(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129248
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】電気装置及び移動体
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240919BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038329
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正悟
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA21
5H770BA01
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA41
5H770PA21
5H770QA06
5H770QA12
5H770QA14
5H770QA16
5H770QA21
5H770QA27
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エネルギ損失が小さいバスバーを内部に有する電気装置を提供する。
【解決手段】パワーコントロールユニット(電気装置)10は、パワーモジュール48と、パワーモジュールに備えられた接続面52に配された正極接続端子54aに接続される正極バスバー42と、を備える。正極バスバー42は、正極接続端子に接続されるとともにX方向に延在するパワーモジュール接続部62と、パワーモジュール接続部に沿って延在するとともにパワーモジュール接続部から起立する起立部64と、を含む。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品と、
前記電気部品に備えられた接続面に配された第1接続端子に接続される第1バスバーと、
を備え、
前記第1バスバーは、前記第1接続端子に接続されるとともに第1方向に延在する第1接続部と、前記第1接続部に沿って延在するとともに前記第1接続部から起立する第1起立部とを含む、電気装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気装置において、
前記接続面に配されるとともに前記第1接続端子に隣接する第2接続端子に接続される第2バスバーを更に備え、
前記第2バスバーは、前記第2接続端子に接続されるとともに前記第1方向に沿って延在する第2接続部と、前記第2接続部に沿って延在するとともに前記第2接続部から起立する第2起立部と、を含む、電気装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電気装置において、
前記第2バスバーは、前記第2起立部から前記接続面に沿って突出する突出部を含む、電気装置。
【請求項4】
請求項3記載の電気装置において、
前記突出部の少なくとも一部は、平面視において前記第1接続部と重なり合う、電気装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電気装置において、
前記電気部品を冷却する冷却器を更に備え、
前記電気部品は、前記冷却器と前記第1接続部との間に位置する、電気装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電気装置において、
前記電気部品は、スイッチング素子を有する電力変換装置である、電気装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の電気装置を備える移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気装置及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、インバータ装置(電気装置)が開示されている。当該インバータ装置は、内部にバスバーを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近時では、エネルギ損失が小さい電気装置が求められる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、電気装置であって、当該電気装置は、電気部品と、前記電気部品に備えられた接続面に配された第1接続端子に接続される第1バスバーと、を備え、前記第1バスバーは、前記第1接続端子に接続されるとともに第1方向に延在する第1接続部と、前記第1接続部に沿って延在するとともに前記第1接続部から起立する第1起立部とを含む。
【0007】
本発明の第2の態様は、移動体であって、当該移動体は、第1の態様の電気装置を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、エネルギ損失が小さい電気装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図2は、電力供給装置を上方から見た図である。
【
図3】
図3は、電力供給装置を機体の前方から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔一実施形態〕
一実施形態における電気装置10について図面を用いて説明する。本実施形態では、電気装置10がパワーコントロールユニット(Power Control Unit)である場合を例に説明するが、これに限定されない。パワーコントロールユニット10は、移動体12に搭載される。本実施形態では、移動体12が航空機である場合を例に説明するが、これに限定されない。
【0011】
[航空機の構成]
図1は、航空機12の模式図である。本実施形態の航空機12は、電動垂直離着陸機(eVTOL機)である。航空機12は、電動モータによりロータが駆動される。航空機12は、ロータにより垂直方向の推力と水平方向の推力を発生させる。
【0012】
航空機12には機体14が備えられる。航空機12は、8つのVTOLロータ16を有する。VTOLロータ16は、機体14に対して上方向に推力を発生する。航空機12は、2つのクルーズロータ18を有する。クルーズロータ18は、機体14に対して前方向に推力を発生する。
【0013】
VTOLロータ16及びクルーズロータ18は、不図示の電動モータにより駆動される。航空機12は、電動モータの電源として、発電機20と不図示のバッテリとを有する。発電機20により供給された電力が電動モータに供給される。発電機20により発電された電力が、要求される電力に対して不足する場合、バッテリに蓄電された電力が電動モータに供給される。
【0014】
[電力供給装置の構成]
航空機12は、電力供給装置22を有する。電力供給装置22は、発電機20、パワーコントロールユニット10及びメインジャンクションボックス24を有する。以下では、パワーコントロールユニット10をPCU10と記載することがある。また、メインジャンクションボックス24をMJB24と記載することがある。
【0015】
電力供給装置22は、2つの発電機20を有する。2つの発電機20のうち一方は第1発電機20aであり、2つの発電機20のうち他方は第2発電機20bである。航空機12の機体14の左右方向における中心線Lに対して右側に第1発電機20aが配置され、中心線Lに対して左側に第2発電機20bが配置される。
【0016】
電力供給装置22は、2つのPCU10を有する。2つのPCU10のうちの一方は第1PCU10aであり、2つのPCU10のうち他方が第2PCU10bである。MJB24は、機体14の中心線Lを中心として配置される。MJB24の右側面に第1PCU10aが取り付けられ、MJB24の左側面に第2PCU10bが取り付けられる。
【0017】
第1発電機20aによる発電によって得られる電力は、第1PCU10aに供給される。第1PCU10aは、第1発電機20aから供給される三相交流を直流に変換する。直流に変換された電力は、MJB24に供給される。
【0018】
第2発電機20bによる発電によって得られる電力は、第2PCU10bに供給される。第2PCU10bは、第2発電機20bから供給される三相交流を直流に変換する。直流に変換された電力は、MJB24に供給される。すなわち、PCU10は、電力変換装置である。
【0019】
図2は、電力供給装置22を上方から見た模式図である。PCU10のケーシング36の上面26には、U相端子28a、V相端子28b及びW相端子28cが設けられる。
【0020】
発電機20から延びるU相配線30aがPCU10のU相端子28aに接続される。発電機20から延びるV相配線30bがPCU10のV相端子28bに接続される。発電機20から延びるW相配線30cがPCU10のW相端子28cに接続される。
【0021】
図3は、電力供給装置22を機体14の前方から見た模式図である。PCU10のケーシング36の下面32には、正極端子34a及び負極端子34bが設けられる。なお、
図3では、第1PCU10aに備えられた正極端子34aと、第2PCU10bに備えられた負極端子34bとが図示されている。正極端子34a及び負極端子34bには、不図示の配線が接続される。当該配線によってPCU10とMJB24とが接続される。
【0022】
PCU10のケーシング36は、収容部38を有する。収容部38には、冷却器40が収容される。冷却器40内を冷却水が流れる。PCU10は、内部にスイッチング素子等を有するパワーモジュール48(
図4)を含む。パワーモジュール48は、熱を発生する。冷却器40によりパワーモジュール48が冷却される。
【0023】
[PCUの構成]
図4は、PCU10の斜視図である。
図4は、ケーシング36のカバーを取り外した状態を示す。
【0024】
図4には、X方向、Y方向及びZ方向を示す矢印が示されている。X方向とY方向とZ方向とは互いに直交する。また、X方向の一方を+X方向とし、他方を-X方向とする。Y方向及びZ方向についても同様とする。X方向は、本発明の第1方向に相当する。
【0025】
PCU10は、正極バスバー42、負極バスバー44、相バスバー46、パワーモジュール48及びコンデンサ50を有する。
【0026】
正極バスバー42は、正極端子34aとパワーモジュール48とを電気的に接続する。負極バスバー44は、負極端子34bとパワーモジュール48とを電気的に接続する。パワーモジュール48は、本発明の電気部品に相当する。正極バスバー42は、本発明の第1バスバーに相当する。
【0027】
PCU10は、3つの相バスバー46を有する。より具体的には、PCU10は、U相バスバー46a、V相バスバー46b及びW相バスバー46cを有する。U相バスバー46aは、U相端子28aとパワーモジュール48とを電気的に接続する。V相バスバー46bは、V相端子28bとパワーモジュール48とを電気的に接続する。W相バスバー46cは、W相端子28cとパワーモジュール48とを電気的に接続する。相バスバー46は、本発明の第2バスバーに相当する。
【0028】
図5~
図8は、PCU10の斜視図である。
図5において、ケーシング36、冷却器40、正極バスバー42、負極バスバー44及び相バスバー46の図示が省略されている。
図6において、ケーシング36、冷却器40、負極バスバー44及び相バスバー46の図示が省略されている。
図7において、ケーシング36、冷却器40、及び相バスバー46の図示が省略されている。
図8において、ケーシング36及び冷却器40の図示が省略されている。
【0029】
PCUは、3つのパワーモジュール48を有する。パワーモジュール48は、接続面52を有する。接続面52は、パワーモジュール48に備えられた複数の面のうちの+Z方向を向く面である。接続面52は、X方向及びY方向と略平行である。接続面52には、正極接続端子54a、負極接続端子54b及び相接続端子54cが設けられる。正極接続端子54aと相接続端子54cとは互いに隣接し、負極接続端子54bと相接続端子54cとは互いに隣接する。正極接続端子54aに正極バスバー42が接続される。負極接続端子54bに負極バスバー44が接続される。相接続端子54cに相バスバー46が接続される。バスバーは、不図示のねじ、ボルト等の締結部材によりパワーモジュール48の接続端子に固定される。
【0030】
パワーモジュール48は、内部にスイッチング素子等を有する。パワーモジュール48は、相バスバー46から入力された各相の交流の電気を整流し、整流された電気を正極バスバー42及び負極バスバー44に出力する。
【0031】
コンデンサ50は、正極接続端子56a及び負極接続端子56bを有する。コンデンサ50は、パワーモジュール48から出力された電圧を平滑化する。正極接続端子56aに正極バスバー42が接続される。負極接続端子56bに負極バスバー44が接続される。バスバーは、不図示のねじ、ボルト等の締結部材によりコンデンサ50の接続端子に固定される。
【0032】
図9は、正極バスバー42の正面図である。
図10は、正極バスバー42の斜視図である。正極バスバー42は、正極端子接続部58と、3つの分岐部60とを有する。分岐部60は、正極端子接続部58から+X方向に延びる。
【0033】
分岐部60の+X方向側の端部には、パワーモジュール接続部62が備えられる。パワーモジュール接続部62は、X方向に沿って延在する。
図6に示すように、パワーモジュール接続部62は、パワーモジュール48の正極接続端子54aに接続される。分岐部60は、パワーモジュール接続部62から+Z方向に起立する起立部64を有する。起立部64は、X方向に沿って延在する。すなわち、起立部64は、パワーモジュール接続部62に沿って延在する。正極接続端子54aは、本発明の第1接続端子に相当する。パワーモジュール接続部62は、本発明の第1接続部に相当する。起立部64は、本発明の第1起立部に相当する。
【0034】
分岐部60の-X方向側の端部には、コンデンサ接続部66が備えられる。コンデンサ接続部66は、起立部64から-Y方向に突出する。コンデンサ接続部66の-X方向側の端部には、正極端子接続部58が接続される。コンデンサ接続部66は、コンデンサ50の正極接続端子56aに接続される。
【0035】
正極端子接続部58は、分岐部60に比べて幅広に形成される。正極端子接続部58の-X方向側の端部が正極端子34aに接続される。
【0036】
図11は、負極バスバー44の平面図である。
図12は、負極バスバー44の斜視図である。負極バスバー44は、負極端子接続部68と、3つの分岐部70とを有する。分岐部70は、負極端子接続部68から+X方向に延びる。
【0037】
分岐部70の+X方向側の端部には、パワーモジュール接続部72が備えられる。パワーモジュール接続部72は、X方向に沿って延在する。
図7に示すように、パワーモジュール接続部72は、パワーモジュール48の負極接続端子54bに接続される。分岐部70は、パワーモジュール接続部72から+Z方向に起立する起立部74を有する。起立部74は、パワーモジュール接続部72に沿って延在する。すなわち、起立部74は、X方向に沿って延在する。
【0038】
分岐部70の-X方向側の端部には、コンデンサ接続部76が備えられる。コンデンサ接続部76は、起立部74から+Y方向に突出する。コンデンサ接続部76の-X方向側の端部には、負極端子接続部68が接続される。コンデンサ接続部76は、コンデンサ50の負極接続端子56bに接続される。
【0039】
負極端子接続部68は、分岐部70に比べて幅広に形成される。負極端子接続部68の-X方向側の端部が負極端子34bに接続される。
【0040】
図13は、相バスバー46の平面図である。
図14は、相バスバー46の斜視図である。相バスバー46は、接続部75、起立部77及び突出部78を有する。接続部75は、X方向に沿って延在する。
図8に示すように、接続部75の+X方向側の端部が、相端子28(U相端子28a、V相端子28b、W相端子28c)に接続される。また、接続部75の-X方向側の部位が、パワーモジュール48の相接続端子54cに接続される。起立部77は、接続部75の幅方向(Y方向)の両端に設けられる。起立部77は、接続部75から+Z方向に起立する。起立部77は、X方向に沿って延在する。すなわち、起立部77は、接続部75に沿って延在する。相接続端子54cは、本発明の第2接続端子に相当する。接続部75は、本発明の第2接続部に相当する。起立部77は、本発明の第2起立部に相当する。
【0041】
起立部77から突出部78が突出する。接続部75に対して+Y方向側に位置する突出部78は、起立部77から+Y方向に突出する。また、接続部75に対して-Y方向側に位置する突出部78は、起立部77から-Y方向に突出する。前述のように、パワーモジュール48の接続面52は、Y方向に対して略平行である。そのため、突出部78は、パワーモジュール48の接続面52に沿って突出する。
【0042】
図15は、PCU10の平面図である。
図16は、PCU10の断面図である。
図15及び
図16は、ケーシング36が取り外された状態を示す。
【0043】
図15に示すように、相バスバー46の突出部78は、平面視において正極バスバー42のパワーモジュール接続部62と重なり合う。また、相バスバー46の突出部78は、平面視において負極バスバー44のパワーモジュール接続部72と重なり合う。なお、平面視とは、Z軸方向視のことを示す。
【0044】
図16に示すように、相バスバー46の突出部78は、側面視において正極バスバー42のパワーモジュール接続部62と離間する。また、相バスバー46の突出部78は、側面視において負極バスバー44のパワーモジュール接続部72と離間する。なお、側面視とは、X方向視のことを示す。
【0045】
また、
図15に示すように、負極バスバー44の負極端子接続部68は、平面視において正極バスバー42の正極端子接続部58と重なり合う。
図16に示すように、負極バスバー44の負極端子接続部68は、側面視において正極バスバー42の正極端子接続部58と離間する。正極端子接続部58と負極端子接続部68との間の距離は、相バスバー46の突出部78と正極バスバー42の正極端子接続部58との間の距離よりも短い。正極端子接続部58と負極端子接続部68とを接近させることにより、正極端子接続部58と負極端子接続部68との間にコンデンサの機能を持たせることができる。
【0046】
図16に示すように、正極バスバー42のパワーモジュール接続部62の厚さ方向は、Z軸方向に沿う。また、正極バスバー42の起立部64の厚さ方向は、Y軸方向に沿う。そのため、正極バスバー42のパワーモジュール接続部62の厚さ方向と、正極バスバー42の起立部64の厚さ方向とは、互いに交差する。
【0047】
図16に示すように、負極バスバー44のパワーモジュール接続部72の厚さ方向は、Z軸方向に沿う。また、負極バスバー44の起立部74の厚さ方向は、Y軸方向に沿う。そのため、負極バスバー44のパワーモジュール接続部72の厚さ方向と、負極バスバー44の起立部74の厚さ方向とは、互いに交差する。
【0048】
図16に示すように、相バスバー46の接続部75の厚さ方向は、Z軸方向に沿う。また、相バスバー46の起立部77の厚さ方向は、Y軸方向に沿う。そのため、相バスバー46の接続部75の厚さ方向と、相バスバー46の起立部77の厚さ方向とは、互いに交差する。
【0049】
図16に示すように、パワーモジュール48は、正極バスバー42のパワーモジュール接続部62と冷却器40との間に位置する。また、パワーモジュール48は、負極バスバー44のパワーモジュール接続部72と冷却器40との間に位置する。
【0050】
[作用効果]
PCU10の設計者は、パワーモジュール48の端子等の構成を自由に決められない場合が多い。パワーモジュール48の端子等の構成の制約がある状態で、PCU10の外部との電気の授受を考慮した上で、発熱量が少なく、冷却性に優れ、電気的な損失が少ない配線の配置を実現することが求められる。
【0051】
PCU10内に設けられるバスバーは、隣接するバスバーとの干渉、及び、隣接するパワーモジュール48の端子との干渉を防ぐために、バスバーの幅が制限される。また、直流電流が流れる正極バスバー42及び負極バスバー44については、寄生インダクタンスを小さく抑えることが求められる。
【0052】
本実施形態のPCU10では、パワーモジュール48と正極バスバー42とを備える。正極バスバー42は、パワーモジュール48の接続面52に設けられた正極接続端子54aに接続される。正極バスバー42は、パワーモジュール接続部62と起立部64とを含む。パワーモジュール接続部62は、パワーモジュール48の正極接続端子54aに接続される。パワーモジュール接続部62は、X方向に延在する。起立部64は、パワーモジュール接続部62から起立する。また、起立部64は、パワーモジュール接続部62に沿って延在する。
【0053】
正極バスバー42に起立部64が設けられることにより、パワーモジュール48との接続部分において、正極バスバー42の幅を確保できる。そのため、正極バスバー42が有する寄生インダクタンスを小さくできる。これにより、パワーモジュール48のスイッチング時の電圧サージを抑制することができ、スイッチングスピードを上げることが可能となる。結果としてスイッチング損失を低減することとなり、PCU10の効率を向上させることができる。また、正極バスバー42の電気抵抗を小さくできる。これにより、正極バスバー42におけるエネルギ損失を小さくできるため、PCU10のエネルギ効率を高めることができる。さらに、正極バスバー42における発熱量を低減できるとともに、正極バスバー42の放熱効率を高めることができる。これにより、正極バスバー42を流れる電流の許容値を大きく設定できる。
【0054】
本実施形態のPCU10では、負極バスバー44を備える。負極バスバー44は、パワーモジュール48の接続面52に設けられた負極接続端子54bに接続される。負極バスバー44は、パワーモジュール接続部72と起立部74とを含む。パワーモジュール接続部72は、パワーモジュール48の負極接続端子54bに接続される。パワーモジュール接続部72は、X方向に延在する。起立部74は、パワーモジュール接続部72から起立する。また、起立部74は、パワーモジュール接続部72に沿って延在する。
【0055】
負極バスバー44に起立部74が設けられることにより、パワーモジュール48との接続部分において、負極バスバー44の幅を確保できる。そのため、負極バスバー44が有する寄生インダクタンスを小さくできる。これにより、パワーモジュール48のスイッチング時の電圧サージを抑制することができ、スイッチングスピードを上げることが可能となる。結果としてスイッチング損失を低減することとなり、PCU10の効率を向上させることができる。また、負極バスバー44の電気抵抗を小さくできる。これにより、負極バスバー44におけるエネルギ損失を小さくできるため、PCU10のエネルギ効率を高めることができる。さらに、負極バスバー44における発熱量を低減できるとともに、負極バスバー44の放熱効率を高めることができる。これにより、負極バスバー44を流れる電流の許容値を大きく設定できる。
【0056】
本実施形態のPCU10では、相バスバー46を備える。相バスバー46は、パワーモジュール48の接続面52に設けられた相接続端子54cに接続される。相バスバー46は、接続部75と、起立部77とを含む。接続部75は、パワーモジュール48の相接続端子54cに接続される。接続部75は、X方向に延在する。起立部77は、接続部75から起立する。また、起立部77は、接続部75に沿って延在する。
【0057】
相バスバー46に起立部77が設けられることにより、パワーモジュール48との接続部分において、相バスバー46の幅を確保できる。そのため、相バスバー46の電気抵抗を小さくできる。これにより、相バスバー46におけるエネルギ損失を小さくできるため、PCU10のエネルギ効率を高めることができる。さらに、相バスバー46における発熱量を低減できるとともに、相バスバー46の放熱効率を高めることができる。これにより、相バスバー46を流れる電流の許容値を大きく設定できる。
【0058】
本実施形態のPCU10では、相バスバー46は突出部78を含む。突出部78は、起立部77からパワーモジュール48の接続面52に沿って突出する。相バスバー46に突出部78が設けられることにより、パワーモジュール48との接続部分において、相バスバー46の幅を確保できる。そのため、相バスバー46の電気抵抗を小さくできる。これにより、相バスバー46におけるエネルギ損失を小さくできるため、PCU10のエネルギ効率を高めることができる。さらに、相バスバー46における発熱量を低減できるとともに、相バスバー46の放熱効率を高めることができる。これにより、相バスバー46を流れる電流の許容値を大きく設定できる。
【0059】
本実施形態のPCU10では、相バスバー46の突出部78の少なくも一部は、平面視において正極バスバー42のパワーモジュール接続部62と重なり合う。また、相バスバー46の突出部78の少なくも一部は、平面視において負極バスバー44のパワーモジュール接続部72と重なり合う。これにより、PCU10の大型化を回避しつつ、相バスバー46の幅を確保できる。
【0060】
本実施形態のPCU10は、パワーモジュール48を冷却する冷却器40を備える。正極バスバー42のパワーモジュール接続部62と、冷却器40との間に、パワーモジュール48が位置する。また、負極バスバー44のパワーモジュール接続部72と、冷却器40との間に、パワーモジュール48が位置する。発熱量が大きいパワーモジュール48と冷却器40とを近づけることができ、パワーモジュール48の冷却効率を高めることができる。
【0061】
上述した開示に関し、更に以下の付記を開示する。
【0062】
(付記1)
電気装置(10)は、電気部品(48)と、前記電気部品に備えられた接続面(52)に配された第1接続端子(54a)に接続される第1バスバー(42)と、を備え、前記第1バスバーは、前記第1接続端子に接続されるとともに第1方向に延在する第1接続部(62)と、前記第1接続部に沿って延在するとともに前記第1接続部から起立する第1起立部(64)とを含む。これにより、良好なバスバーを有する電気装置を提供できる。
【0063】
(付記2)
付記1に記載の電気装置において、電気装置は、前記接続面に配されるとともに前記第1接続端子に隣接する第2接続端子に接続される第2バスバー(46)を更に備え、前記第2バスバーは、前記第2接続端子に接続されるとともに前記第1方向に沿って延在する第2接続部(75)と、前記第2接続部に沿って延在するとともに前記第2接続部から起立する第2起立部(77)と、を含んでもよい。これにより、良好なバスバーを有する電気装置を提供できる。
【0064】
(付記3)
付記2に記載の電気装置において、前記第2バスバーは、前記第2起立部から前記接続面に沿って突出する突出部(78)を含んでもよい。これにより、良好なバスバーを有する電気装置を提供できる。
【0065】
(付記4)
付記3記載の電気装置において、前記突出部の少なくとも一部は、平面視において前記第1接続部と重なり合ってもよい。これにより、電気装置を小型化できる。
【0066】
(付記5)
付記1に記載の電気装置において、前記電気部品を冷却する冷却器(40)を更に備え、前記電気部品は、前記冷却器と前記第1接続部との間に位置してもよい。これにより、電気部品を効率的に冷却できる。
【0067】
(付記6)
付記5に記載の電気装置において、前記電気部品は、スイッチング素子を有する電力変換装置であってもよい。これにより、電力変換装置を効率的に冷却できる。
【0068】
(付記7)
移動体(12)は、付記1~6のいずれか1つに記載の電気装置を備える。これにより、良好なバスバーを有する電気装置を備える移動体を提供できる。
【0069】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【0070】
上記実施形態では、PCU10は、航空機12に搭載されるが、これに限定されない。PCU10は、船舶、自動車、列車等の様々な移動体に搭載されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10…パワーコントロールユニット(電気装置)
12…航空機(移動体) 40…冷却器
42…正極バスバー(第1バスバー) 46…相バスバー(第2バスバー)
48…パワーモジュール(電気部品) 52…接続面
54a…正極接続端子(第1接続端子)
62…パワーモジュール接続部(第1接続部)
64…起立部(第1起立部) 75…接続部(第2接続部)
77…起立部(第2起立部) 78…突出部