(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129263
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】用紙特性検知装置、および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 7/02 20060101AFI20240919BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240919BHJP
B65H 29/62 20060101ALI20240919BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240919BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240919BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240919BHJP
B41J 29/48 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
B65H7/02
G03G15/00 446
B65H29/62
G03G21/00 370
B41J29/00 G
B41J29/00 U
B41J29/38 204
B41J29/38 302
B41J29/48 E
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038349
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小片 智史
(72)【発明者】
【氏名】浅野 斉
(72)【発明者】
【氏名】泉宮 由美子
【テーマコード(参考)】
2C061
2H072
2H270
3F048
3F053
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AS02
2C061BB08
2C061BB19
2C061BB27
2C061BB35
2C061CE03
2C061CK08
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061CQ36
2C061CQ41
2C061HH03
2C061HH13
2C061HJ04
2C061HJ07
2C061HJ10
2C061HL01
2C061HL02
2C061HV02
2C061HV09
2C061HV11
2C061HV12
2C061HV21
2C061HV23
2C061HV32
2C061KK03
2H072AA09
2H072AA16
2H072AA22
2H072CA01
2H072CB01
2H072CB07
2H072JA02
2H270KA41
2H270LC02
2H270LC04
2H270LC07
2H270LC19
2H270LD03
2H270MC55
2H270ZC03
2H270ZC04
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA06
3F048BB02
3F048BB10
3F048CA02
3F048DC14
3F048EA12
3F048EB22
3F053EA01
3F053EC02
3F053ED12
3F053LA01
3F053LB03
(57)【要約】
【課題】画像形成の際の信頼性の低下を抑制する。
【解決手段】用紙特性検知装置30は、用紙が搬送される第1搬送路341と、第1搬送路341から分岐して、画像形成部13を経由せずに、パージされる用紙が搬送される第2搬送路342と、第1搬送路341に配置され、用紙のサイズ、紙厚、坪量、および水分量の少なくとも1つに対応する用紙特性情報を検出可能な第1の検知部35と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が搬送される第1搬送路と、
前記第1搬送路から分岐して、画像形成部を経由せずに、パージされる用紙が搬送される第2搬送路と、
前記第1搬送路に配置され、前記用紙のサイズ、紙厚、坪量、および水分量の少なくとも1つに対応する用紙特性情報を検出可能な第1の検知部と、
を備えた用紙特性検知装置。
【請求項2】
前記第1の検知部は、搬送しながら前記用紙特性情報を検出する、請求項1に記載の用紙特性検知装置。
【請求項3】
前記第1の検知部は、連続して搬送される複数枚の用紙それぞれの用紙特性情報を検出する、請求項1、または請求項2に記載の用紙特性検知装置。
【請求項4】
前記第1の検知部は、前記用紙の種類、または用紙の状態の変化の少なくとも1つに対応する用紙特性情報を検出する、請求項1、または請求項2に記載の用紙特性検知装置。
【請求項5】
前記第1の検知部は、サイズ、紙厚、坪量、および水分量に対応する用紙特性情報をそれぞれ検出可能なサイズセンサー、紙厚センサー、坪量センサー、および水分量センサーの少なくとも1つを備える、請求項1、または請求項2に記載の用紙特性検知装置。
【請求項6】
前記第1の検知部は、前記水分量センサーを備える、請求項5に記載の用紙特性検知装置。
【請求項7】
前記第1の検知部は、前記坪量センサー、前記紙厚センサー、および前記坪量センサーの少なくとも1つを備える、請求項5に記載の用紙特性検知装置。
【請求項8】
前記第1の検知部は、前記紙厚センサー、前記坪量センサー、および前記水分量センサーを備え、
前記第1搬送路において、前記紙厚センサーの下流側に、前記坪量センサーおよび前記水分量センサーが配置される、請求項5に記載の用紙特性検知装置。
【請求項9】
前記第1の検知部は、前記水分量センサー、および前記坪量センサーを備え、
前記第1搬送路において、前記水分量センサー、および前記坪量センサーは、搬送方向の同じ位置において、搬送方向に直交する幅方向の異なる位置に配置される、請求項5に記載の用紙特性検知装置。
【請求項10】
第1の検知部は、前記サイズセンサーと、サイズと異なる他の用紙特性情報に対応するその他のセンサーを含み、
前記第1搬送路において、前記サイズセンサーは、前記その他のセンサーよりも上流側に配意される、請求項5に記載の用紙特性検知装置。
【請求項11】
前記サイズセンサーは、イメージセンサーであり、搬送される前記用紙を読み取ることで得られた読取画像データにより、用紙の搬送方向、および幅方向のサイズを検出可能である、請求項5に記載の用紙特性検知装置。
【請求項12】
前記第2搬送路に配置され、前記用紙の剛度、表面性、および抵抗の少なくとも1つに対応する用紙特性情報を検出可能な第2の検知部を、さらに備える、請求項1、または請求項2に記載の用紙特性検知装置。
【請求項13】
前記第2の検知部は、前記第2搬送路を搬送される用紙を停止させて前記用紙特性情報を検知、または、第1搬送路での搬送速度よりも、低速の搬送速度で搬送させながら前記用紙特性情報を検知する、請求項12に記載の用紙特性検知装置。
【請求項14】
前記第2の検知部は、前記用紙の剛度、表面性、および抵抗に対応する用紙特性情報をそれぞれ検出可能な、剛度センサー、表面性センサー、および抵抗センサーの少なくとも1つを備え、
前記第2の検知部のセンサーでは、前記第2搬送路を搬送される用紙を停止させて前記用紙特性情報を検出する、請求項12に記載の用紙特性検知装置。
【請求項15】
前記第2の検知部は、前記剛度センサーと前記表面性センサーの少なくとも1つと、前記抵抗センサーを備え、
前記第2搬送路において、前記抵抗センサーの上流側に、前記剛度センサー、および前記表面性センサーの少なくとも1つが配置される、請求項14に記載の用紙特性検知装置。
【請求項16】
前記第2の検知部は、前記剛度センサー、および前記表面性センサーを備え、
前記第2搬送路において、前記表面性センサーの上流側に前記剛度センサーが配置される、請求項14に記載の用紙特性検知装置。
【請求項17】
前記第1搬送路、および前記第2搬送路の少なくとも1つに、前記用紙の水分量に対応する用紙特性情報を検出する水分量センサー、および前記用紙の抵抗に対応する用紙特性情報を検出する抵抗センサーが配置され、前記水分量センサーは前記抵抗センサーの上流側に配置される、請求項12に記載の用紙特性検知装置。
【請求項18】
周囲の環境を測定する環境センサーをさらに備え、
前記環境センサーの検出値に応じて、前記用紙特性情報の検出結果を補正する、請求項12に記載の用紙特性検知装置。
【請求項19】
前記第1搬送路は、前記画像形成部に接続する搬送路である、請求項1に記載の用紙特性検知装置。
【請求項20】
前記第2の検知部は、前記剛度センサーを備え、
前記剛度センサーは、鉛直方向の上方に向かう前記第2搬送路に配置され、停止した前記用紙の自由端となった後端部を、側面方向から押圧する押圧部と、前記押圧部の前記用紙への押圧力を検出する圧力検出部と、を含む、
請求項14に記載の用紙特性検知装置。
【請求項21】
前記第2の検知部は、前記抵抗センサーを備え、
前記抵抗センサーは、前記用紙の表面と裏面側それぞれに当接する一対のローラーを含み、前記一対のローラーの間に電圧を印加し、流れる電流を測定することで、前記用紙の抵抗を計測する、請求項14に記載の用紙特性検知装置。
【請求項22】
前記第1の検知部は、前記水分量センサーを備え、
前記水分量センサーは、前記用紙の表面に、所定の波長の光をそれぞれ照射する第1、第2の発光部と、それぞれの波長の光に対して、前記用紙の表面から反射した光を受光する受光部とを備える、請求項5に記載の用紙特性検知装置。
【請求項23】
請求項1に記載の前記用紙特性検知装置と、前記画像形成部を含む画像形成装置と、を備える画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、前記第1搬送路の下流側に配置される、
画像形成システム。
【請求項24】
さらに、用紙を供給する給紙部、および搬送部を有する給紙装置であって、
前記給紙部から給紙した用紙を、前記第1搬送路に搬送する給紙装置を、備える請求項23に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙特性検知装置、および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラー印刷業界においては、電子写真方式のプリンタ等の画像形成装置が広く活用されてきている。カラー印刷業界に対応するPP(プロダクションプリント)の分野では、オフィスで用いられる場合に比べて多様な用紙への適応が求められる。そして、これらの多様な用紙に対して高品質な印刷を行うために、給紙トレイに収容している用紙特性を複数項目で設定し、設定した項目に応じた画像形成条件で印刷を行う画像形成装置がある。
【0003】
このような多様な用紙の設定を行うために、例えば、用紙搬送経路に、用紙の種類や物性値等の特性(以下、用紙特性)を検出するための検出部を配置する構成が提案されている(例えば、特許文献1)また、検出部で検出した用紙特性が設定と異なる場合に、この用紙に画像形成を行わずに画像形成装置から排出する構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-128269号公報
【特許文献2】特開2020-008621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の画像形成装置では、用紙特性を検知した用紙は、画像形成部を通過させた後に排紙されている。しかしながら、画像形成に適正でない特性(サイズ、帯電、折れ、厚さ、剛度、水分率、他)を有する用紙(不適切用紙)を画像形成部に通過させると、画像形成の信頼性の低下が発生する可能性がある。例えば、折れ等により変形した用紙を搬送すると、紙詰まり(いわゆるジャム)等の搬送不良が発生しやすく、画像形成の際の搬送信頼性が低下する。また、印刷ジョブの印刷ジョブ設定とは異なるサイズ、または種類が異なる用紙(以下、不適切用紙という)が給紙トレイの用紙束に紛れ込んでいた場合には、その不適切用紙に適合してない画像形成条件で画像形成されるため搬送不良や定着不良等が発生しやすく、画像形成の際の搬送信頼性が低下する。また、例えば、検出部において、用紙特性として電気的な抵抗を測定する際、用紙を帯電させる場合がある。例えば、用紙が絶縁体である紙の場合、湿度で桁数が変わるが表面電気抵抗は1010~1012Ω程度である。この場合、用紙の残留電位が短時間で放電せず、画像形成部での用紙の貼り付きが発生し、また、電子写真プロセスでの重要な電荷の移動が正しく行われない。このため、画像形成部において、画像形成の画像形成動作の信頼性の低下が発生する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、画像形成の際の信頼性の低下を抑制することが可能な用紙搬送装置、および画像形成システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)用紙が搬送される第1搬送路と、
前記第1搬送路から分岐して、画像形成部を経由せずに、パージされる用紙が搬送される第2搬送路と、
前記第1搬送路に配置され、前記用紙のサイズ、紙厚、坪量、および水分量の少なくとも1つに対応する用紙特性情報を検出可能な第1の検知部と、
を備えた用紙特性検知装置。
【0009】
(2)前記第1の検知部は、搬送しながら前記用紙特性情報を検出する、上記(1)に記載の用紙特性検知装置。
【0010】
(3)前記第1の検知部は、連続して搬送される複数枚の用紙それぞれの用紙特性情報を検出する、上記(1)、または上記(2)に記載の用紙特性検知装置。
【0011】
(4)前記第1の検知部は、前記用紙の種類、または用紙の状態の変化の少なくとも1つに対応する用紙特性情報を検出する、上記(1)、または上記(2)に記載の用紙特性検知装置。
【0012】
(5)前記第1の検知部は、サイズ、紙厚、坪量、および水分量に対応する用紙特性情報をそれぞれ検出可能なサイズセンサー、紙厚センサー、坪量センサー、および水分量センサーの少なくとも1つを備える、上記(1)、または上記(2)に記載の用紙特性検知装置。
【0013】
(6)前記第1の検知部は、前記水分量センサーを備える、上記(5)に記載の用紙特性検知装置。
【0014】
(7)前記第1の検知部は、前記坪量センサー、前記紙厚センサー、および前記坪量センサーの少なくとも1つを備える、上記(5)に記載の用紙特性検知装置。
【0015】
(8)前記第1の検知部は、前記紙厚センサー、前記坪量センサー、および前記水分量センサーを備え、
前記第1搬送路において、前記紙厚センサーの下流側に、前記坪量センサーおよび前記水分量センサーが配置される、上記(5)に記載の用紙特性検知装置。
【0016】
(9)前記第1の検知部は、前記水分量センサー、および前記坪量センサーを備え、
前記第1搬送路において、前記水分量センサー、および前記坪量センサーは、搬送方向の同じ位置において、搬送方向に直交する幅方向の異なる位置に配置される、上記(5)に記載の用紙特性検知装置。
【0017】
(10)第1の検知部は、前記サイズセンサーと、サイズと異なる他の用紙特性情報に対応するその他のセンサーを含み、
前記第1搬送路において、前記サイズセンサーは、前記その他のセンサーよりも上流側に配意される、上記(5)に記載の用紙特性検知装置。
【0018】
(11)前記サイズセンサーは、イメージセンサーであり、搬送される前記用紙を読み取ることで得られた読取画像データにより、用紙の搬送方向、および幅方向のサイズを検出可能である、上記(5)に記載の用紙特性検知装置。
【0019】
(12)前記第2搬送路に配置され、前記用紙の剛度、表面性、および抵抗の少なくとも1つに対応する用紙特性情報を検出可能な第2の検知部を、さらに備える、上記(1)、または上記(2)に記載の用紙特性検知装置。
【0020】
(13)前記第2の検知部は、前記第2搬送路を搬送される用紙を停止させて前記用紙特性情報を検知、または、第1搬送路での搬送速度よりも、低速の搬送速度で搬送させながら前記用紙特性情報を検知する、上記(10)に記載の用紙特性検知装置。
【0021】
(14)前記第2の検知部は、前記用紙の抵抗、剛度、および表面性に対応する用紙特性情報をそれぞれ検出可能な、剛度センサー、表面性センサー、および抵抗センサーの少なくとも1つを備え、
前記第2の検知部のセンサーでは、前記第2搬送路を搬送される用紙を停止させて前記用紙特性情報を検出する、上記(10)に記載の用紙特性検知装置。
【0022】
(15)前記第2の検知部は、前記剛度センサーと前記表面性センサーの少なくとも1つと、前記抵抗センサーを備え、
前記第2搬送路において、前記抵抗センサーの上流側に、前記剛度センサー、および前記表面性センサーの少なくとも1つが配置される、上記(14)に記載の用紙特性検知装置。
【0023】
(16)前記第2の検知部は、前記剛度センサー、および前記表面性センサーを備え、
前記第2搬送路において、前記表面性センサーの上流側に前記剛度センサーが配置される、上記(14)に記載の用紙特性検知装置。
【0024】
(17)前記第1搬送路、および前記第2搬送路の少なくとも1つに、前記用紙の水分量に対応する用紙特性情報を検出する水分量センサー、および前記用紙の抵抗に対応する用紙特性情報を検出する抵抗センサーが配置され、前記水分量センサーは前記抵抗センサーの上流側に配置される、上記(12)に記載の用紙特性検知装置。
【0025】
(18)周囲の環境を測定する環境センサーをさらに備え、
前記環境センサーの検出値に応じて、前記用紙特性情報の検出結果を補正する、上記(12)に記載の用紙特性検知装置。
【0026】
(19)前記第1搬送路は、前記画像形成部に接続する搬送路である、上記(1)に記載の用紙特性検知装置。
【0027】
(20)前記第2の検知部は、前記剛度センサーを備え、
前記剛度センサーは、鉛直方向の上方に向かう前記第2搬送路に配置され、停止した前記用紙の自由端となった後端部を、側面方向から押圧する押圧部と、前記押圧部の前記用紙への押圧力を検出する圧力検出部と、を含む、
上記(14)に記載の用紙特性検知装置。
【0028】
(21)前記第2の検知部は、前記抵抗センサーを備え、
前記抵抗センサーは、前記用紙の表面と裏面側それぞれに当接する一対のローラーを含み、前記一対のローラーの間に電圧を印加し、流れる電流を測定することで、前記用紙の抵抗を計測する、上記(14)に記載の用紙特性検知装置。
【0029】
(22)前記第1の検知部は、前記水分量センサーを備え、
前記水分量センサーは、前記用紙の表面に、所定の波長の光をそれぞれ照射する第1、第2の発光部と、それぞれの波長の光に対して、前記用紙の表面から反射した光を受光する受光部とを備える、上記(5)に記載の用紙特性検知装置。
【0030】
(23)上記(1)に記載の前記用紙特性検知装置と、前記画像形成部を含む画像形成装置と、を備える画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、前記第1搬送路の下流側に配置される、
画像形成システム。
【0031】
(24)さらに、用紙を供給する給紙部、および搬送部を有する給紙装置であって、
前記給紙部から給紙した用紙を、前記第1搬送路に搬送する給紙装置を、備える上記(23)に記載の画像形成システム。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る用紙特性検知装置は、用紙が搬送される第1搬送路と、第1搬送路から分岐して、画像形成部を経由せずに、パージされる用紙が搬送される第2搬送路と、第1搬送路に配置され、用紙のサイズ、紙厚、坪量、および水分率の少なくとも1つに対応する用紙特性情報を検出可能な第1の検知部と、を備える。このようにすることで、画像形成の際の信頼性の低下を抑制することが可能な
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本実施形態に係る用紙特性検知装置を備える画像形成装置の概略構成を示す図である。
【
図4】用紙特性検知装置の概略構成を示す図である。
【
図5】坪量センサーおよび水分率センサーの配置位置を示す図である。
【
図11】表面性センサーの概略構成を示す図である。
【
図13】制御パラメータ決定方式を示す模式図である。
【
図14】画像形成処理の各プロセスにおける品質項目および各品質項目に関連する用紙特性について説明するための図である。
【
図15】用紙特性検知処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明の範囲は、開示される実施形態に限定されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。図面においては、上下方向(鉛直方向)をZ方向、画像形成システムまたは用紙特性検知装置の正面、背面方向をY方向、これらのY、Z方向に直交する方向をX方向とする。X方向は、用紙の搬送方向ともいう。また、Y方向は、幅方向ともいう。本実施形態においては、用紙には、印刷用紙(以下、単に用紙という)、各種フィルムが含まれる。特に用紙としては、植物由来の機械パルプ、および/または化学パルプを用いて製造されたものが含まれる。また用紙の種類としては、コート紙のグロス紙およびマット紙、ならびに非コート紙の普通紙および上質紙、等が含まれる。
【0035】
図1は、本実施形態に係る用紙特性検知装置30を備える画像形成システム1000の概略構成を示す図である。
図2は、画像形成システム1000のハードウェア構成を示すブロック図である。
図1に示すように画像形成システム1000には、互いに機械的、および電気的に接続された画像形成装置10、給紙装置20、用紙特性検知装置30、および後処理装置40が含まれる。
【0036】
(画像形成装置10)
画像形成装置10は、上流側の用紙特性検知装置30から送られてきた用紙90に対し、画像形成を行う。画像形成装置10は、制御部11、記憶部12、画像形成部13、給紙搬送部14、操作パネル15、プリンタコントローラー17、通信部19等を備える。これらは信号をやり取りするためのバス等の信号線を介して相互に接続される。
【0037】
(制御部11)
制御部11は、CPU、ROM、RAM等により構成され、ROMや、後述の記憶部12に格納されているプログラムを実行することで、各種処理を実行し、プログラムにしたがって装置各部の制御や各種の演算処理を行う。制御部11は、全体制御部111、エンジン制御部112、用紙特性検知装置制御部113、後処理装置制御部114、給紙装置制御部115、搬送・画像形成制御部116として機能する。これらのサブ制御部111~116の機能については後述する。
【0038】
(記憶部12)
記憶部12は、予め各種プログラムや各種データを格納しておくROM、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM、各種プログラムや各種データを格納するハードディスク等の補助記憶部からなる。また、記憶部12は、各給紙トレイに収納されている用紙情報を記憶する。用紙情報としては、用紙の銘柄、サイズ(用紙幅、用紙長)、坪量(斤量)、用紙種類(グロスコート紙、マットコート紙、普通紙、上質紙、ラフ紙等)の情報が含まる。また、記憶部12は、用紙銘柄、制御パラメータの決定に用いる決定モデル(決定モデルアルゴリズム)、およびペーパープロファイルが記憶されていてもよい。
【0039】
(画像形成部13)
画像形成部13は、例えば電子写真方式により画像を形成する。画像形成部13は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の基本色のそれぞれに対応した書込部、感光体ドラム、および各色のトナー、キャリアからなる2成分現像剤を収容する現像器、等を備える。また、画像形成部13は、さらに、中間転写ベルト、2次転写部、および定着部を備える。各色の現像器により、感光体ドラム上に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト上で重ね合わせされ、2次転写部において搬送された用紙90に転写される。用紙90上のトナー画像は下流側の定着部で加熱、加圧されることで用紙90上に定着される。
【0040】
(給紙搬送部14)
給紙搬送部14は、搬送路141、142,複数の給紙トレイ145等を備える。搬送路141は、搬送路に沿って設けられた複数の搬送ローラー対、およびこれらの搬送ローラー対を駆動する駆動モーター(図示せず)を含む。給紙搬送部14は、給紙トレイ145内に積載され載置した複数枚の用紙90のうち最上位の用紙を送り出す送出しローラーを備え、給紙トレイ内の用紙90を1枚ずつ下流側の搬送路に送り出す。搬送路141の上流側には、用紙特性検知装置30の第1搬送路341が接続する。
【0041】
給紙搬送部14は、給紙トレイ145等から給紙された用紙90を搬送する。搬送路141を搬送された用紙90は、画像形成部13で画像を形成された後、後続の後処理装置40を経由して排紙トレイ41上に排出される。用紙90の裏面にも画像を形成する両面印刷を行う場合には、片面に画像形成された用紙90は装置本体の下部にある両面画像形成用の搬送路142に搬送される。この搬送路142に搬送された用紙90は、スイッチバック経路で表裏を反転された後、片面用の搬送路141に合流し、再び画像形成部13で用紙90のもう一方の面に画像形成される。
【0042】
(操作パネル15等)
操作パネル15はタッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、画像形成装置10、または画像形成システム1000の状態を表示し、ユーザーからの給紙トレイ145等に載置した用紙の種類等の設定、指示の入力に使用される。
【0043】
プリンタコントローラー17は、PC(パーソナルコンピュータ)等の構成される端末装置から送られてきた印刷ジョブを取得する。そしてこの印刷ジョブに含まれるPDL形式(PDL:Page Description Language)またはPDF形式で記述された印刷データ(画像データ)は、プリンタコントローラー17によりラスタライズ処理されラスター形式のページ毎の画像データに変換され、ページメモリに一時的に記憶される。ページメモリからの画像データは所定タイミングで、読み出されてバッファーに記憶され、書込タイミングに同期して、主走査1ライン毎に書込部への露光信号として出力される。
【0044】
通信部19は、他の装置と通信するためのインターフェースである。
【0045】
(サブ制御部111~116)
全体制御部111は、印刷ジョブが入力されると、入力された印刷ジョブの印刷ジョブ設定情報に基づいて、エンジン制御部112により印刷ジョブを実行させる。印刷ジョブは、操作パネル15や、ユーザーが操作するネットワーク接続されたPC等の外部端末から送られた指示により入力される。
【0046】
エンジン制御部112は、後処理装置制御部114、給紙装置制御部115、搬送・画像形成制御部116を制御することで、画像形成に関する処理を行う。後処理装置制御部114は、後処理装置40を制御する。具体的には、後処理装置制御部114は、後処理装置40に対して、用紙搬送タイミング、搬送する用紙の後処理の設定情報、等を送信する。給紙装置制御部115は、給紙装置20を制御する。具体的には、給紙装置制御部115は、給紙装置20と通信することで、用いる給紙トレイ、用紙搬送タイミング等を送受信する。
【0047】
搬送・画像形成制御部116は、給紙搬送部14(搬送路141、142、定着部、等の駆動モーターを含む)を制御することで、用紙90の給紙搬送を制御する。また、搬送・画像形成制御部116は、画像形成部13を制御し、画像形成条件や、用紙位置に合わせた画像形成タイミングの制御を行う。
【0048】
用紙特性検知装置制御部113は、エンジン制御部112からの実行指示要求に応じて、用紙特性検知装置30を制御し、用紙特性検知装置30に含まれる各種センサーによる、用紙特性の測定を実行させる。
【0049】
(給紙装置20)
図1に示すように、給紙装置20は、給紙搬送部24を備える。給紙搬送部24は、給紙部として機能する。また、給紙装置20は、給紙搬送部24の他に、制御部、記憶部、および通信部(何れも図示せず)を備え、これらは信号をやり取りするためのバス等の信号線を介して相互に接続される。給紙搬送部24は、複数の給紙トレイ245、および搬送路241を備える。搬送路241は、搬送路341と接続する。各給紙トレイ245から給紙され、搬送路241を搬送された用紙90は、下流側の用紙特性検知装置30に搬送され、用紙特性の測定がなされたり、さらに下流側の画像形成装置10で画像形成されたりする。
【0050】
(後処理装置40)
後処理装置40は、印刷ジョブの設定に応じて、画像形成装置10から送られた用紙90に対して後処理を施したり、排出したりする。後処理装置40は、排紙トレイ41、42、および後処理部43、および搬送路441を備える。また、後処理装置40は、制御部、記憶部、搬送部および通信部(何れも図示せず)を備え、これらは信号をやり取りするためのバス等の信号線を介して相互に接続される。排紙トレイ41、42は、印刷ジョブの設定に応じて選択される。搬送路441は、上流側の搬送路141に接続する。後処理部43は、画像形成された用紙90に対して、ステイプル処理、パンチ処理、裁断処理、折処理、および製本処理の少なくとも1つの後処理を行う。
【0051】
(用紙特性検知装置30)
次に、
図3~
図12を参照し、用紙特性検知装置30について説明する。
図3は、用紙特性検知装置30のブロック図であり、
図4は、用紙特性検知装置の概略構成を示す図である。用紙特性検知装置30は、制御部31、記憶部32、搬送部34、第1の検知部35、第2の検知部37、環境センサー38、および通信部39を備える。環境センサー38は、装置本体内の温度、湿度の少なくとも一方を検出する。通信部39は、他の装置と通信するためのインターフェースである。
【0052】
制御部31は、上述の制御部11と同様にCPUとメモリーを有する。制御部31は、第1、第2の検知部35、37の動作を制御し、用紙90の用紙特性に対応する用紙特性情報を検出させる。
【0053】
記憶部32は、予め各種プログラムや各種データを格納しておくROM、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM、各種プログラムや各種データを格納するハードディスク等の補助記憶部からなる。また、記憶部32には、環境センサー38の検出値と、補正値とを対応付けた環境補正テーブルが記憶されている。制御部31は、環境センサー38の検出値、および環境補正テーブルに応じて、第1、第2の検知部35、37の各センサーの検出結果を補正する。
【0054】
搬送部34は、第1搬送路341、第2搬送路342、パージする用紙90を排出するパージトレイ349等を備える。第1、第2搬送路341、342は、搬送路に沿って設けられた複数の搬送ローラー対、およびこれらの搬送ローラー対を駆動する駆動モーター(図示せず)を含む。第1搬送路341は、主搬送路であり、上流側は給紙装置20の搬送路241に接続し、下流側は、画像形成装置10の搬送路141に接続する。第2搬送路342は、分岐部s1で第1搬送路341から分岐する。第2搬送路342は(搬送路141に配置された)画像形成部13を経由せずに、パージトレイ349にパージされる用紙90が搬送される。第1搬送路341は、略水平方向に延在する。第2搬送路342の少なくとも一部は、略鉛直方向に延在する。特に、後述する剛度センサー371が配置されている領域においては、第2搬送路342は、略鉛直方向に延在し、用紙の搬送方向は上方である。ここで略垂直とは、90±1°の範囲にあることを示す。なお、第2搬送路342は、全部が直線上でなくてもよい。第2搬送路342の少なくとも剛度センサー371の測定領域が真っ直ぐであれば、他の経路はその一部が湾曲してもよい。例えば、第2搬送路342は、全体としてS字状のカーブ型の搬送路であってもよい。
【0055】
図1、
図4に示すように第1の検知部35は、第1搬送路341上に配置され、第1搬送路341を検出領域として、第1搬送路341を搬送される用紙90の用紙特性を検知する。特に第1の検知部35は、第1搬送路341のうち、分岐部s1よりも上流側に配置される。第2の検知部37は、分岐部s1よりも下流にある第2搬送路342上に配置される。
【0056】
図3、
図4に示すように、第1の検知部35は、サイズセンサー351、紙厚センサー352、坪量センサー353、および水分率センサー354を含む。これらのセンサーは、用紙特性情報として、それぞれ用紙の特性値乃至物性値そのものまたは特性値乃至物性値に対応するセンサーの電流、電圧等、当該特性を指標する値でも良い。
図4に示すように、第1搬送路341において、紙厚センサー352の下流側に、坪量センサー353および水分率センサー354が配置される。
図5は、坪量センサー353および水分率センサー354の配置位置を示す図である。
図5に示すように、坪量センサー353および水分率センサー354は、第1搬送路341において、搬送方向(X方向)の同じ位置で幅方向(Y方向)の異なる位置に並んで配置される。このようにすることで第1の検知部35全体として搬送方向の長さを短くでき、小スペース化が図れる。また、第1搬送路341において、サイズセンサー351は、他のセンターよりも上流に配置される。すなわち、サイズセンサー351は、他の紙厚センサー352、坪量センサー353、および水分率センサー354よりも上流側に配置される。通常、画像形成部13で用紙90上に画像を転写する前に用紙先端を止めて用紙を一時的に待機させるがサイズセンサー351を他のセンサーより上流に配置することでサイズセンサー351と画像形成部13の距離を広くとることができ、サイズセンサー351の検知の途中で用紙90が停止することを防止できる。
【0057】
(第1の検知部35における各センサーの配置位置関係)
第1の検知部35のサイズセンサー351、紙厚センサー352、坪量センサー353、および水分率センサー354は、第1搬送路341を搬送された用紙90を停止させることなく、搬送しながら、サイズ、紙厚、坪量、水分率に対応する用紙特性情報を検出する。これにより、連続して印刷を行う印刷ジョブを実行する場合に、第1の検知部35は、連続して搬送される複数枚の用紙90それぞれの用紙特性情報を検出できる。すなわち、第1の検知部35は、全枚数の用紙特性情報を検出できる。また、このうち、サイズ、紙厚、坪量の用紙特性情報は、紙種(用紙種類)に対応する用紙特性情報であり、水分率の用紙特性情報は用紙90の状態変化に対応する用紙特性情報である。
【0058】
このように、第1の検知部35は、用紙90の用紙種類、または用紙状態変化に対応する用紙特性情報を毎回検出する。これにより、給紙トレイに装填した用紙90の種類が印刷ジョブ設定と異なる場合や用紙束に誤った用紙が混在している場合(主に坪量、厚さ、サイズに関連)、用紙状態が連続印刷の途中で変わる場合や用紙束の用紙状態が均一でない用紙が含まれている場合(主に水分率に関連)が適切に検出される(以下、不適切用紙という)。そして、後述するように、用紙特性検知装置30では、第1の検知部35によって不適切な用紙90を検出した場合には、当該用紙90は、パージ経路(第2搬送路342)に切り替えて搬送し、パージトレイ349に排出する。このようにすることで、不適切な用紙は、後段に送られることはなく、画像形成装置10、後処理装置40等でジャムや画像不良が生じることを防止できる。
【0059】
また、サイズセンサー351は最も上流側に配置されている。サイズセンサー351は、原理的に、用紙90が検出位置(撮影位置)を通り過ぎないとサイズを確定することができない。したがって、サイズセンサー351は、画像形成システム1000で対応可能な最も長い用紙(例えば900mm程度の長尺紙)の長さ分、画像形成部13の画像形成位置(より詳細には、レジストローラーでの停止位置)よりも上流側に配置される必要がある。そのため、サイズセンサー351は、第1搬送路341の最も上流側に配置されている。
【0060】
また、紙厚センサー352は上流側から2番目に配置されている。用紙特性検知装置30は、用紙90の厚さを先に検出することで、後段の坪量センサー353、および水分率センサー354による検出時に測定範囲(ラチチュード)、計測条件等を適切に設定できる。
【0061】
(第2の検知部37における各センサーの配置位置関係)
図3、
図4に示すように、第2の検知部37は、剛度センサー371、表面性センサー372、および抵抗センサー373を含む。これらのセンサーは、用紙特性情報として、それぞれ用紙の特性値乃至物性値そのものまたは特性値乃至物性値に対応するセンサーの電流、電圧等、当該特性を指標する値でも良い。
図4に示すように、第2搬送路342において、抵抗センサー373の上流側(下方)に剛度センサー371、および表面性センサー372が配置される。なお、
図4に示す例では、搬送方向(Z方向)において剛度センサー371、表面性センサー372がこの順で配置されているが、この並び順は逆にしてもよい。また、以下に説明する理由から、第1搬送路341から第2搬送路342に至る経路において、サイズセンサー351は、水分率センサー354よりも上流側に配置されている。
【0062】
抵抗センサー373は、検出時には、高電圧を用紙90に印加し、用紙90に電流を流す。そのため、抵抗を検出された後の用紙90は、その表面には電荷が蓄積し静電気を帯びる場合がある(特に低湿度環境下)。静電気を帯びた用紙90では、剛度検出が正確に行えないおそれがあるため、抵抗センサー373の上流側(下方)に剛度センサー371が配置されている。また、抵抗センサー373の検出時に用紙90に電流を流すことで、用紙90がわずかに加熱されることで水分率が変化するおそれがある。この影響を排除するため、抵抗センサー373の上流側(第1搬送路341)に水分率センサー354が配置されている。
【0063】
第2の検知部37は、それぞれのセンサー位置で用紙を停止させて検出を行い、下流側の次のセンサーに用紙90を送る。次のセンサーは、用紙後端が前のセンサーの構成部材(ローラー等)に挟持されていない状態で測定する(端部を開放しておくことでセンサーの構成部材で面固定のために用紙を押圧することが容易になる)。なお、用紙90の長さ(搬送方向の長さ)が十分にある場合、例えばA4サイズよりも長いサイズであれば、用紙90は、3つのセンサーの検知位置に渡って配置させることができる。したがって、第2の検知部37は、一度の停止で、抵抗センサー373での抵抗検出、表面性センサー372での表面性検出、および剛度センサー371での剛度検出を同時に行うことができ、生産性の低下を最小限に抑えることができる。
【0064】
(第1の検知部35)
以下、
図6~
図9を参照して、サイズセンサー351、紙厚センサー352、坪量センサー353、水分率センサー354の構成例について説明する。これらのセンサー351~354は、上述のように、第1搬送路341を搬送された用紙90を停止させることなく、搬送しながら、サイズ、紙厚、坪量、水分率に対応する用紙特性情報を検出する。特に、これらのセンサー351~354は、画像形成時の搬送速度(以下、通常搬送速度ともいう)で用紙90を搬送させながら、用紙特性情報を検出する。このようにすることで、生産性を落とすことなく、用紙90の全枚数に対する用紙特性情報が検出される。
【0065】
(サイズセンサー351)
サイズセンサー351は、光学式に用紙90のサイズ(形状)を検出する。サイズセンサー351は、例えば1本または2本のイメージセンサーである。
図6は、サイズセンサー351の概略構成を示す図である。
図6に示す例では、サイズセンサー351は、2本のラインセンサー511、512であり、それぞれのラインセンサー511,512は、CIS(Contact Image Sensor)等で構成された光電変換素子がライン状に1列または複数列に並んだ画像センサーであり1次元の画像を読み取る。またラインセンサー171は、この光電変換素子の列に沿って配置された発光素子およびレンズアレイ等の光学エレメントを有する。発光素子により列の延在方向に均一な光が、第1搬送路341上の用紙90に向けて照射される。
図6に示す例では、ラインセンサー511,512それぞれは、長手方向の長さが200~300mmの長さを持つ。これらのラインセンサー511は、幅方向(Y方向)においてオーバーラップするように、搬送方向(X方向)に隣接して並べて配置する。これにより、A3ノビサイズ等の幅の用紙90にも対応して、搬送される用紙90の全幅が読み取られる。所定の搬送速度で搬送される用紙90を両ラインセンサー511、512によって読み取ることで、読取画像データを生成する。制御部31は、得られた用紙90の1枚分の読取画像データを画像処理することで、用紙90のエッジ(4辺の位置乃至外形形状)を検出し、サイズ(形状)を検出する。なお、制御部31は、2つのセンサー511、512から得られた2つの読取画像データそれぞれを処理することで用紙90の形状、サイズを検出するようにしてもよい。あるいは、制御部31は、2つの読取画像データを1つに合成して、これを処理することで、用紙90の形状、サイズを検出するようにしてもよい。また、
図6に示す例では、2つのセンサー511、512を幅方向でオーバーラップさせて配置した例を示したが、A3ノビ等の大きさに対応して1つの大サイズのセンサーが用いられてもよい。
【0066】
(紙厚センサー352)
図7は、紙厚センサー352の概略構成を示す図である。紙厚センサー352は、機械式に変位量を測定することで用紙90の厚みを検出する。搬送ローラー対521のニップに用紙90が搬送されることで、用紙90の厚みに応じて、搬送ローラー対521の一方の従動ローラーの軸位置が変位する。この変位した軸の高さを測ることにより、用紙90の厚みが測定される。搬送ローラー対521は、2つのローラーのうち下側のローラーが固定(軸中心が固定)の駆動ローラーで、上側がその駆動ローラーに向けて離接可能に付勢された従動ローラーである。上側のローラーの高さは、変位センサーにより検出される。変位センサーは、上側のローラー軸に接触するアクチュエータ(検出レバー)とこのアクチュエ-ターの回転量を測定するエンコーダとで構成される。紙厚センサー352からは、例えば、用紙厚み(ミクロン)が紙厚の測定結果として出力される。
【0067】
(坪量センサー353)
図8は、坪量センサー353の概略構成を示す図である。坪量センサー353は、用紙の坪量を検出する透過型および反射型の光学式センサーであり、発光部と受光部を備え、用紙90を透過する光の減衰量(透過率)、および反射光量を測定することで用紙90の坪量を検出する。
【0068】
図8に示すように、坪量センサー353は、複数の発光部531、および単一の受光部532を含む。発光部531は、第1発光部531a、第2発光部531b、および第3発光部531cを含む。第1、第2、第3発光部からは、それぞれ第1、第2、第3照射光が照射領域に照射される。この照射領域(第2の照射領域)は、Z方向から視た場合に開口a12の中の内側領域である。開口a12は、上ガイド板3411に設けられている。また下ガイド板3412にも、開口a12に対向する位置に開口a22が設けられる。開口a12、a22は同じ形状であり、例えば、矩形である。開口a12、a22には、第1搬送路341を通過する用紙90からの紙粉等の異物が付着するのを防止するために、PET等で構成された、各照射光の波長が透過する透明のシート534a、534bを取り付けている。
【0069】
第1発光部531aは、第1の波長を有する第1照射光を照射する。第1の波長は、例えば、可視光線の波長よりも長い近赤外線の波長である。より具体的には、第1の波長は、例えば750nmから900nmまでの間の波長を含む。第2発光部531bは、第2の波長を有する第2照射光を照射する。第2の波長は、例えば、可視光線に含まれる青色の光線の波長である。より具体的には、第2の波長は、例えば400nmから470nmまでの間の波長を含む。第1発光部531a、および第2発光部531bは、ともに第1搬送路341に対して、受光部532とは反対側に配置されており、第3発光部531cは、受光部532と同じ側であって、受光部532の近傍に設けられている。第3発光部531cは、照射領域(開口a12)に向けて第3の波長を有する第3照射光を照射する。第3の波長は、例えば可視光線のうち緑色の光線の波長である。より具体的には、第3の波長は、例えば495nm~570nmまでの間の波長を含む。第3の波長は、第1の波長(例えば、750nmから900nmまでの間の波長)、および、第2の波長(例えば、400nmから470nm)とは異なる波長である。
【0070】
第3照射光は、上下ガイド板3411、3412内の第1搬送路341に向けて照射される。第1発光部531aおよび第2発光部531bの近傍に設けられた下ガイド板3412の内側には、反射部533が設けられている。反射部533は、例えば、第3照射光と同色の緑色で塗装されており、第3照射光を反射する。なお、反射部533は、同色ではない第1照射光(近赤外線)および第2照射光(青色の光線)は反射しない。
【0071】
本実施形態では、制御部31は、測定時には、第1発光部531a、第2発光部531bを制御して、それぞれ、異なるタイミングで、第1照射光と第2照射光とを照射する。受光部532は、第1照射光と第2照射光を受光して、それぞれの照射光の光量を検出し、検出した第1照射光の光量と第2照射光の光量とを制御部31に出力する。また、開口a12の位置まで搬送された用紙90に対しても同様に、制御部31は、第1照射光と第2照射光とを照射する。受光部532は、第1照射光と第2照射光の透過光(第1透過光、第2透過光)を受光して、それぞれの照射光の光量を検出し、検出した第1透過光の光量と第2透過光の光量とを制御部31に出力する。すなわち、受光部532は、用紙90がないときの第1照射光、第2照射光、および用紙90が開口a12にあるときの第1透過光、第2透過光を検出する。
【0072】
また、第3発光部531cに関しても同様に、受光部532は、用紙90がないときの反射部533で反射した第1反射光、および用紙90が開口a12にあるときに用紙90の表面で反射した第2反射光を検出する。
【0073】
制御部31は、第1透過光の光量を第1照射光の光量で除算して、第1透過率を算出する。また、同様に制御部31は、第2透過光の光量を第2照射光の光量で除算して、第2透過率を算出する。そしてこれらの第1、第2透過率と、記憶部12に記憶されている判定基準から、用紙90の種類を判定する。
【0074】
また、制御部31は、第1、第2透過率に加えて、第2反射光の光量を、第1反射光の光量で除算して、反射率を算出し、この反射率を加味して、用紙90の種類を判定するようにしてもよい。なお、本実施形態では、第3発光部531c、および反射部533を設けているがこれらは省略してもよい。
【0075】
(水分率センサー354)
図9は、水分率センサー354の概略構成を示す図である。水分率センサー354は、用紙90の水分率を測定する。なお、本実施形態においては、用紙特性情報として、用紙の含水率を計測する水分率センサーを例にして説明するが、用紙特性情報として用紙に含まれる水分量を計測する水分量センサーを適用してもよい。
【0076】
図9に示すように、水分率センサー354は、第1発光部541、第2発光部542、受光部543、温度検知センサー544、レンズ545、546等を備える。第1発光部541および第2発光部542は、用紙に向けて光を照射する発光部である。
【0077】
第1発光部541は、用紙Pに向けて、特定の波長帯域の第1近赤外光(基準光)を発光する。第1発光部541の具体例は、LED(Light Emitting Diode)等である。当該第1近赤外光は、用紙Pにおいて反射した際の用紙Pにおける吸収率が用紙Pの水分率に因らない光である。受光部543は、第1発光部541から発光され、レンズ545を介して用紙Pにおいて反射した第1近赤外光を、レンズ546を介して受光する。そして、受光部543は、当該反射した第1近赤外光の受光量である第1受光量の情報を制御部31に出力する。受光部543の具体例は、CCD(Charge-Coupled Device)、または、CMOSイメージセンサー(Complementary metal-oxide-semiconductor)等である。
【0078】
第2発光部542は、用紙Pに向けて、特定の波長帯域の第2近赤外光を発光する。第2発光部542の具体例は、LED等である。当該第2近赤外光は、用紙Pにおいて反射した際の用紙Pにおける吸収率が用紙Pの水分率に応じて変動する光である。受光部543は、第2発光部542から発光され、レンズ545を介して用紙Pにおいて反射した第2近赤外光を、レンズ546を介して受光する。そして、受光部543は、当該反射した第2近赤外光の受光量である第2受光量の情報を制御部31に出力する。
【0079】
つまり、第1発光部541および第2発光部542は、用紙の水分による吸収率の異なる波長の光を発光する。また、第2発光部542が発する第2近赤外光は、第1発光部541が発する第1近赤外光(基準光)よりも、用紙の水分による吸収率が大きい波長の光である。
【0080】
制御部31は、第1受光量と第2受光量の比率(第1近赤外光および第2近赤外光に対する受光部543の出力の比率)に基づいて、用紙の水分率を決定する。用紙の水分率が高いほど第2近赤外光の吸収量が多くなるため、第2受光量は少なくなる。したがって、制御部31は、用紙の水分率と、第1受光量および第2受光量の比率との関係を示す関係式やテーブルに基づいて、第1受光量および第2受光量の比率を用紙の水分率に対応させ、第1受光量および第2受光量の比率から用紙の水分率を算出できる。
【0081】
(第2の検知部37)
以下、
図10~
図12を参照して、剛度センサー371、表面性センサー372、抵抗センサー373の構成例について説明する。これらのセンサー371~373は、第2搬送路342を搬送された用紙90を停止させて、または、通常搬送速度よりも低速で搬送しながら、剛度、表面性、電気抵抗に対応する用紙特性情報を検出する。
【0082】
(剛度センサー371)
図10は、剛度センサー371の概略構成を示す図である。剛度センサー371は、機械式に変位量を測定することで用紙90の剛度を検出する。
【0083】
剛度センサー371は、停止した用紙90を保持する一対のローラー347の鉛直方向の下方に配置されている。ローラー347は、モーターM2により回転駆動を制御される。ローラー347は、第2搬送路342内で用紙90を搬送部として機能するとともに、剛度測定時は、保持部として機能する。剛度センサー371は、用紙検知センサー710、押圧部711と、押圧力検出部712と、支持機構715、およびモーターM1を備える。モーターM1は支持機構715を水平方向(X方向)に移動させる。これにより、支持機構715に連結された押圧部711の先端は、剛度測定時には、X方向の所定位置に配置される。用紙検知センサー710は、非接触の光学式センサーであり検知位置(
図10では矢印で示す)における用紙の有無、すなわち用紙の後端を検知する。
【0084】
剛度測定時においては、第2搬送路342を搬送される用紙90は、用紙検知センサー710の検知位置(もしくは検知位置から所定量過ぎた位置)に後端が位置するように停止させられる。停止状態では、
図10に示すように用紙90の後端は自由端になる。剛度センサー371の押圧部711は、用紙90の下端部を、側面方向から押圧する。より詳細には、剛度センサー371は、検知位置よりも特定距離分上方の位置において、用紙90の下端部を、水平方向から押圧する。
【0085】
押圧部711は、ブレード711aと、ブレード711aの水平方向Yの一端に連続するベース711bとを有する。ブレード711aは、鉛直方向(Z方向)に搬送される用紙90の全幅に接触し得るように幅方向(Y方向)に長い長尺の板状に形成されている。ブレード711aは、用紙90の下端から鉛直方向の上側に特定の距離だけ離れた位置(測定箇所)に接触する。すなわち、測定箇所は、用紙90におけるローラー347に保持される部分よりも鉛直方向の下側に位置する。
【0086】
押圧力検出部712は、押圧部711におけるベース711bのブレード711aに連続する面と反対側の面に接続されている。押圧力検出部712は、モーターM1と支持機構715により、X方向の所定位置に配置された押圧部711のブレード711aが、用紙90を押圧する際に用紙90の反発力(剛性)により、押圧部711が水平方向に押圧されたときの押圧力を検出する。すなわち、押圧力検出部712は、押圧部711によって用紙90を押し曲げるときの押圧力を検出する。押圧力検出部712としては、例えば、ロードセル(圧力センサー)を採用することができる。
【0087】
(表面性センサー372)
図11は、表面性センサー372の概略構成を示す図である。表面性センサー372は、用紙90の表面性を検出する反射型(正反射、拡散反射)の光学式センサーである。
【0088】
表面性センサー372は、検出した正反射光と散乱反射光の強度の絶対値、および比率により用紙90の表面性を検出する。
【0089】
第2搬送路342の右側に位置する上ガイド板3411には開口a11が、左側に位置する下ガイド板3412には、開口a21が設けられている。開口a11は、略矩形の形状であり孔サイズは、例えば、縦横(Z、Y方向)がそれぞれ数十mmである。開口a21は、開口a11に対応した位置に配置されており、開口a11よりも少し大きい。開口a21には、押圧機構の押圧板729が配置されており、計測時には、
図10の左側から右側に移動することで用紙90を上ガイド板3411に押し付け、固定する。未測定時には開口a11は、シャッター(図示せず)により閉じられる。また開口a21は、わずかに退避した押圧板729の表面により閉じられる。
【0090】
表面性センサー372は、停止した用紙90の表面を開口a11の基準面に配置し、開口a11を照射領域として光を照射し、その正反射光と散乱反射光を受光することで、表面性を検出する。基準面は、上ガイド板3421の内側表面に対応する。
【0091】
図11に示すように表面性センサー372は、筐体721、発光部722、コリメートレンズ723、複数の受光部724a、724b(以下、これらを総称して受光部724ともいう)等を備える。面性センサー372は、発光部722から照射した光の、用紙90表面からの反射光を受光部724aで検出し、散乱反射光を受光部724b等で検出する。
【0092】
発光部722の配置角度は、照射光の基準面に対する入射角度が75°になるように設定している。この入射角75°は、JIS従った白紙光沢度測定で用いられる角度であり、被測定物の色の影響が少ない角度である。基準面は、上ガイド板3421の下面を含む仮想面であり、測定時には、基準面に被測定物である用紙90の表面が配置される。発光部722は、基板b1上に配置される。発光部722は、所定波長の光を放出するLED等の光源としての発光素子を含み、光源(点光源)から放出された照射光は、コリメートレンズ723により略平行光になり、照射領域に照射される。本実施形態においては、発光部722の光源の波長としては、405nmを超え、525nm未満の範囲が好ましく、より好ましくは445nm以上500nm以下の範囲であり、最も好ましい波長は、465nm前後である。照射領域(第1の照射領域)は、Z’方向から視た場合に開口a11の中の内側領域であり、照射領域の中心(光軸)とXY’平面に平行な基準面とは交点p1で交わる。発光部722としては、面発光型のLEDが用いられてもよく、または砲弾型のLEDが用いられてもよい。また、砲弾型のLEDを用いる場合には、砲弾型の指向性にあったレンズ設計すれば所望の照射径(ビーム径ともいう)を得ることができる。また、発光部722、および受光部724とは、幅方向(Y方向)に沿って配置されており、すなわち同じXY平面上にあり、発光部722からの照射光は幅方向に沿っている。
【0093】
複数の受光部724それぞれは、フォトダイオード、フォトトランジスタ、等の受光素子を含み、照射領域からの正反射光を受光する第1の受光部724aと、照射領域からの拡散反射光を受光する1つまたは複数の第2の受光部724bを含む。この第1の受光部724aは、発光部722の入射角75°に対応する反射角75°の位置に配置され、正反射光を受光する。また、第2の受光部724bは、反射角0°以上90°未満の範囲で、75°の位置を除く任意の反射角の位置に配置でき、拡散反射光を受光する。配置位置としては好ましくは、反射角60°、30°、0°の位置であり、より好ましくは、60°と30°の2箇所、または60°の1箇所の位置である。
図11の例では、反射角75°の正反射光受光用の第1の受光部724aと、反射角30°の拡散反射光受光用の第2の受光部724bを配置した例が示されている。これらの図では、受光部724aは、基板b2に配置され、受光部724bは基板b3に配置される。受光部724a、724bの受光経路上において、筐体721には、開口a3、a4が設けられている。開口a3、a4は同様の構造を有する。開口a3、a4は、交点p1側から視た場合に、例えばφ3mmの円形のスリットである。
【0094】
(抵抗センサー373)
図12は、抵抗センサー373の概略構成を示す図である。抵抗センサー373は、停止状態にある用紙90の表裏間に高電圧を印加し、流れる電流値により用紙90の電気抵抗(体積電気抵抗)を検出する。
【0095】
図12に示すように、抵抗センサー373は、検知ローラー732、対向ローラー731、および高圧電源ユニット733を備える。
【0096】
検知ローラー732は、用紙90の一方の紙面側に接触可能に配置されている。検知ローラー732は、例えば導電性を有するゴムなどの弾性材料によって構成されている。
【0097】
対向ローラー731は、用紙90を間に挟んで検知ローラー732と対向して配置されている。対向ローラー731は、用紙90の他方の紙面側に接触可能に配置されている。対向ローラー731は、例えば金属材料によって構成されている。対向ローラー731は、接地されている。
【0098】
高圧電源ユニット733は、用紙90に対して高圧電圧を印加するためのユニットである。高圧電源ユニット733は、検知ローラー732および対向ローラー731に電気的に接続されている。これにより、検知ローラー732、対向ローラー731および高圧電源ユニット733において電気回路が構成されている。高圧電源ユニット733は、電流計と、高圧電源回路とを有する。電流計は、検知ローラー732に電気的に接続されている。電流計は、高圧電源回路において印加された電圧によって流れる電流を検知する。
【0099】
高圧電源回路は、電流計を介して検知ローラー732に電気的に接続されている。高圧電源回路は、高圧電圧を印加可能である。高圧電源回路から電流計を経由して検知ローラー732に電圧を印加する。高圧電源回路は、例えば1k~5kVの高電圧を印加可能である。高圧電源回路における電圧を印加する方法は、1種類の電圧を用紙90に印加してもよいし、複数種類の印加電圧を複数回に分けて制御することによって用紙90に印加してもよい。
【0100】
(制御パラメータの決定)
以下、
図13、
図14を参照し、用紙特性検知装置30により取得した用紙特性を用いた制御パラメータの決定処理について説明する。
【0101】
図13は、制御パラメータ決定方式を示す模式図である。従来の制御パラメータ決定方式は、検知データを一旦、紙種と坪量に換算して区分化してから、制御パラメータを決定するものであるが、本実施形態における制御パラメータ決定方式は、用紙特性の検知データから直接、各制御パラメータを決定するものである。例えば、画像形成装置10の制御部11は、用紙特性センサーi~iiiの検知データから定着制御パラメータを決定し、用紙特性センサーi、iii、nの検知データから転写制御パラメータを決定する。用紙特性センサーi~nは、上述の用紙特性検知装置30の各センサー351~354、371~373の何れかに対応する。
【0102】
図14は、画像形成処理の各プロセスにおける品質項目および各品質項目に関連する用紙特性について説明するための図である。
【0103】
図14においては、画像形成処理に含まれる定着プロセス、転写プロセス、搬送プロセス、除電プロセス等の各プロセスにおいて存在する、定着品質、2次転写品質、搬送品質、排紙品質等の品質項目と、各品質項目に関係する用紙特性との関係が示されている。各用紙特性センサーによって検出される用紙特性としては、例えば、サイズ、紙厚、坪量、水分率、剛度、表面性、抵抗(体積抵抗値)、曲げ強度等がある。
【0104】
「サイズ」は、センサー1によって用紙のサイズを検出する。例えば、サイズセンサー351により得られた読取画像データを解析することで検出できる。
【0105】
「紙厚」は、センサー2によって、用紙の厚みに応じた特性を検出することによって取得される。「紙厚」は、例えば、紙厚センサー352によって取得され、2つの部材により用紙を挟み込み、その2つの部材間の距離を測定することによって取得される。
【0106】
「坪量」は、センサー3によって、用紙の坪量に応じた特性を検出することによって取得される。「坪量」は、例えば、坪量センサー353によって取得される。「坪量」は、例えば、透過型、および反射型の光学式センサーによって、用紙を透過する光の減衰量(透過率)を測定することによって取得される。
【0107】
「水分率」は、センサー4によって、用紙の水分率(含水率ともいう)に応じた特性を検出することによって取得される。「水分率」は、例えば、水分率センサー354によって取得される。「水分率」は、例えば、用紙の透過光により、近赤外線方式のOH基の光吸収量を光学的に検出する含水率センサーによって取得される。「水分率」は、用紙水分率に関する値を構成する。
【0108】
「剛度」は、センサー5によって、用紙の剛性に応じた特性を検出することによって取得される。「剛度」は、例えば、剛度センサー371によって、自由端の用紙後端を押圧したときの押圧力を測定することによって取得される。「剛度」は、用紙折り曲げ強度に関する値を構成する。
【0109】
「表面性」は、センサー6によって、用紙の表面性の平滑度に応じた特性を検出することによって取得される。「表面性」は、平滑度とも称され、表面性センサー372によって取得される。「表面性」は、例えば、入射角度75度で光を用紙の表面に照射し、その用紙表面からの正反射光、拡散反射光を2つのセンサーによって光学的に検出することによって取得される。「表面性」は、用紙表面状態に関する値を構成する。
【0110】
「紙抵抗」は、センサー7によって、用紙の内部、または表面の電気抵抗に応じた特性を検出することによって取得される。「紙抵抗」は、例えば、抵抗センサー373によって取得される。「紙抵抗」は、例えば、用紙に高圧電圧を印加したときの、電圧および流れる電流を測定することにより取得される。「紙抵抗」は、用紙体積抵抗に関する値を構成する。
【0111】
(用紙特性検出処理)
図15は、画像形成システム1000および用紙特性検知装置30により実行される用紙特性検出処理を示すフローチャートである。ステップS11~S16は、印刷準備の処理であり、ステップS17以降は、印刷を実行する処理である。
【0112】
(ステップS11)
制御部11は、PC等の外部端末から送られた指示により印刷ジョブが入力されると、入力された印刷ジョブの印刷ジョブ設定情報に基づいて、印刷ジョブで用いる用紙を給紙、搬送させる。例えば、制御部11は、給紙装置20の給紙トレイ245により用紙90(給紙トレイ245上の1枚目)を給紙させ、第1搬送路341に用紙90を搬送させる。
【0113】
(ステップS12)
制御部31は、搬送部34および第1の検知部35を制御し、第1搬送路341を搬送させた用紙90の用紙特性を、第1の検知部35により検知させる。第1の検知部35による検知の際は、用紙90は、通常搬送速度で搬送され、停止はされない。
【0114】
(ステップS13)
制御部31は、搬送部34および第2の検知部37を制御し、用紙90を分岐させて第2搬送路342に搬送させ、用紙90の用紙特性を、第2の検知部37により検知させる。第2の検知部37による検知の際は、用紙90は、1回または複数回停止させられる。
【0115】
(ステップS14)
制御部31は、搬送部34を制御し、用紙特性が検知された用紙90をパージトレイ349に排出させる。
【0116】
(ステップS15)
画像形成装置10の制御部11は、ステップS12、S13の処理によって、第1、第2の検知部35、37により得られた複数の用紙特性情報を用いて、画像形成部13等の各プロセスのパラメータを決定する。具体的には、制御部11は、
図13で示した処理により、定着、転写、搬送・給紙、後処理の各プロセスの制御パラメータを決定する。
【0117】
(ステップS16)
制御部31は、印刷ジョブの実行を開始するか否かを判定し、YESであれば処理をステップS17に進める。実行開始の判定は、ユーザーから実行開始ボタンが押下されたことにより判定してもよく、ステップS15の処理が終わることで自動的に実行開始するようにしてもよい。
【0118】
(ステップS17)
制御部31は、印刷ジョブの印刷ジョブ設定で設定されている用紙90(給紙トレイ245上の2枚目以降)を給紙、搬送する。印刷ジョブ設定が複数枚の設定であれば、複数枚の用紙90の給紙搬送が連続して行われる。例えば、制御部11は、給紙装置20を制御することで、給紙トレイ245から連続して用紙90を給紙、搬送させる。
【0119】
(ステップS18)
制御部31は、搬送部34および第1の検知部35を制御し、第1搬送路341を搬送させた用紙90の用紙特性を、第1の検知部35により検知させる。ステップS12と同様に、第1の検知部35による検知の際は、用紙90は、通常搬送速度で搬送され、停止はされない。
【0120】
(ステップS19)
制御部11は、連続して搬送される用紙90それぞれに対して、ステップS18で取得した用紙特性情報から、不適切用紙であるか否かを判定する。例えば印刷ジョブ設定で設定される用紙90のサイズとは異なるサイズや種類の用紙が用紙束に紛れ込んでいた場合(印刷ジョブ設定外)や、水分率がそれまでの用紙90の水分率とは大きく異なる用紙90の場合(用紙状態の変化大)である。例えば、給紙トレイ245に装填した用紙束の中にサイズが異なる合紙(あいし)が紛れ込んでいた場合や、ユーザーの勘違いで異なるサイズや別の紙種の用紙90を給紙トレイ245に補給した場合である。水分率が異なる場合とは、高湿環境下で長時間放置した、給紙トレイ245の用紙束(残紙)の上に別のパッケージから(高湿環境に暴露されていない)用紙を補給した場合である。
【0121】
制御部11は、用紙特性により、印刷ジョブ設定外の用紙や、用紙状態の変化が大きい用紙が搬送された場合には、所定の範囲外の用紙であると判定し(YES)、処理をステップS20に進める。一方で、所定範囲内の用紙であれば(NO)、制御部11は、処理をステップS21に進める。
【0122】
(ステップS20)
制御部31は、搬送部34を制御し、第1搬送路341を搬送中の用紙90(所定範囲外の用紙)を、分岐部s1で分岐させ第2搬送路342に導き、パージトレイ349に排出させる。また、制御部31は、所定範囲外の用紙が、連続して所定枚数以上検出された場合には、実行中の印刷ジョブを停止させてもよい。このとき、制御部11は、ユーザーへのアラートとして、所定範囲外の用紙が検出された旨、および/または印刷ジョブを停止させた旨の情報を操作パネル15に表示させてもよい。
【0123】
(ステップS21)
制御部11は、用紙90の搬送を継続させ、第1搬送路341および搬送路141を経由して、用紙90を画像形成部13に搬送し、画像を形成させる。画像形成された用紙は、その後、後処理装置40の排紙トレイ41に排出される。
【0124】
(ステップS22)
制御部11は、印刷ジョブが終了していなければ(NO)、終了するまでステップS17以降の処理を繰り返す。印刷ジョブの設定枚数までの印刷が終了したならば(YES)、処理を終了する(エンド)。
【0125】
このように、本実施形態に係る用紙特性検知装置では、用紙が搬送される第1搬送路と、前記第1搬送路から分岐して、画像形成部を経由せずに、パージされる用紙が搬送される第2搬送路と、前記第1搬送路に配置され、前記用紙の坪量、水分率、紙厚、およびサイズの少なくとも1つに対応する用紙特性情報を検出可能な第1の検知部と、を備える。これにより、第1搬送路を搬送中の用紙の用紙特性情報が検知される。特に第1搬送路を搬送中の用紙を、停止させることなく、通常の搬送速度で搬送させたまま、第1の検知部により用紙特性情報を検出するように構成していることから、生産性を低下させることなく連続して用紙の用紙特性情報が検出される。また、用紙特性情報が所定範囲外の用紙(不適切用紙)が紛れ込んでいた場合には、パージ経路である第2搬送路に用紙を搬送させることで、画像形成部を経由せずに排出できる。また、画像形成部を経由しないパージ経路である第2搬送路に第2の検知部を配置することで、第2の検知部の検知による用紙帯電等の影響が、画像形成部に及ばないので、画像形成の画像形成動作の信頼性の低下は生じない。
【0126】
以上に説明した用紙特性検知装置30、およびこれを備える画像形成システム1000の構成は、上記の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。また、一般的な画像形成装置が備える構成を排除するものではない。
【0127】
上述した実施形態においては、第1の検知部は、サイズセンサー、紙厚センサー、坪量センサー、および水分率センサーの4つのセンサーを備える例を示したが、これに限られず、4つのセンサー全てではなく、少なくとも何れか1つのセンサーを有していればよい。さらに、第1の検知部は、第1の搬送路において、少なくとも1つのセンサーを分岐部よりも下流側に配置されてもよい。また、同様に上述の実施形態においては、第2の検知部は、剛度センサー、表面性センサー、および抵抗センサーを備える例を示したが、これに限られず、3のセンサー全てではなく、少なくとも何れか1つのセンサーを有していればよい。
【0128】
また、上述した実施形態に係る用紙特性検知装置30、および画像形成システム1000における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターの何れによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリーやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0129】
1000 画像形成システム
10 画像形成装置
11 制御部
13 画像形成部
20 給紙装置
30 用紙特性検知装置
31 制御部
32 記憶部
34 搬送部
341 第1搬送路
342 第2搬送路
349 パージトレイ
s1 分岐部
35 第1の検知部
351 サイズセンサー
352 紙厚センサー
353 坪量センサー
354 水分率センサー
37 第2の検知部
371 剛度センサー
372 表面性センサー
373 抵抗センサー
38 環境センサー
39 通信部
【手続補正書】
【提出日】2024-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が搬送される第1搬送路と、
前記第1搬送路から分岐して、画像形成部を経由せずに、パージされる用紙が搬送される第2搬送路と、
前記第1搬送路に配置され、前記用紙のサイズ、紙厚、坪量、および水分量の少なくとも1つに対応する用紙特性情報を検出可能な第1の検知部と、
を備えた用紙特性検知装置。
【請求項2】
用紙が搬送される第1搬送路と、
前記第1搬送路から分岐して、画像形成部を経由せずに、パージされる用紙が搬送される第2搬送路と、
前記第1搬送路に配置され、前記用紙を搬送しながら前記用紙の用紙特性に対応する用紙特性情報を検出可能な第1の検知部と、
を備えた用紙特性検知装置。
【請求項3】
前記第1の検知部は、搬送しながら前記用紙特性情報を検出する、請求項1に記載の用紙特性検知装置。
【請求項4】
前記第1の検知部は、連続して搬送される複数枚の用紙それぞれの用紙特性情報を検出する、請求項1、または請求項2に記載の用紙特性検知装置。
【請求項5】
前記第1の検知部は、前記用紙の種類、または用紙の状態の変化の少なくとも1つに対応する用紙特性情報を検出する、請求項1、または請求項2に記載の用紙特性検知装置。
【請求項6】
前記第1の検知部は、サイズ、紙厚、坪量、および水分量に対応する用紙特性情報をそれぞれ検出可能なサイズセンサー、紙厚センサー、坪量センサー、および水分量センサーの少なくとも1つを備える、請求項1、または請求項2に記載の用紙特性検知装置。
【請求項7】
前記第1の検知部は、前記水分量センサーを備える、請求項6に記載の用紙特性検知装置。
【請求項8】
前記第1の検知部は、前記坪量センサー、前記紙厚センサー、および前記坪量センサーの少なくとも1つを備える、請求項6に記載の用紙特性検知装置。
【請求項9】
前記第1の検知部は、前記紙厚センサー、前記坪量センサー、および前記水分量センサーを備え、
前記第1搬送路において、前記紙厚センサーの下流側に、前記坪量センサーおよび前記水分量センサーが配置される、請求項6に記載の用紙特性検知装置。
【請求項10】
前記第1の検知部は、前記水分量センサー、および前記坪量センサーを備え、
前記第1搬送路において、前記水分量センサー、および前記坪量センサーは、搬送方向の同じ位置において、搬送方向に直交する幅方向の異なる位置に配置される、請求項6に記載の用紙特性検知装置。
【請求項11】
第1の検知部は、前記サイズセンサーと、サイズと異なる他の用紙特性情報に対応するその他のセンサーを含み、
前記第1搬送路において、前記サイズセンサーは、前記その他のセンサーよりも上流側に配意される、請求項6に記載の用紙特性検知装置。
【請求項12】
前記サイズセンサーは、イメージセンサーであり、搬送される前記用紙を読み取ることで得られた読取画像データにより、用紙の搬送方向、および幅方向のサイズを検出可能である、請求項6に記載の用紙特性検知装置。
【請求項13】
前記第1の検知部は、前記第1搬送路と前記第2搬送路の分岐部の上流に配置される、請求項1または請求項2に記載の用紙特性検知装置。
【請求項14】
前記第2搬送路に配置され、前記用紙の剛度、表面性、および抵抗の少なくとも1つに対応する用紙特性情報を検出可能な第2の検知部を、さらに備える、請求項1、または請求項2に記載の用紙特性検知装置。
【請求項15】
前記第2搬送路に配置され、前記第2搬送路を搬送される用紙を停止させて前記用紙特性情報を検知、または、第1搬送路での搬送速度よりも、低速の搬送速度で搬送させながら前記用紙特性情報を検知する第2の検知部を、さらに備える、請求項1または請求項2に記載の用紙特性検知装置。
【請求項16】
前記第2の検知部は、前記用紙の剛度、表面性、および抵抗に対応する用紙特性情報をそれぞれ検出可能な、剛度センサー、表面性センサー、および抵抗センサーの少なくとも1つを備え、
前記第2の検知部のセンサーでは、前記第2搬送路を搬送される用紙を停止させて前記用紙特性情報を検出する、請求項14に記載の用紙特性検知装置。
【請求項17】
前記第2の検知部は、前記剛度センサーと前記表面性センサーの少なくとも1つと、前記抵抗センサーを備え、
前記第2搬送路において、前記抵抗センサーの上流側に、前記剛度センサー、および前記表面性センサーの少なくとも1つが配置される、請求項16に記載の用紙特性検知装置。
【請求項18】
前記第2の検知部は、前記剛度センサー、および前記表面性センサーを備え、
前記第2搬送路において、前記表面性センサーの上流側に前記剛度センサーが配置される、請求項16に記載の用紙特性検知装置。
【請求項19】
前記第1搬送路、および前記第2搬送路の少なくとも1つに、前記用紙の水分量に対応する用紙特性情報を検出する水分量センサー、および前記用紙の抵抗に対応する用紙特性情報を検出する抵抗センサーが配置され、前記水分量センサーは前記抵抗センサーの上流側に配置される、請求項14に記載の用紙特性検知装置。
【請求項20】
周囲の環境を測定する環境センサーをさらに備え、
前記環境センサーの検出値に応じて、前記用紙特性情報の検出結果を補正する、請求項14に記載の用紙特性検知装置。
【請求項21】
前記第1搬送路は、前記画像形成部に接続する搬送路である、請求項1または請求項2に記載の用紙特性検知装置。
【請求項22】
前記第2の検知部は、前記剛度センサーを備え、
前記剛度センサーは、鉛直方向の上方に向かう前記第2搬送路に配置され、停止した前記用紙の自由端となった後端部を、側面方向から押圧する押圧部と、前記押圧部の前記用紙への押圧力を検出する圧力検出部と、を含む、
請求項16に記載の用紙特性検知装置。
【請求項23】
前記第2の検知部は、前記抵抗センサーを備え、
前記抵抗センサーは、前記用紙の表面と裏面側それぞれに当接する一対のローラーを含み、前記一対のローラーの間に電圧を印加し、流れる電流を測定することで、前記用紙の抵抗を計測する、請求項16に記載の用紙特性検知装置。
【請求項24】
前記第1の検知部は、前記水分量センサーを備え、
前記水分量センサーは、前記用紙の表面に、所定の波長の光をそれぞれ照射する第1、第2の発光部と、それぞれの波長の光に対して、前記用紙の表面から反射した光を受光する受光部とを備える、請求項6に記載の用紙特性検知装置。
【請求項25】
請求項1または請求項2に記載の前記用紙特性検知装置と、前記画像形成部を含む画像形成装置と、を備える画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、前記第1搬送路の下流側に配置される、
画像形成システム。
【請求項26】
さらに、用紙を供給する給紙部、および搬送部を有する給紙装置であって、
前記給紙部から給紙した用紙を、前記第1搬送路に搬送する給紙装置を、備える請求項25に記載の画像形成システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
(1)用紙が搬送される第1搬送路と、
前記第1搬送路から分岐して、画像形成部を経由せずに、パージされる用紙が搬送される第2搬送路と、
前記第1搬送路に配置され、前記用紙のサイズ、紙厚、坪量、および水分量の少なくとも1つに対応する用紙特性情報を検出可能な第1の検知部と、
を備えた用紙特性検知装置。
(2)用紙が搬送される第1搬送路と、
前記第1搬送路から分岐して、画像形成部を経由せずに、パージされる用紙が搬送される第2搬送路と、
前記第1搬送路に配置され、前記用紙を搬送しながら前記用紙の用紙特性に対応する用紙特性情報を検出可能な第1の検知部と、
を備えた用紙特性検知装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
(3)前記第1の検知部は、搬送しながら前記用紙特性情報を検出する、上記(1)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
(4)前記第1の検知部は、連続して搬送される複数枚の用紙それぞれの用紙特性情報を検出する、上記(1)、または上記(2)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
(5)前記第1の検知部は、前記用紙の種類、または用紙の状態の変化の少なくとも1つに対応する用紙特性情報を検出する、上記(1)、または上記(2)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
(6)前記第1の検知部は、サイズ、紙厚、坪量、および水分量に対応する用紙特性情報をそれぞれ検出可能なサイズセンサー、紙厚センサー、坪量センサー、および水分量センサーの少なくとも1つを備える、上記(1)、または上記(2)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
(7)前記第1の検知部は、前記水分量センサーを備える、上記(6)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
(8)前記第1の検知部は、前記坪量センサー、前記紙厚センサー、および前記坪量センサーの少なくとも1つを備える、上記(6)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
(9)前記第1の検知部は、前記紙厚センサー、前記坪量センサー、および前記水分量センサーを備え、
前記第1搬送路において、前記紙厚センサーの下流側に、前記坪量センサーおよび前記水分量センサーが配置される、上記(6)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
(10)前記第1の検知部は、前記水分量センサー、および前記坪量センサーを備え、
前記第1搬送路において、前記水分量センサー、および前記坪量センサーは、搬送方向の同じ位置において、搬送方向に直交する幅方向の異なる位置に配置される、上記(6)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
(11)第1の検知部は、前記サイズセンサーと、サイズと異なる他の用紙特性情報に対応するその他のセンサーを含み、
前記第1搬送路において、前記サイズセンサーは、前記その他のセンサーよりも上流側に配意される、上記(6)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
(12)前記サイズセンサーは、イメージセンサーであり、搬送される前記用紙を読み取ることで得られた読取画像データにより、用紙の搬送方向、および幅方向のサイズを検出可能である、上記(6)に記載の用紙特性検知装置。
(13)前記第1の検知部は、前記第1搬送路と前記第2搬送路の分岐部の上流に配置される、上記(1)または上記(2)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
(14)前記第2搬送路に配置され、前記用紙の剛度、表面性、および抵抗の少なくとも1つに対応する用紙特性情報を検出可能な第2の検知部を、さらに備える、上記(1)、または上記(2)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
(15)前記第2搬送路に配置され、前記第2搬送路を搬送される用紙を停止させて前記用紙特性情報を検知、または、第1搬送路での搬送速度よりも、低速の搬送速度で搬送させながら前記用紙特性情報を検知する第2の検知部を、さらに備える、上記(1)または上記(2)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
(16)前記第2の検知部は、前記用紙の剛度、表面性、および抵抗に対応する用紙特性情報をそれぞれ検出可能な、剛度センサー、表面性センサー、および抵抗センサーの少なくとも1つを備え、
前記第2の検知部のセンサーでは、前記第2搬送路を搬送される用紙を停止させて前記用紙特性情報を検出する、上記(14)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
(17)前記第2の検知部は、前記剛度センサーと前記表面性センサーの少なくとも1つと、前記抵抗センサーを備え、
前記第2搬送路において、前記抵抗センサーの上流側に、前記剛度センサー、および前記表面性センサーの少なくとも1つが配置される、上記(16)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
(18)前記第2の検知部は、前記剛度センサー、および前記表面性センサーを備え、
前記第2搬送路において、前記表面性センサーの上流側に前記剛度センサーが配置される、上記(16)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
(19)前記第1搬送路、および前記第2搬送路の少なくとも1つに、前記用紙の水分量に対応する用紙特性情報を検出する水分量センサー、および前記用紙の抵抗に対応する用紙特性情報を検出する抵抗センサーが配置され、前記水分量センサーは前記抵抗センサーの上流側に配置される、上記(14)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
(20)周囲の環境を測定する環境センサーをさらに備え、
前記環境センサーの検出値に応じて、前記用紙特性情報の検出結果を補正する、上記(14)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
(21)前記第1搬送路は、前記画像形成部に接続する搬送路である、上記(1)または上記(2)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
(22)前記第2の検知部は、前記剛度センサーを備え、
前記剛度センサーは、鉛直方向の上方に向かう前記第2搬送路に配置され、停止した前記用紙の自由端となった後端部を、側面方向から押圧する押圧部と、前記押圧部の前記用紙への押圧力を検出する圧力検出部と、を含む、
上記(16)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
(23)前記第2の検知部は、前記抵抗センサーを備え、
前記抵抗センサーは、前記用紙の表面と裏面側それぞれに当接する一対のローラーを含み、前記一対のローラーの間に電圧を印加し、流れる電流を測定することで、前記用紙の抵抗を計測する、上記(16)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
(24)前記第1の検知部は、前記水分量センサーを備え、
前記水分量センサーは、前記用紙の表面に、所定の波長の光をそれぞれ照射する第1、第2の発光部と、それぞれの波長の光に対して、前記用紙の表面から反射した光を受光する受光部とを備える、上記(6)に記載の用紙特性検知装置。
【手続補正24】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
(25)上記(1)または上記(2)に記載の前記用紙特性検知装置と、前記画像形成部を含む画像形成装置と、を備える画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、前記第1搬送路の下流側に配置される、
画像形成システム。
【手続補正25】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
(26)さらに、用紙を供給する給紙部、および搬送部を有する給紙装置であって、
前記給紙部から給紙した用紙を、前記第1搬送路に搬送する給紙装置を、備える上記(25)に記載の画像形成システム。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が搬送される第1搬送路と、
前記第1搬送路から分岐して、画像形成部を経由せずに、パージされる用紙が搬送される第2搬送路と、を備え、
前記用紙の用紙特性に対応する用紙特性情報を検出する第2の検知部を前記第2搬送路に配置したことを特徴とする、用紙特性検知装置。
【請求項2】
前記第2の検知部は、前記用紙を押圧または用紙に電圧を印加することにより前記用紙特性情報を検出する、請求項1に記載の用紙特性検知装置。
【請求項3】
前記第2の検知部は、前記用紙の剛度および抵抗の少なくとも1つに対応する用紙特性情報を検出する、請求項1に記載の用紙特性検知装置。
【請求項4】
前記第2の検知部は、前記第2搬送路を搬送される用紙を停止させて前記用紙特性情報を検知、または、前記第1搬送路での搬送速度よりも、低速の搬送速度で搬送させながら前記用紙特性情報を検知する、請求項1に記載の用紙特性検知装置。
【請求項5】
前記第2の検知部は、前記用紙の剛度に対応する用紙特性情報を検出可能な剛度センサー、および前記用紙の抵抗に対応する用紙特性情報を検出可能な抵抗センサーの少なくとも1つを備え、
前記第2の検知部のセンサーでは、前記第2搬送路を搬送される用紙を停止させて前記用紙特性情報を検出する、請求項1に記載の用紙特性検知装置。
【請求項6】
前記第2の検知部は、前記剛度センサーと前記抵抗センサーを備え、
前記第2搬送路において、前記抵抗センサーの上流側に、前記剛度センサーが配置される、請求項5に記載の用紙特性検知装置。
【請求項7】
前記第2搬送路において、さらに前記用紙の表面性に対応する用紙特性情報を検出可能な表面性センサーが配置される、請求項5に記載の用紙特性検知装置。
【請求項8】
前記第2搬送路において、前記表面性センサーの上流側に前記剛度センサーが配置される、請求項7に記載の用紙特性検知装置。
【請求項9】
前記第1搬送路に配置され、前記用紙を搬送しながら前記用紙の用紙特性に対応する用紙特性情報を検出可能な第1の検知部、を備えた請求項1に記載の用紙特性検知装置。
【請求項10】
前記第1の検知部は、前記用紙のサイズ、紙厚、坪量、および水分量の少なくとも1つに対応する用紙特性情報を検出可能である、請求項9に記載の用紙特性検知装置。
【請求項11】
前記第1の検知部は、連続して搬送される複数枚の用紙それぞれの用紙特性情報を検出する、請求項9に記載の用紙特性検知装置。
【請求項12】
前記第1の検知部は、前記用紙の種類、または用紙の状態の変化の少なくとも1つに対応する用紙特性情報を検出する、請求項9に記載の用紙特性検知装置。
【請求項13】
前記第1の検知部は、サイズ、紙厚、坪量、および水分量に対応する用紙特性情報をそれぞれ検出可能なサイズセンサー、紙厚センサー、坪量センサー、および水分量センサーの少なくとも1つを備える、請求項9に記載の用紙特性検知装置。
【請求項14】
前記第1の検知部は、前記水分量センサーを備える、請求項13に記載の用紙特性検知装置。
【請求項15】
前記第1の検知部は、前記坪量センサー、前記紙厚センサー、および前記坪量センサーの少なくとも1つを備える、請求項13に記載の用紙特性検知装置。
【請求項16】
前記第1の検知部は、前記紙厚センサー、前記坪量センサー、および前記水分量センサーを備え、
前記第1搬送路において、前記紙厚センサーの下流側に、前記坪量センサーおよび前記水分量センサーが配置される、請求項13に記載の用紙特性検知装置。
【請求項17】
前記第1の検知部は、前記水分量センサー、および前記坪量センサーを備え、
前記第1搬送路において、前記水分量センサー、および前記坪量センサーは、搬送方向の同じ位置において、搬送方向に直交する幅方向の異なる位置に配置される、請求項13に記載の用紙特性検知装置。
【請求項18】
第1の検知部は、前記サイズセンサーと、サイズと異なる他の用紙特性情報に対応するその他のセンサーを含み、
前記第1搬送路において、前記サイズセンサーは、前記その他のセンサーよりも上流側に配置される、請求項13に記載の用紙特性検知装置。
【請求項19】
前記サイズセンサーは、イメージセンサーであり、搬送される前記用紙を読み取ることで得られた読取画像データにより、用紙の搬送方向、および幅方向のサイズを検出可能である、請求項13に記載の用紙特性検知装置。
【請求項20】
前記第1の検知部は、前記第1搬送路と前記第2搬送路の分岐部の上流に配置される、請求項9に記載の用紙特性検知装置。
【請求項21】
前記用紙の水分量に対応する用紙特性情報を検出する水分量センサー、および前記用紙の抵抗に対応する用紙特性情報を検出する抵抗センサーが配置され、前記水分量センサーは前記抵抗センサーの上流側に配置される、請求項1に記載の用紙特性検知装置。
【請求項22】
周囲の環境を測定する環境センサーをさらに備え、
前記環境センサーの検出値に応じて、前記用紙特性情報の検出結果を補正する、請求項1に記載の用紙特性検知装置。
【請求項23】
前記第1搬送路は、前記画像形成部に接続する搬送路である、請求項1に記載の用紙特性検知装置。
【請求項24】
前記第2の検知部は、前記剛度センサーを備え、
前記剛度センサーは、鉛直方向の上方に向かう前記第2搬送路に配置され、停止した前記用紙の自由端となった後端部を、側面方向から押圧する押圧部と、前記押圧部の前記用紙への押圧力を検出する圧力検出部と、を含む、
請求項5に記載の用紙特性検知装置。
【請求項25】
前記第2の検知部は、前記抵抗センサーを備え、
前記抵抗センサーは、前記用紙の表面と裏面側それぞれに当接する一対のローラーを含み、前記一対のローラーの間に電圧を印加し、流れる電流を測定することで、前記用紙の抵抗を計測する、請求項5に記載の用紙特性検知装置。
【請求項26】
前記第1の検知部は、前記水分量センサーを備え、
前記水分量センサーは、前記用紙の表面に、所定の波長の光をそれぞれ照射する第1、第2の発光部と、それぞれの波長の光に対して、前記用紙の表面から反射した光を受光する受光部とを備える、請求項13に記載の用紙特性検知装置。
【請求項27】
請求項1に記載の前記用紙特性検知装置と、前記画像形成部を含む画像形成装置と、を備える画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、前記第1搬送路の下流側に配置される、
画像形成システム。
【請求項28】
さらに、用紙を供給する給紙部、および搬送部を有する給紙装置であって、
前記給紙部から給紙した用紙を、前記第1搬送路に搬送する給紙装置を、備える請求項27に記載の画像形成システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
上述の画像形成装置では、用紙特性を検知した用紙は、画像形成部を通過させた後に排紙されている。しかしながら、例えば、検出部において、用紙特性として電気的な抵抗を測定する際、用紙を帯電させる場合がある。例えば、用紙が絶縁体である紙の場合、湿度で桁数が変わるが表面電気抵抗は1010~1012Ω程度である。この場合、用紙の残留電位が短時間で放電せず、画像形成部での用紙の貼り付きが発生し、また、電子写真プロセスでの重要な電荷の移動が正しく行われない。このため、画像形成部において、画像形成の画像形成動作の信頼性の低下が発生する可能性がある。