(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129277
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】茹で落花生及び茹で落花生の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 25/00 20160101AFI20240919BHJP
【FI】
A23L25/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038378
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】391057889
【氏名又は名称】株式会社アグリス
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 裕之
【テーマコード(参考)】
4B036
【Fターム(参考)】
4B036LC01
4B036LH04
4B036LH28
4B036LP01
4B036LP19
4B036LP21
4B036LP24
(57)【要約】
【課題】殻を割りやすくした茹で落花生、および、殻付き落花生を塩茹でする製造方法であって、食感だけでなく塩味が程よい茹で落花生の製造方法を提供する。
【解決手段】茹で落花生は、殻の突起部から合わせ目に沿い切れ込みを入れ、片手で持ち、前記切れ込みを親指で押すことにより前記合わせ目で割れて殻が二つ割れになるようにすることが好ましく、この茹で落花生は、例えば、殻付き落花生の殻に切れ込みを入れて塩茹でした後、塩茹でした落花生を包装に封入して真空包装し、真空包装した状態で80℃以上のお湯に1分以上10分以下浸漬させるなどの湯煎をして製造することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
殻付き落花生を塩茹でした茹で落花生であって、
当該殻の突起部付近から合わせ目に沿い切れ込みを入れ、前記落花生を片手で持ち、前記切れ込みを親指で押すことにより前記合わせ目で割れて前記殻が二つ割れになる茹で落花生。
【請求項2】
前記切れ込みは、前記殻の全長に対して3~20%の長さとする請求項1に記載の茹で落花生。
【請求項3】
殻付き落花生の殻に切れ込みを入れて塩茹でした後、塩茹でした落花生を包装に封入して真空包装し、真空包装した状態で湯煎をする、茹で落花生の製造方法。
【請求項4】
前記切れ込みは殻に1ヶ所設ける請求項3に記載の茹で落花生の製造方法。
【請求項5】
前記切れ込みは、前記殻の全長に対して3~20%の長さとする請求項4に記載の茹で落花生の製造方法。
【請求項6】
前記塩茹でした殻付き落花生を、乾燥させた後に前記包装に封入する請求項3に記載の茹で落花生の製造方法。
【請求項7】
前記湯煎は、前記真空包装を80℃以上のお湯に1分以上10分以下浸漬させる請求項3に記載の茹で落花生の製造方法。
【請求項8】
前記真空包装は、真空度80%以上に脱気する請求項7に記載の茹で落花生の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殻付き落花生を塩水で茹でた茹で落花生及び茹で落花生の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
落花生は、ピーナッツとも呼ばれ、オレイン酸、リノール酸などの植物性脂肪を豊富に含み、悪玉コレステロールを減少させ血圧を下げる働きがあるといわれる。また、ビタミンEを多く含み、体内で脂肪が酸化するのを防ぎ、血液の循環を良くし、美肌効果があるといわれる。さらには、レシチン、Pセリンを含み、脳の活動を活発にして記憶力の向上や老化防止に効果があるともいわれている。
【0003】
このような落花生は、例えば、殻(鞘)を割って種子を取り出した後、種子を煎って塩やバターで味付けしたり、ピーナッツバターにしたりして食されている。また、殻付きのまま塩茹でしたものを、殻を割って中の種子を食すこともある。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、『殻付きピーナツを水洗い洗浄し、大きさや損傷しているものなどの規格外れ品を除去する選別を行って水に十数時間浸漬し、再度洗浄を行った後、殻の一部に切れ目を入れて塩水で茹で、更にローストすることにより表面を乾燥させることを特徴とする殻付き茹でピーナツの製造方法』により、味の良い殻付き茹でピーナツになることが開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2には、『生の殻付ピーナツの殻に機械を使って穴を明け、または割れ目を付したものを、適当に調合された調味液に浸漬し、または調味液を注入した後、水切りして煎るまたは高周波等の加熱処理を施すことを特徴とする、殻付ピーナツの味付方法』により、安価で美味な殻付ピーナッツが得られることが開示されている。
【0006】
さらに、下記特許文献3には、『洗浄されたさやもみずみずしく黒ずんだところもない完熟度8分~9分の未完熟のさや付き落花生を圧力容器内でボイルする工程と、ボイルしたさや付き落花生を急速冷凍する工程とを備えた茹でピーナッツの製造法において、前記圧力容器でのボイルが、1.5気圧(1519.5hPa)を越える超高圧環境下でのボイルの後に、1.5気圧(1519.5hPa)を下回る高圧環境下での2段階のボイルを行い、2段階のボイルの時間の合計が10分を超えないことを特徴とする茹でピーナッツの製造法』により、甘味のある美味しい落花生本来の風味の茹でピーナッツを得ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005-341858号公報
【特許文献2】特公昭61-26341号公報
【特許文献3】特許第4695892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
殻付き落花生は食する場合、殻を割ってから種子を取り出さなければならず、食するのに手間がかかるものであった。割る際に、うまく割らないと細かい殻の屑が飛び散り、周囲を汚してしまうことがあった。
【0009】
また、落花生を殻付きのまま塩茹でする場合、上記特許文献1及び2に示されるとおり、殻に孔を開けてから塩茹ですると種子に塩味が付与され、美味しく感じられる。
しかし、殻に大きな孔を開けて茹でると、内部まで多量の塩水が浸入して種子が柔らかくなり過ぎ、歯ごたえがなく食感が悪くなることもあった。
他方、孔が小さ過ぎると、殻の内部まで塩水が浸入せず、種子まで塩水が届きにくくなるため、種子に塩味が付与されず、食味が悪くなることがあった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、殻が割りやすく、さらには、割った際の殻の屑が出にくくした茹で落花生および、殻付き落花生を塩茹でする製造方法であって、食感だけでなく塩味が程よい茹で落花生の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の茹で落花生の一形態は、殻付き落花生を塩茹でした茹で落花生であって、当該殻の突起部付近から合わせ目に沿い切れ込みを入れ、前記落花生を片手で持ち、前記切れ込みを親指で押すことにより前記合わせ目で割れて前記殻が二つ割れになることを特徴とする。
【0012】
このように突起部付近に切れ込みを設けてあることにより、片手で落花生を持ち、切れ込みを親指などで押すと殻が合わせ目から簡単に割れ、殻がきれいに二つ割り状態になり、容易に食することができる。
【0013】
上記形態の茹で落花生は、前記切れ込みを前記殻の全長に対して3~20%の長さにすることができる。このような切れ込みの長さにすることにより、適度な力で殻を割ることができる。
【0014】
また、本発明の茹で落花生の製造方法の一形態は、殻付き落花生の殻に切れ込みを入れて塩茹でした後、塩茹でした落花生を包装に封入して真空包装し、真空包装した状態で湯煎をすることを特徴とする。
【0015】
このように、殻付き落花生の殻に切れ込みを入れて塩茹でし、さらに、塩茹でした落花生を真空包装した状態で湯煎をすることにより、殻の内部まで塩水が入り、種子が均一な塩味になって食味が良好になり、食感もよくなる。
【0016】
上記形態の茹で落花生の製造方法において、前記切れ込みを殻に1ヶ所設けるのが好ましい。切れ込みを2か所以上設けると、茹でた際に種子が柔らかくなり歯ごたえがなくなる。
また、前記切れ込みを、前記殻の全長に対して3~20%の長さとするのが好ましい。切れ込みが上記範囲より長いと、茹でた際に種子が柔らかくなり歯ごたえがなくなる。上記範囲より短いと、種子を食した際の塩味が感じられなくなる。
【0017】
上記形態の茹で落花生の製造方法において、前記塩茹でした殻付き落花生を、乾燥させた後に前記包装に封入するのが好ましい。また、前記湯煎を、前記真空包装後、80℃以上のお湯に1分以上10分以下浸漬させるのが好ましい。さらに、前記真空包装を、真空度80%以上に脱気するのが好ましい。これにより、包装に封入する前に乾燥させ、真空包装の真空度を上記範囲にして湯煎することにより、種子に適度な歯ごたえ及び種子全体への塩味が感じられるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態の茹で落花生を示した斜視図である。
【
図2】
図1の茹で落花生の殻に設けた切れ込みを説明するための図である。
【
図3】
図1の茹で落花生の殻を割る方法の一例を示した図である。
【
図4】
図1の茹で落花生の殻を割った状態の一例を示した図である。
【
図5】本発明の一実施形態の茹で落花生の製造方法を、フローチャートで示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態の茹で落花生及び茹で落花生の製造方法を説明する。但し、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
【0020】
本発明の一実施形態の茹で落花生1は、
図1に示すように、殻付き落花生を塩茹でした茹で落花生1であって、殻2の突起部3付近から合わせ目4に沿い切れ込み5を入れてあることを特徴とする。なお、突起部3とは、根から切り離した切り痕部分である。
【0021】
茹で落花生1に用いる殻付き茹で落花生は、いずれのものを用いてもよいが、例えば、種子を1つから3つ有し、長さが15mm~80mmのものが好ましい。
【0022】
茹で落花生1の殻2には、切れ込み5が設けてあり、この切れ込み5は、
図1に示すように、殻2の突起部3付近から合わせ目4に沿い設けてある。切れ込み5は、千枚通し(ピック)、ナイフなど先鋭的な道具で切り開いて設けることができる。
切れ込み5は、
図2に示すように、殻2の全長Xに対して3~20%の長さYとするのが好ましい。なお、この長さは、突起部3を上側にして茹で落花生1を垂直に立てたときの垂直方向の長さをいう。
【0023】
茹で落花生1は、殻付き落花生を塩茹でしたものであり、塩茹でした後に切れ込み5を設けてもよいが、塩茹でする前に切れ込み5を設けるのが好ましく、特に後述する製造方法で製造するのが好ましい。
【0024】
茹で落花生1は、殻2を割る際に、
図3に示すように、人差し指などで握るように片手で持ち、切れ込み5の部分を親指などで押すことにより、殻2が合わせ目4から割れ、
図4に示すように、簡単に二つ割りにすることができる。また、突起部3付近は殻2の中でも硬い部分であり、ここに切れ込み5を設けることにより、殻2を適度な力で割ることができるため、屑が飛び散りにくく、きれいに二つ割りにすることができる。
このように、茹で落花生1は、殻2内の種子を簡単に取り出せて容易に食することができ、また、殻2の屑が飛び散りにくく、周囲を汚しにくいものである。
【0025】
次に、本発明の一実施形態の茹で落花生の製造方法を説明する。
この製造方法は、殻付き落花生の殻に切れ込みを入れて塩茹でした後、塩茹でした落花生を包装に封入して真空包装し、真空包装した状態で湯煎をするものであり、より詳細には、
図5に示すように、収穫した殻付き落花生を用い、洗浄、穿孔、塩茹で、湯切り・乾燥、真空包装、湯煎、冷凍の工程を経て、茹で落花生を製造することができる。
【0026】
洗浄工程は、収穫した落花生の殻に付着した泥などを洗い流す工程であり、例えば、収穫した落花生を水などに浸漬させ、手で揉むことやブラシなどで擦ることにより行うことができる。
この際、落花生を規格内のものと規格外のものに選別してもよい。規格内又は規格外は、大きさや色彩で選別でき、例えば、種子を1つから3つ有し、長さが15mm~80mmのものを規格内とし、大きさが小さいもの、黒ずみなどの変色があるもの、殻が既に割れているものなどを規格外として除去することができる。
【0027】
洗浄した落花生は、その当日から5日以内に調理するのが好ましく、次の工程前に再度洗浄するのが好ましい。また、一時保管の際は、5~8℃の環境下で保管することが好ましい。
【0028】
穿孔工程は、洗浄した落花生の殻に切れ込みを入れる工程であり、殻に1か所設けるようにする。2か所以上設けると、この後に行う塩茹での際に殻内に水が入り過ぎ、種子が柔らかくなり歯ごたえがなくなるため好ましくない。
切れ込みは、千枚通し(ピック)、ナイフなど先鋭的な道具で切り開くことができる。
【0029】
切れ込みは、円形孔状に形成してもよいが、殻の合わせ目を筋状に切開して形成するのが好ましい。例えば、
図2に示すように、落花生1の殻2の突起部3付近から合わせ目4に沿い適宜長さで切れ込み5を入れることができる。
切れ込み5の長さYは、殻2の全長Xに対して3~20%の長さとするのが好ましい。より好ましくは4~18%の長さ、特に好ましくは5~16%の長さである。なお、この長さは、突起部3を上側にして落花生1を垂直に立てたときの垂直方向の長さをいう。切れ込みの長さが短いと、この後に行う塩茹での際に殻内に水が入らず、殻の表面だけが塩味が強くなるため好ましくない。
【0030】
塩茹で工程は、殻に切れ込みを入れた落花生を塩茹でする工程であり、鍋などを使用して茹でることができる。茹でるための塩水は、特に限定するものではないが、塩分濃度を3~5(ppt)にするのが好ましい。
塩茹では、例えば、鍋に、水をひたひた乃至たっぷりと入れた後、食塩を入れて撹拌し、そこに落花生を入れ、その水を好ましくは70~100℃に温める。より好ましくは80~100℃、特に好ましくは90~100℃である。また、塩茹では、温めた温度で10~20分間するのが好ましい。より好ましくは11~18分、特に好ましくは12~15分である。これにより、種子が適度な歯ごたえになる。
【0031】
湯切り・乾燥工程は、塩茹でした落花生をざるなどに入れ、湯切りをした後、落花生を乾燥させる工程である。
この乾燥は、並べた落花生に風を送って乾燥させるのが好ましい。また、この乾燥は、触手により殻の表面に水分が感じられなくなる程度に行うのが好ましい。
【0032】
真空包装工程は、乾燥した落花生をプラスチックバッグなどの包装に詰め、その内部を真空にする工程である。
包装は、袋状のものが好ましく、特に限定するものではないが、ファスナー付きのプラスチックバッグ、例えば、商品名「ジップロック」(旭化成ホームプロダクツ(株)製)などを用いることができる。
真空は、落花生を詰めた包装を脱気して、真空度を好ましくは80%以上にする。より好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。
包装を真空にするには、市販の真空パック機などを用いることができる。
【0033】
湯煎工程は、落花生を詰めた真空包装をお湯に入れ、加熱する工程である。
湯煎は、真空包装を、好ましくは80℃以上のお湯に、好ましくは1分以上10分以下に渡って浸漬させる。より好ましくは85℃以上、特に好ましくは90℃以上であり、また、より好ましくは2分以上8分以下、特に好ましくは3分以上5分以下である。真空包装の状態で湯煎することにより、種子が均一な塩味となり、適度な歯ごたえになる。
【0034】
冷凍工程は、湯煎した落花生を冷凍し、長期保存できるようにする工程である。
冷凍は、落花生を-15℃以下の冷凍庫内に入れるのが好ましい。より好ましくは-18℃以下、特に好ましくは-20℃以下である。
冷凍は、急速冷凍させるのが好ましく、例えば、IQF(Individual QuickFrozen)装置などを用いて行うことができる。例えば、-35℃以下に10分以上保持させることにより急速冷凍することができる。
なお、保存する必要がない場合は冷凍工程を省くことができる。
【0035】
本発明の一実施形態の製造方法により製造された茹で落花生は、歯ごたえが良いなど食感が良いだけでなく、適度な塩味が種全体に感じられるものとなり、美味しく食することができるものである。
【実施例0036】
以下、本発明の一実施例の茹で落花生の製造方法について説明する。但し、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
【0037】
以下に示す茹で落花生1~11を製造した。
【0038】
(茹で落花生1)
収穫した落花生を水に浸漬させて手もみし、殻の表面についた泥などを洗い流した。
この落花生から規格内(殻の長さ約48mm)のものを選別した。
選別した落花生に切れ込みを入れた。切れ込みは、ピックを用いて、合わせ目に沿い突起部から約4.2mmの長さの切れ込みを入れた(殻の全長に対して約9%の長さ)。
【0039】
鍋に食塩水を入れてかき回した後、2300gの落花生を投入して塩茹でした。塩茹では90℃以上に加熱して15分間行った。
塩茹でした落花生をざるにとって湯切りした後、トレーに並べ、風を当てて乾燥させた。この乾燥は、殻の表面に水分が感じられなくなるまで行った。
【0040】
落花生を袋(クリロン化成株式会社製)に詰め、真空パック機(ホシザキ株式社製)で真空度が80%以上になるまで吸引し、真空包装をした。
この真空包装を、90℃以上のお湯を入れた鍋に3分間浸漬させて湯煎を行った。
真空包装を関封し、取り出した落花生を茹で落花生1とした。
【0041】
(茹で落花生2)
茹で落花生1の製造条件において、殻の長さを約75mm、切れ込みの長さを約2.3mm(殻の全長に対して約3%の長さ)とした以外は同様の条件で製造して茹で落花生2とした。
【0042】
(茹で落花生3)
茹で落花生1の製造条件において、殻の長さを約28mm、切れ込みの長さを約8.1mm(殻の全長に対して約24%の長さ)とした以外は同様の条件で製造して茹で落花生3とした。
【0043】
(茹で落花生4)
茹で落花生1の製造条件において、殻の長さを約31mm、切れ込みの長さを約12.4mm(殻の全長に対して約40%の長さ)とし、真空度を90%以上とした以外は同様の条件で製造して茹で落花生4とした。
【0044】
(茹で落花生5)
茹で落花生1の製造条件において、殻の長さを約69mm、切れ込みの長さを約6.2mm(殻の全長に対して約9%の長さ)とし、真空包装の真空度を60%以上とした以外は同様の条件で製造して茹で落花生5とした。
【0045】
(茹で落花生6)
茹で落花生1の製造条件において、殻の長さを約57mm、切れ込みの長さを約6.8mm(殻の全長に対して約12%の長さ)とし、真空包装の真空度を85%以上とした以外は同様の条件で製造して茹で落花生6とした。
【0046】
(茹で落花生7)
茹で落花生1の製造条件において、殻の長さを約40mm、切れ込みの長さを約6.0mm(殻の全長に対して約15%の長さ)とし、真空包装の真空度を90%以上とした以外は同様の条件で製造して茹で落花生7とした。
【0047】
(茹で落花生8)
茹で落花生1の製造条件において、殻の長さを約35mm、切れ込みの長さを約6.3mm(殻の全長に対して約18%の長さ)とし、湯煎の浸漬時間を1分間とした以外は同様の条件で製造して茹で落花生8とした。
【0048】
(茹で落花生9)
茹で落花生1の製造条件において、殻の長さを約21mm、切れ込みの長さを約4.2mm(殻の全長に対して約20%の長さ)とし、湯煎の浸漬時間を5分間とした以外は同様の条件で製造して茹で落花生9とした。
【0049】
(茹で落花生10)
茹で落花生1の製造条件において、殻の長さを約72mm、切れ込みの長さを約9.4mm(殻の全長に対して約13%の長さ)とし、湯煎の浸漬時間を7分間とした以外は同様の条件で製造して茹で落花生10とした。
【0050】
(茹で落花生11)
茹で落花生1の製造条件において、殻の長さを約60mm、切れ込みの長さを約4.8mm(殻の全長に対して約8%の長さ)とし、湯煎の浸漬時間を10分間とした以外は同様の条件で製造して茹で落花生11とした。
【0051】
(試験)
上記茹で落花生1~11を用いて、落花生の生産者や販売業者からなる5名のパネリストに食してもらい、食感(歯ごたえ)と食味(塩味)を以下の基準で官能評価してもらった。
【0052】
<食感(歯ごたえ)>
5点 硬い
4点 やや硬い
3点 適度な歯ごたえが感じられる
2点 柔らかい
1点 柔らかすぎる
【0053】
<食味(塩味)>
5点 しょっぱい
4点 やや塩からい
3点 適度な塩味
2点 塩味をやや感じる
1点 塩味が感じられない
【0054】
これらの平均値(小数点以下は四捨五入)を以下の表1に示す。食感及び食味とも3点に近いものが良好な評価となる。
【0055】
【0056】
(結果)
殻付き落花生の殻に切れ込みを入れて塩茹でした後、塩茹でした落花生を包装に封入して真空包装し、真空包装した状態で湯煎をすると食味や食感が良い茹で落花生を製造できることが見出せた。
特に、切れ込みの長さが殻の全長に対して約3~20%であると適度な水分および塩分が殻内に入り、食感および食味が優れていた。また、真空度が80%以上であり、湯煎時間が1分以上10分以下の条件であると食感および食味に優れていた。
これら結果から、これらの条件を満たすものが特に食味や食感が良い茹で落花生になるといえる。
【0057】
また、殻に切れ込みを入れた茹で落花生は、切れ込みを親指などで押すと合わせ目から二つ割りにでき、簡単に割ることができるものであった。