(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129260
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】貨幣処理方法
(51)【国際特許分類】
G07D 11/26 20190101AFI20240919BHJP
G06Q 20/40 20120101ALI20240919BHJP
G07F 19/00 20060101ALI20240919BHJP
G07D 11/60 20190101ALI20240919BHJP
【FI】
G07D11/26
G06Q20/40
G07F19/00
G07D11/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038344
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 親平
【テーマコード(参考)】
3E141
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
3E141BA07
3E141BA18
3E141CB04
3E141CB06
5L020AA72
5L055AA72
(57)【要約】
【課題】貨幣処理装置とサーバとの間で通信ができない場合にも、簡易なシステムによって貨幣処理装置が貨幣処理を実行可能にする。
【解決手段】貨幣処理方法は、第1通信網31を介してサーバ4と双方向通信可能に接続された貨幣処理装置2が、貨幣処理に関する操作を受け付け(1)、第1通信網が使用できない場合に、貨幣処理装置が、通信装置(スマートフォン5)に対して、操作に関する第1情報を出力し(2)、通信装置が、第1情報を、第2通信網32を介してサーバへ送信し(4)、第1情報を受信したサーバが、第1情報に対応する第2情報を、第2通信網を介して通信装置へ送信し(5)、第2情報を受信した通信装置が、第2情報を、貨幣処理装置へ提供し(6)、貨幣処理装置が、第2情報に基づいて貨幣処理を実行する(7)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信網を介してサーバと双方向通信可能に接続された貨幣処理装置が、貨幣処理に関する操作を受け付け、
前記第1通信網が使用できない場合に、前記貨幣処理装置が、通信装置に対して、前記操作に関する第1情報を出力し、
前記通信装置が、前記第1情報を、前記第1通信網とは異なる第2通信網を介して前記サーバへ送信し、
前記第1情報を受信した前記サーバが、前記第1情報に対応する第2情報を、前記第2通信網を介して前記通信装置へ送信し、
前記第2情報を受信した前記通信装置が、前記第2情報を、前記貨幣処理装置へ提供し、
前記貨幣処理装置が、前記第2情報に基づいて貨幣処理を実行する、貨幣処理方法。
【請求項2】
前記第1情報を受信した前記サーバが、前記貨幣処理装置による貨幣処理の実行の承認と否認とを判断し、承認の場合に、前記第2情報を、前記第2通信網を介して前記通信装置へ送信する、請求項1に記載の貨幣処理方法。
【請求項3】
前記サーバは、前記第1情報を受信する際に認証処理を行うと共に、認証した場合に、前記第2情報を前記通信装置へ送信する、請求項2に記載の貨幣処理方法。
【請求項4】
前記通信装置が、前記通信装置を特定する特定情報と、前記第1情報とを前記第2通信網を介して前記サーバへ送信し、
前記サーバは、前記通信装置から前記第2通信網を介して前記第1情報を受信したときに、前記特定情報と、前記サーバに事前に登録されている情報とを照合することにより前記通信装置の認証を行い、認証が正常に完了したときに、前記第2情報を前記通信装置へ送信する、請求項3に記載の貨幣処理方法。
【請求項5】
前記貨幣処理装置は、前記第1情報を出力した後、所定時間が経過するまでに前記第2情報が提供されない場合、前記第1情報に対応する前記貨幣処理をキャンセルする、請求項1~4のいずれか1項に記載の貨幣処理方法。
【請求項6】
前記通信装置は、暗号化された前記第1情報を、前記第2通信網を介して前記サーバへ送信し、
前記サーバは、暗号化された前記第2情報を、前記第2通信網を介して前記通信装置へ送信する、請求項1~5のいずれか1項に記載の貨幣処理方法。
【請求項7】
前記サーバは、前記第1通信網が使用できる場合、前記第2通信網を介した前記第2情報の送信を行わないようにする、請求項1~6のいずれか1項に記載の貨幣処理方法。
【請求項8】
前記通信装置は、前記第2通信網を介した通信機能を有するスマートフォンである、請求項1~7のいずれか1項に記載の貨幣処理方法。
【請求項9】
前記第2通信網は、基地局を含む移動体通信網である、請求項1~8のいずれか1項に記載の貨幣処理方法。
【請求項10】
前記第1通信網は、第1事業者によって提供され、前記第2通信網は、前記第1事業者とは異なる第2事業者によって提供される、請求項1~9のいずれか1項に記載の貨幣処理方法。
【請求項11】
前記貨幣処理装置は、前記第1通信網が使用できない場合に、出力部によって、前記通信装置に、前記第1情報を出力する、請求項1~10のいずれか1項に記載の貨幣処理方法。
【請求項12】
前記出力部は、前記第1情報を紙に印刷するプリンタであり、
前記通信装置は、カメラを備え、紙に印刷された前記第1情報を、前記カメラを使って読み取る、請求項11に記載の貨幣処理方法。
【請求項13】
前記出力部は、前記第1情報を表示するディスプレイであり、
前記通信装置は、カメラを備え、前記ディスプレイに表示された前記第1情報を、前記カメラを使って読み取る、請求項11に記載の貨幣処理方法。
【請求項14】
前記出力部は、前記第1情報を、近距離無線通信を介して送信する近距離無線通信部であり、
前記通信装置は、近距離無線通信を介して、前記第1情報を受信する、請求項11に記載の貨幣処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、貨幣処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、移動バンキングシステムが記載されている。この従来の移動バンキングシステムは、車両に搭載された、ATM(Automatic Teller Machine)及び通信機器を備えている。通信機器は、ATMと銀行のホストコンピュータとを専用線を介して接続する。通信機器はまた、衛星通信によってATMとホストコンピュータとを接続できる。従来の移動バンキングシステムは、例えば金融機関の店舗が存在しない地域において銀行業務を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来のバンキングシステムでは、専用線を介した通信に障害が発生した場合でも、衛星通信を使用することにより、ATMは取引を実行できる。しかしながら、ATMとホストコンピュータとの間で、衛星通信を含む二種類の通信手段を確保しなければならないため、このバンキングシステムは大がかりである。移動バンキングシステムではなく、例えば金融機関の店舗又は様々な箇所に設置されているATMについて、通信障害に備えて、衛星通信を含む二種類の通信手段を確保することは難しい。
【0005】
その一方で、貨幣処理装置とサーバとの間で通信ができない場合でも、貨幣処理装置が貨幣処理を実行できるようにすることが要望されており、より安価かつ簡易なシステムによる実現が求められている。
【0006】
ここに開示する技術は、貨幣処理装置とサーバとの間で通信ができない場合にも、簡易なシステムによって貨幣処理装置が貨幣処理を実行可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示する貨幣処理方法は、貨幣処理装置とサーバとの間で双方向通信を行う第1通信網が使用できない場合には、貨幣処理装置とは別の通信装置が、第1通信網とは別の第2通信網を介してサーバと通信することにより、貨幣処理装置の貨幣処理を可能にする。
【0008】
具体的に、ここに開示する貨幣処理方法は、第1通信網を介してサーバと双方向通信可能に接続された貨幣処理装置が、貨幣処理に関する操作を受け付け、前記第1通信網が使用できない場合に、前記貨幣処理装置が、通信装置に対して、前記操作に関する第1情報を出力し、前記通信装置が、前記第1情報を、前記第1通信網とは異なる第2通信網を介して前記サーバへ送信し、前記第1情報を受信した前記サーバが、前記第1情報に対応する第2情報を、前記第2通信網を介して前記通信装置へ送信し、前記第2情報を受信した前記通信装置が、前記第2情報を、前記貨幣処理装置へ提供し、前記貨幣処理装置が、前記第2情報に基づいて貨幣処理を実行する。
【0009】
第1通信網は、移動体通信網であってもよいし、固定通信網であってもよい。また、第1通信網は、例えば貨幣管理装置とサーバとの間の専用線であってもよい。
【0010】
貨幣処理装置は、利用者の操作に応じた貨幣処理を実行する装置である。貨幣処理装置は、例えばATMとしてもよい。ATMは、様々な場所に設置される。また、貨幣処理装置は、例えば金融機関の店舗に設置された装置であって、顧客が操作を行うセルフ機であってもよい。また、貨幣処理装置は、例えば金融機関の店舗に設置された装置であって、銀行員が操作を行う、入金機、出金機、入出金機、又は、出納機であってもよい。
【0011】
第1通信網が使用可能である場合、貨幣処理装置は、利用者による、貨幣処理に関する操作を受け付ける。貨幣処理に関する操作は、例えば出金に関する操作、及び/又は、入金に関する操作である。貨幣処理装置は、第1通信網を介して接続されたサーバとの双方向通信に基づいて貨幣処理を実行すればよい。例えば出金処理の場合、貨幣処理装置は貨幣を払い出す。例えば入金処理の場合、貨幣処理装置は貨幣を取り込む。サーバは、貨幣処理装置が実行する貨幣処理を管理してもよい。
【0012】
第1通信網が通信障害などにより使用できない場合、貨幣処理装置は、サーバとの双方向通信ができないため、そのままでは貨幣処理を実行できない。ここに開示する技術は、第1通信網が使用できない場合に、通信装置と第2通信網とを用いることによって、貨幣処理装置の貨幣処理を可能にする。
【0013】
先ず、貨幣処理装置は、通信装置に対して、操作に関する第1情報を出力する。通信装置は、第2通信網を介した通信機能を有している装置であればよい。第2通信網は、例えば移動体通信網であってもよい。通信装置は、例えばスマートフォンであってもよい。スマートフォンは、ここに開示する貨幣処理方法の実現が可能なシステムの、簡易な構築を可能にする。但し、通信装置は、スマートフォンに限定されない。第2通信網を介してサーバとの双方向通信が可能であれば、通信装置は、どのような装置であってもよい。通信装置は、可搬型としてもよい。
【0014】
通信装置は、貨幣処理装置が出力した第1情報を受ける。貨幣処理装置が、例えばATMである場合、第1情報には、取引種別、金融機関名、店番号、口座番号、口座名義人、及び、取引額が含まれてもよい。通信装置は、第1情報を、第2通信網を介してサーバへ送信する。尚、第2通信網は使用可能であるとする。
【0015】
サーバは、第1情報を受信する。サーバは、第1情報に対応する第2情報を、第2通信網を介して通信装置へ送信する。第2情報は、貨幣処理の実行を承認する情報であってもよい。第2情報はまた、貨幣処理の実行を否認する情報であってもよい。
【0016】
通信装置は、第2情報を受信する。通信装置は、第2情報を、貨幣処理装置へ提供する。第2情報の提供を受けた貨幣処理装置は、その第2情報に基づいて貨幣処理を実行する。第2情報が、貨幣処理の実行を承認する情報である場合、貨幣処理装置は、貨幣処理を実行する。具体的に出金処理の場合、貨幣処理装置は、貨幣を払い出す。入金処理の場合、貨幣処理装置は、貨幣を取り込む。
【0017】
貨幣処理装置とサーバとは、第1通信網を介して接続されており、本貨幣処理システムでは、従来のシステムのように二種類の通信手段が確保されていない。サーバと通信装置とは、第2通信網を介して接続可能である。ここに開示する貨幣処理方法は、常時二種類の通信手段が並行的に確保され、一方の手段に障害が起きたときに他方の手段に切り替える従来のシステムとは異なり、第1通信網に障害が起きたときに第2通信網に対応する任意の通信装置を用い第2通信網と貨幣処理装置との一時的な接続を行うものである。前述したように、第2通信網が移動体通信網であり、通信装置がスマートフォンであれば、本貨幣処理システムは、安価かつ簡易に構築できる。
【0018】
また、第1通信網が使用できない場合に、第2通信網と通信装置とを使用することにより、貨幣処理装置は、貨幣処理を実行できる。
【0019】
前記第1情報を受信した前記サーバが、前記貨幣処理装置による貨幣処理の実行の承認と否認とを判断し、承認の場合に、前記第2情報を、前記第2通信網を介して前記通信装置へ送信する、としてもよい。
【0020】
サーバが、貨幣処理の実行の承認と否認とを判断することにより、貨幣処理装置は、第2通信網を代替使用している場合において、貨幣処理を適切に実行できる。
【0021】
前記サーバは、前記第1情報を受信する際に認証処理を行うと共に、認証した場合に、前記第2情報を前記通信装置へ送信する、としてもよい。
【0022】
サーバが認証した場合に、第2情報が通信装置へ送信され、貨幣処理装置は貨幣処理を実行する。貨幣処理システムは、第2通信網を代替使用している状況下において、貨幣処理のセキュリティを確保できる。
【0023】
サーバは、例えば通信装置を使って第1情報を送信する利用者について認証処理を行ってもよい。また、サーバは、例えば第1情報を送信する通信装置に対して認証処理を行ってもよい。
【0024】
より具体的に、前記通信装置が、前記通信装置を特定する特定情報と、前記第1情報とを前記第2通信網を介して前記サーバへ送信し、前記サーバは、前記通信装置から前記第2通信網を介して前記第1情報を受信したときに、前記特定情報と、前記サーバに事前に登録されている情報とを照合することにより前記通信装置の認証を行い、認証が正常に完了したときに、前記第2情報を前記通信装置へ送信する、としてもよい。
【0025】
第2通信網を代替使用している状況下において、特定の通信装置が使われる場合のみ、貨幣処理が実行される。貨幣処理システムのセキュリティが高く維持できる。
【0026】
前記貨幣処理装置は、前記第1情報を出力した後、所定時間が経過するまでに前記第2情報が提供されない場合、前記第1情報に対応する前記取引をキャンセルする、としてもよい。
【0027】
貨幣処理装置の利用者が貨幣処理装置を操作することによって、第1情報が出力された後、第2情報が提供されずに長時間が経過した場合、様々な状況が考えられる。例えば(1)貨幣処理の実行を否認するため、サーバが第2情報を送信しない、(2)認証が失敗するため、サーバが第2情報を送信しない、(3)利用者が貨幣処理の実行を止めてしまった、等である。いずれの場合においても、貨幣処理装置は、第1情報に対応する取引をキャンセルする。貨幣処理装置が貨幣処理を実行しないため、貨幣処理システムのセキュリティが確保できる。
【0028】
前記通信装置は、暗号化された前記第1情報を、前記第2通信網を介して前記サーバへ送信し、前記サーバは、暗号化された前記第2情報を、前記第2通信網を介して前記通信装置へ送信する、としてもよい。
【0029】
第1通信網の代替として使用される第2通信網の通信において、第1情報及び第2情報のそれぞれが暗号化されるため、貨幣処理システムのセキュリティが確保できる。
【0030】
前記サーバは、前記第1通信網が使用できる場合、前記第2通信網を介した前記第2情報の送信を行わないようにする、としてもよい。
【0031】
第2通信網の使用を、第1通信網が使用できない場合に限定するため、貨幣処理システムのセキュリティが確保できる。尚、サーバは、第1情報の受信を禁止する結果、第2情報の送信を行わないとしてもよいし、第1情報を受信しても、第2情報の送信を禁止する、としてもよい。また、第1通信網が使用できる場合、貨幣処理装置が第1情報を出力しない結果、サーバは、第2情報の送信を行わない、としてもよいし、通信装置が、第1情報を送信しない結果、サーバは、第2情報の送信を行わない、としてもよい。
【0032】
前記通信装置は、前記第2通信網を介した通信機能を有するスマートフォンである、としてもよい。
【0033】
スマートフォンの使用は、前述した貨幣処理システムを、安価かつ簡易に構築できる。
【0034】
尚、スマートフォンは、貨幣処理装置の利用者が所有しているスマートフォンであってもよい。この場合、スマートフォンは、専用のアプリケーションを使って、サーバとの双方向通信を行ってもよい。また、貨幣処理装置を管理している金融機関がスマートフォンを用意し、第1通信網が使用できない場合に、金融機関が、利用者(例えば金融機関の顧客)に、スマートフォンを貸し出してもよい。
【0035】
前記第2通信網は、基地局を含む移動体通信網である、としてもよい。
【0036】
つまり、衛星通信といった特殊な通信網を使用しないため、貨幣処理システムが、安価かつ簡易に構築できる。
【0037】
前記第1通信網は、第1事業者によって提供され、前記第2通信網は、前記第1事業者とは異なる第2事業者によって提供される、としてもよい。
【0038】
第1通信網が、例えば通信障害によって使用できない場合であっても、事業者が異なる第2通信網は使用可能であることが期待できる。
【0039】
前記貨幣処理装置は、前記第1通信網が使用できない場合に、出力部によって、前記通信装置に、前記第1情報を出力する、としてもよい。
【0040】
出力部は、第1通信網を使用しないで、第1情報を通信装置に出力する。第1通信網が使用できない場合に、貨幣処理装置から通信装置へ、第1情報を提供できる。
【0041】
前記出力部は、前記第1情報を紙に印刷するプリンタであり、前記通信装置は、カメラを備え、紙に印刷された前記第1情報を、前記カメラを使って読み取る、としてもよい。
【0042】
プリンタは、例えば第1情報をコードに変換して紙に印刷してもよい。コードは、例えば二次元コードであってもよい。通信装置は、紙に印刷された第1情報を、カメラを使って読み取る。貨幣処理装置から通信装置へ、第1情報が、正確にかつ、簡単に提供できる。
【0043】
前記出力部は、前記第1情報を表示するディスプレイであり、前記通信装置は、カメラを備え、前記ディスプレイに表示された前記第1情報を、前記カメラを使って読み取る、としてもよい。
【0044】
ディスプレイは、第1情報を変換したコードを表示してもよい。通信装置は、ディスプレイに表示された第1情報を、カメラを使って読み取る。貨幣処理装置から通信装置へ、第1情報が、正確にかつ、簡単に提供できる。
【0045】
前記出力部は、前記第1情報を、近距離無線通信を介して送信する近距離無線通信部であり、前記通信装置は、近距離無線通信を介して、前記第1情報を受信する、としてもよい。
【0046】
近距離無線通信を用いることによって、貨幣処理装置から通信装置へ、第1情報が、正確にかつ、簡単に提供できる。
【0047】
ここに開示する貨幣処理装置は、前述した貨幣処理方法に用いられる貨幣処理装置である。貨幣処理装置は、取引に関する操作を受け付ける受付部と、貨幣の処理を伴う取引時に、第1通信網を介してサーバとの双方向通信を行う通信部と、前記サーバとの双方向通信に基づいて貨幣の処理を行う貨幣処理部と、前記第1通信網が使用できない場合に、通信装置に対し、前記操作に関する第1情報を出力する出力部と、を備え、前記貨幣処理部は、前記第1通信網が使用できない場合に、前記通信装置から提供される情報であって、前記第1情報に対応する第2情報に基づいて貨幣処理を実行する。
【0048】
貨幣処理装置とサーバとの間の通信ができない場合に、第2通信網と通信装置とが使用されることにより、貨幣処理装置は、貨幣処理を実行することができる。
【発明の効果】
【0049】
前述した貨幣処理方法によると、貨幣処理装置とサーバとの間の通信ができない場合にも、簡易なシステムにより、貨幣処理装置が貨幣処理を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1は、貨幣処理方法を実行する貨幣処理システムを示している。
【
図2】
図2は、貨幣処理装置が実行する制御手順を示している。
【
図3】
図3は、サーバが実行する制御手順を示している。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、貨幣処理方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ここで説明する貨幣処理方法、及び、貨幣処理システムは例示である。
【0052】
(貨幣処理システム)
図1は、貨幣処理システム1を示している。貨幣処理システム1は、貨幣処理装置2を備えている。貨幣処理装置2は、貨幣処理を伴う取引を実行する。
【0053】
貨幣処理装置2は、例えばATMである。ATMは、金融機関の店舗を含む様々な場所に設置される。貨幣処理装置2は、例えばセルフ機である。セルフ機は、金融機関の店舗に設置される。金融機関の顧客は、セルフ機を自ら操作して取引を行う。貨幣処理装置2は、例えば入金機、出金機、入出金機、又は、出納機である。これらの装置は、金融機関に設置され、銀行員が操作する。ここでは、貨幣処理装置2は、ATMであるとして、説明を行う。ATMが実行する取引は、例えば入金取引である。入金取引は、利用者6がATMに投入した貨幣を、口座に入金する取引である。ATMが実行する取引は、例えば出金取引である。出金取引は、利用者6の口座から貨幣を出金し、ATMから払い出す取引である。
【0054】
貨幣は、紙幣及び/又は硬貨である。貨幣処理装置2は、貨幣処理部21を有している。貨幣処理部21は、貨幣の取り扱いを伴う処理を実行する。貨幣処理部21は、例えば入金処理を実行する。入金処理時に、貨幣処理部21は、取込部に投入された貨幣を装置の中に取り込んで、収納部に収納する。貨幣処理部21は、例えば出金処理を実行する。出金処理時に、貨幣処理部21は、収納部から繰り出した貨幣を装置の外の払出部へ払い出す。
【0055】
貨幣処理装置2は、インターフェース部22を有している。インターフェース部22は、貨幣処理装置2の利用者6が操作を行う部位でありかつ、利用者6へ様々な情報を提供する部位である。インターフェース部22は、例えばタッチパネル式のフラットパネルディスプレイである。利用者6は、インターフェース部22に表示された様々な情報を見ながら、インターフェース部22を介して様々な操作を行う。例えば出金処理時に、利用者は、インターフェース部22を介して、出金処理の実行の要求、及び、出金額を、少なくとも入力する操作を行う。
【0056】
貨幣処理装置2は、プリンタ23を有している。プリンタ23は、紙に印刷を行う。プリンタ23は、例えばサーマルプリンタ、又は、インクジェットプリンタとしてもよい。プリンタ23は、後述するように、出力部の一例である。
【0057】
貨幣処理装置2は、近距離無線通信部24を有している。近距離無線通信部24は、後述するスマートフォン5との間で、近距離無線通信を行う。近距離無線通信は、例えばNFC(Near Field Communication)、又は、Bluetooth(登録商標)による通信としてもよい。近距離無線通信部24は、後述するように、出力部の一例である。
【0058】
貨幣処理装置2は、通信部25を有している。通信部25は、第1通信網31を介して、バンキングサーバ4との間で通信を行う。
【0059】
貨幣処理装置2は、記憶部26を有している。記憶部26は、フラッシュメモリ又は磁気ディスクを有している。記憶部26は、各種の情報を記憶している。後述するように、記憶部26は、貨幣処理装置2が実行した取引の情報を記憶する。
【0060】
貨幣処理システム1は、バンキングサーバ4を備えている。バンキングサーバ4は、第1通信網31を介して、貨幣処理装置2に接続されている。貨幣処理装置2とバンキングサーバ4とは、第1通信網31を介して双方向通信が可能である。利用者6の操作に応じて、貨幣処理装置2が、入金取引、出金取引、又は、その他の取引を行う際に、貨幣処理装置2とバンキングサーバ4とは、取引に関する情報の送受を行う。貨幣処理装置2は、貨幣処理装置2とバンキングサーバ4との双方向通信に基づいて、貨幣処理を実行する。バンキングサーバ4は、貨幣処理装置2が実行した取引を管理する。
【0061】
第1通信網31は、第1事業者によって提供される広域の通信網である。第1通信網31は、固定通信であってもよいし、移動体通信であってもよい。尚、
図1において第1通信網31にバツ印が付されているが、これは、後述するように第1通信網31が使用できない場合を示している。
【0062】
バンキングサーバ4はまた、第1通信網31の他に、第2通信網32に接続されている。第2通信網32は、第1通信網31を提供する第1事業者とは異なる第2事業者が提供する広域の通信網である。第2通信網32は、基地局321を含む移動体通信網である。尚、第2通信網32は、いわゆる衛星通信を含まない。スマートフォン5は、第2通信網32を介した通信機能を有している。第2通信網32を通じた通信は、比較的安価な通信装置を用いて行うことができる。
【0063】
スマートフォン5は、市販されている汎用の通信装置である。スマートフォンとは、CPU(Central Processing Unit)、トランシーバ、及びレシーバを備えた可搬型の通信装置器である。スマートフォン5は、通信機能、表示機能、操作機能、及び、カメラを用いた撮影機能を、少なくとも有している。スマートフォン5は、例えば貨幣処理装置2を操作する利用者6の所有物であってもよい。また、貨幣処理装置2を設置している金融機関の所有物であってもよい。
【0064】
スマートフォン5には、後述するバンキングサーバ4との通信を行うアプリケーションがインストールされている、としてもよい。アプリケーションは、金融機関が提供するインターネットバンキング用のアプリケーションであってもよく、インターネットバンキング用のアプリケーションの一機能として、後述するバンキングサーバ4との通信を行う機能が、当該アプリケーションに実装されていてもよい。また、スマートフォン5にインストールされている汎用のウェブブラウザを使って、後述するバンキングサーバ4との通信が行われてもよい。
【0065】
(貨幣処理方法)
前述したように、
図1に示す貨幣処理システム1において、利用者6は、貨幣処理装置2に貨幣を入金したり、貨幣処理装置2から貨幣を出金したりできる。
【0066】
ここで、第1通信網31において、例えば通信障害の発生といった不具合により、第1通信網31が使用できない場合、貨幣処理装置2とバンキングサーバ4との双方向通信ができないため、利用者6は、貨幣処理装置2を使って、貨幣の取り扱いを伴う取引を行うことができない。
【0067】
これに対し、貨幣処理システム1は、第1通信網31が使用できない場合において、第2通信網32を代替の通信網として使用することにより、貨幣処理装置2を使った、貨幣の取り扱いを伴う取引を可能にする。以下、第1通信網31が使用できない場合の、貨幣処理システム1の処理手順を、
図1を参照しながら説明する。
【0068】
先ず、利用者6は、貨幣処理装置2のインターフェース部22を使って、通常通り、取引の実行を指定する操作を行う(
図1の(1)参照)。尚、ここでは、利用者6が、出金取引を指定する操作を行うとする。貨幣処理装置2は、利用者6の操作を受け付ける。
【0069】
貨幣処理装置2は、利用者6の操作情報を、出力する(
図1の(2)参照)。出金取引に係る操作情報としては、取引種別(ここでは出金)、金融機関名、店番号、口座番号、口座名義人、及び、取引額(つまり、出金額)が含まれてもよい。
【0070】
貨幣処理装置2は、操作情報を例えば二次元コードに変換し、プリンタ23は、その二次元コードを紙に印刷して、利用者6に提供してもよい。利用者6は、スマートフォン5のカメラ機能を使って、ディスプレイに表示された二次元コードを読み取る(
図1の(3)参照)。
【0071】
尚、貨幣処理装置2のプリンタ23が印刷をするのではなく、金融機関の店舗に設置されている別のプリンタが、操作情報を印刷してもよい。この印刷の際に、金融機関の担当者が立ち会ってもよい。操作情報の出力時に担当者が介入することによって、貨幣処理装置2は、第2通信網32を代替として使用する場合の貨幣処理を、高いセキュリティを確保した状態で実行できる。
【0072】
また、プリンタ23の印刷に代えて、インターフェース部22は、二次元コードをディスプレイに表示してもよい。この場合、利用者6は、スマートフォン5のカメラ機能を使って、ディスプレイに表示された二次元コードを読み取る。
【0073】
貨幣処理装置2は、コードを出力する代わりに、近距離無線通信を使って、操作情報をスマートフォン5へ出力してもよい。つまり、近距離無線通信部24が、スマートフォン5へ操作情報を送信する。スマートフォン5は、操作情報を受信する。
【0074】
操作情報を取得したスマートフォン5は、第2通信網32を介して、バンキングサーバ4へ操作情報を送信する(
図1の(4)参照)。バンキングサーバ4は、操作情報を受信する。
【0075】
バンキングサーバ4は、スマートフォン5からの操作情報を受信する際に、認証処理を行ってもよい。バンキングサーバ4は、例えばスマートフォン5を操作する利用者6に対する認証を行ってもよい。利用者6の情報(つまり、ID及びパスワード)は、予めバンキングサーバ4に記憶されているとする。バンキングサーバ4は、利用者6が入力したIDとパスワードとに基づいて、利用者6を認証できる。
【0076】
また、バンキングサーバ4は、スマートフォン5に対する認証を行ってもよい。スマートフォン5は、前述の通り、金融機関が所有しているスマートフォン5として、バンキングサーバ4に予め登録されているスマートフォン5であってもよい。スマートフォン5は、当該スマートフォン5を特定する特定情報としての機器情報を、操作情報と共に、バンキングサーバ4へ送信してもよい。バンキングサーバ4は、受信したスマートフォン5の機器情報と、予め登録されている機器情報とを照合し、当該スマートフォン5が予め登録されているスマートフォン5であるか否かを認証してもよい。
【0077】
バンキングサーバ4が認証処理を行うことは、第1通信網31の代替である第2通信網32を使用した貨幣処理時に、高いセキュリティを確保できる。
【0078】
バンキングサーバ4は、操作情報を受信した後、当該操作に係る貨幣処理を承認するか否認するかを判断する。バンキングサーバ4は、利用者6に基づいて承認/否認を判断してもよい。例えば、利用者6(つまり、金融機関の顧客)の属性、及び/又は、これまでの取引履歴に基づいて、バンキングサーバ4は、承認/否認を判断してもよい。第2通信網32を使用する取引は、通常取引とは異なる緊急対応であるため、貨幣処理システム1は、特定の利用者に対してのみ、取引の実行を許可してもよい。バンキングサーバ4はまた、取引金額に基づいて承認/否認を判断してもよい。バンキングサーバ4は、例えば取引金額が低額である場合のみ、貨幣処理を承認してもよい。
【0079】
バンキングサーバ4は、受信した操作情報に係る貨幣処理を承認する場合、承認信号を、第2通信網32を介して、スマートフォン5へ送信する(
図1の(5)参照)。バンキングサーバ4は、貨幣処理を否認する場合、否認信号を、第2通信網32を介して、スマートフォン5へ送信してもよい。
【0080】
バンキングサーバ4は、承認信号を送る場合に、取引金額を上限金額以下に変更してもよい。バンキングサーバ4はまた、第2通信網32を使用するときの取引上限額を、第1通信網31を使用するときの取引上限額よりも小さくするという制限のもと、第2通信網32を使用した取引の承認/否認を判断してもよい。第2通信網32の代替使用は、通常取引とは異なるため、高いセキュリティを確保する目的で取引金額に上限金額が定められてもよい。上限金額は一律の金額であってもよいし、利用者6毎に異なる金額であってもよい。
【0081】
尚、貨幣処理装置2とバンキングサーバ4との間の、第2通信網32を通じた通信において、操作情報及び/又は承認情報はそれぞれ暗号化されていてもよい。スマートフォン5が、情報の暗号化及び暗号の復号化を行ってもよいし、貨幣処理装置2が、情報の暗号化及び暗号の復号化を行ってもよい。
【0082】
スマートフォン5が承認情報を受信すれば、利用者6は、その承認情報を、スマートフォン5から貨幣処理装置2へ提供する(
図1の(6)参照)。スマートフォン5と貨幣処理装置2とは、例えば近距離無線通信を使って、承認情報を送受してもよい。また、スマートフォン5が承認情報をコードに変換し、そのコードをスマートフォン5のディスプレイに表示してもよい。この場合、貨幣処理装置2の読み取り機が、スマートフォン5のディスプレイに表示されたコードを読み取ってもよい。スマートフォン4から貨幣処理装置2へ提供される承認情報には、例えば取引種別(ここでは出金)、金融機関名、店番号、口座番号、口座名義人、及び、取引額(つまり、出金額)が含まれてもよい。
【0083】
承認情報の提供を受けた貨幣処理装置2は、承認情報に基づいて貨幣処理を実行する。出金処理の場合、貨幣処理装置2は、貨幣7を、利用者6へ払い出す(
図1の(7)参照)。こうして、第1通信網31が使用できない場合でも、利用者6は、貨幣処理装置2、及び、スマートフォン5を操作することによって、貨幣処理装置2から出金された貨幣を受け取ることができる。
【0084】
スマートフォン5のみで実行されるインターネットバンキングでは、貨幣を取り扱うことができないが、この貨幣処理システムは、スマートフォン5と貨幣処理装置2とを組み合わせるため、貨幣の取り扱いができるという利点がある。
【0085】
次に、
図2を参照しながら、前述した貨幣処理方法における貨幣処理装置2の制御手順を説明する。先ずスタート後のステップS21において、貨幣処理装置2は、第1通信網31が通信可能か否かを判断する。第1通信網31が通信可能な場合、続くステップS22において、貨幣処理装置2は、第1通信網31が、通信不可の状態から復帰して通信可能になったか否かを判断する。ここでは、ステップS22の判断がNoであるとして、説明を続ける。
【0086】
ステップS24において、貨幣処理装置2は、通常モードであるとし、続くステップS25において、インターフェース部22を通じた操作があったか否かを判断する。操作がない場合、つまりNoの場合、制御プロセスはステップS21へ戻る。貨幣処理装置2は、利用者が操作を行うまで待機する。
【0087】
ステップS25において操作があった場合、つまりYesの場合、貨幣処理装置2は、ステップS26において、操作に応じた処理を実行し、ステップS27においてバンキングサーバ4と双方向通信を行う。この通信は、第1通信網31を介して行われる。そして、ステップS28において、貨幣処理装置2は、双方向通信に基づいて、貨幣処理を実行する。
【0088】
こうして貨幣処理装置2は、通常モードでは、第1通信網31を使ってバンキングサーバ4との双方向通信を行うと共に、その双方向通信に基づいて、貨幣処理を実行する。
【0089】
ステップS21に戻り、ステップS21の判断がNoの場合、貨幣処理装置2は、ステップS29において、通信障害モードに切り替わる。貨幣処理装置2は、続くステップS210において、インターフェース部22を通じた操作があったか否かを判断する。操作がない場合、制御プロセスはステップS21へ戻る。
【0090】
操作があった場合、貨幣処理装置2は、ステップS211において、操作を受け付け、ステップS212において操作の情報を出力する。操作の情報は、前述したように、プリンタ23又はディスプレイを介してコードとして出力される、又は、近距離無線通信を介して、スマートフォン5へ出力される。出力された情報を受けたスマートフォン5は、第2通信網32を介して、バンキングサーバ4へ、操作の情報を送信する。
【0091】
ステップS212において操作の情報を出力した後、貨幣処理装置2は、ステップS213において、スマートフォン5から承認情報の入力があったか否かを判断する。ステップS213の判断がNoの場合、貨幣処理装置2は、ステップS216において、操作の情報を出力した後、所定時間が経過したか否か(つまり、タイムアウトしたか否か)を判断する。タイムアウトしていない場合(つまり、Noの場合)、制御プロセスはステップS213に戻り、貨幣処理装置2は、スマートフォン5からの承認情報の入力を待つ。
【0092】
承認情報が貨幣処理装置2へ入力されれば、貨幣処理装置2は、ステップS214において、承認情報に基づき貨幣処理を実行する。続くステップS215において、貨幣処理装置2の記憶部26は、貨幣処理に係る取引情報を記憶する。
【0093】
一方、承認情報が貨幣処理装置2へ入力されずにタイムアウトした場合、貨幣処理装置2は、ステップS217において、ステップS211で操作を受け付けた処理を、キャンセルする。これにより、第2通信網32及びスマートフォン5を用いた処理においても、貨幣処理システム1は、高いセキュリティが確保できる。尚、タイムアウトは、例えば(1)貨幣処理の実行を否認するため、バンキングサーバ4が承認情報を送信しない、(2)認証が失敗するため、バンキングサーバ4が承認情報を送信しない、(3)利用者が貨幣処理の実行を止めてしまった、等において生じる。
【0094】
ステップS21に戻り、第1通信網31が使用できない状態から通信可能な状態になりかつ、ステップS22の判断がYesの場合、ステップS23において、貨幣処理装置2は、通信障害モードの間にステップS215において記憶した取引情報を、第1通信網31を介してバンキングサーバ4へ送信する。貨幣処理装置2は、通信障害の間に行った取引の情報を、バンキングサーバ4に提供できる。後述するように、バンキングサーバ4は、貨幣処理装置2が実行した取引を適切に管理でき、貨幣処理システム1のセキュリティが確保できる。
【0095】
図3は、前述した貨幣処理方法におけるバンキングサーバ4の制御手順を示している。先ずスタート後のステップS31において、バンキングサーバ4は、第1通信網31が通信可能か否かを判断する。第1通信網31が通信可能な場合、続くステップS32において、バンキングサーバ4は、第1通信網31が、通信不可の状態から復帰して通信可能になったか否かを判断する。ここでは、ステップS32の判断がNoであるとして、説明を続ける。
【0096】
ステップS35において、バンキングサーバ4は、通常モードであるとし、続くステップS36において、貨幣処理装置2から、第1通信網31を介して取引情報を受信したか否かを判断する。受信していない場合、つまりNoの場合、制御プロセスはステップS31へ戻る。
【0097】
ステップS36において取引情報を受信した場合、つまりYesの場合、バンキングサーバ4は、ステップS37において、取引情報に応じた処理を実行する。ステップS37には、貨幣処理装置2とバンキングサーバ4との間の双方向通信が含まれる。また、ステップS37には、貨幣処理装置2が実行した取引の情報を、バンキングサーバ4が記憶することも含まれる。
【0098】
ステップS31に戻り、ステップS31の判断がNoの場合、バンキングサーバ4は、ステップS38において、通信障害モードに切り替わる。バンキングサーバ4は、ステップS38において、スマートフォン5からの操作情報を受信したか否かを判断する。受信していない場合、制御プロセスはステップS31へ戻る。
【0099】
受信した場合、バンキングサーバ4は、ステップS310において、スマートフォン5及び/又は利用者6が認証できるか否かを判断する。認証できない場合、バンキングサーバ4は、ステップS314において、否認情報をスマートフォン5へ送信する。
【0100】
認証できる場合、バンキングサーバ4は、ステップS311において、受信した操作の情報が承認できるか否かを判断する。承認できない場合、バンキングサーバ4は、ステップS314において、否認情報をスマートフォン5へ送信する。
【0101】
尚、スマートフォン5が否認情報を受信した場合、スマートフォン5は、貨幣処理装置2へ承認情報を入力できないため、ステップS216においてタイムアウトになり、貨幣処理装置2は、ステップS217において処理をキャンセルする。
【0102】
ステップS311において承認できる場合、バンキングサーバ4は、ステップS312において、スマートフォン5へ承認情報を送信する。続くステップS313において、バンキングサーバ4は、承認情報を送信した操作情報を、記憶する。
【0103】
ステップS31に戻り、第1通信網31が使用できない状態から通信可能な状態になりかつ、ステップS32の判断がYesの場合、ステップS33において、バンキングサーバ4は、ステップS23において貨幣処理装置2が送信した取引情報を受信する。バンキングサーバ4は、続くステップS34において、ステップS33で受信した情報と、ステップS313において記憶した情報とを照合する。バンキングサーバ4はまた、貨幣処理装置2が、通信障害モードの間に実行した取引の情報を記憶する。貨幣処理システム1が適切に運用でき、貨幣処理システム1は高いセキュリティを確保できる。
【0104】
尚、
図2及び
図3に示すフローチャートでは、一部のステップの順番を入れ替えたり、一部のステップを省略したり、ステップを追加したりできる。
【符号の説明】
【0105】
2 貨幣処理装置
22 インターフェース部(出力部、ディスプレイ)
23 プリンタ(出力部)
24 近距離無線通信部(出力部)
31 第1通信網
32 第2通信網
4 バンキングサーバ
5 スマートフォン(通信装置)