(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129268
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20240919BHJP
B65D 5/486 20060101ALI20240919BHJP
B65D 5/44 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
B65D5/54 301K
B65D5/486
B65D5/44 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038358
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】500583265
【氏名又は名称】株式会社協進印刷
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅利 真一
(72)【発明者】
【氏名】野村 由美子
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 茂紀
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BB01
3E060CC02
3E060CC18
3E060CD04
3E060CD12
3E060CE04
3E060CE14
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA17
3E060DA23
3E060EA13
(57)【要約】
【課題】生産性や取り扱い性に優れた包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱は、正面板、第1側面板、背面板、及び第2側面板を有する。正面板は、第1側面板及び第2側面板に繋がる破断線と、破断線よりも第2端面板の側に形成され、両端が第1側面板及び第2側面板に繋がる谷折線とを有する。破断線は、第1側面板において、当該第1側面板の第1領域を切離するように形成された後、谷折線の一端に接続する。また、破断線は、第2側面板において、当該第2側面板の第2領域を切離するように形成された後、谷折線の他端に接続する。開封者が前記破断線を破断させることにより、第1領域、第2領域、正面板の破断線と谷折線で囲まれた第3領域、及び正面板に対向して設けられた面板である背面板(内側)の第4領域により構成される被包装物の収容構造が、上記谷折線を軸として回動可能な状態となる。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒体を構成する、正面板、前記正面板に連設する第1側面板、前記第1側面板に連設し前記正面板に対向する背面板、及び前記背面板に連接し前記第1側面板に対向する第2側面板と、
前記筒体の一方の端面を構成する第1端面板と、
前記筒体の他方の端面を構成する第2端面板と、
を有し、
前記正面板は、
前記第1側面板及び前記第2側面板に繋がる破断線と、
前記破断線よりも前記第2端面板の側に形成され、両端が前記第1側面板及び前記第2側面板に繋がる谷折線と、
を有し、
前記破断線は、前記第1側面板において、当該第1側面板の第1領域を切離するように形成された後、前記谷折線の一端に接続し、一方、前記第2側面板において、当該第2側面板の第2領域を切離するように形成された後、前記谷折線の他端に接続し、
開封者が前記破断線を破断させることにより、前記第1領域、前記第2領域、前記正面板の前記破断線と前記谷折線で囲まれた第3領域、及び前記正面板に対向して設けられた面板である背面板(内側)の第4領域により構成される被包装物の収容構造が、前記谷折線を軸として回動可能な状態となるように構成されている、
包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記第1領域は、当該第1領域の前記第2側面板が存在する側に設けられた面板である第1側面板(内側)が重ねて接着されることにより二層に形成され、
前記第2領域は、当該第2領域の前記第1側面板が存在する側に設けられた面板である第2側面板(内側)が重ねて接着されることにより二層に形成されている、
包装箱。
【請求項3】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記背面板(内側)の面内に、当該背面板(内側)の一部を前記収容構造が前記谷折線を軸として回動した際に前記正面板が存在する側に凸となるように屈曲させる折曲線が形成されている、
包装箱。
【請求項4】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記収容構造の前記第1端面板が存在する側に、前記正面板と前記背面板との間を架橋する面板である補強板を有する、
包装箱。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の包装箱であって、
一枚のブランクを組み立てることにより形成される、
包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装箱の生産性や取り扱い性を向上する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドリンク剤の瓶等の収容に用いられる包装箱にあっては、輸送や運搬時等における外力や衝撃からの保護や収容時における位置ずれ防止等のためにトレーが用いられている。例えば、特許文献1には、廃棄処理の手間の軽減や環境への影響を低減することを目的として構成されたドリンク剤の瓶用トレーが記載されている。また、特許文献2には、ドリンク剤入り瓶の取り出し後における使用説明書の取出しを容易に行えるようにすることを目的として構成されたドリンク剤入り瓶の包装用トレーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7-44502号公報
【特許文献2】特開平7-41047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、瓶等の損傷し易い被包装物の収容に用いられる包装箱には包装箱とは別体のトレーが併用されている。そのため、例えば、製造工程や被包装物の箱詰め工程が複雑になる、開封者が包装箱から被包装物を取り出す際の手間が煩雑になる、解体時や廃棄時の手間(分別廃棄等)が煩雑になる、といった課題がある。
【0005】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたもので、生産性や取り扱い性に優れた包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一つは、包装箱であって、筒体を構成する、正面板、前記正面板に連設する第1側面板、前記第1側面板に連設し前記正面板に対向する背面板、及び前記背面板に連接し前記第1側面板に対向する第2側面板と、前記筒体の一方の端面を構成する第1端面板と、前記筒体の他方の端面を構成する第2端面板と、を有し、前記正面板は、前記第1側面板及び前記第2側面板に繋がる破断線と、前記破断線よりも前記第2端面板の側に形成され、両端が前記第1側面板及び前記第2側面板に繋がる谷折線と、を有し、前記破断線は、前記第1側面板において、当該第1側面板の第1領域を切離するように形成された後、前記谷折線の一端に接続し、一方、前記第2側面板において、当該第2側面板の第2領域を切離するように形成された後、前記谷折線の他端に接続し、開封者が前記破断線を破断させることにより、前記第1領域、前記第2領域、前記正面板の前記破断線と前記谷折線で囲まれた第3領域、及び前記正面板に対向して設けられた面板である背面板(内側)の第4領域により構成される被包装物の収容構造が、前記谷折線を軸として回動可能な状態となるように構成されている。
【0007】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、生産性や取り扱い性に優れた包装箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の包装箱の開封前の状態(封緘状態)を示す斜視図である。
【
図3A】包装箱の開封後の状態(開封状態)を示す斜視図である。
【
図3B】包装箱の開封後の状態(開封状態)を示す一部透過斜視図である。
【
図4A】ブランクを包装箱の表面側から眺めた図である。
【
図4B】ブランクを包装箱の裏面側から眺めた図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態につき図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、同一の又は類似する構成について同一の符号を付して重複した説明を省略することがある。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態として説明する包装箱10の開封前の状態(封緘(封函)状態)を示す斜視図である。また、
図2A~
図2Cは、包装箱10の開封手順を説明する図である。また、
図3Aは、包装箱10の開封後の状態(開封状態)を示す斜視図である。また、
図3Bは、包装箱10の開封後に被包装物を取り出した後の状態(開封状態(内容物取出後))を説明する一部透過斜視図である。
【0012】
以下の説明において、これらの図に示した座標軸の+z方向(もしくは+z側)のことを上方(もしくは上部)と、-z方向(もしくは-z側)のことを下方(もしくは下部)と、+y方向のことを前方と、-y方向のことを後方と、-x方向のことを右方と、+x方向のことを左方と、夫々称することがある。また、以下の説明において、包装箱10に収容される被包装物2としては、飲料や薬剤等の液体が充填された瓶を想定しているが、被包装物2の種類は必ずしも限定されない。
【0013】
以下の図において、山折線については一点鎖線で、谷折線については二点鎖線で、破断線については実線で、切込線については破線で、夫々示している。尚、山折線と谷折線については表裏一体の関係であるので共通の符号を付している。破断線は、例えば、ミシン目や、断続的に形成されたつなぎ部分を有する切込線等であるが、必要とされる破断強度や破断し易さ等、要求される機能が確保されるものであればよく、破断線の種類は必ずしも特定のものに限定されない。また、破断線や切込線を折曲線(山折線、谷折線)として機能させていることもある。
【0014】
図1に示すように、包装箱10は、4つの側面板(第1側面板11、背面板12、第2側面板13、及び正面板14)で構成される筒体を上下2つの端面板(第1端面板(外側)121、第2端面板(外側)122)で塞いだ略直方体状の外観形状を呈する。尚、本実施形態では、3辺の関係がz軸方向の辺の長さがx軸方向の辺の長さ及びy軸方向の辺の長さよりも長い形状の包装箱を例として説明するが、3辺の長さの関係は必ずしも限定されない。また、「正面」、「背面」、「側面」等の名称は、各構成要素を区別するために便宜上付与しているに過ぎない。
【0015】
同図に示すように、包装箱10は、開封者が開封時に正面板14、第1側面板11、及び第2側面板13を、これらの所定部位に形成されている破断線51~53(同図では第1側面板11に形成されている破断線52については不図示)に沿って破断させることにより被包装物2が前方に傾斜しつつ引き出される(開く)構造(以下、「収容構造3」と称する。)を有する。収容構造3には、例えば、被包装物2である瓶が蓋(キャップ)を上にして立設した状態で収容される。
【0016】
図2Aに示すように、包装箱10の開封に際し、まず開封者は、一方の手で包装箱10を支えつつ、包装箱10の正面板14の上部に形成されている破断線53の周囲を指で押し込むことにより破断線53を破断させる。
【0017】
続いて、
図2Bに示すように、開封者は、上記の破断線53に連続して第1側面板11及び第2側面板13の夫々に形成されている破断線51,52の周囲を左右双方から包装箱10の内側に押し込むことにより破断線51,52を破断させる。
【0018】
続いて、
図2Cに示すように、開封者は、収容構造3の上部を手で摘まんで収容構造3を前方に傾斜させるように操作する。すると第1側面板11及び第2側面板13に形成されている破断線51~53の全体が破断し、収容構造3は、下部(正面板14の下部)に設けられている谷折線(以下、「回転軸4」と称する。)を軸として被包装物2とともに前方に傾斜しつつ引き出される。開封者は、この状態で収容構造3に収容されている被包装物2を上方にスライドさせて包装箱10から被包装物2を取り出す。
【0019】
このように、本実施形態の包装箱10によれば、開封者は、収容構造3を引き出すという簡単な操作で被包装物2にアクセスすることができる。また、開封者は、被包装物2の上部を指で摘まんで上方にスライドさせるだけで被包装物2を包装箱10から容易に取り出すことができる。また、包装箱10の側面が開裂して収容構造3が斜めに開くことにより被包装物2にアクセス可能な状態になるという仕組みは斬新であり、顧客を惹き付ける効果が期待できる。また、被包装物2を取り出した後は、再び収容構造3を元の位置に戻すことで包装箱10を体積が嵩張らない状態に簡単に戻すことができる。
【0020】
図3A及び
図3Bに示すように、包装箱10は、その内部に、収容構造3を引き出した際に収容構造3が一定の角度以上、前方に傾斜しないように制止する構造(以下、「制止構造6」と称する。)を有する。また、制止構造6は、包装箱10の開封時(収容構造3を前方に引き出す操作を行う際)に収容構造3を引き出す力を制止する方向に弾性力を生じさせる。
【0021】
図3Bに示すように、包装箱10は、その内部に補強構造7を有する。補強構造7は、包装箱10の形状を維持する作用や、運搬時等に包装箱10に印加される外力や衝撃を緩和して被包装物2を保護する作用を奏する。
【0022】
図4A及び
図4Bに、包装箱10の形成片(以下、「ブランク5」とも称する。)を示す。
図4Aは、ブランク5を包装箱10の表面側から眺めた図であり、
図4Bは、ブランク5を包装箱10の裏面側から眺めた図である。ブランク5は、例えば、厚紙や板紙等の素材からなるブランクシートを打ち抜くことにより形成される。ブランクシートの素材は包装箱10に要求される機能や仕様等に応じて適切なものが選択される。
【0023】
図4A又は
図4Bに示すように、ブランク5は、夫々の長尺辺が互いに平行になるように連接された4つの側面板(第1側面板11、背面板12、第2側面板13、及び正面板14)を有する。
【0024】
これら4つの側面板の夫々の上端には、包装箱10の天面を構成する、端面板(第1端面板(外側)121、第1端面板(内側)141)及び上部フラップ(上部第1フラップ111、上部第2フラップ131)が延設している。また、上記4つの側面板の夫々の下端には、包装箱10の底面を構成する、端面板(第2端面板(外側)122、第2端面板(内側)142)及び下部フラップ(下部第1フラップ112、下部第2フラップ132)が延設している。
【0025】
正面板14の第2側面板13が連接する側とは逆の側には、上記4つの側面板によって構成される筒体の内側を構成する各種の面板(紙片)が延設している。
【0026】
図4A又は
図4Bに示すように、第1側面板11は、第1側面板(外側)11uと第1側面板(外側切離部)11uc(請求項における第1領域)を有する。また、第2側面板13は、第2側面板(外側)13uと第2側面板(外側切離部)13uc(請求項における第2領域)を有する。
【0027】
正面板14は、上方から下方に向けて順に連設する、正面板(外側上部)14a、正面板(切離部)14c(請求項における第3領域)、及び正面板(外側下部)14bを有する。
【0028】
正面板14の第2側面板13が連接する側とは逆の側には、上方から下方に向けて連設する、第1側面板(内側上部)11da、第1側面板(内側切離部)11dc(第1側面板(内側))、及び第1側面板(内側下部)11dbが連設している。
【0029】
第1側面板(内側上部)11daの、正面板14が連接する側とは逆側には、背面板(内側上部)12da、補強板15、及び正面板(内側)14dがこの順に連設している。
【0030】
背面板(内側上部)2daと補強板15の一部には、上方から下方に向けて、背面板(内側弾性部)12ds(請求項における第4領域の一部)と背面板(内側下部)12db(請求項における第4領域の一部)が連設している。
【0031】
第1側面板(内側切離部)11dcの、正面板14が連接する側とは逆側には、背面板(内側下部)12dbが連設している。
【0032】
背面板(内側下部)12dbの、第1側面板(内側切離部)11dcが連設する側と逆側には、第2側面板(内側切離部)13dc(第2側面板(内側))が連設している。
【0033】
図4Aに示すように、ブランク5の表面において、第1側面板11と背面板12との間の境界線41、背面板12と第2側面板13との間の境界線42、第2側面板13と正面板14との間の境界線43は、いずれも山折線(一点鎖線)(
図4Bでは谷折線(二点鎖線))になっている。また、正面板14と、第1側面板(内側上部)11da、第1側面板(内側切離部)11dc、及び第1側面板(内側下部)11db)との間の境界線44は、山折線(一点鎖線)(
図4Bでは谷折線(二点鎖線))になっている。
【0034】
また、上記4つの側面板と、各端面板(第1端面板(外側)121、第1端面板(内側)141、第2端面板(外側)122、第2端面板(内側)142)及び各フラップ(上部第1フラップ111、上部第2フラップ131、下部第1フラップ112、下部第2フラップ132)との間の境界線45,46は、いずれも山折線(一点鎖線)(
図4Bでは谷折線(二点鎖線))になっている。
【0035】
図4A又は
図4Bに示すように、第1側面板(外側)11uと第1側面板(外側切離部)11ucとの間の境界線51、第2側面板(外側)13uと第2側面板(外側切離部)13ucとの間の境界線52、正面板(外側上部)14aと正面板(切離部)14cとの間の境界線53、第1側面板(内側上部)11daと第1側面板(内側切離部)11dcとの間の境界線54、及び第1側面板(内側切離部)11dcと第1側面板(内側下部)11dbとの間の境界線55は、いずれも破断線(実線)になっている。
【0036】
図4Aに示すように、第1側面板(内側上部)11daと背面板(内側上部)12daとの間の境界線47、第1側面板(内側切離部)11dcと背面板(内側下部)12dbとの間の境界線48は、いずれも山折線(一点鎖線)(
図4Bでは谷折線(二点鎖線))になっている。また、背面板(内側上部)12daと補強板15との間の境界線49は、山折線(一点鎖線)(
図4Bでは谷折線(二点鎖線))になっている。
【0037】
図4Aに示すように、正面板(切離部)14cと正面板(外側下部)14bの境界線61(
図2C等に示す回転軸4)は、谷折線(二点鎖線)(
図4Bでは山折線(一点鎖線))になっている。また、背面板(内側上部)12daと背面板(内側弾性部)12dsとの間の境界線62は、山折線(一点鎖線)(
図4Bでは谷折線(二点鎖線))になっている。また、補強板15と背面板(内側弾性部)12dsとの間の境界線63は、破断線になっている。また、背面板(内側弾性部)12dsと背面板(内側下部)12dbとの間の境界線64は、谷折線(二点鎖線)(
図4Bでは山折線(一点鎖線))になっている。
【0038】
図4Aに示すように、背面板(内側下部)12dbと第2側面板(内側切離部)13dcとの間の境界線70は、山折線(一点鎖線)(
図4Bでは谷折線(二点鎖線))になっている。また、補強板15と正面板(内側)14dとの間の境界線71は、谷折線(二点鎖線)(
図4Bでは山折線(一点鎖線))になっている。
【0039】
尚、第1側面板(内側上部)11da、第1側面板(内側切離部)11dc、背面板(内側弾性部)12ds、及び背面板(内側下部)12dbによって囲まれる領域(面板(紙片)が抜かれている又は存在しない領域)の形状は必ずしも限定されないが、例えば、デザイン性や被包装物2の取り出し易さ等を向上させるような形状に設定される。
【0040】
<製凾及び箱詰めプロセス>
以上に説明したブランク5を用いた包装箱10の製凾(組み立て)に際しては、まず、第2側面板(内側切離部)13dcの表面と第2側面板(外側切離部)13ucの裏面とを接着剤Gaで、背面板(内側上部)12daの表面と背面板(外側)12uの裏面とを接着剤Gbで、正面板(内側)14dの裏面と正面板(外側上部)14aの裏面とを接着剤Gcで、夫々接着する。
図5にこれらの接着を行った後の状態を示す。
【0041】
続いて、第1側面板(内側上部)11da及び第1側面板(内側切離部)11dcの表面と第1側面板(外側)11uの裏面とを接着剤Gdで、第1側面板(内側切離部)11dcの表面と第1側面板(外側切離部)11ucの裏面とを接着剤Geで、第1側面板(内側下部)11dbの表面と第1側面板(外側)11uの裏面とを接着剤Gfで、夫々接着することにより筒体を形成する。
【0042】
続いて、上部第1フラップ111及び上部第2フラップ131を夫々、包装箱10の内側に折り曲げる。続いて、第1端面板(外側)121を包装箱10の内側に折り曲げ、第1端面板(外側)121の裏面を第1端面板(内側)141の表面に接着剤Ggで接着する。尚、被包装物2は、例えば、この段階で包装箱10の下方から(底面側から)説明書等とともに収容構造3に収容する。
【0043】
続いて、下部第1フラップ112及び下部第2フラップ132を夫々、包装箱10の内側に折り曲げる。続いて、第2端面板(外側)122を包装箱10の内側に折り曲げ、第2端面板(外側)122の裏面を第2端面板(内側)142の表面に接着剤Ghで接着する。
【0044】
<収容構造>
収容構造3は、正面板(切離部)14c、第1側面板(内側切離部)11dc、第2側面板(外側切離部)13uc、第1側面板(外側切離部)11uc、及び第2側面板(内側切離部)13dcを構成要素とする。また、正面板(切離部)14cと正面板(外側下部)14bとの境界線61は、前述した回転軸4に相当する。
【0045】
ここで包装箱10が製凾された状態では、第1側面板(外側切離部)11ucの裏面は、第1側面板(内側切離部)11dcの表面と接着剤Geにより接着されている。また、第2側面板(外側切離部)13ucの裏面は、第2側面板(内側切離部)13dcの表面と接着剤Gaにより接着されている。このため、開封時に開封者が収容構造3を引き出して破断線51及び破断線52が破断すると、第1側面板(外側切離部)11ucと第2側面板(外側切離部)13ucは、夫々、第1側面板(外側)11u及び第2側面板(外側)13uから切り離され、これらは第1側面板(内側切離部)11dc及び第2側面板(内側切離部)13dcとともに回転軸4周りに傾斜して包装箱10の前方に引き出される。
【0046】
尚、収容構造3のうち±x方向の左右両側面は、第1側面板(外側切離部)11ucと第1側面板(内側切離部)11dc、及び、第2側面板(外側切離部)13ucと第2側面板(内側切離部)13dcによって二層構造になっている。また、収容構造3の背面側(-y側)は、背面板12と、背面板(内側上部)12da、背面板(内側弾性部)12ds、及び背面板(内側下部)12dbとによって二層構造になっている。さらに、例えば、収容構造3の正面側(+y側)に被包装物2の説明書(例えば、被包装物2がドリンク剤や薬剤である場合は効能、効果、用法、用量、使用上の注意等を説明した説明書等)を収容するようにすることで、収容構造3の正面側についても緩衝効果を高めることができる。このため、収容構造3によって被包装物2を安全に保護することができる。また、収容構造3によって外力や衝撃から安全に被包装物2を保護することができるため、従来のようにトレーを用いる必要がなく、製造工程や製凾工程、箱詰め工程を簡素化することができ、製造コストも抑えられる。また、トレーのような別体の構成要素を用いないことで解体時や廃棄時の手間も軽減される。
【0047】
<制止構造>
制止構造6は、背面板(内側弾性部)12ds及び背面板(内側下部)12dbを構成要素とする。このうち、背面板(内側下部)12dbは、開封時に収容構造3が引き出された際、背面板(内側弾性部)12dsを下方から支えるように作用する。また、収容構造3が引き出された状態では、背面板(内側弾性部)12dsと背面板(内側下部)12dbとの間の境界線64は、ブランク5の表面からみて山折の状態に、即ち、背面板(内側弾性部)12dsと背面板(内側下部)12dbとで構成される面板(背面板(内側))が、正面板14が存在する側に凸となるように境界線64で屈曲する。また、境界線64は、開封時に収容構造3が引き出される際、回転軸4(境界線61)の周りに回転し、それにより背面板(内側弾性部)12dsは斜め前方に持ち上げられ、その結果、背面板(内側弾性部)12dsは正面側(正面板14の側)に若干弓なりの状態となり収容構造3を引き出す方向に弾性力を生じさせる。この弾性力は、開封者による収容構造3の引き出し操作を補助するように作用し、開封者にスムーズな操作感覚を与える。一方、収容構造3が前方に十分に引き出された状態では、背面板(内側弾性部)12dsは、収容構造3を背面板12の方向(収容構造3を閉じる方向)に弾性力を生じさせ、この弾性力は、開封者が収容構造3を引き出そうとする際に収容構造3が勢いよく前方に飛び出してしまうのを制止するように作用する。尚、背面板(内側上部)12daの表面は、背面板(外側)12uの裏面に接着剤Gbで接着されており、収容構造3を完全に引き出した状態では、背面板(内側弾性部)12dsが伸びきって収容構造3はそれ以上前方に傾斜することができなくなる。そのため、開封時に収容構造3が開き過ぎて被包装物2が脱落してしまうのを防ぐことができる。
【0048】
<補強構造>
補強構造7は、補強板15、背面板(内側上部)12da、及び正面板(内側)14dを構成要素とする。背面板(内側上部)12daの表面は、背面板(外側)12uの裏面の上部において接着剤Gbにより接着されている。また、正面板(内側)14dの裏面は、正面板(外側上部)14aの裏面の上部において接着剤Gcにより接着されている。これらにより、製凾後の包装箱10の上部の内部空間において、補強板15は、正面板14と背面板12との間を架橋するように位置決めされる。このため、例えば、包装箱10に外力や衝撃が印加された場合に被包装物2を有効に保護することができる。尚、包装箱10の上下方向の長さに比べて被包装物2の長さが短い場合は、補強構造7の上下方向の長さを調節することで包装箱10の上下方向の寸法を変更することなく、被包装物2を包装箱10の内部に確実に固定することができる。
【0049】
==総括==
以上に説明したように、本実施形態の包装箱10は、収容構造3や制止構造6により被包装物2の取り出しを容易かつ安全に行うことができる。また、収容構造3や補強構造7により被包装物2を確実に保護することができる。また、本実施形態の包装箱10は、複雑な構造でありながら一枚のブランク5から全ての構造を形成することができ、トレー等の保護構造を別体として設ける必要もなく、簡素な工程にて効率よく低コストで製造することができる。また、トレー等の構造を別途設ける必要がないことで、解体や廃棄時の手間(分別等)も少なくて済む。このように、本実施形態の包装箱10は、生産性や取り扱い性に優れる。
【0050】
尚、以上の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
【0051】
例えば、包装箱10の所定箇所(例えば、折曲線(山折線、谷折線))に、包装箱10の解体を容易にするための構造(破断線、切込線等)を設けてもよい。また、接着剤による接着強度を高めるために、例えば、接着面に切込線やハーフカット線等を形成してもよい。
【符号の説明】
【0052】
3 収容構造、6 制止構造、7 補強構造、5 ブランク、10 包装箱、11 第1側面板、11u 第1側面板(外側)、11uc 第1側面板(外側切離部)、11da 第1側面板(内側上部)、11db 第1側面板(内側下部)、11dc 第1側面板(内側切離部)、12 背面板、12u 背面板(外側)、12da 背面板(内側上部)、12db 背面板(内側下部)、12ds 背面板(内側弾性部)、13 第2側面板、13u 第2側面板(外側)、13uc 第2側面板(外側切離部)、14 正面板、14a 正面板(外側上部)、14b 正面板(外側下部)、14c 正面板(切離部)、14d 正面板(内側)、15 補強板、111 上部第1フラップ、112 下部第1フラップ、131 上部第2フラップ、132 下部第2フラップ、121 第1端面板(外側)、122 第2端面板(外側)、141 第1端面板(内側)、142 第2端面板(内側)、41~49 折曲線(山折線又は谷折線)、61~64 折曲線(山折線又は谷折線)、Ga~Gh 接着剤