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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129240
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】換気装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20240919BHJP
   F24F 11/77 20180101ALI20240919BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240919BHJP
   F24F 110/70 20180101ALN20240919BHJP
   F24F 120/10 20180101ALN20240919BHJP
   F24F 130/30 20180101ALN20240919BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F11/77
F24F11/64
F24F110:70
F24F120:10
F24F130:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038318
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】御厨 知宏
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BA01
3L056BA03
3L056BD01
3L056BD07
3L056BF00
3L260AA01
3L260AB15
3L260BA25
3L260BA26
3L260CA03
3L260CA17
3L260CA20
3L260EA07
3L260EA13
3L260FC03
3L260HA01
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素濃度の上昇による人体への悪影響を防止しつつ睡眠の質を向上させる換気装置を提供する。
【解決手段】所定空間の排気を行う排気ファン4と、所定空間の二酸化炭素濃度を取得する二酸化炭素濃度取得部14と、所定空間内で人が就寝中か否かを判定する判定部12と、
判定部12により人が就寝中と判定された場合に、単位時間あたりの二酸化炭素濃度の変化量が所定の減少変化量範囲に収束するように排気ファン4の回転数を制御する回転数制御部13と、を備える。これにより上記課題を解決するものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定空間の排気を行う排気ファンと、
前記所定空間の二酸化炭素濃度を取得する二酸化炭素濃度取得部と、
前記所定空間内で人が就寝中か否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記人が就寝中と判定された場合に、単位時間あたりの前記二酸化炭素濃度の変化量が所定の減少変化量範囲に収束するように前記排気ファンの回転数を制御する回転数制御部と、を備える換気装置。
【請求項2】
前記単位時間あたりの前記二酸化炭素濃度の変化量である単位変化量を算出する変化量算出部を備え、
前記回転数制御部は、
前記単位変化量が前記二酸化炭素濃度の減少を示す変化量かつ前記単位変化量における減少変化量が前記所定の減少変化量範囲よりも大きい減少変化量であれば、前記排気ファンの回転数を小さくする請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記回転数制御部は、
前記単位変化量が前記二酸化炭素濃度の減少を示す変化量かつ前記単位変化量における減少変化量が前記所定の減少変化量範囲内であれば、前記排気ファンの回転数を維持する請求項2に記載の換気装置。
【請求項4】
前記回転数制御部は、
前記単位変化量が前記二酸化炭素濃度の増加を示す変化量であれば、前記排気ファンの回転数を大きくする請求項2に記載の換気装置。
【請求項5】
前記回転数制御部は、
前記排気ファンの回転数を大きくする制御において、前記排気ファンの回転数を所定の回転数閾値以下に抑制する請求項4に記載の換気装置。
【請求項6】
前記回転数制御部は、
前記二酸化炭素濃度が所定の濃度以上であれば、前記排気ファンの回転数を前記回転数閾値よりも大きくする請求項5に記載の換気装置。
【請求項7】
前記所定空間内の前記人を検出する人検出部と、
前記所定空間の照度を測定する照度測定部と、を備え、
前記判定部は、
前記人検出部により前記人が検出されさらに前記照度測定部により測定された照度が所定の照度閾値以下である場合に、前記所定空間内で人が就寝中と判定する請求項1に記載の換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、所定空間の二酸化炭素濃度に基づいて換気装置の換気量を制御する換気システムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013―124788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の換気装置における換気制御は、所定空間に滞在するユーザーの就寝中については考慮されていない。ユーザーが就寝中に換気装置のファンの回転数が大きいとファンによる騒音やファンの回転により発生する気流によってユーザーの睡眠の質が低下する可能性がある。睡眠の質の低下とは、例えば起床時間前に目が覚めてしまうこと等である。一方で、ユーザーの睡眠の質の向上を重視してユーザーが就寝中に換気装置のファンの回転数を小さくしすぎると所定空間の二酸化炭素濃度が上昇することによって人体に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は上記の従来課題を解決するものであり、二酸化炭素濃度の上昇による人体への悪影響を防止しつつ睡眠の質を向上させる換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、この目的を達成するため、本発明にかかる換気装置は、所定空間の排気を行う排気ファンと、所定空間の二酸化炭素濃度を取得する二酸化炭素濃度取得部と、所定空間内で人が就寝中か否かを判定する判定部と、判定部により人が就寝中と判定された場合に、単位時間あたりの二酸化炭素濃度の変化量が所定の減少変化量範囲に収束するように排気ファンの回転数を制御する回転数制御部と、を備える。これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、二酸化炭素濃度の上昇による人体への悪影響を防止しつつ睡眠の質を向上させる換気装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る換気装置の構成図及び配置図である。
図2】本発明の実施の形態に係る制御部及び周辺部の概略機能ブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係る制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するために例示するものであって、本発明は以下のものに特定しない。特に実施の形態に記載されている材質、形状、構成要素、構成要素の配置及び相対的配置等は一例であって、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨
ではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
(実施の形態)
まず、本実施の形態に係る換気装置について説明する。図1は、本実施の形態に係る換気装置の構成図及び配置図である。
【0010】
換気装置1は、建物内の天井裏または、側面壁内もしくは床下などに設置可能であり所定空間である居室の空気の換気を行う。本実施の形態では所定空間として居室を例に挙げるが、これに限定されない。本実施の形態では、換気装置1は居室と天井裏とを仕切る天井に固定され、天井裏に配置されている。
【0011】
換気装置1は、吸込口2、吹出口3、排気ファン4、二酸化炭素濃度測定部5、および制御部7を備える。
【0012】
吸込口2は、換気装置1の下方に設けられ、天井開口を介して居室の空気を換気装置1内に取り入れるための開口である。
【0013】
吹出口3は、換気装置1の側面に設けられる。吹出口3は、吸込口2より換気装置1内に取り入れられた居室の空気を換気装置1外に吹き出すための開口である。吹出口3はダクト8の一端と接続され、ダクト8の他端は屋外に接続される。つまり、ダクト8は吹出口3から吹き出される空気を屋外に吐き出す。
【0014】
排気ファン4は、換気装置1の内部に設けられ、居室の排気を行う。排気ファン4は、吸込口2から換気装置1内に空気を取り入れて、取り入れた空気を吹出口3およびダクト8を介して屋外に吹き出す空気の流れを生成する。具体的には、排気ファン4が回転することによって、居室内の空気が吸込口2から換気装置1内部に取り込まれ、吹出口3から吹き出される。吹出口3から吹き出された空気はダクト8を経由して屋外に排出される。排気ファン4の回転は制御部7により制御される。
【0015】
二酸化炭素濃度測定部5は、居室の二酸化炭素濃度を測定する。二酸化炭素濃度測定部5は、例えば二酸化炭素濃度センサである。本実施の形態では一例として、二酸化炭素濃度測定部5は吸込口2に設けられる。なお、二酸化炭素濃度測定部5は居室の壁など居室内に設置されてもよい。二酸化炭素濃度測定部5により測定された居室の二酸化炭素濃度は、有線通信または無線通信により制御部7に送られる。
【0016】
制御部7は、換気装置1の制御を行うが、詳細な制御内容については後述する。
【0017】
また、換気装置1は、照度測定部9と、人検出部10とを備える。
【0018】
照度測定部9は居室の照度を測定する。照度測定部9は、例えば照度センサである。本実施の形態では一例として照度測定部9は居室の壁に設置されるが、居室の照度が測定可能であれば設置場所は居室の壁に限定されない。例えば照度測定部9は、吸込口2に設けられてもよい。照度測定部9により測定された居室の照度は、有線通信または無線通信により制御部7に送られる。
【0019】
人検出部10は居室内の人を検出する。人検出部10の例は、赤外線センサ、超音波センサ、カメラ等であり、人を検出することが可能であればこれ以外の構成でもよい。本実施の形態では一例として人検出部10は居室の壁に設置されるが、居室内の人が検出可能であれば設置場所は居室の壁に限定されない。例えば人検出部10は、吸込口2に設けられてもよい。人検出部10により検出された人検出の有無情報は、有線通信または無線通
信により制御部7に送られる。
【0020】
次いで、図2を参照して本発明の実施の形態に係る制御部7の各機能について説明する。図2は制御部7及び周辺部の概略機能ブロック図である。制御部7は、二酸化炭素濃度測定部5により測定される二酸化炭素濃度と、照度測定部9により測定される照度と、人検出部10により検出される人の検出の有無と、に基づいて、排気ファン4の回転数を制御する。
【0021】
制御部7は、二酸化炭素濃度取得部14、変化量算出部11、判定部12、および回転数制御部13を備える。
【0022】
二酸化炭素濃度取得部14は、居室の二酸化炭素濃度を取得する。本実施の形態では、二酸化炭素濃度取得部14は、二酸化炭素濃度測定部5により測定された居室の二酸化炭素濃度を取得する。
【0023】
変化量算出部11は、二酸化炭素濃度取得部14により取得された二酸化炭素濃度をもとに、単位時間あたりの二酸化炭素濃度の変化量である単位変化量を算出する。単位時間は本実施の形態では一例として15分とするが、これ以外でもよい。変化量算出部11は、単位時間経過後の二酸化炭素濃度を単位時間経過前の二酸化炭素濃度で減算することで単位変化量を算出する。例えば、単位時間で二酸化炭素濃度が50ppm(parts per million)増加した場合は、単位変化量は+50ppmとなる。同様に、単位時間で二酸化炭素濃度が50ppm減少した場合は、単位変化量は-50ppmとなる。
【0024】
判定部12は、居室内で人が就寝中か否かを判定する。本実施の形態では一例として、判定部12は、人検出部10により人が検出されさらに照度測定部9により測定された照度が所定の照度閾値以下である場合に、居室内で人が就寝中と判定する。
【0025】
照度閾値は、人が就寝中か否かを判定するためのものであり、予め実験などにより決められた値であり、任意に設定可能である。照度閾値は、例えば10ルクスである。人が就寝中の居室では常夜灯が点灯されることもあるため、照度閾値は常夜灯の点灯を考慮して0ルクスよりも大きい照度が設定されることが望ましい。
【0026】
また、判定部12は、人検出部10により人が検出されさらに照度測定部9により測定された照度が所定の照度閾値以下である状態が所定時間以上経過した場合に、居室内で人が就寝中と判定してもよい。所定時間は、人が就寝中か否かを判定するためのものであり、予め実験などにより決められた値であり、任意に設定可能である。人検出部10により人が検出されさらに照度測定部9により測定された照度が所定の照度閾値以下になってすぐは、人はまだ就寝中ではなく就寝前の状態である可能性が高い。そのため、判定部12は所定時間以上経過した場合に、居室内で人が就寝中と判定してもよい。
【0027】
判定部12は、居室内で人が就寝中か否かを判定することができれば上記以外の方法でもよい。判定部12は、照度測定部9以外を用いて人が就寝中と判定してもよい。例えば、判定部12が無線通信等により人のバイタルデータを取得して就寝中の判定を行ってもよい。バイタルデータとは、人の生命に関する基本的な情報であり、例えば血圧、心拍数、呼吸、体動のうち、少なくとも1つ以上のデータである。呼吸とは単位時間あたりに行われる呼吸の数や呼吸の深さ等である。また、体動とは身体の動きの大きさである。バイタルデータの取得は、例えばバイタルセンサー等を介して取得する。判定部12は、バイタルデータに基づいて、就寝中の状態か否かを判定する。就寝中の状態の判定例としては、就寝中には心拍数が低くなることが知られており、これにより就寝中の状態が判定でき
る。上記は判定方法の一例であり、他にも血圧、呼吸、体動や心拍数も含めたこれらの組み合わせによって就寝中の状態か否かを判定する等、就寝中の状態が判定出来れば良い。
【0028】
回転数制御部13は、判定部12により居室内に人が就寝中と判定された場合に、単位変化量が所定の減少変化量範囲に収束するように排気ファン4の回転数を制御する。詳細はフローチャートを用いて後述する。
【0029】
なお、回転数制御部13は、判定部12により居室内に人が就寝中と判定されていない場合は、通常の回転数制御を行う。通常の回転数制御とは、例えば予め設定された設定風量に対応する回転数制御である。設定風量に対応する排気ファン4の回転数が回転数制御部13に記憶されており、回転数制御部13は設定風量に対応する排気ファン4の回転数に制御する。設定風量とは、ユーザーによって設定された風量であり、換気装置1に対応するリモートコントローラ等によりユーザーが設定可能である。ユーザーによりリモートコントローラ等を介して入力された設定風量が無線通信または有線通信により回転数制御部13に送られる。そして、回転数制御部13は、ユーザーにより入力された設定風量に対応する排気ファン4の回転数に制御する。
【0030】
また、通常の回転数制御とは、二酸化炭素濃度取得部14により取得された二酸化炭素濃度に基づいた回転数制御であってもよい。例えば、回転数制御部13は、二酸化炭素濃度取得部14により取得された二酸化炭素濃度が高いほど排気ファン4の回転数を大きくしてもよい。
【0031】
また、通常の回転数制御とは、居室に埃センサを備え、埃センサにより測定された埃の量に基づいた回転数制御であってもよい。例えば、回転数制御部13は、埃センサにより測定されたに埃の量が大きいほど排気ファン4の回転数を大きくしてもよい。
【0032】
制御部7の各機能ブロックは、ハードウェアとしては、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェアとしてはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによって様々な形で実現することができる。
【0033】
次いで、制御部7により実行される制御について図3のフローチャートを用いて説明する。フローチャートではSを頭文字にして番号を割り振った。例えばS1などは処理ステップを指す。但し、処理ステップを示す数値の大小と処理順序は関係しない。
【0034】
まず、判定部12は、居室内で人が就寝中か否かを判定する(S1)。居室内で人が就寝中ではないと判定された場合、回転数制御部13は通常の回転数制御を行い、再度ステップS1に戻る。つまり、判定部12が居室内で人が就寝中との判定を行うまで、回転数制御部13は通常の回転数制御を行う。
【0035】
居室内で人が就寝中であると判定された場合、変化量算出部11は、単位変化量を算出する(S1のYes→S2)。
【0036】
回転数制御部13は、単位変化量が二酸化炭素濃度の増加を示す変化量か否か確認する(S3)。二酸化炭素濃度の増加を示す変化量とは、単位変化量がプラスの変化量のことである。単位変化量が二酸化炭素濃度の増加を示す変化量であれば、回転数制御部13は、排気ファン4の回転数を現在の回転数よりも大きくする(S3のYes→S4)。これにより、二酸化炭素濃度の上昇を抑制または防止できる。二酸化炭素濃度が大きくなりすぎると人体に悪影響を及ぼす可能性があるため、人体への悪影響を低減できる。
【0037】
その後ステップS2に戻る。つまり、回転数制御部13により大きくされた回転数による回転が単位時間継続され、単位時間経過後に変化量算出部11が最新の単位変化量を算出する。なお、現在の回転数は回転数制御部13により大きくされた回転数に変更となる。
【0038】
ステップS3において、単位変化量が二酸化炭素濃度の増加を示す変化量でなければ、ステップS4に進む(S3のNo→S4)。回転数制御部13は、単位変化量が二酸化炭素濃度の減少を示す変化量かつ単位変化量における減少変化量が所定の減少変化量範囲よりも大きい減少変化量か否か確認する。ここで減少変化量とは、二酸化炭素濃度の変化量であって、単位変化量がマイナスの変化量のことである。所定の減少変化量範囲は、予め実験などにより決められた減少変化量の範囲または値であり、任意に設定可能である。本実施の形態では、所定の減少変化量範囲は、0~10ppmの減少変化量の範囲であり、-10~0ppmの変化量の範囲ともいえる。また、所定の減少変化量範囲は10ppm以下の減少変化量の範囲ともいえる。
【0039】
単位変化量が二酸化炭素濃度の減少を示す変化量かつ単位変化量における減少変化量が所定の減少変化量範囲よりも大きい減少変化量であれば、回転数制御部13は、排気ファンの回転数を現在の回転数よりも小さくする(S5のYes→S6)。本実施の形態の例で説明すると、単位変化量がマイナスかつ単位変化量における減少変化量が10ppmよりも大きい減少変化量であれば、回転数制御部13は、排気ファン4の回転数を現在の回転数よりも小さくする。
【0040】
単位変化量が二酸化炭素濃度の減少を示す変化量であるため、二酸化炭素濃度が上昇して人体に悪影響を及ぼすことを防止できる。ここで、減少変化量が所定の減少変化量範囲よりも大きい減少変化量であるため、排気ファン4の回転数を現在の回転数よりも小さく変更しても、二酸化炭素濃度が上昇方向に変化しない可能性が高い。つまり、排気ファン4の回転数を小さくすることで、排気ファン4による騒音を低減することができ、排気ファン4の回転数を小さくすることは、騒音の面で睡眠の質を向上させることにつながる。また、排気ファン4の回転により発生する気流も小さくすることができる。これにより、ユーザーが風の流れを感じて起床時間前に目が覚めてしまう可能性等を低減することができ、風質の面で睡眠の質を向上できる。
【0041】
その後ステップS2に戻る。つまり、回転数制御部13により小さくされた回転数による回転が単位時間継続され、単位時間経過後に変化量算出部11が最新の単位変化量を算出する。なお、現在の回転数は回転数制御部13により小さくされた回転数に変更となる。
【0042】
また、ステップS5において、単位変化量が二酸化炭素濃度の減少を示す変化量かつ単位変化量における減少変化量が所定の減少変化量範囲よりも大きい減少変化量、でなければ、回転数制御部13は、排気ファンの回転数を現在の回転数のまま維持する(S5のNo→S7)。即ち、単位変化量が二酸化炭素濃度の減少を示す変化量かつ単位変化量における減少変化量が所定の減少変化量範囲内であれば、回転数制御部13は、排気ファンの回転数を現在の回転数のまま維持する。本実施の形態の例で説明すると、単位変化量がマイナスかつ単位変化量における減少変化量が10ppm以内であれば、回転数制御部13は、排気ファン4の回転数を維持する。
【0043】
単位変化量が二酸化炭素濃度の減少を示す変化量であるため、二酸化炭素濃度が上昇して人体に悪影響を及ぼすことを防止できる。なお、減少変化量が所定の減少変化量範囲内であるため、排気ファン4の回転数を現在の回転数よりも小さく変更した場合、二酸化炭
素濃度が上昇方向に変化する可能性が高い。回転数制御部13が排気ファン4の回転数を維持することで、二酸化炭素濃度が上昇して人体に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0044】
その後ステップS2に戻る。つまり、回転数制御部13により維持された回転数による回転が単位時間継続され、単位時間経過後に変化量算出部11が最新の単位変化量を算出する。なお、現在の回転数は回転数制御部13により維持された回転数のままである。
【0045】
上記フローチャートの制御を行うことで、単位変化量における減少変化量が減少変化量範囲よりも大きい減少変化量であれば、減少変化量が減少変化量範囲内になるまで排気ファン4の回転数を小さくし続けることができる。つまり、二酸化炭素濃度が減少方向の変化であることを維持しつつ排気ファン4の回転数を最大限小さくすることができる。排気ファン4の回転数を最大限小さくすることができるので、排気ファン4による騒音を最大限低減することができ、排気ファン4の回転数を最大限小さくすることは、騒音の面で睡眠の質を向上させることにつながる。また、排気ファン4の回転により発生する気流も最大限小さくすることができる。これにより、ユーザーが風の流れを感じて起床時間前に目が覚めてしまう可能性を最大限低減することができ、風質の面でユーザーの睡眠の質を向上できる。よって、ユーザーへの二酸化炭素濃度の上昇による人体への悪影響を防止しつつユーザーの睡眠の質を向上できる。
【0046】
なお、ステップS4において以下の制御を追加で行ってもよい。回転数制御部13は、排気ファン4の回転数を現在の回転数よりも大きくする制御において、排気ファン4の回転数を所定の回転数閾値以下に抑制する。所定の回転数閾値は、ユーザーの睡眠の質の低下を抑制するためのものであり、予め実験などにより決められ、任意に設定可能である。
【0047】
例えば単位変化量がプラスの状態が継続すると、排気ファン4の回転数は上昇しつづける。排気ファン4の回転数が上昇しつづけると、排気ファン4による騒音が上昇しつづけ、排気ファン4の回転により発生する気流も大きくなりつづける。つまり、ユーザーの睡眠の質が低下する。そこで、回転数制御部13は、排気ファン4の回転数を現在の回転数よりも大きくする制御において、排気ファン4の回転数を所定の回転数閾値以下に抑制する。つまり、回転数制御部13は、排気ファン4の回転数を現在の回転数よりも大きくする制御において、現在の回転数よりも大きくした排気ファン4の回転数が回転数閾値よりも大きい場合は、排気ファン4の回転数を回転数閾値に制御する。これにより、睡眠の質の低下を抑制することができる。
【0048】
なお、排気ファン4の回転数を回転数閾値以下に抑制する制御において、回転数制御部13はさらに以下の制御を追加で行ってもよい。ところで、排気ファン4の回転数を回転数閾値以下に抑制することで、単位変化量はプラスの状態が継続することが考えられる。つまり、二酸化炭素濃度は上昇し続ける。二酸化炭素濃度が高濃度すぎると人体への悪影響が危惧される。そこで、二酸化炭素濃度が所定の濃度以上であれば、回転数制御部13は、排気ファン4の回転数を回転数閾値よりも大きくする。即ち、二酸化炭素濃度が所定の濃度以上であれば、回転数制御部13は、排気ファン4の回転数を回転数閾値以下に抑制しない。所定の濃度は、人体への悪影響が危惧される濃度よりも低い二酸化炭素濃度であり、予め実験などにより決められ、任意に設定可能である。所定の濃度の一例としては、2000ppmであるが、これに限定されない。上記により、排気ファン4の回転数を回転数閾値よりも大きい回転数に上昇させることができるので、二酸化炭素濃度のさらなる上昇を抑制または防止することができる。つまり、二酸化炭素濃度が高濃度すぎて人体に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0049】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であること
は容易に推察できるものである。
【0050】
(発明の概要)
本発明に係る換気装置は、所定空間の排気を行う排気ファンと、所定空間の二酸化炭素濃度を取得する二酸化炭素濃度取得部と、所定空間内で人が就寝中か否かを判定する判定部と、判定部により人が就寝中と判定された場合に、単位時間あたりの二酸化炭素濃度の変化量が所定の減少変化量範囲に収束するように排気ファンの回転数を制御する回転数制御部と、を備える。
【0051】
これにより、二酸化炭素濃度の上昇による人体への悪影響を防止しつつ睡眠の質を向上できる。
【0052】
また、単位時間あたりの二酸化炭素濃度の変化量である単位変化量を算出する変化量算出部を備え、回転数制御部は、単位変化量が二酸化炭素濃度の減少を示す変化量かつ単位変化量における減少変化量が所定の減少変化量範囲よりも大きい減少変化量であれば、排気ファンの回転数を小さくしてもよい。
【0053】
排気ファンの回転数を小さくすることで、排気ファンによる騒音等を低減することができる。これにより、ユーザーが起床時間前に目が覚めてしまう可能性等を低減することができ、睡眠の質を向上できる。
【0054】
また、回転数制御部は、単位変化量が二酸化炭素濃度の減少を示す変化量かつ単位変化量における減少変化量が所定の減少変化量範囲内であれば、排気ファンの回転数を維持してもよい。
【0055】
単位変化量が二酸化炭素濃度の減少を示す変化量であるため、二酸化炭素濃度が上昇して人体に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0056】
また、回転数制御部は、単位変化量が二酸化炭素濃度の増加を示す変化量であれば、排気ファンの回転数を大きくしてもよい。
【0057】
これにより、二酸化炭素濃度の上昇を抑制でき、人体に悪影響を及ぼす可能性を低減できる。
【0058】
また、回転数制御部は、排気ファンの回転数を大きくする制御において、排気ファンの回転数を所定の回転数閾値以下に抑制してもよい。
【0059】
排気ファンの回転数に上限を設定することで、睡眠の質の低下を抑制できる。
【0060】
また、回転数制御部は、二酸化炭素濃度が所定の濃度以上であれば、排気ファンの回転数を回転数閾値よりも大きくしてもよい。
【0061】
これにより、二酸化炭素濃度が高濃度すぎて人体に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0062】
また、所定空間内の人を検出する人検出部と、所定空間の照度を測定する照度測定部と、を備え、判定部は、人検出部により人が検出されさらに照度測定部により測定された照度が所定の照度閾値以下である場合に、所定空間内で人が就寝中と判定してもよい。
【0063】
これにより、人検出部および照度測定部を用いて所定空間内で人が就寝中か否か判定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、換気装置等に有用である。
【符号の説明】
【0065】
1 換気装置
2 吸込口
3 吹出口
4 排気ファン
5 二酸化炭素濃度測定部
7 制御部
8 ダクト
9 照度測定部
10 人検出部
11 変化量算出部
12 判定部
13 回転数制御部
14 二酸化炭素濃度取得部
図1
図2
図3