IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-バッテリターミナルカバー 図1
  • 特開-バッテリターミナルカバー 図2
  • 特開-バッテリターミナルカバー 図3
  • 特開-バッテリターミナルカバー 図4
  • 特開-バッテリターミナルカバー 図5
  • 特開-バッテリターミナルカバー 図6
  • 特開-バッテリターミナルカバー 図7
  • 特開-バッテリターミナルカバー 図8
  • 特開-バッテリターミナルカバー 図9
  • 特開-バッテリターミナルカバー 図10
  • 特開-バッテリターミナルカバー 図11
  • 特開-バッテリターミナルカバー 図12
  • 特開-バッテリターミナルカバー 図13
  • 特開-バッテリターミナルカバー 図14
  • 特開-バッテリターミナルカバー 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129226
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】バッテリターミナルカバー
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/591 20210101AFI20240919BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20240919BHJP
【FI】
H01M50/591
H01M50/588
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038284
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直道
(72)【発明者】
【氏名】秋山 尚也
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA19
5H043CA05
5H043DA04
5H043GA25
(57)【要約】
【課題】廻り止め機能を有しつつ汎用性を持たせることが可能なバッテリターミナルカバーを提供する。
【解決手段】バッテリターミナルカバー6は、バッテリターミナル2を介してカバー本体7をバッテリポスト92に装着させた状態で、カバー本体7のバッテリポスト92廻りの回動を規制することが可能な廻り止め部8を備えている。この廻り止め部8は、バッテリターミナル2を介してカバー本体7をバッテリポスト92に装着させた状態で、バッテリポスト92が形成されるバッテリ本体91と対向するようにカバー本体7に連設される対向壁812を備えている。さらに、廻り止め部8は、対向壁812のバッテリ本体91と対向する側に着脱可能に取り付けられる回動規制部材82,83を備えている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリポストに装着され得るバッテリターミナルに組み付けることが可能なバッテリターミナルカバーであって、
前記バッテリターミナルを前記バッテリポストに装着させることが可能な状態で前記バッテリターミナルに組み付けられるカバー本体と、
前記バッテリターミナルを介して前記カバー本体を前記バッテリポストに装着させた状態で、前記カバー本体の前記バッテリポスト廻りの回動を規制することが可能な廻り止め部と、
を備え、
前記廻り止め部は、
前記バッテリターミナルを介して前記カバー本体を前記バッテリポストに装着させた状態で、前記バッテリポストが形成されるバッテリ本体と対向するように前記カバー本体に連設される対向壁と、
前記対向壁の前記バッテリ本体と対向する側に着脱可能に取り付けられる回動規制部材と、
を備える、
バッテリターミナルカバー。
【請求項2】
前記回動規制部材は、
第1回動規制部材と、
前記対向壁に取り付けた状態における前記対向壁からの突出量が前記第1回動規制部材とは異なる第2回動規制部材と、
を備える、
請求項1に記載のバッテリターミナルカバー。
【請求項3】
前記バッテリターミナルを介して前記カバー本体を前記バッテリポストに装着させた状態で前記対向壁に対して前記バッテリポストが突出する方向と交差する方向となる一方向に前記回動規制部材を相対移動させることで、前記回動規制部材が前記対向壁に着脱可能に取り付けられるように構成されている、
請求項1または請求項2に記載のバッテリターミナルカバー。
【請求項4】
前記回動規制部材は、前記対向壁に対して前記一方向の一方側に前記回動規制部材を相対移動させることで前記対向壁に装着されており、
前記回動規制部材の前記一方向の他方側の端部が前記バッテリ本体に当接することで、前記カバー本体の前記バッテリポスト廻りの回動が規制されるようにした、
請求項3に記載のバッテリターミナルカバー。
【請求項5】
前記対向壁には、前記回動規制部材の前記一方向の一方側の端部が当接して、前記回動規制部材の前記対向壁に対する前記一方向の一方側への相対移動を規制するストッパが形成されている、
請求項4に記載のバッテリターミナルカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリターミナルカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来のバッテリターミナルカバーとしては、特許文献1に開示されたものが提案されている。この特許文献1では、バッテリターミナルカバーとしてのバッテリターミナル用樹脂部品をバッテリターミナルに組み付けた状態で、バッテリターミナルをバッテリポストに接続させることができるようになっている。そして、バッテリターミナル用樹脂部品が組み付けられたバッテリターミナルをバッテリポストに接続させるようにすることで、バッテリターミナルが腐食してしまうことをバッテリターミナル用樹脂部品によって防止できるようにしている。
【0003】
さらに、この特許文献1では、バッテリターミナル用樹脂部品がターミナルストッパを備えるようにしている。このターミナルストッパは、バッテリターミナル用樹脂部品が組み付けられたバッテリターミナルをバッテリポストに接続させる際に、バッテリの側部に当接することが可能なものである。こうすることで、バッテリターミナルのバッテリポストへの接続作業時に、バッテリターミナルがバッテリポストを軸に大きく回動してしまうことを抑制できるようにし、バッテリターミナルの位置を安定させることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-160990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような廻り止め機能を有するバッテリターミナルカバーを用いる場合、サイズの異なるバッテリにカバー付きのバッテリターミナルを接続した場合であっても、廻り止め機能を発揮できるようにするのが好ましい。すなわち、廻り止め機能を有するバッテリターミナルカバーに汎用性を持たせるようにするのが好ましい。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、廻り止め機能を有しつつ汎用性を持たせることが可能なバッテリターミナルカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係るバッテリターミナルカバーは、バッテリポストに装着され得るバッテリターミナルに組み付けることが可能なものであって、前記バッテリターミナルを前記バッテリポストに装着させることが可能な状態で前記バッテリターミナルに組み付けられるカバー本体と、前記バッテリターミナルを介して前記カバー本体を前記バッテリポストに装着させた状態で、前記カバー本体の前記バッテリポスト廻りの回動を規制することが可能な廻り止め部と、を備え、前記廻り止め部は、前記バッテリターミナルを介して前記カバー本体を前記バッテリポストに装着させた状態で、前記バッテリポストが形成されるバッテリ本体と対向するように前記カバー本体に連設される対向壁と、前記対向壁の前記バッテリ本体と対向する側に着脱可能に取り付けられる回動規制部材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、廻り止め機能を有しつつ汎用性を持たせることが可能なバッテリターミナルカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係るカバー付きバッテリターミナルを示す斜視図である。
図2】一実施形態に係るカバー付きバッテリターミナルをバッテリターミナルとバッテリターミナルカバーとに分解して示す斜視図である。
図3】一実施形態に係るバッテリターミナルを裏側から見た斜視図である。
図4】一実施形態に係るバッテリターミナルを一部分解して示す斜視図である。
図5】一実施形態に係るバッテリターミナルを一部分解した状態を裏側から見た斜視図である。
図6】一実施形態に係るバッテリターミナルカバーを示す図であって、回動規制部材を装着していない状態を裏側から見た斜視図である。
図7】一実施形態に係るバッテリターミナルカバーを示す図であって、回動規制部材を装着する途中の状態を裏側から見た斜視図である。
図8】一実施形態に係るバッテリターミナルカバーを示す図であって、回動規制部材を装着させた状態を裏側から見た斜視図である。
図9】一実施形態に係るバッテリターミナルカバーが備える2種類の回動規制部材を示す斜視図である。
図10】一実施形態に係るカバー付きバッテリターミナルをバッテリに組み付ける前の状態を示す斜視図である。
図11】一実施形態に係るカバー付きバッテリターミナルをバッテリに組み付けた状態を示す斜視図である。
図12】一実施形態に係るカバー付きバッテリターミナルをバッテリに組み付けた状態を示す側面図である。
図13】一実施形態に係るカバー付きバッテリターミナルをバッテリに組み付けた状態を示す平面図である。
図14】一実施形態に係るカバー付きバッテリターミナルの回動が規制された状態を示す平面図である。
図15】一実施形態に係るカバー付きバッテリターミナルをサイズの異なる他のバッテリに組み付けた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本実施形態に係るバッテリターミナルカバーについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0011】
以下では、バッテリポストの先端が上方を向くように配置したバッテリにカバー付きバッテリターミナルを組み付けた状態における上下方向を、カバー付きバッテリターミナル(バッテリターミナル及びバッテリターミナルカバー)の上下方向と規定して説明する。したがって、以下の説明では、バッテリポストの中心軸に沿った方向が上下方向となっている。
【0012】
また、一対のバッテリポストが並設される方向をカバー付きバッテリターミナル(バッテリターミナル及びバッテリターミナルカバー)の幅方向と規定して説明する。そして、上下方向及び幅方向と交差(直交)する方向をカバー付きバッテリターミナル(バッテリターミナル及びバッテリターミナルカバー)の前後方向と規定し、端子接続用ボルトが位置する側を前後方向の前方と規定して説明する。
【0013】
本実施形態に係るバッテリターミナルカバー6は、図1及び図2に示すように、バッテリターミナル2に組み付けられるものである。そして、このバッテリターミナルカバー6をバッテリターミナル2に組み付けることで、カバー付きバッテリターミナル1が形成されるようになっている。なお、バッテリターミナル2は、図10及び図11に示すように、バッテリ9のバッテリポスト92に組み付けられるものである。また、バッテリターミナル2は、図示省略した電線圧着端子等の外部接続端子が電気的に接続できるように構成されている。そして、外部接続端子が接続されたバッテリターミナル2をバッテリポスト92に組み付けることで、バッテリポスト92と外部接続端子とが電気的に接続されるようになっている。
【0014】
ここで、本実施形態では、バッテリターミナルカバー6は、バッテリターミナル2に組み付けた状態(カバー付きバッテリターミナル1とした状態)で、バッテリターミナル2をバッテリポスト92に組み付けることができるように構成されている。
【0015】
また、バッテリ9は、車両等に蓄電装置として搭載されるものである。このバッテリ9は、バッテリ液やバッテリ9を構成する種々の部品を収容するバッテリ本体91と、バッテリ本体91の1つの面から法線方向に突出するように形成されたバッテリポスト92とを備えている。本実施形態では、バッテリ9を車両に搭載した状態で鉛直方向上側に位置する上面(1つの面)911にバッテリポスト92が立設されたものを例示している。このバッテリポスト92は、先端側(上側)に向かうにつれて径が小さくなるようにテーパが付けられた円柱状や円筒状をしている。すなわち、バッテリポスト92は、先端922の外径が基端921の外径より小さいテーパ形状をしている。そして、このバッテリポスト92の外周面923にバッテリターミナル2を接触させる(締結させる)ことで、バッテリターミナル2とバッテリポスト92とが電気的に接続されるようにしている。本実施形態では、バッテリ本体91の上面911には、一対のバッテリポスト92が幅方向に離間した状態で並ぶように並設されており、一方がプラス極のバッテリポスト92、他方がマイナス極のバッテリポスト92となっている。そして、本実施形態では、プラス極のバッテリポスト92にバッテリターミナル2が接続されるようにしている。
【0016】
バッテリターミナル2は、図3図5に示すように、バッテリポスト92に接続されるターミナル本体3と、ターミナル本体3に保持されて、外部接続端子が接続される端子接続用ボルト4と、を備えている。さらに、バッテリターミナル2は、ターミナル本体3をバッテリポスト92に締め付けるための締め付け部材5を備えている。
【0017】
ターミナル本体3は、例えば、導電性及び剛性を有する金属材料を用いて形成することができる。本実施形態では、一枚の導電性を有する金属板を素材の外形が所定形状になるように打ち抜き加工し、この打ち抜き加工された加工品に折り曲げ加工等の塑性加工を適宜施すことでターミナル本体3を形成している。そして、このようにして形成されたターミナル本体3が、外部接続端子が電気的に接続される部位である端子接続部31と、この端子接続部31に連設されて、バッテリポスト92に接続される部位である被接続部32と、備えるようにしている。
【0018】
端子接続部31は、上方に位置する第1壁部311と下方に位置する第2壁部312とを備えており、この第1壁部311と第2壁部312の間に端子接続用ボルト4を挟み込むことで、端子接続用ボルト4が端子接続部31に保持されるようにしている。
【0019】
具体的には、第1壁部311は、後端が被接続部32に連結される連設壁3111と、この連設壁3111の前端に連設される上壁3112と、上壁3112の幅方向両端から下方に向けて連設された一対の側壁3113と、を備えている。
【0020】
また、第2壁部312は、後端が被接続部32に連結される連設壁3121と、この連設壁3121の前端に連設される下壁3122と、下壁3122の幅方向両端から上方に向けて連設された一対の側壁3123と、を備えている。
【0021】
そして、第1壁部311の上壁3112には、端子接続用ボルト4の軸部42が挿通される挿通孔31121が形成されており、この挿通孔31121に端子接続用ボルト4の軸部42を挿入できるようになっている。本実施形態では、端子接続用ボルト4の軸部42を下方から挿通孔31121に挿入することで、抜け止めがなされた状態で端子接続用ボルト4が上壁3112に保持されるようにしている。さらに、端子接続用ボルト4を上壁3112に保持した状態で、第2壁部312の下壁3122が端子接続用ボルト4の頭部41を押さえるようにすることで、端子接続用ボルト4が第1壁部311と第2壁部312とで挟持されるようにしている。
【0022】
このように、本実施形態では、頭部41と軸部42とを備える端子接続用ボルト4が用いられており、この端子接続用ボルト4も導電性を有する材料(例えば、金属等)を用いて形成されている。したがって、第1壁部311と第2壁部312とで端子接続用ボルト4を挟持するようにすれば、端子接続部31と端子接続用ボルト4とが電気的に接続されることになる。なお、本実施形態では、上壁3112の下面に、位置決め突起31122が下方に突出するように設けられており、この位置決め突起31122に端子接続用ボルト4の頭部41が当接することで、端子接続用ボルト4の位置決めがなされるようにしている。
【0023】
また、本実施形態では、端子接続部31を形成した状態で、第1壁部311の一対の側壁3113の間に、第2壁部312の一対の側壁3123が位置し、一対の側壁3123の先端が上壁3112に突き当たるようになっている。こうすることで、上壁3112と下壁3122との間に頭部41を収容する空間が形成されるようにしている。
【0024】
さらに、本実施形態では、第1壁部311の一対の側壁3113には、爪部31131が延設されており、下壁3122の幅方向両端における前後方向の中央には切り欠き31221が形成されている。そして、爪部31131をそれぞれ幅方向の内側に折り曲げて、切り欠き31221に収容させつつ、切り欠き31221から露出する側壁3123に突き当てるようにしている。こうすることで、下壁3122が上壁3112から離れる方向に相対移動してしまうことを抑制できるようにしている(図3及び図5参照)。
【0025】
一方、被接続部32は、拡縮可能に構成されてバッテリポスト92が挿入される挿入孔33aが形成されたバッテリポスト取付部33と、バッテリポスト取付部33の後端に連設されて、挿入孔33aの拡縮を行う締め付け部34と、を備えている。
【0026】
バッテリポスト取付部33は、上方かつ後方に傾斜する連設壁3111の後端に連設されて、略水平に延在する第1対向壁331と、上方かつ後方に傾斜する連設壁3121の後端に連設されて、略水平に延在する第2対向壁332と、を備えている。この第1対向壁331と第2対向壁332は、上下方向に離間した状態で互いに対向するように形成されている。一方、締め付け部34は、第1対向壁331の端部(後端)と第2対向壁332の端部(端部)とを連結する略U字状の連結部341を備えている。
【0027】
さらに、本実施形態では、第1対向壁331の略中央部に上方に突出するリブ3311が形成されており、このリブ3311の内側に挿通孔3312が形成されている。同様に、第2対向壁332の略中央部に下方に突出するリブ3321が形成されており、このリブ3321の内側に挿通孔3322が形成されている。そして、第1対向壁331と第2対向壁332との対向方向(上下方向)に沿って見た際に、挿通孔3312と挿通孔3322とが重なり合うようにしている。
【0028】
また、本実施形態では、被接続部32の幅方向中央部に、第1対向壁331におけるリブ3311から略U字状の連結部341を経て第2対向壁332におけるリブ3321へと至る切り込み35が形成されている。すなわち、本実施形態では、挿通孔3312及び挿通孔3322と連通するように切り込み35が形成されている。したがって、本実施形態では、リブ3311及びリブ3321は、後端に切れ込みが形成された略C字状の筒形状をしている。
【0029】
さらに、連結部341が、この切り込み35によって第1連結部3411と第2連結部3412とに分断されている。このような切り込み35を形成することで、挿通孔3312及び挿通孔3322を、内径を拡縮させることが可能な構成としている。すなわち、挿通孔3312及び挿通孔3322は、切り込み35の幅を縮めることで縮径されるようになっている。
【0030】
そして、被接続部32をバッテリポスト92に装着する際には、バッテリポスト92が挿通孔3322、挿通孔3312の順に挿通されるようになっている。このように、本実施形態では、挿通孔3312及び挿通孔3322が、バッテリポスト92が挿入される挿入孔33aとなっている。
【0031】
ここで、本実施形態では、締め付け部材5を用いて、挿入孔33a(挿通孔3312及び挿通孔3322)の拡縮を行うようにしている。
【0032】
この締め付け部材5は、連結部341(第1連結部3411及び第2連結部3412)に幅方向の両側が開口するように形成された挿入空間に挿入されるスライド部材51を備えている。また、締め付け部材5は、頭部531と軸部532とを有する締め付けボルト53と、この締め付けボルト53の締め付け力を、スライド部材51を幅方向にスライドさせる力に変換する変換部材52と、を備えている。
【0033】
具体的には、図4及び図5に示すように、スライド部材51は、本体部511と、本体部511の一端に形成されて第1連結部3411の端面に当接するフランジ512と、を備えている。さらに、スライド部材51は、本体部511の他端に形成されて変換部材52に摺接する摺接突起513を備えている。
【0034】
また、変換部材52は、天壁521と、天壁521の前後方向の両端から下方に向けて連設されて、摺接突起513に摺接する摺接片522と、を備えている。
【0035】
本実施形態では、天壁521には、幅方向に細長い長孔5211が形成されており、この長孔5211に締め付けボルト53の軸部532が上側から挿入されるようになっている。そして、締め付けボルト53の軸部532が上側から長孔5211に挿入した状態で、軸部532の先端を本体部511に形成された螺合孔5111に螺合させるようにしている。このとき、摺接片522の先端が、摺接突起513と第2連結部3412との間に導入されるようにしている。
【0036】
ここで、本実施形態では、摺接片522は、先端側が先細りとなるテーパ状をしており、第2連結部3412の端面に摺接する鉛直面5221と、摺接突起513に形成されたテーパ状の摺接面5131に摺接する傾斜面5222と、を備えている。
【0037】
そして、このような構成をした締め付け部材5とすることで、締め付けボルト53を締め付けると、変換部材52が下方に移動して、スライド部材51が摺接突起513側に移動することになる。このように、スライド部材51が摺接突起513側に移動すると、第1連結部3411がフランジ512に押されることにより、切り込み35の幅が縮まることになる。こうすることで、挿入孔33a(挿通孔3312及び挿通孔3322)が縮径されて、リブ3311及びリブ3321がバッテリポスト92の外周面923に接触し、バッテリターミナル2がバッテリポスト92に締結されることになる。なお、本実施形態では、リブ3311及びリブ3321は、バッテリポスト92の形状に対応するように、上方に向かうにつれて縮径するテーパ状に形成されている。
【0038】
次に、バッテリターミナルカバー6の構成について説明する。
【0039】
バッテリターミナルカバー6は、バッテリターミナル2をバッテリポスト92に装着させることが可能な状態でバッテリターミナル2に組み付けられるカバー本体7を備えている。このカバー本体7は、バッテリ9とバッテリターミナル2との間に介在する部材であって、バッテリ液に対しての耐食性を持たせるために(防食機能を持たせるために)、合成樹脂材料(例えば、ポリプロピレン等)を用いて成形されている。
【0040】
本実施形態では、カバー本体7は、図2に示すように、バッテリターミナル2に組み付けた状態で、端子接続部31を保持する第1保持部71と、被接続部32を保持する第2保持部72と、を備えている。
【0041】
第1保持部71は、端子接続部31の下方に位置する底壁711と、底壁711の幅方向の両側から上方に向けて連設される一対の側壁712と、を備えている。また、本実施形態では、一対の側壁712の前端側に、幅方向の内側に突出する位置決めリブ7121がそれぞれ形成されており、この位置決めリブ7121によって端子接続部31の幅方向への相対移動が抑制されるようになっている。
【0042】
一方、第2保持部72は、被接続部32の下方に位置する底壁721と、底壁721の幅方向の両側から上方に向けて連設される一対の側壁722と、を備えている。さらに、第2保持部72は、被接続部32の上方に位置する天壁723と、底壁721の幅方向の両側から上方に向けて連設される後壁724と、を備えている。
【0043】
本実施形態では、一方の側壁722の上端にヒンジ7221が形成されており、このヒンジ7221に天壁723が回動可能(開閉可能)に取り付けられている。また、他方の側壁722側には、天壁723を閉状態でロックすることが可能なロック部725が形成されている。具体的には、他方の側壁722にフック7222を形成し、天壁723の幅方向におけるヒンジ7221に連結される側とは半端側の端部から下方に向けて連設された係止枠7232を形成している。そして、天壁723を閉じる際に、この係止枠7232をフック7222に係止させることで、天壁723が閉状態でロックされるようにしている。このように、本実施形態では、フック7222と係止枠7232とでロック部725を構成している。
【0044】
また、本実施形態では、底壁721の略中央部に被接続部32のリブ3321が挿入される貫通孔7211が形成されており、天壁723には、被接続部32のリブ3311が配置される半円状の切り欠き7231が形成されている。こうすることで、被接続部32の位置ずれを抑制しつつ、挿入孔33aが第2保持部72によって塞がれないようにしている。
【0045】
さらに、本実施形態では、後壁724の幅方向の中央上端には、締め付け部34の上方への相対移動を抑制する突起7241が前方に突出するように形成されている。
【0046】
このような構成をしたカバー本体7にバッテリターミナル2を組み付ける際には、まず、ロック部725によるロックを解除し、ヒンジ7221を軸にして天壁723を上方に向けて回動させる。そして、この開状態で、締め付け部34が突起7241の下方に位置し、リブ3321が貫通孔7211に挿入され、切り欠き7231の後部にリブ3311が配置されるようにバッテリターミナル2をバッテリターミナルカバー6上に載置する。このとき、バッテリターミナル2の端子接続部31が一対の位置決めリブ7121の間に配置されるようにする。
【0047】
そして、バッテリターミナル2をバッテリターミナルカバー6上に載置した状態で、ヒンジ7221を軸にして天壁723を下方に向けて回動させて、係止枠7232をフック7222に係止させることで、天壁723が閉状態でロックされるようにする。こうすることで、バッテリターミナル2がバッテリターミナルカバー6に組み付けられて、カバー付きバッテリターミナル1が形成される。
【0048】
ところで、このような構成をしたカバー付きバッテリターミナル1をバッテリポスト92に締結する際には、締め付けボルト53を締め付ける作業を行うことになる。しかしながら、本実施形態では、締め付けボルト53を締め付ける作業を行う際には、バッテリポスト92の中心軸Cの延在方向と同じ方向である上下方向を軸にして締め付けボルト53を回動させることになる。そのため、締め付けボルト53を締め付ける作業を行う際に、カバー付きバッテリターミナル1がバッテリポスト92の中心軸Cを軸に大きく回動してしまうおそれがある。
【0049】
そこで、本実施形態では、バッテリターミナルカバー6が廻り止め部8を備えるようにして、カバー付きバッテリターミナル1がバッテリポスト92の中心軸Cを軸に大きく回動してしまうことを抑制できるようにした。
【0050】
本実施形態では、図6図8に示すように、廻り止め部8は、廻り止め本体81を備えている。この廻り止め本体81は、カバー本体7に一体に連設されており、廻り止め機能を発揮させるために剛性を有している。本実施形態では、廻り止め本体81は、カバー本体7の側壁722に幅方向の外側に突出するように連設される天壁811を備えている。この天壁811は、バッテリターミナル2を介してカバー本体7をバッテリポスト92に装着させた状態で、バッテリ本体91の上面911と対向するように形成されており、この天壁811には複数の補強リブ8111が形成されている。
【0051】
また、廻り止め本体81は、天壁811の幅方向の先端から下方に向けて突出するように連設された側壁812を備えている。この側壁812は、バッテリターミナル2を介してカバー本体7をバッテリポスト92に装着させた状態で、バッテリ本体91の側面912と対向するように形成されている。このように、本実施形態では、廻り止め本体81の側壁812が、バッテリターミナル2を介してカバー本体7をバッテリポスト92に装着させた状態で、バッテリ本体91と対向するようにカバー本体7に連設される対向壁に相当している。
【0052】
そして、このような廻り止め本体81をカバー本体7に連設することで、カバー付きバッテリターミナル1がバッテリポスト92の中心軸Cを軸に回動した際に、側壁812がバッテリ本体91の側面912に当接し、それ以上の回動が規制されるようにしている。
【0053】
しかしながら、カバー本体7に一体化させた廻り止め本体81を設けただけでは、カバー付きバッテリターミナル1を接続するバッテリ9のサイズが異なった場合に、接続できなくなってしまうおそれがある。また、サイズの異なるバッテリ9に接続することができた場合であっても、規制角度θが大きくなってしまい、廻り止め機能を十分に発揮することができなくなってしまうおそれもある。
【0054】
そこで、本実施形態では、バッテリターミナルカバー6に汎用性を持たせるようにして、サイズの異なるバッテリ9に接続させた場合であっても、廻り止め機能を発揮することができるようにしている。
【0055】
具体的には、廻り止め部8が、廻り止め本体81とは別の部材であって、側壁812のバッテリ本体91と対向する側に着脱可能に取り付けられる回動規制部材を備えるようにしている。
【0056】
本実施形態では、図9に示すように、第1回動規制部材82と、側壁(対向壁)812に取り付けた状態における側壁(対向壁)812からの突出量d3が第1回動規制部材82よりも小さい第2回動規制部材83の2種類の回動規制部材を備えるようにしている。
【0057】
そして、側壁812のバッテリ本体91の側面912と対向する対向面8121側に、圧入溝8122を前後方向に延在するように形成している。この圧入溝8122は、後方に開口81221が存在するように形成されており、回動規制部材(第1回動規制部材82や第2回動規制部材83)が後方から圧入溝8122に圧入されるようになっている。
【0058】
このように、本実施形態では、一方向(前後方向)に回動規制部材82,83を相対移動させることで、回動規制部材82,83が側壁(対向壁)812に着脱可能に取り付けられるようにしている。ここで、一方向(前後方向)とは、バッテリターミナル2を介してカバー本体7をバッテリポスト92に装着させた状態で側壁(対向壁)812に対してバッテリポスト92が突出する方向(上下方向)と交差する方向のことである。
【0059】
こうすることで、一方向に回動規制部材82,83を相対移動させるだけで回動規制部材82,83を側壁(対向壁)812に着脱させることができるようにし、回動規制部材82,83の側壁(対向壁)812への着脱作業を、より容易に行えるようにしている。
【0060】
そして、回動規制部材(第1回動規制部材82や第2回動規制部材83)は、側壁812に装着した際に、バッテリ本体91の側面912に当接することが可能な規制部本体821,831を備えている。本実施形態では、規制部本体821,831は略直方体状をしている。また、回動規制部材(第1回動規制部材82や第2回動規制部材83)は、規制部本体821,831の一面に連設されて圧入溝8122に圧入される圧入突起822,832を備えている。この圧入突起822,832も略直方体状をしている。なお、第1回動規制部材82及び第2回動規制部材83も、合成樹脂材料(例えば、ポリプロピレン等)を用いて成形されており、剛性を有している。
【0061】
そして、この圧入突起822,832を、開口81221から圧入溝8122に挿入(圧入)し、側壁812に対して前後方向の前方に相対移動させることで、第1回動規制部材82や第2回動規制部材83が側壁812に装着されるようにしている。
【0062】
このとき、本実施形態では、圧入溝8122の前端に突き当て面(ストッパ)81222が形成されており、第1回動規制部材82や第2回動規制部材83の前端部8221,8321が突き当たることで、それ以上の圧入がされないようにしている。すなわち、第1回動規制部材82や第2回動規制部材83の前端部8221,8321を突き当て面(ストッパ)81222に突き当てた状態が、回動規制部材の装着完了状態となるようにしている。
【0063】
こうすることで、バッテリターミナルカバー6が組み付けられたバッテリターミナル2をバッテリポスト92に接続させる際に、回動規制部材を側壁(対向壁)812に装着するか否かを選択できるようにしている。そして、回動規制部材を側壁(対向壁)812に装着するか否かを選択することで、廻り止め部8とバッテリ本体91の側面912との対向距離を適宜に調整することができるようにしている。
【0064】
ここで、回動規制部材を側壁(対向壁)812に装着しない場合には、距離d2と距離d1との差(d2-d1)が廻り止め部8とバッテリ本体91の側面912との対向距離となる。また、回動規制部材を側壁(対向壁)812に装着する場合には、距離d2から距離d1及び距離d3を引いた値(d2-d1-d3)が廻り止め部8とバッテリ本体91の側面912との対向距離となる。なお、距離d2は、バッテリポスト92の中心から側壁(対向壁)812の対向面8121までの距離であり、距離d1は、バッテリポスト92の中心からバッテリ本体91の側面912までの距離である。また、距離d3は、側壁(対向壁)812に取り付けた状態における回動規制部材の側壁(対向壁)812からの突出量である。言い換えると、距離d3は、側壁(対向壁)812に取り付けた状態における側壁(対向壁)812の対向面8121から第1回動規制部材82や第2回動規制部材83の対向面821a,831aまでの距離である。
【0065】
そして、廻り止め部8とバッテリ本体91の側面912との対向距離を適宜に調整できるようにすることで、バッテリターミナルカバー6やバッテリターミナル2の回動角度(回動可能な範囲)を適宜に調整することができるようにしている。
【0066】
例えば、図12に示すように、第1回動規制部材82を側壁812に取り付けた状態であっても、距離d2が距離d1よりも大きくなる場合には、第1回動規制部材82を側壁812に取り付けることを選択することができる。こうすれば、廻り止め部8とバッテリ本体91の側面912との対向距離を極力小さくして、規制角度θが極力小さくなるようにすることができるようになる(図14参照)。
【0067】
このとき、第2回動規制部材83を側壁812に取り付けることを選択したり、側壁812にどちらも取り付けないことを選択したりすることもできる。
【0068】
このように、本実施形態では、複数種類の態様を選択することができるようにしているため、この選択によって、対向距離や規制角度θを調整することができるようになる。
【0069】
なお、図15に示すように、第1回動規制部材82を側壁812に取り付けた状態では、距離d2が距離d1よりも小さくなってしまう場合には、第1回動規制部材82を側壁812に取り付けることを選択することはできない。そのため、第2回動規制部材83を側壁812に取り付けることを選択する、または、側壁812にどちらも取り付けないことを選択することしかできなくなってしまう。
【0070】
しかしながら、本実施形態のように、2種類の回動規制部材を備えるようにすれば、仮に、第1回動規制部材82を側壁812に取り付けることができない場合であっても、対向距離や規制角度θを調整することができるようになる。
【0071】
また、廻り止め本体81とは別の部材である回動規制部材を備えるようにすれば、バッテリターミナルカバー6やバッテリターミナル2の回動角度の最大値(規制角度θ)が所定の角度以下となるようにすることが可能になる。すなわち、バッテリターミナルカバー6が組み付けられたバッテリターミナル2をバッテリポスト92に接続させる際に、バッテリターミナルカバー6やバッテリターミナル2が極力回動しないようにする(規制角度θを極力小さくする)ことが可能になる。
【0072】
したがって、バッテリターミナル2を接続するバッテリ9のサイズ(例えば、バッテリポスト92の中心からバッテリ本体91の側面912までの距離d1)が異なる場合であっても、廻り止め部8による廻り止め機能を発揮させることができるようになる。すなわち、廻り止め機能を発揮できるようにした状態で、バッテリターミナルカバー6が組み付けられたバッテリターミナル2をサイズの異なるバッテリ9のバッテリポスト92に接続させることができるようになる。
【0073】
このように、本実施形態では、上述した構成とすることで、廻り止め機能を有しつつ汎用性を持たせることが可能なバッテリターミナルカバー6を得られるようにしている。具体的には、カバー本体7や側壁(対向壁)812の形態を変更することなく、サイズの異なるバッテリ9のバッテリポスト92に接続させることができるようにしている。
【0074】
こうすれば、バッテリ9のサイズごとに大きさや形状の異なるバッテリターミナルカバーを準備する必要がなくなるため、他のバッテリターミナルカバーを製造するための金型を別途用意する必要もなくなって、コストを削減することも可能になる。
【0075】
さらに、本実施形態では、回動規制部材は、側壁812に対して一方向(前後方向)の一方側(前側)に相対移動させることで側壁812に装着されるようにしている。そして、回動規制部材の一方向(前後方向)の他方側(後側)の端部(後端部8211,8311)がバッテリ本体91に当接することで、カバー本体7のバッテリポスト92廻りの回動が規制されるようにしている。
【0076】
こうすることで、カバー本体7のバッテリポスト92廻りの回動が規制された際に、回動規制部材に、側壁812に装着される方向への力がバッテリ本体91から加えられるようにしている。そして、回動規制部材の側壁812から外れる方向への相対移動がバッテリ本体91によって規制されるようにしている。こうすれば、回動規制部材が側壁812に対して相対的に移動して側壁812から外れてしまうことを抑制することができるようになる。
【0077】
このとき、側壁812の圧入溝8122には、回動規制部材の一方向(前後方向)の一方側(前側)の端部(前端部8221,8321)が当接する突き当て面(ストッパ)81222が形成されている。そのため、回動規制部材の前端部8221,8321を突き当て面(ストッパ)81222に当接させることで、回動規制部材の側壁812への装着が完了した状態とすることが可能になる。そして、回動規制部材の一方向(前後方向)の一方側(前側)へのそれ以上の移動が、この突き当て面(ストッパ)81222によって規制されることになる。
【0078】
したがって、本実施形態で示した構成とすれば、カバー本体7のバッテリポスト92廻りの回動が規制された際に、回動規制部材が側壁812に対して相対的に移動してしまうことを、より確実に抑制することが可能になる。
【0079】
[作用・効果]
以下では、上記実施形態で示したバッテリターミナルカバーの特徴的構成及びそれにより得られる効果を説明する。
【0080】
上記実施形態で示したバッテリターミナルカバー6は、バッテリポスト92に装着され得るバッテリターミナル2に組み付けることが可能なものである。
【0081】
このバッテリターミナルカバー6は、バッテリターミナル2をバッテリポスト92に装着させることが可能な状態でバッテリターミナル2に組み付けられるカバー本体7を備えている。さらに、バッテリターミナルカバー6は、バッテリターミナル2を介してカバー本体7をバッテリポスト92に装着させた状態で、カバー本体7のバッテリポスト92廻りの回動を規制することが可能な廻り止め部8を備えている。
【0082】
ここで、廻り止め部8は、バッテリターミナル2を介してカバー本体7をバッテリポスト92に装着させた状態で、バッテリポスト92が形成されるバッテリ本体91と対向するようにカバー本体7に連設される側壁(対向壁)812を備えている。
【0083】
そして、廻り止め部8は、側壁(対向壁)812のバッテリ本体91と対向する側に着脱可能に取り付けられる回動規制部材(第1回動規制部材82や第2回動規制部材83)を備えている。
【0084】
このように、上記実施形態で示したバッテリターミナルカバー6では、廻り止め部8が、カバー本体7に連設される側壁(対向壁)812とは独立した廻り止めパーツ(回動規制部材)を備えるようにしている。こうすれば、バッテリターミナルカバー6が組み付けられたバッテリターミナル2をバッテリポスト92に接続させる際に、回動規制部材を側壁(対向壁)812に装着するか否かを選択することが可能になる。そして、回動規制部材を側壁(対向壁)812に装着するか否かを選択することで、廻り止め部8とバッテリ本体91の側面912との対向距離を適宜に調整することが可能になる。
【0085】
ここで、回動規制部材を側壁(対向壁)812に装着しない場合には、距離d2と距離d1との差(d2-d1)が廻り止め部8とバッテリ本体91の側面912との対向距離となる。また、回動規制部材を側壁(対向壁)812に装着する場合には、距離d2から距離d1及び距離d3を引いた値(d2-d1-d3)が廻り止め部8とバッテリ本体91の側面912との対向距離となる。なお、距離d2は、バッテリポスト92の中心から側壁(対向壁)812の対向面8121までの距離であり、距離d1は、バッテリポスト92の中心からバッテリ本体91の側面912までの距離である。また、距離d3は、側壁(対向壁)812に取り付けた状態における回動規制部材の側壁(対向壁)812からの突出量である。
【0086】
そして、廻り止め部8とバッテリ本体91の側面912との対向距離を適宜に調整できるようにすれば、バッテリターミナルカバー6やバッテリターミナル2の回動角度(回動可能な範囲)を適宜に調整することが可能になる。
【0087】
例えば、バッテリターミナルカバー6が組み付けられたバッテリターミナル2をバッテリポスト92に接続させる際に、バッテリターミナルカバー6やバッテリターミナル2の回動角度の最大値(規制角度θ)が所定の角度以下となるようにすることが可能になる。すなわち、バッテリターミナルカバー6が組み付けられたバッテリターミナル2をバッテリポスト92に接続させる際に、バッテリターミナルカバー6やバッテリターミナル2が極力回動しないようにする(規制角度θを極力小さくする)ことが可能になる。
【0088】
したがって、バッテリターミナル2を接続するバッテリ9のサイズ(例えば、バッテリポスト92の中心からバッテリ本体91の側面912までの距離d1)が異なる場合であっても、廻り止め部8による廻り止め機能を発揮させることができるようになる。すなわち、廻り止め機能を発揮できるようにした状態で、バッテリターミナルカバー6が組み付けられたバッテリターミナル2をサイズの異なるバッテリ9のバッテリポスト92に接続させることができるようになる。
【0089】
以上説明したように、上記実施形態で示した構成とすれば、廻り止め機能を有しつつ汎用性を持たせることが可能なバッテリターミナルカバー6を得ることが可能になる。
【0090】
また、上記実施形態で示した構成とすれば、カバー本体7や側壁(対向壁)812の形態を変更することなく、サイズの異なるバッテリ9のバッテリポスト92に接続させることが可能になる。その結果、バッテリ9のサイズごとに大きさや形状の異なるバッテリターミナルカバーを準備する必要がなくなるため、他のバッテリターミナルカバーを製造するための金型を別途用意する必要もなくなって、コストを削減することも可能になる。
【0091】
また、回動規制部材が、第1回動規制部材82と、側壁(対向壁)812に取り付けた状態における側壁(対向壁)812からの突出量d3が第1回動規制部材82とは異なる第2回動規制部材83と、を備えるようにしてもよい。
【0092】
こうすれば、廻り止め部8とバッテリ本体91の側面912との対向距離を3段階以上の多段階で調整することが可能になる。
【0093】
また、突出量d3が異なる複数種類の回動規制部材を備えるようにすれば、バッテリ9のサイズごとに回動規制部材を使い分けることも可能になる。
【0094】
また、回動規制部材を使い分けるようにすれば、同じサイズのバッテリ9に接続する際における規制角度θの調整を行うこともできるようになる。
【0095】
このように、突出量d3が異なる複数種類の回動規制部材(第1回動規制部材82及び第2回動規制部材83)を備えるようにすれば、廻り止め機能を有するバッテリターミナルカバー6の汎用性を、より高めることが可能になる。
【0096】
また、一方向(前後方向)に回動規制部材82,83を相対移動させることで、回動規制部材82,83が側壁(対向壁)812に着脱可能に取り付けられるようにしてもよい。ここで、一方向(前後方向)とは、バッテリターミナル2を介してカバー本体7をバッテリポスト92に装着させた状態で側壁(対向壁)812に対してバッテリポスト92が突出する方向(上下方向)と交差する方向のことである。
【0097】
こうすれば、一方向に回動規制部材82,83を相対移動させるだけで回動規制部材82,83を側壁(対向壁)812に着脱させることが可能になる。そのため、回動規制部材82,83の側壁(対向壁)812への着脱作業を、より容易に行うことができるようになる。
【0098】
また、回動規制部材82,83は、側壁(対向壁)812に対して一方向(前後方向)の一方側(前側)に回動規制部材82,83を相対移動させることで対向壁812に装着されていてもよい。そして、回動規制部材82,83の一方向(前後方向)の他方側(後側)の端部(後端部8211,8311)がバッテリ本体91に当接することで、カバー本体7のバッテリポスト92廻りの回動が規制されるようにしてもよい。
【0099】
こうすれば、カバー本体7のバッテリポスト92廻りの回動が規制された際に、回動規制部材82,83には、側壁(対向壁)812に装着される方向への力がバッテリ本体91から加えられることになる。そして、回動規制部材82,83の側壁(対向壁)812から外れる方向への相対移動がバッテリ本体91によって規制されることになる。その結果、回動規制部材82,83が側壁(対向壁)812に対して相対的に移動して側壁(対向壁)812から外れてしまうことを抑制することが可能になる。
【0100】
また、側壁(対向壁)812に、回動規制部材82,83の一方向(前後方向)の一方側(前側)の端部(前端部8221,8321)が当接する突き当て面(ストッパ)81222が形成されていてもよい。この突き当て面(ストッパ)81222は、回動規制部材82,83の側壁(対向壁)812に対する一方向(前後方向)の一方側(前側)への相対移動を規制するものである。
【0101】
こうすれば、回動規制部材82,83の前端部8221,8321を突き当て面(ストッパ)81222に当接させることで、回動規制部材82,83の側壁(対向壁)812への装着が完了した状態とすることが可能になる。そして、回動規制部材82,83の一方向(前後方向)の一方側(前側)へのそれ以上の移動が、この突き当て面(ストッパ)81222によって規制されることになる。
【0102】
その結果、カバー本体7のバッテリポスト92廻りの回動が規制された際に、回動規制部材82,83が側壁(対向壁)812に対して相対的に移動してしまうことを、より確実に抑制することが可能になる。
【0103】
[その他]
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0104】
例えば、上記実施形態では、廻り止め部8が、2種類の回動規制部材(第1回動規制部材82及び第2回動規制部材83)を備えたものを例示している。しかしながら、このような構成に限られるものではなく、例えば、廻り止め部8が1種類の回動規制部材のみ備える構成とすることも可能であるし、3種類以上の回動規制部材を備え、選択的に側壁(対向壁)812に装着できる構成とすることも可能である。
【0105】
また、上記実施形態では、バッテリターミナルカバー6が組み付けられたバッテリターミナル2をバッテリポスト92に接続させた状態で、側壁(対向壁)812がバッテリ本体91の側面912と対向するようにしたものを例示している。しかしながら、バッテリターミナルカバー6の構成は、このような構成に限られるものではない。例えば、バッテリターミナルカバー6が組み付けられたバッテリターミナル2をバッテリポスト92に接続させた状態で、側壁(対向壁)812をバッテリ本体91の前面や後面に対向させるようにすることも可能である。すなわち、側壁(対向壁)812が、バッテリ本体91のバッテリポスト92が設けられる面(上面911)に連設される面(前面、後面、側面等の周面)と対向するように、バッテリターミナルカバーが形成されていればよい。
【0106】
また、上記実施形態では、剛体の回動規制部材を側壁(対向壁)812に装着させるようにしたものを例示したが、このような構成に限られるものではなく、例えば、回動規制部材の少なくとも一部(本体部等)を弾性体で形成することも可能である。
【0107】
また、上記実施形態では、上下方向で締め付けボルトを締め付け、この締め付け力を幅方向に変換して締め付け部を近接させるようにしたものを例示しているが、このような構成に限られるものではない。例えば、幅方向から締め付けボルトを締め付けることで締め付け部を近接させるようにすることも可能である。
【0108】
また、バッテリターミナルやカバー本体、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0109】
2 バッテリターミナル
6 バッテリターミナルカバー
7 カバー本体
8 廻り止め部
812 側壁(対向壁)
81222 突き当て面(ストッパ)
82 第1回動規制部材(回動規制部材)
8211 後端部(一方向の他方側の端部)
8221 前端部(一方向の一方側の端部)
83 第2回動規制部材(回動規制部材)
8311 後端部(一方向の他方側の端部)
8321 前端部(一方向の一方側の端部)
91 バッテリ本体
92 バッテリポスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15