(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129272
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】入力デバイス及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20240919BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20240919BHJP
G10K 15/04 20060101ALI20240919BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
G06F3/03 400Z
G06F3/16 540
G10K15/04 302G
H04R1/00 310G
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038365
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉冨 圭一
(72)【発明者】
【氏名】山▲ざき▼ 充弘
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017AA11
(57)【要約】
【課題】使用感を向上することができる入力デバイス及び情報処理システムを提供する。
【解決手段】入力デバイスは、ペン型の入力デバイスであって、先端部を有し、棒状に形成された筐体と、前記筐体の前記先端部から突出するペン先部と、前記筐体の内部に設けられた音源部と、前記先端部に開口を有し、前記筐体の軸方向に沿って延在することで、前記音源部が発生する音を前記開口から前記筐体の外部に出力可能な空洞部と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペン型の入力デバイスであって、
先端部を有し、棒状に形成された筐体と、
前記筐体の前記先端部から突出するペン先部と、
前記筐体の内部に設けられた音源部と、
前記先端部に開口を有し、前記筐体の軸方向に沿って延在することで、前記音源部が発生する音を前記開口から前記筐体の外部に出力可能な空洞部と、
を備える
ことを特徴とする入力デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の入力デバイスであって、
前記空洞部は、前記音源部に面している
ことを特徴とする入力デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の入力デバイスであって、
前記開口は、前記ペン先部の周囲に設けられている
ことを特徴とする入力デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の入力デバイスであって、
前記音源部は、振動を発生するアクチュエータ、又はスピーカーである
ことを特徴とする入力デバイス。
【請求項5】
情報処理装置と、ペン型の入力デバイスとを備える情報処理システムであって、
前記入力デバイスは、
先端部を有し、棒状に形成された筐体と、
前記筐体の前記先端部から突出するペン先部と、
前記筐体の内部に設けられた音源部と、
前記先端部に開口を有し、前記筐体の軸方向に沿って延在することで、前記音源部が発生する音を前記開口から前記筐体の外部に出力可能な空洞部と、
を備え、
前記情報処理装置は、前記入力デバイスの前記ペン先部でタッチ操作可能なタッチスクリーンを備え、
前記開口は、前記ペン先部で前記タッチスクリーンをタッチ操作する際、前記タッチスクリーンの表面に対向する
ことを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペン型の入力デバイス、及び該入力デバイスと情報処理装置とを備える情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PC、タブレット型PC及びスマートフォン等の情報処理装置は、タッチスクリーンに対する入力操作にペン型の入力デバイスが用いられることがある。例えば特許文献1には、タッチパネルに対する入力に使用するタッチペンにおいて、棒状の筐体の内部に振動発生装置を設けた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような振動発生装置を備えた入力デバイスは、ハプティックペン(haptic pen)とも呼ばれ、触覚フィードバック機能を有する。触覚フィードバックは、文字等を表示するタッチスクリーンへの接触に応じて振動を発生させ、使用感を向上させるためのものである。
【0005】
ところで、鉛筆やボールペンのような一般的な筆記具は、振動以外にも、筆記時に発生する音(筆記音)も使用感の向上に寄与している。しかしながら従来の入力デバイスは、このような筆記音については考慮されていない。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、使用感を向上することができる入力デバイス及び情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る入力デバイスは、ペン型の入力デバイスであって、先端部を有し、棒状に形成された筐体と、前記筐体の前記先端部から突出するペン先部と、前記筐体の内部に設けられた音源部と、前記先端部に開口を有し、前記筐体の軸方向に沿って延在することで、前記音源部が発生する音を前記開口から前記筐体の外部に出力可能な空洞部と、を備える。
【0008】
本発明の第2態様に係る情報処理システムは、情報処理装置と、ペン型の入力デバイスとを備える情報処理システムであって、前記入力デバイスは、先端部を有し、棒状に形成された筐体と、前記筐体の前記先端部から突出するペン先部と、前記筐体の内部に設けられた音源部と、前記先端部に開口を有し、前記筐体の軸方向に沿って延在することで、前記音源部が発生する音を前記開口から前記筐体の外部に出力可能な空洞部と、を備え、前記情報処理装置は、前記入力デバイスの前記ペン先部でタッチ操作可能なタッチスクリーンを備え、前記開口は、前記ペン先部で前記タッチスクリーンをタッチ操作する際、前記タッチスクリーンの表面に対向する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、使用感を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る入力デバイスを備える情報処理システムの構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、入力デバイスの内部構造を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、入力デバイスの先端部及びその周辺部の正面図である。
【
図4】
図4は、形状の異なる空洞部を備える入力デバイスの先端部及びその周辺部の正面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る情報処理システムの機能構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、入力デバイスを用いて情報処理装置に対する入力動作を行っている状態を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、変形例に係る入力デバイスの内部構造を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る入力デバイス及び情報処理システムついての好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、一実施形態に係る入力デバイス10を備える情報処理システム12の構成例を模式的に示す斜視図である。入力デバイス10は、情報処理装置14の入力操作に使用するペン型の入力デバイスである。入力デバイス10は、デジタルペン、スタイラス、電子ペン、又はスマートペン等とも呼ばれる。本実施形態では、情報処理装置14としてタブレット端末を例示する。入力デバイス10の使用対象となる情報処理装置は、タブレット端末以外、例えばノート型PCやスマートフォン等でもよい。
【0013】
情報処理装置14は、薄く扁平な平板形状を有する装置筐体16と、装置筐体16の一面を覆うタッチスクリーン18とを備える。装置筐体16の内部には、CPU等の処理装置を実装したマザーボード及びバッテリ装置等の各種の電子部品が搭載されている。
【0014】
タッチスクリーン18は、表示部18aと、タッチセンサ18bとを備える。表示部18aは、液晶や有機EL等で形成され、各種情報を表示可能である。タッチセンサ18bは、表示部18aの表面に重ねて配置される。タッチセンサ18bは、タッチスクリーン18の表面18cに対する入力デバイス10の入力動作を検出可能なタッチパネルである。情報処理装置14は、入力動作の有無を監視し、入力動作を検出した位置を特定し、入力動作に基づくデータ入力又は編集を実行することができる。情報処理装置14は、例えばタッチセンサ18bに入力デバイス10が接触した接触位置の軌跡を表示部18aに表示させる。
【0015】
図2は、入力デバイス10の内部構造を模式的に示す断面図である。
【0016】
入力デバイス10は、使用者が把持し、タッチスクリーン18の表面18cに接触しながら移動させることで、文字、記号及び図形等のデータ入力や編集に用いることができる。
図2に示すように、入力デバイス10は、筐体20と、ペン先部22と、音源部24と、空洞部26と、回路基板28と、無線通信部30とを備える。入力デバイス10の筐体20内には、さらにバッテリ装置等も搭載される。
【0017】
筐体20は、樹脂、木材又は金属等で形成された棒状の筒体である。筐体20は、真円若しくは楕円の円筒状、又は角筒状等の各種断面形状を採用できる。筐体20は、鉛筆やボールペン等の筆記具と同様、人手で把持するのに適した長さ及び太さを有する。
【0018】
ペン先部22は、タッチスクリーン18に対する入力部である。ペン先部22は、筐体20の先端部20aから突出するように設けられる。先端部20aは、例えば先細りのテーパ形状を有する円錐台形状である。先端部20aの形状はテーパ形状に限られない。ペン先部22は、先端部20aの中心から筐体20の軸方向Aに沿って突出している。軸方向Aは、筐体20の長手方向と言い換えてもよい。ペン先部22は、細い棒状の基端部22aが筐体20内でホルダ32に支持され、円錐状のペン先22bが筐体20外に露出している。ホルダ32は、筐体20の内部における先端付近で支持され、ペン先部22を着脱可能に又は着脱不能に支持する部品である。
【0019】
音源部24は、筐体20の先端付近の内周面で支持されている。音源部24は、情報処理装置14から回路基板28を経た駆動信号に従って所定の音を発生する。音源部24は、軸方向Aで先端側を向いた側面24aが空洞部26に面して配置されることが好ましい。音源部24は、振動を発生するアクチュエータで構成されてもよいし、スピーカーで構成されてもよい。音源部24はアクチュエータで構成する場合、例えばリニア共振アクチュエータ(LRA:Linear Resonant Actuator)を軸方向Aに沿って振動し、側面24aから空洞部26へと音信号を発信するように構成してもよい。音源部24はスピーカーで構成する場合、側面24aにコーンを配置し、側面24aから空洞部26へと音信号を発信するように構成してもよい。
【0020】
空洞部26は、音源部24に面する第1経路26aと、筐体20の軸方向Aに沿って延在する第2経路26bと、先端部20aに設けられた開口26cとを有する。
【0021】
第1経路26aは、例えば筐体20の断面方向(軸方向Aと直交する方向)に径方向を有する円盤状の空洞である。第1経路26aは音源部24の側面24aに面している。換言すれば側面24aが第1経路26aを画成する壁面の一部を形成している。
【0022】
第2経路26bは、基端側が第1経路26aに連通し、先端側が開口26cを介して筐体20の外部に連通している。第2経路26bは、例えばペン先部22の基端部22a及びホルダ32の周囲を囲むドーナツ状の空間である(
図3も参照)。第2経路26bは、基端部22a及びホルダ32の全周を囲んでなくてもよい。例えば
図4に示すように、第2経路26bは、ペン先部22の基端部22aの周囲の一部を囲むように分割された1又は複数の円弧状の空間等であってもよい。第2経路26bは、第1経路26aと開口26cとの間を連通させる経路であれば、その形状や配置は限定されない。開口26cは、筐体20の先端部20aに形成され、第2経路26bの出口となる穴である。
【0023】
従って、入力デバイス10は、音源部24の音声出力面となる側面24aと筐体20の外部との間を空洞部26が連通させている。このため入力デバイス10は、音源部24が発生する音Sを空洞部26を通して先端部20aから効率よく出力することができる(
図2中に1点鎖線で示す矢印Sを参照)。
【0024】
図3中に2点鎖線で示すように、第2経路26bがホルダ32の周囲360度を囲むドーナツ状の空間である場合、1又は2以上のブリッジ部34を設けてホルダ32と筐体20の内周面とを連結してもよい。このブリッジ部34により、ホルダ32及びペン先部22の支持強度が向上する。
【0025】
回路基板28は、筐体20内で支持されている。回路基板28は、入力デバイス10の制御基板であり、例えばMCU(Micro Controller Unit)38を実装している。MCU38は、入力デバイス10の機能を統括的に制御する処理装置である。MCU38は、プロセッサと、ROMやRAM等のメモリと、各種の入出力インタフェースを備える。MCU38は、情報処理装置14とは独立に稼働する。
【0026】
無線通信部30は、情報処理装置14の無線通信部46(
図5参照)と無線データを送受信するための無線通信モジュールである。
【0027】
次に、情報処理システム12の機能構成の一例について説明する。
【0028】
図5は、一実施形態に係る情報処理システム12の機能構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、情報処理システム12は、情報処理装置14と、入力デバイス10とを備える。
【0029】
情報処理装置14は、タッチスクリーン18と、制御部40と、タッチ・ペンモジュール42と、描画アプリ44と、無線通信部46とを備える。タッチスクリーン18は、上記したように表示部18a及びタッチセンサ18bを有する。
【0030】
制御部40は、情報処理装置14の機能を統括的に制御する。制御部40は、例えばCPU等の処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア及びハードウェアを併用して実現してもよい。本実施形態の制御部40は、OS(Operating System)等のソフトウェアとCPU等の処理装置とを含む。
【0031】
タッチ・ペンモジュール42は、制御部40と連係し、タッチスクリーン18及び入力デバイス10を制御する。タッチ・ペンモジュール42は、例えばCPU等を実装したマザーボードに接続されたサブカードとして構成されてもよい。描画アプリ44は、タッチ・ペンモジュール42を介してタッチスクリーン18や入力デバイス10を制御するアプリケーションソフトウェアである。無線通信部46は、入力デバイス10の無線通信部30と無線データを送受信するための無線通信モジュールである。
【0032】
入力デバイス10は、MCU38と、無線通信部30と、音源部24とを備える。
【0033】
MCU38は、情報処理装置14から無線通信部30を用いて音制御情報が入力される。音制御情報は、例えばタッチ・ペンモジュール42が制御部40とも連係し、入力デバイス10のタッチスクリーン18に対する入力動作時の音源部24が発生する音(筆記音)の大きさや周波数等を制御するための情報である。MCU38は、これら制御情報を用いて駆動信号を合成する。MCU38は、合成した駆動信号を音源部24に出力する。音源部24は、上記したように振動を発生するアクチュエータ又はスピーカーである。音源部24がアクチュエータである場合、MCU38は音制御情報と共に振動制御に関する駆動信号も出力する。
【0034】
次に、入力デバイス10による入力動作及びその作用効果について説明する。
【0035】
図6は、入力デバイス10を用いて情報処理装置14に対する入力動作を行っている状態を模式的に示す図である。
図6に示すように、入力デバイス10の入力動作(タッチ操作)は、ペン先22bをタッチスクリーン18の表面18cに接触させて移動させる。そうすると、入力デバイス10は、タッチ・ペンモジュール42から描画アプリ44及び制御部40を経た制御情報を受信する。入力デバイス10は、この制御信号に基づきMCU48の制御下に音源部24に所定の駆動信号を入力し、所定の音を発生させる。
【0036】
ここで、本実施形態の入力デバイス10は、棒状の筐体20の先端部20aに開口26cを有し、軸方向Aに沿って筐体20内を延在すると共に音源部24に面して設けられた空洞部26を備える。すなわち空洞部26は、筐体20の先端部20aに開口26cを有する。このため、開口26cは、ペン先22bをタッチスクリーン18にタッチさせた際、表面18cに対向する位置に配置される(
図6参照)。また空洞部26は開口26cから連続する第2経路26bが軸方向Aに沿って延在し、第1経路26aを経て音源部24まで連通している。
【0037】
このため、音源部24が発した音Sは、空洞部26を効率よく通過して開口26cから筐体20の外部に出力される。開口26cを出た音Sは、対向位置にあるタッチスクリーン18の表面18cで反射されて周囲に拡散し、使用者が聴覚で十分に認識可能な音量となる。つまり入力デバイス10は、筐体20の内部で音源部24で発生させた音を音波として出力し、タッチスクリーン18の表面18cに衝突させる。その結果、使用者は、音Sを入力デバイス10による筆記音として聞きながらタッチ操作を行うことができ、鉛筆やボールペン等の筆記具と類似した高い使用感が得られる。また、入力デバイス10は、音源部24の出力は最小限としつつ、空洞部26によって音の通り道の表面積が増大し、大きな音量を発生させることができるという利点もある。さらに入力デバイス10は、空洞部26の形状設計により、音Sの共振周波数を所望の周波数に設定することもできる。
【0038】
しかも当該入力デバイス10は、空洞部26の開口26cがペン先部22(ペン先22b)の周囲に設けられている。これにより入力デバイス10は、タッチスクリーン18に対する接触部の周囲から音Sが出力され、一層違和感のない筆記音を出力することができる。
【0039】
すなわち入力デバイス10の筆記音は、例えば情報処理装置14のスピーカーから発生させる構成も考え得る。ところが、この場合は、スピーカーによって十分な音量は出せるが、音の発生位置及び振動との同期を得ることは難しく、使用者に違和感を与えることになる。この点、本実施形態の入力デバイス10は、音Sがペン先22b付近から発生するため音の発生位置は筆記位置と同期するため、違和感のない高い使用感が得られるという利点がある。
【0040】
当該入力デバイス10は、音源部24を振動を発生するアクチュエータで構成した場合、スピーカーで構成した場合に比べ、筐体20が大きな振動を生じる。これにより入力デバイス10は、ペン先22b付近から発せられる音Sに加えて、さらに音源部24からら直接的に指先に伝達される振動による使用感の向上も得られるという利点もある。なお、音源部24としてアクチュエータを用いた場合、発生する振動の共振周波数を人間が感じることができない周波数(例えば500Hz以上)とし、音Sのみで使用感を与える制御を実行可能としてもよい。このような制御は、例えば情報処理装置14の制御部40の制御下に回路基板28に搭載した500Hz未満の周波数をカットするローパスフィルタを必要に応じて切り替えて使用することで実現してもよい。そうすると、入力デバイス10は、音源部24としてアクチュエータを用いつつ、振動が苦手な使用者に対しては筆記音のみを与えるといった使用が可能となり、汎用性が向上する。
【0041】
なお、従来の一般的なハプティックペンは、振動を使用者に与えて触覚による使用感の向上を目的としたものであり、振動により発生した音を出力するための空洞部26のような構造は有していない。このため、振動によって発生する音量は小さく、使用者が筆記音として認識できる音量は出力できなかった。また、従来のハプティックペンでは、仮に大きな振動によって筐体内部から大きな音が出たとしても、ペンのタッチ角度によって音量が変動して音ムラを生じ、この問題は特に指向性の高い高音で顕著となる。この点、本実施形態の入力デバイス10は、筐体20の先端部20aに設けた開口26cから出た音Sを表面18cに衝突させることで、タッチ角度による音ムラ等の問題も生じ難い。
【0042】
図7は、変形例に係る入力デバイス10Aの内部構造を模式的に示す断面図である。
図7において、
図1~
図6に示される参照符号と同一の参照符号は、同一又は同様な構成を示し、このため同一又は同様な機能及び効果を奏するものとして詳細な説明を省略する。
【0043】
図7に示す入力デバイス10Aは、
図2に示す入力デバイス10の空洞部26とは構成の異なる空洞部50を備える。この空洞部50は、ペン先部22の基端部22aを筐体20内に挿入するために設けられる挿入穴と基端部22aとの間に形成される隙間を拡幅し、これを空洞部50として利用したものである。空洞部50の開口50aは、ペン先部22のペン先22bと挿入穴52との間に形成される隙間又はこの隙間を僅かに拡幅したものである。このような空洞部50も軸方向Aに沿って延在し、穴の奥が音源部24に面している。なお、この場合の音源部24は、空洞部50に面する外周面24bが音声出力面となるように配置するとよい。当該入力デバイス10Aにおいても上記した入力デバイス10と同様な違和感のない音Sを出力できるため、使用感を向上させることができる。
【0044】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0045】
10,10A 入力デバイス
12 情報処理システム
14 情報処理装置
18 タッチスクリーン
20 筐体
20a 先端部
22 ペン先部
22b ペン先
24 音源部
26,50 空洞部
26c,50a 開口