファイバ接続構造1や図7~15で示した光ファイバ接続構造1とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0116】
なお、このような凸状の第1,第2端面213,313は、例えば、第1,第2の光ファイバユニット2,3の端部を研磨することで形成することができる。このとき、第1,第2の光ファイバユニット2,3が撓んでしまうと均一に研磨することができないため、第1,第2の光ファイバユニット2,3の端部を研磨する際には、一般的に、セラミックや金属で形成したフェルール23,33が用いられる。
【0117】
具体的には、フェルール23,33に形成された貫通孔に第1,第2の光ファイバユニット2,3の端部を挿通した状態で接着固定する。そして、フェルール23,33の端面231,331とともに第1,第2の光ファイバユニット2,3の第1,第2端面223A,323Aを研磨することで、上述した形状の第1,第2端面223,323となるようにしている。このとき、図17に示すように、フェルール23,33にマーキングM1を、第1,第2の光ファイバユニット2,3にマーキングM2を設け、研磨治具50との位置合わせを容易に行えるようにするのが好ましい。
【0118】
図16のように、凸状の第1,第2端面223,323を形成する場合には、研磨治具50の研磨面51で第1,第2端面223A,323Aを研磨する方法がある。具体的には、研磨治具50の研磨面51を第1,第2中心軸A1,A2に直交する平面に対して所定角度θ4(例えば8°等)だけ傾斜させた状態で、端面231,331とともに第1,第2端面223A,323Aを研磨することで形成することができる。このとき、第1,第2中心軸A1,A2を中心に90°回転させながら4回研磨を繰り返すようにすれば、四角錐状の第1,第2端面223,323を形成することができる。また、第1,第2中心軸A1,A2を中心に回転させるようにすれば、円錐状の第1,第2端面223,323を形成することができる。
【0119】
なお、図15に示す凸状の第1,第2端面213,313も、同様の方法で形成することが可能である。
【0120】
[作用・効果]
以下では、上記実施形態及びその変形例で示した光ファイバ接続構造の特徴的構成及びそれにより得られる効果を説明する。
【0121】
上記実施形態及びその変形例で示した光ファイバ接続構造1は、複数の第1コア212が配置された第1の光ファイバユニット2を備えている。また、光ファイバ接続構造1は、複数の第2コア312が複数の第1コア212のそれぞれに対応するように配置された第2の光ファイバユニット3を備えている。
【0122】
また、第1の光ファイバユニット2の第1端面213,223は、第1の光ファイバユニット2の第1中心軸A1が第1底点2131,2231となる凹状または第1中心軸A1が第1頂点2133,2233となる凸状に形成されている。さらに、第1端面213,223は、第1コア212の本数がn本の場合に、第1中心軸A1に関してn回の回転対称性を有する形状をしている。
【0123】
また、第1端面213,223には、複数の第1光通過領域2132,2232となる部位が複数の第1コア212のそれぞれに対応するように存在している。この複数の第1光通過領域2132,2232は、第1中心軸A1に直交する第1平面P1と第1端面213,223との第1交線L1上に位置している。なお、第1平面P1は、第1底点2131,2231または第1頂点2133,2233から第1中心軸A1方向に所定距離d1だけ離れた位置において第1中心軸A1に直交する平面である。
【0124】
また、第2の光ファイバユニット3の第2端面313,323は、第2の光ファイバユニット3の第2中心軸A2が第2底点3131,3231となる凹状または第2中心軸A2が第2頂点3133,3233となる凸状に形成されている。さらに、第2端面313,323は、第2コア312の本数がn本の場合に、第2中心軸A2に関してn回の回転対称性を有する形状をしている。
【0125】
また、第2端面313,323には、複数の第2光通過領域3132,3232となる部位が複数の第2コア312のそれぞれに対応するように存在している。この複数の第2光通過領域3132,3232は、第2中心軸A2に直交する第2平面P2と第2端面313,323との第2交線L2上に位置している。なお、第2平面P2は、第2底点3131,3231または第2頂点3133,3233から第2中心軸A2方向に所定距離d2だけ離れた位置において第2中心軸A2に直交する平面である。
【0126】
そして、第1の光ファイバユニット2と第2の光ファイバユニット3とがレンズ4を介して光結合されている。
【0127】
このような光ファイバ接続構造1では、第1端面213,223の形状が、第1中心軸A1が第1底点2131,2231となる凹状または第1中心軸A1が第1頂点2133,2233となる凸状となっている。すなわち、第1端面213,223が、第1中心軸A1に直交する平面に対して傾斜した面になっている。こうすれば、各第1コア212の端面でのフレネル反射(反射戻り光の発生)を低減させることが可能になる。
【0128】
同様に、第2端面313,323の形状も、第2中心軸A2が第2底点3131,3231となる凹状または第2中心軸A2が第2頂点3133,3233となる凸状となっている。すなわち、第2端面313,323も、第2中心軸A2に直交する平面に対して傾斜した面になっている。そのため、各第2コア312の端面でのフレネル反射(反射戻り光の発生)を低減させることも可能になる。
【0129】
また、上記の光ファイバ接続構造1では、複数の第1光通過領域2132,2232が、第1中心軸A1に直交する第1平面P1と第1端面213,223との第1交線L1上に位置するようにしている。こうすれば、各第1コア212の第1光通過領域2132,2232からレンズ4(第1レンズ41の平坦面411)までの距離を、ほぼ同じ距離とすることが可能になる。例えば、レンズ4が平凸レンズ(第1レンズ41)を備えている場合、下記のようにするだけで、各第1コア212の第1光通過領域2132,2232からレンズ4(第1レンズ41の平坦面411)までの距離を、ほぼ同じ距離とすることが可能になる。具体的には、第1端面213,223と第1レンズ41の平坦面411とを対向させつつ、第1の光ファイバユニット2の第1中心軸A1と第1レンズ41の中心軸A3とを一致させるだけで、ほぼ同じ距離とすることが可能になる。
【0130】
そして、各第1コア212の第1光通過領域2132,2232からレンズ4までの距離がほぼ同じとなるようにすれば、各第1コア212とレンズ4間の距離が異なることに起因する各第1コア212間の結合損失のバラツキの発生を抑制できるようになる。
【0131】
同様に、上記の光ファイバ接続構造1では、複数の第2光通過領域3132,3232が、第2中心軸A2に直交する第2平面P2と第2端面313,323との第2交線L2上に位置するようにしている。こうすれば、各第2コア312の第2光通過領域3132,3232からレンズ4(第2レンズ42の平坦面421)までの距離を、ほぼ同じ距離とすることが可能になる。例えば、レンズ4が平凸レンズ(第2レンズ42)を備えている場合、下記のようにするだけで、各第2コア312の第2光通過領域3132,3232からレンズ4(第2レンズ42の平坦面421)までの距離を、ほぼ同じ距離とすることが可能になる。具体的には、第2端面313,323と第2レンズ42の平坦面421とを対向させつつ、第2の光ファイバユニット3の第2中心軸A2と第2レンズ42の中心軸A4とを一致させるだけで、ほぼ同じ距離とすることが可能になる。
【0132】
そして、各第2コア312の第2光通過領域3132,3232からレンズ4までの距離がほぼ同じとなるようにすれば、各第2コア312とレンズ4間の距離が異なることに起因する各第2コア312間の結合損失のバラツキの発生を抑制できるようになる。
【0133】
このように、上記実施形態及びその変形例で示した構成とすれば、フレネル反射を低減させつつ、コア212,312ごとに結合損失のバラツキが生じてしまうことを抑制することが可能な光ファイバ接続構造1を得ることができる。
【0134】
また、上記実施形態及びその変形例で示した構成とすれば、フレネル反射を低減させつつ、コア212,312ごとに結合損失のバラツキが生じてしまうことを抑制することが可能な光ファイバ接続構造1を、よりシンプルな構造で得ることが可能になる。さらに、フレネル反射を低減させつつ、コア212,312ごとに結合損失のバラツキが生じてしまうことを抑制することが可能な光ファイバ接続構造1を、より容易に得ることも可能になる。
【0135】
また、複数の第1コア212が、第1中心軸A1を中心とする1つの第1円周C1上に等間隔で配置されていてもよい。そして、複数の第2コア312が、第2中心軸A2を中心とする1つの第2円周C2上に等間隔で配置されていてもよい。
【0136】
こうすれば、各第1光通過領域2132,2232からレンズ4(第1レンズ41の平坦面411)までの間に形成される複数の第1光路領域R1に、第1中心軸A1に関して第1コア212の本数回の回転対称性を持たせることが可能になる。同様に、各第2光通過領域3132,3232からレンズ4(第2レンズ42の平坦面421)までの間に形成される複数の第2光路領域R2に、第2中心軸A2に関して第2コア312の本数回の回転対称性を持たせることが可能になる。
【0137】
その結果、複数の第1光路領域R1が第1レンズ41の平坦面411と交わる領域である光の通過領域4111が、第1レンズ41の中心軸A3からほぼ同距離に形成されることになる。すなわち、光の通過領域4111が、第1レンズ41の中心軸A3を中心とする1つの円周C3上に形成されることになる。また、複数の第2光路領域R2が第2レンズ42の平坦面421と交わる領域である光の通過領域4211が、第2レンズ42の中心軸A4からほぼ同距離に形成されることになる。すなわち、光の通過領域4211が、第2レンズ42の中心軸A4を中心とする1つの円周C4上に形成されることになる。
【0138】
こうすれば、レンズ41,42の中央側を通る光路領域R1,R2と外側を通る光路領域R1,R2とが形成されてしまうことが抑制され、光路領域R1,R2ごとに収差の影響に違いが出てしまうことを抑制することが可能になる。その結果、コア212,312ごとに結合損失のバラツキが生じてしまうことを、より確実に抑制することが可能になる。
【0139】
また、光路領域R1,R2に、中心軸A1,A2に関してコア212,312の本数回の回転対称性を持たせるようにすれば、第1の光ファイバユニット2と第2の光ファイバユニット3とを光結合させる際に、より容易に調心を行うことができるようになる。さらに、レンズ41,42の中心軸A3,A4からほぼ同距離に光の通過領域が形成されるようにすれば、レンズ41,42の回転調心を行うためのクリアランスを大きくとる必要がなくなるため、レンズ41,42の小型化を図ることができるようになる。
【0140】
また、第1の光ファイバユニット2及び第2の光ファイバユニット3のうち少なくともいずれか一方の光ファイバユニットが、本体部とコアレスファイバ部とを備えるようにしてもよい。すなわち、少なくともいずれか一方の光ファイバユニットが、第1コア212及び第2コア312のうちの対応するコアが配置された本体部(第1本体部21や第2本体部31)を備えるようにしてもよい。さらに、少なくともいずれか一方の光ファイバユニットが、一端221,321が本体部の端面213A,313Aに融着されるコアレスファイバ部(第1コアレスファイバ部22や第2コアレスファイバ部32)を備えるようにしてもよい。そして、コアレスファイバ部(第1コアレスファイバ部22や第2コアレスファイバ部32)の他端222,322が、第1端面223及び第2端面323のうちの対応する端面となるようにしてもよい。
【0141】
こうすれば、本体部21,31を研磨して凹状または凸状の端面213,313を形成する場合よりも容易に、凹状または凸状の端面223,323を形成することが可能になる。
【0142】
また、第2端面313,323の形状が、第1端面213,223の形状に対応した形状をしていてもよい。
【0143】
こうすれば、第1の光ファイバユニット2と第2の光ファイバユニット3とで、端面213,313,223,323とレンズ4間の距離やレンズ4の焦点距離を変える必要がなくなる。その結果、第1の光ファイバユニット2や第2の光ファイバユニット3をより容易に製造することができるようになる。また、第1の光ファイバユニット2と第2の光ファイバユニット3との調心がより容易になるため、第1の光ファイバユニット2と第2の光ファイバユニット3とを、より容易に光結合させることができるようになる。
【0144】
[その他]
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0145】
例えば、上記実施形態及びその変形例で示した構成を適宜組み合わせることが可能である。
【0146】
また、上記実施形態及びその変形例では、第1コア212及び第2コア312の数が4つのものを例示したが、第1コア212及び第2コア312の数は、2つ以上であればよく、4つに限られるものではない。この場合、複数のコアは、中心軸を中心とする1つの円周上に等間隔で配置されるようにするのが好ましい。
【0147】
また、上記実施形態及びその変形例では、第1の光ファイバユニット2及び第2の光ファイバユニット3の両方が、本体部と、一端が本体部の端面に融着されるコアレスファイバ部と、を備えるようにしたものを例示したが、これに限られるものではない。例えば、第1の光ファイバユニット2のみが、本体部とコアレスファイバ部とを備えるようにすることも可能であるし、第2の光ファイバユニット3のみが、本体部とコアレスファイバ部とを備えるようにすることも可能である。
【0148】
また、上記実施形態及びその変形例では、第1の光ファイバユニット2としてマルチコアファイバを例示し、第2の光ファイバユニット3としてシングルモードファイバを束ねたものを例示したが、これに限られるものではない。例えば、シングルモードファイバを束ねたものを第1の光ファイバユニット2とし、マルチコアファイバを第2の光ファイバユニット3とすることも可能である。
【0149】
また、第1の光ファイバユニット2及び第2の光ファイバユニット3のいずれか一方をマルチコアファイバ同士の光学結合に本発明を適用させることも可能であるし、シングルモードファイバを束ねたもの同士の光学結合に本発明を適用させることも可能である。
【0150】
また、第1の光ファイバユニット2及び第2の光ファイバユニット3のいずれか一方をフューモードファイバとし、他方をマルチコアファイバまたはシングルモードファイバを束ねたものとすることも可能である。また、第1の光ファイバユニット2及び第2の光ファイバユニット3の両方をフューモードファイバとすることも可能である。
【0151】
また、まとめて束ねられていない複数本のシングルモードファイバを用いることも可能である。この場合、中心軸を底点とした凹状または中心軸を頂点とした凸状に形成された相手側の光ファイバユニットの端面の放射光に対応するように、複数本のシングルモードファイバの配置や端面角度を決める必要がある。例えば、中心軸の周囲を囲うように配置した複数本のシングルモードファイバの端面により形成される形状が、相手側の光ファイバユニットの端面の形状(凹状または凸状)となるように、複数本のシングルモードファイバを配置する。
【0152】
また、第1,第2端面213,313,223,323の加工方法は、機械的加工であってもよいし、エッチングやレーザ加工(UV光、超短パルス多光子吸収の利用)等を用いて行うことも可能である。
【0153】
また、第1の光ファイバユニット2の外径と第2の光ファイバユニット3の外径とが異なるようにすることも可能である。この場合、端面とレンズ間の距離及びレンズの焦点距離を適切に変更することで接続が可能となる。
【0154】
また、上記実施形態及びその変形例では、第2端面313,323の形状が、第1端面213,223の形状に対応した形状となるものを例示したが、第2端面313,323の形状を、第1端面213,223の形状に対応させないようにすることも可能である。
【0155】
また、レンズやフェルール、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0156】
1 光ファイバ接続構造
2 第1の光ファイバユニット
21 第1本体部(本体部)
212 第1コア(対応するコア)
213 第1端面
2131 第1底点
2132 第1光通過領域
2133 第1頂点
22 第1コアレスファイバ部(コアレスファイバ部)
221 一端
222 他端
223 第1端面(対応する端面)
2231 第1底点
2232 第1光通過領域
2233 第1頂点
3 第2の光ファイバユニット
31 第2本体部(本体部)
312 第2コア(対応するコア)
313 第2端面
3131 第2底点
3132 第2光通過領域
3133 第2頂点
32 第2コアレスファイバ部(コアレスファイバ部)
321 一端
322 他端
323 第2端面(対応する端面)
3231 第2底点
3232 第2光通過領域
3233 第2頂点
4 レンズ
4111 光の通過領域
4211 光の通過領域
A1 第1中心軸
C1 1つの第1円周
L1 第1交線
P1 第1平面
A2 第2中心軸
C2 1つの第2円周
L2 第2交線
P2 第2平面
d1 所定距離
d2 所定距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17