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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129235
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】ロボット装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
B25J13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038305
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】越田 浩旨
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS10
3C707BT01
3C707CV08
3C707CW08
3C707CX01
3C707DS01
3C707ES03
3C707HS27
3C707KS21
3C707KT01
3C707KT06
(57)【要約】
【課題】ロボット装置の駆動性能に影響を及ぼすことなく、簡易かつ円滑に、接続部の回動状態を検出可能なロボット装置を提供する。
【解決手段】ロボット装置1は、第1部材と、第1部材に対して回動可能に接続された第2部材と、第1部材または第2部材を回動させるモータと、第1部材と第2部材との接続部付近において第1部材に配置された第1マーカーと、第1部材に対する第2部材の回動角が所定角度となったときに、第1マーカーの位置に一致するよう、接続部付近において第2部材に配置された第2マーカーと、少なくとも接続部付近を俯瞰するカメラ20から撮像画像を取得し、撮像画像上における第1マーカーと第2マーカーとの位置関係に基づいて、第1部材に対する第2部材の回動角が所定角度であるか否かを判定する制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材に対して回動可能に接続された第2部材と、
前記第1部材または前記第2部材を回動させるモータと、
前記第1部材と前記第2部材との接続部付近において前記第1部材に配置された第1マーカーと、
前記第1部材に対する前記第2部材の回動角が所定角度となったときに、前記第1マーカーの位置に一致するよう、前記接続部付近において前記第2部材に配置された第2マーカーと、
少なくとも前記接続部付近を俯瞰するカメラから撮像画像を取得し、前記撮像画像上における前記第1マーカーと前記第2マーカーとの位置関係に基づいて、前記第1部材に対する前記第2部材の回動角が前記所定角度であるか否かを判定する制御部と、を備える、
ことを特徴とするロボット装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロボット装置において、
前記第1マーカーおよび前記第2マーカーは、互いに一致すると前記撮像画像から所定の情報を読み取り可能な1つの記憶媒体を構成し、
前記制御部は、前記第1マーカーと前記第2マーカーとが一致したと判定すると、前記記憶媒体に保持されている情報を読み取る、
ことを特徴とするロボット装置。
【請求項3】
請求項2に記載のロボット装置において、
前記記憶媒体は、1次元バーコードである、
ことを特徴とするロボット装置。
【請求項4】
請求項2に記載のロボット装置において、
前記記憶媒体は、2次元バーコードにより構成される、
ことを特徴とするロボット装置。
【請求項5】
請求項2に記載のロボット装置において、
前記第1マーカーおよび前記第2マーカーにより構成される前記記憶媒体から取得される情報は、前記所定角度を含む、
ことを特徴とするロボット装置。
【請求項6】
請求項2に記載のロボット装置において、
前記第1マーカーおよび前記第2マーカーにより構成される前記記憶媒体から取得される情報は、前記所定角度に対応する前記第1部材および前記第2部材の回動状態を識別可能な情報を含む、
ことを特徴とするロボット装置。
【請求項7】
請求項1に記載のロボット装置において、
互いに一致した前記第1マーカーおよび前記第2マーカーの全体によって所定の図柄が構成され、
前記制御部は、前記撮像画像において、前記第1マーカーおよび前記第2マーカーの全体画像が前記所定の図柄の画像を構成したと判定した場合、前記第1部材に対する前記第2部材の回動角が前記所定角度であると判定する、
ことを特徴とするロボット装置。
【請求項8】
請求項1に記載のロボット装置において、
前記第1マーカーおよび前記第2マーカーが配置された前記接続部を複数備え、
前記カメラは、前記複数の接続部を同時に撮像し、
前記制御部は、前記撮像画像における各々の前記接続部の前記第1マーカーおよび前記第2マーカーとの位置関係に基づいて、前記複数の接続部において前記第1部材に対する前記第2部材の回動角が所定角度であるか否かを判定する、
ことを特徴とするロボット装置。
【請求項9】
請求項8に記載のロボット装置において、
前記第1マーカーおよび前記第2マーカーの形態は、前記複数の接続部ごとに互いに異なっている、
ことを特徴とするロボット装置。
【請求項10】
請求項1に記載のロボット装置において、
前記第1マーカーおよび前記第2マーカーの少なくとも一方が複数配置され、
前記第1マーカーの位置と前記第2マーカーの位置とが一致するときの前記所定角度が、複数設けられている、
ことを特徴とするロボット装置。
【請求項11】
請求項10に記載のロボット装置において、
前記複数配置されたマーカーの形態は、互いに異なっている、
ことを特徴とするロボット装置。
【請求項12】
請求項1に記載のロボット装置において、
前記モータに接続されたエンコーダを備え、
前記制御部は、前記第1部材に対する前記第2部材の回動角が前記所定角度であると判定したことに基づいて、前記エンコーダの出力値を補正する、
ことを特徴とするロボット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの部材の接続部においてこれら部材が相対的に回動するロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクトリーオートメーション等の分野においてロボットが利用されている。たとえば、ベルトコンベア付近にロボットアームが設置される。ロボットアームは、予め設定された制御コマンドにより、たとえば、所定の位置に積載されている物品をベルトコンベア上のコンテナに移し替える。
【0003】
以下の特許文献1には、第1部材と、第1部材に対して回動軸まわりに回動可能に設けられている第2部材と、第1部材に対向する第2部材の表面に回動軸まわりに沿って配置されている複数のマークと、第1部材に配置され、複数のマークの1つを検出するマーク検出部と、を備えるロボットが記載されている。複数のマークは、回動方向に等間隔で並んでいる。複数のマークは、第2部材の回動に伴い一様に回動する。マーク検出部は、複数のマークの回動経路上の1カ所に光を照射する発光素子と、この光の反射光を受光する受光素子とからなっている。あるいは、マーク検出部は、複数のマークの回動経路上の1カ所を撮像するためのレンズおよび撮像素子からなっている。マーク検出部の検出結果に基づいて、第1部材および第2部材の相対的な回動状態が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-177238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のロボットでは、マーク検出部が第1部材に配置されているためマーク検出部の荷重がロボットにかかり、当該荷重がロボットの駆動性能に影響を及ぼす。また、マーク検出部が第1部材に配置されているため、ロボットの構成が複雑となってしまう。この問題は、ロボットが複数の接続部を有する場合に、より顕著となる。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、ロボット装置の駆動性能に影響を及ぼすことなく、簡易かつ円滑に、接続部の回動状態を検出可能なロボット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主たる態様に係るロボット装置は、第1部材と、前記第1部材に対して回動可能に接続された第2部材と、前記第1部材または前記第2部材を回動させるモータと、前記第1部材と前記第2部材との接続部付近において前記第1部材に配置された第1マーカーと、前記第1部材に対する前記第2部材の回動角が所定角度となったときに、前記第1マーカーの位置に一致するよう、前記接続部付近において前記第2部材に配置された第2マーカーと、少なくとも前記接続部付近を俯瞰するカメラから撮像画像を取得し、前記撮像画像上における前記第1マーカーと前記第2マーカーとの位置関係に基づいて、前記第1部材に対する前記第2部材の回動角が前記所定角度であるか否かを判定する制御部と、を備える。
【0008】
本態様に係るロボット装置によれば、第1部材と第2部材との接続部付近を撮像して得られた撮像画像に基づいて、第1マーカーと第2マーカーとの位置関係を検出できる。制御部は、撮像画像上において第1マーカーと第2マーカーとが一致した場合に、第1部材に対する第2部材の回動角が所定角度であると判定する。したがって、第1部材および第2部材にマーカーを検知するための構成を配置する必要がないため、この構成の荷重がロボットの駆動性能に影響を及ぼすことがない。また、第1部材と第2部材に、それぞれ、第1マーカーと第2マーカーを配置するだけでよいため、ロボットの構成が複雑化することもない。よって、簡易かつ円滑に、第1部材に対する第2部材の回動状態を検出できる。
【発明の効果】
【0009】
以上のとおり、本発明によれば、ロボット装置の駆動性能に影響を及ぼすことなく、簡易かつ円滑に、接続部の回動状態を検出可能なロボット装置を提供できる。
【0010】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1に係る、ロボット装置の使用形態を模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態1に係る、ロボットおよび制御装置の構成を示すブロック図である。
図3図3(a)および図3(b)は、それぞれ、実施形態1に係る、初期状態および把持状態である場合の、ロボットの回動状態を模式的に示す図である。
図4図4(a)および図4(b)は、それぞれ、実施形態1に係る、載置状態および待機状態である場合の、ロボットの回動状態を模式的に示す図である。
図5図5(a)および図5(b)は、それぞれ、実施形態1の変更例1に係る、ロボットの構成を模式的に示す側面図である。
図6図6(a)および図6(b)は、それぞれ、実施形態1の変更例2に係る、ハンド近傍の構成を模式的に示す側面図である。
図7図7(a)は、実施形態2に係る、ロボットの構成を模式的に示す側面図である。図7(b)は、実施形態2に係る、ペアのマーカーの位置がずれている状態を模式的に示す図である。
図8図8(a)~(c)は、それぞれ、実施形態2に係る、バーコードから読み取られる情報を模式的に示す図である。
図9図9(a)は、実施形態2の変更例1に係る、ハンド近傍の構成を模式的に示す側面図およびバーコードから読み取られる情報を模式的に示す図である。図9(b)は、実施形態2の変更例1に係る、ハンド近傍の構成を模式的に示す側面図およびバーコードから読み取られる情報を模式的に示す図である。
図10図10(a)は、実施形態2の変更例2に係る、ロボットの構成を模式的に示す側面図である。図10(b)は、実施形態2の変更例2に係る、ペアのマーカーの位置がずれている状態を模式的に示す図である。
図11図11(a)~(c)は、それぞれ、実施形態2の変更例2に係る、バーコードから読み取られる情報を模式的に示す図である。
図12図12は、実施形態3に係る、ロボットの構成を示すブロック図である。
図13図13(a)~(d)は、それぞれ、実施形態の接続部の変更例に係る、接続部近傍のマーカーの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。便宜上、各図には互いに直交するX、Y、Z軸が付記されている。Z軸正方向は鉛直上方向である。
【0013】
<実施形態1>
図1は、ロボット装置1の使用形態を模式的に示す図である。
【0014】
ロボット装置1は、ロボット10と、カメラ20と、制御装置30と、を備える。
【0015】
ロボット10は、ベルトコンベア4付近に設置されている。ロボット10は、ベルトコンベア4の近傍の台2に積載されている物品3を、ベルトコンベア4上のコンテナ5に移し替える。ロボット10は、ベース11と、アーム12、13、14と、ハンド15と、を備える。
【0016】
ベース11は、ベルトコンベア4の側方に設置される。アーム12は、Z軸方向に移動可能にベース11に設置される。アーム13は、アーム12とアーム13とが接続される接続部J1において、Y軸方向に平行な回動軸について回動可能にアーム12に接続されている。アーム14は、アーム13とアーム14とが接続される接続部J2において、Y軸方向に平行な回動軸について回動可能にアーム13に接続されている。ハンド15は、アーム14とハンド15とが接続される接続部J3において、Y軸方向に平行な回動軸について回動可能にアーム14に接続されている。ロボット10は、アーム12をZ軸方向に移動させ、接続部J1~J3において各アームを回動させることにより、ハンド15を移動させる。
【0017】
ハンド15は、物品3を把持するための複数の爪15aを有している。ロボット10は、複数の爪15aを開閉させることにより、物品3の把持および把持の解除を行う。
【0018】
接続部J1付近において、マーカーM11、M12が、それぞれ、アーム12、13に配置されている。接続部J2付近において、マーカーM21、M22が、それぞれ、アーム13、14に配置されている。接続部J3付近において、マーカーM31、M32が、それぞれ、アーム14およびハンド15に配置されている。マーカーM11、M12、M21、M22、M31、M32は、三角形形状であり、互いに同じ大きさである。マーカーM11とマーカーM12の色は互いに同じであり、マーカーM21、M22の色は互いに同じであり、マーカーM31、M32の色は互いに同じである。マーカーM11、M12の色と、マーカーM21、M22の色と、マーカーM31、M32の色とは、互いに異なっている。
【0019】
マーカーM11、M12、M21、M22、M31、M32は、所定の図形が印刷されたラベルが各接続部の筐体表面に貼り付けられることにより配置される。なお、これらのマーカーが、所定の図形が各接続部の筐体表面に直接印刷または描画されることにより配置されてもよい。これらのマーカーの配置および使用方法については、追って図3(a)を参照して説明する。
【0020】
カメラ20は、接続部J1~J3付近を全て俯瞰可能に配置されており、接続部J1~J3付近を撮像して撮像画像を生成する。ここでは、カメラ20は、ロボット10のY軸正側からY軸負方向にロボット10を撮像する。カメラ20は、ロボット10が最も縮んだ状態から最も伸びた状態までの範囲において、接続部J1~J3の全てが撮像視野に収まるように配置されている。カメラ20は、生成した撮像画像を制御装置30に送信する。
【0021】
制御装置30は、通信線により、ロボット10およびカメラ20と通信可能に接続されている。通信線に代えて、無線通信により、制御装置30とロボット10およびカメラ20との通信が行われてもよい。制御装置30は、ロボット10を制御するとともに、カメラ20から送信された撮像画像に基づいて、接続部J1~J3の回動角が所定角度であるか否かを判定することにより、ロボット10の回動状態を初期状態(図3(a)参照)に設定する。
【0022】
図2は、ロボット10および制御装置30の構成を示すブロック図である。
【0023】
ロボット10は、制御部101と、ジョイントモータ111、112、113と、昇降モータ102と、ハンドモータ103と、通信部104と、を備える。
【0024】
制御部101は、マイクロコンピュータを備え、内蔵メモリに保持されたプログラムに従って各部を制御する。上述の制御コマンドは、制御部101内のメモリに保持される。制御部101が、FPGA等により構成されてもよい。
【0025】
ジョイントモータ111は、接続部J1付近に配置されており、アーム12に対してアーム13を回動させる。ジョイントモータ112は、接続部J2付近に配置されており、アーム13に対してアーム14を回動させる。ジョイントモータ113は、接続部J3付近に配置されており、アーム14に対してハンド15を回動させる。昇降モータ102は、ベース11に対してアーム12を昇降させる。ハンドモータ103は、ハンド15の複数の爪15aを開閉させる。
【0026】
通信部104は、制御装置30と通信を行うための通信インタフェースである。通信部104は、制御部101からの制御により、制御装置30の通信部305と通信を行う。
【0027】
制御装置30は、制御部301と、記憶部302と、表示部303と、入力部304と、通信部305と、を備える。制御装置30は、たとえば、汎用のパーソナルコンピューターにより構成される。制御装置30は専用品であってもよい。
【0028】
制御部301は、CPU等の演算処理回路を備え、記憶部302に記憶されたプログラムに従って各部を制御する。記憶部302は、ROM、RAM、ハードディスク、SSD等の記憶媒体を備え、制御部301が実行するプログラムや、各種データを記憶する。また、記憶部302は、制御部301が制御を行う際のワーク領域として利用される。また、制御部301は、カメラ20から受信した撮像画像に対して画像解析を行い、ロボット10の回動を制御する。
【0029】
表示部303は、液晶パネル等のディスプレイを備え、制御部301からの制御により、所定の情報を表示する。入力部304は、マウスやキーボード等の入力手段を備える。通信部305は、ロボット10およびカメラ20と通信を行うための通信インタフェースである。通信部305は、制御部301からの制御により、ロボット10およびカメラ20と通信を行う。
【0030】
ところで、ロボット10はハンド15を適正な位置に移送して、物品3を把持および開放する必要がある。この場合、特に、アーム12、13が回動する接続部J1と、アーム13、14が回動する接続部J2と、アーム14およびハンド15が回動するJ3において、回動状態を把握しつつ適正に各部を回動させる必要がある。
【0031】
接続部J1~J3における回動状態を検出するための方法として、たとえば、接続部の回動状態を検知するためのセンサや機構を接続部に配置する方法(比較例)が用いられ得る。しかしながら、この方法では、検知のためのセンサや機構の荷重がロボットにかかり、当該荷重がロボットの駆動性能に影響を及ぼしてしまう。また、これらセンサや機構の配置により、ロボットの構成が複雑になるとの問題が生じ、図1のようにロボットが複数の接続部を有する場合に、この問題は、より顕著になってしまう。
【0032】
これに対し、本実施形態では、接続部J1~J3でそれぞれ接続される2つの部材にマーカーが配置され、ロボット10を俯瞰する位置にカメラ20が配置されている。これにより、ロボット10の駆動性能に影響を及ぼすことなく、簡易かつ円滑に、接続部J1~J3の回動状態を検出できる。以下、本実施形態のロボット10の回動制御について説明する。
【0033】
図3(a)、(b)および図4(a)、(b)は、それぞれ、初期状態、把持状態、載置状態および待機状態である場合の、ロボット10の回動状態を模式的に示す図である。
【0034】
ロボット10の回動状態が、図3(a)に示す初期状態のとき、マーカーM11、M12の位置が一致し、マーカーM21、M22の位置が一致し、マーカーM31、M32の位置が一致するよう、各マーカーの位置が予め調整されている。実施形態1において、「2つのマーカーの位置が一致する」とは、一方のマーカーの三角形形状の頂点の回動方向における位置と、他方のマーカーの三角形形状の頂点の回動方向における位置とが一致していることを示す。初期状態において、アーム12に対するアーム13の回動角、アーム13に対するアーム14の回動角、および、アーム14に対するハンド15の回動角は、いずれも初期角度(0°)である。
【0035】
ロボット装置1の動作が開始されると、制御装置30の制御部301は、まずは、ロボット10の状態が初期状態となるように、ジョイントモータ111~113を制御する。制御部301は、撮像画像を連続的に生成するようカメラ20を制御し、同時に、接続部J1~J3が初期状態に向かって回動するよう、撮像画像に基づきジョイントモータ111~113を制御する。制御部301は、カメラ20から取得した撮像画像上における同一の色のマーカーを、1つの接続部における一対のマーカーと判定する。制御部301は、撮像画像上の接続部における一対のマーカーの位置が一致すると、当該接続部の回動が停止するよう、対応するジョイントモータを制御する。
【0036】
すなわち、制御部301は、撮像画像に基づいてマーカーM11、M12の位置が一致したと判定すると、ジョイントモータ111を停止させ、撮像画像に基づいてマーカーM21、M22の位置が一致したと判定すると、ジョイントモータ112を停止させ、撮像画像に基づいてマーカーM31、M32の位置が一致したと判定すると、ジョイントモータ113を停止させる。こうして、対となる各マーカーの位置が一致させられることにより、ロボット10の回動状態が、図3(a)に示す初期状態となる。
【0037】
記憶部302には、図3(a)の初期状態から、図3(b)の把持状態、図4(a)の載置状態、および図4(b)の待機状態へと、ロボット10を回動させるための、ジョイントモータ111~113の駆動量が予め記憶されている。
【0038】
制御部301は、図3(a)のようにロボット10の回動状態を初期状態に制御した後、ロボット10の回動状態を初期状態から把持状態に設定するための駆動量に基づいて、ジョイントモータ111~113を制御する。これにより、ロボット10の回動状態が、図3(b)に示す把持状態となる。
【0039】
制御部301は、図3(b)の把持状態において、アーム12が下方に所定量だけ下降するよう昇降モータ102を制御し、ハンド15が台2の物品3を把持するようハンドモータ103を制御する。これにより、物品3がハンド15により把持される。その後、制御部301は、アーム12を所定量だけ上昇するよう昇降モータ102を制御する。これにより、ロボット10の回動状態が、再び図3(b)に示す把持状態となる。
【0040】
制御部301は、図3(b)のように物品3を把持しロボット10の回動状態を把持状態に制御した後、ロボット10の回動状態を把持状態から載置状態に設定するための駆動量に基づいて、ジョイントモータ111~113を制御する。これにより、ロボット10の回動状態が、図4(a)に示す載置状態となる。
【0041】
制御部301は、図4(a)の載置状態において、アーム12が下方に所定量だけ下降するよう昇降モータ102を制御し、ハンド15が物品3を開放するようハンドモータ103を制御する。これにより、物品3がコンテナ5に配置される。その後、制御部301は、アーム12を所定量だけ上昇するよう昇降モータ102を制御する。これにより、ロボット10の回動状態が、再び図4(a)に示す載置状態となる。
【0042】
制御部301は、図4(a)のように物品3をコンテナ5に配置しロボット10の回動状態を載置状態に制御した後、ロボット10の回動状態を載置状態から待機状態に設定するための駆動量に基づいて、ジョイントモータ111~113を制御する。これにより、ロボット10の回動状態が、図4(b)に示す待機状態となる。
【0043】
制御部301は、図4(b)のようにロボット10の回動状態を待機状態に制御した後、物品3を再度移送させる場合、ロボット10の回動状態を待機状態から把持状態に設定するための駆動量に基づいて、ジョイントモータ111~113を制御する。こうして、把持状態、載置状態および待機状態が繰り返され、物品3が繰り返し移送される。
【0044】
以上のように、ロボット装置1の動作が開始された後、制御部301は、ロボット10の回動状態を、対となる各マーカーの位置が一致した状態の初期状態に設定し、この状態を基準に、記憶部302に記憶された駆動量に基づいて、ロボット10を回動させる。これにより、ロボット10の回動状態が、初期位置だけでなく、把持状態、載置状態および待機状態にも適正に設定される。
【0045】
なお、上記制御では、ロボット装置1の動作が開始された直後にのみ、ロボット10の回動状態が初期状態に設定されたが、待機状態の後に毎回初期状態にロボット10の回動状態が設定されてもよい。
【0046】
<実施形態1の効果>
実施形態1によれば、以下の効果が奏される。
【0047】
制御部301は、撮像画像上におけるマーカーM11(第1マーカー)とマーカーM12(第2マーカー)との位置関係に基づいて、アーム12(第1部材)に対するアーム13(第2部材)の回動角が0°(所定角度)であるか否かを判定する。同様に、制御部301は、撮像画像上におけるマーカーM21(第1マーカー)とマーカーM22(第2マーカー)との位置関係に基づいて、アーム13(第1部材)に対するアーム14(第2部材)の回動角が0°(所定角度)であるか否かを判定する。制御部301は、撮像画像上におけるマーカーM31(第1マーカー)とマーカーM32(第2マーカー)との位置関係に基づいて、アーム14(第1部材)に対するハンド15(第2部材)の回動角が0°(所定角度)であるか否かを判定する。
【0048】
この構成によれば、第1部材と第2部材との接続部付近を撮像して得られた撮像画像に基づいて、第1マーカーと第2マーカーとの位置関係を検出できる。制御部301は、撮像画像上において第1マーカーと第2マーカーとが一致した場合に、第1部材に対する第2部材の回動角が所定角度であると判定する。したがって、第1部材および第2部材にマーカーを検知するための構成を配置する必要がないため、この構成の荷重がロボット10の駆動性能に影響を及ぼすことがない。また、第1部材と第2部材に、それぞれ、第1マーカーと第2マーカーを配置するだけでよいため、ロボット10の構成が複雑化することもない。よって、簡易かつ円滑に、第1部材に対する第2部材の回動状態を検出できる。
【0049】
図3(a)に示したように、互いに一致したマーカーM11(第1マーカー)およびマーカーM12(第2マーカー)の全体によって所定の図柄(図3(a)の例では蝶のような図柄)が構成される。同様に、互いに一致したマーカーM21(第1マーカー)およびマーカーM22(第2マーカー)の全体によって所定の図柄(図3(a)の例では蝶のような図柄)が構成され、互いに一致したマーカーM31(第1マーカー)およびマーカーM32(第2マーカー)の全体によって所定の図柄(図3(a)の例では蝶のような図柄)が構成される。また、制御部301は、撮像画像において、マーカーM11、M12の全体画像が所定の図柄の画像を構成したと判定した場合、アーム12(第1部材)に対するアーム13(第2部材)の回動角が0°(所定角度)であると判定する。同様に、制御部301は、撮像画像において、マーカーM21、M22の全体画像が所定の図柄の画像を構成したと判定した場合、アーム13(第1部材)に対するアーム14(第2部材)の回動角が0°(所定角度)であると判定する。制御部301は、撮像画像において、マーカーM31、M32の全体画像が所定の図柄の画像を構成したと判定した場合、アーム14(第1部材)に対するハンド15(第2部材)の回動角が0°(所定角度)であると判定する。
【0050】
この構成によれば、第1マーカーの位置と第2マーカーの位置が一致した状態を確実に判定できる。
【0051】
接続部J1には、マーカーM11(第1マーカー)およびマーカーM12(第2マーカー)が配置され、接続部J2には、マーカーM21(第1マーカー)およびマーカーM22(第2マーカー)が配置され、接続部J3には、マーカーM31(第1マーカー)およびマーカーM32(第2マーカー)が配置されている。カメラ20は、複数の接続部J1~J3を同時に撮像する。制御部301は、撮像画像における接続部J1のマーカーM11、M12の位置関係に基づいて、接続部J1においてアーム12(第1部材)に対するアーム13(第2部材)の回動角が0°(所定角度)であるか否かを判定する。同様に、制御部301は、撮像画像における接続部J2のマーカーM21、M22の位置関係に基づいて、接続部J2においてアーム13(第1部材)に対するアーム14(第2部材)の回動角が0°(所定角度)であるか否かを判定する。制御部301は、撮像画像における接続部J3のマーカーM31、M32の位置関係に基づいて、接続部J3においてアーム14(第1部材)に対するハンド15(第2部材)の回動角が0°(所定角度)であるか否かを判定する。
【0052】
この構成によれば、複数の接続部J1~J3において、第1マーカーと第2マーカーとの位置関係から、第1部材に対する第2部材の回動角が所定角度であるか否かを判定できる。また、1つのカメラ20からの撮像画像から複数の接続部J1~J3のマーカーの状態を検出できるため、構成および処理の簡素化を図ることができる。
【0053】
マーカーM11(第1マーカー)およびマーカーM12(第2マーカー)の色(形態)と、マーカーM21(第1マーカー)およびマーカーM22(第2マーカー)の色(形態)と、マーカーM31(第1マーカー)およびマーカーM32(第2マーカー)の色(形態)とは、複数の接続部J1~J3ごとに互いに異なっている。
【0054】
この構成によれば、複数の接続部J1~J3を撮像した撮像画像において、接続部ごとの第1マーカーおよび第2マーカーを区別できる。
【0055】
<実施形態1の変更例1>
実施形態1では、マーカーM11、M12の色と、マーカーM21、M22の色と、マーカーM31、M32の色とが互いに異なっていたが、これら3つのペアを区別するための形態は、マーカーの色に限らない。たとえば、マーカーは、図5(a)、(b)に示すように構成されてもよい。
【0056】
図5(a)に示す例では、マーカーを区別するための形態が、マーカーの大きさである。接続部J1のマーカーM11、M12が一番大きく、接続部J2のマーカーM21、M22が2番目に大きく、接続部J3のマーカーM31、M32が3番目に大きい。制御部301は、撮像画像上のマーカーの大きさを判定することにより、3つの接続部J1~J3のマーカーのペアを互いに区別できる。
【0057】
図5(b)に示す例では、マーカーを区別するための形態が、マーカーの形状である。接続部J1のマーカーM11、M12は楕円と三角形を合わせた形状であり、接続部J2のマーカーM21、M22は長方形と三角形を合わせた形状であり、接続部J3のマーカーM31、M32は実施形態1と同様、三角形形状である。制御部301は、撮像画像上のマーカーの形状を判定することにより、3つの接続部J1~J3のマーカーのペアを互いに区別できる。
【0058】
<実施形態1の変更例2>
実施形態1では、1つの接続部に繋がる2つの部材のそれぞれに1つのマーカーが配置されたが、2つの部材のそれぞれに配置されるマーカーの数は1つに限らず、複数でもよい。たとえば、1つの接続部に対応するマーカーは、図6(a)、(b)に示すように配置されてもよい。
【0059】
図6(a)に示す例では、図1に示した実施形態1と比較して、接続部J3においてハンド15にマーカーM33が配置されている。マーカーM33の色は、マーカーM31、M32の色と異なっている。
【0060】
図6(a)の上段に示すように、アーム14に対するハンド15の回動角が0°になると、実施形態1と同様、マーカーM31、M32の位置が一致する。この状態から、図6(a)の下段に示すように、アーム14に対するハンド15の回動角が、たとえば45°となると、マーカーM31、M33の位置が一致する。
【0061】
なお、図6(a)では、ハンド15側に複数のマーカーが配置されたが、ハンド15側に1つのマーカーが配置され、アーム14側に複数のマーカーが配置されてもよい。
【0062】
図6(b)に示す例では、図1に示した実施形態1と比較して、接続部J3においてアーム14およびハンド15に、それぞれマーカーM34、M35が配置されている。マーカーM34、M35の色は、マーカーM31、M32の色と異なっている。
【0063】
図6(b)の上段に示すように、アーム14に対するハンド15の回動角が0°になると、実施形態1と同様、マーカーM31、M32の位置が一致する。この状態から、図6(b)の下段に示すように、アーム14に対するハンド15の回動角が、たとえば15°となると、マーカーM34、M35の位置が一致する。
【0064】
なお、図6(b)では、アーム14側のマーカーの数と、ハンド15側のマーカーの数とが同じであったが、異なってもよい。
【0065】
図6(a)、(b)では、接続部J3についてマーカーの数が変更されたが、接続部J3以外の接続部J1、J2についても、同様にマーカーの数が変更され、撮像画像上のマーカーの位置関係に基づいて複数の回動角が設定されてもよい。
【0066】
<実施形態1の変更例2の効果>
図6(a)に示す例では、アーム14側に1つのマーカーM31(第1マーカー)が配置され、ハンド15側に複数のマーカーM32、M33(第2マーカー)が配置されている。マーカーM31、M32の位置が一致するときの角度(0°)と、マーカーM31、M33の位置が一致するときの角度(45°)とが設けられている。一方、図6(b)に示す例では、アーム14側に複数のマーカーM31、M34が配置され、ハンド15側に複数のマーカーM32、M35が配置されている。マーカーM31、M32の位置が一致するときの角度(0°)と、マーカーM34、M35の位置が一致するときの角度(15°)とが設けられている。
【0067】
この構成によれば、アーム14に対するハンド15の回動角が複数の所定角度となるときの状態を判定できる。具体的には、図6(a)の例では0°と45°の判定が可能となり、図6(b)の例では0°と15°の判定が可能となる。
【0068】
複数配置されたマーカーの形態は、互いに異なっている。具体的には、図6(a)の例では、マーカーM32の色とマーカーM33の色とが互いに異なっている。図6(b)の例では、マーカーM32の色とマーカーM35の色とが互いに異なっており、マーカーM31の色とマーカーM34の色とが互いに異なっている。
【0069】
この構成によれば、撮像画像において、マーカーの形態に基づいて複数の所定角度を区別できる。
【0070】
なお、複数配置されたマーカーは、色以外の形態(たとえば、大きさや形状)において互いに異なってもよい。
【0071】
<実施形態2>
実施形態1では、接続部J1~J3に配置された各マーカーは、所定の形状を有する図形であった。これに対し、実施形態2では、1つの接続部に配置された2つのマーカーの位置が一致したときに、これら2つのマーカーが、撮像画像上から所定の情報を読み取り可能な1つの1次元バーコードを構成する。
【0072】
図7(a)は、実施形態2に係る、ロボット10の構成を模式的に示す側面図である。
【0073】
実施形態2では、図1に示した実施形態1と比較して、マーカーM11、M12、M21、M22、M31、M32が、1次元バーコードの一部を構成している。図7(a)に示すように、マーカーM11、M12の位置が一致すると、マーカーM11、M12は、バーコードB1を構成する。マーカーM21、M22の位置が一致すると、マーカーM21、M22は、バーコードB2を構成する。マーカーM31、M32の位置が一致すると、マーカーM31、M32は、バーコードB3を構成する。バーコードB1、B2、B3は、1次元バーコードであり、撮像画像上から所定の情報を読み取り可能な記憶媒体である。バーコードB1、B2、B3の種類は、たとえばJANであるが、これに限らず、EAN、UPC、ITF、Code39、NW-7、Code128など他の種類でもよい。
【0074】
マーカーM11、M12、M21、M22、M31、M32は、1次元バーコードの一部が印刷されたラベルが各接続部の筐体表面に貼り付けられることにより配置される。なお、これらのマーカー(1次元バーコードの一部)が、各接続部の筐体表面に直接印刷されることにより配置されてもよい。また、これらのマーカーにおいて、バーコード部分は黒色であり、バーコードの背景部分は白色である。
【0075】
図7(b)は、マーカーM31、M32の位置がずれている状態を模式的に示す図である。この状態から、アーム14に対してハンド15が回動し、制御部301は、撮像画像に基づいて、図7(a)に示すようにマーカーM31、M32の位置が一致したと判定すると、撮像画像上のバーコードB3から、バーコードB3に保持されている情報を読み取る。他の接続部J1、J2についても同様に、制御部301は、マーカーM11、M12の位置が一致したと判定すると、バーコードB1に保持されている情報を読み取り、マーカーM21、M22の位置が一致したと判定すると、バーコードB2に保持されている情報を読み取る。
【0076】
実施形態2において、「2つのマーカーの位置が一致する」とは、一方のマーカー(1次元バーコードの一部)の回動方向における位置と、他方のマーカー(1次元バーコードの一部)の回動方向における位置とが一致していることを示す。2つのマーカーの位置が一致すると、外形が矩形形状の1つの1次元バーコード(図柄)が構成される。
【0077】
図8(a)~(c)は、それぞれ、バーコードB1~B3から読み取られる情報を模式的に示す図である。
【0078】
図8(a)に示すように、制御部301は、撮像画像に基づいてマーカーM11、M12の位置が一致することによりバーコードB1が構成されたと判定すると、撮像画像上のバーコードB1から、マーカーM11、M12が一致したときのアーム12に対するアーム13の回動角(0°)を示す「0」と、マーカーM11、M12が接続部J1に対応することを示す「1」とを読み取る。
【0079】
図8(b)に示すように、制御部301は、撮像画像に基づいてマーカーM21、M22の位置が一致することによりバーコードB2が構成されたと判定すると、撮像画像上のバーコードB2から、マーカーM21、M22が一致したときのアーム13に対するアーム14の回動角(0°)を示す「0」と、マーカーM21、M22が接続部J2に対応することを示す「2」とを読み取る。
【0080】
図8(c)に示すように、制御部301は、撮像画像に基づいてマーカーM31、M32の位置が一致することによりバーコードB3が構成されたと判定すると、撮像画像上のバーコードB3から、マーカーM31、M32が一致したときのアーム14に対するハンド15の回動角(0°)を示す「0」と、マーカーM31、M32が接続部J3に対応することを示す「3」とを読み取る。
【0081】
なお、バーコードB1~B3が、数字だけでなく文字や記号を表すことが可能な種類のバーコードである場合、文字や記号を含む接続部の名称および識別番号や、文字や記号を含む回動角の情報を含んでもよい。また、バーコードB1~B3は、接続部の名称および識別番号や、回動角の情報以外の情報(たとえば、ロボット10の名称および識別番号)を含んでもよい。
【0082】
<実施形態2の効果>
実施形態2によれば、以下の効果が奏される。
【0083】
制御部301は、マーカーM11(第1マーカー)とマーカーM12(第2マーカー)とが一致したと判定すると、バーコードB1(記憶媒体)に保持されている情報を読み取る。同様に、制御部301は、マーカーM21(第1マーカー)とマーカーM22(第2マーカー)とが一致したと判定すると、バーコードB2(記憶媒体)に保持されている情報を読み取る。制御部301は、マーカーM31(第1マーカー)とマーカーM32(第2マーカー)とが一致したと判定すると、バーコードB3(記憶媒体)に保持されている情報を読み取る。
【0084】
この構成によれば、接続部J1~J3の識別番号(1、2、3)や、アーム12に対するアーム13の回動角、アーム13に対するアーム14の回動角、およびアーム14に対するハンド15の回動角の情報を、バーコードB1~B3に保持させることができる。これにより、これらの情報を予め記憶部302等に記憶する必要がなくなる。また、各バーコードの情報は、対応する2つのマーカーの位置が一致したときに、全体として読み取り可能となるため、各バーコードの情報が読み取り可能であるか否かによって、対応する2つのマーカーの位置が一致したか否かをさらに判定することもできる。
【0085】
バーコードB1~B3(記憶媒体)は、1次元バーコードである。
【0086】
この構成によれば、バーコードB1~B3を円滑に配置できる。また、対応する2つのマーカーの位置が多少ずれていても、バーコードの情報は全体として読み取り可能となる。
【0087】
マーカーM11(第1マーカー)およびマーカーM12(第2マーカー)により構成されるバーコードB1(記憶媒体)から取得される情報は、アーム12(第1部材)に対するアーム13(第2部材)の所定角度(たとえば、0°)を含む。同様に、マーカーM21(第1マーカー)およびマーカーM22(第2マーカー)により構成されるバーコードB2(記憶媒体)から取得される情報は、アーム13(第1部材)に対するアーム14(第2部材)の所定角度(たとえば、0°)を含む。マーカーM31(第1マーカー)およびマーカーM32(第2マーカー)により構成されるバーコードB3(記憶媒体)から取得される情報は、アーム14(第1部材)に対するハンド15(第2部材)の所定角度(たとえば、0°)を含む。
【0088】
この構成によれば、制御部301は、第1マーカーの位置と第2マーカーの位置とが一致したときの、第2部材に対する第1部材の回動角を取得できる。
【0089】
図8(a)~(c)に示したように、互いに一致したマーカーM11(第1マーカー)およびマーカーM12(第2マーカー)の全体によって所定の図柄(外形が矩形形状の図柄)が構成される。同様に、互いに一致したマーカーM21(第1マーカー)およびマーカーM22(第2マーカー)の全体によって所定の図柄(外形が矩形形状の図柄)が構成される。互いに一致したマーカーM31(第1マーカー)およびマーカーM32(第2マーカー)の全体によって所定の図柄(外形が矩形形状の図柄)が構成される。また、制御部301は、撮像画像において、マーカーM11、M12の全体画像が所定の図柄の画像を構成したと判定した場合、アーム12(第1部材)に対するアーム13(第2部材)の回動角が0°(所定角度)であると判定する。同様に、制御部301は、撮像画像において、マーカーM21、M22の全体画像が所定の図柄の画像を構成したと判定した場合、アーム13(第1部材)に対するアーム14(第2部材)の回動角が0°(所定角度)であると判定する。制御部301は、撮像画像において、マーカーM31、M32の全体画像が所定の図柄の画像を構成したと判定した場合、アーム14(第1部材)に対するハンド15(第2部材)の回動角が0°(所定角度)であると判定する。
【0090】
この構成によれば、第1マーカーの位置と第2マーカーの位置が一致した状態を確実に判定できる。
【0091】
<実施形態2の変更例1>
実施形態2では、1つの接続部に繋がる2つの部材のそれぞれに1つのマーカー(バーコードの一部)が配置されたが、2つの部材のそれぞれに配置されるマーカー(バーコードの一部)の数は1つに限らず、複数でもよい。たとえば、1つの接続部に対して配置されるマーカー(バーコードの一部)は、図9(a)、(b)に示すように配置されてもよい。
【0092】
図9(a)、(b)に示す例では、図7(a)に示した実施形態2と比較して、接続部J3においてハンド15にマーカーM33が配置されている。マーカーM33は、バーコードの一部を構成している。
【0093】
図9(a)に示すように、アーム14に対するハンド15の回動角が0°になると、実施形態2と同様、マーカーM31、M32の位置が一致する。このとき、マーカーM31、M32は、バーコードB31を構成する。バーコードB31は、撮像画像上から所定の情報として、回動角0°を示す「0」および接続部J3を示す「3」を読み取り可能な1次元バーコードである。
【0094】
図9(b)に示すように、アーム14に対するハンド15の回動角が45°になると、マーカーM31、M33の位置が一致する。このとき、マーカーM31、M33は、バーコードB32を構成する。バーコードB32は、撮像画像上から所定の情報として、回動角45°を示す「45」および接続部J3を示す「3」を読み取り可能な1次元バーコードである。
【0095】
なお、図9(a)、(b)では、ハンド15側に複数のマーカー(バーコードの一部)が配置されたが、ハンド15側に1つのマーカー(バーコードの一部)が配置され、アーム14側に複数のマーカー(バーコードの一部)が配置されてもよい。また、アーム14側およびハンド15側にそれぞれ複数のマーカー(バーコードの一部)が配置されてもよい。
【0096】
図9(a)、(b)では、接続部J3についてマーカー(バーコードの一部)の数が変更されたが、接続部J3以外の接続部J1、J2についても、同様にマーカー(バーコードの一部)の数が変更され、撮像画像上の位置関係に基づいて複数の回動角が設定されてもよい。
【0097】
<実施形態2の変更例1の効果>
図9(a)、(b)に示す例では、アーム14側に1つのマーカーM31(第1マーカー)が配置され、ハンド15側に複数のマーカーM32、M33(第2マーカー)が配置されている。マーカーM31、M32の位置が一致するときの角度(0°)と、マーカーM31、M33の位置が一致するときの角度(45°)とが設けられている。
【0098】
この構成によれば、アーム14に対するハンド15の回動角が複数の所定角度となるときの状態を判定できる。具体的には、図9(a)、(b)の例では0°と45°の判定が可能となる。
【0099】
<実施形態2の変更例2>
実施形態2では、1つの接続部に対して配置された2つのマーカー(バーコードの一部)が1つの1次元バーコードを構成したが、2つのマーカーにより構成される記憶媒体は、1次元バーコードに限らない。たとえば、図10(a)に示すように、2つのバーコードが、1つの2次元バーコードを構成してもよい。
【0100】
図10(a)は、本変更例に係る、ロボット10の構成を模式的に示す側面図である。
【0101】
本変更例では、図7(a)に示した実施形態2と比較して、マーカーM11、M12、M21、M22、M31、M32が、2次元バーコードの一部を構成している。図10(a)に示すように、マーカーM11、M12の位置が一致すると、マーカーM11、M12は、バーコードC1を構成する。マーカーM21、M22の位置が一致すると、マーカーM21、M22は、バーコードC2を構成する。マーカーM31、M32の位置が一致すると、マーカーM31、M32は、バーコードC3を構成する。バーコードC1、C2、C3は、2次元バーコードであり、撮像画像上から所定の情報を読み取り可能な記憶媒体である。バーコードC1、C2、C3の種類は、たとえばQRコード(登録商標)であるが、これに限らず、PDF417、Data Matrix、Maxi Code、Aztec Code、EAN/UCCコンポジットなど他の種類でもよい。
【0102】
マーカーM11、M12、M21、M22、M31、M32は、2次元バーコードの一部が印刷されたラベルが各接続部の筐体表面に貼り付けられることにより配置される。なお、これらのマーカー(2次元バーコードの一部)が、各接続部の筐体表面に直接印刷されることにより配置されてもよい。また、これらのマーカーにおいて、バーコード部分は黒色であり、バーコードの背景部分は白色である。
【0103】
図10(b)は、マーカーM31、M32の位置がずれている状態を模式的に示す図である。この状態から、アーム14に対してハンド15が回動し、制御部301は、撮像画像に基づいて、図10(a)に示すようにマーカーM31、M32の位置が一致したと判定すると、撮像画像上のバーコードC3から、バーコードC3に保持されている情報を読み取る。他の接続部J1、J2についても同様に、制御部301は、マーカーM11、M12の位置が一致したと判定すると、バーコードC1に保持されている情報を読み取り、マーカーM21、M22の位置が一致したと判定すると、バーコードC2に保持されている情報を読み取る。
【0104】
実施形態2の変更例2において、「2つのマーカーの位置が一致する」とは、一方のマーカー(2次元バーコードの一部)の回動方向における位置と、他方のマーカー(2次元バーコードの一部)の回動方向における位置とが一致していることを示す。2つのマーカーの位置が一致すると、外形が矩形形状の1つの2次元バーコード(図柄)が構成される。
【0105】
図11(a)~(c)は、それぞれ、バーコードC1~C3から読み取られる情報を模式的に示す図である。
【0106】
図11(a)に示すように、制御部301は、撮像画像に基づいてマーカーM11、M12の位置が一致することによりバーコードC1が構成されたと判定すると、撮像画像上のバーコードC1から、マーカーM11、M12が一致したときのアーム12に対するアーム13の回動角(0°)を示す「角度0°」と、回動状態が初期状態であることを示す「初期状態」と、マーカーM11、M12が接続部J1に対応することを示す「接続部J1」とを読み取る。
【0107】
図11(b)に示すように、制御部301は、撮像画像に基づいてマーカーM21、M22の位置が一致することによりバーコードC2が構成されたと判定すると、撮像画像上のバーコードC2から、マーカーM21、M22が一致したときのアーム13に対するアーム14の回動角(0°)を示す「角度0°」と、回動状態が初期状態であることを示す「初期状態」と、マーカーM21、M22が接続部J2に対応することを示す「接続部J2」とを読み取る。
【0108】
図11(c)に示すように、制御部301は、撮像画像に基づいてマーカーM31、M32の位置が一致することによりバーコードC3が構成されたと判定すると、撮像画像上のバーコードC3から、マーカーM31、M32が一致したときのアーム14に対するハンド15の回動角(0°)を示す「角度0°」と、回動状態が初期状態であることを示す「初期状態」と、マーカーM31、M32が接続部J3に対応することを示す「接続部J3」とを読み取る。
【0109】
なお、バーコードC1~C3は、接続部の名称および識別番号や、回動角の情報以外の情報(たとえば、ロボット10の名称および識別番号)を含んでもよい。
【0110】
<実施形態2の変更例2の効果>
制御部301は、マーカーM11(第1マーカー)とマーカーM12(第2マーカー)とが一致したと判定すると、バーコードC1(記憶媒体)に保持されている情報を読み取る。同様に、制御部301は、マーカーM21(第1マーカー)とマーカーM22(第2マーカー)とが一致したと判定すると、バーコードC2(記憶媒体)に保持されている情報を読み取る。制御部301は、マーカーM31(第1マーカー)とマーカーM32(第2マーカー)とが一致したと判定すると、バーコードC3(記憶媒体)に保持されている情報を読み取る。
【0111】
この構成によれば、接続部J1~J3の名称および識別番号(J1、J2、J3)や、アーム12に対するアーム13の回動角、アーム13に対するアーム14の回動角、およびアーム14に対するハンド15の回動角の情報を、バーコードC1~C3に保持させることができる。これにより、これらの情報を予め記憶部302等に記憶する必要がなくなる。また、各バーコードの情報は、対応する2つのマーカーの位置が一致したときに、全体として読み取り可能となるため、各バーコードの情報が読み取り可能であるか否かによって、対応する2つのマーカーの位置が一致したか否かをさらに判定することもできる。
【0112】
バーコードC1~C3(記憶媒体)は、2次元バーコードである。
【0113】
この構成によれば、バーコードC1~C3を円滑に配置できる。また、1次元バーコードに比べて、バーコードC1~C3にさらに多くの情報を保持させることができる。
【0114】
マーカーM11(第1マーカー)およびマーカーM12(第2マーカー)により構成されるバーコードC1(記憶媒体)から取得される情報は、アーム12(第1部材)に対するアーム13(第2部材)の所定角度(たとえば、0°)と、所定角度に対応するアーム12、13の回動状態を識別可能な情報(たとえば、初期状態)と、を含む。同様に、マーカーM21(第1マーカー)およびマーカーM22(第2マーカー)により構成されるバーコードC2(記憶媒体)から取得される情報は、アーム13(第1部材)に対するアーム14(第2部材)の所定角度(たとえば、0°)と、所定角度に対応するアーム13、14の回動状態を識別可能な情報(たとえば、初期状態)と、を含む。マーカーM31(第1マーカー)およびマーカーM32(第2マーカー)により構成されるバーコードC3(記憶媒体)から取得される情報は、アーム14(第1部材)に対するハンド15(第2部材)の所定角度(たとえば、0°)と、所定角度に対応するアーム14およびハンド15の回動状態を識別可能な情報(たとえば、初期状態)と、を含む。
【0115】
この構成によれば、制御部301は、第1マーカーの位置と第2マーカーの位置とが一致したときの、第2部材に対する第1部材の回動角を取得できる。また、制御部301は、第1マーカーの位置と第2マーカーの位置とが一致したときの、第1部材および第2部材の回動状態を把握できる。
【0116】
なお、所定角度が図3(b)~図4(b)に示した把持状態、載置状態および待機状態を示す場合には、回動状態を識別可能な情報は、「把持状態」、「載置状態」および「待機状態」となる。また、回動状態を識別可能な情報は、回動状態の名称に限らず、図3(a)~図4(b)の4つの回動状態に付されたIDでもよい。
【0117】
図11(a)~(c)に示したように、実施形態2と同様、互いに一致した第1マーカーおよび第2マーカーの全体によって所定の図柄(外形が矩形形状の図柄)が構成される。また、制御部301は、撮像画像において、第1マーカーおよび第2マーカーの全体画像が所定の図柄の画像を構成したと判定した場合、第1部材に対する第2部材の回動角が0°(所定角度)であると判定する。
【0118】
この構成によれば、第1マーカーの位置と第2マーカーの位置が一致した状態を確実に判定できる。
【0119】
<実施形態3>
実施形態1、2では、1つの接続部において2つのマーカーの位置が一致した場合に、制御部301は、この回動状態を所定の回動状態(たとえば、初期状態)と判定した。これに対し、実施形態3では、2つのマーカーの位置が一致した場合に、制御部301は、ジョイントモータに接続されたエンコーダの出力値を補正する。
【0120】
図12は、実施形態3に係る、ロボット10の構成を示すブロック図である。
【0121】
実施形態3では、図2に示した実施形態1と比較して、ジョイントモータ111、112、113に、それぞれ、エンコーダ121、122、123が接続されている。エンコーダ121~123は、それぞれ、ジョイントモータ111~113の駆動量を検出し、検出した駆動量を制御部101に出力する。
【0122】
制御装置30の制御部301は、撮像画像に基づいて、ペアとなるマーカーの位置が一致し、対応する2つの部材の回動角が所定角度(たとえば、0°)であると判定したことに基づいて、対応するエンコーダの出力値を補正する。これにより、エンコーダの出力値が適正になり、制御部301は、エンコーダの出力値をロボット10の制御に用いて適正にロボット10を制御できる。
【0123】
<実施形態3の効果>
実施形態3によれば、以下の効果が奏される。
【0124】
制御部301は、マーカーM11、M12の位置が一致し、アーム12(第1部材)に対するアーム13(第2部材)の回動角が所定角度(たとえば、0°)であると判定したことに基づいて、エンコーダ121の出力値を補正する。同様に、制御部301は、マーカーM21、M22の位置が一致し、アーム13(第1部材)に対するアーム14(第2部材)の回動角が所定角度(たとえば、0°)であると判定したことに基づいて、エンコーダ122の出力値を補正する。制御部301は、マーカーM31、M32の位置が一致し、アーム14(第1部材)に対するハンド15(第2部材)の回動角が所定角度(たとえば、0°)であると判定したことに基づいて、エンコーダ123の出力値を補正する。
【0125】
この構成によれば、エンコーダの出力値と、第1部材に対する第2部材の実際の回動角とが異なっている場合に、エンコーダの出力値を補正して、第1部材または第2部材を精度よく駆動できる。
【0126】
<接続部の変更例>
実施形態1、2では、1つの接続部に繋がる第1部材および第2部材が、回動面(X-Y平面)に垂直な回動軸まわりに回動したが、図13(a)~(d)に示すように、一方の部材が当該部材の中心軸まわりに回動してもよい。
【0127】
図13(a)~(d)に示す例では、第1部材41に対して第2部材42が回動するよう、接続部J4が構成されている。この場合の第2部材42は、第1部材41の側面に、第2部材42の延びる方向を回動軸として回動可能に設置されている。
【0128】
このような接続部J4においても、実施形態1、2および実施形態1、2の変更例と同様、第1部材41および第2部材42にマーカーが配置される。
【0129】
図13(a)に示す例では、図1に示した実施形態1と同様の三角形形状のマーカーM41、M42が配置されている。図13(b)に示す例では、図6(b)に示した実施形態1の変更例2と同様の2つのペアをなすマーカーM41~M44が配置されている。図13(c)に示す例では、図7(a)に示した実施形態2と同様のバーコードの一部からなるマーカーM41、M42が配置されている。マーカーM41、M42の位置が一致すると、1次元のバーコードB4が構成される。図13(d)に示す例では、図10(a)に示した実施形態2の変更例2と同様のバーコードの一部からなるマーカーM41、M42が配置されている。マーカーM41、M42の位置が一致すると、2次元のバーコードC4が構成される。
【0130】
<その他の変更例>
ロボット装置1の構成は、上記実施形態および変更例に示した構成以外に、種々の変更が可能である。
【0131】
上記実施形態1では、1つの接続部において、初期状態に対応するペアのマーカーが1組だけ配置されたが、把持状態、載置状態および待機状態にそれぞれ対応するペアのマーカーが配置されてもよい。この場合、図6(a)に示した実施形態1の変更例2のように、1つの接続部に接続された一方または両方の部材に、複数のマーカーが配置されてもよい。同様に、上記実施形態2および実施形態2の変更例2においても、1つの接続部において、初期状態に対応するペアのマーカー(バーコードの一部)が1組だけ配置されたが、把持状態、載置状態および待機状態にそれぞれ対応するペアのマーカーが配置されてもよい。
【0132】
上記実施形態1では、1つの接続部に配置されたペアとなるマーカーの色は互いに同じであったが、互いに異なってもよい。この場合、制御部301は、たとえば、ペアとなるマーカーの色の組合せに基づいて、当該ペアとなるマーカーに対応する接続部を判定する。また、上記実施形態1において、全てのマーカーの色が同じでもよい。この場合、制御部301は、撮像画像の画像解析により、ペアとなるマーカーを判定し、各接続部に対応するマーカーを判定する。
【0133】
上記実施形態2および実施形態2の変更例2では、バーコードを構成するマーカー(バーコードの一部)において、バーコード部分は黒色であり、バーコードの背景部分は白色であったが、バーコード部分およびバーコードの背景部分の色はこれに限らない。一般に、LEDやレーザ光を用いるバーコードリーダーは、光の反射に基づいて情報を読み取るため、バーコード部分およびバーコードの背景部分で利用可能な色は、光の反射との関係で制約を受ける。しかしながら、上記実施形態2および実施形態2の変更例2では、制御部301は、撮像画像上のバーコード画像を解析してバーコードから情報を読み取るため、画像解析が可能であれば、バーコード部分およびバーコードの背景部分の色は自由に設定可能である。したがって、上記実施形態2および実施形態2の変更例2においても、たとえば、実施形態1と同様、各接続部においてマーカー(バーコードの一部)の色を互いに異ならせることにより、接続部ごとのマーカーを区別できる。
【0134】
上記実施形態1では、ペアとなる2つのマーカーの位置が一致したときに、2つのマーカーの全体によって蝶のような図柄が構成されたが、これに限らず、他の図柄(たとえば、文字列や人の顔など)が構成されてもよい。この場合も、制御部301は、互いに位置が一致した2つのマーカーの全体画像が所定の図柄の画像を構成したと判定した場合、2つのマーカーに対応する接続部の回動角が所定角度であると判定する。この場合も、2つのマーカーの位置が一致したことを確実に判定できる。
【0135】
上記実施形態2では、バーコードB1~B3の種類は、JANなどの規定の種類であったが、ロボット10の制御に特化した独自の種類でもよい。上記実施形態2の変更例2では、バーコードC1~C3の種類は、QRコード(登録商標)などの規定の種類であったが、ロボット10の制御に特化した独自の種類でもよい。2つのマーカーによって1つのバーコードが構成される場合、2つのマーカー(バーコードの一部)の位置が一致したとしても、これら2つのマーカーの接合付近において、バーコードのデータを読み取りにくくなる場合がある。この場合、接合付近に情報が配置されないようバーコードを構成することにより、接合付近の情報の読み取りエラーを回避できる。
【0136】
上記実施形態および変更例において、ジョイントモータ111が、アーム13に対してアーム12を回動させてもよく、ジョイントモータ112が、アーム14に対してアーム13を回動させてもよく、ジョイントモータ113が、ハンド15に対してアーム14を回動させてもよい。
【0137】
上記実施形態および変更例において、ロボット10が物品3を保持する方法は、爪15aに限らず、負圧により吸着する方法であってもよい。また、ロボット10のアームの先端には、物品3を移送するためのハンド15に限らず、対象物を溶接するためのレーザ光を出射する光源などが設置されてもよい。すなわち、ロボット10のエンドエフェクタは、ハンドに限らず、溶接手段等の他の手段であってもよい。
【0138】
上記実施形態および変更例では、カメラ20は、ロボット10が最も縮んだ状態から最も伸びた状態までの範囲において、接続部J1~J3の全てが撮像視野に収まるように配置された。しかしながら、これに限らず、上記実施形態のように各マーカーが初期位置に対応して配置される場合、カメラ20は、初期位置における接続部J1~J3のみが撮像視野に収まるように配置されてもよい。
【0139】
上記実施形態および変更例では、1つのカメラ20が配置されたが、カメラ20の数は1つに限られない。たとえば、各々の接続部付近に個別にカメラ20が配置されてもよく、複数個の接続部に対応するカメラ20が配置されてもよい。
【0140】
上記実施形態および変更例では、カメラ20は、マーカーの撮像のために専用に配置されたが、他の目的で配置されたカメラ20の撮像画像をマーカーの検出に共用してもよい。また、ロボット装置1は、必ずしもカメラ20を備えなくてもよい。この場合、外部のカメラが接続部J1~J3を撮像して撮像画像を生成し、ロボット装置1は、外部のカメラから撮像画像を受信し、上記の制御を行う。
【0141】
上記実施形態および変更例において、ロボット10と制御装置30とが一体的に構成されてもよい。この場合、たとえば、ロボット10および制御装置30において、1つの共通の制御部が設けられる。また、カメラ20と制御装置30とが一体的に構成されてもよい。
【0142】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【0143】
(付記)
以上の実施形態の記載により、下記の技術が開示される。
【0144】
(技術1)
第1部材と、
前記第1部材に対して回動可能に接続された第2部材と、
前記第1部材または前記第2部材を回動させるモータと、
前記第1部材と前記第2部材との接続部付近において前記第1部材に配置された第1マーカーと、
前記第1部材に対する前記第2部材の回動角が所定角度となったときに、前記第1マーカーの位置に一致するよう、前記接続部付近において前記第2部材に配置された第2マーカーと、
少なくとも前記接続部付近を俯瞰するカメラから撮像画像を取得し、前記撮像画像上における前記第1マーカーと前記第2マーカーとの位置関係に基づいて、前記第1部材に対する前記第2部材の回動角が前記所定角度であるか否かを判定する制御部と、を備える、
ことを特徴とするロボット装置。
【0145】
この技術によれば、第1部材と第2部材との接続部付近を撮像して得られた撮像画像に基づいて、第1マーカーと第2マーカーとの位置関係を検出できる。制御部は、撮像画像上において第1マーカーと第2マーカーとが一致した場合に、第1部材に対する第2部材の回動角が所定角度であると判定する。したがって、第1部材および第2部材にマーカーを検知するための構成を配置する必要がないため、この構成の荷重がロボットの駆動性能に影響を及ぼすことがない。また、第1部材と第2部材に、それぞれ、第1マーカーと第2マーカーを配置するだけでよいため、ロボットの構成が複雑化することもない。よって、簡易かつ円滑に、第1部材に対する第2部材の回動状態を検出できる。
【0146】
(技術2)
技術1に記載のロボット装置において、
前記第1マーカーおよび前記第2マーカーは、互いに一致すると前記撮像画像から所定の情報を読み取り可能な1つの記憶媒体を構成し、
前記制御部は、前記第1マーカーと前記第2マーカーとが一致したと判定すると、前記記憶媒体に保持されている情報を読み取る、
ことを特徴とするロボット装置。
【0147】
この技術によれば、接続部の名称および識別番号や、第1部材に対する第2部材の回動角等の情報を、記憶媒体に保持させることができる。これにより、これらの情報を予め記憶部等に記憶する必要がなくなる。また、第1マーカーと第2マーカーとが一致したときに記憶媒体の情報が全体として読み取り可能となるため、記憶媒体の情報が読み取り可能であるか否かによって、第1マーカーと第2マーカーとが一致したか否かをさらに判定することもできる。
【0148】
(技術3)
技術2に記載のロボット装置において、
前記記憶媒体は、1次元バーコードである、
ことを特徴とするロボット装置。
【0149】
この技術によれば、記憶媒体を円滑に配置できる。また、バーコードを構成するマーカーの位置が多少ずれていても、バーコードの情報は全体として読み取り可能となる。
【0150】
(技術4)
技術2に記載のロボット装置において、
前記記憶媒体は、2次元バーコードにより構成される、
ことを特徴とするロボット装置。
【0151】
この技術によれば、記憶媒体を円滑に配置できる。また、記憶媒体が1次元バーコードにより構成される場合に比べて、記憶媒体にさらに多くの情報を保持させることができる。
【0152】
(技術5)
技術2ないし4の何れか一項に記載のロボット装置において、
前記第1マーカーおよび前記第2マーカーにより構成される前記記憶媒体から取得される情報は、前記所定角度を含む、
ことを特徴とするロボット装置。
【0153】
この技術によれば、制御部は、第1マーカーの位置と第2マーカーの位置とが一致したときの、第2部材に対する第1部材の回動角を取得できる。
【0154】
(技術6)
技術2ないし5の何れか一項に記載のロボット装置において、
前記第1マーカーおよび前記第2マーカーにより構成される前記記憶媒体から取得される情報は、前記所定角度に対応する前記第1部材および前記第2部材の回動状態を識別可能な情報を含む、
ことを特徴とするロボット装置。
【0155】
この技術によれば、制御部は、第1マーカーの位置と第2マーカーの位置とが一致したときの、第1部材および第2部材の回動状態を把握できる。
【0156】
(技術7)
技術1ないし6の何れか一項に記載のロボット装置において、
互いに一致した前記第1マーカーおよび前記第2マーカーの全体によって所定の図柄が構成され、
前記制御部は、前記撮像画像において、前記第1マーカーおよび前記第2マーカーの全体画像が前記所定の図柄の画像を構成したと判定した場合、前記第1部材に対する前記第2部材の回動角が前記所定角度であると判定する、
ことを特徴とするロボット装置。
【0157】
この技術によれば、第1マーカーの位置と第2マーカーの位置が一致した状態を確実に判定できる。
【0158】
(技術8)
技術1ないし7の何れか一項に記載のロボット装置において、
前記第1マーカーおよび前記第2マーカーが配置された前記接続部を複数備え、
前記カメラは、前記複数の接続部を同時に撮像し、
前記制御部は、前記撮像画像における各々の前記接続部の前記第1マーカーおよび前記第2マーカーとの位置関係に基づいて、前記複数の接続部において前記第1部材に対する前記第2部材の回動角が所定角度であるか否かを判定する、
ことを特徴とするロボット装置。
【0159】
この技術によれば、複数の接続部において、第1マーカーと第2マーカーとの位置関係から、第1部材に対する第2部材の回動角が所定角度であるか否かを判定できる。また、1つのカメラからの撮像画像から複数の接続部のマーカーの状態を検出できるため、構成および処理の簡素化を図ることができる。
【0160】
(技術9)
技術8に記載のロボット装置において、
前記第1マーカーおよび前記第2マーカーの形態は、前記複数の接続部ごとに互いに異なっている、
ことを特徴とするロボット装置。
【0161】
この技術によれば、複数の接続部を撮像した撮像画像において、接続部ごとの第1マーカーおよび第2マーカーを区別できる。
【0162】
(技術10)
技術1ないし9の何れか一項に記載のロボット装置において、
前記第1マーカーおよび前記第2マーカーの少なくとも一方が複数配置され、
前記第1マーカーの位置と前記第2マーカーの位置とが一致するときの前記所定角度が、複数設けられている、
ことを特徴とするロボット装置。
【0163】
この技術によれば、第1部材に対する第2部材の回動角が複数の所定角度となるときの状態を判定できる。
【0164】
(技術11)
技術10に記載のロボット装置において、
前記複数配置されたマーカーの形態は、互いに異なっている、
ことを特徴とするロボット装置。
【0165】
この技術によれば、撮像画像において、マーカーの形態に基づいて複数の所定角度を区別できる。
【0166】
(技術12)
技術1ないし11の何れか一項に記載のロボット装置において、
前記モータに接続されたエンコーダを備え、
前記制御部は、前記第1部材に対する前記第2部材の回動角が前記所定角度であると判定したことに基づいて、前記エンコーダの出力値を補正する、
ことを特徴とするロボット装置。
【0167】
この技術によれば、エンコーダの出力値と、第1部材に対する第2部材の実際の回動角とが異なっている場合に、エンコーダの出力値を補正して、第1部材または第2部材を精度よく駆動できる。
【符号の説明】
【0168】
1 ロボット装置
12 アーム(第1部材)
13 アーム(第1部材、第2部材)
14 アーム(第1部材、第2部材)
15 ハンド(第2部材)
20 カメラ
41 第1部材
42 第2部材
111~113 ジョイントモータ(モータ)
121~123 エンコーダ
301 制御部
B1~B4 バーコード(記憶媒体)
C1~C4 バーコード(記憶媒体)
J1~J4 接続部
M11 マーカー(第1マーカー)
M12 マーカー(第2マーカー)
M21 マーカー(第1マーカー)
M22 マーカー(第2マーカー)
M31、M34 マーカー(第1マーカー)
M32、M33、M35 マーカー(第2マーカー)
M41、M43 マーカー(第1マーカー)
M42、M44 マーカー(第2マーカー)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13